───時空放浪モミ列伝『第一章◆過去、親友の心の清算』───
【ケース464:中井出博光/セリーヌ秋山はマイケル・センベロのマニアックが好き】 キィイイイイ……ビジュンッ!! そうして僕らは……見果てぬ荒野へと降り立った…………っ!! 中井出「………」 藍田 「………」 丘野 「何処でござる?ここ」 ナギー『知らんのじゃ』 ただ、少なくともさっきまで俺達が居たような“現代”とは かなり掛け離れた場所なのは間違いなさそうだった。 ていうか……どうにもなにか違和感を感じるというか。 現代じゃないにしても、未来か過去かって言われりゃ……過去だよな、ここ。 だって建物が全然ないし、荒野ばっかだし。 草花が多少あるくらいで、それも雑草類ばかりと見受けられる。 中井出「ここはいったい……」 藍田 「……?んお?サ、サー、向うからなにかが接近中であります!」 中井出「なっ……なにごとかァア!?」 丘野 「コードギアスの真似はいいでござるよ!それよりアレは───」 ナギー『な、なんなのじゃ!?物凄い数なのじゃ!!』 藍田 「どうしますかサー!ていうかアレ?あの旗って……」 丘野 「…………ゲゲェ!!あの旗はもしやぁあああーーーーーっ!!!」 見つめる先の荒野───そこから走ってくる軍隊は、一目見ただけでも大人数と解るもの! しかもそのところどころにある旗は、どう見ても戦国武将などが掲げている御旗!! ていうことはまさかまさかまさかァアアアアアア!!? 中井出「戦国!?ここ戦国時代!?」 藍田 「うわぁマジか!?適当に飛ばされた先が戦国時代だってぇっ!?」 丘野 「訓練とはいえ命懸けだぜ!!」 中井出「してないよそんな訓練!実施してないよ!!」 ナギー『いったいなんなのじゃヒロミツ!わしにも解るように説明するのじゃー!!』 中井出「ぬ、ぬうそれは……」 ナギー『し、知っておるのか雷電……!』 中井出「う、うむ……戦国とは……」 そして僕らはナギーに言ってきかせた。 遙か過去、僕らが過ごす世界では戦乱の世が存在していたと。 その争いは今に比べて遙かに原始的だが、 それ故確実性を秘めた潰し方が当時は主流だったのだと。 それはつまりどんな手を使おうが勝てばいいという、 美学などは全く追求しない、まさに原中チックな世の中だったのだと。 ナギー『お、おおお……!そ、そうなのかの……!?』 中井出「う、うむ……!故にやつらは人を発見すれば迷わず襲ってくるに違いない……!」 ナギー『わしは精霊なのじゃ』 中井出「見た目が人間な時点でもうダメなんだってば!!それくらい察してよもう!!」 藍田 「サ、サー!!敵軍が我らを発見!進路を変え、襲い掛かってきます!!」 丘野 「サー!どういたしますか!?」 ど、どうするって…… 中井出「うむよし!ならば敵軍に我らの力を見せ付けてやるのだ!!     これより我らは恐らくは千を越えるであろう軍勢を迎え撃つものとする!!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「覚悟はよいか!?」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「殺す覚悟も死ぬ覚悟も出来たか!?」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「うむ!戦場に降り立ったのなら覚悟を決めろ!     武器を手に取ってよいのは死ぬ覚悟が出来ている者だけだ!!     そして叫べ!これより我らが振るう力は正義でも悪でもない、     純粋なる力と力のぶつかり合いを目指した超・雄同士の力!故に唱えるのだ!!」 総員 『レッツ戦國無双!!』 中井出「うむよし!よい魂の叫びだ!!ならば今こそ武器を持て!     これよりやつらに力とはなんなのかを知らしめるものとする!!     イェア!ゲッドラァアック!!ラァアアイクッファイクミィイイッ!!!」 ザザァッ!! 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 それぞれが絶叫! 武器を手に取り、まるで滝のような轟音を立てつつ向かって来る軍勢へと突撃する!! さあ燃やせ!魂の炎を!! 灯すがいい!シャンドラの火を!! 先人よ知るがいい!現代においてよほどに貴様らに近しい我らの戦いを!! だが間違うな!知略など要らぬ!力だ!力こそがあればいい!! 違うものがあるとすればそこのみだ!! 中井出「立ち向かったからにはもう迷わん!     モンスターは殺していいのに人はダメだという道理など頭の硬い人間の思考!!     そりゃ抵抗はあるだろう!     だが自分が殺されようとしているのに武器を振るわずに居られるほどこの博光!     自分の命を軽んじてなどいないわぁあああーーーーーーっ!!!!」 オリバ「ハハハハハハ!!アドレナリンガ分泌シテイルノサ!!闘士満々ダ!!」 中井出「おおオリギャアアーーーーーーーーッ!!!!     ななななんでぇ!?藍田くん!?僕らのやさしい藍田くん!?何処ォオオ!?」 丘野A「ウギャア戦国時代にパンツ一丁のゴリモリマッスル!?     物凄くミスマッチでござるーーーーっ!!」 中井出「おお丘野二等!貴様既に分身済みとは!」 丘野Z「相手があの人数ならば当然でござる!!さあいくでござるぜ野郎ども!」 丘野D「指図するなでござるー!!」 丘野I「何様のつもりでござるかてめぇ!!」 ナギー『……相変わらず統一性がないのじゃ……』 まったくだった。 なんて思ったその時だ!! 武将 「ずぇえりやぁあっ!1」 ザシュンッ!!と、武将が切りかかってきたのだ!! そしてその刃は無情にも───……えーと。 武将 「なっ……!?き、斬れ……ない!?」 オリバ「粗塩を肌にスリ込んである。     古のベアナックルボクサー達はそうやって切れにくい肌を完成させたものさ」 武将 「あ、あらじお……!?」 武将2「何をしている蒼麻!裸の相手になんて様だ!!せいっ!!」 さらに後ろから駆けつけた武将が心臓目掛けて刀の刺突!! だがぞぎんっ!という音ともに止まってしまった!! 武将2「なぁっ……!?」 オリバ「心臓をプレートでカバーしてあるのさ……」 しかも体勢を立て直そうにもオリバに刀を掴まれているため、身動きが取れない! オリバ「キミはつまらん」 武将2「ひっ《バゴルチャァアッ!!》じゅぎゅっ───!!」 武将 「《バオッ!!》え……?」 勢いとともに殴られた武将が風になって飛んでゆく!! しかもその勢いはまるで、 JOJO第一部にてディオに投げられた警官の死体のように飛翔し、 他の武将どもを巻き込んで殺戮劇場を完成させる!! 将軍 「なんだあの男は……!火縄部隊!!」 続いて遠くの方で構える火縄銃を持つ者や弓兵がオリバ目掛けて掃射を開始するが─── なんだか僕らには先が読めていた。  ドドンドンドンドンッ!!ゾゾスッ!ザスゾスッ!! 将軍 「どうだっ!?───なにぃいっ!!?」 オリバ「銃が小さすぎるぜ……なぁジェフ」 銃と矢をまともにくらっていた! それは確かだというのに、当たった弾や矢は悉くボトボトと地面に落ち、 オリバはまるで無傷のままにニヤリと笑っていた……!! 丘野    「か、怪力無双……!!」 中井出   「これほどのものかッ……!!」 丘野    「胸が……まるでケツだ……!」 中井出   「腕が……頭よりデカい……!」 丘野    「大体技が通用するのか……!?」 中井出&丘野(で……やっぱり何度見てもパンツ一丁で……        あの爆発の中で傷一つついてないパンツっていったい……) 毎度のことだが、どんな皮膚なんだろうかなぁ。 兵ども   『ひ、ひぃいい!!ばば化け物ぉおおっ!!!』 中井出&丘野『まったくだ!!』 そんな時に聞こえた兵士どもの絶叫に思わず同意。 肉体も無敵級ならパンツも無敵級である。 将軍 「な、なにをしている!突撃っ……!突撃だぁっ!!死なぬ人間など居るものか!」 確かに死なない人間なんてそりゃ居ないが…… それは攻撃が効いてなきゃそもそも意味が無いんだよね……。 そんなことを思っていると、オリバが目の前で震えていた武将の手首と足首を掴み、 まるで絞ったタオルをバサァッとするかのように振り始めた!! 中井出「うおすげぇ!!     “範馬刃牙”で見たことはあったけど、ナマで見るとますますすげぇ!!」 丘野R「武将がまるで本物のタオルのように軽々と振るわれているでござるよ!!」 そうして振り終えてぐったりしている武将の足首をこう……ええ、掴んで。 まるで子供がメンコでも落とすみたいにして、ハイ……落としたんですよ。 想像出来ますか?ゲームに夢中になった子供が出す妙な力。 ああいう子供って結構自分が思っているよりも凄い力を出すンですよ。 え?何処に落としたって?そんなの、ハハ、地面に決まってるじゃないですか。 でね、ドカンッて物凄い音が鳴ったンですよ。 ああ、これは終わったかなって思いましたね。 普通に考えて、あれは助かりませんよ。 現に武将は耳から血を流して、ぐったりと動かなくなったんですから。 え?地面ですか?それがですね、クレーターが出来ちゃったんですよ。 クレーターですよ?隕石じゃあるまいし。 ハハ、それを見たら他の武将や兵たちは怖気づいちゃいまして。 将軍 「ぐ、ぬっ……!馬鹿な!     にっくき真田軍との合戦を前にこのような化け物と……!」 丘野 「真田!?何処の十勇士でござるかそれは!!」 将軍 「退け!退けぇええっ!!進軍は中断だ!」 雑兵 『う、うわぁあーーーーっ!!逃げろぉおーーーーーっ!!!』 当然こうなるわなぁ、と妙に納得出来る状況が出来上がったのだった。 やがて逃走してゆく軍勢と、その場に残される怪力無双。 これ見よがしの逆三角形で相手を威嚇したまま、彼らが去るまでそのポーズは続いた。 ───……。 ……。 で……なんだかんだで荒野に放置された僕ら。 これからどうするか、きっと誰もが不安に思うことだろう。 だが俺達はむしろニヤリと笑い、 俺達だけの戦乱の世を作ってやろうじゃないかと燃え上がった。 もちろんナギーにも現状と状況、時間軸の云々を説明して納得してもらった上でだ。 さらに言えば藍田くんもオリバ化を解いてくれた。 中井出「今がどんな時代なのかなんて解らんし正確な日付なんてもちろん知らん!     だが今唯一解ること!それは───俺達がこの時間軸でどう暴れようが、     俺達の時代になんの影響もないということだ!     何故なら過去に飛んで歴史修正したところで時間軸が増えるだけであって、     一度完成した時間軸にはなんの影響もないと彰利や晦の記憶で見たからだ!!」 藍田 「サー!発言許可を願います!」 中井出「うむ許可する!なんだ藍田二等!!」 藍田 「サー!それは我々の時代にはなんら一切、     どんな些細なことでさえ痕跡が残らないということでありますか!?」 中井出「ぬう!学ぶのだ藍田二等よ!!     時間軸とはつまり、一貫性をそうは持たないもののことを言う!     たとえば未来において、     この博光と藍田二等が出会うことが最初から決まっていたことだとする!     しかし過去に飛んでその切欠を潰してしまえば俺と貴様は会うことがない!     そういった未来は確かに完成するのだ!これを時間軸2と唱えよう!     だがそれを実行して自分の時間軸、つまり時間軸1へと戻ろうが、     そこは既にこの博光と藍田二等が出会った時間軸!     過去を捻じ曲げて出来た時間軸の未来ではないので俺と貴様は出会っているのだ!     つまり!今この場に居る我らが真実、     この一時のみに過去に関与したわけではないのであれば、     “伝える者”が居なければ未来にそういった話が残ることもなく、     我らの存在など後世に残らぬこととなる!     そして考えてもみるのだ!日本の戦乱の歴史に我らのことなど書いていない!     それはつまり!我らがここに居る事実はたった今完成したものであり、     我らはそういった時間軸に立っているのだ!」 丘野 「お、おお!そういうことでありますかサー!!」 ナギー『しかしここより始まる未来は既に完成しているのであろ?     それがおぬしらの時間軸と繋がっていないと断言出来るのかの』 中井出「そう……確かに我らがここに降り立った歴史は、     記す者が居なかったために残されなかっただけかもしれん!     だが学ぶのだナギーよ!     我らはこれより世界を変えるほどの戦乱を巻き起こす気満々である!!     そんな我らの名が歴史に残らんなどという事実が果たして有り得るだろうか!!     悪名だろうがなんだろうが残されるべきだとこの博光は断言しよう!!     故にこの世界は我らが時代とは繋がってはいないと考えるべきである!!     ───もちろん、それ以外の時間軸に繋がっている可能性は有り得るが!!」 ナギー『な、なるほどの……!     ではおぬしらはこれから世界を変えるほどの大業を為すのじゃな!?     それを後世に残してみるのはどうなのじゃ!?面白そうなのじゃ!!』 中井出「うむ!俺は昔文字なぞ書けんので誰かに頼んで伝記を綴ってもらうとしよう!     ではそのためにもまず、一つの国を滅ぼそうぞ!!」 総員 『サー!イェッサー!!』 みんなノリノリである。 藍田くんと丘野くんはもちろん、ナギーまでもがもうノリの虜になってしまっていた。 だが然の精霊でありながら面白さを追求するその意気や良し!! ならば我らも───誠意を以って応えねばならんな!! こうして我らは面白いものを見つけた子供のような目で荒野を駆け、 人が居る場所をただただ目指したのだった……!!  ……と思った矢先、閉じきっていなかった時空の歪みに攫われ、気づけば…… どぐしゃあああああああああっ!!! 総員 『ゲファーーーリ!!』 我らは空中に放り出され、さっきよりも遙かに荒れているような景色へと降り立った……! 藍田 「う、お……?今度は何処だよ……」 中井出「ヴオォオ……脇腹打った……」 ナギー『ヒロミツ……どんな時も格好のつかぬ男よの……』 中井出「ほっといてよもう!」 丘野 「まあまあ、今はそれよりも現状把握が必要でござるよ。     見たところ、さっきの場所よりもさらに過去のようにも見え《びしぃっ!》」 藍田 「……?丘《びしぃっ!!》」 中井出「?」 ナギー『どうしたのじゃ藍《びしぃっ!》……、か、かか……!?』 なんだというのだろう。 人が脇腹を打って胃液とかいろいろ解放しそうな時に、 後ろを見たそれぞれが例外なく硬直しているのだ。 で、俺も何事?と振り向いてみれば─── ティラノザウルス『ルグォオオオオオオオッ!!!!』 中井出     「エ?あれほぎゃぁあああああっ!!!!」 そこに居たのは僕らがよく知る“てぃらのざーす”!! ああいやいやティラノさん!レックスだレックス!! え?いやいやっ、バキ外伝スカーフェイスに出てくる登倉竜士じゃなくて。 よくオモチャとかでディフォルメ化されてカワイくなってたりするが、 本物は全然カワイクねぇじゃねぇかコノヤローと今すぐ言いたくなるようなアレだ!! 何故ェエエ!?何故なのグレェエエエス!!! なんだってこんなことにィイイイイ!!! 藍田 「ヒィイ!!どどどどうするでありますか提督!!」 中井出「えっ?俺っ?ア、アワワ……!たたた退却───否!!     ブチコロがすぞぉ!戦士達!!」 総員 『な、なんだってぇええーーーーーっ!!?』 ナギー『おお!さすがはヒロミツなのじゃ!これほどの竜を前に怯まぬとは!!』 藍田 「いやいやナギ助!?提督ビビってる!滅茶苦茶ビビってる!!足ガクガクだ!!」 中井出「むっ……武者震いッ……!!」 藍田 「そんないっぱいいっぱいの笑顔で言われても説得力ねぇよ!!」 丘野 「どれだけレベルが上がっても提督殿は提督殿でござるな……」 中井出「ウ、ウフッ……ウフ、ウフフフフ……!!」 藍田 「あ……でもなんかヤバそうだぞ……?」 丘野 「ていうかこんな状況で暢気に会話してる拙者達もヤバイでござるよ!!」 心の準備が出来てない時に竜と対面する……それは何度もあったことだが…… さすがに死んでも生き返れるって保証なしで巨体とまみえるのは正直怖すぎです。 自分がどれだけヒロラインの“ゲーム性”に支えられていたかが理解出来るッ……!! だから、まぁその…… 中井出「逃げよっか」 総員 『サーイェッサー!!』 異存を唱える人が居なかったのは、多分二人も同じ気持ちだったからなんだろうね、うん。 そうして僕らは普通に速すぎるティラノザウルスからAGIマックスで死ぬ気で逃げ出し、 心休まる安住の地を目指して旅立ったのだった……!! ───これは。 僕ら原中の猛者どもが駆け抜ける、 生きるか死ぬかの真のサヴァイヴァル世界における、一つの時間軸の物語。 【ケース465:弦月彰利/現代に近い、それでも過去の世界で】 ヒュォオオオゥウウ…… そうして降り立った場所は……驚いたことに約束の木の前。 しかも───うわー。 子供 「な、なんだよお前ら!」 みさお「うわーうわーうわーうわーうわー!!」 ……ちっこい俺が居た。 まだツンツンじゃねぇや……うわぁ若ッケェエエ……。 しかもみさおがちっこい俺見て目ェ輝かせてるわ。 ああもういいよ、解ってる。 どうせ“この頃は”カワイイですねぇとか言うんだろー、コノヤロー。 みさお「この頃はカワイイかったんですね彰衛門さんっ!」 ほれみろ。 当たっても嬉しくないもの、な〜んだ?とかいうなぞなぞ言われたら、 俺は間違い無く“嫌な予感”を挙げるね。ああ、挙げるとも。 彰利 「しかしまあ……こりゃちょっと驚きだ。鎌の力の所為かね?     身に覚えのない歴史に飛んじゃったよ」 悠介 「……、ってことは、お前は成長した自分と会った覚えはなかったのか」 彰利 「オウイエス。だからこれは……新しい時間軸だな」 みさお「でも……生傷が絶えませんね……。     この時間軸でもやっぱり、虐待はされてるみたいで《ばしぃっ!》ひゃっ!?」 子供 「触るなよっ!お前らには関係ないだろ!?」 みさお「え、えと……」 おおしかし……ヒネクレとるね。 傷に手ぇ当てたみさおさんの手を叩きやがったよ。 ふぅむ………………うん、よし。 彰利 「小僧!わしは天狗じゃ!!」 子供 「───!?ほんとか!?」 彰利 「ウソじゃ」 子供 「〜〜〜〜っ……!!出てけよ!!ここは僕の城だぞ!!     お前らなんかが来ていい場所じゃないんだよ!!」 彰利 「……アレ?」 みさお「あの……彰衛門さん?あなたいったい何をしたいんですか……?」 彰利 「いやあの……冗談で場を和ませようと……」 みさお「わたしも経験ありますから言いますけどね……     彰衛門の冗談、物凄くつまらないですからやめてくださいね……」 彰利 「うっわヒッデェエエエエーーーーーーッ!!!!面と向かって言われたよ!!」 悠介 「可哀相にな……こいつも、     自分の未来がこんな物体だなんて知らずに生きていくんだ……」 彰利 「親友さん!?キミもなに言っちゃって物体!?     物体扱いッスか俺!!いくらなんでもヒドくないですかそれ!!」 親友のあんまりな言葉に僕の心に冷たい槍が刺さったような感覚。 だがもう負けぬと誓ったのだよ僕は!! 彰利 「じゃあ話を戻そうか」 みさお「わ、立ち直り早いですね」 彰利 「フフフ、任せてくれたまえ。で、小僧」 子供 「な、なんだよ……」 彰利 「今すぐ親と呼べる存在のもとへ案内して?殺してあげるから」 悠介 「落ち着け!!」 彰利 「失礼な!僕は冷静だ!!」 みさお「こんな陽の高いうちから子供の前でなんてこと言うんですか!!     見てください!子供だって驚いて───」 子供 「ほんとか!?あいつ殺してくれんの!?」 …………。 なんていうか二人の冷めた視線がイタかった。 悠介 「ああ……彰利だな」 みさお「なんていうかクズですね……」 彰利 「あのねぇキミたち……」 子供 「母さんがいっつもあいつに殴られてるんだ!でも僕じゃちっとも敵わないから……     僕が力っていうのを使えればよかったのに……     そしたら母さん、殴られることなんて……」 悠介 「実に彰利だな」 みさお「マザコンなのは本当に昔ッからだったんですね!」 彰利 「うるさいよキミたち!!」 なにやら小童が喋る度に俺の評価が下がってるような気がしてならないのは気の所為? ……まあいいや、ようはあのクズをブチコロがして、 あの女にニセの記憶でも植え付ければグオッフォフォ……!! 悠介 「過去のことだろ?妙に干渉するのはやめとけよ」 彰利 「なんで!?あいつをこの手でブチ殺すチャンスじゃん!!」 悠介 「落ち着けって言ってるだろ?過去の修正はもうしないって約束しただろうが」 彰利 「じゃあこれが最後でいいや。うん殺そう」 みさお「……眼がもう危ない人になってますね」 悠介 「はぁ……まったく……。俺も逝屠を掻き消した経験あるから気持ちは解るけどな。     でももうやめとけ。ここでやめられないなら、     未来においても結局、なにか都合が悪いことが起きると修正したくなるだろ」 彰利 「別に俺達の時間軸に影響が出ないならいいじゃん」 悠介 「………」 悠介が俺の言葉を聞いて、溜め息を吐きながらガリガリと頭を掻いた。 ……ああ、これは怒ってる時の仕草だな。 悠介 「……お前。そんな中途半端な能力が欲しくて黒の秩序になったのか?」 彰利 「へ?んにゃ……そんなことは」 悠介 「お前がやろうとしてることは     過去を変えたいって思ってても出来ないヤツへの冒涜みたいなもんだ。     どれほどの人が過去を悲しんで変えたいって思ってると思ってる。     ……お前は、こんな時代を目の前にしたからって、     もう中井出に殴られたことさえ忘れちまうほど薄情なヤツなのか?」 彰利 「───!……ぐっ!《ザブシャアッ!!》ぐぁああああっ!!!」 みさお「ひっ……!?」 言われた途端に頭に撃鉄が落ちた。 そうなったらもう自分が許せなくなり、 即座に黒から取り出したルナカオスを自分の腕に突き刺した。 みさお「な、なにやってるんですか彰衛門さん!」 彰利 「うるせぇっ!!罰だよ!!っ……情けねぇっ……!!     あいつとの縁が切れたとか言ってたくせに、     過去に飛んだだけでもう揺れ動かされてやがる……!!」 ……心から思う。 過去に来て良かった。 今の状態で来なければ、俺はずっと自分を誤魔化したまま生きていくところだった。 あの時中井出に謝った気持ちは嘘偽りの無い心の底からのものだった。 それさえ忘れて、力があるからってなんでも捻じ曲げようとして……!! 彰利 「っ……」 かつて、殴られた頬に触れる。 ……今でも思い出せる、あの拳の痛みを。 体ではなく心を劈くような悲しみという痛みを。 そして今一度刻み込む。 もう決して、自分を見失わないようにと。 彰利 「…………なぁ、悠介」 悠介 「うん?」 彰利 「俺達、親には恵まれなかったけど……やっぱり友達には恵まれてるよな」 悠介 「…………」 俺の言葉に、悠介はポカンとしたあとに小さく笑った。 今更なに言ってんだ、って顔で。 あいつらに届けたい感謝なんて腐るほどある。 無感情のまま能天気に振舞うのだって限界があった。 かつての感情の無い俺が心を砕いたまま騒ぎ続けたところで、 いつかは限界を迎えて挫けてただろう。 それでも今までを無駄に元気に騒げたのは……知り合える“仲間”に恵まれていたからだ。 今、そのことに強く感謝を届けたい。 彰利 「……、悪いなボーズ。やっぱり親殺しはなしだ」 子供 「えぇっ!?なんだよそれ!それじゃあ母さんが───!!」 彰利 「ん、とりあえず貴様の母親が苦労してるのは自業自得だ。笑ってやれ。     それから貴様の父親がクズなのは……まあ努力をしない所為だな。     修行ってのは大事だ。けどあのクズはなんにもやろうとしない。     その鬱憤をぜ〜んぶお前や母親で晴らしてるからだな」 子供 「だ、だからっ!!」 彰利 「だから殺すか。まあ俺もそれがいいとは思うんだけどな。     ……よし、じゃあこうしよう。小僧、いいか?これからうんと修行しろ」 子供 「修行……?」 彰利 「そう、修行だ。     修行して、月操力の“げ”の字も理解できてないクズ親父を見返してやれ。     解るか?お前が力を使えるようになれば、あいつを見返せるだけじゃなく、     偉そうなあいつが使えない力をお前が使えるようになるんだ。     それはつまり、貴様があのクズに真の意味で勝ったことを意味する」 子供 「───、……い、いいっ!うんっ!それいい!!」 OK、さすが俺様。 彰利 「よし。いいか?イメージするのは破壊だ。     お前の家系に伝わる能力は月壊力っていう、モノを破壊する方向のものだ。     だからな?親父の尊厳を破壊するイメージを増幅させ続けろ」 子供 「え……そ、そんなのでいいのか!?」 彰利 「もちろんだ!!だがそれは半端な破壊イメージでは開花せん!!     だからあんなクズと一緒に居る母も母だ!と怒りをぶつける感じでやるんだ!!」 子供 「えぇ!?で、でも母さんは───」 彰利 「お馬鹿さん!!貴様もやつらの子供なら解るだろう!!     やつらは互いに馬鹿なのだ!!家系ってモンに縛られすぎている!!     だからそんな状況を貴様こそが破壊しろ!!     それが───親を見返し弱い自分を変えてゆくために貴様が唯一出来ることだ!」 子供 「ぼ、僕に……出来ること……」 彰利 「そう。自分ってものを信じてみろ。……貴様なら出来るから」 子供 「………………にーちゃんの言ってること、正直よく解らない。     でも……なんだろ。にいちゃんの言葉なら信じれる気がする」 彰利 「オウヨ。なにせ───ワシは天狗だからじゃ!!」 子供 「ほんとか!?」 彰利 「ウソじゃ」 子供 「………」 物凄く可哀相な人を見る眼で見られてしまった……。 だが貴様には解るまい……今貴様が見上げてる俺こそが、 こことは違う時間軸での先の貴様だということを……。 彰利 「じゃ、行くか」 みさお「会っていかないんですか?両親に」 彰利 「オウヨ。口ではどうとでも言えるけど、感情抑えられるか解らんし」 みさお「でも、彰衛門さん……じゃないですね、     この小童さんだけじゃなくて親の方も変えないと、     多分なんにも変わりませんよ?」 彰利 「それはそうかもしれんけど、     それよりキミが小童さんって言ったことに僕はとても興味があるんですけど」 みさお「軽く流してください」 悠介 「……あの両親か。確かに父親然り母親然り、     どっちも性根をなんとかしないとどうにもならないな……」 なんというか……我が家族ながらひどい言われようだ。 しかも本当のことだけに、なにも言い返せん。 ……言い返せたとしても言うつもりないけどね。 なんて思ってた時である。 声  「……、どなた、でしょう」 ───耳に届く、忘れようもない声。 それだけで跳ね上がる心拍数に、俺は少なからず苛立ちを覚えた。 彰利 「その、声は……」 そして……俺はまるで苦虫でも噛み締めたような声を怒りとともに吐き出しながら─── ゆっくりと、振り向いた。 悠介 「………」 みさお「………」 視線の先に居たのは、父親よりもよっぽど会いたくなかった人物だった。 ……弦月浄子。 俺の、……母親だった存在だ。 彰利 「ッ……!!」 眉間にシワが寄る。 手はバキベキと鋭く変異していき、影と闇と黒が躍動し、コロセコロセと訴えてくる。 だが─── 悠介 「───」 そんな俺を、じっと見つめる存在が一人。 それだけで……俺の心は酷く落ち着いてくれた。 ……もう、過ぎたことなんだと。 受け入れるべきものは。手放すべきものは、もうとっくに手放してきただろうと。 それを教えてくれるその眼が、俺を確かに救ってくれた。 だから─── 彰利 「オウこれを見な!」 悠介 「───」 俺の家族は夜華さんと聖とみずきだけだ。 もう、それでいいだろう。 今更振り返ることなんてなにもない。 俺には……そうだ、俺にはこんな家族との思い出なんかじゃなく、 もっといっぱいの暖かい思い出があるんだから。 彰利 「名前くれェ聞ィたことあンだろ。     チーム『タナトス』仕切ってるウポってなァ俺のことだ……。     口の聞き方誤ったら死ぬぜ」 みさお(えぇっ!?いつの間に木にWANTED写真を……!?) コン、と軽く小突いた約束の木。 そこには最初の一言で察してくれたのか、 悠介が創造したらしいWANTEDが張ってあった。 ……何故かしっかりと写真はウポのままで。 浄子 「……あの。お写真とお顔が違うようなのですが……?」 彰利 「ウダラ今鼻で笑っちょがァ!!売っとるぞコイツ完璧に売っとるぞ!!」 浄子 「い、いえ、笑うだなんてそんな、とんでもない……」 ……うん、よし。 俺は俺で居られてる。 そう確信を以って悠介を見れば……彼も、俺を見ていつものように苦笑してくれていた。 しかしまあ、なんだね。 随分とまあ気弱なこって……。 これじゃあアイツに下に見られるのも解る気がする。 しかしコヤツは死ぬ間際まで己の意思を変えなかった、ある意味凄いお方やさかいなぁ。 ここはやっぱアイツを変えるっきゃないでしょう。 彰利 (だったら……アレだな。異翔転移!) ひとまず異翔転移を行使してとあるブツを転移! そんでもって、えーと…… 彰利 「アー、失礼。私、世界を大いに盛り上げるためのジョン=スミスの団、     略してSJS団に所属するセリーヌ彰利というものです」 浄子 「彰利……?まあ、わたしの子と同じ名前……」 彰利 「奇遇ですねまったく。それでちょっとお父上……うわ反吐が出る……ああいや。     家主さんにお目通り願いたいのですが……」 浄子 「……そ、そうですか。その……宗次さまでしたら屋敷の方に……」 と、ご婦人がそう言った時である。 声  「おいっ!浄子!浄子!?ええい役立たずが!何処に居る!     呼んだらすぐに来いと言っているだろう!!」 浄子 「っ……は、はい、ただいま……!!あっ……し、失礼します……!」 突然響く罵声。 これまた忘れもしない、嫌ァ〜な声だ。 しかもご婦人はその声にわざわざ従って駆けてゆく。 殴られること解ってるのに……アホだねありゃ。 はぁ、まったくしゃあのない……。 彰利 「お待ちなさい!」 浄子 「《ビクッ!》はっ……な、なんでしょう……?」 彰利 「ふぁ〜〜ったくカスが……。     おどきなさい、主とはわたしが話をつけてきましょう」 浄子 「い、いえっ……!いえっ、いえっ……!!そ、そんなことをされては困ります!」 彰利 「気にしなくていいのですよ。あなたは貴重な労働源なのですから」 悠介 「お、おお……さすがハートさまだ……!」 みさお「実におおらかでいらっしゃる……!」 つーか悠介がなんだかノリノリである。 約束の木を見て、子供の頃の俺を見て、なにか思うところがあったんだろうか。 と、せっかくノリノリなところだったんだが───ここで邪魔が入った。 宗次 「なにをしているこのグズが!!     私の身の回りの世話くらいしか出来ないくせに、それさえもノロノロと!     ……?なんだ貴様らは、人の敷地内に勝手に……!目障りだ、失せろ!!」 彰利 「ああ、私こういうものでして……」 宗次 「うん……!?」 ギャースカと一気にまくしたてるクズ野郎を前に、 俺は黒で象った名刺をスッと渡す。 宗次 「……!なっ……!つ、月の家系、宗家……!?そ、宗家の人間が何故……!?」 そしてあっさり信じる愚か者。 クォックォックォッ……だから貴様はクズなのだ、馬鹿め。 彰利 「いやぁ……世界を大いに盛り上げるためのジョン=スミスの団、     SJS団の調査において、     お宅の坊ちゃんの才がかなりのものだということが発覚いたしまして。     それでわざわざこんなところまでやってきたのですよ」 宗次 「才……!?このクズがか!?馬鹿を言え!こんなクズに才などあるものか!!」 彰利 「クズですと?……ははっ、ご冗談を。     当り散らすことしか出来ないあなたごときよりもよっぽど才がありますよ」 宗次 「なにっ!?おい貴様!今なんと───!!!」 彰利 「宗家の調べで、貴方は無能者であることが正式に確立されました。     あなたは家系の一員である資格すらないクズ中のクズです。     ……知ってますよ?貴方、力が弱いからといって家族に八つ当たりをし、     そのくせ自分は修行もせずに偉ぶっていたらしいじゃないですか」 宗次 「ぐっ……!そ、それは……!!」 彰利 「もう一度、いえ何度でも言いましょう。貴方は才能ゼロで努力もしないクズだ。     だが貴方のお子さんは素晴らしい。どう素晴らしいかというと時に凛々しく時に美     しく才覚に溢れ美貌にも溢れ二枚目ハーンを名乗れるほどの美麗さと艶やかさを秘     め、しかしそれだけではなくここぞという時にカッコイ《ドボォ!》オブゥム!」 悠介 (さっさと話進めろたわけ……!!) 彰利 (ソ、ソーリー……) 自分の素晴らしさをここぞとばかりにアピールしてたら脇腹に貫手をされてしまった……。 彰利 「ウォッホン!……ともかく。宗家協会は貴様を無力化させ、     月操力の全てに関わることを禁ずることを命じる。……受け入れるかね」 宗次 「……じょ、冗談ではない!!私がこのクズより下!?下だと!?」 彰利 「そうです。そして今日この時より才覚が遙かに下回る貴殿は、     この子に敬語を使い、逆らうことを許さぬものとします。     薄汚れた才覚の無い貴殿の目では解らんでしょうがな……     この子の力は希望に満ちております。     間違い無く、全家系一の力を持っておるでしょう」 宗次 「……!ば、ばかな……!じゃあ何故能力が使えない!?」 彰利 「時が来ていないからですな。     力が強すぎるため、それに耐えられる器が出来るまで、     能力自身が体を思い、表に出るのを待っているのでしょう」 宗次 「…………そ、そんなばかな……!クズが……こんなクズが……!!」 彰利 「口を慎みたまえ!!」 宗次 「ひっ!?」 彰利 「言ったであろう……貴様は今、家系の長に成り得る者の前に居るのだぞ!!」 宗次 「っ……!だ、だが……そ、そそそうだ!!私はこのクズの父だぞ!!     ならば父である私の方が───!!」 彰利 「口を慎めというのが聞こえぬのかッ!!」 宗次 「う、ぐ……!!」 彰利 「月の家系は力こそが全て……!その要たる力すら満足に扱えぬ、     真なる意味でのクズごときが……!身の程を知りなさい!!     弦月に生まれながら力も満足に継承出来なかったとは!!     ああ情けない!!貴様こそクズだ!!クズだ!クズだ!!」 宗次 「ぐ、ぐぐっ……!わ、私は……!私はぁああ……!私はクズなどではない!!」 ザァッ!! 彰利 「むっ!?」 クズが駆け出す! 他の誰でもない、我が子に掴みかからんとするために!! が───ダダダンッ!! 宗次 「ッ……!?ひ、ひぃ……!!」 俺と悠介とみさおによって、あっさりと地面に叩き伏せられていた。 まるでそう…… 虚化した途端に仮面の軍勢に取り押さえられた、ブリーチの一護くんのように。 俺も悠介もみさおも、しっかりと刃物出してるから余計にである。 彰利 「長候補であり、実の息子である子に危害を加えようとは……」 悠介 「救えないな。いっそここで始末してくれようか」 宗次 「ひっ……!?や、やめっ……!!」 みさお(ノリノリですね) 悠介 (解るかね) いや、ほんとノリノリだ。 ……うん、まるで子供だ。 でもこういう悠介は……俺に、確かに昔を思い出させる。 彰利 (……っと、思い出に浸ってる場合じゃあねぇよね) そう思った俺は異翔転移させたブツを倒れた宗次の腰に巻きつけてやり、 スイッチをカチリと押してやった。 すると───シュボンッ!! タイニー『…………!?こ、これは───!?』 みさお 「ぶふっしゅ!?」 悠介  「ぶはっ!?」 あっという間にタイニーマンドラゴラの出来上がり!! 説明せねばなるまい……!タイニーマンドラゴラとは、 FF11のサルタバルタ地方に生息するマンドラゴラ種である! 常に葉っぱのような手をヒラヒラとさせており、なんともステキな風貌だ! そしてこの変身アイテムこそ、 かつて悠介とともに駆け抜けた空界にて創造してもらったアレ! その名もデラックス変身ベルトである!! ……ちなみに俺のだから奇妙に呪われてて外せやしねぇ。 タイニー『き、貴様何をした!!』 彰利  「宗家の長様はお怒りである!それは長自らが練り上げ製作した呪いアイテムだ!      どうあっても外れぬ上に、体は究極までに弱体化する!!」 タイニー『は、外せ!これを今すぐ!!』 彰利  「外せるかどうかは貴様次第だ……家族に今までのことを心から悪かったと認め、      心から謝り心から会心し、そして相手に心から許してもらえた時、      貴様は戻ることが出来ると長様は仰っておられた!!」 タイニー『馬鹿な……!な、何故わたしが……!』 彰利  「何故……?そんなことさえ解らぬからそんなことになるのです。      まったく情けない……そんな貴様がよく妻を、子供をクズなどと呼べたものだ」 タイニー『当然だ!こいつらはクズだ!!いつも私の足を引っ張る!!      私こそが!私こそが……そうだ!私こそが長になるべき存在!      それをこんな、役立たずから産まれた青二才が……!!冗談ではない!!』 彰利  「役立たずは貴様だよ。……死神王の権限を以って、ここに汝の力を解放する」 タイニー『……?』 クズが叫び続ける中、過去の俺の能力を一時的に無理矢理解放させる。 一人の存在に対して一回きりの能力だ、あとはこいつがどう能力を解放させるかだ。 子供 「え、え……?なに……?」 みさお「イメージしてください。……そうですね、この葉っぱが壊れるように、強く強く」 子供 「え?で、でも」 悠介 「見せてやれ、自分がそいつとどう違い、     そいつが自分と違ってどれほどクズなのかを」 子供 「……、───!!」 ボチュンッ!! タイニー『───……!?』 小童がグッとイメージを強めると、みさおが手にしていた葉っぱが粉微塵に吹き飛んだ。 それを見た…………えーと、タイニーさんは、 驚愕を隠し切れない……えーと、顔、は……ずっと同じだよなぁ。 ふ、雰囲気かな?うん、雰囲気を驚愕色に変えてみせた。 タイニー『げ……月壊……力……?』 彰利  「そういうことです。この小童は能力を使えた。      しかし貴方の尊厳を崩したくなかった故に見せなかった。      だというのに貴方はクズだ、役立たずがと……      そんな親の姿は子供の目にどう映ったでしょうね」 タイニー『あ、ああ……!?ち、違う……!違うんだ……!!      ふ、ふへっ……そ、そうだクズ……い、いや彰利!!      その力で長になり、この私をより高いところへ導け!!      私は貴様の親だ!貴様に降りる全ての利益と栄光を受け取る権利が───』 彰利  「───……」 悠介  「……」 みさお 「…………」 もう決定的だ。 こいつはどう話を運ばせようとしても、自分のことしか見えてない。 ご婦人と小童を変えることは可能だ……だがこいつは性根の芯から腐ってる。 力を目にした途端に力に溺れ、己の利益のみに終着する、真のクズだ。 彰利  「……救えないな……ほんと、救えない」 タイニー『な、なんだぁ?その目は……!私にはこのクズが居るのだぞ!!      長となる才覚を持つ者……ああ結構だ!      そして貴様らはその長になる存在の手によって消えるんだ!!      さあクズ!さっさとコイツラを始末しろ!もう何も要らん!!      貴様と私がさえ居れば、家系なぞ支配出来るのだ!!』 子供  「───……」 タイニー『あん……!?なんだその目は!私は貴様の親だぞ!?      子が親の言うことを聞くのは当然だ!!役立たずから産まれたクズの貴様を!      この私が“使ってやる”と言っているのだぞ!!さっさとやれ!このグズが!』 彰利  「……そうですか。では───お望み通り」 黒で固めた髪を、ばさっと梳かす。 すると、俺の髪は丁度小童の髪と似た感じのものになり─── それでヤツも感じ取ったんだろう。 今まで目の前に居た存在が、いったい誰だったのかを。 タイニー『っ……!?き、ききき貴様───!?』 彰利  「ご機嫌麗しゅうございます父上……。      貴様の所為で人生を狂わされ続けた、憐れな弦月の一子でございます」 タイニー『なっ……ば、ばば馬鹿な!』 彰利  「ババアもびっくり」 悠介  「あらヤダよ」 みさお 「どうしてここで珍遊記なんですか……」 いや、このクズがばば馬鹿なとか言うから。 彰利  「アンタの望み通り、俺は家系なんてものを超越する存在になった。      月操力を全て手に入れ、その果てで死神の王になったよ」 タイニー『し、死神王……!?貴様ごときがか!?……あ、い、いや……そうか!      つまりここに来たのはこの私に恩返しをするために───』 彰利  「……何処まで腐ってるのかね、こいつの脳って」 悠介  「いや……物凄く同意見だが、目の前で言ってやるなよ。さすがに憐れだ」 タイニー『なにっ!?』 彰利  「逆だよ逆。俺ゃてめぇの所為で地獄を見てきたんだぞ?      役立たずだからって殺されかけるわ、力が目覚めた途端にてめぇを殺すわ。      心を砕くわ何度も死ぬわ。ああ、全部、ぜ〜んぶてめぇとそこの女の所為だ」 浄子  「え……わたし……?」 彰利  「ああそうだ。母……今だから母って呼んでやるけどな。      俺はアンタがこいつから離れなかった所為で地獄を見た。      イメージ出来るか?さっさとこんなヤツから離れてれば、      アンタはこいつに役立たずって称号とともに殺されることもなかった。      俺だってレオに体を乗っ取られて、      集まった家系の人間やこんなクズの血で手を汚すこともなかった」 浄子  「……!?殺……!?」 彰利  「ああそうだよ。これから何年かしたら、      このクズはアンタを本当の役立たずって断じて殺しにかかる。      公開処刑だ。そんなものを前にして子供が平気でいられると思うか?      その所為でこいつは身に宿る死神に乗っ取られ、      その場に居る全員を自分の手で殺すんだよ」 浄子  「…………そんな……彰利……」 彰利  「……アンタが俺をその名で呼ぶな。俺はもう親なんて存在を信じちゃいない。      だからこれは忠告だ。そこに居るクズは本当の意味でのクズだ。      アンタがどれほど努力してどれほど説得しようが、最後はアンタを殺す馬鹿だ。      ……子供の幸せを願うのが親だって言葉が本当なら、      そんなヤツとは縁を切ってほしい」 浄子  「………」 彰利  「アンタなら知ってる筈だ。同じ言葉……縁を切れと言った存在のこと。      その時アンタはそいつに何をしたか覚えてるか?」 浄子  「───!」 ビク、とご婦人の方が跳ね上がる。 ……当然だ、願う者を一方的に叩いてみせたんだ。 信じるに値しないクズを信じて、その先で死ぬなんてつくづく愚かしい。 彰利 「アンタの選択は間違いだ。結果的に弦月は滅んだよ。     当然だろ?信じた挙句に殺されて、それを見た子供が暴走し、     調子に乗って笑ってたクズも死んだ。     支えるべきものが無くなったそこには何も残らない。     ……罵倒され続けてなにも教えられなかった子供になにが出来たと思う?     噛み砕いて言ってやろうか……?アンタらは……最低の親だよ!!」 浄子 「っ……、ごっ……ごめんなさい……!ごめんなさい彰利……!」 彰利 「だめだ許さん」 浄子 「えぇっ!?そんな……!」 みさお「わあ即答……だ、大丈夫なんですか?」 悠介 「大丈夫だろ。ああいう返し方をする彰利は、怒ってるというよりむしろ遊んでる」 みさお「…………あ、ほんとですね。     顔は大魔神なのに雰囲気がいつものおちゃらけモードです」 悠介 「器用だな……」 ほっときんさい。 タイニー『最低がどうした……?そのお蔭で貴様のようなクズが王になれたんだろう!?      感謝されることこそ当然だ!!そうだ、これは試練だったんだよ!      貴様が王になるために私が与えた試練だ!だ、だから今こそ私の下僕となれ!』 彰利  「うーわー……ここまで滑稽だともう怒る気にもならねぇや……」 悠介  「居るんだなー……馬鹿でクズで救いようのない頭のヤツって……」 みさお 「あの。まったくその通りなんですけど、      本人の目の前でそこまで言うのってどうなんでしょう……」 彰利  「えーとまあ、そげなわけだから、貴様と小童はここに住みなさい。      アタイはこいつを野に還してくるから……!」 言って、ヒョイとタイニーさんを抱える。 さーて、何処に捨ててこようかね……。 タイニー『な、なにをする気だ貴様!離せ!私の言うことが聞けんのか!!      わ、私が……!私が貴様をそこまで成長させてやったんだぞ!!』 彰利  「なんだろうね?この召喚された魔王な気分」 悠介  「ああ、それは俺も感じてたな」 みさお 「召喚した途端に召喚主を殺そうとする魔物の気分ですね」 そう、例えばダオス様とか。 浄子 「ま、待ちなさい彰利!!」 彰利 「断る」 浄子 「えぇっ!?」 彰利 「キョホホ……!どうせ貴様のことだから、     “その人は話せば解る人YO”とか言うのだろう!!     ならば返そう聞き飽きた!!     その果てで死んだって何度言わせりゃ気が済むんだこのタコ助!茹でるぞコラ!」 浄子 「そうだろうと構いません……!その人は貴方の父なのですよ!?」 彰利 「だーかーらー!!その所為で俺ゃ地獄見たんだっつーの!!     なに!?貴様我が子よりやっぱダーリンが大事なの!?     所詮貴様もそういうヤツ!?ああいやこれ以上は問うまい!     今の状況がまさに答え!だったらもうほんとキミって最低の親だよタコ!!」 浄子 「その地獄の果てに、こうして笑っていられる貴方が居るのでしょう!!     それを貴方は悔やんでいるというの!?だったら私も止めません!!」 彰利 「うん悔やんでる」 浄子 「えぇええええっ!!?」 彰利 「キッパリ言おう!貴様の意見は今この場限りのものだ!!     時間の流れも世界の流れも知らん貴様ごときがよくもそげな言葉を吐けたもの!!     だったら問うが、     そこの俺がこいつ無しで成長した先には一切の笑顔が無いというのか!?」 浄子 「───!そ、それは……」 彰利 「さっき貴様が言ったことはつまりそういうことだろう!!     ッアー!やっぱり予想通り言い淀んどるよこのお子はー!!     言った言葉に自信も持てないなら虚勢を張るな言うちょろー!?ちょろ!?」 みさお「あの、言いたいことは解るんですけどもっとシリアスにならないんですか?」 彰利 「……抱えてる一方の親がタイニーで、シリアスもクソもねぇでしょ?」 みさお「ああ……それもそうですね……そうしたのは彰衛門さんですけど」 何気に一言が多かった。 でも構わん!! 彰利 「そんなわけじゃきん、言葉に詰まったキミの負け。     こいつは……うん、空界にでも捨ててこようか」 悠介 「ああ、じゃあウェルドゥーン山にでも捨ててこよう。     あそこならマンドラゴラがいっぱいだ」 彰利 「おお!いいねそれ!」 浄子 「や、やめなさい!それでも、それでもその人は貴方の父───」 彰利 「安心おし!手を下すのは地獄を見て、     貴様の所為で散々手を血で汚したこの俺彰利!     そこでホウケている貴様の息子にはなんら関係無し!!     だから…………俺が見れなかった普通の幸せを、どうか見せてやってほしい」 浄子 「───……彰利……あなた……!」 彰利 「ん〜〜〜……焚!!」 ご婦人が衝撃を受けている隙に影を使って小童にアクセス!! そんでもって黒の力で強引に死神とアクセス!! まだ眠っているレオをズズッチュゥウウウンと吸収し、これで全てがパーフェクトゥ!! 彰利 「ではサラバだ!!せいぜいステキな夢を見るがいい!!     僕らは別世界に飛ぶけどまあまだこの時代には用があるんで戻ってくる!!     ……べつに貴様のもとには戻らないけどね」 浄子 「えぇっ!?」 みさお「一言多いですよ」 彰利 「キョホホ、だがこれでスッキリしたわ!」 悠介 「じゃ、行くか」 こうして俺達は転移を実行。 その場を離れ、一度元の時代に戻ってから空界に行き、 そこからまた暦間移動をして─── ───……。 ……。 ───過去の、空界へと降り立った。  ゴォオオオオオ……!! 彰利 「FUUUUUM……」 見渡す限りの荒地。 降り立った場所はウェルドゥーン山で間違いないんだけど、 赤竜族は居ないしマンドラゴラも居ない。 どんな時代だろ、今って。 悠介 「……おかしいな、マンドラゴラが一匹も居ない」 彰利 「冬眠でもしとんのかね」 みさお「するんですか?冬眠」 いや、知らんけど。 彰利 「まあいいや、赤竜族が居ないのは妙に好都合だ。     もしかしたら今はヤムヤムが赤竜王になって間もない頃かもしれんし」 悠介 「そうだな。     飛んだ歴史がどのあたりなのかは俺じゃあ解らないからどうとも言えないが……」 みさお「それじゃあ、置いていくんですか?」 彰利 「オウヨ!」 元気に返して、ソッとタイニーさんを地面に降ろす。 タイニー『な……なんだここは!おい!冗談ではないぞ!私の野望は───!!』 彰利  「ここで素晴らしきタイニーワールドを体感してくれ。それが貴様の野望!」 タイニー『ふざけるな!私は、私は───!!』 彰利  「ウフフフ、ではアデュー!      せっかくだが生憎このワタシは忙しいのだヨ!キミと違ってネ!!      貴様の最後を見届けてやりたいにはやりたいのだがネ!!」 そう言ってさっさと転移を始める。 そこへタイニーさんが追いすがってくるが、 ドムンと顔面にシュートをキメてフッ飛ばした。 おお、まるでゴムボールを蹴飛ばしたような感触だった。 彰利  「さぁあああらぁああばぁああだぁあああああ……!!!」 タイニー『ま、待てぇっ!!待て!ひぃっ!ま、待ってくれぇえっ!!      こんな場所に置いていかれたら、私はどうすれば、ひぃっ!!』 みさお 「緊迫した状況なんでしょうけど……      タイニーさんがわたわたと近寄ってくる様って妙に微笑ましいですね……」 悠介  「ああ、緊迫した状況だとはまるで思えないな。      状況と絶叫と容姿がまるで噛み合ってない」 まったくだった。 しかし現状は確かに進む。 俺はあえてタイニーさんのすぐ目の前で転移してやり、 表情からは全く解らんが、その絶望をニヤケ顔で受け取り─── 最後の鬱憤晴らしを、ここに完了させたのだった。 【ケース466:interlude/───】 ゴォオオオ……!! タイニー『ま、まって……待って……くれぇ……!!』 一つの存在が必死になって、葉っぱのような手を伸ばした。 しかしその手が何かを掴むことなどない。 今までを散々と好き勝手に生きた罰が、今ここに降りたのだ。 タイニー『こんな……こんな馬鹿な……何故わたしが……』 力なく項垂れる。 辺りを見渡しても一面の荒野。 およそ人が住むべきところではなく、歩いてみても崖があったり荒野が続いていたりで、 自分を迎えてくれる安寧など存在してはいないのだ。 ……いや、存在しない筈だった。 タイニー『《がしぃっ!》ひぃいいいっ!!?な、なっ……なにっ……!?』 突然だ。 見下ろした風景の中に一つの城か屋敷のようなものを見つけた途端、 自分の頭が後ろから鷲掴みにされた。 そして、掴まれるがままに体はいとも容易く宙に浮き、 掴んでいる者へと無理矢理向き直される。 女性 「………」 女……?彼はまずそう思った。 だがなにかがおかしい。 こんな人が住めるような場所ではないところに、何故女が一人? そう思わずにはいられない状況が確かにあった。 しかし人というのはこれで、案外孤独を嫌うのだ。 会った者があの役立たずと同じ女であり、 しかも悪く無い顔立ちとくれば、この男が舌を舐めない筈が無い。 女性  「ふーん……見ない生き物ね」 タイニー『ふ、ふふふはは……!お、おい女!私を───』 女性  「しかも喋る、と。んー……これは一種の呪いみたいなものかな。      元は人間みたいだし、我も強そうだし、問題は意志力だけど……」 タイニー『お、おい!聞いているのか!!私は───』 女性  「ああもううるさいなぁ。今いろいろ調べてるんだから黙ってて」 タイニー『なんだと貴様!誰に向かって口を利いてるか解っているのか!?』 女性  「解らないけど、多分あなたも解ってないんでしょうね。      まあいいわ、とりあえず自己紹介。わたしはヤムベリング=ホトマシー。      この北の大陸ウェルドゥーン山の主にして、現赤竜王よ」 タイニー『せきりゅう……?なんのことだ?      そんな訳の解らんことを言ってこの私が───!』 女性  「あなたの意見なんてどうでもいいわ、興味がないもの。      ……さてと、面白いもの手に入れたし、      これでしばらくは退屈しないで済みそうかな。      えーと、とりあえず五月蝿いから言葉は喋れないようにして……      死んじゃった時のことも考えてクローンも作ろうかな。      あとは生態を研究し尽くして……ああ、無駄に力をつけるのも面白いかも」 タイニー『な、なにを言っている!?離せ!やめろ!なにをするつもりだ!!』 女性  「……この偉そうな自我も邪魔臭いわね。      いいわ、徹底的に恐怖を叩き込んであげる。      今あなたが掴まれているわたしがどんな存在なのかを      たっぷり知るいい機会だわ。      まあでも知ったところで自我なんて無くなってるわけだけど。      少しの憎しみくらいは残しておいてあげる。      少しも張り合いが無いとつまらないからね」 タイニー『なにっ……!?お、おい!待て……待てぇっ!!』 女性  「雰囲気からして地界人でしょ?      異世界から飛んで来たの?それとも誰かに召喚された?      まあ、どっちでもいいわ。地界からの召喚なんて珍しいし、      いっそこのままの姿で固定して召喚獣ってことにしちゃいましょ。      大丈夫よ、飽きない限りは面倒みてあげるから」 タイニー『ひっ……!?』 赤い魔女は歩いてゆく。 己のラボへ向かい、ゆっくりと研究をするために。 悠介や彰利と出会う前の、まさにマッドサイエンティストと呼ぶに相応しいままの彼女が。 その先で何が起こるのかなど、もう目に見えているだろう。 タイニー『や、やめっ……やめろぉおおおおっ!!離せ!離せえぇえええっ!!!』 既に赤竜王から力を受け取った彼女だ。 そこから発せられる殺気めいたものをただの人間が受け取れば発狂もする。 事実、彼は彼女から発せられるただならぬ雰囲気に己の未来を察した。  やがて……扉が開かれ、閉ざされる。 のちにこの山にはマンドラゴラという生物が名物の存在となる。 ゲームとは関係ないこの場に何故あんな生物が居たのか。 その答えがここから始まったものなのか、 それとも別の意味合いを持って産まれたのかは謎とされている。 ただ自我を滅された彼は中途半端な存在のまま、この地で意味も無く生き続けるのだろう。 過去を後悔することさえ許されぬまま、与えられた寿命の中で、 ただ小さく……こんなことをした息子を恨みながら。 Next Menu back