───冒険の書288/本日は暴露、ところにより世界大戦───
【ケース725:───/緑(髪)の日々】 ……。 ミク 『大魔王ヒロミツ!わたしと一緒に帝国に───!』 中井出「これ!朝の挨拶はおはようでしょう!?」 ミク 『あ、えと……お、おはようございます』 中井出「はいぃ〜よく出来たわね〜〜。     じゃ、朝ごはんできてるからさっさと食べちゃいなさい。     ご飯は?大盛り?中盛り?」 ミク 『大盛りで!』 ……。 ミク 『ごちそうさまでした!───さあ大魔王ヒロミツ!帝国に───』 中井出「まあま、食後のうまティーでも飲みなさい」 ミク 『えっ……あの、その、それよりも……』 中井出「じゃあ飲みながらでいいからまず飲みなさい」 ミク 『は、はあ……《くぴっ……》わぁっ!美味しいですこれ!』 中井出「そうかいそうかい、た〜んとおあがり」 ミク 『はい!』 ……。 ミク 『はふぅ〜〜……幸せで───ハッ!?     そ、そうじゃないです!大魔王ヒロミツ!わたしと───』 中井出「なんだい!今(まき)を斬ってるんだから邪魔するんじゃないの!後にしとくれ!」 ミク 『えぇ……!?』 ……。 ミク 『斬った薪はここに積んでおけばいいんですか?』 中井出「そうそう。ミクは気が利いて偉いねぇ〜」 ミク 『《なでなで》あ、あぅうう……』 ……。 ミク 『猫さん、洗った食器、ここに置いておきますね』 ケマル『ご苦労さまニャ!     旦那さんの紹介だからどんなコかと思ってたけど、アンタ働き者ニャ!』 ミク 『え、えへへ……』 ……。 ミク 『───ふんふんふ〜ん♪褒められちゃいまし───って違います!!     なにを暢気に鼻歌を歌ってますかわたし!大魔王は!?大魔王はどこですか!?』 ……。 ミク 『見つけました!大魔王ヒロミツ!あなたは』 中井出「おお丁度良かった。今昼飯の下ごしらえしてるんだ。ちょっと手伝ってくれ」 ミク 『も、もうその手には乗りません!     わたしはマスターのために《かぽっ》ふぐっ!?なにを……あ、美味しい……』 中井出「美味いか。そっか。……みんなには内緒だぞ?」 ミク 『……は、はいっ』 ……。 ミク 『みなさーん!お昼ごはんですよー!』 彰利 「これが今日の昼飯か〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」 藍田 「どおれ今日は大食らいしてやるとするか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」 閏璃 「提督さんのメシって結構美味いからな……っと、おお?新しい味発見」 中井出「おっ、それはミクの作ったやつだ。美味いだろ」 閏璃 「お、そっか。こりゃ美味い。ミクは料理も出来るんだなぁ」 ミク 『え、えへへ……えへへへへ……』 彰利 「いいお嫁さんになれそうじゃて」 ミク 『お嫁さんだなんて、そんな……えへへ……』 ……。 ミク 『ごちそうさまでした〜』 中井出「ああ、食器は俺が片付けとくからミクは休んでていいぞ?」 ミク 『え?でも悪いです』 中井出「いいからいいから。っと、ほら。デザートのプリンあげるから」 ミク 『いいんですか!?』 中井出「味わって食うんだぞ?」 ミク 『ありがとうございますっ!』 ……。 ミク 『《もくもくもく……》はぁあ……幸せです……』 彰利 「おーい悠介ー!ルナっちが到着したぞー!」 悠介 「おー!って待て!なんで来て早々怒り心頭なんだお前は!     待て!待てって《がぶっ!》ぐわぁーーーーーっ!!」 彰利 「……どぎゃんして首に噛み付くんでしょうねぇルナっちってば」 ……。 ジャミル 『動く……動く!皆の者!エルメテウスが……ボ・タが復活したぞぉっ!』 モンスター『ウオォオオオオッ!!』 ミク   『……?なんの騒ぎですか?』 中井出  「おおミクか。いやなに、       モンスターキングダムがようやく動くようになったんだ。       そのことについてモンスターたちが喜んでいるんだ」 ミク   『はあ……キングダムが……?───《ハッ!》そ、そうでした!       大魔王ヒロミツ!いい加減に───』 アイルー 『旦那さーん!武具のことで相談があるニャー!』 中井出  「おっと。悪いなミク、その話はあとだ」 ミク   『そっちのほうこそが後です!       わたしはマスターの意思の優先がなにより《くしゃっ……》はうっ!?』 中井出  「いい子だから。な?」 ミク   『《なでなで……》あぁああううぅう……』 ……。 アイルー『ある日猫は閃いたニャ。もう旦那さんの武具を鍛えるのは至難の業ニャ。      だから、形成している武具ひとつひとつを鍛えれば、      ジークフリードを鍛えるよりも効率がいいと踏んだニャ』 中井出 「それってつまり、ハウリングナイフとかをエジェクトして鍛えるってことか?」 アイルー『そうニャ!つきましては旦那さん、      ちょっと値が張るけどそこのところを任せてくれると嬉しいニャ』 中井出 「む、むう……ところで値が張るというそのお値段はいかほど……?」 アイルー『えーとまず手数料と人員と速度手当てを貰って、      そこに基本料金と武具の数分の値段をプラスして、      そこから旦那さんサービス料金を差し引いて……《パチパチパチ……》。      こんなもんで如何かニャ?』 中井出 「ムホッ!?ね、猫さん、これはいくらなんでも高すぎるのでは……!」 アイルー『姫さんに預けてる機械の合成料金を無料サービスにしての値段ニャ。      これでも大分サービスしているのニャ』 中井出 「クク〜〜〜〜ッ」 アイルー『ムウウ〜〜〜ッ』 ……。 中井出「ミク〜!ちょっと両替に出るから付き合ってくれるか〜?」 ミク 『あ、はーい!それじゃあ猫さん、大魔王ヒロミツが呼んでいるので───ハッ!     また忘れるところでした!丁度いいですさあ行きますよマスターのもとへ!』 中井出「帰りにケーキ買っていこうな。付き合わせたお礼だ」 ミク 『…………ま、まあ……もうちょっと時間に余裕を持ってもいいですよね』 ……。 老婆 「ヒェッヘッヘ……アンタ、このルートを何処で知ったんだい……」 中井出「大根屋のボレポレさんに。ルナ、という人物からのツテで」 老婆 「へぇ……アンタ、ルナ公の知り合いかい。     ボレポレのやつめ、女と見るやす〜ぐ口を軽くする……。     まあいいさ、フェルダール硬貨は?何枚持ってるんだい」 中井出「とりあえず10枚で」 老婆 「ふひょっ!?じゅ、10枚も持ってるのかい!あんたナニモンだい!」 中井出「デジモンです。正式名称は“ヘイ・カモン”です。能力は誰かを呼ぶことです。     え?そういう問題じゃない?     ククク……そういうことは訊かねぇのが裏世界のルールってもんだぜ」 老婆 「……はんっ、ガキが一端の口叩くんじゃないよ。     それじゃあ枚数割引もついて6億オロだ。文句はないだろうね」 中井出「ちょっと待て老婆。1枚億オロなんてざらなレートだろ。4億はどこいった」 老婆 「甘ったれんじゃないよ、こちとらこれでメシ食ってんだ。     アンタばっかが儲かる手法でこっちが食ってけるわきゃないだろ」 中井出「ちっ……足元見やがって……。いいだろう、成立だ」 老婆 「また来な。次は少し色をつけてやるよ」 中井出「商売上手だなぁ。……その時は是非」 ……。 ミク 『不思議な交渉でしたね……』 中井出「まあいろいろあるから。そしていきなり億万長者チックな僕参上」 ミク 『よかったんですか?貴重なフェルダール硬貨を10枚も……』 中井出「だってまだ1万枚以上あるし」 ミク 『はえぇっ!?い、いぃっ……いちま……!?』 中井出「さ〜あ猫だ!ドワーフだ!頑張ってもらうぞ〜!」 ミク 『うぅ……何者なんでしょうこの人……───ってそうです大魔王ヒロミツです!』 中井出「ほらミクも!頑張ってもらうぞ〜!」 ミク 『え?え?も、もらう、ぞ〜?』 中井出「覇気が足らぬわ!もっと大きな声で!ワンモアセッ!」 ミク 『ががが頑張ってもらうぞー!───じゃないです!大魔王ヒロミツ!今───』 中井出「じゃ、ケーキ屋行こうな」 ミク 『どこまでもっ!』 ……。 ミク 『あのあの、よかったんですか?     散々食べさせてもらったうえに、お持ち帰りまで買っていただいて……』 中井出「いいのいいの。いつもいろいろ手伝ってもらってるお礼だから」 ミク 『いえそんな、わたしは居候なんですから、それくらい───居候?     あ、あーーーっ!!そうですよ!わたしこんなことをしてる場合じゃ』 中井出「むっ!?いかん!ご老人が重い荷物に難儀しておられる!ゆくぞミク!」 ミク 『へあっ!?は、はいぃっ!』 ……。 ミク 『飴玉もらっちゃいました……』 中井出「この世界にも飴玉ってあるんだなぁ……ああいや、     自分の世界ばっかりが優れてるとかそういう考えは捨てとくべきだな、うん。     あって当然あって当然、と」 ミク 『《はむっ……コロコロ……》あ……美味しいです』 ……。 中井出「ただいまやー!今帰ったでー!」 彰利 「わー!パパパパ!お土産は!?」 中井出「古本屋にあったバーバパパをどうぞ」 彰利 「なぁああああつかしぃいいいーーーっ!!」 閏璃 「パパ!俺には!?」 中井出「メリケンサックをどうぞ」 閏璃 「………うおお……本物だ……」 中井出「藍田くんにはこれを」 藍田 「……付け髭?」 中井出「執事だから似合うかもと」 藍田 「なるほど!《スチャリ》……どう?」 閏璃 「おお!どこからどう見てもヒゲをつけた藍田くんだ!」 藍田 「まんまじゃねーかよそれ!」 彰利 「わー!全然紳士っぽくねー!」 悠介 「むしろ胡散臭い男になったな……藍田っていうよりヒゲだ。怪しいヒゲ男」 レイル「確かに」 藍田 「ヒゲ、って誰ェエ……もしかして俺ェエ……?     ……もう……取っちまうかなぁ……こんなヒゲ」 ……。 中井出 「ミクー!ミクやー!」 ミク  『あ、はーい!』 中井出 「ちょいとすまんが手を貸してくれ。      猫もドワーフも全員武具の強化してくれてるからさ、ちょっと手が足りなくて。      そっち、ちょっと押さえといてくれ」 ミク  『はい。こうですか?』 アイルー『もうちょっと強くニャ』 ミク  『あ、はい』 ……。 ミク 『はー……ちょっと疲れちゃいました』 中井出「お疲れさん。疲れた体にクエン酸!というわけでレモン水!」 ミク 『わあ、ありがとうございますっ』 ……。 中井出「ふわぁっはっはっはっは!マア素敵!!ついに風呂が完成しましたわ!」 藍田 「今まで水浴びばっかだったからなぁ」 彰利 「提供は運命常識創造破壊三人衆でお送りします」 悠介 「こいつらほんと、なんでもかんでも超越させるもんだから体が保たねぇよ……」 閏璃 「おお、晦が溜め息吐きながら愚痴るほどか」 中井出「ところで魁クロマティ高校を“さきマティ”と略した     根強い幕張ファンは何人くらい居るんだろう」 彰利 「知らんよそんなん!!」 ……。 ミク  『はぁ〜〜〜……お風呂って気持ちがいいですね〜……』 シャル 「ふう……旅もこれはこれで楽しめますが、      好きな時にお風呂に入れないのが難儀なものです」 悠黄奈 「まあまあ。こうして自然たっぷりの移動お風呂に入れるんですから、      もうそんな心配はいらないでしょう」 ミク  『わあ、王妃様のお肌、スベスベですね』 シャル 「……なんとなくその話題は出てくるのでは、とは予想していましたわ」 シェーラ『おお、そうであろうな。      ところでわらわの湯に濡れた翼を見てくれ。これをどう思う?』 エィネ 『すごく……重そうです……』 ……。 中井出「親衛〜隊〜は〜、洗い残しし〜ない〜♪」 総員 『親衛〜隊〜は〜、洗い残しし〜ない〜♪』 中井出「…………ね、ねぇ彰利?これが今の地界の体の洗い方なの?ほんとに?」 彰利 「イエス。ブラシに石鹸つけて、思いっきり泡立たせたら、     二刀流でそれをもってケツとウェポンを同時に洗う。     これぞアニメ・ドルアーガ塔の愛溢れるボデーウォッシュ」 中井出「いやあの……僕それ知らないんだけど……」 彰利 「知らないからやるななんてどこのジャイアンだいそりゃ。     やりたいと思ったらやる。そんな自由を目指しなさい」 中井出「でもやめとくよ僕。知識の深い人は知識の薄い人には厳しいものなのさ。     僕はそんな人々に愚痴られないような生き方をしたいのです」 彰利 「じゃあ覗こう!」 中井出「ワケ解んねーよ!!」 彰利 「まったくだ!!」 声  『うふふ彰利さーん?覗いたりなんかしたら……捻り斬りますからね』 彰利 「何処を!?怖いよ!声だけでもう怖いよ悠黄奈ちゃん!!」 ……。 閏璃 「はぁ……けど、こうやって大人数で風呂に浸かるのなんてどれくらいぶりだか」 彰利 「ガッコの修学旅行ぶりくらいじゃねーの?」 中井出「そうだなぁ。しかしそういうこと思い出すと、確かに疼くは遊び心。     なにか……なにかこの時にしかできないことがしたくなる愛の悲鳴(アイスクリーム)」 悠介 「裸の時にしか出来ないことねぇ……」 彰利 「熱き男の魂でも表現してみるとか」 中井出「また下品とか言われそうだ」 彰利 「ホホ、言いたいヤツには言わせときゃあいいのよ。というわけでさぁゴー!     まず両手を頭の後ろへ!弾むようにー!上!上!下!下!《フンフンサッサッ》     はい次!両手を腰に当てて、     腹筋を意識してワンツー!左!右!左!右!《くいっくいっくいっくいっ》     最後は顔をゴリラっぽくしつつ頬を染め、     唱えるとともにギョクを握る!B!A!《ギュッYギュッY》     その際、ハートを撒き散らすことを忘れてはいけません。さあご一緒に!     上!上!下!下!左!右!左!右!B!A!《ぎゅっYぎゅっY》     上上下下左右左右BA!さあみんなも一緒にやるんだ!     俺達の仲間になろう!恥じることがあっても気にするな!」 中井出「彰利よ」 彰利 「え?なに?」 中井出「大変言いやすいんだが、エィネに覗かれてるぞ」 彰利 「ぐわぁあああああああああああっ!!!!」 エィネ『ごごごごめんなさいごめんなさいぃいっ!     なにやら賑やかだなと思ったものでぇええっ!!!』 悠介 「すまん彰利!親友やめてくれーーーっ!」 彰利 「か、堪忍してぇえ!!」 ……。 彰利 「いっただっきさまー!」 中井出「じゃあ彰利の皿は片付けちゃっていいぞー」 ミク 『はーい』 彰利 「アルェエ!?なして!?なしてそげなことするの!?」 中井出「だってお前もうごちそうさましたじゃん。     “いただきさま”はいただきますとごちそうさまを同時に言うものだろ?     ごちそうさました分際で箸動かすなクズめ!」 彰利 「なんのイジメですかこれ!よ、よせよう!今の取り消すよう!片付けるなよう!」 ……。 ミク 『ごちそうさまでした』 中井出「よし。じゃあ俺、猫とかドワーフにメシ差し入れてくるから。     悪いけど食器洗いよろしくな」 ミク 『はい、任せてください頑張っちゃいます!』 ……。 アイルー『な〜〜〜う……うう……そろそろ眠いニャ……』 中井出 「眠気覚ましに毒をどうぞ」 アイルー『永眠するニャ!真顔でなに言い出すニャ旦那さん!』 中井出 「よし目が覚めたね?じゃあ頑張ってみよう」 アイルー『……猫遣いが荒いニャー……旦那さん……』 中井出 「あの……眠りそうになったら起こしてくれって、      キミにこそ頼まれてるんですけど僕」 ミク  『お茶が入りましたよ〜。どうぞ飲んでください』 アイルー『ニャニャ、これはありがたいニャ。      嬢ちゃんも帝国なんかについてないで、      ここで働いてくれたほうがありがたいのにニャ』 ミク  『そうもいきませんよ。わたしは帝国キャワーーーーッ!!?      ままままた忘れてました!もう夜です!      大魔王ヒロミツ!観念してわたしと一緒に来てください!』 中井出 「観念って……なんの?」 ミク  『え?なんの、って…………なんでしょう』 中井出 「解ったら改めて声かけてくれ」 ミク  『あ、はい』 アイルー『……馬鹿ニャ、この娘』 ……。 ミク  『すぅ……すぅ……うぅう……観念……観念……?かん……か……ん……うぅう』 中井出 「んお?……考えながら寝るとは達者だな……。なにがと訊かれても解らんが」 アイルー『旦那さん、もうちょっと明りで照らしてほしいニャ』 中井出 「うむ」 ……。 ケマル 『《ドジュウウ!!》ギャニャーーーッ!!』 イッケク『大変ニャー!ケマルが寝ぼけて炉に手を突っ込んだニャー!』 中井出 「ててて店長ォオオオオ!!店長を呼べェエエエ!!」 ……。 ジョニー『ボクを本気にさせたのはァア……ミステイクだったニャ!』 中井出 「ジョニ〜、寝惚けてないでこれ頼む〜」 ジョニー『ニァアア〜〜ウ……解ったのにゃー……』 ……。 ジニー  『一番、上がったニャー!』 イッケタリ『四番、上がったニャー!』 ジョニー 『三番五番、お待たせニャー!』 中井出  「おお!ハウリングナイフがどえらい強さに!       これならエジェクトしたときとか面白そうだ!」 アイルー 『6億分の仕事はしっかりとさせてもらうニャ!ニャフフフフ……!       これだけあればしばらくは新発売の猫缶がニャフェフェフェフェ……!』 中井出  「なんかちょっと僕、黒い笑いとか控えるべきかなぁとか思いました」 ジョニー 『旦那さんは旦那さんのままで居るのが一番だニャ』 中井出  「それもそうだね」 ……。 ミク 『う……う、ん……あれ……?わたし、寝ちゃって……』 彰利 「筋!肉!筋!肉!」 閏璃 「筋!肉!筋!肉!」 レイル「筋!肉!筋!肉!」 悠介 「筋!肉!筋!肉!」 中井出「筋!肉!筋!肉!」 オリバ「フフ……今宵ハマッスルカーニバルダ……ユックリシテイクトイイ……」 ミク 『ほきゃーーーーーっ!!?《……がくっ》』 オリバ「オヤオヤ……フフ、気絶シチマッタゼ」 ……。 ミク 『う、ううう……なんだかひどい夢を見ていたような……』 彰利 「うおおお!筋肉旋風だぁーーーーっ!!」 閏璃 「センセイショーーーン!!」 中井出「筋肉いぇいいぇーーーい!!」 レイル「筋肉いぇいいぇーーーい!!」 オリバ「フフ……続イテファイナル筋肉ダ」 ミク 『…………《ふっ……がくっ》』 ……。 ミク 『……うう……悪夢です……悪夢がぁああ……───はっ!?』 中井出「……?どうした?すごい汗だぞ?」 ミク 『え……あれっ?ま、マッスカーニバルは!?     マッスルセンセーションは!?ファイナル筋肉は!?』 中井出「いや……話だけでも物凄い悪夢だってことは解った」 ミク 『え……えぇ……?夢、だったんですか……?     なんだかホッとしたようなそうでないような……』 中井出「というわけでワシもう幻海。眠気が絶好調なので寝ます」 ミク 『え?あ、はい。おやすみなさい』 ……。 閏璃 「あーーーーさーーーーっ!!」 レイル「ふっ……今日も朝露に包まれた要塞が心地いいマイナスイオンを発しているZE」 彰利 「というわけでドリアードをガイアフォレスティアに置いてきたぜ〜〜〜〜〜〜っ」 悠介 「物凄く渋ってたが、うまティーで手を打った」 閏璃 「ドリアードってどの代でも結構我が儘なんだな……って、何処行くんだ?晦」 悠介 「提督が寝てるから悪戯書きを少々」 藍田 「紳士のたしなみですな。同行しましょう」 閏璃 「それは俺も同行せずにはおられぬ」 レイル「基本だな……っと、居た居た。うわー、猫とかドワーフとかも力尽きまくってる」 彰利 「ではみなさんご一緒に?」 総員 『ホ〜ワ〜イトニング〜♪《キュッキュッ♪》』 ……。 中井出「お前ら鬼だよ……どれくらい鬼かっていうと、     泣いた赤鬼くらい……あれ?じゃあいい鬼なの?     しまった例えが悪かった。いや、泣いた赤鬼が悪いっていうんじゃなくて。     あれ?じゃあいい例えなのか?」 悠介 「提督ー、日本語に疑問を抱いてないで朝飯にするぞ〜」 中井出「待て!その前にレィディォウ体操だ!」 悠介 「昨日そんなのやらなかっただろうが!」 中井出「昨日は昨日、今日は今日さ。ほらミク〜?朝だぞ〜」 ミク 『んむ……は、ふぁいぃ……』 ……。 シャル「《さくっ。ぶしー!》ホキャーーーーッ!?」 中井出「キャーーーッ!!?」 ケマル『ニャニャーーッ!?姫さんが指を切ったニャーーーッ!!』 ミク 『大丈夫ですか王妃さ───ハッ!?そうでした!     わたしには帝国の使命をまっとうする使命が……あれ?使命の使命って……』 中井出「バカモン!人が危険な時に使命がどうなどと……恥を知りなさい!」 ミク 『《ガーン!》そ、そうです……そうでした!王妃様平気ですか!?今治療を!』 中井出「そしてシャル。キミ不器用すぎるので料理禁止」 シャル「ううっ……そんなぁ……」 ……。 中井出「よぉーーーっしゃーーーい!今朝はしっかりがっつり博光特製うどん!!     朝だからこそしっかりとコシのあるものを噛んで、脳を起こすのだ!」 総員 『サーイェッサー!!』 ……。 ドワーフ族『完成だぁーーーーーっ!!』 アイルー種『ニャーーーーーーーッ!!』 中井出  「くっ……昼の陽気が暖かいぜ……!長かったな長さん……!」 アイルー 『フッ……これほどまでに武具に集中したのは久しぶりニャ……!』 ミク   『………』 中井出  「さあミクも喜びを───ミク?」 ミク   『あなたはその武具で、どんなことをするんですか?』 中井出  「私利私欲のために様々なことをグエッフェッフェ」 ミク   『ここ数日、一緒に行動してみて解りました。       あなたは大魔王とか、そんな風に周りに呼ばれるような人じゃあありません』 中井出  「そりゃ、最初は周りが勝手に言い出したことだしね」 ミク   『聞かせてください。何故そんな状況を甘んじて受け入れているんですか?       誤解があるなら解けばいいのに……』 中井出  「魔王自身が話したって、誰も信じてくれやしないんですよ?       何故って魔王だからね。捏造の魔王でも、人間たちにすれば立派な悪なんだ。       近づけば逃げるし、話し掛ければ怯えて敵意剥き出し。       ほら、誤解を解くことなんてまず無茶だ。       だからね?そんなつまらんことをするくらいなら、       いっそ魔王として遊んだほうが面白いのよ」 ミク   『でも』 中井出  「ミクだって俺を大魔王大魔王って言って、帝国に連衡したがってるだろ?       俺が魔王じゃなかったら、お前は俺のところには来なかった。       どんな誤解だろうが六階だろうが、そういう起源はやっぱりあって、       それでも俺本人が楽しめてるんなら……それでいいんだよ、ミク」 ミク   『《なでなで……》大魔王ヒロミツ……』 中井出  「長ったらしいから中井出か博光かで呼んでくれない?       ……まあいいや、素材採集ツアーに出かけるぞミク!       今日のお昼は山菜うどんだ!」 ミク   『はい!中井出さん!』 ……。 ミク 『中井出さーん!お野菜の仕込み、終わりましたー!』 中井出「よし。じゃあ次はこっちのつゆだ。沸騰しないように、よ〜く見ておいてくれ」 ミク 『はいっ』 ケマル『ジュルリ……うう、カツオブシの香りがたまらないニャ……!     旦那さん、後生だから出涸らしのでいいからその立派なカツオをくださいニャ』 中井出「いいぞ〜。あ、あんまり食べ過ぎるなよ?昼メシが入らなくなるぞ」 ケマル『解ってるのニャ!だから旦那さん好きニャ!』 ミク 『………』 ……。 ミク 『中井出さーん、洗濯物ここに置いておきますねー』 中井出「うむよし!では今日はミクに洗濯物の干し方を伝授しよう!」 ミク 『あ、大丈夫です。わたしはこれでも帝国の最先端ロボですから!     きっとそれくらい、データにインプット………………されてるわけないですよね。     わたしボーカロイドですし……』 中井出「料理は出来るのに不思議だねぇ」 ……。 ミク 『中井出さん中井出さん!要塞の木に鳥が巣を作りました!     かわいいです!キュートです!』 中井出「今夜は焼き鳥だ!!」 ミク 『うわぁあああんやめてくださいやめてくださいぃいいいいいいっ!!!』 中井出「ひぃっ!?じょ、冗談!冗談だから!     やめてぇえええっ!ズボン引っ張らないでぇええ!!」 ……。 ミク 『中井出さん中井出さんっ、今は何処に向かってるんですかっ?』 中井出「かつてサンドランドノットマッドという街が存在していた砂漠である!     そこに彼らが居た形跡が残っているかを調べに!」 ……。 ミク 『中井出さん中井出さん!ヘンなトカゲを見つけました!』 中井出「な、なにぃいーーーーーっ!!こ、これはあの幻の!」 彰利 「え?なに?どぎゃんしたの?つーか最近、ミクったら中井出にべったりね。     なんでキミってこう人外に好かれ───なにぃいーーーーーーっ!!?     そ、それはぁああーーーーーーーーーーっ!!」 悠介 「なんだようるさいな。今ちょっと集中して……あおあぁあああーーーーっ!!?     エ、エエエエリマキトカゲェエエエーーーーーーーーーーッ!!!」 中井出「うおおおエリマキィイーーーーーッ!!」 彰利 「エリマキィイイーーーーッ!!」 悠介 「うおおエリマキィーーーーッ!!」 ……。 中井出「ふ、ふぅ……危ねぇ危ねぇ……危うく虜になるところだったぜ……。     さすがファンタジー……まさかああまで俺達の心をくすぐるとは……」 悠介 「実物なんて初めて見た……心が突き動かされる事実に抵抗できなかった……」 彰利 「ああ……今日は善き日にござる……」 ───…………。 …………。 ……。 【ケース726:晦悠介/サンキューを39にしてミクと読んでみた。ミッキュー!】 ミクセカンドが提督のもとに現れて、二週間が経過した。 俺や彰利は相変わらず提督とともに行動し、モンスターや亜人種が互いに互いを理解し、 慣れ親しむだけの時間も十分あって───今では結構仲良くやっている。 提督はそんなことさえ嬉しいのか、仲間って輪が広がることにただただ笑顔でいた。 あれから何度か獣人との交戦があったが、どれも圧勝。 でも、忘却の人々との戦いのたびにただただ優しくなっていく提督が、少し胸に辛かった。 中井出「うん、僕元気でやってるから。うん、うん……え?いつ迎えに来るんだって?     それはキミが然の精霊としてのお役目をなんたらかんたら」 ミク 『マス……博光さん、誰かとお話中ですか?』 声  『───!?───!!』 中井出「うわっとやかましい!急に声を張り上げるでないわナギー!     う、うむ、tell越しだが紹介しよう、二代目の然の精霊、ナギーだ」 声  『誰なのじゃおぬしはー!ヒロミツをそんなに親しげに呼びおって!     や、やはり戻るのじゃ!ドリアード!ドリアード!?わしは戻るのじゃ!』 声  『ホホホだめです』 声  『何故なのじゃ!?もう自然も大分安定したであろうに!』 声  『わたしが退屈だからです』 声  『なんじゃとーーーっ!!?ヒ、ヒロミツー!助けてたもー!』 中井出「あ、シードからのキャッチホンだ。切るぞナギー」 声  『はうっ!?ままま待つのじゃヒロミツー!あうー!《ブツッ》』 あれからいろいろあって、ミクは提督に随分と心を許していた。 いろんな心の葛藤や理解があったのか、たまにマスター、と呼びそうになってる。 ミク自身が提督をそう呼びたいのかもしれないが、照れくささが勝るのだろう。 呼びかけては赤くなって訂正して、を繰り返している。 ……その呼び方も、中井出さん、から博光さんに変わってるわけだが。 いや、つくづくこの世界の人外には好かれやすいらしい。 中井出「やあシード。パパだよ」 声  『ち、父上助けてください!     ナーヴェルブラングが気色悪いんです!もう耐えられません!』 中井出「それは……試練だ。過去に打ち勝てという試練と……受け取りなさい。     今こそ過去の間違いを訂正し、しっかりと父親と向かい合うのです。     いいか、相手がどんな変態だろうが父であること変わりなし。     もっと歩み寄ってみなさい……きっと新たな扉が開かれるよ?」 声  『で、ですが父上ぇえ……!』 声  『お!?ま〜た養父の野郎と話してんのかマイサン!     おーい元気してっか養父!……あ〜……名前なんつったか……まあいいや。     俺達ゃ幸せに暮らしてっからよー!たまになら遊びに来てもいいが、     よっぽどのことが無い限り来なくていいぞー!     いやぁしかしやっぱてめぇにゃ感謝してもしきれねぇよ!     魔王の息子がこんな真っ直ぐに育つなんざ滅多にねぇ!     まあ用があったらいつでも呼べや!お前にだったら力を貸すのも悪くねぇ!』 中井出「そ、そうですか。じゃあシードをよろしく」 声  『任せときな!』 声  『ままま待ってください父上!まだ!まだ話がぁああ!!』 声  『お〜!こんなに父上父上言ってくれちゃって!シードは可愛いなぁ!』 声  『《がばしっ!》ぎゃーーーーーーっ!!《ブツッ》』 ……。 離れているやつらにもいろいろと事情が増えてきていて、 最初は普通につるんでいたやつらとも、そう会う機会はなくなっていた。 藍田は武者修行と称して蹴り技修行の旅に出て、 閏璃はさすらいのガンナーになるべく荒野を歩いていった。 ……いや、比喩だぞ?草木ボーボーのこの世界にゃ、もはや荒野なんて滅多にない。 レイルは魔族の生き残りを探しに行くと言って出て行ったジャミルを追って失踪。 なんだかんだといろいろあって、 今は俺と彰利と提督、ルナとシャルロットと悠黄奈、というメンバーだけがここに居た。 ああ、そこにミクをプラス、だな。 ああそうそう、先日ようやく妖精たちがゲートを解放してくれた。 いつかのように要塞の中央には妖精界へのゲートが存在していて、 そこからは緑色の粒子が雪のように降り注いできている。 ……それとは別に少し前のことになるが、 結論から言うとサンドランドノットマッドの形跡はどこにもなかった。 伝え聞いた話によると、魔王に組する者どもと言われ、帝国に捕まり、 奴隷のような生活を強いられたのちにその誰もが死んでしまったのだという。 連れ攫われる際にとあるモンスター軍団がそれを阻止しようとしたらしいのだが、 そのモンスター軍団も帝国の兵器の前では為す術も無く、 提督の知り合いだったそのモンスターたちは、無残に全滅させられたのだと。 嫌なことってのは重なるもんだ。 自分の知り合いだったから、というだけで奴隷にされたり殺されたりなどたまらない。 特にモンスターの方は提督も仲間として、友として認めていた者たちらしいのだ。 ラウルという、砂漠一帯を仕切っていたモンスターらしい。 さらにサンドランドは、魔王になった提督を受け入れてくれていた数少ない場所だ。 そこを滅ぼされたショックは相当なものだったろうに─── シャル「ヒロミツ!tellばかりしていないでわたくしの用に付き合ってくださいな!」 ミク 『マ……博光さん!いいお天気ですし歌を歌いませんか!』 中井出「グ、グウウ〜〜〜〜ッ」 提督は結構、寂しがる暇もなく引っ張りだこである。 シャル「ミク……帝国王妃として命じます。すっこんでなさい」 ミク 『わたしは帝国皇帝さまに仕えているだけです』 シャル「ぬぬぬ……!」 ミク 『むむむ……!』 シャル「っきぃーーっ!何故わたくしの言うことは聞けませんのあなたはぁーーーっ!!」 ミク 『他のことなら聞けますがこれだけは優先順位がダントツなので不可能なんです!     大体王妃だからなんだっていうんですかー!     わたしを作ったのは技術開発局であってあなたではないですよーだ!』 シャル「ななななんですってーーーっ!?ここここんの葱娘ぇぇええーーーーっ!!」 中井出「晦〜!ドッヂボールすっべ〜!」 悠介 「この状況でなんて笑顔!まっ……マイペースにも程がある!」 ……ていうか、ミクには帝国からの指令とかが届いたりはしないんだろうか。 そんなことを、フと考えてみた。
【Side───誰かさん】 …………。 ?????「どうだ。連絡はついたか」 声    「いえ……やはり殲滅されたのでは……」 ?????「そうか……プロト、一号に続き二号までもがか。       魔王博光……古代技術を前に恐れもしない、か。       三号の開発はどうなっている」 声    「順調です。この調子でいけば、近日中には」 ?????「そうか。細かな知性などはいい、戦闘にだけ特化するように、だ」 声    「解っています」 ?????「フフン……人知れずミクを破壊か……。       それほどまでに知られたくないものなのか、モービーとは……!       いや、あるいはモービーとは古代兵器の破壊に特化したものやもしれぬ……。       フフ、まあいい。各自、ミクの開発を急げ」 声    「はっ」 ……みんな、馬鹿だった。 【Side───End】
……。 ミク 『はい?帝国への連絡ですか?』 悠介 「ああ。そういうの、定期的にしなくてもいいのか?」 ミク 『はい。もう帝国のことなんてどうでもいいですし』 悠介 「いきなりはっちゃけたなおい」 ミク 『帝国のために作られたわたしたちですが、     ならばこそ、帝国の皇帝たる博光さんと一緒に居るんです。     ……正直技術開発局は偉そうで人使いが荒いだけで、     楽しくもなんともないですから……』 顔に陰りが差しまくっていた。 どんな生活してたんだ、こいつ。 ミク 『経験した情報は任意で帝国に飛ばせます。     その情報を糧に、新たなミクが製造されます。     プロトはただ作ってみただけ、一号は素早さを重視にして、     わたしは感情を重視して作られたらしいです。     つまり情報をより多く得るために作られて送り込まれたんですがね。     ……おかしいんです。わたし、ここで得た情報を誰にも渡したくないんです。     博光さんの傍に残るのは、帝国のために産まれたわたしですから解ります。     でも情報を渡したくないなんて、     情報集めのロボとして失格ですよね、あはは……』 悠介 「………」 そっか。 ようするに完璧に作りすぎたんだな、古代技術ってのは。 だから感情の発達もあるし、命令ばかりを忠実にまもるデクロボとも違う。 ちゃんと心があるんだ、こいつらには。 ミク  『むむむ……なにかモヤモヤするので一番初音ミク!歌います!』 中井出 「聞いてください……“涙をこえて”」 ミク  『はわっ!?そんな勝手に選曲を……!』 中井出 「じゃあダイの大冒険で“この道わが旅”」 ミク  『も、もっと高い音域を自然に出せる歌がいいです』 中井出 「じゃあ踊ろう!知らなか〜ぁった〜こんなふ〜う〜に〜〜〜♪      声にできぃないぃ〜〜〜〜〜♪」 彰利  「溢れて〜くぅる〜苦いよぉ〜お〜な〜♪      熱い気ィイイン持ッちィーーーーーッ!!」 中井出 「気ィィイン持ッちィーーーーーーッ!!(合いの手)」 悠介  「どこから沸いて出た親友」 突然提督が神秘の世界エルハザード(TVセカンドOP)を歌い始めた。 ……ら、彰利が乱入してきた。ご丁寧に踊りながら。 そもそもなんか歌詞が違ってる気がするんだが。 彰利  「踊りと言われちゃ黙っておれん!      さあ踊ろう!この踊りの中でなら合法的に人を殴れます」 中井出 「ああ……殴ってたなぁシェーラが」 シェーラ『うん?今呼んだか?』 中井出 「シェーラ違いです」 丁度通りかかったシェーラが首を傾げるが、そのまま歩いていった。 その背にはルナが浮きながら張り付いていて、 シェーラの翼をついついと突付いて遊んでいた。 どうやら翼人の翼が大変お気に召したらしい。 呼べばそれこそ飛んでくるだろうが、今はまだいいだろう。 中井出「彼女抱いた赤子実は赤ちゃん人間ンンン!!!」 彰利 「あどけなさの裏であばばほくそえむのさぁ!!」 中井出「キィイイミもなれよ楽でいいぜベイビヒューマンンン!!」 彰利 「俺あの時の、手をパンパン叩いてシェイッて上に上げるポーズ大好き」 中井出「俺も。というわけで、地盤も大分固まったし……     属性解放の旅を再開したいと思う!」 彰利 「随分といきなりだなオイ!!」 中井出「大丈夫大丈夫!時の竜宝玉を組み込んだこのエーテルアロワノンに怖いものなし!     むしろ前よりも性能がアップしてステキなステキな要塞さん!」 悠介 「ちなみに付加能力は?」 中井出「それぞれの能力の速度を速めるんだってさ。     回復力とか移動速度とか、いろいろ」 悠介 「へえ……」 そりゃ便利だ。 攻撃を受けても結構な速さで再生する樹木要塞…………ステキだ! 中井出「というわけでまずは守護竜討伐だー!ええ、まずは交渉から入ります。     宝玉と竜宝玉クラサイって。ダメって言われたら実力行使で」 彰利 「あと残っとんのって?」 中井出「えーと……死と無と創……     スカルドラゴンとデスゲイズとジハードだよし交渉無理!!」 彰利 「まったくだ!」 悠介 「そもそもまず勝てないだろ……スカルドラゴンがどんなヤツかは別にしても」 中井出「時の守護竜から急に強くなりすぎなんだよくそう……。     いや……実際はグレイドラゴンとも戦いたくない僕だけど」 彰利 「キミよくカイザードラゴン一人で倒せたよね」 中井出「今でも信じられませんが、     何度死んでも立ち向かったゴリ押し根性の為せる技かと」 本当に一人でやっちまったんだもんな……ナギーの回復があったにせよ、 事実上戦ってたのは提督だけだ。 あれには頭が下がる。 ……そのあと、ゴーファになって自殺したけど。 中井出「というわけで初音ミクで“おはよう、朝だよ!”でした」 ミク 『ご清聴ありがとうございました〜!……ていうかあのー、聞いてくれてました?』 中井出「聞いてた聞いてた!よかったよ!     特に剣豪武蔵がモンスターザクロパスと呼ばれてるところなんか!」 ミク 『素直に聞いてなかったって言ってください!ザクロパス!?なんですかそれ!』 中井出「スイマスェン、聞イテマセンデシタ……」 彰利 「予想GUYデェス……」 悠介 「なにがやりたいんだよお前らは……。それで、何処に行くか決めたのか?」 中井出「……結局のところ、帝国に行かなきゃいけないのかなぁ。     アイルーたちが作った武器も奪い返さなきゃいけないし」 ミク 『あの猫たちが作った武器……ですか?どんなカタチですか?     帝国の情報はインプットされてますから、     もしかしたらどんなものか解るかもしれません』 ……っと、そっか。 ようするにパソコンと同じか。 大事なデータは頑丈なものにこそ残す、といった感じに。 中井出「えーと……腕につける武具らしい。銀の篭手、だったかな。     アガなんたらって名前」 ミク 『両腕武具、アガ、で検索を開始─────────一件ヒットしました。     正式名アガートラーム。アイルーによって、     アンヘルの素材や刻震竜の素材を用いて作られた機械篭手です。     実験体識別番号A-20012を用い、機能を検証中、事故により行方不明に』 中井出「実験体?」 ミク 『ホムンクルスなどの人造人間のことです。     A-20012は大魔王博光の血液をサンプルに製造されたクローンです。     アガートラームが博光さんにしか使えないように作られていたために、     帝国がなんとかして使用できるようにと足掻いた結果ですね。     特徴として髪が白く、目が赤い……いわゆるアルビノという存在で───』 彰利 「ゲェエエーーーーーーーッ!!!」 中井出「ヒィ!?な、なに!?どうしたのキミ!ってゲェエエーーーーーッ!!」 悠介 「お、おい二人とも?どうしたんだよ……」 急に叫んだと思ったら、頭を抱えてうんうん唸り出した。 いったい何事だ?これは……。 彰利 「アルビノって……両腕の篭手機械武器って……!うあー全部該当する!     そっかクローンだから記憶なかったんかあいつ!!     しかもうん確かに中井出に似てるようん!」 ミク 『情報によると……その。わたしたちのオリジナルである人間、     ミク=ツェルストクラングと面識があったようです。     ツェルストクラングは古代言語で“原初の音色”を意味して、     それを基に名づけられたのがわたしたち初音ミクです』 中井出「へー……で、アルビノが僕のクローンだとして、なんであんなに大人しいの?」 彰利 「あ、それアタイも気になってた」 ミク 『───……いえ、情報の中でオリジナル・ミクと一緒に居る彼は、     ほぼ博光さんと同じくらいの賑やかさです。     どうやら実験事故のショックで記憶を失っているようです。     コロシアムの映像に彼が映っていた時は、マスターも驚いていたようですが』 彰利 「ほへー……あ、そうだ。いろいろ知ってんだったら伯のことも訊いていい?     あいつめっちゃくちゃ強いんだけど、何者なん?」 伯?……誰? 解らなかったから提督に訊いてみたら、やたらと強い老人だ、ということを教わった。 ミク 『シドルファス=オルランドゥ。     雷神シドの異名を持つ、亜人族と人間のハーフで、     かつて古の勇者とともに冒険をしていた者の一人です。     パーティには恋仲であった女性も居て、けれど大戦の最中に命を落としています。     同時に、勇者も力尽きたことが情報として残っていて、     勇者が持っていたエクスカリバーを形見として所持。     事実上かつての勇者一行の中で生き残ったのは、彼のみということになります。     つい最近までデスゲイズとの戦いで死んだものとされていましたが、     デスゲイズの呪いを受けることで死ねない体になっているようです』 中井出「あれ?勇者……セトは一人でデスゲイズに向かってって死んだんだよな?」 ミク 『はい。その後、弔い合戦として討伐に向かったのですが、返り討ちに。     勝てないと踏み、     最後にデスゲイズの体に突き刺さっていたエクスカリバーを抜き、     大地の何処かへ落ちていったとされています。     相当に高い位置からの落下だったらしく、     生きているわけがないと判断されたようで』 中井出「へえ……」 彰利 「勇者ご一行の中の一人か……道理で強ぇええわけだ。     それってセトと一緒に、バハムートと何度も戦ったことがあるってことっしょ?     うへー、バトルの大先輩じゃねーの」 ……。 そんなに強いのか?とアイコンタクト。 すると、提督も彰利もコクリと頷いた。 悠介 「………」 ……死ねない体の老剣士か。 一度戦ってみたいもんだ。 勝てそうにないが、それでも。 中井出「……あれ?そういやそんな情報、どうして帝国に残ってるんだ?」 ミク 『古の時代、エトノワールが主国だった頃。     そこに存在していた王の記憶を、マスターが古代の技術で呼び起こしたからです。     当時の王は大戦をその目で見ていたため、     呼び起こし、移植することでマスターはそれらの情報を得るに至ったのです』 もうなんでもありだな古代文明……。 そこまで出来るなら、 確かにデスゲイズを退けるくらいの力を持っててもおかしくない。 ……悔しいし納得もしたくないが。 中井出「まあ、ともかくです」 彰利 「ウィ?ともかく?」 中井出「帝国に行く必要がなくなった!帝国への目的ってアガートラームだけだったし!」 彰利 「おおそういえば!」 悠介 「じゃあ、何処に行くんだ?」 中井出「もちろん魔法都市!行ってアルビノからアガートラームを奪います」 彰利 「んー……じゃけんども結構大事そうにしとったよ?     なにか代わりのもんやるならまだしも、奪うだけってのもかなり……ねぇ?」 中井出「ウヌ……OK、僕も阿修羅じゃない。     アガートラームはしばらくアルビノに貸しておこう。だから───」 悠介 「?……だから?」 中井出「冒険をしよう!冒険者らしく、この世界を楽しむんだ!     そうすれば《どごぉんっ!!》ヌアッ!?」 悠介 「なんだっ!?」 地震っ……!?いや、飛んでるんだから地震じゃない……───空気震動……か? そう思ったときだった。  ビジュンッ……! なにか妙な音が耳に届き、音がした方へと目をやると─── 景色の果ての空に、巨大な映像が出現していた……! 声  『───やあ諸君。久しぶり、と言うべきかな』 そして、そこに映っている男は─── ミク 『マスター……!?いったいなにを……』 中井出「エエッ!?マスター!?───あいつだったのかよ!」 顔見知りだった。 いや、恐らくヒロラインをやっているヤツならほぼ知らないヤツは居ないだろう。 そいつが、映像の中で機械だらけの玉座に座り、笑っていた。 そいつは……すっかり風貌は変わっても面影が残るそいつは……! レイナート『我が名はレイナート。10年前の王国国王ただ一人の生き残りにして、       古代文明ノヴァルシオの帝王である───!』 ───レイナート。 エトノワール国王にして、シャルロットの父親であり、 提督を魔王として張り出した張本人の姿がそこにあった……! レイナート『この映像を見ているであろう民や、旧時代の冒険者。       そして……魔王博光よ。       私はここに、この世界を機械文明の地とすることを宣言しよう。       手始めに……フフッ、魔物や竜族や亜人族の居ない世界を作ろうと思う。       せいぜい足掻いてみせてくれ。フフッ……ハハハハ!言葉が解ったらだがな!       クック……まずはそうだな。邪魔な竜族から滅ぼしてやろう!』 ……。 中井出「力を手に入れてアホになるタイプだね」 彰利 「そうね」 悠介 「ほんとそう」 けど実力は本物だろう。 ああも自信満々に言うということは、それだけ得たものに信頼を持ってるってことだ。 それかただの馬鹿か。 ミク 『マスター……なんて大それたことを……』 悠介 「どうする?提督」 中井出「竜族を倒すのはこの博光だ!誰にも邪魔はさせん!」 彰利 「おお!なんかベジータみたい!」 中井出「そ、そう?そう!?ちょっと意識してみたんだけど!」 彰利 「うむ!でもジハードあたりに瞬殺されそう!」 中井出「ですよねー!───うわぁぁあああん!!」 泣いた。 って、こんなことしてる場合じゃなくて。 彰利 「んじゃ、妨害方向でいいんじゃね?」 中井出「うむ!帝国のすること為すことすべてにイチャモンつけて邪魔してやる!     外道?フフフ、大丈夫僕らのやることは人にやさしい行為です。     なにせいたるところからこうマイナスイオンがモハァアアと」 彰利 「そりゃ人じゃなくて空気にやさしーっつーんですよ」 中井出「何故僕がイカレ人間どもにやさしくしなければならんのかね!?」 彰利 「逆ギレすんなコノヤロー!!」 悠介 「ま、まあ……行動は決まったな」 中井出「うむ!亜人族ならびに僕のキミたちに報告!!     これより我々は帝国との全面戦争をふっかけられたものとする!     勘違いするな!ふっかけてきたのは彼らで、僕ら被害者!     だから遠慮なくブッ潰してしまいなさいな!!」 彰利 「ウゲェエずりぃ!!あくまで被害者ヅラして正当防衛主張する気だこのクズ!!」 中井出「うるさいよもう!!いいじゃんべつに!!」 帝国が敵になる、か。 じゃあ敵という敵は全て、機械か人間ってことになるってことだな。 ミク 『あ、う……わ、わたしはどうしたら……』 中井出「ミクよ……それはキミがキミ自身で決めなさい。     我々と来るもよし、マスターであるレイナートにつくもよし。     我々と来る場合もレイナートにつく場合も、いずれも命の保障はせん。     貴様は貴様がしたいようにするのだ」 ミク 『わたしの……したいように……───……わたしに、それが許されるでしょうか。     造られたわたしが、そんな……』 中井出「大丈夫!キミなら出来る!!」 ミク 『そう、思いますか?思ってくれるのでしょうか』 中井出「うるせー!何度も言わせんなコノヤロー!」 彰利 「キャア感動が台無し!」 悠介 「さすが提督だ!しんみりさを一瞬にしてぶち壊した!」 中井出「そんなふうに見直されても嬉しくないよ!」 俺達が騒ぐ中でも、ミクは考えごとをしているのか、口を開かなかった。 しかしたっぷりと長い時間を考えて、俯かせていた顔を上げた時。 そこには迷いなんてものはもうなかった。 ミク 『決めちゃいました!わたしここに残ります!』 中井出「おおそうか!それはよかった!……のかな」 彰利 「なしてアタイに訊くっとよ」 中井出「さあ……」 ミク 『ですから、よろしくお願いしますです、マスター』 中井出「………………アレ?」 こうして、提督に専属のミクがつきましたとさ。 この時の提督の顔っていったらなかった。 なにせ俺と彰利が大爆笑するくらいの戸惑い顔だったから。 Next Menu back