───冒険の書189/爆裂鬼猫!巨大生物バトル!───
【ケース500:中井出博光/僕らに朝日が訪れる時、きっと空に拳を突き上げている】 バゴシャドッゴォオオオオン!!! 提督猫『ギャォアァーーーーーーッ!!!』 魔獣ガルフビーストの鋭い爪が我が体を宙に掻き飛ばし、 舞った俺をさらに地面に叩き落す!! 一応これでもヘッジホッグでダメージを与えてるんだが、 それでも平然としてるこいつは相当の体力バカだ! あ、ちなみに名前は“調べる”できちんと確認済みだ。 もちろん“とてもとても強そうだ”という無情のメッセージも受け取った。 僕もう帰りたい。 でも帰らせてくれないのが狂いし者。 勢いで“俺がなんとかする”とか言うもんじゃないね、早くも大後悔時代。 しかも姿が猫だってんだから苦労もひとしおさ。 だが時操回帰するつもりは毛頭なし!何故ならわしゃあ……男じゃけぇのう!! 提督猫『セットインッ……ブゥウラストォオオッ!!!』 ドゴォッチュドッガァアアアアンッ!! ガルフビースト『ギャゥウウッ!!!』 武器を仕舞い、腕に出現させた宿り木・ホズで大砲を見舞う! 放たれた砲弾は見事というかなんというか、ガルフビーストの鼻の穴に侵入! 内部で爆発を起こし、無意味にガルフビーストに大ダメージを与えた!! ガルフビースト『グギャァアアォオオオオオッ!!!』 そして無意味に大激怒させてしまったご様子!!  ピピンッ♪《潜在能力“怒り”発動!ガルフビーストの身体能力が向上した!!》 提督猫『キャーーーッ!?』 しっかりとナビも知らせてくれるほどの怒りっぷりらしい! 先生僕もう帰りたいマジで!!逃げていい!?《ゾゾゾメキメキ》ギャアアアアアア!!! ダメ!やっぱダメ!逃げられない! 逃げようと構えただけで狂いし者が起き上がってくる! くそう!こうなったらもうほんとやるしかない! そもそも俺には俺を信じてくれている猫やドワーフや妖精を裏切ることが………出来ない! え?今の間はなんだって? キョホホ、場合によっちゃあどうなるか解らんってことさ……! ……基本的には絶対に守りたいって思ってるけどね。 とか言ってるうちに来たぁああーーーーーーっ!!!! ガルフビースト『ガオォッ!!』 腕が大きく振り上げられ、即座に降ろされる! 人狼を巨大化させたような風情、 そしてこの巨体から放たれる攻撃のダメージは困りものなくらいにキツい。 故に喰らうわけにはいかんのだ!なんとしてでも避ける!!───って早ァア!!? 提督猫『ホワァアアーーーッ!?《ゴガァッキィインッ!!》あだぁああーーーっ!!!』 咄嗟にバックステップして(足がもつれて偶然そうなっただけ)武器でガードしたけど、 なんつー速さ!?さっきまでの速度とは雲泥すぎるって!待ってよちょっと!! あの爪鋭すぎなのに、その上速いなんてどうすりゃいいのさ!! ただでさえ爪が長くて防御しづらいってのにまったく……! 提督猫『フッ───せいゃぁあああっ!!』 だが無視する! 猫では勝てんというこの場にありそうなその常識、この博光が破壊してくれよう!! ……できれば!!  ヒュオブフォンッ!! ジークフリードでの攻撃!───ミス!届かない!! 提督猫『ぬおーーーーっ!!』 デカいのに速すぎだぁこいつ!! 攻撃が当たる前に簡単に避けられちまう! い、いや!デカいから速いのか!? どちらにしても攻撃が当たらん!! なんかもう素直に人に戻ったほうがまだ戦える気がするが、だがダメだ! これは亜人族の聖戦! 聖戦として始めたからには、敵が全て居なくなるまでが聖戦なのだ! そうだそうに違いねー!そういうことにしとこー! でも猫の姿じゃ思うように攻撃出来ないのも事実。 一緒に小さくなっちまった武器じゃあ、今まで通りの攻撃が届かないのだ。 だったらどうするか?───これでもかと踏み込んで斬りつけるしか他に無し! 提督猫『烈風脚!』 ドゴォンッ!───地面を蹴り弾いて一気に疾駆! 狙うはガルフビーストの足! 足を斬りつけて倒して、続いて顔面を攻撃して怯ませドゴォンッ! 提督猫『ギャアーーーーーッ!!』 あっさり踏まれた。 こ、これは困った……!こいつ、中々強いぞ!? いやそりゃあれだけ大袈裟に出てきてこれだけデカいなら強いのも頷けるけどさ! そう、俺は今、階級の違いを目の当たりにしているのかもしれない……! 彼がアルティメットヘビー級なのだとしたら、俺はフェザーよりも下ッ……!! だって猫だもの、10キロもないよ、うん。 そんな俺相手に敵さんは容赦なく攻撃をしてくるのだ、そりゃあダメージもデカい。 ───だが!!! 提督猫『ぬっ……おぉおおおおおおおおおおっ!!!』 ズ、ゴゴゴ……!!! ガルフビースト『グルルウッ!?』 2000レベル以上の身から発せられる俺のSTRをナメるなぁあああっ!!! 今のレベル以下の時、俺は既にカイザードラゴンを屠っておったわぁああああっ!!! それにHPもTPも妖精やナギーやシードが回復してくれるから、 そうそう回復に専念する場面も無い!故に全力で戦えるというもの!! 提督猫『エネルギィイイッ……全開ぃいいいいっ!!!』 マグニファイを使用!鬼人化を解放! さらにSTRマックス状態で、踏まれた身を強引に起こしてガルフビーストの足を掴む! ガルフビースト『グォオオオオッ!!』 すると、ちょこざいなとでも言うかのように圧しかかるガルフビースト! だがそれでも構わず強引に勢いを付け、倒しにかかる! が、当然といえば当然、相手は倒しにかかる力に抵抗し、 むしろ俺を潰してくれようと全体重をかけてくる!───だがそれが命取りよ!! 提督猫『紅蓮に炎!蒼碧に元素!“義聖拳”!!     裏返し要らずの炭火焼きファイヤァーーーッ!!チュゴォオッファァアアアアンッ!!! ガルフビースト『ギァアアアォオオオッ!!!』 両手から元素の炎を発射!! 剣バージョンでやれば業魔灰燼剣が放てる条件下から放たれた炎は、 炎に弱いらしいガルフビーストの足を見事に燃やし、ギガボマーがさらに爆発させる!! 俺を潰さんと全体重をかけていたガルフビーストは当然バランスを崩し、 俺はそれに追い討ちをかけるようにSTRマックスで倒しにかかる! 提督猫『ぬぅ……りゃあぁああああっ!!!』 足を掴んだまま、渾身を込めて烈風脚!! 最もバランスが崩れるであろう方向を想定に───入れることもなく適当な方向に疾駆!! とりあえず掴んだ左足を右足の後ろのほうに絡めるように疾駆してみたけど、どうだろ?  ぐりんっ! ガルフビースト『グオッ!?』 提督猫    『オワッ!?』 どうやら正解だったらしいが───なんと勢いに体がついてこれなかったようで、 ガルフビーストの体が右足を軸に回転した! ……と、来れば。 提督猫『フ……フハハハハハ!!2ぃいいいいっ!!《ドゴォオンッ!!》     ───3!!《ドゴォオンッ!》4ンンンンンッ!!!《ドゴォオオンッ!!》』 回転するガルフビーストが面白かったので、さらにさらにと烈風脚を発動させ、 ガルフビーストをぐるぐると回転させた! やがてここまでくると完全にバランスも崩れるというもので、 とうとう倒れ始めたガルフビースト───の足を掴んだまま、 俺は自分も大地に足をしっかりと着けると踏ん張り、 提督猫『ふぅっ……うぅううううおぉおおおおおおおおっ!!!!』 巨大生物バトルご恒例、STRマックスジャイアントスウィングを実行!! ガルフビーストの足にしっかりと爪を食い込ませ、 遙かに小さき我が体で遙かに大ききガルフビーストを強引に回転させてゆく!! ガルフビースト『ガッ……グオオオオ!?』 そんなことをされるとは到底思いつきもしなかったのだろう。 散々回転させられてからバランスを崩したガルフビーストは思いのほか簡単に回転し始め、 今や遠心力で空を裂く狼と化していた。 い、いける!このままならゾリュリュベキャア!! 提督猫『ギャニャアアアアアアーーーーーーーーーーーッ!!!!』 爪ェエエエーーーーーーーーッ!! 爪!爪ェエーーーーーッ!!折れたァア!!爪折れたァアーーーーーーッ!! だ、だがここは博光よ!我慢だぜ!? 爪が折れた拍子に我が手から解き放たれたガルフビーストを、 このまま捨て置くわけにはいかない! 見よこの爪!既に妖精たちの加護により回復済み! 俺はただ仲間を信じつつ、全力を以ってこいつを滅ぼせばいいのだ!! 提督猫『ブッ飛べ巨狼!“極光吼竜閃(レイジングロア)ァアーーーーーッ!!”』 コォォゥアギガァアッチュゥウウウウンッ!!!! 吹き飛ぶガルフビーストに向けた長剣から、 巨竜のレーザーに匹敵する超巨大レーザーが放たれる!! 猫が放ったとは思えないほどの巨大なソレは空気さえ破壊するように轟音を立て、 中空を吹き飛ぶ身動きの取れないガルフビーストへ襲い掛かる!! ガルフビースト『ガッ……ウォオオーーーーンッ!!!』 響く遠吠え! 断末魔かなんかのつもりだったのか、迫る極光を前にソイツは吼えた! するとどうだろう、ガルフビーストの体を守るように氷の壁が出現するじゃないか!!  ギシャァアッキギガガガガガァアアッ!!! 提督猫『《ギキィンッ!》いづっ!?』 キィイイン!と熱と氷がぶつかり合う音が鼓膜に響く。 氷の壁は相当に分厚いらしく、 レイジングロアの直撃を受けてもすぐには壊れなかった。 ───それが、この一撃で仕留められなかったことに繋がった。 氷が砕けるまでの数瞬のうちにガルフビーストは重力に従い、多少降下していたんだろう。 やがて氷が砕け、解放されたレイジングロアがガルフビーストを飲み込もうとするも、 身を翻したガルフビーストの右手を飲み込み破壊するだけで終わってしまった。  ───ズザァアッ!! ガルフビースト『ガァアアアアアッ!!!』 着地するガルフビースト。 その表情は───あ、あれぇ!?さっきよりさらに怒ってる!? そりゃ手ェ破壊されりゃあ誰でも怒りはするだろうけどさ! 提督猫『あぐっ……むん!!《キピィンッ♪》』 地面に降り立ち、俺をシワだらけの形相で睨むガルフビーストを前に回復を図る。 いくら妖精たちが回復してくれててもレイジングロアはHPTP全てを使う能力だ、 俺自身でも回復しなきゃ追いつかない。 くそう!大体こいつ攻撃力高すぎなんだよ! ガルフビースト『ウォオオオオオオオゥウッ!!』 提督猫    『おおおおおおおおおっ!!』 天を仰ぎ咆哮するガルフビースト! 俺もそれに対抗し、自分に気合を入れる意味も込めて強く叫んだ! そう……結局のところ行き当たりばったりの無計画バトルをすることになろうとも、 俺にはこれしかないのだ。 故に我が心に覚悟を刻む。 毎度のことだが戦いの中で確実な覚悟を決めるまでに時間掛かりすぎだよ俺。 けどね、やっぱ怖いもんは怖い。 巨大生物なんて、見るだけで足が震えるさ。 だがやらなきゃならない時があることくらい、こんな俺にだって解る。 姉ちゃん、“いつか”って“今”さ!! 提督猫『覚悟───完了!!』 ジークフリードを握る手に渾身を。 スゥ……と息を吸い、吐き、気合を入れ直してガルフビーストを睨みつける! 提督猫『いくぞ巨大狼!!臆さぬならば───かかってこい!!』 油断はしないよう務める! そりゃ人間だからなにかの拍子に油断することなんていくらでもあるだろうさ! 想定外のことが起きれば誰だって隙が出来る! だが常識破壊を常とする修羅、我ら原中はそう簡単には怯まん!! むしろ逆に驚愕させ、隙だらけにしてくれるわ! 提督猫『ランダムルーレット……発動!!』 閃け我が筋肉の躍動!ごめん筋肉関係なかった!  ダララララララ……ジャンッ!《博打No26!超弱体化!》 ───シュボンッ!! ゴーファ『───あら?………………おげぇえええぁあああああっ!!』 大驚愕!隙だらけにするどころかマイナス50レベルの地獄へ自らをご招待! むしろ誤招待!なんていうかとても胸囲な彰利ランド!  ズズゥウン……プチッ。 そしてあっさりと踏まれ、僕は昇天したのでした。 ───……。 ……。 ズドドドドドドドドドド!!!! 提督猫『おのれェエエエアアアアッ!!!!』 そして凱旋!じゃなくて帰還! なにが僕をそうさせるかって、 管理者の粋な計らいによって誕生していたらしい亜人族神父のお蔭でここに居る! 猫の中に混ざっていたらしく、こうして要塞の中から再スタート出来たのだ! さっき、すぐに砲弾撃てたのもそのお蔭です。 提督猫『ちくしょう何処まで俺にやさしくないんだよこのスキル!     こんな時くらいスパッと望むものだしてみやがれってんだい!     ランダムルーレット発動!!』 ダラララララララ……ジャンッ!!《博打No21!マクスウェルシステム!!》 ───ギピィンッ♪《属性攻撃力が大幅UP!属性防御力が大幅DOWN!!》 提督猫『おお!?新たなナンバー開拓成功!?』 でもやっぱり一筋縄じゃないこのスキルが中途半端にムカツクなぁもう!! いやもう属性攻撃力UPだけでいいだろこれ!ねぇ!? 提督猫『だが残念ッ……!俺が望んでいるのはこの能力ではない!』 というわけでルーレット重ねがけ! これはガルフビーストが地面に降りた俺に気づいてないうちに 成功させておいた方がいいに決まってる!  ダラララララ……ジャン!《博打No25!しあわせ光線!!》 パワワァア〜〜〜〜ッ♪ 提督猫『お?おお?』 突如として発動した博打能力! それは俺の体から幸せ気分になれる光線を広範囲に発射するという不思議なものだった!! ガルフビースト『グオッ!?』 提督猫    『ゲェエエエーーーーーーーーッ!!!!』 そしてその所為であっさりガルフビーストに見つかった。 物凄い幸せでした。何処までもやさしくねぇ。 つーかオイィイイイ!これってただ幸せ気分にひたれるだけ!? なにかUPするとかそういうの一切無し!?ひでぇ!意味ねぇ!必要ねぇ! ガルフビースト『ガォオオオオオオッ!!!』 提督猫    『キャーーーッ!!?』 咆哮とともにあっさりと標的を俺に変えるガルフビーストさん! さっきまで要塞狙ってたのに、俺が居ると解るや疾駆してきたよ! やっぱ鼻の中を爆発させたこと本気で怒ってるのね……。 フフ、だが少し遅かったようだな……既に回ってるんだぜ!?心を刻むルーレットはよぉ!  ダラララララ……ジャンッ!! ───迫るガルフビースト! 止まるルーレット! やがて結果を知らされるや、俺は静かに猫の姿のままにニヤリと笑い─── 提督猫『……遊戯よ。俺はブルーアイズを引いたぞ』 自信満々の風情のまま、 俺を喰らおうと大口を開けて襲い掛かるガルフビーストを見据えた───!!
【Side───晦悠介】 シュカァッ─── ドォオオッゴォオオオオーーーーーン!!!! 声  『しぎゃあああああーーーーーーーーーっ!!!!』 声  『クギャオォアアアアーーーーーーッ!!!』 白猫 『だぁぅあっ!?』 そう遠くない場所で突如巻き起こるは提督花火!! あまりにもいきなりだったもんだから虚を突かれたというか、 体を圧するが如く吹き荒ぶ爆風に思わず身を竦めてしまう。 黒猫 『キャアなに!?何事!?敵襲!?』 ナギー『敵なら既に来ておるであろ!』 執事猫『お、おおおお……さ、さすがは提督だぜ……!     自らが小さいことをものともせずに敵を巻き込み自爆するとは……!』 忍者猫『今の爆発に巻き込まれた大半の召喚獣やモンスターが塵となっていくでござるな』 シード『さすがは父上だ……!そんなことまで計画に入れるとは……!』 原中ズ『………』 いや……多分発動させる気なかったんだと思うなぁ……だって提督だし。 大方相変わらず自分にやさしくなさすぎな能力にイチャモンでもつけるが如く、 出て欲しくもないスキルを自慢げにして見せて散ったとかそんなところだろう。 なにはともあれこれで状況は随分と優位な方向へと向かった。 いくら提督や穂岸が敵を受け持つと言ったからって援護をしないのは面白くない。 なにせ相手は巨大生物であり、俺達は飛び道具を持っているのだ。 これで攻撃せずになにが原中か!! というわけで俺と彰利はなにを語るでもなく頷くと、丘野を促し大砲をセットイン! 爆煙の先で目を回しているガルフビーストや、 余波に巻き込まれてフラついているフェンビースト目掛けて発射するのだった───!! 【Side───End】
ゴコッ……パラパラパラ…… 提督猫『カカカカカカカ…………!!』 ひでぇ目に遭いました。 ここ一番って時にはどうしてこれが出るかなぁもう……! 相も変わらず爆心地でピクピクとノビていた俺は剣を杖代わりに起き上がると、 やはり即座に回復してくれる妖精たちに感謝しつつも、 目の前で目を回して倒れているガルフビーストを今度こそ真剣に見据えた……!! ……さっきのはただの強がりだったわけだし。 ではいざどごぉおおおおおんっ!!!! ガルフビースト『グワギャォオオオッ!!!!』 提督猫    『痛ッタァアアーーーーーーーーッ!!!!』 いざと踏み込もうとした途端、 仰向け状態で倒れていたガルフビーストの……まあその、股間に砲弾の一撃が直撃!! ガルフビーストは一瞬ビックゥウウと体を跳ね上げたが、 やがて力無く倒れ伏し……のちにゴロゴロとのたうち始めた……!! おおおお……!見てるだけで痛い……!! 声  『YEAHHHHH!!!やったぜトニー!一発だぜ!』 声  『オウマイコー!お前はなんてイカシたヤローなんだコンチクショー!!』 見上げれば砲台広場で手を叩きあっている彰利と晦。 だがこうしていても埒も無し、と向き直ってみると─── ガルフビースト『〜〜〜〜……!!《メキメキベキミキ……!!!》』 提督猫    『…………あれ?』 体を震わせながら鼻の頭や眉間に物凄いシワを寄せて血管ムキムキ状態で、 何故か僕を超形相で睨むガルフビーストくんの姿が。 提督猫『いやっ……ちょ、待……!!』 ギピィンッ!!《潜在スキル発動!激怒!ガルフビーストの能力がさらに向上した!!》 提督猫『ギャアーーーーーーッ!!!ままま待ってぇえええっ!!     え!?俺の所為なのこれ!俺なにもしてないよ!?ちょ……待ってよ!!     なんで俺がこんな目に!?彰利!?彰利ィイイイイイッ!!!』 黒猫 『フフ……中井出……これが俺が貴様にしてやれる最高の助力だ……!』 白猫 『敵の黄金を撃ち抜き激怒させ、眠れる獅子を叩き起こす……。     こんな面白い眠れる獅子との最終決戦があるだろうか……!!』 提督猫『面白くねぇえーーーーーーっ!!!』 でももし別の誰かが敵を転ばせ、 自分が砲台の前に居たら確実に同じことをしていたと断言出来る自分が悲しい!! くそう俺もあの高みで砲弾撃っていたかった! ───ザァッ! 提督猫『ぬう!』 目の前で巨体が移動を開始した───! ッチィ!どうやら悲しみに暮れている暇もくれてやる気がないらしい! ええい心の痛みを知らぬ者め!! 提督猫『ぜいやぁっ!!』 ヒュフォガギィンッ!! 目で追えるギリギリの速度から放たれる爪を、ジークフリードで弾き返す。 お、OK!まだついていけてる!多分! だが長剣じゃダメだ!捌ききれん!! 提督猫『“解除”(レリーズ)!!《ジャギィンッ!!》』 故に双剣モード+六閃化を発動!! 左右合わせ十本の爪から己を守るため、左右十二本で応戦する! しかし二本分多くあるからってこっちが勝るかっていったらそうでもない。 何故なら相手の爪のほうが圧倒的に長く、 ガード出来てもそれは致命傷を避けるためのガードであって、 長い爪自体はどうしても俺の体を少しずつでも刻んでいくからだ。 くそっ!猫の体だとこいつはかなり嫌な相手だ! だが猫化は解かん!何故なら───その方が勝った時に面白味が増すからだ!! しかしそうは言っても勝たなければ意味が無い! 故に───覚悟を決めた男の剣、とくと味わえ狼野郎!! 提督猫『ヒュウッ───せぇええぃやぁああああっ!!!』 ジャガガギィンッ!ガギギギィンッ!!ジギギャギャリィンッ!ギャリィンッ! ───ジャガガガガガガガガガガガガガバキャガキャベキャゾシャジャギャァアンッ!!! ガルフビースト『ガ、ガアッ!!?』 振るわれる攻撃は弾く。 だがただ弾くだけではあまりに普通! 故にその常識、破壊しよう! ただ弾くのではなく、超速剣疾風斬にて全力で斬りつけまくって弾く!! さすがに四回超越はしないが、一呼吸ののちに再び斬りつけまくって、 ガルフビーストの爪を一本一本確実に破壊していく! ガルフビースト『グ───!!』 だが、ガルフビーストも俺がなにをしようとしていたのかに気づいたんだろう。 左右ともに三本破壊された時点で急に爪での攻撃をやめると、 大きくバックステップをして俺から距離を取った。 提督猫『ッチィ……!』 爪全てを破壊すりゃあさずかし戦いやすいだろうと踏んだんだが、 あっさり気づかれてしまったようだった。 提督猫    『………』 ガルフビースト『………』 ……ガルフビーストは距離を保ったまま俺の出方を見てやがる。 どうやら少しは冷静になったらしい。 それでも潜在能力の効果が切れた、 とか出てこないのはどういった陰謀なんですか精霊さんがた。 提督猫『距離を取ることで一時的に戦を持す、か……。理想的です。     確かにこの状態ならば心を落ち着かせ、次に備えることも出来ましょう……。     だが。どちらが引くか、敗れるかまでを放棄するにはこの博光───若すぎる!』 グッ───ドゴォンッ!! ガルフビースト『ガァオッ!?』 烈風脚にて開いた距離を一気に狭め、射程距離内に突撃する! うだうだ考えたってどうせ上手くなどいかぬ! ならばいつでもいきあたりばったりで全力バトル! それがこの博光がこの世界で学んだ戦い方だ! いくぜランダムルーレット! この博打めいた世界の中で、貴様こそが俺にとっての真の博打! いいの出せよ……!ここで負けるわけには───いかないんだぁあああああっ!!!  ジャンッ!《博打No23!自爆!》 提督猫『いやぁああああーーーーーーーーっ!!!!     だ、だったら麦茶!麦茶ァアーーーーッ!!』 不吉な事態を吹き飛ばせ!起死回生の超麦茶! 棒人間の奇跡よ!ここに来たりて僕を救いたまえぇーーーーっ!!  ゴキュリ……ピキィンッ♪《ランダムスキル!メルトン!爆発系破壊力が倍増!》 提督猫『おお!?』 これなら自爆でもまだ救いが───  ピピンッ♪《ただし自爆の場合、どう足掻いても確実に死にます》 提督猫『助けてぇええええーーーーーーーっ!!!』 ───全然無かった。  シュカァッ───!! 提督猫『いや───……』 やがて俺から放たれる眩き光が解放される頃。 なんていうか俺はもう本気の涙を流しながら、 かつてない爆発に自らを委ねつつ塵となりましたとさ……。
【Side───晦悠介】 ズガガドンガガガガガォオオオオンッ!!!! 総員 『ほぎゃあああああーーーーーーっ!!!!』 今までとは比べ物にならないほどの大爆発を起こし、火柱を立てた中井出花火。 明らかに吹き荒ぶ風圧も熱の量も毎度の倍近くはありそうだった。 当然こちらにも物凄い爆風が吹き荒び、思わずその場に屈み込んでしまった。 黒猫 『うーお……巨体のガルフビーストがあんな遠くまで吹き飛ばされてら……』 ナギー『いったい何が起こったのじゃ……!?ヒロミツは!?ヒロミツは無事なのか!?』 黒猫 『……んにゃ、残念だが……なにをしたのかは知らんが、     どうやら爆発に体が耐え切れずに消滅しちまったらしい……』 ナギー『な……んじゃと……!?』 シード『そんな馬鹿な!父上だぞ!?父上が爆発ごときで消滅などするものか!』 黒猫 『あの、それってどんな宇宙海賊?』 宇宙海賊?……ああ、天地無用か。 確かにあの爆発の中で平気なところと壁抜けするとこと天井に大穴空ける馬鹿力を空飛ぶと ころがバケモノチックだと天地くんに言われた宇宙海賊が居たっけか。 彰利の記憶の中のことでしか知らない情報だが。 などと言われたって魔王の子が納得する筈もない。 ふらふらと覚束ない足取りで砲台広場の見晴らしのいい場所まで歩くと、 夜の闇のためあまりよくは見えない下方を覗き込む。 シード『うそだ……!父上……!父上ぇえーーーーーっ!!!』 ───必死に叫ぶ声も虚しく、応える声はなかった。 だが諦めずに何度も呼ぶ魔王の子─── 白猫 『───!?』 その上部に、飛行召喚獣が襲来した───!! やばい!今の爆発の騒ぎでみんな何も準備してない! 白猫 『───!』 総員猫『───!』 目を見合わせた───が、全員が全員首を横に振った。 解ってるんだ、間に合いなどしないということを。 どんなに手を伸ばしても、こればっかりはばごしゃぁあああんっ!!! 召喚獣『イエーーーイパパダスよーーーーーっ!!』 シード『うわぁああーーーーーっ!!?』 ナギー『ふぎゃあああああーーーーーーっ!!?』 白猫 『うぅうおおおおっ!!?』 黒猫 『キャーーーーーーッ!!?』 執事猫『ホワァアーーーーーーーーーッ!!?』 忍者猫『ギャアーーーーーーーッ!!』 突然だった!あまりに突然で本気で叫んだ! 何故って、飛んで来た召喚獣が突然爆裂して、 急にパパだなんて叫べば誰でもビックリするわ!! だが内側から破壊され、ボロボロになって砲台広場に落下した躯から現れたのは……! 提督猫『やあ』 ……提督だった。 黒猫 『やあってキミ……なにやってんの召喚獣の内部なんかで』 提督猫『いやそれがさ。復活したから勇んでババーと大地に向けて跳躍したのよ。     そしたらこいつが飛んできて遠慮無用でバクゥってさ。     途中までは抵抗したんだけど、なんかこいつここに向かってたみたいだから、     いっそ飲み込まれたあと一気に出たらみんな驚くかなー、って……』 白猫 『ていうか提督、下半身がかなり溶けてる』 提督猫『え?ヒィ!ほんとだ溶けてるトロけてる!なんか痛いなーって思ったら!』 黒猫 『ちったぁ後先考えんさいキミ!体張って人驚かすなんてなに考えてんだテメー!!     今ボスバトル中だって解ってる!?解ってるわよね!?     なのになんでこんなことしてるの言ってごらんなさいもう!』 執事猫『弦月、口調がオカンになってる』 提督猫『いやあの……面白いだろうなーって思ったらもうなんていうかそのー……』 黒猫 『何処まで逞しいのさキミ……むっ!?』 白猫 『あ』 バゴシャアッ!! 提督猫『ジェェゥルァ!!』 視界の隅で何かが動いたか?と思ったら、 突如としてナギーの拳が提督の頬にメガヒット。 普段なら殴るのにも難儀しそうな身長差だが、 現在猫なもんだからあっさりと殴られていた。 提督猫『な、なにをするだァーーーーッ!!』 ナギー『心配をかけた罰なのじゃ!     ヒロミツ……!おぬし、わしがどれほど心配したと……!     こやつが“消滅した”などとぬかすからわしは……!わしはてっきり……!!』 提督猫『ぬ、ぬうそうか……!“彰利の所為”でこの博光はグーで殴られたのか……!     そうだったのか……!普通ならば平手の一つでも飛ぶようなシーンが、     “彰利の所為”でグーで殴られる破目に……!』 黒猫 『あ、あのー、中井出?そげに“彰利の所為”って強調して言わんでも……』 ナギー『約束したであろ!?わしを置いて何処にも行かぬと!     行動の意味だけではないのじゃ!死んだりなどしたら……     消滅したりなどしたらわしはヒロミツを許さないのじゃ!!』 提督猫『ところでこの召喚獣、塵になって消えないんだけど』 執事猫『もしかしてアレか?     提督から滲み出るCHRがこんな姿になってもこの召喚獣を仲間にしていたと?』 提督猫『だったら丸飲みして下半身溶かしたりしないでほしかったなぁ……』 ナギー『聞くのじゃあああああーーーーーーっ!!!』 提督猫『《ギゥウメキメキメキメキ》ごおおおおおお……!!』 おお!提督の首がナギーの両手によってしっかりと包まれ、キツく締め上げられてゆく! そんな光景を見て猛者どもが早速取り掛かったことといったら……これだった。 執事猫『テリー!ギブアップか!?』 提督猫『イ……イエス』 黒猫 『ゲゲェあっさりギブアップしやがった!』 そしてあっさり常識を破壊してみせる僕らの提督。 執事猫『テリーの風上にもおけねぇやつだ!』 忍者猫『このクズテリーめが!!』 黒猫 『テリーでギブアップかっていったらノーだろうがカスめが!!』 提督猫『罵倒する前に助けてぇえええ…………!!』 総員猫『断る!!』 提督猫『………《ギリギリギリギリ……ガクッ》』 黒猫 『お、落ちたァーーーッ!!ロビンがぁーーーーっ!!』 執事猫『え?うわマジだ!ちょ、ナギ助ストップ!白目むいてる泡吹いてる!!』 ナギー『なにを言っておるのじゃ!?わしは白目などむいておらんのじゃ!!』 執事猫『そうじゃねぇえーーーーっ!!ってうおゎあああーーーーっ!!     来てる来てる!ガルフビーストこっち来てるーーーーっ!!』 忍者猫『な、なるほど!     押さえる者が居ないのなら普通に向かって来るのは当然でござるな!』 シード『感心してる場合か!!』 総員 『まったくだ!』 迫る巨体! 迎え撃つは───ぐったり消力(シャオリー)状態の一匹の猫。 もちろんぐったりだから迎え撃つもなにもないんだが。 黒猫 『どーすんのコレお前の所為だよコレェ!こんな猫メチャメチャにしちゃってさぁ!     もうこの場終わりだコレ!全部お前の所為だからなコレェ!!』 ナギー『う、わ、わしの所為……なのかの……』 シード『当たり前だろう!今の父上は猫なんだぞ!?     それをあんな、思い切り首を絞めるなんて!』 黒猫 『そうだこのクズが!争い嫌いとか言ってたくせに背後から首を絞めてオトすなど!     恥を知れ恥を!このクズが!カスが!ゴミクズが!!』 ナギー『〜〜〜〜っ……う、うう……っく……』 執事猫『ぬお!?』 忍者猫『ナ、ナギ殿が泣いたでござる!?キャメラ!キャメラはないでござるか!?』 ナギー『なにを言っているのじゃ?……ぐすっ。     わしは泣いてなど……ひっく……いないのじゃ』 総員 (……ああ……ナギーだ……) 思い切りしゃくりあげつつ涙目でそんなこと言われても説得力が無いんだが。 だが今はそれよりもだ。 提督をなんとかしないとこのままじゃ……《ドボォ!》 もちろん俺達が戦ってもいいんだが、《ドス!ボス!》 あの巨体相手にどう立ち回ったもんか……。《バンパンパンパンパンッ!!》 って、さっきからなんの音オワアアーーーーーッ!!? 白猫 『ちょ、待て待て待て!何やってんだお前はぁあっ!!』 黒猫 『え?なにって……中井出にちとキツケをば』 白猫 『そんなボコスカ殴ってたら目を覚ますどころか昇天するわ!!     キツケってのはもっとこう、こうして背中に膝当てて……喝ァツ!!』 提督猫『《メゴキャア!》…………《ガクッ》』 忍者猫『お、落ちたァーーーッ!!ロビンがぁーーーっ!!』 白猫 『…………ありゃ?』 執事猫『ありゃじゃねぇだろこのクズが!』 黒猫 『なんてヒドイヤツッッ!!僕にそうじゃないと言いつつトドメを刺すとは!』 白猫 『いやいやちょっと待てこれは何かの手違いでっ……!!』 忍者猫『どどどどうするんでござるか敵がもう目前でござるぞ!?このままでは───!』 黒猫 『こいつ囮にして時間稼ごう』 総員猫『それだ』 なんだか腕とかがヘンな方向に曲ってる提督を、 彰利がヒョイと持ち上げて言った言葉に総員が頷いた。 ナギー『ま、待つのじゃ!それはダメなのじゃー!!』 シード『そうだ!誰が許可しても僕が許さないぞ!』 黒猫 『誰もてめーの許可なぞ求めちゃいねー!くそしてねろ!!』 総員 『まさに外道!!』 シード『な、なんだと!?』 黒猫 『というわけで中井出大砲セットイン!』 白猫 『装填完了!砲台安定状況オールグリーン!』 執事猫『照準固定完了!』 忍者猫『風向き良し!』 黒猫 『発射ァアーーーーーーッ!!!』 ガヂンッ!───ギヂッ。 メギギギギ……!!! 黒猫 『───……あれ?中井出大砲が出ねー』 白猫 『詰まってるのかな……これだよな?スイッチ《ガン!ガンゴンガン!!》』 スイッチを殴る。殴る殴る殴る! しかし中井出大砲が空を飛ばドッガァアアアアアアアン!!! 総員猫『ギャアアアアアアアアアア!!!』 暴発した。 いや、爆発した。 ほら、よくあるだろ?銃口になにか詰まってると銃が爆発するとか。 あれが起こった。 どうやら中井出の体が奇妙に詰まってたようで、砲台ごと爆発してみせたのだ。 ていうか……うあ……中井出がバラバラでスプラッタなことに……。 忍者猫『ヒィイイ!!たたた大変でござるーーーっ!!』 黒猫 『な、中井出の体がミートのボディパーツみたいにーーーーっ!!     ………………あれ?じゃあ繋げりゃ生き返るのかな』 総員猫『それだ』 黒猫 『で、ではすぐに』 ドガァアアアアンッ!!! 総員猫『うぉわああーーーーーっ!!!』 シード『ぐぅぅうっ……!!』 ナギー『な、なんなのじゃっ……!?』 突然の衝撃に辺りを見渡す。 いや、本当は確認するまでもなかった。 何故ならもうガルフビーストは目の前に来ていて、 フェンビーストも既に目前まで迫っていた。 今の地震のようなものは、 ガルフビーストがこの要塞に体当たりをかました衝撃によるものだろう。 執事猫『やべぇぞおい……今はまだ耐えてるようだけど、     何回もこられちゃ穂岸の詠唱の邪魔になるぞ……?』 黒猫 『馬鹿野郎!諦めるな!なんのために僕らがここに居ると思ってるんだ!』 執事猫『提督を落とすため?』 黒猫 『アイドゥ』 とことんクズだった。 黒猫 『よ、よ〜〜〜し!ミ、ミートのパーツ全てを集めたぞ〜〜〜っ!!』 執事猫『つーかどうして塵にならないんだろうな、これ』 白猫 『アレじゃないか?気絶させられてからバラバラになったから、     体自体が死んだことに気づいてないとか』 忍者猫『のんびり談話している場合じゃないでござるよ!     ガルフビーストとフェンビーストが合体して大変なことに!』 総員猫『な、なんですってーーーーーっ!!?』 丘野の言葉にすぐさま向き直る!と、 確かにゴワゴワとまるでアーサー童子が合体するかのごとく……!! シード『いけない……危険な予感がする!     融合していっている部分に衝撃を与えて融合を邪魔するんだ!』 執事猫『衝撃!?衝撃っつったって───』 藍田がキョロリと砲台広場を見渡す。 しかし見てみれば、遊びすぎて底をついた砲弾と、バラバラになった中井出。 なんというかこれこそ絶望的な状況じゃなかろうかと納得させられる要素がぎっしりだ。 忍者猫『なにか爆弾とか無いんでござるか!?     もし誰かそれっぽいのを持っていたら拙者に渡すでござる!     投擲スキルなら誰にも負けねーでござるよ!?』 黒猫 『よし!じゃあこれ頼む!』 忍者猫『《ガシッ!》なんだ持ってるんじゃねぇでござるか!     ではいくでござる!しぇえええいやぁあーーーーーっ!!!』 丘野がズザァッと足を振り上げ、大してブツを見もせずに投擲!! 投げられたそれはシュゴーと風を切って飛翔し、 ズボォ!!と融合接続部分に突き刺さった! 忍者猫『よし!ドカーンでござギャアーーーーーーッ!!!』 白猫 『へ?どうしはうあぁあーーーーーっ!!!!』 気づいた!今さら気づいた! なに投げたのか、なんて気にしないでいたけど見ちまった!! ナギー『ヒッ……ヒロミツーーーーッ!!!』 そう!投擲されたのは提督の頭だった! そして爆発なんぞするわけもない提督フェイスは抗うことも出来ないまま、 融合の波に飲まれてゴキベキャと砕けていった。 総員 『………』 黒猫 『いや……なんかあの……ごめんなさいマジで……』 それとともにシャアアン……とようやく塵となった提督の体。 俺がやったわけでもないのにフツフツと湧き上がってくるこの罪悪感はなんなんだろうか。 【Side───End】
───トカカカカカカカカ!! 提督猫『ゴニャァアア〜〜〜ォオオッ!!!!』 ややあって、なんだかいつの間にか死んでたらしい僕は戻って来た! するとゴシャァアアアアアンンッ!!!! 提督猫『ほぎゃあああーーーーーーーっ!!!』 なにやらさっきのビーストたちよりさらにデカい巨大狼がそこに居て、 俺と目が合うやゴシャーンと咆哮してきたのだ!! 提督猫『なっ……ななななにあれなにあれなにあれぇええええっ!!!』 黒猫 『な、中井出の負の感情が生み出した悲しい悪魔だ……!』 提督猫『いきなり俺の所為なの!?     なんなのその俺にだけやさしくなさそうな壮大なストーリー!!     ていうかあのー、どうして俺死んでたの?』 黒猫 『…………』 総員 『………』 おや?なにやら皆さんの視線が一点に集中して…………ってナギー? ナギー『う、うぐぐっ……』 黒猫 『ほらナギ子ォ!悪いことをしたらごめんなさいでしょォ!?』 ナギー『う、うるさいのじゃ!おぬしに言われるまでもないのじゃー!!』 黒猫 『だったらなんで言わないの!ほらさっさと言っちまいな!     言ってスッキリするんだよ!じゃないと気になって戦えないでしょォ!?』 ナギー『これはわしとヒロミツの問題なのじゃ!     おぬしは関係ないから普通に戦っておればよいであろ!?』 黒猫 『なに言ってんのアンタそんな緑色の髪してェエ!!     野菜しか食べないからそんな頭になるんだよォ!!』 ナギー『うるさいと言っておるであろ!大体これは生まれつきなのじゃ!』 黒猫 『口答えするんじゃないのォオ!!     アンタはもうホンット人の揚げ足ばっかり取ってェエエ!!』 何故か突然八郎のかーちゃんになった彰利一等兵が、これまた何故かナギーにからむ。 ていうか……俺ってナギーにコロがされたの? なんか違うような気がするんだけど……気の所為かな。 ナギー『いいからほうっておくのじゃ!わしはヒロミツと大事な話が───』 黒猫 『バカ言ってんじゃないのォ!     アンタこんな状況で暢気に話なんて出来るわけないでしょォオ!?     ほんっとアンタはいつまで経っても空気ってものが読めないんだからァアア!!     そんなだからそんな緑色に育つんだよ!もっと肉食べなきゃダメでしょォオ!?』 ナギー『髪の話は関係ないと言っておるのじゃーーーっ!!』 黒猫 『大きい声出すんじゃないの!!アンタはもう人の揚げ足ばっかり取って!!     いいからまずワカメ食べなワカメ!ワカメにはねぇ!     髪を成長させる効果があるって言われてるんだよ!     これ食べればアンタの髪も黒くてモジャモジャした     グレートマサみたいな髪になるから!』 ナギー『いらないのじゃ!』 ていうかなりたくない。 そう思っていると、みんなもしみじみと頷いていたりした。 ……そんな状況に少々頬を掻きつつ、こちらへ改めて移動を開始した巨大狼へと向き直り、 宿り木・ホズをフル活用しては、 ボウガン撃ったり大砲撃ったりして敵を近づけさせんように踏ん張っていた。 黒猫 『ちゃんと噛むんだよ!二十回くらい噛んでから食べな!』 ナギー『いらぬと言っておるであろ!ほんにしつこい男よの!!』 黒猫 『なァアアに言ってるのアンタそんな緑髪してェエエ!!     しっかり食べないから緑色に育つんだよ!』 ナギー『髪は関係ないと何度言わせるのじゃ!?これ以上言うようなら』 黒猫 『口答えするんじゃないの!アンタはもうホンット人のアゲ足ばっかり取って!!     ほらいいからこっち来て座んなさい!     まったくもうホント世話ばっかかけるしょーがない子なんだからァ!!     ───ご飯はどうするの?中盛り?大盛り?』 ナギー『いらないのじゃ!』 黒猫 『なに言ってんのアンタそんな痩せた身体で!     男の子はねェ!少し太ってるくらいが丁度いいの!』 執事猫『うるせーな、だったらハナから訊くなよ』 ナギー『それ以前にわしは女なのじゃ!!』 黒猫 『口答えするんじゃないのォオ!!     アンタはもうホンット人の揚げ足ばっかり取ってェエエ!!』 ナギー『うぐぐー……!!ヒロミツ!こやつしつこいのじゃ!なんとかするのじゃー!!』 提督猫『バカモーーーン!!しつこいヤツ相手にまともに張り合っても     どうにもならんのは目に見えているだろう!無視しろ!』 ナギー『おお、なるほどの』 黒猫 『てゆゥかさ、中井出?ナギ子さんとの話はいいの?』 白猫 『切り替え速ェなオイ』 黒猫 『無視されると解ってていつまでもソレをしているほど僕も暇じゃないのさ』 嫌がらせのためなら喜んでやるがと続ける意気揚々な彼が怖かった。 いや当然俺もやる時ゃもちろんやるわけだが。 提督猫『ナギーと話ねぇ……グウウ〜〜〜ッ、ど、どうしたものか〜〜〜っ』 ナギー『う……わ、わしとはもう話もしたくないと申すのか……?』 執事猫『おおナギーの言葉に動揺が見られるぞ』 提督猫『うむ!今は何も話すことなどないわ!』 ナギー『───!《ガガァア〜〜〜〜〜ン!!!》』 執事猫『うぅわっ……すげぇ驚愕フェイス……。俺、ナギ助のこんな顔初めて見たかも』 そうは言うが事実である。 まずは迫り来る敵からここを守らねばならんのだ!! 提督猫『というわけでGO!!《ババァッ!!》』 空を飛ぶ!街が飛ぶ!雲を突きぬけ星になる!!! 火を吹いて闇を裂き、スーパーシティが舞い踊る!! 提督猫『やあやあ我こそは原中が提督、中井出博光!!     故あって狼よ!貴様と対峙しに参上仕った!     ……というわけでいきなりでアレなんですけど───     この地より立ち去ってくれません?』 ファフニール能力全開!! しっかりと相手に言葉が通るように言葉を放った! というのもご存知の通り、ファフニールの力があれば様々なものの言葉が理解出来るのだ。 ヴォルフビースト『───……我は目的を知らぬ。          ただ存在するのは“黒い猫を始末する”という命令だけ。          魔女ごときの命令に従うのも馬鹿馬鹿しいが、          召喚されたからには一度くらいは実行してやるのも一興だろう』 提督猫     『そこをなんとかっ……!』 ヴォルフビースト『どれだけ媚びた顔をしようが無駄だ』 提督猫     『じゃあ死ね』 ヴォルフビースト『きっ……切り替えが早すぎるぞ貴様!!』 提督猫     『遅かろうが早かろうがどのみち結果は変わらんのだろうが!          ならば切り替えなど早いに越したこと無し!故に誇ろう我が覇道!!          さあいくぞヴォルフビースト(命名・俺)よ!!          ランダムルーレット───発動!!』 ダララララララ─── ヴォルフビースト『ふん……?懲りもせず自爆か?          貴様はよほど自分の力に自信がないと見える』 提督猫     『あたりめぇだクズが!          俺は最初から今まで一度たりとも自分の実力誇ったことなどないわ!          我が強さの全ては武器にあり!俺自身など、          武器防具とレベルがなければただのクズでカスでゴミなのだからな!』 ヴォルフビースト『いや……なんというか貴様、なにもそこまで卑下することは……』 提督猫     『事実は事実として受け取るべきである!          俺は運命が嫌いだが、起きた過去まで否定するつもりは毛頭無い!!          人として生まれて後悔することももちろんあったが、          逆に誇れることだってあったのだ!          そして人間である俺の、これが実力だ!          武器や防具やレベルに頼らなければ大したことなど出来ない存在!          それがヒューマン!それが中井出博光という存在!』 ───ジャンッ! 提督猫『……故にお見せしよう。我が武器、我が防具、我がレベルの強さというものを』 カァッ───
【Side───弦月彰利】 ドッガァアアアアアアアッ!!! 黒猫 『キャーーーッ!!?』 まずは……ええ、地震だったと思います。 風圧とかそんなのではなく……なにかがこの浮遊要塞にぶつかったのでしょう。 中井出の要塞防衛が上手くいってないに違いねー、と思ったものです。 え?じゃあ実際どうだったのかって? ハハ、それがおかしな話なんですがね。 執事猫『いてて……!尻餅ついた……!』 忍者猫『思うんでござるが、     そういう何気ない一言って何故わざわざ説明してしまうんでござろうな?』 執事猫『そういやそうおぉおおおおおーーーーーっ!!?』 忍者猫『ぬっ!?何事!?何事でござるか藍田殿!     もしや忍術!?何者かの忍術攻撃を受けたんでござるか!?』 白猫 『今もう敵なんて召喚獣どもくらいおぉおおーーーっ!!?』 黒猫 『ギャアもうなにさねさっきからオーーーッて!     キミはなにかね!?テリーザキッドかね!     ロビンマスクとのツープラトン前に     うっかりテリーマンとか呼ばれちゃうテリーザキッドかね!     ほらナギ子ォ!なんか言っておやりよそんなイジケてないでェエ!!』 ナギー『ヒロミツが……ヒロミツがわしを嫌ったのじゃ……』 黒猫 『口答えするんじゃないのォオ!!     アンタもうホンット人のアゲ足ばっかりとってェエエ!!』 白猫 『いや取ってないだろ』 うん、そうだね。 だとしてもさっきからなんなのかねまったく。 どかーんとかずしーんとか。 黒猫 『まったくちっちぇえちっちぇえ。     何を見てそげに驚くとキャーーーッ!!?』 サブタイ:振り向けばそこに。 な、なにこれ夢!?ドリーム!? 振り向いた先にとんでもなくデカい猫が存在していたぁあーーーーっ!!! ナ、ナルホドネ!?これ見りゃ誰でも騒ぎたくもなるよね!うん! だから僕臆病者なんかじゃないよ!? 黒猫 『ななななにあれなにあれアレレーーーッ!!?     ねぇ僕の友!?あれなに───アレェ!?キミどうして冷静なの!?』 白猫 『いや、提督が巨大化出来ることは知ってたし』 黒猫 『……僕ね、時々思うんだ。武器のお蔭とはいえ、     あんなことが出来る彼は普通に人間ですか?』 白猫 『答えづらいこと言うなよ……』 向き直れば、狼さんと同じくらいの背丈になった猫がそこに居た。 体格に見合った巨剣を手に、ゴファァアアと息を吐きつつ聳え立つ巨大猫が……! 黒猫 『ど、どうするね?』 白猫 『援護射撃しようにも砲弾がないしな……』 忍者猫『それなら下にバリスタ広場があるでござるよ?そこなら弾が無制限に……あ』 ナギー『ヒロミツが……ヒロミツがぁあ……』 忍者猫『……無制限は取り消すでござるよ。     ナギ殿がこの状態では、弾を作るのは無理そうでござる』 シード『まったく情けない限りだな。こんな無様をさらすのが然の精霊か?』 黒猫 『あ、ちなみに中井出が貴様とも話すことはないだと』 シード『なっ……《ガガァアーーーン!!!》……父上が……父上が……』 ……どっちもどっちですね、これ。 それだけ中井出が慕われてるってことかね? 黒猫 『ほいじゃあ適当に、襲い掛かるザコ召喚獣を殲滅しときますかい。     デカブツ食い止めるのは中井出に任せるとして。     ところでさっきの言葉はウソだから気にせんでえーよ?』 シード『なっ……貴様ぁああ!!』 さあ!元気にからかったところで、我らは我らに出来ることをしませう! ま、アタイにゃいろいろ飛び道具技があるから余裕じゃね。 悠介にゃあ弓があるし、丘野くんには忍術や投擲スキルが。 そして藍田くんには───!…………なにもないね、うん。 藍田くん自身もそれを理解してるのか、僕らから少し離れたところで体育座りしてるし。 ファ、ファイトだ藍田くん!肉弾戦になればキミは相当強いから!……猫じゃなけりゃあ! そんなわけだからザコ一掃作戦レッツラゴー!! …………ちなみにホギーはまだ詠唱しております。 【Side───End】
ゴォオオオオ……!! ヴォルフビースト『ばかな……巨大化……!?亜人族風情が……!?』 ギガンティック猫『グオッフォフォ……!!これは俺の力ではない……!          武器の力がそうさせたのだ……!』 さっきからこれをしたかったのにやれ自爆だの幸せ光線だの……ほんとやさしくない。 だがこれが発動したからには、リーチの差などそうそう無い! ギガンティック猫『さあ今一度言おう狼よ……臆さぬならば、かかってこい!!』 ヴォルフビースト『この我に対し、冗談でも臆するなどよく吼えた!!          いいだろう、貴様がどのような存在だろうが関係無い!          全力を以って、貴様という存在を塵としてくれよう!!』 ギガンティック猫『ふはははは!やってみるがいい!貴様の力がどれほどのものなのか、          同じ条件下で試してくれようではないか!』 声       『……や、もうなんつーかどっちが悪だか解んねぇYOコレ……』 声       『俺もそう思ってたところだよ……』 途中そんな声が聞こえたが、ならば返そう! だからいいんじゃないか!! この博光が心に誓うものは悪!正義などという甘っちょろいものではないのだ! どうせ振りかざす時に正義は正義じゃなくなるんだからさ、最初から悪ならもう最高さ。 ヴォルフビースト『ウォオオオオオオン!!!』 ギガンティック猫『ぬう!?』 ともあれ、開幕のベルは鳴った! 巨大生物VS巨大生物!結構じゃないか! これを使うのもカイザードラゴン戦ぶりだ───超巨大化にはならなかったが、 これだけでも十分なくらいにデカいから上等!! ギガンティック猫『おぉらぁっ!!』 ヂャガァッキバンガガガォオオンッ!!! ヴォルフビースト『ルォオオ!!』 迫り来る爪をジークフリードで弾き返す! もちろんただでは済ますつもりもない。 霊章輪・火を発動させたため、炎を纏ったジークフリードが爪を爆発させて弾き返した。 さらにヴォルフビーストが踏み込んだ足がヒノカグツチの火円に触れたために爆発。 ヴォルフビーストは驚愕を孕んだ表情のままにバックステップし、俺と距離を取った。 ヴォルフビースト『貴様……!!姑息な手段を』 ギガンティック猫『死ねぇえーーーーーっ!!!』 ヴォルフビースト『なに!?おい待てまだ我が《ザガガバォンッ!!》グオォオッ!!』 取られた距離を烈風脚で一気に詰めての不意打ち攻撃! なんという愚かさ! 真剣勝負の中では姑息も不意打ちも正当化されるのだ! ヴォルフビースト『貴様ァアアッ!!』 ギガンティック猫『油断するほうが悪いのよ……グオッフォッフォ……!!』 声       『ああ間違い無いな……提督が悪だ』 声       『確認するまでもねぇデショ』 耳に届く声が僕の心を突き刺します。 だが今さら気にしたところで埒も無し。 俺は俺の道を進むだけさ!こんなところで挫けるわけにはいかないのだ! ヴォルフビースト『……いいだろう……!もはや貴様は僅かにも油断出来ぬ存在……!          今この時より貴様から目を離さず油断もせぬと』 ギガンティック猫『死ねぇええーーーーっ!!!』 ヴォルフビースト『なっ……ま、待てぇえーーーーーーっ!!!』 学習能力があまりないらしい狼くんに再び不意打ちレッツゴー!! しかし言うだけはあって、さっきよりも素早い反応を見せると、 狼くんは我が一撃をバックステップで避け、 ギガンティック猫『“1”!!《ドゴォオンッ!!》』 ヴォルフビースト『なに《ゾブシャアッ!バガガガォオンッ!!》グオォオオオッ!!!』 再び烈風脚で距離を詰められ、振り切る前のジークフリードの餌食となった。 だが知れ、狼よ。 俺の不意打ち攻撃は一撃だけではそう終わらないんだ。 ヴォルフビースト『がはっ……!まさか《ガシィッ!》がっ!?』 ギガンティック猫『トルネードフィッシャーマンズスープレックス!!』 ヴォルフビースト『ぬぁああーーーーっ!!?』 怯んだヴォルフビーストを強引に引っ掴み、 大地を蹴って回転フィーッシャーマンズスープレックス!! ヴォルフビーストにしてみれば全くの謎の行動に、 完全に反応が出来ずにドゴォオオオンッ!! ヴォルフビースト『ぐはぁああっ!!』 ヴォルフビーストは今までの大戦でデコボコになった大地へとその身を落とした。 ───のだが。 ゾギィンッ!! ギガンティック猫『ギッ……!?《ズ……ブシャアッ!!》』 密着する、という行為がそもそも危険だったのかもしれない。 気づけば俺の喉からは血が流れ、即座に離れて見てみれば……ヴォルフビーストの爪には、 俺の血であろう液体が付着していた。 ヴォルフビースト『甞めるなよ亜人族風情が……!!          宣言しよう……!貴様は無惨という言葉が霞むくらい、          全力を以ってボロボロに刻み殺してやる……!!』 ギガンティック猫『……、───』 喉が潰されて喋れなかった───が、それもすぐに癒えた。 けど危ないのは事実だ。 あいつの爪、異様なまでに切れ味が良すぎる。 ヘタに切られようものなら、頭が胴体から離れてしまうだろう。 ギガンティック猫『グ、グウウ!』 情けない話だが、また震えやがる足がヤケにむかつく。 こんなことで毎回震えてちゃあこれから先やっていけないってのに……! そりゃ死ぬのは怖いさ、痛いのだって当然怖い。 だが戦いに身を投じるってのは───そういうのを我慢するってことだ!! ギガンティック猫『スゥッ───“1”!!《バガァッ!!》』 戦法など知らん! どうせ恐怖で思考が纏まらないなら突撃あるのみソギィッシャアン!! ギガンティック猫『え───《ブシャァアッ!!》───いっ……がぁあああっ!!!』 声       『……その技は飽いたわ。ようは高速移動だろう?          軌道までが変わるわけでもなし、貴様のような直進馬鹿が相手ならば、          ニ、三度目にすれば見切ることなど容易い』 目が……!くそ!目が潰された! しかもなんて嫌なヤツ……!! やろうと思えば眼球ごと頭を貫くことだって出来た筈だろうに……!! 声       『さあ来てみろ。戦うのだろう?          先ほどのまでの威勢を今見せてみるがいい!』 ギガンティック猫『グウウ……ムムウ……!!』 思わず肉チックに唸ってしまったが、実際はちとヤバすぎる。 目が見えないお蔭で心眼テオハート効果でパワーアップしてたりするが、 敵が見えないんじゃあ意味がザコォッ!! ギガンティック猫『いぎっ───!?』 ザコッ!ザフィィンッ!! ギガンティック猫『ぐあっ!がっ!ぐ───!!』 声       『ははははは!どうしたどうした!          我をなんとかするのではなかったのか!?』 体が刻まれる、刻まれる、刻まれる……!! 痛みを追うように剣を振るうが、当たることもなく空を裂くだけ。 目の治療は時間がかかるのか、 妖精の治癒を以ってしてもそう簡単には目は治ってはくれなかった。 やばい……これじゃあ───!! ギガンティック猫『くそっ!このっ!』 闇雲に剣を振るう!が───やはり手応えなどなにもない! それどころか、下手をすれば要塞を斬ってしまうんじゃないかっていう気持ちが、 矢鱈と動くことを抑制してくる。 そうしている間にも体は刻まれ、無駄にHPばかりが削られてゆく。 どうすりゃいい!このままではこのクズに要塞が破壊されてしまう! いやむしろ彰利を差し出せば全て丸く治まるんだろうが、 彰利がそんなの承知するわけもなし! ならば───ならばならば───!!……………………あ。 ギガンティック猫『───…………』 思いついた、というより思い出したことがあった。 そうだ。 戦いが始まる前のことをすぐに思い出せばよかった。 俺は独りで戦ってるわけじゃない。 だったら、目が見えない代わりに目になってくれるものさえあれば───  ザブシャアッ! ギガンティック猫『───』 体が再び斬られた。 当然痛かったが、心を無理矢理落ち着かせる方向へ持ってゆく。 脱力だ。 力を抜いて、剣の望みを受け取れ。 今だけは“力”じゃなく“理”を手に入れろ。 理がなんなのかなんて、考えたところで解りゃあしない。 小難しいことなんてさっぱりだ。 だから、せめて武器の意志だけ受け取ろう。 やっぱり頭が痛むが、そんなのは仕方のないことなんだと諦めろ。 ギガンティック猫(───…………) …………ようやく、力が抜ける。 途端に一撃をくらったが、それでもただただ力を抜く。 ───するとどうだろう。 力任せに武器を握っていた時とは違う、確かな“動き”が俺の手の中に存在していた。 それが剣の意志だというのなら、 俺はただ───剣が動きたい方向へと軽い力を貸してあげるだけだ。  ヒュフォガギィンッ! 声  『グッ───!?……フン、まぐれに救われたか』 まぐれ……だろうか。 剣が動きたいと願った方向に力を貸しただけで、ソレは確かになにかを弾いた。 けど……いくら感じ取ろうとしようと、自分の家族の暖かさはもう感じられない。 そこにあるのはジークフリードっていう武器の意志だけだ。 ……だとしても、なにを悲しむことがあるだろう。 俺の家族はとうの昔に死んでいる。 彼ら彼女らにもう一度会えて、 力を貸してくれることに頷いてもらえただけでも十分だった。 だったらあとは───俺がどれだけこの武器を扱いきれるか……いや、 どれだけ一緒にこの世界を楽しんでいられるかだ。 俺達ゃ対等!どっちも互いがなけりゃあ力を発揮できないんだからそれでいいじゃねぇか!  バガァンヂガァンガギィンゴギィンギギィンッ!! 声  『なにっ!?馬鹿な!攻撃全てを弾いているだと!?』 理がどんなものなのかなんて、そんな世界を知らない俺には解りっこない。 だが、武器を大切に思い、 ともにこの乱世を生き延びたいと思う気持ちでは誰にも負けられん!! OKだジークフリード!貴様の意思、確かにこの博光が受け取った! 力を俺が、技術を貴様が補うことで、俺達はようやく半人前へと進み行く! 一人前になるにはまだまだ覚悟も技量も強さも足らん我らだが、 まあそこはアレだようん、 これからがむしゃらに突き進んでいけばいつか足りる僕らになるさ! 修行するつもりなど一切無し!! 武器の強さと防具の強さ、そしてレベル!それが全てだR・P・G!! 声  『貴様!まさか既に見えているのか!?』 見えちゃおらん! ただ剣が向かいたい方向へと剣を振るっているのみ! “戦い方”なぞ知らん!振り方なぞ剣が教えてくれる! なるほど、そういやこんな状況を昔、なにかの漫画で見た気がする。 なんつったか……バガボンド、だったか? だが思い出せ、剣よ……静かに弾くだけの振り方で満足するにはこの博光……若すぎる!! ギガンティック猫『ふぅうううううぉおおおおおおおっ!!!!』 目が見えなくとも構わん! 地面を蹴り弾き、剣が望むままの方向へと烈風脚!! 声  『なにっ───!?』 バカの一つ覚えと言いたきゃ言え! だが俺はせっかくのスキルをなるべく無駄になどしたくないのだ! ───なぁんて思っていた時だった。 声  『元素の精霊よ、我にさらなる加護を与えたまえ……“マクスウェル”!!』 こんな言葉が耳に届いたのは。 ギガンティック猫『え!?いやちょ───《パチッ》あ……見える!全てが見えるわ!!』 そしてそんな時に目が癒えた!! で、こんな僕が見たものが─── 俺とヴォルフビーストとの間の虚空に召喚されたマクスウェルと、 そこに溜まってゆく物凄い量の魔力だった。 ああ……!嫌な予感がするのに烈風脚実行中の所為で動けない……!! 慌てて要塞に向けてやめてぇええと叫ぶが、おのれあの野郎聞いちゃいねぇ!! って、え!?あ、あの?なんか景色が歪んできたんですけど!? 魔術猫『我らが呼びかけに応えよ───開け、時空の扉!!』 ジュワァンッ!! ギガンティック猫『あづっ!ヒィッ!?景色が───』 景色がさらに変化して、まるで天地開闢を逆戻ししているような世界に誘われる! これって─── 魔術猫『塵も残さず虚空へ消えろ!《ギキィンッ!》“デュアル・ザ・サン”!!』 ゴコッ……ゴゴォオオゴゴズガガガガガォオオンッ!!!! ヴォルフビースト『ギギャアアアアアアアアッ!!!』 ギガンティック猫『ギャアーーーーーーーッ!!!』 太陽と太陽が衝突したような熱と衝撃! こりゃたまらん───って!ちょ……待って待ってぇえええっ!! 巻き込んでる!俺も巻き込んでるよちょっとぉおおっ!! 魔術猫『まだだ!《ギキィンッ!!》“アクエリアス・スフィアァッ”!!』 ヒィ!今度は氷ゾンガガガガガガゾブシャシャシャァアッ!!! ヴォルフビースト『ガッ!グッ!あ、有り得ぬ……!我が氷に撃ち負ける……!?』 ギガンティック猫『あ、有り得ぬ!なんで俺まで巻き込まれてギャアーーーーーーッ!!』 氷の槍の雨が幾重にも降り注ぐ! しかも当たった先から氷結して身動きが取れねぇ!! 魔術猫『続けてくらえ!《ギキィンッ!》“エタニティ・スウォーム”!!』 あ……また景色が歪んでゾガガガガガガガガガォオンッ!!! ヴォルフビースト『ゲッ!ガッ!グガッ!ガァアアッ!!』 ギガンティック猫『ギャアアアアア!!身体デケェから無駄にヒットしてギャアアア!!』 た、助けてぇえええ!! 黒く歪んだ景色から形の無い黒い波動がドゴドゴとォオオオオッ!!! 魔術猫『まだまだいくぞ!《ギキィンッ!》“プリズミックスターズ”!!』 ヒ、ヒィ!もう勘弁して! 俺もうHP1なのに! し、死ねない!HPが1でもダメージくらい続けるなんてどんな地獄ですかここ!! とかなんとかいってる間に景色が変わって、 今度は宇宙空間に投げ出されたと思いきや、 小さな星が俺とヴォルフビースト目掛けて飛翔!! ドガドガと容赦無用に我らを打ちつけ、輝き続ける! ちょ、ちょっと待て!地味なのに滅茶苦茶痛い!なのに死ねない! 魔術猫『さらに!《ギキィンッ!》“ブライティスト・ゲート”!!』 ギキャァアアンッ!! ……ォ……ォオオオオヂガガガガガガァアアンッ!!!! ヴォルフビースト『グギャァアアォオオァアアアアッ!!!』 ギガンティック猫『ガァアアアアアアッ!!!!』 がっ……!ギ、……、ちょ、っと待て……!! この、光の衝撃波……!身が千切れるくらいに……!痛ッ…………!! 魔術猫『まだ終わりじゃないぞ!《ギキィンッ!》“エクスプロージョン・ノヴァ”!!』 ───!このパターン……思い出した! ギガンティック猫『はーーーーーーっ!!』 ババーーーッ!! 魔術猫『なにっ!?』 古代魔術が発動する前にフロート全開で跳躍!! 次の瞬間、大地さえ焼き尽くす地獄の業火がヴォルフビーストを襲う!! つーかホギー!キミが驚くなよ!僕ただ危険から逃げただけだよ!? な、仲間だよ!?仲間だよねぇ僕!!なんでそこで驚くの!? 魔術猫『トドメにかかるぞ!《ギキィン!》“マクスウェル・ロアー”!!』 ゴコォッ───ズゴゴゴゴゴゴゴガガガガガガガォオンッ!!!! ───ぬおお!?も、物凄い吸引力が虚空に!?ありゃあブラックホールか!? しかもそこ目掛けて巨大隕石が落ちていって───ああああ……!! 先に吸い込まれて磔状態だったヴォルフビーストに直撃しまくってる……! よかった……!ほんと逃げられてよかった……!! 魔術猫『消えろ!!《ギキィン!》“ディメンショナルマテリアル“!!』 ヂガァンッ!! ゴコッ……ゴ、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴガガガガガガガッ─── ゾゴォオフィギガガガガガガォオオオンッ!!! ───フィィイイ…………ィィ……ン…… ギガンティック猫『…………』 ……正直、震えました。 だって、ね、散々弱らせられたヴォルフビーストがさ、 トドメとして虚空ごと捻り切られて消滅したんだわ。 そこには塵も残らないで、文字通り虚空ごと抹消されたっていうか……。 まるで幻想水滸伝のソウルイーターの能力の一つ、“冥府”みたいだった。 ギガンティック猫『いや……ほんと……逃げられてよか《シュボンッ!》オワッ!?』 …………おお!? 巨大化が解けた!? 魔術猫『お粗末様。《ギキィンッ!》“ブルーアース”!!』 提督猫『ヒィ!?まだ残って───って、なんだアレか』 ギキィイイイイイイインッ───……キシャァッフィィンッ!! 時空の捻れが、最後に新緑溢るる自然の世界を映し出す。 それとともに、この場に居る亜人族全員のHPTP全てが回復した。 それで終わりだ。 恐らくはどっかで憶えた古代魔法だったんだろうソレは終了し、 それとともに───空中から見える景色の中で、ホギーがドシャアと倒れていた。 魔力行使で限界突破しすぎたんだろう、無理もない。 ……って、そういやマクスウェルも居ないな。 ───まあよし!うむよし!!ともかく終わったんだからこれで良し!! 提督猫『よぅしヒヨッ子どもぉおっ!!宴の準備をしろぉおおおおっ!!』 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 獲物を取られたみたいでヘンテコな心境だったが、 べつに俺だけの敵じゃあなかったから良し! むしろ惜しいと思うのは武器の性能を全て掴み取る前に戦いが終わったことだけだし。 それよりも今は、守り抜いたという真実のみをみんなで喜びあおう! ちらほら居たモンスターどもも逃げたみたいだし、飛翔召喚獣も始末されたみたいだ。 ならば───さあ!今こそ祭りの始まりだぁーーーーっ!! 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