───冒険の書209/海底大陸を目指して───
【ケース529:中井出博光(再モンケイ)/バナナの馬場】 そうして道を全力で疾走し、 立ち塞がる敵が居れば全力でコロがして走り続けること幾時間…… 藍田 「バナナの馬場は〜馬場バナナ♪」 丘野 「ヒィ!?藍田殿がバズーカチャンネルの撃ちすぎでイカレたでござる!!」 藍田 「苦くてなんぼ!苦くてなんぼ!苦くてなんぼの」 総員 『コーヒー豆ェエエエエエ!!!!』 中井出「面白いからそっとしとこう」 総員 『サーイェッサー』 様々なトラブルが発生したり、山を登ったりフーアムアイ叫んだり、 藤堂 『うおおお鉄分ーーーっ!!鉄分をくれぇええええ!!』 丘野 「ヒィ!?調子に乗ってARM使いまくった藤堂殿が鉄分不足になって暴走を!!」 清水 「落ち着くんだ藤堂!     キミは少し青すぎる空に疲れただけさ!《ガシィ!》ホワッ!?」 藤堂 『“ブラッドスキュラァア……”!!』 清水 「《ズチュゥウウウン!!》ギャアォアァアアアアアアッ!!!!」 岡田 「うおおお!?清水が!清水が頭掴まれて鉄分吸われてるーーーーっ!!」 田辺 『モツだぁああああ!!モツ食いてぇええええええっ!!!』 中井出「うおおこっちでは内臓を求めた妖魔が暴走をーーーーっ!!!」 岡田 「隠しジョブっていいことばっかじゃねぇえーーーーーっ!!!」 ともかくいろいろな困難が待ち受けていたというか自分から突っ込んでいったというか、 本当にいろいろあったけど─── ナギー『ふぎゃーーーっ!!』 中井出「ああっ!ナギーが崖から落ちたァーーーーッ!!」 丘野 「い、いや!飛んできたでごる!」 岡田 「ああっ!たまたま落ちてきた落石がナギーに直撃した!」 清水 「い、いや!持ち前の石頭でなんとか耐えて飛んできてるぞ!」 藍田 「ああっ!今度は横から風に流された大木が直撃した!」 藤堂 「ナギーが今度こそ崖から落ちたァアーーーーーッ!!」 田辺 「俺達は忘れない……ナギー、貴様のような男が居たことを……」 ナギー『誰が男なのじゃぁあああーーーー…………《ドゴォ!》うぴっ!』 藍田 「ああっ!ナギーが下にも飛んでたらしい大木の直撃を!」 岡田 「ナギー!?ナギーーーーーッ!!」 中井出「大木に落石ねぇ……トカホウテを思い出すなぁ」 僕らは……今日も元気です。 ───……。 ……。 で……ようやく辿り着いた猫の里。 中井出「……こ、これにて……男塾名物“直進行軍”を終了する……」 総員 『お、押忍……ありがとう、ござい、ましたァ……』 男塾名物“直進行軍”……それはどんなことがあっても真っ直ぐ進まなければいけない、 世にも恐ろしく面倒くさい名物である。 建物があるから迂回、などという男らしからぬ言葉など一切無用。 建物をブッ壊してでも進むのが男塾流。 たとえそれがビルだろうがホワイトハウスだろうがだ。 え?それを阻むもの?誰であろうが潰します。 悠介 「よ〜やくおでましか」 と、我らがムハァと心労の表れから出る溜め息を、 余すことなく吐き出す僕らの前に現われたるは晦一等兵。 ようやくおでましとはお言葉である。 中井出「ぬう、卑劣にも飛竜に乗り、我らより先んじて辿り着いた晦か」 悠介 「卑劣とかお前にだけは言われたくないんだけどな……。     卑劣にも飛竜に乗った俺達を背後から殺しにかかった提督軍よ」 中井出「提督軍?フフ、違うな。我らは7人。素晴らしき7人だ。     それぞれが素晴らしきを求め、それぞれが素晴らしきを生きる修羅よ。     ちなみに我らを卑劣と言うのは今さらすぎててんでこたえもせぬわ」 悠介 「逞しくていいな、お前の脳」 随分な言われようだ……べつにいいが。 中井出「では各員、準備にかかろう。俺はちと猫たちに竜宝玉渡してくるから。     そのあとはあれだな、猫たちに武器の強化をしてもらおう」 藍田 「オイサー、じゃあ俺は猫たちに武器の強化をしてもらおう」 丘野 「ヨイサー、じゃあ俺は猫たちに武器の強化をしてもらおう」 清水 「トリャサー、じゃあ俺は猫たちに武器の強化をしてもらおう」 岡田 「ホイサー、じゃあ俺は猫たちに武器の強化をしてもらおう」 田辺 「ハイホーイ、じゃあ俺は猫たちに武器の強化をしてもらおう」 藤堂 「ヨサホーイ、じゃあ俺は猫たちに武器の強化をしてもらおう」 悠介 「“俺も”って言えば早いだろうに……」 中井出「まあまあいいじゃないか。個の意志を尊重してるからこそだろ?」 というわけで各自散開!! それぞれが思い思いの行動に移り、───全員が自然要塞へ向けて大激走を開始した!! 中井出「なにぃ貴様ら何故こっちに!!」 藍田 「うるせー!武器強化だって言っただろうが!!」 丘野 「宝玉の取り付けとかやってたらこっちの強化が後回しにされるでござろう!?     だから貴様にだけは絶対に負けんでござる!!」 田辺 『グワァーーーハハハなにを言ってやがる!一位はこのオレ様よぉ!!』 清水 「なにぃ!?田辺が!田辺が牙銀に!?───つーか速ェエ!!」 藤堂 『負ァアけるかぁああっ!!アビリティ“グッズ”を発動!ローラーダッシュ!!』 岡田 「なにぃ藤堂が加速した!?速ェエエエ!!!」 隠しジョブに至った者どもの速いこと速いこと!! 田辺が牙銀に変異して馬の下半身を上手く利用!物凄い速度で駆け、 藤堂が足にジェットローラーを構築!これまた物凄い速度で我らを置いて走っていった!! 中井出   「ぬうナギーよ!なんとかならんか!?」 ナギー   『おお!ようはやつらより先に猫たちのもとへ辿り着ければよいのじゃな!?        わしにどどんと任せてみるがよいぞ!        自然の力が溢れている要塞に転移してしまえばすぐなのじゃ!!        いくぞ?むぅう〜《ガガシィッ!》ふわっ!?』 ライトニング『ジョワジョワジョワ、いけねぇなぁ〜〜〜ズルをしちゃあ』 サンダー  『ヌワッヌワッヌワッ、全員走ってるんだぜ〜〜〜?        ここで転移するのは無粋ってもんだろうが〜〜〜っ』 ナギー   『な、なにをするのじゃ!こ、これっ!しがみつくでない痴れ者がっ!』 転移を開始しようと手を広げたナギーの両腕に、 悪衆時間超人へと変化を遂げた藍田と丘野くんがしがみつく! ちなみにナギーは僕の頭の上。 肩車状態なので、三人分の重力が我が首に……! ライトニング&サンダー『雷三角絞めーーーーーッ!!!』 グワァキィ!───ガクドグシャア!! 中井出「お、落ちたーーーっ!!ロビンがーーーーっ!!」 ロビン「え?呼んだ?」 中井出「呼んでないから出てくるなマスクてめぇ!!」 ロビン「そこはロビンって呼ぼうよ!!なにそのマスクって!!俺!?」 ナギーが締め落とされ、勢いのままに我が頭から落下! ライトニングとサンダーもその拍子に脇腹から落下し、 打ち所が悪かったのか血反吐を吐いて転がり回ってる。 ……その事実に驚く間もなく、脇からロビンが沸いて出た。 ロビン「つーかキミたちどこ行ってたの?僕とっても寂しかったのよ?     話をしようにも夜華さんたらまだ寝たままだし」 中井出「うむ!そのことについてなら、     我らの先を駆けているあの二人を邪魔してくれたら話そう!」 ロビン「サーイェッサー!!ディナータイムだアモルファス!!」 キヒィンッ!ドゴォオオンッ!!! 田辺&藤堂『ギャアアアア……!!』 先を駆けていた二人が、自分の影から飛び出した巨大な物体によって吹き飛ばされた。 絶景かな。絶景だ。絶景だね、うん。絶景に違いない。 そして、“さ、教えれ?”と僕を見る輝かしい目を余所に、 田辺 『なにしやがるこのブタ野郎!!』 藤堂 『命ァいらねぇんだなワラシャァア!!』 こちらへ走ってきてロビンを襲う二つの影! ロビン「ぬう!?このロビンに挑戦するとはいい度胸だ!二人まとめて仕留めてくれる!」 高鳴るゴング!開始する激闘!! ……そしてのんびりと自然要塞を目指す僕。 ああ、世の中が平和だ。 岡田と清水はもう辿り着いてるだろうし、今さらなにを急ぐ必要があるだろう。 ……そもそも宝玉関連はドワーフと妖精側の仕事だろうし、猫は関係ない。 みんなもそれは解ってるだろうに……やっぱりノリがいいやつらは実に面白い。 そうだと解っていても、楽しめる状況があるのなら無理矢理にでも楽しむ…… それが出来てこそ原中というものよ。 俺も一緒に騒ぎたいところだけど、ほんともういい加減に眠気がピークである。 食事と睡眠はこの世界で活動するためにはどうしても必要な、精神力回復の要だからなぁ。 ───そんなこんなでドワーフに宝玉と武器と素材、 そしてナーギーズバンクから戻したありったけの金を渡すと、 猫の里の泉で身体を洗ってスッキリリフレェエエッシュ!! ……ところでナギーズバンクの方が正しいはずなのに、 ナーギーズバンクって呼び方のほうが語呂的に素敵に思えるのはどうしてなんだろう。 まあいいや、ともあれ───冷たい水に浸かった所為か、身体はさらにだるくなりました。 おおアンリフレッシュ。 それでもそんな気だるい身体をズゴゴゴと動かしつつ服を着ると、 急ぐでもなく自然要塞内の下層へ歩いた。 目的は就寝。目指している場所は、 彰衛門と妖精特製吉備団子を食った、あの人目につかない大木の下だ。 途中で遭遇した丘野くん……というかサンダーに、 これから刀にするであろう武器のことで 篠瀬さんに話通しておけよ〜と助言を伝え、ただただ歩く。 中井出「うじゃあ〜〜〜〜」 で、着いたらついたで三つの鞘を腰から外してゴシャンと大木に立てかける。 それだけで随分と身体は軽くなった……おお、まるで重りを外した悟空さだ。 中井出「ん、ん……ぬおおお……!!《ゴキベキパキコキ》」 いざ寝そべんとするその過程で、身体を思い切り伸ばしてコリをほぐす。 おお、骨がバキベキ鳴ってる……疲れ溜まってるんだなぁ……実感トラーイ! と、遊んでる場合じゃなく。 今度こそゆっくりと寝そべって、大木の幹に頭を預けると……静かに目を閉じた。 頭の中は賑やかだったわりに、すぐにまどろみはやってきて─── 気づけば、いや……気づくもなにも、 気づけるわけがないので……いつの間にか、俺は眠りにおちていた。 ……ちなみに。 ナーギーズバンクから戻した金は、 きちんと田辺と金額を確認してから分けて、猫に支払いました。 不足分は素材から払う方向で。 【ケース530:中井出博光(前夜再)/いい旅夢気分】 ───チチ……チュンチュン……チチチ…… 中井出「ん……ん、お……?」 木漏れ日に瞼を刺激され、目が覚めた。 本能ってやつなのか、我ながら気だるそうに伸びをしてから辺りを見渡すと、 どう見ても眩しい景色がそこにあった。 ……結論から言うと、どうやら朝らしい。 よほど疲れが溜まっていたんだろう、 眠りについてから今まで、宵越ししてしまったようだ。 中井出「うーお……お?」 ハタ、と気づけば我が身体に寄り添うように眠っているナギーとシード。 そして我が腹の上には煤だらけのジョニーと、その腹の上には月光竜の卵があった。 中井出「………」 どうしろというのだろうか。 どうにもジョニーは一仕事を終えてくたくた状態、深い眠りに入っているらしい。 きっとついさっきまで我らの武器を鍛えあげてくれていたんだろう。 それを起こすのはさすがに忍びない。 普段のこの博光なら容赦なく起こしているところだろうが、 我らのために頑張ってくれた者を邪険にするほど外道ではない。 心の付き合いには心を以って付き合う……それが原中大原則。 中井出(しかし……猫が仰向けに寝るのってかなりレアなんじゃなかろうか……) 猫背世界一であろう猫が、こんな状態で寝て背中痛めないんだろうか。 ……でも気持ち良さそうに寝てるしな、そっとしとこうか。 中井出(でも動けないのはまいったな……と、そうだ。ジーク……ぐあ、そうだ……     鍛えてもらうために渡してきたんだった……って、あれ?) 大木に立てかけた鞘には、いつの間にかジークが差し込んであった。 恐らく鍛えてくれた猫やドワーフが納めてくれたんだろう。 ───が、手を伸ばしても絶妙に届かない位置にあった。 おかしいな……鞘を置いた時はもっと近くに置いた筈だったんだが……。 剣を納める時、いろいろトラブルでもあったんだろうか……いや、考えないでおこうか。 中井出(ふう……さて) どうしたもんか……ブリュンヒルデに取ってもらおうか? 中井出(……いけるか?ブリュンヒルデ) ……、……。ブリュンヒルデが伸びてゆく。 鞘に巻きつき、しっかりと抱えるように。 ───だが重すぎるソレはビクともせず…… 中井出(はぁ……ダメか) テオブランドをエジェクションして、 猫をフロートで浮かせるという我が目論見は見事に消滅した。 中井出(……いいや、寝よう) たっぷりと寝溜めしようか。 そんなものが出来ればの話だが。 ───……。 ……。 ……案外やれば出来るもんだと実感したのが、 いつの間にか落ちていた眠りから目覚めた時だった。 けれど時間はそう経った様子はなく、見える景色も変わらないままで─── ただ、俺の腹の上でジョニーがコシコシと顔を洗っていた。 違ったものといえばそれくらいだったのだ。 ジョニー『ゴニャ?起きたニャ?旦那さん』 違和感を感じたのか、振り向いたジョニーが軽く飛び上がるように俺へと向き直る。 ゴニャア、とお辞儀をするのはもはや恒例なのかもしれない。 猫背なのも相まって、なかなかに綺麗なお辞儀だった。 ジョニー『失礼したニャ。旦那さんの傍はどうにも自然の香りでいっぱいニャ。      どうにも眠気に誘われて眠ってしまったニャ』 中井出 「うむそれはなにより。ひと仕事を終えた漢の顔で寝てる者を起こすなど、      この博光がしようものか。で……もういろいろ終わったのか?」 ジョニー『終わったニャ。旦那さんの武器もしっかり鍛えたし、      竜宝玉の方もきっちりこなしたニャ』 中井出 「おお、そりゃありがたい。      ……っと、でさ、解体芯書のほうは……どうだった?」 思えば既に預けてある解体芯書。 合成理論をブチ壊してくれるソレは、猫の技術に革命を起こしてくれるのだろうか。 ジョニー『バッチリニャ。今すぐにでも実行出来るけど、      なにか外したい武器でもあるニャ?      それとも違う種類の武器を合成させたいニャ?』 中井出 「へ?合成って……出来る、のか?えっとほら、なにかが必要とかって……      無茶な注文されるかもしれないって、説明に……」 ジョニー『それなら旦那さんがとっくに完了させてるニャ。      それは皇帝竜の角のことだニャ』 中井出 「───そうなの?」 じゃあ僕、また無理難題頼まれなくて……いいの? 僕は……僕は既にやり遂げていたんだね!? ジョニー『本来、違う種類の武器は合成出来ないものニャ。      けど作りの甘い武器なら、たとえば斧なら斧で、      鍛ち直して剣の形にしてから合成するニャ。      でも作りが上等のレアすぎる材質のものは、      よほどの槌じゃないかぎり鍛ち直せもしないニャ。      だから皇帝竜の槌が必要だったニャ。      あれならどんな武器でも鍛つことが出来るからニャ』 中井出 「アー……」 そうか……元々後のイベントとしてこれが来るはずだったのに、 俺が真っ先にカイザードラゴンをコロがしちまったから…………なるほどなるほど。 いやすんません管理者たちよ、いろいろしっちゃかめっちゃかにしてしまって。 だが後悔はしていない。 何故なら俺は、ゲームのセオリーに喧嘩を売ったのだから。 弱い敵から順々になんて常套、知ったことではないわ。 ジョニー『ところでこの卵、旦那さんのニャ?』 中井出 「ぬ?お、おお、その通りだが」 自分の傍ら(俺の腹の上だが)にあった小さな卵に視線を促し、 訊いてくるジョニーに素直に答える。 そういえば……いつの間にバックパックから出たんだろうか。 今さらだけど、気になればなんとやら……やたらと疑問に思えてきた。 出した覚えは一切無い。 ということは誰かが出したか───或いは自分で出たか、なんだが。 普通なら卵が動くわけがねー……などと常識的に考えるところだろうが─── この博光、そんな普通などには興味がない。 そうだ!これはきっと卵が一人でに動き出したに違いない! ジョニー『これは月の竜の卵だってお師匠さんが言ってたニャ。      とても珍しいニャ。これ、どうする気ニャ?』 中井出 「育てます!私の子です!」 ジョニー『ボクは別に出来ちゃった結婚を認めようとしないパパじゃないニャ!!      これは旦那さんの持ち物ニャ、ボクがどうこう言うものでもないニャ』 中井出 「うむ、そう言ってくれるとありがたい」 そして俺は出来ちゃった結婚が大嫌いです。 その旨を猫に伝えると、猫も頷いてくれました。 ジョニー『月の守護竜は絶滅した筈だってお師匠さんが言ってたけどニャ。      よく卵を見つけられたものニャ』 中井出 「うむ。しかし守護竜としての知識とかは、継承されてないらしいんだ。      まっさらな、ただの月の竜として産まれてくるらしい」 ジョニー『それならそれのほうがいいニャ。でも竜を育てるなんて大変なことニャ。      エキスパートの竜騎士でさえ飛竜なのに、      竜騎士でもない旦那さんがドラゴンを育てるなんてとても豪気ニャ』 中井出 「凡人が竜を育てる……だからいいんじゃないか……!!」 そんな常識外れの度合いに、この博光のハートはマックスドッキリさ! と、心をときめかせるのもこのへんにしてと。 中井出 「猫よ、既に海の香りがするんだが、ここは───」 ジョニー『ゴニャッ。もう西の大陸付近まで来てるニャ。      旦那さんたちぐっすりだったから、今の今まで起こさなかったけどニャ』 中井出 「なにぃ!?」 な、なんという……!なななんという……北斗神拳!! じゃなくて、なんということか! 風の竜宝玉で要塞が移動を開始する場面に立ち会えぬとは!! しっ……………………失態っ…………! 取り返しの付かぬ…………大失態っ…………! でも移動してる要塞に乗ってるという事実は変わらんので気にしないことにした。 苦悩するより今を楽しもう。 などとポジティブ精神を心に燃やしていると、俺達にかけられた声があった。 エィネ『ジョニーさん、アイルーさんが呼んで───     ああ博光さん、もう起きていたんですか』 エィネだ。 中井出「ぬ?おおエィネか」 ジョニーを呼びに来たらしいが、 起きていた俺と目が合うとペコリとお辞儀をして微笑んだ。 俺も小さくお辞儀を返すと微笑み返し、 俺の腹からトトンとジョニーが降りるのを確認すると、 伸びをしながらゆっくりと立ち上がった。 ……ちなみに卵は、大変驚いたことに本当に動いていた。 起き上がる俺の腹の上をぴょいんぴょいんと跳ねては肩までを昇り、そこを動かなくなる。 中井出「………」 試しに触れてみると、物凄い弾力性のあるカラだということが理解できた。 こりゃすごい……ゴムなぞ目ではないわ。 中井出「スーパーボールエントリー!」 ヒュバォゴムンチュボゴォ!! 中井出「ゲファーーーリ!!」 肩にあったそれを壁に向けて投げてみた!(噴水広場の名残) すると、スーパーボールのように元気に弾んで戻ってくるほどの弾力性! 見事この博光の腹へと直撃したベイベーは、なにやら楽しかったのか、 しきりに俺の周りをピョンピョンと跳ね回っていた……!! こっちは想像以上のダメージに、身体をくの字に折って血反吐を吐いているというのに。 ぐっ……いいパンチ(ぶちかまし?)だ……!世界、狙えるぜ……! ところでダイビングのバックロールエントリーっていい名前だと思いませんか? エィネ『なにをしているんですか博光さん!卵を壁に投げ飛ばすなんて!』 中井出「いや、でもなんか喜んでるよ?邪竜スキル使って耳傾けてみてるけど、     声は聞こえないけど喜びの雰囲気は感じられる」 エィネ『うわぁ……な、なんて言いますかその……逞しいんですね……』 おおまったくだ、まだ産まれてきてもないのになんという逞しさ。 その言葉にはさすがに同感だ。 投げ飛ばしたのに喜ばれるとは思わなんだ。 ……壊れたらどうしようとか、内心ドキドキモンだっただけに。 中井出「しかしまあその、こうしてじっくり話すのは久しぶりか?」 エィネ『あ……そうですね。博光さんは戒めの宝玉の解放を……というよりは、     わたしのことほったらかしにして、随分と楽しんでいたようですけど』 中井出「うむ!全力で楽しんでいる!!」 エィネ『なんで嬉しそうに言うんですか!     そこは普通、悪いことしたかなっていう雰囲気を出すところですよ!?』 中井出「悪いことをしたとは思っているが、     だからといって暗くなる理由が俺にはないのだ!     何故ならば!俺は今この状況に至ったことに後悔もあるが、     今を全力で楽しんでいるからである!!     貴様には大変失礼なことをしてしまったが、     だがホレ、それでも貴様が楽しめなかったというのなら、俺も謹んで罵られよう」 エィネ『いえ、罵るつもりは一切ありませんけどね……はぁ、いいですもう。     確かに楽しんでいることは確かです。穂岸さんは真面目ですけど、     なんと言いますか、砕けるところは砕けてますから』 砕けてるか……彼の心がブロークンハート? いや、苦手な英語でわざわざ言うこっちゃないな。 と……話をすればなんとやら。 欠伸をしながら階段を下りてくる一人の魔術師の姿に気がついた。 中井出「いやしかし、結構頭でっかちなところもある気がしないか?     もっとぐだぐだに砕けてしまってもいいと思うんだが」 遥一郎「本人を目の前にして言うことがそれか」 中井出「当たり前だ!見縊るな!!」 遥一郎「はぁ……解った、解ったから……。もう、すぐにでも西の大陸の上に着くそうだ。     一応ここの管理者はお前だから、これからどうするかをお前が決めろ」 中井出「なにぃ、管理者はアイルーとレアズ将軍とロイド先生だぞ?     あとダルトロス老。俺が管理者などと、はっはっは、馬鹿も休まず言いなさい」 遥一郎「いや、休ませてやれよ……───じゃなくて。     そのアイルーもレアズもロイドもダルトロスも、     お前が管理者だって言ってるんだ」 中井出「嘘だッ!!」 遥一郎「少しはこっちを信用しながら話を聞けぇっ!!     さっきから聞いてれば頭っから否定して何様だ!」 中井出「オ様=ヴィン=ラヴィン」 遥一郎「………」 とても冷たい目が僕を射抜きました。 確かにそりゃないよなと、自分でも反省出来るくらいの返事だったし。 中井出「まあそれは捨て置くとして。     まさかこの博光が知らぬ間に管理者にしたてあげられていたとは……。     騙されるな鉄郎!これはきっとやつらの策……!俺達を騙すための巧妙な───」 遥一郎「現段階でお前以外に誰が誰を騙すっていうんだ!」 中井出「…………いっ……言われてみれば!!」 遥一郎「少ッしも否定しないんだな……」 中井出「え?だって事実だし」 遥一郎「………」 人として大丈夫なのか?という目で見られてしまった。 ……思ったんだが、ホギーって“目は口ほどにものを言う”ってタイプか? 話すよりも目を合わせたほうがよっぽど解る気がする。 中井出「よしOKだ!それが亜人族の意思ならばこの博光、しかと受け止めよう!     総員起床ォオオオオーーーーッ!!!」 ババァッ!! ナギー&シード『サーイェッサー!!』 遥一郎    「どわっ!?」 我が声に、一気に起き上がるナギーとシード! それを目に満足して頷くと、俺はさらに叫ぶ! 中井出「総員集合!3分以内に最終準備を済ませ、この場に集え!!     到着次第点呼ォ!!足りないものが無いかを確認し次第行動に移る!!」 ズドドドドドド───ズザアアッ!!! 藍田 「1!」 丘野 「2!」 岡田 「3!」 清水 「4!」 藤堂 「5!」 田辺 「6!───A班、異常ありません!!」 彰利 「1!」 夜華 「2!」 悠介 「3!」 ルナ 「4!」 悠黄奈「5!───B班、異常ありません!!」 ナギー『1!』 シード『2!』 澄音 「3!」 遥一郎「へっ!?蒼木!?───ああもうっ!4!───C班異常ありません!!」 1分とかからず到着した者たちが口々に点呼する。 篠瀬さんとルナ子さんが点呼に参加したのは意外だったけど、 彰衛門と晦の邪悪な笑みを見るに、ここに集う前に言っておいたらしい。 中井出「うむよし!アイテムの買い忘れはなく準備は万端だな!?     ではこれより海底にあるという西の大陸を目指し、海に潜るものとする!     一度海に潜ってしまえば、目的を達成するまでは海上には上がれん!多分!     故に用事があるものは済ませておけ!     ナギーに頼めば癒しの関所とこことを転移で往復できる!」 総員 『サーイェッサー!!』 彰利 「サー!発言許可を願います!」 中井出「うむ!何事だ彰衛門一等兵!」 夜華 「む……?」 彰利 「サンキューサー!私のことはやはり彰利のままでいいですサー!     たった今その重圧を確信しましたサー!正直怖かったですサー!     それとこちらが本命でありますが、     このまま潜るとなると我々は海の藻屑と化しますサー!     いったいどうやって潜るのでありますか、サー!!」 中井出「うむ、それについては技師長と工房長であるロイドとアイルー、     そして属性安定調律長であるレアズ将軍が説明してくれる!」 言うや、一緒に来ていたのかザザッと俺の隣にやってくる三つの影。 アイルーとロイド先生とレアズ将軍だ。 アイルー『ゴニャッ、それじゃあ早速説明に移らせてもらうニャ。ジョニー』 ジョニー『ゴニャッ』 アイルーの合図とともに、ジョニーがガラガラと小さな要塞の模型を運んでくる。 どうやらあれをもとに説明してくれるらしい。 アイルー『まずこの要塞が、      竜宝玉の力によって強化出来ることを覚えておいてほしいニャ。      竜宝玉というのは、守護竜の体内で長い年月をかけて生成される、      それぞれの属性の力をたっぷりと込めた玉、と考えてほしいニャ』 ジョニーに渡された指揮棒のようなものを肉級でぺしぺしと弾ませて、 なにやらとても楽しそうに説明する長老猫ことアイルー。 ……どうやら大勢の前で説明するという状況が、彼を喜ばせているらしい。 アイルー『それでその宝玉だけどニャ、旦那さんがたくさんもってきてくれたお蔭で、      空の移動も海上での移動も、地面の移動も可能になったニャ。      地、水、風、雷、氷、光、然。      この7つがあれば、とりあえずのことはいろいろと可能ニャ。      地があれば地盤がしっかりするし耐久力も上がるニャ。      水があれば水の中にも潜れるし、水に浮けもするニャ。      風は当然移動に使って、雷や氷は攻撃や、それらを防ぐものになるニャ。      光は暗い場所で役立つし、然はこの要塞の形を保ち続けるのに不可欠ニャ』 総員  『ふむふむ……』 アイルー『でニャ。これから水の力を使って海に潜るわけなんだけどニャ。      水に潜るにしても当然酸素は必要ニャ。      でも水の宝玉に酸素を作り出す力なんてないニャ。      そこで重要となるのが───……レアズ』 レアズ 『ああ。そこで必要となるのが然の宝玉だ。      この力を使い、木々から絶え間なく酸素を作り出す。      さらに妖精界とも繋げ、そこからもだ。      そうすることにより、要塞全体を酸素の膜で包み込むのだ』 彰利  「大丈夫なん?      酸素っつーても、出した先から海面目指して浮いてっちゃうっしょ」 ロイド 『その点なら問題はないぞ。頂上の砲台広場から要塞下までかけて、      樹木を密集させてやればいい。それはドリアードの仕事となるが』 ナギー 『その程度、なにするものぞ。わしにどどんと任せるがよかろ』 ロイド 『と、そういうわけだ。この場には海に潜るための好条件が全て揃っている。      気泡を逃しにくい種類のものを密集させれば、      たちまちここには空気の層が出来るというわけだ』 総員  『オーーーーッ』 なるほど、そういうことなのか。 でもそれって…… 悠介  「けどそれって、外側からも内側からも、衝撃には相当弱いんじゃないか?」 アイルー『そうなのニャ、それだけが問題なのニャ。      衝撃を加えられれば当然、樹木などは揺れて、酸素は逃げてしまうニャ。      そうしないためにも、衝撃には気をつけるニャ。      敵が来たら確実に狙いを定めて、雷の力でやっつけるニャ』 遥一郎 「その雷の力はこっちには影響はないのか?───って、そうか、酸素か」 レアズ 『ああ。密集した酸素が盾代わりになってくれる。      ドリアードの力によって生まれる酸素だ、      このフェルダールで自然に生まれる酸素よりもよほど上等。      吸うだけで癒されれば、雷によって引火、などという心配もない。      安心して雷を使うことが出来る』 それもそうだ、それくらいで引火するくらいなら、 お祭り騒ぎの時に料理を作った時点でとっくに終わってた。 アイルー『と、そういうわけニャ。イメージとしてはこんな感じニャ』 カシャカシャと模型の形を変えて見せるアイルー。 砲台広場の傘を引っ張って膜みたいに伸ばしたり、 横のボタンを押してギザギザの妙なもの(多分雷)を飛び出させたりと、 こいつがやってると、どうもオモチャで遊んでいるようにしか見えない行動をとっていた。 ロイド『さて。理解できたか?』 総員 『オイサー!!』 ロイド『よし、では次だが……西の大陸に枝を伸ばし、ここと大陸とを繋ぐ。     西の大陸には、たとえ海に沈んでも、     ここと同じく酸素を作り出すだけの魔力が秘められている。     だがその魔力も長い年月において弱まってきているだろう』 あ……それ解るかも。 沈もうとしてる時、確かにあそこらへんは海水で水浸しになっていた。 もし膜が張られていて、沈んでも酸素空間が完成するのなら…… あの時点で海水があそこまで満ちるのはどう考えてもおかしい。 レアズ『故に、行動は迅速にだ。     西の大陸とこちらを繋げるということは、酸素を保つ膜に穴を開けるということ。     風船に穴を穿つのと同じことなのだ。     残留魔力とこちらからの力の汲々で多少は保つことが可能と推測するが、     時間がかかりすぎては、大陸ごと藻屑となるだけだ』 彰利 「なんとまあ……マジすか」 ロイド『ああ。保って8分、多くて10分。少なくて5分といったところか。     なにせ然を保つためのドリアード自身がここを離れなければならない』 中井出「なるほど……そういや西の大陸の祭壇で、然の力を解放しなきゃならんから……」 レアズ『そういうことだ。この作戦はドリアードの然の力がなによりものを言う。     ドリアードの力が無くなっても失敗に終わり、ドリアードが力尽きても終わる。     如何に余力を保ったまま祭壇まで運ぶかが重要となる』 総員 『……《ゴクリ》』 レアズ『息を飲むのは当然だ。これは───』 中井出「ああいやいや違う違う。レアズ将軍、それは違うよ」 レアズ『なに?違うとはなにが───』 総員 『ミッ……ミッションだぁあーーーーーっ!!!』 レアズ『なにっ!?』 唾を飲み込み、カタカタと震えていたA班B班の男どもが一斉に絶叫! ハワァーーーと雄叫びを上げつつ、隣に居る者の肩をポムポムと叩き合った。 岡田 「おおミッション!これぞミッション!」 彰利 「失敗は許されない……この緊張感がたまらねェYO!!」 清水 「行きましょう!行きましょう提督!ミッションが我らを待っております!」 中井出「うむ!男として、一発ミッションにかける熱き思いを否定してやるほど     この博光もクズではない!むしろ我が胸も高鳴っておるわ!     では最後にミッション内容の確認をする!漏らさず心に刻み込めェエエ!!」 ザザッ! 総員 『サー!イェッサー!!』 中井出「これより我らは海底へと潜り、海に沈んだ西の大陸を目指す!     その間、海の中で敵に襲われた場合はあくまで大砲かバリスタか雷撃砲で攻撃!     しかし大砲の玉もバリスタの弾も以前作った蓄積分しか残っていない!     何故なら大砲の玉もバリスタの弾も、ナギーの力、然の魔力を使うからである!」 総員 『サーイェッサー!!』 姿勢をただし、だが敬礼はしないままに叫ぶ者たち。 毎度のことだが、どうしてこれをするとこうも気が引き締まるのだろうか。 中井出「次!西の大陸に辿り着き次第に隣接し、巨大な気泡に穴を空け、出入り口を作る!     この時にも自然の力を使うため、無駄な消費はしていてはならない!     当然こちらの気泡へのダメージも少なくなくてはならない!     気泡が無ければ当然呼吸など不可能!我々は死んでも蘇れるが亜人族は違う!     故にA班を祭壇へと届けたのち、     B班とC班は早急に要塞を海上へ浮上させること!     西の大陸への突入はナギーとこの博光を含めたA班が突入する!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「よぉく聞けヒヨッ子どもが!     これはナギーを守り抜きながら目的地まで到着することが前提のミッションだ!     だがただ到着するだけでは意味が無い!     いかに“ナギーの然の力”を残して祭壇へ辿り着くか!それが重要なのだ!     面白さにかまけてナギーをほったらかしにしてはただ失敗するのみ!!     それを忘れるな!!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「うむよし!では最後に!なにか質問はあるか!?」 彰利 「サー!発言許可を願います!」 質問を受け付けた途端の挙手! さすがに慣れたもので、許可申請も忘れておらぬわこの猛者め。 中井出「許可する!なんだ彰利一等兵!」 彰利 「私も……私もA班に混ぜてください!?そんな面白……じゃない、     役に立ちます!頑張ります!だから───!」 中井出「ぬう!ミッションにかける思いを否定してやるつもりはない!     だがこれはたった一度のもの!失敗すれば終わりなのだ!     その重要性を考えろ!大変すまないが却下する!!」 彰利 「グ、グウウ……!!」 シード『父上……い、いえ、サー!発言許可を!』 がくりと落ち込む彰利を横目に、次に挙手したのはなんとシード! ぬう……いったいどんな質問が待ち受けているのか……! ……不安だけど受け止めよう!それが父心!!ファーザリングハート!! 中井出「うむ!許可する!どうしたシード新兵!」 シード『僕は……僕は前線には出させてもらえないのですか!?     何故ドリアードだけ───』 中井出「───シード新兵。これはミッションである。     羨ましさを捨てろなどとは言わないが、それよりも大事なものがある。     ……理解するのだ、COOLに。この博光が戦場へ向かうのであれば、     背を向けた先にはなにがある?帰るべき場所にはなにがある。     そして、俺は貴様になにを預けるといった」 シード『───!!それは……───そうか……。     そういうことだったのですね……?それを僕は……!     解りました父上!必ず父上の背中を……父上が振り返る必要がないよう、     安心してミッションに打ち込めるよう、この要塞を守りきってみせます!』 中井出「バカモーーーン!!父上ではない!サー、もしくは提督と呼べ!!」 シード『しっ……失礼しました!サー!!《ぐわっしぃ!ぐりぐり……!》はぷあっ!?     父……サー!?なにを───』 中井出「うむよし!苦労をかける!その調子で、何事も楽しんでやっていけシード新兵!     何事も楽しむこと!それを忘れるな!どんなものでも考え方と見方で、     随分と変わるものなのだから!」 シード『は、はい……!もったいなきお言葉……!』 シードの頭をちょっと乱暴に撫で回した。 シードはかなり驚いていたようだったが…… それでも、自分の頭に触れると顔を赤くして照れていた。 やっぱりいくら知識が高かろうが魔王の子だろうが、シードはまだ子供だ。 親に褒められれば嬉しいし、かまってもらいたいって気持ちも高いだろう。 ……戻ったらいっぱい愛でちゃろう。照れ死にするくらいに。 中井出「───よし!他に質問は無いか!?無ければこのままミッションを開始する!」 夜華 「わたしから質問がある」 彰利 「馬鹿!もう馬鹿夜華さん!違うでしょそうじゃないでしょ!」 夜華 「なっ!馬鹿とはなんだ馬鹿とは!藪から棒にもほどがあるぞ彰衛門!     貴様は自分のつつつ、つ、妻っ……をっ!なななんだと思って───!」 彰利 「なんで赤くなってんのキミ!つーか今なにか言った?ああいいやそれよりも!     そこは発言許可を貰わなきゃダメでしょ!それになんなのそのデカい態度は!」 夜華 「態度が太いのはあの男のほうだろう!貴様も貴様だ彰衛門!     わたしの、その、お、夫ならばだな!もっと凜として構えろ!     なんだそのへりくだった態度は!あの男がどれだけ偉いと言う!」 彰利 「偉さ!?偉さとな!ふはははは残念だが夜華さんよ!……べつに偉くないです」 夜華 「……そ、そうなのか?微塵にもか」 彰利 「ええ微塵にも」 岡田 「おーい、提督が銀魂の“銭封機”の回で出た通りすがりのハゲ運転手みたいに、     顔を両手で覆って泣き始めたぞ〜?」 悠介 「いやまあ……偉くはないのは事実だしなぁ……。     それにしてもさっきまでの威厳は何処に行ったのやら」 解ってた……解ってたさ……。 僕はどうせ偉くなんかないさ……何処にでも居るような、ただちょっと……いやかなりか? 常識から逸脱しようと日々切磋琢磨しないで既にそれを常として生きてる修羅さ。 ただそれだけの……何処にでも居るようなヒューマンさ。 中井出「えっと……それでなにかな……篠瀬さん……」 夜華 「ああ、いや……なんだその……言い出しておいてなんだが、すまない。     まさかそこまで泣かれるとは思わなかった───というか、なんだ。     貴様、人徳が無いにもほどがあるぞ。     慕われていると思えば、あまりにどうでもよく扱われすぎている」 彰利 「我らの間に遠慮なし!それが仲間ってもんさ!!     だからクズとかカスとかゴミとかシデムシとか平気で言うし、受け取って返すし」 中井出「…………」 夜華 「そうなのか。ところで彰衛門、この男、蹲ってのの字を書き始めたのだが」 彰利 「うわ暗ッ!!さっきまでの威厳がウソのようだ!!」 天国の僕の家族たち…………僕、独りが大好きになれそうです……。 描いてゆくのの字が増えていくにつれ、 “の”って文字だけなら天才的に書けるような気がしてならねー。 藍田 「なにやってんだ弦月てめぇ!     せっかく勢いついてたのになんてことしやがるこのクズが!」 彰利 「俺が悪いの!?ち、違うよ!?僕ただ夜華さんを注意しただけだもん!」 岡田 「篠瀬てめぇ!このクズが!!」 彰利 「オヒャア岡田っち!?なんと勇者な人!」 夜華 「大した面識もなく篠瀬と呼び捨てた上にその乱暴な口振る舞い……     貴様、その無礼な口、封じてくれようか?」 岡田 「く、くくく来るなら来い!出来れば来ないで!」 チキリと刀に手を伸ばす篠瀬さんと、それに対峙して剣を揺らす岡田くん。 ……そんな彼を見てたら、僕も少しだけ自分に自信が持てました。 “その意気や良し!”と───!! 藍田 「おお岡田!俺はお前を見直したぜ!     相手が原中以外の女だから遠慮するかもと思ってたが、まさか立ち向かうとは!」 藤堂 「オラかかってこいやぁ女豹がァ!!貴様ごとき、この岡田様の敵ではないわァ!     ……と、岡田様はおっしゃっておられる」 夜華 「なんだと貴様!!」 岡田 「煽らないでぇええーーーーーっ!!」 清水 「フフフ、だが知るのだ篠瀬さん……!我ら原中、口で言われれば口で、     撃でモノを言わされれば撃で返す修羅。もちろん例外なぞ腐るほどあるが、     貴方が攻撃を加えるというのなら、     この岡田……きっと貴方を全力でブチノメすことでしょう」 夜華 「なに?それは当然のことだろう。攻撃をされるというのに防がないのは愚かだ。     もちろん、けじめを通す必要があるとは、     時にはそれを甘んじて受けることも必要だが」 中井出「否である!既に己を悪と決め付けている者が何故敵の攻撃を甘んじて受けよう!     というわけでゆけぇい岡田大将!     外道の限りを尽くしてでも篠瀬さんをブチノメーション!」 岡田 「ヘァア!?だだだだから煽るなって───」 彰利 「オー!?なんだコラ俺の妻を攻撃しよーって気かてめぇ!     上等だかかってこいやァア!!この俺の強さを今こそ───…………     あ、あのー、ちょっとヨロシでショカ……。     なんでみんな、そんなにレベル高ェエの……?」 何気なく調べるでも使ったのか、ピタリと勢いを殺す彰利一等兵。 何故?何故ってそりゃ…… 素晴らしき7人『守護竜を4体ほどコロがしたから』 彰利     「卑怯だぞてめぇら!!         な、何故!どうして僕も呼んでくれなかったのだ!!         提督が自爆した時、僕が転移させてあげた恩を忘れたっていうのか!?」 素晴らしき7人『うん忘れた!!』 彰利     「ギ、ギィイーーーーーーーッ!!!」 今や素晴らしき7人は、平均レベルが約2700。 ……既に俺のレベル、軽く超えられてます。 失敗したなぁ……光天龍バトルが終わる前に、 ゼットやゼノさんとパーティー編成しとけばよかった。 そうすれば晦と彰利を、常に命を狙われる世界にいざなえたかもしれないのに。 中井出「じゃ、気を取り直して。なにかな篠瀬さん。質問の続き、どうぞ」 夜華 「あ、ああ……。貴様らが西の大陸に突入するのは解った。     わたしもそれを納得した、今さら彰衛門のようにぶつぶつ言うつもりはない」 彰利 「あらヒドイ」 夜華 「ひ、ひどくないっ、違うぞっ?ちち違うからな彰衛門、     わたしはべつに貴様を邪険にしているわけではないからなっ?」 彰利 「解っておるよ。愛しくてたまらないんだね?」 夜華 「違っ───い、や、ちち違わないいや違うっ!     ではなくて───くあああっ!なにを言っているんだわたしはぁあああっ!!」 彰利 「ああっ……!照れが最高潮に夜華さんってカワイイ……!!     俺もうなによりもこの時の夜華さんが愛しい……!     あ、でも一番はひとつのベッドで一緒に朝を迎えた時、     目が合った時に物凄く真っ赤になって、     顔を掛け布団で隠す夜華さんかなぁドゥェェエエヘヘヘヘヘ……」 中井出「彰利〜、顔がもえたんのエロアヒルが涎垂らしてる時みたいなのになってるぞ〜」 彰利 「エ、エロじゃないよ?僕のは純粋な愛で心さ!メデゴコロ!!     あああああげなアヒルのようなロリを愛する心なんて持ち合わせちゃいねー!     俺ゃほどよいボインが好きなんだ!だから夜華さんてばめっちゃ僕の好み」 中井出「ではこれよりオペラツィオン:アースフロートを開始する!     コードネームはA.F.M!西の大陸浮上作戦である!     フロントミッションならぬフロートミッション!必ず成功させるぞ!!」 総員 『イェッサァッ!!』 彰利 「あ、あれ?みんなが僕を見てくれない……ねぇ!見てよ!僕のこと見て!?     僕アヒルじゃないよ!?エロじゃないってば!     僕はただ男として自分の好みを正直に───!     言うなれば夜華さんのことがとても好きだって言っただけだよ!?」 中井出「イェア・ゲッドラァック!ライク・ファイクミー!!」 ザザァッ!! 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 彰利 「聞いてお願い!聞いてよ!ねぇ!!……そ、そうだよ!?僕オトコノコだもん!     そりゃ多少はエロイさ!エロエロさ!エロイ族さ!!     地面に引きずり込まれてギャーって叫ぶさ!タイムマシンさ!     でも男としてはそれを認めないで人を否定するばっかのほうが最低だよ!     それでも僕らは変態じゃない!男として当然のことをしているだけさ!     提督だってよく言ってるじゃないか!変態じゃないよ!変態という名の紳士だよ!     男がエロなのは当然さ!紳士でも内面きっとエロエロさ!     それをエッチだとか言うのがおかしいんだ!男はエロだ!     それをエロいなんて言うなんて男を男だって言うみたいなもんじゃあねーか!     飲む前に飲むようなもんじゃあねーかァア!!     ……でも正直高校時代ほどエロではないとは思います、はい」 中井出「それでいいのです。僕はあなたを許しましょう……」 彰利 「提督……っ!」 過去の過ちってのはどう足掻いたって消えないもんだよなぁ……。 思えば俺も若かった……。 中井出「僕らは過ちに気づくことが出来た……それでいいジョルノ……気にするな……。     たゆまぬエロスを愛に変え、ただ一人を愛し通すこと……それが勝利なんだ……。     エロスが悪なんじゃない……エロスを乗り越えられなかった男が悪なんだ……。     僕たちは三大欲求である性欲を愛に変えることが出来た……     ジョルノ……それでいい……気にするな……それで……     僕たちはその愛を、たった一人に向けることが出来る……それが勝利なんだ……」 悠介 「ジョジョの真似したいのはまあ解るんだが、     ただ聞いてるだけだとジョルノがエロいように聞こえるんだが」 彰利 「あれ?……あ、ほんとだ」 岡田 「ところでさ、ある日B君に自分がエロだということがバレてしまった時、     クールガイを演じていたA君は、     開き直ってエロだと言う以外にどんな方法が取れるんでしょうか」 藍田 「そりゃあお前…………───無いな。     よっぽど度胸が座ってなきゃ、開き直る以外の方法取れないと思うぞ?     その時の動揺たるや……想像するだけで恐ろしい」 清水 「恥ずかしげに、ハイ……すみませんエロでした……と言ってみるとか」 総員 『や、無理だからそれ』 中井出「それが出来ればマッドドッグとして恐れられてた千代くんだって、     わんこの犬になんぞなってなかっただろ」 清水 「ああ、それもそうか」 世界は平和だった。 それにしても千代くんはいいキャラしてたなぁ……。 って、なんで僕らは重要ミッションを前にエロ談議をしているのでしょーか。 いかんいかん、気を取り直そう!こんなことでは失敗も夢じゃない! 言い方ヘンだけどそんな感じ! 中井出「じゃあエロ話もこのへんにして、ミッション開始ィ!!」 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 遥一郎「あ……待った。まず何処に穴を空けて突入するんだ?     そういうことも決めておいたほうが───」 中井出「港町ボトゥムセア!友の里陣営が柿、パーシモン氏が元魔王と挙式した場所だ!」 彰利 「おおあそこか!なーつかしィイーーーッ!!」 中井出「面舵……はないからこの場合なんて言うのか解らんが、いっぱぁーーーい!!     目標、西の大陸!港町ボトゥムセアァアーーーーーッ!!!」 岡田 「ゴーレッツゴー!!」 こうして僕らは遙か海底に沈んだ大陸を目指し、海へと潜っていったのだった……!! ……当然、起きたばかりの僕は猫たちからいろいろ買ったりしたんだけどね。 言った自分が準備出来てないって格好悪いなぁ。 でもどうしてかそれで“さっすが天下の中井出さんだ!”と感心される自分が物悲しい。 Next Menu back