───冒険の書194/一息つきましょう───
【ケース510:中井出博光/ゾディアック馬鹿ども】 ザワザワザワザワ…………チ、チチチ……ケクククク……。 森が風に揺れる音、鳥が小さく鳴く音が耳に届く。 見上げる木々が要塞に生える木々と一体化し、それ自体が森にも見える。 中井出「ふぅ……」 彰衛門の機転で要塞ごと無理矢理猫の里へと転移してきた俺達。 とある事情で一度立ち寄ったことがあるとかで、こうして転移は成功したわけだ。 けど、猫ども全員が、 ここで彰衛門のことを見た覚えなんてないって言ったのはどうしてだろう。 ……ま、いいか。ともあれいろいろあって、 今は生い茂る木々に自然要塞を溶け込ませ、誰にも見つからないようにしている。 一度浮いたら浮いたままのかっていう心配も案外あっさり解決し、 今では地面に降りてる要塞を見上げては、小さく溜め息を吐いていた。 と、そんな時─── 声  「困ったもんだぁねほんと。ありゃ勝てねぇよ」 木漏れ日が差す木々を見上げる俺へ、溜め息混じりにかけられる声。 振り向くと、そこに彰衛門が居た。 中井出「お……彰衛門か。篠瀬さんは?」 彰衛門「ジークンに連れてこられて、今まだ気絶中。     今はロイド族長とダルトロス老が直々に精神疲労に効く薬作ってくれとるよ。     よっぽど恐ろしい目に遭ったんでしょうなぁ……」 中井出「そりゃ、目ェあわせるだけでも怖いし、しょうがないだろ」 彰衛門「ふむん……俺ゃ案外キミは結構ネバると思ったんだけどね」 はふ、と欠伸めいた溜め息を吐きながらの言葉。 そうは言うが、武器の能力を封じられた俺に、いったいなにをしろというのだ。 彰衛門「能力封じられたとか言ってたっけ?どげな感じなん?」 中井出「容赦ねぇなお前……もうちょっと遠慮して訊くとか出来ないのかよ……」 彰衛門「お?やっぱ流石に落ち込んでる?」 それは当然だ、訊かれるまでもなく答えるまでもないくらいに。 俺は今まで武器に全霊を込めてここまで来たんだ。 その武器の能力が封じられる……なんてことが起きれば辛く悲しいのは当然だろう。 中井出「はぁ……武器の固有能力とかスキルとか、ぜ〜んぶ封印状態だ。     フルスイングとか、能力っぽくないものは残ってるんだけどさ……     あとは……ああもういいや、ほれ見てみろ」 彰衛門「ぬ?おやええのん?」 彰衛門にホイッとジークフリードを見せる。 彰衛門はそれに対し“調べる”を発動。 武器の詳細をじっくりと眺め始めた。  ◆稀紅蒼剣ジークフリード+2761  デスゲイズの呪いによって、かつてアイルー種とドワーフ種に鍛えられた際、  進化する前に鍛えた数値まで弱体化した。  進化してからは持ち主と同じ強さを発揮する剣となったが、  その能力も呪いによって封印されてしまった、  意志の量、想いの力を糧にする“絆の剣”。  弱体化が激しいが、過去に合成した武器が取り出せるギミックが存在し、  取り出した武器は呪われていないため、自由に利用出来る。  *:固有能力/エジェクションギミック  ◆技術スキル  フルスイング   :★★★★★☆/両手持ちで全力で振り切ると攻撃力UP  両手持ち     :★★★★★☆/武器を両手で持つと攻撃力2倍  邪竜の血液    :★★★★★☆/全ての生き物の言葉を理解できる  ラグランジュ神速剣:★★★★★☆/基本攻撃速度が上昇  パンドラポット  :★★★★★☆/なにが起こるか解らない博打能力  麦茶       :★★★★★☆/麦茶の真の味と美味しい作り方が解る  ディザスター   :☆     /能力制限 TP消費が5倍  人器-ジンギ-   :★☆    /感情の変化などで能力が上昇 種族:人間のみ  ◆ジョブアビリティ  マグニファイ  :武器に秘められた能力を引き出せる 10分に一度  ハイパーアーマー:攻撃を受けても怯まない 効果時間30秒 再チャージ1分  ◆マグニファイ/呪われたジークフリード  ニンフの祝福      :自然の加護。呪われた状態で使用出来る能力のひとつ。               戦闘中にHP、TPが自動で少しずつ回復。  オールエジェクトギミック:過去に合成した武器全てを解除する。               刃のガトリングカノンとして射出可能。               個々の武器とジークフリードが器詠の理力で繋がっており、               何処かへ飛んでいってしまう、ということはない。               特に意志が宿る武器は特種で、               触れなくても固有能力発動が可能なものもある。  ◆潜在能力  器詠の理力:バストラルフォース。もの言わぬ物などの意志を受け取る力。        きえいのりりょくという名であり、        武器だろうが草花だろうが意志を受け取ることが出来る。        ただし普通は受け取ることの出来ないものを受け取るため、        脳を酷使し、長時間の使用は命に関わる。 …………。 中井出「とまあ……そんな感じだ」 彰衛門「おほう……以前のがどういうもんだったかは知らんけど、     こりゃまた随分と……。キミって確かいろんな武器融合させとったよね?     なのに技術スキルがこれだけって……」 中井出「ああ……ひでぇ有様だろ?     ノーマルキャリバーまで撃てないなんてあんまりだ……」 彰衛門「ウヒョオ、戦士ジョブとは思えねぇ状況だねぇ。     キミ、そんな状態で守護竜討伐できんの?」 中井出「出来る出来ねぇじゃねぇ……やるんだよ。     じゃなきゃ俺はいつまで経ってもこの能力にこそ怯えることに……!」 彰衛門「ムヒョ?なにそれ」 中井出「試練と呪いと狂いし者の重圧を背負ってみりゃ、いつかキミにも解るよ」 我が属性、元素の宝玉は本当に素晴らしいものさ。 でも守護竜を倒し、戒めの宝玉を解放する度に力が封印されて、 こっちもいっぱいいっぱいなんだよ。 封印っていうか、力が溢れすぎて満足に操れないって設定らしいけどさ。 使おうと思えば使えるらしいけど、 末路は自爆でしょうとか書かれてわざわざ使う馬鹿はいないだろ。 誰かを道連れにするならまだしも。 しかも解放するごとに狂いし者が力を付けていくってんだから、 こっちとしてはさっさと戒めの宝玉を解放しまくって、 能力を安定させたいと思うのは当然さ。 封印のお蔭で背中が弱点ってのがなくなってくれたのは素直に嬉しいけど。 中井出(それはそれとして、えーっと……) 属性は確か、地、水、火、風、雷、氷、光、闇、元、然、時、死、無、創だったな。 で、その数だけ守護竜は居て……俺の宝玉は元素だから、 地、水、火、風、雷、氷、光、闇、元の守護竜を倒す必要があるわけだ。 然はナギーの能力向上のために戦ったし。 だから時、死、無、創は……なぁ? あぁでも属性解放しないとジュノーンが強いままなんだっけか……。 くそう、ゲームってどこまでも辛いところが絶対にひとつは存在するよなぁ……。 まあその、どうせあれだ、このまま順当に戒め解放できたとして、 元の属性解放した時点で俺、狂いし者に身体乗っ取られるんだろうね。 しかもその時既に他の守護竜倒してあったとしたら、問答無用でサウザンドドラゴン復活。 そんな時に俺は暴走モード全開……うわぁ救いがない。 ……いやどっちみち地から数えて元まで倒して、 戒めの宝玉破壊した時点で俺の暴走確定なんだけどね。 狂いし者が暴れずに落ち着いててくれるってんなら話は別なんだが……無理だろ、それ。 そんな苦労が待ってるってのに試練だの呪いだのって……。 これ、絶対イドの企みだよな……あの精霊、なんでか俺で遊ぶ傾向があるみたいだし。 や、ここでこうして溜め息ばっか吐いてても仕方ないな。 けど、やっぱり“はぁ”と漏れる溜め息に苦笑しながら、 彰衛門を促して森の奥へと歩き出した。 これからのこと、ちょっとだけでも纏めよう。 ───……。 ……。 中井出「えーーー!ちゅーーーわけなんでーー!!     これからも俺は努力と根性と発達し始めた腹筋を以って、     守護竜討伐を続けたいと思いますーーっ!」 藍田 「提督……いいヤツだったな……」 丘野 「女房思いのいいヤツだった……」 中井出「宣言開始1秒で死亡確定かよ!」 猫の里の森の端っこにある宿屋。 そこで俺達は猫茶(猫の里にのみ生える茶葉使用)を飲みつつ、 これからのことを話していた。 といってもこの場に居るのは俺と藍田と丘野だけで、他のやつら……晦や彰衛門、 ルナさんに篠瀬さんに悠黄奈さんにホギー、ナギーやシードは要塞に戻ってる。 ダルトロス老や長老猫、レアズ将軍たちと話したいことがあるんだそうだ。 藍田 「いや、理想を高くってのはいいことだけどさ。そんな状態で守護竜討伐って……」 中井出「やらなきゃ力戻んないんだからしょうがないでしょおーーーっ!!?     試練だって呪いだっていつ解けるか解らないんだからぁあーーーっ!!     神父に話したら“解呪など出来るわけないだろう、     頭が温いのか貴様は”って鼻で笑われたんだぞ鼻で!!     スマイルだよスマァアイル!!しかもただのスマイルじゃなくノーズスマイル!     これが悔しくないヤツなんて居るわけねぇだろオィイ!!」 丘野 「そりゃドラクエじゃねーんでござるから、     神父が解呪など出来るわけねーでござるよ」 中井出「そんな現実的なファンタジーなんて僕嫌いだ!!     詳しく言えば神に仕える身でありながら、     呪われてる可哀相な勇者さまご一行から莫大なお布施強奪する神父も嫌いだ!     困ってるからって足元見やがって!     あんなヤツは神は神でも荒神に仕えてやがるんだそうだそうに違いねー!!     その名も───ダイオキ神!もしくはカプサイ神かインドメタ神」 既に神じゃなかった。 中井出「ところでさ、神父って神の父って書くだろ?あれってヘンだと思わないか?     神に仕えるのに父なんだぞ?あれ?じゃあ母って誰?神母……しんぼ?」 丘野 「シスターでは?」 中井出「ばか、そりゃ外国表記だろが。俺は日本人としてジャパンチックに解説をだな」 藍田 「修道女……だっけか?確かシスターってそんな感じだぞ」 中井出「おおなるほど。     まっはぱんちを使って“うおシャアア”とか言って扉を拳で破壊するんだな?」 藍田 「それ、何処のあるてまんがだよ。     まあほら、アレだよ。脱線もほどほどにして話戻そう」 中井出「ぬ」 確かに。 ここで脱線しすぎるとほんと収集つかなくなるのが我らだし。 中井出「とにかく。これからも守護竜討伐を確実なものにしていくためにも、     仲間が必要だと俺は思ったんだ」 藍田 「仲間?……例えば?」 中井出「うむ。俺、藍田、丘野は当然として、あと四人集めて軍団を立ち上げるんだ」 丘野 「七人って……随分と半端な───ハッ!?     し……七人!?ま、まさか……!まさか提督殿!」 藍田 「七人……そ、そうか!その手があったか!四天王でも八卦衆でもない軍団!     恐らく誰の記憶にも残っていないであろうあの素晴らしすぎる名前……!」 中井出「そう!四人集めて名乗ろうじゃないか!“素晴らしき7人”を!!」 素晴らしき7人……なんという素晴らしき名前だ……! まるで素晴らしくなるべく誕生した素晴らしき7人のための素晴らしき名前のようだ……! 藍田 「お、俺も入ってるんだよな!?な!?」 丘野 「当然拙者もでござるな!?」 中井出「さっき俺、藍田、丘野は当然と言ったが……」 藍田 「OK!俺、素晴らしき1人!」 丘野 「そして拙者も素晴らしき1人!」 藍田 「あと四人だよな!?よ、よし!夏子と綾瀬と殊戸瀬を───」 そそくさとナビのtell項目をいじくる藍田二等───って! 中井出「待てヒヨッ子!貴様……よもや妻だからという安易な理由で、     その三人を素晴らしき7人に勧誘しようというのではあるまいな!!」 藍田 「ぐっ……し、しかしサー!最近めっきり夫婦間のその……     コミュニケーションといいますか、そういったものが不足しておりまして!」 中井出「よし、じゃあ藍田は素晴らしき7人から除名、と。     丘野二等、あと五人、誰か知らんか?」 丘野 「そうでござるな───」 藍田 「待ったちょっと待ったぁああああっ!!解った解りましたサー!私情は捨てます!     捨てますから俺を素晴らしい者のままにさせておいてください!     俺クレセントノイズ好きなんだよ!     特にボス集団なのに“素晴らしき7人”っていうあまりに平凡な名前のアレが!     だから頼む!いえ頼みますサー!俺を!俺をどうか素晴らしき7人に!!」 中井出「ぬう……貴様がそこまで素晴らしき7人に焦がれていたとは……!     うむ!ならばともにあと四人を考えようではないか藍田二等!     必要なのは守護竜にも立ち向かえる度胸と根性!そして少しの実力!!」 丘野 「実力は後回しでござるか」 藍田 「いや、早速だけどそれは重要だ。デスゲイズと戦ったんだから解るだろ?     守護竜戦で最も重要なのは実力じゃない。向かい合う度胸だ。     俺もフリーズドラゴン戦はビビリっぱなしだったからなぁ……ありゃ震えるわ」 その割には結構やんちゃしてたと思うが。 でも、そうだ。 守護竜戦は強いとか弱いとかは案外気にしないでいい。 問題なのはあのバカ強い竜族相手に立ち向かえるかどうかなんだ。 だって、立ち向かえなかったら強くても意味がない。 だったら弱くても立ち向かえるほうがまだいい。 と、話を戻そうか。 中井出「それで、これより我ら素晴らしき3人の同胞に加える人物だが……」 藍田 「やっぱ出来れば普通じゃないヤツがいいよな」 丘野 「そうでござるな。……おお、ならば田辺あたりはどうでござるか?     彼奴め、妖魔に覚醒してからはなかなかステキでござる」 藍田 「あ、そか。提督、田辺はどうだ?中々素晴らしいと思うんだが」 中井出「田辺か……よし、じゃあ適当に候補挙げてそこから絞り込んでみるか」 丘野 「そうでござるな。とりあえず拙者の中でナンバーワンは田辺殿でござるが」 藍田 「俺も同感。……じゃ、適当に……晦とかあっち方面はやめとこうな」 中井出「賛成。出来ればそう戦闘に慣れてないヤツがいいな」 藍田 「俺達みたいなゴリ押しファイターが理想ですな」 中井出「ふぅむ……」 戦い慣れしてなくて素晴らしいヤツ……誰だろう。 田辺は確かにいいと思う。もう田辺は確定でいいだろう。 あとは…… 丘野 「小僧めらからも捻出してみるでござるか?」 藍田 「つーかナギ助と種坊主はどうする?」 中井出「戦わないから却下……って言いたいところだけど、いいか。     そうしなきゃずっとうるさそうだし」 藍田 「同感……。んじゃこれで5人か。田辺入れると6人だから……あと一人」 丘野 「悠黄奈殿……はダメでござるな。     空界時代の晦殿の能力を思い切り引き継いでいるでござる。     となるとやっぱり小僧めらからでござるかね」 中井出「いっそ閏璃でも……収集つかなくなるな、うん」 藍田 「ほんと、あいつって原中向きだと思うのにな。絶対行く中学間違えたぞ、あいつ」 中井出「じゃ、次……小僧めらからの捻出で……柾樹……は、ダメだな」 藍田 「今ならもれなくお姉さんと恋人と後輩さんが付属されそうだしなぁ。     あれってほんと感情のコントロールされたのか?     恋愛感情が悠季美嬢に移されたって聞いたけど、     紗弥香嬢は変わらず柾樹の世話したがるし、     深冬ちゃんはなんだかんだで後ろついてってるし」 丘野 「それは“役所”というものでござるよ。つまり二人とも、     恋愛感情抜きにしても柾樹の世話をするのは好きだし、     過去に助けられたって記憶があるなら傍に居ると安心するのは当然。     と、拙者は思うわけでござるよ」 なるほど。よ〜するに恋愛感情が無くなろうが、 そこは姉にでも妹にでもなった気分で真っ直ぐゴーなわけか。 丘野 「それにしても……ふぅむ、決まらんでござるなぁ」 藍田 「誰かパパッと捻出できないのか提督」 中井出「グムー」 そうは言うがはうあ! 中井出「…………解決した!」 藍田 「なにぃ!?いきなり!?」 丘野 「そ、それで誰!?誰なんでござるか!?」 中井出「誰ではなかったのだ丘野二等!そしていきなりでもなかったのだ藍田二等!     考えてもみるのだ!我らは原中!名前が素晴らしき7人だからと、     なにもその通りに決めようとする必要などなかった!」 藍田 「───ハッ!そ、そうだ!だというのに我らはやれ7人やれ7人と……!」 丘野 「め、目から鱗でござるな!しかも上鱗でござる!“丘野の目の上鱗”でござる!     上鱗上鱗ジョリ〜〜ンジョリ〜〜〜ンジョリーーーン!!!」 藍田 「なにぃだったら俺は逆鱗だ!目から逆鱗落としてやる!」 中井出「あーそこ、あまり無茶なこと言わんように」 藍田 「モノブロスだって心臓何個もあるんだから大丈夫!     落し物でモノブロスハート落として、     剥ぎ取りでもモノブロスハート二回取れたし!きっと三個以上あるんだぜ心臓!」 そりゃそうだろう。 なにせ、骨になっても心臓が残ってるくらいだし。 ダイミョウザザミの背中のヤドを破壊すると、 時折モノブロスハートが手に入ることがあるのはあまりに有名だ。 どういう心臓なんだろうなぁ。 中井出「じゃ、あれだ。とりあえず俺と藍田と丘野と───田辺と岡田と清水。     あと一人は適当に決めるとして、それで素晴らしき7人としよう」 藍田 「結局7人にするんでありますか!サー!」 中井出「うむ!意外性に走るのもいいかと思ったが、     なにかの真似をするなら半端が無いほうがいいと思った故である!」 丘野 「しかし何故に岡田と清水を?」 中井出「ああほら、あいつら田辺と仲いいだろ?それに特種武器とか持ってたし。     マスカレイドとカムシーンだっけか。     だからさ、どうせならそういった……なんつーんだ?     セントールの宝物庫を利用した者たち(男限定)でパーティーを組もうかなと」 藍田 「なるほど。女っ気がまるでないパーティーってのも雄々しくていいよな。     じゃあ藤堂なんてどうだ?あいつ、ハンマーに目覚めてからいろいろあってさ。     殊戸瀬が宝物庫で貰った“うちでのこづち”を愛用のハンマーに合成させて以来、     結構面白いことになってるんだ」 中井出「ハンマーか。今使ってる武器の名前ってなんなんだ?」 丘野 「大槌小槌。D.Gray-manでラビが使ってる対アクマ用武器のアレ」 あ、ああ……なるほど、うちでのこづち効果か。 そういやラビのハンマーも大きくなったりするしな……つーかうちでのこづちって、 対象を大きくしたり小さくしたりするんじゃなかったっけ? ……まあいいか。 中井出「ふむ。じゃあそれで7人か」 藍田 「ナギ助とかはどうすんだ?文句言いそうだけど」 中井出「差別するのは好きじゃないが、さすがに精霊ともなるとな……。     俺達以外からしてみりゃ高位精霊で、それだけで素晴らしいだろ?」 丘野 「それはいかんでござるな。     最初から素晴らしいのだったら、素晴らしき7人に入る必要など皆無でござる」 中井出「その通り。素晴らしき7人は素晴らしくありたいと思う者が入るべき場所。     丘野の言う通り、最初から素晴らしいのであれば意味がない」 故に高位精霊であるナギー、魔王の子であるシードは除名。 晦や彰利なんかも皇竜王だったり死神王だったりするからダメ。 ともかく平凡っぽいヤツが素晴らしいと虚勢を張るのがステキなんだ。 中井出「では正式メンバーを声にして発表しよう。素晴らしき7人……     1、藍田亮。2、丘野眞人、3、田辺一郎、4、中井出博光、5、清水国明、     6、岡田省吾、7、藤堂和巳……以上の七名を素晴らしき7人とする」 藍田 「おお!?お、おお俺ファースト!?いいの!?マジで!?     ……つーか提督なんで4なんだ?」 中井出「俺は4が大好きなんだ」 藍田 「そ、そか」 よく死だとか縁起が悪いとか言われてるが、俺は4が好きである。 サンマンが3をこよなく愛すように、俺は4を愛してる!大好きだ!死ね! いや、死ねは関係ないんだが。 中井出「というわけで───tell、田辺一郎……と」 ナルルルル……ブツッ。 声  『ほいほいどちらさん?』 中井出「俺だぁ!瀬戸内だぁ!」 声  『そ、その声は───瀬戸内ジャクソン!?』 中井出「と見せかけて中井出博光である。まあ見せかける以前に見えないんだが」 声  『おお提督か。どした?急に』 意味不明な電話を受けても調子を崩さず話してくる田辺……さすがである。 中井出「ついさっき、俺と藍田と丘野とでチームを結成したんだが。     そのチームが完成するにはあと四人必要なんだ。     だから貴様と岡田と清水と藤堂を勧誘したい」 声  『え?なんだそりゃ、ずいぶんいきなりだな……。     俺達今、提督を海の守護竜と戦わせるべく船作ってんだけど───』 中井出「ちなみにチーム名は“素晴らしき7人”で、藍田はともかく喜んで」 声  『OK!俺、素晴らしい!お、岡田ー!岡田!清水!藤堂ー!!     貴様ら素晴らしい!だから今すぐ俺と夢を見よう!え?白昼堂々寝ボケんな?     フ……そう言ってられんのも今の内だぜ?』 声  『うるせータコ!寝ボケてんじゃねー!!白昼堂々寝ボケんな!』 声  『寝ボケてる暇あったら手ェ動かせタコ!白昼堂々寝ボケんな!』 声  『今の内だけにしとけよ頼むから!そ、それより清水、───あれ?岡田は?』 声  『さっき食った天狗米で腹壊したらしい』 声  『ああ……あの大吟醸の酒っぽい名前の米ね……』 声  『しかもあれ、熱してから口にするとジュニアが腫れるおまけ付きらしい』 声  『うあ、マジか……?人には言えない悲しい傷跡ってやつだな』 いや……筒抜けだからさ。 ていうかジュニアが腫れるような食べ物設定するなよ精霊さんたち……。 そんなファンタジー、僕嫌いだよ。 声  『ってジュニアの話はどうでもいいんだよ!     喜べ清水に藤堂!なんと俺達、提督の勧誘で素晴らしき7人に選ばれた!』 声  『なっ……なんだってぇーーーーーっ!!?』 声  『提督と藍田と丘野、そんでもって俺と岡田と清水と藤堂。     その七人で素晴らしき7人を名乗るんだそうだ!す、素晴らしい!』 声  『お、おお素晴らしい!』 声  『なんて素晴らしいんだ!俺達!───おお岡田!岡田が戻ってきた!     少々前かがみになりながら悲しそうな顔で戻ってきたぞ!素晴らしい!!』 声  『バッ……大声出すんじゃねェエエ!!喧嘩売ってんのかテメェエエ!!』 声  『え?なに?マジでジュニアが立派になってんの?』 声  『ぐっ……!あ、あーそうだよ!親の意志なんてキカンバースだよ!反抗期だよ!     自分で大きくなったような     態度もでかけりゃ背丈もデカい脛を齧られた我が人生だよ!     やっと育てりゃ背中を向けて一人旅立つ恩知らずだよ!ホンジャマカだよ!』 声  『お、落ち着け!言ってることが途中からおそ松くんだぞ!?』 声  『途中でひだまりのグラウンドまで混ざってたが』 声  『で!?なんだよ!俺のジュニアを笑いたいのか!?』 声  『いやいや落ち着けって岡田。実はな、貴様、素晴らしき7人に選ばれたのだ!』 …………。 声  『素晴らしき……って。クレセントノイズ?えーと、話が見えないんだが』 声  『や、今提督が藍田と丘野を誘ってパーティー組んでるらしいんだよ。     で、あと四人集めて“素晴らしき7人”としようってことになったらしい。     そして選ばれた素晴らしい四人が俺達!いいよなー、素晴らしき7人!     四天王だとか八卦集だとかから外れた、この中途半端な数がまたなんとも!』 声  『……え?そ、それに選ばれたの?……俺がぁ!?     え!?いや、あの……ナ、ナギーとかは!?     実はあいつらもとかそういうオチだろ!?』 声  『バッカ、高位精霊や魔王の子なんていう、     最初から素晴らしい存在を素晴らしいって呼ぶのなんて、     あまりに普通すぎてつまらんだろうが』 声  『……そういうことか!なるほどよっしゃあ素晴らしい!俺、素晴らしい!』 声  『イエス素晴らしい!俺、素晴らしい!』 声  『素晴らしい!俺!』 声  『素晴らしい!なんて素晴らしいんだ俺達!素晴らしい!』 どうやら話は纏まったらしい。 口々に素晴らしいと叫び合う四人の声を聞くだけで、それはまあ理解出来た。 声  『というわけで提督!我ら素晴らしき四人、     喜んで素晴らしき7人の仲間入りをしましょうぞ!』 中井出「お、おおそうか」 声  『つきましては提督。     今からサンドランドノットマッド付近の海まで来てくれないか?     船作ったから、これで海の守護竜を───釣りにいこう!!』 総員 『任せとけ!なにを隠そう、俺はヌシ釣りの達人だぁあ!!』 逐一我がtellに耳を近づけていた藍田と丘野が叫んだ! もちろん俺も! 中井出「守護竜を釣るか!素晴らしい!     まさに我らの最初の戦いにうってつけの素晴らしさだ!」 藍田 「ほんじゃあ今からサンドランドへレッツラゴー!」 丘野 「───ナギ殿たちはどうするでござる?」 中井出「や、それがな。今回の戦いで自分の未熟さを知ったから、     マクスウェルに教えを乞うとかなんとか。だから問題ないと思うぞ?     素晴らしき7人のことについては文句言われるだろうけど」 藍田 「あ……なんだ、じゃあナギ助とかとはここでお別れか?」 中井出「修行の合間を縫って、契約転移するのじゃーとか言ってたけどな。     帰りはどうすんだーって訊いたら泣きそうな顔された」 丘野 「思えばナギ殿は提督殿にべったりだったでござるからなぁ。     それが、今こうして別れることになれば泣きたくもなるでござるよ。     そもそもナギ殿は提督殿についていくって名目で関所を出たようなものでござる。     攫ったってこともあるでござるがね、似たようなものでござるよ」 中井出「ふぅむ……確かにこの世界では一緒に居た時間が最も長い気がするくらいだ。     関所で会って以降、ほぼずっと旅してたからな……」 そんなナギーとお別れである。 そりゃ、俺だって寂しいさ。 だがそんなナギーが己の力不足を呪い、修行したいと切り出したのだ。 応援してやりたいじゃないか……いつまで続くかは別として。 中井出「つーわけなんで、今からでもサンドランドに向かおうと思う」 藍田 「弦月たちには?」 中井出「捨て置け」 丘野 「イェッサー」 藍田 「まあ……元々敵だしな。一応俺達ゃ魔王軍に入ったんだし」 丘野 「魔王が弱体化しまくりってのが問題でござるがねぇ」 好きでなったんじゃないやい。 と少し不貞腐れたところで、藍田が“じゃ”、と口にして小さな椅子から立ち上がった。 そろそろ行くかっていう合図みたいなものだ、当然俺と丘野もそれに習い、 恐らく猫用に用意された小さな椅子から立ち上がって、 中と外の区別もあまりつかない宿をあとにした。 中井出  「っと……そういやさ、ここ、ミスリル鉱脈があるんだよ」 藍田&丘野『なんとな!?』 木漏れ日が眩しい……とはいかない、夕方の薄暗い森。 その、自然の屋根の下でふと思い出したことを口にした……ら、その反応は上々だった。 ここで上々って言葉が適当なのかは別として。 中井出「俺の武器、霊章融合が解けたからまた鍛えなおさなきゃいけないしさ。     どうせならミスリル掘って、いろいろ使いたいなって思ってさ」 藍田 「お、おーけー!おっけーだ!」 丘野 「ところでOKってなんの略なんでござろうかね」 中井出「オリジナル・カマドウマだ」 藍田 「それのどこらへんに了承の意があるんだよ!」 言われてみれば疑問に思うこともあるもんだ。 あ、OKの意味のほうね?カマドウマじゃなくて。 K,Oがノックアウトであるように、きっと意味があると思うんだ。 ……カマドウマはさすがにないと思うが。 藍田 「けどさ、俺と丘野はいいとして、提督の場合ミスリルなんて今さらじゃないか?     オリハルコンみたいなので武器強化してるんだろ?」 中井出「いや!俺は今一度ジークの成長を望む!     何故ならば!俺は武器が大好きだからだ!」 丘野 「成長しないって言われてるんじゃなかったでござるか?」 中井出「限界なぞ知ったことではないわ!     限界など設けてしまうから限界になってしまうのだ!     ゲームで“これ以上鍛えられません”とか出るのは、     そいつがさらなる高みを目指そうとしないからだ!     考えてもみるのだ!グレートソードを+9999にしたくても、     この世界ではノーマル武器はせいぜいが+99!     そんなことが許されていいのか!?     グレートソードを愛する人はたった99で我慢しなければならんのだぞ!?」 それがレアウェポンというだけで999にまで至るなどっ……! 嬉しいには嬉しいが納得いかん! ハンターナイフでも竜が殺せるくらいになりたいって思うじゃないか! 中井出「というわけで俺は掘る!なにを隠そう、俺は発掘の達人だぁああっ!!」 藍田 「おお……提督が燃えてるぜ!……ところでそのミスリル鉱脈ってどこ?」 中井出「あそこだ。ほら、あの……な?あそこの崖の……見えるか?」 丘野 「おお?おお!確かに一部の崖の色がヘンだな!     あれがそうなのか!?……でござるか!?」 藍田 「興奮してる時くらい地で話そうや」 丘野 「……それもそうだな。で、あれがそうなのか?」 中井出「そう。リューナイトの世界じゃ大変貴重とされたンムィスルィルやぁ〜〜っ!」 藍田 「や、普通にミスリルって言おうぜ提督……」 中井出「普通なんてキライだい。     ……さて、じゃあそういうわけだからマトックとかあるといいんだが……」 藍田 「やっぱマトックだよな。ピッケルなんてクソ喰らえ」 丘野 「マトックの名前はステキすぎるでござるよ」 正直ピッケルとマトックの違いを俺は知らん。 どこぞの国の呼び方なのかもしれんし、そうでないのかもしれん。 日本ではつるはしであるように、ピッケルやマトックは別の国の呼び方なのかもしれん。 藍田 「ま、あれだ。マトックくらいならドワーフが持ってるんじゃないか?     そうじゃなくてもさ、ほら、ここは猫の里なわけだし───」 丘野 「なるほど、確かにここならマトックくらい落ちてそうだよな」 そう言う二人の言葉に促されるように、ざっと辺りを見渡した。 あれで案外綺麗好きというわけでもなく、 ズボラな猫たちはあちらこちらにモノを置きっぱなしだったりする。 なもんだから、当然と言うべきかマトックも発見出来たんだが…… 手に取ってシゲシゲと見つめたところで、それは所詮猫用のマトック。 俺達が使うにはあまりに小さすぎた。 それでも少し眺めのハンマー的な見方は出来るし、 先が尖っているから力さえ込めれば掘れないことはないだろう。 ……これで掘るくらいなら剣で掘ったほうが速そうだというのが正直な話だが。 まああれだな、郷に入りては郷をぶち壊せだ。 必ずマトックを使わなきゃいけない理由などないのだから。 中井出「よぅし!それでは各員ミスリル鉱石を好きなだけ発掘し、     それからサンドランドノットマッドへ向かむものとせよ!     イェア・ゲッドラァック!ライク・ファイクミー!!」 ザザァッ! 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 藍田と丘野くんがそろって叫ぶ。 それを確認するや、俺は先んじて絶壁とも呼べる山を素手で登り始めた! 当然藍田と丘野くんもそれに習い、まるでいつか光の塔でそうしたように、 オーッギョッギョッギョと叫びながら登りゆく! 丘野 「両腕だけで登れなかったら……片腕登り!」 藍田 「おおっ!?早速マイト・ガイ式自分ルールか!?」 丘野 「俺は目覚めたね!忍術は忍術で素晴らしい!     だが俺は忍者が好きなんであって忍術が好きなんじゃなかったんだ!     そして忍者とは己が己を忍者だと信じる限り、     たとえ体術しか使えないんだとしても忍者なんだと!     そうですよね!ガイ先生!《ゴキーーン!!》」 藍田 「いやゴキーンって!それもう歯が光る音じゃねぇよ!!」 丘野 「所で俺、近いうちに眉毛と髪型を     激眉と激オカッパにしようと思ってるんだけど」 藍田 「髪は大丈夫でも眉毛は無理だろ!!」 言いながらも腕だけでこの絶壁を登ってる丘野くん。 対して藍田は対抗意識からか足だけで登ってる。 ……一つのみを最初から鍛えまくってるヤツはすげぇなオイ。 足だけでこの絶壁登るなよ……。 藍田 「そういやさ、素晴らしき7人を結成したはいいけど……     なにかルールとか決め事とかあるのか?」 ドゴォンドゴォンと、藍田が壁に足を減り込ませてから言う。 足の筋力だけで重力に逆らい、壁に立っている彼が素晴らしかった。 中井出「よくぞ訊いてくれた!素晴らしき7人に願うこと……それは、     ただ一点のみを極める者ということだ!」 藍田 「一点のみを?」 中井出「そう!俺が武器、藍田が蹴り、丘野が体術とそれぞれを極めんとしてるように、     一点のみを極めんとする者を募って結成せんとするのが素晴らしき7人!」 丘野 「あ、俺、武器は結局龍刀虎刀でいくことになったから。     ナビでイセリ子さんに話通して、体術スキルを忍者刀に回してもらったのさ。     そもそも八門遁甲はチャクラの門を無理矢理開放する能力だろ?     それをちゃんと説明して、直してもらった。ロック・リーは体術を極めた。     それは師匠がマイト・ガイで、体術のスペシャリストだったから。     もしマイト・ガイが体術以外のスペシャリストだったら、     リーが得意とする技術は別の武器だったかもしれんのだ。     だから俺も変えてもらったというわけさ。     ……ところで提督よ、“武器”は一点じゃないのでは?」 中井出「言われると思ったけどそうじゃない。     俺は剣がどうとか篭手がどうとか言ってるんじゃない。     “武器を極める”と言ってるんだ。     で、俺の言う武器ってのは合成させちまえばなんでもありなわけだ。     ま〜晦みたいに剣も槍も拳も弓も極めるなんてことは考えちゃいないけど。     俺が極めたいのはジークフリードだけだし。     ファフニールとドンナーは護身用って感じだ。     こう……なぁ?剣で戦うと思ってる相手に一撃かますのが面白くて面白くて」 藍田 「外道だな、提督」 中井出「解るかね」 剣一本を極めるのはいい。反対なぞするものか。 だが、だからこそ剣が無くなった時どうするか。 そこまで考えなければこの乱世では生きてゆけん。 体術なら武器などいらんのだが、 だったら腕とか足を封じられてたら〜とかいろいろ考えることはある。 だからこそ武器を鍛えるのだっ!!心の底から信頼がおける武器! 手から離れても霊章転移出来るこの素晴らしい武器を! 中井出「………」 ふと思ったことがあって、 霊章から取り出したジークムントを手放し、地面へ向けて落下させた。 それから意識してみるに───……ジークムントはちゃんと霊章に戻った。 うん、よし、霊章融合は解除されてるけど、霊章としての武器転移は可能のようだ。 そうだよな、武器と武器との性能やスキルの共有が無くなったってだけで、 霊章は霊章として機能しててくれなきゃ───……ドゴォンッ!! 中井出「あれ?」 ふと違和感を感じて地面を見下ろしてみた。 既に絶壁の中腹まで来ていた僕ら……その下方で、なにやらもうもうと立ち上る煙。 違和感を辿ってみれば、霊章の中……というか腕にある筈のものがないというか…… あの、大袈裟に言えば腕に骨がないような喪失感があるというか。 つまり……ジークムントとジークリンデが無い。 アレですか?下の煙ってつまりそういうことですか。 落し物ですか。大事な武器垂れ流し状態ですか。 中井出「ちくしょう霊章までもがイカレやがった!……すまん、ちと拾ってくる」 藍田 「結構冷静なのな」 中井出「当たり前だよ!だって僕強いコだもん!!」 丘野 「おお、目から涙が」 冷静なんかじゃいられない。 だって信じてたものにまで裏切られた気分だし。 でも俺は武器を見捨てたりなどせん。 そんな当然のことを胸に、俺はスルスルと壁を降りると地に足をつけた。 中井出「おーお……めりこんでるめりこんでる」 煙がもうもうと立ち上っている中心にそれらはあった。 ジークフリードとジークリンデ……武器としての重さは変わりないらしく、 思い切り地面を抉るようなカタチでめりこんだそれを、 俺は力任せにボゴリボゴボゴと掘り起こした。 中井出「………」 そこで気づく。 霊章に入らないんじゃあ、どうやって持ったもんか、と。 持ってみて解ったが、霊章からはじき出されたこともあってか、 また厄介な能力が引き出されている。 ……グラビティ。なんて重いんだこの子たちは。 それをSTRにて持ち上げてるわけだけど……はぁ。 呪いって怖いな……ほんと。 だってフロートは見事に封じられたままなんだもの。 そうだよなー……あれって霊章の素になった浮遊石の力だったんだもんなぁ。 霊章が機能しなくなりゃ、当然重くもなるよ……。 中井出「………」 だが……これはいい傾向。 これなら───よし!! 中井出「藍田ー!丘野ー!俺いいこと考え───おわーーーーっ!!!」 ドッゴォオオオオオオオンッ!!!! …………その日。 僕は二人が発掘して落としてしまったらしい、 巨大なミスリル鉱石によってミンチになった。 Next Menu back