───冒険の書204/光の聖域へ───
【ケース523:中井出博光/ヒロミチュード・セプテントリオンパワード】 ザムゥ〜…… 中井出「あ、ああ……あああ……シィ〜〜〜ザ〜〜〜ッ!!シィイイザァアアアッ!!!」 やってきた光の塔頂上! 長かったぜ……!とても長い戦いだった……! ……ていうかあのー、 光の塔の仕掛けがヤケにコロコロ変わったのはどうしてだったんでしょうか。 仕様?……にしては誰かの憎悪をひしひしと感じずにはいられなかったんだけど。 中井出(俺の……俺の知らないところで……!何かが動き初めているッツ!!) ……などと柴田亜美風語尾を頭に浮かべたところで、改めて前を見てみた。 田辺 『アイム・シーザー』 中井出「………《ごしごし》」 ……田辺が居た。 目をこすってもう一度見てみる。 田辺 『アイム・シーザー』 ……田辺が居た。 中井出「あの……なにやってんのお前、こんなところで」 田辺 『いやぁ、提督のことだからみんなで一緒に昇ると見せかけて、     一人だけで行っちまいそうな気がしたから、だったら壁を登って来てみようかと。     そしたらいきなりシーザー言われたから、シーザーと名乗ってみようかなと』 中井出「ぬ、ぬう田辺二等……!き、貴様という男は……!」 偶然とはいえこの博光の行動の先読みをするとは……! 田辺 『それで…………やっぱり晦たちは居ないか』 中井出「うむ。結果的に置き去りになってしまった」 でも後悔はしてない。 これで───そう、これで宝は僕のものだ! ……田辺二等が居たのは正直想定外だったが、OKだ。 中井出「それで……頂上にあるっていうさらなる天空への行き道ってのは……」 かつて光の精霊レムと戦ったこの場所で、ある筈のゲートかなにかを探す。 ここまで来るのに、ちゃんと全ての蝋燭に火は灯した。 だから無い筈がないんだが───ってあった。 つい塔内部のクセで中心を探してたけど、随分と端っこのほうにそれはあった。 田辺 『《マジュンッ!》……ふう。……あれか?」 田辺もそれに気づいたんだろう。 妖魔化を解いて語りかけてくる彼にに“だと思う”と返して、俺は光に歩み寄っていった。 以前来た時にはこんなものはなかった筈……とすると、ビンゴだろう。 田辺 「この先になにかがあるんだっけか」 中井出「晦の話じゃ、屠竜の秘術があるって話だけど……」 それがほんとにエクスカリバーなのかは解らない。 解らない上に、魔術じゃ俺は使えないんだよな。 だから石版か魔術書だったら売りつける気満々!! では行こう!まだ見ぬ花園(ゾノ)へ!! ───……。 キィイイ───ビジュンッ!! 中井出&田辺『うおっ!まぶしっ!』 着いて一声がそれだった。 何故って辿り着いたその場所、光の聖堂と言ってもいいくらいに眩しいのだ。 ぐおお、目ぇ開けてるのも辛い……!ついガン飛ばすみたいな顔になってしまう……! 中井出   「なにガン飛ばしてんだテメェエーーーーッ!!」 田辺    「おぉ!?なんだやンのかコラァ!!」 中井出   「………」 田辺    「………」 中井出&田辺『素晴らしい……!』 とりあえず同じ考えだったことを確認すると、僕らは固く握手を交わした。 そうしてから改めて辺りを見渡すに……どうやらここは光輝く小部屋らしい。 見渡す限りの輝く壁や天井……それと、ぽつんとある出入り口のようなもの。 パッと後ろを振り向いてみれば、そこには大仰な祭壇と、幾つかの宝箱。 さらにいえば祭壇の中心には、やたらとカッチョイイ剣が鞘ごと突き立てられていたッツ! 中井出「たっ……宝ァーーーーッ!!《ギャオッ!!》」 田辺 「なにっ!?ア、アアーーーーーッ!!」 我が言葉に田辺も振り返る! だが遅い!既にこの博光はAGIマックスで走り、辿り着いておるわ! さあ開けゴマ───オープンザ宝箱! ───ガバチャア!!  ……デェッテケテテェ〜〜ン!!《屠竜奥義書を手に入れた!》 中井出「おお!奥義書!?」 こりゃまた懐かしい! 徹しの奥義書以来じゃないか!? 田辺 「な、なにが出たんでありますかサー!」 中井出「うむ!これである!」 とりあえず手に入れたばかりの奥義書を田辺に渡し、 その隙に俺は他の宝箱を開けていった。  でぇってけててぇ〜〜〜ん!!《屠竜魔術書を手に入れた!》 中井出「ぬう!?奥義書の次は魔術書か……───よし文字が読めん」 後回し決定。 バックパックに入れてと……次は?  デェッテケテテェ〜〜〜ン!!《デッキブラシを手に入れた!》 中井出「ホッ……ホワァアーーーーーーーッ!!?」 田辺 「おわぁっ!?な、なんだよどうしオワァアーーーーーーーーッ!!!!」 デッ……デ、デデッ……デッキブラシ!! デッキブラシだ!すげぇ!!しかもこれ何気に月属性!? なんだこのデッキブラシ!すげぇ!宝箱にデッキブラシって! と、とにかく調べる発動!  ◆月光デッキブラシ───げっこうでっきぶらし  光の塔に伝わる伝説の武器。  柄には最高級のハイエルフ原木を使い、  ブラシには古に存在したとされる月光竜の体毛が使われている。  興奮すると逆立ち硬質化すると伝わる月光竜の体毛をそのまま使っているため、  どれだけ時が経とうと千切れることもない。  強力な月属性を秘めており、  一度振るえば星の輝きが軌跡となる魅力の逸品であり、数少ない月属性装備の一つ。  あまりに稀少なため、値段をつけることができない。  *潜在能力:磨いたところに汚れがつかない ……。 ……ゴッ……ゴクッ……!! 中井出「す……すげぇ……!」 田辺 「磨いたところに汚れがつかないって……!すげぇぞこれ……!!」 俺と田辺はそろって息を飲んでいた。 この世に……この世にこんな素晴らしいデッキブラシが存在しようとは……!! あ、い、いや落ち着け、まだこの程度で驚いてたら先に進めないよな、うん。 というわけで、ホウけてる田辺二等はほっといて次……ガチャア!  デェッテケテテェ〜〜ッ!!《魔剣クサナギを手に入れた!》 …………魔剣? 中井出「魔剣なの?つーかなんでクサナギ?クサナギソード?」 田辺 「それはモモタリャ〜であります、サー」 中井出「喩えだって」 なんにしても調べる発動。 調べてみなけりゃどんな剣かも解らんし。  ◆魔剣クサナギ───まけんくさなぎ  草薙と書く。東に伝わる剣であり、  刀が主である東にこの者ありと謳われた、とある名匠が鍛ったとされるもの。  変わった形をしており、剣自体に浮遊能力と波動を発する能力が秘められている。  あくまで伝説だが、その名匠が月の精霊に関係しているものだったのでは、  という話が未だ何処かで囁かれている。  現に月属性を秘めており、高い攻撃力こそ無いが、飛行能力に長けている。  魔剣と呼ばれる所以は不明だが、この剣は名匠の家に置き去りにされていたらしく、  さらにはこれを鍛っていた筈の名匠の姿を見た者は、それ以降誰も居ないのだという。  ちなみに、先端から出る波動には攻撃といえるほどの威力は存在しない。  *潜在能力:浮遊、飛行 ……。 中井出「えぇ!?空飛べんの!?これで!?     試しにGO!《ドゴッチュドッガァアアン!!》ギャオアアーーーーッ!!!」 乗って二秒で壁に激突した───ていうかこれ速いッ!速すぎッ!! 飛んだ時、剣の先端からジェット噴射みたいな光が噴き出してたぞ!? い、いや、それよりも……ほ、星が見えるスター……! 田辺 「お、おーい。大丈夫でありますか、サー」 中井出「だ、大事ない……(と思いたい)」 壁に敵対視されてるわけでもなし、HPはすぐに回復。 シャッキリした僕は祭壇へと戻りながらクサナギをバックパックに仕舞い、 次の宝箱へと手をつけたのだった。 乗り慣れるまで大変だろうけど、これはいいものです。 中井出「さて次は───おお?」  デェッテケテテェ〜〜ン!!《月の大きな欠片を手に入れた!》 次に開けた宝箱には、晦が探している月の欠片の……大きなものがあった。 今まで見てきたものよりよっぽど大きいものだ。 ……よし売りつけよう。 もちろんこの博光が売るのだから安い筈はないがなグオッフォフォ……!! 中井出「……次で最後か」 祭壇の剣を抜かせばこれで最後のお宝。 ゴクリを唾を飲み込み、伸ばした手が最後の宝箱に触れる。 やがてゆっくりと開けたその中には───!!  でてーんてーんて・てーでげでって〜ん♪  で・て・てけてて〜〜〜〜ん♪でげで〜〜〜んでってっでげて〜〜〜〜ん♪  デンテンテケンテテンッ♪ワシャーーーン!! ピピンッ♪《月光竜の卵を手に入れた!》 中井出「ギャッ!!」 田辺 「え?どうしギャッ!!」 大仰な音楽とともに箱から現れたるもの!それはなんと卵だった! ちっちぇえ!かなりちっちぇぇ!竜の卵とか書いてあったのにちっちゃいよ! ヒィ!しかも鼓動してる!動いてるよこれ!!え、えぇ!?どうしろってのコレェ!! 孵化させろってこと!?僕に!? 中井出「あ、あわわ」 田辺 「お、落ち着く出あります提督殿!まずは調べてみるであります!」 中井出「う、お……そ、そうだね……!イ、インスペクトアイ!《テコーン♪》」 田辺二等に言われるままに調べるを発動。 つい手に取ってしまった卵を、僕はシゲシゲと見つめ始めた───!!  ◆月光竜の卵───げっこうりゅうのたまご  今や絶滅したとされる月光竜の卵。  いわゆる前足が飛翼である飛竜とは違い、  前足後ろ足ともに揃い翼もある、“ドラゴン種”の卵。  守護竜として数えられる月光竜だが、古き時代にデスゲイズと衝突。  呪いをかけられた状態で深手を負わされ、転生不可能になっていた。  故に卵を残し、転生できないままに死亡。  転生ではないために経験や記憶は受け継がれず、まっさらなままで産まれてくる。  月光竜は竜族の中でも一際小さいことで知られ、  そのサイズは飛竜よりも小さいとされている。  産まれてきた幼生を上手く成長させ、  生体にしてから殺せば、今や伝説上でしか知られない月光竜の素材が回収出来る。  産まれる幼生には呪いがかけられていないため、当然転生も可能だが、  殺された憎しみを忘れることはないだろう。  *潜在能力:孵化、持っているだけで心が静まる ……。 中井出「やっぱり孵化するの!?これ!」 田辺 「し、しかも居ないとばかり思ってた月属性の守護竜の卵!?す、すげぇ!!     どどどどうするでありますかサー!これはやはり───」 中井出「この子は私の子です!!《バァアーーーッ!!》」 田辺 「サ、サー!!てめぇって人は懲りることを知らねぇんでありますか!?     聞けば以前、種坊主と親子の縁のことでマジバトルをしたとか!!」 中井出「ならば殺せと!?成長させてから殺して素材を剥ぎ剥ぎしろと!?     馬鹿も休み休みお言い!この博光、常識破壊は好きだが、     産まれてくる子を素材を剥ぐためだけに成長させて殺せるほど外道ではない!     俺はこの子の誕生を祝福しよう!それがわたしの天命!!」 田辺 「タ、タケルさん……!!───……ところでそいつが敵対したら?」 中井出「え?容赦なくフルボコるけど」 田辺 「すげぇや!さっすが天下の中井出さんだ!!」 敵対するなら容赦せぬ。 それがルールだ原ソウル。 中井出「じゃあとうとうシメということで」 田辺 「お、押忍」 ジャリ、と……足を踏み鳴らしてから改めて祭壇の中心を見る。 そこにあるのは綺麗な装飾が成された長剣。 鞘に納められたソレはこの部屋の光に当てられ、燦然と輝いている。 お蔭で輪郭がおぼろげなんだが、間違い無く素晴らしい武器であろう。 俺と田辺は頷き合うと剣の前に立って、やがて─── 中井出「あ。ヤな予感するから奥義書返して?読んでおいたほうがよさそうだ」 田辺 「ほいよ」 田辺に渡しておいた奥義書を受け取って、それを読んでゆく。 文字は相変わらず謎だったが、読むという行為が大事らしい。 俺の中になにかが生まれゆくのが感じられた。  ピピンッ♪《奥義習得!“葬竜剣”(そうりゅうけん)を会得した!!》 中井出「おおっ!?いかにもな名前!」 竜を葬る奥義……なんと素敵で素晴らしい! あ……でも竜族以外にゃあまり高いダメージ望めないらしい。 ちょっとショック。 中井出「田辺二等、貴様はどうだった?」 田辺 「せっかくだから妖魔状態で読んでみたであります!     そうしたら炎魔葬竜弾というのを会得したであります!」 中井出「……弾?」 田辺 「弾であります。問題点は、妖魔化を全力開放しなきゃ使えないことであります。     人型ではなく完全妖魔状態じゃなければ使えないのでありますよ。     人型状態の場合は相破滅竜閃を習得したであります」 中井出「な、なにぃ!?二つなんてずるいぞ!───いや見切った!     えーと……武器を双剣に変えて……と。……読破!」 ピピンッ♪《奥義習得!滅竜天雷破を会得した!!》 中井出「よっしゃーーーっ!!思った通りだぜ〜〜〜っ!!」 田辺 「……奥義書って案外いい加減なのな。     まあ、武器の種類によって奥義が違うのは解る気もするけど」 中井出「憶えられればそれでよし!……でも、使用条件ほんと厳しいな」 葬竜剣───オールエジェクトギミック後、全部の武器を収納し終えたのちに可能。 滅竜天雷破───鬼人化状態+雷エンチャント状態+双剣状態で可能。 ……どれも面倒極まりない。 特に滅竜天雷破なんてブラッシュデイムエジェクトしてマグニファイ、 テオスラッシャーエジェクトしてソーサラーリングにアイテムマグニファイ(雷)、 テオスラッシャーにエンチャントさせてから武装融合したのちに双剣化。 それからようやく放てるってくらいに面倒だ。 でも奥義が二つあるというのは素晴らしいことだ。 というわけで─── 中井出「グングニルをエジェクト……読破!     ギガノタウロスの斧をエジェクト……読破!     ファフニールとドンナーだけの状態で……読破!」 持ちうる限りの武器を持って読破! するとしっかりそれだけの分の屠竜奥義を覚えることが出来た!! おおマーヴェエラァス!!なんという素晴らしさだ!! 田辺 「提督!俺も俺も!───読破!     おお!タイガーランページがドラゴンランページに昇華!素晴らしい!     ……でもどうしていちいち発動条件が厳しいかな」 中井出「ばんばん使えたら竜族がザコになるからだろ」 田辺 「だからってひでぇでありますよ、サー……」 気持ちはとても解るんだが、こればっかりはどうにもならん。 だがこれはまあ……応用ってやつ? 中井出「マグニファイ!オールエジェクトギミック!!」 キィンッ!ガシャッ───パギャァアンッ!! 田辺 「うおおっ!?サ、サー!いったいなにを───」 中井出「すぅっ───器詠の理力全力解放!はぁあああああああっ!!!」 ヒュッ───ガンギギギギギギギギギンッ!! ギャリギンギガガギガガガカキイカギキィンッ!! 虚空へ向けて解除した全ての武器を、器詠の理力で繋げて一気に引き戻す。 一つ一つが細身になったジークフリードへと重なってゆき、 やがて全ての武器が納まり、ジークフリードが元の姿に戻った時、 我が愛剣に紫色の力強いオーラが篭る!! 中井出「はいストック《ガキィンッ!!》」 田辺 「ア……アァーーーーーッ!!」 そう……!これは設定の裏を掻いた秘技……!! ようは発動条件を満たした上でストックしちまえば、いつだって使えるということ……!! …………あ、あれ?なにやら恨みがましい視線が、 僕の知らない何処かからひしひしと飛んできているような……。 だ、誰ぇ!?誰なの!? この、光の塔を昇ってる時からずっと向けられてる殺気めいた視線!! 田辺 「そーかそぅかその手があったか!さすがだぜ提督!     じゃあ俺も───グゥウウォオオオオオオァアアアアッ!!!」 中井出「おや?ヒ、ヒィ!!」 田辺が……田辺が変貌してゆく!! しかもこれは……この変身の仕方は!! 中井出「ちっ……力任せに誰もが暴れ放題(ほうだ)ァーーーーい!!」 ゴォオオッ───ゴバァンッ!! 田辺 『……ッフン……!やっぱりこっちのほうが動きやすくていい……!!』 思いっきり、アニメ結界師の牙銀(がぎん)の変身の仕方だった。 白目になって首を振りながら俯いたのちに一気に変貌……これぞ牙銀クオリティ。 品質関係ないけどね。 そういや学生時代、 あの変身の仕方がオープニングでやってた時からのお気に入りなんだ、って言ってたっけ。 中井出「お、おおおぉお……!なんと雄々しき姿よ……!     ……つーか田辺クン?ドラゴンバトルで見た姿とちょっと違うみたいなんですが」 田辺 『ああ、妖魔化ってのは姿は自分で決められるんだわ。     だから翼生やしたり腕増やしたりとか自由自在。     だが俺の奥義の炎魔葬竜弾はよ、この姿じゃなけりゃ出来ねぇんだよ』 中井出「その姿じゃなきゃって……つまりその奥義って牙銀大砲?」 田辺 『そういうこったぁ!歯ァ食い縛って受けてみろやァア!!』 腕が左右3本計6本、足が馬で顔も馬、六本腕のケンタウロス姿─── いわゆる牙銀状態の田辺が、六本の腕に灼熱の炎を出現させる! その炎は温度をどんどん上昇させてゆき、やがては蒼い炎となる。 それら六つの炎を自分の前方に流してゆき、だが途絶えないように次から次へと炎を生成。 超圧縮の濃い青色の火球を作ってゆく! 中井出「お、おおお……!牙銀大砲だ……!     正式名称は無いんだろうけど、よもやこの目で見れる日が来るとは……!」 でもタメがメチャクチャ長いのが超がつくほどの難点。 牙銀って清々しいほどのパワーキャラだからかなり好きだったのに、 あっさりと死んだのはかなり悲しかった……目の前の彼は、かつてそう語っていた。 そうなんだよな、最近の漫画やアニメじゃ、 あそこまで真っ直ぐなパワーキャラで戦闘狂なヤツは存在しない。 居ても妙に悟ったりしてるヤツくらいで、直情全力馬鹿ってのは居ないんだよな。 OPテーマの“力任せに”の部分で牙銀が変身してるのが、 素晴らしくよく合っていると思えるほどだ。 ブリーチのヤミーには期待したんだが、案外周りの言葉には耳を傾けるヤツだったし。 田辺 『オォオオオオオオ…………───ストック《ガキィンッ!》』 そうして、散々ためた牙銀大砲が今にも爆発しそうになった頃。 紫色に変色したそれを、田辺はストックに封入。 大きく息を吐くとともに、人の姿に戻った。 田辺 「ぶっはぁあああ!!《ベキミキベキバキ!!》いだぁあっでででだぁああっ!!     いでっ!いてぇえええええっ!!」 そして彼は激痛を訴え、神聖なる光の祭壇を転げまわった。 ……どうやら牙銀大砲は、体に相当な負担をかけるらしい。 完全妖魔体でもこれなんだ、普通じゃ発動できるわけもない。 田辺 「よし治った」 中井出「うむ、自然治癒万歳」 状況解決。 俺と田辺は再度頷き合うと、とうとう祭壇の中心にある剣へと手を伸ばした。 伸ばしたのは俺だけだけど。  チキ─── 中井出「ん……うお……?」 田辺 「ん?どした?」 中井出「いや……なんだろ」 物凄い違和感。 柄を握ってみて初めて解る、嫌になるくらいの違和感がそこにあった。 これは俺には振るえない。 まるで剣が持ち主を決めているかのように、 俺の手には馴染まないという事実を握る手の平から伝えてきたようだった。 それは握れば握るほど強くなり、いつしか不快感さえ湧き上がらせるほどに至った。  でも武器は欲しいから強引に抜くことにした。 中井出「そいやぁあああああっ!!!《メキメキメキ》あれ抜けねぇ!!」 渾身を込めた!しかし抜けなかった!! なんだこりゃあ……もしかして妖精界の武具みたいに、 勇気を示せとか言うんじゃなかろうな。 中井出「……《キョロキョロ》」 の、わりには手を当てる石碑は無し。 じゃあ……なんだろ。 中井出「とりあえず、困った時の“調べる”だな」 田辺 「んだ」 インスペクトアイとは名ばかりの調べるを発動! すると───とんでもないことが発覚した!!  ◆皇竜剣ラグナロク───こうりゅうけんらぐなろく  創造者が手にすることで真価を発揮する、最強最古の秘宝剣。  今では入手不可能な様々な素材から出来ており、  また、様々な精霊の加護の下に存在する無二の霊剣。  古より古き頃にこの場に安置されて以来、長らく誰の手に渡ることなく封印されてきた。  解放には月の石版が必要であるが、今より古き時、盗掘団がここに至り、奪おうとした。  その際に石版は砕け、欠片となって大地に降り注ぎ、今でも何処かに存在する。  それが揃わない限り、この封印が解けることはないだろう。  *潜在能力:伎装術“レンジスイッチ” ……。 …………ポクポクポクチーン♪ 中井出&田辺『なんだってぇえーーーーーっ!!!』 ダイキョーフ!じゃなくて大驚愕!! え!?ええ!?ラグナロク!?ラグナロクがなんでこんなところに!? い、いいいいやこんなところだからなのか!? 安置するにはもってこいの場所だもんなぁ!! 中井出   「ぬおおどうするどうするどうなるどうなる!?」 田辺    「おぉおお落ち着きましょう提督殿!        掟を破る悪い子にゃ正義の鉄槌がお見舞いされるのです!」 中井出   「ィヨゥッ!」 田辺    「正義のみか〜た〜〜〜♪」 中井出&田辺『そぅれがぁ〜オォ〜〜ゥレ〜達〜ィ♪        そぉ〜〜れがぁ〜〜〜オォ〜〜ウゥレェ達ィ〜ィの〜〜ゥ♪        OH!OH!仕事だぁぜぇえ〜〜〜ぃ♪        ウゥーーーーーッ!!ボンバーーーズ!!』 ヨウヨウ……解ったかい?───じゃなくて! 中井出「しまったぁあ!晦一等兵が居なけりゃ全く意味がないじゃないか!」 田辺 「どうするでありますか!?戻るでありますか!?」 中井出「強引に引き抜こう!」 田辺 「いっ……粋ッ!!」 というわけでSTRマックスレッツゴー!! 中井出「憤ッ……!!ぬ、ぬぐぐぐぉおおおおおおおおおぁあああああっ!!!!     ……よしダメだ」 田辺 「速ェエ!!」 中井出「仕方ないでしょ全力でダメなんだから!     これ以上どうしろっておあたぁっ!!バゴシャアンッ!! 田辺 「うおあぁっ!!?て、提督!?なにを───」 無造作に振り上げたドンナーを祭壇の床に叩き落とした。 するとどうだろう、雷が床を伝うのと同時に、なんと……床が壊れた。 え……じゃ、なに?もしかしてと思ってやったけど……もしかする? 田辺 「……?どうしたんだよ提督」 中井出「…………祭壇の床、壊れるわ」 田辺 「へ?それがどうし───はうあ!!」 ボソリと呟いた俺の言葉。 それがゆっくりと田辺二等の心に染み渡ってゆくと、彼はハッとなって俺を見た。 俺はその様子に頷いてやると、拳を振り上げて高らかに叫ぶ! 中井出「うっしゃあ祭壇壊して剣を掘り起こすぞぉお!!」 田辺 「ラーサー提督!!おらおらおらぁあああああっ!!!」 ドンガガドカバキゴシャベキャバキャーーーン!!
【Side───精霊さんたち】 イセリア「うわわまた無茶なことやり始めたぁああっ!!」 ノート 『光の塔の管理者はなにをやっている!』 ウィル 『マスターを監視していたがなにか問題でも?』 精霊たち『大有りだ馬鹿者!!』 ディー 『その悠介さまの大切な武器が今!奪われようとしているのですよ!!』 ウィル 『なんだと!?担当者はなにをしている!』 精霊たち『それは貴様だ大馬鹿者!!』 ウィル 『フン、そう騒ぐな。こんなものすぐに───』 声   『念願のアイスソードを手に入れたぞーーーーっ!!』 声   『イエーーーッ!!原中イエーーーッ!!』 イセリア「あ……うん……手遅れみたい……」 精霊たち『クソの役にも立たんヤツだ……』 ウィル 『な、なんだと貴様らぁああっ!!』 【Side───End】
ガコッ、ゴコシャッ……パラパラ……。 中井出「フオオ……なんと美しい……!」 剣の鞘についていた床の欠片を残らず除去し、改めて眺めてみた。 するとどうだ、部屋の輝きに当てられたその姿はまるで芸術品のようじゃないか。 芸術品の善し悪しなんざしらないが、 それでも感動とはこういうものかと納得できるなにかがこれにはあったのだ。 ならば語ろう、素晴らしい。 田辺 「本来ならば順序を正しく守らないと抜けない剣が、今ここに……!」 中井出「創造者が手にした時、大いなる力を発揮するという伝説の剣……!     それを今、創造者でもない凡人な僕が、     こうして抜くことが出来るなんて……!」(*注:抜いてません) 手に入れた武器をさらにシゲシゲと眺めたのち、大事に大事にバックパックへ収納。 ウウヌ……たった一つの武器を手にいれて、 ソレをバックパックに入れただけだというのにこの重量感はどうだろう。 きっと他のに比べてとてもレアであるという意識が俺の中で渦巻いているんだ。 や、俺がただそう感じてるって言われたらそれまでなんだけどさ。 だからここは博光よ!ガマンだぜ!! 中井出「───行こう、田辺二等!この光の部屋を抜けて、飛び出すんだ!」 田辺 「飛び出すって、何処に?」 中井出「……俺達の世界へ!」 そして僕らは走りだす。 まるでチェーンソーで神でもぶった切ったあとの誰かさんのように! なんだか可笑しくなって、笑いながら光の部屋を駆けて駆けて─── やがて出口を潜り、光の部屋よりは全然普通な明るさの空の下へと駆け出た……!! ホーリードラゴン『ルガァゥシャアァアアアッ!!!』 中井出&田辺  『あれ?……ほぎゃぁあああああああっ!!!!』 ───のちに絶叫。 出てすぐの空に居た、光り輝くシェンロンみたいな竜……というより龍を見て、 僕と田辺は心の底から絶叫したのでした。 Next Menu back