───冒険の書226/戦うということ───
【ケース551:中井出博光(再々)/躍動】 ───……気色の悪い感覚に囚われている。 すぐに感じたのは奇妙な浮遊感。 夢かなと思ったけれど、自分は確かに現実の中に居た。 でも俺であって俺じゃない。 レオンと意識交換した時と同じだ、俺は自分の内側に存在している。 聞いたことがあるだろうか、魂ってのは小さな球体のようなもので、 心霊写真として知られるオーブってのはそれが浮遊しているものなんだと。 死んだ人の数だけ人型の魂が浮遊していたら、 世界は何処を見ても幽霊だらけになってしまう。 人の顔に見えたり姿に見えたりするのは、そこに強い思念が入って初めてそうなるらしい。 ……人っていうのは、脳からの微量の電気信号で活動するっていわれてる。 解るだろうか。 その微量の電気信号を送っているのが魂ってやつであり、 人からその電気信号である魂が抜けると、人は活動しなくなる。 だからこそ魂……霊魂が集まる場所は、いやに磁場が強い。 まあべつに今の状況と大した関係もないんだが、 多分だけど……今の俺はそんな風にして、 小さな球体みたいになって自分の中を漂ってるんだろう。 じゃあ俺の体は誰が使っているのか。 ……そんなもの、この嫌な気配を感じればすぐに解る。 ───『………』 狂いし者。 大樹ガイアフォレスティアいわく、 『古の頃、力と戦いを何より求め、力無きものを否定した狂戦士』。 それは確かにバルバトスの生き様に似てはいるが、全貌はまるで違った。 こいつに名前なんてない。 あるとするなら、狂いし者って呼び名こそが名前だ。 なにを思って今この時に俺の体を使っているのかは解らない。 けど、腕……いや、霊章から噴き出る火闇を見ると、心がとてもざわつく。 破壊衝動というんだろうか……あまりいい気分ではない。 なのにその嫌な気分に身を委ね、全てを破壊したいとさえ思えてくる自分もいる。 ───『貴様は……何故生きる』 そんな支配に囚われそうになった時、声が聞こえた。 こんな時に俺に声をかける……かけられるのは、狂いし者だろうか─── 意外だ……と思ったが、俺は素直に答えていた。 中井出『何故生きるのかか。すまん、解らねーや。生きてるから生きてるで十分だろ』 素直な答えがそれだ。 死んでちゃ楽しめないことがある。 生きてるなら、どうせなら楽しみたいって思うのはおかしなことか? ……他人に訊くまでもなく、俺はきっぱりとおかしなことじゃないって答えるけど。 ───『ではなにを求め戦う』 次の質問はそんなものだった。 ……不思議に思うが、狂いし者だって解ってるのに、 どうしてか声にざわつきっていうのか……恐怖を感じない。 中井出『戦うことに求めるものか……そりゃやっぱ楽しみなんじゃないか?     男なら戦いの中に楽しさを求めちまうもんだろ。     ……って言っても、それは戦いを知らないヤツだから言える、     一種の憧れみたいなもんなんだろうけどさ。     感触が……さ。ゲームの中っていっても、残ってるんだ。     肉を切る感触。人の首を刎ねる感触。……内臓を突き破る感触。     最初の頃はファンタジーってことで、俺も相当浮かれてた。     その浮かれのお蔭で、かなり薄めることが出来てたよ、そういうこと。     でも……そうじゃないんだよな。ふと息を吐くと、死んだ人の顔が目に浮かぶ。     こんな筈じゃなかったのに、家族が待ってるのに、って』 戦いの中だ、やらなきゃやられる。 でも、それを知ってても“自分は死ぬわけがない”って、誰だって思う。 今生きてる現在だってそうだ。 大きな地震がきたところで、 他の場所みたいに潰れたり自分が死んだりするわけがないって、 どこかで災害を軽く見てる。 たとえ死んでも生き返れる俺達はまだいい。 ……けど、この世界で既に自我を持って生きている人達にとっては、 この世界での生活こそが現実だ。 そんな人達の未来を、俺は確かに破壊してきた。 中井出『武器を持って向かい合った時点で。     自分は生きたいって思った時点で……相手は仕留めなきゃいけない。     殺さないまでも、反撃できなくなるくらい痛めつけなきゃいけない。     俺はガイアフォレスティアに行った時、きっとそこでいろんな覚悟を決めた』 その時に思ったことを、今でも思い出せる。いつだって思い出せてた。 ゲームっていうのは楽しいことばかりじゃない。 そんなこと、ガキでも知ってることだ。 でもガキがやるゲームは“自分はあくまで客観的に命令を下すだけ”で─── 自分がこうして破壊を齎すなんて事態には絶対になりえない。 それでも自分にそれを求められた時、 どれだけ怖く思うのかを、あの時の俺は知ったんだ。 ……俺は臆病な“人間”だと。 人を殺すのは怖いし、やさしい意志を持ったものを破壊するのも正直怖い。 けど俺がこの世界で決めた覚悟には、 きっとそういったものも混ざっていた筈だから。 自分が決めた覚悟がウソになってしまわないためにも、俺はやらなきゃいけないんだと。 そう心に決めて、俺は大樹ガイアフォレスティアを破壊した。 中井出『これが地界で起こったことだったら、俺はどれだけ蔑まされただろう。     自分が生きるために散々と人を殺して、モンスターを殺して。     モンスターから素材を剥いでは、自分が生きるための武具にしてきた。     モンスターにだって社会があるのにさ。そいつらを殺してエモノにしてるんだ。     これじゃあモンスターにとっての俺こそがモンスターだ』 ただモンスターだというだけで武器を振るってきた。 ファンタジーだから、ゲームだからって言っても、笑い飛ばせない自分は確かに存在した。 中井出『この世界に降りてからいろんなことを知ったよ。     生きる目的が見つかったとか、そんな大袈裟なことじゃあきっとない。     でも、それとはべつに見つけたものはいろいろあった筈だ。     この世界は確かにゲームだけど、この世界で生きてるやつらには歴史がある。     お前らが俺達の世界に降り立っても、きっとそんな感じなんだと思う。     俺が思ってる以上にこの世界には昔から流れてる時間があって、     それは俺達が今までなんの感慨もなくやってきたゲームにだって存在してた』 ただそういうゲームなんだって思ってやっていた。 でも、その中に自分が入ってしまえたなら、 俺達プレイヤーはその世界をどう思えるだろう。 俺はこの世界が好きだ。 ゲームだからってだけじゃない、死んでも生き返れるからってわけでもない。 ただこの世界を生きる者として、 プレイヤーとしてじゃなく、いつからか好きになっていた。 最初はただの遊びだったんだ。 でもいつしかハマりこみ、 この世界はこの世界の中でなら“現実なんだ”って思えるようになった。 だって、みんな生きてるんだ。 いろんなものに意志がある。 草や花、木々や風にも。 耳を澄ませば聞こえてくるこの声は、最初は作り物だったかもしれないけれど、 今はきちんと自分の意思を持っている。  ……だから……時々思うときがある。  自分が強くなるためになにかを殺すのは、正しいことなのかと。 それを覚悟で覆い尽くして、今までを走ってきた。 答えの解りきったことだから、振り返る必要もないって括ってたのに。 ───『戦いに迷う必要があるのか。やらねば死ぬだけだ』 そう、やらなきゃ自分が死ぬ。 戦場で向かい合った時点で、もう自分の命は賭けている。 生きるか死ぬかのギャンブルが戦いってだけのこと。 それでも死にたくないし、 出来れば人なんて……いや、生き物を殺したりなんてしたくない。 ───『ならば何故戦う。戦わずに静かに暮らしていればいいだろう』 それも一つの選択肢だった。 俺はあのまま動かずに、平凡に麻衣香と紀裡と、空界の家で暮らしていればよかったのだ。 ……そうすれば、あんな夢を見ることだって、きっとなかった。 ───『夢?馬鹿なことを。あれはこれから起こる真実だ』 ……知ってる。 本当は解ってる。 あれはルドラからの警告だ。 このまま関われば───晦側に居ればお前は死ぬのだ、っていう警告なんだ。 死ぬのは怖いさ……家族だって居る、失ってしまいたくないものがたくさんある。  でも、じゃあ、俺が殺してきたやつらには、そう思ったやつは居なかったのか? 居たさ、当然だ。 平和に過ごして、戦って。 家に戻れたなら、その手で子供を抱き上げてやりたかった戦士がきっと居た。 戻ってきてくれたなら、 美味しい料理を振る舞ってあげようと笑みを浮かべていた妻もきっと居た。 それを壊したのは誰だ?……俺じゃないか。 ───『悔いるか?己のしてきたことを。そして捨てるか。己が鍛えてきた剣を』 …………まさか。 俺は捨てない。 殺してきた人のためだの、奪ってきた幸せの分までだの、そんなことを言うつもりはない。 人間、生きてりゃいくらだって後悔することだってあるさ。 でもな、俺は自分が生きてることになんの後悔もない。 ばーさんが救ってくれた命だからとか、じーさんが育ててくれた命だからとか、 そういうことを言ってるんじゃねぇ。 俺は俺として、きちんと自分の意思で生きている。 助けてくれたことにも、育ててくれたことにも感謝してる。 してもしきれないくらいに感謝してる。 何度頭を下げたって足りないくらいだ。 けどな、そんな風にして“誰かが助けてくれた命だから”って、 自分をほったらかしにした理由で生きててなにが楽しい。 あの人達は多分そんなこと望んじゃいない。 だから俺は生きるんだ。生きることに後悔なんてしてもしょうがない。 俺は自分が生きるための行動をとってきた。 それが間違ってようが正しかろうが、 せめて自分が認めてやらないで誰が俺の生き方を認めてくれる。 俺は人を殺した。その人の家族の未来を奪った。 子供だって妻だって、きっと泣いただろう。 ……心が痛いさ。俺だって父親だ、そんな想像をしたことがないわけがない。 子供が大人になって、どうして自分には父親が居ないんだって訊かれた時の母親が、 どんな顔をするかって想像したことがあるか?  戦争に出て死んだ。俺が殺したんだ。 初めてそんな想像をした時、俺は空界に帰るのが怖くなったよ。 紀裡にどんな顔をして会えばいいのか解らない。 どれだけ意地を張ろうがゲームだって言い訳しようが、残ってるんだ。 殺した人の表情、肉を切る感触、そして……命を奪う瞬間を。 ───『……ならば貴様はどうする。これより先に何を願う』 願うものなんてなにもない。 ただ……贅沢を言うなら。 ……もう一度だけ、紀裡の頭を撫でてやりたい。 生きて帰ることを諦めるわけじゃない。 あれが現実に起こるんだとしても、意地でも生きて、帰ってやる。 だから……その時は、笑って……こう、さ。 いつもみたいに馬鹿笑いするんじゃなくて…… こうやって、父親の顔で……撫でてやりたい。 ───『……そうか』 あの場面に行き着いた時、俺は死んでしまうのだろう。 そうならないためにどんな生き方をすればいいのかなんて解らない。 でも、じゃあどうすればいいのかも解らないから─── ───『……貴様は、変わらぬというのだな』 ───そう、変わらない。 俺は人を殺すだろう。 モンスターを殺し、素材を剥ぐだろう。 ここがもはや現実とそう変わらない世界に至ったと実感しながらも、奪ってゆくのだ。 死者への冒涜でもあり、強盗まがいの犯罪でもあるだろう。 でも、たとえこの世界が本当の意味での現実だとしても、俺はきっとそうしただろう。 生きるっていうのは簡単じゃない。 理屈だけで生きていけるなら、誰だってそっちを選ぶ。 理屈を唱えるだけで生きられるのだ、人にとってそれほど楽な道はない。 でも……現実はそうじゃない。 殺さなきゃ生きられない場面は存在するし、 いつの日かその立場が逆になることもあるのかもしれない。 この世界に……もうレオンが生きていないのと同じように。 中井出『ゲームだからって言葉はこれからも使うだろうなぁ。     でもまあ、俺は現実家だからな。起きたことは起きたことだ。     生きるためにやっていくよ。     “生きるためだからしょうがねぇ”っていうんじゃねーぞ?     俺はこの乱世を生きる。生き残り、大手を振って地界に戻るんだ。     そして空界に戻って紀裡の頭を撫でるんだ。     そのためには生きるためだから仕方なくなんて半端な覚悟じゃ馬鹿らしい。     それに、俺はもうとっくに覚悟なんて決めてる。     この世界での生き方ってのを受け入れてる。だから……俺は変わらない』 生きると決めたからには、生きなきゃウソだ。 それがどんな方法でもいい、生き抜いてゆくと決めた。 だから俺は悪をするのに躊躇をしない。 覚悟ってのはそういうものだ。 ……最近は誰かさんによく邪魔されるが。 ───『そうか。それを聞いて安心した』 ……ところでさ、てめぇ狂いし者じゃねぇだろ。 ───『……誰もそうだとは言ってないがな』 やっぱりか。 名前は……まあ、訊く必要はないんだろうな。 ───『その通りだ。私はいつも貴様とともにある』 ……とりあえず貴様言うのやめない? ───『貴様の魂のルールからの受け売りだが?』 ……ナイス原ソウル。 ───『だが……ああ。ようやく貴様に届いた。この日をどれだけ待っただろう』 ……やっぱ貴様やめない? そのほうがきっと感動の場面っぽく聞こえるよ? ───『断る。何故ならば、その方が面白いからだ』 ギィイイイーーーーーイイイイイ!! 妙なところでばっかり知識つけやがってぇええええっ!! ……でも、まあ、なんだ。 確かにやっとだな。ようやくすぎる。 ……初めましてってのも変だし……まあなんだ。 アンニョンハシムニカ、ジークフリード。 ジークフリード『いつも世話になっているな。我が主』 名前を唱えた途端、宙に浮いた状態の俺の目の前に、 カッコイイ鎧とマントを装着したムチャクチャイケ面の男…… 略してムチャ面の男が姿を現した……!! ムチャクチャイケ面って褒め言葉のはずなのに、 略しただけでなんでこうもヘンな意味でしか受け取れなくなるんだろう。 中井出    『さて……挨拶を済ませたところで。この嫌な感じの正体は?』 ジークフリード『目に見えているだろう。貴様の体が狂いし者に乗っ取られている』 中井出    『あれ?やっぱりそうなの?』 でも、目に見える限りではべつに何かを仕出かそうとしているわけでもない。 ハテ、なにやりてーんだ狂ちゃんてば。 ジークフリード『戦いを求める修羅か。         全てが寝静まりし今、目的もなく時を過ごすのみだな』 中井出    『意識奪えるかな』 ジークフリード『そればかりはやってみなければ解らないがな……、……?なんだ』 中井出    『おいおい態度太ぇぞ剣てめぇ。         なんだいその冷静沈着ですよって喋り方は』 ジークフリード『気にするな。せっかくいい名なのだ、         こういう振る舞いをしてこそ名に見合うというものだろう』 中井出    『知ってるやつらにそういう喋り方するやつ腐るほどいるからやめて?』 ジークフリード『そんな理由でか!?』 ムチャ面が驚いてみせた。 中井出    『ちなみにジークムントとジークリンデってどんな喋り方なんだ?』 ジークフリード『父も母も、威厳に溢れた口調だ。         母は威厳と言うよりは母性といった風情だが』 中井出    『その常識を破ってみる気は』 ジークフリード『ない!あるか!あってたまるか!』 中井出    『そ、そこまでして断らなくても……』 どうやらジークフリードは常識破壊が苦手……ではないな。 ただ自分の名前が好きで、それに見合った凛々しさが大事らしい。 ジークフリード『やれやれ……ようやく声が届いたかと思えばこれか。         つくづく貴様は状況に動じない男だな』 中井出    『十分動じてるんだが、それよりなにより、         どうせならこの状況を楽しんでくれようかと。         剣の意識をからかえるなんて一生に一度あるかどうか』 ジークフリード『あったとして、からかう以外にすることがないのか!』 中井出    『うむ!思いもつかなかった!!』 ジークフリード『思うくらいしてみせろ馬鹿者!』 中井出    『過去の人は言いました。馬鹿と言う者が馬鹿だと』 ジークフリード『つくづくいい性格をしているな主……!!』 中井出    『初めて褒められた……!』 ジークフリード『褒めていない!!』 うん知ってる。 しかしよくもまあ元気に返してくれることよ。 もしかしてずっと寂しがってた? 俺は一方的に話し掛けてたりしてたけど……ぬう、そうか。 返事が届かないってのは、案外寂しいもんなのかもしれん。 中井出    『ジーク、ちょっといいか?』 ジークフリード『……はぁ。なんだ、主』 中井出    『ムキキーーーッ!!!』 ジークフリード『《ばちこーーーん!!》ぶべら!!』 ジークフリードと向き合ってから、既に人型となっていた俺は、 容赦無用にジークフリードの左頬を右手でブッ叩いた。 ジークフリード『なっ、なにしやがるこのブタ野郎!!』 中井出    『うるせー!俺のことは主じゃなくて相棒って呼べ!         俺はお前の主人になった覚えなんて全然ねー!         むしろここまで一緒に育ってきた相棒だって思ってるんだよコノヤロー!         それと……悪い。随分無茶させたよな』 ジークフリード『無茶をさせているという自覚があるなら叩く前に言ってみせろ!         剣の意識をブッ叩くなど、どれだけ常識破壊をすれば気が済む!         ……っはぁっ……!まったく……ああいい、気にするな。         私にはその言葉だけで十分だ。貴様は私をここまで成長させてくれた。         しかも呪われている私を見捨てず、それでもなお相棒と呼んでくれる。         無茶は互いだ。私は貴様と無茶をするのが嫌いではない』 だからってブタ野郎って言われるとは思わなかったけど。 やっぱりこいつって無理して堅苦しい口調してるんじゃないのか? 中井出    『…………やっぱそのえらそうな口調やめない?         相棒ならもっとこうざっくばらんにさ、藍田くらいの気安さで、ほら』 ジークフリード『む……まあ、やってやらなくもないが───         あ、あー……あ、相棒。か、かかか感謝、してる……ぜ』 中井出    『おお!そう!その調子だジーク!もっと!もっと言って!』 ジークフリード『よせ!気持ち悪い!おかしな目で私を見るな!』 中井出    『ひでぇ!』 相棒の変化を見守る生暖かい目だった筈なのに……! やっぱり生暖かさがいけなかったんだろうか。 ジークフリード『それと、ジークという呼び方はやめろ。         私……ああもういい、俺はジークフリードだ。         ジークでは父も母も呼ばれているように聞こえるだろう』 中井出    『おお、それもそうだ。じゃあ……ジークフリード。         言う必要なんてないことだが、貴様の意思を尊重する故に訊こう!!         僕の手を握れ!一緒に見ないかい!?決して楽じゃないが最高の世界!』 ジークフリード『フン断る《スパシィッ》』 中井出    『ゲェエーーーーーーッ!!!!』 差し伸べた手が払われた!! 僕の手が!握って欲しかった僕の手が!! ジークフリード『冗談だ』 中井出    『泣くとこだったよ今!!』 ジークフリード『貴様がいつもやっていることだろう』 中井出    『悲しむのは自由さ』 ジークフリード『……つくづく勝手だな。日々を風任せに生きているようだ』 中井出    『風任せだとも!それが人間本来の生き方だと、かのFさんも言っている!         そして俺もその言葉には大!賛!成!         責任だとか使命だとか夢だとか、         そんな荷物を背負い込みすぎちゃあ生きていくのは億劫すぎるぜ!         どれも必要なものだが、背負い込みはよくあらず!!         と叫んだところで。そろそろこの状況の打破方法を考えねば』 ジークフリード『……ふぅ。つくづく───』 中井出    『貴様の口癖は“つくづく”だ!!』 ジークフリード『その通りだ《どーーーん!》』 中井出    『認めたァアーーーーーーッ!!!』 口癖指摘されて認める人って物凄く珍しいんじゃなかろうか! フッ……さすがだぜジークフリード……! よもやこんなところで無意味に驚かせてくれるとは……! 中井出    『今さらだけどさ。俺の人器ってまたレベルアップしたのか?         貴様と話せるってことは、多分そういう意味だと思うんだが』 ジークフリード『そういうことだ。篠瀬夜華といったか。         あいつとの戦いで、貴様にも得るものがあったということだ』 中井出    『そ、そか。じゃあ武器の思念を具象化出来た記念に、         始解とか出来たりしない!?ほ、ほら!         いつか死神の鎌を合成させたことがあっただろ!?』 ジークフリード『浅打の鎌で卍解など無理だということは貴様も解っているだろう』 中井出    『…………うん……そうだよね……』 けど最近ろくなことなかったからさ……たまにはこう、 いいことがオガーと押し寄せてきてくれたっていいじゃないか……。 こう構えて、卍!解!って叫んだら、ジークフリードが禍々しく変貌して……! すっ……素晴らしい! ジークフリード『トリップしているところを邪魔するが、         この状況を打破するんじゃなかったのか?主よ』 中井出    『ムキキーーーッ!!』 ジークフリード『《ズパァン!!》はべら!!───な、なにをする!!』 中井出    『なにってビンタに決まってんでしょォオオ!!         あんたこそなァアアにやってんのォオオ!         相棒って呼べって言ってるでしょォオオオ!!?』 ジークフリード『そうそう変えられるか!         俺はグレートソードとして貴様の手に取られて以降、         時の回廊でCOMP合成された後でも貴様のことを主と呼んでいた!         グレートソードだった俺がジークフリードだぞ!?         これを感謝せずになにに感謝する!』 中井出    『……なんか今、お前に物凄い親近感が沸いてきた。         え?なに?お前ってあの時もらったグレートソードが主意識だったの?』 ジークフリード『そう……最初は俺だってただのグレートソードだったのさ……。         グレートには色んな意味があるが、         グレートソードってのは偉大って意味のグレートじゃなくて、         大きなって意味のグレートだった……。         そんな武器屋に行けば売ってるような凡剣を!         貴様が英雄の剣に変えてくれたんだ!───数多の武器と合成される中、         俺みたいなグレートソードが主意識として残れたのも、         ひとえに貴様が凡人だったお蔭だ!         デッキブラシや釘バット、ヒノカグツチやジークスフィア!         それらに飲まれず俺が俺で居られるのは貴様のお蔭だ!         感謝以外になにが出来よう!いや出来まい!───反語』 彼はムチャ面を涙に濡らしながら、天を仰いで叫んでいた。 いや……やばいぞどうしよう、俺嬉しい。 鍛えてるうちに、 いつの間にかジークフリードは俺なんかよりよっぽど立派な剣だなんて思ってた。 けど、まさか意識がグレートソードだったとは……。 中井出    『え……じゃあジークムントとジークリンデは?』 ジークフリード『双剣ガザミから分かれた意識だ。         長剣状態と双剣状態とで俺達は意識を交換する。         二人とも貴様には感謝していたぞ。         貴様は武具を無駄にしない。無茶はするが、大事にしてくれている。         俺も二人も、自分たちがまさか         こんなにも力強くなれるとは思っていなかった』 中井出    『………』 そう言われて悪い気はしなかった。 でも面と向かって言われると照れくさいもので、 俺はそっぽを向きながら頬を掻くくらいしか出来なかった。 ジークフリード『ブリュンヒルデもファフニールもドンナーも感謝している。         ああ、貴様の見解は正しい。我らはこのフェルダールに存在し、         貴様が関わった様々な者たちの思いによって生きている。         ……我らを手に取ってくれた者が貴様でよかった。         それだけは、貴様とこうして向き合って伝えたかった』 中井出    『ジークフリード………』 頼むから、感謝してるなら貴様って言うのやめてくれ。 頼んでも無駄だろうからもう言わないけど。 中井出『……ん、確かに受け取った』 だから素直に受け取っておこうと思う。 こうして意識を通わせることが出来たのはいろいろなことが重なった結果だとしても、 話すことで解り合えたことがここに存在する事実は虚像じゃない。 だったら真っ直ぐに笑って、受け止めてやりゃあいいのだ。 俺達は、今までをともに生き、これからも突っ込んでいく相棒なのだから。 中井出    『ところであのー、ニーヴェルンゲンの野郎は?』 ジークフリード『あいつのことは気にするな。あいつも俺達と同じで、         なんとか貴様に気に入ってもらおうと頑張っていた。         その結果が指輪の無差別吸収だったわけだが……』 中井出    『ああ……やっぱり……』 もしあれに意識があったならって思ったら、 そうじゃないかなーとは自惚れてみてはいたんだが。 ジークフリード『今は呪いや狂いし者の影響力もあってか、         具象化できるほどの余力はない。         いや、あるにはあるんだが、合わせる顔がないそうだ。         我らが主はそんな器の小さいヤツではないと何度も説いているんだが』 中井出    『ムキキーーーーッ!!!』 ジークフリード『《ベパァン!》もべらっ!』 変わらず人を主呼ばわりする相棒に、もういっちょビンタを進呈! ええいこの解らずやさんめ! ジークフリード『───だ、だからなにをする!!』 中井出    『相棒って呼べっつーのにこのタコ!茹でるぞコラ!!』 ジークフリード『貴様の相棒はなにか!?何人も何人も居るのか!?         貴様の理屈では俺もファフニールもドンナーも、         ブリュンヒルデもニーヴェルンゲンも相棒ということになる!』 中井出    『おおともなんなら俺が世界初で構わん!         相棒がたくさん居ることのなにが悪か!         命を預ける対象を相棒と呼んで何が悪い!!』 ジークフリード『…………主……はっ!?』 中井出    『ムキキーーーッ!!』 ジークフリード『《ばちこーーーん!!》ぶべら!!』 懲りもせずに主と呼ぶジークフリードに、それこそ本気でビンタを炸裂させる! 浮遊状態めいた俺達だが、吹き飛ぶものは吹き飛ぶのだ。 そうして倒れ伏したジークフリード目掛けて跳躍し、腹の上にダブルニーアサルト!! 中井出    『ウッキーーーーッ!!!』 ジークフリード『《ドボォッ!!》げふぁあっ!!?』 中井出    『ムキムキムキムキ!!!』 ジークフリード『《ガガガガガガガ!!!》ぶべらはべら!!』 さらにそのまま馬乗りになり、顔面を両手で殴りまくった。 これぞ山田太郎(珍遊記)コンボ。 中井出    『言えーーーーっ!!相棒と言ってみろーーーっ!!』 ジークフリード『あ……』 中井出    『あ!?』 ジークフリード『アイゴール……!』 中井出    『なんでここでOZN!?《ブスッ》ギャア!!』 目ェエーーーーッ!! 地味に驚いてる隙に、ジークフリードの指先が俺の目をォオオーーーーーーッ!!! ジークフリード『コノヤロォオオオッ!!         黙って聞いてりゃ好き勝手やりやがってェエエエッ!!』 中井出    『誰が黙れって聞けって言ったよコラァアアアッ!!!         そんだけ威勢よく返せんなら最初っから突っ掛かってこいテメェエ!!』 あとはもう滅茶苦茶でした。 魂なのに意識と化した僕はおかしいですか? だが殴れるなら何度でも殴ろう! 使い、使われるだけの関係に信頼関係もなにもあったもんじゃねぇ! ならばどうするか!?ぶつかりあえばいい!  ドガァンバガァンガゴドゴバガドガボッゴォッ!! 偶然とはいえ俺達はこうして、同じ立場として向かい合うことが出来た! だったらその状態でしか出来ないことを、これでもかというほどやってくれるわ!! 中井出    『ふんぎんがぁああーーーーーーーっ!!!!』 ジークフリード『ふっ!?ぬわっ!?ま、待て主!貴様なにを───』 相手が剣だと出来ないことひとぉおーーーーつ!!キン肉バスター!! 中井出    『カメハメ48の殺人技の一つ!!         キィイイン肉ッ───バァアアスタァアアーーーーッ!!!』 ジークフリード『ま、待て待て待て!話せば解ァアーーーーーーッ!!?』 中井出    『ウォーーーーーリャーーーーーッ!!!』  バッ!!ゴォオッ───ドッガァアアアアアッ!!!! ジークフリード『ゲブファアアーーーーーッ!!!!』 中井出    『《ゴキィ!!》ゴギャアーーーーッ!!!腰がぁあああああっ!!!』 ジークフリードを抱え、 跳躍した俺はどことも知らぬ地面っぽい場所に降り立った(ケツから)。 お蔭でケツを強打し、腰に物凄い負担をかけてしまい、 しばらくジークフリードとともにその場でのたうちまわった。 中井出    『……あのよぉ……普通、ここって慌てるべき場面なんじゃねぇの……?』 ジークフリード『貴様が言うか……。         俺は何度も状況を打破するのではと諭しただろう……』 中井出    『言うだけならタダだし……』 ジークフリード『そうだな……』 気づけばボロボロだった。 身体を狂いし者に奪われてるってのに、随分と暢気な俺達。 だが、事実を振り返れば、もう騒いでなどいられない。 中井出    『……よし、そんじゃあそろそろ体取り返しますかぁ』 ジークフリード『当てがあるのか?』 中井出    『んなもんはねーよぅ?         だが取り戻さないと美味しい朝食が食べられないじゃないの。         俺はね、朝はケロッグコーンフレークって決めてんの。         この世界にも空界にもそんなもんねぇから今まで我慢してたけど。         だからさ、猫がそれっぽいの作ってくれるって言ってた時から         楽しみにしてたのよ今日という日を。         いつ作ってくれるかなんて聞いてなかったけど』 ジークフリード『それは、なんというかダメなんじゃないか?』 中井出    『なに言ってんだ、そのいつかが今日じゃないと断言出来るのかチミは。         俺はもう断言出来るよ?今日はその日じゃないって』 ジークフリード『ダメじゃねぇかよそれ!ダメだよねそれ!!』 中井出    『昔の人は言いました。大志を抱いて死んでゆけと』 ジークフリード『死んだら意味ねーじゃねぇか!』 中井出    『うるせーなァア!!         ツッコミばっかしててもなんも解決しねぇだろうがァア!!         お前なにィイ!?偉そうな態度で参上しといて、         出来るのはツッコミとサミングだけなのォ!?         誰に似たのキミ!親呼んできなさい親ァア!!』 ジークフリード『誰に似たっていいだろうが!今はこの状況の打破が先決だろう!』 中井出    『だからその方法が解らないって言ってんだろうがァア!!         どうすんのコレェエ!!お前の所為だよコレェエエエ!!!』 ジークフリード『行き詰ったからって人の所為にするなヘッポコ主め!!』 中井出    『人じゃなくて剣だろうが!剣てめぇこのクズが!!』 ジークフリード『手塩をかけて鍛えた剣に向かってなんてこと言うんだクソ主!!』 中井出    『主じゃねェエエ!!相棒って呼べっつってんだろォがァアア!!』 そして始まる乱闘騒ぎ。 剣の思念体をボコスカと殴りまくる俺と、 剣の思念体なのに持ち主をボコスカと殴りまくるジークフリード。 なにがどう間違えばこんな状況になるのか…… そんなことを、殴り殴られる中で、小さく考えていた。 でもとりあえず一言。 ジークフリードと俺は、持ち主が持ち主なら武器も武器。 案外似た者同士だった。 名前負けしてる感があるが、そりゃ仕方ない。 なにせ、元がグレートソードだったのだから。 ───……。 ……。 さて……それからしばらくした頃のことだが。 狂いし者は特になにをするでもなく、静かに眠りについていた。 俺は大した苦労もなく自分の体を取り戻し…… 中井出「……なぁジークフリード」 早速、さっきまでのが幻想じゃないかを確かめるべく、 鞘から抜き取ったジークフリードに話し掛けた。 ……すると。 ジークフリード『なんだ……その、相棒』 確かに聞こえた声が、俺に安らぎと……笑みを齎した。 中井出    「……ふひひ」 ジークフリード『気色が悪いな……なんだ、その笑みは』 中井出    「いや。ようやく相棒って言ってくれたからさ」 ジークフリード『そんなことのために呼んだのか、勘弁しろ。         大体まだ夜明け前だぞ、寝ておかなければ体が保たない』 中井出    「お?なんだ、心配してくれてるのか?」 ジークフリード『馬鹿か貴様は。……相棒の身を案じない相棒が何処に居る』 中井出    「───……そだな。うん。よし。じゃ、寝るな」 ジークフリード『……ふ、ふんっ、ああそうだ、さっさと寝てしまえ』 ……うん。 やっぱりこの世界は動いてる。 もう管理者なんて必要じゃないくらい、みんながみんなとして生きている。 そんなことにどうしてか嬉しさを感じながら、起こしていた身体を寝転がらせた。 隣にはナギーとシードが居て、今も静かに寝息を立てている。 ……ひどく穏やかだった。 夜の闇がこんなに心地よく感じられたのはいつ以来だっただろう。 中井出「……サンキュな、ジークフリード」 穏やかだったから、というわけでもない。 ただ自然に、自分を案じてくれた相棒に礼を言った。 そして目を閉じてゆく。 ゆっくりと、朝を迎えるために。 ジークフリード『ああ、言い忘れたが』 中井出    「むお……?なんだよ、人が締めくくってるところに」 ジークフリード『貴様の覚悟の話だ。貴様はこれからも変わらないと言ったな?』 中井出    「ああ」 ジークフリード『人を殺すと。モンスターを殺すと言ったな?そこに迷いはないか?』 中井出    「……ああ。向かって来る限りは全力でだ。         もちろん俺から仕掛けることだってある。         戦いってのはそういうもんだろ」 ジークフリード『そうか。……ああ、それでいい。貴様はそのまま変わるな。         貴様の心の痛みは、誰に理解されなくとも俺達が理解する。         俺達は……相棒なんだからな。あまり心配をかけるな』 中井出    「ジークフリード……」 ジークフリード『それだけだ、もう寝ろ。俺も少しばかり眠らせてもらおう』 中井出    「ええっ!?眠れるの!?」 ジークフリード『意志があるんだぞ?眠れるし夢を見ることだって出来る』 中井出    「そ……そうか。それは、なんというか新発見だな」 恐怖!夢を見る剣!! …………どんな夢見るんだろうね? まあいいや、俺もまだまだ眠いし……グギッ!? 中井出    「あ、がが……!?」 ジークフリード『うん?どうした、相棒』 中井出    「い、や……体、が……!」 体が痛い。 これは、筋肉痛……!? いや、筋肉痛とは違う。 確かに似てるけど、やっぱり違うこれは……狂いし者が肉体を支配した後に出る後遺症だ。 そして俺は、ここ最近じゃあ目覚める度に微量だけどこの感覚を味わってる。 ……待てよ?つまりそれは─── 中井出(……マジかよ) 狂いし者が、ゆっくりとだが俺の体を狙っている。 戦えれば、力さえ震えれば我慢が効くヤツであり、 俺の肉体の強奪なんて興味ない筈だって言われてたのに。 ……そうか、呪いや試練に邪魔されて、全力で暴れられていなかったことが原因か。 せっかく俺っていう戦士の身体を奪ったのに、自由じゃないならつまらない。 こいつは純粋だ。 純粋に、戦いを求め続ける修羅。 そう遠くない未来……早ければ明日にも解放される、俺が持つ属性全ての解放を以って、 ヤツは破壊衝動を爆発させるだろう。 力ある者との戦いを求め、暴れまわるだろう。 それを阻止すべく俺がすることは───べつになかったりする。 むしろ存分に暴れるのだ狂いし者! 我が肉体を使い、暴れ狂う狂いし者……! それを止めるべく立ち上がる英雄たち……!なんていう素晴らしいシチュエーション! 俺も戦ってみたかったが、俺自身が狂いし者になっちまうんじゃあしょうがない。 せめて精神の内部から、皆様がボコられる様を見届けよう。 それが俺に出来る、精一杯の楽しみ方に違いない。 ジークフリード『大丈夫なのか?』 中井出    「大丈夫ではないが……一度暴れたらスッキリするなら、         この世に蔓延るブレイバーたちになんとかしてもらうだけなり!」 ジークフリード『それはまた、随分と他人任せな』 中井出    「他人任せというか……なんだろ。ほら、アレだよ。         任せるというよりは、         群がるブレイバーどもをバッタバッタと薙ぎ倒したい魔王魂?」 ジークフリード『自分が助かるためじゃないのか?』 中井出    「え?いや……どっちかっていうと、サウザンドドラゴンとの大戦を前に、         懸命に準備している猛者どもや名誉ブリタニア人を         これでもかというほど薙ぎ倒すことに生き甲斐を覚えたい年頃というか」 ジークフリード『貴様は……つくづく妙な方向に興味を示す男だな』 中井出    「いやいやだってさ!我が体が乗っ取られるんだぞ!?         そうなったらなったで、むしろその状況を楽しみたいって思わないか!?         あまりに緊迫した状況なら確かにヤバイが、         実際ルドラが動いてない現在ならゲームを存分に楽しめるんだし!」 だから俺は狂いし者となり、皆様にたくさん苦労をかけてやるのだ! ……ち、違うよ!? なんか俺ばっか試練だの呪いだのに襲われてて不公平だから、 みんなの邪魔するんじゃないよ!?ほんとだよ!? ジークフリード『貴様という男は……』 中井出    「あっ!今心読んだな!?読んだでしょ!ねぇ!!」 ナギー    『うるさいのじゃ!』 中井出    「ヒィイごめんなさい!!」 隣で眠っていたナギーに怒られてしまった……。 ひどいよナギー……僕だって好きでうるさくしてたわけじゃ……あるかもしれない。 断言出来ない僕を許しておくれ。 中井出    「はうあ……いろいろ話してたら眠気が飛んでしまった……」 ジークフリード『我が主ながら、どこまで馬鹿だ……』 中井出    「ムキキーーーッ!!《ゾヴシャア!》ギャアーーーーーーッ!!!」 手ェエーーーーッ!! ついビンタ炸裂させようと手ェ振ったら、僕の手がジークフリードにサックリと!! ナギー『うるさいと言っておろうに!!』 涙ながらに絶叫したら怒られました。 なんて可哀相なボク……。 中井出「だ、だってこの剣の野郎が!違うよ!?悪いの僕じゃないよ!?     この剣が僕のこと馬鹿って言うから!     だからビンタしたのに僕の手がゾヴシャアって!     …………あ、あれ?どうしたのみんな、ぞろぞろ集まって……。     まだ暗いよ?ホラ、ちゃんと眠っておかないと美容と健康によろしく……     え?てめぇがうるさくするから目が冴えた?     ち、違うってば!僕の所為じゃなくてこの剣が!     やめてよ!なんでみんな敵対心マックスで近寄ってくるの!?     既に装備してるのに、武器装備し直さないでよ!違うって言ってるのに!     ……くっ……どうしてもやるっていうなら相手になる!     いいだろう!この魔王博光が直々に相手をして《ズキィ!》いたっ!     あ、あれ?体が……しまった体が痛いままだった!や!ちょっと待って!     僕今ちょっと体調がゲゲェ有利と見るや襲いかかってきた!     ちょ、待っ……ほんとやめヴァーーーーッ!!!」 ……その日私は、眠れぬ夜を過ごす、 同じ自然要塞に住む仲間たちにボコボコにされた。(主にシェーラに) Next Menu back