───冒険の書152/VS皇帝竜(前編)───
【ケース417:中井出博光/ヒロミチュード・ザ・グレイトバトル】 それは……僕が、そこが山頂だとも思わずドシャアと乱暴に登った先でのことでした。 カイザードラゴン『グバァアシャァアアアアアッ!!!』 中井出     「へ?おぅわほぎゃぁああーーーーーっ!!!!」 適当に登った先にヤツは居ました。 そりゃ叫ぶなってほうが無理だ。 どうやら今まで眠っていたらしく、俺がここに辿り着いた音で起きてしまった様子……! しまったもっと静かに来りゃよかった! そしたら渾身の一撃を角にブチ当てて一撃目は無条件で当てられたのに!! 中井出「ナ、ナギー!下がってなさあれ居ねぇ!!」 振り向いてみるが居ないナギー! ババッと上ってきた場所を見下ろしてみれば、一目散に逃走しているナギー! ひ、ひどい!なんてひどい! そりゃ最初から逃がす気満々だったけどさ! でも逃げろという前に逃げられるのってなんだかとってもショック!! だが覚悟は決める!さぁ来いドラゴン! 中井出「つーか……で、でけぇえええーーーーっ!!!」 ギシャアアォオオン!と咆哮しつつ起き上がったカイザードラゴンは巨大!! 鱗が鋭く尖った灰と黄と朱が混じった竜は、俺を見るとあっさりと戦闘体勢! 話し合いの場はどうあっても儲けられそうにありません!どの道言葉解らんけど!! 中井出「最初から全力で───!!まず武器はしっかり二刀流!!     マグニファイにて鬼人化を解放!さらに双剣を長剣に変えてストック全解除!     ジェノサイドブレイバー(×5)!!」 前方に剣を構え、レイジングロアを放つように───放たず溜める。 中井出「リミットは我がHPが1になるまで!それまでに貴様に究極の一撃を!」 既に現HPとTPもレイジングロアにして溜め中よ! つまりこれが放たれる時、ストックのジェノサイドブレイバーも全て放つ! 全力は出す!出すがまずは様子見!だって避けられたら目も当てらんないし!! カイザードラゴン『ゴォオオアァアアアアッ!!!』 ギピィンッ!!《バリアチェンジ!カイザードラゴンの属性が変化する!》 中井出「へ───!?」 カイザードラゴンの鱗の色が変化する! 全体的に灰と黄を混ぜたような色だったソレが、なんと青に! カイザードラゴン『グォオゥウッ!!ボガァッシュドッガァアアアアンッ!!! 中井出「だぁああうわぁああああっ!!!?」 放たれたブレスは風! いや、ブレスっつーかもう風のレーザーみたいだった! あんなのくらったら八つ裂きどころか骨の塵まで切り刻まれるって!! ちょ……考えが甘すぎた!こいつほんと強い!! でも調べん!何故なら調べたほうが怖そうだからだ!! 中井出「風の弱点属性は───氷!!剣に宿れ氷の加護!霊章輪・氷!!」 ギピィインッ!! 相手の属性に合わせてこっちも属性チェンジ! コココ……!この博光が属性の強弱を知らんと思ったら大間違い……! 日々努力を重ねている……!冒険ばかりの馬鹿じゃない…………っ! ……ごめんなさいウソです、剣士スキルの説明に書いてあったのを覚えてただけです……。 カイザードラゴン『ルガァアゥウ!!』 ギピィン!《バリアチェンジ!カイザードラゴンの属性が変化する!》 中井出「うおおちょっと待て!     そんなコロコロ変えるんじゃ───ウギャアもうHPが520だぁーーーーっ!!     こうなりゃ一か八か!!」 まずフロートでバリアチェンジ中のカイザードラゴンの顔面目掛けて跳躍! その勢いとともにジークフリードを両手持ち! さらに発動した背水、殺戮を力とし、 マグニファイスキルのアーマーキラー、オーガインパクト、ストライクブラストを込めて! 属性を氷から元素に変えて、冥空斬翔剣で長剣四閃化!! 合計6発分のジェノサイドブレイバーを込めたこの剣でもって、 丁度HPが1になり、ジェノサイドハートも最高潮の今!! ドラゴンキラーを存分に解放して剣を回転させる!! STRマックス!!狙うはただ───カイザードラゴンの角のみ!! 中井出「“黄竜剣”!!だぁあありゃぁあああああっ!!!!」 喉から振り絞るように絶叫!! それほどの気迫と全身全霊をこの一撃に懸け、フルスイングで振り下ろした!! ゾガァッギガガギシャァアアアアアッ!!!! 中井出     「ぐぅううぉぁああああああっ!!!!」 カイザードラゴン『グギャァアォオオオオンッ!!!!』 飛び散る火花! 大気さえ揺らす絶叫めいた咆哮!! だが決して弾かれぬよう、逸らされぬよう、渾身を込めて剣を圧する!! ヂギギギアアァアフィィイイインッ!!! 中井出「うおぉおおおおおおっ!!!」 振り切れ!振り切れ───!!振り切ればきっと折れる!斬れる筈───!! 全てを込めてる!持てる全てを!HPももう1! これ以上ジェノサイドハートは強くなりようがない! ストックのジェノサイドブレイバーも惜しむことなく全て剣から吐き出してる!! きっと折れる!信じろ!折れる!臆することなく!最後の瞬間まで剣を圧し続けろ!! カイザードラゴン『グォオオオオァアアアアアアッ!!!ビュゴガギィンッ!! 中井出「ぐおぁぁあああっ!!?」 だが。 己の誇りを折られようとしている竜が、やられっぱなしで動かないわけがない。 俺は振るわれた巨大な尾を咄嗟に斬りつけ、しかし斬れずに吹き飛ばされた。 中井出「《ズザァッ!!》んがっ……!!」 幸か不幸か……放っていた力が完全に尾撃ダメージを殺してくれた。 HP1の状態で地面に降り立った俺は、 カイザードラゴンの角を見上げながらグミを口に含み、ハイポーションで流し込む。 角は……折れていない。 でも大分削れた。 ていうか攻撃力4倍以上の超全力黄竜剣でも角一本折れないっすか……。 中井出「なんのまだまだ!」 あとはもう押せば折れるくらいまで削ったんだ! だったらあとはなんとか隙をみつけて叩き折るだけ!! いや“だけ”じゃねぇ!折ってバックパックに入れる!これ大事! 中井出「そんなわけで───!」 ステータスを元に戻すと、諦めずに剣をドッガァアアアアアアンッ!!! 中井出「ぶへぇあぁあああっ!!!!」 いや……ごめん無理。 攻撃がドラゴンとは思えないくらいに速すぎ……!! 攻撃を受けながらだったから遅かったのか、 さっきの尾撃と今の尾撃の速度が比較にならないにも程がある! さらに吹っ飛んだ俺目掛けて飛翔してきて、落下とともに足で踏み潰しに───!  どっごぉおおおおおんっ!!! 巨体が重くのしかかる! だが轟音が高鳴ったのは俺に向けて振り下ろされた足ではなく、 もう一方で先に地面に落ちたほうだ。 もう一方の足は地面に落ちてはいない。 何故なら─── 中井出「ぐ、ぉおおおお……!!鬼人化状態の俺のSTRナメんなぁあああ……!!」 俺が潰されんように踏ん張っているからである。 中井出「ジークフリード!俺の中に戻れ!アァーーンドゥ!     “裏返し要らずの炭火焼きファイヤァーーーッ”!!!!チュゴォッファァアアアアアンッ!!! カイザードラゴン『───……ルォオオオッ!!!』 中井出     「《メキメキメキメキ》ギャアーーーーーッ!!!!」 うおお全然効いてねぇ!! 脚を抑えたまま元素の炎で燃やしたってのに! ───ってしまったバリアチェンジ!! 火に強いってことは今の属性防御は火か! ていうか鱗赤いし!気づけよ俺!! 中井出「だったら水!我が右手に水!我が左手に元素!“ウォーターレイジ”!!」  ゾプシャァアアッ!! 潰されそうになっている状態で超高圧縮の一転集中の水撃を放つ! するとそれは確かにカイザードラゴンの赤の鱗に小さなヒビを走らせ、 カイザードラゴンを怯ませた!! ……そ、そうか!コロコロと属性変えるし基本防御力も滅茶苦茶高いけど─── こいつは属性防御が滅茶苦茶弱いんだ!! だったら───高位系統の属性に変換されないように気を付けながら─── カイザードラゴン『グオォオオオオッ!!!ギガァッチュヴァンガガガァォオオオンッ!!!! 中井出「うぎゃわぁあああああっ!!!!」 放たれた、薙ぎ払うようなレーザーに驚愕……! 中井出「ちょっ……無理!無理無理無理!!あんなの受けたら一撃で……!!」 あ、あああああっ……や、やばい……!今更足が震えて……!! カイザードラゴン『ゴルルルルル……!!』 中井出     「あ、あはっ……は、わっ……わはははははは!!!」 今更ながらに大後悔! なんだって俺は馬鹿正直にこんなヤツと戦ってんだオイーーーッ!! 今更ながらに笑えてきた! でも───何故?何故って─── 中井出「決まってる!猫の恩義に報いるため!!そしてこの世界を味わい尽くすため!!」 ここまで来たんだ、やれることを全力でやるしかない! 中井出「水……とにかく今は水!水───」 ギピィンッ!《バリアチェンジ!カイザードラゴンの属性が───》 中井出「ウギャア待ってくれぇえーーーーーーっ!!!」 ハッ!い、いや!バリアチェンジ中はどうやら動けない様子! だったら今のうちに角を! 中井出「付加属性無し───“剣ッ閃ッ”!!」 シュカァッフィィンッ!!! 驚いてた所為で少し出遅れた───! だったら属性を込める手間無しで放てるこれ!  バゴォオンッ!!! 中井出「う、あ……」 俺の馬鹿───! 震えてる所為で目測誤って───!! カイザードラゴン『───』 剣閃はドラゴンの顎に当たった、が───傷一つつけることなく消えた。 とんでもない鱗だ……ドラゴンってのはこうまでドッガァアンッ!!! 中井出「い、ぎっ……!!!」 再び尾撃。 次いで吹き飛ぶ俺目掛けてレーザー───! こういう時はぁああ……!えーとえーとフロート!! 中井出「《ギシャアォオンッ!!》うゎああああああっ!!!」 一気に浮き上がった俺の鼻先を、レーザーが掠めていった。 う、おお……!ち、ちびるかと思った……!! いやいやいや!弱音厳禁!まず完全回復までグミ食って───よし!! 中井出「次!ヘタなテッポー数撃ちゃあたる!」 空中に浮いたまま、角目掛けて剣閃を放つ放つ放つ!! だがそのどれもがカイザードラゴンの目の前に出現した水の壁によって掻き消される! くっはぁ……!今度は水属性かよ!! だったら突貫!体の震えなんて武者震い!お偉いさんにはそれが解らんのだ!!! 中井出「紅蓮に雷!蒼碧に元素!ブッ潰れろ!“ギガブレイク”!!」 ヂガァガガギシャァアンッ!! 遙か天空より舞い降りる元素の雷をジークフリードで受け止め、 高く飛んだのちに落下とともに一気に振るう!!狙うはやっぱり角のみ! 中井出「だぁああありゃぁあああああっ!!!!ザンガガガガガギバシャォオオオンッ!!! カイザードラゴン『グォオオオガァアアアアッ!!!バゴドッガァアアアンッ!!! 中井出「っ……!ブ……ゲッ……!!」 弱点属性を突いての両手持ちフルスイングギガブレイク……だったんだが、 やっぱり全ての威力が通るより速く尾撃で落とされ、 STR全開だった俺はたった一撃で再び瀕死の状態に舞い戻っていた。 中井出「あ……ぐ……っ……つはっ……!」 あ……やばい……脳震盪……?世界が揺れてる……。 立たなきゃならんのに体が上手く動いてくれない……。 アイテム……アイテムを食わなきゃ……。 カイザードラゴン『ルガァアアォオッ!!!』 中井出     「───……」 ……いや、今回ばっかりはダメそうだ。 逆にこんなヤツ相手によくやったって自分を………… 中井出「───まだだ!」 ───褒められるようなことなんてまだやってない! 何故なら俺の目的はあの角であり!俺はまだあの角を折ってもいないんだから!! そう心の中で叫び、口にレーザーを溜めているカイザードラゴンを見上げる! ……だが悲しいかな、事実俺の体は動かない。 フフフ、知りなさい博光よ……これが人間の限界。 どれだけ根性があろうが気合を入れようが、身体っていうのに振り回されるのが人間……。 ───でも。 それを治す力が別のところから舞い降りたら……?  ギガァッチュゥウウウンッ!!! 中井出「《シャラァンッ♪》───!!だぁあああぁああああああっ!!!!」 突然回復し、動けるようになった体で跳ねるようにレーザーを回避した! そしてそのまま再び角へとフロートで跳躍! そんな中で地面を見下ろしてみると─── 中井出「……そうだよな」 自分は一人で戦ってるんじゃないんだって実感できた。 ……真っ先に逃げられたのは事実だが。 中井出「サンキューナギー!!」 飛翔している間も急速に回復し続ける俺のHP。 それを嬉しく思いながら、 俺は再びギガブレイクを───うげっ!また鱗の色が変わっていきやがる! 次はなんだ───!?次は───!! 中井出「ええい構うか!俺はいつでも行き当たりばったりだぁーーーーっ!!!」 なにも込めない!ただ頭の中で破壊をイメージして、霊章を拡張させる!! やがて広がった霊章から闇の炎があふれ出す───が!全ては拡張させん!! 中井出「見さらせ!これが男の根性ギャアーーーーーッ!!《メキメキメキ……!!》」 狂いし者に乗っ取られずに、その大いなる力だけを……なんて考えは甘すぎたようである。 あっという間に乗っ取られそうになった俺はすぐさま破壊のイメージをぶち壊した。 もういい!このままブッた斬る!! 中井出「だぁあありゃぁあっ!!」 ヴフォンゴギィンッ!!! ドンピシャ───角の切断面、まさに後一歩で切れるってとこにクリティカル!! ……だってのに…… 中井出「折れない!?っ───冗談だろ!?硬いにもほどが───!」 あと数センチ!それだけなのになんで!! 中井出「っ!ガードポイント!《ドッガァアッ!!》いがっ……!!     そうなんどもまともに食らうか《ドゴシャア!》ゲファーーーリ!!」 再び襲う尾撃はなんとかVITマックスと剣でガード……したんだが、 吹き飛ばされたのちに地面に叩きつけられ、 背中を強打しては胃の中のものをリバースした。 前代未聞の冒険者である。 中井出「げはっ!ごふっ……!かっ……ほ、ほんと……」 なんて、つくづく格好のつかない……! い、いや……俺は格好つけたくてこの世界を旅してるんじゃない。 無様だって構わない!ただ楽しみ尽くす! 中井出「GO!」 バックパックから麦茶を取り出し一気飲み! すると───ピピンッ♪《ランダムルーレット発動!……10秒後に自爆します》 中井出「えぇええーーーーーーっ!!?」 む、麦茶のランダムルーレットにも自爆が!? ちょっと待って僕そんなの聞いてない!! 中井出「だったら───パンドラポット発動!!竜族の度肝を抜く奇跡をここに!」 ダララララララ……ピピンッ♪《博打No23“自爆”》 中井出「どうあっても自爆しろとおっしゃるーーーーーーっ!!!」 もう泣くしかなかった。
【Side───晦悠介】 ドッゴォオオオーーーーーーン……!!! 悠介 「お……」 遠くで天を衝く火柱が立ち上った。 ということは……ああ、中井出だな。 ほんとにドラゴンと戦ってるんだろうか。 悠介 「それに比べてこっちは……はぁ」 ウンディーネとの契約が破棄されてしまった。 怒った彼女は水の地下神殿に戻り、俺の言葉にはもう耳を貸そうとはしなかった。 悠介 「……なんとかしないとな」 精霊との契約が自分の力の解放に繋がることは解った。 けど多分、それは加護を貰うだけでも平気なものだろう。 だから俺がするべきことは───よし、やれることからコツコツと! 【Side───End】
ブスブスブスブス…………!! 中井出「コ……カカ……」 自爆を同時に発動させたのなんてきっと俺が始めてだ。 けどどうやらこの世界での自爆は自分が死ぬようなことはないようなので助かる。 カイザードラゴンも突然の爆発に驚いて、フラついてるし───い、今のうちだ。 回復できるだけ回復を……! 中井出「んぐ、うぐむぐ……んぐんぐ……ぷっはぁーーーい!!」 で、回復といえばやはりこれ。 グミを噛み締めハイポーションとオベロナミンゴールドで流し込む! 中井出「完全回復!」 とは言ったものの……本気でどう攻めていいものか……。 さっきからあの角、全然欠けてもいない気がする。 しかし今の俺の持ち技じゃあアレを折ることすらできない。 だったらどうする……? 中井出「そんな時でも大丈夫!なにを隠そう!俺は博打の達人だぁあああッ!!」 絶叫!それとともに発動させるはやはりパンドラポット!! 中井出「ランダムルーレット発動!」 ジャラララララララ───ジャンッ!!《博打No01!死のルーレット発動!》 中井出「死のルーレット!?え!?なんだかとっても嫌な予感が───」 と言ってる傍から俺とカイザードラゴンの頭上に交互に矢印が……!! ピコピコと点滅するように移動しては、やがてはゆっくりと速度を落とし───ピコ。 それはカイザードラゴンの頭上で止まった!! 中井出「オッケーナイスミラクル!これで《ピコッ》あれ?」 よっしゃあと拳を握り締めた途端に、矢印が最後に俺の頭上に! 中井出「え!?いやちょ、待って!待ってよ!こんなのあんまりヴァーーーーーッ!!!」 ルーレットが止まったらあっさり死亡した。 物凄い殺傷能力だ。 ───……。 ……。 ダダダダダダ───ダンッ!! 中井出「まだだ!まだ終わりじゃないぞ!!」 神父に蘇らせてもらい、ここまでの距離を駆け上って構える! もちろん使用するのはパンドラポット! 今この状態でジェノサイドブレイバー撃ったって、多分傷はつけられない。 だから賭ける!このパンドラポットの中にある“希望”に!! 中井出「ランダムルーレット!発動!」 ダララララララララドッゴォンッ!! 中井出     「うぁわぁああああああっ!!!」 カイザードラゴン『ゴガァアアアーーーーーッ!!!』 そりゃそうである。 こっちがルーレットを待ってる間、ずっと待ってくれる敵なんて居やしないのだ。 でもその攻撃を、AGIマックスでなんとか避けてゆく! やがて───ジャンッ♪《博打No8!臭い息発動!》 中井出「ええ!?」 現れた名前に驚愕して思わず叫んだ───と同時に、 その開いた口から物凄く臭い息が発射され 中井出「ぶえっふぇげっほごっほ!うおっ!くっせゴエェエエエエッ!!!!!     うぅううぇえっ!!ゴエッ!うぉおぅええええっ!!!」 ていうか敵に届く前に余りの臭さに俺が吐いた。 そしてその隙にズシーンとひと潰しにされ、昇天。 ねぇゲームマスター……。 自分が耐えられないほどに臭いっていうのはどうかと思うな、僕……。 ───……。 中井出「負ぁああけるかぁあああああっ!!───もう負けてるけど!!」 第三戦! もう戦い方を決めた俺は、頂上に来るや長剣に力を込め、レイジングロアを発射!! ギガァッチュゥウウウウンッ!!! カイザードラゴン『───ドンガガガガガガォオオオオオンッ!!!! 中井出「おぉっ!?」 カイザードラゴンの角目掛けて撃った。 けどカイザードラゴンは既に俺の力量を見切っているのか、 避けることもせずまともにそれを浴びた。 カイザードラゴン『グゥォオオオオオウウウウッ!!!』 舞い上がる爆煙。 でもそれは咆哮とともに吹き飛ばされ、煙の先から覗く眼光が俺を睨んだ。 ……それだけで足が震えた。 まるで蛇に睨まれた蛙だ。 ていうか掠り傷ひとつ無いなんて、随分と絶望を味わわせてくれる。 中井出「だが死中に活あり!パンドラポット!ランダムルーレット発動!」 現れた博打スキル一覧に光が走る。 今のところ最大23番目まで解ってる─── その先か前かに活路を見出せるなにかがあれば─── ジャンッ!《博打スキルNo17!爆弾投げ発動!》 中井出「な、なんだってぇええーーーーーーっ!!?」 驚いた俺の手にドシュンと出現するゴブリン印の爆弾! もちろん武器を持ってた俺はそれを落としてしまい───シュカァッ!!! 中井出「いや──────」 まるで目の前に爆弾が飛んで来た桃白々のように、小さな悲鳴を上げて光に包まれた。
【Side───晦悠介(再)】 ドッゴォオオオオーーーーン……!! 悠介 「だわっ!?」 遠くの方でまた爆発が起こったようだ。 大地さえ揺るがす轟音に振り向いてみれば、また立ち上っている火柱。 ……いや違うな、今度は爆煙だ。 しかしかなり遠くだっていうのに見えるくらいに巨大な爆煙。 あの方向……さっき中井出火柱が立ったところだよな? 悠介 「なにやってるんだあいつ……」 ドラゴンと戦ってるにしても滅茶苦茶な気がするが……まあ。 それが中井出の戦い方なんだろうな。 悠介 「よし、俺はまず金を溜めて、この宝石を指輪に変えなくちゃな」 目的は決まっている。 だったら頑張っていこう。 やるからにはいつだって全力だ───! 【Side───End】
中井出「ちくしょうどうしてこのパンドラポットって     持ち主にやさしい能力がねぇんだよ!!JALOに訴えンぞ!!」 内容が内容なだけに訴えたところでまともな返事は望めません。 というわけで第四戦! 中井出「レイジングロアも効かない、物理攻撃も効かない……とくれば!     ちくしょうやっぱりバンドラポット!!」 あと少し!あと少しなんだよ角! ほんとあとほんのちょっとで折れるのに!! そのほんのちょっとがとんでもなく硬いのよ!! というわけでランダムルーレット発動! ていうかカイザードラゴン、完全に俺のこと空気扱いして無視してる! お願いだからなにか素晴らしいモノを出してくれ!俺もうほんと泣きそう!! ジャンッ!《博打No13!メタルボディ!》 ゴシャアッキィイインッ!!! ピピンッ♪《ハイパーアーマー&ノーダメージ状態になった!!》 中井出「おおっ!?は、初めて持ち主にやさしい能力が!!」 ハイパーアーマーでノーダメージなんて夢のような能力! 中井出「これならどんな攻撃も怖くない!GO!!」 フロート発動! そんでもってこっちを完全にゴミ扱いしてくれちゃってるカイザードラゴンの角に───! 中井出(今の鱗の色は紫……?紫は確か───雷!雷には地属性!) ジークフリードに地属性を封入して、角目掛けて一気に振り下ろす! ジャガガギィインッ!!! カイザードラゴン『グゥォオオオゥウウウッ!!!!』 まるで金属でも叩いているような音が弾ける。 まったくほんと、なんて硬さだよ……! 角を斬ろうとしてるなんて気分がまるでしない……! でもやっぱり弱点属性にはとことん弱いようで、 ジークフリードが角に少しだけめりこむと、体を大きく揺らして絶叫した! いける!せめて角だけでも折ることくらいは出来る筈! カイザードラゴン『クガァォオッ!!ビュゴォバッヂィインッ!! 再び尾撃での攻撃が俺を襲う! だが! 中井出「効かん!!」 コキーン!とそれを弾いたソレは我がメタルボディ! テカテカと体がメタルに輝いていてなんともヘンな気分だが、それでも良し! 中井出「すおぉおりゃぁああああっ!!!」 ヒュオガギィンッ!!ヒュオガギギギャリィンッ!!! もはや勝機とばかりに剣を幾度も振るってゆく! あと少し!ほんとあと少しなんだ!だからパギィンッ!! 中井出「いづっ!?」 しかし相手さんも黙って取られるつもりは無い様子。 属性が再び変わってゆく角に剣が弾かれ、 その震動がメタルボディの内側まで響いた事実にかなりびっくりした。 どうやら外側からの攻撃には強いようだけど、こういう震動めいた響く力には弱いらしい。 けどバリアチェンジを始めた鱗を凝視して、次の属性に備える! だがそればっかりに気を取られていたのがマズかった。 カイザードラゴン『ギシャァアォオオオオンッ!!!!』 中井出     「おわだぁぅわぁああっ!!?」 角に乗って剣を構えていた俺は、 突然暴れ出したカイザードラゴンに振り落とされたのだ。 しかもその際、落ちてゆく俺を見据えたカイザードラゴンの目はまさに怒りを込めていて。 俺は落下しながら固まってしまったわけだ。 しかし人間、やらなければならん時ってのがある! 恐怖なんて笑い飛ばしてしまえぃ!ヤケクソ笑いでも今はそれで良し!! キュォアヴァアアガガガガガッギシャアアッ!!! 中井出「オォオーーーーーーーーッ!!!?」 てっきり再び尾撃かと思ったら、なんと視界を光で埋め尽くすレーザーが放たれた!! 俺は咄嗟にVITをマックスにしてガードに入った! けどこのメタルボディは見事にレーザーさえ通さず、俺を大地へと着地させてくれたのだ! 中井出「うおおすげぇこの能力!ようしこれなら!」 やれる!そう思った───まさにその時!!  ズッキィイイイーーーーーーン!!!! 中井出「ギャオァアアーーーーーーーッ!!!」 カイザードラゴンにも負けないくらいの絶叫を放った!! メタルなボディが時間とともに人の肌へと戻った時、突如体を激痛が襲ったのだ! そして俺は気づいたのだ……! これは確かにメタルボディで敵の攻撃を完全にノーダメージにしてくれる。 ハイパーアーマーだから攻撃を受けたところで動じることもない。 が───それは“メタルボディ”の間だけ!! ようするにこれは体を根性で超硬質化させるだけのいわば“超やせ我慢”!! 当然メタルボディの効果が切れれば我慢していた分の痛みが押し寄せ、 こうやって大変なことに……!!うおっ!HP1じゃん!! あのレーザー、VITマックスにしても死ぬ一撃だったってこと!? 死なないことには感謝だけど普通なら死ぬほどの一撃が生きたまま舞い降りるなんて! やさしくない!この博打能力もやっぱり俺にやさしくない!! 中井出「くそうだったら次!パンドラ《バゴシャア!!》べぼっ!」 そして尾撃で死んだ。 Next Menu back