───冒険の書176/花舞う都復活祭───
【ケース454:中井出博光(再々)/神曲奏界ボルカニカ】 そして……僕はここに居る。 中井出「成敗……!」 新たなる力を込めた武器と防具を身に付け、アンデッドどもが息絶えた元花舞う都に。 おお、この武具のなんと扱いやすいこと。 まるで己の手足のように軽々と動く。 財宝だの鉱石だのをふんだんに使ったジークフリードはもはや芸術品さ。 ……まあ、あの財宝や鉱石で鍛えられるところは鍛えちゃったから、 財宝とか鉱石はまだごっそりと残ってるわけだけど。 今のところかさばるって理由で老に預かってもらってるけどね? ともかく俺は、ゾンビどもが息絶えた元花舞う都の中心で武器への愛を叫んでいた。 何故って、まあ話すと長くなるんだが……簡潔に纏めてみようか。
【短縮回想】 ロイド 『さて……遺跡が潰れてしまった今、ワシらは何処へ住むべきか……』 アイルー『実はボクらの修行の洞窟も、      ブルードラゴンの猛威によって壊されてしまったニャ……。      最近守護竜が討伐されていっている所為か、      他の竜たちが荒れてきているのニャ。      ブルードラゴンも生息海域を広げて、      とうとうボクらの修行場を破壊していったニャ』 中井出 「うぐっ……それは耳が痛いというか……」 アイルー『別に旦那さんを責めているわけじゃないニャ。      ただ猫の里の方もストームドラゴンに潰されてて、八方塞がりニャ。      なんでも誰かが風の宝玉を盗んだらしくて、      それを探して暴れまわってるのニャ。もうあそこはダメニャ。      だから出来れば住む場所があれば嬉しいニャ』 ロイド 『ふむ……ワシらもこの人数で放浪するのは辛いところだ』 アイルー『ボクらもこの猫数だと行き場がないニャ』 ジョニー『困ったものだニャ……』 ナギー 『ふむ……だったらエーテルアロワノンに住めばいいのじゃ』 中井出 「なにっ!?あのゾンビパラダイスにか!?」 ナギー 『清めれば使えるのじゃ。ヒロミツがモンスターを全滅させて、      その隙にシードが死の気配を吸収。      わしが然の力で元の花舞う領域を復活させればいいのじゃ』 中井出 「や、けど……出来るのか?」 ナギー 『既に然の力は解放されているのじゃ。      それに先代の宝玉まであるのじゃ、成功は約束されたようなものなのじゃ!      どーんと任せるのじゃー!!』 中井出 「おお……よく言ったナギー!      ならばこの博光も剣を鍛えてもらった恩を返すため、全力で力を振るおうぞ!!      シード!邪気退散は任せたぞ!」 シード 『はいっ!父上!!』 【回想End】
そんなわけで……今に至る。 いやぁ素晴らしいですよドワーフたちに猫たちよ! 新たな武器と防具!どちらも素晴らしい! ……名前は変わってないけどね? そんなことを考えながら、再び武器に調べるを実行。  ◆稀紅蒼剣ジークフリード+4780  古の頃にしか手を合わせなかったとされる、アイルー種とドワーフ種による至高の合作。  今やそれだけで値がつけられないほどの価値を持ち、  そんな種族たちが全霊を込めて鍛った剣はもはや唯一無二と言える至高の剣。  常に光を帯びており、含まれている属性色へと変化してゆく。  魔法鉱石の魔力によって霊章と同化し、  持ち主の強さに応じて成長するように進化した使用者と一心同体の剣。  柄に細工がなされていて、  柄を伸ばして槍のように扱うことも可能なギミックウェポン。  その際、武器系統の全ては槍のものへと移行される。  守護竜素材で彩られる彩色は美しく、  しかし美しさとは真逆にその破壊力は悪魔的とされ、  剣から発せられる守護竜族の威圧を感じ、竜族でさえ子供のように竦み上がるという。  ◆潜在能力:双剣化、技術スキル効果UP、固有秘奥義解放、属性攻撃力UP  ◆追加技術スキル  石牙       :★★★★★☆/土属性攻撃強化 土属性の攻撃力がUPする  岩爪       :★★★★★☆/石牙の強化スキル さらに土属性攻撃力がUPする  連        :★★★★★☆/連続攻撃系の技や連続物理攻撃力がUP  殺        :★★★★★☆/強力一撃系の技や一撃物理攻撃力がUP  飛        :★★★★★☆/飛び道具系の技や投擲系攻撃力がUP  ラグランジュ神速剣:★★★★★☆/基本攻撃速度が上昇  デルフリンガー  :★★★★★☆/一定以下の魔力量の魔法を剣で吸収可能 TP変換  フォースブリンガー:★★★★★☆/TPを消費して攻撃力UP 使用するかは任意で  エレメンタルガード:★★★★★☆/魔法防御力大幅UP 弱いものは吸収  恐怖心マイナス  :★★★★★☆/逃走中のスタミナ減少を軽減  マグナムグローヴ :★★★★★☆/拳から属性の空拳が放てる ほぼD-マグナム  トランプル    :★★★★★☆/ドンナーでの踏みつけ時に強烈な落雷が発生  ギガボマー    :★★★★★☆/ボマーの昇華 灼紅剣の秘めたる力  エアブリンガー  :★★★★★☆/風刃の昇華 蒼藍剣の秘めたる力  緋々色の祝福   :★★★★★☆/全属性強化 魔法効果UP 魔法耐性UP  戦女神と邪竜の加護:★★★★★☆/防御力がさらにUPする代わりに弱点ダメージ増加  悪魔の霧     :★★★★★☆/狂人スキル 敵の軟弱的行動を察知後 カウンター  弱者など要らぬわ!:★★★★★☆/狂人スキル 軟弱行動をとる者に対し攻撃力が倍化  狂人の狂気    :★★★★★☆/狂人スキル 斧攻撃力が極大上昇  五体凶器     :★★★★★☆/狂人スキル 常時ハイパーアーマー化  大戦士の誇り   :★★★★★☆/突き攻撃力がUP STRに+修正  魔人の加護    :★★★★★☆/体術攻撃力がUP STRに+修正  人器-ジンギ-   :☆     /感情の変化などで能力が上昇 種族:人間のみ  ◆追加ジョブアビリティ  魔人降臨   :超変身スキル。魔人カルキに変身する。武器は自動で体術武器になる。  シャンドラの火:超変身スキル。大戦士カルガラに変身する。武器は自動で槍になる。  狂人乱舞   :超変身スキル。狂いし者に変身する。武器は自動で斧になる。  *補足:変身スキルはどれも一部の能力が封印される。      カルキになれば拳スキルが使え、他の武器スキルが使えなくなる、など。      当然槍スキルのフォアストールなども使えなくなる。      つまり剣技は変身していない状態でなければ使えないというであり、      一部を除く技能スキル、秘奥義、潜在能力などが封印される。      ただし力の発揮を一点に集中するため、どの変身も能力が極大増加する。      武器はそれぞれ、霊章融合したなにかしらの武具に変化する。      なお、固有武器を持つ場合、それぞれのアビリティを使用可能。      体術ならば界王拳、槍術ならば撃竜槍、      斧術ならばギガンティックスローター。      それぞれ体術能力UP,槍能力UP、斧能力UP。    *:魔人降臨は憑依した魔人カルキの能力が、      緋々色鉱石の魔力によって覚醒した状態のもの。      武器は自動で“フラムバースト”という体術武具に変化する。    *:シャンドラの火は変身能力が強化されたもの。      能力が極大増加した状態で大戦士カルガラに変身する。      武器は自動で“大戦士の槍”という槍に変化する。    *:狂人乱舞は身に宿った狂いし者の具現化。      体を完全に狂いし者に委ねる。もちろんベルセルクなどの能力も自動発動。      退くことも術を使うこともアイテムを使うこともしない男の魂がここに。      敵を前に防御に徹する者や後退る者や逃げ出す者や背後に回る者が大嫌い。      さらに術に頼る軟弱者が嫌いであり、なによりアイテムを使う者が超嫌い。      男ならば己の五体と武具のみを信じろと絶叫できる“超・漢”である。      武器は自動で“ディアボリックフォッグ”という斧に変化。      変身を実行するとアイテム使用はもちろん、      逃げることも退くことも防御することも術に頼ることも一切不可能になる。      真正面からぶつかっていき力の限りに敵をブチノメす熱き男の変身能力。  ◆追加秘奥義  庭師剣【楼観】    :斬れぬものなどあんまりないと謳われた剣。  庭師剣【白楼】    :斬れぬものなどほとんどないと謳われた剣。  庭師剣【白楼観】   :斬れぬものなど少ししかないと謳われた剣。  ジェノサイドカウンター:狂人スキル。悪魔の霧で発動するカウンターの一部。  *補足:庭師剣は“ていすいけん”と読む。楼観は“ろうかん”。白楼は“はくろう”。      白楼観は“はくろうかん”。斬れぬものなどあんまりない。     *庭師剣【楼観】は一撃が10ヒットになる珍妙奥義。      一回振るえばヒットしてもしなくても3分は使えない。      強力な一撃限定技などと組み合わせると強力。     *庭師剣【白楼】は人の迷いを断ち切り勇気を齎す珍妙奥義。      モンスターなどの咆哮に怯まなくなる他、      迷いなく攻撃出来るため、攻撃力……ではなく、攻撃威力が上昇。     *庭師剣【白楼観】はほぼ斬鉄剣。ただし斬れたり斬れなかったりで、      斬れなかったらダメージも無し。斬れたら一撃必殺の珍妙奥義。      アンデッドには大体利くのだが、      10体分の殺傷能力しか発揮してくれない実に中途半端な技。     *ジェノサイドカウンターは数種類が存在。それぞれ敵が軟弱行為をとると発動。 ───……うむ、何度見ても素晴らしい。 思わずハーネマン教官のように撫でたくなるくらいに素晴らしい。 ああ……お前はなんて美しいんだ……! ヴフォォオンッ!!フォンッ……ガシャァンッ!! 中井出「ふぅっ……!」 と、危険な思考は置いておくとして、振るった剣を地面に突き刺して一息。 霊章を通して一心同体となったソレは俺のレベル分まで+が付き、 鍛えて成長させるのではなく俺の成長とともに進化する剣となった。 ……そのためか、もはやハンマーでどれほど鍛っても+はつかず、 俺がレベルアップするまではビクとも成長しないヒネクレた武器になった。 猫とドワーフの技術で鍛えられたジークフリードはとてもとても軽く、 しかし振ってみれば大剣よりもさらに重そうな、空を裂く音を発する。 そんな風に緋々色結晶やオリハルコン、 魔法鉱石などとの融合によって随分な成長を遂げてくれた。 俺はその事実を……とても嬉しく思います。 今やジークフリードとファフニールとドンナーとブリュンヒルデは同化済み。 どれをとっても破壊力満点さ! 中井出「ではシード!邪気沈静……ゴー!」 シード『はい父上!───はぁあああっ……!!』 ビジュンッ……ンゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォオオ……!!! 俺の言葉に素直に頷いて、、シードが両手を前に翳す。 するとこの都を覆うジュノーンの邪気が次々とシードの手に集ってゆき、 やがてどんどんと吸収されてゆく。 シード『っ……く、うぅう……!!』 だが。 その邪気の量は尋常ではないんだろう。 シードはやがて汗を出して苦しみをあらわにしてゆく。 中井出「ナギー!すかさず浄化GO!!」 ナギー『任せるのじゃ!』 そんなシードを助けるが如く、続いてナギーが浄化を実行! いくら邪気が多かろうが、 これこそが“然の魔力で邪気を弱まらせればそう苦しまないだろう”作戦である! ちなみに命名・俺。 老にネーミングセンスが無いなとキッパリ言われてしまった俺である。 しかし作戦は成功だった。 苦しんでいたシードは次第に落ち着きを取り戻し、 都を包んでいた空気は澄んだものへと変わっていった。 常に暗雲に包まれているかのように暗かった景色も明るさを取り戻し、 噴水の水も浄化され、粘着性もまるで無くなっていた。 そして─── 中井出「ん……桜?おお桜だ!!」 その都に、再び桜の花びらが舞った。 ナギーが力を解放すればするほどその数は増し、 気づけば───見える景色は綺麗な都の町並みを完全に取り戻していた。 ロイド『ほお……見事なものだな』 シード『ふぅ……っ……はぁ……!……吸収、終了しました……!』 中井出「む、ご苦労だったシードよ。辛そうだが……大丈夫か?」 シード『かなり、危険でしたが……それでも成功には辿り着けました……』 中井出「うむ、貴様の頑張りに感謝だ」 シード『い、いえ、成功したのは父上が戒めの宝玉を幾つか解放してくれていたお蔭です。     属性の解放でジュノーンの邪気の力が弱まっていなければどうなっていたか……』 中井出「おお……」 そ、そうか……あの苦労も噛まれた痛みも、全ては無駄じゃあなかったってことか……。 シード『しかし安心してください父上。僕もただ沈静させるだけではありません。     ジュノーンの力を吸収することで、先ほどよりも力が増加したのが解ります』 中井出「なにぃ!?なんと便利な……!     てことは宝玉解放してジュノーンを弱体化させればさせるほど、     その力を吸収すればするほど、貴様は強くなれるということか!」 シード『恐らくは、ですが』 それはいいことを知った! ますますやり甲斐が出てきたっていうものだ! と心が踊る中、ナギーがハフゥと息を吐きつつ戻って来た。 ナギー『……ふぅ。ヒロミツ、浄化が終わったのじゃ』 中井出「うむ。ご苦労だったな、シード、ナギー。貴様たちの力のお蔭だ」 他の誰でもない、俺の傍に来て報告する二人の頭を撫でる。 すると心底嬉しそうに撫でられるままになるもんだから、 こっちとしてもなにやらやたらと嬉しかったり。 と、和むのもほどほどにして、と。 中井出「猫、老、俺が言うのもなんだけど……こんな都でいいのかな」 花も舞い、かつての景色を取り戻しつつあるここ、エーテルアロワノン。 だけどやっぱりところどころが倒壊したり破壊されていたりと、 住むには不便が目立っている気がするのだ。 ロイド『おお。十分すぎるくらいだ。     ワシらドワーフ族とアイルー族はここで暮らすとしよう』 しかし老は気にすることもなく頷いてみせたのだ。 おお……なんと器の大きい御仁よ……背は小さいのに。 ドワーフ2『壊れた箇所を気にしてるんだったらそれこそこっちの得意分野だ。       武器でも建物でも、タンタンタンって完成させてみせるさ』 あ……なるほど、そういやそういうの得意なんだっけ。 でもドワーフが大工仕事って……あんまり想像がつかない。 ロイド『まあそれはそれだろう。ところで坊や。余った財宝はどうする?』 中井出「こちらで引き取ろう。売りに出すにはあまりにももったいない」 ロイド『そうか。また何かしらのいい素材を手に入れたら来るといい。     その時は喜んで腕を振るおう』 デッテーケテーン♪《ドワーフの財宝と鉱石や合金の余りを受け取った!》 おお……まだまだたんまり残ってるよ。 口惜しいけどこの素材ではもうジークフリードは成長しないのだ。 今ある素材で引き出せる能力は限界まで引き出した。 にも関わらず、まだまだごっちゃりと残ってるわけで。 どうしようかなこれ……旅の行商人にでも扮装して猛者どもに売るか? ……でもいきなり襲い掛かってきそうだよね。 選択肢があったら絶対に項目の中に“殺して奪う”が入ってるよ。 中井出「えっと……?」 財宝関連は杖や刀や鞭や忍刀やハンマーなどだ。 ジョブ専用武器は、いくら剣と融合させても潜在能力とかが引き出せないから意味がない。 そこのところは考えてあるらしく、 剣なら剣、刀なら刀と、いろいろ制限が設けられているらしい。 剣士なら剣や斧や短剣や槍が合成に向いていて、 刀士なら刀や忍刀や短刀や戟などが合成に向いているらしい。 だから剣に刀系や戟などは合成しても無意味なのだそうだ。 もちろん刀に剣を合成しても無意味、といった感じで逆もまた然りというか。 杖やナックルや鞭などはそれ同士じゃなければ合成できないらしい。 以前まではそんな設定はなかった気がしたんだが…… またバージョンアップで変更されたらしい。 バージョンアップっていっても、いいことだけがあるわけじゃないのが辛いところだ。 さて、話を残っているものの話に戻そうか。 財宝はさっき言った通りで、鉱石は…… 緋々色鉱石は使い切ったみたいだけどオリハルコン原石やオリハルコン、 魔法結晶とかがまだ結構残ってる。 こういうものを見るとつくづく惜しいと思うものの、 やっぱりこれで出来る強化は終わってしまっているため、無理に使うのももったいない。 ……ちなみに。 ナギーやシードの武器も強化済みだっていうのにこの余り様だ。 ナギーの武器は激鎚オンスロートっていうやたらゴツいピコピコハンマーに変化したし、 シードの武器は魔傘ラヴェラディルボバルボっていう魔法傘に変化した。 どちらも魔力増加の他、魔法関連においてはパワーアップする装備だ。 老の話じゃあ俺とナギーとシードの武器は、 手持ちの鉱石や武具で出せる最大限のものを引き出した、とのことなんだが。 それでもごっさり残っている素材っていったいなんだろう。 三人分のバックパックでも入りきらなかった素材の数は、 やはりハンパじゃなかったってことだろうか。 中井出「さて、それじゃあ───……」 シード『次は何処に行くのですか?』 ふむ、と思考にふけるとシードの声。 そうなんだよな、よく考えてから行動しないと、 使いたい属性が使えなくて後悔することになるかもしれない。 これでまた土属性が使えなくなったわけだし。 次は……水? 中井出 「うむよし!次は海に潜むといわれるブルードラゴンを退治するものとする!      修行場を破壊された猫たちの無念を今こそ打ち晴らすのだ!!      だが間違うな!真の勝利は竜を討伐することではなく、      あくまで戒めの宝玉の発見、破壊である!      何故ならそれが出来た時、      守護竜は守護竜という名の無意味さに打ちひしがれることになるからである!」 ナギー 『な、なるほどの!      確かに守護竜だというのに守護出来なければ名前負けするのじゃ!      それは誇り高き竜族としては恥となる筈なのじゃ!』 中井出 「うむ!そして怒りに我を忘れたところをゴシャリと潰すのだ」 シード 『そ、そうか!さすが父上だ!敵の動揺を誘い、そこを突くなんて!』 中井出 「うむ!たとえ外道と言われようが勝てばいい……それが常識知らずの原ソウル!      正攻法など知りません!この世界では勝ったモン勝ちなのだ!」 アイルー『仇をとってくれるのは嬉しいけど、素直に喜べないのはどうしてかニャ……』 ロイド 『一概に坊やが正義だと聞こえないからだろう』 中井出 「甘し!俺は正義など謳わん!その名を盾にしても面白くないからである!!      俺は俺の道をゆく!そしてその道とは正義というよりよっぽど外道!!      そうじゃなけりゃ魔王だとかエロマニアだとか呼ばれてるもんかぁああっ!!」 ロイド 『お、おお……?泣いておるのか……?』 中井出 「泣いてないよ!!僕強い子だもん!!      魔王はよくてもエロマニアは勘弁してだなんて、      言っても無駄だって解りきってることだもん!!」 ロイド 『そ、そうなのか?よく解らんが……まあ、強く生きろ』 もうほんとそうしたい。 じゃなきゃ挫けそうだからほんと……。 どれだけ頑張ってもエロマニア扱いは消えないから…… 特にサンドランドノットマットの皆様からは。 風聞が流れたとしてもさ、 “お、おい!ここらに魔王が現れたらしいぜ!?” “ああ、あのエロマニアの” って感じで納得されそうでもう悲しすぎる。 だがもう悲しむまい……何故なら俺はこの世界を楽しみ尽くすと決めたのだから。 皆には黙ってたけど俺……強いんだ。 だからたとえエロマニアと言われようと、 いつかそれさえ楽しみに変えて……───ただの変態だよそれ!どこのマゾなの俺! 中井出 「いや……もう考えないようにしよう……。      よし、次は水!猫よ!ブルードラゴンは何処に生息しているのだ!」 アイルー『海なら何処にでも現れるニャ!      でも多分、西の大陸付近か時の大地付近に出没しやすいニャ!      狙うならそこニャ!』 中井出 「そうか!それはまた───……宝玉探すのが大変そうだね……」 ナギー 『お、落ち込むでないのじゃヒロミツ!』 シード 『そうですよ父上!父上ならばブルードラゴンくらい指先一つでダウンです!』 中井出 「………」 最近、義理の息子がナギーと同じく偏った知識ばかり持ち始めているような気がする。 それを喜ぶべきか悲しむべきか、パパは少々不安です。 でも確かにここでこうしていても埒も無し。 指先一つは無理だけど頑張れば、今のジークフリードならなんとかなるさ! 何せ+だけなら以前の三倍以上はあるけぇのう!! 普通に考えて、攻撃力だけなら三倍以上!これで負けたらむしろ恥と知りなさい! だがこの博光、既に恥などいくらでも知っている修羅。 たとえ負けようが甘んじて……悲しもうかなぁ。 そんな不安いっぱいの心境の中、僕らは猫やドワーフたちに手を振り、 桜風舞うエーテルアロワノンをあとにしたのだった。 【ケース455:霧波川凍弥/世界はほんとよく回ってる。いいことも悪いことも含めて】 陽の光に翳すように、ソレを持ち上げた。 といってもとても軽く、そう重みなんて感じないくらいのソレは、 俺の人差し指と親指の間で陽光を受けて綺麗に輝いていた。 凍弥 「へぇ……綺麗なもんだな」 名前は戒めの宝玉というらしい。 風の属性を孕んでいるソレは、確かに宝玉の中で風が渦巻いているようにも見える。 つい一昨日、モトノフフ大渓谷を彷徨い、 ストームドラゴンが居ないうちに盗んできたものだ。 エィネが居ると随分あっさり見つかったものの、 盗んで以来ストームドラゴンの気性がかなり荒くなったと聞く。 今ではほぼモトノフフ大渓谷の反対側に位置する場所に居る俺と与一と篠瀬とエィネは、 ようするにそれだけの間ずっと逃げ回ってたというわけだ。 普通に戦って勝てそうになかったから、というのが最大の理由なんだが…… 戦いに巻き込んだら 本当に死んでしまいそうなエィネを連れての戦いは避けたかったというのが与一の発言。 でもそうなると案外不便なもので、NPCを連れての戦いがやりづらいもの、 と認識されるのはそう遠くないんじゃないかと思う。 いっそのことNPCは敵に攻撃されないってシステムが付けばいいのに。 ……自分から戦いにいくNPCは度外するにしても。  ピピンッ♪《はいそれ採用!》 凍弥 「───へ?」 遥一郎「……うん?なにか言ったか?」 凍弥 「え、あ、いや……なんかナビが勝手に……」  ピピンッ♪《NPCが敵に狙われなくなった!……ただし自ら戦う場合は別である》 凍弥 「…………」 いいのか?こんな簡単で。 でもこれで戦いやすくなったのは事実だ。  ピピンッ♪《なお、攻撃の余波なども風圧が襲い掛かるだけで無害である》 あ、それは素直に助かる。 相手がドラゴンとかだった場合、ブレス一発で吹き飛ばされて死ぬってこともありえるし。 ……まあ、本当にドラゴンと戦うかはまた別の話としてもだ。 凍弥 「で、散々逃げ回ったわけだけどさ。これからどうするんだ?」 遥一郎「自由時間を満喫する」 凍弥 「うわっ!メッチャいい顔!!……与一ってさ、以前の悠介さんに似てきたよな」 遥一郎「その手の話は聞き飽きたな。まあ、いいんじゃないか?     巻き込まれる苦労はいろいろ理解出来るつもりではあるし」 凍弥 「……あっちのほうがグレードは高そうだけど」 そんなことを話しながら歩き続ける俺達だが、敵が現れれば……篠瀬が真っ先に斬滅し、 当てもなく歩けば……篠瀬が北へ向かうぞと叫ぶ。 で、それに対してべつに北に用は無いが、と言うのが与一の反応。 俺もべつに北に用は無いかも。 エィネが言うには、ここから北に行ったところに宝玉の反応は無いとのことだし。 ……あんまりにも適当なので信用していいのかは解らないけど、 これがまた近くの宝玉反応には物凄く的確な説明をくれるので、疑う余地が少ししかない。 さて、それはそれとしてなんだが…… 夜華 「………《キョロキョロソワソワ……!》」 この、やたらと周囲を見渡しながら歩いている顔馴染みはなんとかならないだろうか。 まるで万引きでもした子供じゃないか。 凍弥 「…………あ。彰衛門だ」 夜華 「なゎっ!?き、ききき奇遇だな彰衛門!こんな場所で巡り会うなど!     あ、い、いや!?わたしは別に貴様なぞ探していたわけでは───」 凍弥 「ウソだ」 夜華 「がぁああああああああああああっ!!!!」 凍弥 「《ヒュオガギィンッ!》とわぁああああああっ!!?や、ちょ、落ち着けぇっ!!     前触れも無しにキレるなぁああああああああっ!!!!」 冗談抜きで本気で振るわれた刀をなんとか受け流し、一息。 悲しいかな、今の俺じゃあ篠瀬の刀術に反応し続けることが出来ない……! けど速さになら自信がある。 光の精霊の加護により速度だけは増しているからだ。 ……他人任せな力で、正直恥ずかしい限りだが。 つくづく自分がナマってた事実に呆れが入る思いだ。 凍弥 「どうしてお前ってヤツはそう彰衛門のことになると我を忘れるんだよ!     少しは落ち着け!お前相変わらずすぎて頭痛いぞ!」 夜華 「だだ黙れ黙れ黙れっ!!     わたしは彰衛門のことなど気にしていない!ああしていない!!当然だ!     これは貴様が、だな……!そう!虚言を語ったから、その制裁だ!!」 凍弥 「ウソつけぇえっ!!それこそまさに虚言だろうが!!大体───あ、彰衛門」 夜華 「い、いや違うぞ彰衛門!これは違う!     わたしはべべ別に暴力を振るっていたわけでは断じてない!     鮠鷹がわたしを虚言でたばかろうと───」 凍弥 「ウソだ」 夜華 「くわぁがぁああああああっ!!!!」 凍弥 「怒る前に自分を《ガギィンッ!》うぉわぁっ!?     お、怒る前に自分を見つめ直してみろというのだこの馬鹿者め!!     どうしてお前はそうなのだ!!」 遥一郎「凍弥〜、口調が前世に飛んでるぞ〜」 凍弥 「今そんなこと気にしてる余裕なんて無いんだよっ!!」 鍔迫り合いをこんなところでする破目になるなんて誰が思おうか。 というか一応俺達パーティーなんじゃなかったか? エィネ『お二人とも、喧嘩なんかしていても置いていかれるだけですよ?』 遥一郎「あのな、頼むから静かな旅をさせてくれ。     賑やかなのは許容できるけど巻き込まれる騒ぎだけは勘弁だ。     ……ああほら、メシでも作るからそれで落ち着いてくれ」 夜華 「わたしは腹を空かせてなど───!《きゅくるるる……》うぐっ!?」 凍弥 「隙ありチェストォッ!!」  スッパァンッ!! 夜華 「うあわぁっ!?」 鳴った腹の虫に顔を真っ赤にして動揺した篠瀬の足を、思いっきり払う! すると見事に倒れる篠瀬。 すかさずその顔面に拳を突き付け、 凍弥 「いいかい……俺の下段突きはコンクリートブロック3枚を粉砕するぜ。     敗北を…………………………認めるかい………………?」 彰衛門のようなことを言ってみる。 というよりは刃牙の愚地克己の真似だと思ったが。 夜華 「くっ……!断る。わたしは───……!?あ、彰衛門!?」 つい、と俺の後ろに目を向けた篠瀬が言う。 だがその手には乗らない。 凍弥 「俺が言うのもなんだけど芸が無いぞ篠瀬。そんなに都合よく───」 彰利 「オンドレワシの妻になにしてくれとんのじゃコラァ……!!」 凍弥 「ってほんとに居たぁあああああっ!!!」 聞こえた声に絶叫! 心底驚いた俺はその場から飛びのくと、改めて彰衛門へと向き直った。 夜華 「あ、彰衛門……!す、すまない、また貴様に助けられ───」 彰利 「夜華さん夜華さん見て見て!」 夜華 「む……な、なんだ?」 と、素直に礼を言おうとした篠瀬の言葉を遮って、彰衛門は急に……変形した。 なんというか黒を操って下半身を馬にし、さらに腹の部分に……謎の女性の顔を出して、 彰利 『サタンクロス……!!』 これを見せたかったために今までを生きてきたと言っても 差し支えないくらいの極上至福スマイルを見せ、両手を広げながらそう言った。 ……次の瞬間、サタンクロスは篠瀬によって八つ裂きにされた。 Next Menu back