───冒険の書231/VS霧闇竜(上)───
【ケース560:中井出博光(再)/むえんりゅうと読む】 遥一郎「出でよ!敵を飲み込む激しき水塊!セイントバブル!!」 絶え間なく続く詠唱と飛び交う魔法。 広い筈の遺跡の空洞が、戦いが始まった途端に狭く感じるのだから不思議だ。 ダークドラゴン『クァァアアォオオオッ!!』 ダークドラゴンの攻撃! ダークドラゴンは闇魔法を放った! ───だが甘し! 中井出「させるかよぉっ!!“四魂千烈破(シコンセンレツハ)”!」  ヂャガァッキゴバァアンッ!! ダークドラゴン『グアァアオオッ!?』 ホギーが魔法を放ち、闇竜が放った魔法を俺が弾き返す。 その攻防一体?の戦闘スタイルは、役割を完全に決めるものであり、 俺とホギーはただ自分がすべきことのみに集中する。 物理攻撃ではダメージは与えられないが、 魔法反射能力───アスラーナでの攻撃なら与えられる。 しかも敵の魔法の大小さえ間違えなければ倍返しを狙えるんだ、 意地でも見極めて、散々と返してくれるわ! 幸いにして闇魔法しか撃ってこないみたいだし、 それこそ魔力の大小さえ気をつければまだまだいける! も、もしやいける!?夢にまでみた、守護竜への余裕勝ちが実現する!? ダークドラゴン『ルゥウウォオオオオオッ!!!』  コァアアアカカカカォオンッ!!! ダークドラゴンが首を回すようにして口に闇の光を溜める! その闇の集束は凄まじく、 この遺跡に充満している闇のマナが圧縮されていっているかのような……! おお!?もしや大技!?ビッグな魔法でいっきにケリをつける気か!? 中井出「フッ、フハッ!?懲りもせずにまた魔法か!?     いいだろうかかってこい!───と調子に乗った者のように言いたいところだが、     こんな時にこそ命を落とすのがファンタジーのセオリー!     ならば今こそ心落ち着かせる時!そして守護竜といえば!?」  ギガァアッチュゥウウウウンッ!!! やがて放たれたのは───魔法じゃなく、闇の極光レーザー!! 中井出「やっぱりぃいいいいいっ!!!」 跳ね返すなんてとんでもない!! 俺は立ち向かうことさえ意識に浮上させず、一目散に効果範囲から逃げ出した! ───途端、巻き起こる爆発音! その威力たるや、思考が停止しかねないほどに馬鹿げた威力で、 かなり硬い遺跡の壁がいとも簡単にブッ壊れた……! 俺はその余波で吹き飛ばされて壁に激突する始末であり、 離れた場所に居たホギーにはなんの影響もなかったが…… なんでこいつ真っ先に俺狙ってるの!? 中井出「や、やばかった……!あのまま調子づいてたら死んでた……!」 守護竜=レーザーって考えが頭の中に浮かぶのがもう少し遅かったらと思うとゾッとする。 ち、ちくしょう!ただでさえ魔法とかが苦手で、大小を見極めるのも大変だってのに! 今度はレーザーかどうかも見極めなきゃいけないの!? ……ならば先手先手じゃ!───ですよね!鴨川会長! 中井出「マナ集束法!《キュゥウイイ……プスンッ》……アレェ!?」 手の平に光のマナを溜めた……んだが、少しだけ溜まって消滅。 ……アアッ!ここは闇の領域なんだから、光のマナがあるわけがなかった! 今ちょっとだけ溜まったのは、ホギーが放って霧散した光魔法のマナの残りカスか! 中井出「お、おのれ〜〜〜っ!《バゴォンッ!》ぶげぁっ!?」 肉チックに声を荒げた途端だった。 俺の目は確かにダークドラゴンを捉えていたというのに、 どうしてか俺の脇腹が横から殴られた。 中井出「い、ぎっ……!な、なんだこりゃどうなって《ゴバァンッ!》ぎああっ!」 次は背中だ。 ダークドラゴンは……居る。 広間の中央の虚空から魔法を放ち、ホギーと戦っている。 じゃあ……こりゃなんだ───!? 中井出「なんて今さら言うかボケェエッ!!そぉおおうりゃあっ!!」  ヒュゴギャリィンッ!! ダークドラゴン『クアォッ!?』 脇腹の側の虚空に闇の霧が出現したのを見つけた俺は、 そこ目掛けてジークフリードを振るった。 それはそこから出現してきた闇の尻尾を弾く結果に繋がり、 余計なダメージを受けずに済んだ。 ───予想通りだ。 敵を彰利だと思えばいい……あいつは闇を動かして、どっからでも攻撃できる。 だったら同じ闇を使うダークドラゴンも、それが出来て当然だ。 そして解ったことも一つある。 あいつは実体が無いわけじゃない。 攻撃のインパクトの瞬間に体を構築し、俺達に直接攻撃を与えている。 だからその時なら剣で弾けるし、それ以外じゃこちらの攻撃など全部すり抜けてしまう。 それと同じく、魔法攻撃だろうが闇の霧と化している時ではダメージが下がってしまう。 霧で火は消せるが、火で霧は消せない。 よっぽど強い、それこそ全てを一気に蒸発させる業火といえるほどでなくては。 遥一郎「くそっ!下級魔法じゃ闇を削る程度にしかならないか!     悪い!ちょっと騒がしくなるぞ!───チャント!」 中井出「え?」 言葉と同時に“キィンッ”という綺麗な音が響いた。 次いで躍動する、ホギー自身の中に存在するマナと、その足元に出現する魔法陣。 遥一郎「我が呼びかけは紡ぎの導、我が呼びかけは心理の猛り、     我が呼びかけは傀儡を繰る糸。     森羅を謳いし紡ぎの導は心理と名高き猛りを繰らん。     ───我唱えん!我らを照らす白き光の袂に!さしずめ、眩き輝雨の如く!     深淵の呼さえ果てなく!吼え連ねし天駆の王の言霊を謳う!」 次いで唱えられるのは聞いたこともないような言。 魔法のことなんてからっきしな俺にとって、 それがなんのために必要な詠唱だったのかなんて関係ない。 だが、それゆえに巻き起こる事態に俺は驚いた。 地面に発現した魔法陣が一つ、また一つ……いや、 数えるのが馬鹿馬鹿しく思えるくらいに幾重にも連なってゆくのだ。 遥一郎「我は魔術の導を紡ぎし糸を謳にて繰りし流法(ルホウ)の者。     謳え、歌え、詠え、謡え、唄え、唱え。我が言法は一にして連言。     紡ぎし糸を我が脳と唱え、我より詠いし時間を奪え」  ギキィイイイイイイインッ!!! 魔法陣が回る。 もはや何重なのかも解らないくらいのそれは、 地面を回転せし魔法陣から頭痛さえ齎すほどの回転をする! ダークドラゴン『ルォオオオオオオッ!!!!』 中井出    「キャーーーーーッ!!!」 そして僕はダークドラゴンに襲われ、遺跡の床をゴロゴロと回転していた。 実体が無いヤツとどうやって戦えってんだちくしょぉおおおおっ!! だ、だがやられてばかりだと思うなぁ! ダークドラゴン『ガァアウッ!!』 中井出    「《ガブシャアッ!!》いぎっ……!がぁあああっ!!!」 俺をただのおまけ的な存在だと見たのか、 なぶるように魔法やレーザーではなく噛み付きで襲ってきたダークドラゴン。 その牙が俺の左腕を裂き潰した───瞬間! 中井出    「っ……く、ひひひひっ……!つ〜かま〜え───たぁあああっ!!」 ダークドラゴン『───!?《ゾゴォッフィィンッ!!》グギャアアアアアアアッ!!!』 驚愕に染まるダークドラゴンの目を、 俺を噛み付くために実体化した瞬間に裂き潰してやる!! ダークドラゴン『ガッ……!グッ……!キ、サマァアアッ!!!』 中井出    「ワハハハハ!!残念だが俺は勝利のためならば手段を選ばんのだよ!!         自らを囮にすることなど有り得んと思ったか!?         だが貴様が直接攻撃の瞬間に実体化すると気づいた今、         その目を潰すのに我が左腕すら差し出そう!!」 ダークドラゴン『ホウ……!?ナラバコノウデ、ソウソウニクイチギッテクレル!!』 中井出    「わざわざ御託聞いてくれてありがとね?」 ダークドラゴン『ナニヴォガァチュゥウン!!グガァアアアッ!!?』 ダークドラゴンの口内で激しい爆発が起こる! その衝撃で、腕に食い込んでいた牙は外れ、 ダークドラゴンは口から爆煙を吐き出しつつ仰け反るように吹き飛んだ。 フ、フフフ……愚かなりダークドラゴン……! この博光の左腕を、いつまでも噛んだままで居るなど……! そんなの、竜撃砲を撃ってくださいと言ってるようなものじゃないか。 生憎と使える属性が闇と火しかなかったから、 火の属性大砲を撃ったが───実体のダークドラゴンにはそれでも十分だ。 中井出「御託を律儀に聞いておいて、早々に食いちぎるとはよく謳った!     そんなだから虚を突かれ放題なのだ貴様ら守護竜は!」 言いながらグミを噛み、負傷した腕を回復させる。 あーあー派手に牙突き立てやがって、ズタボロじゃないか。 口上はステキにキマったけど、涙目だからてんで格好つきません。……泣いていいですか? ダークドラゴン『……“キサマラシュゴリュウ”……!?         ソウカ、キサマカ!キサマガワレラヲカルモノカ!         ニンゲンフゼイガワレラシュゴリュウヲ』 中井出    「死ねぇええーーーーーーーっ!!!」 ダークドラゴン『ナニッ!?マテ!マダワレガ《ゾギィン!》グォオッ!!         オ、オノレニンゲ』 中井出    「死ねぇえええーーーーーーーーっ!!!!」 ダークドラゴン『ヌアアッ!?《ゴギィン!》ヌグウゥ!!         オノレキサマ!ユルスマイゾニンゲ』 中井出    「死ねぇえーーーーーーーっ!!!!」 ダークドラゴン『マ、マテェエエーーーーーッ!!!』 先生、こいつ馬鹿です! せっかく注意してやったのに喋るばっかで、霧散するのも忘れてくらいまくってます! だからと、俺は左右の鞘に疾風と神速の剣を差し込んでウェポンストックを発動! 疾風の力を引き出して、思う様にジークフリードを振るいまくった!! ……もちろん、四連撃繰り出したら通常攻撃に戻し、 一呼吸おいたらまた発動と、少々面倒くさい攻撃だったけど。 ダークドラゴン『チィッ!《ボファアンッ!!》』 中井出    「なにっ!?」 だが、その攻撃もそうそう続くものじゃない。 不利と見るや、ダークドラゴンは再び体を闇と化させ、我が攻撃を避けやがったのだ。 ダークドラゴン『シッテイルゾ……キサマハワレヲキズツケルマホウガツカエン……!         ユエニダ。ヤミニナレバ、キサマハザコデシカナイノダ……!』 中井出    「───」 あ、なんかカチンときた。 フツーにカチンと来ましたよ今の言葉は。 雑魚っていうのは認めよう。 守護竜にしてみれば確かに俺は雑魚だろう。 だが傷つけられないというのはいささか慢心と早急が過ぎると思います! 中井出「……融合《ガシャンッ》……エジェクション《ガシャンッ》」 小馬鹿にするように、俺の周囲をぐるぐる回る闇を前に、 疾風剣と神速剣を武装融合する。 そうしてからテオブランドをエジェクトし、両脇の鞘に納めてウェポンストック。 さらにジークフリードをジークムントとジークリンデに変換させ、静かに構える。 ……なにをする気かって?そんなの決まってるじゃないか。 中井出「我が双剣に火の加護よ宿れ!“精霊斬”!!」 テオブランドよりアトリビュートキャリバーを引き出す!! そしてざわざわと愉快そうに俺の周りを回るダークドラゴン目掛けてぇええええっ!!! 中井出「“交わらざりし生命に……今齎されん刹那の奇跡!     時を経て……ッ!ここに融合せし未来への胎動ォオオッ”!!」  ザキィンザキィンザキィンザキィンザキィンザキィンザキィンザキィンッ!!! 思う様に双剣を振るい、その刃身から火のキャリバーを放ちまくる! 闇の霧『ガッ!グッ!グッ!グアァッ!!?     ……バカナ!ニンゲンゴトキガ!マホウモツカエヌボンジンゴトキガ!     ヤミジョウタイノワレニ、ゲキヲ……イタミヲモタラスナドォオオッ!!』 普段は使えなくなってしまった剣閃だが、精霊斬の技術スキルを用いれば使える……! そう、思い出せ! 呪われてしまっているのは俺とジークであり、エジェクトしたものはその範疇に限らない! そこから引き出す能力はその武器にこそ宿るもの─── たとえジークを介して放つのだとしても、それは外部から取り込み発動させたもの! だったらここに放ちし12閃は、貴様を斬り裂く紅蓮の炎だ! 中井出「紅蓮に炎!蒼碧にも炎!連ねて一つの力と成す!()ィイ聖剣(しょうけん)ッ”!!」 12閃を放ち終えた俺は、輝く属性剣と貸した双剣が極限まで光輝くのを確認してから、 それらを一振りの巨大長剣に変換!! そうしてから、 俺ごときに闇状態の自分を傷つけられた事実を前に硬直している闇を前に……! 中井出「エェエクスプロードッ!ブレェエエエド!!!」 紅蓮の巨大剣閃を───一気に放つ!!  キュヴォアヴォガァアッフィィイインッ!!! 闇の霧『グガァアアアアアアアアッ!!?』 稀紅蒼剣より放たれた宙を奔る業火が霧を焼く───!! ククク、この博光をただの凡人と見たのが運の尽き! 俺は凡人だが、凡人は凡人でも特種な能力を持った武具を持つ凡人さ! 中井出「そうやっていつまででも俺を見下しつつ襲い掛かってくるがいい!     俺はそこに現われたる慢心を何度でも突きましょう!それが俺の戦い方!!」 闇の霧『ガァアアアアッ……!!キ、サマ……!     イクサビトトシテッ……ハズカシク、ナイノカァアアアアッ!!』 中井出「相手の隙や慢心を突くのは戦いにおいての常套手段!     そして相手の隙を無理矢理作るのも常套手段!!     こればっかりは隙を作るヤツが悪いのよ死ねぇえええっ!!!」 闇の霧『ヌオオオーーーーッ!!?』 そもそももう恥も外聞もないところまで堕ちてる気がするし! そんなわけだから、再び武器に属性が篭るまで、テオスラッシャーをエジェクトして装備! その動作のままに闇の霧へと襲い掛かる! ……けど。戦いの最中で、敵に隙を作ることなど…… そう何度も出来ることじゃないってことを、俺は知っていた。 闇の霧『───カカッタナ!?ソウナンドモ───』 中井出「かかったな!?そう何度も奇襲ばっかするこの博光と思うたか!」 闇の霧『ナニィ!?バカナ!ウラノウラヲカイタト───』 中井出「死ねぇええーーーーーーっ!!!」 闇の霧『ナニィイーーーッ!!?《ゾフィンッ!》グガァアアッ!!』 だから裏の裏のそのまた裏を掻いてみました!最強! こう何度も奇襲ばっかりやってれば、いくらなんでも見切られる。 じゃあその見切り状態で隙を作るにはどうすればいいのでしょう。 ……簡単、とは言えないが、それを実践しようとした時を狙えばよし! 明らかにこちらの奇襲を誘っているようだったんで、予想するのは少しだけ楽だったし。 中井出「ワハハハどうだぁ!多少込めた属性でも、     テオスラッシャーに込めれば武器としての攻撃力も通る!     痛いだろうコノヤロー!《ゾボォッ!》ウギャ痛ぇえーーーーーーっ!!」 だが敵も、もう形振り構わずになってきた。 攻撃を受けて怯むこともあるが、 密集状態でのダークドラゴンはそれでもやっぱり竜族だ。 鱗や甲殻は硬い。 ドラゴンキラースキルや甲殻破壊代表能力蟹キラースキルが無いと、 さすがにそうそう砕けるものじゃない。 さらに言えば闇の霧状態に剣攻撃で向かっても、 たとえ属性を付加させても攻撃面積が狭いのだ。 ならば相手が余裕をもって反撃に出るのも当然のことで、 気づけば俺の脇腹はダークドラゴンの爪にて深く裂かれていた。 中井出「っ……の、やろっ……!ハイル!我が上に在りし月の女神よ!     月光とヤドリギの加護を持て、北の災いを穿て!!」 なにくそ、と左手で突き出し構えたのは先と同じくテオスラッシャー。 唱える言に特に意味はないけど、宿り木の力と月の力を必要とするのは本当です。 意識すると、普段は武器を納めていなければ動かないミストルテインが左腕に出現し、 俺が握るテオスラッシャーの柄を固定するように絡まる。 するとどうだろう、どこからと唱えるならば武具全てから月の加護が溢れ出し、 それを糧にミストルテインと然の加護が、 光合成でもするかのように力を増してゆく───! 天使の集落から脅迫で強奪し、武具と合成させた月属性素材の為せる技である。 天使が言うには月の属性ってのは“強化”に長けているらしい。 反発するでもなく、ただともにあり、他属性を暖かく包み込み、増大させる。 ───つまり。 俺の武具に溶け込んでいるミストルテインに月の力が宿る時。 そこには“マナ”が生まれ、たとえこの遺跡に自然のマナが届かなくても、 この瞬間のみは然の能力が使用可能になるということ。 ただし増大できるのは触媒となるものがある場合のみ。 俺で喩えるならばミストルテイン……ようするに精霊武具だ。 そして自然は、元素ほどではないが様々な“現象”に繋がっている。 代表的に言うなら風や地だ。 中井出「ブラスタァアーーーーーシェル!!」  ギガァアッチュドッガァアアアンッ!!! ダークドラゴン『グアァッ!?』 でも今回はなんの変換も無しに、直接然属性の塊を顔面に叩き込んでやった。 剣の先から放たれた緑色の光弾がダークドラゴンの顔面で弾ける様……最高。 って心を暖かくしてる場合じゃないって! 裂かれた脇腹なんとかしねぇと……えぇっとグミグミ───! 中井出「《ゴキュリ……マキィンッ♪》よっしゃーーーっ!!     さ、さあ!くくく来るなら来い!出来れば来ないで!!」 回復したはいいけど、痛みってのは恐怖を呼び起こす最高のスパイスだった。 やっぱ痛いの怖いよトニー!誰トニーって!なんて彰利の真似してる場合じゃなくて! 中井出「ねぇホギー!?よく解らんけど詠唱まだ終わらないの!?」 遥一郎「え?ああ悪い、もう終わってる。     ただ、魔法無しでどんな戦い方するのかなって、ちょっと観戦してた」 中井出「テメェエエエエ!!だったら俺がどれだけ悪戦苦闘してたか解るだろうがァア!!     人が恐怖と竜と戦いながらギャアと騒いでる時に高みの見物かコラァアア!!     空気読めよテメェエエエエエエッ!!!」 遥一郎「い、いや、悪かった。でもなるほど、ここまで守護竜倒してこれた理由は、     その隙穿ちと武具のお蔭か」 中井出「武器が無ければ特になにも出来ない男……こんにちは、中井出博光です」 遥一郎「うん、それは見ててなるほどって思った」 納得された。 嬉しいんだか嬉しくないんだかパゴシャア!! 中井出「ゲファーーーリ!!」 遥一郎「うわぁっ!?」 なんて会話に意識を取られた所為で、虚空から現れた尻尾に気づかず顔面に食らいました! その威力はとても素晴らしいものであり、 この博光が空中で何度もキリモミしながら吹き飛ぶほど! 中井出「ごああああ……!首がもげるかと思った……!」 遥一郎「お前もう少しステータスに気を配れ!     いくらなんでも攻撃に徹してるからってSTRに注ぎ込みすぎだ!」 中井出「な、なに言ってんの!?アンタに言われるまでもないわよっ!《ポッ》」 遥一郎「気持ち悪いから顔赤らめるな気持ち悪い!」 中井出「一息で二回言われた!!」 もうやめようかな……ツンデレ怒り。 周りの反応が面白いからやってみたけど、 こうストレートに気持ち悪いって言われまくると…… さすがにこの博光のハートもギブアップ宣言したくなる。 なんて思いながらも体は既に臨戦態勢! もはや先のような不意打ちは喰らうまいぞ爬虫類め! 闇の霧『モウボウカンハヤメタノカ、マジュツシヨ』 遥一郎「……なんて言ってるんだ?」 中井出「もう傍観はやめたのか、魔術師よ、だって。……え?俺?」 遥一郎「違うだろ!いつから魔術師になって傍観してたんだお前は!」 中井出「い、言うだけならタダなんだからいいじゃねぇかよぅ!     なんだよ!そんな怒鳴ることないだろロリ道化師ホギー!」 遥一郎「ロリッ……!?───なぁ……標的お前に変えていいか……?」 中井出「やってみろ。その瞬間、僕の丸太のような足がキミの股間を潰すことになる」 遥一郎「…………《ゴクリ》」 中井出「…………《ゴ、ゴクッ!》」 遥一郎「かっ……覚悟しろ守護竜!もう好き勝手にはさせないからな!」 中井出「そうだそうだコノヤロー!ぼ、僕ら本気出しちゃうんだからな!?     さっきから本気だったけど!」 怖かったのでやめました。 だってホギーを囲む魔法陣の数が尋常じゃあねぇんだぜ!? こんな状態で攻撃されたら、反撃出来ないままにケシズミだぜ〜〜〜っ! ……まあ本気でやられそうになったら、 ハイパーアーマー使ってでも僕の丸太のような脚が彼の股間を潰してたけど。 闇の霧『ホンキカ……ククク、アレデホンキダトイウノナラバ、     オメデタイニモホドガアルナ……ショセンハニンゲンカ』 遥一郎「……?なんて言ってるんだ?」 中井出「便秘らしい《バゴォン!!》ニーチェ!!」 闇の霧『チリトカサセルゾキサマ!!』 中井出「ヒィイ!ごめんなさい!!えろうすんません!!」 冗談で便秘って言った途端に、虚空より現われし尾撃が俺の右頬をブッ叩いて候。 ホギーに言われた通り、ステータスに気を配ってVITマックス状態だったから、 そう高いダメージじゃなかったものの……やっぱり痛い。 遥一郎「……よく解らないけど、適当なこと言うのはやめてくれ」 中井出「いやマジだって。あいつ便秘なんだよ。     人がせっかく相談したのに早速バラすとは何事かって怒られたし。     霧になれるのが災いして、消化器官が退化したらしい」 遥一郎「それは……気の毒な話だな」 闇の霧『ギィイイーーーーーイイイイイ!!!!』 真剣な顔でホギーに頷かれた瞬間、彼の怒りは絶頂に達した。 ぬふぅ!とか言ってくれないかな。 中井出「これよこれ……強大な存在を小馬鹿にして激怒させる……。     偉ぶっていたヤツが怒りに飲まれる様……この瞬間がたまらないのだ」 遥一郎「ク、プッ……あっはははははは!!た、確かにこれは面白いな!     さっきまでの威厳たっぷりな雰囲気がウソみたいだ!あははははは!!」 闇の霧『ユルスマイゾキサマラ……!ワレヲコケニシタコト、イマスグコウカイ』 中井出「死ねぇえええーーーーーっ!!!」 闇の霧『ヌワァアーーーーーッ!!?』 喋り途中の霧に向けて、少しの動作と死ねという言葉でフェイントをかける。 すると闇の霧は身構えるようにして凝縮し───見事に引っかかってくれた。 闇の霧『キ、キサ《ボガァォンッ!!》グワァッ!!?』 そして、そんな間隙を逃さずに放たれる魔法。 おおホギーめ、何も言われずとも合わせられるなど……さすがヘッドビッグ。 ……あれ?でも様子がちとおかしいような……。 遥一郎「I advocate it. I will become your sword if you give me the power.(我唱えん。汝が我に力を齎す者ならば、我は汝の剣となろう。)     Therefore, it is looked for.(故に求める。)     Give me the power so that your sword can become your power.(汝の剣が汝の力と成り得るために、我に汝の力を与えよ。)」 ホギーは詠唱してる。 詠唱してるんだけど……次々と魔法陣が弾けては魔法が飛び、 弾けた先から新たな魔法が幾重にも精製されてゆく。 放たれ続ける魔法は闇の霧を幾度も討っているのに、 ホギーが唱えている詠唱はどれもその魔法とは関係のないところで作用している気がする。 なにせ一番下の魔法陣だけがどんどんと巨大になる割りに、 小さな魔法陣は現れた先からさっさと回転し、弾けているのだ。 ……え?これって……違う魔法を詠唱で組み立てながら、 放ちまくってる魔法は頭の中で組み立てて無詠唱で撃ちまくってる……? うわぁすげぇ!これ人間技じゃねぇよ! いくら俺でも魔法の詠唱ってのが面倒くさくて組み立てにくいものだってことは知ってる! 魔法の数だけ詠唱があって、それを覚えることさえ大変だってことだって知ってるし、 詠唱の節を口で放って、あとを繋げるように思い出すのでさえ大変なのも知ってる! 忘れちまった歌の節を思い出そうとしても思い出せないのと一緒で、 それを魔法の数だけ記憶するなんて無茶にもほどがある! なのに…… 遥一郎「Listen to my voice. Listen to my song.(我が声を聞け。我が歌を聴け。我が意志を受け取れ。)     Receive my will. Then, change that all into the light,(汝は光の象徴にして現世せし光の具象。)     and be the sun which lights the enemy who exists before me.(故に我が届けし詩を用い、我が眼前に存在する敵全てを照らす太陽たれ。)」 それをやっちまうこいつって……もしかしてトンデモナイ? つーか騒がしい!ほんと騒がしい! 魔法がドッカンドッカン炸裂してて、もう視界も聴覚も騒がしいことこの上無し! 宣言通りとはいえよくやるよホギーも! 闇の霧『ガァアアアアアッ!!《ゴギィインッ!》図に乗るなよ魔術師風情がぁああっ!!     多少人より優れた力を持っているからとて、     竜族の前ではただの人間にすぎぬことを思い知るがいい!!』 中井出「おおっ!?声がハッキリ聞こえる!カタコトっぽくない!」 ピピンッ♪《体質変化!ダークドラゴンが実体化し、魔法能力が変化する!!》 中井出「なにぃ!?」 体質変化!?やっぱこいつもするの!? 恐っ!闇の霧が集まって、ダークドラゴンの形を象ってゆく! あれは体質変化……ダークドラゴンのインスピレーションが働いているしるしなんだ! この特徴からダークドラゴンは別名“ミストドラゴンが黒いだけじゃん”と呼ばれている! この悲しい体質変化を見て悲しみを覚えないヤツは一人も居ないんだ! 魔法能力変化って……い、いったいなにが始まるっていうんだ〜〜〜〜っ!! ……などと、漫画の解説キャラの真似をしてみている場合じゃなく。 ダークドラゴン『ォオオオオオオッ!!!』  ドォッガアアアアアアンッ!!! 中井出「お、うわっ……!?」 遥一郎「っ……!」 実体化したダークドラゴンが遺跡の床に降り立つ。 ストームドラゴンほど……飛竜を少し大きくした程度の大きさでも、 俺達からしてみればよほどの大きさ。 それが遠慮なしに地面に落ちれば地震くらいは起こる。 ただ今回の地震は遺跡の中ってこともあり、意識しなくても落盤の恐怖は募る。 その所為もあってかホギーの連続魔法も一時途切れてしまった。 ダークドラゴン『小細工はやめだ!全力で貴様らを屠り喰らってくれる!』 中井出    「……フッ、出来るかな?」 ダークドラゴン『なにっ……!?大きくでたな人間風情が!         よもや我を軽くあしらえるとでも慢心しているのではないだろうな!』 中井出    「え?めめめっそうもない!俺が言ってるのは喰らうってとこ!         ……あのー、僕たち、死ぬと塵になっちゃうので食べれませんよ?」 ダークドラゴン『…………』 中井出    「………」 ダークドラゴン『そ、そうなのか。ではどうしてくれよう……』 中井出    (………悩んでる……) こいつ、馬鹿なのかもしれない。 普通に僕らの在り方を説く僕も僕ですが。 遥一郎(……、ぶっ!ぶくっ!ぶ、ぶふっ……!) 見てごらん?詠唱に集中したい筈のホギーも、 この死闘の中で発見した穏やかな空間に吹き出しております。 なんだ、話せば解るというか、愉快な一面もちゃんとあるんじゃないか。 ただの生真面目なツッコミファクターかと思ってたじゃないか。 だが間違うな!僕らがしているのはやはり紛れも無く死闘!! 悩む時間など!考える時間などそうそう与えてはくれない世界なのだ! だから差し当たって、後ろ足の爪をペキャアと剥いでやりました。 中井出「フン」 コペキャア! ダークドラゴン『グォオオアァアアアアアッ!!!』 ───途端に響く絶叫! 思考の海に飛び込んでいたダークドラゴンは、 突然の痛みに跳ね上がると声高らかに咆哮した! 次いで僕を睨む鋭い眼光!……帰っていいですか? 中井出「い、否!覚悟を決めたからにはどんな苦難も乗り越えたいなぁ!!     い、否!乗り越えたいんじゃない!乗り越えるんだ!……中井出博光です」 でも怖いものは怖い。 闇ってのはどうしてこう、無条件で人に恐怖を齎すかなぁ。 こいつと対峙してると、どうにもその……闇の中に居る感覚っていうのか? あれがふつふつと沸いてくる。 その所為か、頭が常に正確な判断を下してくれない。 動揺してて口が勝手に動いてしまう、あの感覚に似てる。 もしくは、口論の最中に言いたくもないことを無意識に、 止めることもなく言ってしまうあの感覚。 中井出「うわぁ駄目なの俺この感覚苦手!ホギー!?ホギー!なんとかしてぇえ!!」 遥一郎「……、……」 中井出「うわぁ無視して魔法撃ちまくってるよこの人!     し、しかしそれこそが戦人の姿か!恐怖に負けるな俺!     勇気を持って挑んで、時には逃げよう鎌倉幕府!───なにそれ!?」 うおおなんだこれ口に出したくもない意味不明な言葉が自然と口から出る! 中井出    「何故だぁあ!何故こんなことをさせるんだぁ!         やめろぉ───ダークドラゴン!」 ダークドラゴン『我がなにをさせているというのだ!!         みょっ……妙な言いがかりをつけるのはやめろ!!』 どんな状況をも利用して己が楽しむための最高のスパイスとする! これぞ原中の奥義である。 でもこいつすごいよ?ホギーから魔法掃射くらってるのに、結構平然としてる。 けどダメージが無いわけじゃない。 蓄積されてゆくスピードも魔法の数だけ速まっているし、 遥一郎「《ピキィンッ!》───来い!斬罪の閃き!ディバインブレスト!!」 長い詠唱の果てに発動した魔法は、それはもう呆れるくらいに凄まじかったから。  フォザザガガガガギギギガギギズバシャシャシャシャシャシャゴガァッキィインッ!!! ダークドラゴン『ガギィイヤァアアアアアアアアッ!!!!?         なっ───なぁああんだこれはぁああああああっ!!!』 放たれたのは、まさかの屠竜魔術! ホギーが巨大魔法陣を弾けさせるとホギーの周囲に巨大な灰色の光が灯り、 そこから無数の灰色の光の球体が放たれまくって…… ダークドラゴンを圧しまくってゆく。 なにをするつもりなんだって思ってたが、まさかこれだったとは……! これ、テイルズオブファンタジアでいうところのモレキュラーアタックだ! マクスウェルが使ってくる、あの球体アタックプレス! しかもどうやらあの球体自体が重力場みたいなものになっているようで、 触れた先から重力反転や重力崩壊、重力倍化などをかけられているらしく─── ダークドラゴンの体はところどころが千切れたり潰れたり破裂したりと、 信じられない現象に見舞われていた。 遥一郎    「体質変化だかなんだか知らないけど、         それをするために実体化になったのは失敗だった。         実体化するまで待つつもりだったんだけどな、手間が省けた」 ダークドラゴン『キィイイッ……サァ、マァアアアッ……!!』 ……私は大変驚きました。 これってホギーだけでもいけたんじゃないか? なんか強さがハンパじゃねぇんですけど。 だが───!だがだ! 中井出「い、いかん!いかんぞホギー!     それ以上あからさまに俺が勝者です的な言葉を放っては〜〜っ!!」 遥一郎「へ?い、いや……俺そんなの言ってたか?」 中井出「言ってた!自分に酔うな!能力に酔うな!     こういう時ってのは絶対にな───!!」  ヴォガァアチュドガガガガォオオンッ!!!! 中井出「こう来るからぁあああーーーーーーっ!!!」 遥一郎「うえっ!?あ、だわぁああーーーーーーーっ!!!!」 見てるだけでも嫌になるくらいのモレキュラーアタックの嵐の中、 その果てで放たれた極闇のレーザーはその全てを破壊し、なお止まらず俺達を襲った。 言わないことじゃない……! 竜族には小細工を使用しなくても戦況をひっくり返すコレがあるんだから……! 遥一郎「う、うそ、だろ……!?屠竜魔術っていうくらいなんだから、     レーザーも屠れるんじゃあ……!」 中井出「ぬ、ぬうあれは……!」 遥一郎「し、知っているのか雷電……!」 中井出「う、うむあれこそは……“魔咆零坐亞”……!     噂だけのものかと思っていたが……」  ◆魔咆零坐亞───まほうれいざあ  魔法レーザー。いわゆる属性の力のみで放つレーザーである。  恐らくはダークドラゴンの体質変化の先の能力であり、  屠竜の通用する竜族のレーザーとしてではなく、  魔法としてのレーザーを放つことで、屠竜魔術を破壊したと思われる。  それはとても厄介なもので、  屠竜で傷つけるのが容易ではなくなったと考えるべきだろう。  竜系統のものに絶大な効果を発揮する屠竜系の術だが、決して弱いものではない。  それを消すものともなれば、相当な威力と考えるべきだろう。  ……だが、結局は魔法なわけだから……?  *神冥書房刊:『レイザーのドッヂボール教室』より ……。 遥一郎「……魔法?」 中井出「魔法」 遥一郎「じゃあ、なんだ。お前の武器で、カキーンと」 中井出「本当に魔法だったらの話だけど」 何分恐らく的な要素が揃い踏みなもんだから。 だがそうと決まれば話は早い! 死なない程度に頑張ってみましょう! ダークドラゴン『貴様ら……殺す!』 中井出    「おいおい、殺し合いしてんのに今さら殺すはねーだろ」 ダークドラゴン『だっ、黙れ!!』 少しはおかしいと思ってたらしい。 だがそんなのほほん気分もここでオサラバ……ダークドラゴンの雰囲気が完全に変わった。  ピピンッ♪《ダークドラゴンが本性を表し始めた!!》 中井出「本性とな!?」 遥一郎「おい!やばいぞ!あいつの体、どんどん大きく───!」 中井出「お!?おぉおおおおおおおおっ!!?」 ダークドラゴンの体が躍動する! だが、ただ蠢くだけではなく、どんどんと膨張するかのようにデカくなっているのだ! 中井出「なんの巨大化なら負けてらんねー!吼えろルーレット!そいやーーーっ!!」 遥一郎「え?あ、いや待っ───!!」 負けじとランダムルーレットを発動!そんでもって巨大化して、 巨大生物バトルをジャンッ!《博打No.23!自爆!!》 ……いつまでも学ばない僕でごめんなさい。 遥一郎「うわわわちょっと待て待て待て!     待てって言ったのにぃいいっ!!《がしぃっ!》ホワッ!?」 中井出「斗貴子さん!俺達は───一心同体だ!!」 遥一郎「誰が斗貴子《シュカァッ───》うぎゃあああああああっ!!!」
【Side───モミー】 ドゴォオオオーーーーー…………ン……!! 悠介 「…………」 軽く柔軟体操をしていた時、遙か遠くから妙に聞き慣れた感のある炸裂音が聞こえた。 彰利 「FUUUUM……やはり朝はレィディォウ体操に限りますな〜〜……どったの?」 悠介 「いや……さすがに花火は見れなかったな、って」 彰利 「花火?ああ今の音がそうなん?エトノワールかなんかで祭りでもやるんかね」 花火は花火でも、中井出花火だが。 またどこかで守護竜とでも戦ってるんだろうか……がんばるな、あいつも。 悠介 「よし、じゃあ朝の鍛錬といくか」 彰利 「オウヨ。徒手空拳の組み手ね?」 島田 「な、なにやってやがる〜〜っ!」 飯田 「お、俺も混ぜろ〜〜〜っ!」 彰利 「……キミらってほんと、呼んでもねぇのによくもぞろぞろ集まるよね」 蒲田 「二度寝と洒落込もうとしたんだけど、さっきの爆発音で起きた。なにあれ」 悠介 「中井出花火」 総員 『すげぇや!さっすが天下の中井出さんだ!』 いきなり理解される彼は、いったいこの世界でどれほどの武勇伝を残しているのか。 音だけで解る俺も俺なんだが……もう本当にさすがと言うほかないな。 頑張ってくれ提督、俺達は応援して……ないな、うん。 【Side───End】
ゴコッ……ゴッ、パラパラ…… 中井出「カカカカカカカ…………!!!」 遥一郎「カ、カカ……カ……!」 思わず続けて“ギャンギャンギャンギャンギャンッ!”と言いたくなるほどの痛みだった。 知らない人は大紋Take2を見ましょう。 遥一郎「あ、のな……!どうして俺を巻き込む……!」 中井出「《モグリゴキュゴキュ……マキィンッ♪》孤独な死が寂しいからさ」 遥一郎「《ゴクゴク……マキィンッ♪》死んでないじゃないか!」 中井出「うむ!生きてるって素晴らしい!」 喋ってる暇があるならと、とっととグミとポーションを流し込んで回復! するとホギーもそれに習って回復し、 ボロ雑巾のように転がっていた俺達は美しく立ち上がることが出来た。 HPの回復とともに装備も綺麗に……こんにちは、中井出博光です。 中井出「……うん?おう、見ろ雲長、自爆の爆発で天井が崩れ、     闇だけであったここに太陽の光が」 遥一郎「誰が雲長だ」 自爆による破壊の規模は、それはもう大変なものだった。 広間の面積だけじゃ済まず、それよりも巨大な空洞を大地目掛けて穿ってしまったのだ。 仰いで見れば綺麗な青空!そして─── ナギー『おおヒロミツ!?ヒロミツではないかー!』 シード『父上ー!』 中井出「おおナギー!シード!」 上の階層からこの博光らを見下ろす存在を確認───ナギーたちである。 さらにその上からは─── 俊也 「や、やっと明かり見つけた……!」 佐知子「どうなってるのよここ……!松明持っててもなんの役にも立たないじゃない!     宝もないくせにトラップばっかりで、あーーーもう!!」 夏純 「……、……」 佐知子「……夏純?そこで肩に手ェ置かれても虚しいだけだから」 ───トッスィー率いるトレジャーハンターどもが! ナギー『なんじゃ、おぬしらも来ておったのか』 俊也 「いや俺だから!!あの男にここへ来てくれって依頼したの俺だから!!」 中井出「や……そんなどっかの芸人みたいな言葉回ししなくても」 ともあれこれで光や然のマナが集められる! 僕も多少は役に立てますよ!? 中井出    「マキマキ〜〜ッ!さあダークドラゴンよ〜〜〜っ!         ついに貴様も年貢の納め時だぜ〜〜〜っ!」 ダークドラゴン『光が降りたからなんだという?         所詮貴様ら人間どもでは我を打倒することなど到底不可能。         いいだろう、地上で戦ってやる。竜族の余裕と力、とくと知るがいい』 中井出    「望むところじゃあーーーーっ!!」 遥一郎    「こうなったらとことんまでに付き合ってやる!」 俊也     「ってなにぃいいいっ!!?あんたら守護竜と戦ってたのかぁあっ!?」 佐知子    「は、はは……道理で揺れるわけだわ……」 ナギー    『相変わらず無駄に血気盛んよのぅヒロミツ!         安心するがよい、わしが合流したからにはもう大丈夫であるぞ!』 シード    『なにせ耳障りになるほど、言語練習をしていたからな』 ナギー    『ばかぁっ!申すでないと言っておるであろ!!』 上は賑やかデスネェィ。 だがよし!さあ今ここに集いし7人!勇気と覚悟を以って貴様を屠ろう!! 中井出「覚悟せよダークドラあれ居ねぇ!!」 遥一郎「ダークドラゴンならもう体質変化解いて、霧になって上に行ったぞ?」 中井出「先に言ってよ!指まで指して偉そうに言っちゃったじゃないか!!」 遥一郎「そんなことはどうでもいいから!早く上に行こう!」 中井出「そうだね」 上に行ったらもう引き返せまい。 ヤツはきっとフルパワー……100%中の100%でくるだろう。 ならばこちらも、今出せる全力と姑息な手段で翻弄してくれよう! 中井出    「いくぞみんな!これが最後の戦いだと思って挑むんだ!」 ナギー&シード『サーイェッサー!!』 俊也     「わ、悪いけど俺パス!         俺の武器じゃあまだダメージ与えられそうにない!」 佐知子    「わたしは銃だから、隙見て撃っていくわ!」 夏純     「……《ふるふる》」 佐知子    「だ〜いじょうぶよ、夏純。死ぬ時は一緒だから」 夏純     「!、!《ふるるるる!!》」 戦わずして敵の強さが解ったんだろう、トッスィーとカスミンはリタイヤした。 これで戦う者は俺とホギーとナギーとシード、そしてサチねーさんとなった。 相手は魔法に弱い……というよりは魔法じゃなきゃ通用しないから、 この戦いはホギーとナギーとシードが攻撃の要になるだろう。 俺の出番は魔法を放たれた時と、相手が体質変化で実体化した時。 さあ覚悟は出来たか!?俺は出来てる!! 今こそ大地へと降り立ち、蒼天の下での戦いを始めよう! Next Menu back