───冒険の書298/帝王、レイナート───
【ケース745:中井出博光/ノヴァルシオを打っ潰せ!】 ドカカッドカカッドカカッドカカッ!! 中井出「暴れん坊、将軍」 デゲデーーーーン!!デッテッテッテェエーーーーン!!! デーッテテーン!テテーテテーン! デッテッテーーーテテーーーーン!!(デ〜ンテ〜ンテン) デーッテテーン!テテーテテーン! デェッテテテーーンテテーーーーン!! 岡田 「おおお提督!それはいったいどんな能力でありますか!?」 中井出「馬を召喚する灼闇スキルである!     ……乗る?敵対心さえ持ってなければ熱くないけど」 岡田 「是非に!《ボフッ……》……おお!ぬるい!なんだかぬるいでありますサー!」 中井出「うむ!長時間乗ってると低温火傷も夢じゃねー!」 道を駆けていた僕と岡田くんが、カリ・ユガのお馬さんに乗ったのがついさっき。 一緒に路地のような場所(としか喩えようがない)を駆け、 クリスタルの階段を発見後、その道を真っ直ぐに走ってゆく。 岡田 「うおお速ぇえ!この馬速ぇえ!!それにカオスブリンガーみたいでカッコイイ!」 中井出「そうだよね!フォトンモンスターっぽいよね!」 カオスブリンガーについてはPSOでどうぞ。 ブリンガーライフルを作ろうと躍起になっていた時代が懐かしいや。 結局カラーの関係もあって、 手に入るアイテムと入らないアイテムがある〜というややこしい状況に、やめたゲームだ。 中井出「───ぬう!前方に人を発見!───伯である!」 岡田 「サー!いかがいたすますか!?」 中井出「……OK!!」 岡田 「Yah!Yah!Yah!Yah!Yah!!」 僕らはまさにクレイジー! なによりも速く指定された場所に辿り着けばいいと断じるタクシードライバーが如く、 僕はカリユガンホースに強く意思を送り、速度をさらにあげて伯に迫る!! シド 「む───ぬう!?おおヌシかぬぉわぁあああーーーーっ!!!?」  ドグシャアッ!!  バキャメキャゴキッ……!ペキンッ……!! 中井出「イエエエーーーーッ!!?《ゴリゴリゴリ……♪》」 岡田 「ヒィイイイ!!伯を踏み潰す感触が股を通じてダイレクトにぃいいいっ!!」 まずホースの顔でぶちかましを食らった伯が宙を舞い、 落下したところを巨大な蹄でバキペキコキンと踏み潰されていった。 避けてくれると思ってたのに、なにがあったのか、 動きが鈍くなってるようで思い切り轢かれてくれた。 さすがにヤベーと思った僕はホースを火闇に戻すと霊章に仕舞い、 少しだけ痛む筋肉を無視りながら伯に駆け寄った。 中井出「だだだ大丈夫か伯!     えーとえーときゅきゅきゅ救急車ァアアア!!救急車を呼べェエエエ!!!」 岡田 「サー!この世界に救急車があるわけねーであります!」 中井出「はうあそうだった!じゃあえーと───おや?」 岡田 「サー?」 中井出「……いや、えっと」 わあ、声が聞こえたよ? ドリアードさんの、なんかこう、照れと恥ずかしさを押し殺したような声が、ボソリと。 あ、ここでいうドリアードさんは、僕と本契約した方のドリアードさんね? ガイアフォレスティアの方のではなく。 中井出「えーと……集気法!掻き集めたマナを指に集中させて、と……。     イワコデジマイワコデジマ!ほん怖!五字切り!《バッバッバッ!!》」 岡田 「皆!祷!怖!無!」 中井出「弱気!退さ───は、はああ!!」 岡田 「おお!?何事でありますかサー!」 中井出「い、いや……なんということだ……。今気づいてしまった……!」 岡田 「なに……?い、いったいなにがわかったっていうんだキバヤシ!!」 中井出「ああ……。これは恐らく大変な発見だ……。だが言おう……状況も押してるし。     い、いいかナワヤ……イワコデジマイワコデジマ……     これをこの地面に書いてみるんだ」 岡田 「あ、ああ……《ザリ、ガリッ……》」 中井出「書いたな……?じゃあ次はそれを、逆に読んでみるんだ」 岡田 「ああ……イ……イワコデ……ジマ、だから……マジ、デ、コワイ……はっ!?     これは……キバヤシ!!」 中井出「ああ……。そういうことだ───イワコデジマとは、     マジデコワイ───マジで怖いという意味を含んだ言葉だったんだよ!!」 岡田 「なっ……なんだってーーーーーーっ!!!」 …………。 岡田 「……俺、今の今までイワコテジマかと思ってたんだけど」 中井出「いやそれがさ、この前藍田くんの懐かしビデオ集を見せてもらってた時、     五郎さん最後のほん怖!ってのをやっててさ。それでちゃんとイワコデジマって。     それ見るまでは俺もイワコテジマだと信じてきっていたさ……」 岡田 「そうなんだよな……。五郎さん、絶対イワコテジマって言ってるって」 と、そんなことはさておき。 久しぶりに式の光を指に宿して、擬似の式を編んでゆく。 描くは八点───然の式だ。 中井出「魔導万象八式!オクタナルラインゲート!」 当然人間でもあり、空界の回路を持ってない僕が式なぞ使えるわけもないが、 それら全てのバックアップをドリアードたちニンフ…… 特にドリアードとアルセイドが行ってくれた。 するとどうでしょう。 八点を描いた地面が光り輝き、その上に寝かせた伯を緑色の光の粒子が包み、 あっという間に治してしま うではないか。 岡田 「……す……《ゴクリ……》……すげぇ……」 中井出「な、なんという回復速度……!こ、これがラインゲートの力、か……!」 思わず、なん……だと……!?と、ライバルキャラチックに言ってしまうところだった。 岡田 「提督……アンタ本気でスゲェ人だったんだな……。     まさかラインゲートまで使えるとは思わなかった……。     あれって神魔竜人晦の特権じゃなかったんだな……」 中井出「いやあの……僕もまさか使えるとは思ってなくて……」 岡田 「ていうか提督!アンタ空界人なのか!?」 中井出「地界人だよ失礼な!」 岡田 「失礼なのか!?」 中井出「この博光!地界人に生まれ、地界の回路のみに生きることに、     誇りとかなんとかまあそんないろいろなものを持っている!     俺はもはや地界人一直線よ!     ……そしてラインゲートなんてものを初めて作った所為で、     こう……指が破裂したんだけどどうしよう」 岡田 「うえぇっ!?気色悪ッ!!」 中井出「僕の所為じゃないもん!!」 ニンフの加護のお陰なのか、痛みはないんだけど……でもうん気持ち悪い。 大慌てでドリアードさんがごめんなさいごめんなさいって謝ってる。 うん、僕にしか聞こえないってのもとっても不思議。 どうやら契約の指輪を通して言葉を送ってるみたいだね。 そんなこともあってか、 一応気絶から復活していたらしいドリアードさんに大丈夫ですか?と心配の声をかけると、 なにやら指輪を通して暖かい気持ちが僕の方に流れてきて───な、なに!?何事!? ヒィ!きっとここに住まう亡者どもの怨念じゃああ!! 中井出「い、いこう岡田くん!ここには長居をしちゃいけない気がするのだ!」 岡田 「お、おお?そうなのか?よく解らんがそう言うなら行こう!」 相当慌ててたからでしょう。 馬を召喚するのも忘れて、伯が目覚めるのも待たないままに僕らは走り出しました。 大丈夫、きっと晦か彰利かが拾ってくれるよ伯。 だからそれまで良い子で寝ているのですよ……。 ……。 なんてことを考えながら走っていたその後。  ゾザァッ! 岡田 「?、提督?」 中井出(シッ!静かに……!) 岡田 (おお……?) 大きな階段(下り)を視認し、いざ降りるという時。 なにか予感めいたものを感じて、僕は足を止めた。 ……ソッと建物の影から覗いてみれば、そこには……武装ミクが! あれは……防御型?なにやらどちらかというと清楚っぽいイメージで、 ツーテールを綺麗に流した彼女の服は、 メイド服(ロングスカート)に鎧を混ぜたような不思議な格好だった。 ……うん、これは彰利には見せられないね。 実力以上の実力出して、刺し違えてでも壊すよ絶対。 ミク 『《キュィイイ……》生体反応探知……』 岡田 (《ギクリ!》わっ!もうバレた!) 中井出(いや落ち着け!生体反応と言ったのだ!     これで感心が向かない生物の真似をすれば、きっと乗り越えられる!) 岡田 (おおなるほど!じゃあなにを───) 中井出(うむ!僕が端を切るから続いてくれ!) 岡田 (イェッサー!) ミクがこちらに来ようとしているのを確認したのち、ゴヒュウと息を吸って囁いた。 中井出「ゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロ」 後ろの岡田くんが盛大にズッコケた。 ゴハァ!?よりにもよって!?とか小声で叫んでいるが、 それでもヤケクソになったのか僕に続いた。 中井出「ゲロゲロゲロゲロ」 岡田 「タマタマタマタマ」 中井出「ギロギロギロギロ」 ミク 『人間の肉声を確認。侵入者と断定』 中井出「ヤベェエエデケェ声出しすぎたァアア!!」 岡田 「その声がデケェよ!この声もデケェ!!」 そしてあっさり見つかる僕ら。 軍曹さんを選んだのが失敗だったのか、忠実にギロロを再現したのが間違いだったのか。 そんなものを確かめる暇もなく、僕らはみっくみくバトルへと突入した。 【ケース746:晦悠介/アイツとソイツとコイツ】 ゴゾォオオ……!! 声  「WREEEEYYYYY…………!!」 悠介 「!?」 声が聞こえた! 今絶対声が聞こえた!! さっきからなんなんだよおい! 悠介 「…………」 彰利 「いや俺じゃねーってばよ!なんでもアタイの所為にすんじゃねー!」 さっきからこの調子だ。 彰利がやりそうな行動パターンなくせに、 彰利はさっきから俺の隣で一風呂浴びていたりする。 ん?メシ?メシはもう食べた。 一番最初に猫たちに武具を託し、早食いの職人芸の内よォ!とばかりに早食いをし、 それからさっさと湯船に浸かった状態だ。 ……それはいいんだが、武具を猫に渡したあたりから、妙な気配と声が聞こえるんだ。 それも三つも。 ウリィイイイとか言ってるから機械どもではない……と思うんだが。 彰利 「ところで知っとる?悠介」 悠介 「んあ?なにをだ?」 彰利 「や、中井出の体YO。明らかにオイラたちとは肉質が違ってきてるの」 悠介 「ああ……あれな。知ってるし驚いた。前に一緒にここに入った時、だったよな」 彰利 「あ、やっぱキミもその時気づいた?」 提督の体は、かなり特殊なものになっていっている。 人器とともに筋肉痛で成長してるからだろうか、より“人”として機能しやすいように、 かなり繊細に、しかし硬く柔軟に仕上がっていっている。 今まで無駄な部分にあった筋肉も、あるべき場所に無かった筋肉も、 どれもが“最適”へと向かっている過程。 一言で言うなら“羨ましい”って思えるくらいの筋肉が、ゆっくりと作られていっている。 それはある種、戦いのみに生きてきたゼットの形に似た筋肉だろう。 だがそれよりもさらに“人器使用”に適した体に向かっている。  “どこそこを鍛えたからどこそこが筋肉痛になって、超回復をするから発達する” そんな理屈じゃないのだ。 能力を使えば問答無用で全身に筋肉痛が回り、全身に超回復が起こる。 筋肉量が微弱であり、発達する必要がある場所は重点的に。 だからこそ立っていられないほどの筋肉痛が起こるのだ。 何故ってそれは、今までの人間の生活の中で必要とされず、ずっと眠っていた筋肉だから。 それが今、幾度の筋肉痛を越えて、外見だけでも違って見えるほど発達してきている。 それが何を意味するのか……───当然、人間でありながらの人間としての進化である。 2、30%以上の力を解放すると、自分の身が保たないとされる人体。 ならばそれに耐え得る肉体を得た時、人はどれほどの基盤を得て、技術を振るうのか。 確かにそれが竜族を、死神や神の力を越すことはないのかもしれない。 だがそれは、俺達が本当の100%を見たことがないから言えることなんじゃないのか。 たとえその100%が竜を、神を越せないものだとしても、 その基盤に“レベル”っていう武器と、エモノという武器が加われば、 30%までしか操れない俺達が同じレベル、同じエモノを持つよりも、 数倍以上の力を得るのだろうと推測できる。 正直に言えば……俺はソレを見届けてみたいと思ってる。 30%で始める者と100%で始める者。 レベルUPの度に30%UPする者と、100%UPする者。 常に70%の差が開き、その70%が30%の者では至れない技術の開拓を齎す。 30%では至れない音速の域に至り、30%では至れない力を得て、 30%では至れない動作を得る。 辿り着いていないからこそ未知である70%。 それがいったいなにを弾きだすのか……興味が尽きなかったりする。 まあ、提督自身が面白いってことも原因のひとつだ。 それに、多分武具やら霊章輪やらが無くなると、 たちまち普通の提督ボディに戻ると予測される。 だって提督だし。 ……ところで、地界人の回路の特性は“順応”だが、提督の筋肉の作られザマは、 その特性を最大限に活かしているからこそ可能だったものだろう。 少しずつ作られる地盤に一番頬を緩めているのは、案外ノートかもしれない。 そもそも、ノートがあそこまで一人の“人間”に肩入れするのも珍しいのだ。 ……いや、ノートだけじゃないな。 オリジンもそうだし、ニンフたちもだ。 彰利 「肉体が100%に至った時、     俺は自然と“ビューティフル”と言ってしまいそうで怖いよ」 悠介 「や、普通に考えて言わないだろそれは」 彰利 「………」 悠介 「………」 彰利 「そうね」 悠介 「……まあ。とりあえず上がるか」 彰利 「だぁね」 風呂から出て体を拭いて着地を纏う。 そうしてからさっさと髪を乾かし─── 彰利 「そういやYO、ファンタジーの皆様ってどうやって髪乾かしとんの?     ドライヤーとか…………ないんだよね?」 悠介 「自然乾燥なんじゃないか?」 彰利 「女性たちが風邪引きそうだね、盛大に」 藍田 「いや、夜空が見えるヴァルコニーで揺れる姫様の長髪とかってドキリと来ないか?     しっとりと濡れててさ、こう、王室学術顧問……じゃなくて、     王室特性石鹸とかの香りが風にのってファーっと」 閏璃 「俺はショートカットの女が好きだからなぁ……でもちょっと解るような」 レイル「ようは自分が好きならいいってことだろ?」 藍田 「ソレダ」 彰利 「ソレダじゃねー!!」 藍田 「え?な、なんだよどうした弦月」 彰利 「どうしたもこうしたもあるかァァアィよ!!キミらここでなにしとんの!?     つーかさっきから蠢いてたのっててめーら!?」 閏璃 「蠢いてたもなにも、堂々と入って堂々と猫たちに武具渡して、     堂々とメシ食って堂々と風呂に入ってたが」 藍田 「お前ら遠くの方ばっか気にして、近くの方気にしてないんだもんな」 レイル「隣の芝は青いって知ってるか?」 悠介 「関係ないだろ」 レイル「いや、知ってるかって訊いてみただけだって。そうか知らんか」 悠介 「いや……あのなぁ」 藍田 「ところでさっきのって君が望む永遠のファンディスクの真似?」 彰利 「そうだけど多分誰も解らんと思うよ?」 なんのこっちゃだな、ああ。 閏璃 「しかし今回のは感心せんぞトータスくん。     俺達に知らせないのはダメだ。0点。●」 藍田 「そうそう、お陰で辿り着くまでに随分時間食っちまった」 レイル「あ、ジャミルはエルメテウスのほうに居るから。     用があったらいつでも呼んでくれ、って言伝頼まれてる」 悠介 「……結局どこまでもくっついていったんだな、お前」 レイル「惚れた強みだ」 彰利 「弱みじゃねーの?」 レイル「惚れたことを引け目みたいに考えるのは嫌なんだ。     だからむしろこれは力だ。強みだ。弱みなんかじゃない」 閏璃 「……ポジティブと強がりって似てるようでちょっと違うよな」 藍田 「あ、見栄も入れときたいな、それ」 悠介 「…………」 というか。 俺は出ようとしてたんじゃなかっただろうか。 ……そうだよな、うん。 髪も乾かしたし、さっさとここから出よう。 藍田 「ところでさ。急に思い出したんだけど。弦月って俺達のリーダーだったっけか」 彰利 「そりゃ記憶違いだ。我ら原中がリーダーは中井出博光その人以外には在り得ぬ」 藍田 「……やっぱそうなのか。あ、でもな。     原中迷惑部に所属して、散々っぱらお前らと遊んだことは思い出したぞ。     そこに提督が居ないのは残念だけど……     少しでも思い出せたこと、喜んでいいんだよな?」 彰利 「───……せやね。中井出も、多分喜んどるよ。     あいつが言ってた通りになったんだからね」 ……。 どこか口惜しそうな彰利の声を耳にしながら、俺は要塞温泉をあとにした。 ……。 ややあって、武具工房。 アイルー『………』 悠介  「………」 いや…… 悠介 「あの、さ。べつにそんな警戒しなくても取って食やしないから」 限界ギリギリまで物干し竿のようなもので押され、俺の前に差し出される武器。 その後塩を投げつけられ、とっとと失せるニャー!!と威嚇された。 ご丁寧にこう、ふかー!と。 藍田 「うーわー……嫌われたもんだなぁ…………………………晦」 閏璃 「こりゃひどい嫌われ様だこと……………………晦」 レイル「どうしたらここまで嫌われるんだか……………………晦」 悠介 「……マテ。どうして俺だけが嫌われてるみたいに言うんだ」 閏璃 「俺はきっと好かれてるさ!タッチミー!《ザクシュぶしー!》……な?」 悠介 「思いっきり引っかかれて血が盛大に噴き出してるが」 閏璃 「気の所為だ」 悠介 「いや、現に───」 閏璃 「他人の空似だ」 悠介 「それは思い切り関係ないだろ!」 閏璃 「夢だ」 悠介 「起きてるだろ今ここで!」 閏璃 「夢遊病だ」 悠介 「………」 なにを言っても届きそうになかった。 無理矢理好かれているということで済ませたいらしい。 ……その根性はすごいと思うけどな。 藍田 「そんなわけで便乗して鍛えてもらったわけだけど……     おお、メカキラーがついてる」 レイル「ほんとだな。こりゃいいや。……うんうん。     閏璃に魔王シリーズももらったし、あとは魔王の盾さえあれば俺も魔王か」 彰利 「おやそうなん?そりゃ、是非とも見つけんとね」 閏璃 「………」 藍田 「お?どうした閏璃、カタカタ震えたりして」 閏璃 「い、いや、ほら………………な?」 藍田 「………………」 レイル「?、なんだ?………………」 乱入三人組が、閏璃の武具の詳細を見て声を無くす。 俺もちょっと見させてもらったんだが……声を無くした。 悠介 「新たなSUVウェポン“マガス・マッガーナ”って……」 彰利 「アルェエエ!?これってボス敵じゃなかったっけ!?     ファンタシースターポータブルあたりで!」 藍田 「いや!あれもれっきとした巨大SUVウェポンだった筈だ!     なんか説明にそれっぽいこと書いてあったし!」 彰利 「キャアステキ!ええのうこれなんかええのう!やってみれ!今すぐやってみれ!」 閏璃 「断る」 彰利 「ゲゲェ断りやがった!!何故ェエエエ!?何故なのグレート!!」 悠介 「それ言うならグレースだ」 藍田 「3×3EYESだな」 閏璃 「なんだかいつの間にかSUVウェポンが10分アビリティにされててさ。     試しに使うにはちょっともったいないだろ?」 彰利 「ぬ。そりゃ確かに。……狙撃手側の主な10分アビリティってなんだったっけか」 閏璃 「スナイパーアイとかイーグルアイだな。     俺の場合はそれにコンセントレーション・ONEが付属されてる。     こっちは1分アビリティだけど。スナイパーアイもイーグルアイも、     弓の方にも銃の方にもきっちり実装されてるし、     秘奥義の屠竜も銃の方ではビットブラストに変わってる」 聞いてるだけで結構ややこしそうだが。 悠介 「ビットブラストってのは?」 閏璃 「えーと……銃の周りに二つのガン・ビットが出現する……らしい。     銃ひとつにつき二つのガン・ビットが。     二丁拳銃なら四つってことだな。だから───」 彰利 「……浪漫幻想百銃(ロマンタジーノ)を使えば、三百丁拳銃になるわけか」 閏璃 「そういうことだなぁ……」 悠介 「浪漫幻想……?」 彰利 「ウルーリィのSUVウェポンのひとつぞ。     異空間から百丁の銃を召喚して撃ちまくるの」 悠介 「へえ……ってなるほど、確かにそれは怖いな」 藍田 「しかしガン・ビットって名前はアメリケェ〜ンコミックを思い出させるな」 念のためだが、ガンビットじゃなくて、銃型のビットシステム、という意味だ。 キネティックカードとかは投げられないぞ? 彰利 「ほいじゃあ感動も得たところでさっさと追いますかい。     きっと今頃、ルナっちたちが大変なことになってるに違いねー」 悠介 「……だな。あいつらはメカキラーを付加させたないんだもんな」 藍田 「メカバトルかぁ……!足が鳴るぜ!」 彰利 「なんと!?じゃ、じゃあアタイは手が鳴るぜ!」 閏璃 「銃が鳴るぜ!」 レイル「拳が鳴る!」 悠介 「……剣って鳴るのか?」 彰利 「そこで疑問に思ったらだめでしょーが!     根拠がなくてもいつでも自信満々に突っ走りなさい!」 悠介 「そーいう行為がいらん誤解と面倒を巻き起こすんだろうが!」 ともあれ、準備は整った。 さあ、さっさと行こう。 どこまで続いているのかなんてのは解らないが、レイナートが待つ場所へと。 ……っと、そうだったそうだった。提督にtell飛ばしておかないとな。 しかし猫たちの鍛冶技術の速さには脱帽だ。帽子なんて被っちゃいないが。 本当にメシ食って風呂入ってる間に終わるとは思わなかった。 【ケース747:中井出博光/ブルスコ……ときたら、ファーしか思い出さない】 ドンッ☆ 中井出「俺のターン!ドロー!───ボーカロイド初音ミク(情報収集タイプ)を召喚!     このカードが守備表示で場に出ている時!使用者は敵の情報を逐一確認できる!」 ミク 『あ、いえ。パワータイプとスピードタイプ、     それから歌唱タイプのプログラムを組み込み済みですから、     そちらの能力も使用可能ですよ?     わたし、ある程度の範囲内で破壊された機械から、     データを受信することができるんです。ほら、わたし情報収集タイプですから』 中井出「そうなの?おおそりゃ便利。……ちなみにスピードタイプってのは?」 ミク 『マスターが水鉄砲で破壊したのがそうですが』 中井出「わあ」 あのミクですか。 ミク 『情報が全部届く前に火葬されてしまいましたから、     あまり深い情報ではなかったんですけど。     晦悠介が破壊したスピードタイプのミクから、新たにプログラムを入手しました。     これでパワーとスピードと歌唱が実装されたわけですよっ!     あ、ちなみにマスターが散々と破壊したメカからもプログラムは習得済みです』 中井出「おお!それってどんな能力!?」 ミク 『……防御力(だけ)の極大強化です……』 中井出「ああ、うん……そうだよね……」 ミク 『それと音速行動もラーニング済みなので、     マスターと一緒に行動することも可能ですよ。     弦月彰利の音速拳もラーニングしてますし。     ……ただしプログラム技術ですから、使用回数は限られますけど』 中井出「そうなのか」 ミク 『ハイ』 あはははは、と和やかに笑い合った。 軽やかに……愛の悲鳴。 岡田 「アハハじゃなくて戦えぇええええええっ!!!!」  ゴンギギギギギギガゴガギゴギギギンッ!!! 岡田 「硬ッてぇえええええっ!!なんだこりゃ全然ダメージ与えられねぇぞ!?」 ───さて。 スピード、パワー、歌唱と来たらあとはガード。 前方にだけ究極の壁っぽいエネルギー防御シールドを展開するミクは、 メイド服姿なのにべらぼうに防御能力に長けたお方だった。 中井出「ミク!彼女の情報を僕らに!」 ミク 『ハイ!───《キュミィイイン……》……初音ミク・ガードマスターです。     エネルギー出力をほぼ防御に回した、防御のプロフェッショナルです』 中井出「じゃ、行こうか」 ミク 『ハイ。……ハイ?』 中井出「や、だってガードのプロフェッショナルなんでしょ?     だったら走って振り切れるって。僕らべつにミクと戦いに来てるわけじゃないし」 ミク 『えぇっ?で、でもですね、あのう』 中井出「岡田くーん!いきますよー!」 岡田 「へ?へ?い、いくって?」 中井出「下。ほら、彼女がここに居てルナ子さんたちがここに居ない理由、考えてみな?」 岡田 「───………………行こうか」 中井出「うん」 物凄くがっくりした顔だった。 そんなわけで僕らは、ガード中は一切動けないらしいミクに石を投げつつ、 先に進むのでした。 ミク 『あ、あのっ、でも、ですよ?彼女を倒せばわたしに新しいプログラムがっ!     マスターのリングシールド、でしたっけ?あれの性能もきっと上がりますよ!?』 中井出「岡田くん、先に行きなさい」 岡田 「うおっ!?すげぇいい顔ッッ!!」 中井出「武具強化のためと言われたらこの博光、辛抱たまらん。     だからあのミクの防御プログラムを手に入れてくるね?」 岡田 「手に入れるって、どうやって」 中井出「いやほら、彼女、エネルギーシールド出すと動けないじゃない?     その隙を───オラッ!《ドシュンッ!》」 岡田 「オワッ!?」 灼闇・カルキを出現させ、スタンドのように隣に立ってもらう。 うん。つまり、 中井出「仲良く二人でフルボコろう作戦だ」 岡田 「爽やかに外道だな。さすが提督だ」 中井出「少しの間でここまで理解されて、この博光も嬉しい限りである。     あ、でも別の方法思いついた《マジュンッ》」 岡田 「お?」 カルキを戻し、代わりにツァイゲディヒ。 ナーヴェルブラングを召喚し、彼とボコることにした。 ナーヴェル『……べつにいいんだけどよ。ろくな用事でよばねぇよな、お前』 中井出  「俺的には面白いから」 ナーヴェル『そうかよ……。どうせなら俺も面白ぇ用事に呼んでくれよな』 中井出  「おお、それは失礼。でも今は協力して?あいつをやっつけるんだ」 スピシ、とミクを指差してみせる。 するとナーヴェルさんは頬をコリ……と掻いたのち、 ナーヴェル『お前よ、サウザンドドラゴン倒したんだろ?』 中井出  「ええとうん、ギリギリながら」 ナーヴェル『だったらあんなヤツごときで梃子摺っててどうすんだ。       もっとリキ見せろリキ』 中井出  「エ?で、でもあいつ結構固くて」 ナーヴェル『そりゃリキが足りてねぇ証拠だろ。いいか、こうやるん───だッッ!!』  ドゴォンッ!! 俺達が話している間、警戒態勢を取って動こうとしなかったミクへ、 ナーヴェルさんが地面を踏み砕いて一気に疾駆!! “飛ぶ”に近いのに地面を滑るようにする姿勢の低さに、俺と岡田は唖然とした。 だが本当に地面スレスレにたった一歩で滑るように距離を詰め、無造作に拳を振るう。 ミク 『エネルギーシールド展開───絶対防御障壁を《ガゴォオンッ!》……!』 ───しかしさすが防御タイプのミク。 無造作に、だが遠慮なしに攻撃だったのにきちんとガードし……ピキッ。 ミク   『───!?障壁に、ヒビ───!?』 ナーヴェル『あーあ、悪ぃな。一思いに一発でキメてやりたかったんだが。       どうもリキが足りなかったらしい。ま、三度目は無しだ。勘弁してくれ。       ───うぉおおおおりゃぁあああああっ!!!!』  ゴガッシャドゴバァンッ!!! ミク 『───!こんなっ……力だけで!?』 …………。 中井出「ワー……」 気合いと力ずくだけでエネルギー障壁破壊しちゃった……。 この人、ほんと滅茶苦茶だ……ん?人?まあいいや、滅茶苦茶だ。 ナーヴェル『お前のご主人様は俺達をナメすぎた』  ゴバァンッ!! ミク 『かはっ……!』 一言とともに繰り出された魔王の拳が、ミクの腹を貫いた。 メイド服に合わされていた装甲もろともだ。 硬い鉄板を貫いたような音が、ソレがどれほど硬かったのかを教えてくれたが─── そんなものは、貫かれてしまっては意味を成さなかった。 ナーヴェル『お前らは消滅とともに自分の情報核に飛ばすんだってな。じゃあ伝えとけ。       お前らの敗因は───“旧時代”をナメすぎたことだ、ってな───!!』  キュフィィンッバンガガガガガォオオオンッ!!! ……ゴコッ、パラパラ…… 中井出「………」 岡田 「………」 ……オコラセナイヨウニシヨウ、ウン。 内側から爆発させられたミクを見て、しみじみと頷く僕らだった。 ナーヴェル『ザコの破壊は俺が担ってやるからとっとと行け。       本気出す気がないなら俺に任せてとっとと帰れ。       サウザンドドラゴンを倒したってんなら、       お前の実力は機械ごときに遅れをとるようなもんじゃねぇ筈だ』 中井出  「あのー……条件付きで解放できる能力だからね?おいそれと使えないの」 ナーヴェル『なんだそうなのか?まあ、使う場所を選ぶってのも大事か。       俺はそんな面倒くせぇことは嫌いだから常に全力だけどな』 どれほど無尽蔵なんでしょうかこの人。 ミク 『《キュミミミィイン……》……はい、ガードプログラムをインストールしました。     これでマスターのガード性能とわたしのガード性能が上がる筈です』 中井出「おおそうか。では───」 岡田 「うし。あとは突貫あるのみか」 中井出「うむ!では───っと、もしもし?」 声  『提督か?武具調整終わったから、その報せを』 中井出「うむ、了解した。こっちはこれからさらなる深部へ乗り込むところだ。     ちなみにルナ子さんたちはまだ発見出来ていない。     既に殲滅させられたか、それとも奥に居るか」 声  『そか。多分生きてる。     彰利がtell飛ばしてみてるんだけど、電波が届かないらしいんだ。     恐らくだけど、そこから先はtellが使えないんだと思う』 中井出「おお……いよいよもってって感じだ」 なんかいいね、こういうの。 ボスのところまで来たって感じになる。 そんなことを思いながら、とりあえずは霊章転移で自然要塞を回収。 声  『ああ、それと。藍田と閏璃とレイルが参戦した。     今全員でそっちに向かってるから、合流するかすぐ行くかは提督が決めてくれ』 中井出「この先にある宝はこの博光のものだ!!」 声  『物凄い正直な返答だなおい!!先に行くか行かないかの話なのにそれか!?』 中井出「うむ!そういうことである!故に我らは先に行く!     ヒヨッコどもよ!ここから先、他人の心配などしていられる状況はないと知れ!!     ただひたすらに諸君らの健闘を祈る!!     ではこれよりいよいよもって敵基地の最深部であろう場所へと突入する!     総員!相応の覚悟を以って臨まれよ!!     イェア・ゲッドラァック!ライク・ファイクミーッ!!」 声  『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 tellを通して、晦、彰利、閏璃、レイルの声が響く。 寂しいことだが、藍田と岡田からはなんの反応もない。 ただ戸惑いながらも、どこか楽しげな顔をして俺を見るだけだった。 中井出  「うむよし!ではこれにて通信を切る!返事は待たん!《ブツッ───》       ……よし!では行こう!」 岡田   「OK!」 ナーヴェル『いいねぇこの雰囲気。先にデケェなにかが待ってるって感じがたまらねぇよ』 デカイかどうかは解らないが、たしかに大事であることは確かだ。 帝国っていう一つの世界と戦うってんだ。 しかも、相手はファンタジーの一端。 剣と魔法のファンタジーと、機械と魔導のファンタジー。 いわばこれは、その二つとのぶつかり合いなのだ。 ……うむ、負けられん。 なんか理由はくだらないかもしれないけど、 剣と魔法のファンタジーが好きな者としては絶対に負けられん。 ───……。 そうして、さらなる深部へと駆け下りて数分。 俺達が見たものは、想像を遙かに超える惨劇だった。 ……いや、僕らがとか彼女らがというよりは、メカどもが。 フレイア『ふふふ……あはははは……!あぁーーーはっはっはっはっは!!!』 そこに赤い悪魔がいらっしゃった。 ああ、こりゃ勝てねぇわ……ってくらいの強さの悪魔が。 躍動し、点滅するように輝く赤の光を纏ったフレイアさんは、 惜しげもなく鎌閃を放ちまくり、 群がる強化メカどもをザックザクと切り裂きまくっている。 世界が使えなくなった代わりに得た、 鎌自身の強さと回路の強化の力はとてもとても凄まじく。 ディファーシックルと名づけられた異端の鎌は、 異端であればこそ無茶苦茶な回路の発動にも順応し、 もう片方の鎌であるダークイーターをさらに強化し、一つとなり、 “封天眩き円月の極致”という鎌を一つの破壊兵器として振るわせていた。 ……そして、その傍らでは。 セルシウス『砕けなさい雑兵。無情なる抱擁の中で。───インブレイスエンド!!』 普通の古代魔法とは明らかにレベルの違う氷結魔法で、襲い掛かるメカどもを強制氷結。 悠黄奈さん、ではなく、明らかなる精霊モードを行使して、 広範囲に存在したメカを次々と砕いていっていた。 纏っている毛皮らしいものは……ミクの“調べる”によると、フェンリルの法衣らしい。 フェンリルと同化することで能力を爆発的に高め、精霊としての力を解放したんだとか。 悠黄奈「《ザァッ───》ふう……───?……ああ、博光さん。ようこそ」 中井出「いや、ようこそってなんか違うような……。で、でもとりあえずは……やあ」 悠黄奈「はい。ごきげんようです」 精霊モードを解いて、 傍らにフェンリルを降ろした悠黄奈さんに、丁寧にお辞儀をされてしまった。 まだまだ敵の真っ只中だっていうのに。 中井出「あの……。今のって……」 悠黄奈「……見られちゃいました、ねぇ……。はい、お察しの通り、神魔霊竜の名残です。     わたしはこの世界だけの都合のいい存在ですから。     そういう無茶が実装されているんです。     あ、でもご安心ください。全ての回路は既に精霊の方向に固定されています。     能力の大半もフェンリルに預けてありますから、     わたし単体ではレベルに頼らないとあまり戦えませんし、     そもそも結構疲れるんです、これ」 中井出「スピリッツオブラインゲートって開ける!?ねぇ!あれ僕大好きなんだけど!」 悠黄奈「無理です」 中井出「あ……やっぱりですか」 全部の精霊と繋がってないと無理だもんなぁ……あれ。 悠黄奈「はぁ……ふふ。ヘンに見られるんじゃないかと心配していたんですけど。     やっぱり博光さんですね……まさか別の質問をされるとは思いませんでした」 中井出「別の質問?………………あれ?     もしかして、どうして能力のこと隠してたんだーとか訊かれたかったとか?」 悠黄奈「訊かれたくなかった、が正解ですけどね。───あ、来ます」 中井出「ぬう!?」 サブタイ:振り向けばそこに。 メカどもがギッコンギッコンと機械独特の音を鳴らして、襲い掛かってくる! 中井出「ええい鬱陶しい!ミク!やっておしまい!」 ミク 『ええっ!?わ、わたしがですかっ!?ひどいですマスター!こんな時ばっかり!』 中井出「ええいだまらっしゃい!僕は大事なお話があるの!だから一緒に戦いなさい!」 ミク 『……はれ?わ、わたしだけに押し付けるつもりじゃなかったんですか?』 中井出「戦いながらでも頑張れば話せる!───ゆくぞミクよ!」 ミク 『《じぃいいん……!》は、はははいぃっ!マスター!!』 ミクとともに突貫開始! 別方向では既にナーヴェルさんと岡田くんが破壊活動に出ていて、 部屋の奥側ではフレイアさんがこれでもかというほどのメカどもを微塵にしている。 悠黄奈さんは少し呼吸を整えたのちに再びフェンリルと同化して、 精霊モードを発動させると氷の槍を構えてメカ破壊へと行動を移した。 セルシウス『一言で言えば、完全に精霊として見られるのが嫌だったんだと思うんです』 中井出  「思う?」 セルシウス『自分で言っててよく解らないんですけど。       そうなることで、人として見てもらえなくなるじゃ、って……』 中井出  「?……だって人じゃないじゃない」 セルシウス『ああいえ、そういう物理的というか、ともかくそういう意味じゃなくて。       雰囲気に呑まれたりとかして、友達とか知り合いとか、       そんな感覚で接してくれなくなるんじゃないか、って……。       覚えてますか?悠介さんが神魔霊竜人だった頃のこと。       皆さんは今まで通りだったかもしれませんけど、       他の……空界の人たちは、王と見たり精霊と見たり竜人と見たりで、       どちらかというと遠巻きに見るような感じだったでしょう?』 中井出  「あー……そうかも」 量産型なのか、大して硬くもないメカどもを破壊しながら会話。 ベルセルクのガッツ並みに大振りの攻撃を繰り返し、 細かい攻撃ではなくまとめて破壊する方向での攻撃を振り回してゆく。 セルシウス『だから、怖かったんだと思うんです。漠然としているんですけどね。       ふふ……けど安心しました。……誰が相手でも、       態度が変わらない人も居るんだなってことが思い出せましたから』 中井出  「…………?」 視線を感じたので振り向いてみると、 敵を破壊しながら僕を見て微笑んでいるセルシウスさん。 おお、器用だ。 ていうか……え?俺? いやまあ、確かに種族がどうとかで差別するのって面白くないし。 そういった意味では傲慢すぎるヤツは苦手です。 こう、“人間風情がこの俺様に勝てる気か?”っていうのを素で言っちゃうヤツとか。 だから全力でからかうのです。 一緒に楽しんでくれないなら一方的に楽しむまでよ! それが僕らの原ソウル!……でも愛のない楽しみ方はダメですよ?外道すぎはメッです。 中井出「鬼靭モード発動!そして必殺(ではない)のぉおおお……!!」 考え事しながらでも目の前に集中できるって素晴らしい。 相手が敵ならそりゃ集中もするだろうけどさ。 中井出「フンッ!」 目前に迫ったメカ一体を、剣を霊章に収納して、まずは風の力(左手)で宙に飛ばす! そしてその状態で落下してくるまでにマナを掻き集めて───! 中井出「荒廃の世の自我(エゴ)、打ち砕けり。───無剣流“打撃”!!」 落下してきた敵目掛けて、風と炎の双掌打を叩き込む!! 中井出「羅生門!!」  どごがしゃぁああああんっ!!!  ドンガガガガガガドカァアーーーーーン!!! 岡田 「どわぁったぁっ!?ななななんだぁ!?メカが飛んできた!?」 炎と風の義聖拳をくらったメカが地面と平行に素っ飛び、 蠢いていたメカどもを巻き込み薙ぎ倒しながら───最後に壁にぶつかって爆発した。 近くに居た岡田くんはびっくりだ。 これぞギース=ハワード流羅生門。 それにしても……いやぁ飛んだ飛んだ。 中井出「もっとだ!もっと来てメカたち!技を試したいから!ねぇ!ねぇったら!」 弱いやつにはとことん強気……こんにちは、中井出博光です。 技の練習に丁度いいと味を占めた僕は、群がるメカども目掛けて駆け出し、 様々な能力を試していきました。 というよりは簡略が固定化されつつあったアトリビュートキャリバーを、 きっちり12閃放ってから義聖剣に移行したりと、いろいろ過去を振り返った。 鬼靭モードから始まった過去への振り返りはこの後、 フレイアさんの回路点滅が大分弱まるまで続き。 気づけば周りに敵の姿はなく、次なる通路への道がゴガーと開かれているところだった。 ミク 『……気をつけてください。この先は……王の間です』 中井出「なんですって!?よし行こう」 ミク 『少しは躊躇したりとかしないんですか!?』 中井出「いやほら、躊躇したって結局行くんだしさ。時間がもったいないじゃないか」 ミク 『……それもそうですね!』 納得してくれたようだった。 では、と皆様を促し、皆様が頷いたところで移動を開始。 ……と行きたいところだったけど、ストックの確認などをしてからの移動となった。 ここに来る前に創造世界と他のストック結合させて使ってしまったから、 それ以降に時間が来る度ストックしといたマグニファイが四つ。 それと今ここで溜めたワールドデストロイヤーが一つ。 相手がどんな手段で来るか解らん以上、ワールドデストロイヤーほど頼もしい技はないね。 キャリバーの能力だからバルバトスのものほど強力じゃないけど、 ちゃんと世界破壊の能力は付加されてる。 うん、万端さ。 中井出「………」 総員 『《コクリ》』 皆様を見つめると、皆様も同時にコクリと。 ……よし、準備は万端……いわゆる満を持した状態! なんかヘンな感じだけど、意味的には間違いじゃない……んだよね? まあいいやうん!行こう! ───……。 ゴコォオンッ……! 自動で開く扉を何度も通り抜け、その先にあった大広間へと辿り着く。 ……とても広く、とても機械的な場所だった。 そして、その先の玉座に─── レイナート「……ようこそ、魔王博光」 足を組み、立てた肘にコメカミを乗せて座るレイナートが居た。 中井出「……どなたでしたっけ?」 ……瞬間、ズッコケた。 レイナート『私だ私!レイナートだ!貴様はここになにしに来たんだ!?私を止めに』 中井出  「死ねぇえええーーーーーーっ!!!」 レイナート『なにぃ!?ぬぉおおおおおおおっ!!?』 掴みはオッケーだった! 一瞬の隙を突き、俺はかつてない速さ(に感じる)で玉座へと走り、 レイナート目掛けて剣を振り下ろした!!  ガギィンッ!! 中井出「ぬっ!?」 だが、その剣が横から伸びてきた機械によって受け止められる。 無数の枝のような機械はギチギチと蠢き、 生きているかのようにレイナートをジークフリードから守 中井出  「サミング!!」 レイナート「《ゾブシュ!!》ぐわぁあああああああっ!!!!」 総員   『うわあ……』 ……り、きれなかったようだ。 レイナート「ちぃっ!離れろ!」 中井出  「《バヂィンッ!!》あだぁっ!?」 目を庇った彼の、苛立ちの声とともにエネルギーフィールドが展開。 俺はそれに弾かれるように吹き飛ばされ、玉座がある場所の段差の下まで飛ばされた。 中井出  「ぐ、ぬう……!」 レイナート「話の途中で攻撃を仕掛けるとは、さすが魔王といったと───」 中井出  「空間翔転移!《ビジュビジュンッ!》死ねぇえええええっ!!!」 レイナート「ぬわぁああああっ!!?」 だが追撃! レイナートの後ろに転移した僕は、躊躇することもなくジークフリードを振るい、 レイナートの背中をザゴォンッ!と切り払った!! 中井出「───!?なっ……なんだこの手応え……!」 明らかに人を切った手応えじゃないものが、俺の体に広がる。 ……これは、そう。たとえば……機械を叩いたような…… レイナート「……せっかちなヤツだ。もう種明かしの時間か。やれや」 中井出  「徹し崩拳!!」 レイナート「《ドゴォッホォオン!!!》ぶげぐぎゃあああああっ!!!」 総員   『うわあ……』 偉そうに語ろうとする、隙だらけな彼の背中に徹しナックル! 内部に思い切り衝撃を通してやると、なんか青白い液体のようなものを吐いた。 まあオイル!?これはオイルなの!? レイナート「き、さま……!《グキィッ!》ぬぐっ!?」 中井出  「三千大千世界全焦土ォオオッ!!!!」 レイナート「ま、待てぐぎゃぁああああああああっ!!!!」  ゴンバババババババガァォオオンッ!!!! 即座に発動させた義聖拳。 両手でレイナートの首を掴み、 ネックハンギングツリーの状態で荒ぶる炎の柱の中に飲み込む。 当然そこではギガボマーの効果も発揮され、燃えると同時に爆発し続ける彼は、 炎の柱の中でみるみるうちに動きを鈍くしていった。 やがて炎が消えようとする時。 トドメとしてDマグナムで殴り飛ばし、 玉座の後ろにある妙な機械へと叩きつけてやった。 レイナート「……、が、はぁ……!」 中井出  「うへぇ!?」 それでもしっかり生きてることにむしろ感心! やっぱこいつ……自分の体、改造してやがる……! レイナート「ふ、ふふふ……強いな……。       貴様らから頂戴したデータが無ければ、今頃あの世だった……。       だが、もはや私には大して効かん攻撃だ」 その言葉が真実か否かを疑うより先に、 レイナートは軽やかに立ち上がってみせ、ニヤリと笑った。 笑顔には笑顔です。 と微笑み返してやると、調子が狂ったような複雑そうな顔で睨まれてしまった。 え?あれ?僕が悪いの? レイナート「では始めよう。これから、帝王の力というものを見せてやる」 帝王の法衣を着たまま、ソイツは笑った。 あの業炎の中でも燃えなかったマントをバサリと翻し、 力強い眼差しのままに───俺達へと、ゆっくりと歩み寄ってきた。 それは……ひどく静かな、戦闘開始の合図だった。 Next Menu back