───冒険の書300/落ち着きのない人々───
【ケース751:中井出博光/帝王………………レ、レイ……ニート】 レイナート「お手並み拝見といこうか……!」 レイナートが、どっかのオメガな人のように開いた拳を再びグワシィと握り締めた。 ……ああ!なんかどっかで見たような風情だなぁとか思ったら、 この人ルガールに似てるんだ! 暗い場所に閉じこもって、時が来るまで一切誰の前にも姿を現さないところまでそっくり! …………あれ?それって…… 中井出「…………OH!《ポム》」 手を打った。 ヘイマイコー!彼はニートよ! でも強そうだから勘弁していただきたい。 中井出「人生いつでも全力勝負!ストック残して全力《ゴキィインッ!!》───あれ?」 岡田 「うおっ!?て、提督!?」 ……ハテ。 謎の球体が突然僕を包んで……? レイナート「魔王博光。お前は一番最後だ。       楽しみを先に潰してしまったら、つまらないだろう?」 中井出  「なにぃ、これは楽しみに繋がることなのか。じゃあ大人しく待ってるね?」 岡田   「うおぉおおい!?いいのか!?あんたそれでいいのかぁああ!!?」 中井出  「いやぁ……だってなんだか物凄く硬いし、斬りつけてみても斬れないし」 レイナート「当然だ。それは古代技術で作られた封印魔導術だ。       竜族───あの守護竜たちでさえ押さえる力がある。       貴様がいくら暴れたところでそこから逃れる方法はない。       私が解放するまで、せいぜいそこで仲間の死にゆく様を見ているが───」  ビジュビジュンッ!! 中井出  「やあ」 レイナート「うおおぉおおっ!!!?なっ……貴様どうやって!!」 中井出  「いや……ただ転移しただけですけど」 見下した態度が勘に障ったので、空間翔転移で抜け出してみせた。 そうだよねー、竜族は転移なんて使わないもんねー。ガボンッ! 中井出「おや」 再び飛んできた球体に、またもガボンと飲み込まれてしまった。 レイナート「いいからそこで見ていろ!貴様は一番最後だ!」 中井出  「わ〜〜、かっこわるーい。       偉そうにしてたところをあっさり抜け出されたからって逆ギレだ〜。       さっすが自分の帝国に引き篭もって王様気取りのレイニートだぜ〜〜〜っ!」 総員   『ぶふぅっ!?』 レイナート「ぬぐっ……!!き、きさま……!!       黙っていろ!貴様から潰してやってもいいんだぞ!」 中井出  「なんだとニートてめぇ!       一番最後って言ったくせにもうウソにするのかニートてめぇ!       だから貴様は小者っぽさが抜けねぇんだよニートてめぇ!!」 レイナート「ニートと呼ぶなぁああああっ!!!───ぐっ……はぁ、はぁっ……!!       ……ふんっ、解っているぞ。どうせそうやって私の怒りを引き出し、       隙を作ろうという魂胆だろう」 中井出  「いえ普通に馬鹿にしてただけですけど」 レイナート「ぎぎりぎいぃいいいいい!!!!《ミチミチミチ……!!》」 歯軋りとともに、物凄いコメカミの躍動だった。 中井出「えーと……じゃあみんなごめんね、僕ちょっと旅に出てくる」 岡田 「えぇ!?ちょっ……提督!?」 ルナ 「ちょっとエロち!?何処行くのよぅー!!」 悠黄奈「ここまで来てわたしたち任せなんですか!?ちょっ……博光さーーーーん!!?」 球体にフロートをかけ、 軽くしたのちにエジェクトしたクサナギに乗って各馬一斉にスタート! クサナギの柄に押された球体はそのままシュゴーと飛び、 あっという間に彼ら彼女らを置いて、僕を来た道へと飛ばしていった。 ───……。 ……。 ゴシャーーーーーアーーーーーーッ!!! 中井出「球体が自分の周りにあると、     テイルズオブファンタジアのマクスウェルになったみたいな気分だね」 誰にともなく言ってみた。 ……意味は無かった。 中井出「うむ。ここまで来れば大丈夫だろう」 階段をシュゴーと上りきり、ガードタイプミクが居た場所まで着くと、 霊章輪・火闇スキルの“蝕闇”で球体を食い荒らした。 そうしてから意識すると、灼闇の球体がキュバァン!と僕の周りに出現! あっという間に人造人間17号型バリアシステムの完成である。 ……あ、でも機械能力になってるや。 中井出「俺のターン!初音ミクを召喚!そしてサポートカード“機械武具”を使用!     機械側の装備の全てをミクと合成させた状態での召喚を完了する!」  ゴシャーーーーン♪ ミク 『………』 中井出「………」 ミク 『べつに……姿とか変わりませんね』 中井出「うむ。だが防御力も高いしビットシステムやランチャーバズーカはもちろん、     ビームソードや超震動波ブレードもしっかり完備!     ───さらに俺のターン!月光竜シャモンを召喚!     クク、そして───魔法カード融合!!この二対を融合させる!     今!究極のマシン竜の誕生!“月光眼の青緑竜”(ムーンアイズブリッシュグリーンドラゴン)!!」  ドンッ☆ ……などと遊戯王やってる場合じゃなく。 青緑竜『……あ、あーのー……マスター?わ、わたしこんな姿でどうしたら……』 中井出「うん……どうしよう……」 既に霊章の中で融合済みなんだから、くっつけたりだとかは自由自在なんだけど。 でも確かにこんな状態にしたからってなにがどうなるわけでもなく…… 中井出「あ、ミクの姿に戻れる?」 青緑竜『あ、はい《キュパァン!》───どうですか?』 シャモン寄りだった姿が、しっかりとミクのものになった。 でも格好のところどころに銀色と月光の金色が混ざっており、 ああ、融合体なんだなぁと思い知らせてくれる。 中井出「…………月音シャクというのはどうだろう」 ミク 『それは……その、融合時の……名前、ですか?』 中井出「月光竜と初音、シャモンとミクを合わせてみた。漢字で書くと〜〜───こう!」  月音 灼《どーーーん!》 ミク 『……ミクでいいです』 中井出「そ、そうですか」 物凄い影が差した顔で遠慮されてしまった。 中井出「初光(はっこう)ミモンでもいいんだが」 ミク 『全力で遠慮します』 中井出「うん……発光レモンみたいでいやだよね……」 ただでさえ黄色というか金色というか、それっぽい色が混ざってるんだから。 やあ、でもゆっくりと点滅する輝きはなんとも素晴らしいものがある。 髪の青緑もうっすらゆっくり輝いてるし。 ミク 『そ、それで、マスター。     わたしたちだけこっちに戻ってきてしまって、いったいどうするんですか?』 中井出「うむ。テオダールを探してみようと思ったんだ。何処にあるか知らない?」 ミク 『あ、それなら───あっち側の塔にありますよ?     封印にはいくつかの仕掛けがありまして、     最初のチェーンロックの番号が11922960。     次の魔法仕掛けが時属性をぶつける仕掛けで、     最後が竜族に伝わる魔法をぶつける、というものです』 中井出「うわーあ……一人じゃまず無理ではないか」 ミク 『ええ、なにせ“この世界自体”の時ですから。     誤って破壊でもしようものなら大変です。     ですから亜人族たちが魔法ロックを、竜族が竜魔法でのロックを、     人間たちが保管場所の提供をしたんです』 中井出「そ、そうか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」 つまりテオダールとはそれほどまでに危険で大切なもの……! ……そりゃそっか、壊れたら時間が滅茶苦茶になるんだ。 ミク 『…………。あの、ところで疑問点いち、いいですか?マスター』 中井出「うむ。可能な限りなんでも答えれるといいね?」 ミク 『そ、そうですねー……。あの。マスターやトンガリ頭さんの技───     音速、ってあるじゃないですか』 中井出「うむ?……うむ」 ミク 『あれはどうしてそのまま殴るんですか?確かに速度的にはとても速いですけど、     “音速”をぶつけるのであれば、     殴るより弾いたほうがいいんじゃないでしょうか……』 弾く───おお。 中井出「鞭の法則ですね、解ります。いわば僕らの音速は振っている加速時のもので、     鞭が音速の壁を越える、“戻し”の時とは明らかに速度で劣ってる、と」 ミク 『そうです。……その、音速をぶつけるのであれば、     そちらの方が威力が高いんじゃないでしょうか……』 中井出「うむ───鞭は、“返る”瞬間にこそ音速の壁を越える。     その理屈でいけば、僕らの音速拳は音速一歩手前拳。     彰利の音速は竜や黒でブーストが入ってるから音速にはなってるけど、     僕のはその域じゃないね……うん……そうだよね……うん……」 ミク 『ああいえあのっ!?マスター!?マスター!?     そんな自分の言葉で落ち込まないでくさいぃい!!』 中井出「だ、大丈夫、大丈夫だよ?だって僕強い子だもん。多分。     え、えーとつまりミクは、拳ではなく音速衝撃波で攻撃してみたらどうか、と。     そう言いたいんだね?」 ミク 『はい!』 満面の笑みでした。 でもそんな笑顔に僕は首を振りました。 ミク 『えぇえっ!?ど、どうしてですかー!?』 どうして……と。 ううむ、そんなものは解りそうなものなんだが…… 中井出「技術的には悪くないけど…………それってもう音速“拳”じゃないよね……」 ミク 『───……』 中井出「いやあの、確かに常人が常人相手に使えばとっても強いよ、うん。     でもね……今更音速の衝撃波動ぶつけたところで、     多分竜族とかには効かないよ……。気とかも関係ないから、     拳をぶつけてるわけじゃない所為で、彰利が使ってもダメージ低いだろうし……」 ミク 『あ、あのー、つまり……』 中井出「熟練度やレベルに縛られてる僕らにしてみれば、     音速に至った上で“自分の武具で攻撃すること”が大事なんです……。     いやね、実際音速身使ってる時はこう、腕を思い切り音速で振るうわけですよ。     当然、その鞭の法則も自動的に宛がわれるわけだけど───     うん、メカには効かないし一定のレベルがあれば、     冒険者相手にもそこまで高いダメージは与えられないかなぁ……。     だって僕の身体が耐えられてるわけだし……」 ミク 『わあ……』 というわけで“音速・鞭の法則”は却下。 彰利もそれが解ってるから拳で殴ってるんだろうし。 ……あれ?でも待てよ?  ホリュリュリュピキィーーン♪《閃きが発動!しかし中井出博光には意味がない!》 中井出「ひどい!なんてひどい!」 そりゃ確かに僕、時間操れたりはしないけどさあ! それでもスロウとヘイストとキングクリムゾン(時間飛ばし)くらいは使えるんだい! …………。 むう、ダメだ。スロウもヘイストも、自分や味方や敵にしか使えん。 ここはやっぱ彰利だな。よし、彰利を探そう。 【ケース752:弦月彰利/メカ豪鬼のネームスペルがメッチャ豪鬼に見えた。1点。●】 ゴゾォオオ……!! 彰利 「クォックォックォッ……!!連絡をすれば皆、塔へ行く……!     だがその裏を掻いて、一つくらいはあるであろう宝を探すアタイ参上……!」 さあ、古代文明の宝ってやつをいっちょ手に入れて、 そんで売り払うか武具に融合させるかして私腹を肥やそうホトトギス。 そげな魂胆で家捜しを繰り返すアタイがここに居ました。 やあ、火事場泥棒はこれだからやめられねぇ…… いつ仲間に気づかれるかも解らない───この緊張感がたまらねェYO!! 彰利 「ウフフフフ……オッ、この金像、中々いい形しとるじゃねーの」 声  『我を褒めし者よ───』 彰利 「ホギャァオワッ!!?     ななななに!?なにごと!?ホワイ!?いきなりなにィイイイイ!!?」 声  『私は格闘家を導く者、宝石商のジェム。貴様に奥義を授けよう』 彰利 「導くとか言いつつなにさりげなく人ンこと貴様呼ばわりしとんの!?」 声  『うるせー!古代遺産ナメんなこの野郎!     いいから受け取れクズが!返事はハイのみだ解ったかクズが!』 彰利 「テメッ……!ろくでもねぇ奥義だったら覚えてろよこのヤロッ……!」 声  『いいだろう。ではまず貴様に音速拳を───』 彰利 「使えるからいいです」 声  『そうか。では次に真・音速拳を───』 彰利 「使えるからいいです」 声  『そうか。では次に音速・衝撃波を───』 彰利 「使えるけど使わないからいいです」 声  『そうか。では次に時操・音速拳を───』 彰利 「───ヌ?なにそれ」 時操? 時間操って音速拳? ……まさか未来のアナタへ、届けアタイの拳!? 声  『この技は時間が操れなければ意味がないが、いいか?』 彰利 「オウヨ、操れる操れる」 声  『そうか。ではまず漠然としたやり方だ。まず音速拳を放つ。     もちろんそのままではただの音速拳だ。     だがここでこそ、時操を使うのだ。     上級的な時操が要求されるが、根性でなんとかしろ』 彰利 「いちいち偉そうだなコノヤロウ」 声  『音速を繰り出す自分には時操・加速を。     だがそれと同時に、自分の周り……たとえば、     敵と見做した対象の周りには時操減速を。これが基本である』 彰利 「……、自分に加速、周りに減速。同時時操か……こりゃ確かに集中が要るな。     時操やりながら音速かぁ……ちと待て、ムズイぞコレェエエ……」 声  『次に最大のポイントだ。“拳”ではなく“武具”を頼れ。     音速で攻撃をするということは己の皮膚はもちろん、その内部までも裂傷させる。     だがそれも篭手などの武具を完全に信頼すれば、全て武具が吸収してくれる。     頼りたくないとぬかすのであれば武具など捨てて五体のみで挑むがいい』 彰利 「…………。武具に、頼る───」 ……なるほど。 “拳”で攻撃するから、篭手ェつけとんのに手が砕けるんだ。 その衝撃、全て篭手に移るように振るってみれば───  ヒュラッ───キュボバッシアアアア!!!  ───……オォォォ……ォォ……ン─── 彰利 「…………」 すげぇ。 音速・鞭打をやってみたってのに、愚地克己の腕みたいに破裂しねぇ。 こりゃ面白ェ! う、うし、ほいじゃあ次は時操・音速拳とやらを試してみよう! 彰利 「お、おーし!いくぞー!───シィッ!!」  ヒュキュヴァァンッ!!! ───……。 …………。 ……………………ィ……ィィン…… 彰利 「───ぶはぁっ!!ほ、ほぉっ!?ぬおっ!?あー!あー!あー!?     ……き、聞こえる、ね?」 おお……びっくりした……。 一瞬聴覚がおかしくなったYO。耳がキーンって鳴って……グ、グゥム。 彰利 「………」 ……音速、超えられるね、これ。 や───この発想はなかったワ。  ホリュリュリュピキィイインッ♪《閃きが発動!光速拳を閃いた!!》 彰利 「ホワッ!?ひ───光!?……キャア!アタイついに光の領域に!?」 光の速さで〜とかよく例えで使ってたりしたけど、今まさにアタイが……!? 彰利 「ぞ、像!ありがとう!アンタのこと悪く言ってスマ───アルェ!?」 お、おらん! 馬鹿な!ついさっきまでそこに立ってたのに!! 彰利 「…………像…………」 貴様が何者だったかは問うまい……思いっきり中井出だったけど、 今彼はレイナートと戦ってると思うから、こげなところに居ないだろうしね。 彰利 「我が拳はマッハ88万!一発にして音速拳88万発分の威力よ!     ……まあ音速の次が光速に違いねーとか、     そこんところで適当につけられた名前だろうけど」 だから多分まだ一発で音速拳5発分くらいに違いねー。 ……つまり、もっと時操を詰めていけば威力を上げられるっつーことだ。 マッハ5ってことは音速拳5発分を一発に込めるってこと。 加速と減速の時操を使って、これをどこまで引き伸ばせるかだね。 で、引き伸ばした先で剛体術に切り替えるの。 何故かって?力みなくして解放のカタルシスは味わえねぇからよ。 勝つためならいくらでも小細工を使いましょうぞ。 だがどれだけ小細工を乗せても、結局最後は力みあっての破壊力。 他では違うかもしれんが、ゲーム世界のSTRってのはそういうものなのさ。 そげなわけで───加速と減速を器用に使いこなせるようになってみせよう! 彰利 「セカンドハンズフリーザー!!───使えないんだった!!     ヒロミチュード!?ヒロミチュードォオオオ!!     鎌にオールエジェクトギミックやってぇえええ!!」  ジャンッ!《ブレイブポット!自爆が発動!!》 彰利 「いやぁあああああああっ!!!!」 待って!今言ってみただけで───そ、そうだストック! ゲゲェしまった全部埋まってきあーーーーーーーっ!!! 【ケース753:セレスウィル=シュトゥルムハーツ/いろいろ謎が渦巻いてギャア】 とたたたたっ───たっ。 セレス「…………?あの?」 帝国……がある筈の場所は綺麗な新地になっていた。 ……ではなく。 どうして階段らしきものの前で男女が倒れているんでしょうか。 というか買い物を頼んだ人たちは、わたしを置いてさっさと先に進んだということですか? ここに居ないということはそういうことなのでしょう。 セレス「あの。あの?………………起きなさい《ギンッ!!》」 男性 「《ビクウッ!》ひいっ!?」 女性 「《ビビクウッ!》ひゃわいっ!?」 セレス「《スゥ……》ふう。おはようございます」 少しだけエドガーから力を吸い取り、威嚇に使用しました。 効果は覿面です。 ただ金敷深紅は目の前が真っ赤に染まるから、あまり使いたくはないものです。 ……ああ、砂埃とか被ってて解らなかったけれど、 どうやら男性はアルビノさんのようです。  ◆金敷深紅───こんじきしんく  白目が金に染まり、それを下敷きにするかのように黒目が深紅に変わる。  金を敷いた上に深紅が存在する点から金敷深紅と呼ばれている現象。  主にエドガーの力を引き出すと発動する。いわゆる吸血鬼モードである。  力の消耗が激しいため、あまり好んで使わない。……血を吸いたくなるからだとか。  ただし白目が金色になるのは制御が出来ていない故のことであり、  能力のコントロールが出来るようになれば白敷深紅……いわゆる深紅眼のままらしい。  *神冥書房刊:『吸血鬼大辞典』より ……。 セレス 「さて。状況を説明してほしいのですけど」 アルビノ「と、言われても…………ああ、うむ。とりあえず殴られたことで記憶が戻った。      俺は識別番号A-20012。長ったらしいからアルビノって呼んでくれ」 セレス 「ではそのままアルビノと。そちらは?」 アルビノ「オリジナルミク、ツェルストクラングだ。将来を誓い合った仲なんだ」 ミク  「ウソですからね?」 アルビノ「な?」 セレス 「………」 状況はあまり改善に向かいそうにありませんでした。 セレス 「わたしはセレスウィル=シュトゥルムハーツといいます。セレスで結構です。      で───何故か帝国が消滅しているようなのですが……?」 ミク  「あ、それはですね、この階段を下りていった先に地下帝国がありまして。      そこへと向かった魔王たちに破壊されました。      …………あなたはA-20012よね?」 アルビノ「言いながら人の髪の毛を引っ張るのはやめてくれ。      クローンながらに“この歳で”とか言っていいのか解らんが、      この歳でハゲたくない」 ミク  「…………《うずうず……》」 アルビノ「や、やめてぇえええ!!うずうずするのやめてぇえええ!!      人の髪の毛握り締めながらその笑顔っ……イヤァアアアアアアッ!!!」 セレス 「仲がよろしいのですね」 アルビノ「将来を誓い合った仲だ《ぶちぃ!!》ギャアアアアアアム!!!」 ミク  「ウソですからね?」 アルビノ「友がぁあああ!!僕の長い友がぁあああ!!」 ……少々頭痛が。 話を進める気があるのでしょうか、この方々は。 セレス 「地下に降りた人たちの中に、こう……老人は居ましたか?」 アルビノ「伯だろ?先に行ったと思うぞ?俺ゃ気絶してたから知らん」 ミク  「わたしも魔王博光に首を捻られて気絶させられて……」 セレス 「………」 魔王博光。 ……あの人がここに居るのですか。 あの、惨たらしい空界大量毒殺をした張本人が。 毒、とは少し違うかもしれませんが、殺したことには変わりありませんね。 …………まあ、わたしには関係ありませんが。 相手の人となりなんて、わたしが決めることですから。 他人からの吹聴や戯言をいちいち信じていては、 見極められるものも見極められませんからね。 だから───ここに彼が居るのなら、いい機会です。 わたし自身がわたし自身の目で、彼の人となりを見極めれば済むこと。 空界の誰が死んだってわたしには関係ありませんし、 そもそも彼を毛嫌いしている人たちにも関係がない。 それに気づくべきなのに気づこうともせず、 集団思考に飲まれるままに罵倒を続けているクズ人間を思い出す。 ……少し、腹が立った。 セレス「敵、ですね。誰も彼も」 こんな感情は久しぶりだ。 フェイトに出会う前の、無感情だった頃のわたしに戻ったような、そんな気分だ。 随分と前に出会った一人の子供の姿を思い浮かべ、静かに笑う。 それは言い逃れできないくらいの苦笑で、浮かぶ後悔は今も消えない。 消えないからこそ、一方的に決めてしまうのはよくないと思える。 よくないと思えるからこそ、 そうしようともせず罵倒ばかりを飛ばすあの人間たちに苛立ちを覚えた。 原中、とか言ったか。 ともかく悠介さんや、変態オカマホモコンさんたち以外のほぼに、 敵対心を抱いている自分が居る。 かといってあの魔王に友好的であるか、といえば否だ。 セレス「ここでこうしていても始まりませんね。行きましょう」 いろいろ悩んだ末、地下への階段を折り始めた。 ───途端、ドゴォオオン!と物凄い震動が地面の底から突き抜けてきて、 危うく落ちかけましたが───…………なにが起こってるんでしょうかね、下で。 少し、急ぎましょうか。 アルビノ「…………」 Next Menu back