───冒険の書167/ヤツの名はウサギ獣人───
【ケース443;晦悠介(再)/ほとんさんともぐらさんにありがとうごめんなさいを】 そんなこんなでルナとセレスを殴り止めた俺は、 今もこうして何処にあるのかも解らん月の欠片探しを続行中である。 何処かに情報があるわけでもなく、 ただ集めろと漠然と言われりゃこの広い世界で途方暮れもするというもので、 案外俺はこういう面倒くさい物事に巻き込まれやすいんだなと再認識した気分だった。 しかしこうして旅をしていると解ることもあるもので、 空界ではランクによって敵が逃げるのが常であったが、 ここではどれだけレベルが離れてようが敵は嬉々して襲ってくるのだから面白い。 なにを思って襲ってくるのかは解らんが、 この世界は実に原中チックだなと納得できるものがあったりもした。 そうじゃなければレベルが離れてるっていうのに、 勇んで襲い掛かってきたりなんかしないだろ。 悠介 「捻り穿つ!」 ヒュオゾブシャアッ!! スライム『ゲルガァアーーーーーーッ!!!』 何故スチールゴーレムという中々強いヤツが居るこの地方で スライムがうろちょろしているのかは解らんが、 ともかく一撃で塵にしてみせると構えを解く。 “変化”も大分慣れてきたもので、たとえ武器が無くても そこらの石を変換させれば剣でも槍でも瞬時に生成できるからありがたい。 いや、もちろん大剣も双剣も持ってはいるんだが。 セレス「随分とまたスライムの多い場所ですね」 悠介 「そうだな」 本当に量が多い。 一匹見れば30は居ると思えとはよく言ったもので、 しかし集まってもキングなんたらになるわけでもないそいつらは、 むしろ複数で来る分キングなアレより鬱陶しいと感じる。 いやむしろ…… セレス「ルナ。近くでうろうろ浮かれると目障りです。歩きなさい」 ルナ 「む。ネッキーこそそのマント無駄に幅が広がってて邪魔くさいわよ」 悠黄奈「どちらもどちらだと思いますが」 ルナ 「むー!だったらゆきっちだってその服ヘンでしょ!」 悠黄奈「なっ!ヘ、ヘンってなんですか!」 セレス「囚人服みたいに見えていっそ哀れですね。どこのリーガルですかあなたは」 悠黄奈「リーガル!?」 女三人寄ればやかましい……ああいやいや、(かしま)しいとはよく言ったもんだが…… 実際やかましいな、ほんと。 鬱陶しいとは言わないが、勘弁してほしい限りである。 だがこんなものはいつものことなので、 ほっとくのが一番だということはよ〜く解っている。 とりあえず進んではくれてるわけだから、こっちはこっちで勝手にやらせてもらおう。 じゃないとほんと胃が……いや、身が保たん。 悠介 (雲を掴むようなこととはよく言ったもんで) 根本に帰ろう。 まず俺は月の欠片ってのを集めないといけない。 それが力を取り戻すことにイコールするなら、真実まずはそこから……なんだが。 こうも情報が無いと、全部を集めることなんてまず無理だ。 かといって、中井出の手伝いってわけでもないが 守護竜討伐をするにしたってレベルが圧倒的に足りん。 ルナならまだ活躍出来るかもだが、 俺は一度リセットされてる分、レベルがけっこう少ないのだ。 ……ていうかな、どうして俺ばっかりこう試練が多いんだ? そりゃ自分の力を自分のものにするためには、 地道な努力をするのが一番だっていうのは嫌ってくらい知ってるが。 悠介 (地道な努力か……) ふと修行に明け暮れていた頃を思い出す。 時間が空いてりゃ修行、戦いの中でもどう動けばいいかばっかりを考えていたりした。 まあ……つまりは難しいことなんか考えてなかったってことだ。 ああ、ここで言う難しいことってのは“世界がどうとか”とかそういうことを差す。 断じて、戦いが簡単だとか難しくないとかそういうことを言っているわけじゃない。 ───ともかくだ。 難しいことを考えずに修行ばっかりして、 そのくせなんだかんだとお節介をやってた頃が一番“俺”として自然だったのだろう。 今では自分でもそう思えるんだから、 力のみを目指した自分になってみたのもそう悪いことばかりじゃなかったのかもしれない。 ……いや、それ以前に平々凡々に暮らしながら盆栽いじったり、 彰利と馬鹿やったりしていた頃の自分も自然だったんだろうけど。 ああくそ懐かしいなぁ。 悠黄奈「あの。どうやったらモンスターを倒しながら遠い目なんか出来るんですか」 悠介 「へ?」 ……無自覚だったが、そうだったらしい。 というかいつの間に俺は武器を手に敵をコロがしてたんだ? ルナ 「悠介って時々こういうことがあるから気にしなくていいわよ」 悠介 「時々あるのかよ……」 今初めて知る新事実だ。 正確に言えば知りたくもなかったわけだが。 セレス「そんなことをわざわざ言ってても仕方がないでしょう。     それよりも、村が見えてきましたよ。ひとまずあそこで休憩しましょう」 ともあれそれこそいつの間にかスライム地帯を抜けたらしい俺達は、 見えてきたとある村にとりあえず安堵をしてみた。 ───……。 ……。 さて……宿屋で一泊し、 朝を迎えては地味に美味い地方料理を食べ、一息ついた俺達は─── 村の中を適当に巡回しているうち、とある人物と出会うことになる。 学者 「ん?おおっ!?もしやキミが持っているそれは月の欠片じゃないかい!?」 そいつはいかにもって格好をしつつ、村をうろうろとうろついていた学者だった。 ていうか……なんだろうなぁ、この偶然性を感じさせないあまりにもアレな登場の仕方は。 つまりあれだろオイ、こいつが月の欠片に関することを教えてくれるとかそんなのだろ。 ようするにヒントらしいヒントを考えてなかったんだろ、ノート。 学者 「突然ですがその欠片全部よこせ」 悠介 「ヒッ……ヒントどころか略奪に来やがったこの野郎!!」 かくしてあっさり予想は覆されたわけだが───ああいや、妙な勘ぐりはもうやめだ。 ともかくだ。 月の欠片のことを知っているのは事実なんだ、こいつに訊けばなにか解るかもしれない。 悠介 「……断ると言ったら?」 学者 「殺して奪う」 悠介 「な、なにをする貴様ァーーーッ!!」 学者が襲ってきた!! コマンドどうする!? 1:戦う 2:逃げる 3:仲間を呼ぶ 結論:───……3!! 悠介 「すまんっ!こいつ押さえつけるから力を貸してくれ!」 俺は振り向き様にそう叫んだ! そうだ……俺に足りないものはきっと“誰かを頼る”って意識だ。 いっつも一人で突っ込んでは無茶をする俺には、こういうことも必要なんだ─── と思ったんだが。 悠介 「───…………」 振り向いた先には誰も居なかった。 で、遠くの方で東方から来たという織物屋の前でキャアキャアと燥ぐ三人娘が。 …………俺、やっぱ一人でいいかも。 悠介 「じゃない!」 学者 「よこせっ!いますぐ!」 悠介 「《がばーーーっ!!》うおっ!?」 学者が掴みかかってきた! コマンドどうする!? 1:巴投げ 2:トルネードフィッシャーマンズスープレックス 3:それでも仲間を呼ぶ 結論:……3!! 悠介 「だっ……誰かぁーーーっ!!援護を要求するーーーっ!!」 助けてくれの言葉が出ない自分がいっそ頭痛のタネだった。 しかしついに助けを求めた俺の心の中で、なにか小さな暖かいものが動いた気がした─── まさにその時!!  ヌウッ…… 悠介 「───!?なっ……あ、あんたは……!!」 俺の視界の隅からヌウッと、ヤツが現れたのだ!! そいつはウサギの覆面(?)とウサギ手袋を身に付け、ズボンを履くという容姿で、 あとは上半身裸という凄まじい格好をした伝説の獣人……! ウサギ『ウサギ獣人出現……!!』 その名も、ウサギ獣人である! 学者   「なっ……な、何者だ貴様!!」 ウサギ獣人『ウサギ獣人ウサ』 当然の疑問に対し、やあ、と軽く手を挙げて答えるウサギ獣人。 ……説明せねばなるまい。 ウサギ獣人はそのセクハラチックな容姿とは対象的に、紳士的なのだ。 ……すまん、説明してて頭痛くなってきた。 悠介   「いや……つーかお前中井出だろ」 ウサギ獣人『な……か……?なんのこと……?』 全力でとぼけようとしているが、 後ろの建物からこっちをじぃっと見ているドリアードと魔王の子の存在だけでもう十分だ。 そもそもウサギ獣人は原中時代、 中井出と彰利がとあるものを真似て作成した中途半端な着ぐるみもどきである。 極一部で物凄く有名な存在らしいのだが、俺はその存在すら知らなかった。 ……ちなみにウサギ獣人の他にクルマ星人や魔竜皇帝リザードマックスなどがあるらしい。 悠介   「いやな、ほら、霊章霊章」 ウサギ獣人『これは地球に来た記念に彫ってもらったタトゥーウサ』 悠介   「どうしてそこだけ妙に英語的なんだよ!!」 チョイチョイと腕に見える霊章を指差してやるも、とことんとぼける気満々らしい。 しかも何故か刺青ではなくタトゥーと唱えたそいつは、 可愛らしいメスウサギ獣人を探す旅に出るとぬかして早々とこの場を───って!! 悠介   「ちょっと待てなにしに来たんだお前は!!」 ウサギ獣人『《ガシィッ!!》ウサッ!?なにするウサ!?離すウサ!!』 悠介   「援護しに来てくれたんじゃないのか!?       メスウサギ獣人なんて何処探しても居やしないんだからゆっくりしていけ!」 ウサギ獣人『うるせーウサ!!       頭から決め付けるヤツなんか助けてやんねー!クソして寝ろ!ウサ!!』 悠介   「うおお全然紳士じゃねぇ!!人の心の成長を踏みにじる気満々だこいつ!!」 ウサギ獣人『ウサギ獣人はただ格好を変えれば町に入れるかを試したかっただけウサ!!       だからもうここには用は無いウサ!!       今度は魔竜皇帝リザードマックスになって試してみるから離すウサ!!』 悠介   「中身一緒なんだから今すぐここで着替えろ!!       ていうかわざわざウサウサ言うな鬱陶しい!!」 ウサギ獣人『なんだとてめぇこのクズがウサ!!       貴様今一億五千万人のウサギ獣人ファンを敵に回したぞこの野郎ウサ!!』 悠介   「それだよ!お前のその口調自体がファンに喧嘩販売してる元だろうが!!」 ウサギ獣人『おっとこれは失礼ウサ。貴様があんまりにも失礼なことを言うものだから、       この博み……ウサギ獣人もいっぱいいっぱいになってしまったウサ』 悠介   「今本名こぼれたぞ、おい」 ウサギ獣人『こぼれてないウサ!貴様失礼ウサ!!』 悠介   「人に失礼とか言うならまず“貴様”って言うのやめてみろ獣人野郎!!」 ウサギ獣人『獣人相手に獣人野郎とはヒネリが無いウサ。       それはつまり人に人野郎と言っているのと同じウサ』 悠介   「ごぉおおおお……!!いちいちムカツクなぁもう……!!」 こんな時、つくづくこいつと彰利は似ていると思うのだ。 なにか被るととことんソレになりきるところとかそっくりすぎて頭が痛ぇ。 ……まあ、中井出はソレが脱げなくなるとかそういった呪いが無いだけマシなんだろうが。 悠介 「ええいもう!tell:弦月彰利……!《ナルルルル……ブツッ!》     ───彰利!今すぐウェランシェールの村に来い!!」 声  『うおういきなりだな親友この野郎。なんぞね?     相応の理由が無ければオイラは動かねェぜ?     なにせ今、みんなで魔王討伐を企てているところなのさ。     もちろん討伐隊を編成してあーだこーだ理由つけて、     エトノワール王から討伐資金とかせしめてウハウハ状態さグオッフォフォ。     じゃからね?よっぽどのことがないとオイラたちは』 悠介 「……ウサギ獣人が出現した」 声  『オーケーすぐ行く!!     お、おい僕のキミたち大変だ!ウサギ獣人が出現したらしいぜ!?』 声  『なっ……マジでか!?』 声  『何処!?何処でござるか!?』 声  『あー…………エトノワールから思いっきり北に行ったところだぜ〜〜〜っ!!     ウェランシェールの村ってところ!』 声  『す、すげぇ!そこに行けばウサギ獣人に会えるんだな!?』 声  『今すぐ!今すぐ行こうぜ!うおおウサギ獣人見るの久々だなオイ!』 声  『えーとあのぅ、ウサギ獣人ってなんスカ?』 声  『なっ……豆小僧貴様!!弦月の息子でありながらウサギ獣人を知らんとは!!』 声  『ていうか弦月てめぇこのクズが!     息子にウサギ獣人の存在を教えないなどどれほどクズだ!』 声  『やっかましぇええーーーーい!!いいから行きますよ!?     ウサギ獣人様は可愛らしいメスウサギ獣人を探すのにお忙しいのだ!!     早く行かねば旅立たれてしまう!!』 声  『おおそうだった!じゃあ転移ゴー!!』 声  『……なんか俺、便利道具的に扱われてません?』 声  『俺達に転移能力があったら頼みもしないが』 声  『それはそれで物凄く扱いに差がある気がするねぇまったく。     っと、ほいじゃあすぐそっち行くからウサギ獣人を捕まえといてくれ』 悠介 「解ったからさっさと来てくれ!」 声  『オーラァーーーイ!!ではきさんら今すぐ掴まれ!』 声  『オォオオオーーーーーーッ!!!!』 tellの先で絶叫が聞こえると同時に通信は途絶えた。 しかしすぐに来るのだろう。 そしてそれを感じ取るや、そそくさと逃げようとするウサギ獣人をガッシと捕まえる。 悠介   「ちょっと待て何処に行く」 ウサギ獣人『ちょ……ちょっとデンパが……デンパを感じたので星に帰るウサ』 悠介   「何処の毒電波だか知らんがそんなものは大宇宙の意志にでも任せておけ」 ウサギ獣人『母が危篤ウサ!帰らないとヤバイウサ!!』 悠介   「大丈夫だ、お前が行ったところで健康を取り戻してくれはしない」 ウサギ獣人『うっわヒデェウサ!!アンタ外道ウサ!!』 悠介   「いや……外道とか言う前に協力くらいしてみせろよウサギ獣人……」 ウサギ獣人『協力って……ウサギ獣人になにを求めてるウサ?』 悠介   「この学者をなんとかしてくれ。       俺が持ってる貴重品の“月の欠片”を強奪しようとしてるんだ」 学者   「私は稀少品研究者のステリッヒ=スモールスという者だ。       そこの男が持っている月の欠片を集めている」 ウサギ獣人『そうウサ?ちなみに今何個持ってるウサ?』 学者   「2個だ」 ウサギ獣人『どうやって集めたウサ?』 学者   「フフフ、この先祖代々に伝わる古文書にヒントが《ボゴシャア!》ぶぼぉ!」 悠介   「うわあっ!?」 それはあまりに突然のことだった。 ウサギ獣人に言われるままに古文書のようなものを取り出した学者を、 ウサギ獣人が問答無用で殴り倒したのだ。 しかもご丁寧に古文書を奪いやがった……! いや……だがそろそろ俺も心を強く持つべきだろ。 ゲームの中でくらいはっちゃけても……なぁ? そんな思考に至ったからだろうか。 俺は酷くオドオドした気持ちのままにウサギ獣人へと向き直り、 悠介 「わ、悪い。協力してくれたのか」 と言いつつ手を伸ばした。 しかし目の前のウサギ野郎は伸ばした手に古文書を置くどころか、 ひょいと遠ざけやがったのだ。 ウサギ獣人『幾らで買うウサ?』 悠介   「目の前で強奪したもので金取るのか!?」 ウサギ獣人『所詮この世は弱肉強食ウサ。いいんウサよ?       キミが買わないならウサギ獣人が欠片を集めて自分のものにしてしまうウサ』 悠介   「くはぁあああ……!!!」 とことん腹の立つウサギである。 つぶらな目をしておきながら、中身のなんと筋金入りなことか。 と、腸を煮え繰り返していた時だった! 声  『あっ……アァアアーーーーッ!!!マジだ!ウサギ獣人だぁああーーーっ!!!』 そんな絶叫とともに現われたる影───多数。 豆村 「うお……あれがウサギ獣人……?」 刹那 「獣人っつーか……思いっきりかぶりものじゃ《バゴシャア!!》ブボルメ!!」 彰利 「死ねタコ!死んでしまえ!!中身などない!被り物でもない!!     アレはウサギ獣人だ!ウサギ獣人なんだよこのクズが!死ね!もうほんと死ね!」 刹那 「そっ……そこまで言いますか!?」 彰利 「貴様は今一億五千万人のウサギ獣人ファンを敵に回したぞ!?」 待て待て……ちょっと待て。 どうして一億五千万人なんだお前ら。 本当にそんなに居るわけないだろ、おい……。 彰利   「ともあれ謝謝!謝謝親友!お前のお蔭でウサギ獣人に巡り会えた!」 岡田   「そ、それでウサギ獣人!今日はこんな辺境まで何をしに!?」 ウサギ獣人『ウ……ウサギ獣人は可愛らしいメスウサギ獣人を探しているウサ。       ここには居ないみたいだからそろそろウサギ獣人は去るウサ』 丘野   「ええっ!?そんな、もうでござるか!?もっとゆっくりしていくでござる!」 ウサギ獣人『デ、デンパが届いたウサ……星に帰るウサ』 岡田   「お、おお!だったら俺らも連れてってくれ!」 ウサギ獣人『一匹用で来てしまったウサー……だから無理ウサ』 島田   「なんだとてめぇ!メスウサギ獣人を探しに来たって言ってただろうが!       どうやって連れて帰るつもりだったんだよ!」 ウサギ獣人『し、下見ウサ!だからどの道無理だったウサー……』 蒲田   「だったら貴様を殺して宇宙船を奪う」 ウサギ獣人『まっ……抹殺への切り替えが早すぎるウサァアーーーーッ!!』 こうしてなんだか訳の解らんうちに大乱闘が開始されたわけだが─── 頼むから少しくらいは脈絡を持ってくれと願うのは贅沢な悩みなんだろうかなぁ。 最初は初めて動物園に来た子供のように喜んでたっていうのに、 帰ると言った途端にこの手の平の返しようだ。 しかしそんなことを思っている俺も、なんのかんのとバトルに参加しているあたり、 面白さっていうのがどういうものかを解ってきたんだろうなぁと実感していたりした。 そんなわけで俺は猛者連中や名誉ブリタニア人とともにウサギ獣人に襲い掛かり、 自分の内なる叫びを行動で表すかのように好き勝手に暴れ出したのだった。 ───…… ……のだが。 ドンガガガガガドカバキズゴォッシャァアアアッ!!!! 総員 『ヒギャアアアア強ェエエエエエエエ!!!!!』 結論から言おう。ウサギ獣人は滅茶苦茶強かった。 豆村 「どどどどうなってんだ半端じゃなく強ぇえぞこいつ!!」 刹那 「いくら攻撃与えてもビクともしねぇよ!!」 まったくである。 いったいどれだけのレベル差があればここまで強くなれるのかと呆れるほどだ。 彰利 「ウヌウ!調べる発動!───ゲゲエ!今の俺じゃあ遊び相手にもならんとな!?」 岡田 「す、すげぇ……さすが伝説の生命体ウサギ獣人だ……!!」 彰利 「なんのまださ!ヘイルナっち!     いっちょこのウサギ獣人に一泡吹かせてあげましょうぞ!」 ルナ 「……?一泡って?」 既に騒ぎを聞きつけて織物屋から戻って来たルナに、彰利が提案を出す。 それは自分の闇世界とルナの月世界とで場を固め、 一気にウサギ獣人を殲滅にかかるというものだった。 ちなみに……当然ルナは嫌がったが、 こんな戦い早く終わらせたいと思った俺が口ぞえをするとあっさり了承。 早速発動する二つの世界が場を完全に支配し、 死神と月の家系の者の身体能力が一気に向上した。 ……のだが。 ウサギ獣人『ストック解除!       ワァアルドデストロイヤーウサァーーーッ!!!』 キュバギババシャアアアアアアアンッ!!!! 総員 『ほぎゃああああーーーーーっ!!!!』 作った世界はたった一撃で破壊され、 さらにその場に居た全員が余波だけで吹き飛ばされ、瀕死状態で転がった。 世界を破壊する者(ワールドデストロイヤー)の名の通り、半端じゃない威力である。 岡田 「せっ……せせ、せっ……せせせ世界ブッ壊しやがったぁああああああっ!!!」 丘野 「じょじょじょ冗談じゃねぇでござる!!じじ次元が違うでござ───ヒィ!!     まともに受けた弦月殿とルナ殿が塵と化してゆくでござる!!」 飯田 「だだ誰か止めろ!     ウサギ獣人を止めて───お?おい……ウサギ獣人がなにかやってるぞ?」 藤堂 「…………?───、か、金調べてるのか?」 沢村 「そうみたい…………あ。こ、こっち見て微笑んだわよ?」 永田 「ま、まさか……!     全員コロがして金奪う気じゃ《バゴォンッ!!》ぎゃああああああああ!!!!』 島田 「どわぁあっとぉおっ!!?なんだぁっ!?いきなり永田が吹っ飛んだぞ!?」 丘野 「永田殿!?永田殿ォオオオッ!!!」 藤堂 「やべぇマジだ!ウサギ獣人の野郎、俺達を殺る気だ!!」 佐東 「くそっ……こうなりゃみんな!天で鍛えた俺達の力、見せ付けてやろうぜ!!」 飯田 「よっしゃあ!そんじゃ最初から全力でいくぜぇええ!!」 総員 『ウオォオオオオオオーーーーーーッ!!!!』 天で修行したやつらが高らかに叫び、力を解放してゆく! その力は、最初は力無いただの人間だったとは思えないほどのものに膨れ上がっていた。 俺はその事実に素直に驚き─── …………。 2分と経たぬうちに、さらに目の前のウサギ獣人の強さに驚愕していた。  シュゥウウウウウ………… 総員 『強ぇえ……こいつ強ぇえよぉおお…………!!』 既に先ほどの3分の2以上がコロがされた状況がここにあった。 実力もさることながら、常にウサギ獣人を守るように燃え盛る火円や、 攻撃を当ててもダメージが返ってくるヘッジホッグ、 火円に触れただけで大爆発を起こすメガボマー、さらに目にも止まらぬ超速移動など、 シャレにならないくらいに実力が離れすぎてて相手にもならない。 ウサギ獣人『それじゃあウサギ獣人は帰るウサ。さらばウサー!』 悠介   「まっ……待てっ……!古文書置いてけこらっ……!!」 ウサギ獣人『幾ら出すウサ?』 悠介   「だからっ!なんでも金で解決しようと《ズキィーーン!!》いぃっぢぃ!!」 ウサギ獣人『無鉄砲に飛び込んではウサギ獣人のメガボマーを食らったウサ。       あまり無理はしない方がいいウサ。さ、これを飲むウサ』 言って、ソッとエクスポーションを差し出してくるウサギ獣人。 な、なんだ……滅茶苦茶なところもあるけど、ちゃんと紳士な部分も─── ウサギ獣人『一本800$ウサ』 悠介   「金取るのかよ!!」 前言を撤回しなければなるまい……実にクズだった。 としみじみと頭を痛めていたまさにその時!! 総員 『隙ありゃぁあああーーーーーーっ!!!!』 弱っていた猛者連中や名誉ブリタニア人が今こそ好機と言わんばかりに起き上がり、 一斉にウサギ獣人へと奇襲をかけたのだ!! しかしギンギャギャギャギャギャギャギャリィイインッ!!! 総員   『オワァアーーーーーーーッ!!!?』 ウサギ獣人『超速剣疾風斬……!───ウサ』 少なくとも10人以上は残っていた全員からの攻撃を、即座に双剣で弾いてみせた。 いや……ていうかどんな速度だよ……あの一斉攻撃を……。 などと思っているとウサギ獣人がその口からゴブシャアと血を吐いた。 ウサギ獣人『めっ……目が見えないウサ!       いきなり限界超えた所為でなにも見えないウサァアーーーッ!!』 ……なにやらいろいろ誓約があるらしい。 血を吐いた彼は目を覆うように手で顔を隠し、ウネウネと蠢いていた。 総員 『……《ギラリ》』 当然そんな状態を猛者連中たちが見逃す筈はなく─── 藤堂 「殺ったぞ!ウサギ獣人!!」 ゾブシャアッ!と藤堂がヤツの背中を斬りつけた!! すると─── ウサギ獣人『ウサァアアーーーーーーッ!!!!』 物凄い反応を示し、ウサギ獣人が絶叫した! 今まで散々といろいろなところを攻撃しても怯まなかったウサギ獣人がだ! まさか……背中が弱点!? 悠介   「みんな!背中だ!背中を狙え!!」 ウサギ獣人『ウサッ!?』 予想通りといったところか。 背中を狙えと言った途端、ウサギ獣人の顔色が変わった。 これはもう間違いない───見えたぞ、伝説の生物ウサギ獣人の弱点───!! 悠介 「“鉄塊を槍に変える力”!!」 そうと解れば俺もくすぶっていられない。 手持ちの鉄塊を槍に変換すると地を蹴り、 猛者連中や名誉ブリタニア人とともに一気にトドメにかかる!!  ───だが……俺達は忘れていた。  ヤツが……ウサギ獣人という名の猛者だということを。 ウサギ獣人『フフフどうやらここまでのようウサね……!       目を潰すなんて卑劣な真似をしてくれる相手に負けるとは、悲しいウサ』 総員   『自爆だろうがそれ!!』 ウサギ獣人『けどウサギ獣人はただではやられないウサ!       弾けろウサギマジックウサ!ランダムルーレット発動ウサ!!』 悠介   「ぎっ───!?」 弾かせ、一時宙に浮いた体が縮こまる。 逃げなければヤバイ───直感がそう絶叫する。 今すぐ方向転換して逃走を───っ……駄目……! それが出来るほどの身体能力がまだ───!  ダラララララ……ジャンッ!! ウサギ獣人『フフフ……遊戯よ……ウサギ獣人はブルーアイズを引いたウサ……』 最後にそう言った彼の声は、望んだものを引き当てた筈なのにひどく悲しげだった。 キシャヴァボォッゴォオオン!!!! ボンガガガガガガドッガァアアアンッ!!!! 総員 『うぎゃああああああああああ!!!!!』 そして俺達の視界は“自爆”という名の眩い光で埋め尽くされ、 どうやらこれにまで影響があるらしいメガボマーの爆発力も手伝って、一撃で昇天した。 どうしてこんなことになったんだろうなぁ……。 俺はただ助けてもらいたかっただけじゃなかったか……? そんなことを、説教を語り始めた神父の前で考えていた。 Next Menu back