───冒険の書200/VS風翔竜───
【ケース518:中井出博光/飛翔!飛翔!(トビマストビマス)日本を印度にしてしまえ!】 ドゴォッヒュゴヴァアアアアッ!!! 永田 「ぐわっひゃぁあああああっ!!」 丘野 「ああっ!爆弾を仕掛けてた永田が風のブレスの餌食に!」 藍田 『永田!?永田ァアーーーーーーッ!!!』 麻衣香「あのしぶとさで名を馳せた永田くんが一撃で!!」 藤堂 「永田!永田ァアーーーーーッ!!」 目に見える中空を、巨大……とまではいかない竜が飛んでいる。 ブルードラゴンに比べればまだ小さいストームドラゴン……風の守護竜だ。 だが本当にその姿は巨大とは呼べないものであり、 まだ“大き目の飛竜”でも通用する大きさだ。 晦の記憶の映像で見た蒼竜王マグナスのほうがまだ大きい。 だが……問題なのは体躯の大小問題じゃない……あの翼だ。 折りたたまれているというのに飛翔に問題を及ぼさないソレは、 広げられた時にこそ真価を発揮する。 それを、俺達は既に知っていた。 永田がくらった風ブレスなんて、あれに比べれば児戯に等しいだろう。 現に……一度食らっただけで、 生き残ったのは麻衣香と永田を含む素晴らしき7人だけだったのだ。 ……その永田も、HP回復する前にブレス食らって昇天したが。 中井出「広げさせるな!広げさせたら絶対に終わりだ!!」 総員 『イェッサー!!』 届いたtellに耳を傾けていたほんの少しの間の出来事だった。 雷の守護竜がいきなり襲ってきたというみさおちゃんからのtell…… 守護竜の討伐の経験があるって理由だけでかけてくるのはどうかとは思ったが、 それも途中で途切れた。 ……いや、俺が切ったのだ。 話していられる状況じゃなかった。 藍田 「なぁ〜んで守護竜ってのは固有技みたいなの持ってるかなぁ!     こいつの波動風といいブルードラゴンの大海嘯といい!」 田辺 『サー!他の守護竜はどういった技を持っていたのでありますか!?』 中井出「うむ!カイザードラゴンが属性変化と物理攻撃無敵!     アースドラゴンが……なんだったんだろ?     まあいいや。で、フリーズドラゴンが超氷結、     ブルードラゴンが大海嘯でこいつが波動風である!     これからのことを考えると涙が出そうだ……ほんともう……」 藤堂 「フリーズドラゴンとやらは強かったんでありますか!?」 藍田 『そいつとは俺も戦ったけどさ、や、強かったぞ?     なんかいつの間にか死んでたけど』 岡田 「カイザードラゴンは?」 中井出「二度と戦いたくないくらいに嫌な相手であった。     バリアチェンジで防御属性コロコロ変えるし、     怒ると硬質化して物理攻撃全部弾きやがるし。     だから属性攻撃するしかないのに、コロコロ属性変わるから全然効かない。     そのくせ攻撃力が馬鹿みたいに高くて速度も速いし……     ぬおお思い出しただけでかつての恐怖が……!!」 麻衣香「それでも一人で倒しちゃったんでしょ?それで十分だと思うけど」 何度も死にましたがね。 結局、博打と狂いし者のお蔭で勝てたようなもんだし。 などと話しながらも、攻撃の手は緩めない。 最初に様子を見るだなんて原中にあるまじき行為をしてしまったために、 我らの部隊はほぼ壊滅。 敵に波動風を使う時間をみすみす与えてしまったのだ。 やはり我らは考えるよりまず激闘! はじめの一歩の鴨川会長の教え通り、先手先手でいかなくてはダメなのだ! 中井出「守護竜がなんぼのもんじゃああああい!!     総員、死力を振り絞って敵を殲滅せよ!     今こうしている間にもゼットとみさおちゃんと、     何故かゼノ助さんとシュバちゃんがサンダードラゴンと戦っている!     ならばどうするか!?叫んでみせよ!!」 総員 『さっさとこいつをコロがして!     急いでサンダードラゴンのもとへ行き!     加勢する───と見せかけ!!     弱ったそいつをハイエナの如く奪いコロがします!サー!!』 中井出「うむそれでいい!!貴重な経験値や素材を他の誰にも渡してなるものか!」 実にクズである。 だがそれでいい!それだからいい!! 中井出「麻衣香───否!綾瀬二等!TPが続く限り、海に氷結魔法をせよ!     これより猛者どもを迎えにゆくべく、     ストームドラゴンを街方面へ吹き飛ばし続ける!」 麻衣香「サーイェッサー!!」 中井出「素晴らしき6人よ!     総力を以ってストームドラゴンを港町シヌラウマへと吹き飛ばしてゆけ!     手段は問わん!隙を見つけたら吹き飛ばす方向でまっすぐGOだ!」 6人 『サーイェッサー!!』 中井出「うむよし!ではこれよりストームドラゴン抹殺計画を実行に移すものとする!     総員全力を以って外道の限りを尽くしてでもブチノメせ!!     イェア・ゲッドラァック!ライク・ファイクミー!!」 ザパッシャアッ!! 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 それぞれが浅瀬を波立たせ、敬礼をする。 だがそれが終わるや散開し、 藍田 『“空軍・(アルメ・ド・レール)バズーカインパクトォオオオッ”!!!』 赤銅色の体色、蛍火の髪をした藍田が烈風脚を以って突撃。 バズーカチャンネルを付加させたアルメドレールで、ストームドラゴンへ攻撃を仕掛ける! ───だが他の守護竜に比べて小さく、且つ風を操るそいつはいとも容易くソレを回避。 体勢を崩した藍田へとキュバァンッ!! 総員 『───ヤベェッ!!』 畳んである飛翼を大きく広げ、口を大きく開けたのだ! ───畳んである、といっても誤解しないでほしい。 竜族は普段、飛翔しない時は確かに翼を畳むようにしている。 だがこいつの場合は他の竜族に比べ、翼の大きさが尋常ではないのだ。 つまるところ、畳むといっても二段階あると考えてくれるとありがたい。 一段階広げていたのがさっきまで。 飛ぶことに不便などなく、他の竜族と同じくらいの飛翼の大きさだ。 だがこいつはもう一段階飛翼を畳んでおり、 それが広げられた時、初めて見れる物体がある。 それは……まるでよく出来た掃除機めいた穴。 真っ直ぐ体内へと続いていて、風を取り込む時にだけ大きく広げられるものだ。 だがこれは、風のブレスを吐く程度じゃ開かれない。 いわゆる波動風……猛者どもを一掃してみせた風を放つときだけ広げる飛翼だ。 ストームドラゴン『クゥウウウォオオオオ!!!!キュゴォオァアアアアアィンッ!!! 中井出「ぬぁああああああああっ!!!」 丘野 「や、やばい、で、ござっ……!!」 風が集束する。 ヤバイのは解ってるのに、 気を抜くと集束する風に巻き込まれそうで、立っているだけで精一杯なのだ。 この状況を利用して、体内に潜り込んで攻撃しようと最初に考えたのは蒲田。 だが、この攻撃は中に潜ることこそが一番危険なのだ。 集束し、圧縮された空気はストームドラゴンの中で暴れ狂い、発射されるのを待っている。 そんな中に身を投じれば、荒れ狂う風に切り刻まれるのは明白だ。 蒲田は一瞬にして塵芥となって死亡した。 あいつが操るのは“そういう類の風”だ。 中井出「麻衣香!」 麻衣香「解ってる!成功するか解らないけど───     炸裂せし炎よ、素が威となりて弾け散れ。“バーンフォトニック”!!」 意識を集中させた麻衣香が詠唱し、グルグリーズを振るって魔法を発動させる! だがそれはストームドラゴンへ攻撃するためのものではなく、 内側で集束する風に向けてのものだった。  ピキィンッ!ゴバァンガァアアッ!!! 炸裂音が響き渡る。 竜巻ってのは、中心で高い熱を炸裂させてやると霧散するという。 あ、いや……冷気だっけか?頭あんまりよくないから断言出来ないのが辛いが…… だが確かに霧散させた。それが熱の所為なのか魔法の衝撃によるものなのかは解らないが、 理屈なんざどーでもいい、霧散したならそれで(よし)!! 中井出「ストームドラゴンは───うあっ……怯んでもいねぇ……!」 岡田 「うそだろっ!?内部で爆発が起きたんだぞ!?」 藍田 『けど隙は出来たっ!もういっちょぉぅ!!』 既に敷かれていた氷を着地と同時に蹴り、再び藍田が蹴りを繰り出す! しかし怯んでもいなかったストームドラゴンにしてみれば、 それはさっきと同じ状況でしかない。 飛翼に風を送り、羽ばたくといとも容易く藍田の蹴りを避けてみせた。 藍田 『甘いッ!AGIマックス!烈風脚&疾風の如く!!』 ゴバァンガアッ!! ───だが。 紙一重で避けたのが災いしたと言うべきだ。 俺達にしてみりゃ福と為すわけだが。 藍田      『“空軍・(アルメ・ド・レール)パワーバズーカ”!!!』 ストームドラゴン『クオ!?《ゴバシャォオゥンッ!!》クギャァアアッ!!!』 滅茶苦茶だ。 速度を限界まで引き上げ、烈風脚と疾風の如くを使用。 超速度で足を振るうことで発生する空気の壁を蹴り弾き、 三角飛びをするみたいに何もない場所でターンをし、 避けたばかりのストームドラゴンの顔面をSTRマックスで蹴り飛ばしたのだ。 空気を蹴って戻るなんて、つくづく人間やめた素晴らしき1人だった。 麻衣香「フリジットランス!───行って!丘野くん!」 丘野 「承知!第五の門───開ィ!!」 疾駆する。 ストームドラゴンが吹き飛んだのを合図に、 その方向へと麻衣香が氷結魔法を解放。 放たれた氷の槍が海を凍らせ、俺達はその上を全力で駆けてゆく。 次に吹き飛ばす役目である丘野が八門遁甲を発動。 丘野 「はぁあああああああっ!!!」 血管を浮き立たせ、体色を真っ赤に、 目を白目にした丘野が目にも留まらぬ速度で───だめだ見失った。 本当に目にも留まらないんじゃ状況の確認のしようがパガァンッ!! 中井出「おわあっ!?」 確認のしようがない、なんてことがある筈がなかった。 なにせ標的が居るのだ。  ドガドガァン!ドガァンドガァン!! さらにさらにさらにと吹き飛ぶストームドラゴンを見て、気を引き締めることに努めた。 驚くのはいつだって出来るだろう。 今は一刻も早く猛者どもと合流して、こいつを集団リンチにしてコロがす! そしてグニンディールまで行ってサンダードラゴンを横取り! 助けに来たぜ〜とか白々しく言って、素材や経験値をがっぽり頂くのだ! ……俺は経験値もらえないけどね。 藤堂 「よっしゃ次行くさ!大槌小槌!満!満!満!」 気を取り直して、ブルードラゴンを二刀で大きく吹き飛ばし、 体勢を崩した丘野に代わり前に出たのは藤堂二等兵! 腰に備えていた小さな槌を手に取ると、満の言葉で巨大化させてゆく! だが一直線に走る中で、槌で相手を真っ直ぐに飛ばすなんてことは不可能に近い。 そう思ったが、それは杞憂に終わった。 藤堂 「一気に行くさぁっ!───“(しん)”!!」 一度歩を止め、柄をビリヤードのキューで狙いをつけるように持つと───  ギュオドッガァアアッ!! 伸の言葉で槌の柄を一気に伸ばし、 吹き飛ぶストームドラゴンを巨大な槌をぶつけることでさらに吹き飛ばす! 岡田 「素晴らしいぜ藤堂!うじゃ、次、もらうぜ!」 次に前に出たのは岡田二等。 愛刀であるカムシーンを手にブレイブハートを全開! 絶え間なくフリジットランスが放たれ、氷の大地が出来てゆく海を先んじて駆け抜ける! 岡田 「アァアアアアアアアアアッ!!!!」 大した速度だと感心する。 だがそれ以上に驚いたことがあり、 それは岡田が持つカムシーンから放たれるデミルーンが原因だった。 曲刀から放たれるためか太い曲線の剣閃が、 振るうわけでもないのにカムシーンから放たれ続けている。 岡田の叫びに応えるように、 幾重にも幾重にも放たれ続け───だがそれが敵に向かうことはない。 中空に放たれたソレは途中で止まり、しばらく経つとカムシーンへと戻ってゆくのだ。 麻衣香「え……?これって───」 何処かで見たことがある。と……麻衣香が呟いた。 それは俺もであり、他のやつらもだったようだ。 そう、これは───随分古い技で、しかも漫画であった技だ。 無名で、普通に考えればなにが変わるわけでもない。 だがこれは明らかに変わる。 放たれたデミルーンがカムシーンに吸収される度、 カムシーンは光を放ち、それが重なって光の巨剣へと変貌してゆく───!  ───いったい、どれほどの人が見て……どれほどの人が覚えているだろう。 YAIBAという漫画があった。 一部がターンエーだったがまあ気にするな。 ともかく、その漫画の中で主人公が使っていたものがある。 それは殺気、覇気を武器のように飛ばす“闘刃”という奇妙な技だった。 けど、飛ばすだけじゃない。 飛ばした闘刃を木刀に集束させて、武器にして振るったのだ。 現実的に考えてみれば、覇気や闘気や殺気が武器を強化するわけがないのだが─── 今目の前で放たれ、曲刀に集められたソレは闘気でもなんでもない、力の塊なのだ。 岡田 「奥義ぃっ!!覇王ォオッ烈光斬ンンッ!!」  ギュフィィンッドッガァアアアアンッ!!! 中井出「ぬおおーーーーーっ!!?」 光の剣が轟音を立てて炸裂する! “斬った音”とは思えない音が海を瞬間的に震わせ、走りゆく氷の地面に亀裂を奔らせる! ほんの僅かな間だけ閃光を発したソレの威力は一目瞭然で、 ストームドラゴンは鱗の一部を破壊されながらさらに吹き飛んでいった。 ……神様、周りの人達がどんどん強くなっていってます。 経験値も貰えない、スキルもない僕はいったいどうしたらいいんでしょうか。 神様 《突っ走りなさい。力こそが正義です》 ───ハッ!?い、今神様からのお告げが! 僕の内側に潜む自由奔放ゴッドからのお告げが確かに僕に! だが間違うな脳内神よ、この博光は正義など振りかざさん。 この博光が振りかざすのは否義(ひぎ)のみ! 正義を振りかざす時、正義は正義でなくなるというジャッジドレッドの言葉を知れ! ならば最初から正義ではなく悪に染まろう原ソウル! 中井出「よっしゃあ次は俺だ!アイテムマグニファイ!バクレツアロワナ!」 バックパックから取り出したバクレツアロワナ(魚)にアイテムマグニファイを通す! それから大きく振り被り、 飛翼をはためかせて体勢を立て直したストームドラゴン目掛けて───シュートヒム!!  バオォッ!! 魚が空気を斬り裂き飛翔する! その様は見てて笑いたくなったが、ただの魚と侮れば死、あるのみ! 当たれば無事では済まぬわバッガァアアアンッ!!!! ストームドラゴン『グオギャォオオオオッ!!!』 丘野      「ウヒャーリ!?さささ魚が大爆発を起こしたでござるーーーっ!!」 藤堂      「衝撃波出てたぞ衝撃波!肉眼で確認出来るくらいのデケェの!!」 中井出     「ふむふはははははは!!!          一撃必殺級の技は無くなっちまったがそれでも怯まぬ原ソウル!          武装解除!ブラッシュデイムを取り出してマグニファイ!          鬼人化を発動させてすぐに武装結合!ぬおおおおおおおっ!!!!」 走って走って走りまくって、吹き飛ぶストームドラゴンが失速するや飛びかかる! 両手で握り、大きく振り被るは紅蓮蒼碧の長大剣! 限界まで引き絞ったソレを、接触する直前にSTRマックス両手持ちフルスイング!! 中井出「ブゥウッ飛べカラミティイイイッ!!!ザゴォォッッギシィンッ!!!! 中井出「ぬごぉっ!?」 手加減することなく全力で振るった……んだが、 横一閃に斬り裂くつもりで振るった一撃は硬い鱗と分厚い筋肉によって受け止められた。 鱗は破壊できたが筋肉が硬すぎる。 しかも自らこっちに飛んできて、吹き飛ばされないように衝撃を相殺しやがったのだ。 さすがに何度も吹き飛ばされてりゃ対処法も考えるってか……? だが言わせてくれ。なんでそれがよりにもよって俺の時なんだよこの野郎!! 中井出「ぬ、おぉおおっ……!!ナァアメんなぁあああああああああっ!!!」 だがこの博光、容赦せん! こちらの攻撃を自らの固さで受け止め、 さらに圧し弾こうとこちらへ飛翔し圧してくるストームドラゴンを、 まるで壁をホームランせんがために力を込めて、全力で圧してゆく! 否!鍔迫り合い紛いのことなどする気も無し! 中井出「うおぉおおおりゃぁあああああっ!!!!」  ギキィッギヂィイインッ!!! 本気の本気、これ以上は出せませんというくらいのブッチギリパワーを発揮! 覇気とともに人器が発動するや、振り切れなかった腕が一気に振り切れた! で、吹き飛んだストームドラゴンにおまけとばかりに猫印の炸裂弾を投擲! 体勢を立て直そうともがく姿に着弾させ、発破してさらに吹き飛ばした! 藍田 『うーおー、すげぇ力技。     STRマックスだけであそこまで吹っ飛ばせるのかよ』 中井出「技とかスキルが無いからってしょげてられっかバッカモーーン!!     元々最初は技無し状態でこの戦乱の世を駆け抜けてきたんだ!     ぱっちょんぱっちょんかかってこんかぁーーーーーい!!」 喋る間も足を止めることはしない。 ただ只管に走り、ストームドラゴンを吹き飛ばしながらシヌラウマを目指してゆく! が───当然吹き飛ばし続けられるわけでもなく、 ストームドラゴン『ギシャァアアォオオオンッ!!!』 総員      『ギャワァーーーーーーーッ!!!』 吹き飛ばされながらも放たれた咆哮が風とともに放たれると、 俺達はあっさりと身動きが取れなくなっていた。 田辺 『いがぁああががが!!くあっ!竜族の咆哮ってどうしてこう骨に響くかなぁ!!』 丘野 「あー!?なんだってー!?っていでぇええででででで!!」 麻衣香「骨に響いてっ……体中が痛っ……!ひきぃっ!?」 岡田 「うあぁああああっ!!あの野郎!こっち怯ませといて飛翼解放してやがる!!」 中井出「聞こえねーって!……フオォッ!?波動風!?波動風か!?」 岡田の視線を追うと、岡田がなにかを叫んでいた理由が理解出来た途端に戦慄!! ちくしょう息つく暇もありゃしない!! だがそんな時こそ博光よ、根性だぜ! ハートに覚悟を!丹田に覇気を!藍田に向けて原中名物アイコンタクトを使用! 藍田 『───!』 それを受け取った藍田に向かって勢いをつけて軽く跳躍! VITをマックスにして、のちに来るであろうダメージに備える! 藍田 『“空軍・(アルメ・ド・レール)パワーシュートォッ”!!』 トンッと藍田の足に乗り、藍田が俺をストームドラゴンへ向けて蹴り飛ばす! 飛翼が風を急激に吸い込んでいるのはさっきと同じだ───だが! 中井出「生ける弾丸と化した男の生き様を見よ!!」 鬼人化は残り5秒!だがそれだけありゃ十分! ステータス倍化状態でのVITマックスにて、 真実体を弾丸のように硬くした我がぶちかまし! 果たしてキサマの風でも受け止めきれるかな!? ……まあ受け止められたところで秘策はあるんだが。 では魂高らかに叫びましょう!! 中井出     「サブマリンロケッタァーーーーーッ!!」 ストームドラゴン『クオッ!?ドグォッチャァアアアアンッ!!!! 中井出     「《ベゴロキャア!!》グエーーーーッ!!」 ストームドラゴン『カァアアォオオオッ!!!』 弾丸となって飛翔した俺は、ストームドラゴンの吸い込む力にさえ左右されず、 ものの見事にストームドラゴンの喉に頭から激突!! 貫手をするような感じで喉に突き刺さり、 ストームドラゴンは聞いたことのない悲鳴を上げてのけぞった! しかし俺の首もただでは済まず、聞いたことのない悲鳴(音)を立てて捻じ曲がった! だがここは博光よ!根性ごめんワシもう幻海。 中井出「げぼぇはっ!!《ゴブシャア!》」 曲り具合が悪かったのか、盛大に血をぶちまけた。 喉に一撃食らわしてやることで咆哮は止まった───が、俺のダメージも半端じゃない。 それに、少しとはいえ蓄積された風はストームドラゴンの中に残ったままだ。 蓄積値は少ないだろうが、撃たれれば一撃死は免れないだ───ろう!? ストームドラゴン『ルゥウガァアアォオオオッ!!!ゴバァアアアアッ!!! 中井出「た、わっ……!?げほっ!ぐ、……」 ちょっと待て!普通ここでもう一回吸引始めますか!? 中井出「ま、待───待ってぇええっ!!     今ここでやられたら俺も吸い込まれマ゙ァアアアアッ!!! 衝突し、あとは落下するだけだった俺の体が見えない力によって宙に浮く。 いや、浮くどころか浮き上がり、飛ばされてゆく! 行き先はもちろん───ストームドラゴンの飛翼に存在する集風口!! 風が圧縮回転され、異物が混ざればたちまち微塵になるであろうその場所だ。 行ってしまえば圧倒的圧倒的破壊空間に吸い込まれ、 歯車的砂嵐の小宇宙でバラバラにされてしまう! 足掻け、俺!ごめんなさいダメでした。 宙に浮かされている状態で、フロートも風も操れない俺になにが出来たというのでしょう。 俺はあっさりと集風口から体内へ吸い込まれ、この目で見たのだ…… “風が凶器に変わる、その世界”を───!! 中井出「───、……!!!」 声にならない悲鳴が漏れる。 外で猛者どもが何かを叫んでいたが、そんなことが考えられないくらいに痛い。 圧縮され渦巻く風が俺の身体を削いでゆくのだ、痛くないわけがない。 だが知れ、竜の者よ。 この博光がなんの策もなく敵の内部に囚われると思うてかグオッフォフォ……!! 中井出(あ、よいしょ) 全身がとても痛いのを我慢しつつ極上ガイアスマイルをして、とある行動をとった。
【Side───晦悠介】 ドォオオッゴォオオオオーーー…………ン!!! ルナ 「…………ねぇ悠介、あれ」 悠介 「見なくていいから」 遙か遠くの空が赤く瞬いていた。 なんのことはない、既に見慣れた中井出花火だ。 遥一郎「随分と離れてるみたいだけどな……空飛んでなきゃ見えなかったな」 澄音 「うん、言うのは心苦しいけど、雲が焼ける様っていうのは綺麗だね」 各地で回収した穂岸と蒼木が中井出花火を見て遠い目をしていた。 気持ちは解らんでもないが。 ディル   『王よ、そろそろ光の塔へ着く』 悠介    「ああ。じゃあ下に降りてくれ。        マクスウェル、ソーサラーリングは持ってるか?」 マクスウェル『むう?おおあれか。あれならばワシは持っとらんぞ。        あれはドワーフの遺跡の財宝の一つじゃ。        恐らくじゃが、霊章を渡したあの若者が大事に持っておると思うぞ。        ほほ、盗掘した者がおらねばの話じゃがなぁ』 悠介    「霊章……提督か」 そういえば財宝一式は全部提督が持ってったんだっけか。 悠介 「ふぅ───ッ!《ギンッ!》」 意識を研ぎ澄ませて目を金色に変異させ、遠くを見つめる。 丁度、爆発が起きた方向だ。 まだ残っている煙を賢者の瞳で見るに、それがただの自爆の炎でないことが解った。 現れるのは文字の羅列。 賢者の石を手にした時と同じように、見えるものの構成が文字として現れる。 ただし頭痛がするから長くは行使できない。 悠介 「……はぁ。よし、中井出が持ってると考えて間違い無いみたいだ」 澄音 「うん?解るのかい?」 悠介 「ああ、賢者の瞳っていう物質分析能力があるんだ。で、炎を分析してみた。     ───あれはソーサラーリングの能力を最大に引き出して爆発させたものらしい。     アイテムマグニファイ……って能力みたいだな」 それにしても……能力を引き出しただけであの爆発か。 とんでもないな、ソーサラーリングってのは。 マクスウェル『ソーサラーリングというのはな、その名の通り魔術師の指輪じゃ。        過去より古く、古よりなお時を遡りし時代の遺産。        レヴァルグリード、アハツィオンといった竜族、巨人族のものではない、        全亜人族が世の平穏を願って生成した宝石なんじゃよ』 悠介    「全亜人族……妖精、ドワーフ、アイルー種とかか。        そりゃスケールが大きいな」 マクウスェル『いや、太古にはその他にも亜人族が居たんじゃよ。        その大半はサウザンドドラゴンとの戦いを前に滅んでしまったがな。        そういった者たちの力も込められておる。        なにせ、それをしたのはワシじゃからな。        もし力尽きることがあったなら、身にある力全てを込めてくれと』 悠介    「……なるほど、亜人族の遺言だったわけだ」 最初にどれくらいの種族が居たのかなんて知らない。 でも今じゃ妖精とドワーフとアイルーの三種族になってしまった。 ……ああいや、過去とは関係ないけど棒人間種もか。 悠介    「じゃあ、ソーサラーリングには        それだけの魔力が備わってるってことなのか?」 マクスウェル『そうじゃな。ただし、行使してみても短距離へ属性を飛ばせるだけじゃ。        火を飛ばしたければ火属性を飛ばすと意識すればいい』 悠介    「属性を飛ばすだけって……」 マクスウェル『込められた魔力が高いのと、それを扱いきれる者が居ないこと。        そして、悪用されることを恐れたかつての翼人が封印していったのじゃ。        故に、普通では小さな属性の種火を飛ばすくらいのことしか出来ん』 悠介    「……じゃあ、あれは?」 消えてゆく爆煙へと視線を促す。 マクスウェル『あの若いのが、アイテムの力を引き出す能力を持っておるのじゃろう。        それが出来たからこそのあの爆発じゃ。        亜人族は技術と魔術の塊のような種族じゃったからのう、        それらの命を賭したもの……あんな程度の爆発、軽く引き出せて当然じゃ』 悠介    「うーわー……」 マクスウェル『しかし、そう何度も引き出せるものではないはずじゃ。        あの若いのにどこまで引き出す力があるのかは知らん。        じゃが翼人の魔力は精霊をも凌ぐものがあった。        それを考えれば───』 ドォオオッゴォオオオオーーー…………ン!!! マクスウェル『………』 悠介    「………」 ルナ    「………」 遠くの空が焼き焦げた。 遥一郎   「……また、上がったな」 澄音    「うん、綺麗だね」 それを、俺達は何処か遠い目で眺めていた。 悠介    「…………マクスウェル?」 マクスウェル『……まあ、なんじゃ。ワシにも解らんことくらい……ある……』 悠介    「いや……高位精霊にキバヤシの真似されてもな……」 今現在、提督がどんなことをやっているのか気になってしょうがない心境の最中…… 光の塔の前に着陸したディルゼイルに礼をいいつつ、大地に降り立ったのであった。 まあ、なんだ。 とりあえず穂岸たちにはここで待っててもらって、提督を攫ってこよう。 ソーサラーリングが無いことには話が進まないからな……。 貸してもらうという手段も考えたが、当然貸してくれるわけがない。 だから強行だろうが連れてくるしかない。 はあ……先が思い遣られるな……。 獣人最強伝説計画を進めたら、 こっちはこっちでモンスターユニオン復興もやらなきゃいけないってのに。 でもそれもこれもまずはジャミルを召喚できるようになってからだ。 今の俺にはそこまでの能力がない。 回路能力の解放をしていけば使えるようになる、と思うんだ。 だからそれまでは獣人最強伝説を進めていくつもりだ。 ……障害はかなりありそうだが。 【Side───End】
ドォッゴォオオオオン!!! チュガガボッガァアアアンッ!!! ストームドラゴン『グォゥギャァアアアアアッ!!!』 中井出     「ストック解除ストック解除ストック解除ォオオオオッ!!!          フバァアアハハハハハさぁああけべ叫べヒィイイホホホホ!!!」 リミットブレイクしたソーサラーリングのあまりの威力にたまげた僕は、 そのまま全てのアイテムマグニファイのストックをソーサラーリングに注ぎ込み、 ストームドラゴンを全力で吹き飛ばしていく! 最初にリミット解除した時、指輪が超爆発を起こしたのには本気で驚愕した。 種火を飛ばす程度の能力しかないが、 能力を引き出してやりゃ種火も炎になるに違いねーと思っただけだったんだ。 大きい炎が出りゃ麻衣香がやったみたいに風を消せると思っただけ。 それが俺の秘策だったんだ。 まさかこんな状況に辿り着いてくれるなんて思ってもみなかったわけですが。 お蔭で飛翼の中から吹き飛ぶ形で脱出できたわけです。ありがとう青春。 しかもこれ、意志に呼応していろんな属性が飛ぶ……面白い!面白いよこれ! というわけでそれが解ってからは、風の弱点属性である氷属性攻撃をやりまくっている。 丘野 「おおおすげぇでござる!」 藍田 『提督てめぇ!いつの間にそんな能力を!』 中井出「なんでここでてめぇって言葉が出てくるの!?     あ、いや、ゴホリム。実はこれはアイテムマグニファイという、     アイテム強化を使ったものであってだな。     ソーサラーリングを解放してみたらほれこの通りよ」 藍田 『ソーサラーリングって……光の塔で必要だったあの?』 丘野 「拙者らが壁を登ったことで不必要なアイテムと化したアレでござるか」 中井出「そうそう。ドワーフの財宝の中にあってさ。     で、それに強化を通したらどうだい!ウッハハハハ!これだよぉ!」 言って、ダメな書類を叩く会社の上司のように指輪を手の甲でコシャリと叩いた。 麻衣香「や、どうしてそこでいけすかない上司みたいな態度取るかな」 中井出「やってみたかったんだ」 というわけでストックが切れました。 アイテムマグニファイは3分間に一度のみ……まだ使えない。 中井出「よぅしゆけぇい清水二等!貴様の剣でヤツを吹き飛ばせ!」 清水 「おお!この清水めに活躍の場を!?サンキューサー!     つーわけでいっくぜぇえええ!!     ウェイクアァーーーップ!アーンド───ムーランルージュ!!」 ゴシャーンという音とともに清水が構える小剣が大剣へと変貌する! ロマサガ3一番の奇怪現象!小剣が大剣に変異するウェイクアップが発動!! さらに次いで発動されたムーランルージュによって、 清水が持つマスカレイドに紅蓮の軌跡が現れる! 走り続けているためにその軌跡は後方へと流れるが、 清水が目つきを変えるや剣の刀身にて大回転を開始! 剣閃の数は一個や二個では済まず、 幾重にも放たれた紅蓮の剣閃が剣の周りを高速回転していた! 清水 「インスタントブースター!いくぜ特攻!疾ィーーーッ駆!!」 だがそれでも紅蓮剣閃を放つのをやめない清水がインスタントブースターを発動! 回転する剣閃を剣に宿し、物凄い速さで爆煙を昇らせるストームドラゴンへと肉薄する! 清水 「地来也さん!俺に力を!───“螺旋斬(らせんざん)”!!」 高速回転する一閃十斬の密集剣戟はまさに圧倒的破壊空間!! 清水くんはそれを、無遠慮にストームドラゴンの背中にブチ当てましたとさ。  ギンギャガガガガガドッガァアアアッ!!! 総員 『ホワァアーーーーーーッ!!?』 弾ける火花!飛び散る閃光! そして───大回転しながら吹き飛ぶ守護竜。 まるでNARUTOでいう螺旋丸のように、凄まじい閃光とともに敵を吹き飛ばしました。 藤堂 「すっ……すげぇえーーーーーっ!!」 田辺 『螺旋丸だ螺旋丸!清水てめぇいつの間にあんな大技を!?』 清水 「フフフ、隠れて練習してたのさ。そして見事完成させることが出来たから、     その苦労の分NARUTOっぽく禁呪にしてみました」 総員 『アー……』 そういやNARUTOって、誰かが頑張って覚えた術をとことん禁呪にするような……。 八門遁甲も、螺旋手裏剣とか、まあいろいろ。 活躍してほしい術に限って禁じ手にされてるような……。 清水 「ところでさ、禁呪で思い出したけど……丘野の八門遁甲ってどうなんだ?     あれってNARUTOだと体術奥義だろ」 丘野 「なにを言ってるでござる?     八門遁甲ってのはチャクラの門を無理矢理こじあけることを言うでござる。     “体術奥義”なのは蓮華であって八門遁甲ではないでござるよ。     それに攻撃を加える、という行為は結局五体を使うものでござる。     腕を動かさなければ武器は振るえないでござるね?     つまり門さえ開ければ、体術だろうが刀術だろうがどっちでもいいんでござるよ。     むしろそれ以外が出来るのに体術一本だと決め付けてしまうのがいかんでござる」 中井出「そういや以前、火遁とか土遁とかやって後悔してたな」 丘野 「きっとFF4のエッジの技で忍術を知った世代はみんなそうでござる。     ゲームや漫画では普通のものがオーバーに作られるのは当然でござるのにね。     しかしだからこそのクリエイター!     オーバーに作ろうがそれが素晴らしければ文句などないのでござる!     つまり気に入っているものだろうが、それを固定して見てはいかんのでござる!     ……言ってみれば八門遁甲にしたって、     NARUTOじゃないと忍術でもねーんでござるし……」 総員 『うわぁ……』 それは初耳だった。 でもまあ、それだけ人一人一人によって受け取り方と考え方が違うってことでしょう。 固定された考え方など、我らが嫌いとするものだし。 藤堂 「で、禁呪にしたのは解ったけど、それの解放条件は?」 清水 「え?自分が使いて〜って思った時だけど。     だって変じゃん?苦労して憶えたのに使わないって」 総員 『禁じ手にする意味ねーじゃん……』 清水 「や、だから!みんなを驚かせるために一時的に禁じ手にしたんだってばよ!     ボスバトルとかでドッカーンと決めればカッコイイだろ!?     つーか俺ワンピースのロロノアさんの技ってなんなのかすげぇ知りたいよ!     戦いの度により強力な技出してんじゃん!     それなら最初から使えって言いてぇよ俺!」 総員 『それ言ったら物語成り立たねぇんだろ』 麻衣香「わ……言っちゃったよこの人達……」 清水 「いや……けどさぁ、技を編み出す場面くらい見たくない?     霊幻道士みたいにドシュシュバオバオビッブバッで済ませろとは言わないからさ」 中井出「気持ちは解らんでもないが、     読者にとってキャラの修行場面なんて見ててつまらんだけってことじゃないか?     いいからとっとと戦ってる場面を見せろとか」 清水 「それこそ解らんでもないかも……っと、おお!陸だ!陸がもう近くに!」 中井出「おお!ならば次で最後だ!全員で全力をぶつけようぞ!     僕らの熱い思いを……彼に託すのだ!!」 総員 『サーイェッサー!!』 未だにギュルギュルと回転しているストームドラゴン! 恐らく眼を回していることだろう───だが! そんなヤツが相手だろうがカワイソーとは思わない! それが我らだ原ソウル!! 総員 『愛を受け取ってぇえええええっ!!!』 ───そして……僕らの全力が今、解き放たれました。 ようやく体勢を立て直した竜の顔面に、僕らの愛がぶつけられたのです。
【Side───愛の行き着く場所】 ザァアン……サパァアン…… 波の音が聞こえる。まあそれはどうでもいいんだけど。 夏子 「ですからね?ちょっと船を貸してほしいんです。     船くらいないと移動手段がないというか───」 船乗り「あーあダメダメ。海の男にとって船は命《ドボォッ!》ウボォ!?」 夏子 「じゃあ死ね」 融通の利かない船乗りのミゾオチに拳を叩き込んで黙らせた。 まったく、これだから頭の硬い人は。 もっと柔軟に、よっしゃあ俺についてこーいくらい言えないんだろうか。 夏子 「睦月、そっちどう?」 殊戸瀬「大丈夫。船の動かし方なら飯田くんが知ってる」 飯田 「実家が船乗り、飯田です」 ニヤリと笑う飯田くんが居た。 操船免許なんて持ってないだろうに、それでも見て憶えたと言い張る彼は男前だった。 島田 「こっちも買い物終わったぞー!」 柴野 「必要なもの一通りそろえたわよー!」 蒲田 「おーい!新たに永田がリタイアしたみたいだぞー!教会から出て来───」 ドグオシャアアアアアアアアンッ!!! 総員 『ホキャアアーーーーオォオオッ!!?』 ───いきなりだった。 なにかの塊が飛んで来たと思ったら、 ニコニコと眩しいくらいの笑みを以って走ってきていた永田くんが潰れた。 島田 「なっ……永田ァーーーーーーーーッ!!!!」 柴野 「い、生き返ったばっかりの永田くんがァーーーーッ!!」 蒲田 「み、見ろ!あれは───さっきの守護竜!」 飯田 「永田がいきなり飛んで来た守護竜に潰されたァーーーーッ!!」 総員 『永田!?永田ァーーーーーーッ!!』 哀れ……永田くん、再び昇天。 それでも今際の際に、 ミラクルアドベンチャーの少年のようにニコリと笑って昇天する様はまさに男だった。 佐野 「せやけどなんでこいつがここにおるんや!?     海のド真ん中で戦っとった筈やろ!」 声  『それは我らが吹き飛ばしてきたからさぁーーーーーっ!!』 佐野 「はっ───!?な、なにぃーーーーっ!!?」 飯田 「お、お前はァーーーーーッ!!」 突如として港に舞い降りた影! それとともに急激に寒くなった周囲! 西日(ウソ)を背に受け高らかに叫ぶ彼らの正体は───! ……確認するまでもなく、素晴らしき7人と麻衣香だった。 【Side───End】
ゴシャーーーーン♪ 中井出    「牛乳大好きィイイーーーッ!」 素晴らしき7人『素晴らしき!7人!!』 海を凍らせ、辿り着いた港でギニュー特選隊ポーズを決めた。 ……そんな中で麻衣香は所在なさげに離れて傍観してました。 まあ……素晴らしき7人ではないのだから仕方なし。 佐野 「おお!素晴らしき7人やないか!よぉ来てくれたなぁ!」 飯田 「お前らが吹き飛ばした守護竜の所為で復活したばっかの永田が潰れたんだ!」 7人 『素直にゴメンナサイ……』 まさか先に死んだ永田くんがそんなことになっていたなんて……! だが諦めない!それが俺達に出来る唯一の戦い方なんだよ!! 竜族ってのはバケモンだ! 人間である俺一人じゃあ力でも速さでも知力でも全てにおいて勝るところがない! だが───それがなんだというのだ! 勝てないなら勝てるまで挑戦し続けるのみ! 竜族に人間が勝てないなんて常識なぞぶっ壊せぇえええい!! 中井出「ゆけ!宮毘羅(くびら)大将!!」 田辺 『サ、サー!お言葉ですが私めは宮毘羅大将ではありません!』 中井出「……和羅(にぎら)?」 田辺 『サー!それはうしおととらであります!』 中井出「ええい構わん!いいからゆくのだ!貴様の幻魔の力、見せてやれ!」 田辺 『サー!あれ一回やるのにTP物凄く使うんであります!それでもやれと!?     普通に武器として扱うなら無消費でありますが、幻魔を発動させるとTPが……』 中井出「構わーーん!俺が許す!TP回復アイテムなら腐るほどあるから気にするな!     それにヤバくなったら───」 麻衣香「HPとTPをサポートする賢者です」 中井出「麻衣香が漢神の祝福でごしゃーと回復してくれる!     というわけで総員!集団リンチの準備をせよ!     イェア・ゲッドラァック!ラァアイクッ・ファイクミィーーーッ!!」 ザザァッ!! 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 猛者どもが踵を揃えて敬礼する!───最中、町の人々は悲鳴を上げつつ逃げ惑っていた。 そりゃ、急に竜が飛んでくりゃ誰だって逃げるわ。 俺も今や武器封印のお蔭で狂いし者からは解放されているっぽい。 逃げようと思えば逃げられるに違いない。 だからヤバいとなったら無遠慮に逃げます! え?仲間はどうするか?知ったことではないわグオッフォフォ……!! 誰だって自分が一番可愛いのさ……あんただってそうだろ? 中井出「総員ンンン───突撃ィイイイイイッ!!」 総員 『ハワァアーーーーーーーッ!!!』 猛者どもが駆ける! 当然、男女問わずに我先にと!  バゴォッ!ゴファァアアアアアンッ!!! ストームドラゴン『ギシャァアアォオオオンッ!!!』 総員      『キャーーーーッ!!?』 猛者どもが逃げる! 当然、男女問わずに我先に、怪虫に襲われそうになった仲田くんのような悲鳴を上げて!! ストームドラゴンが港の倉庫に突っ込んでいた身体を起き上がらせ、 叫んだだけでこれである。 ……俺も逃げてたりするわけですがズガッ!ドグシャア!! 中井出「ぷおっぷ!?」 蒲田 「はうあ!つい偶然提督の足に我が足が引っかかってしまった!」 島田 「い、いや!きっと提督はこけることさえなく体勢を立て直せた筈さ……!     だがそうしなかった……!解るだろみんな!     提督は我らを逃がすためにわざと転んでくれたに違いないんだ!」 飯田 「提督……!てめぇって人は……!!」 中井出「うおおおおい!?てめぇら人を犠牲にして逃げる気満々だろオィイーーーッ!!     体よく美談で纏めて自分たちだけ逃げキャーーーッ!!?」 サブタイ:振り向けばそこに。 いや、振り向く前に倒れた俺に下りた影で理解はしてたけどさ。 ストームドラゴン『ルォオオウシャァアアアッ!!!!』 中井出     「ほぎゃあああーーーーーーっ!!!!」 すぐ後ろに咆哮する守護竜さんがいらっしゃいました。 ノ、ノー!なんたることか!いきなりの事態に体が硬直して動かーーーん!! 飯田 「み、見ろ……!提督のやつ……すぐに逃げられるはずなのに動かない……!     きっとあいつを引き付けてくれているんだ……!」 柴野 「わ、わたしたちを逃がすために……!提督……あなた漢よ……!!」 岡田 「さすがだぜ提督……!」 丘野 「男の中の男でござるな……!」 藍田 「とても真似出来ねぇ……!     なんて兵士思いなんだ提督……!俺はあんたの生き様に惚れたぜ……!」 蒲田 「提督……あんた立派だ!立派な提督だ!」 三島 「てーいーとくっ!てーいーとくっ!」 藤堂 「てーいとくっ!てーいとくっ!てーいとくっ!てーいとくっ!」 総員 『てーいとくっ!てーいとくっ!てーいとくっ!』 殊戸瀬「……エロマニア《ボソリ》」 総員 『エッロマッニアッ!!エッロマッニアッ!!』 中井出「テメェエエエらぁあああっ!!!」 なんかもう泣けてきた……つーか泣いてる。 しかしそう落ち込んでいられないのがこの現状! ストームドラゴン『クガァオッ!!』 中井出     「ヒィッ!?《シュフォドゴォンッ!》オワァッ!!」 振るわれた尾撃が地面を砕く! 俺はなんとか間一髪、無様な逆でんぐり返りでそれを躱すと、 すぐにドタバタと起き上がって距離を取る! 佐野 「なんや無様やなぁ……」 飯田 「鍛えてるんだからもっと華麗に起き上がるとかさ……」 藍田 「提督……俺はあんたの避け様に呆れたぜ……」 中井出「うーさい!大きなお世話だよも《ばちこーーん!!》うゴバシャドアシャア!?」 猛者どもに気を散らされた途端に我が顔面を襲う鋭い尾撃! お蔭で港の石畳をバキベキゴロゴロズシャーーアーーーッ!!と転がり滑ることとなった。 中井出「ぶへっ……う、いぎっ……!」 顔がへしゃげたかと思うくらいの激痛。 地面を転がった痛みよりも、顔面の痛みが鋭い。 歯が折れて、舌も噛んでしまったのか血が止まらない。 でも───逆に痛みのお蔭で緊張感が蘇った。 毎度毎度何か起きてからじゃなきゃ決まらないややこしいものも───今決まった。 決まったものの名は“覚悟”。 どんな攻撃を受けようが起き上がり、コロがされようが立ち向かい、 ヤバくなれば鼠のように逃げおおせましょう。 それがこの博光が言うところの覚悟よ!! と、それが決まったところでグミをポーションで流し込んで完全回復! 稀昂双剣(ジークムントとジークリンデ)を手に、 ジークムントで守護竜を指差すように構えて、息を大きく吸ったのちに言ってやった。 中井出「さあ、風の守護竜よ……覚悟は出来たか?俺は出来てる。     臆さぬならば───かかってこい!!」 とっくに決まっていたが、今こそ思考に埋め込もう。 覚悟───完了! 中井出「おぉおおりゃぁああああーーーーーーーっ!!!」 足に力を込め、AGIマックスで一気に距離を詰めてゆく! それは上手く奇襲に役立ってくれたらしく、 虚を突かれたストームドラゴンは俺に対する反応が一手遅れた! 飯田 「さーいらはいいらはい!一口100$だよー!」 岡田 「守護竜に一口」 柴野 「守護竜に」 丘野 「守護竜でござる」 藍田 「守護竜だな」 中井出「オィイイイイイイイイイイ!!!     なに人に全部任せてトトカルティックなことやってんだテメェエエエエ!!!     アレですか!俺は金で動かされて戦う闘技場のモンスターですか!     強敵相手に奮闘していいとこまでいったと思ったら     軽くプチって潰されて昇天するスライムですか!     倍率が高い所為で強くもないのに賭けられて、     負けたら負けたで反感くらいまくる笑顔が素敵な蒼いヤツかァアア!!!     てめぇら逃げる気でいたくせに《ベゴッシャア!!》マダァオ!!?」 突進中に余所見なんかした所為で、竜ビンタを思いっきりくらった。 竜にしては小さいとはいえ、そのビンタはとても痛く、 首が折れモゲそうになるくらいのものだった。 中井出「がっ!ががっ!ぎっ……!」 涙が出る。 現実の辛さとかじゃなく、純粋に痛みからだ。 捻られすぎた首が呼吸を止め、酸素汲々を止められた脳が熱を持つかのように熱くなる。 しかしどうせ痛いのならばと首を掴み、捻れた部分をゴペキャキャキャアと修正!! あまりの痛さに絶叫したが、すぐに飲んだグミでその痛みも消えた。 麻衣香「う、うわ……なんて力技……!」 知るのだ竜の者よ。 覚悟を決めるということは簡単なことではない。 痛みに耐え、生に執着し、でもどーせなら勝ちてー……というところから来る意地!! 他のみんながどんな覚悟を持ってるのか知らないが、 少なくとも俺の覚悟は───……物凄くコロコロ変わります。 人間、生きてりゃ考えなんざコロコロ変わるもんさ。 だから俺は好き勝手に生きるのだ!それを邪魔する者は誰であろうが全力でからかう!! 何故ってそれが原ソウル。常識だけでは語れない。 中井出「いくぜストームさん!───と、その前に3分経ってたからストックストック」 うむよし!アイテムマグニファイをストックしたのち気を取り直して疾駆! 吹き飛ばし大会の中で翼にダメージを負ったのか、 飛ぼうとしないストームドラゴンへ一気に近づき、すかさず連撃! 中井出「せいやぁっ!!」 ガギィンガギィンゾギィンガギィンパギィンッ!! STRとVITとAGIにステータスを振り分け、攻守万全での攻撃───だったのだが。 中井出「うぅわ()ってぇええーーーーっ!!」 鱗がベラボーに硬いです! ちっこいくせになんて嫌なヤローだコノヤロー!! でも馬鹿だから気にしないことにした。 中井出「へっちゃらさーーーーっ!!《シュフィンガッギィインッ!!》」 ようは力ずくでブチノメせばいい!!つーわけで双剣合体ジークフリード! 力こそが悪義!!俺の中に眠る力よ!今こそ俺にその恩恵を授けたまえ!! 中井出「STRマックス!両手持ちフルスイングスラッシュ!!ふぅおっ!!」  ヴオバゴガシャアッ!! ストームドラゴン『ギガァッ!?』 どうせ俺の攻撃など通用しないと、 避ける気もなかった守護竜の腹部の鱗を力任せに破壊する!! おおいける!STRマックスなら、斬れはしないが破壊出来る!! ストームドラゴン『クアァアアアアアッ!!!』 しかしやっぱり反撃に出る守護竜さん! 飛翼を最大まで広げて、咆哮を放って俺達を怯ませつつ風を溜めてゆく!! だがしかし!! 中井出「甘いわクズがぁああーーーーーっ!!!」  シュゴッファバゴロシャア!! ストームドラゴン『クギャアアオ!!?』 徹しを込めたファフニールの燃える拳がフェイスに炸裂!! 咆哮がなんぼのもんじゃい! ンなもん痛かろうが鼓膜が破れてのたうちまわろうがなぁ! アイテム食らって回復すりゃいいんじゃおどりゃあああああ!! そして怪我の功名というか思いつきの勝利というか、ヤツの弱点が発覚!! 鱗が硬いのなら───そう、徹しで内側から破壊すりゃいいんだ!!  ヴフォンガギィンッ!! ならばと、右手で殴るために左手に持っていたジークフリードを腰背面の鞘に納め、 ボクシングスタイルで守護竜を真正面から睨む! ───なんてまだるっこしいのは完全に素っ飛ばしていきなり殴りかかった!!  バゴォッファアンッ!! ストームドラゴン『クギィッ!!』 中井出     「ボマーが無い所為で爆発はないが───          それでも燃え盛るこの拳は貴様なぞには止められん!          おぉおらおらおら徹しパンチ!徹しアッパー!」  ドガァンドガァンドガァンドガァンドボォッ!!  パガドガァンドガドガンドァンドガァンバッガァアッ!! まず顔面を左右から四発殴り、怯んだところに腹部へのアッパー!! 身体を折ったところで再び顔面ナックルへ移行し、さらに殴ってゆく!! ストームドラゴン『ギッ……!図に……乗るなと───!!』 だがその時! ストームドラゴンが忌々しげに眉間にシワを寄せた時、 俺の耳にはストームドラゴンの声が─── 中井出     「徹しサミング!!」 ストームドラゴン『《ザブシャア!!》ぐぉあぁああああああっ!!』 ───聞こえたが、そんなことは知ったこっちゃねー! 俺達は今命を賭けたバトルをしてるんだ! 相手が喋ったからってわざわざ聞いてやる義理などありゃしねー!! というわけで見事に右目を潰してやったわ! 表面上の眼球自体に傷はないが、内部ははそうはいかない。 ストームドラゴン『き、貴様ァアア!!私を怒らせてただで済むと思うなよ!!』 中井出     「知るか死ねボケ!!」 ストームドラゴン『おのれぇえええええっ!!』 体が小さいってだけで、他の守護竜よりなんと戦いやすい! しかも飛ぼうとしないから余計に殴りやすいときたもんだ! 中井出「円の動き」 故に死角に回り込みつつ細かく連打連打じゃ! ヤツの右目は既に使い物にならん! ならばそこを執拗に狙い、勝利を我が者とするのじゃ! 卑怯だと?失礼なことを言わないでもらおう! 相手の弱点を狙うのは戦いにおいての常套手段! キン肉星王位を永久のものとするためにも、邪魔者は灰にするのだァア!! ……まあもっとも、失礼だろうがなんだろうが卑怯に徹するのは当然ですが。 中井出「シィッ!《ドゴォンッ!》ぶべっしぇぇええっ!!」 細かいジャブが今まさに俺の時代を作らんとしたまさにその時。 円を描くように振るわれた尾撃が見事俺の脇腹を強打。 俺はあっさり地面に叩きつけられ、 ストームドラゴン『ルゴォオウシャアアアッ!!!』 中井出     「え?あ、待っ───!!」 ズゴォオオゴゴゴフォガァッチュゥウウンッ!!!! ゾンガガガガガガォオオオオンッ!!! ───……倒れたところに放たれた波動風(弱)によって、 一撃で神父送りにされましたとさ……。 ───……。 ……。 ───ズドドドドドド!! 中井出「おのれこの博光、もはや辛抱たまらオワァーーーーッ!!? 神父のありがたい説教を軽やかに無視し、 死んだことでリセットされていたアビリティ使用タイムに笑みを浮かべつつ、 再びアイテムマグニファイをストック。 それから颯爽と港に戻ってみれば───そこで行われているのはドラゴン集団リンチの宴! 中井出「やめろ!やめねぇか!てめぇら卑怯だぞ!さっきまで傍観者だったくせに!」 岡田 「円の動き」 清水 「円の動き」 言ってはみるが、円の動きで敵を執拗に狙い続ける猛者どもはてんで止まらない!! ───だからなんかもう俺もさっさと混ざることにしました。 卑怯?勝ちゃあいいのよ勝ちゃあ。 藍田 『おお提督!よく帰ってきた!ヤツの攻略法───見つけたぜ!』 中井出「なにぃ!?それはまことか!?」 藍田 「イェッサー!殊戸瀬がヤツの動きのクセを見つけたんであります!     さあ、まずはごろうじろ!」 サム、と藍田が目で殊戸瀬を促す。 と、そこではストームドラゴンを前に器用に立ち回り、隙を狙う殊戸瀬二等が─── 殊戸瀬「今《バゴシャア!》ぷぎゃうっ!《キュバババォオン!!》───!!……」 丘野 「ウオォーーーーッ!!?睦月ぃーーーーっ!!     睦月が読み間違えたでござるーーーーっ!!」 ───読み間違えてあっさり尾撃で撃沈。 風ブレスをくらって昇天しました。 飯田 「ターーーッ!なにやってるかぁーーーっ!!」 岡田 「クソの役にも立たねーやつだな!」 総員 『死ねクズが!!』 そしてみんなクズだった。 きっと俺が昇天した時にも同じ言葉が使われていたに違いありません。 ───だが俺もなんとなく解ったぜ殊戸瀬二等〜〜〜っ!! 読み間違えさえしなければ確かにこれはいけるかもしれねぇ〜〜〜っ!! 中井出「AGIマックス!フンヌハァーーーーッ!!《ドシュウッ!!》」 まずは疾駆! 殊戸瀬がコロがされたことで一歩距離を取った猛者どもの間を抜け、 ストームドラゴンの前へ出る! ストームドラゴン『クギャアオッ!!』 すると早速くる尾撃! だがそれを速度で躱すと、止まらずにまだ回る!! ストームドラゴン『クアァアオッ!!』  ファゴォッシュゥウウンッ!!! 次弾は風! だがそれも呼び動作さえ見ていれば避けられないこともなし! この博光は放たれた風を見事に避けてみせ、ニヤリと笑った。 中井出「見切ったぜアロマタクト。     ようはてめぇ〜〜〜っ、空さえ浮けなけりゃ機敏な動きが出来ず、     風か尾撃に頼るしか攻撃方法がねぇんだな〜〜〜っ?」 総員 『───はうあ!言われてみれば!!』 納得すれば早かった。 猛者どもはギシャアと目を光らせ、 まるで財宝の山を見つけて我先にと駆け出す修羅が如く、 ストームドラゴン抹殺への第一歩を踏み出したのだ───!!  バサァッ……!! 総員 『───ギャア』 そして、空に浮いたストームドラゴンを前に硬直。 ば、馬鹿な……! この野郎、飛べなかったんじゃなくて飛ばなかったとでも……いうのだろうか。 などとほん呪の真似をしている場合ではなぁーーーい!! やべぇ!空を飛べるとなると状況がまるで一変する! ストームドラゴン『愚かだな、人間とは。少し貴様らの条件で遊んでやれば調子に乗る。          さあどうした、来るがいい。存分に可愛がってやるぞ?          今の私は己を抑えることが出来ないんでな。          来ないというのならこちらから───!!』 中井出     「オ、オワッ……総員退───」 総員      『とんずらぁあーーーーーーっ!!!!』 中井出     「え?あ、あれぇっ!?いやちょっ、待っ……!!」 振り向き、号令をかける前にとっとと逃げる猛者ども!! そして向き直れば飛翼を広げて波動風を溜めるストームドラゴン!! ……なんかもう、ほんと泣きたくなりました。 中井出「ちくしょうてめぇらみんなクズだぁあああっ!!」 総員 『誰だって自分が一番可愛いのさ……あんただってそうだろ?』 中井出「改めて言われるまでもねぇよ!!     自分が可愛くなきゃこの場面で涙が出るもんかぁあっ!!」 総員 『このクズが!!』 中井出「ギ、ギィイイイイイイイイッ!!!     現在進行形でスペシャルクズなてめぇらに言われたくねぇよ!!」 男子群『なんだとっ…………!』 女子群『死ねっ…………!』 中井出「だから死にそうなんだってば!この状況見れば解るだろうがクズが!!」 総員 『黙れクズが黙れクズが黙れクズが黙れクズが!』 中井出「おぉおおおおおほんともう容赦ねぇクズどもだなってウヒョォーーーッ!!?」  ドゴォッシュドッガァアアアンッ!!! 中井出「ヒ、ヒィイイイイイッ!!!」 放たれた波動風を死ぬ気で避ける! 斜に撃たれた風は港の石畳を削岩機のように抉り、 それでも止まらず海面さえも穿ち、いつしか消えた……! 中井出「ア、アワワ……!!」 それでも軽く撃たれたものだったのは見て解った。 風を吸収しながら、体内で圧縮して、 全てを一撃に使うんじゃなくて細かく撃ってきたのだ。 ……つまりそのー……ヤツの体内にはまだ風がいっぱいあるということでして…… くそう!お、俺だってなぁ! 霊章さえ無事ならバリアチェンジでもっと上手く立ち回ってファゴォッシュ!! 中井出「オワァーーーーーーッ!!《ドッゴォオオオンッ!!》キャオワァーーーッ!!」 地面を撫でるように吐かれた風が地面を走り、俺の足元で炸裂する! するとどうだろう……! 俺の身体はまるで打ち上げられたファールボールのように宙を舞い……!! ストームドラゴン『コァアアカカカカカォオオオンッ!!!』 中井出     「ヒィッ!?」 あっさりとロックオン! 身動き取れない状態の俺をしっかりと凝視した隻眼! 広げられた飛翼からさらに集束してゆく風! イ、イヤァ!!あんなの受けたらまた死んじゃう! 今やナギーズバンクがない俺にとって、 死はそれだけ金を消すことになる恐ろしいもの! ここで死んでしまったらまた金が半分に……! しかも猛者どもめ、しっかり逃げてるくせにパーティー解散だけはしてないから、 勝った時点で取得金は山分けっ……!俺に戻ってくる金など微々たるもの…………っ! 散財…………っ!吐血が如き……戻らぬ散財………………っ! 中井出「しっ…………死ぃんでっ……たぁあまるかぁああああああああっ!!!」 腰に手を回してジークフリードから透粒剣テオスラッシャーをエジェクション!! 次いでソーサラーリングを指に嵌め、迷わずストック解除! 中井出「アイテムマグニファイ!引き出すのは風!!」 ソーサラーリングから荒ぶる風属性を解放! 途端、属性に呼応する特性を持つテオスラッシャーがその刀身を蒼色に変える! 中井出「OK素晴らしい!では参る!」 落下を待つか波動風で消されるかを待つだけの俺─── だが振るった蒼透明の剣から強烈な風を巻き起こし、 落下するのではなくむしろストームドラゴンへ向けて飛んでゆく!! ストームドラゴン『!!───クァアアォオッ!!!』  ギヴァアアッチュゥウウン!!!  フォガガガガガォオオオゥウンッ!!! 虚を突けたのは刹那の間。 急に方向転換し、 しかも波動風を溜めている自分目掛けて飛んでくるなんて思わなかったんだろう。 だがすぐに俺を凝視すると、口を開けて─── 体内に残る全てであろう圧縮された風を、中空の俺目掛けて放ってきた!! 中井出「くっ───う、ぉおおおおおおおおおっ!!!!」 だが怯まぬ! 当たったら一撃死は免れぬそれ……だが俺は、 剣から放たれる暴風の軌道を力ずくで変えると、 放たれた波動風の下を潜るようにして石畳の上を滑走した───!! ストームドラゴン『ガッ!?』 よほど驚いたんだろう。 体内の風をすっからかんにしたソイツは、地面を走る俺を見て目を見開いた。 ……空に浮いたのが仇となったんだ。 地面に居たままだったら、きっと地面を滑走する程度じゃ避けきれなかった。 だからこれは───貴様が撒いた種!! 今度こそ完全な虚となった隙を突き、俺は再びストックを解除する。 苦し紛れに放たれた風ブレスを、解除する際に全力で放った風属性で相殺しつつ。 さて……次にソーサラーリングから引き出して、剣に込める属性は───氷だ!! 中井出「いくぞこの野郎!!有り合わせ複合奥義!!氷桜(ひょうおう)ッ───絶燕衝(ぜつえんしょ)ォオオッ!!」 滑走の勢いをそのままに、地面を思い切り蹴って跳躍! 空中に居るストームドラゴンの、鱗が壊れている腹目掛けて───剣を一気に振るう!! 中井出     「おぉおおりゃぁあああああああっ!!!」 ストームドラゴン『───!クガァアォオッ!!』 ───! だが、そんなものをわざわざ受け止める必要などないのだ。 ストームドラゴンは危険感知でもしたのか飛翼をはためかせると、 紙一重で俺の攻撃を躱し……再び俺を凝視して口を開いた!! 中井出「甘いわぁあああああっ!!」 だが紙一重だったのが命取りだ。 この博光、戦闘においてはいろいろ避けられた時のこととかも考えておるわ! 中井出「稲妻レッグラリアァーーーート!!!」 ヴァヂィヂヂヂドンガァアォオオッ!!! ストームドラゴン『グギィッ!?』 超至近距離で俺に風ブレスを食らわせようとしていた顔面にこそ、 雷を帯びたドンナーで地面に叩き落とすように一撃を食らわせてやった。 おお実にイブシ銀!! しかし落下するストームドラゴンはなおも飛翼をはためかせ 中井出「稲妻反転蹴りィーーーーーーーッ!!!」  ゴドンゴヂガバシャァアアアンッ!!! ストームドラゴン『ギャオォオオアアアアアッ!!!』 ……た瞬間、浮き上がったその身体を燻流空武術稲妻反転蹴りで潰させていただきました。 さらに轟音を立てて地面に落ちるその体に渾身のテオスラッシャー!! 中井出「氷牙ァッ!絶氷陣!!」  ザゴォッフィパギギギギギィインッ!!! ストームドラゴン『グアッ!?キギャァアアアアアッ!!!』 落下の勢いとともに飛翼の付け根に剣を突き立て、両の飛翼を完全に凍らせる! 殺傷能力はあまり高くないが、部位の氷結封印くらいは可能だったようだ。 ストームドラゴン『ギッ……グバァシャアアアアアッ!!!』 中井出     「《ドゴォッ!!》ぶげぇっ!?」 翼は封印した。 これで飛翔も波動風も出来ない。 それでもストームドラゴンはすぐに起き上がると、咆哮を発して俺を首で吹き飛ばした。  ザザッ!ゾザァッ!! 中井出「い、いがぁっ……!!ちちち……!!」 地面を背中で滑り、攻撃された脇腹を庇いながら立ち上がる。 あんな状態になってもすぐに攻撃してくるなんて、ほんと竜族っておっかない。 中井出「……、はぁっ……」 見れば、両の足で立ち上がったストームドラゴンは、 翼だけではなく前足さえ凍りついていた。 それを悟った上での首での攻撃……だったんだろうか。 なんにせよ、竜族の誇りってやつには本当に頭が下がる。 どれだけ傷つこうが退くってことを知らないのは馬鹿みたいとも思えるが、 それこそが誇りってやつなんだろう。 引き際も肝心だって思う俺にとっちゃあ、なんのこっちゃって感じだが…… その覚悟が決して馬鹿にできるもんじゃない。 ……まあ俺がこれからどうするのかは別として。 中井出「風の竜よ……お前はもう、死んでいる」 だから勝利宣言をしておきました。 だってもう勝てる気しかしないし。 ストームドラゴン『ほざくな人間っ……!人ごときに竜族が───!!』 中井出     「死ねぇええええーーーーーっ!!!」 ストームドラゴン『ぬあっ!?貴様!まだ私が喋り途中───!!』 怒り顔で喋り出した守護竜様! そんな彼の虚を突き疾駆! 今度こそ飛べない彼を前に、 テオスラッシャーと交換するカタチでブラッシュデイムを解放! マグニファイで鬼人化を開放するとすかさず戻し、全力疾駆でスピードアップ!! 滑るようにストームドラゴンの脇へ潜り込むと、 中井出「STRMAX!!渾身徹しナァックルァアアアーーーーッ!!!!!」 振り向きザマの顔面に容赦無しの灼熱ファフニールナックルを振り切る!!  チュゴッファゴバァンッガァアアアッ!! ストームドラゴン『ぐおぁああああっ!!?』 その威力はまさに今の俺に出せる全力分!! 拳で来るとは思わなかったのか、完全に困惑していた横っ面に食らわせてやった! 中井出「さっきから何度も吹き飛ばされてたからそのお返しだバーロォ!!」 そして───この一撃が貴様の最後への引き金となるのだ!!  ゴォッ……ザッパァアアアアアンッ!! ストームドラゴン『グオォッ!!?ぐっ……!?これはっ……!』 中井出     「そう!海ですよドドリアさん!!          それもただの海ではありません!麻衣香の魔法で散々凍らされ、          夏だというのに冷え切った超冷海水!!          故に翼と腕を覆った氷が溶けることはありませんし、          上半身を封じられているあなたは沈むのみ!!          グブフハハハハハハ……!そう、貴様は武器で殺されるのではない……          この海で、自らの無力さを噛み締めながら溺死するのだ……!!          守護竜きっての無様な最後を遂げるがいいわグオッフォフォ……!!」 ストームドラゴン『グッ……グォオオオオオオオッ!!!《ブチブチブチブチ!!》』 躍動する血管!! 血走る瞳!!そして俺を睨む、子供なら死んですらしまいそうな凝視!! だがそんなものも今となっては心地いい……!! 中井出「フハハハハハ!!オラァ!!オラァアッ!!沈め!沈んでしまうがいい!!」 僕は散々とストームドラゴンが破壊した石畳の瓦礫を拾うと、 溺れるストームドラゴンへゴドンゴゴドンゴと投げ始めた!! 男子群『こ、こいつ……』 女子群『クズだ……』 それを見た猛者どもが汚物を見るような目で僕をクズと呼びました。 でも大丈夫!なにせこの博光は魔王であるから!! 外道悪行悪義と横暴!なんでもしましょう原ソウル!! だって、言うわりに猛者どももすぐに石を拾うと投げつけまくり始めたし。 ストームドラゴン『ぐ、ぶっ……!お、おのれ……!あまり調子に乗るなよ……!          私はここまでだが……くふふははは……残念だったな……!          私は守護竜の中でも下の下……!!今に貴様を上位の守護竜が』 中井出     「うーさい!!」 ストームドラゴン『《ズボシャア!》ぐがぁああああああっ!!!』 剣からカルドグラスを解放して、フォアストールでもう片方の目を破壊してやりました。 するとそれで気絶したのか、ガボゴボと沈む首。 やがて完全に動かなくなり───………… 猛者どもだけがレベルアップの音に騒ぎ出したのだった。 ねぇ神様……僕ももう一度、自分がレベルアップする音を聞きたいです……。 でもこれで水と風の竜宝玉手に入れたし……いいとするかなぁ……。 Next Menu back