───冒険の書270/ゴシャメシャウォーズ───
【ケース691:弦月彰利/アンチャーデッド-コロシアム殺し編む-】 ワァアアアアッ─── 解説 『さあ!今日もご来場の皆さん!おはようございます!     早速だが今日も命知らずな馬鹿野郎どもがやってきたぜ!     説明なんて聞いてもつまらないだろうから、早速一発目!行ってみようかぁ!     第一試合!グラディエーター/オルランドゥVS!モンスター/ザクロパス!!』  ンゴワァッシャァアアンッ!!! 解説 『始めぇええええいっ!!』 ───……。 ……。 がやがやがやや…… 彰利 「ウ、ウホォゥッ!き、緊張するなぁ、ドキドキするなぁ……ウ、ウッホォゥ!」 ここは選手控え室。 今日は連戦があるとのことで、戻って早々に連れてこられたこの場所で、 僕ら三人はコロシアム入場の時を待っていた。 あ、ちなみに専属のことは掛け持ちがOKってことで、 …………戻る途中で発見したセレっちを捕獲、アタイと藍田くんの専属になってもらった。 選手控え室だからここには居ないけどね。 藍田 「フフフ、俺は丘野と一緒に巨人と戦ったことあるからな。     闘技場への心構えなら《ガクガクガクガク……》ま、満点……だぜ?」 岡田 「足がめっちゃ震えてるぞ」 藍田 「だ、だってよぅ!今考えると俺と丘野だけであんな風に───あんな……     ───見ィィイ切ったァアアアッ!!《マキィーーーン!!》」 彰利 「フオッ!?な、なんぞね!そんなKOFのキム=カッファンみたいな声出して!     なに!?次にネリチャギでも出すの!?それともチルギ!?パンデ!?」 藍田 「あ、じゃあパンデで。───じゃねぇよ!!     ほら、アレだよアレ!記憶のこと!見切ったんだって俺!!」 彰利 「そうか。……しっかし緊張するよなぁこういうのって」 岡田 「だよな〜」 藍田 「聞けてめぇ!!“そうか”だけって……!     いくらなんでも聞く気なさすぎだろ!聞いてくれよ頼むから!!」 彰利 「馬鹿野郎!聞いたからそうかって言ったんでしょうがこの馬鹿!ド馬鹿!馬鹿!」 藍田 「ここぞとばかりにバカバカ言うんじゃねぇ!……い、いいか?     俺は見切ったんだ。記憶に違和感を感じた時。     それは……その場には魔王……提督が居たんだってことを」 彰利 「そうか。……しっかし緊張───」 藍田 「おぉおおおおい!!?また“そうか”!?そうかだけなの!?」 彰利 「うるせェなァアア!!ぶっちゃけ今は緊張でそれどころじゃねぇんだよォオ!!」 岡田 「もうこの緊張と戦うしか俺にはねぇんだよォオ!!」 藍田 「おめぇらただの恐怖に竦む臆病モンじゃあねぇかァアア!!     それならまだ話し合って緊張ほぐしたほうが効率いいだろオイィイイ!!」 彰利 「じゃあ今すぐテレフォン民話キッチョム話を台本無しで語ってみろコノヤロー」 藍田 「覚えてるわけねぇだろそんなの!!」 どれだけ強くなっても、こう……ねぇ? なにかの順番を待つのって緊張するもんでしょう。 だから藍田くんをからかって緊張をほぐしました。最強。 なんてやりとりをしていると、 第一試合のオルランドゥ伯が無言でスタスタと歩いてゆくのが見えた。 男   「ウホッ、やるねぇ……」 男2  「機械無しで一撃だってよ。さすがオルランドゥだ」 男3  「どっかの機械ヤローとは大違いだぜ……ケッ」 アルビノ「………」 えーと、先生、イジメが起こってます。 相手はどうやら風のアルビノンみたいです。 だが別にアタイは正義の使者でもなんでもねーので見捨てる! ……普通ならね。 彰利 「いやだわあのハゲたち……自分の弱さをあてつけみたいに」 岡田 「きっと自分の強さに自信がねーんだわ」 藍田 「機械があれば誰でも強いわけじゃないのに、やぁねぇ」 口には口で。 アルビノンを助ける義理なんざねー。 だがムカツクやつに飛ばす言葉はごまんと存在します。 聞こえちまっちゃあムナクソ悪いだろうがこのハゲどもめ……。 キッパリ言えないなら聞こえないように言えってんだハゲどもめ……。 男  「ン〜だとこらぁ!」 彰利 「キャア!喋ったワ!!」 男  「しゃべっ……!?喋っちゃ悪いかこの野郎!!」 彰利 「悪い!喋るな!ハゲが伝染る!!」 男  「《ブチブチブチブチ!!》ギィイイイイイーーーーーーーィイイイイイ!!!!     てめぇにてめぇにてめぇなんかにぃ!!ハゲの気持ちが解るもんかぁああっ!!」 彰利 「───月然力……」 男  「《スゥウウ……》あぁ!?てめぇ人の頭掴んでなに《ファサァッ……!》……え?     あ、あれ……?こ、この……愛しくも懐かしい感触は……」 彰利 「本当の自分を見つめてごらん。アナタはハゲなんかじゃあ……ないぜ?」 男  「《フサッ、サワサワ……》ア……アア……アァアーーーーーーーーッ!!!!」 男、絶叫。 そして髪の毛を愛おしそうに撫でながら……泣き始めた。 男  「そうだ……俺はハゲじゃない……好きでハゲたんじゃあ……ないんだ……」 彰利 「……さ、選手入場の合図だ。呼ばれてるのはキミだ。……いってこい」 男  「ありがとう……ありがとう……《ぐしぐしっ》───行ってくるぜ!!」 涙を拭い、ビシッとカッコイイ顔を見せた彼は、もう笑顔だった。 そして歩いてゆく。 戦いが待つ、その戦場へ───!! …………。 解説 『おぉっとドムノフ選手、替え玉を使って逃げ出した様子!     これは失格!失格です!!』 声  「ば、ばかやろっ!俺だ!俺がドムノフだ!」 解説 『うそつけてめぇ!ドムノフ選手はハゲがチャームポイントの選手だぞてめぇ!     てめぇみてぇなフサフサがドムノフ選手なわけねぇだろうが失せろてめぇ!!』 声  「し、信じてくれーーーーーっ!!」 ……。 彰利 「夢、破れたりか……」 岡田 「負債は相当な額だったそうですよ……」 藍田 「フッ、だがこれで生まれ変わる」 岡田 「生きていれば……ですが」 彰利 「……微妙に順番違わない?」 藍田 「知ってる。じゃあ気を取り直して。……これが今回の実験体か」 彰利 「ええ。なんでも元レイヴンだとか。……負債は相当な額だったそうですよ」 岡田 「夢、破れたりか……フ、だがこれで生まれ変わる」 藍田 「生きていれば……ですが」 彰利 「そういうことだ。───よし、始めよう」 ……。 彰利 「なにやりたかったんだっけ、アタイたち」 岡田 「さあ……」 まあいいさね。 ヤツが失格になったことで、バトルテーブルは早くも一個ズレた。 次は誰じゃったっけ? 解説 『では次ッ!第三試合!グラディエーター/オカダ=ショーゴVS!!     グラディエーター/ラバフ=レオパレス!!』 男2 「おぉ!俺じゃねぇか!」 岡田 「貴様がマンションだったのか……」 ラバフ「マンション!?」 ……ああ、レオパレスマンションね。 ともあれ、ギャーギャー騒ぐマンションとともに岡田くんが歩いてゆく。 アタイと藍田はそれを見送ると、ニヤニヤ笑ってる男3に目を移してしみじみ頷いた。 解説 『それでは第三試合!開始ィイイッ!!終了ォオオオオッ!!』 速ッ!! 一秒経たずに終わったよ!? 岡田 「いや〜終わった終わった」 彰利 「……なにやったん?」 岡田 「レイザーシルエット」 彰利 「ああ……」 超連撃早撃ちだ……そりゃ、手も足も出ないでしょうよ……。 解説 『続いて第四試合!グラディエーター/ユミハリ=アキトシVS!     グラディエーター/ドメス=ルドリゴス!』 男3 「ぐわぁっはっはっは!!今日の俺はついてるぜぇ!     おめぇみてぇな貧弱ヤロウが相手とはなぁ!     ん?どうだ?なんだったら手加減───」 解説 『ドメス選手!ドメス選手!?さっさと入場してください!     ユミハリ選手は既に来ていますよ!!』 ドメス「あぁん?なに言ってやがる、ここに───うおっ!?消えた!!」 藍田 「馬鹿め、残像だ」 岡田 「カスめ」 藍田 「クズめ」 岡田 「タコめ」 ドメス「う、うるせぇ!!おぉいここだ!今出るから待───」 解説 『ドメス選手が来ねーのでユミハリ選手の不戦勝です!!』  ハワァアーーーーーーッ!!! ドメス「ゲェエエエーーーーーーーッ!!!」 岡田 「……あ、ティックバイオレンスが崩れ落ちた」 藍田 「ドメスティックバイオレンスな」 解説 『おぉっとここで物言い!オーナーガメッシュ様が物言いです!』 ドメス「っ!そ、そうだ!ちょっと遅れただけで不戦敗なんて───」 解説 『急遽ここでモンスターVSユミハリ選手のカードが組まれましたぁ!     ドメス選手のことは心底どうでもいい様子!』 ドメス「ゲゲェエーーーーーーーーッ!!」 藍田 「……いっそ……哀れだな……」 岡田 「そうね……」 藍田 「ほんとそう……」 ───……。 ワシャアアアアアアアンッ!!! 解説 『ではァッ!特別試合!モンスター/グランドライセンVS!!     グラディエーター/ユミハリ=アキトシ!!始めぇえええいっ!!』 観客 『ウォオオオオーーーーウ!!!!』 どかーん!と、檻になっている門から飛び出てきたのは、 やたらゴツい竜みたいなアルマジロみたいな、とにかくデカくてカタそうな敵だった。 両足で立っていて、前足はフリー……人型チックな出で立ちで、目は四つ。 気性が荒いのか、鈍く低い唸り声をあげると真っ直ぐにアタイへと襲い掛かってきた! コマンド:どうする!? 1:真正面から受け止める! 2:月然力/地でモーロック 3:アンギアで切り刻む 4:竜の左手でブッ潰す 5:皇竜解放デュンケルヘイトセロ 結論:……5! っていきたいところだけど、失敗する可能性が高すぎるし…… もし成功してもここらへんが焦土と化すんでやめときます。 つーわけで3と4で。 彰利 「《ゴファァッシャァアンッ!!!》クッフッフッフッフ……』 破面を発現させ、体から黒を解放。 アンギアを無数に解放しつつ、それをサウザンドアームズとして放ってゆく。  ヒィンッ───ヒィン!ヒヒヒィン!ヒィンッ!!  ───ザガガガガガガガフィィンッ!!!! グランドライセン『グガッ!?』 うっふっふ……アンギアで檻を作って敵を包囲……! 動きを封じたところを、頭上から竜の左手でぇええっ!!! 彰利 『ブッ潰れよォオオオオオッ!!!』  キュヴォアドガァォンッ!!! ……グランドライセンは、粉微塵になって消えた。 彰利 『…………オラ解説』 解説 『え……アッ!だ、だだだ打倒ぉーーーーっ!!なんとあのグランドライセンを!     硬さで有名なグランドライセンを一撃で!!信じられませェエエん!!』 彰利 『(よし)ッ!!』 余裕だぜッ!Yah!! ふぅむ、これも日々の修行の成果。 精進せよアタイ……慢心は敵、慢心は敵。 解説 『さーあユミハリよ!このまま連戦いくかい!?いくなら拳を高く上げろ!     次の選手に譲ってやるならそのまま立ち去れさぁどっち!?』 彰利 『続行だァーーーーーーーッ!!!!』 観客 『Yah(ヤー)ーーーーーーーッ!!!!』 ブワァッ!と腕を上げると一気に沸く観客たち! おおノリがいい!ナルホロナルホロ! 自分の一言で大勢がノリノリになるのってすげぇ気持ちいい! 中井出はきっとこんな気分だったに違いねぇ! 声  「ちょーーーっと待ったァーーーーーッ!!!」 ───が!ここで乱入者登場! 振り向いてみれば……藍田くん。 解説 『なにィーーーーッ!?     ここでグラディエーター/アイダ=リョウが物言いだぁーーーっ!!』 藍田 「次は俺の番なんだから飛ばしてもらっちゃあ困る!     どうせやるなら二対二バトルにでもするべきじゃないか!?」 解説 『おぉっとこれは大胆発現!さあガメッシュオーナーの反応は!?     ───OKだぁーーーっ!!さすがはオーナー!空気を読んでいらっしゃる!』 彰利 『テメェエエ!人がお楽しみの時にィイイイ!!』 藍田 「うーるせー!お前ばっか楽しんでたら、     こちとらいつまで経っても楽しめないんじゃい!     だからいくぜコロシアムバトル!稼ぎまくるぜ〜〜〜〜っ!!」 彰利 『グムムー!しゃあのない〜〜〜っ!オラ解説てめぇ!さっさと敵出せ!』 藍田 「早くしろ解説てめぇ!」 解説 『なんで俺に敵意むき出しなの!?───ええい構わねー!     次の対戦相手はこいつだ!メガタウロスとドスギガンテス!!     特別試合───始めぇええええい!!』  ドワァッシャァアアアアアンッ!!! 開幕のドラが鳴った! ───と同時に敵さんが突っ込んでくる! もちろんアタイからもレッツ突進! ドスギガ『ルォオオオオガァアアアッ!!!』 真正面からフェイントも無しに振り下ろされる巨大棍棒! ぬう!その思いっきりっぷりや良し! だが知りなさい───体術で構えるアタイは、ちっとやそっとじゃ参らねぇぜ? 彰利 『草葉の如くしなりて舞うなり───轟天弦月流!真空投げ!!』 眼前に迫る棍棒に手を添え、回転を加えるようにしていなす。 直線を円に変えることでバランスを崩させ、 馬鹿正直に全力を込めてきていたギガンテスが、空振りによる転倒を誘発させるのを確認。 その体に再び遠心力を加え───弾くように投げ飛ばす!!  ジパァンッ───! ドスギガ『ガッ!?』 藍田  「オッ───おぉおおおっ!すげぇえええええっ!!」 その瞬間、ジェット噴射で飛ばされたみたいに空中へと飛びゆくドッスィーくん。 クォックォックォッ……ナメんなよモンスター! こちとら剣修行なんぞじゃなく体術一本で無限地獄味わってきたんだ…… 人が考えうる対人修行なんざ大体は身に着けてあるんだよ! そんでもってこれがァアアッ───対人外修行の賜物よ! 彰利 『はぁあああああっ……───もぉらったぁっ!!』  ドゴォオオッチュゥウウウウンッ!!! ドスギガ『ガッ……ガァアアォアアアアアアアアッ!!!』 真空投げで空を飛んだドスギガンテス目掛け、突き出した拳から虚閃を放つ。 黒い圧縮レーザーは寸分違うこともなく敵を飲み込み、 観客席を破壊することもなく消滅する。 彰利 『………』 いいねェ〜ィエ、これだ、この感じだ。 弱いままの自分じゃなにも出来なかったあの頃の悔しさも苦しさも、 苦しみもがいた分だけ俺の体に染み付いてる。 いやほんと……あの頃の自分がどれだけ努力家だったかが痛感できる瞬間です。 少し前の慢心馬鹿な自分がアホらしくてアホらしくて。 彰利 『続行だァアーーーーッ!!』 観客 『Yah(ヤー)ーーーーーーーッ!!!!』 解説 『なんだってぇえーーーーっ!!?     まだパートナーが戦っているのに続行宣言だァアーーーーッ!!     だがその意気やよし!さぁこうなればもう連続バトルだ!     どこまで戦えるかを見せびらかしてやれ!     ───当然、勝てば勝つほど賞金はもらえるから安心して戦え!』 彰利 『オッシャアーーーーイ!!』 つーか藍田くんまだ戦っとったの? てっきりもう始末してるかと─── 藍田    『悟空、修行じゃ』 メガタウロス『ガァアアアアアッ!!!』 ───って、モノスゲェ勢いの連撃を避けまくっとる!? や、野郎!こげなところでディフェンスの練習してやがる! か、紙一重だ!紙一重で避ける練習を───ゴギィンッ!! 藍田 『うおっはっ───!こ、怖ぇええええっ!!ブロッキング怖ぇええええっ!!』 と、思ったらブロッキングの練習をしていたようで─── あ、ブロッキングってのは藍田くんの武具能力の一つで、 VSサウザンドドラゴン前に猫に鍛えてもらったことで発現した能力さ。 敵の攻撃をギリギリまで引き付けてガードすることで、敵の攻撃を無力化させる業。 しかもそれが成功すると、敵の攻撃力分を“ためる”に蓄積できる恐ろしい能力です。 アタイもそのスキルがある合成素材、“金剛羅刹”が欲しいんだけどね……。 金剛羅刹ってのは盾装備なんじゃけどね? それを武具に合成させることでこうも体術戦闘の密度を上げることが出来るとは。 ……ちなみに。藍田くんは永田くんとのトレードでそれを手に入れたらしい。 藍田 『だがもらったぜ貴様のパゥワァーーッ!!お空の果てまで吹き飛べ畜生!!     “空軍・(アルメ・ド・レール)パワーシュートォッ”!!』  ドゴバァッチュゥウウウウウン!!!! ギガタウロス『ロガ───』  ヒュゴテコーン♪ 彰利 『ゲェエーーーーーーッ!!!』 解説 『うわーーーっとこれはすごい!!     あまりの吹き飛び速度に目で追っていけませんでした!     あの巨体が一瞬にして星となってしまったぁあーーーーっ!!!』 ど、どういう蹴りしてんの彼! なんつーかもう藍田くんの蹴りスキルとか滅茶苦茶見てみてーんですけど!? 蹴り飛ばした音が風を引き裂きすぎて、レーザーみたいな音鳴ってたし! ババルタークス『ゴヴェェエエエエエッ!!!!』 彰利     『キャーーーッ!!?』 って藍田くん見て目ェキラキラさせとる場合じゃねィェーーーッ!! アタイったら既に敵と交戦中なんじゃから、シャキっとせねば! い、いやでもすげぇって!目を奪われてしまうよあの蹴力!! ババル『ウォーーーグ!!』 否!集中! イノシシ系・巨人型モンスターのババルさんが、 グレートソードっぽい剣を振り下ろしてくる! ───愚地克己よ!俺に力を!! 彰利 『対刃物の時は───こう!!』 影からアモルファスを召喚! 剣を握っている手にこそその体を衝突させ、剣を強引に弾き飛ばす! そんでもってぇええっ!! 彰利 『轟天弦月流!禊殺豪裂撃(けいさつごうれつげき)!!』 武器を無くしたことで戸惑いを見せるババルさん目掛け、 爪先、膝、足の付け根、股間、鳩尾、 心臓部、喉、人中、眉間の順に蹴りでの連撃を加えてゆく!  ドガァンドガァンドガァン!!  グシャドボメキャドギャゾゴパギャアッ!! ババル『ガ、ア……!』 駆け上がるように部分部分を蹴ってゆく。 足から胸、やがて眉間を蹴り上げ、俺の体が宙に舞う。 そして─── 彰利 『───覚悟は良いか』 己の右手に最大級の力を込め、急所を穿たれ行動不能に陥っている敵の頭頂目掛け! 闇のオーラが吹き荒れる手刀を振り下ろす!! 彰利 『愚か者めぇい!!』  ゾバァッフィィンッ!!! ババル『───』 ───両断。 頭から股までを手刀で一閃し、その体は崩れ落ちるより早く塵と化す。 アタイはきちんとその傍らで、黒オーラを体から放ちながらの蟹股ポージング。 藍田 『おおおお!禊!?今のベガキラーの禊だよな!?     てっきり“タイムリミットだぁっ!”とか言うと思ってたのに!』 彰利 『オヒョヒョヒョヒョ!!いっぺんやってみたかったんよコレ!!』 藍田くんがブロッキング練習ならば、アタイは体術の勘を取り戻す! とりあえず敵の強さが跳ね上がるまではこれでいこう!最強! 解説 『こ〜れは強い強い!そんじゃあ次は三匹だ!覚悟しろよぉ!』 彰利 『さっさとしろ解説てめぇ!』 藍田 『こちとらいろいろ規制があるんだ!     効果が続いてるうちにさっさとしろ解説てめぇ!』 解説 『うるせーーーっ!いちいちてめぇつけるなてめぇら!』 そうした悶着をしている間に柵が持ち上げられ、 そこから三対のモンスターが解き放たれる。 つーかさ!いくら戦う相手が決まってるからって、 なしてこいつら真っ直ぐアタイたち狙ってくるかなぁ! ホレ!一体くらい、観客襲うとかそういうこと考えるヤツは居ないワケ!? ───まあ、どっちにせよ全力で戦うがネ!! 彰利 『ひゅう……はぁああ……』 空手、なんてものはやったことがない。 あるとすればキリュっちに散々ボコられることで身に染みた構えとか、 あとは我流の適当カラティェ〜とかだ。 だが。 未来を夢見て、付け焼刃だと知っても、 強くなろうとした時間は決して己を裏切らないだろう。 たとえそれが僅かな強さしか幅を広げてくれなかったとしても。 伸びたという事実があるのなら、その僅かな差で“誰か以上”にはなれる筈なのだから。 故に裏切らない。 努力とは、精進とは、僅かな一歩を己に齎してくれる素敵なものなのだ。 彰利 『ヒュッ』 一体が眼前へと迫る。 攻撃すらももう間近。 それを、暢気に確認してから行動に出た。 ───まず足の指先から甲、踵、足首、膝、付け根、腰骨、背骨全て、肩、肘、手首─── 駆動する部分全てに螺旋のイメージを与え、そこに黒のブーストをかける。 世に言う音速拳である。  トパァンッ!! ジャイアントデビル『グガッ……』 まず一撃目。 デカいのか小さいのかよく解らんタスマニアンデビル型モンスターの心臓に、 音速ハートブレイクショットを放ち、行動を停止。 次ぐ二撃目。 硬く握り締めた左拳で、螺旋ではなく固定のイメージを与え、そこに黒での固定をかける。 世に言う剛体術───羅刹掌である。  キュボガォンッ!! ───殴った途端、タスマニアンデビルが消し飛んだ。 OKOK、まだまだ捨てたもんじゃあねぇぜ轟天弦月流。 グランニュート『クゲェエエーーーーウ!!!』 彰利     『ホワイ!?ゲェしまっ───』 一体は藍田くんが相手をしていらっしゃる! じゃけんども残る一体はフリー状態! 拳突き出したままキラキラ輝いてる場合じゃなかった! だがなんの!これしきのことドガァォンッ!!! グランニュート『ゴゲェエーーーーーーッ!!!』 ヴァルチャー 『ギギャーーーッ!!!』 彰利     『ホワッ!?』 すぐさま音速拳に移行しようとした時でした。 何故か横から鳥型モンスターのヴァルチャーさんが飛んできて、 トカゲ型剣士モンスターのグランニュートさんに衝突したのです。 ホワイ?と藍田くんの方を見てみると、 煙を吐き出す具足をつけた足をぶらぶらと持ち上げつつ、スチャッと手を挙げてた。 ……ああ、金剛羅刹ッスネ。 ブロッキングカウンターでもやったんでしょう。 腕で敵の攻撃をブロッキングして、 その衝撃を逃がさないままに旋回アルメ・ド・レール・ニールキックかなんかで。 藍田 『いやぁ怖いけど面白いぞブロッキング!     敵の攻撃力をチャージできるのがなによりいい!』 彰利 『ちくしょうずっこいぞてめぇ!アタイにもよこせ!』 藍田 『ぃやだぁ』 彰利 (健に似てる…………!) 藍田 『それより前前!解説の野郎がヤケ起こしたのか、柵が開けっ放しになってやがる!     ってオイィイイイイイッ!!敵多すぎだろどうすんだコレェエエエ!!!』 彰利 『……フルブレイクぶちかましていい?』 藍田 『やめとけって!辺り一体滅ぶだろうが!!』 獰猛な犬を放し飼いにしている場所とでも言いましょうか。 柵の奥の通路から、出るわ出るわのモンスターども! 藍田 『お、おいおい……ちっとシャレになってねぇぞこの数……』 彰利 『おし藍田くん!アタイに秘策あり!』 藍田 『お、おお?どんなだ?』 彰利 『アタイがレヴァルグリード無理矢理解放してキミに最強の一撃をぶちかますから、     キミはそのレーザーをブロッキングしまくってパワーを蓄積。     あとはソレを解放して敵を』 藍田 『…………な、なぁ。それってさ、ブロッキングを一度でも失敗したら……』 彰利 『うん、死ぬね』 藍田 『………』 彰利 『………』 藍田 『───あ、僕用事思い出したから───』 彰利 『待たれよ』 藍田 『《がしぃっ!》やだーーーーーっ!!』 彰利 『じゃーじょーぶじゃーじょーぶ、     いたくしじゃーからおいさんいうことききゃーせー』 藍田 『お前それ痛くするって言ってるようなもんだろ!って来た来た来たぁああっ!!』 彰利 『キャーーーーッ!!?』 戯れておる場合ではござらんかった! ボンゲェエーーーーッ!!と奇声をあげて襲い掛かるモンスター! それに立ち向かう二人の英雄たち! エィイこうなりゃ全員まとめてブチノメしてやるツィーーーーッ!! 彰利 『気合いだ!気合いを入れるンだッ!この戦いを勝ち抜くために!』 藍田 『気合いっつったってどうやって!』 彰利 『そりゃオメェ…………フンハァ!フンハァッ!!《ビシビシバシビシィッ!!》』 とりあえず音が鳴るほどのポージングを連発! したっけ─── 藍田 『それ気合いと違う!!』 彰利 『なんですって!?』 あっさりと否定されました。 すまんジョニーブラボー。 彰利 『じゃあもういいよ気合いなんて!     煉精化気煉気化神煉精化気煉気化神……!!打透勁!!』 迫りくるモンスター目掛け、体内で作りし気を放って対抗!! 威力は低いが連打に長けている勁術です!最強! ……え?ウィ、そりゃもちろん最強最強言っても強ぇええわけじゃあござんせん。 だがしかしもうその場の雰囲気とかノリとか、 そういう様々なものがアタイに最強を唱えろと語りかけてくるのです。 漫画みたいに最強じゃないのに最強と唱えるのももうアリさ。 や、べつに最強なんざ望んでません。 自由に楽しめるために必要な力が今は欲しい……それだけだ。 って違う!未来を切り開くための力が欲しいです!ハイ! 藍田 『よっはっふっほぅ!そりゃそりゃそりゃあっ!!』 で、少し離れたところで敵を蹴りまくってる彼はなんなんでしょうね。 シャレになってないとか言ってたわりに、 来る敵来る敵ボッコボコにしまくってやがります。 いやもう……蹴りの力がほんと尋常じゃあねぇやな。 近づくやつらが片っ端から弾丸になって、別のモンスターに衝突してるくらいだ。 彰利 『───はうあ!』 そんな彼を見て思い出す事実。 そうです、アタイは体術を思い出すために……って、 これも一応気をコントロールしての攻撃だから体術といえば体術なのですが……。 彰利 『ところでアイーダ!』 藍田 『人をルイーダの酒場みたいに言うのやめろーーーっ!!』 彰利 『オウヨソーリー!ところで、だけどYO!!     キミは勁や気の波動って体術に含まれるものだと思う方ーーーっ!?     それとも体術ってのは肉弾戦以外は認めないとかぬかす方ーーーーっ!!?』 藍田 『アホかぁーーーっ!そんなの個人の自由に決まってるだろうがーーーーっ!!』 彰利 『そうよね!?そうよねぇ!?考え方なんて人の数だけだものねぇ!?     よっしゃあ体術!アタイにとっちゃ勁や気の波動は体術ぞ!』 ならば早速両手を胸の前に構え、 オージービーフください!と叫ぶかのように手で三角形を作り、そこに気を集めてゆく! そんで集まってきた気を一気に肥大化させて、頭上に掲げたのちにシュートヒム! これぞロマサガ2伝統の勁や気の体術代表!活殺破邪法!!  ヒョーーー……どっかーーーん。 観客1「キャーーーッ!!?」 観客2「バカヤロー!どこ撃ってんだぁっ!!」 彰利 『ゲェエエーーーーッ!!』 でもあっさり避けられて観客席に突っ込みました。 ア、アルェエエ……?こげな馬鹿な……。 ブルタスク『グモォオオッ!!』 彰利   『はうあ!?い、いかーーーん!!』 ホウケるのも大概にしましょう! 気を引き締めて───帯をギュッとネ!! 彰利 『そぉおおおいっ───』  ズバォシャアッ!!  ザンガガガガガォオオオオンッ!!! 彰利 『───やぁ?』 そぉいやぁ〜!と拳を突き出そうとしたその時でした。 アタイの標的だったブルタスクさん(マンモス型モンスター)が、 地を這う剣閃に飲み込まれて消滅しくさったのです。 こ、この技はァアア……!! 彰利 『誰だァアアア!!』 岡田 「お前気づいてて言ってるだろ!」 振り向いてみれば岡田くん。 どうやら剣閃型早撃ちで、直線状のモンスターをなぎ払ってくれたらしく…… 彰利 『この野郎!アタイの見せ場を返せぇええっ!!』 岡田 「なんで俺敵倒したのに罵倒されてんの!?」 解説 『おぉっと再び乱入!───ガメッシュオーナ……OKだぁああっ!!     かつてない速さでOKが出たああああっ!!』 彰利 『なんですと!?オーナー!こげなヤツは要りません!アタイだけで十分YO!!』 藍田 『いやいやなんの!俺だけが居れば十分です!』 岡田 「いや!順番は守ってもらわんと!」 解説 『───……いいから戦えとおっしゃっている!さっさと戦えボケども!』 彰利 『なんだとてめぇ解説この野郎!!』 藍田 『ちょっと降りて来い解説てめぇ!!』 岡田 「卑怯だぞコラ降りてこいコラモービー!!」 解説 『モービー!?』 叫びながらも攻撃の手は緩めない。 だって緩めたらその瞬間にボッコボコってくらい、 モンスターの数が増え始めてるんですもの。 岡田 「ふっ!はっ!とわっ!?とっ、ふおっ!」 しっかし……予想通りというか、岡田くんって連撃に弱い。 早撃ちが滅茶苦茶強い分、一発撃ったあとが隙だらけっつーか。 多対一に慣れてないね、ありゃあ。 彰利 『クスクスクス……ごらんになって、アイーダ。     あそこで一人だけ剣を使う人がいらっしゃるのよ?』 藍田 『あらやだ。長柄の武器なのにあのザマでいらっしゃるの?』 岡田 「ザマとか言うなぁあーーーーーっ!!ちくしょーーーーっ!!     お、俺だってなぁ!銀の腕があればぁああーーーーーーっ!!」 ブレードスナッパーの早撃ちは、銀の腕があってこそ完成するものと聞き申す。 だから今の彼はハンパモン。 早撃ちは撃てても、連続では撃てないのだ。 それに比べて…… 藍田 『《ゴファァアア……!!暗黒闘気解放ォオオオッ……!!』 あそこで体から物凄い闘気を出してらっしゃる仮面のダンディはどうしたもんデショ。 仮面を出現させてすっかりグラーフモードの彼は、集中力が高まったのか、 群がる敵の攻撃をブロッキングしまくり……あ、失敗した。 ……ブロッキングしまくり、あ、殴られた。 彰利 『シャンとしろてめぇ!脳内解説が上手くいかねぇだろうがこのクズが!』 藍田 『い、いきなり何事!?』 突然怒鳴ったアタイに戸惑うアイーダ。 じゃけんども蛍火色の髪を暗黒闘気で薄黒く染め上げ、体も灼銅よりも色濃く染めた彼は、 幾度も幾度もブロッキングを続け───やがて。 藍田 『…………しまった!俺、全体攻撃的な技がなかった!!』 格好つけて一気に殲滅しようとしたらしいが、 そういった技がないことに気づいたのだった。 彰利 『テメェエエ!!そこまで溜めといて技無し!?ナメとんのかこの野郎!!』 藍田 『ナメとんのよォオオ!!───って“あばれ花組”やってる場合じゃねぇって!     グラーフモード発動させなけりゃ一介の執事な俺に、     そんな全体攻撃的なものがあるわけねぇだろ!?どうしようこのもどかしさ!』 言いながら、さっきまでの集中力も何処へやら。 ドカバキギャー!とボコられる藍田くんが何故だかとっても美しい。 彰利 『爆発波とかねぇの!?グラーフっていやぁゼノギアスっしょ!?     なんつーかこう……エーテル攻撃とかさぁ!』 藍田 『そんなの執事に使えるわけねぇだろうが!』 彰利 『なんでそんなとこだけ普通の人なのキミ!!ええいもうよか!     岡田くん!エースインザフォールいったれ!ブレイブハートマックスで!』 岡田 「いいよ俺……どうせ剣使いのくせにザコだし……」 彰利 『ゲェエ!イジケとる!!     ギャアもうなんなのこのパーティーとしてのアンバランスさ!』 そりゃあゲームみたいに都合よくステキな技があったりとかしねぇだろうけどさぁ! いやでもすげぇよねゲーム世界! どんな状況でも、ふと仲間になってくれるやつが回復魔法使えたりとか、 攻撃魔法が強かったりとかしてくれるんだゼ!? 今のこの状況とはまるで懸け離れ過ぎてるゼ!! 彰利 『ねぇ岡田くん!?こういう状況で助っ人に来るヤツってさぁ!』 岡田 「《グサッ!》…………」 彰利 『あっ!やっ!違う!違うよ!?     べつに来ても役に立たねーとか言ってるんじゃなくてね!?     でももっとこう、ズヴァーと格好よくさぁ!     ギャアもうなしてこげに気ィ使いながら戦わなければならねぇさぁーーっ!?』 藍田 『うるせーーーーっ!!だったらてめぇが九頭竜闘気で滅ぼせばいいだろうが!     補助装備があるのに未だに上達しない貴様がなにを偉そうに!』 彰利 『《グサァッ!》アウッ!……な、なんだよ……なんだよぉお〜〜〜っ!!     お前だってお前だって大仰にそんな能力発動させても、     全体攻撃がないくせにぃい〜〜〜〜〜〜っ!!』 藍田 『《グサァッ!》はごっ……!……うっうっ……!     お、俺だって……俺だってなぁああ……!』 なんだかもうぐだぐだです。 でも攻撃はやめません。 死にたくないし、まずなにより痛い思いは出来るだけしたくないじゃない? 解説 『おぉっとここに来て仲間割れかぁっ!?これは痛い!     団体戦はチームワークが命だというのに!』 彰利 『うるせーーーっ!!わざわざ解説すんな解説てめぇ!』 藍田 『こちとらいろいろ悲しみ背負って戦ってんだ!茶々入れんな解説てめぇ!!』 岡田 「貴様なんかに俺達の悲しみが解ってたまるか解説てめぇ!!」 解説 『ハハハハハ!俺に向けてチームワーク発揮しても敵は倒せないぜぇ!     つーか……えぇ!?解説なのに解説すんなってどういう罵倒なんだ!?』 彰利 『てめーには教えてやんねー!』 二人 『くそしてねろ!!』 解説 『ギッ……ギィイイーーーーイイイイイ!!!』 ───OK! 解説のこと罵倒してたら調子が戻ってきた! クォックォックォッ!!さあこいモンスターども! 貴様ら全員ンン!微塵切りにしてやるぜぃ!! 【ケース692:藍田亮/永周と小龍の法則】 ガゴゴガドドガゴガスゴスゴス!! 藍田 『ほわぁったたたたたぁああっ!!?』 敵の攻撃をブロッキングブロッキングブロッキングブロッ……たすけてぇええええっ!!! 反撃するチャンスがもう全然無いじゃないか! く、くそう!俺にこう……素晴らしい技があれば! ここで出来ることっていったら、 パーティーテーブルキックコースで周囲のやつらを吹き飛ばすくらいで───無理! 逆立ちする時点でボコられる! 逆立ちして足で円を描くように蹴るのはステキだが、逆立ちする意味あんまりないし! ───なんて、切羽詰まっていたまさにその時!  藍田……藍田よ…………この…………臆病者よ…… ───誰!? なんかいきなり頭の中に声が!……誰!?  そう冷たくするな藍田よ…… だから誰!?今俺滅茶苦茶切羽詰ってるんだけど!?  誰か……?何者か!!?フフフ…………わからぬか…… だから誰だって訊いてるだろがアホな子ですかあなたは!!  オマエだよ、藍田  オマエが目指すオマエ……オマエがなりたいオマエ───   藍田 亮  そのものだ そうか。じゃあもう帰れ。  なにぃ!?いや、あの…… 今切羽詰ってるって言ってるだろこのやろ! それをぐだぐだネチネチゆっくり喋りやがって!  …………………………あいにくだったな……  武を護るため、武をかなぐり捨ててのグルグルパンチ─── あっ!無視しやがった! 待てコラ!ちょ……聞けてめぇ!!  ところが……武はオマエを離してはくれぬ…………  試されているぞ、藍田─── だから無視すんなって! 聞けコ───聞けってコラ!!  委ねてみろ……全体攻撃がないなどど構えずに…………  武を護るなどと……気負わずに……身を任せる……  そうでもしなけりゃ……背負うなどとてもとても…… ちょっと待ててめぇ!俺、いつ武を護るとか言いました!? あの、ちょっと!?ちょ─── 藍田 『《ゴォッ───》熱ッ!?』 突然具足に物凄い熱がこもる。 何事かと見てみれば、ランペルージュが恐ろしいまでに真っ赤に…… いっそ“光”ってくらいの眩しさの赤に染まり、 装備者でさえ熱いと思えるくらいの熱を発していた。 その熱に、周りのモンスターが反射的に距離を置く。 藍田 『こ、こりゃあ……』  さあ……やってやれ  貴様は一人ではない……この俺、火の精霊イフリートがついている─── 藍田 『なにっ!?てめぇウソついたのか!?     俺がなりたい俺だって言ってたじゃねぇか!』  黙れクズが!ほぼ無視していたくせに偉そうにするな! 藍田 『クッ……!?いやちょ……クズって……』 すげぇ、精霊からストレートにクズ宣言されたよ俺……。  全体攻撃とまではいかないが……範囲攻撃ならば可能だ  思い切りやってやれ……貴様にはそれが出来る いや……やれってどうやって? どういう技かも知らないのに。  熱を吐き出しているランペルージュを地面に強く叩きつけるのだ……  その瞬間、爆発が起こり、周囲のものを核熱で破壊もしくは溶解させるだろう  名前は貴様が適当につけろ ……そ、そうか。 よし!ならば───名前はあとで考えよう! 今は熱くてしょうがないからとにかく解放!! 藍田 『我の拳は神の息吹!堕ちたる種子を開花させ、秘めたる力を紡ぎ出す!!     美しきっ……滅びの母の力をォオオオオッ!!《ゴファァアッキィイインッ!!》     ───よし!猛る焔よ!汝に触れし者全てを滅さん!     我が灼熱の魔具にて……!!灰燼と化せェエーーーーーーイ!!!!』』 まずはグッと身を捻り、次に片足を大きく振り上げます。 そして足が蟹股っぽくなるように一気にドカァンと下ろし、ヌォオオオッ!と叫ぶ! これぞ大門五郎の勝利ポーズ!!この一連の動作を流れるようにやるのだ。 でもそれじゃあただの大門さんなので、もっとこう……あ、そうだ。 藍田 『《ゴゴゴゴゴ……!》汝のさだめ……!』  グッ!ヒュバァッ───ドォッガォオオオンッ!!! 藍田 『滅びなり───!!……オ?オォオオオオオオッ!!?』 やった途端にそれは巻き起こった。 具足に込められた熱やブロッキングチャージが、地面に叩きつけた途端に一気に爆発。 景色を歪ませる熱とともに景色に広がる衝撃波が  ボンガガガガガォオオンッ!!!  ヂュガガガガガガガガガガァアアアッ!!!! 周囲に居たモンスターの悉くを焼き滅ぼしてゆく!! 藍田 「や……えと……」 気づけば自分の体からはグラーフモードや武装錬金効果が解けていて、 辺りを見渡してみれば、全てが塵と化してすっきりとした闘技場。 そして─── 彰利 「おが……おがががが……《シュゥウウ……》」 岡田 「グビグビ……《プスプス……》」 こんがり焼けて今が食べごろな弦月と岡田が倒れているだけだった。 ……うわ、すげぇこの技……。 そしてかなり気に入った。 え、えーと……名前、名前を決めねば。 名前……よ、よし。 ここはサイヤ人の王子ベジータ様から名前を頂戴しよう。 ファイナルエクスプロージョンだ。 俺、あの技と名前、大好きなんだよね。  ピピンッ♪《特殊秘奥義が追加されました》 藍田 「おおっ!?」  ◆ファイナルエクスプロージョン  灼熱爆発波。最大まで熱がこもったランペルージュを、  硬いなにかに衝突させることで発動。  使用条件にはヴィクター化、グラーフ化+滅びの母の力が必要となり、  使った後はヴィクター化もグラーフ化も解け、その戦闘中は使用できなくなる。  さらにランペルージュの“帯熱”も使用不能になるため、  事実上は戦闘中一度きりの能力。  戦闘が終わり次第にヴィクター化もグラーフ化も使用可能に。  具足から放たれる能力のため、武具強化スキルなどが多ければ多いほど強力になる。 ……。 お、おお……なるほど。 だからヴィクター化もグラーフ化も解けてたのか。 や、でもいいなこれ。 一度しか使えないし、使ったら帯熱もヴィクター化もグラーフ化も出来ないけど、 そこんところはストックでもしとけば5、6発は撃てるってことだし。 火の精霊武具、フラムベルグのお陰で火と熱攻撃は滅茶苦茶強くなってるし、 これは……かなり素晴らしい能力だ! でも滅びの母の力が必要ってのが結構キツイかも。 まあさすがにそんなにいいことばっかりじゃないよな。 解説 『こっ……これはとんでもないことが起こったぁああーーーーっ!!     なんとあれだけ居たモンスターをあっという間に!!     オマエはなにものだぁアイダ=リョウーーーッ!!』 観客 『ウオォオオーーーーーーッ!!』 解説 『おぉっとここでガメッシュオーナーが立ち上がったぁーーーっ!!     ……ハイ、ハイ───ああぁっとこれは大変!     今のでストックしていたモンスターの大半が消滅!     今日出していい分のモンスター全てを消費してしまったらしい!     残念だが今日のVSモンスターはこれでおしまいだぁああっ!!』 観客 『ブー!ブー!』 解説 『おぉっとだが安心しろ観客たち!     ここにはこれだけ凄いグラディエーターが居るんだぜぇ!?     さぁ!今日これから始まるのはグラディエーターズコロシアム!     基本、殺しはご法度だからそこらへんは気をつけろ!     さぁ野郎ども!心の準備は十分かぁ!?』 彰利 「お……お待ち……!こげにボロボロ状態で連戦なぞ出来っかボケ……!」 岡田 「藍田……オマエ……ちょっとは加減を……」 藍田 「手加減ってなんだァアア……?」 彰利 「ヤ、ヤロッ……!」 ボロボロの二人に向けてブロリーの真似を進呈。 と、そこに救護班が来て、エリクシールとパナシーアボトルを飲ませてゆく。 岡田 「《ギャンッ!》ふっかぁーーーーつ!!」 彰利 「《ギャアァ〜〜〜ンッ!!》美しい……」 二人は回復とともに立ち上がり、思い思いのポージングで復活を遂げた。 エリクシールっていったって、飲んだ途端に回復するもんなのか……? やっぱゲームの世界ってスゲーワ。 解説 『さーあ準備はいいだろう!では始めぇえっ!───といきたいところだが、     この試合は賭け試合となるのでいろいろレートを振り分けていこう!     そのための準備時間を設けるので、皆様ふるってトトカルってくださいませ!     グラディエーターたちもそれまでに心の準備を決めやがれ!いいなクズが!』 彰利 「客と戦士とで随分態度違うなオイ!!」 まったくだった。 けどまあ、とりあえず休憩しよう。 ……何故か俺にはエリクシールとパナシーアボトルくれなかったし、 それも含めて一休みしたい気分だ。 Next Menu back