───冒険の書235/ブレイブフェンサー博光伝───
【ケース564:中井出博光(再)/中井出博光の、武具強化、バンザイ】 そうして無駄な時間を過ごしつつも、巨大岩の下から炎宝玉を手に入れた僕ら。 猫の里に帰る頃にはお昼も少し過ぎた頃合に至っており、 鍛える存在の数の多さからか、かつては一日がかりで鍛えていた武具も、 たったそれだけの時間で完成していた。 中井出 「やあ」 アイルー『ニャニャッ、旦那さん帰ってきてたニャ?』 そんな中で俺は長老猫であるアイルーに声をかけ、ニヒルに笑んでみせた。 その頃にはもう汗も消え、エィネも涼しげに自然要塞の中を飛び回っていた。 いやぁ……やっぱここはいいねぇ。 温度が物凄く最適だ。最適で快適だ。 香りも緑の香りでいっぱいさ。時折鉄の臭いとか、鍛冶屋独特の香りもするけど。 アイルー『それじゃあこれを受け取るニャ。ジークフリードとブリュンヒルデ、      ファフニールとドンナー、それから鞘が三つニャ』 中井出 「いつも済まないねぇ」 アイルー『お任せあれニャ!旦那さんの武具はやっぱり叩き甲斐があるニャ!      素材も面白いものばっかりで、鍛冶職人の腕がなるというものニャ!』 言葉通りとても嬉しそうな振る舞いだった。 鍛冶で喜ぶ猫……実に斬新だ。 や、でもここの雰囲気ってやっぱり嫌いじゃない。 ささやかながらも違う種族が集まって、こうしてわいわいと行商や会話などをする。 これぞまさに理想郷。僕らのエルドラドさ。 と、とりあえず賑やかな思考はそのままでよしとしても、やっぱりまずは調べるでしょう。  ◆稀紅蒼剣ジークフリード+3564  然までの属性全てを揃え、さらに潰えたとされる月属性を秘めた“絆の剣”。  様々な亜人種の集いによって鍛え上げられた剣はもはや神秘の一つに数えられ、  この剣の前では如何なる存在も身構え、力無き者は逃げ出すとさえ云われている。  が、その真価の大半は躯骸王の呪いにより殺されており、輝きを失っている。  それでも通常の武器とは比べ物にならないほどの力を秘めており、  封印されずに残っている能力だけでも弱い竜族ならば軽く蹴散らす力を持つ。  *潜在能力:鎧化、ギミック、魔法剣(アスラーナ)  ◆追加技能スキル  真アスラーナ :★★★★★☆/魔法反射能力の真価 どんな魔法でも反射可能  月の女神の加護:★★★★★☆/月の加護 属性系統を増幅させる  元素の導力  :★★★★★☆/地から元素までの属性を揃えた証 各能力上昇修正  マナ精製   :★★★★★☆/然と月の祝福 剣自体がマナを精製する  ブレードスペル:★★★★★☆/倍返し用の言 カッコイイほど倍率が上がる  ◆追加潜在スキル  人器解放  :レベル分だけ備わった“人としての力”のリミッターを外す、         本来20%しか使えていない能力の残り80%解放。         武具能力というわけではなく地界の回路のみに備わった神秘。         体に負担をかけすぎるため、長時間の行使には無理がある。         ただし順応に長けた地界の回路の加護か、         使い続けていれば継続時間も増える。         この状態でならば疾風奥義も烈風奥義も使い放題。         エンペラータイムと同時行使すると超・人間になれる。人間専用。  グングニール:ホズから発射可能になったグングニル。         小さいが威力の高いマナ大砲を放てる。         時間制限が無くなったため、いつでも撃てる竜撃砲。         ただしマナを集束しなければ発射できないため、         連射が効かないので注意。つまりマナさえあれば連射可能。  ガンザック :完全鎧化状態で発動可能な火の玉タックル。         鎧に秘めたクサナギのジェット噴射をギガボマーで強化、         鋭い飛翔とともに爆裂タックルをする。         魔法を撃たれようが反射し、攻撃されようが無視してタックル。         やられると嫌なことこの上無しの甲冑男爵奥義。  ◆追加秘奥義  シャイニングレイダー :光属性秘奥義。煌く光の魔法レーザーで敵を討つ。              月属性で増幅した光属性をさらにとある方法で増幅、発射。  クリムゾンセイバー  :闇属性秘奥義。蠢く闇の魔法レーザーで敵を討つ。              月属性で増幅した光属性をさらにとある方法で増幅、発射。  エターナルディザスター:魔法反射秘奥義。              敵が放ってきた上級魔法を剣に宿る全属性と、              己や武器に宿る災いの力で倍返しにして返す。  ◆補足説明  アスラーナ:かつて魔女の世界で人間によって鍛たれた黄金色の魔法剣。        魔女の力を掌握せんと企んだために作られ、魔法反射能力を得る。        が、ある日魔女を貫き血を浴びたことで力を無くし、錆びついてしまった。        しかし時を越え、刀として鍛たれたそれは強い意志によって覚醒、        再び輝きを取り戻した。中にはアスナという精神体が存在し、        この武器にもまた意志が宿っている。        光と闇が集ったために真価が解放され、        全ての魔法反射能力に加えて秘奥義を習得。  ギミック :双剣化はもちろんのこと、柄を伸ばしたり武器の取り出しが可能。        さらに人器が満たされた効果からか全ての武具と武具とが繋がり、        鞘や鎧との同化……つまり鎧化が可能になった。  鎧化   :言わずと知れた、鞘を鎧に変える技法。        器詠の理力……中井出博光を媒介に全てと繋がった武具たちが、        それぞれの意志を以って可能にした能力。        鞘三つとファフニールとドンナーを        ブリュンヒルデで包み込みギミック合成させると巨大な鎧鞘に変化。        ジークフリードをその鞘に納め、鎧化を唱えれば武装が完了する。        武具の能力全てが身に宿るために己を剣として戦うことが可能。        ちなみに、鎧化実行後の鎧の名前はジークフリートであり、        どこぞの甲冑男爵のようにガンザックが使用可能になる。 ……。 +の数字が3564ってのが物凄く気になるんですが。 ……え?見殺し?え……えぇえ……?どんな偶然なのコレェエ。 中井出「一気に随分増えたな……でも素直に喜べないのはどうしてだろ」 それはやっぱり見殺しだから? アイルー『元素までの属性が揃った途端、武器が鍛ちやすくなったニャ。      見ての通り、武器と防具を融合できるようにもなったニャ。      ここまでくると、もう武器というより武具だニャ』 中井出 「よくもまあここまでギミックに凝ったもんで……」 器詠の理力のお蔭だろうか。 武具全部が繋がったためにいろいろなことが可能になったらしい。 はたまたEX宝玉が元素のものだから、 元素までの全てが揃った途端によく解らない不思議なパゥワー…… 即ち無の力が働きだした?エクスデスってステキなボスだったよね。 中井出「むりゃーーっ!」 試しに鞘を合わせようとそれぞれに意志を通すと─── ブリュンヒルデが鞘三つと篭手と具足を包み込み、 それだが合わさって一つの大きな鎧鞘(がいしょう)へと変化した! おおお!知らずのうちに高鳴る胸の鼓動を押さえられません! メ、メーデー!久方ぶりのワクワクさんが僕を支配する! だから逸る気持ちを一切抑えずゴクリと喉を鳴らしながらジークフリードを納めると、 それらに意志を通すように鎧化を唱える! 中井出「鎧化(アムド)!!ゴシャァンッ!! すると、なんと鞘と剣が弾け、俺を包んでゆく!  ゴンシャシャシャシャシャシャシャガギィンッ!! 中井出『変身ッ!───……特に決め言葉がないと寂しいね』 鎧に包まれた俺参上!……装着後の名前でも考えておきゃよかった。 アイルー『なかなかキマってるニャ旦那さん』 中井出 『ありがとう!……名前なにがいいかな』 とりあえず安心したのはヒュンケルみたいに頭が丸いやつじゃなかったことだな、うん。 サークレットっていうんだっけこれ。それっぽいのでよかった。 頭の防御力滅茶苦茶なさそうだけど。 鎧は今まで素材として使った守護竜全種の色を織り交ぜたような、竜素材が主体の風情だ。 でもきっちりと武器も混ざってるようで、 ところどころにギガノタウロスの斧の赤い回路めいた線が走ってて、時折点滅してる。 まるでモンスターハンターP2のレックス装備を様々な色であしらったかのよう……! 中々カッコイイ……でも俺にはとことんまでに似合わないのはどうしてかなぁ……。 やっぱ今までが村人の服だったからかなぁ……。 なんか……悲しいなぁ……っと、そうだ。 中井出 『武具の能力が体に宿るって……普通に武器振るうのと何が違うと?』 アイルー『魔法反射能力や吸収能力、ボマーや毒効果が防具全体に宿ってるニャ。      だから魔法を撃たれても剣を振るって弾く必要はないし、      蹴りでも頭突きでもボマーが炸裂するニャ。      封印されてるから使えないけどニャ』 中井出 『お……おお!なるほど!!』 それはなんと素晴らしい! 人間凶器・俺参上! 中井出 『けどこれ、武器とか使いたい時はどうすれば……』 アイルー『能力が身に宿ってるって言ったばかりニャ。      当然エジェクトギミックも可能だから、取りたい武器を鎧から取ればいいニャ』 中井出 『なっ……なるほど!!』 ますます広がる僕の夢! シェッ……謝謝!謝謝猫の長!! 中井出 『うわぁやばいよ!?早く呪い解きたくなったよ俺!      だってさだってさ!呪い解いたらキミ!フロート能力で空飛べるんだよ!?      武器をなんも構えなくてもマグニートーの如くフワフワと!!      手からレイジングロア撃てるし頭からグングニル撃てるし膝から竜撃砲放てる!      なっ……なんという素晴らしさ!これは是非ともやってみたい!      あ、一応この鎧状態で屠竜奥義書読んでみよ……。      ふむふむ……《ピピンッ♪》おお!まさかとは思ったけど会得できた!      なになに……?弾丸男爵!?なにこれ!読み方がバスターバロンだし!』 アイルー『あとその鎧、意志がある武具全てで構築されてるから、      旦那さんが意志を通せば形も変えられるニャ』 中井出 『サワヤカに無視ですか!?あ、いや……まあいいや、じゃあ───      《ゾリュゾリュ》───じゃーーーん!!」 アイルー『……結局村人の服ニャ?』 中井出 「や……出来るかな〜って」 出来るのならそれでよし。 ウフフ、どんな形がいいかなぁ…… ああもうこういう瞬間があるから武具強化はやめられないのです。 でもとりあえずは全てを元に戻しましょう。 呪い解かないと真価を発揮できそうにないし。 中井出「解除(レリーズ)!《ガショォンッ!!》───オワッ!?」 意志を通して一言唱えただけであっという間に元通り! 鞘三つとジークフリードとブリュンヒルデとファフニールとドンナーが、 それぞれ必要な場所へと戻っていた! 中井出 「でもそっか……そういや呪いが無くなっちまえば、      この鞘もあまり有効な使い道が無くなっちまうんだよな。      鞘じゃなくても霊章収納があるし」 アイルー『それならご安心ニャ。ちょっと武器じゃなく鞘を調べてみるニャ』 中井出 「お?お、おお」  ◆魔法鞘ランドグリーズ───まほうしょうらんどぐりーず  三つの鞘と篭手と具足をブリュンヒルデで一纏めした際の呼び名。  光と闇、然と月の加護を以って完成とする魔法の鞘。  鞘自体がブリュンヒルデ同様意志を持つに至り、ブリュンヒルデとの相性がいい。  そのため融合も容易に可能であり、同じく戦乙女の名を冠している。  左の蒼の鞘をゲルヒルデ、右の紅の鞘をグリムゲルデ、  背面の灼碧色の鞘をジークルーネという。  納めた武器の力を引き出す能力を秘めており、  さらにそれが属性効果や魔法効果を秘める武器だった場合、それをも高める効果を持つ。  例:氷月翔閃⇒セルシウスキャリバーなど。  ただしそれは鞘を一つの状態にしている時のみであり、  三つの時には自動的にブレイブスロット(ウェポンストック)となる。  ただしランドグリーズ状態にするにはブリュンヒルデを使用するわけであり、  防御面が非常におろそかになってしまう。  *固有スキル:ブレイブスロット(鞘三つ)、レイジングブレイブ(鞘一つ)、         鎧化/アムド(武具を身に纏って己の力で戦う) ……。 中井出 「……あれ?これって……二本に属性込めて一本にしなくても、      一本のままでセルシウスキャリバーが放てるってこと?」 アイルー『ニャ』 コクリと頷く長老キャット。 ……うおう、それは素晴らしい。 アイルー『納めた武器に宿るもののランクをひとつ上に上げるんだニャ。      けどそれ以上強く出来ないものは、どれだけ納めても効果がないニャ。      それにランクを上げるのには10秒必要だニャ。使いどころが難しいニャ』 中井出 「おお……ならば双剣化して長剣化させて放つ手間が無くなるというわけか」 ようは最初の一発分は、旅をしながらでも溜めておきゃいいわけだし。 あれ?待てよ……? 元素属性って確かアトリビュート双剣版じゃ、特に効果無かったよな。 一本は冥空斬翔剣だけど…… 二本を一本にする方じゃあ特に能力らしい能力が無かったような……。 元素+元素だとなにになったんだっけ?思い出せん。 ……まあいいや!今は呪いのことだけ考えよう! そして解呪といえば月光竜!でも孵化してくれないもどかしさ! ぬ、ぬう〜〜〜っ、ど、どうすれば〜〜〜っ! 中井出「あ、そうだ。骨粉のこととかをマックスのじっちゃんに……ってしまった!」 じっちゃんは既にホギーとともに何処とも知らぬ空の下! tellで訊くって方法もあるが、 実物を見せないとどういったものかなど解る筈も無しっ……! な、なんてこと!せっかく楽しみなことが待っている状況にあるというのに、 全てが後手に回ってしまっている! でも後手って物事の出方を待ってられるから、必ずしも不利ってわけでは───不利だよ! 僕今すぐ楽しみたい!だったらこの現状は不利だよ! どうすんのコレェ!お前の所為だよコレェエ!!(誰?) 中井出「くそうホギーめ、あと一泊くらいしていけばよかったものを……!     否!今はそんなことを言っている場合じゃない!     呪いを解くんだ!そうしてからこの炎宝玉を破壊して、     せめて万全の状態で狂いし者を世に送り出さねば!」 ジャリッ…… 中井出「───!?誰!?」 清水 「やあ」 中井出「やあ」 突然の物音に振り向いてみれば、そこに居たのは僕らのライダー清水くん。 清水 「今、なにやらとても物騒な言葉を耳にした気がするのですが」 中井出「え?べつに物騒じゃないよ?ただ万全の状態で狂いし者を解放して、     みんなに頑張ってもらおうかなーって言ってただけ」 清水 「十分物騒でありますサー!     呪われてるならせめてその状態で戦いたいであります!」 中井出「だめだ!せっかく力を求めた修羅が覚醒するというのに、     その修羅が全力を出せないなどつまらんにも程がある!     だから僕は解放します。普通なら抑えるべきなのに解放に協力する……!     こんな面白いこと、寄生されている者が見過ごせるわけもなし……!」 清水 「そりゃ提督殿だからでありますサー!!」 中井出「大丈夫!たとえ解呪できなかったとしても、     俺は全力を尽くして狂いし者をバックアップする!」 清水 「自分の中に寄生する存在にそこまで協力的なヤツって初めて見たよ俺!!」 中井出「グレイだってたとえ勝ち目はなくとも、俺は全力を尽くすって言ってるじゃない」 清水 「いっ……意味が違うにも程がありすぎますサー!!     大体そんなことしたら、力無い者まで巻き込むことに───!」 中井出「あ、大丈夫。狂いし者って基本的に力無き者には興味ないから」 清水 「うわぁ止める助言にもなりゃしねぇ!!」 そんなわけだからGO!! まずは姫サマを攫おう! そして遙かなる天空の大地に行って、月光満ちる時へいざなってもらうのだ! 中井出「清水二等兵!天使の姫さまはいずこにおるか!」 清水 「サーイェッサー!!キッチン前にて食事をとっておりました!」 中井出「おおそうか!───GO!」 清水 「ってしまったぁああ!教えちゃ意味ないだろうが俺の馬鹿ぁあああっ!!     提督!?待って提督!提と───速ぇえええーーーーーっ!!!」 ───……。 カチャカチャッ……スズッ……コクリ。 ンクンク……コクリ。 シェーラ「ふう。やはり食事というものは、      こうして静かに頂きたいものであるな《ガシィッ!》わぁっ!?」 中井出 「炎が……お前を呼んでるぜ!!」 シェーラ「なっ……き、貴様はっ!離せっ!      人を小脇に抱えるなぞ無礼であ───わわわわぁああーーーーっ!!!?」 シェーラシェーラがなにか言ってるけど無視! 姫さんを小脇に抱えながら要塞の端まで走り、クサナギを取り出して搭乗完了! 後ろから聞こえる清水の制止もなにするものぞ、さっさと空へと旅立った……!! ───……。 ……。 グレイドラゴン『…………』 中井出    「やあ」 そのまま月光大陸に行こうと思ったけど、 その前にグレイおじさまに話を付けていこうと思って、ここに来ました。 こんにちは、中井出博光です。 中井出 「月光が満ちる時、その場で月光竜の卵を掲げると孵化するかもしれないと      なんとなく思ってみたので試しにやってきました。構いませんか?」 シェーラ「貴様はっ!そのためにわらわをこんなところまで連れて来たと申すのか!」 中井出 「他意はない」《どーーん》 シェーラ「………はぁ……」 姫さんが疲れきった顔で項垂れた。 ちなみに彼女はまだ僕の腕の中である。……小脇に抱えてるって意味でね? グレイドラゴン『月の満ちる大陸の話か。確かにあそこは元は月光竜の領域だ。         あそこならば或いは孵化してくれるやもしれんな……』 中井出    「だよね!?だよねぇ!だから僕そこで孵化させたいの!         そして砕けたカラを用いて待望の解呪をグオッフォフォフォ……!!」 グレイドラゴン『待て。貴様はそれが目的で月光竜を孵化させるのか』 中井出    「そうだ」《どーーーん》 グレイドラゴン『かっ……隠そうともしないのかこの男は!         普通ここはウソでも違うと言うところだろう!!』 中井出    「産まれてくる子供を思って努力してます……!───ウソだけど」 グレイドラゴン『なんでも言ってみるのはやめろ!!         ええいもういい!貴様!その卵を寄越せ!貴様には預けてられん!!』 中井出    「馬鹿かてめぇ!これは貴様から預けられたのではないわ!         なにを頭の暖かいことを言っているかこのクズが!!」 グレイドラゴン『ギィイーーーィイイいちいち勘に障る男めぇえええ!!!』 グレイドラゴンが微妙にフリーザさまになってる。 中井出    「つきましては貴方に協力を要請したいのですが」 グレイドラゴン『脈絡なく話を変えるな!それを寄越せと言っている!』 中井出    「断るそれでさ、ちょっとこのアイテムのことを訊きたくて」 グレイドラゴン『断る速度も話を変える速度も速すぎるだろう!!         きっ……貴様ほど礼儀を尽くさぬ人間を初めて見たぞ私は!!』 中井出    「答えが決まってるのに躊躇をするなど……フフフ。         時間がもったいないじゃないか。         ならばその時間をからかいに使ってこそ原ソウル。         卵は渡さん。だが協力してください。僕の答えはこの二つだ!」 グレイドラゴン『とことんまでに自分勝手な答えだな!!何様だ貴様!!』 中井出    「知らん!何様でも答えは答えだろうがこのタコ!!ゆでるぞコラ!!」 グレイドラゴン『カッ……ググッ……!《ミチミチミチミチ……!!》         き、ききき貴様なぞ、卵さえ持っていなければぁああ……!!』 中井出    「ククク、ならば卵が孵化した途端にこの博光を殺すか?         だが忘れるな、貴様は目覚めたばかりの麗しの月光竜の前で、         血生臭い殺しをすることになるのだぞ……?         果たしてその姿は産まれたばかりのベビーにはどう映るのかなぁ……?         グフフフ……グオッフォッフォッフォッフォ……!!!」 グレイドラゴン『おぉおおおおおどこまでも腹の立つ人間めぇええええっ!!!         私は貴様ほど腹黒い男を今まで見たことがないぞ!!』 中井出    「腹黒い!?失礼な!腹黒いっていうのは黒さを腹の裡に秘めた者のこと!         勘違いするでないわクズめ!俺はいつだって黒いわ!!」 グレイドラゴン『いや……その……それは胸を張って言えることなのか?』 グレイドラゴンは呆れている! それはそれは貴重な瞬間が俺の目の前にあった。 姫さんももう疲れ果てた様子で、俺に捕らえられてることを諦めてるみたいだし。 中井出    「それで、どうですかグレイジャーゴン」 グレイドラゴン『ジャーゴン言うな。……だが、うむ……』 中井出    「協力してくれたなら、         貴公のやさしさも産まれてくるベビーに染み渡りましょう」 グレイドラゴン『協力しよう』 即答だった。 俺が言うのもなんだけど、大丈夫かこのおっさん。 ま、まあいいや、おっさんなのは俺も同じだし。 中井出「で、これなんだが」 気を取り直して、姫さんを大地に解放してから取り出したのは小さな袋。 それに入っている、謎の骨粉と……さらに、謎の玉。 グレイドラゴン『───!?それは……!』 中井出    「あれ?」 クワッとグレイドラゴンの目つきが変わった! や、やる気!?まさかやる気なの!? グレイドラゴン『貴様……それを何処で手に入れた』 中井出    「盗んだり押し付けられたりしました」 グレイドラゴン『ろっ……ろくな入手方法じゃないにも程がある!         もっと普通に手に入れられないのか貴様!!』 中井出    「だって仕方なかった……!他に方法がなかったんだっ……!」 シェーラ   「他の方法を考えようともしなかった、の間違いであろう……」 中井出    「そうだ」《どーーん》 グレイドラゴン『………』 疲れた顔をしたグレイドラゴンは、もうなにもツッコまなかった。 中井出    「それで、なんなのこれ」 グレイドラゴン『あ、ああうむ……これは……』 中井出    「し、知っているのか雷電《ゴバァン!》ゲファーーリ!!」 グレイドラゴン『たわけるな!真面目な話だ!』 中井出    「ワガガガガガ……!!」 だからって問答無用で尾撃食らわさんでも……! おぉおお首痛い……! 会話の時はVITマックスって考えを頭に入れておいてよかった……! グレイドラゴン『……これはバハムートの竜宝玉と骨の欠片だ。         デスゲイズに食われて以降、         存在の痕跡すら残っていないと思っていたが……』 中井出    「バハムルの?」 グレイドラゴン『バハムートだ。なるほど、貴様がここに来て以降、         やけに全身が強張ると思っていたがこれが原因か。         本能がヤツを感じていたのだろうな……』 本能?強張る?……ウヌヌ、話についていけん。 いったいなんだというのでしょうか。 グレイドラゴン『早い話、これは竜族にとって宝めいたものだ。         バハムートの竜宝玉といえば、竜族ならば喉から手が出るほど欲しい物。         なにせバハムートの力の大本がこの中に封じられているのだからな』 中井出    「あ……なるほど、どうりで……」 あの村が襲われてた理由も、 俺がダークドラゴンとか竜族に狙われた理由も、それが原因ってわけか。 中井出    「グレイのおっさんは大丈夫なの?俺に宝玉渡しちゃったでしょ」 グレイドラゴン『封じ込めるといっても、竜族としての力が衰えるわけではない。         我ら竜族の中で自然と精製されていくものだ、         いくらくれてやったところで力など下がるものか。         だが受け取る側ともなれば話は別だ。その竜宝玉があれば、         そこいらの守護竜になど負けることのない力を得られる。         ……もちろん、人間が手にしたところでなんの意味も無いがな』 中井出    「うん……そんなこったろうと思った……」 グレイドラゴン『だがどのみち時が経ちすぎている。         その様子ではもはや敵を寄せ付ける以外に効果を齎さないだろう』 中井出    「エエッ!?持ってるだけ損じゃないか!         どうすんのコレェ!お前の所為だよコレェエ!!」 グレイドラゴン『いきなり私の所為にするな』 うう……だってせっかく手に入れたのになんの役にも立たないなんて、 あんまりにも悲しすぎるじゃないか。 でも挫けません。 これがバハムル素材の一つなのだとすれば、俺はこれを有効利用いたしましょう。 中井出    「よし、じゃあ情報も得たことだし猫の里に戻ろうか」 シェーラ   「うん……?月光の大陸には行かぬのか?」 中井出    「猫に用事が出来たからね。それじゃあグレイのおじさま、またね。         今度来る時はカワイイ月光竜連れてくるから」 グレイドラゴン『許さん。孵化させる時は私も呼べ』 中井出    「なんですと!?」 おお……!まるで孫が生まれるのを待つおじいちゃまのよう……! だがOK!僕はそんなグレイさんが大好きです! 中井出「了解した!では今宵、月光大陸にて孵化の儀式を執り行いたいと思いますので。     夜になったらまたくるね?それまでは俺、ちょっとした用事をこなしとくから」 そう言った俺の言葉に何度も何度もじっくりと頷き、 逸る気持ちを抑えられないのかソワソワしだすグレイさん。 ううむ、言っちゃなんだが不気味だ。つーかキモイ。 想像してみてください、我らの10倍以上もデカい竜族が、 頬を赤らめてソワソワするウヴなおなごのような仕草をする光景を。 うんキモイ。 ソワソワする竜族はキモイ……そんな情報を手に入れた俺は、 それを手土産に猫の里へと戻ったのだった……。 ───……。 中井出 「というわけでー!……このバハムル宝玉、武器に組み込めない?」 アイルー『相変わらず忙しい人だニャア旦那さんは……』 サマルトリア物語でもしてるかのようにあっちこっち飛び回っている僕はしかし、 その実大変充実していた。 だって楽しみが目前に迫っているのだ……その準備をするのが楽しくないわけがない! そう、まるで原中時代の喧噪際に向けて準備をするが如く、この博光の胸は高鳴っていた! アイルー『バハムートの竜宝玉ニャ……?よくこんなもの見つけたニャ。      それにこっちはバハムートの翼の骨の粉ニャ?      多分デスゲイズに食われる時、片翼だけもげたかなんかしたんだろうニャ。      それが風化してこんなカタチになったニャ』 中井出 「なんとまあ……」 キャットアイはアイテムの歴史まで見通せるというのか……! アイルー……恐ろしいコッ……!! 中井出 「で、どう?できそう?」 アイルー『組み込むことくらいなら当然出来るニャ。      ただそれで能力の追加や強度が増すかはまるっきり謎だニャ。      なにせ組み込んだことがないニャ。      竜宝玉は加工したら力を失ってしまうと云われているから、      これをこのまま組み込むことになるけどニャ』 中井出 「そ、それはその……大丈夫なのか?      竜宝玉って結構デカいし───っていいこと思いついた!」 アイルー『ニャニャッ!?何事ニャッ!?』 中井出 「ジョニー!ジョニーはおるか!」 ジョニー『《ザザァッ!》お客様は神様ニャッ!!』 中井出 「おおジョニー!」 呼んだらすぐ来た! さすがジョニー!僕らのジョニー! 中井出 「すまんがジョニー!貴様の怪盗ペリカンを貸してほしい!      ヤツに魔法鞘ランドグリーズにジークフリードを納めた状態で飲ませ、      そこに骨粉と竜宝玉をセットイン!」 アイルー『ニャニャッ!その手があったニャ!旦那さん冴えてるニャ!』 中井出 「あぁーーーりがとぉおおーーーぅ!!!」 そう、加工しちゃだめなら合成してしまえばいいのだ! そうすれば篭っている力をそのまま武器にインストール! ジョニー『怪盗ペリカンなら下ニャ。連れてくるニャ?』 中井出 「い、いや、俺が行くぜ〜〜〜っ」 アイルー『ボ、ボクも行くニャ〜〜〜ッ』 ジョニー『旦那さん、お師匠さん、普通に喋れないニャ?』 中井出 「ノリだ」 アイルー『ノリだニャ』 そんな会話をしながら、 見えてきた希望を胸に抱きながら自然階段をとたとたと降りていった。 鍛冶工房へと続くそこは、鍛えてもらってはいたものの、 実は立ち寄ったことがなかったりする。 どんなところなんだろうとワクワクしながら階段を下り、 木製扉を開けたその先で僕を待っていたものは……!  ガンココココココガシャンゴシャンゴニャアアアア〜〜〜ッ!!! サクパケ『イッケク!鉄鉱石をこっちに追加してほしいニャ!』 イッケク『お任せニャ!』 ロイド 『おうジニー!加工するからミスリル鉱石持ってこい!』 ジニー 『お任せニャ!』 ウルンテ『ポリン、ここに羽の鱗粉落としてほしいニャ』 ポリン 『解りました』 チキル 『天使さん、こっちに月魔法をかけてみてほしいニャ。封入できるか試すニャ』 天使  「やってみよう」 ジークン『えー麦茶、麦茶はいらんかねー』 ニークン『ス〜っと極楽麦茶いかぁ〜っすか〜』 ……亜人族の宴だった。 アイルー種やドワーフ、妖精や天使、おまけに棒人間どもが所狭しと暴れまわっている。 暴れるって表現よりは賑わってるのほうが聞こえがいいけど、 やっぱり暴れまわってると言っておこう。 そんな光景を目の当たりにして呆然と立ち尽くしてしまう俺を発見し、 声をかけてくる存在が一人。───ドワーフの長、ロイドである。 ロイド『おうどうした若ぇの!ここに来るなんて珍しいじゃねぇか!』 中井出「誰!?」 誰この喜作なおっさん! え!?顔はロイドなのに性格がロイドじゃない!誰!? アイルー『ロイドは鍛冶場に来ると性格が変わるニャ』 中井出 「そうなのですか!?」 わたしはあまりの事実に大変驚きました。 ロイド『ガッハッハッハッハ!!まあゆっくりしてけや!!     鍛冶場見ンのも旅人に必要な経験ってもんだ!     どんな風に愛武具が鍛たれてんのか、     それを知るのも持ち主の責任ってもんだろぉ!』 中井出「《バンバンバン!!》いででいでいで!ケツ叩くなコノヤロー!!」 どうして豪快さんって笑いながら背中とかケツ叩くんだろ。 俺、いまだにその理由が解らない。 (注:この場合、ドワーフの身長の事情からケツ叩かれたと推測する) 解らないから無視して離れた位置まで逃げ出した。 中井出「うう……ロイドのおっちゃんがあんな人だったなんて……!トホホイ……。     で……っと、おお居た居た、おーいペリカーン!」 デゲデデーン♪俺は怪盗ペリカンを見つけた! だが待てい悟空!踏みとどまれい! ひとつ気になることがあったので、逸る心を抑えきれずに震える体を押し付けた。 中井出 「……なぁジョニー。ジークフリードを鞘に納めた状態で食わせたら、      ちゃんとそれはそれとして吐き出されるのかな。      それともジークフリードが主か鞘が主かって自動で決められるのか?」 ジョニー『ペリカンに話をつければいいニャ』 中井出 「………」 それもそうだった。 俺も来るところまで来たなぁ……ペリカンと話せるなんて。 中井出 「ヘイペリー!聞かせてほしい情報があるんだが!」 ペリカン『なんじゃいおどりゃあ』 中井出 「ヒィ!?ななななんで極道チックなの!?」 ペリカン『元がスリ集団なんでねぇ、いつだって心は修羅なんじゃいオラァ』 中井出 「盗まれた卵から産まれたくせに」 ペリカン『う、うるせぇ!それから俺はペリーじゃねぇ!ペリーコロだ!』 中井出 「なにその無駄に死んじゃいそうな幹部チックな名前!!」 ペリカン『うるせぇ!……で?俺に聞きてぇことってのはなんだよ。あぁ?』 なんか滅茶苦茶偉そうっすねこいつ……。 でもまあいいや、いっつもお世話になってるし……。 中井出 「うむ。合成するものってキサマの判断で変えられる?」 ペリカン『てめぇ俺をナメてんのか?ンなもん朝飯前だ、ペリカンナメんなよ?』 中井出 「……そ、そうですか。じゃあこれをお願いします《ゴシャア!》」 ペリカン『───』 ランドグリーズに納めたジークフリードをゴシャアと取り出すと、 その巨大さにペリーコロがゴクリ、と喉を鳴らした。 中井出 「……出来るよな?オ?まさか飲めねぇとか言うんじゃねぇだろうなコラ」 ペリカン『テ、テメッ……!おおよやったろうじゃねぇか!      お、俺にかかればこれくらいの大きさなんて屁でもねぇぜ!』 中井出 「そのあとこのデカい竜宝玉と、竜の骨粉を飲んでくれ」 ペリカン『…………』 あ。絶望的な顔つきになった。 中井出 「さ、グイッと。ちゃんとジークフリードとランドグリーズに行き渡るように、      見事に合成させてくださいましね、ペリカンさん。朝飯前ですもんねぇ?      まさか漢たるペリカンが仁義を欠くなんてこと……しませんよね?」 ペリカン『……う、うう……っ!うおおおーーーーーっ!!!』 うおおおーーーっ……うおおーーっ……おーー……ぉー…… ───……。 ジョニー『大変ニャーーーッ!!ペリーコロが喉を詰まらせたニャーーーッ!!』 アイルー『レアズ!回復を急ぐニャ!』 レアズ 『なにをしているんだこのペリカンは!……エィネ!ポリン!手伝え!』 こうしてペリーコロさんは、 バスに酔いながらもプリンを食べたクロマティ高校の竹之内くんのごとくゴトリと気絶し、 真っ青な顔になりながら亜人族のみなさまに運ばれていったのだった。 ……のちにペリーコロさんの口から摘出された武具にはしっかりと竜宝玉の力が宿り、 骨粉の存在の加護もあってか状態も安定。 かなりの仕上がりを宿し、僕の手に戻って来た。 アイルーの話によれば普通じゃ合成したところで敵を誘き寄せるだけなのだそうだが、 これまで散々と守護竜素材を混ぜたことによって、 ジークフリードはその武器自体が竜という存在に近い……いや。 そのものといっても過言ではないくらいに竜の力を秘めていたそうなのだ。 そこに骨子とも呼べる“骨”という素材……骨粉だな。 それがまざることによって、さらに竜に近しいものへ至る。 だから竜にしか効果を齎さないであろう竜宝玉の力を一身に受け止め、 引き出せるほどにまで至ったのだという。 それはこの先でも守護竜の素材を溶け込ませれば溶け込ませるほど強まるのだそうだ。 ……出来れば戦いたくはないが、そう言われてはやらないわけにもいかないわけで。 人ってのはこうやって、 ズルズルと引き返せないところまで行くんだろうなぁと奇妙に実感してしまった…… ある夏の日の出来事だった。 中井出「……とまあそれはそれとして」 見ずにはおられぬこのハート……まさに国宝級。 ということでジークフリードを刺したままのランドグリーズに調べるを実行!  ◆真龍鞘ランドグリーズ───しんりゅうしょうらんどぐりーず  ペリーコロさんの気絶の果てに真龍王バハムートの力を得た巨大な鎧鞘。  ジークフリード、三つの鞘、ファフニール、ドンナー、ブリュンヒルデといった、  全ての武具に宿った竜の力が持ち主に力を与えてくれる。  この鞘に剣を納めると、納めたものの力を引き出してくれる。  さらに引き出した能力に真龍王の力を以って屠竜スキルを付加する、  竜族に対して絶対的な力を持つ武装鎧鞘。  *固有スキル:ブレイブスロット(鞘三つ)、レイジングブレイブ(鞘一つ)         鎧化/アムド(武具を身に纏って己の力で戦う)、屠竜エンチャント  ◆稀紅蒼剣ジークフリード+3564  守護竜の素材によって、鍛えられる部分が増加した稀紅蒼剣。  火と風を主属性に様々な属性を素材から引き出し、月属性がそれを増幅させる。  意志と属性値に優れ、思いを力にする絆の剣にしてマナの剣。  真龍王の竜宝玉とその身からなる骨粉の合成によりドラゴンキラーのスキルが進化。  竜族に対して絶対的、他の魔物だろうがほぼ有利に立てる紅蓮蒼碧の長大剣。  間違い無く天上天下唯我無双の刀剣類として数えられる武器。  ……が、生かすも殺すも使い手次第。既に人間では鍛えることさえ出来ない。  *追加マジックスキル:フレア/ホズから竜族専用魔法“フレア”が放てる。             INTによってダメージが変動するので、             STRマックスで撃っても強くない。             戦闘中一度のみ使用可能。再チャージは次の戦闘まで無し。   追加秘奥義:レイジングメガフレア/レイジングロア強化版。呪いのため使用不可。 ……。 中井出「……はぁあああ……!!」 しっ……至福っ……!! 武器の成長ってどうしてこんなに嬉しいんだろう……! おかしいね、僕が強くなるわけじゃないのにね。 でも口から吐き出される熱の篭った吐息は、どうしようもないくらいに幸せ色だった。 しかも魔法!竜族専用とかいう魔法を会得したよ僕! マナ集束法しかろくに使えない上、魔法なんてものをてんで放てない僕が! たった一つだけど魔法を使えるようになったよ! 中井出「………」 と、ここまでくるとやってみたいことがまた一つ。 どうしよう、やっちまうか?───……男ならやってやれだ!! 清水 「───っとぉっ!?見つけたぞ提督!頼むから弱体状態のままのキミで居て!     ……って、提督?お、おーい?」 中井出「……あ、やあ清水くん。どうしたのそんなに慌てて」 清水 「や……ど、どうしたのって。提督?     な、なにやら物凄く清々しい顔をしていらっしゃるが……     もしやまたとんでもない悪巧みを……?」 中井出「うむ!武器を強化させたいという思いだけで、僕は世界を敵に回そうとしている!     回すどころか既に魔王扱いで敵扱いだけど!」 清水 「敵に回すって、本格的にってことでありますかサー!」 中井出「その通りである!下手するとマックスじいさんを敵に回してしまうかもしれぬ!」 清水 「うわぁーすげぇ大事そう」 うん、普通にオオゴトだし。 今回ばかりはかなり危険だ……俺も、そしてペリカンも。 中井出「一枚噛む?」 清水 「うぐっ……じ、実に楽しそうではありますが……!」 中井出「やめておくならそれでも了。俺だけで突貫し、全てを終わらせてこよう。     人々の驚く顔が目に浮かぶようだわグオッフォフォ……!!」 清水 「そういうところ、滅茶苦茶魔王チックでありますな、サー」 中井出「魔王だもの!」 よっしゃあ時は熟しまくっている! つまりいつでもOKトニー! さあ行こう……あの場所へ! 姫さんは……うん、まだいいな。夜になってからだ。 Next Menu back