───冒険の書162/果てないワンダーランドへ───
【ケース434:中井出博光(山本幻柳再)/重國】 サクサクサクサクサク…… 中井出「むはぁ……」 ナギー『のうヒロミツ?何処に向かっておるのじゃ?』 中井出「東さ」 ルルカ『ゴエ?』 東を求めて三千里……こんにちは、中井出博光です。 デスゲイズと神父にコロがされた僕らが猫洞窟に戻り、旅に出てから丸一日が経ちました。 精霊の加護によってパワーアップを果たした晦は、 空き缶さん、セレスさん、悠黄奈さんを連れて月の欠片とやらを探す旅に。 闇の精霊との契約でさらなる闇を手に入れた彰利は、 篠瀬さんと穂岸と未来凍弥を連れて再びグラウベフェイトー山へ。 ゼットはみさおちゃんと再び旅に、ゼノさんとシュバルドラインも同様。 修行なんてのはせず、戦いの中でこそ強くなりたいようだ。 で─── 藍田 「しかしだ提督。東っつったってそこになにがあると?」 その中で唯一この博光に付いてきたのが僕らの藍田くん。 何故修練場に戻らなかったのかは───まあ、 明らかにこっちの方が楽しいと踏んだからなんだろうなぁ。 中井出「東って言ったらアレだろ。     この世界が俺達の願いや思いや執念の果てに構築されているものならば、     アレがある筈だ」 藍田 「東……東……ジョーか!!」 中井出「違うよ!!そんなパンツじゃなくて別のアレだよ!!」 藍田 「いやまあお約束は守らないと。東っていったら───……なるほど。     人間でありながら人間を越えようって魂胆なのでありますね提督!!」 中井出「うむ!!だが間違うな藍田二等!この博光!     強くなりたいとは思うが人間を越えようなどとは微塵にも思っておらぬ!!     人間の状態で極限を越える!そう!     人間を越えるのではなく人間の能力を超えるのだ!」 ナギー『な、なんなのじゃ?なんの話をしておるのじゃ?     わしにも詳しゅう聞かせるのじゃー』 中井出「ぬう!」 熱弁をしているところに、ナギーが我が村人の服をグイグイと引っ張って訴えかける! いいだろう!知りたいというのならば教えよう! ていうか……ほんと純粋に子供チックになったよなぁナギー。 癒しの関所で出会った頃からは考えられんくらいの子供っぷりである。 そんなわけで、俺と藍田二等はナギーに遙か東に伝わる秘術、 気脈天穴法についてを話してきかせた。 そんなことをしつつ、俺は別のことを考え始めていた。
【Side───少し前のこと】 彰利 「セ・ザーーーール!!!」 デゲッテッテテーーン! 彰利 「で、またここに戻って来たわけだけどさ。戻ってくる必要あったんかな」 猫洞窟に戻って早々、彰利がぼやき始めた。 それ言うならべつに彰利も戻ってくる必要があったのかどうか。 藍田 「ノリってことで十分じゃないか?     ていうか俺さ、まだ精霊全員分見てないから見せてほしいんだけど」 中井出「然の精霊のナギーだ。さあ、存分に見るがいい」 ナギー『見るがいいのじゃ』 藍田 「いや、そういうことじゃなくて」 ソッと抱き上げたナギーをズイと前に出したが、藍田は狼狽えるばかりだった。 いやまあそういう反応が見たくてやったんだが。 そんなことをしてる間にそれぞれが精霊を呼び出してゆく。 こう言っちゃなんだが、最初から出てるのはナギーだけである。 ライン「我が精霊はノーム。地の精だ」 セレス「わたしは水の精霊ウンディーネですね」 藍田 「こっちゃあ火の精霊イフリートだ。熱ッちぃぜ?」 夜華 「わたしは風の精霊だ。しるふ、といったか」 悠介 「俺は雷の精霊ヴォルトだ」 凍弥 「こっちは光の精霊レム。……って、なんだか随分と睨んでるんだけど」 中井出「そりゃあ……」 藍田 「なあ……?」 俺と藍田をギラリと睨むレムに、やあと挨拶をした。 彰利  「そィでオイラが闇の精霊シャドウ。黒だよ?真っ黒」 悠黄奈 「わたしは氷の精霊……ですね。わたし自身ですけど」 みさお 「わたしは時の精霊です。ゼクンドゥスっていう名前だそうです」 ゼノ  「我は死の精霊ケイオスだ」 ケイオス『よう若者、また会ったな』 中井出 「おお貴様は。ていうか……よく契約する気になったな」 ケイオス『面白さを追求してんのに面白くないやつと契約する……面白ぇだろ?』 中井出 「なるほど」 あっさり頷けた。 しかも聞いてみれば、 精霊のくせに雪原で遭難してるところをゼノに拾われたのがきっかけで契約したらしい。 どんな精霊なんだ、ほんとに。 ケイオス  『それでよ、エロマニアのこと、なにか調べついたか?』 藍田    「エロマニア?そりゃ《ドボォス!!》ほごぉ!!」 中井出   「ついてないよ?」 彰利    「うわっ!メッチャいい顔ッ!!」 悠介    「脇腹に貫手やっといてする顔じゃないな」 遥一郎   「で、俺が元素の精霊マクスウェル」 マクスウェル『フォッホッホ、励んどるか若人ども』 中井出   「おお、久しぶりだなじーさん」 マクスウェル『おぬしか。その後調子はどうじゃな?』 中井出   「さ……最高さ?」 悠介    「どうして疑問系なんだ?」 どうしてって言われても。 調子はどうだって言われてもなぁほんと。 ルナ  「それでわたしが……───月の精霊になっちゃった」 彰利  「名前もまんまだしねぇ。死神で精霊なんてどういう死神かねキミ。      こっちにゃ神で死神で精霊で竜な親友までおるのに」 悠介  「今は違うわ」 中井出 「こっちは神魔竜人だが」 ゼット 「好きでなったわけじゃないがな」 彰利  「好きで飲み込んで融合したくせに……《ヴォソォリ……!》」 ゼット 「ぬぐっ!?き、貴様な……!」 悠介  「ま、まあまあ、過去のことはこの際───」 ゼット 「貴様にだけはフォローされたくないわ!!黙っていろ!!」 悠介  「なっ、なんだとてめぇ!!人がせっかく円滑な会話を望んでるってのに!!」 ゼット 「貴様との円滑な会話をいつ俺が望んだ!      俺が貴様と望むのは力での語らいのみだ!!」 悠介  「だったら今すぐ表出ろ!!今日という今日はお前の身勝手さに呆れ尽くした!!      レベル不足分、刺し違えてでもブチのめしてやる!!」 ゼット 「望むところだ今すぐ死ね!!」 彰利  「あーちょっとチミたち?落ち着きなさいよ。ね?ここはオイラの顔に免じて」 二人  『黙ってろジゴロ死神!!』 彰利  『オォオケェ上等だ表出ろてめぇらぁあああああっ!!!』 中井出 「たった一言でマジギレするヤツの顔でどうやって免じろってんだよお前は!!」 彰利  『うるせぇこのエロマニア!!』 中井出 「オォケェ上等だ表出ろてめぇら!!」 悠介  「お前の激昂に俺は関係ないだろおい!!」 ゼット 「戦いに理由など必要か!!」 ケイオス『やっぱりお前がエロマニアなのか!おい俺と一緒に楽道を極めるぞ!!』 中井出 「じゃあまずはこいつらブチノメすぞ!!なにぃ楽しくない!?俺は楽しい!!」 ケイオス『まだ何も言ってねぇよ!!』 ゼノ  「面白い……!一度は不覚をとったが人間ごときに敗北したなど我は認めん!」 中井出 「ぬおおおーーーっ!!ごときって言いやがったなごときって!!」 藍田  「おいおい提督ぅ……そりゃ言われてもしゃあないだろ。      この精神世界がなけりゃ俺達ゃ弱いままだったんだし。      だからその先で強くなれた今の我ら人間をごとき呼ばわりする彼を      我ら原中の威信にかけて真っ直ぐGO!トゥ・ヘル!!今すぐ表出ろコラァ!」 ライン 「いいだろう小童どもが……!レベルの云々がものを言うこの世界、      条件は厳しいだろうが竜族の誇りを易々と折れると思うなぁあっ!!」 凍弥  「それが人間への挑戦なら受けて立つ!!」 みさお 「あ、あの、そういう問題では……や、夜華さんっ!止めてくだ───」 夜華  「彰衛門の敵はわたしの敵だ……やるというなら相手になる!」 みさお 「どういう滅茶苦茶な信念ですか!み、みんな落ち着いてくださいよ!!」 ルナ  「だったら悠介の敵はわたしの敵ね」 みさお 「母様ぁあーーーっ!!?」 セレス 「わたしはまあ、べつに関係はないので……」 ルナ  「ふーん、逃げるんだネッキー」 セレス 「気が変わりました。      ブチノメしてさしあげますから覚悟しなさいお天気死神……!」 みさお 「そんな簡単に挑発に乗らないでくださいよ!      挑発されて簡単に気が変わるなんてどこのFFモンスターですかあなたは!!」 中井出 「バカモーーン!!みさおちゃん!貴様も誇りある刀士ならば、      想い人が戦おうとしている時に協力しないで何がパーティーか!!      それならばまだルナさんや篠瀬さんのほうが潔いわ!!」 みさお 「うぐっ……!け、けどですね!こんなところで喧嘩してる場合じゃ───」 彰利  「ホホホ!そんじゃあなにかい!?      キミはやっぱりゼットのことはどうでもいいと!?」 みさお 「どうでもいいなんて言ってないじゃないですか!」 中井出 「ならば!」 総員  『立てよ国民!!』 中井出 「今必要なのはなにか!それは自我である!!      喧嘩がどうとかなどどうでも良し!!      貴様は貴様の中に眠る獅子のみを糧に動けばいいのだ!!」 藍田  「なにを迷う必要があろう!      こうして止めようとしている貴様の言い分をまるで聞かずに騒ぐ連中相手に!」 凍弥  「燻るより先に武器を手に取れ!鬱憤なんてのはなぁ!晴らすためにあるんだ!」 総員  『よっ!押し付けられ社長!!』 凍弥  「そこでそれを言うなよ!!」 みさお 「〜〜〜っ……人がせっかく      円滑で落ち着いた話し合いの場を儲けようとしているのに……!!」 総員  『今この場では誰一人そんなもの望んでないわ!!』 みさお 「うぅうーーーっ!!解った解りました!!      そっちがその気ならわたしはゼットくんに付きます!!」 悠介  「よしよく言ったみさお!娘だからって容赦しないぞかかってこい!!」 みさお 「その前にどうしてそんなにやる気満々なんですか!?」 中井出 「知りたければ戦で語れ!!」 ケイオス『おもしろそうじゃねぇか!俺も混ぜろ!』 レム  『貴様らには借りがあったな……!』 彰利  『ムヒョヒョヒョヒョ!面白いくらいにヒートアップしてきやがったわ!!      ならば俺も相応の力を以って応えようじゃないかネ!!      そう……俺はついに完全にモノにしたのだ!……え?      あ、いや、皇竜王の力じゃなくて骨の力ね?完全にモノにしたのだ!      見せてやろう……!究極の死神の一として数えられていたヤツの力と、      それを完全に制御出来るまでに至ったこの俺の力を!!《ガシャアン!!》』 藍田  「おおっ!?弦月の右頬にだけ骨が!?」 中井出 「おお!まるでグリムジョーみたいだ!髪型もあいまって!」 彰利  『名乗らせてもらおう……これぞBLEACHのグリムジョーモード。      セスタ・エスパーダ!グリムジョー=ジャギディイヤードジャック!!』 中井出 「何処のノートリアスモンスターだよてめぇ!!      狩られてみるか!?“兎の護符”落としてみるかコノヤロー!!」 藍田  「大体もしてめぇがそういう系統の能力得るとしたら、      死神が別の能力得るってことでヴァイザード方面になる筈だろうが!!」 彰利  『バカヤロー!!我らはなんだ!?常識人か!?違うだろ!?      我らは原中!常に常識なんぞそっちのけで楽しむ猛者よ!!      だからいいじゃねぇか!死神がアランカルになったっていいじゃねぇか!!      だから名乗ろうジャギディイヤードジャック!!つーわけで表出ろてめぇら!!      言っとくが───今度の俺はちょっと強ぇえぞ?』 悠介  「お前がそれ言うといっつも成長してないよな」 彰利  『今回ばっかりは本気で成長したんだよ!!言っとくけどなぁ!      精霊の加護で人としての実力を解放したお前の力じゃ今の俺には勝てん!!      俺ゃ死神一本通しよ!誰よりも死神の力に溢れてる!      レヴァルグリードの力も死神の力に変換してるからこれだけ時間食ってんだ!      そうじゃなきゃ今頃死神竜人として大活躍さ!      でもオイラ死神!だから死神を極めんとせんために変換してるのさ!!』 悠介  「鎌の解放段階数ならルナの方が上だけどな」 彰利  『ギィイイイーーーーーッ!!!』 遥一郎 「だぁああーーーーっ!!収拾つかねぇえーーーーーーっ!!!」 それぞれが思い思いに叫ぶ中で、 今まで沈黙を守っていた穂岸だけが頭を抱えて絶叫していた。 ───……。 とまあ結局事態は口喧嘩程度で収まりを見せ───てくれたらよかったのだが。 総員 『ハワァアアーーーーーーッ!!!!』 猫洞窟から少し離れた孤島は、いつしか決戦場と化していた。 ああいや、説明が随分と飛んだが、まあようするに結局バトっていたわけで。 さすがに猫洞窟を破壊するわけにはいかず、 懲りずに場所移動をした我らは死闘を繰り広げていた。 中井出「パウッ!」 凍弥 「《ドボォッ!!》ゲブゥ!!」 そんな中で愉快にツェペリパンチを見舞っております……こんにちは、中井出博光です。 握り拳の中で小指のみを軽く折り曲げたパンチを未来凍弥の腹に埋める。 もちろんこんなもんでジョナサンのように波紋が使えるようになるわけもなく、 未来凍弥は腹を押さえてうずくまってしまった。 やはりツェペリパンチといえど、 STRとAGIのみに振り分けた速度と破壊力十分の状態では凶器と化すらしい。 藍田 「ちぃ!やはり提督のレベルは脅威だな!」 彰利 『ならば一番にコロがす!!』 ゼット『貴様の実力のほどを確かめてやろう!!』 中井出「キミたちさぁ!     ノリがいいのは解るけどそれが俺相手の時ばっかりってどういうこと!?」 総員 『気の所為だから神父の説教を聞いて目覚めろ!』 中井出「ほんとろくでもねぇなてめぇら!しかしこの博光はそれが嬉しい!!     というわけで死ね!一斉にかかってきたのが運の尽きだ!!」 彰利 『なにぃ!?』 無剣状態にて構え、念じる。 するとブリュンヒルデが姿を変え、村人の服が巨大な鎧へと変化する!! 彰利 『なっ……なんじゃこりゃあぁああーーーーっ!!!』 藍田 「この形は───っ!やべぇっ!みんな伏せろぉおーーーーーっ!!!」 中井出「もう遅いわ!!射出型放剣鎧・ヤマアラシ!!発射ァアーーーーーッ!!!」 叫ぶとともにバクンッ!と鎧の肩の部分が開放! その奥には呆れるくらいの剣の弾丸が込められており、 そこからまるで弓兵の軍勢から一斉射撃が開始させられるが如く、  パガッシャゾガガガガガガガガガァアアッ!!!! 総員 『ふわぎゃぁあああーーーーーーーっ!!!!!』 無数の剣が我が敵へと襲い掛かる!! その攻撃は確かに俺へと向かってきていた皆様を容赦なしに退けた! そしてそれを確認するや、飛んでいった剣は即座に戻ってきて鎧に融合。 再び村人の服へと戻ったのだ。 悠介 「くっは……!また面白いもの手に入れたなまったく……!」 彰利 『ずりぃぞ提督てめぇ!俺達が上で修行してるのをいいことに、     地上の武器を手にいれまくりやがって!羨ましいから寄越せ!』 中井出「お前それ矛盾しすぎてるって言ってて気づかない!?     べ、べつに僕楽して武器手に入れてるわけじゃないよ!?     これでも散々死ぬ思いしてるよ!?ていうか死んでるよ!     カイザードラゴンに何度も殺されたよ!」 彰利 『だが甘いネ!!貴様はやはり技術に劣る!!     せっかくの武器も使いこなせんようでは意味がない!!     例えばホラァ!貴様は技術的な連撃に弱《ズガガガガガ!!》ギャーーーッ!!』 ルナカオスを手に襲い掛かろうとしてきた彰利を、 ミストルテインのボウガンで退けさせる。 彰利 『ななななんじゃそりゃぁああーーーーーーっ!!!』 中井出「ミストルテインのボウガンである!!     無剣状態時のみ左腕に出現させることの出来るオート連射機能付きの弓矢だ!!」 彰利 『なにくそ!そんなもの避けて《バンガァアッ!!》ギョァアーーーーーッ!!!』 ルナカオスを手に機敏に襲い掛かろうとしてきた彰利を、 腕に込めたガンランス能力で退けさせる。 彰利 『なななななななんじゃそりゃぁああーーーーーっ!!!』 中井出「うむ!矢という射出能力を得たことにより開花した“砲撃王スキル”である!!     装填時間が必要だが、無消費で属性大砲を放てるスグレモノだ!!     拳から放たれる灼熱火炎球がキミのハートをロックオン!!     当たればメガボマースキルも相まってダメージ倍増!!」 彰利 『す、少し見ないうちになんて面白い存在になりやがったんだ提督てめぇ!!     ボウガンも大砲も使えて大剣装備なんて何処のガッツだこの野郎!!     ならば一斉攻撃はどう防ぐネ!もうヤマアラシを食らう馬鹿な真似はせんヨ!?』 中井出「ならば唱えよう!困った時のパルプンティエイイェイイェ!!」 彰利 『ヌ!?』 ズダダダダダァッ!!! 藍田 「ウオッ!?晦が一目散にとんずらした!!なにこれどういうこと!?」 彰利 『パルプンテ?なにが起こるかワクワクさんのあの?ってもしやてめぇ!!』 中井出「そう!そのもしやさっ!以前貴様を巻き込んで自爆したあれこそがこれよ!!」 彰利 『ぐぬう!そっちがパワーならこっちはスピードだ!一生かかっても』 中井出「《ドシュンッ!》これはこれは……お久しぶりですね」 彰利 『はっ……走る前に回りこむなぁあーーーーーーーーっ!!!!』 藍田 「どういう速度してんだてめぇえーーーーーーーっ!!!!」 ダラララララララ───ジャンッ!!《博打No18!トータルエクリプス!!》 彰利 『ぬおっ!?なんの音!?』 中井出「おおっ!?初めて見る能力だ!」 と思いきや、この博光の背中にゾルゾルと何処か見覚えのある翼が出現する!! こ、これは───! 藍田 「これはっ……ロマサガ3のラスボスの能力、“闇の翼”!!     《ゾゾォッチュゥウウウウン!!!》ぎゃああああああーーーーーっ!!!!」 みさお「うくっ……!?こ、これは……!!」 ゼット『ぬう……!敵対する者の生命力を奪う能力か……!!』 彰利 『……つーかさ、中井出のやつ空に拝んで喜んでんだけど。ナニアレ』 中井出「来た……!発動一発目でやさしい能力が来た……!!なんて嬉しい事実……!」 なんだか地味に心温まる瞬間だった。 彰利 『少しずつとはいえHP吸い取られんのは黒として不愉快である!!     つーわけで死んでくれ兄さん!!』 藍田 「ストップ弦月!そしてGO!未来凍弥!」 凍弥 「オーケー!レム!頼む!」 レム 『任せるがいい。シャインブライティア!』 中井出「なにぃ!?ってしまったぁあーーーーーーっ!!!!」 未来凍弥が精霊を召喚! するとレムはなんの迷いもなく光属性の魔法を発動!と同時に───闇の翼が消滅する! しかもシャランラァ〜と、敵の皆様のHPが回復するではないか!! ぁああ……忘れてた……闇の翼の能力……! ロマサガ3の闇の翼って、発動時に天術受けると能力が“光の翼”に反転して、 敵味方問わずにHP回復しちまうんだった……! うう……やっぱおかしいと思ったんだ……。 これも相手によってはてんでやさしくない……。 彰利 『落ち込んでる今が好機!!シャアッ!!』 シュゴザフィンッ!! 中井出「いぃっでぇっ!!つーか速ッ……!!」 彰利 『言った筈だぜ!?今度の俺はちょっと強ぇえと!!』 結構離れてた距離を一気に詰め、黒い剣で斬りつけてきたのは彰利。 その速さは……実に馬鹿げた速さだ。 一撃にも重みがあって、咄嗟に反応出来なかった。 すぐさま双剣を出現させて対応に出るが───ガンガガガガギギガガガギィンッ!! 中井出「おっ!とっ!たわっ、たっ、とっ!!おわぁああーーーーーっ!!」 彰利 『ヒャハハハハ!!やっぱてめぇはヘタクソだ中井出!!     剣の振り方からしてなっちゃいねぇ!!《ガギィン!!》……あ、あれ?』 中井出「だったら力でゴリ圧す」 彰利 『あ、あの、俺今一護くんの中の虚の真似をする予定で……《じぃいいん……!!》     あ、あれぇ!?弾かれた衝撃で腕が痺れちゃってあぁんれまぁ懐かしい感触!!』 中井出「どいつもこいつも二言目には型、型、型……。     型を作った者も最初は無頼で無型だったと何故解らんのだ……。     そんなだから貴様はいつまで経ってもそうなのだ弦月一等兵!!」 彰利 『そう!?そうってなに!?』 中井出「型に嵌まるなぞつまらん!だからこそ我流に生きる!     それは自分っていう型だろうって言うならそれでも良し!     他に言葉見つからないもん!     だから俺は外道の限りを尽くしてでもこの戦いに勝ってみせよう!     マグニファイ!アァーーンド!エンペラータイム!!」 ギシャァアッフィィイインッ!!! 藍田 「う、うわやべっ……!!」 彰利 『やばいとな!?なにが!?』 藍田 「せ、説明なんて悠長なことやってられっかぁーーーーっ!!     とんずらぁあーーーーーっ!!!」 中井出「レェエエエエイジング!!ロアロアロアロアロアァーーーーーッ!!!!!」 ドンガガガガガガガガガガガガ!!!! キシャバガガガガガゴバァアォオンッ!!! 総員 『ほぎゃぁあああーーーーーーーっ!!!?』 リミットを完全に外した状態で構える双剣から、 レイジングロアを放つ放つ放つ放つ放つ放つ!! なんと爽快!なんと孫六!! 六閃化させた上に冥空斬翔剣状態で放つ無数のレイジングロアのなんと美しい!! 藍田 「み、みんな耐えろぉ!これはエンペラータイムっていって、     マグニファイ中のみ完全にリミットを外す能力なんだ!     だから3分耐えれば《ドガァアアアッ!!》ギャアアアァァァァ!!!」 彰利 『ヒィイイ!!な、なんて破壊力だぁ!!     説明しないって言ってたのに説明してくれた藍田くんが一撃でケシズミに!!     野郎STRマックスで《ガオォオオオンッ!!》ひぇええええい!!?     あっ……あっぶねぇえーーーーーっ!!!鼻掠ったぞオイ!!     キョホホ……!だがこの俺の能力をお忘れでないよ!!     逃げることに関してならこの俺彰利は天下一級よ!!品じゃないもんね!!     ところで知ってるかい?天上天下唯我独尊って、     己が一番強いとか偉いとかって意味じゃねぇんだぜ?     間違えて使うと赤っ恥掻くから気をつけような!     特に格闘漫画とか描いてる人!《ガォオオオン!!》ギャアアア!!!!』 ───……。 ……。 で……3分後。 中井出「ワナババババババずババばババババばババ……!!」 悠介 「珍しく爆発しなかったと思って戻ってきてみれば……どうなってるんだこれ」 僕は頭をコリコリ掻きながら戻って来た晦一等兵によって発見されました。 ちなみに他全員は根性で神父送りにしました。 レベル4倍のゼットには半端じゃなく梃子摺ったけどそこはそれ。 非道外道悪道GUN道の限りを尽くして倒しましたさ。 つまり裏を掻きまくって翻弄したわけだけどさ。 ウフフ、正当な闘者じゃない俺の動きは、 ゼットにしてみれば予想外の動きばかりだったようだよ? でもその結果…………こんなことになってしまったがね……。 悠介 「状態異常……衰弱麻痺毒パワーダウンその他もろもろ……     どういう状況に至ればこんなにまで状態異常にかかるんだよ……」 中井出「じ、実はな……俺はじゃんけんマンのパー男にクロー攻撃をくらってだな……」 悠介 「それはあれか?FF5のデスクローのことを言ってるのか?」 中井出「……俺、時々貴様の察しの良さに感動する……」 悠介 「だったらせめて貴様って呼ぶのやめような?」 まったくもって的を射ている言葉だ。 だが断る。 何故ならば、原中たる者名前で呼ぶ時以外はてめぇか貴様で通すのが基本だからだ。 ……どういう基本なんだろうなぁ本当に。 中井出「ところでこの痺れた体を見てくれ。こいつをどう思う?」 悠介 「すごく……コロがしたいです……」 やっぱり死ぬみたいです。妻コロがしの罪は重いよね、うん。 ああ……最後に月詠街の定食屋“やまふじ”のトンカツ定食腹一杯食いたかったなぁ……。 けどよ……へへっ、案外悪くない人生だったぜ……? さようならみんな……友情フォーエバゴロシャア!! 中井出「バッファァーーーーイ!!!《シャアアア……キラキラ……》」 死んだ。 見事な右フックだったということを、僕は胸に刻んでおこうと思う。 【Side───End】
中井出「…………」 あんなことがあったのちがコレである。 エンペラータイムはホント危険だということがよ〜く解った瞬間だったさ。 だって衰弱状態時って全然動けないんだもの。 そんなことを深く実感したからこそ、特種能力で一時的に能力を引き出すんじゃなくて、 普通に能力の底上げが出来ればと考えたわけだ。 で、そのために東を目指していることを、ナギーに説明しているところである。 ナギー『なるほどのぅ。     人間とはその“ふーまけつ”というのに針を刺すだけで強くなれるのじゃな』 中井出「強くなるとはちと違うんだが」 藍田 「物凄く痛いくせに素質が無ければ失敗っていうあまりに無情な試練だからなぁ」 中井出「ちなみに漢字で書くと〜〜……こう!」 地面にサリサリと文字を書いてみせた。 その文字、“風魔穴”。 気脈点穴法でチャクラを開く、東方に伝わる点穴の一である。 人の体にはチャクラってのがあって、 それがどの程度体に満ちているかで基本能力が変わってくるとかこないとか。 ちなみにARMSのコウ・カルナギは、 産まれながらにして全チャクラの門が開いてたらしい。 なもんだから、ただの人間なのにARMS解放したやつらと闘えるなんていう あんな超人的能力を持ってたわけだ。 ナルトでいうロック・リーの八門遁甲もチャクラの門を開けるものらしい。 とにもかくにもチャクラってのは人の能力にとっても関係するものなのだ。 ……つまりだ。 弱い俺達人間でも、 チャクラを開くことが出来れば人外の皆様にもそうそう遅れをとらないってこと。 俺はその“人間の可能性”ってやつをとことんまでに追求してみたいのさ。 だから“人間は越えない”けど“人間の能力の限界”は越えてみたい。 そしてこの世界には幸いにしてそういった要素やイベントが溢れてる。 それを求めて俺は旅立ったのだ。 ……そこに藍田二等が付いてくるなんて思いもしなかったけど。 そのことを言ってみると、 藍田 「いやほら、俺足技主体だしさ。烈風脚覚えられたら素晴らしいかなと」 そう答えた。 ちなみに烈風脚ってのは、気脈点穴法を足の風魔穴に施し、 足の能力の限界を超越させたのちに得られる脚力奥義だ。 足の風魔穴に気脈点穴法を施して得られる技法に烈風、 腕の風魔穴に気脈点穴法を施して得られる技法に疾風の名をつけるのが基本。 烈風脚はまあ……どちらかといえば移動技。 ひと呼吸で4歩までの超連歩烈風脚での移動が可能。連歩っていうか走蹴って感じだね。 基本、ひと呼吸で4歩までが限界らしい。 その限界を超えようとするといろいろとガタが来る。 ナギー『わ、わしも出来るかの』 中井出「とてもとても痛いからオススメしないが」 ナギー『それでもいいのじゃ!やってみたいのじゃー!』 藍田 「……どうする?」 中井出「まだ存在するかどうかも確認してないのにここまで言われるとな……」 東方面には特にこれといった町マークが無かったりする。 そんなことは地図を見れば一目瞭然なのだが、やっぱり気になるものは気になるのだ。 だからゆく。北ではなく東へ。 藍田 「しかしこうして提督と旅をするのも久々な感じだな」 中井出「そうだな」 ナギー『丘野たちは達者でやっとるのかの?』 藍田 「おお、あいつらはそりゃもう元気だ。上級守護竜と戦うにはゼプシオンと     闘えるようにならなきゃ話にならん的なことがナビに書いてあったからって、     鍛錬重ねてゼプシオンと戦うつもりでいるみたいだ」 中井出「それでこそ原中だ。     やっぱ人間、無茶が出来ないようでは世の中楽しめきれんと思うのだ」 藍田 「だよなぁ。まあ、そんな無茶が出来るのもこの世界でだけだけど」 中井出「現実で死んじまうような無茶なんて早々出来やしないからな」 まあそんなわけである。 だから我らはこの世界で、出来る限りの無茶を散々とやっておきたいと思うのだ。 藍田 「あればいいなぁ、遙か東の秘術」 中井出「無くてもいいじゃないか。旅は旅すること自体が浪漫さ」 ナギー『なのじゃ』 ルルカ『ゴエゴエ』 こうして僕らは歩いてゆく。 まだ見ぬ東の果て、あるとしたら地図にも乗っていない遠い辺境を目指して。 俺に疾風か烈風の素質があるのかどうか……それは解らん。 だがやれる無茶があるのなら味わい尽くすのがこの博光の目的よ! だから手段は問いません。 なにせ、実際に“あるといいながある”のがこの世界だと信じておるのだから! 無かったらそりゃ悲しいけど。 Next Menu back