───時空放浪モミ列伝『第五章◆進化するモミアゲと退化する提督』───
【ケース472:晦悠介(再)/スルメのスメルがスメルズライクバッドスピリッツ】 そうして、出かけていった“俺”を追って走った俺達だったが─── みさお「あの。これからどうなったのかとか覚えてます?」 悠介 「これからか?」 早くも見失った。 というよりは先に行かせたために、何処に居るのかが解らん。 スーパーはこっち側でいい筈なんだが…… 悠介 「“俺”にさっさと行けって言われた俺は───あー……」 中井出「俺と出会う!!」 悠介 「出会わねぇよ!!」 中井出「ぬう!なんと鋭いツッコミか!実にグッドだ晦一等兵!!     だが断言出来るということは、おぼろげにでも覚えていることがあるのだな!?」 悠介 「へ?あ、いや、それはだな……」 藍田 「おおそれは本当か晦!」 丘野 「なんでござる!?これからなにが起こるのでござる!?」 中井出「言うのだ晦一等兵!そしたら我ら原中がそんな運命なぞ破壊してくれる!!」 悠介 「やめろ頼むから!!     お前らが介入したってだけで、本気で俺の人生が捻じ曲がりそうだ!!」 中井出「うわヒッデェ!!」 藍田 「ストレートだよこのクズが!」 ナギー『ほんにクズな男よの!』 悠介 「お前らにクズとか言われたかないわ!!」 中井出「なんだとモミアゲ一等兵!!」 悠介 「誰がモミアゲ一等兵だこのエロマニア提督!!」 中井出「エロマニア提督言うなぁああっ!!     俺がエロマニアっていう軍隊の提督を務めてるみたいに聞こえるじゃねぇか!!」 ナギー『そうなのじゃ!ヒロミツは提督幅に納まる程度のエロマニアではないのじゃ!!』 中井出「あのねナギー!?僕そういう意味で言ったんじゃないからお願い黙ってて!?」 ナギー『嫌なのじゃ!何故ならその方が面白いからなのじゃー!!』 中井出「ギ、ギィイイイイイイイイッ!!!」 言っちゃなんだが天下の往来でなにを絶叫し合ってるんだろうかな、俺達は。 ああもう……民の視線がイテーイテー。 藍田 「そうだぜ提督!あんたのエロマニアンハートはもはや提督の域なんて越えてる!」 丘野 「もはや貴殿はエロマニア提督ではなく───エロマニア総督!!」 中井出「そんなの昇格しても嬉しくないよ!!     なにその“やってくれたぜ僕らの提督!”って顔!!嬉しくないったら!!」 声  「マア……あのコ、大人しそうな顔してて中身はスケベなんですって……」 声  「あらやだわ奥様……!こらケンちゃん!見ちゃいけません!!」 中井出「テメェエエエエ!!俺別になんもやってなかっただろうがァアアア!!     なに!?俺って存在自体が既に有害なの!?子供にとって危険なの!?」 藍田 「提督……今更なに言ってんだよ……」 丘野 「突然そんな自分を否定するようなことを……気でもフレたでござるか……?」 中井出「フレてないよ!なんなのその有害説肯定の姿勢!!     ちくしょういつもそうやって人をエロマニアに仕立て上げやがって!!     卒業したって言ってるでしょ!?もうその手は食わんぞぉ!!     僕は今この時より心を強く持つと決めた!!」 彰利 「その調子だぜ中井出!で、努力の果てに結局エロとしての覚醒を」 中井出「そんなもん遂げねぇよキィイイーーーーーック!!」 彰利 「《ドゴッシャァアアッ!!》ぐぉおおーーーーっ!!!」 既に立ち止まっていた俺達の周囲をご婦人方が取り囲みヒソヒソと噂する中、 突如として中井出が彰利に向けて蹴りを放つ! しかし胸目掛けて放たれたソレはクロスアームブロックでしっかりとガードされる……! 大した反応速度だ……。 そして、ガードしながらも渋い顔をしつつ中井出を睨み、 蹴りを戻しつつも、同じく渋い劇画タッチの表情をする中井出。 なにやりたいんだろうなぁこいつらは。 彰利 「なかなかの蹴りだ中井出……これは一体なんの真似だ……?」 中井出「かつての友、ホモよ……この博光はエロマニアの称号を返上する……。     今の自分の男としての尊厳(そんげん)を大切に思う気持ちじゃあ、誰にも負けられん!!」 彰利 「ぬッ……!?貴様ァア!!」 中井出「気安く近づくなホモォオオッ!!《ドゴォオオオンッ!!》」 彰利 「ぬぉおァアッ!!?なんだその裂帛(れっぱく)の気合いはァアアッ!!」 中井出「今日から俺は男前の人生を歩むと決めた……!!     お前はホモらしくゲイバーででも暮らせェ……!!」 彰利 「誰がゲイバーなんぞに行くか提督この野郎!!」 そしてあっさりと劇画な風情から戻って絶叫めいた声でツッコミを入れる彰利。 ホモだのエロマニアだの、もうご婦人方の心をキャッチする言葉が飛び交いまくってる。 そしてそれを囃し立てる藍田や丘野やドリアード……。 俺とみさおに出来ることといえば、他人のフリして少しずつ離れることくらいだった。 彰利 「ぬっ!?貴様!」 中井出「団体行動を乱すなモミィイッ!!《ドゴォオンッ!!!》」 悠介 「ぬぉおおぁあっ!?なんだその裂帛の気合いはァッ!!」 みさお「落ち着いてください父さま!!」 悠介 「うおっ!?わ、解ってる!解ってるぞ!?」 危ねぇ……! ノリがいいのは面白いことだが、良すぎるのは絶対に考えもんだぞこれ……! 悠介 (……ふむ) けど心はスッキリしてる方だ。 今まで遠目にして立っているだけだった喧噪の中に入っているってだけで、 俺は案外今の状況を楽しんでいられているようだ。 ……彰利や中井出も、常にこんな高揚感の中で日常を過ごしてるんだろうか。 だったらちょっとだけ羨ましいかもしれない。 彰利 「ところで中井出よ。貴様細菌綾瀬とはどうなん?」 中井出「“さいきん”の部分になにやら危険な香りを感じたんだが……普通だぞ?     俺達ゃそれぞれが自分勝手に生きる猛者たちだからな。     だがたとえ離れようと愛だけは忘れん。     ……しかし愛って言葉、もっとべつの表現無いのかねぇ」 彰利 「愛してるって言葉ってモノスゲェ胡散臭く聞こえるもんねぇ」 中井出「で、何故いきなりそんなことを?」 彰利 「いや……なんだか後が怖いかなぁと。ほら、夜華さん置いてきちゃったっしょ?」 中井出「俺も藍田も丘野も置いてきたが」 藍田 「夏子にゃ悪いがこんな面白そうなものを目の前にして、     俺の原中魂はただ黙ってくれているほど大人しくはなかったのさ」 丘野 「睦月は別れを惜しんでくれていたようでござるがな。     そういえば提督殿、脇腹を毒針で刺されていたでござるな」 中井出「ていうか別れを惜しむ暇も無かっただろ丘野二等。     そもそも貴様らは急にこの博光にしがみついてきて───」 丘野 「いやいや、睦月は提督で遊べなくて寂しがっていたんでござるよ」 中井出「おおなるほど俺で!?なにそれ!俺で遊ぶの!?     どんな名前の遊びなのそれ!ねぇ!名前教えてよちょっと!!ねぇ!!」 藍田 「相変わらず殊戸瀬って提督には容赦ねぇよな……」 丘野 「拙者以外では一番提督殿がとっつきやすいと言ってたでござるからな」 彰利 「……それってとっつきやすさの問題なん?」 悠介 「知らん」 でもま、それなりの理由があるんだろ。 原中大原則には互いに遠慮無用ってのがある。 普通なら許されないような行為も笑って復讐するのが我ら原中。 ……なんだが─── 悠介 「そういや中井出って殊戸瀬に仕返ししたことってあったか?」 中井出「うむ!原中時代に給食の揚げパンを強奪してやった!!」 彰利 「おおそれで!?」 中井出「……その……泣かれたのちに猛者どもにボッコボコにされました……」 丘野 「おお、アレでござるな?」 悠介 「あ、あーあーあー!あったなそんなの!」 彰利 「アレって揚げパンがきっかけだったん!?」 給食時、なぜだか急に殊戸瀬が泣いたことがあった。 で、そんな殊戸瀬の前には硬直している中井出。 決定的だった。 だから俺達は彼を囲み、必死に言い訳を並べる僕らの提督に “何も言うな……解る”とやさしく微笑みかけたのちに集団リンチ。 思えばあの頃から中井出の境遇というか待遇というか、そういうのってあまり変わらない。 中井出「さらにそののち、ヒロライン中にも食事に毒を盛って毒殺したことがあるんだが」 悠介 「普通にクズだなお前」 中井出「?……なに改まって言ってんだ?」 悠介 「認めることが当然みたいに返すなよ!!」 中井出「フッ……我ら原中、迷惑部に身を置いた頃から既に修羅の道を歩む外道!!」 藍田 「いまさらクズだカスだと言われようがそうダメージはねぇ!!」 丘野 「でも毒殺説は初耳でござるな……妙な心境でござるよ」 中井出「うむ!だから貴様がアイテムを買いに行っている時に毒殺したのだ!!」 藍田 「その後ことあるごとに陰湿なイジメめいた嫌がらせをくらいまくってたが」 彰利 「キミってとことんいい方向に話が進まんヤツだね」 中井出「とりあえずお前にだけは言われたくない」 みさお「どっちもどっちですね」 ナギー『なのじゃ』 殊戸瀬にしたってそんなもんか。 つっかかりやすい相手ってのが居ると、 どうにもそいつに自分のやきもきした気持ちが向かうのはよくあることなんだろうさ。 俺自身はどうか解らんが、巻き込まれ続けた経験からすればそんなところだろう。 中井出「ともかくそれから、ビッグベアに尻叩かれてるところも見たことがあるな。     親指立ててサワヤカスマイル送ったら、     敵の目の前でどうしてか俺がターゲットになった。     丘野が死亡した時に悲観する彼女を後ろからブチコロがしたこともある。     のちに訪れた宿屋で寝首掻かれて神父送りにされたが。     自分が作った落とし穴に落ちる瞬間も見た!     ……って、俺が突き落としたんだけどさ」 悠介 「お前そりゃ狙われもするだろ……」 中井出「本気には本気を返すのが原ソウル!     武器を手に取っていいのは殺す覚悟と殺される覚悟が出来ている者のみ!     だがその時はあえてそんな常識を破って、     夫の死を嘆く妻をコロがしたのですが」 悠介 「……クズって言葉しか浮かんでこないんだが」 中井出「フフフ……この乱世、夫の死を前に動揺する方が悪いのだグオッフォフォ……!」 悠介 「そりゃ無茶だろ!普通動揺するぞ!?」 特に殊戸瀬は丘野にあんまりにも熱心だ……! 復讐したいと思うに決まってる……! 中井出「で、復讐に燃える殊戸瀬二等と決闘をすることになったのだが───」 悠介 「……なんか聞かなくても結果がわかるというか……」 彰利 「ねぇ……?」 中井出「立ち向かってくる殊戸瀬二等の目に砂をかけたり、     怯んだ殊戸瀬二等を遠慮無用で殴り飛ばしたり、     魔法で盲目を直してもらった瞬間に再び目潰ししてボッコボコにしました」 彰利 「あの……それって狙われて当然じゃないの?」 中井出「順番を間違えるなよ彰利。襲ってきたのがあいつで返したのが俺だ」 彰利 「おおスティグマハート?でもキザったらしい言葉が死ぬほど似合わねぇねキミ」 中井出「もちろんだ!!」 悠介 「胸張るなよ……」 何処にでも居るような顔したヤツで、しかも装備が村人の服とくる。 そんなヤツが髪をサラリと風にたなびかせながらキザ語を言ったところで、 単なる笑い話になるだけだろう。 きっとこいつはそんな馬鹿とはちょっとズレてる馬鹿なんだろう。 彰利 「ところで中井出よ。貴様、先ほどの映画版ジョジョ風の顔はどうやって演出した」 中井出「《メギャンッ!》これか?」 彰利 「《メギャンッ!》おおそれよ。貴様どうやって?」 中井出「いやなにな、遺跡の財宝の中にゲキガン湿布というものがあってな。     それを体に貼り付けるとあら不思議!顔がゴツくなる。     まるでジョジョ第三部の絵のようだ。ちなみに貴様は?」 彰利 「黒で象ってるだけ」 中井出「……便利だよな、お前の黒って」 悠介 「とりあえずその格好のまま話すのはやめてくれ。目が疲れる」 彰利 「気安く近づくなモミィイッ!!!《ドゴォオンッ!!》」 悠介 「ぬぉおァアッ!!?なんだその裂帛の気合いはァアアッ!!」 みさお「だから遊んでる場合じゃないですってば!     いい加減に過去の父さまを探さないと……!!」 それは確かに解っているんだが……ああもう。 確かにこの時代に来てからの俺はちょっとおかしすぎるぞ。 自分を制御出来ない。 これが……これが感情か!?なんて暴れ馬みたいなシロモノだ!俺がヤバイ! 彰利 「いや……これはきっと中井出の作戦なんだぜ?     こうやってスーパーへの行き道で張ってれば、やがてヤツは戻ってくるだろうと」 藍田 「おお!そうだったのか!」 丘野 「すげぇや!さっすが天下の中井出さんだ!!」 中井出「え?俺?」 ナギー『さすがヒロミツなのじゃ!そこまで先を読んでいたとはの!』 みさお「そ、そこまで考えていたなんて……すいません、修行不足でした!」 悠介 「お前……あれだけ騒いでおきながらそんなことまで考えていたなんて……」 中井出「え?ち、違うよ?僕ただ純粋に本能を解放して騒いでただけで───」 藍田 「なにっ!?こんな天下の往来で、しかもご婦人方に見守られる中、     煩悩を解放してたというのか!!」 丘野 「さすがエロマニアの巨匠でござる!!」 奥方1「ンマッ……!やっぱりあのコったらスケベらしいわよ奥さん!」 奥方2「あらやだぁあ……!……でもあそこまで潔いとむしろ清々しい気もするわね」 ナギー『お、おおお!凄いのじゃ!     ヒロミツのエロマニアンハートが周囲を認めさせたのじゃー!!』 彰利 「すげぇや!さっすが天下のエロマニアさんだ!!」 悠介 「よっ!エロマニア総督!!」 みさお「エロマニア!!」 ナギー『エロマニア!!』 総員 『エッロマッニア!!エッロマッニア!!』 ……なんだかもうヤバくてもいい気がしてきた。 これがいわゆる原ソウルだろうか……。 後のことなんて後で悔やめばいい……それが後悔ってもんだろ?と、 とても紳士的なダニエルが親指立てながらやさしく語りかけてくれている気がした。 中井出「え?あれちょっと!?なに清々しい顔で叫び始めてるの!?     やめてよ!周りの人にヘンな目で見られ───」 奥方3「あら、なにか楽しそうに叫んでるわね……」 通行人「なんだなんだ?」 住民1「祭りかなにかか?」 男  「祭りと聞いちゃ黙ってられねぇ!!江戸っ子の血が騒ぐぜェエエ!!!     あの叫びに合わせりゃいいんだな!?よっしゃてめぇら一緒に叫べ!!     ヨォッ!!エッロマッニア!!エッロマッニア!!」 総員 『エッロマッニア!!エッロマッニア!!』 ヨォッ、という掛け声ののちに大声で叫ぶ江戸っ子さん。 すると何故だろう……俺の中のなにかが火をつけられたかのように熱く燃え上がる! たまらず、と言うべきなのか───気づけば俺も大声を出してエロマニアと叫び、 なんだかんだでみさおも笑いながら叫び始めていた。 なんだろうなぁこの奇妙な一体感……。 猛者どもはこんな気持ちを味わいたいがために叫ぶのか……? だったらちょっとだけ……まだちょっとだけだが、気持ちが解る気がする……ッ!! 中井出「あ、あれ?ちょっと皆さん!?なんでそこで一緒に叫び始めるの!?     違うよ!?みんななに聞いてたの!?僕裂帛の気合いとともに、     エロマニアの称号を返上するって今度こそちゃんと言ったよね!?     やめてったら!!ほら奥さん!?ケンちゃんの教育によろしくないからアレェ!?     ちょ、ちょっとケンちゃん!?なに一緒に叫んでるのやめなさい!!     こんなのキミの将来に悪い影響しか及ぼさないから!ね!?」 彰利 「馬鹿野郎!何故気づかないんだ“提督”……!!     お前のエロマニアンハートは、     これだけの見知らぬ人を動かしてしまうくらい素晴らしいものなんだぞ!?」 悠介 「それを返上するなんて……!恥を知れ恥を!!」 中井出「知りすぎてて泣けてきてるくらいだよ!!     どうしてくれるんだよぅ!これじゃあ僕もうここらへん歩けないじゃないか!!」 藍田 「そこであえて歩くのが原ソウル!!」 中井出「そうかもしれないけど魂レベルで物凄く反発したい気分なんですけど!?」 みさお「大丈夫ですよ、きっと英雄扱い」 中井出「されたくないよ!!なんなのエロ英雄って!!     やめてぇえええ!!もうやめてぇええ!!僕もうエロじゃないんだ!!     エロじゃないから!!卒業したんだ!ね!?解るでしょ!?     え?祭りの最中に止めるな?だから祭りじゃないんだってば!!     これはただ彼らが叫んでただけで───止めていいよそんな魂!!     熱くなった江戸っ子の魂は止められないとかカッコよく言われても嬉しくないよ!     通行人のみんなももう叫ばなくていいんですよ!?律儀に叫ばないで!お願い!」 男  「……オメェエ……それほどまで止めようとするってこたァ……。     今現在エロマニアって言われて奉られてるのはオメェさんなのか?」 中井出「奉られてないよ!!ただ一方的に言われてるだけで───」 男  「気に入ったゼあんちゃんよォ……     ここらの人間はどうにも物事に対して関心がなかったってのに、     そんなやつらの心を一つにしちまうんだからな……。     悔しいが認めるゼ、オメェさんは……最高のエロマニアだ!!」 輝く瞳で断言するダンディが居た。 すげぇ……アンタ男だぜ。とか思ってしまうほどにスガスガシイ顔だ。 中井出「なに男らしい顔でそんなこと言ってるの違うって言ってるでしょォオオ!!?     そんなこと言う暇があったらみんなを止めてよシヴいオジさん!!」 男  「無理だな。やつらァおいらの言葉なんざ聞きやしねぇ……。     今のこの状況は俺の言葉に促されたんじゃァなく……     あんたのエロマニアンハートとやらに引かれ、叫んでいるのさ」 ガガァアーーーーーン!!(我らの心に雷が落ちる音) 藍田 「す、すげぇ……!物凄いエロカリスマだぜ……!!」 丘野 「そ、そうだったんでござるか……!」 悠介 「そこまでエロカリスマを外に放出してたとは……!」 彰利 「すげぇや!さっすが天下の中井出さんだ!!」 みさお「エッロマッニア!!」 ナギー『エッロマッニア!!』 総員 『エッロマッニア!エッロマッニア!!』 中井出「やめてぇええ!!なんでさらに高い声でそんなこと絶叫してるのォ!?     別の通行人まで何事かって止まってこっち見て───     あれ!?なんで叫び始めるの!?違うよそんな祭りじゃないから!だから───」 藍田 「いいかァ愚民(クズ)どもォオオ!!     このお方が全世界を震撼させる伝説のエロマニア、中井出博光様だぁああっ!!」 丘野 「貴様らが騒いでいられるのもエロマニア様のお蔭!!     つまり同じ猛者たる我ら原中のお蔭なのだぁああああ!!!!」」 男  「お、おめぇさん、世界的に有名なエロマニアだったのか!?     どォオりでこれほどのカリスマを……!!」 そしてどんどん大きくなる事態。 ハテ……俺達はなにをしにここに来たんだろうか……。 なんて思ってても、 楽しそうなことに首を突っ込めと俺の中のダイオキ神が絶叫してるから、 もはや自分の意思で自分を止めることが出来そうにない。 産まれたばかりの命は強いってのはどうやらホントらしい。 中井出「カリスマ以前にみんなが勝手に騒ぎだしただけだよね!?ねぇ!?」 悠介 「なに言ってるんだよ中井出……いや、提督!もっと自分を信じてやれよ!!     お前って人間はお前しか確実に信じてやれないんだぜ……!?     お前なんだよ!お前のカリスマがそうさせたんだ!!」 中井出「えぇっ!?そうだったの!?     つーかあのキミそれってただ俺の所為にしてるだけじゃ───ちょ、ねぇ!?     なんで物凄い速度で目ェ逸らすの!?その滝のような汗なに!?     さっきのちょっとジーンとくる言葉なんだったの!?     いやそもそも俺って誰からも確実に信用されてないの!?ねぇ!!」 悠介 「俺は信じてる!!」 中井出「おお晦一等だから目ェ見て言いなさい!!     くそぅどうしたっていうんだ晦一等兵!     今の貴様がとても僕的に面白いっていうのに僕は追い込まれるばかり!」 彰利 「追い込まれてると思うのは兄さんが満たされて」 中井出「ないよ!!満たされてたらこんなに苦悩してないよ!!     ていうか誰!?兄さんて誰!?───なんで子供向け番組の体操のお兄さんを見る     ような憧れの眼差しとともに指差すのやめなさい!!人を指差しちゃいけません!     ねぇ!?そもそも僕たち大事なことをするためにここに来たんじゃなった!?     こんなことしてる場合じゃないよ!───場合だよなんて断言しないでよ!!     場合じゃないって言ってるでしょォオオ!!?     いいからエロマニア談議はやめて早くってギャア居たァアアーーーーッ!!!     ちょっとキミなに興味シンシンな顔で僕のこと見てるの!?     ち、違うよ!?僕ただのキミから金巻き上げようとしたクズだよ!?」 男  「なにっ!?お前サン子供から金を巻き上げようとしたのか!?」 奥方 「ンマッ……!なんてことを───!!」 みさお「わぁー……いきなり手の平を返したような雰囲気が……」 中井出「《───ギラァッ!》そうっ!そうなのさ!そこで助けてくれたのがこの───」 悠介 「!!」 ───ヤロウ!俺を指名して状況から逃れる気か!? おのれさせるかァ!!(注:この間わずか0.05秒) 悠介 「すげぇや!さっすが天下のエロマニアさんだ!     きっとカリスマを溢れさせながら、     子供に一人歩きの怖さと世の中の恐ろしさを教えてたに違いねぇ!!」 中井出「え゙ぇえええええええっ!!?」 藍田 「な、なんだってぇええーーーーーっ!!?」 丘野 「そ、そんな真意があったとは……!     提督殿、拙者……まだまだ修行不足だったでござる!!」 ナギー『わ、わしは恥ずかしいのじゃ……!     私欲のために傍観することを選択するなど……!     しかもそれが子供の未来のためであることを見抜けぬとはの……!!』 奥方 「ンマァ……!それじゃあ子供のためにやったっていうのォ……?」 通行人「オイオイ……さすがにそりゃないんじゃ……」 男  「いや……俺は今の話を聞いて確信したね。アンタ漢だ。     俺には解る。アンタ今いろいろなモンを背負ってるんだ。     なのにこうして子供のためになにかをしてやろうと努力をした。     これが漢でなくてなんだ?     嬉しいじゃねぇか、今の日本にもこんな若者が居るなんて」 中井出「…………《パクパクパク》」(話が一人歩きしていく状況についていけない) 中井出が口をパクパクさせて思考を停止していた。 目が点になるって言葉があるが、ありゃどうやら本当らしい。 しかも子供(ドリアード)のためになにかをしようとしたのが事実なだけに、 余計にヘンなことは言えなくなってしまったようだ。 ……ここで心が痛むのは原中としてどうなんだ提督よ。 これは……この痛みは、この先も心をクズにして突き進めとのダイオキ神の啓示なのか? それとも今すぐやめろというカプサイ神の啓示なのか? 俺は……───ハッ!? 中井出「───……(己が魂を信じよ……!)」(←こんな風に見えた) ───そ、そうか……そうだよな! 偶然とはいえ、自分を確信してやれるのは自分だって言ったのは俺なんだ!! 何故だか知らんが俺は───お前や彰利と一緒に居れば変われるような気がする───!! 中井出「───(タスケテ……!この状況打破して……!)」(←本当はこうだった) そうと決まれば話は早い! なにやら最後の心のタガとかいうのが外れた気さえする! なるほど、この高揚感こそが原ソウルか! 軽い……!心が驚くほどに軽いぞ! 今なら解る気がする……こいつらが、原中の猛者どもが中井出をほうっておかない理由!! コレが“仲間”!これが、この一体感が仲間ってことなんだ……!! 俺は馬鹿だ……遠巻きにしてただ見るだけだったなんて……! 離れることなんていつでも出来る……けど、 この一体感はこいつらと一緒に居なけりゃ得られなかったものなんだ! 仲間って……スバラシイ!! 悠介 「中井出……俺は目が覚める思いだよ。なにやってたんだろうな今までの俺は……」 中井出「……エ?アレ……いやちょっ……なに言ってるの?     なにか決意を固めたみたいな雰囲気が見え隠れしてたから、     きっと助けてくれると思ったのに……」 悠介 「なに言ってんだ、救われたのは俺のほうだ……。     今ようやく解った。お前は“器”だ。我ら原中の“王の器”なんだ。     何処に行っても誰を見ても、王が居ようがそいつは器じゃないとか思ってた。     でもお前は違う。王だからって威張り散らしても蹴落とされ、     それでも立ち上がりさらに罵倒されて、だってのに笑ってるんだ。     中心だ。お前は芯なんだ。あれだけの人数が一同に集まっているのに乱れない。     それはお前っていう芯があるからで、     俺達はそのお蔭で外道に落ちても笑ってられた」 中井出「《ザクザクドシュゾシャゾブシャア!!》ハ、ハァアア……!!!」 ナギー『……?なにやらヒロミツが心臓あたりを押さえて痛がっておるのじゃ。病気かの』 彰利 「イヤ……あれは心からの言葉に胸を痛めてるんだ……」 みさお「うわはー……!物凄く痛そうな顔してますね……!」 藍田 「あー、そっか……。とうとう晦も原ソウルに目覚めたか……」 丘野 「誰かが目覚める度に、     その首謀者は自分であることを再認識して心痛めるんだよなー、提督」 彰利 「でも実際あれだけの人数が一つに纏まるってのってスゴイことだよね?」 丘野 「そりゃ、誰だって楽しいことが好きだからだろ。     提督……ああいや、ここじゃ中井出って呼ばせてもらうけど、     あいつの近くはなんつーかこう……なぁ?」 藍田 「そうそう、落ち着くとか日常を感じるとかそんなんじゃないんだよ。     “仲間”……かな。そういう気分が物凄く感じられるんだ」 ナギー『おお藍田もか?わしもなのじゃ。     不思議なものよの、精霊が人間と仲間意識を強く持てるなど』 彰利 「ンム、どうやらみんな気持ちは一緒のようじゃね。     けどまあ、それもこれもみんな中井出が───」 男  「やっぱアンタカリスマエロマニアだ!生きる伝説だよ!!」 奥方 「アタシ誤解してたワ……!ホラケンちゃん、よく見ておくのよ……?     アレが本当の漢っていうものなんだから!!」 世界が変わってゆく……! まるでヤツのカリスマに引き付けられるがごとく周りが高揚してゆく!! 中井出「違うよ!違うったら!僕そんなんじゃないよ!     漢って言われるのはいいけどエロマニアとして尊敬するのだけはやめてよ!     そんなのもうサンドランドだけで十分なんだよぅ!!」 通行人「おおスゴイ!!聞いたかみんな!     エロマニアさんはサンドランドという母国まであるらしいぞ!!」 女  「王だ器だとか妙なこと言ってたのはそのことだったのね!?」 男  「すげぇぜあんちゃん!───い、いや王!エロマニア国王!!」 通行人「外国のオーサマなんて初めて見た!ロードだ!エロマニアン・ロードだ!!」 中井出「やめてよ違うったらなんでどんどんエロ度のレベルが上がっていくの!?     僕ただの平凡一般市民で───違うよ!!謙遜なんかじゃないんだよ!!」 彰利 「……───ああやっていつもいっぱいいっぱいだからでしょうねぇ……」 藍田 「なんかほっとけないんだよな……」 丘野 「ウン……俺も……」 ナギー『わしは面白いからなのじゃ───あっ!ヒロミツが逃げ出したのじゃ!!』 藍田 「いいや違う!あれは照れ隠しなのだ!     王の器を持つ男が民から逃げ出すなど有り得ん!!」 彰利 「オオ断言!面白いからその設定しかと受け取った!!」 みさお「そんなあっさり!?」 丘野 「よっしゃあ!じゃあこれから中井出───提督殿は殿!殿でござるな!?」 彰利 「おお殿か!いい響きじゃねぇの!日本に産まれた我らの王に相応しい名だ!!     追いかけるぞ悠介ェエエ!!殿の出入りじゃぁあーーーーっ!!」 悠介 「承知!!」 こうして俺達は決意を新たに駆け出した!!  大丈夫だ……こいつらが居る限り、俺はきっと変わっていける……! そんな確信を持ったまま、泣きながら駆け出した中井出の背を追ってゆく。 中井出……ありがとう。俺の変化に涙まで流してくれるなんて……!(勘違い) ……アレ?じゃあこの疾駆はなんなんだろうか。 アレか?彰利の言った通り、出入り……って何処にはうあっ!! そ、そうか……!これが噂に聞く“あの夕焼けに向かって走れ”ってヤツなのか!! 真の仲間こそが出来るというあの伝説に名高い……!! 中井出……!俺を……俺を仲間だと認めてくれるのかッツ!!(盛大な勘違い) 夕陽なんて無いが、もうそんなことにツッコミ入れるほど俺は小さくなんかない───!! これは友情だ……! 夕焼けなんて無くても仲間となら走ってゆける……! そんな友情なんだ! 今本当に確信した……俺は変われる!絶対に変われる! 守るだけが、戦うだけが全てじゃないんだ! 楽しむこと……面白さを追求すること……それは俺達には必要なことだったんだ!! 悠介 「行こうぜ彰利!俺達の心の夕焼けに向かって!!」 彰利 「エ?お、オウヨ!!なんだか知らんがノリノリなのでノっておこう!!」 ───駆けてゆく。 大して広くもないけど、たくさんの猛者どもの信頼を背負ったあの背中へと。 こんな高揚はどれくらいぶりだろう、なんて昔を懐かしみながら駆けてゆき─── ───……やがて。 中井出「ゴメンナサイ逃げ出してゴメンナサイ……     もう逃げないからみんなで追い掛け回すのヤメテクラサイ……」 総員 『………』 気づけば元居た公園の砂場で正座して泣いている中井出を見下ろしていた。 しかも何故かホテルケイヨー422号室の外国人女性の真似してるし。 ……ハテ、どうしてこんなことになったんだろうか……。 俺、早速明日が見えなくなってきたヨーナ……。 藍田 「やっ……提督、なにも泣くことないだろ」 中井出「なっ、泣いてなんかないんだからねっ!?《ポッ》」 彰利 「ツンデレ怒りするな!キモイ!!」 中井出「うるせーーーっ!!     過去に降り立ってまでエロマニアとして称えられた俺の気持ち、誰が知る!!」 総員 『知らん!!』 中井出「うっわヒッデェエエエ!!!一斉だよこの人たち!!     なに!?正座して泣いてる僕を見て言うことがそれなの!?」 総員 『当たり前だ!見縊るな!!』 中井出「ギ、ギィイイイーーーーーーーッ!!!!」 中井出の咆哮!!しかし俺達は怯まない!! ていうか見失いかけてた明日が今俺の目の前に!! そう……原中とは即ち遠慮無用集団!!ここで躊躇しては名が廃る!! 女性 「……?ヤダ、オトコノコが正座させられてるヨ?」 通行人「うん?……おお、あれは殿……!バカ、あれは違うんだよ玲子。     お前はあのお方のスバラシサを知らないんだ。あの方は殿だ。殿なんだ。     どっかの国の王様なんだぞ?きっとあれは日本文化を重んじるために、     もっともスバラシイ座法……正座で民たちと話し合ってるんだよ」 女性 「オッ、オーサマなの!?ホントに!?」 通行人「アア……俺もいつかあんなデッカい男になりたいって思えたほどさ……」 女性 「す、すごいのネ、人って……。見かけに寄らないってホントだ……」 中井出「………」 ……でも時々物凄く気の毒に思えるのはどうしてだろうか。 何故かゲキガン湿布を張り、 侠気あふるる顔と物凄く遠い目をして二人を見送った中井出は、 なんだか触れるのも躊躇われるほどに哀愁が漂っていた。 よく見ようとしてなかったんだな……自分のすぐ傍にこういった苦労人も居たとは……。 けどこうやって原ソウルも得て、俺はもっと《ブチッ……》…………ブチ? 中井出「魔王はオレだぁあーーーーっ!!!!」 彰利 「うおお!?なにキミいきなりどーしたの!?正座!正座は!?」 中井出「オレ、オマエラホロボス!オレ、オマエラ、ブッチギリ!!」 丘野 「い、いきなりなにをおっしゃるか殿!さあ殿!?     自分の名を思い出し、己を取り戻すでござる!!ユーネームイズ!?」 中井出「転校生!!(嘘)」 総員 『ウギャアキレてるーーーーっ!!!!』 ベリリとゲキガン湿布を剥がした中井出が高らかに叫ぶのに呼応し俺達も絶叫!! これは危ないぞ……!キレたこいつはつくづくなにをしでかすか解らん生命体だ……! 中井出「おお神のお告げじゃ……!今よりここには火の雨が降り、     風が燃える自然を煽り、火を炎へと進化させ、     公の園を業火の園へと化けさせるじゃろう……!!───主に俺の手で!!」 彰利 「ゲゲエ全然神のお告げじゃねぇええーーーーっ!!!」 みさお「シャレになりませんから有言実行だけはしないでくださいよ!?」 藍田 「て、提督?そーゆーのは人災っていって、天災とはまた違うわけで」 中井出「《ゴシャァアッキィイインッ!!》ウフフフフフ……!!」 丘野 「うォあエンペラータイム使いやがったでござるーーーーっ!!」 彰利 「どどどどーする悠介ヤバイぞ悠介!ホレキミ今は頭の回転だけが特技でしょ!?     さあ思考の回転を見せてやれ!!今すぐ!!」 悠介 「無茶言うな!!お前がいけお前が!!現実世界ならお前の方が強いだろが!!」 彰利 「ワハハハハ!!それは無理な注文だ!!     何故ならアタイにはこの公園での思い出がある!     ここを壊すのなんて冗談じゃあねぇ!!」 悠介 「じゃあどうするんだよ!転移とか出来ないのか!?」 彰利 「出来るけどこの緊張感がなにやらたまらん気がしません?」 悠介 「言ってる場合かぁああああーーーーーーーっ!!!」 おぉおお慌てながらも何処か平然! これが……これが力ある者の余裕ってヤツか!? 生憎だが今の俺はからっきしだ……その気持ちは全然解らん!! とか思っているとドリアード……ああいや、紛らわしいからもうナギーでいい。 ナギーがヒョイと一つの指輪を見せ付けた……! 悠介 「ん?なんだ、それ」 ナギー『ヒロミツに渡された……というより、預けられているものなのじゃ。     自分が持ってるといつ何かの拍子で融合するか解らないからとな。     ドワーフの遺跡で見つけた財宝のひとつで、試練の指輪という。     これをヒロミツの指に向かって投げるのじゃ』 藍田 「……投げるとどうなるんだ?」 ナギー『霊章輪の力で指輪が自動融合されるのじゃ。     そうなれば、この指輪の力がヒロミツに齎される』 丘野 「パワーアップってことでござるか!?そりゃ意味がねーでござる!!」 みさお「待ってください。……これ、どんな効果がある指輪なんですか?」 ナギー『うむ、みさおはきちんと話を聞こうとするから好きなのじゃ。     よいかの、これは試練の指輪といって、嵌めた者を弱体化させる力があるのじゃ』 藍田 「なにぃ!?」 悠介 「それは本当なのか!?」 ナギー『本当なのじゃ。試練の最中は能力が半分に下がり、     レベルも上がらないらしくての』 丘野 「スバラシイじゃないでござるか!!」 悠介 (……ところで藍田。ナギーってレベル云々のこと、知ってるのか?) 藍田 (このネックレス自体が提督自作のスーパーアイテムだって思い込んでるんだよ。     実際、ネックレスが無くちゃレベルなんて上がらないだろ?     だからそこんところは提督パワーで全然騙せてるから平気へっちゃらだ。     死んだら復活するのも、戦ってレベルが上がるのも、     モンスターを倒すとアイテムが手に入るのも提督の力だって信じてるんだ) 悠介 (そ、そか) よく今までバレなかったもんだ。 ああいや、今までって言ってもまだバレてないのか。 ある意味スゴイぞそれって。 悠介 「そういうことならオォリャアッ!!!」 ヒュゴデゴシィッ!! 中井出「ピッ!」 悠介 「あ」 ナギーの手から受け取った(強奪したとも言う)指輪を投げた───んだが、 中井出の手に当たるどころか頭にクリーンヒットした。 彰利 「わあノーコン」 悠介 「う、うううううるさいうるさいうるさい!!俺だってなぁ!     経験が無くなってなけりゃこんなことにはだなぁっ!!」 彰利 (ああっ……何故だろう……!     今の悠介の怒り方に夜華さんに近いものがあるってだけで……!     なんだか心がトキメいてしまうのは……!) 悠介 「《ゾクゥッ!!》ヒィッ!?な、なんだ今の悪寒!!」 藍田 「弦月!マサさんと遭遇した永澄くんみたいに     サワヤカサラサラになってる場合じゃねぇ!!提督が動きだすぞ!!」 彰利 「オ、オオ!クォックォックォッ、さあ中井出よ!存分にかかってくるがいい!!     今の貴様の実力と俺の実力差は実に天と地!     卍解しない一護くんが朽木白哉に挑むくらいに無謀なこと!!だから」 ゾギャアッ!! 彰利 「───ウヒィッ!?オォワ速ッ《ゴギィインッ!!》ムハァーーッ!!?」 丘野 「マッ……!な、なんと速い!予備動作ほぼ無しであれほどの速度を!!     あれが……あれが烈風脚でござるか!!」 物凄い速度だった。 口上を並べる彰利を黙らせるには丁度いいくらいだ。 だから、な、彰利。 油断してるといくらオマエでもやられちゃうぞ?ほんとバガシャアッ!! 彰利 「ヌォアァーーーーッ!!《ゾザザァアアッ!!!》     ヌ、ヌゥウウオオ……!!よ、よもやこの死神王に片膝をつけさせるとは……!!     ……よかろう、ならばとくと見るがいい我が卍解」 中井出「死ねぇええーーーーーーっ!!!」 彰利 「エェーーーッ!!?《ギシャゴバァォンッ!!》ぐわぁああっちぃいっ!!!     ア、アレェエエ!?ちょっと!?ここ俺の見せ場だよ!?     漫画とかアニメとか特撮なら絶対攻撃しちゃいけないところ!!それを───」 中井出「この博光は一護くんほどやさしかねぇ!!     “卍解して俺と戦え”!?何処の自信家だソイツは!!     強いヤツを弱いうちにブチノメして何が悪い!!     悪と決めたならソイツを倒すのが正義!正義ってのはそういうもんだ!!     相手がどんなコンディションだろうが実力を出していなかろうが関係ねぇ!!     本気を出したソイツを倒さなきゃ意味が無い!?     そんなのは最初から本気を出さずに死んだソイツが悪いんだよ!!」 彰利 「ヒィいちいちごもっとも!そして予想通りの反応をアリガトウ!!     そーだよね傲慢で本気出さずに死ぬヤツってつくづくアホだよね!!     俺そういうヤツ大嫌い!!だから見せます俺の本気!!     開け冥界の扉!デスラインゲ」 ギシャゴバドンガガガガガォオオンッ!!!! 彰利 「ギャァアアアイヤァアアアアアーーーーーーーーッ!!!」 総員 『あ』 バックステップをし、ラインゲートを開こうとした彰利だったが─── 烈風脚とやらをされてあっさりと間合いを詰められ、 黄竜剣をまともに食らって吹き飛んでった。 ……アホゥ、相手を怯ませもしないで完了までに時間のかかる世界能力なんぞ使うから。 彰利 「ヤロッ……!《ギシャアンッ!!》もう容赦せんぞぉ貴様ァアアアッ!!!     烈風脚だかなんだか知らんが力を解放した俺とまともに戦えるなど思うなぁ!!』 うわっ、促しといてなんだがオーダー解放しやがったアイツ!! とうとうマジになったかあいつ!! 彰利 『オォオオオオオオオッ!!!《メキメキバキミキ!!》』 ドゴォン!と、大地が揺れるほどの力が彰利から放たれる! どうやら死神どもを食らったお蔭もあって、闇黒の影はご機嫌らしい……! 今までの比じゃねぇぞこの力……! 中井出「ぬぉおァアッ!!?なんだその裂帛の気合いはァアッ!!」 ……かと思いきや、こっちはこっちで再び貼ったゲキガン湿布で遊んでたりする。 おーい……ほんと危ないんだぞー、中井出〜……。 彰利 『俺は以前から本気の人生を歩む決めていたァ!!     お前はエロマニアらしくエロの人生を進めェ!!』 なんて思ってるとあっさりノリに負ける我が親友。 ああ……変わると確信した矢先から溜め息が盛大に……!! 中井出「……フッ……本気の人生か……」 彰利 『なに……!?』 中井出「じゃあ訊くが彰利よ。お前の黒衣からはみ出てる───     その小さなお人形さんはなんだべぇ!!」 湿布を剥がした中井出がズビシィと彰利の腰あたりを指差す! が、当然なにもありゃしない。 彰利 『えぇ人形!?何処!?』 ……というのに、あっさり引っかかってソコを見る彰利。 悠介 「バカッ!それは───!!」 彰利 『バカとはなんだコノヤ───ロォオオオッ!!?』 中井出「死ィイイイイねェエエエエエエエエエッ!!!!」 その間隙を縫って突撃を開始する僕らの中井出提督!! おお外道だ!!物凄く外道だ!! だが戦いの中では油断したヤツが悪い! 彰利 『く、くそがぁあああっ!!』 中井出「オォオオオオオッ!!!《ガヒュゥンッ!!》オ───……お?」 彰利 『……アレ?』 悠介 「……エ?」 藍田 「オッ……」 丘野 「フッ……投擲なら任せるでござるよ」 丘野によって投げられた指輪が……中井出の指にヒット! とともに指に溶け込んでいき、───途端!! ギギィイピピィンッ!!《指輪の試練が発動!!》 ギピィンッ!!《レベル低下!経験値入手不可!》 中井出「………………………………エ?」 悠介 「ア」 ………………。 中井出「オォオオオオオオオッ!!?」 彰利 『ヌゥこれは!?調べる発動───レベル2390!練習相手にもならない!!     …………ウッ……ウ、ハハ……ウハハハハハハハ!!』 中井出「ハッ……ワハ、ワハハハハハハハ!!!」 彰利 『ウハハハハハハハ!!』 中井出「バーハハハハハハハハハハ!!!」 ……人はどうしようもなくなった時、笑うと言います。 彰利は純粋に笑ってるんだろうが……中井出はそっちで笑ってるんだろうなぁ……。 …………ホレみろ、笑いながら頭抱えて動かなくなった。 しかもその様があんまりにも惨めで、見てるこっちがいたたまれなくなってきた。 彰利 「《シュギィンッ……》えーと……あの、ね?お、落ち込むなよぅ……」 藍田 「その、わ、悪かったよ、無理矢理試練背負わせるなんて……」 ナギー『ヒ、ヒロミツ?す、すまぬのじゃ……     ヒロミツならきっと試練なぞ簡単に乗り越えるかと……』 丘野 「す、すまぬでござる殿……!まさかここまで落ち込むとは……!」 悠介 「ほらその、なぁ?す、進んでいきゃいいことあるって……な?     試練っていうくらいだから、乗り越えればきっとなにかが……なぁ?」 彰利 「え?俺?あ、え、えと、そそそそうかなぁ!?そうかもねぇ!!」 藍田 「そうそう!きっとなんかあるよ!ね!?」 丘野 「そうでござるよ!だから───お、おや?殿?     何故越後屋公園名物の咲かない桜の木に近づいて───ハッ!?」 悠介 「絶望……中井出───木……まさか!!」 嫌な予感とともに猛ダッシュする我ら!!! そしてバックパックから取り出したキャンプ用品(ロープ)を 桜の木に結びつけ始める中井出!! その先に待つものは───!! 中井出「ボクハコノアオイチキュウガダイスキデシタ……」 総員 『はぁああ!!早まるなぁあああああっ!!!』 やっぱりこれだった。 そうと解れば意地でも止めなきゃ男じゃねぇ!! 彰利 「タックル!」 中井出「《ドガシィッ!!》いやぁああっ!離してぇえェエエエエッ!!     いやぁああ!!無理よぉそんなの無理りぃいいいっ!!いやぁあああっ!!」 藍田 「オオッ!?なにやら提督がミランダさんなみに取り乱してる!!」 悠介 「なにが無理なんだこらっ……!このっ、暴れるなっての!!」 中井出「いやぁあああ!!助けてぇええ!!いやぁああっ!!     もういやぁあああ!!帰るゥウウウッ!!エクソシストやめるぅうっ!!」 みさお「うるさいですよ!ちょっと黙っててください!!」 中井出「断る!!《どーーーん!!》」 みさお「どうしてそこだけ男らしいんですか!?」 中井出「みさおちゃん……言葉を話せない人と会ったことがあるかい……?」 みさお「え───そ、それはまあ、長い年月を刀の中で過ごしてきたんです、     そういった人も見たことはありますが───」 中井出「そうか!だから断る!!」 みさお「意味が解りませんよ!!」 まったくだ。 ……とまあ、いつもなら言うところだが。 なるほど、まあ実に中井出らしい。 ……今それを言うような場面であったかは別だが。 中井出「喋れるということはそれだけでスバラシイ!!     ならば俺は命の尊さと命のすばらしさとこの想いを永久に咲かせよう!!     叫ぶことも声を出して笑うことも喋れるから出来るんだ!!     それが出来るというのに何故やらない!?やれることはやるべきだ!!     だが命は違う。死んでしまった命はもう戻らない。     やれることのなかに人命蘇生があっても、そりゃあ……やっちゃいけねぇことだ」 みさお「はあ……それはまあ、     以前もうやらないって皆さんで誓いましたからやりませんが。     んー…………訊いてもいいですか?もし───」 中井出「断る!!」 みさお「えぇっ!?な、なにをですか!?まだなにも言ってな───」 中井出「え?なにを?……し、知らん!とにかく知らん!断るもんは断る!!」 悠介 「………」 彰利 「………」 みさおが質問しようとしたことは予想がついた。 それはきっと中井出もなんだろう。 だからこそ即答で断ったんだ。 でも……実際ソレを目の当たりにした時、こいつは断れるんだろうか。 そんなことを、小さく考えた。 中井出「ところであのー、そろそろ解放してくれるとありがたいんですけど」 彰利 「腕ーがピョンとなーるー♪」 中井出「《メキメキメキメキ》ギャーーーーーーーーーーーーッ!!!!」 奇妙な騒ぎもなんとやら。 慌ただしかった雰囲気を再び発生させることもなく、 適当に過ぎたソレを軽く思い返してみては、俺達は笑った。 まあ一人本気で絶叫してるヤツが居たには居たが、 そんなこんなで訳の解らんうちに事態は一応の落ち着きを取り戻し─── ……改めて、再び過去の俺を見失ったことを思い出して苦悩した。 Next Menu back