───冒険の書164/やられる方は迷惑極まる───
【ケース437:中井出博光(再グローグ様)/僕に足りないものはきっと鶴】 ダダダダンッ!! 藍田 「しゃぁああらぁあああっ!!!」 バッゴォオオオッ!!! バルガゴーレム『ゴォオオオオオオ!!!!』 藍田     「うっほぉ気持ちいぃいいーーーーーーっ!!!!」 さて……あれから遙か東の辺境の集落を立ち、 ゆく先々で敵をコロがしまくってる……こんにちは、中井出博光です。 ちなみにコロがしてるのは俺ではなくて藍田二等です。 手に入れた烈風脚を思う様使って楽しみまくってますちくしょう。 え?ナギー?いや、ナギーは人ではなかったために拒絶されたのだ。 “この試練は人のみが受けることのできるものだ!  人外はとっととォォオオ……失せるボッ!”って言われて。 “失せるボ”の意味はよく解らなかったが、 LUNAR・シルバースターストーリーをやったことがあり、 その場面を覚えている人が居るならきっと解る筈さ。 どうして失せるボなのかは永遠の謎になるだろうけど。 中井出「はぁ〜〜〜あ……」 遙か遠方まで赴いて才能が一切無いって知る…… この旅は俺にかなりのダメージを齎したさ。 得たものは武器のみ。 東洋の神秘がどうとかとはよく言ったもんだが、さすがとしか言いようがないのだ。 いや、東の技術がではなく、猫技術が。 古の頃より鍛冶の技術を極めんとした猫の技法は凄いもんだ。 東には東のみの技術が確かにあったんだが……残念ながらこの剣は鍛てなかった。 何故って……なぁ?武器が頑丈すぎて普通の鎚じゃあ鍛えることが出来ないからだ。 合成屋くらいあるだろうと探して、見つけた武器屋に鍛えてもらおうとしたんだが、 一発叩いただけで砕けた。……鎚が。 ハッキリと言われたよ、これは専用の道具が無けりゃ鍛えられないって。 そうだったよなぁ、 これって皇帝竜の素材で作った工具じゃなけりゃ鍛えられなかったんだった。 ……ああちなみに武器の話とは関係ないが、 あの集落で名乗った人間の全ては偽名だそうだ。 本名は日本人みたいな名前だった。 さらにそれとは関係ないんだけど……なんだろな。 あの長老さん、武器を手に戻ってきた俺をもう一度眼力で射抜くと、 これを持っていくがいいとか言って、ひと振りの巨大剣をくれた。 どちらかと言えば大剣に近い剣だ。 横から見ればきちんと剣のカタチをしているんだが、 上から見てみれば柄と鍔以外は何も見えない。 というのもこの剣、横幅が素粒子一粒分しかないというのだ。 東に伝わる……というか、彼らの先祖が辿り着いた時に見つけた剣らしい。 どちらかといえば倭刀術を伝える東方にとって、 剣はそう重要視されてないそうで、だからくれるのだという。 なんだか滅茶苦茶だ。 でもそう考えれば、何処の馬の骨とも解らぬ輩に試練を与え、 剣をタダでくれる理由も解る気がした。 結局どっちも剣だったわけだし。 中井出「しかし素粒子一粒分の横幅しかないってことは……」 ほぼなんでも斬れるってことだよな。 これ凄いよほんと。 刀身がデカいから一直線にしか斬れなさそうなんだけどさ。 藍田 「ふはぁ〜〜〜っはぁっ!!いやぁ烈風脚面白いよ!提督これ最高だぜ!?     疾風の如くを最初にやった時も結構喜んだもんだけど、こりゃそれ以上だよ!     まあ……奥義扱いされてて、一歩ごとに結構なTP使うのが難点だけど。     しかも連続4回まで……でもその一歩の距離が半端じゃないからOK!!     これは───これはいいものだーーーっ!!」 と、透粒剣テオスラッシャーをシゲシゲと見ていると、 モンスターをコロがしてツヤツヤスマイルしながら戻ってくる藍田くん。 ……かなりお楽しみのようだ。 ちなみに“テオ”ってのは“王”って意味があるそうだ。 空界で言う“ミル”と同じだ。 まあそれはそれとしてだ。 ……長老さまは俺の中になにを見い出したんだろうか。 なにかステキな能力?それとも……やっぱり何もなかったから武器をくれたと? だとしたらもう泣きたいぞ俺。 五体もチャクラもダメ、ならば……せめて内面になんらかの力があれば……。 そう思わずにはいられない蒼い夏の日の僕が居ます。 中井出「うむ!楽しそうでなによりだ藍田二等!」 藍田 「イェッサー!最高であります!」 ナギー『わしはまだ納得してないのじゃ!     人間にしか齎さないなどどうかしておるのじゃー!』 ルルカ『ゴエゴエー!!』 中井出「納得するのだナギーよ!     人より優れた基本能力を持つ者を越えようとする人の神秘は、     人にこそ齎されるべきなのだ!平凡な人であるという常識の殻をブチ破り、     そこから蝶でも蛾でもいいから羽化することを目的とする!     羽ばたけ人間!力を!さらなる力を!軟弱である己をブチ壊せ!     飛べない!砕けない!遅い!その人という常識を人のまま超越せよ!!     おお素晴らしきかなヒューマンライフ!     だからひとまずはこの武器を合成させてだね?」 ナギー『むうう……!わしも藍田みたいに走りたかったのじゃー!!』 中井出「大丈夫!なにを隠そう、俺は物真似の達人だぁあああっ!!!」 言いつつ、シャキィンと針を揃える! 刺すポイントは知っている!この俺に任せておけばなにもかも………… 中井出「あのナギー?何故怯えながら後退るんで?」 ナギー『……痛いのであろ?』 中井出「俺と藍田は一度死んだが」 ナギー『《ひききっ……!》や、やっぱりわしは《ガシィ!!》ひあっ!?』 藍田 「面白そうだ!是非やろう!」 ナギー『な、なにをするのじゃ!離すのじゃーーっ!!』 藍田 「断る!!」 ナギー『即答で断るでないわーーーっ!!』 中井出「大丈夫!なにを隠そう、俺は針治療の達人だぁああっ!!」 ナギー『これは針治療とは違うのじゃろ!?わ、わしは!わしはぁあーーーーーっ!!!』 中井出「どぉれふむふむ……ここ」 ナギー『《プスリ》ふぎゃわぁあああーーーーーーーーーっ!!!!!』 藍田 「おおっ!?ナギ助の左腕が妙にメコモコとマッスルに!!」 中井出「ん?間違えたかな?大丈夫だ、次で間違い無い。風魔穴の秘孔はここだ」 ナギー『《プスリ》ひあ!ひわわきゃああーーーーーっ!!!!』 藍田 「おお!左腕は元に戻ったけど背が俺達と同じくらいに!?」 中井出「ん〜?間違えたかな……?どれ次は」 ナギー『もうやめるのじゃーーーっ!!』 間違った秘孔を刺されたナギーが激昂!! ガバーーーっと藍田二等を振り払った彼女は、 我らから距離を取ろうとしてズベシャア!! ナギー『ふぎゃうっ!!』 コケた。 どうやら急にデカくなった自分の体に反応が追いついていかないらしい。 中井出「今度は大丈夫だ、ここだ」 ナギー『ひっ!や、やめるのじゃぁああーーーーーーっ!!!《プスリ》     キャワアアーーーーーーーッ!!!!』 ───……。 中井出「………」 藍田 「………」 結論。 見様見真似でなんとかなるほど、人が目指した極みの歴史は容易くない。 ナギーはあれから物凄い変化を遂げ、一時は全身マッスルにまでなったりしたが、 最後の一突きでなんとか戻ってくれた。 しかし急激な肉体変化に体がついていかなかったため、ぐったりしてる。 うーぬ……針とはなんとも素晴らしき神秘か。 良い子も悪い子も真似するなよ〜。 中井出「じゃ、行こうか」 藍田 「イェッサ」 ひでぇの一言もなく賛同してくれる藍田が実に原中だった。 ……。 そんなこんなで歩みゆく僕らだったが、やっぱり気になることってのはあるもので。 藍田 「結局さ、東に伝わるものってのは人知を超えた能力だけだったんかな」 中井出「あと武器があったろ。この素粒子の剣テオスラッシャーとか、     双剣とかツヴァイハンダーとか。     あとは刀士じゃなきゃ扱えない刀ってのがあったっけ。     お前では無理だってあっさり言われて追い返されたけど」 藍田 「ああそういえば。だったら田辺あたりにでも紹介してみるか?」 中井出「篠瀬さんはどうだ?」 藍田 「既に死神だから入れてもらえもしないんじゃないか?」 中井出「そりゃ人越えの能力を得る修行の話だろ。大丈夫じゃないか?」 藍田 「しっかし刀ねぇ。     提督ともあろう者が断られたから普通に戻るとは。俺ゃてっきり」 中井出「否である藍田二等。俺は既に強引に手に入れようとしてボコボコにされた」 藍田 「それでこそ提督だ!」 ボコボコにされたら俺なんだろうか。 まあ……今更なにも言うまい。 ともあれナギーを乗せたロドリゲスとともにソザザザザと走り、 結構遠くだけど俺と藍田二等があっさりと決めたドラゴンが居る場所を目指していた。 あっさり決めた理由は、 ひとえに敵が俺と藍田二等が優位に戦える相手かもしれんからだ。 ちなみにアースドラゴンではなくフリーズドラゴンである。 藍田にしてみりゃ“火なら任せてくれ!”とのことなので、 俺も火には自信があったから向かっているというわけで、 俺達はノースノーランド方面目指して走っているってわけだ。 ……ほんと、ナギーは相変わらずぐったりだけど。 藍田 「しっかし現実の頃から考えるとほんとに信じられねぇよな。     ドラゴン退治だぞ?かつてエロ将軍とかエロマニアとか言われてた提督が」 中井出「いい加減俺=エロから離れろテメェェェェ!!     過去は大事だけどエロ歴史だけはもう忘れたいんだよ俺は!」 藍田 「いやそれ無理」 中井出「即答!?」 過去の自分はそれほどマニアンでデビルなエロだったらしい。 第一印象大事だねマジで。ほんと。切実に。 え?過去をやり直したいかって?……構わんこれでいい!! 中井出「ええいもうエロでも構わん!俺の心が折れなければそれでいいのだ!!     そんなわけで藍田二等!この怒りをフリーズドラゴンにぶつけにいくぞ!」 藍田 「え?俺別に怒りは持ってないけど」 中井出「だったら今すぐ怒れ!俺はもういっぱいいっぱいなんだよ!!     空気読めよテメェェェェ!!」 藍田 「オールさんの真似したかっただけだろてめぇ!!」 中井出「その通りだ!!よし解決!さぁ目指そう!!」 藍田 「サーイェッサー!!」 ただ走る!ひた走る! ところでひた走るの“ひた”って、ひたすらの意でいいのだろうか。 【ケース438:弦月彰利/ガーゴイルヴェルフェゴールカーボナディウムコイル】 シャキィイイインッ!! 彰利 「アーキートーシィーーーーッ!!」 天に戻ったオイラは輝きを撒き散らしながらポーズを極めていた。 おお美しい。 彰利 「おぉ〜〜てめぇらぁ!帰ったぞぉ〜う!」 総員 『帰れ!!』 彰利 「だから帰ってきたんだよコノヤロー!!!」 で、帰ってきた途端に帰れって言われました。 俺の故郷は何処だろう。 丘野 「挨拶も済ませたところで、本題に入るとするでござるよ」 岡田 「精霊とは契約できたのか?」 彰利 「おおよ。僕チャン随分パワーアップしたぜよ?     もうエム!ユー!エス!シー!エル!イー!マッソォ!!って感じ」 田辺 「訳が解らんが解ったと言っておこう」 それが原中クオリティ。 解決の糸口は永遠に見つからない。 彰利 「きさんらも修行に励んでおった?」 丘野 「おおもちろんでござるよ!     指導者のマクスウェルが一時的に居なくなったのはちと困りものでござったが、     しかし我らはそれでも修行に励んだでござるよ!」 岡田 「ていうかパパトスカーニが大分強いんだが」 彰利 「トスカーニって……ああ、木村っちの骨だよね?     エクスプロードとか平然と使う朱マントの骨」 骨のくせに魔法使うなんて凄まじいことです。 しかし剣技の腕もけっこうなものらしく、 喩えて言うなら帰ってこなかった藍田くんの代わりに木村っちのナイトさまと化している。 ……あまり嬉しくないナイトだが、面白くはあるのでもちろん応援。 丘野 「提督とは会えたでござるか?」 彰利 「オウヨ、会えた会えた。かなり強くなってたぜ?」 蒲田 「うおう、どんな感じに?」 彰利 「どうって」 ……オーディンに喧嘩売って、グングニルと斬鉄剣かっぱらってたとでも言えと? さすがにそれは…… 彰利 「オーディンに喧嘩売って、グングニルと斬鉄剣かっぱらってた」 面白そうなのでなんかもうありのままを話すことにした。 総員 『な、なんだってぇえーーーーーーっ!!!?』 岡田 「すげぇや!さっすが天下の提督さんだ!!」 蒲田 「彼はいつも僕らに出来ないことを平気でする!     そこにシビレる憧れ……はしないか」 飯田 「憧れはなぁ……」 なんとも正直な猛者集団である。 ようするに無茶な行動にシビレはするが、憧れはべつに抱かんということだろう。 でもまぁ……エロマニアンデビルとか普通に言われてる御仁だしなぁ。 丘野 「で、弦月殿は何故こっちに戻ってきたでござるか?     拙者はてっきり下界で冒険をするかと思っていたでござるのに」 彰利 「いやほら、やっぱ強くなりたいじゃん?     下界で冒険しながら強くなるのは中井出と悠介に任せるとして、     オイラはここで黒を極めてみようかと」 永田 「穂岸も戻ってきてたのか。     マクウスェルと契約したと思ったらさっさと下界に降りたってのに」 遥一郎「いや……考えてみたら俺、精霊の加護をもらうために降りたんだよ。     だから加護さえ集めてしまえば下界にこれといった目的がないっていうか」 田辺 「周りの者から解放されるって目的は?」 遥一郎「すまん俺晦と一緒に冒険の旅に出る」 ノア 「マスター、わたしも!」 サクラ「サクラも行くです!」 遥一郎「きゃ、却下だ却下!俺は今すぐ自由を手に入れるんだ!だから───」 雪音 「だったらわたしがホギッちゃんのサポートを!」 遥一郎「なおさら却下だ!     ていうか少しはショック受けた状態で対面するとか出来ないのかお前は!」 雪音 「へう?ん、んー……あのねホギッちゃん?まゆちゃんに言われたんだけどね?     やっぱりたった一回の拒絶で諦めるなんてわたしらしくないと思うんだよ」 遥一郎「真由美さん……」 真由美「あわっ!?え!?ちょっ……待ってわたしそんなこと言ってないよ!?」 岡田 「僕は聞いた」 沢村 「わたしは聞いた」 総員 『言葉は違うが慰めていたのは事実!     そして再びホギッちゃんに襲い掛かるラブタイフーン!     さあ!そこな幸せ者はどうでる!?』 遥一郎「人で楽しむのも大概にしろぉおおーーーっ!!     誰がなんと言おうが俺は誰とも付き合わないし結婚もしない!それが答えだ!」 雪音 「じゃあ愛人でいいよ?」 遥一郎「全然よくない!!お前愛人の意味もっとよく知ってから口に出せ!!」 彰利 「キョホホ、なにやらモテモテじゃのう。ニクいねこのっ!     ……ああいや別にニクくないかも……むしろ気持ちがよく解るっつーか……」 遥一郎「こんなことで同情されてもてんで嬉しくないんだがな……!!」 ホギーこと精霊野郎は、まるで追い詰められた悠介のように頭を抱えていた。 しかしハッとすると崖目掛けて全力疾走し、止まることもなく下界へとダイヴした。 岡田 「なっ!?しまった逃げられた!!」 丘野 「おのれ逃がさんでござるせいやぁーーーーっ!!!」 蒲田 「おおっ!?丘野がいったぁーーーーっ!!」 丘野くんが飛び降りた穂岸目掛けて全力疾走! その速さはまさに忍びのものであり、ババッと飛び降りた彼は─── 突如吹いた突風に流され、まるで見当違いな方向へと落下していった。 ───だが!その時に奇跡は無駄に起こったのだ!  シュゴォオオオッ!! 下方から吹き上げる風。 それは落下する富樫……もとい、丘野くんの体を上昇させた。 やがて丘野くんは再びこの大地へと 丘野 「ギャアアアアアアアアァァァァァァ……!!!!」 ……微妙に届かず落下していった。 アレで届かないんじゃあ奇跡の価値もねぇなぁオイ。 彰利 「じゃあ丘野くんも死んだところで」 岡田 「死んだってあっさり決め付けるなよ。まあ死んだだろうけど」 彰利 「結局マクスウェル爺も降りちまったわけじゃけどさ。きさんらどうする?」 田辺 「……じーさんが居ないと修行出来ないよなぁ」 蒲田 「じーさんが居ないとモンスター修行出来ないもんなぁ。どうするよ」 沢村 「独自で修行するのも限界があるしね」 飯田 「降りるったってなぁ。ここに入り浸りすぎて、     下界でやるイベントにピンとくるものがないっつーか」 殊戸瀬「……魔王退治とか」 総員 『面白そうだ!是非やろう!!』 ボソリと言われた言葉に皆様が満場一致だった。 結局のところ、原中の皆様の一番の原動力は面白さで、 それを引き出すエッセンスが中井出なのかもしれません。 たとえそれがどんなネタであろうが。 属性解放のために走る彼を退治しようって、ほんとものすげぇ方々だ。 蒲田 「そうと決まれば善は急げ!」 鷹志 「それって善なのか?」 総員 『もちろん善だとも!!』 岡田 「魔の王を打倒する……即ち善!!」 鷹志 「うおっ!?言い切りやがった!!」 田辺 「さあいこう!魔王退治に真っ直ぐGO!!」 柿崎 「ようするに自分たちが楽しめればどうでもいいわけだ、お前らって」 総員 『当たり前だ!見縊るな!!』 彰利 「いつかはこんな日が来ると……信じた」 岡田 「おお弦月……では貴様も?」 彰利 「時間を飛び越えて、伝説の剣を手に入れて、魔王と戦って世界を救う……     恋あり笑いあり涙あり……波乱万丈、息をもつかせぬ無数の冒険と、     それに立ち向かう幾人もの英雄たち。───まあステキ!     あ、でも英雄って言葉に溺れんようにね?     オイラ最近英雄って言葉が嫌いになったから」 岡田 「英雄?そんなものに興味なぞないわ」 蒲田 「我らはただ楽しみを貪る修羅。役職なぞに興味はない」 彰利 「………」 実に原中だった。 だがOK!それでこそ原中! 鷹志 「それで……今すぐ行くのか?」 田辺 「今すぐ行こう!ここにはもう我らの望む愉快は無し!!」 閏璃 「なんだったらグレイドラゴンと戦ってみるとかどうだ?     せっかくフェイトー山近くに居るわけだし」 彰利 「おお名案!ならばGOだ!     僕らの中井出提督は既にカイザードラゴンを討ち取ったらしい!     つまり!グレイドラゴンを倒せないようでは我らは中井出には勝てん!!」 麻衣香「うーわー……相変わらず無茶苦茶やってるんだヒロちゃん……」 夏子 「でも提督のことだし、最初は戦う気はなかったんだろうけど」 総員 『うわー、すげぇ解りやすい』 鷹志 「こんなところで妙に理解されてるなんて……     とことん部下に恵まれてないんだな……中井出って……」 総員 『当たり前だ!見縊るな!!』 鷹志 「見縊るところだろそこは!!」 殊戸瀬「待って。提督の武器は火と風が主体だから、     まず火と風を封じるのが一番だと思うの」 彰利 「ぬう?唐突だねムッチー」 殊戸瀬「メールによれば、提督は属性を解放されると     それが安定するまでその能力が使えなくなるらしいから、     そこを狙って襲いかかれば───」 彰利 「おおなるほど!比較的楽に戦えるってわけか!!」 殊戸瀬「───…………やっぱり却下」 彰利 「速ッ!!なんで!?」 岡田 「それがあまりにも定石すぎるからさ」 田辺 「無謀といわれようがどうしようが、ここは真っ直ぐGOで行くべきだ」 藤堂 「弱らせてから戦う?そんなのは常識すぎてあまりにつまらん」 春菜 「常識だけどそれだけやりやすいってことでしょ?いいんじゃないのかな」 岡田 「ふぅうう……聞いたかい今の言葉」 藤堂 「ああ聞いたとも。     まったく、これがかつて独断偏見実力行使を地でいっていた更待先輩か?」 春菜 「な……なにかなぁその竦めた肩は……」 猛者どもがフォ〜ゥオと奇妙な溜め息を吐きつつ肩をすくめる。 気持ちは解らんでもない。 学生であった頃から随分と時間が過ぎたわけだけど、やっぱりその年月は僕らを変えた。 昔はもっとはっちゃけてた気がするんだけどね。 ……だってのに今なお平然とあの頃のままの原中はいったいどういう神経してるのだ。 俺は逆にそれが知りたいとさえ思った。 蒲田 「我ら皆、四魔貴族を殺さずに“破壊する者”を成敗した猛者!!」 飯田 「それ即ち相手を弱らせてから戦う常識など     まったくもって遣り甲斐が無いものという意味と知れ!!」 岡田 「達成感があるから楽しいのだ!それは現実でもゲームでも変わらぬわ!!」 春菜 「よ、四魔貴族って……」 彰利 「ロマンシングサガ3ね?ちなみにスターオーシャンセカンドストーリーも、     クロード一人でクリアー済みであるのが我ら原中」 藤堂 「あーあれな、苦労したよな〜。     まず最初にレナが強制的に仲間に入るバトルでレナを殺さなきゃならん」 清水 「やっぱ一人でクリアなら、レナもレベル1じゃないとな」 佐野 「なによりも重要なのがタレント(才能)だけどな」 彰利 「“器用な指先”が無いときっついんだよねィェ〜〜ッ」 島田 「ピックポケットが出来なけりゃ苦しいからなぁ」 ちなみにピックポケットってのはスリのこと。 道ゆく人々の懐からモノを盗むのである。 それでミスチーフというものを盗めなけりゃ先は見えない。 ……とことん外道である。 柴野 「わたしたちはクロードくんから受け取った!確かな生きる術を!!」 神楽 「勇者だろうがなんだろうが道行く人からモノをスる!これぞ生きる者の術!!」 水島 「タンスを漁る勇者と違い、なんて堂々とした風情!     失敗したら怒られる様もまた素晴らしい!」 彰利 「この緊張感がたまらねェYO!!」 春菜 「アッくんどっちの味方!?」 彰利 「訊ねられれば何度も言おう!面白いほうの味方だ!!」 総員 『イエーーーッ!!原中イエーーーッ!!』 春菜 「うう……ダメ……わたしこのノリにだけはついていけない……」 蒲田 「ハイテンションのなにが嫌いなのかねぇ」 春日 「楽しめる時に楽しまないと後悔するよ?」 七尾 「一度さ、こう、ね?思いッ切り叫んでみるの。     周りなど気にせず声をあげるように。合言葉はキープマイペース」 彰利 「まあそげなわけだから、俺はこのまま中井出に攻撃を仕掛けることに賛成である」 蒲田 「俺も!」 清水 「わいも!」 中村 「ぼくちゃんも!!」 灯村 「それがしも!」 岡田 「おいどんも!」 田辺 「わしも!」 藤堂 「拙者も!」 皆川 「わても!」 三島 「ミーも!」 島田 「やきいも!!」 やっぱり満場一致!……少なくとも原中の猛者どもと一部の男衆は。 賛同しないのは原中以外のおなご衆が大半やね。 やぁねぇ、ノリの悪い。 彰利 「きさんら!なにが不服なのかね!!」 春菜 「だって考えてもみてよ、魔王退治っていったって、なにか意味あるの?」 彰利 「うわ出たよ……理屈っぽいヤツはすぐこれだ……」 春菜 「なっ!なにかなぁその態度!」 彰利 「あのね春菜。俺達ゃこの世界で別に戦う理由なんて探してねぇのよ?     俺達は強くなりながら、この世界を思いっきり楽しんでんの。     そこに戦う理由なんて必要ねぇのよ。解る?     魔王が居る。だから戦う。それだけで十分なのよ。     むしろ相手が中井出じゃなけりゃ見向きもしなかったかもだが」 総員 『もちろんだ!!』 鷹志 「普通にひでぇなお前ら……」 彰利 「小難しいことどうでもいいじゃん。楽しければそれでいいのよ。     だってこりゃゲームよ?ゲーム楽しまないならなんのためにやっとんの?     少なくとも俺はムカつくだけのゲームに意味なんてねぇと思うね。     そして俺はこのゲームがつまらんなどと思わん。     楽しんで強くなれんのよ?なにが不服なのか逆に訊きたいくらいじゃわい」 春菜 「うぅ……それは、そうだけど……」 彰利 「納得したなら真っ直ぐGO!!つまらんゲームはやめればいい!時間の無駄だ!     だが楽しいゲームなら全力で楽しみ尽くす!!それでいいじゃねぇかい!!     だから立ち上がれ人々よ!これから僕らの戦いが始まるのだ!!」 蒲田 「ははははは」 岡田 「そいでさー」 島田 「美味い!カツ丼!!」 彰利 「聞けてめぇら!!つーかなに!?どっから出したのそのカツ丼!!」 島田 「訓練所の敵が落としたオモチャだが」 彰利 「…………うおおよく出来てんねコレ……」 などと本気で感心してる場合じゃなく。 岡田 「しかしやっぱりアレだよなー……号令って提督がやらないとしっくりこない」 蒲田 「ああそう、それよ。なぁんか弦月が叫んでも勢いにノレないっつーか」 彰利 「一等兵なのになんなのこの扱いのヒドさ……。じゃあ悠介だったらOK?」 清水 「なおのことダメだろ。なにせ晦がそんなこと言うのって想像できないし」 彰利 「おおまったくだ」 自分で訊いといて自分で納得してしもうた。 でも想像出来ねぇのよね。 彰利 「ギャアもういいや!!ともかくまいりましょうぞ!!」 丘野 「一等兵殿、拙者に提案があるでござるよ」 彰利 「うおおいつ蘇ったテメェエェエエ!!」 丘野 「さっきでござるが。それはもうメテオジェイソンのように落下してミンチになり、     しかし神父のありがたい説教を聞きながら蘇生したのでござる。     あとは道ゆく妖精殿に頼んでゲートを開いてもらったでござるよ」 彰利 「そ、そうなん?俺ゃてっきりこのまま下界で中井出のパーティに加わるのかと」 丘野 「提督殿と一緒に冒険するのは楽しいでござるが、     今は敵対したほうが面白そうでござる。だからこっちでいいのでござるよ!     そんなわけなんで早く行こう。きっと提督は待ってるぜ!?」 岡田 「おおその意気だ丘野くん!何故最後が標準語なのかは知らんがその意気だ!」 春菜 「……提督くん、自分が襲われるのを待ってると思う?」 粉雪 「え?うん。だって提督だし」 真穂 「提督さんだしね」 春菜 「うわー……今物凄く理解に至れない壁を感じた気がする……」 彰利 「中井出提督はまがりなりにも猛者集団の頂点。     そんじょそこらの常識では縛ってられねぇのさ。     だから理解できなかったらそれが普通」 総員 『そして我らは異常でいい』 彰利 「普通なんて知ったこっちゃねィェーーーッ!!     さあ行こうぜみんな!世界の果てで中井出が僕らを待っている!!」 佐野 「待ってろやぁ提督ーーーッ!!」 岡田 「男じゃわしゃああーーーーーっ!!」 こうして我らは熱き思いを燃え上がらせ、円陣を組むと叫び合った!! 熱き心と叫びのぶつかり合いは僕らをさらなる高みへと至らせ、 もはや僕らの思いは誰であろうと止められないくらいにまで燃え上がっていた!! 丘野 「原中ゥウウーーーーーッ!!!ファイ!!」 総員 『応!!』 岡田 「ファイ!!」 総員 『応!!』 彰利 「ファイ!!」 総員 『応!!』 さあ行こう!! もはや誰にも我々を止めることは出来ん!! この団結を持って提督……貴様を滅ぼしてくれる!! 【ケース439:中井出博光/ガトリングフリーザー】 ビュゴォオオオオオオオオ……!! 藍田 「ごぉおおおおお寒ぃいいい……!!!」 中井出「ええいなにをガタついておるか藍田二等!その執事服は飾りか!?     俺を見ろ!肩まで丸出しの村人の服だぞ!」 藍田 「よく平気だなオイ……!」 中井出「すいませんやせ我慢です」 藍田 「てめぇの服こそ飾りじゃねぇか提督てめぇ!!」 中井出「提督だって人間なんだよ!!」 本日の空模様───とても……吹雪です……。 もう遭難してしまいそうなくらいに吹雪いてる。 どうやら氷を守護するセルシウスが場を離れたこともあって、 物凄いお天気模様になってしまったご様子。 はい、現在ノースノーランドから 本日のお天気をお伝えしている……こんにちは、中井出博光です。 中井出「ていうか起きろナギー!今更言ってもしょうがないが凍死するぞナギー!!」 加えて言うと、ナギーは相変わらずぐったりマイハートだ。 途中からもう眠っていたようだが、この寒い中で寝るのはたいへんよろしくない。 いくらロドリゲスの羽毛に包まれながら寝てるとはいえ、 さすがに精霊が凍死なんて面白……じゃなくてシャレにならんだろ。 中井出「…………なんかもう宿屋の主人に預けちまおっか」 藍田 「さすがに寝てるナギ助を連れてフリーズドラゴンと戦うのは面白……ヤバイだろ」 互いに本心が見え隠れしてるが、それは今ばっかりは押さえ込んでおく。 無駄に死なせてしまうのはさすがに可哀相だからだ。 フフ、この博光にもまだ良心と呼べるものが残っておったわ。 ていうかさ、ナギーは蘇れるけどロドリゲスは蘇生無理だから、それが怖い。 藍田 「じゃあナギ助とロドリゲスは宿屋で部屋取って預かってもらうとしてと。     すんませーん、チェックインお願いしま〜っスェ」 ゴワチャリリンと雪の所為で重いドアを開け、 早速チェックインを手早く済ませる藍田くん。 心配だったロドリゲスもきちんと預かってくれるらしく、 ロドリゲスは暖かな暖炉の前を陣取って モブルルファアア〜〜〜ヌと奇妙な溜め息を吐いていた。 中井出「うむよし!ではこれよりフリーズドラゴンが住まう     プラチナル平原へと向かうものとする!覚悟は出来たか!!」 藍田 「サーイェッサー!!」 中井出「準備は出来ているか!」 藍田 「サーイェッサー!!」 中井出「うっかり回復アイテムとか忘れていたりしないか!」 藍田 「サーイェッサー!!」 中井出「防寒具と称して顔にスカーフ巻いて     魔王であることを伏せている俺をどう思うか!」 藍田 「すごく……変質者っぽいです……」 中井出「何故ここでくそみそテクニックに走るのかは解らんが意味は問うまい!!     何故ならいちいち真実を探求しようとするとキリがないからである!!     ノリには無条件でノるべきだ!何故ならば!その方が面白いからだ!!」 後悔とは後で悔やむと書くもの! ならば後悔するだろうなんてことはあとで散々思い返せばいい! というわけで真っ直ぐGO!! 中井出「それでは改めて!これよりフリーズドラゴン討伐へと赴くものとする!!     イェア・ゲッドラァック!!ラァアアイクッ・ファイクミィーーーーッ!!!」 藍田 「《ザザァッ!》Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!」 さあ行こう! バトルが僕らを待っている!! 倒すと氷が使えなくなるが───氷属性あまり使わんだろうし構わん!! そう心にヤケクソ混じり決めると藍田くんと拳をゴシャアと殴り合わせ、 プラチナル平原目掛けて 中井出&藍田『まっすぐぅううう───ゴォオオオーーーーーーッ!!!』 無意味にまなびストレートの真似をしつつ走りだしたのだった。 もちろん雪原なのでスピードワゴン走りで。 そんなテンションがなんだか楽しかったのだ。 そう、先に立つ後悔なんぞものの見事にないわけで。 気づけば見知らぬ雪原を止まることなく地図を見ることもなく走っていた俺達は─── ……ようやく、迷ったことに、気づいた。 Next Menu back