───ラーメン戦争/後編───
【ケース61:悟り猫(再々)/今さらだけど上のタイトルに意味はないよ?】 ズルズルズル……ドゴシャッ!ゴコッ! 悟り猫「えーと、デパートとやらは何処かな……」 武士猫「なぁ、あきえ……悟り猫。先ほどから気になっていたんだが……」 悟り猫「む?なにかね武士猫さん」 ズルル……ごしゃっ。ズルル……ごしゃっ。 武士猫「その提督猫、いつまで引きずるつもりだ?     先ほどから段差がある度に顔面を痛打しているようなんだが……」 悟り猫「え?オワッ!?」 見れば、いつの間にかうつ伏せ状態になっていた提督猫の顔面は鼻血だらけになっていた。 おお、やはり猫の鼻血ってのは不気味なものぞ。 武士猫「血の跡が随分続いているんだが……?」 悟り猫「提督猫ったら、きっと久しぶりにエロビデオを鑑賞してる夢でも見てるのよ」 総員猫『おおなるほど』 悟り猫「……まったく疑われねぇのもすげぇよね」 世界猫「まあな……。っと、あれじゃないか?一応賑わってるラーメン屋も見える」 悟り猫「む?あらほんと」 ようやく発見しました。 ここが……ここが噂のラーメン屋!!……じゃなくてデパート!! 悟り猫「よっしゃあ、それじゃあ提督猫の額に毛ェ生やして、さらにキツケを」 ドボォッ!! 提督猫「フグォオッ!!?」 提督の腹に肉球パンチをお見舞いした。 すると腹以外の五体が跳ね上がり、提督猫は咽ながら起き上がった。 提督猫「ゲホォッ!ゴッホ!!……ハッ!?こ、ここは!?」 悟り猫「噂のデパートである!!さあ!存分に食しましょうぞ!!」 忍者猫「久しぶりのラーメンでござる!あ、世界猫殿、猫舌克服の薬を創造願うでござる」 世界猫「チィ……覚えてたか」 忍者猫「……少し見ないうちに、随分悪戯好きになったでござるな」 世界猫「冗談だ」 提督猫「……?なんかさっき、物凄くヒドイ目に遭ってたような……」 総員猫『気の所為です』 提督猫「……?」 どうやらあまりの衝撃に記憶が思い出すことを拒否したらしい。 提督猫はそのまま小首を傾げつつも世界猫に薬を貰い、それを飲んでいた。 ───……。 そして。 昌平 「いらっしゃうおっ!?」 悟り猫「むっ!?」 来訪したラーメン食堂とやらでは、懐かしい顔の人物がおりました。 確か咲桜殿のご友人方、ショーヘーとリョーコとかいう人たち。 既に立派な大人なフェイスになっているが、こりゃ間違いねぇぜ? これはこれは……もしやと思うたが、ここは神城さん家の傘下ラーメン店? 覚えとりますよ?確かショーヘーは神城昌平って名前で、 以前メイド服を売りに行った豪邸、神城家の息子さん。 それがなんでこげなところで……って、まあいいコテ。 我らはピークを迎える前の、人もまばらなラーメン食堂のテーブルに腰を下ろし、 お品書きを見ていった。 悟り猫「グゥ〜〜〜ム、やはりラーメンを頼むなら大盛りは外せんよな」 世界猫「もちろんだ。これはもう外せないな」 店員が驚愕する中、我らはそれはもうマイペースにメニューを見ています。 悟り猫「あ、すまんね。注文の前に水をもらえんかね?     息切れはしなかったものの、走ったら喉渇いて」 蒲田猫「俺も!」 清水猫「わいも!」 中村猫「ぼくちゃんも!!」 灯村猫「それがしも!」 岡田猫「おいどんも!」 田辺猫「わしも!」 忍者猫「拙者も!」 皆川猫「わても!」 三島猫「ミーも!」 島田猫「やきいも!!」 涼子 「うぇぃっ!?は、はぃい……?」 リョーコが突然声を掛けられて心底驚愕してました。 声も思いっきり裏返ってたし。 悟り猫「FUUUM、うっしゃ決まった!!     オイラこってりラーメン大盛り!&チャーハン!!」 世界猫「俺はこの和風ラーメン大盛りを頼む」 総員猫『和風……流石だ……』 世界猫「やかましい」 提督猫「ならば俺はコク出汁味噌ラーメン味濃い目で大盛りだ!」 忍者猫「拙者はネギミソラーメン味濃い目で頼むでござるよ!!」 凍え猫「俺はレバニララーメン大盛りで頼む!」 蒲田猫「俺はこの───」 清水猫「俺はこっちの───」 岡田猫「我も!」 田辺猫「我も!」 昌平 「ぃやっ……ちょ、待て……!順番に……!」 決まるや否や、それぞれが一気に注文を唱えます。 残っていた客が喋る猫に驚きを隠せないようですが、 不思議とショーヘーたちはそこまで違和感は感じないらしいです。 ミステリーだ。 ───……。 ……。 そうして律儀に作ってくれたラーメン食堂の人々に感謝しつつ。 悟り猫「いーたーだーきーます!!」 総員猫『いーたーだーきーます!!』 まるで保育園あたりで先生に習うように張り上げた声を復唱。 そうしてから割り箸を割り、それぞれがラーメンを啜っていきました。 昌平 「……食ってるよ……」 涼子 「猫舌とか大丈夫なの……?」 心配には及びません。 我らは既に猫を越えた超猫。 熱くったって兵器です。じゃなくて平気です。 さすがにスープ一気飲みとかは無理ですけど。 悟り猫「ほしゅしゅしゅしゅ、あっちゅあっちゅ……!     ほっほ〜〜っ、こりゃまたどこか懐かしい味じゃわ〜〜っ!!     衣川ラーメンの野菜だけてんこもりラーメンの味を思い出すのぅ〜〜〜っ!!」 ざわ…… 悟り猫「あれ?」 昌平 「……斬真、見つけた。こいつだ。     こいつがいつか衣川さんのとこでラーメン食ったって猫だ」 悟り猫「斬真!?……すげぇ名前っすねそれ」 とか返事してみるも、 奥の方で『えぇっ!?でもあれってもう何年も前の話ッスよ!?』とかいう声が響く。 悟り猫「衣川さんのこと知っとるの?」 昌平 「知ってるもなにも。あそこのあいつ、衣川さんとこの息子だし」 悟り猫「なんと!?」 道理で味が近いと……!! 思わぬところで思わぬ味と出会ってしまいました。 それにしても斬真ってすごい名前です。 おっと、それはそれとしてラーメンラーメン。 昌平 「それで?お前はなんだ?猫又の類か?それとも───」 悟り猫「猫神様なら関係ありませんよ?猫神様は我ら猫の崇拝対象ではありますが、     今我らがここに居るのとはまったくの無関係でございます」 でも実際どうなんだろうか。 この歳まで生きていると、猫の場合は猫又ってことになるんかな。 ……よく解らんし、まあいいや。 世界猫「猫が猫又になるには40年くらい生きる必要があるらしいぞ?」 悟り猫「なるほど」 言いつつラーメンを啜る。 う〜む、やはりちと衣川さんのところより味が足りない感はあるけど、 これはこれで美味でございます。 提督猫「追加注文開始ッッ!!」 忍者猫「食えば食うほど腹が減るでござる!!」 田辺猫「こ、これはぁ〜〜〜っ!この味はぁああ〜〜〜っ!!」 昌平 「物理法則無視してねぇか!?普通入らねぇだろ大盛りラーメン!!」 提督猫「甘い!既に『喰わせモン』済みよ!!」  ◆喰わせモン───くわせもん  属に言う、ラーメンをスープ一滴残さず喰うことの意。  しかしこれは大盛り以外ではあまり評価されるものではなく、  大盛りラーメンを頼んだ際に喰わせモンまでする者はつわものとされている。  *神冥書房刊:『つーかこれの説明、衣川さんとこでもやったよね』より 昌平  「マジか……?なにモンだよお前ら……」 悟り猫 「鬼山紋次郎……略してオニモンよ」 昌平  「今さらだが金は大丈夫なのか?      猫なのに人間の通貨持ってるとは思えねぇんだが」 凍え猫 「とりあえずここに百万ある」 鷹目猫 「あぁ、こっちにゃ五十万」 真由美猫「わたしは二十万円持って来てあるけど……」 由未絵猫「わたしは十万円……」 悟り猫 「そして俺と世界猫が総合二百万」 世界猫 「弁当屋で溜めた金はまだまだ腐るほどあるからな……」 昌平  「………」 あ。なんか知らんけどショーヘーが額に手ェ当てて俯いた。 たまに悠介がやるポーズだ。 つーかオニモンが完全に無視されました。 密かにショックです。 世界猫「……ふぅ。よし、こっちも追加だ!」 悟り猫「えぇっ!?ちょ、俺まだ食い終わってないよ!?」 世界猫「ラーメン大盛りでチャーハンも頼んだんだろ?それなら遅くて当たり前だ」 悟り猫「……早喰いには自信があったんだけどねぇ」 ともかく俺もがっふがっふとチャーハンを喰い、喰わせモンを完了させると追加注文発動。 他の皆様もそれに習い、普段は小食の夜華さん……武士猫までもが次々と喰う始末。 世界猫ってばいったいどんな創造をしたんでしょうね? 喰えば喰うほど腹が減って味覚が研ぎ澄まされます。 なもんだから一杯喰うごとに味が深まってきて、やめられない止まらない。 そんなこんなで僕らは心ゆくまでラーメンを堪能したのでした。 ───……。 ……。 昌平 「すまん……材料切れだ……」 なにやらドッと疲れた様子のショーヘーのその言葉で、 ようやくラーメン限界突破絵巻は終了しました。 食いに喰いまくり、ラーメン店の材料を滅ぼした猫……これは珍しいことです。 つーか一度やってみたかったんだよね、自分の手で材料切れにさせる物事。 提督猫「うぬぬ……いい味だった。思わず全品制覇してしまった……」 忍者猫「しかしさらに腹が減り味覚が研ぎ澄まされてゆくこの状況……     どうしたものでござろうか……」 凍え猫「とりあえずおあいそだな。いくらだ?」 涼子 「お、お会計……全部合わせて38万9千7百8十円です……」 凍え猫「ほい。39万円」 涼子 「………」 バサリと渡された金の量に、リョーコが頭を痛めてる。 そりゃそうだ、あんなの貧乏だった頃の俺がやられたら狂乱してました。 しかも相手が猫ときたら……なぁ? 悟り猫「しかしそれでも随分保ったほうだよね?よくあれだけの材料があったもんで」 昌平 「一応デパートだからな……足りなくなったら買えばいい」 悟り猫「ああ、それってばつまり……」 デパートの中の材料まで無くなったわけね……。 ラーメンの方はスープが無くなった時点でアウトだったけど、 野菜炒めとかレバニラ炒めとか丼ものは野菜とか調味料があれば作れたわけだし。 まあもっとも米まで無くなった時は、 そういう野菜とかの料理ばっか喰うことになったんだが。 それでも味覚が発達されていた上に料理自体が旨かったから文句などありません。 シェイシェイです。 悟り猫「ともあれ、堪能させてもらいました。ごっつぉさん」 昌平 「……ああ。ありがとうございましたっと」 ショーヘーはなんだか最後には吹っ切れたような笑みで僕らを見送ってくれました。 あれで結構、こういう変則した事態には慣れていたのかもしれません。 悟り猫「で、これからどうしよっか」 提督猫「まだ腹が減ってるな……よし!     悟り猫の思い出の店、衣川ラーメンに行って全品制覇だ!!     ヒヨッ子ども!覚悟はいいな!?」 総員猫『サー・イェッサー!!』 提督猫「うむよし!ならば全速全身!目指すは衣川ラーメン!!     イェア・ゲッドラァック!ライク・ファイクミー!!」 ザザッ!! 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!!!』 もちろんみんなは喜び勇んで叫んだ!! 金ならまだまだある───見せたる我らの百万馬力!! 昌平 「斬真。衣川さんに気をつけろって電話とけ……」 斬真 「あ、は、はいっ!」 そして既に危険猫物として扱われていたようだった。 ───……。 ……。 カラカラカラ…… 親父 「へいらっしゃい!───って、誰も居ない……?     って、なんか随分前にもこんなことが───」 悟り猫「おやっさんヘロゥ!!」 親父 「あん?って……おいおいおいおいおいなんだい!久しぶりじゃねぇかい!!     あン時の猫だな!?メイド服なんてモン作ってよこしやがった!!」 悟り猫「イエス!アイム悟り猫!今日は仲間を連れて食いに来たのです!     って───席空いてる?」 親父 「ああ、ピークが過ぎりゃあ案外空くもんさ。     最近はあまり外で食おうってヤツが居ないみてぇでな。     しっかし斬真から電話し合った時はなんのこっちゃって感じだったが───     そうかい、こういうことかい。     で、なににすんだい?前みたいに野菜だけてんこもりラーメンか?」 悟り猫「いえ、今回はメニューを片っ端から全品」 親父 「全品って……大丈夫か?残されても困るが」 柿崎猫「既に作る気満々なのな……」 悟り猫「衣川さんは差別などせん人だ!彼を侮辱するなら僕がキミを許さない!!」 柿崎猫「や、侮辱とかじゃなくて……まあいいけど」 悟り猫「そんなわけで大丈夫ですじゃ。この通り、こちらには数十名の盛栄がおる故。     むしろ閉店時間前に閉店にさせてみせましょう!お金ももちろん持ってます!」 親父 「おっ?お〜ぉきく出たじゃねぇかい。そんじゃいっちょ、勝負といくかぁ?」 悟り猫「望むところですじゃ!!!」 親父 「よっしゃ待ってな!久しぶりに腕を鳴らしてやるぜぃ!!」 かつてよりさらに威勢が良くなってる気がするおやっさんが調理を始める。 そして僕らはその間、『超絶ラーメン』の記録などを見て驚愕してました。 『現チャンピオン:日野壁涼子。  スリムながらにして超絶を僅か10分で攻略した若きチャンプ』 ……まだ破られてなかったんだ、リョーコの記録……。 既に写真も紙も色褪せてしまってるじゃないですか。 すげぇよリョーコちゃんたら……。 しっかりと当時の写真と年号まで書かれてるもんだから、 これがどれくらいの時のものかは丸解りだ。 そして─── 提督猫「お〜、殿様だ殿様」 忍者猫「おお……殿でござるよ」 中村猫「で、こっちがあの伝説のジャパニーズ巫女さまか……」 こっちも相変わらずだ。 顔にステキなアートを描かれた殿と巫女さんが映った写真。 実際はチャンプを写した写真なんだろうけど、明らかにこっちの方が目立ちすぎてる。 悟り猫「しかし……おやっさんも随分と白髪増えたね?」 親父 「そりゃ生きてりゃ白髪にもなるさ。     そういうお前さんは……そういや前に来た時は黒くなかった気がするが?」 悟り猫「この度、猫又になりました。ですから色が変わったんですよ。ほら、尻尾も二本」 オイラはわざわざ黒を行使して尻尾をもう一本象ると、おやっさんに見せてみた。 するとおやっさんは『ほぇ〜……』と、感心と驚きを混ぜたような声を出して頷いた。 それでも調理する手は止まらないのは熟練の業でしょう。 悟り猫「そういや……他に従業員とかは?」 親父 「ちょいと遅れるんだとさ。丁度良かった。     こんなに猫ばっか来てるところ見たら腰抜かす」 悟り猫「ふむん……」 そういや前にも似たようなこと言われたっけ。 まあいいコテ。 世界猫「で……提督猫?お前さっきからなにやってんだ?」 提督猫「腹が減ってかなわん。だからセルフウォーターをガブ飲みしてる」 世界猫「……お前なぁ」 見れば、提督猫がセルフウォーターの台の上に寝転がり、 忍者猫にスイッチを下ろさせて直接水を飲んでいた。 けど─── 提督猫「ゲボォッ!!?ガボホッ!!」 そりゃね、直接飲み続けてりゃあ息が続かなくなってきます。 しかも忍者猫は離れた場所に座ってる殊戸瀬猫に気を取られているようで、 提督猫のもがき苦しむ声にまるで気づいておりません。 当然提督猫もさっさと逃げ出そうとしたが、 天誅とばかりに世界猫に押さえつけられ脱出不可能に。 水は留まることを知らず、 夏場ということでキンキンに冷やされたセルフウォーターが提督猫を襲いました。  ───鼻より流れ出でるはセルフウォーター!!  ───その場でもがき苦しむは原中が誇る伝説の提督!!  ───そう!遠き者は耳に聞け!近き者は目にも見よ!!  ───彼の名はガクッ…… ……気絶した。 ───……。 ……。 ややあって─── 悟り猫「いーたーだーきーます!」 総員猫「いーたーだーきーます!」 順番に運ばれてきた料理をそれぞれが食らっていきます。 水の冷たさに気絶した提督も既に元気リンリンパワー全開となり、一緒に喰っております。 そんな中─── 黒竜猫 「ラーメンか……さっきも驚かされたが、美味いものだな……」 みさお猫「ほらほらゼットくん、あーん♪」 黒竜猫 「よ、よせセシルッ……!!食事くらい自分で出来るっ!」 なんだかんだでラーメンにハマっているゼットくんが居た。 いやはや、やはりラーメン好きに世界は関係ねぇね? 凍え猫 「いンやぁ、じゃけんどこのから揚げのなんと美味かこと!」 鷹目猫 「おおまったくじゃい!」 柿崎猫 「こりゃたまらんばい!」 御手洗猫「ほんなこつー!」 由未絵猫「こ、こりゃとんこつラーメンばい」 来流美猫「だから……。付き合わなくていいわよ、由未絵」 親父  「しっかし猫特有のアレルギーとか大丈夫なのかね」 悟り猫 「全然平気!」 既にそれも猫舌とともに克服済みです! 食中毒だって起こしません!! 柾樹猫 「不思議だなぁ。猫になるとまた味覚が変わってくるもんだね」 豆村猫 「あ、そのギョーザにも醤油つけといて」 刹那猫 「あいよー」 紗弥香猫「でも驚いたねー。さっきのお店に同じ名前の子が居て」 深冬猫 「はふはふ……んくんく……」 悠季美猫「……あの。何気に順応してますけど、普通にご飯食べてていいんでしょうか」 柾樹猫 「いいんじゃないか?食べに来たんだし。      姿が猫だからってラーメン食べちゃいけないってことはないだろ」 悠季美猫「まあ……いいんですけどね。確かに美味しいですし」 セレス猫「そんなことはどうでもいいからギョウザはもっと離れて食べてください」 ルナ猫 「同感……ニンニク臭い……」 若葉猫 「ふん、ニンニクが苦手なんて低俗な死神ですね。      これですか?こんなものが苦手なんですか?ムハァーーーッ!!!」 ルナ猫 「きゃーっ!!妹口臭いーっ!!」 若葉猫 「だっ、誰の口が臭いんですか!これはニンニクの匂いでしょう!!」 木葉猫 「姉さん、墓穴堀りまくり」 若葉猫 「うるさいわねっ!!」 親父  「ほいぃっ!坦々麺とキムチチャーハンあがりぃっ!!」 総員猫 『待ってましたぁっ!!』 まあそんなこんなで、次々と食らっていきました。 既に量にして一週間分は喰ってるんじゃなかろうかという量ですが、 それでも喰えば喰うほど腹が減って味覚が研ぎ澄まされるのは仕方が無いのです。 だから僕らはひとつの丼を数猫で食らい、 次が来れば早い者勝ちといった感じで食らっていきました。 ───……。 ……。 ───そして。食らって食らって食らい続け、 やがて外が夕焼けに包まれる頃───それはとうとう来てしまったのです。 親父 「よっしゃこれで最後だ!超絶ラーメンお待ち!!」 ゴトトンッ!! 総員猫『でっ……でっけぇえええーーーーっ!!!!』 皆様とても驚きました。 最後の最後、全ての材料を使って出てきたそれは、噂の超絶ラーメン。 おやっさんが運んできたそれは、本気でバカでかいものでした。 世界猫「うそだろ……!?これを、ひとりの女が10分で……!?」 それこそ物理法則を完全に無視してました。 どうすりゃこんなものがあげにスリムな女性の胃袋に入ると? さすがの悠介というか世界猫も驚きを隠せません。 というか皆様驚愕しております。 猫の姿でみると、これまた迫力があることあること……! 親父 「よっしゃ。じゃあ誰が挑戦すんだい」 悟り猫「これは……」 世界猫「なぁ……?」 忍者猫「当然一猫しか居ないでござるよ!さぁ!提督猫殿!!」 ザァッ!と全ての猫の視線が提督に注がれる!! 提督猫 「えっ!?お、俺!?」 麻衣香猫「がんばってー!ヒロちゃーん!」 夏子猫 「今こそ提督の力を見せるときよー!!」 猫たち 『てーとく!てーとく!』 猫たち 『てーぃとく!てーぃとく!!』 猫たち 『てーいとく!てーいとく!てーいとく!てーいとく!』 提督猫 「や、はは……!よ、よっしゃあ!やってやるぜ!!」 猫たち 『ハワァアアーーーーーッ!!!!』 総員猫 『エッロマッニア!!エッロマッニア!!』 提督猫 『エロマニア関係無ぇ!!』 親父  「お前さんか。よし、そんじゃあ今ァ5時14分だから15分から開始だ。      制限時間は20分。最高記録は10分だ。……いいかぁ?」 提督猫 「ど、どんと来い!!」 世界猫 「腰が引けてるぞ〜」 提督猫 「う、うーさい!!」 親父  「───…………そんじゃ───開始!!」 カチッ! おやっさんがタイムウォッチを押した! それとともに提督猫が大きな丼に体を伸ばし、食い始める!! ズゾゾ、ゾボボボボボ……!! 提督猫「おあじっ!あじゅじゅじゅ!!」 猫たち『提督ッ!提督ッ!!』 猫たち『ニャアッ!ニャアッ!!』 提督が器用に箸を使って食してゆく!! その速さは中々感心に至るものだが所詮は猫の口! 一口の量は人間のおなごにすら届かず、 しかし喰えば喰うほど空腹になるこの状況は彼の口を動かす速度を加速させる!! 提督猫「あぢぢぢっ!!ほふっ!ほふっ!!」 悟り猫「提督!ねぎま姉さんの真似してる場合かっ!!」 提督猫「好きでやってるんじゃねぇよ!!」 だがその速度が下がることなど無し! 提督は懸命に伝説に挑戦しておりました!! ───……。 悟り猫「いかん!そろそろ提督の箸が麺に届かなくなってきた!!」 忍者猫「アルファツー!アルファワンに接続!!ドッキング用意!!」 悟り猫「アルファツー準備完了!アルファワンの足を支えます!!」 世界猫「セットイン!!」 悟り猫「ラジャー・ビュー!!」 俺は提督猫の足を掴むと、提督猫をデカい丼に落として支えた!! その先で麺に箸が届くようになった提督が麺を食ってゆく!! 悟り猫「むわっ!すごい熱気だ!丼に顔を近づけただけでとても熱い!!」 提督猫「熱ぃ!腹熱ぃって!!」 悟り猫「頑張れ提督!全ては貴様の手にかかってる!───破るんだろ!?あの記録を!」 提督猫「い、いつ言ったぁっ!そんなことぉっ!!」 ええ、言ってません。 ───……。 カチッ。 親父 「ほい残念。20分だ」 悟り猫「なんと!?」 ズルッ───ボシャアッ!! 提督猫「ゴニャアアアーーーーーーーッ!!!!!」 悟り猫「あ」 タイムアップの報せを聞いて驚愕した僕は、ついうっかり提督猫の足を離してしまった。 途端、夏場の所為かまだまだ熱いラーメンスープの中に提督がダイヴ。 もがけばもがくほど麺が体にからまり、 彼は洗剤をかけられたゴキブリのようにやがて動かなくなった。 悟り猫「て、提督猫ォオオオオオーーーーーーッ!!!!」 世界猫「て、提督猫がラーメンスープで溺死したぁあああーーーーーーーっ!!!!」 バシャッ……パシャッ…… 悟り猫「い、いや!まだ生きてる!生きてるぞぉーーーーっ!!!」 田辺猫「すげぇ……ゴキブリ並みの生命力だ……」 忍者猫「ならば早く出すでござる!     このままではせっかくのラーメンにエロマニア菌が滲み出るでござるよ!」 世界猫「大丈夫だ!こんなことになるんじゃなかろうと、     提督猫の体には薄い滅菌膜を張っておいた!落ちてもラーメンは無事だ!!」 提督猫「てめぇら人をなんだと思ってやがるんだぁあああああっ!!!!」 あ、全力で生きてた。 これぞ死力を振り絞るってやつでしょうか。 ともかく提督猫を救出したぼくらは残ったラーメンを全て食いつくし、 それが終わると長い長い息を吐いたのでした。 ───……。 悟り猫「では、ごちそうサマンオサ」 親父 「あぁ。会計は───全部で38万7千8百円ね。     それに罰金の5千円が追加されて39万2千8百円だ」 凍え猫「ほい、40万」 親父 「おう。気前のいい猫だねぇ。     ここまで残さず食べて、しかも全額きっちり払うたぁ」 凍え猫「多謝」 悟り猫「それではおやっさん、     こんな猫たちに惜しむことなく材料を使ってくれたお礼に     これを受け取ってくださいな。我ら猫からのプレゼントです」 言って、世界猫が創造した飴玉を渡す。 親父 「これは?」 悟り猫「我ら猫たちに伝わる伝説の丸薬です。人がこれを舐めればたちまち、     腰痛肩こりなどといった異常が消え、しかもそれが生涯続くと云われております。     いつまでも元気で若々しくあってくだされ。     舐めるの面倒なら飲んでくれても構いません。     胃液にサッと溶けるように出来ております」 親父 「まあ、貰えるもんは貰っておくが───飲めばいいのか?」 悟り猫「然り」 親父 「ふ〜ん……?」 シゲシゲと飴玉を見たおやっさんだったが、 我らの視線を受けると覚悟を決めたようにひと飲みにした。 するとアラ不思議、少し曲がり始めていた腰がシャッキリと伸び、 多かった皺がスッキリと数を減らし、 血行も良くなったのか肌の色まで若々しくなるではありませんか。 親父 「オッ……こ、こりゃあ……」 悟り猫「我ら猫を差別せずに景気よく向かえてくれたのはおやっさんだけでした。     これはせめてものお礼です。では───提督」 提督猫「うむ!総員ッ!!衣川郷地殿に敬礼ッ!!」 ザザッ───!! 総員猫『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!!!』 それぞれがそれぞれの思いを込めて敬礼をしました。 一匹だけラーメン臭を漂わせる猫が居たが、それでもです。 親父 「なんで軍人言葉なのかは解らんが……ま、あんがとな。またいつでも来な」 悟り猫「押忍!地界の味が懐かしくなったらまた来ます!」 親父 「ちかい?……ま、いいか。そんじゃなぁっ!元気でやるんだぞー!」 総員猫『ゴニャッ!!』 こうして僕らは腹を満たすと、ガヤガヤと話しながら駅まで歩きました。 そう。 ふと気づけば腹は満たされており、暖かな気持ちとともに満足感を纏っていました。 あとで聞いた話だけど、 世界猫が言うには腹と一緒に心も満たさなければ腹は減り続ける筈だったんだそうな。 つまり僕らはショーヘーたちを経由しておやっさんのところでメシを喰ったことで、 猫として人々の暖かさに触れることが出来たというわけです。 嗚呼、僕らは満足だ!! 悟り猫 「さて皆様!これから如何いたしましょうか!?」 総員猫 『レッツ・ヒロライン!!』 悟り猫 「よっしゃあ皆様ならそう言ってくれると信じてましたぞ!!      それでは蒼空院邸に戻り、早速準備をば!!」 ルナ猫 「悠介たち修行してたんでしょ?それはもういいの?」 世界猫 「大丈夫、って断言は出来ないけどな。なんとかなりそうだ」 黒竜猫 「俺としてはまだまだ足りないんだがな……俺はいい。貴様らだけで勝手に……」 みさお猫「だめだよゼットくん。一緒に。ね?」 黒竜猫 「ぐっ……だ、だがなセシル……」 悟り猫 「クォックォックォッ……早速尻に敷かれてやがるぜこの黒竜……」 黒竜猫 「一度死んでみるか貴様……!!」 悟り猫 「お?なんだ?やンのかコラ」 聖猫  「パパ!喧嘩はダメ!!」 悟り猫 「う……ぎょ、御意」 豆村猫 「親父ぃ……情けねぇよぉ……」 悟り猫 「うーさい!!」 ほっといてつかぁさい!どうせ聖にゃ弱ェよ俺!! しゃあねぇじゃん!娘を持つことが出来たら可愛がろうって決めてたんですもの!! 凍え猫 「や〜、それにしても一気に使ったなぁ〜」 悟り猫 「ご馳走さんね?マジで助かったわい」 凍え猫 「助かったのはこっちの方だ。      今まで材料とか創造してもらったお陰で楽に暮らしてこれた。      それに比べりゃこれくらい安いもんだ」 悟り猫 「そうなん?」 由未絵猫「あのですね……?まだ貯金が驚くくらいあってですね……」 凍え猫 「実際、そんなに痛手じゃないんだ。      結局奢った分の金、友の里から出したようなもんだし」 鷹目猫 「俺と真由美と凍弥と支左見谷から出させてもらった。      ほんとな、これまでの儲けで換算すると、      これでいいのかって思うくらい安いもんだし」 悟り猫 「うおう……」 一家に一匹、世界猫。 よもやそれほどとは。 悟り猫「……あれ?そういや今さらだけどさ仁美さん」 仁美猫「えっ?なになにアキちゃん!」 悟り猫「俺が持ち帰り忘れてた千両箱、どうなったんかな」 仁美猫「あれ?あれなら厳重に保管しようってことで     金庫の中に入れておいたから燃えずに残ってるよ?」 真穂猫「こっちに来るついでに持ってきておいたから、今は友の里の旅館に置いてあるよ」 悟り猫「なんと。そりゃ助かりました。あれは楓巫女と隆正との大切な思い出だ。     無くなったとか溶けたとか言われたら一目を憚らず泣いておりましたわ」 今まで思い出さなかった俺も薄情ってもんだけどね。 いいさね、無事だったって解ればそれでOK。 悟り猫「そんじゃあ帰ってヒロラインやりますかぁ!」 提督猫「それではヒヨッ子ども!いざ帰還!!」 ザザッ! 総員猫『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!!!』 こうして僕らの食べ歩き道中は終了しました。 うむ、腹も一杯心も一杯、幸せいっぱい夢いっぱい。 武田商店破れたりだ。 ……いや、訳解らんけどね? 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