───体験版/初心者修練場バトル───
【ケース39:弦月彰利(再)/初心者修練場(再)】 ───……。 ナイト「こっぴどくやられたようですね。まだ戦闘マップで鍛錬を続けますか?」 彰利 「こっぴどく攻撃したのは戦闘マップの魔物さんじゃなくて、     貴様と神父なんだが……文句言っても始まらんね。んじゃあ戦闘させとくれ」 ナイト「解りました。それでは健闘を祈ります」 中井出「こいつもいつかブチノメしたいなぁ」 丘野 「きっと神父よりは先にブチノメせるでござるよ!!」 真穂 「なんだか目的がどんどん捻じ曲がっていってるよぅ……」 負けっぱなしは嫌なもんなんです真穂さん。 ともあれ、さあ戦闘開始!! ───……。 ……。 そげなわけで、ぼくらは森の中に居ました。 彰利 「ここが戦闘マップかね」 丘野 「そのようでござるな。きちんと敵も居るでござる」 中井出「スライムか。どうする?戦ってみるか?」 彰利 「おうとも!」 丘野 「いや、待つでござる弦月殿!あそこに御仁が!」 彰利 「むっ!?」 促された方向を見ると、そこにはナイトさんがまたひとり!! ナイト「戦闘マップへようこそ。ここでは戦闘の練習をすることが出来ます」 彰利 「あ……いや……そげな当たり前のこと言われても」 つい反射で『話し掛ける』って意思を持ったらもう止まらない。 ナイトさんはベラベラと喋り出した。 ナイト「戦う前に少し説明をしましょう。     敵はどんな方法だろうと倒しさえすれば経験値が手に入ります。     ただし多数の人数で倒した場合、経験値は振り分けられてしまうので注意。     死んでしまった場合はデスペナルティとしてお金が半分減ります」 彰利 「半分!?キツイっすねそれ……」 ナイト「ただし自分を殺した魔物を倒せばそのお金は全額戻ってきますし、     他の人がその魔物を倒してもそのお金は横取りできます。     そういう意味ではお金を取られないように死なないよう努めましょう」 彰利 「思いっきり弱肉強食の世界だなぁ……」 中井出「それにしてもよく喋るヤツだな」 真穂 「疲れたりしないのかな」 丘野 「ちょっと実験してみるでござる」 彰利 「実験?なにを」 言葉に疑問を抱くとともに振り向いてみると、胡桃を持っている丘野くんが 丘野 「さっきそこでクルミを発見したでござる。     これを、パクパクと飽きもせず動いているナイトさんの口の中に……」 コロリ……バギャッ!ゴキベキッ!! 真穂 「ひえっ!?」 中井出「す、すげぇ……噛み砕いてるよ……」 彰利 「何でも噛み砕く今井の歯だ……」 丘野 「それではこれからナイト殿のことは『今井』と呼ぶようにするでござる」 今井 「……というわけで、頑張ってください」 男衆 『あ……』 しもうた……遊びに夢中で話全然聞いてなかった……。 まあいいやね、どうせ普通のことしか言ってなかっただろうし。 彰利 「よっしゃ!じゃあ早速バトルといきますか!」 丘野 「かしこまってござる!!」 中井出「じゃ、基本に忠実にスライムあたりをブチノメーション!!」 真穂 「はぁ……やっと普通のファンタジーが堪能できるよ……」 真穂さんにはやっぱり心労が溜まってるように見えました。 やっぱり引き止め役ってのは疲れるものなのでしょう。 もっと砕けちゃえばいいのにねぇ?どうせ仮想空間なわけだし。 彰利 「あれ?でもそういえば回復とかってどうするんだろ」 真穂 「うわ……本当に聞いてなかったんだ」 彰利 「む?真穂さん?なんか知っとるん?」 真穂 「うん。さっきそこのナイトさんが言ってたけどね。     HPは立ち止まってるだけで自動的に回復していくって。     走りながらだとその速度がFF並に遅くなって、     歩きながらだとそれより少し早い。立ち止まった状態だとそれよりも早くて、     座った状態だとかなり早いって」 彰利 「おお、なるほど……」 真穂 「ただし戦闘中は回復速度自体が半分以下に低下するから、     回復しながら戦うっていう方法はあまり望めないんだって」 彰利 「………」 考えやがったな悠介の野郎……。 でも確かにね、オンラインゲームやってると、 回復時間とかがもったいなくてしょうがないんだよね。 そういう意味ではこれはありがたいシステムかもしれません。 回復の時は回復に専念できるし、闘いの時は闘いに専念できるってことだし。 など考えを巡らせる中、視界の隅では提督と丘野くんがスライムをボコボコにしていた。 中井出 「ヒハハハハハ!!弱ェエーーーッ!!弱わすぎンぜこいつァーーーッ!!!」 丘野  「神父の恐ろしさを知っている我らにとってキサマなぞ雑魚でござる!!」 スライム『ピギィーーーーーーッ!!!!!』 ボチュウンッ!!……スライム、死亡。 神父への恨みの篭った攻撃は、スライムをこれでもかってくらい粉砕してました。 中井出「ハフゥ……スッキリ♪」 丘野 「スライム殿、不運だったでござるな……。     こんな状況でなければ、原型くらいは留められたでござろうに……」 とりあえずそれは自分でやっといて言う言葉じゃないと思うが。 彰利 「そんじゃあ真穂さん、我らも頑張りますか」 真穂 「うん、そうだね」 コクリと頷く真穂さんを促し、ぼくもいざ戦いに───って歩き出した途端、 クイッと服の袖をクイッと引っ張られた。 彰利 「む───真穂さん?」 真穂 「えっとその……あはは。あ、危なくなったら助けてね?」 彰利 「───」 ……えーと、どうしましょう。 服の袖を摘まれながら、上目遣いでそげなこと言われて断れる男などそうそう居ませんよ? つーかヤバイ、めんこいです真穂さん。 元々原中のアイドルとして美しかおなごだったけんども、 それはこの歳になっても変わりません。 というかまあ若返ってんだから当然なんだけどさ。 いや落ち着け俺。これじゃあ節操の無いたわけじゃないですか。 悠介も言ってたでしょう、もうちょっと男としてのなんたらがどうのと。 真穂 「えっと、そこで無言になられるとちょっと困っちゃうんだけど」 彰利 「はうあっ!?え、あ、いやそのう」 困りましたな……未だにこういうのには慣れません。 だがしかし落ち着け俺よ。 俺は確かに真穂さんとキリュっち……仁美さんを受け入れると誓ったじゃないですか。 それを今否定してなんとするか。 う、うむ!喩え周りがどれほど俺を罵ろうが関係ありません! おいどんは己の道を行くゴワス!! 宗次のようなクズにはならんと誓おうロミオ!! 宗次の野郎は女をとっかえひっかえしては捨てていったクズだカスだゴミだ!! 確かに俺も数人のおなごと関係を作ってしまったが、 そこに後悔は無いし皆さんをきちんと愛してます!! 彰利 「うむ真穂さん!!キミは僕が守ります!!」 だからこそ僕は胸をドンと叩いて断言いたした!! もう迷わない!宗次がなんだバッキャロー!!俺は俺だ!! そう心に誓って、僕は真穂さんの手を取って駆け出しました。 人生まだまだこれからぞ!皆様がそうであるように、僕は僕の愛を育みましょう! ……まあ、『愛』って思い浮かべてキバヤシを思い出してしまったのはかなり痛いけど。 ともかくぼくはこうして、新たな一歩を踏み出したのだったッ……!! ───……。 ……。 彰利 「ンンッ!ボォディボォディボォディボォディボォディボォディ!アパカァッ!!」 木人の懐に入るとともに拳を振り、ボディを砕いたのちにアッパーカット!! これぞダッドリーレイヴ!! でもこの木人硬い!硬いッス!! 木人 『ヒョロエァアアーーーーーーッ!!!!』 しかもヘンな声です!物凄くヘンです!! ───さて、真穂さんとともに駆け出し、 みんなそれぞれファンタジーを堪能するべく様々なことをしている現在。 何故ぼくが刃渡り90センチほどの鉄製の長剣ではなく拳で戦っているのかというと…… この博光の野望オンライン、 略してヒロラインにも『戦闘スキル』というものがあるからです。 もうほぼなんにでもスキルがあって、 たとえばそこらの石を拾って投げるだけでも『投擲のスキル』が上がったりします。 罠を仕掛けて魔物を陥れても『罠スキル』が上がるし。 格闘全般は『体術』スキルが上がります。 先ほどピコーンと閃いて、サミングを覚えました。 普通にサミングをするよりも高性能で、能力として使うと魔物が盲目状態になるんです。 まあつまり、普通のサミングに『盲目』の付加能力が追加されるっつーか。 彰利 「チューチャイ三段蹴りィーーーッ!!!」 このゲーム、どうやら自分の好きに攻撃してようが技を覚える時があるようです。 というか攻撃自体に能力が付加されるようになるっつーかなんつーか。 閃きシステムを採用してるとは思わなかったけど、ともかく面白いです。 そりゃね?考えてみりゃあ自分の意思で動くわけだし、 やろうと思えばコンボだろうが連撃だろうが最初から使えるわけでして。 で、まあこれは先ほど解ったことだけど───ピコーン!! 彰利 「オオッ!?チューチャイ三段蹴りにまで付加能力が!?」 閃く可能性のあるものを使ってると、 その能力に付加能力が追加される確率が高くなります。 これってばあれだ。レジェンドオブマナの技を覚えるシステムに似てる。  ───ベキベキベキ!! 彰利 「ギャアア!!」 ……そしてチューチャイ三段蹴りの付加能力は『蹴った足が絶対に怪我をする』だった。 しかも相手にはノーダメージ。 いりませんこんな能力……。 彰利 「つーかなにか!なにかステキなジョブスキルとかないの!?」 真穂 「それは無理だよ。だってまだジョブですらないし」 彰利 「ゲェエエーーーーーッ!!!」 そう……今のぼくらは言わばFFVで言うところの『すっぴん』。 行動スキルは上がるものの、ジョブスキルなどは一切持ってません。 ただ敢えて言うなら『穴掘り』のスキルがある程度。 時折ミミズなどや魔物が埋めたらしき物体が発掘されます。 中井出「お〜〜〜い彰利ぃ〜〜〜〜〜っ!!!!」 彰利 「む?おお提督ではないか!!キミ今まで何処に───」 中井出「敵がリンクした!!倒すの手伝ってくれぇ〜〜〜〜っ!!!!」 真穂 「えぇっ!?」 彰利 「なんですと!?」 見れば確かに、提督の後ろに沢山の芋虫が!! 彰利 「ちょっ───こっちもまだ木人と戦ってて───!!」 木人 『ホェエエエーーーーーーッ!!!!』 彰利 「ああもう!バッスー・ピンコオ拳!!」 ゴシャリ!! 彰利 「ぐえぇえ痛やあ!!」 やっぱ硬い!こいつ硬いよ!! 彰利 「ねぇ真穂さん!?普通のゲームって攻撃した際に     相手の強度とかでこっちがダメージ受けるもんなの!?」 真穂 「え、えっと───!システムナビによれば、     ちゃんと職にありつかない限りは拳で殴っても痛いんだって!!」 彰利 「な、なんだって!!」 僕はあまりの出来事に高松くんのように大変驚きました!! 彰利 「じゃあつまり拳で殴る際はモンクにしなきゃ痛いってことかね!?」 真穂 「あ、あはは……そういうことみたいぃいいいいっ!!!」 木人 『ホェエエエーーーーーッ!!!』 芋虫 『もろもろもろもろもろもろ!!!!』 三人 『キャーーーーーッ!!!!』 提督と合流したぼくらは怪虫に襲われそうになった仲田くんのように叫んで逃げ出した!! 彰利 「そ、そういや丘野くんは!?姿が見えないようじゃけど!!」 中井出「………」 真穂 「えっ……なんで目、逸らすの!?」 中井出「あぁいや……丘野二等兵は忍者になりたかったらしく、     投擲スキルを上げるために石投げばかりをしてたんだ。     だがその石投げの最中に付加能力を閃き、     投げた石が分身魔球になったのがいけなかった……」 彰利 「えーと、それで?」 中井出「分裂した石のひとつが先の出口に待機してたナイトに当たった」 真穂 「あー……」 それで全てが解ってしまった。 彰利 「しかしよくキミ狙われなかったね」 中井出「テルシステムを確認するためにパーティ状態を離脱して会話してた。     その時に全部会話が聞こえたからな……ログが残ってるぞ、見るか?     丘野二等兵の断末魔の歴史がありありと」 彰利 「あ、結構です……」 それよりも今はこの状況をなんとかするべきだ。 さすがにこの数には敵いそうもない。 芋虫ってのがこらまた結構な大きさでしてね、 一体一体相手にしてたんじゃあ一緒に居る木人に襲われて全滅だ。 彰利 「と、とにかく今は振り切れるよう走って───ゲッ!!」 真穂 「うわっ……い、行き止まり……!!」 中井出「万事休すか……!!俺もうあのクソ神父の説教なんて聞きたくねぇぞ……!?」 彰利 「俺もですよ!!」 振り向いてみても逃げ場無し。 ただ木人と芋虫がゾロゾロと来るのみだ。 中井出「っ……こうなったらやれるところまで経験値に変えてやるだけだ───!!」 彰利 「おお!さすが提督!我らのために囮になってくれると!?」 中井出「それ普通逆だろうが!!兵士って提督のために命張るもんじゃない!?」 彰利 「や、原中だし」 中井出「くぁあああ……!!!」 真穂 「こんなときにそんな問答はいいってばぁっ!!」 木人 『ホェエエエエーーーーーーッ!!!!』 三人 『来たぁああーーーーーーっ!!!!』 木人がまるで木ノ本さん家のさくらさんのように叫びつつ襲い掛かる!! ───その時だった!! 声  「待つでござる!!」 三人 『なっ───!?』 木人 『ホエッ!?』 木人の猛攻を止める声が、この行き止まりの場に響いたのだった!! 声  「誰かを忘れているんじゃないでござるか……?」 光の届かない森の奥からゆっくりと現れる影……!! やがて足の先からゆっくりとその姿が鮮明になる……!! そこに居たのは─── 声  「遠き者は耳に聞け……近き者は目にも見よ!!我が名は───」 木人 『ホエッ!!』 ボゴシャア!! 丘野 「丘ブベボッ!!」 ドシャア……パパァアアア〜〜〜…………。 現れた救世主は散々格好つけたのち、 木人のクリティカルヒットによって天に召されて消えた。 彰利 「お、丘ブベボォオーーーーーーッ!!!!」 中井出「丘ブベボがやられたぁああーーーーーーっ!!!!」 なんのために現れたのかまるで解らない丘ブベボ……実にヘンな名前のヒーローだった。 ───……。 ……。 で、あれから当然のごとくコロがされたぼくらは……───神父の前に居た。 神父 「おお旅人たちよ!死んでしまうとは情けない!!」 四人 『はぁ〜〜〜ぁああ……』 まさか再び聞くハメになろうとは……。 彰利  「くそ……覚えてろよこのクソ神父……」 中井出 「いつか絶対ボコってやるからな……」 真穂  「倒したら倒したで、町の人の評価は物凄く下がるんじゃないかなぁ」 彰利  「いや、それはない。だってこんなにムカツク」 真穂  「えっと、それってただわたしたちが攻撃したから襲い掛かってきただけで……」 中井出 「桐生二等兵……これは理屈じゃないのだ。      たとえこいつをブチノメしたその日、      世界の全てに嫌われようと俺は本望だ……」 真穂  「うわ……本望なんだ……」 彰利  「で、丘ブベボ、キミ一体なにやりたかったの?」 丘ブベボ「丘ブベボ!?だ、誰でござるかその奇妙な名前の輩は!!」 中井出 「………」 彰利  「………」 真穂  「………」 どうやら殴られた瞬間に死亡したようで、断末魔の言葉までは覚えていないらしい。 大方格好つけるために目を閉じながら歩いてきてたんだろう。 で、名乗った瞬間にクワッと目を開こうとしてた、と。 もっとも名乗る前に殴られたようですが。 彰利 「とりあえずさ、戦闘の仕方や仕組みとかは解ったことだし……     そろそろ職をいただきに行かない?」 中井出「だな。あ、でもまだ確かめてないことがあるぞ?     多分……いや、絶対に晦なら入れてくれてあるシステムだと思うが」 彰利 「む?なんぞ?」 中井出「連携だよ連携。技連携。     テンポよくやれば追加ダメージがあるとか、FF11ではあっただろ。     それかサガフロンティアみたいに上手く繋がると光るとか」 彰利 「あ───あーあーあー!確かに確かに!悠介なら絶対に入れてくれてあるわ!     よっしゃ!じゃあ試してみっか!!」 真穂 「うん、じゃあスライムさんあたりで」 彰利 「……なにを言っているのだ?」 中井出「桐生よ……お前はまだ何も解っちゃいない」 丘野 「目の前に、こんなにも恰好の的が居るじゃないでござるか」 真穂 「え───」 その時の真穂さんの顔を、ぼくはきっと忘れません。 彰利 「よっしゃあ!じゃあ俺、掌底に付加能力が付いたおかげで昇華した短勁でいく!」 中井出「じゃあ俺は掌底に付加能力が付いたおかげで昇華した短勁で!!」 丘野 「しからば拙者は掌底に付加能力が付いたおかげで昇華した短勁でいくでござる!」 真穂 「……なんでみんな体術なの?」 彰利 「真穂さんよ……群がる魔物を己の五体で倒す……これぞ男のロマン」 真穂 「でも相手、神父さんであって魔物じゃないけど?」 彰利 「魔物だ」(断言) 丘野 「この魔物、あまりに危険よ……!!」(ロレッタ風) 中井出「この神父の仲間であるナイトに貰った     刃渡り90センチほどの鉄製の長剣など飾りだ。お偉い方にはそれが解らんのだ」 丘野 「かの有名な連携師も、     ハイドハイドハイドハイドサミングに血涙で感動してたでござる」 真穂 「えっと……それってつまり、わたしにサミングをしろってことなのかな」 彰利 「いや、バトルの基本は自由でしょう。     自由に楽しめないゲームなどゲームにあらず」 中井出「まったくもってその通りだ」 丘野 「そんなわけで、むしろ拙者はサミングでいくでござるよ」 彰利 「あ、俺も」 中井出「うむ俺も」 真穂 「あ、じゃあわたし、応援に付加能力が付いたエールで」 中井出「エール?」 彰利 「他者の能力が一時的にほんの少し上がるんです。結構便利ですよ?」 丘野 「おお、しからばそれをお頼み申すでござる」 真穂 「うん……でも本気でやるの?またコロがされちゃうんじゃ……」 男衆 『私は一向に構わんッッ!!!』 真穂 「……その返事聞いた後って大体ロクな目にあってないよね」 そうかも。 彰利 「ともかくゴー・レッツゴー!!エールサミサミサミング発動!!」 チュイィンチュイィンチュイィンチュイィイイン───!!! 彰利 「お───おお!身体が青白く光ったぞ!!」 丘野 「ステイトは───おお!各能力が5%ずつ上がってるでござる!!」 中井出「さすが晦!ここんとこに抜かりはないようで!」 真穂 「エールいくよ!」 マキュリィイン!! 丘野 「おお!さらに能力に2%の能力アップが追加されたでござる!」 中井出「よし!一番手行くぞ!───サミング!!」 ゾブシャア!! 神父 「ギャッ───ギャアアアアーーーーーーッ!!!」 中井出「オッ───雄雄雄雄雄雄雄雄雄雄雄雄(オオオオオオオオオオオオ)
ッッ!!!!!」 丘野 「二番手行くでござる!!サミング!!」 ゾブシャア!! 彰利 「三番手!行っきまーーす!!サミング!!」 ゾブシャア!! 神父 「ギャア!!」 もうこっちは遠慮無しです。 サミングやろうが相手の目が潰れることはないのは魔物で実験済み。 これはただ目へのダメージと盲目効果を残すのみだから、全力でやっても構わんのです。 しかし─── 彰利 「あ、ありゃ?ここらで連携効果『核熱』とか『溶解』とかは?」 中井出「目潰しと応援だけでそんな効果が出たら異常事態だろ……」 ああ……そりゃ確かに。 丘野 「まあともかく、連携の効果は普通にあることが判明したところで───」 真穂 「盲目状態になってる今のうちに逃げよっか」 中井出「そ、それではヒヨッ子ども!総員退避ィーーーーーーーッ!!!!」 総員 『サー・イェッサー!!』 こうして僕らはきちんと目的を達成し、 かつてないサワヤカな気分のまま自由な明日へと─── 神父 「ええことしよかぁ」 四人 『ぎゃああああああーーーーーーっ!!!!!』 ───旅立てませんでした。 ───……。 ……。 神父 「おお旅人たちよ!死んでしまうとは情けない!!」 四人 『野郎……』 当然の如くコロがされてしまった我らはまた賢くなりました。 そうです、レベルの高いヤツらってのは大体、 状態変化効果などすぐに回復しちまうものなのです。 ナビによればVITが高ければ高いほど、状態異常の治る速度は早いとかなんとか。 ちなみにDEXで魔法詠唱速度も早くなるそうだ。器用さって大事だね。 中井出「俺、長いこと地界離れてたけどさ。     ここまで聖職者がむかつくゲームやるの初めてだぞ……」 丘野 「安心するでござる、拙者もでござるよ」 真穂 「わたしも」 彰利 「当然オイラも」 恨みは募るばかりです。 くそう、能力を全て持った状態でログインできてりゃ絶対にボコれたのに。 真穂 「ここでクヨクヨしててもしょうがないよ。     考えてみればわたしたち、     晦くんにこのゲームの体験をしてくれって頼まれてるんだから。     だったらまずいろんなことに挑戦して、体験しないと」 彰利 「グウム……そりゃそうなんですが」 真穂 「……神父をコロがすのはその後でも十分なんだからさ」 男衆 『それでこそ原中だ!!』 僕らの心は再びひとつになりました!! そう───今は我慢だ!まずいろいろなことを試してみなけりゃなりません!! 彰利 「つーわけでレッツハバナーウ!!新たな新天地を目指して!!」 中井出「っと、その前に。このゲームの目的ってなんなんだ?」 真穂 「ん、ちょっと待って。えーと……システムナビによると、     精神の鍛錬と安全にファンタジーを体感することだって。     ゲーム的な目的としては、いろんなミッションこなしていくことだってさ。     もちろんボスも居て、バージョンアップによっては敵の種類も増えるって」 彰利 「ふむ、なるほど」 真穂 「モンスターとかは大体が空界のモンスターを基に創造されてるんだって。     それから───あ……     強調文字で『メルヘンは出ないので安心してください』って書いてある」 男衆 『シェイシェイ!!シェイシェイゲームマスター!!』 それが、ぼくらは本気で喜んだ瞬間でした。 ───……。 ……。 そんなこんなでバトルフィールド二回目。 我らは再び雑魚どもをコロがし、 芋虫地帯と木人地帯には近寄らんようにしつつレベルを稼いでいきました。 スキルも順調に上がり、今や我道拳が出せるほどです。 こげなもん、月醒力のブラストに比べりゃしょぼいモンなんだけど…… どうしてかね、基本ステータスを設定されて、 月操力を含む全ての能力が使えなくなった今─── 波動系のものが出せるってだけで物凄く嬉しいです。 中井出「おーい彰利ーーーっ!!     こっち敵を斬った瞬間に小さな火が出るようになったぞーーーっ!!!」 あれから渋々と刃渡り90センチほどの鉄製の長剣を使うことにした提督も、 今やなかなか腕を上げてきています。 彰利 「おおっ!それってばFF8であったガンブレード効果!?」 中井出「いやー!それには及ばないほどちっこい火だーーっ!!     ライターの方がまだいいーーっ!!」 遠くでワサワサと剣を振る提督。 その姿はまるで、初めての出来事に喜ぶ子供のようだった。 いや、でも純粋に面白いですこれ。 少しずつ自分が強くなる喜びってのがちゃんと感じられます。 かつての俺は……こんなステキな瞬間を無視して、楽して強くなっていたのです。 今は後悔ばかりが俺を襲いますわい。 そんでもって、悠介が自分の力量ってのをしっかりと把握してた理由が解った。 こういう成長の仕方をしてれば、そういうのってのは解るもんだ。 真穂 「弦月くーーーん!!新しいスキル、『祈る』を覚えたよーーっ!!」 彰利 「おおーーっ!!それってばどんな能力ーーっ!?」 真穂 「効果範囲の人のHPが5%だけ回復するのーーーっ!!」 彰利 「おおっ!それは地味に嬉しい能力ですなーーーっ!!」 遠くでワサワサと手を振る真穂さん。 その姿はまるで……いや、ほんと子供のようでした。 やっぱね、能力を持ったことの無い人は俺や提督と違って、反応がより新鮮だ。 真穂さんはどうやら魔法系を極めるつもりらしく、 行動からして聖職者のパターンを貫いている。 もちろん敵に絡まれれば俺が助けて、そのサポートを真穂さんがしてくれる。 丘野 「弦月殿ーーーっ!!拙者、変化球を手に入れたでござるーーーっ!!」 彰利 「投擲スキルかねーーーっ!?」 遠くで丘野くんが石を振る。 その姿は本気ではしゃいでいるクソガキャアのようだった。 丘野 「この変化球スキルは、普通で言う変化球とは訳が違うでござるーーーっ!!     手に収められるものを別のなにかに変えられるでござるよーーっ!!」 彰利 「なにぃ!?」 丘野 「見てるでござる!!“ゴミ”を“木”に変える力!!」 丘野くんが手に持っていた石を強く握った!! すると───なんと手の中から緑色の光が溢れ、木が生えてきたではないか!! まるで“うえきの法則”です!!私はあまりの出来事に大変驚きました!! 中井出「お───おぉおおおお!!すげぇえーーーーっ!!!!」 真穂 「す、すごいすごい!!どうやったの丘野くん!!」 彰利 「投擲スキル!?俺も出来るかね!?」 それを見た僕らは一目散というか、 ともかく物凄いスピードで丘野くんのもとへ駆け寄った。 すると─── 丘野 「いや、実は敵を倒したら拾ったレアアイテム、変化の指輪の効果でござる。     手に収まるものならんなんでも、なんにでも変えられるという道具でござるよ。     ただしあまりにも効果の高そうなものに変化させようとすると、     指輪自体が壊れてしまうらしいでござる」 彰利 「で、しっかりとTPも減ると?」 丘野 「その心配はないようでござる。     アイテム説明によれば、気をつければいいのは変化後のものの価値らしいので」 彰利 「高価なものとか重要品とかへの変化はやっちゃいけないことってわけか」 丘野 「そのようでござる」 丘野くんは思わぬレアアイテムGETに大喜びだ。 早速地面の砂を掻き集めて、 丘野 「“砂粒”を“手裏剣”に変える力!!」 マカァアーーーーーン!!! 一粒一粒を手裏剣に変えてはしゃいでいた。 丘野 「おまんら……許さんぜよ!!」 しかもよく解らんことを叫びながら手裏剣を投げている。 中井出「……ヤバイ。あれ欲しいぞ俺も」 真穂 「でもレアアイテムだっていうし……」 彰利 「まあまあ、我らは我らで体験を楽しみましょう。     我らだって戦ってれば別のレアアイテムを手に入れられるかもしれんし」 中井出「ん……そだな。じゃあ頑張るか」 真穂 「今のところ創造されてるのはこの初心者修練場だけだっていうから、     この中でやれることは全部試してみよ?それからだよ」 彰利 「OK」 中井出「よし、じゃあ俺はより深い闘いの求道を……!!」 丘野 「“石”を“神器(じんぎ)”に変える力!!“百鬼夜行(ピック)”!!」 マリュゥウウウン!!!ゴシュゥーーーーーンドカァアアンッ!!! 木人 『ホエェエエーーーーーーッ!!!!』 丘野くんの手から四角形の巨大な石のようなものが高速で伸びてゆき、 なんと木人を一撃で粉砕した!! 丘野 「お、おおお!!木人を一撃でござるよ!!」 中井出「……やっぱ欲しいんだが」 彰利 「俺も……」 真穂 「じゃ、じゃあそれも目的に入れた上で頑張ろ?」 中井出「だな」 彰利 「あれだけの威力がありゃああのクソ神父ごとき……!」 なんつーの?イチコロですよ? 彰利&中井出『フッフッフッフッフ……フッハッハッハッハッハッハ、        ハァーーーッハッハッハッハッハッハッハ!!!!』 楽しみだっ!!実に楽しみだ!! 絶対手に入れてやるぞ!変化の指輪!! 中井出「雑魚どもを蹴散らせぇええーーーっ!!!」 彰利 「サー・イェッサー!!」 こうしてぼくらの仁義なき殺戮ショーは始まったのでした。 ───……。 ……。 ……さて。 調子に乗った丘野くんが神父に神器“唯我独尊(マッシュ)”を使って、 それでもピンピンしてた神父に散々ボコられコロがされ、戻ってきたのが数分前。 丘野 「ちくしょ〜〜〜……」 彰利 「やはり神器でも神父はコロがせんか……」 中井出「あの神父強すぎだ、どうかしてる」 真穂 「でもこの初心者修練場から出られない以上、     今現在のボスは神父さんってことになるしね……」 彰利 「つーかさ、この初心者修練場ってなにをすれば終わるわけ?」 ふと疑問。 もうあらかたやり尽くしたし、いつまでもここに居るわけにも行きますまい。 基本スキルは全部覚えたみたいだし、 これ以上ここでやることなどレベル上げと神父にちょっかい出す程度ですわ。 真穂 「まだこの先に居るナイトさんに話し掛けてないから、     多分あのナイトさんが修練場の外に案内してくれるんだと思うよ」 彰利 「お……なるほど。じゃあ」 僕らの行動は決まりました。 森フィールドの先に行って、今井に話し掛け、先へ。 というか多分現段階でのクリアへ向かった。 ───……。 ……。 今井 「もうバトルには慣れましたか?     ここから先はジョブを手に入れる場所となっていて、     一度通ると二度とこの場所には戻れません」 男衆 『え───な、なんだって!!』 そしてナイトというか今井から聞く驚愕的事実!! それでは……それではまさか、ここを通ってしまったら神父とはもう戦えなくなると!? 彰利 「グ……グウウ〜〜〜ッ!!」 真穂 「えと……もういいんじゃないかなぁ。     あんな神父さんのこと忘れて、楽しい旅に出かけようよ……」 中井出「いや、しかしだな……」 丘野 「───こうなったら!」 彰利 「ややっ!?丘野くん!?」 突如!丘野くんが走り出し、遠くにある城へと入っていった!! しばらくあとに緑色の閃光が城から溢れ出し、 その直後に城の中から凄まじい数の神父が無表情で飛んできた───!! 彰利 「ゲェエエエーーーーーーッ!!!!」 中井出「お、丘野二等兵!貴様いったいなにをしたぁああーーーーっ!!!!!」 ぼくらは恐らく既に殉職したであろう丘野二等兵を思いつつ、 すぐさま今井に話し掛けなおした!! 今井 「もうバトルには慣れましたか?     ここから先はジョブを手に入れる場所となっていて、     一度通ると二度とこの場所には戻れません」 彰利 「言い直さんでいいから!早く!早く転職場に連れてってぇえーーーーっ!!!!」 真穂 「わわぁーーーっ!!来た来た来たぁああーーーーっ!!!!」 神父が城を中心に、まるで散弾銃の玉のように各方向に飛んでゆく。 中の方で丘野くんがなにをしたのかは解らない───が、 城から無表情で飛びまくってくる神父は不気味以外のなにものでもないぞクラースくん!! 今井 「それでは案内しましょう。転職の場に入ったらグーゼという人に話し掛けて、     まずは案内を受けてください。そうしてから」 彰利 「ヒィイイ!!御託はいいから早く《ドゴシャア!!》うべぇあっ!!?」 真穂 「ひあっ!?弦月くん!?」 ドゴシャズダーーーッ!!! 突如背中を襲った衝撃!! 見れば、景色の果てへと神父が飛んでゆく様が───!! つーかそれよりも城から飛んでくる神父の数が未だに減らねぇ!! 彰利 「提督!!───って」 ドゴゴゴゴゴ!!! 中井出「ギャアーーーーーーーッ!!!!」 吹き飛ばされ、倒れた提督に向かって神父が飛翔しまくっていた。 その様はまるで追尾型ロケットのようで、提督はすぐに天に召された。 真穂   「うわわわわぁっ!!ど、どどどうするの弦月くん!!」 彰利   「だ、大丈夫だ真穂さん!一応会話は続けてるからもうちょいで───」 今井   「ここで注意点ですが」 彰利&真穂『そんなものどうだっていいぃーーーーーっ!!!!』 こうなったらもう凌ぐしかござんせん!! オイラは真穂さんを抱きかかえると森の樹の影に隠れて、そこでやりすごすことにした! 真穂 「……ごめんね弦月くん」 彰利 「ごめんは無しです。家族を守るのは当然ですから」 とはいえ、なんとかならんかね。 こう数が多くちゃここから一歩も動けん。 彰利 「はぁ〜あ……樹の景色の境目を飛んでく神父が縫ってゆく……」 物凄く不気味な光景である。 などと思った時だった。  ───バインッ!! 彰利 「うおっ!?」 信じらんねぇ!!あの神父、木で跳弾しやがった!! しかもなんかこっちにまっすぐ飛んできてるし!! 彰利 「なんでもありかコイツはぁああーーーーーーーーっ!!!!」  ガガガォンガォンガォンガォン!!!!  ドゴロシャシャシャシャシャゴッパァアアアアアンッ!!!! 彰利&真穂『キャーーーーーーーッ!!!!』 ……結局。 消えるどころか増えるばかりの弾丸神父は次々と木で跳ね返り、 俺達に容赦なく頭突きをしまくり……ぼくらをあっさりと天に召しやがりました。 ───……。 ……。 神父 「おお旅人たちよ!死んでしまうとは情けない!!」 四人 『殺した張本人が言うな!!』 ポインッ♪───ツッコミのスキルが上がった! 四人 『嬉しくない……』 この神父の前で項垂れるのって何回目かねぇ……。 中井出「……で?丘野二等兵。貴様一体この神父になにをした」 丘野 「石を百鬼夜行に変えて壁に押し潰したあとに、     石を熱湯に変える力で熱湯を頭からダバダバとかけたでござる。     拳よりもダメージが大きかったようで、     すぐに神父の大群が襲い掛かってきたでござるよ」 中井出「それでか……」 丘野 「ただ、神父を押さえつけておくのに全力を出したためか、     神父が解放されるとともに変化の指輪が砕けてしまったでござる……」 男衆 『うわもったいねぇ!!』 丘野 「悔いはないでござる……。拙者、このクソ神父に一矢報いたでござるからな……」 中井出「おお……漢だぞ丘野二等兵……!」 彰利 「それでこそ原中なり……!」 真穂 「原中大原則ひとつ、楽しむことはなんでも楽しむ、だからね」 中井出「よし!神父に熱湯かけた場面を思い浮かべたら案外スッキリしたことだし!     クラスを決定しにいくぞヒヨッ子ども!!」 三人 『サー・イェッサー!!』 レアアイテムは砕けてしまった……が、 僕らはそれよりも神父に熱湯を掛けることが出来たのが嬉しかった。 さらばだ神父……貴様はいつまでも、永遠に我らのラスボスだ……!! ……そうして、僕らは神父に恨みを残したままに修練場をあとにした。 ───……。 ……。 ギギッ……ガチャ……ゴコォン…… 彰利 「ほえ〜〜〜……」 真穂 「ここが……クラス分けの場……?」 バトルフィールドの先に居た今井に案内されて訪れたのは転職場。 大きな扉、大げさな音に比べ……中は案外狭かった。 中井出「ガッコの体育館のほうがまだ大きいよな」 丘野 「ニントモカントモ」 まあそれは言わないお約束。 オイラは早速受け付けらしきおっさんに話し掛け、説明を聞き始めた。 受付 「ようこそ、転職の場へ。私はグーゼ、ここの案内をする者です」 彰利 「や、そりゃ……ここに大きく受付って書いてあるし」 受付 「では始めましょう。まずはアナタがなりたいと思うクラスをこの中から───」 彰利 「無視かよ」 ポインッ♪───ツッコミスキルが 彰利 「そりゃもういい!!」 くそ、悠介の野郎絶対楽しんでやがるぞ……? こういう事態が起こるって想定してツッコミスキルなんて入れやがったんだ。 でも楽しいことは楽しいので許す。 彰利 「えーと、ともかくこの中からなりたいジョブを選べってこったね」 質問とかに答えてジョブ特性が決まる、とかじゃなくてよかった。 あれって自分で好きに決められないから面倒なんだよね。 さてジョブだが─── 剣士、モンク、シーフ、アコライト、忍者、魔物使い、アーチャー、刀士だ。 上級のジョブは─── 剣士─────グラディエーター───ソードマスター モンク────拳闘士────────バトルマスター シーフ────ローグ────────盗賊王 アコライト──マジシャン──────ワイズマン 忍者─────アサシン───────忍者マスター 魔物使い───モンスターテイマー──ムツゴロウさん アーチャー──スナイパー──────ハンティングマスター 刀士─────侍──────────刀神倭道人 ───らしい。 彰利 「……あの。このムツゴロウさんって……」 受付 「なお、先ほど行われたバージョンアップによって、     アコライトやマジシャンといった職が合成されました。     神父というジョブは無くなったのでご了承ください」 彰利 「いや、それよりこのムツゴロウって……」 受付 「職はお決まりですか?」 彰利 「いや……だからさ」 受付 「それからナイトのジョブも無くなりました。     初心者修練場で見慣れてしまったジョブになっても、     きっとつまらないだろうというバージョンアップです」 彰利 「聞けこの野郎!!」 中井出「すげぇな……完全無視か」 受付 「なお、一度ジョブを決めてもいつでもジョブを変えることが出来ます。     ジョブシステムは知ってますね?もしよろしければ説明しますが」 彰利 「あ、結構です……」 キャッチボールの効かない会話って物凄く疲れますね……。 なんつーか今……ほんの少しだけ、 周りに振り回される悠介の気持ちが解ったような……。 真穂 「まあまあ、今はいろいろ試してみよう?わたし、アコライトがいいです」 受付 「アコライトですね?それでは4番の入り口から外に出てください。     それからこれは支給品です」 真穂さんは水晶玉のようなものが先端についた杖とポーション20個を貰った!! 真穂 「え?あれ?防具とかはないのかな……」 受付 「なお、このゲームにジョブによって装備出来ないものなど皆無です。     人として装備できるものがジョブが変わっただけで装備出来ないなんておかしい。     そういう意の下、フルアーマー装備のアコライトだって可能です」 彰利 「うおう……」 中井出「フルアーマーの僧侶か……見てみたいな」 丘野 「逆に魔法使い装備の剣士も出来るってことでござるな」 彰利 「あ、ちょっと待った。ジョブ専用の装備とかってないの?」 受付 「それからジョブ専用の装備など皆無です。     人々が集まる場でその装備ばかりが集まっていると、     “ありがたみ”というものが無いからです」 丘野 「あ……それは解る気がするでござる。     FF11のアーティファクト装備って有り難味がまるでなかったでござる」 中井出「あーあれな。確かに有り難味ないよなぁアレ」 彰利 「むっ!決まった!オイラやっぱりモンクがいい!」 受付 「モンクですね?ではこのナックルとポーション20個を支給します。     2番ゲートを潜ってください」 彰利 「御意」 中井出「っとと、じゃあ俺は剣士で」 丘野 「拙者は当然忍者でござるよ!!」 受付 「剣士ですね?ではこのグレートソードとポーション20個を支給します。     忍者ですね?ではこの忍刀二本とポーション20個を支給します。     剣士の方は1番ゲートへ、忍者の方は5番ゲートへどうぞ」 それぞれがアイテムを貰うのを待ったのち、オイラたちはそれぞれ頷き合うと歩きだした。 中井出「じゃ、あとでなー!」 丘野 「いや、あとで会うかどうかなど解らんでござるよ?」 真穂 「それぞれのジョブが集まるような街とかに飛ばされるかもだしね」 彰利 「あるいはこのゲートくぐったら体験版終わりかもしれんし」 真穂 「あ、そっか。そういうこともあるかもなんだよね」 中井出「まぁ、くぐってみりゃ解るってことだよな。じゃ、俺は1番ゲートを」 丘野 「拙者は5番ゲートでござるな」 真穂 「わたしは4番ゲート、っと」 彰利 「で、俺が2番ゲートと」 ドキドキが押さえられないままにゲートをくぐった。 その途端に光に包まれ、振り向いてみてももう転職場は見えない。 身体が溶かされているような感覚がしばらく続き、ふと気づけば───  ───む〜〜〜〜ん…… 妙な雰囲気を出すおっさんの居る道場の中に立っていた。 つーかこのおっさん、どっかで見た覚えが…… 彰利 「……タレ?」《訳:誰?》 謎の男「よく来た少年よ。私はモンクジョブの求道者、せがたサンシ口一(くちいち)だ」 彰利 「ウラワザえもんかよ!!」 ポインッ♪───ツッコミスキルが上がった!! 彰利 「それはもういいっつぅんじゃあ!!」 せがた「ここではモンクに必要な心構えを教える。     まあ誰だろうがジョブを手に入れさえすれば、     いつでも別のジョブになれるわけだが。     だが案ずるな少年。最初に選んだジョブによって、     その者にしか与えられない能力というものがきちんとある。     モンクの場合、体術で闘う場合のみ各能力が上がるという特殊能力だ。     これはどのジョブでも有効であり、     たとえアコライトにジョブチェンジしようが     体術を使えば能力が上がるというスグレモノだ」 彰利 「おおう……そりゃ便利」 せがた「まあアコライトは体術に必要な基本能力が極端に下がるため、     あまりオススメは出来んが」 彰利 「ダメじゃん!!」 ポインッ♪───ツッコミスキルが上がった! 彰利 「もういいっつの!!」 ポインッ♪───ツッコミスキルが上がった! 彰利 「頭痛ぇ……」 困った時の悠介の口癖を使う時が来るとは思いませんでした……。 ツッコミスキルがなんの役に立つっつぅんだ悠介よ……。 せがた「では少年。キミに初期ジョブ特性“格闘能力アップ”を贈ろう」 シャァア……マリュリュリュリュリィン♪ せがたサンシ口一がFF11のケアルをかける時のように手を振り上げると、 オイラの身体を眩い光が包みました。 彰利 「お、おお!なんだか少し強くなった気が!!」 せがた「それぞれのジョブには10分アビリティというものがある。     10分間に一度しか使えない能力だが、どれも期待の持てる能力だ。     それらを駆使して、より強くなってくれるとありがたい。     ちなみにモンクの10分アビリティは界王拳だ。     1分間だけ全ての格闘能力がさらに上昇する」 彰利 「パクリじゃねぇか!!」 ポインッ♪ 彰利 「わざわざスキル上がんな!!」 せがた「後半になったら完全に孫悟空に忘れられていた能力だ。     パクリがどうとか言うより使ってやるのが道理だろう」 彰利 「あの……俺がパクリだって言うのを詠んでましたか悠介くん」 せがた「それではキミをフィールドに送ろう───と、その前に」 彰利 「む?なにかね?」 せがた「我がせがたサンシ口一道場の体術奥義、“まわってキックサンダー”を伝授する」 彰利 「え───ホント!?マジですか!?」 せがた「冗談だ」 彰利 「なっ……ギ、ギィイイイーーーーーーーッ!!!!!」 殴ったろかと走り出した───途端、我が身体が再び光に包まれた!! 彰利 「なにぃ動けん!?馬鹿な!!」 せがた「はっはっは!励めよ少年!!     また規定レベルに達したらクラスチェンジをしにここに来るがいい!」 彰利 「貴ッ様覚えとれよ!?絶対殴ってやる!!」 などと言ってる間に光は完全にオイラの視界を塞ぎました。 くそう……このゲーム、個性豊かな人が多すぎて困る……。 Next Menu back