───冒険の書253/あらすじとか───
【ケース659:───/序章】 人々が支配した世界。 フェルダールと呼ばれたその場所は、過去との融合を機に歴史を終える。 “存在意義”をあてがい、“レゾンデートル”と名づけられた時代、 帝王として任についたレイナートの婿養子、オロが支配する機械の世界。 モンスターや竜族や亜人が脅威だった歴史を10年前に置き去りにし、 人が手に機械を取り、鮮やかさと引き換えに手に入れた世界がソレだった。 機械ごときでモンスターがどうにかなるものかと、唱える者は学者だった。 だが、学者の理解を上回る技術が古には存在していた。 浮遊大陸ノヴァルシオ。 かつてアンヘルが製造されたそこで、人々は力を手に入れた。 ノヴァルシオ自体は既に滅び、人は居なかったことをこれ幸いとし、 人々は技術を一から学び、手に入れ、ついには頂点へと達した。 マイク「やれやれ……この人間さま天下のご時世に見回りなんて。なんの意味があるんだ」 ロク 「人間さま天下なら天敵は人間さまってこったろ?     ま、誰だろうが帝国に逆らおうなんて考えるヤツなんざ、居ないだろうが」 空は永遠の朱を約束され、二度とは来ない青の空を懐かしむ者も居た。 だがそれも今は過去。 10年という時は、人々に機械から齎される怠惰を与え、 労働する者も減り、機械が無ければもはやなにも出来ないところにまで達していた。 だが、それでも人の頂点は不動のものだった。 魔物除けの装飾品が開発されて以降は、高額のそれを購入、世界を股にかける者も増え、 その技術を以ってモンスターを捕らえては、見世物にしたり、 闘技場で戦わせ、私腹を肥やしている者も居た。 マイク「はい異常なしっと。しかしつまんないもんだな。     あのさ、俺がどんな思いで帝国兵に志願したか知ってる?」 ロク 「これで27回目だ、いい加減聞き飽きた」 機械技術が発展してくると、 己を鍛え、国のために役立とうとしていた者の心からも覇気が消え─── 今では日々をつまらないと唱える者ばかりが多くなった。 ……そう、今この世界には冒険者と呼べる者が少ない。 魔除けが買えない庶民は町の中で暮らすしかないし、 力の無い者が町から出れば、たちまち魔物の手にかかり、死んでしまうのだ。 そんな理由もあってか───この世界には、 もはや冒険者と呼べる者の数が少なくなっていた。 マイク「グラディエーターでもやってた方がよかったかな……。     ……10年前、最強の守護竜サウザンドドラゴンを倒したっていう魔王も、     今じゃ帝国の管理下。……張り合いがないっていうかさ。     力ってのは相手が居てこそ栄えるものなんじゃないのかな」 ロク 「冒険者にでもなるか?一日経たずに魔物のフンになってそうだが」 マイク「うるせぇよ……ったく。おらー、見回りだ見回り、そこどけちびっこ」 ナギー『………』 シード『………』 マイク「あん?どけってのがおわぁああああああああっ!!?」 世界は変わってゆく。 “変わらないものも終わらないものもない”というものが、世界の定義というのならば。 人の世の天下など、この世界でどれほど続くものだろう。 少年たちが望むファンタジーというものは、機械で埋め尽くされた世界などではない。 無駄な建物などない、空気が澄んだ、 ひたすらに蒼い空と、ひたすらに緑が広がる世界にこそ相応しい名。 ロク     「なななななんだこれは!なにがどうなって───!?」 マイク    「おいお前ら!なにをした!」 ナギー    『べつになにもしていないのじゃ。見れば解ろう?』 シード    『機械に頼らなければ怒鳴れもしない貧弱坊主がほざくな。         だが……そうだな。父上の意思を無駄にしないためにも言ってやろう』 ナギー&シード『イエス!キモスト!!』 故に、一部の貧しい人達は願った。 人が世界を支配するということは、それだけ金がかかる世界だということ。 そして人が支配するということは、弱者を強者がねじ伏せる世界でもあり─── 力のある者が、力なき者を見下し顎で使う世界でもあったのだ。 故に、一部の力無き人々は願った。 マイク&ロク『ままま魔王がなにやらどこぞの教祖さまのようになってるーーーーっ!!』 人の世を壊してほしいと。 また、あの青空を見せてくれと。 きっと人の世が終わったところで、貧しき人が幸せに暮らせるかなんて解らない。 今と同じか、それとももっとひどい生活が待っているかもしれない。 だが、願わずには居られなかったのだ。 ナギー『ヒロミツ……キモストのまま戻ったのじゃな……』 シード『さすが父上……ただでは封印状態に戻らない……』 人に支配される中で、魔物も竜族も凶暴になった。 力なき者を見つければ容赦なく襲い掛かり、これを殺す。 以前までならば見逃すことも知らない顔をすることもあった。 だが、魔物は誰であろうが襲い掛かり、竜族は空より強襲するようになったのだ。 機械技術が進むにつれ、よくなったのは帝国側や裕福な力のある者の暮らしだけ。 そんなものの崩壊を望むことは間違いではないと。 今も、眠り続けている見たこともない魔王へと、祈りを込める者たちが居た。 ナギー『……妖精の里から引っ張れないものかの』 シード『無理だ。ゲートを開くための七色の銀水晶は父上が持っているし、     妖精たちはもう自分たちの世界に戻ってしまった。……もう、開く術がない』 ナギー『そうじゃの……人間たちに愛想を尽かしたのじゃ、当然よの……』 シード『せめて……父上の封印が解ければ……』 時は流れる。 勇者などではなく魔王を望む世界で、それぞれの種族がそれぞれの思いを抱いて。 様々な種族が手を取り合い戦った時狂いの日も今は過去。 全てが全てを敵と思う中で、ただ魔王の存在だけが、願われていた。  さあ 始めよう   過去も現在も未来も巻き込みし    運命と常識と創造原理を破壊する     天と地の中心 大地の上で繰り広げられる物語の末を      天地上下 その狭間にありしモノをソレと喩え 呼ぶのならば       我々が刻みし歴史こそも その名の下に刻まれる        故に謳おう この物語の名を───“天地空間”と Next Menu back