───冒険の書172/VS地泳竜───
【ケース449:中井出博光(再)/ヒロミチュード・アースウォーカーバトラーズ】 開いた先に居たのは巨竜─── そう、俺の判断が間違いじゃなければ思いっきりアースドラゴン!! だってもう疑う必要が無いほどデカイし! 土中におわすゾンビ様も真っ青なくらい土色だし! でもなんだか土色な鱗に覆われたソイツは、 確かに竜なんだけど一見すればウナギのような顔……顔だけ見ればキュートだ……! それを見上げてはワワワと引け腰になっている……こんにちは、中井出博光です。 シード    『ち、父上!この生き物は───!!』 ナギー    『間違い無いのじゃ!アースドラゴンなのじゃ!!』 中井出    「やっぱりぃいいいーーーーーーっ!!!」 アースドラゴン『グアァアアゥシャァアアアアアッ!!!!ゴォッ───ゾゴォッファァアアアアンッ!!! 中井出「うおぉあぁあっ!!?」 俺達に気づくや咆哮し、その巨体が宙を舞い地面に落ちる───いや。 落ちるどころか、砂の中に潜っていきやがった。 ……ウソだろ!?あんな巨体がか!? ナギー『アースドラゴンの体はツルツルした鱗に覆われておるのじゃ!     柔らかい砂くらいなら潜れるのじゃ!』 中井出「そういう情報あるならもっと早く言おうね!?」 ナギー『いやなのじゃ!何故ならそっちのほうが面白いからなのじゃ!!』 中井出「ぎぃいいいいいいいすくすくと面白く成長しちゃってまあぁぁぁあ……!!」 穂岸の言うとおり、もう“どうすんだよ”って感じだった。 だが後悔などドブ川に捨てよう! それが原中クオリティ!原中は品質云々や意味よりノリと語呂を大切にいたします!! そして我らは後悔の大海を渡ってここまで成長したのだ! 今更後悔の一つや二つ屁でもないわァアアーーーーッ!!! 中井出「ナギー、シード、サポートを頼む!ホレ、あそこの高いところで!」 シード『そんなっ……僕も戦います!!そのために修行をしてきたのです!!』 中井出「心震わすボスバトル……一人で殺ることに意義があるのだよ」 ナギー『お、おおお……!物凄くさわやかなスマイルなのじゃ……!!』 中井出「うむ!まさにRPGを一人でクリアするかのように!!     ちなみに手を出したら問答無用で敵と見なされると思う!     サポートもほどほどに、攻撃はしないように!     したくなったら遠慮は無用!ドカンとキメて地獄を見よ!!     この際どうして真っ先に俺が敵と見なされたかどうかなんて、     影で暗躍する製作者……もとい、ブラックダダーンの陰謀によるものだ!!」 シード『ダダーン!?』 中井出「そう!ブラックダダーンだ!!スペルは!D!A!D!A!R!N!!     ダダ《バゴォッシャァア!!!》ギャアーーーーッ!!!」 熱烈に説明しているまさにその時! なんとアースドラゴンが俺目掛けてグライダースパイク!! つまり飛翔ぶちかましをしてきたのだ!! そして血反吐を撒き散らしつつ吹っ飛ぶ俺。 ああ、星が見えるスター。 中井出「あがっ……いぢぢぢぢ……!!ち、ちくしょう!砂に潜れて空も飛べるだとー!?     何処まで便利───じゃなかった、臨機応変な竜なんだ!!     だが俺も便利───臨機応変加減ではそう負けてないと思いたい!」 吹き飛びつつも体勢を無理矢理建て直して着地した俺は、 軋む首筋をメリキキキと撫でつつ前を見る。 広い空間、地面は物凄く積もった砂で、上は非常識なくらいの高さにある天井。 ……ここはアースドラゴンが過ごすには大変心地よい場所らしい。 だから侵入者には死を?……いや、だからさ、 それでどうして真っ先に僕を狙ってくるのですかウナギ野郎。 だが来るというなら相手をしよう!無茶と知ったら逃げもしよう! それが僕らの原ソウル!! でもとりあえずはナギーとシードを天井近くにある壁の装飾の上に逃がして、と。 中井出「さぁこ《ドッゴォオオオンッ!!!》ほぎゃああああああっ!!!」 振り向いた途端に目の前の地面が爆裂した。 しかし爆弾があったとかではなく…… アースドラゴン『ゴォオオウガァアアアッ!!!ゴバシュドッガァアアアアアンッ!!! 中井出「おっ……おぅわぁああああっ!!ななななんだこりゃああーーーっ!!!」 アースドラゴンから放たれた砂のブレスだ。 口に含んだ砂を圧縮させて、物凄い速度で発射してきているのだ。 地味なのに破壊力がある上、しかも弾は無限とくる。 さすがにちょっと眩暈がした。 中井出「なっ……なんて威力だよ……こりゃ当たったら《ゾバァンッ!!》ヒイィイ!!」 とか考えているうちに砂ブレスは次々と俺目掛けて放たれてゆく───!! くそったれ!もうどうにでもなれだ!! どごぉおおん!ばっごぉおおおんっ!!! 中井出「うおおおおお!!どんどんきやがれイワンめ!!地獄への道連れだ!!」 アースドラゴンが吐き出す砂ブレスを健脚を以って避ける避ける避ける!! 無駄だ無駄無駄ァ!! もはやこの俺の足はそんじょそこらの生物に追いつかれるほど遅いものじゃない!! でも“逃げる”という状態がジリジリと体力を奪っていくのがとても辛いです先生。 ……誰だろう先生って。じゃなくて!! 中井出「《ドゴォオオオンッ!!!》ホワァアーーーーーーーッ!!!」 もはや“砂ブレス”とは思えないほどの衝撃が足元で炸裂する!! ごめんやっぱりウソ!!守護竜ってだけでも恐怖する弱い俺を笑いたきゃ笑え盛大に!! 中井出「ちくしょう砂に潜るわ空飛ぶわ移動は速いわ!     どうなってんだコノヤロォオオオーーーーーーッ!!!」 逃げ回りながら敵の動きをインプット!コレ、戦略の第一歩! だが俺はそんなことは断じてしない!! 何故ならば!そんな正攻法など我ら原中にしてみれば邪道中の邪道だからだ!! 中井出「いつでも全力いつでも地獄!!進む花道これ滅道!!     ぱっちょんぱっちょん撃ってこんかぁ!!     この世界に降り立った時からとっくに覚悟なんぞ出来とんのじゃぁああっ!!!」 ザシャァアアッ!!! 足を止め、アースドラゴンと向き合う。 地面から半身を出しながら砂ブレスを吐こうとしているアースドラゴン─── だが構わず疾駆!! 中井出「“1”!!《ギリィイッ───バオォオンッ!!!!》」 ギュッと踏みしめた足が砂の地面を爆裂させるほど弾き、 砂煙を巻き上げ、まるで超低空で飛ぶかのように前へと進む。 一呼吸で行使可能なのは4回まで─── 習得に苦労するわりに誓約がありすぎなのもどうかと思うぞ烈風脚!!  ドッバァアアアアンッ!!! 中井出「オワッ───!」 アースドラゴンが吐き出した砂ブレスが頭頂の髪を掠め、 後方の砂に衝突して爆発する。 危ねぇ……!少しタイミングが遅かったら顔面直撃だぞオイ……!! 中井出「“2”!!《バガァアンッ!!!》」 続く2歩目。 再び爆発する砂の地面に振り返ることなく真っ直ぐに進む。 アースドラゴンとの距離はそう遠くない───計算ではこの二歩目で……届いた!! 中井出「“3”!!」 アースドラゴンの目の前の地面に足がつくと同時、叫ぶとともにさらに烈風脚を発動。 巨体目掛け、出現させた双剣を手に全力で飛ぶ!! 中井出    「紅蓮に元素!蒼碧に雷!!連ねて一つの破壊と為す!!         ブッ潰れろ!!ギガ───……っ!?」 アースドラゴン『グルォガァアアアアッ!!!!』 属性を込め、長剣化させたまではよかった。 だが当然無防備にくらってくれるわけもなく、 アースドラゴンは砂から飛び出ると、 その長い尾をサマーソルトの要領で俺目掛けて振るってきたのだ。 ───ダメだ、空中じゃ避けようがない! フロートも真上に飛ぶんじゃサマーソルトの餌食に─── 中井出「ええい構わんわァアアアーーーーッ!!!ハイパーアーマー発動!!!」 バガァッシィイイインッ!!! 尾撃が俺の体を強く撃ちつける───当然痛みも走るが、 意識が飛びそうになるのも歯を噛み締めることで耐え、 この一撃に全てをかける意気込みで───!! 中井出「ギガブレイク!!ブッ飛べカラミティイイーーーーーッ!!!!!」 バシャァアンッ!!! ヂガガギバッシャァアアアアンッ!!! 俺を強く撃ちつけたその尾自身に、尾が俺から離れきる前に全力で雷の剣を落とす!! アースドラゴン『ギギャァアアォオオオオオオッ!!!!』 砂の巨大空間に響き渡る絶叫。 サマーソルトの反動で宙に浮くはずだったその巨体は雷の一撃により地面に叩きつけられ、 だがすぐさまに地面に潜ると姿を消した。 中井出「う、むぐ、かぐっ……!!」 俺はその隙にバックパックからグミだのポーションだのを取り出し、 噛むのも半端に流し込むように飲み下す。 流石にSTRマックス状態でサマーソルトは痛すぎた。 一気に瀕死近くまでHPが減りやがったよ……。 ナギー『ヒロミツー!大丈夫なのかー!?』 シード『父上!やはり僕も加勢を───!!』 中井出「その心意気や実に天晴れ!!でも戦闘に参加すると狙われることになるぞ!!     それでもいいならかかってこい!!」 ナギー『ヒロミツに攻撃するわけではないのじゃ!何を言っておるのじゃ!!』 中井出「うむ意味は無い!言ってみたかっただけである!!」 だが問答よりもドラゴン討伐に注意を向けなきゃマジで死ぬ! くそう俺も結構強くなってると思うのに、竜族ってどうしてこうタフなんだか! さっきの一撃だって、尾をブッタ斬る気でやったってのに……! 中井出「だがしかし!地属性が苦手なのは風だってことは勉強済み!     ───なのにしまった!雷属性撃っちまった!!     ええい構わん!それでも吹っ飛ばせたんだからOK!!」 ナギー『真面目にやるのじゃヒロミツ!!』 中井出「真面目だよ!!僕もうこれ以上ないってくらい真面目だよ!!     ちょっと間違っちゃっただけだよ!     ギガブレイク大好きなんだからしょうがないでしょ!?」 実はエクスキャリバーよりもギガブレイクが大好き……こんにちは、中井出博光です。 って、だからそんなこと言ってる場合じゃドゴォオオンッ!!! 中井出「ホギャァアアアアアーーーーーーーーッ!!!!!」 地面が揺れたと思うや、足元の砂が爆発してそこからアースドラゴンが!! 当然物凄い勢いで飛び出てこられたために俺は宙に投げ出され、 無防備のまま体を彷徨わせることに……!! アースドラゴン『ルグォオオオオオオオッ!!!』 中井出    「ハワァアーーーーーッ!!!?」 しかもそんな俺目掛けてアースドラゴンが口に光を溜めてゆく! ヤバイ!これなんかヤバイよ!!砂ブレスじゃないよ明らかに! だが甘し! 中井出「バリアチェンジ!モード:風!!」 相手が地属性の竜ならとりあえず地属性に強い己を作り、 さらには……恐らくレーザーであろうそれよりも強力なものを放てば良し!! 中井出「強いもの!強い……えーと《ガォオオンッ!!》ギョアァアアーーーーッ!!!」 思いつかなかった。 しかし咄嗟にグラビティで地面へと逃げ出した俺は、 肩を掠めたレーザーにハワワと震えつつも着地。 咄嗟とはいえ本能で落下してくれるとは……恐るべし!俺! 何を隠そう!俺は絶命ギリギリヤケクソバトルの達人だぁああーーーーーっ!!!! えーとつまり、いつでもギリギリのいっぱいいっぱい状態ってことで…… 中井出「だが知れ強敵よ!いくら貴様が強かろうが俺が力及ばなかろうが、     どれだけ外道だろうが最後に立ってりゃソイツが勝者よグオッフォフォ……」 シード『しょ……勝負にそこまでの意地を込めるとは……!お見事です!父上!!』 ナギー『見事じゃがきちんと前をみるのじゃー!!ヒロ』 中井出「《ヴァゴォッチャァァアアッ!!!》ペサァアーーーーッ!!!」 俺を襲う突然の衝撃が、耳に届いていたナギーの声を途中でフッ飛ばす! というより衝撃で聴覚が一瞬停止した。 中井出「《ドグシャァアア!!!》ヴヴェェエオエェッ!!!」 続いて、砂を吹き飛ばすほどの落下の衝撃と、砂に埋もれる俺の体。 アースドラゴンはあっさり潜りやがるくせに俺には物凄い衝撃を与えやがったそれが、 ヘンな方向にトんでた俺の思考を現実に戻してくれる。 中井出「ぐああ……!いぢぢぢぢ……!!」 砂に埋もれた体を無理矢理起こしながら、口の中の血をゲファリゴファリと吐き捨てる。 ……とてもいい目覚ましになりました。なんて刺激的なモーニングコールだちくしょう。 中井出    「お、おのれ許さんぞ……!         許すも許さないもないかもしれんがとりあえず許さんと言っておく……!         今から俺は外道の限りを尽くしてでも貴様をブチコロがす!!         あ、でも出来れば普通に戒めの宝玉渡してくれるとありがたいです」 アースドラゴン『グバァアシャァアアアアッ!!!!』 中井出    「ヒィイごめんなさい!ナマ言ってごめんなさい!!         だ、だが戦いと生意気加減は話が別だ!!         だからこそ唱えよう───臆さぬならば!かかってこい!!」 覚悟……完了!! いや、覚悟というか心に熱いハートを込めたというか。 この世界に降り立ったその時から既に極めている覚悟…… それをさらに強固に心に刻む時、なんだか僕は毎度同じことを言っている気がする。 中井出「すぅう……焚ッ!!」 ゴバァンッ!! アースドラゴン『グオッ!?』 集中を開始して、長剣化させたジークフリードから透粒粉塵を舞い散らせる。 属性はとっくに風───地属性には風で勝負! むしろ耐性属性の雷で行きたいと原ソウルが猛り続けてるんだが、 さすがにそれをすると昇天しちゃいそうなので、 ちょっと遠慮したいというかええい構わん漢じゃわしゃあ!!。 中井出「バリアチェンジ!モード:雷ィイイイイッ!!」 ヤケクソ気味に叫ぶ自分の声がまるで他人の声のように聞こえました。 だが俺は俺の道……原ソウルを貫こう!属性耐性など知ったことか! 属性が弾かれるのだとしたら力こそが正義と謳ってみせよう!! ナギー『なにをしておるのじゃヒロミツー!』 シード『ち、父上!さすがにそれは無謀かと───!!』 中井出「だぁああーーーまらっしゃぁああーーーーーーいいい!!!     無茶でも苦茶でもやってみなきゃ解らねぇだろうがぁあーーーーーっ!!!     そしてダメだったら平気で逃げ出す!それが僕らの原ソウル!!」 勝てぬと言われりゃ戦おう! 負けると言われりゃ勝ってやろう!! 我ら、日々常識に挑み続ける修羅の集い!その名も───原沢南中学校迷惑部!!(元) 中井出「さぁこい地竜!この博光!逃げも隠れも怯えもしよう!!     だが───最後に笑うのはこの俺だぁあーーーーーーっ!!!」 剣と具足に雷光を込め、 敵にしてみれば弱点の塊となった俺は大地を泳ぐ守護竜を睨む! もちろん地面の底の方を泳いでるんだろうから肉眼では確認出来ないが─── 地面の揺れ具合で大体どこらに居るかくらいは見当がつくわ! 中井出「唸れドンナー!!ラァアアイオット───スタンプ!!」 ゴォッと振り上げた足を勢いよく地面に叩きつける!! すると“体術”という条件下でのみ発動する“徹し”が雷を帯びて地面に奔り、 油断して泳ぐだけの地竜に襲い掛かる!!  ドッガァアアアアアアアアンッ!!!! アースドラゴン『グギャァアアアアォオオオオンッ!!!!!』 それはよっぽどの不意打ちだったんだろう。 地面に潜ってたアースドラゴンは絶叫を上げつつ地面から飛び出て、 目を回したかのように砂の上に落ちるとジタバタと暴れ始める。 オーケーブラザー今しかねぇ!! 中井出「スッ……ハァァア……“1ィイイッ”!!!」 結構な距離を一歩のみで一気に詰める!! 当然ステータスはSTRマックス! 力のみに傾けても素早く動けるのがこの能力の最高の利点! 中井出「力こそがパワァアアーーーーーーッ!!!!!」 暴れる巨体が目の前に迫る時、やはり俺は全力を込めて剣を構え、 着地と同時にマグニファイを発動!! マグニファイ中に発動可能なほとんどの能力を剣に込めて、地面を烈風脚で蹴り弾く!! 中井出「“2ィイイイッ”!!!!ふぅうううううぉおおおおおおおっ!!!!!」 アーマーキラー、オーガインパクト、一発剣閃、ストライクブラスト、衝撃波、 様々な力をこの一撃に託し、さらに斬鉄剣グラムを込めた黄竜剣を烈風脚の勢いとともに! 中井出「奥義!“雷斬轟天剣”!!」 転がる敵を天へと吹き飛ばすつもりで、全力で振り切る!! ギガガシャゾバシャォオオオオンッ!!!!! アースドラゴン『ギギャッ……クギャァアアォオオオッ!!!』 振り切ったジークフリードが黄竜の輝きと蒼雷を吹き荒ばせ、 衝撃を受けた雷の粉塵がさらにその雷を爆発的に強化し、 たたの一撃が竜族の中でも巨体揃いの守護竜を遙かに遠い、 果ての見えない闇の天井目掛けて吹き飛ばしてゆく。 その勢いはまるで弾丸だ。 撃ったことは理解出来ても弾が何処にあるのかなんて確認のしようがないほど、 物凄い速度で一瞬にして高い位置にある壁にドッガァアアアンッ!!! ナギー『ひぅぅっ!?』 シード『う、わっ……!!』 吹き飛んだアースドラゴンが衝突した。 当然高い位置で俺のサポートをしていたナギーとシードは その震動に振り落とされそうになるが、今は自分でなんとかしてもらうしかない。 他に気を配っていられるほど、本気の俺は余裕がないのだ。 そう……潰すと決めた時にはもう行動は終わっている!! 一撃で仕留められるなんて思わない!! 中井出「全てを貫く主神の赤槍!!“グン───グニル”!!」 高い位置の壁に激突し、減り込んだアースドラゴン目掛けてさらに攻撃を連ねる! 俺は手にしていたジークフリードを改めて両手で持ち、 レイジングロアを発射する時のように前方に突き出すと、 キュバァアッチュゥウウウウンッ!!!! 中井出「《ギシィッ!!》づぐっ……!!」 砲術王のスキルの加護の下、一発のみ許された無消費の神槍の一撃を放った───!! けどその反動はとんでもないものだ。 砲術王のスキルの所為か、威力が遙かに増している代わりに反動が大きくなったのだろう。 腕が痺れ、砲台となった足が地面に減り込み、こちらも痺れている。 ちょっと待て……!こんな反動、もし相手に攻撃避けられたら、 こっちが動きようがなギシャヴァボッガァアアンッ!!! アースドラゴン『ギギャァアアォオオオンッ!!!』 中井出    「あ」 心配する以前に当たった。 煌く極光は発射の反動でズレてしまっていたが、確かに当たってはいた。 アースドラゴンの片飛翼を破壊し、その先の壁をも破壊して、 薄暗いこの空洞に砂漠に差し込む陽の光を落とすほどの風穴を空けて。 アースドラゴン『グォオオルルルル……グァアアォオオオンッ!!!』 しかしそれほどの威力を以ってなお、 アースドラゴンは一度吼えると強引に壁から這い出て地面へと落下する。 ダメージが無いわけがない。 耐性属性とはいえ、屠竜効果のある斬鉄剣グラムを込めた黄竜剣をくらったんだ。 しかもそれは防御力無視のアーマーキラーと破壊力4倍のオーガインパクトを重ねたもの。 だがそれでも死なないソイツは、千切れ飛んだ飛翼もお構い無しに地面を掘ると、 己が巨体を再び地面へと潜らせた。 だがそれは隠れるためではなく、 飛べなくなった代わりに俺に地面からの体当たりをブチかまそうと取った行動だった。 ───確かに歩行には向かない足ではあった。 だから空を飛んだり地面に潜ったりしていたんだろうが─── 中井出「───!速ぇえ!!」 地面を泳ぐスピードは飛行以上に速かった。 壁際で潜り、そこからこちらへ向かってくるっていうのに、 あっという間に距離が狭まっていきやがる! しかも走って逃げても足音を的確に探知して追ってきやがる……!! だったら空を飛んで───そう思ったまさにその時だ。  ゾバァアッファァアアアアンッ!!!! 中井出「ぶげぇぁあっ───!!?」 地面が爆発した、と思った途端、鋭い牙が俺の胴に突き刺さっていた。 アースドラゴンが地面からの出現とともに、 横にした首を伸ばして俺の胴に噛み付いてきたのだ。 ……いや、胴どころじゃない。 巨大な口からなんとか出ているのは鎖骨から上と、 逃げようとして咄嗟に伸ばした左腕くらいだった。 シード『───!ち、父上ぇえええええっ!!!』 ナギー『ヒロミツ!ま、待っておるのじゃ!今すぐ───』 食われかけた俺を見たナギーとシードの叫び声が耳に届く。 けどそれを全て聞くより先に、俺は噛みつかれたままに地面に引きずり込まれ、 目も開けていられない状況の中で物凄い圧力とともに砂の海の奥底へと沈められていった。 潜っていても砂が次から次へと体や顔に纏わりつき、当然呼吸も出来やしない。 くそ……!痛みで呼吸が乱れまくってるっていうのに酸素がないなんて……!! いや!まずは噛み殺されないようにVITにステータスの全部を注いで防御力を上げて、 足掻くだけ足掻いてみせる───!! 中井出(この……!ドンナー!!) 既に直接噛まれ、ズタズタになっているであろう感覚の無い足に意志を通す。 すると確かな感触がバヂィッと衝撃として徹り───だが。 それでももはや離す気など無いのか、アースドラゴンはさらに底へと潜ってゆく。 やばい……!これ以上はもう意識が……!! 中井出(───!そうだ竜撃砲───……っ……くっそぉおおおっ!!) 竜撃砲で怯ませようとしたが───口から出ているのが左腕であり、 右肩はとっくに鎖骨ごと砕かれて動かせないでいた。 自由である頭も、爆弾パチキをするには無茶な体勢であり、 第一に砂の中では勢いもつけられない。 中井出(……、もう、……───) 絶体絶命ってやつだ……為す術が何一つとしてない……。 ヒロラインで死ぬのは初めてじゃない。 でも、だからってそう何度も死ぬことを頷けるような人間にはなりたくなかった。 だから最後の最後まで、 どんなカタチであれ足掻く……それこそ自分が目指す人間ってやつだった筈。 それなのにもう方法が───………………一つしかねぇ。 中井出(たとえ30分の1の確率でもそれに賭けるのが原ソウル!!     ならばこそ唱えよう!鳴り響け、俺の心のメロス!!     ランダムルーレット……発動発動発動発動発動発動発動ォオーーーーッ!!!!) そう……腕も脚も、頭もなにも動かせないというのなら。 口でも心でも、何度だって叫んでみせる!! よぅ見とくんやでナギー、シード……!これが浪速の商人の生き様やぁあああっ!!!! ジャンッ♪《博打No6!ドレインタッチ!》 ジャンッ♪《博打No15!アンデッド支配!!》 ジャンッ♪《博打No22!びっくりソルジャー!!》 ジャンッ♪《博打No19!針千本!!》 ジャンッ♪《博打No28!バレットウェポンズ!!》 ジャンッ♪《博打No20!サテライトリンカー!!》 ジャンッ♪《博打No7!アスピルタッチ!!》 中井出(だぁああああああっ!!     なんでこういう時だけ自爆が出ねぇのさぁーーーーーっ!!) なんだかもう、HP吸い取ったりアンデッドじゃないから支配出来なかったり、 カミカミされてる口の中でちっこい何かがウゾウゾと出現して暴れだしたり、 だってのにそこに物凄い数のトゲトゲしたものがゾガガガガと発射されたり、 かと思いきや背中にズシリと重量感を感じたと思えば突然背中の方で大爆発が起きたり、 さらには頭になにかヘンな感触がしたと思ったらどこぞに電波でも飛ばしたかのような、 そんな奇妙な感触を受信。 トドメにTPを吸い取ったりしてもう訳が解らん。 だが言えることがただ一つある。 中井出(背中がめっちゃくちゃいてぇええーーーーーーっ!!!!) 弱点であるそこで爆発は困る! ていうかなに!?なんだったの今の!! なんて思ってる間に、 その爆発が相当効いたのかアースドラゴンが地面から一気に飛び出た!! 中井出「はっ───ぶっはぁああああーーーーーーっ!!!」 拍子に俺も口から吐き出され、ズタボロ状態ながらも命からがら助かった。 中井出「《ドシャアッ!!》ぐあ痛ッツ……!!ぶ、うげ、ぇえ………!!」 大きく息を吸ったところに地面への衝突。 咽るように息を吐き出し、飲み込んだ砂を吐くように胃の中のものを嘔吐した。 中井出「はっ……はぁあっ……!!」 体は……まだなんとか大丈夫だ。 偶然とはいえ、ドレインタッチが発動してくれたお蔭で、腕くらいならまだ動かせる。 それを確認した俺はのろのろとバックパックからエクスポージョンを取り出し、 栓を折り砕くと飲み下す。 グミは噛めるほどの余力がなかったからだ。 中井出「───、ん!よし!!」 けどさすがに毎度毎度ギリギリすぎて疲れる。 でも立ち上がり前を向く姿勢はいつまでもやめるつもりなんてないのだ。 これから先、守護竜と戦う度にこんな目に合うのは正直勘弁していただきたい。 ……いや、もともと相手の弱点属性突けばどうってこともなかったんだろうけどさ。 中井出「いくぞ地竜よ!!ストック入れ忘れで碌な能力残っちゃいないが、     俺は貴様を必ずコロがすと宣言しよう!!ていうか重ッ!!背中重ッ!!     バレットウェポンズっていったいなにが出るんだよ!!」 そいやァ!と背中にあるものをゴシャアと砂の大地に向けて投げつけた。 ……ちなみにアースドラゴンは先ほどライオットスタンプを食らった時のように、 砂の上でビタンバタンともがき苦しんでいる。 そんなことを確認しながら見下ろしたソレは……なんでも説明書きによるところの、 超小型マイクロミサイルポッド……らしい。 中井出「そんなもん竜の口内で!しかも背中で発射すんなぁあああーーーーーっ!!!     死ぬとこだったよ今!残りHP3だったよ!!普通なら死んでたよ!」 本気で危なかった……! HPを維持させるためにVITマックスにしてなきゃ絶対に死んでたよコレ……!! ナギー『ヒロミツ!?ヒロミツー!平気なのかの!?死んではおらんのかの!?』 シード『父上ぇえっ!僕は父上は必ず大丈夫だと……っ……し、信じていました!!』 中井出「死んでたらこんな叫んでないし信じてたなら泣くなバカモーーーーン!!」 ていうか事実死ぬかと思った。 だがまだ戦いは終わってないのだ…… 死ぬかと思った、なんてことは戦いのあとにたっぷり考ればいい。 中井出「エネルギー……全開!!」 両手に持って振り上げたジークフリードに、舞っている粉塵を凝縮、固定する。 それとともにバリアチェンジをし、透粒粉塵に光属性を込め、 “溜める”を発動させて───一気に地面を蹴る!! 中井出「ジュースティングッ!!スラッシャァアアアーーーーーーーーッ!!!!」 ジークフリードを覆う粉塵の刃から山吹色の閃光が迸る! それに引かれるように身体速度が増し、 前方への跳躍が遙かに素早く長いものへと変化していた。 アースドラゴン『グ、ゴォウルルル……!!!』 だが。 それが届くよりも早く、アースドラゴンは懲りもせず地面を掘ると、 ゾファゾファと地面に潜り込んでしまった。 結果、剣の先端が掠った程度で、俺は勢いのままに壁に衝突しそうになり、 咄嗟に剣を壁に刺して停止した───途端!!  ヴィヂィイッドッガァアアアアンッ!!!! 中井出「う、おおわぁああーーーーっ!!?」 剣を刺した壁が波立ったように見えたと思うや、突然爆発して砕けたのだ!! 何事!?光属性のキャリバーにこんな面白い現象が伴う筈は…………あ。 ミストルテインの超震動か! そ、そうか!私にはこれがあった〜〜〜〜っ!! 中井出「受けてみさらせARMS殺し!!」 そうと決まれば話は早い! 俺はゾゴォンッと壁からジークフリードを抜き取ると逆手に構え、 両手で持って砂へと向けて振り被る!! せっかくだから地属性と雷属性を混ぜて。 中井出「地と雷の地雷震と超震動を混ぜたこの一撃を食らえ!!     我流奥義!超地雷震動波!!そぉおおいやぁあああああっ!!!!」 ヒュオザゴォッ!! ヴィヂヂドッガァアアアアアアアンッ!!!! アースドラゴン『グォオオルシャァアアアアアッ!!!!』 砂にジークフリードを突き刺し、超震動と属性を解放するや、 再びアースドラゴンが衝撃を受けて地上に吹き飛んでくる! OKブラザー今しかねぇ!! 中井出「“1”!!」 俺はすぐさまジークフリードを霊章に仕舞うとSTRマックス状態で烈風脚を以って、 砂から飛び出して空中を舞い、 やがて地面へと落下しようとしているアースドラゴンへ向けて全力疾走!! 中井出「“2”!“3”!!───“4ッ”!!!」 本来なら烈風脚の二、三歩程度で端まで届ける距離を、 あえて回数を重ねることで助走を確かなものにしてゆく。 そして、勢いが今出せる最高値に達したところで─── 中井出「魂のッ!叫び!!神威クラァアアーーーーーッシュッ!!!」 まさしく我が魂の叫びである神威モード奥義神威クラッシュを発動!! (俺の)命が欲しいか……!?ならばくれてやる!! 俺の命の半分が今正に光となって弾ける!! ……なんて思ってた時だった。 なにやら耳に、“キィイイイイ……”という奇妙な音が聞こえるのだ。 ハテ?と音のする方向を見ようとすると───意外。なんとそれは天井の果てからだった。 ますます何事?と首を傾げようとするが、アースドラゴンの体はもう目前。 なんだろうが構わん!俺はこのまま流星となって ギバガチュドッガァアアアンッ!!!! 中井出「ほぎゃぁあああああああァァァォォォォォ…………!!!」 ……星になった。
【Side───晦悠介】 彰利 「オーイ悠介悠介〜!こっちこっち!     なにやら向こうの方がドカバキギャーってうるせぇえええのよ!!     きっと誰かが居るに違いねーーーっ!!」 悠介 「向こうって……遺跡探索はしなくていいのか?     なんだかんだで無駄なバトルで時間潰したが」 彰利 「オホホホ、ここがダンジョンで宝があるとしても、     中井出が先に入った時点で何も残っちゃいねー……そう思わん?」 確かにそうだった。 ゲームを愛するあいつが、ダンジョンで宝箱の取りこぼしなぞするわけがない。 彰利 「というわけでレッツゴー!トゥ・ドアー!!     ホレホレ、あの扉の先じゃよ!?……つーかデカッ!!     近づいてみて解ったけどめっちゃくちゃデカッ!!」 彰利と一緒になって扉の近くにまで歩み寄る。 さっきから巨大生物の咆哮らしきものを何度も聞いてるが…… まさかこの中で中井出か誰かが守護竜と戦ってるとかじゃないだろうな……。 悠介 「おい彰利、ちょ───うぉわああああっ!!?」 彰利 「ひっかっりっとっかげっとぉ〜♪かっさっなっる場所へっいっま〜♪」 ちょっと様子を見よう、と言おうとしたら既に扉を押し開いている彰利が!! ああもう馬鹿者!どうしてこいつ───というか原中生ってのは後先を考えず───!!  ドッゴォオオオオオーーーーーン!!!! 彰利 「へ?おわホギャァアアーーーーーーーーッ!!!!!」 悠介 「ぐわぁあっち!?な、なんだぁっ!!?」 扉を開けた途端、物凄い速さで移動をする中井出を見た───と思ったら、 天から降り注ぐ超巨大レーザーが、中井出の前方で暴れていた巨大生物と…… まあその、中井出を飲み込むように舞い降り、炸裂した。 当然信じられないくらいの爆風が巻き起こり、 風の通り道でもある扉の先に居た俺達は、まともにその風圧に押されて怯んだ。 彰利 「ぶわっぷ!物凄い砂だ!ぶべっへべっぺ!口の中に入った!!     ダ、ダメだ!泥かなんかの味がする!とても食べられない!!」 悠介 「漂流教室みたいなこと言ってないで状況の心配をしろよ!!」 もう無茶苦茶である。 まるで狙いすましたかのように舞い降りた巨大レーザーと、 風穴が空いたこの遺跡に舞い降りる陽光……そして。 レーザーが舞い降りた場所で、 うつぶせ状態でプスプスと焦げている……多分中井出だったモノと、 直撃を受けてビクビクと弱っている……恐らくアースドラゴン。 彰利 「うーお……なにコレ、衛星レーザーでも舞い降りた?」 悠介 「この世界にそんなものがあるとは思えないが……」 声  『しっかりするのじゃヒロミツー!!』 声  『早く回復を!まだきっと間に合う!』 悠介 「……うん?」 ふと聞こえた声に、超巨大広間に入って上部を見上げる……と、 高い位置にある溝らしき場所に居るドリアードと魔王の子を確認した。 で、確認したらしたで地面ではメキメキと回復しながら起き上がる中井出が。 中井出「忘れてた……サテライトリンカーが発動してたの思いっきり忘れてた……。     ていうかなにもあのタイミングで降ってこなくてもいいじゃねぇかよぅ……」 ……よく解らんが、また彼にとってとても優しくないことが起こったらしい。 でも“まあ中井出だしな……”で納得出来るのは、 それが提督の提督たる所以なのかもしれない。 意味がよく解らんが。 彰利 「ど、どうするネ?竜の方、ありゃかなり弱ってるゼ?     ブッコロがして経験値ガッポリ頂く?」 悠介 「やめとけ……その直後に中井出にコロがされるのがオチだ」 彰利 「………………なんかさ、今の中井出見てると、     俺達上の修行場でなにやってたんかなぁと思う時があるんだけど」 悠介 「お前のことだからどうせ修行するより遊んでたんだろ」 彰利 「うぎっ……!!ソ、ソンナコトナイヨ?」 悠介 「実に解りやすい反応をありがとさん。     ……このまま中井出の戦い方を見てるとしよう。     少しは魔王討伐の情報になるだろ」 彰利 「オッ……クォックォックォッ、そちも悪よのう越後屋……!」 悠介 「はっはっは、越後屋には敵いませんぜ……!」 彰利 「……え?両方越後屋なの?」 悠介 「お前はなにか、自分が代官クラス並に偉いとでも思ってるのか」 彰利 「え?えー……いや、そりゃ姑息さで言えば越後屋かも……。     ていうか俺達なに話してんの?」 知るか。 【Side───End】
ガフリガシュガシュショショリショリショリ……ゲェッフ!! マキィンッ!!……ポムポム。 中井出「完!全!回!復!」 バックパックに残ってたなけなしの回復アイテムを一気食いして回復完了!! その頃にはアースドラゴンもよろよろと起き上がり、俺を見て威嚇を始めた。 無茶バトルも力があれば通るものだという証拠がオオここに!! でもさすがに死んだら元も子もないので───死ぬ覚悟で最後まで全力!! 知れ!全ての子めらよ!! 元も子もないという言葉などやって失敗した者こそが使う言葉!! やる前からそんなことでは常識などブチ壊せない!! だから謳おう今がその時!!5……4……3……2……1!! 中井出「魂今高らかに!輝け!俺!!マグニファイ!!」 アースドラゴンが弱りながら威嚇し続けていることをいいことに、 しばらく待って、使用から10分が経過したことを確認したのちにマグニファイ解放! もちろん死ぬ覚悟でと言ったからにはあれも発動!! 中井出「この一時だけ僕は阿修羅となりましょう!!レッツエンペラータイム!!」 ゴコォッフィィンッ!! 唱えるとともに、俺の体に次々と色を変える闘気が出現する。 それは火円と混ざって、 まるで虹色の光沢のように揺らめいて、俺が見る景色を彩っていた。 中井出    「覚悟はいいか?俺は出来てる」 アースドラゴン『───』 変化した雰囲気を感じ取ったんだろうか。 アースドラゴンは威嚇をやめると、ギチチと喉を鳴らしたのちに───飛び掛ってきた!! だが知るがいい竜の者よ! 今の俺相手に、無謀にも空から向かってくるのは自殺行為だということを!! 中井出「俺を殺すというならば───越えて見せよう限界の果て!!     冥空斬翔剣解放!六閃化解放!!───連撃いくぜ!!超速黄竜剣疾風斬!!」 俺目掛けて跳躍し、押し潰さんと落下してくるアースドラゴン目掛け、 霊章から出現させた双剣を手に構え、剣を振るってゆく!! 中井出「オォオオオオオオーーーーーーーッ!!!!フィンザガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!! ギシャゴバザゴゾゴズシャバシャゴバァアォオオンッ!!!! ドンガガガガガガォオオオオオオオンッ!!!! アースドラゴン『グギャァアアォオオオオオッ!!!?』 恐らく、通常ならば剣を振るい続ける間も無く潰されるだけだったであろう試み。 しかし六閃化させ、さらにそこから四閃を生じさせ、 双剣から放つ合計四十八閃の閃きをさらに一呼吸のうちに四閃繰り出す疾風の軌跡。 それは次々と剣の残像を生じさせ、無防備にも落下するだけの巨竜の体を、 鱗さえも斬り砕き、決して落とすことなく破壊してゆく───!! さらに破壊した先から粉塵が舞い、それに衝撃が加わることでさらに爆発! 鱗のカケラさえ爆滅し、なおも次々と斬撃を連ねてゆく!! 中井出「“108”!!“112”!!“116”!!“120”!!」 ギシャゴバゾンガガガガガガォオオンッ!!!! アースドラゴン『ギ……、ガ……!!!』 その速度は自分でも驚くくらいに神懸り的なものだった。 一つずつを唱えるのでは間に合わないくらいの速度であり、 弾け続ける黄竜闘気と血飛沫がその場に舞い、 それでもなお仕留めたと確信が持てるまでは手を休めたりなどしない。 限界を超え、なお限界へ。 この一時のみ全ての能力の制限を解放するエンペラータイムは、 疾風奥義さえ例外と見なさず、見る者全てを驚愕させるであろう連撃をこの場に見せた。 そしてやがて、疾風が200に至ろうとする頃。 俺は空気を一気に吸い込み、吐き出すとともに─── 中井出「はっ……はぁっ───!!くぅうたばれぇえええええっ!!!」 既に真っ赤に染まったソイツの腹目掛け、渾身の一撃を込めて振り切る!! ゾガァアッフィィイインッ!!! アースドラゴン『ギ───!!ドッガァアアアアアンッ!!! 鱗も甲殻も破壊された、ソイツの剥き出しの胴体が真っ二つに両断された。 アースドラゴン自体も既に絶命していたらしく、 胴を斬った拍子に空気が抜け、ギ、と鳴ったようだ。 中井出「はっ───かはっ……!え、……え?終わったの?コレ終わったの?」 あんまりに必死だったために実感が沸かない……。 なにせ今までの守護竜討伐には、 大体狂いし者が乱入してきて致死ダメージを与えたようなものだからだ。 しかし確かにエンペラータイムは時間を待たずして終わりを告げ…… 中井出「は……はは……よっしゃ勝ったぁあーーーーーっ!!!     はぁっ!ははっ……は……っ…………はぁああああ…………!!」 両断された胴体は轟音を立てて砂の上に落下し、 俺はそれを見て、ようやく……ゆっくりと息を吐けた。 あとに残ったものは、こんなに静かだったっけと思う静かな空間と…… 俺のところへと文字通り飛んでくるナギーやシード─── そして、ここの入り口であった場所で、 口を開けたまま固まっている彰利と晦の姿だけだった。 いつ戻ってきたのかは知らないけど……今は考えるよりも休みたい……。 もちろん先に進んで財宝を奪おうってんなら刺し違えてでも全力でコロがすが。 Next Menu back