───冒険の書229/VS灼炎竜───
【ケース557:藤堂和巳/バトルブレイバーロマネスク(再)】 藤堂 『はいやーーーっ!!』 ズザザザァーーーッ!! 藤堂  『ツインデバイス解放!いきますよザーボンさん!ドドリアさん!』 ザーボン『ミギギ!』 ドドリア『ミギー!』 それぞれが思い思いの持ち場へと散開する中、 ARMからツインデバイス───ちっこいビットみたいなものを解放! 名前はたった今適当につけた、ザーボンさんとドドリアさん! ちっこいながらも中々に強力なちっこいレーザーを撃ってくれる頼もしい味方さ! これで準備万端!早速、鉄分が枯渇しない程度にARMをゲェーーーーーッ!!? 田辺 『どぅおぉおうらぁああああっ!!!!キュゴァァオゥフシドッガァアッ!!! レッドドラゴン『ルガァアアアォオオオッ!!!!』 いざ行動に移らんとした瞬間、牙銀化した田辺が六本の腕から集束させた巨大な光弾…… いわゆる牙銀大砲をブッ放した!! しかもその大砲は竜族の、しかも守護竜の固い鱗を簡単に破壊し、 ダメージを与えるだけじゃなく思い切り吹き飛ばすじゃないか!! まずは鱗をなんとか破壊しなきゃって思ってた俺達にとって、 その破壊力は目の覚めるような巧妙を産んでくれた。 藤堂       『よ、よっしゃあ!ザーボンさんとドドリアさんはレーザーで援護を!           俺がいいって言うまで打ち続けろ!』 ザーボン&ドドリア『ミギー!』 狙撃をデバイスに任せ、俺はハンディキャノンでちくちくとグレネード弾を放ってゆく。 いや……けどデケェデケェ! こんなデカいヤツだとかなりドキドキもんだ! ストームドラゴンは随分とちっこかったから、それだけでも驚きだ。 だがそんな驚きもなんのその! 戦闘に入っちまえばいろいろな覚悟だって決められるもの! 俺はハンディキャノンを駆使し、牙銀が砕いた鱗部分を集中的に狙う! もちろんそれは他のやつらも同じであり、 卑劣だと自負できるくらいにそこだけを狙っていた。 丘野 『飛べ!炎雷覇!《ドチュチュチュチュチュチュ!!!》』 丘野くんが刀の先から炎弾を連射し、 ロボ 『ワハハハハハ!!ハードショットハードショット!!《ガガガガガガ!!》』 清水(ロボライダー)がハードショットで狙い撃ちしまくり、 岡田 「ブレードパルサー!そぉおおりゃぁあーーーーーーっ!!!」 岡田が振るう剣から巻き起こる衝撃波で切り裂き、そして─── ドガァンドガァンドガァン!! バゴォン!ガォンゴガァンッ!! ゴォッ───キュドォッガァアアアアアアンッ!!! レッドドラゴン『ガッ……ギッ……!!』 なんとも痛そうだったのが、藍田の奥義……超武技・轟天。 左右三発ずつの鋭い蹴りと、フィニッシュの高速踵落としは、 あまりにも巨大な相手に対しても遅れをとることなく叩き伏せてみせた。 や……暗黒闘気の力ってすげぇええ……!! 藍田 『我の拳は神の息吹!堕ちたる種子を開花させ、秘めたる力を紡ぎ出す!!     美しき───滅びの母の力をォオオオオオーーーーーーーッ!!!!』 ヒュゴォッ!───キュバァンッ!! ピピンッ♪《10分アビリティ発動!3発までTP消費を無視した攻撃が可能になった!》 ……極めつけはこれだ。 滅びの母の力……ゼノギアスでいう、システム・イドのような役割を果たすコレ。 3ターン……いや、三回まで攻撃のリミット外す奥義中の奥義。 つまり、これから使用する技がどれだけTP消費が高かろうが、 三回までなら打ち放題というわけで─── 藍田 『唸れ……!魔神破天弾!!ドガガォオオオオオンッ!!! レッドドラゴン『グガァアオオォッ!!』 即座に放たれたのは魔神破天弾。 暗黒闘気をエネルギーの塊として放つ技……だが、TPの消費も中々激しい。 もちろん消費TP量に見合った攻撃力はあるわけだが─── さすがにその一発で死んでくれるわけもない。 さらに言えば咄嗟に尻尾でガードされ、大したダメージにもなっていなかった。 岡田 「藍田!鬼神黒掌いけ鬼神黒掌!!」 藍田 『無茶言うなバーロォ!!TPは平気でも篭手が保たねぇよ!!』 藤堂 『じゃあ田辺!牙銀大砲のストックは!?』 田辺 『ガッハハハハハ!!あるが今はその時じゃあねぇ!!     俺は今自分の力をどこまで引き出せるか試してんのよ!!     てめぇらだってそうだろうが!───もちろんヤバくなったら逃げるが』 総員 『それでこそ原メイツだ!』 偉そうなことを言っても所詮はヒヨッコ。 怖いもんは怖いので、内心ビビリまくりである。 それにしたって、田辺と藍田の強さは素晴らしき7人の中でも群を抜いてる。 特に田辺。 こいつの妖魔化や幻魔の強さを前にすると、 俺達(特に丘野)が一歩後ろの位置付けが決定してる気がする。 だが俺達の中に上下関係など無し!あるとすれば命令を行う提督のみ! っていっても平気でクズ呼ばわりで、新兵も一等兵も二等兵もそう変わらんのだけど。 レッドドラゴン『グォゥシャアッ!!』 藍田     『《バゴォンッ!!》いがっ!?』 オワッ!?尾撃にやられた藍田がこっちに吹っ飛んできて───って! 藤堂 『うわわ馬鹿馬鹿!こっち来んな!今俺アークスマッシャー溜めて───!!』 藍田 『すまん無理だぁあああっ!!!浮遊で逸れようにも勢いが強すぎて───』 キュバドガァアアアアアアンッ!!! 藤堂&藍田『ギャアアアアアアアアア…………!!!』 藍田との衝突で暴発したアークスマッシャーを前に、 俺達は青白い光に包まれて激しく爆裂した。 ちなみにアークスマッシャーは空間作用型相転移兵器ってやつで、 まあ……いわば小型ビッグバンキャノン? ちと……いや、かなり違うが、まあ意味合い的には少しだけ似たようなものだ。 水蒸気を冷やせば水に、水を冷やせば氷に、氷を熱すれば水に、 水を熱すれば水蒸気に……と、そういった温度差などの状況において、 形状を変化させる対が存在する作用のことをなんとなく指す。 小難しいことなんざ覚えちゃいないけど、確かそんなんだった。 なら空間作用型の相転移っつったら?……空間の捻れ、空間の消滅などを連想させる。 つまりそういうことだろう。 な、もんだから───急に捻れた空間は急に縮小、そして元に戻ろうと弾け─── 俺達を巻き込んで大爆発を起こした。 これぞミニマムビッグバン。 俺と藍田はそれこそギャアアと叫びつつ、仲良く灼熱の大地を転がった。 藍田 『いでぇえええっ!!いってぇええええええっ!!!!     て、てめぇなぁあっ!!そんな技使えるなら最初っから使っとけよなぁっ!?』 藤堂 『うるせー!どれをどう使おうが俺の勝手じゃーーーいっ!!     でもその意見には賛成!つくづく賛成!     アニメとかマンガで、ボロクソにやられてから奥義出すヤツの気が知れねー!     でもアークスマッシャーってものめっさ鉄分使うんだよ!     だからせいぜい使えて一発!     それも今使っちまったから使おうにも使えんのじゃーーーっ!!』 藍田 『クソの役にも立たねぇやつだな!死ねクズが!!』 藤堂 『なんだとてめぇ!     元はといえばてめぇがこっちに飛んでくるからだろうがこのクズが!!』 藍田 『元を正すならこっちに飛ばしたレッドドラゴンにこそ罪があるだろうが!』 藤堂 『そうかそれもそうだった!赤てめぇ!このクズが!!』 岡田 「お前ら随分余裕なのな!!こっちのことも少しは気にしてくれません!?」 藤堂 『黙れクズが!』 藍田 『死ね!!』 岡田 「てめぇらこそ死んでしまえ!!」 騒ぐ岡田の方を見てみれば、岡田は次々と繰り出される尾撃や牙攻撃、 爪攻撃やファイアブレスをブレードスナッパーの早撃ちで捌きまくっていた。 その速度はまさに神懸りッ……! とても足の遅さでビリを手に入れたヤツの速さとは思えぬほどだ! ロボ 『速ぇえなあおい!!それもう剣士とかの剣戟速度じゃねぇだろ!』 岡田 「喋るより手伝ってぇええええええっ!!!」  ヒュフォフォフォフォフォフォフォジャガガガガガガギィンッ!!! 敵の攻撃を弾く弾く弾く!! 弱音の割りにその速度が落ちることはなく、次々と繰り出される攻撃という攻撃を、 その速さから来る威力で逸らし、斬り滅ぼしてゆく! 正面に立たせたら、これほど攻撃が当てづらい相手は居ないだろう。 ミスターは……まあ、当てられるには当てられるけど、効かないだけだし。 しかし凄いのは速度だけではなく、その立ち位置だ。 あれだけの速度、あれだけの攻撃を繰り出し、時に真正面から弾いて尚、 岡田は最初から立っていたその場から動いていな───あ、動いた。 藤堂 『テメェエエエエエエッ!!!     人が素直に感心してるところに横槍刺すんじゃねぇえよ!!     せっかくすげぇって思ってんのに!空気読めよテメェエエエエエッ!!!』 岡田 「えぇっ!?なにが!?《ゾブシャア!!》ギャアーーーーーーーッ!!!!」 ロボ 『ああっ!岡田が爪の餌食に!』 丘野 『岡田殿!?岡田殿ーーーーっ!!』 赤竜の剛爪に、肩から脇腹までを大きく裂かれた岡田が吹き飛ぶ! だが俺達ももうレベル3000近くの猛者! たった一撃ではそう簡単にはやられはせん!!……多分。 岡田 「あだだだだだ!!いてっ!いってぇえええーーーーーーっ!!     グミッ!グミを……っ!!」 願い通り、見事に生きていてくれた岡田くん。 しかしその傷は相当に深く……いや、深いんだが、 ギャーと騒ぎながらも結構な速さで逃げ出している。 生にしがみつかんとする男の根性を見せ付けられた気分だ。 岡田 「《モグリモグモグ……》よし復活!しかしいやぁ強ぇえ強ぇえ!!     レベルが高いくせに、提督が戦いたがらないわけだよ!」 藍田 『おお!けど我ら素晴らしき6人の力を合わせれば勝てるぜ!?』 丘野 『その通りでござる!いまや拙者たちは提督のレベルに並ぶほどの猛者!     提督一人で勝てる相手に、拙者たち6人が勝てぬ道理などねぇでござる!』 ロボ 『まさしくその通り!───でもなぁんか忘れてるような』 藤堂 『忘れてることなどなにも───あったぁあーーーーーーーーーっ!!!!』 ハッとしたときにはもう遅ぇ!! なにを忘れてるって……俺達には決定的に足りないものがあった! それは提督にあって俺達にはないもの! 岡田 「ど、どうした藤堂!     まさか300$以内だと決めておいたおやつを買い忘れたのか!?」 藤堂 『んなもんハナから決めてねぇよ!!じゃなくて!     俺達には足りないものがあった!そしてすぐさまに霧散!!《ババッ!》』 岡田 「へ?───お、おわぁーーーーーーーっ!!!!」  キシャオボォッガァアアアアンッ!!! 岡田 「ギャアアアアアアア…………!!!」 話に夢中になっていた俺達目掛けて放たれたのは、灼熱の炎球。 熱い地面に落下するや、爆発を起こしてその場を火の海にするほどの炎球だった。 危ねぇ……!あんなのくらってたら、 燃え盛る炎に入っていったスーパージャガーになってるところだ……! 岡田 「うぁああっぢゃあぢゃぢゃぢゃぢゃぁあああああああっ!!!     ギリギリ避けたのに熱ぃいいーーーーーーーーっ!!!!」 田辺 『遊ぶのは結構だが遊びながらでも攻撃しねぇかてめぇら!』 岡田 「こっちはこれでもいっぱいいっぱいですがねぇ!!」 燃えたわけでもないが、よほどに熱かったらしい岡田は地面を転がり、 その地面の熱さにも悲鳴をあげながらさらに転がっていた。 そんな岡田を余所に、俺と丘野くんはひたすらに遠距離攻撃を続ける。 藤堂 『消し飛べぇええ!!バニシングレイ!!』 丘野 『ショットショットショットォオオオオッ!!!!』  ドチュンチュンチュンチュフィガガガガォオオンッ!!! 俺はARMからバニシングレイを、丘野くんは刀の刃先から炎を放っての攻撃。 ちなみに……贄殿遮那と炎雷覇、炎繋がりってだけで炎を放てる丘野くんの攻撃は、 炎属性のレッドドラゴンにはてんで効いちゃいない。 藤堂 『丘野ぉおっ!なんか別の攻撃方法とかないのかぁっ!?』 丘野 『ち、ちくしょーーーっ!!あったらこんなん使ってねぇでござるーーーっ!!』 ハッキリ言って、フレイムヘイズとしての丘野くんは火属性相手じゃ役立たずだった。 だが斬って斬れないわけでもなく─── 突っ込んで斬撃を決めればまだダメージの望みはある。 それは丘野くんも解ってるんだろうが、なにせ相手は巨大な竜。 そう簡単に突っ込む勇気なぞ沸いてきやしないのだ。 つーかハイ!ハッキリ言います!守護竜の強さ甘くみてました! こっちの攻撃てんで効きやしねぇ!! そして俺はさっき頭の中に浮かんだ足りないものを思い出すのだ。 俺達に足りず、提督にあるもの───それは武器の強さ! RX 『ブッた斬る!!リボルケイィイイイイイン!!!《バゴォン!》ぶへぇっ!!』 丘野 『へっ!?ほぎゃ《ドッガァッ!!》ぐへぇっ!!』 ロボライダーからRXに戻り、リボルケインを手に攻撃を仕掛けた清水だったが、 しなる尾撃に弾かれ、まるで狙いすまされたかのように丘野へと衝突。 二人は大地を転がったが、即座に起き上がると戦闘を続行する! とはいったものの───こりゃなにか対策を立てないと本気でヤバい。 …………ヤバイ、筈なんだが。 田辺 『どぉおおうらぁああああああっ!!!     歯ァ食い縛ってぇええっ!!受けてみろやぁあああああああっ!!!』 ギキィンッ!! ゾゴォッフィゾゴォッフィゾゴォッフィゾゴォッフィン!! ヴミンッキュヴァッシャァアアアアッ!!! レッドドラゴン『ガギャァアアアアアッ!!!!』 ……あそこで一人、巨竜を押しているバケモンは何者ですか? や……幻魔強すぎだわ。 藍田 『調子いいじゃねぇか田辺!』 田辺 『ワハハハハ!!牙銀モードの俺は一味違うぜ!?』 藍田 『……スパイスボーイ!!』 田辺 『その一味じゃねぇよ!!』 なんか言い合ってるし。 けどやっぱり確信できたことがある。 状況にもよるけど、田辺と藍田の能力はやっぱ俺達より上だ。 つーか田辺と藍田以外、あまりいい技が揃ってないような……。 や、そりゃ使える技は十分強いんだけどさ。 限られた条件の中でしか出来ないものが多い感じがする。 もちろんあいつらにもそういった条件はあると思うが、 藍田 『(ブゥロ)ッ───焼き(シェット)ォッ!!』  ギュルドッガァアアアアアンッ!!!! レッドドラゴン『グゲェエエゥウ!!!』 ……ああいう、素での攻撃力とか見ちまうと、やっぱそう思えちまうわけで。 仁王立ちするように俺達を威嚇していたレッドドラゴンを、 蹴りというか回転の効いた踏みつけめいたモノで潰すなんて……なぁ? 藍田 『おいおいおい!コレけっこういけるんじゃないか!?』 岡田 「いけるっつーかお前ナニモン!?蹴り鍛えてるからって、     蹴りだけで竜を潰すなんて人間技じゃねぇぞ!?」 藍田 『はっはっはぁっ!人なぞ既にやめている!     いやまあ人ではあるけど地界人じゃあ既にねぇなぁ!     じゃなくて、そう言うならてめぇもさっさと本気でやれタコ!』 岡田 「僕らはいつだって本気だぜ!つーわけでいきま───オワッ!?」 藤堂 『避けろ藍田ァーーーーッ!!』 藍田 『へっ!?あイヤァアアアアアアアアア!!!!!《ガォオオオオオオン!!!》』 レッドドラゴンから離れながら喋っていた藍田だったが、 すぐに起き上がったレッドドラゴンのレーザーによって───……うわっ!死にやがった! ちょっと待て!いくらなんでもダメージデカすぎだろ! 丘野 『ぉおおっ!?藍田殿が一撃で!?』 RX 『なんかおかしいぞ今のレーザー!み、みんな!気をつけたほうがいいぜ!』 藤堂 『いっ……言われるまでもないってこりゃあ……!』 岡田 「うひぃいっ……!いけると思った矢先にこれかよ……!」 とことん油断ならないなと続けて、岡田は剣を持つ手に力を込めた。 ……途端!  ピピンッ♪《体質変化!レッドドラゴンの体質が変異する!》 というメッセージとともに、レッドドラゴンの体が異様な炎に包まれてゆく……! 藤堂 『ワ……ワワワ……なんじゃこりゃぁあああああっ!!!』 田辺 『ぬ、ぬうこれは……汰威死津変苛……』 RX 『し、知っているのか雷電……』 田辺 『う、うむ……あれぞまさに汰威死津変苛……!』  ◆汰威死津変苛───たいしつへんか  竜族が得意とする能力の一つであり、デカい攻撃や特種能力の使用時などに解放する力。  これを守護竜が使うと、大抵特殊技などを繰り出してくるため、注意が必要。  色が変わるだけではなく、種族によっては翼を何段階かに開く、  形状を変化させるなど、様々な体質変化能力を持っている。  例:蒼泳竜/大海嘯、皇帝竜/バリアチェンジ、光天龍/レイ───など  *神冥書房刊:『守護竜族、その進化の可能性』より 岡田 「た……汰威死津変苛……伝説とばかり思っていたが……」 藤堂 『お、恐ろしいことよ……!』 ……まあそれ以前に、 ブルードラゴンの体質変化もストームドラゴンの体質変化も見たけどさ。 藍田 『で、こいつの体質変化能力は……このフレイムウォール?     ……だけじゃないんだろうなぁ絶対』 丘野 『なにせ守護竜でござるからな!』 嫌な予想は当たるものって相場が決まってる。 当然この場合も例外じゃないわけで─── レッドドラゴン『ルゥウォオオオカカカカァアアン!!!』 首を大きく振るったレッドドラゴンが、周囲の炎を猛らせて咆哮する! やべぇこれやべぇって! 藤堂 『───そうだ丘野!火除けの指輪だ!』 丘野 『そ、そうだ私にはそれがあった〜〜〜っ!ってこれニセモノでござるよ!』 岡田 「大丈夫!お前なら、その……やれる!」 丘野 『なにをでござるか!?』 藤堂 『いいからさあ俺達の盾───じゃなかった!前に立って!』 丘野 『今盾とか言ったでござろう!?ちょ……押すんじゃねぇでござる!』 藍田 『お前フレイムヘイズだろうが!』 丘野 『それはただの俗称であって、     フレイムがついてるからって炎に強いわけではござらんよ!』 藤堂 『とんずらーーーーーーっ!!!』 岡田 「アッ!藤堂が逃げたぞっ!」 RX 『追えっ!捕まえて食べ物を全部ブン盗ってしまえ!』 藤堂 『そんなこと言ってる場合かぁーーーっ!!』 振り返れば、口に灼色の粒子を溜め込んでいっているレッドドラゴン! 予測されるのはそりゃ当然レーザーであり……! だだだダメダメ駄目だってそれ!さっき藍田がコロがされたばっかで─── 藤堂 『ってそういやいつの間に戻ってきてたんだてめぇ!』 藍田 『あちらをごらんください』 藤堂 『へ……?』 暴れる丘野を盾にしつつ、藍田に促された方向を見てみると─── フレイムマウンテン頂上の中心に旗を立て、ふぅと汗を拭っている神父がっ……!! 藍田 『登山中らしい』 田辺 『何処にでも居すぎだろあいつ!!』 藤堂 『登山する神父なんて初めて───ってしまったぁあああああああっ!!!』 藍田の声に誘われてつい立ち止まっちまった! じゃなくて立ち止まったのは俺だったぁああああっ!!  ドゴォオッチュゥウウウウンッ!!!! 総員 『ほぎゃああああああああああっ!!!!』 まだ平気でありますようにと振り向いた先で、今まさに放たれるレーザー!! それは、レッドドラゴンの口と周囲に燃え盛る炎、合計五方向から放たれるものであり、 身動きが取れなくなる跳躍ではなく疾駆を選んでしまった俺達の前に───!! 藤堂 『うわわやべウギャアーーーーーーーーーッ!!!!』  ズガァアアガガガガォオオオオオオンッ!!!! ……放たれ、避ける術もなく俺は消滅した。 なんで俺に向けて口からのレーザー撃つんだよちくしょう……。 【ケース558:田辺一郎/サトゥルヌスを悟と呼んだ最後ユニコーン】 ごしゃーーーっ!! 藤堂 『ギャーーーッ!!』 丘野 『アアッ!藤堂殿!?藤堂殿ーーーーっ!!』 藤堂 「《シャアアキラキラ……》やあ」 岡田 「うわっ!もう復活した!」 神父 「おお旅人よ!死んでしまうとは情けない!」 藍田 『自分だって旅人っつーか登山家じゃねーか!!』 藤堂 「お前何ィイイ!?こんなところ登って!つーか暑くないのそんな服着てェエ!!」 神父 「……暑い!《だらだら……!》」 RX 『うぉあすっげぇ汗!お前なんでこんなとこ居んの!?そんな汗までたらして!』 藍田 『馬鹿みたい!』 田辺 『問答はいいから戦ってくれぇええええええっ!!!』 五方向に放たれたレーザーは、そもそも浮いていた俺と藍田には通用しなかった。 ただ藤堂だけがレッドドラゴンに直接狙われたため、なんつーか……なぁ?直殺された。 にしたって威力が半端じゃない。 光天龍ほどじゃないが、こりゃ梃子摺りそうだ……! いや、そもそも光天龍も提督が倒したようなもんだしな。 話によれば、竜族は鱗や甲殻は硬いが、当然のように内部はそうでもないらしい。 だから提督は光天龍の口ン中に入って、散々暴れまわってコロがしたらしいのだが…… 田辺 『…………』 チラリとレッドドラゴンを見やる。 ……が、その口の隙間から常時チリチリと漏れ出している炎を見ると───うん、無理。 あんな中に入ったら体が保たねぇって。 とはいえ牙銀大砲……炎魔葬竜弾は、使う度に俺の体が軋む所為で連発出来ねぇし……。 や、ストックにはある。 5つ分のストック全部が牙銀大砲だから、そりゃもう撃てまくるわけだが…… 一気に撃ったら相当に大変なことになること請け合いというか。 となれば、牙銀状態じゃなく、 速度重視の妖魔形態で、幻魔使ってちくちく行くしかないわけだ。 もちろん羽を生やして。 田辺 『《マジュウンッ……》───うっし!』 体を牙銀状態から飛行妖魔状態に変える。 牙銀状態っていっても、 ただ俺がそういう風に象ってるだけで、実際に牙銀ってわけじゃない。 空を走れたのは本気で驚いたけど、そんなもんだ。 藍田 『んあっ……?田辺ー!牙銀やめちまうのかー!?』 田辺 『牙銀モードよりこっちの方が高速剣使いやすいんだよー!』 地面に降りて具足に熱を篭らせながら叫ぶ藍田へと、言葉を返しながら幻魔を握る。 高速剣は速度が命。 まず風切りで抜刀、次いで高速剣で抜刀連技─── そう繋げれば止められることはまず無い。 風切りは名前の通り風を斬るほどの速度で剣を抜刀、 抜く様さえ見せないままに切り刻む技のことだが……結構腕に負担がかかったりする。 ええい考えるよりレッツゴー!!  ギュラララララララァアッ!!!! 田辺 『数えるのも面倒だからとにかく回転!』 まずヘレンさんの四肢伸縮能力で腕を伸ばし、 次いでジーンさんの旋空剣能力で伸ばした腕を捻りまくる!! 受けてみるがいい!クレイモア中、最強の突きとか謳われてた奥義! ブラッディースクライドよりよっぽど効くぜ!? 田辺 『回転数ッ……最大ッ!!』 これ以上は捻れないと確信した瞬間、 捻れが戻らないように左手も伸ばし、幻魔の柄を掴む。 そうしてから飛翼で飛翔!目指すはレッドドラゴンの眉間!! レッドドラゴン『ルグォオオゥァアアアアアッ!!!』 だが当然、自らへと飛んでくる相手を無視して別の敵を見てくれるわけもなく。 レッドドラゴンは俺を睨むと、自らの周囲で燃え盛る炎を咆哮とともに飛ばしてきた! ───構わん!このまま突っ切る! 田辺 『その身に刻めぇええっ!!旋空剣!!』  キュァヴォォッ!! 気合とともに放つ声。 そして、俺の左手から解放され、突き出された右腕は─── その先に持つ幻魔とともに、大気さえ捻り切るような耳を劈く音とともに放たれた。 レッドドラゴンは小癪な、とでも言いたげに尾撃でそれを払おうとしたが─── 途端、その尾撃が途中で止まり、離れようとした。 だがもう遅い───!  キャガァアガガガゾゴファファォオンッ!!! レッドドラゴン『ギガッ!?グシャァアアォオオンッ!!!』 逃しきれなかった硬い尻尾が、高速回転する幻魔によって破壊されてゆく。 こちらに向けていた分と、その勢いの分だけ、鱗と肉と血を霧散させながら。 けどそれは敵にとってはまだ幸いだったと言える。 ───こっちにとっちゃ残念賞もいいところだが。 田辺 『ッ……チィ!』 どれだけ硬いのか、尻尾を貫き破壊した時点で、伸ばしていた腕が逸らされちまったのだ。 尻尾が無けりゃ確実に眉間を貫いていただろうに……くそっ。 一度見せちまった時点で、もうだめだ。 腕を捻ったらヤツは絶対に俺を警戒するだろう。 まがりなりにも守護竜だ、同じ技はそうそう食らわないに違いない。 岡田 「ナイス田辺!ジーンさんもあの世で笑ってるぜ!     っへへぇ……!下方にデケェ傷口があるならぁ……!     いくぜ早撃ち!アキュートアングル!!」 バチンッ!と伸びた腕を元に戻している中、岡田が地を駆け、鞘に納めた剣に手を添える。 抜剣術とは違うが、手首のスナップだけで高速撃を放てるあいつだ、 剣が刀のように、綺麗に鞘から出ないことを知っていようがいまいが、そう関係ない。 そして俺は、岡田が言った技の名を思い返してみるのだ。 アキュートアングル。 あれは確か─── レッドドラゴン『クガァォ!!』 岡田     「ぜぇえいやぁああああっ!!!」 目障りだとばかりに振るわれる、ズタズタなままの尻尾。 だが根っ子から破壊されたわけでもないソレは、 確かに俺達を潰すには十分すぎる硬さと長さを誇っていた。 ここでそれを振るうのは最善と言えただろう。 ……そう、岡田が振るう一撃が、ソレでなければ。  スフィィンッ───……ズドォオンッ!! レッドドラゴン『ギッ……?』 ……ひどく綺麗な音が鳴った。 長尺の金属と金属を勢いよく擦り合わせたような、逆に心地のいい音が。 けど───まるで音色だ……と思った時には、レッドドラゴンの尻尾は大地に落ちていた。 レッドドラゴン『グギャアァアアアォオオオンッ!!!』 藍田     『おっ……おぉおおおおおおっ!!?』 丘野     『なんでござるか今の!もしや忍術!?今のは忍術でござるか岡田!』 みんなが騒ぎ立つのも無理はない。 傷ついたところを穿ったとはいえ、竜族の尾を斬りとってみせたんだ。 タネの名はアキュートアングル。 相手の防御力が高ければ高いほど威力が増す、魔法みたいな斬撃ドゴォン!! 岡田 「ギャーーーイ!!」 総員 『あ』 尻尾を切った体勢のまま、 かっこよくサワサワと風に撫でられていた岡田くんが踏み潰された。 藍田 『なァアアにやってんのアァンタァアアアッ!!!』 丘野 『攻撃が終わったら即散開!これ鉄則でしょォオオ!?』 藤堂 「いつまでも格好つけてるからそんなことになるのよォオッ!?」 RX 『アンタはもうほんっとに人の話も聞かないでェエエエエ!!』 岡田 「注意、なんてっ……されてなかった……だろうがぁああああっ!!」 総員 『あ、生きてた』 岡田 「死んだこと前提の話だったの!?」 なんと!岡田くんはレッドドラゴンのスタンプをその両手で受け止め、 なんとか踏ん張っていた! 恐らくはSTRマックス状態だ……おおお、なかなか見せてくれるじゃあねぇか……! 岡田 「《ブチブチ》グワアアーーーーーーーーッ!!!」 田辺 『オオッ!?』 藍田 『岡田のアキレス腱から謎の音が!』 丘野 『しかも落下するイリューヒンを受け止めた時の     ミートくんみたいな叫び声だったぞ!』 RX 『ミッ……ミ〜〜〜ト〜〜〜ッ!!』 藤堂 「ミ〜〜〜ト〜〜〜ッ!!」 岡田 「お前らどこまでいっても余裕なのな!いいから助けてぇええええっ!!」 藤堂 「よっしゃ任せろ!ここらでいいとこ見せねぇと素晴らしくねぇもんな!     ナノパワー解放!《マジュンッ!》ABMランチャ───』 スフィンスフィンッ─── 藤堂 『───へ?』  ゾガシャシャシャシャシャシャ!!  ゾバシャシャシャシャシャシャバシャシャシャシャアッ!!  ゾフィィンッ!フィガァッファァアンッ!!! レッドドラゴンに照準を合わせ、いざランチャーを撃とうとした藤堂だったが、 その横を超高速で移動し、 残像さえ残るスピードでレッドドラゴンを滅多切りにする姿があった。 丘野 『はいストック!《ガフィィン!》     ───ウォーーハハハハハ!!素晴らしさ加減では拙者が一歩を先んじる!』 ───丘野の無月散水だ。 藤堂 『ひ、卑怯だぞてめぇ!俺が格好よく決める筈だったのに!』 丘野 『先にやったもん勝ちでござる!卑怯じゃないでござる!』 RX 『おーい……今ので岡田がミンチになったんだが……』 丘野 『ゲェエエエーーーーーーーーーーッ!!!』 岡田 「《シャランラァ》やあ」 藤堂 『本当に復活早いなぁおい!!』 田辺 『なぁキミたち!真面目にやれとは言わないけどせめて戦わねぇ!?』 藍田 『おお!こうしてる間にも提督は戦ってるかもしれねぇんだ!     さっさとこいつを倒して剥ぎ取りして、     間に合うなら闇の守護竜の素材も剥ぎ取ろうぜ!』 総員 『オッケェイ!!』 皆々様が一気に己に喝を入れる。 全ては提督のため───ではなく、素材のため! 私利私欲が大きく働いた時にこそ我らは強くなれるのだ! ゲームってそんなもんだと自負しております。 田辺 『ディヤァアォアアアッ!!《ゴバァアッファァアアアアアンッ!!!》』 丘野 『おおっ!?また牙銀モードでござるか!?』 田辺 『てめぇら上手く避けろよぉ!?加減は出来そうにねぇからなぁ!』 総員 『───へ?』 今さら体を牙銀にする───その理由など一つだけ! 俺の中にあるストック全てを解放し、あの巨体に全てをぶち込む! ただそれだけよ! 田辺 『全ストック解除ォオオオッ!!《ベキミキキィッ!!!》     グガッ……く……!歯ァ食い縛ってぇ……受けてみろやぁあああああっ!!!!』 全てのストックを解除! その途端に目の前に五ストック分の炎魔葬竜弾が出現するが、 同時に俺の体が鋭い痛みとともに軋む。 まるで体中に熱い鉄パイプでも突き刺されたような痛みだ……! だがそれが一時的なものだと解っているから無茶が出来る! 田辺 『どぉおうらぁあああああああっ!!!』  ドガァアッチュゥウウウウウウンッ!!!!! 五つ分の炎弾を一つに融合させ、レッドドラゴン目掛けて放つ!! だが飛翔速度はそう速いものではなく、 それは竜族の素早さなら簡単に逃げられるくらいで─── 藤堂 『逃がすかオラァ!プリズムレーザー!!』  ドガチュチュチュチュチュドッガァアンッ!!!! レッドドラゴン『クギャアォオッ!!?』 だが、逃げようとしたそいつを、藤堂が放つARMの連弾が襲う! しかし流石は竜族。 傷口を狙ったものだ、相当なダメージがある筈なのに、 目の前にある危機のほうがデカイと悟っているのか、 どれだけ撃たれようが無視して飛翔した───! レッドドラゴン『───グオッ!?』 丘野     『そう来ると思っていたでござるよ。───ストック解除!         唸れ龍虎の牙!龍虎ぉっ!滅牙斬ッ!!』 しかしそれは予測されていた。 レッドドラゴンが逃げ出した方向……その上空には丘野がスタンバッていて、 先ほどの無月散水のフィニッシュ時にストックしておいた滅牙斬を解放! 驚きに染まるレッドドラゴンの顔面目掛け、一切の遠慮もなく振り下ろした!!  ゾガガガガガガバッシャァアッ!!! レッドドラゴン『グオァァアアアアッ!!!』 顔面の甲殻は、滅牙斬を確かに弾いた。 が───その下方にあった最初の葬竜弾にて破壊された鱗部分はそうはいかなかった。 そこからをなぞるように破壊された腹部から鮮血が噴き出て、 このフレイムマウンテンを赤く潤す。 だがだ。 既に飛んでしまった距離は斬った程度じゃ戻せるものではなく─── RX 『いくぜ藍田!』 藍田 『よし来い!!』 RX 『インスタントブースター解放!!     アァーールエェエエックスゥッ!!キィイイイイイイック!!』  チュゴォッドボォッガァアアアッ!!!! レッドドラゴン『グギャアォッ!!?』 否。 その距離を埋めるべく、仮面ライダーRXと化していた清水がRXキックを実行。 インスタントブースターで強化された速度をプラスして放たれたソレは、 レッドドラゴンの巨体を吹き飛ばし、だが……葬竜弾の先の方にまで飛ばしてしまい─── 藍田 『“悪魔風脚!(ディアブルジャンブ)画竜点睛(フランバージュ)ショットォッ”!!』  ドヴァァンガガガドッガァアンッ!!! それを修正するように、 待機していた間が燃え盛る脚でレッドドラゴンの巨体を蹴り飛ばした。 だがそれでもなお、レッドドラゴンは起き上がり逃げようと─── 岡田 「逃がすかよっ!エェスインザァッ───フォォオーーーーーーールッ!!!」 ───したレッドドラゴンを、様々な結晶が集いし剣を振るった岡田が、  ヂャガァアアガガガガゾガフィィインッ!!! レッドドラゴン『グオギャアアアアアアッ!!!』 逃げようと力を込めていた筈のレッドドラゴンを、 一撃で葬竜弾目掛けて吹き飛ばしたのだ。 ……あれが、弦月を一撃で屠ったっていう特種能力を圧縮させた早撃ちか。 なるほど、あんなの喰らったら一溜まりもねぇ。 ……だってのに、それでも無事ではあるレッドドラゴンにはもう本当に驚きだ。 レッドドラゴン『ルゥウォオオオオオッ!!!』 ───ゴォッ!バサァッ!! 丘野 『おぉっ!?』 田辺 『んなっ……!』 あと少しで直撃ってところで、 もう根性としか言いようがない強引さで飛翼をはためかせ、 レッドドラゴンが上空へと飛翔する! さすがに避けきることは出来なかったようで、右飛翼の端を炎魔に焼かれたが─── それでも飛翔せんとする力はまるで衰えない……! くそっ!避けられ─── ロボ 『ハッハッハッハッハッハァアアッ!!!     チャァアアアアアアアアアジッ……イィンパクトォオオオオオッ!!!!』 ───た、と思った矢先! なにを思ってか高く跳躍していたロボライダー清水が、 右腕を半月状の円盤めいた武器に変えると、それをレッドドラゴンの飛翼に密着させる! 次の瞬間パギガドッガァアアンッ!!! レッドドラゴン『ゴガァアゥルラァアアアッ!!!』 半月状の円盤から爆発にさえ見える火花が飛び散り、 レッドドラゴンの飛翼の右翼……その翼膜の全てを焼き滅ぼした。 ……今のレッドドラゴンの表情を人の顔として喩えるのなら……きっと今、 あいつはこんな馬鹿なとしか思えていないに違いない。 あれだけ硬かった甲殻や鱗が、こうも簡単に滅ぼされるのだ。 己が身を誇る竜族にとって、そんな非常識なことなど起こり得ることこそ間違いだ。 ───だが。 ロボ 『俺が人としてもヒーローとしても半端なのはともかく……これだけは覚えておけ。     ───俺の科学力は完璧だ』 それは、翼膜を破壊され、 落ちてゆくレッドドラゴンにとっては最悪の言葉だったに違いない。 忌々しげに清水を見上げながら落下し、 やがて炎魔へとギガァアッチュゥウウウウンッ!!! ロボ 『いぃっ!?』 ───直撃する直前、見上げる清水へと体質変化奥義のメガレーザーを放った!! 当然飛行能力なんてない清水はどうすることも出来ない。 即座に飛翔して助けようとしたが、炎魔の後遺症で俺の体は満足に動いちゃくれない。 くそ、最初の頃は溜める時だけに体が軋んだってのに、今じゃ撃った時に軋みやがる……! 管理者め、連発防止用に仕掛けやがったなちくしょう……! 藍田 『いけ丘野!“空軍・(アルメ・ド・レール)パワーシュート”!!』 丘野 『丘野!いきまーーす!』 田辺 『おぉっ!?』 ……いや、見てるばっかじゃない。 みんなだって考えながら行動してるんだ、俺だけが動けなかったとしても、 俺以外の誰かは動ける───だったら助けない道理もありゃしない! 丘野 『清水殿!今助けるでござるーーーっ!!』 レッドドラゴンをオーバーヘッドキックで落とし、自分も降りていた藍田は、 丘野を脚に乗せると清水目掛けてシュート! 勢いよく宙へと飛ばし、清水救済作戦をチュゴォーーーン!! ロボ 『ギャアアアアアア…………ア……ァ……』 丘野 『アーーーーーーッ!!?』 死んだ。 蹴り飛ばしたはいいが、あまりに距離が離れすぎていたのだ。 結局救済は叶わずヂュゴォオオオオーーーーン!!! 丘野 『ギャアアアアアアーーーーーーーーッ!!!!!』 岡田 『ああっ!丘野が残留レーザーの餌食に!』 藤堂 『丘野!?丘野ーーーーーーっ!!!』 清水を助けるべく飛んでいった丘野も、方向転換できるわけでもなく…… 放たれていたレーザーに突っ込むと、清水同様塵と化した。  ドゴォオンッ!!  ヴォガガガォオオオオオオンッ!!! 田辺 『っ……!』 ……しかもだ。 あれだけ散々と吹き飛ばし、散々と狙ったっていうのに。 レッドドラゴンはレーザーを放つことで炎魔に重なるより早く地面に落ち、 巧妙と見たのか飛翼を盾にするように身の位置を変えると、 飛翼を犠牲にして己の命を拾ってみせた。 無茶しやがる……けど、無茶をするだけの価値がある行動だ。 俺達と違って、こいつは一度死ねば終わりだ。 転生ってのが出来るらしいけど、 俺達と違ってすぐに自分として行動出来るかっていったらそうじゃない。 だったら翼の一つや二つ犠牲にしてでも命を選んだこいつの判断は正しい。 藍田 『っ……やべぇ……敵ながら見事って本気で思っちまった……!』 ───いいやまだだ! 確かに飛翼を犠牲にしてまでの避け方は見事! 翼がズタズタになって、もう飛べなくなってしまおうが、拾った命はきっと素晴らしい! ……生き残ることが出来ればな! だが貴様をここから逃がすわけにはいかーーーん!! 貴様にはここで死んでもらう!そして俺達にはきっとそれが出来る! 何故ならば……炎魔はまだ生きているからだ! 田辺 『藍田!藤堂!俺を牙銀大砲まで飛ばしてくれ!』 声高らかに唱えながら、 俺は藍田と藤堂が立つフレイムマウンテン頂上の大地に足をつけた。 藍田 『なに!?マジかテメー!!《ザザァッ!》』 藤堂 『正気か小僧!命を散らす気か!《ズザザァッ!!》』 すると間も無く俺の周りに集う頼もしい戦友たち!……って、 田辺 『オィイイーーーーッ!?そう言いながら極上ガイアスマイルで     スタンバイするのはどういう理由だコラァアア!!』 藍田 『楽しそうだからだ!!』 藤堂 『それ以外に特に理由はねぇ!』 うわぁすげぇらしい言葉が聞けた! しかも聞いた途端にフツフツと嫌な予感が……! 田辺 『……や、やっぱ地道に』 藍田 『セットイン!』 藤堂 『ラジャービュー!!』 田辺 『まままま待てぇえーーーーーっ!!』 藤堂 『超速度接近型ARM!ワイルドパンチ!あぉおらぁあああっ!!』 藤堂が俺と藍田をしっかりと持ち上げ、ローラーダッシュで急速発進! たっぷり勢いを付けてからARMで俺と藍田を吹き飛ばし、 藍田 『いくぜ田辺!アルメ・ド・レール+バズーカチャンネル!!     いぃいいっけぇえええーーーーーーーっ!!!!』 田辺 『ひぇえええあぁあああああっ!!?』 皆様は体験したことがあるだろうか! 己の体が火の玉の如く風を裂いて飛翔するという状況を! 俺は今しております! 自分で飛ぶのとは違い、まるで自由が効きやしねぇ!! ───けど、これで───!! 田辺 『うぉおおおらぁあああっ!!《ヴァヂヂヂヂィッ!!》』 弾丸となり、やがて追いついた炎魔を六つの腕でキャッチ! 炎を発射する容量で包み込めば、自分が放ったものくらいどうってことない! あとはこれをヤツに返してやりゃあいいだけオォオオオオオッ!!!?  ギガァッチュズガガガガォオンッ!! 田辺 『ちょちょちょちょっと待てぇえええええっ!!』 サブタイ:振り向けばそこに 振り向いた先から虚空さえ焼ききらんとするほどの熱量を持ったレーザーが飛んでくる! うおおレッドドラゴンの野郎! 放たれては敵わんとでも思ったのか、俺目掛けてメガレーザー撃ってきやがった!! やべぇ!少し溜めてから撃つつもりだったのに、これじゃあ───! 藤堂 『ARMよりヘヴィARMに変更!     一発のみだがミスを許さぬ究極アビリティ、ロックオン発動!!』 田辺 『藤堂!?』 藤堂 『動くなよ田辺!───元艦載式磁力線砲(リニアレールキャノン)!!』  ビヂィイヂヂヂガォオオォオンッ!!! 照準を合わせ、構えた藤堂のARMから放たれたのは、まさかのリニアレールキャノン!! 虚空を裂くように、肉眼でも確認出来るほどの出力のエネルギーが、 レッドドラゴンが吐いたレーザー目掛けて飛翔し、 相殺とまではいかなかったもののレーザーの進行方向を逸らしてみせた! 田辺 『う、おっ……すげっ……!』 岡田 「おぉおっ!?マンモスマンよ!     フェニックスチーム優勝のためにそのような奥の手を残しておったか〜〜っ!!」 藤堂 『誰がマンモス《シュウウウ……!》グアアアア……!!』 岡田 「ヒッ……!?ヒィイイーーーーッ!!マンモスマンがしおれていくーーーっ!!」 丘野 「マンモスマン!?マンモスマーーーーン!!」 清水 「ロビンの友情パワーに惹かれた戦士がまたここに一人……」 藍田 『つーかお前らいつの間に復活したんだ?』 清水 「ついさっき」 丘野 「でござる」 岡田 「───ともあれ、お膳立ては済んだぜ!」 総員 『いっけぇええっ!!田辺ぇえええっ!!』 田辺 『───!』 ここまでされちゃあ決めねぇわけにはいかねぇ!! ここで決めなきゃ男じゃねぇだろ! …………え?じゃあ決めなきゃ虚勢手術されるの? ───ヒィ!!決めます!決めますとも!! 田辺 『溜めは十分!歯ァ食い縛って受けてみろやぁ!!』 六つの腕で掴んでいた炎魔に、さらに今溜め終わったばかりの炎魔を上乗せする! そして、レーザーとリニアレールの衝突で発生した爆煙にまぎれて、 その先に居るであろうレッドドラゴン目掛けてぇええっ……!!! 田辺 『炎魔ァッ!!葬ォオオ竜ゥウウ弾ンンンンッ!!!』 一気に放つ!!  ズガァアガガガギガァッチュゥウウンッ!!! 弾かせるように前方に突き出した六つの腕に押されるように、牙銀大砲が今発射される! それは爆煙を捻り穿つように滅ぼし、 フレイムマウンテンに漂う熱気さえも殺しながら空を裂く!! レッドドラゴン『グァォッ!!?ルゥウォオオオオッ!!!』 既に飛翼もなく、バランサー代わりの尻尾もないレッドドラゴンだ。 そう機敏には動けないだろうし、避けたところで同じこと当たるまで繰り返すだけだ。 だってなんか藍田と藤堂が俺の後ろでスタンバッてるし。 鉄分不足でカサカサなんだから無理すんな藤堂……。  ゴガァッチュゥウウウンッ!!! ───それは予想通りと言えた行動。 レッドドラゴンは炎魔目掛けて渾身のレーザーを放ち、相殺せんとする。 だが屠竜奥義書で得た炎魔、計六発分を込めたこの一撃…… 他の種族ならまだしも、竜族にはそう簡単には破れない!!  グォガガガガガガガガォオオンッ!!! 岡田 「ぐおおおお!!!物凄い大気震動だ!!」 丘野 『たっ……立ってられねぇでござるーーーっ!!』 清水 「ば、馬鹿な……この俺が震えている……だと……?」 藍田 『震えてんのは地面だタコ!』 藤堂 『死ね!!』 清水 「なんなのこの言われよう!!」 炎魔とレーザーの鬩ぎ合いは、 戦場であるこのフレイムマウンテンにも影響を及ぼしている。 弾ける光が大気を震わせ、共振とも言うべきか大地まで震わせ───  ゴ、ゴゴゴ……!! 田辺 「は、はぁっ……うおっ!?」 藍田 『ゲッ……お、おい!なんか押されてねぇか!?』 炎魔の後遺症に顔をしかめる中、 真っ直ぐに見た鬩ぎ合いは……確かにこちらが押されているように見えた。 俺の手から離れてしまえば、あとは任せるしかない俺と違い、 レッドドラゴンはいっそ圧し返してくれようとするかのようにレーザーを吐き続けている。 だったら、こっちが押され始めるのは時間の問題だったわけだ。 歯を食い縛るべきはこっちだったかくそ……! 田辺 「こんにゃろ……《ズキィッ!》いてぇ!!〜〜〜っ……!」 追撃で大砲めいたものを撃ってくれようとしたが、体に激痛が走る。 自分の体を見下ろしてみれば、連発した所為だろうか……牙銀状態は自然に解かれ、 人型状態で俺はその光景を見るだけしかできない体になっていた。 こうなったら頼りなのは……─── 藤堂 『て、鉄分……鉄分クラサイ……』 ……しか居ないか? 藍田も同じ気持ちだったのか、俺と目が合うや頷き、口を開いた。 藍田 『バックパックにまだタブレット入ってるんじゃねぇか!?ほらさっさと飲め!』 藤堂 『グ、グーヴ……《ゴソリ……モムモム……マキィンッ♪》やあ』 藍田 『よっしゃあ復活したな藤堂!早速だがリニアレールを頼むぜ〜〜〜っ!!』 藤堂 『お前正面からすげぇ鬼な!!     さっき俺リニアの所為でカサカサになったんですけど!?』 藍田 『勝っちまえばどっちも一緒だ!現実に戻ったらメシ一食おごるから!』 藤堂 『……やまふじの野菜炒めで手を打とう』 藍田 『なっ……て、てめぇ!よりにもよってやまふじの野菜炒めかよ!     ……た、田辺、ワリカンな?』 田辺 「………」 藍田 『無視しないでぇええええっ!!』 月詠街の知る人ぞ知る名店、やまふじ。 そこの野菜炒めは実に絶品であり、お一人さま一回しか注文できない。 しかもおごりの場合はおごった相手は食えないというルールまで出来ている。 藍田 『や、やまふじに行って野菜炒め食えないって……!     こんな残酷なことがあるか……!』 藤堂 『さあどうする!さあ!……解ってるな?わしなら出来るんだぜ?』 藍田 『……こいつ弾丸にしてあの弾押そう』 田辺 「それだ」 藤堂 『待ってぇえええええええっ!!やります!やりますとも!』 藍田 『おおやる気だな藤堂!俺達もやる気満々だぜ!』 田辺 「そんな叫ぶほどにやる気を見せるなんて……     お前は殺る時ゃ殺る男だと思ってたぜ」 藤堂 『待てコラてめぇ!“やる”の部分に殺意的なもん感じたぞオィイイ!!     って言ってる暇あったらさっさとリニアレールを撃てばいいんだ!!     そのまえにタブレットを……《ジャラジャラ……がぼっ!》───ほひ!     ひっふへぇえええええっ!!ヒヒハヘールハホフ!!』 多分、よし、いっくぜ〜リニアレールキャノン、でいいと思う。 口に鉄分タブレットを詰め込みまくって喋るもんだから、よく聞き取れなかった。 けど経緯はどうあれギガァガガガチュゥウウンッ!!! リニアレールキャノンは放たれ、炎魔を圧し続けるレーザーを逆に圧し返すように、 反対側から炎魔を圧し始める!! レッドドラゴン『ガッ……グオッ……!』 そうなれば、優劣は自ずと発生し始めた。 さっきは相殺こそ出来なかったリニアレールだが、 レッドドラゴンのレーザー自体を押しているのは屠竜奥義である炎魔葬竜弾。 そこにこちらからの勢いが加われば、レーザーを滅ぼしながらでも進めるのだ───! 藤堂 『ホガー!《ゴクリ!》ホガー!《ゴクリ!》ホガー!《ゴクリ!》ホガー!!』 だがそれだけでは終わらない! 十分であってもノってきたのかヤケッパチなのか、 藤堂が口の中に詰め込んだ鉄分タブレットを飲み下す度、 リニアレールキャノンを思う様に撃ちまくっていっているのだ! あとからあとから強烈な勢いに押され続け、 やがて炎魔はレッドドラゴンのレーザーを飲み込んでいると錯覚を覚えるほどの勢いで レッドドラゴンへ向けて移動し始め、それを俺達が確認した頃には…… 竜族のレーザーではもはや押さえきれないほどの速度を以って、 レッドドラゴンの体へと直撃した───!!  ヂガァォオンガガガガガゴバァッ!!!  ウォガガガガガガガガバゴシャゴォオオオンッ!!!! レッドドラゴン『ルガァアォァアアアアッ!!!         ガッ……グギャァアアアォオオオオンッ!!!!』 鱗が削られ、剥がれていった先から消滅し、甲殻を焼き、肉を焼く。 噴き出す血さえも滅せられ、ただ直撃を受けなかった首から先だけが無事であるため、 レッドドラゴンの断末魔の叫びが俺達には強烈に聞こえていた。 藍田 『う、おお……!なんつぅ威力だよ……!』 岡田 「これが貴様の屠竜奥義か……!恐ろしい技よ……!」 清水 「なんにせよこれで終わりだな……あー……そんな時間経ってないのに疲れた……」 藤堂 「カ……カカ……カ……」 丘野 『藤堂殿!?しっかりするでござる!藤堂ど《ガシィッ!》───の?     《ズズゥッチュゥウウウン!!!》ギャァアアアォアアアアアア…………!!!』 藍田 『オワッ!?お、丘野!?丘野ぉおおおおっ!!』 岡田 「藤堂ストップストップ!暴走して鉄分吸収すんな!丘野が死ぬ!」 田辺 「ま、いーじゃねぇか。戦いは終わったんだし」 ───……そう。 終わった……と思っていた。 あれだけ凝縮した屠竜奥義を喰らえば、守護竜だって一溜まりもない。 現に体をどんどんと滅び、 たとえ助かったとしても間も無く息絶えるだろうと確信させる状況だ。 だから……そう、油断してた。 どのみち終わりだなんて思っていたんだ。 ……俺が。 いや、俺達が……提督の言葉を思い出したのは、そのあとのことで……  ゴヴァアアチュガァアガガガォオンッ!!! 総員 『!?』 俺達は、竜族っていう存在をいつしか軽く見ていたんだ。 レベルも上がり、提督にも負けないくらいの強さを得て、ジョブも強力なものになった今。 いくら相手が守護竜でも、これだけそろえば負けはないなんて……。 だから首だけになろうとしているレッドドラゴンが、 最後の力を振り絞ってレーザーを撃ってきた時、俺達はまるで反応できなかった。  提督はなんて言ってたっけ……?───ああ、そうだ。  いつだって油断だけはしない己であろう。  それが、弱い自分たちに出来る精一杯の注意に違いねー、って─── そんなことを、灼熱の業火に焼かれながら、思い出していた。 ……その後、確かに俺達は首だけとなり、息絶えたレッドドラゴンを前に立っていた。 経験値も貰ったし、素材も確かに手に入った。 けど……その勝利は、なんだかスッキリとしない、後味の悪いものになってしまった。 素晴らしい力が手に入ったからと、慢心した結果がこれだ。 だから互い互いに誓い合った。 もう二度と……いや、二度とってのは多分無理だろう。 だったらと、出来るだけ慢心などせずに、 油断もしない自分であろうと……小さく、心に誓い合った。 ……だからってわけでもないけど。 忠告というか注意をしてくれた提督に申し訳ねーと、 俺達は限界までバックパックに赤竜素材を詰め込むと、 その一部を提督用として取っておこうと頷き合った。 さ、反省はここまでとして、闇の遺跡へレッツゴーさ。 Next Menu back