───冒険の書280/いつも心にトキメケを───
【ケース714:マラジン/ある夜の番はナイトだった-エーゲルハイムの丘編-】 ガッガッゴッ、バンパンパンパンパンパンパンッ!! 彰利 『フンそりゃうりゃおりゃスリャアタァーーーーッ!!』 悠介 『フンフンフンフンフンフンフンフン!!!』 結局休んだままに夜を迎え、 テントを広げた僕らは今日という日を無駄にしないために訓練をしていた。 彰利が晦と体術修行、藍田くんがレイル氏とブロッキング修行、 僕と閏璃くんが的当て修行。 ジャミルさんはとくになにをするでもなく焚き火の前に座り、瞑想をしてらっしゃる。 レイル「カオスコントロォオオル……!!ギギャァアアィインッ!!!》     ルガァアアアォアァアアアッ!!!』 藍田 『うおおお!?なんか解放時の音からして怨霊の悲鳴っぽくて邪悪なんだが!?     つーかカオスコントロールって……ソニックさん思い出すねって速ぇえええ!!』  ドガガガガガゴドゴガゴゴガッ!! 藍田 『うおおおすげえ連撃!いったいいつの間にこんなにレベル上げたんだよ!』 彰利 『ヒョホホ、それなら初心者修錬場で、中井出コロがしてレベルアップしとったぞ』 藍田 『なんだってぇえーーーーっ!!?』 狂人めいた連撃に、ブロッキング練習をする筈だった藍田も戦闘態勢に。 レイル氏を迎え撃ち、蹴りを放ちまくるが─── 両眼とも金色に変異させたレイル氏の反射速度はハンパなく、 浮き出た神経が躍動する度に速度を増し、ついにはプァゴチュァアッ!! 藍田 『うおゎああーーーーーっ!!?』 ……綺麗な蹴りが顔面にクリーンヒット。 レイル氏はミッキー=ロジャースのように前のめりに倒れ、動かなくなった。 藍田 『や、やべっ……綺麗に入りすぎた!!』 閏璃 「…………《くいっ……》…………残念です」 悠介 『冷静に瞳孔調べて首振ってる場合かぁーーーっ!!』 彰利 『待て!まだ俺との決着がついていないぞカカロット!』 悠介 『修行に決着もなにもあるかっ!───ええいさっさと来い!』 彰利 『了!戦いを投げ出さないキミって好き!』 既に家系の力として馴染んだ“白”を発動させ、高速で動き彰利に襲い掛かる晦。 一方どっしりと構え、脱力した状態で晦を迎え撃つ彰利。 その手がバシャァアンッ!!! 悠介 『っ───つ、お……!』 彰利 『なんと!?』 眼にも留まらぬ速さで動くや、晦が構えていたラグの柄を殴りつけた。 はっ……速ぇえええ……!! 速すぎだって真・音速拳……! 晦のヤツ、なんとか受け止めたようだけど……ありゃあ偶然に近いもんだぞ……? 彰利 『ッ───次弾!』 悠介 『こんのっ───させるかぁっ!!』 彰利が拳を戻す。 と同時に晦が間合いを詰め……あ、ヤバイ。  ドボォッホォオンッ!!! 悠介 『───、……』 どしゃり。 ……崩れ落ちた。 右手を戻すと同時に左手の真・羅刹掌が放たれ、晦の腹を殴りつけたのだ。 風穴が空いていないことは幸い……に見えるが、内臓はズタズタだろう。 なにせ物凄い音がした。 彰利 『ナンバーワーーーン!!』 …………。 もう彼と組み手をするのはやめとこう。 うん。 彰利 『《シュウウウウ……》はふう……いや〜、錬気って面白いなぁ。     気と一緒に音速拳とか羅刹掌やると、     こう……突き抜ける快感みたいなのがあってさ」 破面を消し、一息つく彰利。 さて、クランケが二人になったのでなんとかしましょう。 ゴシャーーーン!! マギエル『愛……果てしなく』 彰利  「キミさ、キモエルになる度にヘンなキメ台詞言うの、やめない?」 マギエル『キモエルじゃないってば!』 っと、今は突っ込みより回復だ。 さすがに内臓破裂はヤバイだろ……今は気絶してるからいいけど、 起きた時には地獄の苦しみが待っている。 ですから─── マギエル『右手に時!左手に然!連ねて一つの力と為す!義聖拳!!クロックワークス!』 重ねた手の中で、異なる属性が一つになるのを確認、晦に流し込むと、 晦の荒い呼吸が低速になる───一種のスロウってやつです。 あ、ちなみに時の属性は高位属性とじゃなきゃ融合できないみたい。 元素がエターナルブレイド(真・龍虎滅牙斬)、 自然がクロックワークス(スロウ、ヘイストなど)、 そんでもって災いがセカンドハンズブレイカー……時飛ばし、いわゆるキングクリムゾン。 刻震竜が使ってたあの厄介な能力だ。 死と無がどんな効果になるのかがとても楽しみな……こんばんは、博光です。 なんとなくだけど、時と死が重なるってことは、 “死の宣告”あたりが使えるようになりそう。 無は……な、なんだろうね?思わずゴクリと喉が鳴る。 ……じゃなくて晦とレイル氏を治そう。 マギエル『彰利、パイングミ持ってる?』 彰利  「OH?オウヨ、ホレ」 マギエル『うし───アイテムマグニファイ!!』 受け取ったパイングミのアイテム効果を引き出す! そして苦しんでいる晦の口の中に無理矢理捻じ込み─── マギエル『悟飯、仙豆だ、飲め』 悠介  「《メキメキメキメキ……!》あごっ……ぐげっ……あごあ……!」 マギエル「ぬう!こやつめ口を完全に閉じておるわ!ヨォオ!しっかりしてくれよぉお!」 悠介  「《ベパァン!》ブゲッ!」 総員  (と、トドメ!!) 気絶しても歯を食いしばって痛みに耐えてるこいつは、どんなガンバルマンだくそ! 仕方ないのでビンタをかまして、顎が砕けたところで無理矢理飲ませた。 すると───シャキンィンッ! 悠介 「うぐっ……つ……ああ……!?」 目覚めた!クララが立ったわ! では次!レイル氏! マギエル『我が右手に然のキャリバーよ宿れ!ウルフマン張り手ェーーッ!!』 レイル 「《ばちこーん!》ウボルロ!!《……パパァアア……キラキラ》」 彰利  「フオッ!?すげぇ勢いで回復していってる!張り手くらったのに!」 マギエル『然のキャリバー、“自然の恵み”です。使うと自然回復速度がかなり上がる』 藍田  「おおなるほど」 そんなわけで、大した間もなくレイル氏も復活。 晴れて修行再開となったわけだが、……何故かみんなして僕を見る。 マギエル『え……な、なに?』 彰利  「いっぺんマジバトルしてみたくなった。      多対一……卑怯とは言うま《バサァッ!》ぶわぁっ!?」 マギエル『死ねぇええーーーーっ!!』 彰利  「ぶぺぺっ!ぺっぺっ!      た、戦うって決めた途端に砂かけかよコノヤラーーーッ!!」 襲い掛かった途端に彰利が脱力する───い、いかん!真・音速拳だ! 彰利 「くぅたばりゃ《ゴキィイーーーン!!》───……あれっ!?」 放ち、拳を戻した彰利の喉元にジークフリードを突きつける。 当の彰利はなにがどうなってるのか解らない様子。 彰利  「き、貴様……なにをした……!      超スピードとか、そんな類のものじゃあねぇ……まさか───」 マギエル『ゲフェフェフェフェ……!時を1秒ほど吹き飛ばしたのよ……!      音速ってくらいだから、一秒もあれば余裕で手も戻るだろ?』 彰利  「ぬ、ぬごご……!───悠介ぇえっ!《ビジュンッ!》」 悠介  「任せろっ!」 マギエル『あぁっ!?待ってよぉぅ!』 突きつけていた剣から逃れるように、彰利が転移した途端にその先から晦が! ブレードオープン状態で、そこに輝ける雷光を込めたまま、 あたかもギガブレイクを放つように一閃!!さっきまで気絶してたのに元気だなぁもう!  ヂガァンガガガガガァアッ!!! 耳を劈く雷鳴!轟音! 巻き起こる土煙が俺達を囲い、晦は確かな手応えを感じたのだろう、 バックステップをいて煙の外へと引くと、距離を取るように煙が晴れるのを待っていた。 マギエル『くだらん技だ……ただ埃を巻き上げるだけか?』 悠介  「んなぁっ!?───ってまた絶対回避だな!?」 マギエル『ワハハハハ!VITMAXリングシールド&闇の加護で防いだだけだー!      大体マグニファイ使っちゃってるから、      他の10分アビリティは時間が来るまで使えぬわ!』 悠介  「単純に防御力だけでか!?くっそ自信なくすぞ……!」 マギエル『ではいざ参らん!極悪非道と震えるがいい!エンペラータイム!!』  ピキィイーー───……ィイン!! 悠介&彰利&閏璃『ギャア待てぇえーーーーーっ!!!』 藍田&レイル  『……?な、なんだ?』 一瞬景色の色が反転し、俺の体にある全ての能力が強制解放されてゆく! これぞマグニファイ中だけの最終奥義、エンペラータイム! 倒せなかったら状態異常地獄という枷を胸に、 意地でも勝たなきゃならんと思わせてくれる能力だ! 彰利 「《ゾフィンッ!》こんならぁああっ!!』 悠介 「《ゾフィンッ!》まったく厄介なことに……!』 閏璃 「こうなったらこの魔王の斧で……叩き斬ってやるーーーっ!!」 彰利が黒を、晦が白を発動させ、 閏璃が魔王の斧を聖剣ナマクラーを構えるガンスのように構え、 白目になりながら涎を垂らしていた。 その横では、なにが脅威なのか解らないって顔の藍田くんとレイル氏が、 突っ立ったままの状態でポカンとしていてドンガァアアッ!!! 藍田&レイル『ギャーーーーッ!!』 そっちにはカルキを飛ばし、僕は目の前の三人を迎え撃つ! ウフフ、今宵のカルキはハチャメチャに強いぜ? なにせ能力フルオープン状態ですから! まだ灼闇レベルが9に達してないから属性を付加できないのが残念だが、 それでも枷の外れた者の強さっていうのは、それはもう素晴らしいことなのですよ?多分。 閏璃 「弦月弦月!俺のこの魔王の斧の呪い、限定解除でもいいからブレイクしてくれ!     じゃないと銃が握れない!」 彰利 『お馬鹿!なんでも能力に頼るんじゃありません!頭を使うんです頭を!』 閏璃 「おお!頭で銃を撃つのか!超人的だな!ヘッドガンナー原付と呼んでいいか!」 彰利 『違ェエエよ!!つーかなして原付!?』 閏璃 「“弦月”の読み方を変えただけだ」 彰利 『───悠介!悠介ぇええ!こいつ緊張感ないよ!どうしよう!』 悠介 『だぁああっ!言ってないで戦えてめぇらぁああああっ!!!』 白の能力、高速行動を駆使し、僕と戦うは晦くん。 二人もすぐさまそれに加わり、なにを思ってか閏璃が 閏璃 「ファイナルストライク!!」 三人 『えぇえええーーーーーっ!!!?』 一撃目でファイナルを!! これにはさすがの僕も仰天!反応が遅れ、ガードが マギエル『晦バリアー!!』 悠介  「《ガヴァーン!!!》ぎゃああああああああっ!!!!」 目の前に居た晦に隠れてなんとかしのいだ。 マギエル『危なかった……!(俺が)』 彰利  『キミほんと手段選ばずだね!悠介!?悠介ぇえええっ!!!』 いったいなにがやりたかったのか……ぐったりといている晦をよそに、 閏璃のほうをチラリと見てみると、───鎖で繋がれた銃を両手に持つ閏璃くん。 ファイナルストライクを使ったのは、魔王の斧が邪魔だったかららしい……。 でも斧の柄の……握る部分だな。 それは残ってるようで、やたらと銃を持ちづらそうにしているようだが。 閏璃  「晦が身を犠牲にしたお陰で魔王の呪いに打ち勝ったんだ。信じる力の勝利だ!」 マギエル『信じるどころか止めようともせず晦に切りかかってなかった!?ねぇ!!』 閏璃  「なにぃ知らないのか。男は一度振り下ろした刃を止めたりなどしないんだぞ」 マギエル『なんかモノスゲェ勢いで性別の所為にして自分を正当化してる!』 閏璃  「というわけでくらえ!そしてあまりの眩しさにうおっまぶしっと言え!」 閏璃くんが二丁拳銃の左だけを撃ってくる! それはそれぞれ、連射銃だったりレーザーカノンだったりで、 なんとも近づきづらい武器だった!見た目はマグナムなのになにこれ! ていうかね!連射銃の連射率が異常なんですが!? あ、でも滅茶苦茶反動強いみたいで、撃ってる閏璃のほうが痛がってる。 閏璃  「《マキィンッ♪》おお!相手が提督さんだからか!?もう溜まった!」 マギエル『ぬう!?溜まったとな!?』 閏璃  「司令部!サブウェポンの使用を要請する!!」 彰利  『おおっ!?』 閏璃が高らかに叫ぶと、頭上に黒いプログラムのような文字列が円を描いて現れ、 二丁拳銃から伸びている鎖がその円へと吸い込まれてゆく。 やがて虚空に開いた穴から、鎖に引っ張られるように巨大な二つのカノン砲が─── うぉおおっ!?なにこれカッコイイ!! 閏璃 「《ガシャガシャンッ!!》うむ!では参るぞ提督さん!」 鎖で繋がれた巨大ウェポンは、虚空に浮いたまま閏璃の行動の度に向きを変え位置を変え、 きっちりと彼の傍を離れずついてきている。 おお……素晴らしい!ああいう武器欲スィー!!  ガガォンガォンガォンッ!! 閏璃 「───おお!反動がゼロになってる!サブウェポン使用中は反動がゼロに!?」 試し撃ちをしたのか、空中に放たれた弾丸はあっという間に消え、 それを追うようにサブウェポンからエネルギーガンが放たれる。 それはレーザーとなって空を裂いて、彼方へと消え去った。 閏璃 「全力で死ねぇええーーーーーっ!!!!」  ガンガガガガガガフィガガガチュゥウウウウウンッ!!! マギエル『ホワァアーーーーーッ!!!!』 弾丸が物凄い連射で!その連射に合わせてバーチャロンのライデンレーザーみたいなのが、 双方の巨大ウェポンがフィガガガチュゥウウンって物凄い連射で!! ちょちょちょちょっと待てぇええええ!! これいくらなんでも戦いづらすぎじゃありませんことぉおおっ!? 閏璃  「おぉおお面白ぉおお!!やばいぞ提督さん!サブウェポン面白すぎる!!」 マギエル『ち、ちくしょう羨ましい!でも僕だって負けないぞ!      見せてくれる究極といっても差し支えない極悪非道の技!!      双剣四百八十閃式レイジングギガフレアァアアアーーーーーッ!!!!』 三人  『ぎゃああああああーーーーーっ!!?』 言葉と同時に止めようとしたのか、僕に向かってくる三人! だが僕は慌てずに全ての用意を済ませ、 放たれたサブウェポンレーザー目掛けて、 四百八十のドラゴンレーザーを惜しげもなく放ったのでした。 ───……。 ……。 ジャーーン!! マラジン『成敗!!』 真正面からぶつからず、 極悪奥義双剣四百八十閃モードでレイジングギガフレアを放ちまくった僕は、 焦土と化した大地の上で勝利のポーズを決めていた。 ジャミル『……あ、……悪夢だ…………なんだこの馬鹿げた強さは……!      ……っ……刻震竜に勝てるわけだ……!』 マラジン『ジャミちゃんジャミちゃん!ほら!キメッ!      僕ら帝国過激団の勝利だぜ!───勝利のポーズ!キメッ!』 ジャミル『……だというのに、使い手のこの馬鹿さ加減はなんなんだ……』 マラジン『真正面から馬鹿呼ばわりされた!!』 でもなんかいい。 やっぱり遠慮なしにズバズバ言ってくれたほうが、こっちもやりやすいってもんさ。 マラジン『馬鹿で結構!楽しければそれでいい!というわけでもう寝ましょう』 太陽  「そうだな、さすがにもう眠いゼ」 マラジン『ボナさん……アンタほんとにリアカー離すと人格変わりすぎだね』 太陽  「へへっ、よせやい」 何故か照れながら鼻の頭をこするボナパルドさん。 太陽  「しかしどうすんだいこの荒野……お前さん、然の精霊と契約してんだろ?      それなのにこりゃあ、ちとやりすぎじゃねぇかい」 マラジン『うむ!俺はぶっちゃけ然の精霊と契約したからといって、      自然にこだわる気は0%ラブコメディー!やりたいように生きる!それが俺!』 ジャミル『いろいろ最低だなお前』 マラジン『他人を気遣うよりも楽しさを優先させたいお年頃……博光です。      自然と契約したからって自然を護らなきゃいけない、なんて規約は無視します。      自然を壊す者をどうにかしよう、壊さない者に幸あれ、なんてどうでもいい。      義務なぞ知ったことではない。それよりなけなしの自由を満喫しよう。      強制されたものではない、自分の奥底から湧き出した生きる目的!……最強』 太陽  「生きる目的ねぇ……お前さんの目的は?」 マラジン『ザ・楽しむこと!《ズビシィッ!!》』 カッコイイといいなポーズをキメ、OH高らかに叫ばん! 若き日の誇りぞ!暴君!暴君!暴君!! マラジン『そんなわけだから僕にとっては、      最低といわれようがそれを楽しみに変えることこそ野望。      もういっそ難しい話は無しにして、ただひたすらに楽しみたい』 太陽  「魔王だとかはどうでもいいと?」 マラジン『魔王であることを最大に利用して楽しむってのもアリだと思うんだ。      そこんところでは、晦には思い切りが足りない気がする』 ジャミル『当然だ。王は楽しむために王になったのではないんだ』 マラジン『俺は楽しむために王になったぜ!しかも皇帝!』 ジャミル『……帝国は敵だ。貴様も敵ということか?』 マラジン『否である!帝国は僕が内側から変えてゆくとみせかけて、      気に入らんものを実力行使でブッ潰してゆく!!      内側から変えるなんて悠長なことやってられっかコノヤラー!      まず貴族制度をブッ潰して、      みんなが仲良く死に物狂いで日々を生きる世界を作ります』 ジャミル『な……仲良く死に物狂い……?』 ジャミちゃんが物凄い角度まで首を傾げていた。 マラジン『そう。自己中心的なヤツが居ては成り立たない世界。      人々の協力あってこそ生きてゆける世界にするんだ。      そしてそこでなにが起ころうが知ったこっちゃねー』 ジャミル『無責任なヤツだな……』 マラジン『リーダーである皇帝になにかを仰がないと生きていけないヤツなんて、      自分の力がないヤツだけだろ?なにかがあってもリーダーが言いつけたからだ、      なんて言い訳や盾がないと前を向けないなら、ずっと後ろを向いて生きていけ。      そうでなきゃ見えない世界もあるし、そうすることで見れなくなる世界もある。      可能性を自らブッ潰すのはつまらないじゃないか。だからハイ、レッツ面白』 太陽  「面白けりゃいい、ねぇ……ひとついいか?」 マラジン『その通りだ!僕は帝国を、みんなが一つのことに夢中で楽しめる国にしたい!』 太陽  「いや……まだなにも言ってねぇって……」 マラジン『ハン、祭りの日だけみんなでワイワイ和気藹々になる国など滅べばいい。      俺はいつでもみんなが一つのことで笑い合えるような国が欲しい』 ジャミル『理想論だな』 輝く笑顔で言った言葉があっさりと落とされました。 マラジン『うん、彰利にも一度言われたけどね、その言葉。      理想のない思考なんてそれこそつまらないじゃん。      こうあってほしい、こうだったらいいな、こうしたい。      キミがそんなことを考えもせずに行動し続けることが出来るなら、      理想論だな、という言葉を発しなさい。      それが出来ないならあなたの言葉に説得力など皆無です。      あなたはモンスターキングダムを復興させたいと思ってますね?      より強大な場所にしたいと思ってるでしょう?それが理想じゃなくてなんだ』 ジャミル『……いちいち勘に障るヤツだ。何が言いたい』 マラジン『人の理想にケチつけるヤツは頭の中が硬いヤツだ。      そのクセ自分は理想だらけの頭の中で自分だけが正しいって思ってる。      ……あのね?考えることは僕らに出来る数少ない自由だ。      それを口にしただけで鼻で笑われる理由は、笑うヤツの頭が寂しいからだ。      それがたとえどんな無茶で無理な理想でもいい。      考えて、夢に思うことのなにが悪か。考えることは自由であるべきだ!      そして僕は人が行える数少ない自由がなにより愛しい!多分!      それを理想論だな、と一言で切って捨てるヤツは……えーと誰かが許さん!!』 ジャミル『お前が許さなければいいだろう?』 マラジン『や……だってなにを言うのも誰かの勝手だし……』 ジャミル『……どうしたいんだお前は……』 さあ…… 思わずそう言いそうになるが、べつにそう困ったものでもない。 マラジン『どうしたいのかと問われれば、応えてみせよう放蕩とギース。      理想を思い浮かべることを、くだらないこと、みたいに思わないでほしい。      思ったことを口にする自由もあって然るべきさ。      でもね、自由対自由をぶつけるのはとてもつまらない。      思考の自由に対して発言の自由……それはあたかも、      てめぇの考えはつまらないから考えるな、とでも言っているかのよう……!      そんなのダメだ!その方がつまらない!だから僕と手を繋ぎましょう。      寂しい時、悲しい時、僕と手を繋いでみましょう。すると心が温かく───      なる前にその手を握り潰してくれるわグオッフォフォ……!!』 ジャミル『だから、お前はどうしたいんだ……』 マラジン『うむ!ジャミちゃん、晦のことをヨロシク頼む!      考え始めると止まらないヤツだけど、      それはイメージが武器なあいつのクセみたいなもんだから』 ジャミル『……?待て、それはどういう意味だ』 マラジン『俺、一人で行動するからさ。みんなが戻ってきたら、えーと……よし。      この手紙を渡してくれ。それで全てが上手くいく。これは確信だ』 ジャミル『…………まあいいだろう』 ジャミちゃんにホヤホヤの手紙を渡す。 そうしてから、地面を掘ってすっぽりと潜る。 あとは地面を掘って遠くまで行ったのちに出て、 走っていけば僕の足取りを辿るのは不可能って話さ! さて……じゃあ、ガイアフォレスティアでも目指しますかね。
【Side───弦月彰利】 とひょおおおおお…… 太陽 「かーこー……かー……こー……」 ボナパルドさんが眠っておった。 焦土と化した筈の草原はすっかりと緑が生い茂り、モサモサとしている。 じゃけんどもそこに中井出の姿はなく、地面を潜ったのか、 鬼面だけがぽつんと残されていた。 彰利 「しまった逃げられた!」 藍田 「なに!?提督さん居ないのか!?」 閏璃 「なにやってるんだモミアゲさん!」 悠介 「なんで俺!?」 閏璃 「よろしくモミアゲさん」 悠介 「ぐああああああっ!!」 うっかり返事してしまった彼が、モミアゲさんになった瞬間だった。 藍田 「ぬうう……俺も失礼させてもらう!提督さんが居ないのでは意味が無い!」 閏璃 「俺も失礼する!モミアゲさんとその仲間たちYと認識されたくないのでね!」 悠介 「嫌がらせだな!?それは新手の嫌がらせなんだな閏璃!!」 彰利 「俺は……どうすっかなぁ」 悠介 「───行ってくれ。提督を一人にしないでくれ。頼む」 彰利 「…………オッケ。やっぱお前、話解るわ」 悠介 「今更だろ、たわけ」 とんっ、と互いの胸をノックし合って、俺は藍田と閏璃とともに走り出す。 レイル氏は悠介から……というよりジャミルから離れるつもりはないらしく、 んじゃな〜とご機嫌な調子で手を振っていた。 ……さて。 中井出の野郎、何処まで行ったんかね……。 もしや意表を突いて背後に!? と振り向いてみると、ジャミ公に渡されたらしい手紙を読みふけっている悠介の姿。 ハテ?と思うや、悠介がアタイを見つめてこっちこい、と手を振る。 キャア!もしや愛の告白!?アタイのラヴレターを読んで……書いてないね、そもそも。 悠介 「ほれ」 彰利 「ウィ?」 走り寄ってみると、その紙を渡された。 彰利 「……悠介……ジャミ公からのラブレターを人に見せるのはどうかと……」 悠介 「そんなんじゃないっ!いいから、俺が持つよりお前が持ってたほうがいいから」 彰利 「……?」 差し出された手紙を手に取り、シゲシゲと見てみる。  ◆呪の手紙───のろいのてがみ  最初に言っておくが、これが不吉なものだと思ったのなら今すぐ呪さんに謝れ。  これは呪 益代さんの手紙という意味だ。呪さんはすごいんだぞ、呪さんはなぁ。  いやそれはどうでもいいか。旅に出ます。探してもいいけど見つけないでください。  それと、藍田くんと岡田くんを真に魔人群に入れたいのなら、  キミたちがやらなければいけないことが一つある。  1:儀式を行いたい人が寝付くまで待つこと  2:眠ったら、その人の上にこの紙を置き、晦が創造した10円玉を置くこと。  3:心を込めて祈りましょう。コックリーニョさんの降臨です。 ───! 彰利 「そっ……そうか!俺達は大事なことを忘れていた!!」 悠介 「ああ……俺も読んだ時は自分の愚かさに衝撃が走ったくらいだ……」 コックリーニョさんは、アタイらが原中であった、まさにその証。 過去抹消の際、恐らくともに消されたであろうコックリーニョさん…… それを持たずして、原メイツは語れない。 もう、中井出ンことを見限っているヤツらはどうでもいい。 それはヤツらの勝手だ。 だが、だがしかしだ。 それでもなお中井出ンところに集う者が居るのなら、 そいつらがコックリーニョの加護を持っていないのはつまらない。 それは……俺や、悠介も。 彰利 「悠介……解ってるな?この紙を見るまで思い出せなかったってことは……」 悠介 「ああ。関係ないところから、少しずつ俺達の記憶も消されていってる」 彰利 「俺はやるぜ?お前は?」 悠介 「もちろんやる。おーいレイル氏ー!」 レイル「……どうでもいいけどさ。なんでみんな俺のこと氏付きで呼ぶんだ?」 彰利 「OH?レイル=氏=金時が名前じゃなかったっけ」 レイル「どんな名前だそりゃ」 悠介 「…………《じゅるり》」 彰利 「そこ、涎」 悠介 「うおっ!?い、いや、すまん……」 レイル「なんで俺見て涎たらせるんだよ……」 いや……そういえばここ最近、日本食らしい日本食から離れて久しいなとか思ってたから。 そこに来て宇治金時……甘味でいいからこう、日本っぽいものが食べたいな……。 たかがカキ氷と笑わば笑え、俺はそういう風物詩的なものが─── 悠介 「はぁあああああっ!!!」 彰利 「うわいっ!?なんじゃい急に奇声あげたりして!」 悠介 「かっ……カキ氷……!」 彰利 「無視していいです、発作ですから」 レイル「そうなのか」 悠介 「急に理解のある人みたいに対処するな親友!     カキ氷だよカキ氷!俺達はまだこの夏、カキ氷を食べていない!     風物詩だろ!ダメだろそういうのないがしろにしちゃ!」 彰利 「プールに行ったじゃん」 悠介 「あんな塩素臭い科学的な水に入ったくらいで風物詩を語るなトゲ毛」 彰利 「トゲ毛!?」 悠介 「あー……あ〜〜〜……よしジャミル!モンスターユニオンを復活させるぞ!     そしたらその足でノースノーランドに行く!」 彰利 「創造した方が早いんでない?カキ氷をこう……」 悠介 「馬鹿!」 彰利 「なんだと馬鹿!馬鹿って言ったヤツが馬鹿って言ったら馬鹿なんだぞ!     ……しまった俺が馬鹿だ!」 悠介 「こういうのはその場所に行って食うから風情があるんじゃないか!」 彰利 「アンだとコノヤロー!     吹雪逆巻く場所でカキ氷食うことのどこに風情があるんじゃい!」 悠介 「江戸っ子いつでも我慢の子!!」 彰利 「ただのヤセ我慢じゃねーかよそれ!!しかも江戸ッ子じゃねーし!」 悠介 「黙れ親友!」 彰利 「どんな罵倒じゃいそりゃあ!」 レイル「おーい、いいのかー?お二人さん、ぐんぐん豆粒になっていくが」 彰利 「あれ?───ゲェエエーーーーッ!!ま、待ってぇえーーーーっ!!」 遠く離れてゆく藍田と閏璃の後姿に、彰利が慌てて追いすがってゆく。 そんな彰利に、創造した10円玉とコックリーニョ儀式紙を投げ渡す。 ちなみに10円玉は複製すると大罪になるから、ちょっと変えといた。 表面は10円だが、裏面がこう……提督の顔を彫ったものになってるんだ。 うん、不気味だ。 悠介  「……じゃ、寝るか」 レイル 「そだな」 ジャミル『随分と騒々しい夜だ……』 【Side───End】
潜りに潜り、移動に移動を重ね、どれくらい経っただろう。 何度目かの息継ぎのためにがぼんっ、と夜空の下に顔を出した僕は、がしぃ! マラジン『おや?』 女性  「あ、う……」 出た途端に、謎の女性に捕まった。 ……タレ? ていうかあのー……なんかここ、見覚えが……。 あれぇ!?デルフェルの町じゃない!?だってほら!離れた場所にコロシアムあるし! どれだけ戻ってるんだよ僕! マラジン『キミ。我輩はエトノワール皇帝マラジンである。      そんなマラジンがキミに質問だ。……どうして僕を捕まえたの?』 女性  「……ばんごはん……」 マラジン『よしなさい!お腹壊しますよばっちぃ!……うわぁああああん!!』 自分の言葉に泣けてしまった。 女性  「皇帝……あなたが……?だったら……お願い……。      この世の中を変えて……。以前の……子供だった頃の日々を返して……」 マラジン『断る!!《どーーーん!!》』 女性  「どうして……!?あなた、あなた皇帝でしょう……!?      もういや……いやなの、こんな世界……!      なんでもかんでも金金金……!力のないものは何も出来ず、      金もないものはこうして日々を生きるだけでさえ必死……!      作物が盛んだった頃は、たとえ貧しくても家族みんなで生きていけたのに……!      機械が、汚い空気が世界を覆いつくしてから、作物は取れなくなった……!      母が死んだ、父が死んだ……!兄弟が死んで、もうわたし一人……!      わたしたちがなにをしたっていうの!?      わたしたちはただ……贅沢なことなんて望まず、      家族で、貧しくても笑いながら生きていたかっただけなのに……!      ……返しなさいよぉお……っ……!あの頃を返してぇええっ……!!」 マラジン『断る!!《どーーーん!!》』 女性  「っ……〜〜〜……ふ、うぅう……ぐぅぅっ……!!」 女性が泣き出した。 握ったままの僕をザ・万力のような力でメキメキと締め上げゴアアアア……!! 女性  「なにが皇帝よっ……なにがっ……!      結局わたしたちからお金をしぼりとって、      それだけじゃ飽き足らずに働かせて、      自分の理想となる世界を作らせていってるだけじゃない……!      働かせるだけじゃ飽き足らないの……!?      望み通りの町が出来上がるだけじゃ足りないの……!?      お金お金お金お金って……      わたしたちがどれだけの苦労をしてお金をためてると思ってるの……!?      それを、皇帝だから王だからって理由で奪って……!」 マラジン『僕奪ってないけど』 女性  「これから奪う気なんでしょう!?きっとそうなんだ!」 マラジン『うおら!』 女性  「《ゴパァン!!》ぱぶっ!?」 とりあえず無礼なので殴りました。 外道?好きに呼ぶがよいわ!! 女性  「ほ、ほらみなさい……!気に入らないことがあるとすぐ《ゴパァン!》ぶっ!」 マラジン『気に入らないのは貴様の言動だけだ!      人の話は聞かないくせに自分の話は聞いてくださいですか〜コノヤロー。      大体よぉ?ムシがよすぎるんだよぉお前さん。      も〜ちょっと周りを見たほうがいいんじゃあねぇのぉ〜?      自分が不幸だからって、おたくもう自分のことしか見えてないでしょお。      そんなんじゃダメですよ、幸せも裸足で逃げていって画鋲踏んで絶叫だから。      で、おたくなに。物乞いかなんかやってるの?      晦からかっぱらったフェルダール硬貨あげるから、人生破壊してみなさい?』 女性  「───!《ババッ!》……か、返さないわよ!?これはもうわたしのもの!」 マラジン『わあ、やっぱ人間って汚いや』 僕の手からフェルダール硬貨をひったくると、 女性はズダーーーッ!と信じられん速さで去っていってしまった。 ほら見なさい、結局は文句を言いつつ金があればそれでいいんじゃないか。 お金お金お金って、あなたはその硬貨にどれほどの思いが込められるとお思いか。 思わずそう返したくなるほどの逃げっぷりでしたよ。 なんだか“勝った!わたしは人生という賭けに勝ったんだー!”とか言ってるし。 マラジン『………』 まあ、僕の理想論だけ押し付けるのもつまらない。 個々の考えは個々のものだし、だからこそ僕はいろいろツッコんだわけだ。 いいじゃない?それで。 マラジン『さて───フオッ!?』 月夜の地面に伸びる僕の影を、影が覆った。 雲とかではなく、ヒトガタの─── マラジン『な、なにやつ!《ザゴォンッ!》ギウッ!!』 振り向いた時にはもう遅い。 俺の体は頭から両断され、見るも無残な姿で地面に転がり、───炎と化した。 ?????「───!?」 マラジン 『ゲフェフェフェフェ、擬態さ……!』 灼闇で作った僕の影は、月夜に溶け込むくらい精巧に出来ていた。 月の光がところどころを照らしてくれるお陰で、 一見ではただのモンスターにしか見えない。 マラジン 『……おや、これは驚き。キミは案外大人しいと思っていたんだが。       声もなしに切りかかるようには思ってなかったのは、俺の思い違いだった』 レイチェル「───」 夜風に吹かれ、たなびく髪とエプロンドレス。 巨大な剣を月夜に照らし、どこか険しい顔で立つのはレイチェルさんだった。 しっかりとメイドさんの格好で。 レイチェル「言葉が話せるなら好都合です。……澄音さんを何処にやったのですか」 マラジン 『あれ?』 なんだか物騒です神様! これはいったい……!? マラジン 『……こっちだ、ついてきなさい』 レイチェル「───」 ワケも解らんままに歩き出すと、しっかりついてくるレイチェズボォッ!! レイチェル「ひうっ!?」 マラジン 『ひっかかったぁっ……!!』 上手く誘導してやると、僕が出てきた穴に左足を沈めてしまうレイチェルさん! その隙をついて、僕はカルキを出現させると、戸惑う彼女の腹にボディブロー一閃!!  ドボォンッ!! レイチェル「───、……《がくっ》」 悪は去った……。 じゃなくて、気絶した。 ゲェエエフェフェフェフェ……!!では早速いただこうかねぇ……貴様の金を!!  ゴソ、ゴソゴソゴソ……デゲデデーーーン!!《勝者権限!金を半分強奪した!!》 マラジン『ひーふーみー……ホッホォォォォ持っとるのォォォォ』 ………………。 マラジン『しまった金を入れる場所がない!!』 我が鬼面は秘密のポケット! 工夫すればかなり入るが、鬼面を置いて逃げる時に、 地面の下でわざわざアイテム回収すんのが面倒なんだよね。 だからこの金は……戻しておきましょう。もったいないけど。  ガシャガシャチンッ♪《お金を返した!》 ふう、これでよがしぃっ! マラジン 『くごっ!?』 レイチェル「人の……心配する心を利用するなんて……」 ああヤバイ!目ェ覚めたみたい! だが言わせてもらおう! マラジン 『馬鹿め!俺は利用するものはなんでも利用するわ!だって悪ですもの!       善を名乗っておいてなんでも利用するヤツとは違うのよ!       あ、いや、善を名乗っておいて、実は悪だったというのならそれもまた……』 レイチェル「……、澄音さんは、どこに……」 わあ、この人すっごい必死です。 よほどに大事なんだろうね、あのスマイルくんのことが。 だがハッキリ言って俺には関係ないわ! 困っている人が居るから助けます? よしてくださいよ旦那ァ、僕には僕のするべきことがあります。 でもです。 マラジン 『質問です!スマイルくんは誰に攫われたのですか!?』 レイチェル「…………黒い服を着た、妙な仮面を身につけた存在に……」 マラジン 『仮面……ってもしかして僕、鬼面つけてるってだけで狙われた!?』 レイチェル「なにを今更……!あなたが、あなたがたが攫ったのでしょう……!?」 マラジン 『───……』 よし目的変更!面白そうだ! 謎の仮面軍団……!どんなヤツなんだろ! え?すべきことはどうするのかって?面白けりゃいいんですよグオッフォフォ……!! マラジン 『僕はそんな仮面の軍団ヴァイザードなんて知りません。       だからその軍団を滅ぼしにいきましょう!』 レイチェル「……当てはあるのですか?」 マラジン 『とりあえずそこの町に行ってさ、吐かせやしょうぜ姉御。       なぁに、二、三百発殴ってやれば吐きますぜ、えーとエクトプラズムとか』 レイチェル「死んでます、それ」 マラジン 『……無駄にスケールをデカくしたらカッコイイかなって思ったんだ……』 レイチェル「空回りですね……」 うん、僕の人生ほぼ空回り。 でも、だからこそ面白いのだ。 ククク、善には解らぬ楽しみが悪にはあるのだよ悪には。 なにせ悪が善を働くとやたらと褒められて、 その喜びの表情を悪でカオスに落とす時の喜びといったらまさに……!
───プライスレス─── ……お金で買えない、価値がある……
などとお馬鹿なことやってないで、なんとかしましょう。 えーと、纏めるとスマイルくんが仮面の軍団に攫われたらしい。 その時レイチェルさんがなにをしていたかは解らんが、 きっと一服盛られたかなにかされてたんでしょう。 遠くからシビレ吹き矢とかくらったりした、とか。 マラジン『うむ!情報が少ない!何処に、どの方向に、どのように向かったかとかは!?』 ……首を横に振られました。 ウクク〜〜〜ッ!!こ、この小娘がぁああ〜〜〜っ!! 人がやさしくしてやりゃあつけあがりやがって〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!! ……などと意味もなく怒ってみてる場合じゃあござんせん。 それにウクク〜ってなんだ? ていうかそもそも年上っぽいです。 マラジン 『じゃあそうだねぇ……獣人でもあたってみますか。       なにかの生贄的なものにする気に違いねぇ〜〜〜〜っ!』 レイチェル「い、生贄……!?」 穏やかじゃないが、攫うにしたって理由がある筈さ。 だからそういうことにしとこー。 物騒な方が、立ち上がる気にもなれるってものです。 それに、生贄を助けに獣人の住処に突貫……!とってもファンタジー!! よし行こうやれ行こう! そして僕らは今日か明日あたりに生贄を救う臆者になるんだ! 勇者じゃないのは気にしないでお願い。 マラジン 『獣人の住処が何処にあるのか知ってらっしゃる?』 レイチェル「………」 首を振られた。 むう……これは困った。 マラジン 『あ、じゃあ地図持ってたりとかは……』 レイチェル「それは、あります」 コサ、と取り出された地図。 それを受け取ると、ザッと目を通して…………世界の形から、 ビーストキングダムがあったあたりの場所を捻出、そこへ向かうことにした。 ウォズトロヤ、という名前じゃなくなっていたが、きとそこに違いないさ! 勘違いだったらごめんなさい獣人さん。 そんなわけで、穴からレイチェルさんを救出した僕は、一路ニサンへ……じゃなくて、 ビーストキングダム跡を目指したのでした。 Next Menu back