───冒険の書211/泣かないキミと嘆きの僕───
【ケース532:中井出博光/エポック】 ゴポゴポなんて音がならないのはどうしてだろうとか考えたもんだが─── あれって多分、音を拾う部分に水流れる音が当たっただけなんだよね。 だから空気の層に守られてる僕らが、 普段海や川に潜った時に耳にするゴポゴポ音なんて聞こえるわけがないのさ。 となると、潜水艦とかで海をゆく時にゴポゴポ鳴ってるあれは……喩えでしょうか。 中井出「……むふぅ」 頭がスッキリしねぇなぁ……あ〜やだやだ。 夢見の悪い日ってのはどうしてこう……。 ───よっしゃ忘れた!暗い気分なんて大ッ嫌いさ! だから忘れた! 中井出「よぅしシード!現状は如何なるものか!」 シード『イェッサー!現在ポイント、−90121!相当な深海へと至っております!』 我が問いに応えるシードは、深さをナビで調べるとともに、俺へと元気に返してくれる! こやつも段々とこういった返し方が出来るようになってきたか……俺は嬉しい! 中井出「そうか!海底大陸の方の発見はどうか!」 ナギー『イェッサー!光の竜宝玉の力で暗い海底へと光を放っておるのじゃが、     未だ発見出来ません!サー!!』 我が問いに───ってオイィイーーーーッ!!! 中井出「こら貴様ナギー!なにもせず休んでいろと言っただろうがーーーっ!!」 ナギー『い、いやなのじゃー!!わしだけなにも出来ないなんていやなのじゃー!!     ヒロミツらばっかりずるいであろ!わしにもやらせよぉっ!!』 ダムダムと右足で地面を踏みしめまくり、片足地団駄を見せるはナギー! ぬうう!修行云々を口にしてからは少しは大人になったかと思えばこの子供っぷり! 言っちゃなんだが流石はナギーである! 中井出「ええい解らず屋さんめ!このミッションは一発限りの大勝負!     さすがのこの博光もこればっかりは安直にOKと言えはせぬわ!     だが安直じゃなければいい!というわけで好き勝手にせよ!」 総員 『安直だぁーーーーーーーっ!!!』 中井出「ええい黙れクズどもが!我らは自由である!失敗がなんだ!     失敗の責任は全て受けるわ!───ナギーが!」 総員 『ならよし!』 ナギー『なんとな!?わ、わしひとりに全てを押し付ける気かぁっ!!』 中井出「その通りである!故に安直ではない!この博光はダメと言い、     貴様こそがそれでもやりたいと言った!ならば責任は全て貴様のものよ!     その責任……生かすも殺すも貴様次第だ!」 悠介 「大袈裟に言ってるけど、     ようするにミスしたら全てナギーが悪いって言ってるんだよな」 中井出「その通りだ」 所詮クズだった。 ナギー『だ、大丈夫なのじゃ!そう言いながらも助けてくれるのがヒロミツなのじゃ!』 中井出「ナギー……こんな話を知ってるかい?獅子は子を谷へ突き落とすんだ。     で、登ってきた子を暖かく抱き締め───また突き落とす」 総員 『ひでぇ!!』 ナギー『それでどうしろというのじゃー!!突き落とされ続けるだけではないかぁっ!!』 中井出「うむ、まあ焦るな。この話にはきちんと続きがあってな。     再び登ってきた我が子を今度こそ我がもとへ受け入れた獅子は、     疲れただろうと川へ水を飲みに行くんだ」 ナギー『お、おお!麗しき親子の愛じゃな!!』 中井出「で、川に着いたら突き落とす」 総員 『それ獅子じゃなくて鬼なんじゃないのか!?』 中井出「獅子だって言ってるでしょなに聞いてんのちょっとォオオ!!     ツッコムのは話聞き終わってからにしなさいよまったくもォオオ!!     あんたたちはほんっとに人の揚げ足ばっかり取ってェエエ!!」 彰利 「取りたくなるような話するからだろうがダボが!!」 中井出「黙れクズが!」 総員 『死ね!!』 彰利 「アレェ!?なんで矛先が俺に!?」 どんな時でもノリだけは忘れない。 それが僕らだ原中メイツ。 中井出「ともかく、川に突き落としたのは我が子をより強靭な子に育てるため。     親からの試練さえ乗り越えられぬようではこの乱世、生き抜くことなど出来ぬわ。     故に川からも生還を果たさんと、川岸に前足を引っ掛け、     川から這い上がろうとする子にこそ───」 ナギー『おお……!救いの手を差し伸べるというわけじゃな!?』 中井出「わざと大木を流し、ぶつけて突き落とします」 ナギー『どれだけ非道なのじゃその獅子は!!』 中井出「ここで子と親は一旦離れ離れになり、いつしか大人になった子との再会を果たす。     それまでに強くなった子と親が互いに戦い、子が親を打ち破った時にこそ!」 ナギー『……お、親子の絆が生まれる……のじゃろ?』 中井出「ようやく名付けます。サムソン先生と」 総員 『死線を潜り抜けてようやくつけられる名前がそれかよ!!』 中井出「で、名付けられた子は腹癒せに自分の子に同じことをするわけです」 悠介 「なにがやりたいんだよお前の脳内の獅子どもは!!」 中井出「うむ!ようするに───楽しければいいわけだ!     修行をすると言った以上、俺は助けを求めるナギーを谷へ突き落としましょう!     そしていつしか成長を遂げ、我がもとに戻ってきた時こそ受け止めよう!     大丈夫!俺はナギーやシードが     途中で投げ出すような者ではないことを知っている!」 ナギー『お、おお……ヒロミツ……!』 シード『父上……もったいない……!』 中井出「だから戻ってきたら素敵な名前をつけてあげよう」 二人 『結構(じゃ!)(です!)』 中井出「え〜……?」 あっさり断られてしまった。 無駄に時間ばかりとって……こんな話するんじゃなかったかなぁ。 中井出「では気を取り直して!敵を蹴散らしつつ全速前進!……前進っつーか降下だよね」 澄音 「あはは、勢いを殺すのが好きだなぁ中井出くんは」 中井出「いえあの、好きで殺してる、違いますヨ?」 僕だって物事気にせず突っ走りたいさ! でもね、それをするには僕の頭は聡明じゃないんだ! 小学はそこそこ!中学は委員長!高校時代はエロマニア!あとは働きマンだったからなぁ。 勉強なんてろくすっぽやってないし、 アニメやゲームや漫画や小説で学んだこと以上の知識なんて俺の頭の中にはありゃしない。 だからこうして、自分が言ったことに自信が持てなくなる時だってあるさ!皆もあるよね? 中井出「ていうか深いなオィイ……いったいいつになったら着くのさ」 レアズ『恐らくだが、対象的に浮沈するべきモンスターユニオンこと、     超古代都市エルメテウスが砕けたことに原因があるのだろう。     対象物が壊れたために、浮上するための動力までもが力を失ったのだ』 総員 『カスがクズがゴミがゲスがシデムシが!!』 悠介 「いっ……いきなりそこまで言うか!!」 中井出「テメェエエエ!!なんで自爆なんかしやがったんだコノヤロォオオ!!」 藍田 「お蔭でこっちは余計な手間ばっかじゃあねぇかァア!!     空気読めよテメェエエエエエーーーーーーーーーッ!!!」 悠介 「この場の空気とあの頃の俺の何処がどう関係あるんじゃああーーーーっ!!!」 岡田 「やかましゃああ!!このお空の魔王めが!     西の魔王はなぁ!提督だけで十分だったんだよ!」 清水 「それをお前!モンスター集めて魔王だなんて!     モンスターの王じゃなかったら、提督はどんな魔王だったんだよ!」 悠介 「……そりゃあれだろ。心底“魔”の王」 総員 『ああなるほど』 ……エ? ア、アノ、ソコデアッサリ納得シチャウンデスカ? 藍田 「そーだよな、提督だもんなぁ」 藤堂 「や……なんか悪かったな晦。急に騒ぎ出して」 丘野 「提督殿でござるものなぁ……」 清水 「あー、騒いで損した」 中井出「………」 ゴッドよ……みんながとても冷たいです。 けどまあ今さらだから気にしないけどね? どれだけ貶そうが罵ろうが……生憎このワシは、強ぇえのよ。 ナギー『……む!見えてきたのじゃ!』 中井出「おお本当かナギー!ウソだったらヒドイぞ!」 ナギー『ここでウソをついてどうなるのじゃ!本当なのじゃ!』 中井出「や、ほら。返す言葉って大体“本当か!?”とか期待持った言い方するじゃない。     だったらそれを逆手に取ってウソだろこの野郎と執拗に追求してみようかと」 彰利 「そうだよね、わざわざウソ言う必要がない状況でアレってヘンよ」 中井出「貴様が相手なら容赦なく疑うが」 彰利 「マア奇遇!アタクシも貴方が相手なら疑っていましてよ!?」 中井出「オホホホホ!!」 彰利 「ホーーホホホホ!!」 ……。 中井出&彰利『同志よ……!』 世界はやっぱり平和だった。 中井出「ではこれより隣接したのちに通路を穿つものとする!     突入するA班は疾駆の準備!     必要なものがまだあるのなら猫から購入しておくように!」 A班 『《ビッシィン!!》イェッサァッ!!』 中井出「接続班は準備をし、隣接完了次第根っ子の接続を開始!     接続したのちにA班突入!突入確認後は浮上し、海上で待て!」 接続班『サーイェッサー!!』 中井出「うむよし!A班である我々に退路は無くなるが、     どの道一発勝負ならばそのくらいの方が気合が入るというもの!     失敗すれば水圧で死亡確認は必至!故にA班の者どもよ!     ただの気合で足りぬのであれば裂帛の気合で挑め!!     我らは必ず成し遂げねばならんのだぁあーーーーーーっ!!!」 A班 『サーイェッサー!!』 中井出「ところであのー、僕ってみんなに愛されてる?」 総員 『愛されてません!サー!!』 中井出「ヒ、ヒドイ!なんてヒドイ!!」 きっぱり言われた! でも心は晴れやかでした。最強。 藍田 「提督よ……貴様は提督であって、愛されるべき対象じゃあ……ねぇぜ!」 岡田 「僕らを導く存在……それは提督だが、愛とは違う」 清水 「や、普通にエロマニア時代はそのエロさを尊敬してたけど」 中井出「今の僕は?」 総員 『尊敬の念などないわ!』 シード『なっ……なんだと貴様ら!』 ナギー『おぬしらヒロミツをなんだと───』 中井出「謝謝!謝謝僕のフレンドたち!!」 ナギー『なにぃっ!?』 シード『ち、父上!?馬鹿にされているのに何故感謝を!?』 馬鹿にされている!?とんでもない! 僕はこの言葉によって、心の中の巴里に刻み込んでいた思いを、 さらに強固にすることが出来たのだ! 中井出「聞くのだシード!そしてナギーよ!     我らは確かに提督だの二等兵だのと言い合う仲!     だがその実体はただの“元クラスメェ〜イツ”!!     そこに真の上下関係などありはしない……あるのは友情!仲間との想い!!     我ら原中に愛などいらぬ!要るとするならばそれは、     結婚相手や産まれてきたベイビーにのみ送ればいいだけのもの!     我らが心に必要とするものは深い仲間意識!そして友情!     友情とは素晴らしい!友情こそがパワー!     まあ俺達の場合友情というよりは仲間意識だけど」 ナギー『ぬ、ぬ……?仲間と友は違うと申すか?』 中井出「申す!友情は素晴らしいが、俺達は個への感情よりも多への感情のほうが深い!     島田と灯村は幼馴染らしいから俺達よりも個への感情は深かろうが、     我らは一人が全員を、全員が全員を思っている!故に仲間意識!!」 彰利 「我ら原中、一人が一人のためにというのは滅多に無し。     騒ぐ時は全員で。それが我らのモットーよ。     だからホラ、罵る時も全員で死ねとかクズがとか言っとるっしょ?」 遥一郎「それは団結力として認めていいのか……?」 中井出「もちろんさ」 それが団結じゃないとしたらなんだというのか。 友情は素晴らしい。 けど、深く考えてみると……我ら原中には友情ってものはないかもしれない。 みんながみんなを“仲間だ”と信じ込み、その上で一人が全員を思う。 それも友情だ〜って言うヤツの方が多いかもしれないが、 それは……なんていうか、 心の底からの友情ってものを知ってるヤツに対して、失礼な感じがした。 うん、俺達のは仲間意識と団結力だ。 友情とは、ちと遠い。 現に俺達は、互いを友達だ〜なんて言ったことがなかった気がする。 いつも“我ら原中”で括っているんだ、友情なんて言葉は出る筈もない。 悠介 「そういえば……原中の中で友情って言葉、     滅多に……いや、下手すれば聞いたことがなかったかもな」 彰利 「む?そりゃそうデショ、俺達の場合、友っつーより仲間だし。     ホレ、よくあるじゃない?危機に陥ると我先にってとんずらする仲間ども。     僕らってあんな感じじゃない?」 遥一郎「い、いや……それって仲間としてどうなんだ?」 彰利 「俺達ゃ仲間だ。だけど仲間のために命を落とすのを美しいとは感じない。     だから危機が迫ればそりゃ逃げるさ。守りたいとも思うけどね、自分が大事さ」 岡田 「そうそう、危機が迫れば我先にと逃げるのが我ら。     むしろ隣のやつに足引っ掛けてでも保身し逃げ出すのが原中魂」 清水 「誰かのためってのは美しいが、誰かのために死ぬのは最悪だ。美しくない。     ホレ、ゼロの使い魔とかでもあったじゃん?     貴族にとって名誉は大事なものだ〜とか、姫のためなら死ぬことも〜とか、     みんなのために死ぬことってそんなにいけないこと?とか。     言わせてもらえばダメ!ダメダメダメさ!!」 中井出「知るのですみんな。誰かのために死ぬということは、     その残された誰かの心にいつまでも棘を残すということ。     我らはそんな棘なぞいらん。俺のためとか言って勝手に死なれて誰が喜ぶ。     だから今こそこの言葉を届けよう。誰かのために死ぬことは罪だ。     許されぬ罪だ。気が向いたら許すけど」 が─── 原中生徒『誰かのために“生きること”!!      それこそが誇りある名誉となるのだ!!』 彰利  「……お偉いさんにはそれが解らんのですよ」 悠介  「人のために散々月で自爆したお前が言うか」 彰利  「いやん、それは言いっこなし♪僕はこうして生きてるじゃない。      とまあそげなわけよ。悠介のために必死こいて未来を変えようとした俺も、      その後に残された歴史を幾度となく嘆いた。      またダメだった、もう諦めようか……そう何度も思ったけど、      諦めちまったら残してきた時代の悠介に申し訳ないって思ったから頑張れた。      勝手に救おうとして勝手に死んで、その死で悲しませちまった友が居た。      そんなのが誰かのためだとか名誉だって言うんなら、      俺はそんな名誉は要らないよ。……友情ってのはもっと軽いもんだ。      だから俺達は、この原中っていう空間が好きなのさ」 悠介  「軽さで言ったらピカイチだからな……。      ああもうほんと好き勝手に裏切るわ犠牲にするわ。      そのくせ、協力するときめたら意志が強固すぎるわ。      軽いにもほどがあるってもんだ。……けど、自分ってものを      ここまで思いっきり出せる相手なんて普通は見つからない。      エロマニアだろうがメイドさん好きだろうが、好き勝手に性癖を暴露しようが、      クズがカスがと罵られるが嫌われもしない。……それが原中って空間だ」 中井出 「友情は素晴らしい。だが仲間も捨てたもんじゃない。      ……あれ?でもそうなると僕の友達ってゼットだけ?」 総員  『サーイェッサー!!』 中井出 「イヤァアア!!ここで元気よく返事しないでぇえええっ!!」 知らなかった!僕の友達はゼットだけだったのだ! よし整理してみよう、晦……は彰利関連の仲間。 彰利は……俺が中学で一番に出会った……友、というより悪友?いや、やっぱり仲間だ。 で、えーとえーと……………… 清水 「ああっ!提督が屈みこんでのの字を書き始めたぞ!」 岡田 「きっと自分の友達を心の中で数えてみてショックを受けてるんだ!」 田辺 「大丈夫だ提督!俺達にも既に友など居ねー!!」 藤堂 「居たけど全員、あの事故以来、地界の生活とともに捨ててきちまったしなぁ」 遥一郎「捨ててきたって、おいおい……それって友として適当なのか?」 藤堂 「もちろんだとも!友と思えばこそ言葉遣いに遠慮などしない!     俺達の間じゃ普通だったぞ?笑いながら馬鹿だとかアホだとか言い合う仲だし。     考え方の違いだろ、やっぱ。     俺達ゃそこまで言っても許せるから、友であり仲間である。     でもそれを許せないヤツも居る。それでいいじゃん」 中井出「難しく考えることなどないのだよホギー。     俺達にとっての仲間像ってのはそういうもんだ。     重くないってのはなんでも言い合える、気を使わないで済むこととも同義である」 遥一郎「……ああ、つまりあれか。     仲のいい友達って言っても、なんでも話し合えるわけじゃない。     話しても馬鹿にされて傷つく場面だってある。     けど、そんなものさえ無理矢理納得する集団が───」 総員 『THE・原中!!』 ズビシィと決めポーズを取って絶叫! そう、何も言わずともここまで出来てこそ仲間! 悠介 「ツッコミどころ満載すぎるのも傷だけどな」 彰利 「悠介はまだまだ原中生徒としては甘ェエエのよ。     もっとこう、ね?何言われようが言い返して最後には笑えるくらいにならんと」 悠介 「正直それもどうかと思うんだが」 中井出「そう思うことも時には大事さ。心を無くしてしまってはいけない。     だが躊躇などしていたら世を楽しみ切ることなど不可能!」 藍田 「我らは世界の面白さを全力で追求する修羅よ!」 岡田 「そこには一切の躊躇もあってはならぬ!」 田辺 「故に全力で突っ走り、危機に陥れば全力で逃げ、犠牲を出そうがとんずらする!」 清水 「なぜならそれすら楽しみに変わるからである!」 藤堂 「だが間違うな!真の危機が迫った時、我らは決して裏切らない!」 丘野 「本当に死んでしまっては、楽しむことなど出来ないからだ!」 彰利 「故に一人が全員を思い、危機には笑いを死地には愛を!!     全員が全員を思えばそれは友情に勝るとも劣らぬ仲間となる!!」 悠介 「故に叫ぼう!我らは友に非ず!我らこそは───」 総員 『原沢南中学校迷惑部!!』 ドッギャァアーーーーーン!!! ズビシィと再び取ったキメポーズとともに、高らかに叫んだ。 忘れちゃいけないのがこういったノリ。 僕らは日々を叫び続けることで、テンションを保っています。 でもそろそろ行こうね?問答してても始まらんし。 と、キリッと表情を変えた途端にクイクイと引っ張られる我が服。 で、見下ろせばナギー。 中井出「おおナギーよ、どうしたというのだ。用があるならば呼べばいいものを」 ナギー『う、うむ……その、な。わしも……仲間として数えられておるのじゃろうか……』 中井出「………」 しばし思考して、納得した。 なるほど、話を聞いてたら不安になったわけか。 しかし考えてもみてほしい。 ドリアードという然の精霊って高貴な立場を捨てて我らとともに旅をし、 その中で徐々に原ソウルを身につけた彼女を誰が仲間ではないと言えよう。 ……いや、言えるけどね?何故って原中だし。 中井出「数えられぬ!!」 ナギー『!!《ズガァアーーーーーン!!》』 中井出「あ」 で、見事に言ってみたら相当なショックを受けるナギー……と、シード。 おお……シードも他人を気遣えるほど心が広くなってきたということか。 この博光も嬉しいぞ。 でも喜ぶ前にナギーをなんとかせねば……。 後退って、今にも泣きそうな顔で首を横に振ってるし。 このパターンはアレだな、人を馬鹿とか言って逃げ出す青春的パターン。 グオッフォフォ、様々なドラマやアニメや漫画で こういったパターンを知り尽くした(つもりの)この博光を出し抜けると思うてか! ナギー『ヒ……ヒロ、ミツ……ヒロミツのばかーーっ!!《がしぃっ!!》ふきゅっ!?』 中井出「逃がさん」 藍田 「ゲゲェ逃げ出す少女をあっさり捕まえたぁあーーーーっ!!」 岡田 「すげぇや!さっすが天下の中井出さんだ!」 清水 「戸惑うばかりであっさりと逃してしまう主人公どもとは訳が違う!!」 丘野 「なんて手が早いんでござろう……!     きっとエロマニア時代で培った経験の為せる業でござろうな!」 総員 『おおなるほど!』 中井出「違うよ!!ちょ……なに言ってんの違うよ!!     今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?     ……え?今言わなくていつ言うんだ?言葉を放つタイミングを甘くみるな?     そ、そうだけど今はそっとしといてよ!べつに言う必要のないことでしょ!?     確かにその時に言わなきゃ意味をなさない言葉ってあるよ!     お偉いさんがたはみんなそうさ!自分だけベラベラ喋って、     途中で言いたいことを見い出した人が喋ろうとすると遮って!     なのに後で“なんだね?”とか言うんだ!でも今は関係ないからお願い黙って!」 彰利 「なんだと…………っ!」 悠介 「死ね………………っ!」 中井出「死ねとまで言うかこのクズども!ええいだが今はそれどころではない!     ナギー!よく聞くのだナギー!」 もう周りのことなど無視、ガシリとスリーパーをしているナギーに呼びかける! え?何故スリーパーなのかって?  『わたしらも仕事で柔道もやってる身ですからこれだけはワカる』  『完全にキマった裸締めは絶対に逃げられない』 ……からです。 スリーパーだけどね。 ナギー『なにをするのじゃっ……離せっ!離せというに!!     ヒロミツはどうせわしのことなぞ仲間と思っておらんのじゃろ!?』 中井出「なにを言う!仲間と思っておるとも!」 ナギー『どうせそれもウソであろ!だったら何故さっきは───』 中井出「ぬう!?問われたならば返答しよう!     仲間とは数えるものではないからだぁあーーーーーっ!!!」 ナギー『……!?』 中井出「仲間は仲間である!数が問題なのではない!     仲間だと思うことこそ肝心!重要!大切なのだ!     それを数えられるのかだと!?馬鹿も休まず永久(とわ)に言え!!     確認をするまでもなくナギーよ!シードよ!貴様らは我らが仲間である!     だから泣く必要などないのだ!逃げる必要などないのだ!     それを理解した上で貴様はまだ逃げると申すか!申すかぁあーーーっ!!!」 ナギー『《メェエエリキキキキキ……!!》っ……!っ……!!』 清水 「いやいや提督!キマってる!キマりすぎてる!それじゃ喋れねぇって!!」 中井出「へへっ……今日もキマッてるぜ」 清水 「てめぇがじゃなくてスリーパーがだよ!!」 中井出「なにぃ!?───おわぁナギー!!」 言われて初めて気がついた! どうやら喋ってる間にアツくなってしまい、腕に力が篭りすぎていたらしい……! パッと手を離せばナギーは倒れ伏し、ゲホゴホと咳き込む有様……!! 中井出「ひどい……!いったい誰がこんなことを……!」 悠介 「これだけのやつらの前で締め落とそうとしといて、     よくそれだけのことが言えるな……」 原中ですから。 だが勘違いしないでほしい、僕は締め落とそうだなんて思っちゃいなかった! 本当ですよ!? そんなことを思いながらも僕の手はナギーの背を撫でておりました。 ……あのー、俺ってもしかしてナギーに相当甘い? みんなもなにか微笑ましいものを見る目で、鬱陶しくなるくらい凝視してきてるし。 ナギー『っく……ひっく……うぅう……』 中井出「お、おわっ……おわぁあーーーーーーっ!!!     ナギーがナギーが泣いた!どうしようどうすりゃいい!?     お、おおそうだ!紀裡にやったみたいにトアテァーーーーッ!!!」 僕はもういっぱいいっぱいです。 だから娘の紀裡が泣いてしまった時にやった行動のすべてを以って、 ナギー泣き止み大作戦を開始した!! まずは抱き上げ!───効果無し! 次に肩車!───効果無し! ではおんぶ!───効果無し! ならば高い高い!───効果無し! だったらエアプレーンスピン!!───効果無し!! 中井出「クク〜〜〜ッ」 彰利 「ムウウ〜〜〜ッ」 万事休す!! それからも様々な行動を取ってみたが、ナギーは泣き止む様子を見せない! それどころか何故かシードに軽く睨まれてる有様! あ、あれ?なんで?どうしてキミが僕を睨むの? ───ハッ!?もしかして嫉妬!?彼はナギーを好きになってしまっていたのか!! ……でもその割りには、どちらかというとナギーを睨んでるような……気の所為? と、思い悩んでいると、最終奥義お姫様抱っこに移行した時点でナギーがか細く囁いた! ナギー『……、じゃ……』 中井出「なにぃそれは大変だ!」 彰利 「え?なに?どしたの?」 藍田 「大変って……まさかミッションに支障が出ることが!?」 悠介 「そりゃ確かに大変だ!穂岸!妖精たちに外郭に傷がないかを調べてもらってくれ!     彰利!俺達は敵の襲撃がないか調べるぞ!」 遥一郎「解った!」 彰利 「オウヨ!」 丘野 「おおお!なにやらドタバタと……!こうなったら黙っていられねーでござるな!」 藍田 「おお!よっしゃあそれじゃあさっさと準備にかかるぜ〜〜〜っ!!」 清水 「オ〜〜〜ッ」 ロイド『……───よし、西の大陸への隣接を完了した。     あとは根を伸ばし、連結させるだけだ』 中井出「うむ!A班以外の各員は戦闘準備!!敵が来たら退けてくれ!     A班は最後に持ち物の確認を怠るな!」 総員 『サーイェッサー!!』 呼びかけるとともに散開する皆様。 それを確認してから、俺は静かにナギーに呼びかけた。 中井出「……大丈夫か?」 ナギー『ひっく……うぅ……ぅ……!     よかったのじゃ……!ヒロミツに……ヒロミツに嫌われたら……!     わしはもう、帰る場所も行く場所もないのじゃ……!』 中井出「え?あるだろ。癒しの関所とか」 ナギー『叩きのめして……家出まがいのことを続けておるの、じゃぞ……!     そんなこと、できるわけ、なかろ……!?』 中井出「俺は出来るぜ!……だから泣くのはおよし?俺の言い方も悪かった。     だからこれで仲直りさ。直るほど壊れたとは思っちゃいないが」 ナギー『……、と、当然よの。わしとヒロミツは……その、仲間、なのじゃからな』 中井出「……ああ。その通りだ。だからな、ナギー。もう確認なんてするな。     俺は、俺が裏切られないかぎり、そいつを仲間を決して裏切らない。     ……いや、それどころか裏切られても愚直にそれがウソだとか思うかもしれん。     だから、貴様は安心して俺を仲間だと思っていればいい。     忘れちまってもいいくらいだ。仲間だ仲間だって意識する必要なんてない。     それが当然って思えるくらいの確信を持っちまえ。     ……俺は、それを喜んで受け入れよう。───俺達は、仲間だと」 ナギー『ヒロミ……う、うぐっ……うあぁああんヒロミツーーーーッ!!』 中井出「───!?」 一瞬の隙をつき、我が首に腕を回さんとするナギー! そんな彼女に我が攻撃回避アビリティがレベル4を報告! 攻撃回避アビリティLv4!!───弾幕確認!させるかぁっ!! 中井出「52の関節技のひとつ!キャァアプチュゥドォーーーーッ!!」 ナギー『───!《ババァッ!!》』 中井出「なにぃ!?」 故にキャプチュードで落とそうとするも、ナギーの攻撃回避アビリティがそれを感知! 咄嗟に我が両腕から逃れ、この博光の攻撃を見事に回避しおったわ! 中井出「……フ、フフフ……成長したなナギーよ……!よもやあれを躱すとはな……!」 ナギー『フフフ……!わしをナメてもらっては困るぞヒロミツよ……!     いつまでも原中として未熟者だと思っておると痛い目を見るのじゃ……!』 頬に流れる汗を拳でグイと拭い合った。 フフ、この緊張感……たまらねぇぜ。 ロイド『根を連結させたぞ!さっさといけ!』 中井出「よっしゃあ一回見たけど敢えて言おう!まだ見ぬ冒険の地へと!     さあ行こうナギー!そして素晴らしき6人!!」 総員 『サーイェッサー!!』 こうして僕らは走り出した! さあ行こう!くだらん悩みなど吹き飛ばして、 なんだか辿り着くのに滅茶苦茶時間がかかったような気がする大陸へと! 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