───僕らに愛を/フラッシュ!富竹組───
【ケース609:中井出博光/愛をポテト】 キキ……チチチィイイゥウウン……!! 中井出「ホアアアア……!!」 体が動く……!目覚める……!! アア、我覚醒せり……! 中井出 「やあ」 イセリア「どうしてヒロミチくんは第一声がそれかな」 中井出 「挨拶は人類の基本です」 そしてまたヒロミチくん呼ばわりだった。 中井出「ところであのー、せっかく動いたと思った体がまた動かなくなったんですけど。     ていうか痛ッ!!痛い!!なにこれ痛い痛いたいたたいたいたい!!     ゲギャアアアーーーーーーッ!!助けてぇえええーーーーーっ!!!」 目覚めたら大激痛だった! 感想終わり! 彰利 「う、むむ……む、むおお……!……な、なにアルかやかましいアルね……」 藍田 「むー……おおっ?提督が苦しんでるぞ!」 総員 『なんだってーーーーーっ!!?』 藍田の言葉に一斉に起き上がる皆様! ああ!僕が苦しんでいることにそんなに反応してくれるなんて! 僕は───僕は素晴らしい仲間を持ったッツ!! 清水 「カメラ!カメラあるか!?」 飯田 「この素晴らしき時を映像に残すんだッッ!!」 殊戸瀬「カメラならここに」 総員 『ナイス用意周到!!』 ……素晴らしすぎてマジで涙出てきた。 悠介  「と、遊ぶのはここらへんにしといて。───イセリア、これは?」 イセリア「ああ、うん……その、ね。      多分ヒロラインの中で筋肉痛を伴う能力を一気に使いすぎた所為で、      体がびっくりしてるんだと思う。      簡単に言うと、魂の方の筋肉と体の方の筋肉が均等じゃないから、      体が魂に追いつこうとしてる状態なの」 悠介  「えーと……なんだ?つまり───」 イセリア「うん、ただの筋肉痛。ただし普通の筋肉痛とはレベルが違うけど」 そうなのですか!?わたしは大変驚ギャアーーーーーーーッ!!! 痛い痛いってほんと痛い助けてえぇえええええええっ!!! ノート『ふむ。鍛錬嫌いのその男の体を鍛えるためのものだったんだがな。     まさかサウザンドドラゴンとの戦いだけであれほど使うとは』 悠介 「まあ……こうでもしないと体が締まらないのは確かだったが」 中井出「エエッ!?《ズキィーーーン!!》ギョアアアアーーーーーーッ!!っ……!     筋肉痛ペナルティが俺の能力にばっかりあったのってそれが狙いだったの!?」 ノート『そうだ』 隠しもしないよこの精霊!! なにかおかしいと思ってたんだッッ! 似たような能力持ってるやついっぱい居るのに、 どうして僕だけ筋肉痛がペナルティなのかって! ……でもなんだか以前、それっぽいことを聞いたような聞いてないような。 ロビン『というわけで、こいつの出番だ』 と───ここで何故かロビンになった彰利が、自分の両手の上になにかを出現させる。 ……ハテ?あれってズキィ!!あいたぁあーーーーっ!! もうなんでもいい!治るんならなんでもいい!なにやらすげぇ嫌な予感するけど!! 悠介 「なんだい……?それ……」 喋りたくても喋れない俺に代わり、晦が俺の気持ちを代弁してくれた。 ……いや待って、この流れって─── ロビン『蛋白質(プロテイン)だ。10リットルある。今の中井出に最低限必要な水分だ』 藍田 「飲めってのかよ10リットルっ」 ロビン『そのままでは無理だろう。こいつを混ぜる』 石作りのバケツいっぱいのプロテインを、倒れた俺の前にゴトリと置くと、 ロビンは新たに別のものを出現させた。 ロビン『蛋白質(プロテイン)。食物から採取した純粋な栄養素だ。     ……約4キロ。量は多いが、吸収率は無類だ』 岡田 「結局プロテインかよ!!」 中井出「ちょ、ちょっと待て……!待───!」 ジョヴォジョヴォ……!! 俺の願いも虚しく、ロビンがバケツのプロテインの中にプロテインを流し込んでゆく!! なにやりたいのこいつ!いややりたいことは明白だけどさぁああ!! ロビン『肉体に戻り……健康であるとはいえ、     君はまだまだまるで完全じゃない《バシャバシャ》』 藤堂 「おいおい……汚ェよ」 喋りながら、無意味にプロテインを掻き混ぜるロビンに藤堂がツッコんでくれたが、 てんで聞いちゃいなかった。 ロビン『本来はタンパク質やデンプンが望ましいが……』 総員 『それ蛋白質だって自分で言ってただろうが!!』 ロビン『時間がない』 ゼット「ないのは時間ではなくお前の脳だろう」 総員 『まったくだ!!』 とは言ってくれたものの、 とうとう転がっている俺の前にズズイと押し出されるバケツ。 しかも閏璃がわざとらしく咳払いをすると、 閏璃 「───14キロの……砂糖水……」 とか言い出してしまう始末で……!! ロビン『奇蹟が起こる』 中井出「起きないよ!!今こんなもん飲んだら重みで余計に───     ちょ、みんな!?なんで僕を起こすの!?いいよ!いいってば!僕寝てるから!!     やめてよ!立たせて無理矢理バケツ持たせないでよ!!なにその笑顔!!」 ロビン『うるせーーーーーっ!!!     ぐちぐち言わずに飲まねーかーーーーっ!!     てめーのせいでまた最初からやり直しじゃねーかーーーーっ!!!』 中井出「えっ……え、えぇえ……?お、俺の所為、なの……?」 閏璃 「───14キロの……砂糖水……」 中井出「そこからかよ!あ、ああもういいよ飲んでやらぁ!     こんなもの《グビリゲボハァッ!!》ぶえぇえっ!!不味ッッ!!」 吐いた。 物凄い勢いで、蹲って、あまりの不味さにOWEEEE(オヴェエエエ)……と涙を流すほどに。 ロビン 『あっ!てめぇなに吐いてやがる!      ロビンダイナスティの霊験灼処(れいけんあらたか)なプロテインを!』 中井出 「どこがじゃアアア!!ただ滅茶苦茶不味いだけじゃねぇかァアアア!!      あまりの不味さに意識失いかけたわ!なんてもん飲ますんだケツ野郎!!」 ロビン 『ケツ野郎とな!?ショ、ショック!ロビンショック!!      ムウ、ロビンを傷つけた罰だ。ここに14キロある。飲みなさいプロテイン』 中井出 「いいよ砂糖水で!砂糖水にしてお願い!!      このプロテイン以上の味のものならなんだっていいからさァアア!!」 ロビン 『男は度胸。なんでもやってみるものさ』 中井出 「アッ……阿部さんっ……!」 イセリア「よく知らないけど、      地界人って宴会の時とかにわざと不味いもの一気飲みとかするんでしょ?      やってみてよ、わたし見てみたい。      見せてくれたら地界人のこと、いっぱい見直すかも」 中井出 「アグッ……!」 凍弥  「いってくれ提督さん!あんたは地界人代表だ!」 浩介  「うむ!貴様が地界と空界との架け橋を作るのだ!」 浩之  「大丈夫!貴様なら出来る!!」 みんなとても勝手ですね!! だが───フフ、いいだろう。 宴会の話を出されてはこの博光、場をシラケさせるわけにはいかん。 中井出「……《チラリ》」 閏璃 「!……《コクリ》」 アイコンタクト……終了。 さあ来るがいい……このミッション、見事完了させてくれる───!! 閏璃 「───14キロの……砂糖水……」 ロビン『奇蹟が起こる』 猛毒に(おか)され─── 極限まで衰弱しきった少年の肉体…… ゴキュ……ゴキュ……ゴヴォォッ!! 中井出(うぶっ!ま、不味ぃいいーーーーーーっ!!!) グオオ意識が遠くなる……!! これ本当にプロテインなのか……!?いくらなんでも不味すぎだろ……!! そこへ闘争による更なる負担が加わり─── 人体最後のエネルギー貯蔵庫である肝臓の グリコーゲンすらも底をついた……………… 中井出(グッ……!人の気も知らんとナレーションを続けおって……!     だ、だが……場を、場をシラケさせるわけには……!     こ、ここは、ひ、博光よ……根性だぜ……!!)  ゴ……ゴキュ、……ゴ……キュ…… 闘争に加え酷使に次ぐ酷使………… もはや破壊され尽くした少年の筋肉細胞達…… 細胞達(かれら)は……復讐を誓っていた!!!  ……コトン。 中井出「グエッ!ブヘッ!!オッ……ウヴォォオオエエエッ!!!」 藍田 「ウオオオオ飲んだ!飲んだぞぉおおっ!!!」 ロビン『ゲゲェエーーーーーッ!!!すげぇ!マジで飲みやがったぁあーーーっ!!!』 中井出「なんでお前が一番驚いてるんだよ!!───ヴ《ゴポリ》……!!     ま、まず……不味い……泣きたくなるくらい不味くてまずい……!」 悠介 「ま、待て。落ち着いてくれ提督。ここは俺の部屋だ。……な?解るだろ?」 中井出「解らなくてもいいから愛を解放したい……」 悠介 「しないでくれ!───あ、ああっ!閏璃!続き!続き!!」 次なる酷使に対する復讐…… 今後もし……同じ事態が起こったなら 必ず………… 必ず独力で乗り越えてみせる!!! 中井出「《シュゥウ……》ヴ……?」 気持ち悪くて仕方のない状況の中、俺の体からなにやら湯気が…… 人ならぬ神の創造(つく)(たも)うた肉体…… 神の誓いし復讐に誤り(ミス)はあり得ない! メチ……メチチ……ファァアアアゴォオオオオオオオオオッ!!!! 中井出「うわぁああちゃちゃちゃちゃちゃちゃあああああああああっ!!!」 岡田 「オワッ!?うあっ!熱ッ……!!」 田辺 「なんだこりゃあああ!!ててて提督の体から物凄い量のスチームが……!!」 今、少年の肉体に 空前の超回復が起ころうとしていた!!! 中井出「起ころうとしていた!じゃねぇえーーーーーーっ!!!     ロロロロロロォオオーーービィイイイイーーーーーーン!!!     てめぇええプロテインになに混ぜやがったぁああーーーーーーっ!!!」 あまりの熱さと痛みとをミックスにされた上、 腹の中の気持ち悪さに怒り心頭な僕は、ガッシィとロビンの肩を掴んで問いを開始した! ところが、 ロビン『しっ、失敬だなキミ!!どこをさわってるんだキミは!そこはキミ、チ……』 中井出「え!?え!?なに!?え!?チ!?肩だよ!?なんで肩にチ……!?」 ロビン『とんだじゃじゃ馬奏者だ。まさかシンバルにくるとみせてチ……。     こんな即興ライブ見たことがない』 中井出「いや解らんって!!」 何故かとても切なそうな顔でそう言われた。 チ……?チ……って、チ……だよな。 ロビン『ところでまだプロテイン飲む?プロテインだけなら無限に出せるぞ』 中井出「いらないよ!!」 シード『すごい……!父上は体から蒸気が出せるのですね!?』 中井出「出したくて出してるわけじゃないよ!」 ナギー『うむ!天晴れなのじゃヒロミツ!     指先でつつかれるとそこから腐ると云われるだけはあるのじゃ!』 シード『なんだって!?く、腐るのですか父上は!』 中井出「腐らないよ!!───ヴ」 うおお……腹がだっぽんだっぽん鳴って気持ち悪───ヴ。 中井出「うげぇえええ……!!ゲップの度にクソ不味さがこみ上げて……!」 ロビン『やったなキン肉マン!』 中井出「なにもやってないよ!なにその立てた親指!!……ぐおおだめだ……。     す、すまん……俺はもう駄目だ……」 ロビン『グウ……ウム。もう夜だ、ゆるりと眠るといいだろう。     だが目覚めた暁には喜んでいるようには思えない顔で     中井出博光復活としつこく叫んでやろう』 中井出「お願いです勘弁してください……《ガクリ》」 ……オチた。 【ケース610:岡田省吾/遅く起きた夜は】 岡田 「あーらら……オチちまったよ提督」 訊きたいことあったのに。 まあ質問を優先させずに遊びに走ったのがそもそもか。 岡田 「っと、みんなちょっといいか?」 ロビン『オオ?この紳士超人になにか用か』 岡田 「紳士は気絶した人間の顔に早速悪戯描きはしないと思う。     で、質問なんだけど。あー……新しい世界、飛んだよな?ヒロラインで」 飯田 「お?おおオオ飛んだ飛んだ。10年後っつったっけ」 藍田 「あれ?そうなのか?俺町探して彷徨うだけで終わったからそれ知らなかった」 悠介 「俺は気づいたら崖っぷちに生えた枝の上だったぞ」 麻衣香「……普通に怖いね、それ」 ……。 そっか、なんかホッとした。 あの世界にいったのが俺だけだったらどうしよう、なんて考えちまった。 岡田 「あ、じゃあ提督見たか?俺さ、提督によく似た白髪の男見つけたんだけど」 藍田 「提督は……見てないな」 蒲田 「俺も!」 清水 「わいも!」 中村 「ぼくちゃんも!!」 灯村 「それがしも!」 藤堂 「おいどんも!」 田辺 「わしも!」 丘野 「拙者も!」 皆川 「わても!」 三島 「ミーも!」 島田 「やきいも!!」 岡田 「いや、やきいもはいいから」 んー……でも、どうなんだ? 見つけてないからってあいつが提督と決まったわけじゃあ─── 殊戸瀬「……わたし、見た」 岡田 「えっ───ほんとか殊戸瀬!」 殊戸瀬「うそついてどうするの?」 エ?……どうするって…… 岡田 「楽しむんじゃないか?」 殊戸瀬「……まあ、それもいいかもしれないけど。少なくとも本当。     エーテルアロワノンの自然要塞の中で眠ってた」 岡田 「は……話は?」 殊戸瀬「警備がひどくて無理だった」 ロビン『警備?……どうなっとんの?あそこ』 ナギー『うむ……率直に言うと、エーテルアロワノンは帝国の手に落ちたのじゃ。     ヒロミツは要塞の中心部、妖精界とのゲートがあった場所で眠っておった。     片手ずつに戒めの時宝玉と竜宝玉を持っておったからの、     恐らくはサウザンドドラゴンの体内から剥ぎ取ったのちに、     ゲートを開いて妖精界に逃れたんじゃろうな』 岡田 「で、そこでずっと寝てたと?」 ナギー『そういう意味での眠るとは違うのじゃ。ヒロミツの体は封印状態にあった。     天地崩壊が起こっておる時に世界と世界を行き来なぞするから、     狭間に挟み込まれた状態……なのかの。     そこのところはゼクンドゥスにでも訊いてみるがよいのじゃ』 封印状態ね……そっか。 じゃああのアルビノは、まるっきり提督とは関係ない、 ただの年代ものファッション好きの村人だったんだな。 ……けど、なにか引っかかるような……。 田辺 「ナギっ子、封印状態ってのは?」 ナギー『巨大なクリスタルのようなものの中で眠っておるような状態じゃ。     クリスタルを叩いても呼びかけてもなんの反応もない。     じゃからの、魔法でなんとかしようとした矢先に……     その、なんじゃ。口惜しいことに、帝国のやつらに捕まったのじゃ』 岡田 「捕まったって。なんだそりゃ、モンスターとか竜族以外にも、     精霊までなんとかしちまうような場所なのか?帝国ってのは」 ナギー『むう……わしも抵抗はしたんじゃがの。     妙な形のものを押し付けられたら体に電流が走っての……。     忌々しいことに、なにも出来んかった……。     じゃからまたこの世界に飛ばされて安堵中だったのじゃ。     さすがはヒロミツよの。わしが悲しんでおると、きちんと助けてくれるのじゃ』 総員 『………』 すっかり提督パワーだと信じちゃってる……。 まあ、これはこれで面白いからいいんだけど。 現にみんなも口出ししないし。 岡田 「ナギーは帝国に捕まっちまったのか……。シード、お前は?」 シード『……捕まった。魔王の血筋は研究素体としては最高だ、なんて言っていた』 ロビン『あいやぁ……』 やばいんじゃないか、それって。 まさか精霊でも太刀打ちできないなんて、 ヒロラインのノヴァルシオってどんな場所だったんだよ……。 ロビン『……ふむ。こりゃあ……今回のヒロラインの敵は人間になりそうやね』 悠介 「俺もそう思ってたところだ。     力に溺れちまった人間が辿り着く場所なんて想像に容易い」 確かに、先の未来がありありと浮かぶようだ。 けど、戦いを挑む前にやっておいたほうがいいことがある。 岡田 「…………いや。それよりも“機械”を手に入れるのが先決だと思う」 悠介 「機械?」 ロビン『ああ……アレね。確かにヤベーワあれ。     アタイちょっとさ、路頭に迷ってたから食い逃げしたんだわ』 悠介 「食いっ……!おのれはなにか!?道に迷ったらタダメシ食らって逃げるのか!?」 ロビン『しゃあないじゃない腹減ってたんだもの!     そしたらYO、警備の兵士が走ってきてさ。     アタイに問答無用で銃を撃ってくるわけよ』 止まりなさい!とか抵抗すると撃つぞ!とかもなかったのか……。 物凄くアグレッシヴな時代だな。 ロビン『俺も家系に戻ったわけだからさすがに余裕ぶるわけにはいかないだろ?     なもんだからしっかりとガードしたんじゃけどね?     そしたらもう体が動かなくなる動かなくなる。パラライズガンつーんすかね?     その時はもちろんニーベルマントル発動させて無理矢理動いてね?     ……問題はここからなんスよ。抵抗したと見るや剣抜いてきたんだけどね?     それが妙な形の剣で、機械だったのよ。     や、接触した途端に訳も解らんうちに倒されててさ』 悠介 「え……負けた、のか?」 ロビン『グ、グゥム……腹立つけど、そうなる。     その後牢屋にぶち込まれたんじゃけんど、転移で逃走しました』 悠介 「……厄介そうだな。俺は猫の里からのスタートだったから、     世界がどう変わったのかを調べる余裕もなかったけど」 晦は猫の里からか。 そういや今あそこってなにがあるんだろうな。 岡田 「猫の里ってどうだった?10年経った様子は」 悠介 「猫の集落であることには変わりなしだな。ただし亜人族以外は入れなくなってた。     この10年で、亜人族たちは人間に対しての信用を捨てたみたいなんだ」 ロビン『うわ……マジで?』 悠介 「ああ。里を守る切り立った山に、天使謹製の幻覚バリアが張られててな。     その他にもいろんな種類の幻覚作用とか魔法バリアとかいろいろ張ってあって、     亜人族以外じゃまず辿り着けなくなってるみたいだ。     俺も目覚めて早々追い出されそうになってたけど、     俺のこと覚えててくれたアイルーのお陰で助かった」 おお、あの長老猫はまだ現役か。 ……と、そこで気になるのはやっぱアレだよな。 岡田 「亜人族は提督への信用も無くしたのか?」 悠介 「いや。むしろ提督の“魔王”っぷりに期待を込めてる感じだな。     提督が封印されてるのは知ってたみたいで、封印を解く方法を探してるんだとさ。     最初封印がどうとか言われても意味が解らなかったけどさ、     これでようやく理解できた」 ロビン『ハイアタイここで疑問点イッコ!……なんで中井出って警備されとんの?』 総員 『』 言われてみりゃそうだ……何故? ナギー『ふむ。それならば簡単なのじゃ。     ヒロミツが宝玉とともに結晶化しておるからじゃ。     伝説中の伝説、古竜中の古竜と呼ばれたサウザンドドラゴンの宝玉じゃ。     人間どもが欲しがらんわけもないじゃろ』 悠介 「なるほど……。まあそれは解ったとして。     じゃあ提督は封印解くまでヒロラインでは出番無しか?」 ロビン『そうなるねぇ。…………ほいじゃあヒロラインの話はここまでにしますか。     参加出来ねーやつをほっぽって話広げるのも可哀想じゃし』 岡田 「お、賛成。今居るここはヒロラインじゃないし、     ヒロラインのことはヒロラインの中で考えよう」 ロビン『オッケー!よーーっしゃ風呂だ風呂!風呂入ンべー!』 岡田 「それはいい考えだ!そろそろ体も臭いし!」 女性陣『っ!!《……くんかくんか……》はうっっっ……!!』 岡田 「お?」 俺の言葉に反応してか、女性陣が匂い嗅いだりとかしてハッとしてる。 ……あら?なにやら不穏な空気が……。 ロビン『岡田……てめぇ勇気あんなぁ。女性陣に向かって臭ぇって』 岡田 「ロビンにそこまで砕けたこと言われたくねぇんだけど!?     つーか俺自分のこと指して言ったんであって女たちにはべつに言ってないって!」 麻衣香「男性諸君!提案があるからよーく聞くように!!」 総員 『《ザザァッ!!》イエス!ユアハイネス!!』 麻衣香「それは今すぐやめて!」 総員 『いやだぁ』 麻衣香(健に似てるっ……!!) 起きたばっかりなのにノリノリな俺達が居た。 しかしまぁ……なんだ。 どうするかな、気絶中の提督。 蒸気を発し続けてる所為か、正直臭いし脱水症状になるかも……って、 水というかプロテイン飲んだからこんなんなってたんだっけ。 じゃあ水はよしとして。 麻衣香「お風呂は我々女性軍が先に入るものとします!これに関しては拒否は許さん!」 総員 『許さん!?』 麻衣香「我も原中が同胞(はらから)である!当然レディーファーストがどうとかは言わぬ!     だがお風呂に入りたいという気持ちならば貴様ら男どもには負けん!!」 彰利 「ぬぉおおァア!!?なんだその裂帛の気合はァアア!!」 麻衣香「はい。《パンパン》というわけで男子はあと、女子が先。     それとも我らより先に、そこまでして風呂に入りたいと唱える者は前に出なさい」 手を叩いて纏めに入る綾瀬。 その迫力たるや、今までの比ではない。  ズ…… 岡田 「ハッ!」  ズズズズズ…… 手だッ……! この緊迫した状況の中で、手を上げるヤツがッ……!! 彰利 「あの……。僕、さっさと……入りたいんですけど……。     その……構いません、よねぇええ……?《ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!》」 震えている……! 何故か手を上げて、虚ろな目で語っているだけなのに、 ジョジョっぽい擬音が聞こえてくるような……! 麻衣香「ダメ」 返事はとてもあっさりだった。 彰利 「アルェ!?前に出れば入らせてくれるんじゃないの!?」 麻衣香「出なさいって言っただけで     入れなんて言ってないからさっさと下がりなさいクズが」 彰利 「ヒィイ怖ェエ!!風呂絡みの女が怖ェエ!!」 悠介 「おーいみんな窓開けてくれー。夏場の提督スチームは暑すぎる」 飯田 「あいよー」 清水 「つーか臭いな」 岡田 「臭いな」 藤堂 「うん臭い」 彰利 「わあ、誰も聞いてくれない。あのー、ロビンやめたのかー、とかないの?ねぇ」 窓を開けると、そこはもう真っ暗だった。 まあ夜なんだから当然といえば当然なんだけど。 見上げた空は雲ひとつない月夜。 外から流れる夏の風が、ひどく心地よく感じた。 ……なんてしてるうちに女性陣は風呂へ。 一緒に居たナギーも連れ、ワイワイ騒ぎながら去っていった。 岡田 「……つーかさ。風呂屋行けば早かったんじゃないか?」 総員 『はい採用!!真っ直ぐGO!!』 提案があっさりと採用された。 やっぱこれだ。 ヒロラインの中じゃあそう集まれないけど、 全員集まると行き着く暇もないこの空気が好きだ。 彰利 「っと、中井出どうする?」 悠介 「めげないな」 彰利 「オウヨ。で、どうする?」 岡田 「時間でも飛ばしてやればいいんじゃないか?ごしゃーって」 彰利 「ソレダ」 や、そこでオリバの真似されても。 そんなことを、 倒れている提督の傍らに膝を立てながら座って手をわきわきさせる弦月を見ながら思う。 寝入ってる女を襲わんとする変態のような風情だった。 さーてどうしてくれようか〜〜〜〜とか言ってるしな。 彰利 「では月空力!」  キュミイイイン!!ビジュンッ!! 総員 『おおっ!!』 消えたッッ!! 提督の姿がッ!今目の前からッッ!! 悠介 「…………提督は?」 彰利 「時間を飛ばすとみせかけて、中井出自身を風呂に飛ばしてみました。最強」 直後、ホキャーという黄色い悲鳴。 それに混ざって聞こえる、目覚めし魔王の絶叫が……今も、耳から離れない。 ───……。 ……。 第一声はこれだった。 中井出「鬼だねお前!!」 びしょ濡れて入ってくるなり素晴らしい一言だ。 誰を指して言っているのかが解ること自体、 弦月は別の意味で信頼されてるといっていいんだろうなぁ。 彰利 「ナイスリフレッシュ!」 中井出「殺されるとこだったよ!     いらんところでまたエロポイント稼いじゃったじゃないか!     またエロだよ!エロマニア呼ばわりだよ!?」 悠介 「提督〜、これから風呂屋行くんだけど、どうだ?」 中井出「風呂!いいね!!」 つくづく豪放磊落な人だった。 提督の二つ返事で出発はあっさりと決定。 俺達は着の身着のままで窓から外へと飛び出し、 何故か落ちていた画鋲を踏んだ永田くんの絶叫が夜の昂風街に響き渡った。 【ケース611:中井出博光/愛をポテト(再)】 ヌギャアアアーーーン!! 中井出「溢れる男の第二頭筋……中井出博光です」 彰利 「服脱ぐだけでなんでそげに気合入れてんの!?」 中井出「何事も全力で取り組んでみるのも面白いかと」 というわけで近場の風呂屋、あべの湯に来ております。 脱衣所は人々の交流の場さ。 彰利 「………………ところでさ。番台の顔がさ、すげぇ……なぁ?」 中井出「ン?……───ウホッ!いい男……」 つーか阿部さんだった。 なにやらじーーーーっとこっち見ていらっしゃる。 彰利 (似すぎだろおい!どう見たって阿部高和氏じゃねーかアレ!!) 中井出(いや……番台って役職ならあれほど頼りになるお方はいないかもしれんが……) 彰利 (俺すげぇ嫌なんだけど……。めっちゃ見られてるじゃねーか) 中井出「い、いやならさっさと風呂入ろう。俺も正直耐えられん」 彰利 「そ、そうね」 中井出「ほんとそ───ヒィ!?」 ゴゾォ……とツナギの前を開け始めた彼を見た俺は、 もはや振り返ることもなく風呂へと続く引き戸を開け放っていた───!! 彰利 「オオ……風呂だ」 中井出「風呂だな……」 彰利 「ちなみにあそこのタイルの富士山、描いたの悠介だ」 中井出「突拍子もなく何処でなにやってんの彼!!」 彰利 「あ……その悠介は───って居た。なにやらギャーと叫んどるね」 中井出「なにやってんだろ、あいつ」 ハテ。 苦しんでるようだが、となりの江戸っ子っぽいじいさんに怒られて謝ってる。 根性だ。 中井出「いってみるか」 彰利 「せやね」 コクリと頷きあって、まずはゴシャーと体を洗って湯船へ。 さて晦は……って、痙攣してるな、ブチャラティみたいに。 彰利 「ダーリンどったの?随分苦しんどるようじゃけど」 悠介 「はっ……ぐ……!か、回路のこと……忘れてた……!     湯船に入った途端、体が痛み始めて……!」 中井出「回路?」 彰利 「ぬう。そういや無理矢理家系に戻ったんじゃっけ?     神魔だの精霊回路だの、全部家系に戻すわけじゃし、そりゃ体も痛むわい」 悠介 「覚悟しとけって言われてたんだけどな……。     ぐっ……悪い、俺もう出るわ……!」 彰利 「ノー!ちゃんと100数えてからYO!!」 悠介 「どこのお子様だ俺は!《ビキィッ!!》あがっ……!」 あ、痛みに硬直した。 彰利 「ほいじゃあアタイを経由して中井出と影繋いどくかね。     こやつのマナ集束はマジで馬鹿にならん。本人は馬鹿だけど」 中井出「任せてくれたまえ」 悠介 「否定しないんだな……」 頭がいいとは思えないしなぁ。 苦笑しながら湯船に入ると、心地のいい熱さが身を奮わせた。 彰利 「《ジョヴァー……》ふーーい……。んー……あ、そういやさ、中井出。     武具封印されとったみたいじゃけど、マナ集束とか出来るん?」 中井出「封印されたのはゲームの中でだから。現実ではリミットがそもそもないし」 彰利 「ナルホロ」 言いながらマナ集束法で然の加護を強化してゆく。 すると、晦の様子が少しずつ穏やかなものになってゆく。 悠介 「は……はぁあ……わ、悪い、助かる……」 中井出「べ、べつにアンタのためにやったわけじゃないわよ!《ポッ》」 悠介 「だからツンデレ怒りはやめてくれって……」 彰利 「ヤハハハハ、しかしまあアレじゃねぇ。     こうしてゆったりとするのも久しぶりじゃい」 悠介 「……ん、そうだな。提督がバトル宣言してきた時は驚いたもんだけど」 彰利 「おめえさんはアレか?新たな舞台ではどうしとんの?     聞いた話じゃクリスタル封印の中で眠ってるそうだけど」 中井出「おお。囚われの姫みたいに捕まっているぞ。ひでぇ扱いだ」 岡田 「あ、その話ちと興味ある」 中井出「おや岡田くん」 ザヴァーリと新たに寄ってきたのは岡田くん。 広い風呂場が段々とぎっしりになる様を眺めながら、俺の隣に岡田が座る。 岡田 「や、ヘンなヤツをヒロラインで見つけてさ。     あれって10年後だろ?俺が降り立った場所にさ、     10年前の村人装備をして記憶喪失になっていたっていう男が居てさ。     てっきり提督かなー、とか思ったら、髪が白くて目が赤くてさ」 中井出「あの……それってただの村人なんじゃないでしょうか」 岡田 「いや違うんだって。10年前の村人スタイルのくせに、機械武器を持ってんだよ。     機械武器は今のヒロラインの技術だった筈だろ?     なのにさ、武器は現在で防具……服は10年前ってヘンだろ?」 中井出「馬鹿モン!人のファッションをヘンと言うとは何事!     そいつが好きで10年前の装備をしていたらどうする!」 彰利 「ちなみにてめぇはまだムラビトンスーツなの?」 中井出「うむ。観光に来た村娘に“やだー!遅れてるー!キモーイ!”とか言われた。     腹が立ったので着たいものを着てなにが悪いと心の中で説教してきました。     や、目ェ開けられんけど誰かがそこに居るのは解るのよね。     声も出せないし、聞くだけしか出来んのだが」 彰利 「キミってほんと、魔王なのに低く見られまくっとんのねぇ……」 中井出「あの時代で俺を見て魔王だ〜って言うヤツ居ないし」 彰利 「……そりゃそうか」 ムフー……と息を吐きながら、肩まで浸かる。 もちろんタオルは頭の上さ。 テブラデスキーさんの如く何も持たずに来ようとも、タオルは売ってたので購入済み。 ……安部さんの刺繍があるのがどうにもなんとかしてほしいのだけれど。 彰利 「FUUUM……さて。ではいきませうか」 悠介 「行くって……何処に」 彰利 「そりゃお前ブッシャッシャッシャッシャ、風呂っつったら覗きしかねーべよ」 悠介 「腐ってるな」 彰利 「即答!?チッ……これだから優等生は。     アタイはこれでも風呂屋に来たら必ず覗きをするという、     覗き皆勤賞の称号を得られるほどに覗いておるのよ?     学生時代ももちろん覗き済みさ!」 中井出「若かったな……あの頃は……」 彰利 「ちなみに。     中井出は当時、女体スナイパーとして名を馳せた究極の覗き男だったんだぞ」 総員 『や、知ってるし』 視界が滲んでる……ヘンだなぁ、湯気にやられたかなぁ。 彰利 「学校にエロ本は持ってくるわエロビデオは持ってくるわ、     水泳の時間は水に濡れた女子の体を嘗め回すように見てたし(堂々と)、     体育の時間は女子のブルマに至福の笑みを浮かべてたし、     身体測定の時に覗こうとしてフルボコられて厳重注意されてたし」 岡田 「あ、その身体測定の覚えてる。     確か藍田が木村に密告した所為で捕まったやつだよな」 悠介 「で、鬼山にボコボコにされたんだったよな」 彰利 「そうそう。あと体育と水泳の時間はベランダから女子の着替え覗いてたし」 悠介 「で、鬼山に見つかってボコボコにされたんだったよな」 岡田 「鬼山に見つかったっつーか、丘野が殊戸瀬守るために密告したんだけどな」 彰利 「ああそうそう。あと雨の日に女子の傘隠して、     濡れて肌にしっとり張り付いた制服とボディが悩ましい!とか叫んでたな」 悠介 「で、鬼山にそれ聞かれてボコボコにされたんだったよな」 岡田 「けど階段上ってる女子のパンツ見る、とかはしなかったんだよな」 彰利 「下着には興味ないんだとさ」 悠介 「なんていうか……深いな」 彰利 「鬼山をエロ本で買収しようとしてボコられてたこともあったし」 岡田 「あれ?エロビデオじゃなかったっけ」 悠介 「俺が知ってるのは生写真だが……」 総員 『……………』 彰利 「キミさ、若気のいたりとか以前に少しは懲りません?」 中井出「うるさいよもう!」 当時は本当にやんちゃだったなぁ……しみじみとそう思うよ。 彰利 「麻衣香ネーサンってこいつの何処がよかったんだろ」 中井出「面と向かって失礼だなこの野郎」 悠介 「幼馴染だったから、とかじゃないか?」 彰利 「こんなエロスが幼馴染だったら、俺が女だったら縁切りたくなるけど」 中井出「うわひっでぇ!!い、言い方ってものがあると思うんだ僕!」 彰利 「このエロスが!」 中井出「ただ直球になっただけだよそれ!そっちの方が傷つくよ!!」 岡田 「まあまあ。綾瀬のことだから………………………………どこがよかったんだ?」 悠介 「賑やかにしてくれるところとかか?」 彰利 「エロトークで」 岡田 「それだ!」 中井出「それだじゃないよ!!     ちょ……やめてよなんでもかんでもエロスに関連づけるの!僕は」 ヤクザ「うじゃぁらじゃかあしんじゃだぁっとれウラァ!!」 中井出「ヒィイごめんなさい!!」 叫んでたら強面のヤクゥザさんに怒られてしまった……。 うう、僕が悪いんじゃないのに……。 彰利 「サウザンドドラゴンをブチコロがす男がヤクゥザに頭上がらんって……」 悠介 「さすが提督だ。根は臆病だな」 岡田 「ザコが」 中井出「う、うるさいやい!いいんだもん!僕は」 ヤクザ「じゃかあしゃいうとるんじゃコラァ!!」 中井出「ひぃいっ!!ごごごごめんなさい許してください!!」 悠介 「提督よぉ……」 物凄い呆れた顔をされてしまった。 うう、仕方ないじゃんかよぅ。 覚悟決めない俺なんてこんなもんなんだから……。 彰利 「そげなわけで中井出、いやさ提督」 中井出「な、なに?キミがボクを提督と呼ぶなんて珍しい」 彰利 「オウヨ。……ステキな覗き場所、発見して?」 中井出「tell:篠瀬夜華、と……」 彰利 「ギャア待って!貴様なにやっとるかァア!!     仕事とプライベートは別さというステキな言葉を知らんのかね!     妻が居ない時こそハメを外す!これ、人間の知恵!」 悠介 「お前さ、家系に戻ってからエロ度が増したんじゃないか?」 彰利 「任せろ」 胸を張られてしまった。 中井出「とにかく。俺はもうエロスに走るのはやめたのだ。     やるなら一人でやるのだ彰利一等兵」 彰利 「しかしサー!雄ならば女体に興味が沸くものではありませんか!?」 中井出「人ならば雄ではなく男であれ漢であれ!     性別を理由に覗きに逃げるのでは男として下の下!」 彰利 「学生時代に既に前科持ちまくりのサーに言われたくねーでありますサー!!」 中井出「だから改心したんだってばエロスやめたんだってば!!     ええいもうこの話は終わり!覗きたいなら親友でも誘ってゆくがよいわ!」 彰利 「悠介」 悠介 「断る」 即答だった。 そうと決まるや、風呂から出ようとしてた俺にぐりんっと向き直る彰利。 いやもう……勘弁してほしいんだけど、そう簡単に逃がしてはくれそうになかった。 彰利 「それみたことか!やはり貴様しかおらぬ!!」 中井出「てー!うるせぇ!そんなに見たけりゃ篠瀬さんに頼めばいいだろ!?」 彰利 「エエ!?夜華さんに女湯を覗く手引きをしろと言えと!?」 岡田 「すげぇ!想像だにしなかった選択肢だ!!」 悠介 「な、なるほど……!女湯にスパイが居れば行動も移しやすいという方法か……!」 彰利 「す……《ゴクリ……》すげぇぜ中井出……!     さすがゴッド・エロスの異名を持つ男……!!」 中井出「持ってないよそんなの!そもそも違うよ!     僕が言いたかったのは女体が見たいなら妻のものを見ればいいだろってことで!」 彰利 「アホかてめぇ!ンなこと言ったら八つ裂きにされて死ぬだろうが!!」 中井出「そこは言葉巧みに運べカスが!     褒めちぎったあとに何気なく“今晩あたりどうだい……”とか言って、     誘ってみりゃいいじゃねぇか!」 彰利 「エエ!?夜華さんに愛の営みをやらないかと誘えと!?」 岡田 「すげぇ!確かにそれなら、成功すれば裸はとりあえず見れる!!」 悠介 「な、なるほど……!覗くなんてリスクを冒すまでもなく、     妻の愛情を利用して裸を見るという方法か……!」 彰利 「す……《ゴクリ……》すげぇぜ中井出……!     さすがゴッド・エロスの異名を持つ男……!!」 中井出「だから違ェエエエって言ってンだろォオオオ!!?     なんでそんな自分の都合のいい方向に勘違いすんのォオオオ!!     違うからァア!!もう全然、これっぽっちも言葉通じてねぇよそれェエエ!!」 ヤクザ「テメェエエ!!うるせぇってのが聞こえねぇのかぁああっ!!」 中井出「ヒャーーーーッ!!?」  ドカバキゴキベキガンゴンガン!! 中井出「しぎゃあああーーーーーーーーっ!!!!」 ───……。 ……。 その後わたしはタトゥー眩しきヤクザモンにボコボコにされた。 中井出「ちくしょ〜〜〜……」 彰利 「うお……顔面ボッコボコだな」 中井出「誰の所為だよもう……」 湯船から上がった今、再び体を洗う僕ら。 鏡に映る僕のフェイスが今ヴァイオレンス。 でもそれもマナのお陰でショキィーンと回復。素晴らしい。 清水 「あ、提督ー、肉体石鹸貸してくれー」 中井出「おー」 彰利 「ボディーソープって言わないところが流石っつーかなんつーか」 中井出「ちなみにハンドソープは手石鹸だ」 彰利 「シャンプーってなんで言うんだろ」 中井出「……洗髪剤?」 彰利 「や、ほら、ヘアシャンプーとか言うっしょ?     それってヘア以外のシャンプーがあるってことじゃネーズラ?」 む、言われて見て気づく事実。 そういやシャンプーって……日本語でなんていうんだ? ところでソープって石鹸でよかったんだっけ? 飯田 「洗い流すこと、をシャンプーって言うんじゃなかったっけか?自信ないけど」 中井出「おお飯田二等」 彰利 「お、それ近いかも。ヘアシャンプーは“髪を洗い流す”って意味か」 中井出「なるほどな……。と、おい彰利」 彰利 「ヌ?なにか───OK」 顎でとある方向を促してやると、ニコリと微笑むクラスメイツ。 僕らはそっと席(?)を立つと、そろりそろりと歩を進め始めた。 目指すは……髪を洗うヤクゥザのもと!! ……まあすぐ近くなんだけどね。 中井出(キャッププシシシシ……!!なにも知らんと鼻歌歌って髪洗ってるよ……!) 彰利 (そやね。ほいで?こやつの傍でなにをすると───) 中井出(《ゴゾォ……!》コレモンよ) 彰利 (な、なにぃーーーーっ!!?そ、それはぁあーーーーーっ!!!) 中井出(これを使えばどんなヤツとてイチコロよ……!     人類のリーサルウェポン、その名も───) 彰利 (ハ、ハーバルエッセンスだぁあーーーーーーっ!!!) その通りさ。 これを、わっせわっせと髪を洗ってるヤクゥザの髪にチューーーと。 ヤクゥザ「あん?なんか冷て───ハッ!?あ……あぁああん!髪の芯まで潤っちゃう!      な、なんだこの滑らかな指通りはっ…………!!イッ……!      イエ〜ス……イエ〜ス……イエェェ〜〜〜ス!!!」 するとハーバルヴォイスを口に出す強面ゴッツィーヤクゥザブフゥッ!! 中井出   「ぶわぁあーーーーーーっはっはっはっはっはっはっは!!」 彰利    「ほぎゃあぁああぉほほほほほぼはぁーーーっほほほほほ!!!        イェースイエースイエスってぶわははははははは!!!」 中井出   「ヤクゥザがイエースってイカツイ顔したヤクザがイエぼははははは!!!」 ヤクゥザ  「あんじゃあおどれらなんぞわしに用があるんかコラァアア!!!」 中井出&彰利『キャーーーーッ!!?』 ハーバル万歳。 俺と彰利は揃いも揃って怒り心頭のヤクゥザにボコボコにされた。 ───……。 ……。 中井出「う〜〜トイレトイレ」 今トイレを求めて全力疾走している僕は風呂屋に来ているごく一般的な男の子。 強いて違うところをあげるとすれば、 武器に興味があるってことカナ──名前は中井出博光。 そんなわけで風呂屋の奥にあるトイレに行こうとしていたのだ。 中井出「?」 ふと見ると番台に一人の男が座っていた。 中井出(ウホッ!いい男……) そう思っていると突然その男は僕の見ている目の前で、 ツナギのホックを外し始めたのだ……! 阿部さん「やらないか」 ……。 ───……ガヴァァーーーーッ!!! 中井出 「ヤな夢見た!」 阿部さん「目覚めたかい」 中井出 「キャアアアアアアーーーーーーッ!!!」 目覚めた先に阿部さんの顔! 絶叫するなというのが無理ってもんだ! 中井出 「あ、あれ?俺どうして……」 阿部さん「フフ、風呂場で足を滑らせて頭を打ったのさ。      お前さんはお友達にここまで運ばれたってことさ」 中井出 「………」 自分の体を確認してみると、何故かモンゴルマンの肉襦袢を装着している俺が居た。 傍らにはしっかりとモンゴルマスク。 ……これでどうしろと? 阿部さん「よかったのかいホイホイ運ばれてきて。俺はノンケでも───」 中井出 「結構ですほっといてください!!」 阿部さん「やらないか」 中井出 「やりません!!      いくらいい男だからってウホッとか言ってついていくと思うなぁあ!!」 阿部さん「嬉しいこと言ってくれるじゃないの。      それじゃあとことん喜ばせてあげようかな」 中井出 「人の話きいてよ!ちょっ……やめて!どこ触ってるのイヤァアアアッ!!!      ひいい守って肉襦袢!肉襦袢!お願いだぁあーーーーーっ!!!      ってやめろって言ってんだろうがこのホモがぁああーーーーっ!!!」  ばごしゃどごぉおおおんっ!!!! 阿部さん「ゲヴォルヴァーーーーーーッ!!!」 しつこく迫ってきた阿部さんの顔面を殴りつけ、壁までスッ飛ばした。 中井出「うぞぞぞ……!!おおお体中にサブイボが……!!肉襦袢だけど。     男色の気持ちが解らん!気持ち悪いだけだろうが……!!」 でも真性のかたがたが居るのなら彼らの気持ちまでは否定しません。 俺が嫌なんであって、真性さんは普通に好きなのかもしれないし。 どうあっても知りたいとは思わないけど。 中井出 「ていうかみんな何処!?まだ風呂!?」 阿部さん「友達さんたちならとっくに帰ったよ」 中井出 「エエッ!?───いやもうどこからツッコんでいいやら!」 阿部さん「男は度胸。なんだってやってみるものさ」 中井出 「その突っ込むじゃないよ!!      やめてよケツ向けないでよ!肩越しに微笑むな気持ち悪い!      そもそもどんな耐久力してるんだよ!うっとりした顔するな!      いやぁあああ!!僕もう帰るーーーーーーーっ!!!」 その日、僕は男の気持ち悪さというのを感じました。 この風呂屋には……もう二度と来るまい。 ───……。 ……。 モンゴルマン「お前らさ……ほんと鬼だよね……」 彰利    「え?───うぉあモンゴルマンだ!!」 清水    「なにぃ!?うわマジだモンゴルだ!」 総員    『この家に何用だこのクソモンゴル!!』 彰利    「けったいな格好しよってからに!失せろ!!」 モンゴルマン「これお前がつけたんだろうが!!」 彰利    「俺じゃなくて悠介だ!」 モンゴルマン「どちらにしろそう変わらねぇよ!!」 蒼空院邸に戻ってきた僕は、本当に先に戻ってたみんなと合流。 その薄情っぷりと味わった恐怖に涙していた。 モンゴルマン「……で、なにやってるの?」 彰利    「モンゴルマンには教えてやりません」 ものすげぇピンポイントな差別だった。 モンゴルマン「藍田くん」 藍田    「モンゴルマンには教えてやりません」 モンゴルマン「………」 みんなモンゴルマンに恨みでもあるんだろうか……。 なんか自分がこうなってみたからだけど、普通にそう思ってしまった。 もちろん恨みなぞないんだろうが。 ……さて、見解だけで言うなら、どうやら花火をしているようだった。 既に風呂から上がったらしい女性陣も含め、 色とりどりの花火を綺麗に咲かせて笑っていた。 様々な色の光が飛び交う鮮やかな光景。 そして、その中で一人ポージングを取る俺モンゴルマン。 いや……やることなくてさ。 岡田 「連続花火ってのあったからやるぞー!」 田辺 「おー!やれやれー!」 岡田 「よっしゃ!じゃ、これをこうして───うりゃ!」  シュルルル……パンッ!パンッ!パンッ!パンッ! モンゴルマン「ドンコドンコテンッテンッ……!《ムキッ!ムキキッ!》」 花火の炸裂音と、弾ける光に合わせてポージングをとる。 これぞターちゃん流ジャングルボディ・ナイスポーズ。 ナギー『麻衣香よ、この男が先ほどから妙な動きをするのじゃがの』 麻衣香「え?……うわ」 ナギーに指差されて、きっぱり妙な動きと言われてもめげません。 周りで花火の光が弾けるたびにナイスポーズをとってゆく。 モンゴルマン「ジャングルボディ!ナイスポ〜〜〜ズ!        ご存知、ジャングルの王者が画面狭しと大暴れ!        いっつもっ、そ〜ば〜に〜居ぃる〜ひ〜〜と〜〜のぉ〜〜♪        なぁに〜もっかぁもがぁ〜わっか〜らなぁ〜〜い♪」 ナギー   『う、歌ったのじゃ!麻衣香麻衣香!あれはなんという歌なのじゃ!?』 麻衣香   「ジャングルの王者ターちゃんっていうアニメのオープニングテーマ」 ナギー   『ふむ……?じゃんぐる……とな?王者とはまた大きく出たの。        そやつは〜……なんじゃ?強いのかの?』 麻衣香   「うん強いよ〜?肉襦袢とかつけてないし」 モンゴルマン「………」 ナギー   『おおっ!?むきむきの男が歌をやめて、        悲しそうにこちらを見ておるのじゃ!』 麻衣香   「しっ!見ちゃいけません!」 ナギー   『面白そうだから断るのじゃ!』 麻衣香   「ナギちゃん!」 モンゴルマン「フォ〜〜〜ッ!!《バリィッ!ベリリリリ!!!》」 麻衣香   「ヒアーーーーーッ!!?」 ナギー   『きゃわーーーっ!?ききききき筋肉が破けたのじゃーーーっ!!』 言われたい放題だったがもはや我慢ならん! 俺は身に纏った肉襦袢をバリベリと破き去ると、 モンゴルマスクはつけたままでオガーと襲い掛かった!! あ、もちろん下半身の肉襦袢はつけたままさ。 ……何故叫び方がデスウォッチプランティングをくらったロビン風だったのかは、 正直なところ俺にも解りません。 モンゴルマン「フフフフフ……!!《ゴゴゴゴゴゴ……!!》」 ナギー   『お、おぬし……なにものじゃ!?』 モンゴルマン「俺、参上《どーーーん!》」 ナギー   『だから何者じゃと訊ねておるであろ!』 モンゴルマン「知りたければ力ずくでくるがいい!        我が名はモンゴルマン!逃げも隠れもせん!」 総員    『名乗ってるーーーーーっ!!』 飯田    「だが挑まれた喧嘩は受けねば面白くない!        くらえトンチキ!ロケット花火!」  チリリリ……トシュシュシュシュシュシュシュン!!!  ヒュ〜〜〜〜ン……パパパパパパパァアアアン!!! 飯田      「ゲゲェ見当違いの方向に!          ア、アアーーーッ!!整えられた草花が燃えてゆく!」 キングベヒーモス『ロガァアアーーーーッ!!!』 飯田      「ヒアアーーーーーーッ!!?《ズシーーム!ペキコキ……!》」 庭を燃やしたことで怒ったキングベヒーモスに、飯田くんがゴシャーンと潰された。 その間僅か8秒。 彰利 「OH、そういやもうベヘモスとか普通に召喚できるんじゃっけ?     ともかくいかんぜよ飯田くん。この庭は櫻子さんのテリトリーなんだから。     ここで火事なんか起こしたらおめぇ……アレだぁ。     モンプチで餌付けされてるベヘモス族が黙っちゃいねぇぜ?」 岡田 「もう潰れてて返事できないだろ」 みさお「騒ぐのは自由意志だと思いますけど、     手間を増やさないでくださいよ……月生力」 彰利 「お、しからばアタイも懐かしの……ベホイミ♪」  パアアアア……! …………。 モンゴルマン「あのー、無視ですか?結局僕無視?ほ、ほらー、モンゴルマンだぞー?」 …………。 モンゴルマン「……みんな楽しそうだなぁ……」 意味も無く庭の隅で体育座りをして、賑やかな景色を眺めてみた。 か、勘違いするんじゃないわよ?べべべつに寂しくなんかないんだから。 中井出「《ガポリ……》ふう……」 モンゴルマスクを外して息を吸う。 ……と、ここでふと気づく。 俺、肉襦袢の下、なにも着てないや。 下の方の肉襦袢まで脱いだら俺のコルトパイソンが火を噴いてしまう。 かといって裸身にブリュンヒルデを纏わせるわけにもいかないし……よし、 櫻子さんに言って、服があったら借りよう。 中井出「……考えてみればずっと同じ服で騒いでたんだよな、俺達」 それ考えるとかなり不潔だったかもしれない。 そんなことを思いながら、俺は櫻子さんを探しに───行く途中、 ふと思いついて、晦の部屋の空界への扉を開いて、自分の家で着替えをしたのでした。 ……もちろん、鋼鉄アイアンリーガーを額縁に入れて豪華に飾るのも忘れない。 中井出「美しい……!」 なんという大作。 でも飾るのは鋼鉄のほう……つまり1P目だけだ。 だって額縁がないんだもの。 中井出「ふぅむ……寂しいな」 漫画が1ページだけあって、しかもそれだけ飾るというのはなんとも味気がない。 どうだろう、写真でも撮ってここに飾るのは。 せっかくだから未来の神界から飛ばされてきた写真も一緒に。 赤ロリちゃんと黒ロリちゃんの苦悩が目に浮かぶようだし。 よし決定! 中井出「レッツハバナーウ!!」 自分の部屋をゴゾォと漁り、キャメラを手にゴシャーと晦の部屋へと戻る! そして、換気のためか開けっ放しだった窓から早乙女乱馬のように飛び降りると、 清水 「おお提督だ!」 丘野 「提督殿が夜空から降ってきたでござる!」 ナギー『おおヒロミツなのじゃ!』 シード『父上、今まで何処に……』 中井出「…………待って」 靴を履いてないことを思い出して玄関まで戻った。 そして戻ってくると、華麗な着地の余韻は何処へやら。 みんなが何処か冷めた目で僕を迎えてくれました。 中井出「しょ、しょうがないじゃないか!     乱馬って玄関から出ることが極端に少ないんだから!」 彰利 「なにいきなり漫画の所為にしてんだてめーワ!!」 中井出「窓が開いてたら絶対飛ぶって乱馬なら!だから僕悪くないもん!」 悠介 「それより今まで何処に行ってたんだ?遅かったから心配したんだぞ?」 中井出「思いっきり花火楽しんでましたよね!?ねぇ!?     しかも人にモンゴルマスクと肉襦袢なんか着せて!     だから写真撮ろうぜ!!」 総員 『サーイェッサー!!』 前後が繋がらなくともノリがよければ全て良し! ナギー『シャーシン?なんなのじゃ?それは』 中井出「ぬ、ぬう……シャーシン……」 ナギー『し、知っておるのか雷電……!』 中井出「う、うむ……伝説とばかり思っていたがまさか存在するとは……」 悠介 「いや、提督が言い出したんだろ?」 中井出「うるさいよもう!」  ◆死夜亜申───しやあしん  中心に立った者から魂を食らい、生き続ける生物。  魂を抜かれた者は近日中にドラマティックに死ぬと云われている。  *神冥書房刊:『ロマンティックはネイルさん』より ナギー『ド、ドラマティックに死ぬのかの!?』 中井出「うむ!ドラマティックにだ!     恋人を庇って死ぬとか何年越しの約束守って死ぬとかなんかそれっぽく!     だからさあ真ん中だナギー!」 ナギー『《ググイ》きあーーーっ!!ややややめるのじゃ嫌なのじゃーーーっ!!』 彰利 「騒ぐ前にまず並べコノヤロー!」 ナギー『ならばおぬしが真ん中じゃ!ならば承諾もしようぞ!』 彰利 「なにを言っとるんだこのタコは……」 ナギー『誰がタコじゃーーーっ!!』 あーでもないこーでもないとナギーと彰利が騒いでるうちに、 集いし面々がスチャーと並んでゆく。 で……結局。 晦がせっかくだからと言って召喚した全ての召喚獣やら幻獣やらジャミルやら、 ともかくこれでもかってくらいの生命が夜の庭に集った。 その中心でギャースカ騒ぐのはやはりナギーと彰利。 ノート『さて……精霊とは写真に写るものなのか、試してくれようか』 悠介 「妙なところに好奇心働かせてないでなんとかしてくれ。既に俺じゃあ止められん」 中井出「そんなことはどうでもいいから晦よ、等身大ドナ様人形を創造してくれ」 悠介 「……マテ。な、なんだって?」 中井出「等身大ドナ様人形。一緒に写真撮るんだ」 悠介 「いや……あのなぁ。そんな夢見る少年の顔で言われても……」 中井出「早くしないと向こうが大変なことになるぞ?だから、さあ」 悠介 「向こう?」 サム、と促した場所へと晦が振り向く。 そこでは日常がヴァイオレンス、女性たちと一人の友人に囲まれて、 なんというかなにかを諦めたような顔で引っ張られているホギーが。 ノア 「さ、マスター。こちらへ」 サクラ「与一、こっちがいいです、よく写るです」 雪音 「ホギッちゃんホギッちゃん!一緒に写ろ一緒に!澄ちゃんもほら早くー!」 澄音 「僕は目立たないところがいいかな」 レイラ「わたしはいつでも澄音さんの傍に居ますよ」 ノア 「……サクラ、手を離しなさい。それからそこの触覚女もです」 サクラ「いやです」 雪音 「ノアちゃんだって触覚あるじゃないのさ。     ホギッちゃんはわたしの隣で決定なんだからノアちゃんこそ離すべきだよー!」 サクラ「違うです、サクラの隣です」 ノア 「《ジャコジャコジャコォンッ!!》……口で言って解らないのでしたら、     体に叩き込んでじっくり教えてさしあげますが」 サクラ「みうっ!アークを使うのは卑怯ですノア!」 雪音 「あっははははー!甘いねノアちゃん!わたしは暴力には屈しないのだー!     だぁああからっ……ホギッちゃんは……!わたしの隣にぃいい……!!」 ノア 「お断りですっ……!マスターからもっ……なにか仰ってくださいぃい……!!」 遥一郎「《ミキミキミキミキ……!》そうだな……とりあえず……助けてくれぇええ……」 あ……泣いてる……。 左右と言わず、後方も合わせた三方向から引っ張られた男が今まさに涙を流してる。 これはどういった大岡越前だろうか。 閏璃 「ヘイテリー!」 鷹志 「OKキン肉マン!」  ガシッ!ガキィイインッ!! 閏璃&鷹志 『トー!テム!ポール!』 柿崎    「キン肉マンとテリーマン関係ないだろそれ」 閏璃    「お前いっつもツッコミばっかで疲れない?」 柿崎    「だったらふざけるのをやめてくれ」 来流美   「凍弥からふざけを取ったらなにが残るのよ」 閏璃    「深海鮫生肝油が残ります」 御手洗   「凍弥……それ既に人間やめてるから」 閏璃    「こんな俺でも愛してくれますか?」 由未絵   「う、うん!もちろんだよ!わわわたし凍弥くんのお嫁さんだもん!」 真由美   「うーん……そこは妻って言うべきところじゃないかな……」 フォルネリア『魂を抜かれるというのは真実なのですか?稔さま』 柿崎    「デマカセだ」 あっちでは組み体操やって遊んでるし。 みんなまとまりがあるんだかないんだか。 ……ないんだろうなぁ。 とくにあっちは。 若葉 「さささお兄様!前に出ましょう前に!」 木葉 「姉さん、目立ちたがり」 ルナ 「ふかーーーっ!!     ゆーすけに触っていいのはわたしだけなんだから失せろ双子ー!」 若葉 「失せるのはあなたの方です空き缶浮遊娘」 木葉 「巨乳はみんな死ねばいい……」 ルナ 「しのっちー、モクバが死ねって」 夜華 「なっ……なにを言う!     いくら悠介殿の妹君であろうと言っていいことと悪いことがある!」 木葉 「……モクバ?」 セレス「読み方の違いですよ。木の葉と書いてモクバです」 春菜 「どこかのコーポレーションで役立たずの弟くんをやってそうな名前だね……」 水穂 「ゼノさん、隣いいですか?といいますか、腕とか組んでもいいです、かね……」 ゼノ 「む、むぅ……」 春菜 「あ、由未絵ちゃーん!こっち来て一緒に撮ろうよー!」 閏璃 「だが断る」 由未絵「と、凍弥くんっ!……う、うん解ったー!ほら、凍弥くんっ」 閏璃 「俺、グイグイと引っ張ってくれるような女性が憧れだったんだ」 鷹志 「いや、意味が違うからな、それ」 来流美「そっちの凍弥もどう?どうせ纏まってないんでしょ?」 凍弥 「それについては志摩兄弟と佐古田に言ってくれ」 浩介 「うむ。実はどうやれば目立つかを考えていたのだ」 浩之 「どうだろう、     天麩羅うどんととんこつラーメンを片手ずつに持って写真をとるのは」 佐古田「ンなめんどくせーことしてらんねーッス」 椛  「どうせならおとうさんの隣に行きましょう」 聖  「ん、そうしよ?」 豆村 「じゃあ俺達もそっちでいいかな……柾樹ー、刹那ー、それでいいかー?」 刹那 「OKだー」 柾樹 「前方だったらやっぱりしゃがんだりするのか?」 悠季美「苦せずしっかり写りたいなら、     欠席扱いにすれば写真の左上あたりに顔写真だけ合成してもらえますよきっと」 柾樹 「それはちょっと……」 深冬 「わ、わたししゃがんでます」 紗弥香「ダメ。座ったら負けな気がするから座ったらだめだよ深冬ちゃん」 俊也 「だったら肩車は勝ち組か?」 閏璃 「トーテム───」 来流美「それはもういいわ!」 夏純 「!、!」 佐知子「俊也、肩車してくれだってさ」 俊也 「勘弁してくれ」 藍田 「いいからさっさと撮ろうぜ。提督〜、これってオート機能ないのか〜?」 中井出「古いやつだからな」 丘野 「そんな時こそ睦月のキャメラでござる」 殊戸瀬「……タイマー機能のは持ってきてない」 丘野 「失礼したでござる」 ……などなど、段々と周りを巻き込んでは騒ぎを大きくしていっていた。 ゼット 「しかし、地界人は何故写真を撮るとなると妙に浮き足立つんだ?」 みさお 「楽しい思い出を残せるのが嬉しいからじゃないかな」 ライン 「思い出か。思えば王と遭遇してからここまで、全てが滅茶苦茶だな」 イセリア「わたしもそう思う。まさかあなたとこうして並ぶ時がくるなんてね」 ライン 「フン……小娘、いつぞやはよくも呪いなど……───ああいや、それはいい。      過ぎたことはいちいち振り返るまい。だがなにより納得いかんのは───」 イセリア「……あれ、誰?って感じよね」 中井出 「?……ああ」 動かした視線を追ってみたら、そこにゼットが居た。 そうだよなぁ……一番変わったのっていったら間違い無くゼットだ。 誰だあいつって思いたくもなる。 悠介 「ああ提督、写真撮るならこれ使ってくれ。創造したカメラだ」 中井出「なにぃ!?貴様、よくもこんな複雑なものの創造を……!」 悠介 「スイッチを押すと目の前の景色を鮮明に残せる、     っていうイメージを具現しただけだ。複雑じゃないぞ」 中井出「そ、そうですか」 ものは考えようってわけである。 中井出「では───コホン。ファイクミー!」 総員 『《ザザァッ!》イェッサァッ!!』 中井出「これより殺重威廻(さつえいかい)を始めるものとする!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「総員、己が持つスーパーフェイスで輝かしき一枚を残すように!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「笑顔になれとは言わん!怨念を込めたような顔でも構わん!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「己がこの表情こそ我の最高フェイスだと思った顔で挑め!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「覚悟はできたか!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「いつでも荊棘を踏んでるか!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「誰が真ん中になるかは決まったか!」 総員 『サーイェッサー!!』 ナギー『……む?な、なんじゃ?何故皆でわしを見る!?』 中井出「バッカモンナギー!死後は慎め!」 ナギー『死んでおったら慎むもなにもないのじゃ!』 中井出「うむまったくだ!では総員、思い思いに整列し───」 ノート『ああ、少し待て中井出博光』 ……占めの言葉に入ろうってところでノートン先生に邪魔された。 中井出「えぇっ!?いやちょ……せっかく発破かけたのに……」 ノート『他に写る者が居る。全員でというのなら、放っておくわけにもいくまい』 中井出「…………誰?」 嫌味っぽくではなく、普通に首を傾げた。 他に写る者?精霊たちは全員そろってるし……櫻子さんたちも晦が連れてきてるし。 そういやいつの間にかベヘモスたち召喚獣はミニサイズになってるな。 等身大ドナ様人形もしっかりあるし。 ……と、そこまで考えた時に蒼空院邸の中から現れる数人。 それは全員が全員、どっかで見た顔だった。 レイル「あー首痛ぇ……絶対ベッドかなんか用意するべきだと思うぞ、あれ」 アル 「妙な格好をしてるからだろ。もっと姿勢よく寝ればいい」 リヴァ「お前は……。どうしてそう愚痴ばかりこぼすんだ。     不満があるならいろいろ調整してやってもいいぞ。わたしは親切だからな」 レイル「ひぃっ!?かかか勘弁!それは勘弁!」 ベリー「わはー、賑やかよねーほんと。     今じゃ静かになっちゃった空界全土よりも、今まさにここが賑やかよ」 リアナ「ほら姉さん、腰押さえてないでシャンと立って」 リオナ「し、仕方ない、だろう……。     妙な体勢のまま、ずっと寝転がっていたことに……なるんだぞ……」 リアナ「いいですか姉さん、     王国付きの魔導術師という者がそんなことでは───あ、師匠!師匠ー!!」 悠介 「ぐあ……」 空界の面々と天界の面々だった。 ……あれ?それにしても何故に蒼空院邸から? ノート『来る戦の前に、自ら望む者だけを別の場所で鍛えていた。     丁度ヒロラインも段階を得たことだ、やつらも参加させる』 彰利 「そうなん?《ススス……》」 ナギー『これっ!トンガリッ!さりげなくわしを真ん中に配置するでないのじゃ!     うう、ヒロミツー!トンガリがいじめるのじゃー!』 中井出「キミさ、どんどん幼児化してない?」 彰利 「俺には解るね。きっと甘えたい年頃なのよ」 ホギャーと騒ぐナギーを後ろから抱きしめて、頭をやさしく撫でてやる。 すると突き刺さる視線。 振り向けば、シードが居た。 中井出「………《ちょいちょい》」 シード『……!』 仕方ないので手招きしたら、 おあずけを食らい、解放された犬のように飛びついてくる始末。 ああ、僕って愛されてる。 ノート『皆、汝らに感謝を抱く者たちだ。強制はしていないから心配はするな』 中井出「え、いや……照れるな、そんな風に言われると……」 ノート『少なくとも汝への感謝のために来ている者は居ないだろうが』 中井出「うん……解ってたけどね……んお?」 ふと聴覚を掠める不可思議な音。 ヒタヒタというそれは、次第に近づいてきて─── ジークン「ヘロウ」 見下ろせば、やあ、と手を上げるハリガネが居た。 その後ろにも別のハリガネがぞろぞろと。 棒人間とはよく喩えたもんだが、棒というよりハリガネだろこいつら。 悠介 「おーい国王ー……こんなところで油田開拓してていいのかー……?」 リヴァ「油を売りに来たわけでも掘りにきたわけでもないぞ、わたしは。     いきなりなにを言い出すんだ。     大体国のことは頭の固い側近に任せてある。     民も民だ、あーでもないこーでもないと勝手な意見を出しては、     結局はわたしに“さあ決めろ”と。     それで納得いかないからと文句をあげられては、わたしでなくても疲れもする。     メルヘンの所為で人口も随分減ったことだし、どうせ好き勝手にやるだろう。     今更なにがどうなったところで、わたしが知るもんか」 悠介 「王なんてそれくらいが丁度いいのかもな……《ぐいっ!》うわぁっと!?」 リアナ「師匠!お久しぶりです!───さあ!早速手合わせを……!」 悠介 「め、滅茶苦茶嬉しそうだな……元気そうでなによりだ、リアナ……」 リオナ「はぁ……地界に行くと決まった時の喜びようといったらなかったぞ、晦……。     兵士たちと剣技稽古をしては、     足りない足りないと呟いて……そこにきて地界への誘いだ」 悠介 「とりあえず王宮至高魔導術師なら、     リアナにべったりじゃなくて王の傍に居ような?」 リオナ「な、何故知っている!?お前、どこからその情報を!」 悠介 「自分で言ってたようなものだろ……足りない足りないって“呟いて”って。     近くに居なきゃ聞こえるわけがない」 リオナ「うう……」 みんな苦労してんだ……でもシスコンっぷりは相変わらずのようだ、リオナは。 と、早速囲まれる晦を横目に、 俺は片腕ずつにナギーとシードを乗せてマッシヴォー!と奇妙なポージングをとっていた。 中井出「そういやさ、カップヌードルの宣伝かなんかでさ。     マッスルがヤカン持ってポージングするやつなかったっけ」 彰利 「CMのこと宣伝って言うの、久しぶりに聞いた気がする」 中井出「うん、敢えて言ってみたの」 で、どうだったかな、と続けてみると、彰利はあったあったと笑った。 彰利 「あれももう随分前になるねェ〜ィェ。     今じゃカップヌードルも小麦粉の値上がりの所為で滅茶苦茶高くなっちゃって」 中井出「そうなのか?」 彰利 「オウヨ。普通サイズのカップヌードルが268円まで上がってる」 中井出「高ッ!なんだそりゃ!100円近く上がってるじゃねぇか!」 彰利 「ちなみにボブサップン焼きそばは600円だ」 中井出「誰が買うんだそれ……」 彰利 「さあ……ともかく、今小麦粉の値段が大変なことになっとんのよ。     おまけに言えば、物価全体が高くなっとうぜ。     飲食店はかなり迷惑しとるぜよ。     その所為もあってか、ずっと変わらぬ味と値段とで鈴訊庵は人気店だったわけだが」 そういや潰れることになったのってつい最近だもんな。 ……潰れるというより、ガキャアどもに譲ることになったんだっけ? 中井出「ヘイ大将!」 閏璃 「おう提督!」 中井出「明日ソバ食いたから作ってくれ!」 閏璃 「物凄い直球勝負だなおい!だが了解だ!腕を振るおう全力で!」 来流美「ちょっとちょっと凍弥!?明日ってそんな急に!」 閏璃 「大丈夫だろ、蕎麦は打たなきゃないが、汁ならよく寝たいいのがある」 来流美「あんたってば……ノリがいい時だけ積極的なんだから……」 閏璃 「失礼な。俺は常時仕事に対して真面目だぞ、きっと、多分、恐らくは」 ようするに不真面目なんだな。 まあ適度にリラックスしてたほうが気持ちよく仕事できるしな。 中井出   「そいじゃあいろいろ揃ったことだし、        明日は気力充実のオフ日としようぜ!」 藍田    「おっ、賛成!夏子、デートしよう!」 夏子    「デッ……う、うん!しよう!」 ルナ    「───《ピクッ》」 ノア    「───《ピククッ》」 悠介&遥一郎『藍田ぁああーーーーーーっ!!!』 藍田    「え?なに?え?……お、俺なにかマズイこと言った?」 藍田がそう言うや、ルナ子さんが晦にガヴァーと抱きつき、 ノア子さんがホギーの腕に抱きついた! それを見るや、あからさまに反応する若葉ちゃんや触覚娘! 雪音 「ホギッちゃんホギッちゃんデートしよデート!     澄ちゃんとレイラねーさんと一緒にダボーデート!」 ノア 「すっこんでいやがりください触覚娘!マスターはわたしと!」 ルナ 「ね、ね、ゆーすけ、前にデートしよって言ったよね?ね?」 若葉 「ははははは離れなさいこの能天気死神!     お兄様はあなたなどとはデデデデートしません!」 ルナ 「なによぅ妹ー」 若葉 「妹と呼ばないでいただけますか!?     わたしはまだあなたを義理の姉と認めたわけではっ!!」 木葉 「姉さん、執念深い」 若葉 「お黙りなさい!」 ルナ 「娘も居る間なのにどうしてこう頑固かな。ねー、ゆーすけー」 にこー、と笑うルナ子さんを横目に、晦は赤くなってそっぽを向いた。 あれだけ積極的な夫人を前に、どうして彼はいつまでもウヴなんだろうか。 若葉 「フッ……子供が居るからだの結婚しているからだの。     そんなものは離婚すれば崩れ去るだけでしょう。     そ、その時こそわたしがお兄様を慰めてさしあげるのです!」 悠介 「縁起の悪いことを嬉しそうに言うなよ頼むから……!」 ルナ 「?……無理じゃない?もし離婚したとしても妹となんかくっつかないもの」 若葉 「なっ……!そそそそれはわたしに魅力がないとでもっ……!」 ルナ 「あははははははー」 若葉 「うきぃいいいいっ!!!?こ、ここここの空き缶死神ぃいいいいっ!!!!」 ルナ 「むっ!なんだー、やるかこのー!」 そして始まる取っ組み合いのバトル。 能力一切発揮せず、頬を引っ張ったりだのの……まあ、今となっては可愛い喧嘩だ。 中井出「では会場も盛り上がってきました。     そろそろ写真を撮りたいと思うのですが……」 総員 『イェッサァッ!!』 中井出「……誰がシャッター押そうか……」 総員 『ここはサーが!』 中井出「え?俺?───……ちょ、ちょっと待ってよ!     これタイマー式じゃないからそれじゃあ僕写らないじゃん!」 総員 『………』 中井出「あれ?ね、ねぇみんな?ど……どうして目ェ逸らすの?ねぇ!ねぇったら!」 ノート『手間取るな。既に皆、配置についている。あとは汝が押すだけだろう』 中井出「───あれぇ!?なんっ……あれぇっ!?     あ、れ……いつの間にみんな僕の対面に……あれぇ!?     いやちょっ……決まってたの!?これ策略!?何処!?諸葛亮は何処!?     つーか空界の精霊王に写真を取れと言われた今この時の俺こそがナーウ!     じゃなくておかしいでしょちょっと待って!なにか出来るでしょ!?     彰利が黒でポチっと押すとかさぁ!」 彰利 「僕、なんでも能力に頼るのってよくないと思うナ」 中井出「ナじゃないよ!なにこんな時ばっかり正論言ってるの卑怯だよ彰利!!」 彰利 「うるせー!いいからさっさと押せてめぇ!     さっきから思い思いのポーズで待ってるんだからさっさとしろ提督てめぇ!」 中井出「キレたいのはこっちだよこの野郎!!くそっ……覚えてろ僕のキミタチ……!     この無念はいつか必ず晴らしてやるんだからな……!」 彰利 「念が無いんならいいんでないの?」 中井出「そうだね」 解決した。 中井出「それじゃーいくよー?さんのーがー……富竹フラッシュ!!」  ゴシャーーーン!!! 総員 『ぐわぁああーーーーーーっ!!!!』 夜空の下、急に焚かれたジュースティングフラッシャーに皆様絶叫! 目を押さえて、女でも平気で殴る僕らのラピュタ王のように苦しんでいる。 彰利 「ぐ、ぐぉおあああ……!は、図ったなてめぇ……!!」 中井出「馬鹿め……!ククク馬鹿めが……!!     この博光がなんのネタも考えずにカメラを持つと思うてかグオッフォフォ……!     そして僕はそうやって苦しむ貴様らこそを写真に収める!     悔いるがいい!この博光を撮影係りに選んだことを!」 彰利 「俺写真撮影のことで悔いるがいいとか言うヤツ初めて見たよ!!」 悠介 「こんなところでまで常識破るんじゃないっ!盲目を治す霧が出ます!弾けろ!」 中井出「なにっ!?させるかぁあああっ!!《パゴォンッ!》ジェボラ!」 ノート『遊ぶな』 烈風脚で接近してまで、創造を開始した晦をなんとかしようとした僕は、 突き出されたノートン先生の掌底によって大地に沈んだ。 中井出「わがががが……!そ、それじゃああの……撮らせていただきます……」 お陰で顎が……。 精霊王の掌底、ダメージでかすぎるよ……。 彰利 「………?《ニコ……ニコ……》」 中井出「なにがおかしいんだてめぇ!     顎か!?口から血を出してカメラ持ってる俺がおかしいのかてめぇ!」 彰利 「ただの撮影用スマイルでしょうが!     無駄にツッコんでないでさっさと撮りんせ!」 中井出「うう、ちくしょう……じゃあ……富竹フラ《ビスゥ!》ギャイ!」 ノート『遊ぶな』 中井出「衝撃波飛ばすのやめようよ!この位置を甘んじて受けてる僕へのこれは侮辱だ!」 彰利 「甘んじて受けてるヤツがフラッシュしまくるわけねーべよ!」 中井出「馬鹿野郎!フラッシュ焚かなきゃみんなの顔が写らねぇじゃねぇか!」 彰利 「馬鹿とはなんだこの野郎!     さっきフラッシュに苦しむ俺達のこと撮ろうとしてただろうが!」 中井出「ハイ、チーズ♪」 彰利 「あっ!て、てめぇ!!」 ───…………みなさまが思い思いのポーズをすかさず取る。 中井出「……ちなみにウソだ」 総員 『さっさと撮れ提督てめぇ!!』 中井出「ワハハハハ!!悔いるがいいこの博光を撮影係に任命したことを!     この博光になにかを任せてタダで済むと思うなよグオッフォフォ……!!」 藍田 「任命っつーか押し付けられたんだろ?」 中井出「う、うるさいよもう!わ、わかったわよ仕方ないわね撮ってあげるわよ!     言っとくけどカメラいじりたかったからよ!?     今丁度そんな気分だからやってあげるだけなんだから!《ポッ》」 彰利 「だから気持ち悪いって言っとろーがこのカスが!」 中井出「ほっといてくれ!俺はもう悲しみでいっぱいいっぱいなんだよ!     んじゃー今度こそいくぞー!さんのーがー!?」 総員 『はいっ!!』  ゴシャアッ!! 強烈な音とともに視界が弾ける。 あとで聞いた話だけど、この晦的創造カメラはフラッシュを焚くまでもなく、 辺りを明るくして写す能力を持っているらしい。 だから、カメラから射出された写真の中が昼くらい明るかったのがヤケに新鮮だった。 ……うん、全員がいい顔してる。 そこに俺が居ないのはちと複雑な気分だったけど、どうしてか笑えた。 それからなんだかんだと騒いでるうちに、疲れを訴えた誰かが抜け、また誰かが抜け…… 次第に場は静かになって、みんな寝静まって……今日という日は終わった。 Next Menu back