───冒険の書185/火を灯せ!亜人族の誓い!(再)───
【ケース493:中井出博光(再ラーグの街)/クヮゥモテック】 チチッ……キキキィイイァアアアアォオオオゥウンッ……!! 提督猫『オ〜〜〜ッ』 あれから死人の森跡地に転移した我らは、 足早にエーテルアロワノンへと辿り着くとすぐに妖精界へのゲートを展開した。 今正に開き始めたゲートはなんとも美しく夜の闇を照らしている。 急いでここに戻ったものの、今はなんだかのんびりとした空気の中に居る俺達は、 なんというか随分と暢気なもんだと各々心の中で思っているに違いない。 俺だって暢気に、開いてゆくゲートを見上げては、 テリーザキッドを真似てオ〜とか言っている始末だ。 そのことをわざわざ口に出してみたところで、 単行本では変わってしまっていたキッドのセリフなど 誰も覚えていないのだろうから、ただ不思議に思われるだけなんだろう。 そうやってなんとなく寂しさを感じながら、 俺はキレイに輝くゲートが完成してゆく様を眺めていた。 執事猫『しかしやっぱ残っててよかった。     他のやつらは行っちまったけど、提督が戻ってくるなら、なぁ?』 忍者猫『で、ござるな。     睦月には随分とごねられたでござるが、これもまた忍の道でござる』 ああ、ちなみに帰ってきた時に俺達を迎えてくれたのがこの二人だった。 藍田と丘野だな。 木村夏子二等や殊戸瀬二等に随分と別れを惜しまれたらしいが、 頑なにここに残ると言い張ったらしい。 何故って、それがまたおかしな理由なんだが─── 執事猫『大体あいつらと一緒に居たんじゃ、いつまでも赤ロリちゃん扱いだ』 忍者猫『笑神様も大変なものを送って寄越したものでござるな』 とのこと。 赤ロリってのがよく解ってなかった俺は、丘野二等の説明のもとに納得を得た。 なんでも俺たちが過去へ飛んでいた時に未来から届いた写真に、 セイントオクトーバーの赤ロリちゃん衣装を纏った女の藍田が映ってたんだとか。 だとか、もなにも今手元にその写真があったりするんだが、 どうして俺は黒ロリちゃん(彰利)と 白ロリちゃん(咲桜)と赤ロリちゃん(藍田)に囲まれて映ってるんだろうか。 執事猫『大体さ、赤ロリって咲桜が担ってくれてもよかったんじゃないか?     トマトで赤いし』 忍者猫『きっと白を担うだけで精一杯だったんでござるよ』 いろいろ謎が残っているが、未来の我らは神界でヨロシクやってるらしい。 咲桜が殿様じゃないのはちょっとどころかかなり残念だが、 やっぱり状況に合わせて姿を変えるのは、場を楽しむためのステキ調味料なのだ。 そこのところを咲桜は解ってくれているんじゃないか。 僕はそれが嬉しい。 と、それは今は置いておこう。 結局のところ藍田がここに残ったのは俺と合流するためと、 猛者どもから逃げることに理由があったわけだ。 丘野はただ面白そうだからという理由と、俺と藍田が居るのならという簡単な理由だ。 もちろんその理由には他の猛者どもも賛成しようとしたらしいのだが、 殊戸瀬がなにかを囁いたとかで、その場は落着。 “また後でな〜”という真意を掴みかねる言葉を残して去っていったのだそうだ。 エィネ『……。はい、妖精界との接続を終了しました』 執事猫『お、おお〜〜〜っ、あ、ありがてぇえ〜〜〜〜っ!!』 忍者猫『た、助かるぜ〜〜〜っ!!』 提督猫『お、恩に着るぜ〜〜〜っ!!』 ナギー『た、助かったのじゃ〜〜〜っ!!』 シード『よ、よくやった〜〜〜っ!!』 遥一郎「解ったからわざわざ肉語で喋らないでくれ……」 提督猫『人生楽しんだモン勝ち!』 総員 『《ザザァッ!!》オウイェッサー!!』 提督猫『うむうむ、シードも今回はよくぞノってきてくれた。父はそれを大変嬉しく思う』 シード『は、はいっ!僕も必ず!必ず原ソウルと呼ばれるものを手に入れてみせます!』 総員 (だったらまずそのクソ真面目な部分をなんとかしないと……) シード『うん?なにか言ったか貴様ら』 遥一郎「噂以上の変貌っぷりだな……中井出と他とじゃ対応がまるで違う」 忍者猫『それは提督殿が尊敬に値する父親だからでござるよ』 執事猫『中身はクズだけどな』 提督猫『な、なんとストレートな!』 まなびさんもびっくりだった。 と、こんな話を続けていても埒もない。 俺はこの場に集まっている猫たちやドワーフたちを見渡し、コクリと頷くと─── ゆっくりとゲートへと歩み寄った。───その時だ!! 声  「はははははははは!!見つけた!見つけたぞ提督ゥウウウ!!!」 僕らの敏感な耳に届く声一つ! 執事猫『誰だ!?』 忍者猫『何処でござる!?』 声  「ククク……何処を見ている!」 執事猫『だから何処だって聞いてんだろうが馬鹿かてめぇ!!』 忍者猫『日本語を正しく理解するでござるこのモミアゲ!!』 声  「そんなハッキリ馬鹿とかモミアゲとか言うなよ!!」 ナギー『───!?居たのじゃ!上なのじゃ!』 総員 『な、なに〜〜〜〜っ!!?』 ナギーに促されて見上げた大木の枝! そこに、ゲートからこぼれる光に当てられ蠢く影が───二つ! 提督猫『もう訊くまでもないが───何者!?』 声  「問われたからには名乗り出よう!」 声  「それが我らの原ソウル!!」 ズズ……!! そしてその影が一歩を踏み出し、ゲートの光の下へと現れた……!! 彰利   「世界の黒を司る黒の秩序!弦月彰利!!」 悠介   「世界の白を司る白の秩序!晦悠介!!」 彰利&悠介『二人揃って!“白黒ワールドオーダーズ!!”』 ジャジャーーーーン♪ ………………。 総員   『………』 オーダーズ『………』 とひょおおお…………と、悲しい風が吹いていった。 執事猫『で……その天勇伝説セインがなんの用だ』 彰利 「セイン!?ノー!オーダーズだって言ったばっかっしょ!?」 悠介 「追い詰めたぞ提督よ!今日が貴様の命日だ!」 提督猫『ちょ……なにそれ!勝手に人の命日決めないでよ!!     え!?僕今日ここで天寿全うするの!?』 執事猫『おーお元気だなぁ晦』 忍者猫『とても最近までカタッ苦しいぶっきらぼうを     地で行っていた者とは思えんでござるな』 悠介 「感情と原ソウルが俺を変えたのだ。文句があるなら提督に言え」 総員 『提督てめぇ!このクズが!!』 提督猫『感情戻ったんだからいいんじゃないの!?え!?俺だけ悪いの!?なんで!?』 彰利 「それは貴様が迷惑部の部長で原中の提督だからさ!     部下の責任は全て貴様の責任!」 提督猫『それただ全部俺の所為にしたいだけでしょ!?』 総員 『当たり前だ!見縊るな!!』 提督猫『見縊らせてぇえええっ!!』 いっそ泣きたくなりました。 提督猫『ち、ちくしょー!提督だぞー!?馬鹿にすんなー!     あんまりひどいこと言うとグレるぞー!?     あ、頭とかアフロにしてサングラスとかつけて、     何故かEDではアップから始まるぞコラー!!』 彰利 「それってただの政さんじゃねぇの?」 悠介 「そもそもどんな罵倒だそれは」 提督猫『うるさいよもう!お、俺は本気だぞ!?     ソリコミ入れてイチイチネチネチ見下すみたいに睨むぞコノヤロー!!』 総員 『面白そうだ!是非やろう!!』 提督猫『え?あ、いやあの、本気って言っても冗談が本気って意味で───     い、いやっ!ちょ、待ってやめて!鎌はカミソリじゃないよ!?     鎌持ったままニヤニヤ近づかな《ガシィッ!》ヒィッ!?     アレェ執事猫に忍者猫!?なんで僕の腕掴むの!?え?逃がさないため?     そんなこと満面の笑みで言わないでよ!や、やめてぇええええっ!!     猫の状態でソリコミなんてしたらただの部分ハゲの猫だよ!?     皮膚病にでもなってるんじゃないかって誤解されそうな可哀相な猫だよ!?     いっ……いやぁあああ近づかないでぇええっ!!来ないでぇえええっ!!     助けてぇええええっ!!助けっ……ヴァーーーーッ!!!』 ───……。 ……。 …………。 総員 『…………やっちまった…………』 神がバラバラになってそうな言葉だった。 でもそこでバラバラに散っているのはチェーンソーの犠牲になったラスボスではなく、 ……俺の毛だった。 提督猫『…………』 彰利 「い、いや……何も泣くことないじゃんよ……」 悠介 「す、すまん……ついカッとなって……」 執事猫『ほ、ほら、一応剃り残しもあるし、な?提督』 忍者猫『気をしっかり持つでござブフッ!』 執事猫(馬鹿笑うな丘野!笑ブフッ!!) ナギー『………………のう?これが噂に聞くモヒカンとかいうものかの?』 総員 『ブフシャア!?     ブハハハハハハハバァーーーーハハハハハハハハ!!!!』 ……そうなのだ。 ゲートを前に爆笑している彼ら彼女らはこの際無視するとしても、 今の俺に残っている毛があるとするのなら……それは頭頂の毛だけ。 つまり……今の俺はモヒカンスタイルのワイルドな猫だった。 ワイルドというかアグレッシヴというか……。 ナギー『大丈夫なのじゃヒロミツ、わしは自然の精霊じゃぞ?     切られた体毛に干渉することくらい可能なのじゃ』 提督猫『ナ、ナギー……!き、貴様という男は……!』 ナギー『男ではないがの……。ではいくのじゃ』 提督猫『う、うむ……』 ナギーが我が頭にそっと両手を添え、小さく息を吸ってから歌を歌い始める。 するとどうだろう。 我が体がなんだかポカポカと温まってゆく気がして───ズボシャア!! 提督猫『フオッ!?お、おおっ!?なんかフサフサな予感!!     どう!?ねぇどうみんな!僕の毛どうなった!?』 彰利 「………」 悠介 「───」 提督猫『…………?』 あれ? 何故か彰利と晦の顔が、騙されてカイバ食ってる今井くんを見た三橋のような顔に……。 執事猫『ふひっ……!くひゆっ……!ほがっ……おかのっ……!』 忍者猫『だめっ……でござっ……!ふひゅっ……!はら、はらがよじれっ……!!』 彰利 「すブバッシュ!?ぶはははははははっ!!だめだやっぱだめだぼはははははは!!     すまんって言おうとブハハハハハしブッハハハハハハ!!!     言おうとしたけど無理ブッハハハハハ!!!ゲッホゴホゲハぶはははは!!!」 悠介 「……ッ!ッ…………!!」(重く窒息中) え?あの……ちょっと待って?いったい僕の身になにが? 頭を触ってみる……が、ちゃんと毛はある。 それはもう、これでもかっていうくらいに長い毛が、…………頭頂にだけ。 執事猫『卍丸だぁあーーーーっ!!卍丸の誕じょボォッホ!?ボホホハハハハハ!!!』 忍者猫『ゴホォオオホホハハハハハ!!全身ハゲなのにテッペンだけフサフサモヒカン!!     なんて!なんてステキなバランス!最高!最高でござるよ提督殿!!』 提督猫『………』 今……ちょっとだけ、バラバラにされた神の気持ちが解った気がした。 ちょっとだけ、ほんのちょっとだけね……。 ───……。 そんなわけでようやく元の体毛に戻して…………もらってない俺は、 むしろ人の姿に戻ってみせて転げる猛者どもをさらに爆笑の渦へと導いていた。 ……不毛だ。なにかが理不尽でならない。 だが誰かの笑顔がパワーになる人だって居るくらいだ、僕にもきっとゴメン無理……。 彰利 「ボハハハハハハボハハハハハハハボッハボハハハハハハハハボハハハハハハ!!!     グブルホハハハハハハブハハハハハゲッフ!ゲホォォエッ!オエッ!ゲッヘ……!     ゲッホゴッホゴハハハハハハハブハハハハハハハバハハハハハハハハハッ!!」 中井出「ごめんエィネ……僕もう穴があったら入りたい……」 エィネ『あの……はい……そこのゲートでよかったらどうぞ……』 アグレッシヴモヒカンな俺を見てこれでもかってくらい笑う彰利を横目に、 俺はもうさっさとこの場から離れたい気分を胸にゲートを───…… くぐらずに彰利の目の前でポージングを取りまくって、 さらなる爆笑を彼にプレゼントした。 もういっそ笑い死にしてしまえ貴様。 悠介 「ひっ、はひっ……!ふ、ふぅ……ふぅっ……!はぁあ………………。     そ、それで提督……?俺の挑戦は」 中井出「マッソォッ!《ムキーン!》」 悠介 「ブフゥッ!?ぶははははははは!!!」 中井出「……虚しい勝利ですね……」 振り向きザマにポージング取っただけで彼は状態異常“麻痺”に陥った。 ざっとこんなもんであるのに悲しいのはどうして? とまあそんな困惑なんのその。 この博光は笑い転げる晦を肩に持ち上げると、エィネに目配せをして一気にGO!! 烈風脚を以って、妖精界へと旅立ったのであった───!! 彰利 『俺も行くぜ〜〜〜〜っ!!』 中井出「おお彰利一等《ゾリュゾリュゾリュゾリュ》助けてぇえええっ!!!」 烈風脚の速度に追いつく速度で───ではなく、 我が影を伝って彰利が俺の体に絡み付いてくる! それはまるでキン肉マンキャラのブラックホールが蛇影コブラツイストでもするかのよう! ヒ、ヒィ!ひんやりしてヌメヌメしてて気持ち悪い感触が足から首筋へと昇ってくる!! た、助けてぇええええ気持ち悪い全力で気持ち悪い!! ああ……!でももしこれが夜じゃなかったら、 ひんやりしてて気持ちいいだろうなぁ……とか思ってしまう自分がいっそおかしい! せめてゲートに入る前に振りほどこうとしたが、悲しいかな烈風脚。 第一歩だけで数メートルなど軽く越すそれは、俺に立ち止まることを許さなかった。  ゾファァアンッ!! 訪れたものは違和感。 とはいえ、これが初めてではない俺は、 体が妖精になるのもお構いなしにキレイな草原を勢いのままに走り続けていた。 彰利 『おお!?俺が黒い妖精に!?パ……パピ!ヨン!』 中井出「そして晦は白い妖精!……ていうよりモンシロチョウだなこりゃ……」 彰利 『そしてキミは家蛾と描いてイエガ?』 中井出「言われると思ったよチクショウ」 家蛾───イエガ。 スズメガ科、ホウジャク亜科の都会の街灯などに群がる極々一般的な蛾の一種。 家の中にも侵入することもあり、その多くは夏場の網戸にしがみついていたりする。 中々大きめであり、急に飛んでこられると結構驚く。 家蛾とは呼称であり、名前はホウジャクという。 ……じゃなくて。 中井出「それで彰利よ。貴様はいつまでこの博光の体に     蛇影コブラツイストもどきで纏わりついている気だ?」 彰利 『や、何処行くんかなーって。     後ろからさっきの妖精さんが一生懸命追ってきてるけどええの?無視して』 中井出「おぉわしまったァア!!」 そう、ここは妖精界だ。 ヘタに動いて迷おうものなら二度と戻ってこれない可能性もあるのだ。 俺は慌てて次の一歩を踏み留めることにし、ズザザァアアと─── 中井出「ヘイテリー!」 彰利 『おおーーっ!!』 滑らず、次の一歩を跳躍に使うと、妖精界の空へと高く飛び立った!! そして─── 中井出「“火事場のクソ力ァアーーーーーーッ”!!」 彰利 『“大渦・(メイルスロトーム)パワァアーーーッ”!!』 俺がキン肉バスターで、彰利がOLAPで晦を固め、 ようやく笑いが治まった晦を地面へ向けて落下させてゆく!! やがて地面が近づいてくると、俺と彰利は揃って絶叫! 中井出&彰利『NIKU⇒LAPーーーーーッ!!ドゴォオオオオオオオオンッ!!!! 次の瞬間には俺のケツは地面に突き刺さり、彰利の頭も地面に突き刺さっていた。 そう、俺が確かに掴んでいた筈の足は消え、 彰利が極めていた筈の腕も消えていたのだ!!だから頭から刺さったわけだけど。 馬鹿な……!あの完全無欠のツープラトンから逃げ出しただと!? 中井出「ていうかギャアーーーーーッ!!ケツ痛ェエーーーーーッ!!!」 彰利 『ドフィドフィドフィ…《ズボッ》…こんなこともあろうかと、     日頃から奥義・頭槌鐘砕で頭をしっかりと鍛えてあったのよ。     だから頭部へのダメージはゼロだぜグォオ景色が揺れる……!!』 どっちもダメダメだった。 いや、そもそもしっかりと掴んでおいた晦は何処へ行った!? 見渡してみても居やしない! 馬鹿な……まさか瞬間移動!? などと思ったんだが、シャランと景色が輝いた気がした。 光  『…………えーとさ。     光になって逃げたはいいんだが……元のカタチを保てなくなったんだ。     すまん、どうすりゃいいか解らん、助けてくれ』 彰利 『………』 中井出「………」 彰利 『粉塵で爆破したれ』 中井出「それだ」 光  『ま、待てぇえええっ!!《カァッ!!》───おぉっ!?』 マジュウウンッ!! 悠介 『《しゅぽんっ》おっ!?も、戻った!?……はあ……!     危なか《ボガガガガォオオンッ!!!》ほぎゃああーーーーーーーっ!!!!     ななななにしやがるーーーーーーっ!!!!』 中井出「爆破してみました」 悠介 『するなよ!戻っただろ俺!!』 彰利 『失礼なことを言わんでもらおう!     戻ったら爆破しないなんて言ってないぞ僕らは!』 中井出「まったくだ!だから貴様はモミアゲなんだ!」 悠介 『モミアゲは関係ないだろうがこのモヒカン野郎!!』 中井出「好きでモヒカンやってるんじゃないよ!!」 エィネ『来て早々騒がないでください!!ここでは静かにお願いしますよほんとにもう!』 中井出「なにぃ!?それじゃあなにか!?     キミは自らがモヒカンにされても黙って受け入れられると!?」 エィネ『ふえっ!?え、そ、それは、その……』 中井出「見てよこれ!モヒカンだよ!?これで黙れって無理!流石に無理!     ならばあえて笑いを取って生きるしかないだろ……?」 彰利 『い……粋!!』 悠介 『ていうかさ、どうして俺ここに連れてこられたんだか謎なんだが』 エィネ『話を一つに絞ってくださいお願いします……』 ……確かにそろそろ真意を揃えるべきでしょう。 その前にと、俺はエィネを促して、勇者の武具がある場所まで案内を頼んだ。 晦を連れて来た理由がそれだからだ。 精霊だの妖精だのが関わってて、しかも勇者装備っていったら───ねぇ? ───……。 そんなわけでババッと祭壇前! 祭壇というか奇妙な段差の中心にあるのは相も変わらず勇者の武具! 美しい造型のソレは認められし者が触れるのを待っているかのごとく、 あの日から微塵にも動かされていなかった。 中井出「さあ晦ゴー!ついでに彰利も」 彰利 「ついでですと!?上等だこの野郎!     オーダー切れちまったがこの黒の俺が見事勇者に選ばれてやろうじゃねぇの!     勇者に選ばれたあかつきには勇者装備で魔王博光を抹殺さ!     で、選ばれなかったら魔王博光をコロがして勇者となってから選ばれよう」 中井出「どちらにしても俺死ぬの!?」 彰利 「そぉうれ勇者ぁああああ〜〜〜〜っ!!」 彰利が石碑の手形に手を乗せる! 説明も受けてないのに、こういった状況だけでどう動けばいいのかを理解したらしい。 さすが彰利一等兵……そういうことにだけはとても鋭い。 ともあれかつて俺がやった時のように石碑から光が放たれ、 まるで彰利の手をスキャニングするかのように輝いては、やがて消えてゆくその光。 誰もがドキドキしているだろう光景の中、とうとう石碑が出した答えは─── 総員 『………』 ……赤だった。 俺の時と同じだ、うん赤だ。 彰利 『キャア赤YO!!食欲の赤!アタリ!?これアタリっしょ!     アタイ的にはアタリだからこれよこせ!』 悠介 『よこせとか言ってる時点で     自分が当たったなんて微塵にも思ってないだろお前は!』 彰利 『だ、だってよぅ!オイラ勇者になってみたいんだもん!     ライデイ〜〜ンとかゴツイ声で言ってみたいんだもん!』 中井出「言ったからいいだろ?十分ゴツかったよ」 彰利 『なんかとっても嬉しくねぇんだけど……』 言いながら、彰利はトボトボと祭壇から降りてきた。 さて、次は晦だ。 彰利 『オラ行けホワイティン!勇者になれクソが!』 悠介 『激励したいのか貶したいのかどっちだよ!     それと馬鹿って言ったヤツが馬鹿なようにクソって言ったヤツがクソだ!』 彰利 『なんだと…………っ!』 中井出「死ね………………っ!」 悠介 『言い返しただけで死ねかよ!!ああもうお前ら最悪だ!!     見てろこの野郎ども!勇者になったらまず真っ先に貴様らを』 中井出「黙れクズが!!」 彰利 『死ね!!』 悠介 『最後まで言わせろよせめて!!』 彰利 『いいからさっさと勇者になりなさい!傭兵が勇者になるようにバリバリと!!』 悠介 『〜〜〜〜』 納得いかない様子の晦だが、埒が開かないと踏んだんだろう。 祭壇まで一気に上ると、 呼吸を整えてから石碑にある手形にゆっくりと自分の手を宛がった。 悠介 『───』 起こる現象は同じだ。 巻き戻しをして、また再生するかのように晦の手の下の石碑が、 まるで晦の手をスキャンでもしているかのように鈍く発光する。 ……。 やがて光も消え、俺や彰利のように確認めいたものが終わると───石碑は赤く輝いた。 悠介 『───赤?』 彰利 『ドフィドフィドフィ!!赤だ赤!さすが僕の親友だ!     キミは僕を裏切ってはいなかったオウマイフレンド!!』 中井出「おめでとう凡人!キミは勇者じゃあなかった!!     我らと同じ、ただのクズでカスな猛者だったのだ!!」 彰利 『クズがクズがクズがクズが!!』 中井出「カスがカスがカスがカスが!!」 悠介 『ギ、ギィイイイイイーーーーーーーッ!!!!』 勇者ではなかった彼が襲い掛かってきた!! でもそうなると誰が勇者なんだろうか。 ───などと、ふとそんなことを考えたのがそもそもの油断でした。 彰利 『とんずらぁあーーーーーーーっ!!!《ゾガガガガガッ!!!》』 中井出「え?あれ?ま、待ってぇええーーーっ!!《ガシィッ!!》ヒィッ!?」 悠介 『逃がさん』 中井出「やだーーーーっ!!」 その後、わたしは珍遊記のガンスの真似も半端に、 怒れる白の秩序によってボコボコにされた。 ───……。 ズキズキズキズキ………… 中井出「いぢぢぢぢ……!!ぬ、ぬう……晦一等兵?     そろそろ敵対心を解いてくれると大変ありがたいのだが……」 悠介 「知ってるか?ありがたいって言葉は“有り難い”って……こう描くんだ。     つまり滅多にないからこそ映える言葉なんだな。うん。だから断る」 中井出「かつてない斬新な断り方だねそれ!!」 晦がとても純粋に微笑んでいた。 その微笑がせめて他愛ない日常のために向けられたものだったら、 この博光も笑み返せたのだろうが。 うう……何故か小阪流秘術“巨岩木葉落とし-序章-”で集中して狙われた喉が痛い……。 一回だけじゃ飽き足らず何回も喉狙ってくるんだもんなぁ……。 と、そんな遣り取りをしつつも歩いていた我らが今正に辿り着いたそこで、 待っていた、というかずっとそこに居たらしい妖精を発見。 その姿にまずエィネが近づき、ペコリとお辞儀をしてから言った。 エィネ『レアズ様。客人をお連れしました』 レアズ『うん?……エィネか。それに、中井出といったか』 中井出「やあ」 そう、レアズ将軍である。 俺達から見て後ろを向いていたレアズ将軍は、エィネの声に向き直るとまずエィネを確認。 次にこの博光を見てふむと頷いていた。 彰利 「……?このミートくん、中井出の知り合い?」 レアズ『ミート?』 中井出「こっちの話です」 と言ってみせるも、こっちは笑いをこらえるので精一杯。 そう、レアズ将軍である。は、もういいんだが。 問題はその額にあった。 未だにこの博光が書いたステキアート、“にく”の文字が消えていなかったのだ。 思えばこの文字、彰利印の闇黒マジックペンの所為で消えなかったんだよな……。 まあ!彰利ったらいけないひとっ(・・・・・・・)! けれども彰利はそんなことも知らずに、 キャップブシシシシとサンタ笑いをしつつ、レアズ将軍の額の“にく”の文字を見ていた。 知らないってことはスパイスにもなるんだね、うん。 知ったとしても笑うんだろうけど。 レアズ『宝玉解放は順調のようだな。風聞は妖精づてで聞いている』 中井出「おお。それはもう毎度死ぬ思いをしながら解放してるさ」 貴様も本当にとんでもない依頼をしてくれたものよ。 我がRPGライフがかなりの角度でスリル満載大冒険に変わってしまった。 もちろん楽しいからいいんだけどね。 たまにはほら、平和で感動的なクエストをやってみたいよ、うん。 悠介 「そういえば、じっくり聞いたことはなかったな。     提督はどうして戒めの宝玉ってのを探してるんだっけか」 彰利 「ぬ、ぬう……!それは……」 悠介 「し、知っているのか雷電」 彰利 「え?知らんよギャアアアアアアアア!!!!」 ドゴゴシャベキゴキガンゴンガン……!! ───……。 シュゥウウウ……!! ロビン「グビグビ……」 さて……真面目な話を展開しようとした途端に すっとぼけたこと言った彼が僕らにボコボコにされたのが数秒前。 途中、ロビンになってまで抵抗した彼だったが、 逆に俺と晦にジ・アドレナリンズコンビネーションホールド、 アドレナリンブリッジを食らわされてノビていた。 アドレナリンブリッジってのはアレだな、 ロビンスペシャルとテキサスクローバーホールドの夢の合体ツープラトンだ。 空中に飛ばしたロビンを、俺が足を捕らえ、晦が首を捕らえた上で落下。 見事にグビグビと泡を吐かせ、現在に至る。 悠介 「素直にオーダー解放してりゃあ善戦出来ただろうに……」 中井出「ロビンパワー全開!とか言いながら、     仕掛ける攻撃全てがガラスのベルを投げつけるだけだったからな……」 悠介 「アレ、ロビンになると無限に作りだせるらしいぞ……?」 中井出「ものすげぇ地味な技だなオイ」 ロビンパワー全開!と叫び、手と手を交差させるように合わせるとベルが出るらしい。 創造とは違うらしく、しっかりとロビンのTPから精製されるものだそうだ。 レアズ『あー……それで、此度はどういった用件でこの場に来たのだ?     まさかそこの男に奇妙な技をかけるためだけ、というわけでもあるまい』 中井出「実はそうです」 レアズ『帰れぇえええええっ!!《バァアーーーッ!!》』 中井出「ヒィイごめんなさい!!」 軽く言った冗談に対して物凄い気迫で返された!! 思わずごめんなさいしちゃったよ僕!! 中井出   「え、えーとね!?実はちょっとレアズ将軍に用があってね!?」 レアズ   『私にか……?なんだ、言ってみるといい。        さっきの言葉が笑えん冗談だとしても、        お前には面倒なことを押し付けてしまっている。        私に出来ることならなんでもしよう』 ロビン   「え!?マジで!?じゃあ───金、出せ」 中井出   「ヘイテリー!」 悠介    「オオーーーッ!!」 ロビン   「《ガシィッ!》オワッ!?アレちょっ《ブンッ!》ギャアーーーーッ!!」 中井出&悠介『アドレナリンブリッジーーーーーッ!!!ドゴォオオーーーーーーーンッ!!! ロビン「ふ……不老不死……ト……トロフィー……バ……バルブ……」 有無も言わさず空中へ放り投げ、 再びテキサスクローバーホールドとロビンスペシャルの夢の競演でロビンを黙らせた。 いや、むしろ技をくらって最初に言うことが 悲鳴じゃなく不老不死云々なのには頭が下がるけど。  ドシャア…… で、技を外すと再びグビグビ……と泡のようなものを吐いて動かなくなるロビン。 この隙に我らは話を進めることにした。 中井出「レアズ将軍、実は今フェルダールで大変なことが起きててさ。     出来ればレアズ将軍の力を借りたいんだ」 レアズ『借りたいと願うより先に内容を言え。でなければ頷けない』 中井出「グウウ〜〜〜ッ、じ、実はーーーっ」 無意味に肉語を織り交ぜながら、 レアズ将軍にこれまでの経緯を脚色つけまくりで話してきかせた。 レアズ『なに……!?エトノワールが亜人族を見世物にするために突撃してくるだと!?     しかもアイルー種とドワーフたちのみを狙い、     ドリアードが折角復活させたエーテルアロワノンを戦場にするつもりでか!!』 中井出「そ、そうなのだ〜〜〜っ!!俺はそれが許せなくて、     アイルーたちやドワーフたちと一緒に     ヤツらと戦うことを決意したのだ〜〜〜っ!!」 レアズ『〜〜〜……許せん!珍しいからというそれだけの理由でエィネを見世物にし、     奪い返されたら逆に国を率いて突撃など!!     気に入らないことがあるから種族を滅ぼそうとしているのと変わらんではないか!     ───いいだろう!我ら妖精族も力を貸す!     我らは戦うことは出来ないが、傷ついた者を癒すことくらいは出来る!     妖精族各員に妖精王の名の下に通達する!!これより聖戦を開始する!!     傲慢な王国の者どもからエーテルアロワノンと亜人族を守るのだ!!』 妖精 『はい!』 妖精たちがレアズ将軍の号令のもと、すぐさま集まると出口へ向けて飛翔していった。 物凄い気迫だ……妖精と侮ると痛い目見そうなくらいだ。 レアズ『自然要塞と化したエーテルアロワノンとはゲートを繋げておこう。     守りきれたなら、私たちはいつでもお前を歓迎する』 中井出「お、おお!恩に着る!」 悠介 「俺達は?」 レアズ『知ったことではない。私はこの男の侵入しか許した覚えはない』 ロビン「わあ、ヒドイ」 どうやら入界許可が下りたのは何故か俺だけらしい。 そしていつの間に起きたのか、ロビンが隣に立っていた。 奇妙にタフな男である。 レアズ『では行こう。準備はしておくに限るからな』 中井出「よっしゃあそれじゃあレッツビギンだぁ〜〜〜っ!!」 今!聖戦の予感を胸に、我らはゲートの出口までを一気に駆け抜けたり飛んだりし、 再び煌くゲート下のエーテルアロワノンへと降り立ったのだった…………っ! レアズ『う、ぬう……!こ、こここここここが外か…………!』 そして早くもヒキコモリ星人のエネルギー全開な将軍が一人。 ほんとよくこんなやつがデッカードやってられるもんだと感心する。 アイルー『あ、久しぶりニャ、レアズ』 レアズ 『なに?───おお、アイルーか。      会うのはお前が妖精界に迷い込んできた時以来か?』 アイルー『随分昔のことになるニャ』 ドワーフ『おおレアズ坊やじゃねぇか。久しいな坊主』 レアズ 『なに?───ダルトロス老!?      先のサウザンドドラゴンとの戦いで死んだものとばかり───!』 ドワーフ『はっはっは、なに、いろいろあったがそこの若いのに助けてもらってな。      今はこうして住む場所まで紹介され、楽しくやっている』 レアズ 『……、つくづくお前には礼を言わなければいけないらしい。      ドワーフの話が出てきた時はまさかと思ったが、      まさか本当に生きていてくれたとは』 中井出 「感謝はいいから準備だ準備!      王国のやつら、もうそこらまで来てるって話だ!」 忍者猫 『分身の一人に偵察に行かせたでござるよ。      そろそろ敵影が見えてくる頃でござる』 丘野くんのその言葉に、何処か再会の懐かしさを出していた雰囲気がビッと引き締まる。 おお、なんかいいなこういうの。 そう、俺はたまにはこういう軍事とはまた違った、 防衛戦みたいなのをやってみたかったのだ。 敵の軍勢からなになにを守れ〜とかいうミッションめいたやつ。 それが今目の前に迫っているのだ……原中が提督たるこの博光! 男としてワクワクしないわけがない!! 執事猫『うわヤベェ!すげぇドキドキしてきた!』 中井出「おお貴様もか藍田二等!」 忍者猫『もちろん拙者もでござるよ!!』 ロビン「え、えーと……僕も混ざっていい?」 悠介 「お、俺も!」 遥一郎「すまん、やっぱり俺も混ざりたい」 中井出「貴様ら……解っているのか?敵は王国だぞ?     戦ったりしたらその時点でもう引き返せなくなる」 ロビン「我ら原中……」 悠介 「楽しみのためならたとえ国を敵に回そうとも本望!!」 遥一郎「原中じゃないが、こういうの目の前にしといて逃げるのは───男じゃない!     こういう状況でならなるほど、     お前らの言う楽しみのために無茶する精神が理解出来そうだ!」 中井出「くっ……!貴様ら最高の馬鹿者どもだ!!     よっしゃあそれでは貴様らに今を生き抜くための処方箋を授ける!!     声高らかに唱えよ!!“時操反転”(プリーヴィアス)!!」 総員 『“時操反転”(プリーヴィアス)!!』 シュポポポポポォンッ!!! シード『うわぁっ!?』 ナギー『おお……何度見ても珍妙なものよの……!』 額に手を当て叫ぶと同時に体が猫に!! そして我が体毛もなんと元通りに! それとほぼ同時に、敵影が見えたとの報せがジニーから!! 提督猫『ではこれより亜人族対エトノワールを開始する!』 総員 『サーイェッサー!!』 提督猫『いいか!絶対に死ぬな!     義は我らにあり!ただしこれは正義ではない!!我らが振りかざすのは信念!     ここを死守し、仲間と戦い仲間を守りきる戦いである!』 総員 『サーイェッサー!!』 提督猫『故に死ぬことは許されん!     攫われることも攫おうとする者を逃がすことも許されん!』 総員 『サーイェッサー!!』 提督猫『勝利条件は敵軍の殲滅及び撃退である!!     敵は今やラストキングダムであるエトノワール国の兵士どもだ!     今や相当な力をつけていることだろう!     アイルーからアイテムなどを購入するのを忘れるな!』 総員 『サーイェッサー!!』 提督猫『全員武器を持て!妖精たちやナギー、シードはサポートに回り、     アイルーたちやドワーフたちは各々が得意な分野で敵を迎え撃て!!』 総員 『サーイェッサー!!』 提督猫『もはや宙に浮くことも出来るこの要塞だ!敵にとって侵入は容易いものではない!     だが魔法や遠距離攻撃武器などに注意しなければ痛い目を見るだろう!     砲台やバリスタ、重火器も揃っている!     総員、油断することなく確実に敵を仕留めていけ!!』 総員 『サーイェッサー!!』 提督猫『いいか!我らがこれより行うものは命の遣り取りである!     そんな中で人殺しになどなりたくないと謳う者は武器を捨てろ!     殺していいのは死ぬ覚悟のある者だけである!!     覚悟とはそういうものである!いたずらに傷つけたいだけならば不参加に座せ!』 総員 『サーイェッサー!!』 提督猫『───うむ!一人も脱落者無しという状況を嬉しく思う!!     では声高らかに叫べ!気合を入れろ!!覚悟はいいかぁ!!』 総員 『サーイェッサー!!』 提督猫『命の遣り取りはやはり怖いかぁ!!』 総員 『サーイェッサー!!』 提督猫『だが戦う意思は捨てたりしない自分を誇れるかぁ!!』 総員 『サーイェッサー!!』 提督猫『それでいい!ならば総員力を解放しろ!敵は目の前である!!     死力を尽くし、私欲に溺れたクズどもを排除しろぉおおおおっ!!!     イェア!ゲェエッドラァアック!!ラァアイク・ファイクミィイイイイッ!!!』 ザザァッ!! 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 絶叫に絶叫を。 魂に魂を返し、俺達は心の巴里をシャンドラの火で熱く燃やした! その炎の勢いは凄まじく、いつもよりも数倍の覇気とともに俺達は即座に駆け出した!! 執事猫『うおぉおおおおぶっつぶせぇええええっ!!!』 黒猫 『亜人族に喧嘩売ったこと!今すぐ後悔させてやるわぁああああっ!!!     いくぜ親友!今の俺達ゃ猫だ!亜人族だ!     それと敵対するヤツらに遠慮の文字など必要ねぇ!!』 白猫 『言われるまでもねぇ!     金目当てで自然を狙うクズどもに今すぐ地獄をプレゼントだ!』 忍者猫『穂岸殿!貴殿はどうするでござる!?サポートでござるか!?』 魔術猫『サポート……?冗談じゃない!     ここまで熱くさせられて後方で魔術行使なんてやってられるか!!』 総員 『それでこそ男だ!!』 宙に浮いた要塞から一気に飛び降りた男魂を熱く燃やした猫たちは、 啖呵さえ勢いに変えて休む間も無く駆け出した! 俺もアイルーからジークフリードを受け取ると、 頷くアイルーに頷き返してから即座に大木から飛び降りる。 そしてすぐに体勢を立て直すと、既に横一列に並び、 目の前に迫る大軍勢を前に笑みさえ浮かべる男たちの横に並ぶ。 白猫 『……5……いや、ざっと6000ってところか?』 黒猫 『召喚師が呼んだ幻獣も混ざってやがるな』 執事猫『魔法使いも結構居るみたいだ』 忍者猫『弓使いも銃使いも、それ以外のヤツも随分居るでござるな……。     どうやらエトノワール攻防戦時に居た兵士はただのザコだったようでござる』 魔術猫『大方、中井出がこっちに加担してるって知ったエトノワール王が、     それこそ本気で魔王退治をするべく集めた精鋭なんだろう。     それとも兵士どもが魔王討伐で名を上げたくて勝手に集まったか。     ともあれ、これが大本命ってわけだ。───それで、作戦は?』 提督猫『無い。どんな手を使ってでもぶっ潰す……ただそれだけだ』 魔術猫『ああ、解りやすいな、それは』 白猫 『しっかしあの人数相手に猫の姿でって……くっははは……!』 黒猫 『これだから中井出の思いつきは我ら猛者にとってはたまんねぇのよね』 提督猫『貴様らストックの準備はしたか?』 白猫 『あ、してねぇや』 黒猫 『あ、俺も……しかもさっきオーダー解放しちまったからまだ出来ねぇ』 白猫 『俺もだ』 提督猫『実は俺もストックセットしてなかった』 魔術猫『とことんまでに無鉄砲だな……』 執事猫『それがスパイスなんだって』 提督猫『───……そんじゃ、そろそろ───』 黒猫 『オウヨ、行きますかぁ』 それぞれがそれぞれの武器を、それぞれの体勢で構える。 ───さあ、今こそ…… 提督猫『いくぜぇえ野郎どもぉおおおおっ!!!』 総員 『オォオオオオオオオッ!!!!』 今こそ!聖戦が刻!! 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