───冒険の書322/Kの反逆───
【ケース803:中井出博光/タイトルに内容は関係ありません】 ズキィーーーーーーーン!!!! 中井出「おぎゃわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」 時間内に猫の里に戻ってくるなり超筋肉痛&痛みのあまり転倒。 カイザードラゴンを一撃で屠るためとはいえ、無茶な解放しました。 フフフ、だが悔いはない……あいつのような竜を屠れたのだから……。 閏璃 「それで、どうだったんだ?」 中井出「ああうん……!あでぇぃっ!よ、予想通り……いぢぢ……!     カイザードラゴンが主体になって……ましたねぇ……!     然の守護竜だからね、この世界が自然に満ち溢れすぎてる今、     絶対に死の守護竜では押さえつけられんと思ってた……つーか、     喋らせないでくださいお願いしま《ズキーーン!》ギャアーーーーーッ!!」 痛い!痛いよムーミン! ムーミン関係ないけどやっぱり痛い! 閏璃 「どんな無茶してきたんだ?」 中井出「《キリッ》カイザードラゴンを一撃でコロがしてきました」 閏璃 「ぶほっ!?そ、その武器どこまで強くすれば気が済むんだ提督さんよぅ……!」 中井出「どこまででも鍛えたい……それが武具を愛する者です。     なにかを倒せるまで、とかそういうんじゃないんだ。強くしたい……どこまでも。     ……中井出博光です《脱ぎズキーーーン!!》ギャアーーーーッ!!!」 閏璃 「自己紹介も脱衣もいいから」 脱ぐという行為が僕の筋肉をダイレクトアタック! アックスレイダーも思わず撃破されてしまいそうな激痛に、 僕は感動の涙……じゃないね、痛みの涙を流した。 フフフ、だがこの博光、もはやこの筋肉痛の痛みにも慣れてきた猛者よ。 ……まあ、さすがに二年以上も付き合ってれば自然とね? 痛いものは痛いわけだけどさ、それでも多少は耐えられるようになったわけですよ。 これも回路の……“順応”の特殊能力なのか……。 中井出 「そんなわけで戒めの死宝玉と竜宝玉ね。それから崩骨竜素材……と」 閏璃  「しっかりしてるな、さすが提督さん。武具強化のための素材は見逃さないな」 中井出 「結構引っこ抜いてきたから、      武具に埋め込んで強化するだけじゃあ余る。そこでコレだ」 閏璃  「コレ?……灼闇か?」 中井出 「うむ。と、その前に……アイルー!」 アイルー『《バゴォンッ!》ゴニャアッ!』 霊章を通して、鍛冶工房前で寝ていた筈のアイルーを召喚! そしてお見積もり……というか、武具に必要な分の崩骨竜素材と宝玉を取ってもらい、 残りを───灼闇で食い尽くす!  ガリッ……ゴリガリッ……バキッ……  デェッデゲデェーーーーン♪《レベルUP!!灼闇最終スキル、召閻を会得した!》 中井出「……コレモンよ」 閏璃 「いや、胸張られてもログ見せてもらわないと解らないんだが」 中井出「や、ようするに灼闇レベルがマックスに至りましたということで。     え〜〜〜っと……ザ・ワールド!時よ止まれ!!」 召閻、フォァラドゥンクを時属性で発動! 僕の前に灼闇のザ・ワールドが出現し、世界の時を止める! その隙に僕は閏璃の背後へと回り、丁度そうした瞬間に時が動き始める。 中井出「そして時は動き出す」 閏璃 「《ビビクゥッ!!》うぉわぁっ!!?てっ……提督さん!?あれ!?     今ッ……ン目の前、に……!?」 中井出「俺が時間を2秒だけ止めた……とまあこのように、     武具に宿る属性分を自由に行使出来る灼闇をスタンドとして召喚できるのだ。     もちろん召喚するのは霊章の中に眠る意思たちでもいい。     たとえば〜〜〜……伯!」 灼闇 『《バシュンッ!》ムオォッ!?お……おぉお……!?こ、これは……!?』 閏璃 「おお……伯……!伯だ!!」 火闇で象られた伯が、戸惑いながら現界! しかしあまり長くは出現させておけず、しばらくすると自然に消えてしまう。 閏璃 「すごいなこりゃ……死に別れたヤツとさえ再会できるのか……」 中井出「僕が意思を受け取ってればね。これ自体は召閻じゃなくても出来たけど、     やっぱり精度は上がってる。宝玉の属性も使えればよかったんだけどなぁ。     武具に宿る属性じゃあ、精霊並みの能力行使がイマイチ発動できない。     ……そういやいつか神父が言ってたっけ。     いつか人のままで尋常ならざる力を手に入れたのなら、     然より上の属性を宝玉に封入してやろう、的なことを。あ、回想入ります」
【回想】 神父 「さて、他に用は───」 中井出「一つ訊きたいんだけどさ。もし守護竜を倒して力を解放できたとして、     貴様の宝玉とかもらえたりしない?」 神父 「貴様がより強くなり、     様々な属性に対して抗体が出来ていれば或いは可能かもしれん。     だが基本として今の貴様では確実に不可能だ」 中井出「ええっ!?なんで!?」 神父 「貴様にはそれだけの才が無い。人としての限界というものがある。     それを超越出来るだけの能力が貴様にはない。それが貴様の限界だ」 中井出「う、むうう……!」 それはそうかもしれない。 ここまで強くなれるだけでも十分すぎるくらいだ。 そうだよな、まだ上だって目指せるし、高位精霊の宝玉がなくても─── 神父 「どうしても人間の殻を砕きたいなら人をやめろ。     それが嫌ならそれ相応の何かを身に付けることだ。     どの道今の貴様では我々の力を完全に操ることは出来ない」 中井出「い、言いやがったな神父め!     だったらもし俺がそんな力を手に入れることが出来たら───!」 神父 「約束してやってもいい。貴様のその宝玉に高位精霊の属性を封入し、     力を引き出せるだけ引き出してやろう」 中井出「よっしゃあ確かに聞いたぞ!聞いたからな!     テープレコーダ−が無いのが悔やまれるけど!」 神父 「せいぜい励め。貴様では無理だろうがな」 中井出「ていうか今更だけどなんで呼び方が貴様になってるの!?     あんまりに当然のように言うから気づかなかったよ!     そして我ら原中は無理なんて言葉に振り回されん!経験主義者だからな!」 【End】
……という遣り取りをした。 ああしたとも。 で……僕は手に入れたよ、神父よ。 様々な属性に関しての抗体など、随分…………ついてるかなぁ。 そこのところは実感ゼロだが、少なくとも……ぬお、ダメだ。 人としての限界ってものがあるって言われても、 僕が人である限りもしかしてもらえなかったりするんじゃないだろうか。 …………あ、でも相応のなにかを身につけることだ〜って言われてるしな。 人器とか武具能力でもいいってことなのか? ………………解らん。 解らんからとりあえずは戒めの死宝玉でも破壊しとこっか。はいゴシャアと。 中井出「……さて、それでこれからどうしようか」 閏璃 「とりあえず作戦会議にしようか。そろそろみんな起きるだろ」 中井出「そうだね」 筋肉U(つう)に苦しみつつもムクリと起き上がり無理です痛いです。 仕方ないので僕が倒れるここ、 湖前に集まってもらうことにして、亜人族には武具を預け、他の皆様と先に作戦会議。 中井出「これからの行動を説明する!!………………どうしよう」 そして無駄に先が見えてなかった。 レイル「くぁああ……ふぁひゅひゅ……、この場合、他のやつらとの全面戦争……とか、     そういう感じに……くぁああ……ふぅ……なるんじゃないか……?」 中井出「眠そうだねレイルくん」 レイル「そういうお前は痛そうだ」 うん痛いです。 岩があったからそこに背中を預けた状態で座ってるんだけど、 いやぁ筋肉って少し喋るだけでもいろんなところが動くね。 全身筋肉痛になってみるとよく解るこの痛み……まさに国宝級である。 こんな国宝いらないけど。 ……っと、プロテインプロテイン、と。 もうコレの味にも慣れたなぁ……。 ナギー『ヒロミツはどうしたいのじゃ?』 シード『世界は一応支配したことにはなっていますが……     圧力らしい圧力はなにもしてません。父上、ご決断を』 中井出「《ゴクゴク……》ゲフッ……うぉおマズ……!     あ、ああうん……圧力はかけてないっていっても、もはや自然が僕らの武器。     この自然が世界に伸びてる限り、世界の住民たちはそう手出しできぬわ。     問題なのは勇者どもとジュノーンとデスゲイズだな」 勢力はとうとう4つに割れた。 守護竜のほぼが死滅した今、竜族もそう脅威ではなくなったためです。 モンスターも獣人も、そのほぼが勇者側。 中井出「そこでだ。ジノ、シャル」 ジノ 「サーイェッサー!!」 シャル「なんですの?」 中井出「キミたちに常霧の町ガランディアをプレゼントしよう。     そこで静かに暮らしなさい」 ジノ 「……とうとう、始めるのですね」 シャル「癪ですわね……なんとかなりませんの?」 中井出「亜人族やナギーやシードは平気だけどね、貴様らは死ねばそれっきりの生身。     さすがにそんなやつらを戦争に巻き込む勇気が僕にはありんせん。     どうしようと勝手だ〜とか言われたって、     戦争の中で死なれれば辛いし悲しいだろ?あまり勝手ってわけでもないのである」 俺がやろうとしてることも似てるのかもしれないけど、まあ僕忘れられるわけだし。 そもそも死ぬ気はさらさらないから。 中井出    「ジハードとグレイジャーゴンはどうする?         貴様らも死ねばそのままの存在だけど」 ジハード   『そうだな……死ぬ気はねぇけど絶対に殺されない保障なんてねぇしな』 グレイドラゴン『私はイルムナルラとともにある。一緒に行くぞ』 ジハード   『《ムカリ》俺もだ。一緒に行くぜナカイデ』 グレイドラゴン『………《ゴゴゴゴゴゴゴ……!!》』 ジハード   『…………《ドドドドドドド……!!》』 中井出    「不必要に緊張感出して睨み合わんでください。         そして却下………!女のために戦場へ向かうことを僕は許可しません。         自分のために戦いなさい自分のために」 ジハード   『自分のためだとも。俺がシャモンの傍に居たいだけだ』 グレイドラゴン『違うとしてもなぜ貴様の許可が要る』 きっぱりと言われました。 でもうん、その質問に対する答えなら既に出ておるわ。 中井出    「それはね?女が人質にとられた時に、あっさり自己犠牲を選ぶから。         ……ン?反論できる?ン?」 ジハード   『うわ……ピンポイントすぎるだろそれ』 グレイドラゴン『ぬ……ぐう……』 中井出    「そりゃさ、シャモンはもう霊章に飲み込んじゃってあるから、         もし捕まっても霊章転移で戻せるよ?         でももし転移を封じられたら?捕まったままだったら抵抗できる?         それこそシャモンの命のためだとかいって同士討ちに走るでしょ貴様ら」 ジハード   『走るな』 グレイドラゴン『走るとも』 少しも否定してくれませんでした。 ある意味漢ってゆゥか男ってゆゥか。 中井出「だからダメ。女のためは一番ダメ。     女が捕まっても躊躇無く突っ込めるくらいじゃなくちゃ、戦場出陣は叶いません。     ……かつての仲間に一度見せてもらったものの話をしよう。     そいつは勇気のないヤツだったが仲間を集め、     囚われた仲間を助けるためにとある帝国めいた場所に乗り込んだ。     そこに居た捕虜たちも味方につけ、奴隷たちも味方につけ、     皆の興奮が一番に高まり、あとはボスを倒すのみ!     そうなった時、女を人質に取られたそいつがとった行動ってなんだと思う?」 閏璃 「紀元前一万年か」 中井出「あれぇ!?もう解ったの!?」 閏璃 「俺もアレ大嫌いだったし。ヒロイン要らないだろアレ。     よっしゃああ!って興奮が高まってたのにアレだけでガックリだよ。     リーダーが女にメロメロな物語はダメな、戦争向きじゃないよ」 中井出「そうなんだよ……戦争ってのは女に恋する物語にしちゃだめだ。     恋する物語はラヴロマンスに任せておけばいいんだよ。     それがなんだい、久しぶりに見た映画がアレかよ。     あれじゃあ“村の仲間のため”に助けに行ったんじゃなくて、     “好きな女のため”に他の集落のやつらを巻き込み利用したって感じじゃないか。     アレはだめだった。人質に取られても突貫してたんならOKだったよ?     もしくは自分だけが止まるんだったらよかった。     なのに他のやつらにまで“待て”とか“従え”とか言って止めるのはなぁ……」 アレはひどかった。 オババが最強すぎただけの映画で、 せっかくの盛り上がりを主人公が潰してしまう悲しい物語だ。 うん、ほんとオババは最強だったけど。 ジハード『つまり、どうすんだ?そう言われたって、好きなもんは好きで仕方ねーだろ』 中井出 「あ、今好きって言ったね?今認めたね?」 ジハード『え?なに言ってんの?言ってないよ俺。今のホラ、アレだよ?      戦いが好きって意味だよ?アイライクバトルだよ?      戦いの話してるのにそんなこと言うわけないじゃん』 中井出 「いや言ったよね今。おたく言ったよね。      今のはライクっていうかもうラヴだったよね」 閏璃  「死ぬ覚悟と生き抜く覚悟は必要だけど、      それでも突貫できるってヤツ、居る?」 おお華麗に無視だ。 そして閏璃の言葉に大半の者どもが手を上げるが─── 閏璃 「じゃあみんなガランディア行きな?」 僕が言いたかったことを、あっさりと閏璃が言ってくれた。 ツェル「どうしてですか!?」 中井出「ピエロだからさーー《ベパァン!》げひゅん!!」 電光石火でビンタされた……ほんの冗談だったのに。 中井出「あででで……!あ、あのね?それはね?     べつに一緒に行って死ぬかもしれないバトルに身を投じるよりも、     僕らの帰りをガランディアで待ってた方が危険がないからさ……」 ツェル「けど!」 中井出「だって僕ら死んでも復活するし」 閏璃 「死ぬ気ないけどね」 レイル「そうそう」 ツェル「………」 ポカンとした顔で見られた。 ここが居心地がよくて、戦地に向かう人との別れも嫌だ〜ってのはあると思う。 うん。 でもわざわざ一緒に向かって死ぬかもしれない思いするより、 確実に戻ってこれる僕らを待ってたほうが安全なんですよね。 ……それもまあ、いつ復活システムが破壊されるかわからないから、 油断は出来ないわけだけど。 中井出「というわけでうだうだ言うのはもーやめだ!霊章に入れる者以外は待機!     既にあそこのアンデッドも死滅してはや二年!いや十二年か?     自然溢れる常霧の町だから、むしろ隠れる分には最高の場所!     一応ゲートも作ってあるから、     危険になったら真上のミストドラゴンの巣に逃げること。     あそこのミストドラゴンの子供にも話つけてあるから。     貴様らの親を殺したヤツをなんとかしてきますってことで」 閏璃 「ああ……ゼットね」 レイル「かつての親友をよくもそこまで……」 中井出「仲間だから親友だから、では戦場は渡り歩けぬわ。     そしてあくまで“かつて”だからこそ割り切れる。     ……中井出博光です《脱ぎズキーーーーン!!!》ギャアーーーーーーッ!!!」 閏璃 「だから脱ぐなって!!筋肉痛より脱衣を優先したい理由はなんだよもう!!」 岩に背もたれしたまま動かなかった僕に再び舞い降りる筋肉痛。 ううん、やっぱりだめだ、体からプロテインオーラ(蒸気)は出てるけど、 そう簡単に治るものでもない。 このオーラ出したあとに立ち上がると“範馬刃牙復活ッッ!”とか言われてヤなんだけど。 レイル「じゃ、まずは移動からか」 ナギー『大盛りたこ焼きそばの出番じゃな』 中井出「むう……エルメテウスが空を浮いていられる理由、突き止めとけばよかった」 大盛りたこ焼きそばもこれはこれで快適だけどさ。 ───……。 ……。 そんなわけで、僕らはしばらくその場で休んだのち、 ロイド「ガッハッハー!死の竜宝玉の取り付けが完成したわー!」 というロイドさんの声に歓喜乱舞してから自然要塞へと乗り込んだ。 これで無以外の全てが揃った……!……あれ?無ってもう組み込んでたっけ? いやいやそんなことはないはず。 まあいいや、どの道あとはデスゲイズとの対戦のみだし、空をゆく理由もそう多くは無い。 なんて考えてたんだけど、 ロイド「死の気配でデスゲイズの探知から逃れることもできるぜ」 あっさりと浮く理由が出来ました。 それはなにかって?───自由に飛びたいからさ!! ───……。 ……。 そうして空をゆく僕ら…………美しい……! 中井出「気持ちいい!自由に空を飛べる……素晴らしい!!でも体痛い!ままならねー!」 閏璃 「はいはいおじいちゃん、そんなに燥ぐと体に障りますよ」 中井出「馬鹿言うんじゃねぇやい!オイはまだまだ若ェエエよ!!」 レイル「なぁ、ところでガランディアってどんな場所なんだ?」 シュゴー!と結構な速さで空を行く中で、 僕らは異様なテンションに包まれながら笑っていた。 これから世界大戦が待っているというのに暢気なもんである。 まあ、大戦と今を笑うのとじゃあ事情も違うし、いいのさこれで。 中井出「常霧の町ガランディア……かつてミストドラゴンが縄張りとしていた町さ。     っていってもほんとは上空にミストドラゴンの巣があったってだけで、     町はすっかりからっぽだった。アンデッドどもで溢れてたところを以前破壊。     今では自然味溢るる町となっております。     ミストドラゴンの死亡によって一時期霧が晴れたけど、     それもミストドラゴンの子供達が立派に成長、しっかりと常霧に戻ってる」 閏璃 「子供なんて居ないもんかと思ってたけど、居てくれてよかったよな」 レイル「アンデッドか……大丈夫なのか?臭いとか」 中井出「アンデッドが居たのなんか十二年前だし、すっかり洗浄済みさ。     それまでは帝国の駐屯所っていったらヘンだけど、研究施設っぽくなってた。     帝国が潰れた今、ただの空き町さ。     そこが子供達やシャルたちの国となる……最高です」 レイル「なるほど」 そう決まってからは早かった。 僕らはシャルやジノたちをガランディアに降ろすと、 あとは任せましたと丁度そこに居たミストドラゴンにお願い。 ジハードとグレイドラゴンって存在に本気でビビリまくってたミストドラゴンは快く承諾。 生身の皆様やネックレスをつけてない方々にはここに残ってもらい、次の準備へと出発。 レイル「次は?」 中井出「魔王城を作ろう!木製の超自然城を!」 閏璃 「それって自然要塞じゃダメなのか?」 中井出「構造がちょっと単純だから。     ジュノーンの城みたいにさ、     もっと広くトラップがつけられるような、いかにもな城がいいな僕。     そして各所に誰かが居て、     “俺を倒してこの鍵を手に入れなければ先には進めん”って言って待ってるの」 閏璃 「おお……それはまた面白そうな」 レイル「でもそれって全員でかかられたら、その一人のヤツってボコボコだろ……」 中井出「あ」 閏璃 「あ」 空を飛び回り、準備を進めてゆく。 途中でデスゲイズとも会ったけど、こちらに気づくこともなく飛んでいった。 顔面の骨は亀裂が入ったままで、 やっぱりあいつって回復能力とかないのかなぁと思わせた。 中井出&ナギー&ローラ『はぉおおお……!!』  メキメキメキ……!! 閏璃 「ゲーーーッ!!かつてのエトノワール城敷地内の自然が渦巻き、     絡み合って巨大な城になってゆくーーーーーっ!!」 レイル「そこまで説明口調なのもどうよ」 城の準備もほどなく完成。 全てを自然の木々で構築したそれは、存在だけで然属性の僕らに力をくれた。 広い城の中心がボス部屋で、高い造形だけど何処から入ろうが距離は一緒。 てっぺんにボスが居るに違いねーと踏み込んでも、 普通に真正面から入っても同じって罠さ。……罠じゃないねこれ。 しかも部屋の中心に来たとしてもそこにゲートがあって、 ゲートをくぐると地下空洞に飛ばされ、 そこに僕らの自然要塞が大砲とバリスタを構えて待っている……最高です。 いやいややっぱりこういう準備って面白いね! 文化祭とか喧噪祭を思い出すよ! 中井出「ミクよ!貴様にマシンウェポンを預ける!     敵が来たら容赦なくブッ放してあげなさい!」 ミク 『はいマスター!』 ミクと僕は武具で繋がった一心同体状態。 だからミクにもアガートラームは使えるし、カーネイジだってお手の物さ。 ていうかきっと僕よりもミクの方が機械扱うのは上手いと思う。 中井出「きっとやつらも、今頃は“東”で武具を鍛えてもらっている頃さ!     だから僕らも万全を整えねばならん!     あ、大丈夫、もし魔法やレーザーで城ごとブッ潰そうとしたら、     その途端に次元衛星砲が彼らに降り注ぐから。     既にサテライトリンカーをミクを通して発動させてあるから、     監視役のミクが相手の行動を判断してスイッチを切り替えればドッカーン!」 閏璃 「それって確か、     物理攻撃力の15倍近くのダメージを与えるっていうバケモンレーザーだよな」 中井出「うんそう」 レイル「ああ……そりゃ一掃できるな……」 うむ。 では次だ……と考えてた時、武具完成のお知らせが僕に届く。 僕はそれまで考えていたことを放棄して猫に抱きつき、 死の守護竜素材が組み込まれたジークフリードを見てさらに歓喜乱舞。 これで全ての属性が揃った……!武具にだけど。 無の属性は既にバハムートの骨粉や真龍王の芯骨、 エクスカリバーなどを埋め込むことで覚醒している。 ……やばい、感動が止まりません。 ストックももうマグニファイで埋まってるし、準備はかなり万端である。 あとは武具をランドグリーズに変えて、 滅竜エンチャントと特殊能力強化を発動させて待機させて、と。 オ、オラわくわくしてきたぞ! 文化祭で客を待つ生徒の気分だ! 閏璃 「次はどうするんだ提督さん」 中井出「トラップ作ろう」 総員 『よしノった(ニャ)!!』 地上の城を全てトラップまみれに! もちろん扉の上にバケツ仕掛けてスパイ&スパイ風にするのも忘れない。 引っかかったら思い切り肩をカタカタ揺らしてやらねば。 閏璃 「落とし穴も必要だよな!」 レイル「飛び出るナイフだ飛び出るナイフ!」 中井出「ミシシッピー!」 カオスな城である。 でもこういうのを楽しんでこそのトラップさ! 作る過程が面白いんだって、こういうのは! ミク 『扉を開けたら大きなボクシンググローブがですね……』 中井出「いや、ここはケツだろ」 閏璃 「巨ケツだよな」 レイル「ボクシンググローブは生ぬるい」 ミク 『ケツ!?』 中井出「こう、な?グローブ型のケツがとんでくるんだ。ドムンと。もちろん弾力性抜群。     想像してみろ……───屈辱だ」 ミク 『…………屈辱、ですねぇえ…………』 相当に嫌そうな顔だったという。 シード『父上!アンデッドの沼を作ってみようと思うのですが!     暗い道を通ると沼があり、そこには冥界へと誘う無数の手が……!』 中井出「許可する!是非やりなさい!」 シード『《ぱぁあっ……!》は、はいっ!』 ナギー『ヒロミツヒロミツ!わしも考えたのじゃ!甘い香りを放つ食人植物をじゃな!』 中井出「許可する!是非やりなさい!」 ナギー『解ったのじゃ!』 閏璃 「……結構容赦ないのな、然の精霊なのに」 中井出「敵を相手になにを遠慮することがありましょう」 閏璃 「……ああ、そらそーだ」 マール『博光さん博光さんっ!』 中井出「お、マール。楽しんでるか?」 マール『は、はいっ、それでですね、わたしもその、罠を考えてみたんですっ』 中井出「なにぃ!」 意外!まさかマールがそんな……! ショックというか衝撃を受けたのは閏璃も同じようで、けったいな顔をしていた。 マール『あのですね、部屋の中に箱を置いておくんです。     宝箱かな〜って思って開けると、そこからとてもいい香りがして……     思わずその香りを嗅いでいたくて、動けなくしちゃうんですよ』 中井出「う、うむ……《ごくり……》それで……?」 マール『?……はい、これだけですよ?』 中井出「………」 閏璃 「…………」 マール『あれ?あの……わたし、ヘンなこと言いました……?《がばぁっ!》ひゃう!』 中井出「ああもう可愛いなぁマールは!」 閏璃 「良心やぁーーーっ!良心の誕生やぁーーーーっ!!」 小さなカソリックシスターを両手で包み、掲げて愛でた。 僕らの荒んだ心を癒してくれる……ああシスター!素晴らしきシスター! 散々といい子いい子したのちに解放して、 あなたの良心に救われました、エイメンと言って別れる。 いや、別れた筈だったんだけど、 肩にちょこんと乗っかってきて、僕を見てにこー、と微笑む。 ……ハテ?まあいいや。 ───……。 ……。 やがて完成した───その名もレオ城と書いてレオパレス!……冗談です。 そんなマンションみたいな名前イヤです。 そんなわけだからシンプルに“ホモミアゲ城”にしときました。 しっかり入り口付近に立て札も立てた。 お陰で地図で見てもホモミアゲ城になってる。 これできっと彼らも怒りを露にしてトラップにかかりまくるに違いねー! 中井出「ふう、準備完了!じゃあ地下に行こうか」 マール『地下があるのですか?』 中井出「あるのです」 コクリと頷いてみせると、ゲートをくぐってGO。 準備完了次第に霊章に戻ってもらったみんなとともに、懐かしの地下空洞へ。 閏璃とレイルも続き、呆れるくらいに広い空洞に降り立った………………っ! マール『わあ……ひ、広いですね……』 閏璃 「無駄な広さだよなぁ……」 レイル「ここいっぱいに自然要塞が広がる〜とかならまだしもなぁ?」 中井出「あ、じゃあここも自然だらけの迷宮にしようか。     この広さならジャングルも夢じゃない」 二人 『よしノった!』 マール『え?え?』 ……。 …………。 そんなわけで。 中井出「ねったーーーーーーーい!!……《うりんっ♪》」 茂りに茂った木々と草花の中で、両手を上に掲げて“ねったーい”と叫び、 うりんっ♪の部分で美しく腰を捻ってヒップを振ります。 振るのは一度だけですよ?ああ、カタストロフさ。 三人 『ねったーーーーーーい!!……《うりんっ♪》』 二回目では閏璃もレイルもしっかりやってくれた。 勇者カタストロフの王様、嫌いじゃなかったよ。 土着モンスター・ニョロリンは今でも忘れられぬ最強モンスターだ。 熱帯ニョロリンの名前がステキすぎた。 閏璃 「しかし見事なジャングルになったな……あ、ラフレシア」 レイル「こっちにはウツボカズラまであるぞ」 閏璃 「懐かしいなぁ、デデニーランドのアトラクション待ちしてる時、     コンクリ壁の上の木々のところに生えてたよ。     ……これは平気で人まで食えそうなサイズだけど」 閏璃 「つーか食うだろこれ」 中井出「うむ、実は《バクンッ!》ホアッ!?ホアァアアアーーーーーーッ!!!!」 レイル「提督ゥウウウ!!?」 ツンツンとウツボカヅラGを突付いていた僕の腕がバクリと食われた! ……あ、間違えないで頂きたいが、ウツボカズラじゃなくてウツボカヅラね? 蓋の部分になんかね、これみよがしの浮いた毛があるの。それが特徴。 閏璃 「じゃ、行こうか」 レイル「そだな」 中井出「えぇっ!?今驚いてたのフェイント!?かける意味あったの!?     ま、待ってくれーーーっ!取れない!これほんと取れないんだって!」 閏璃 「ならば懺悔なさい。幸いここにシスター・マールがいらっしゃいます」 中井出「どうしてここで懺悔なのかがまるでわからんがうむ!いいだろう!     じ、実は……幼少の頃、     麻衣香のパンティェーに“”一文字を書いたの……僕なんです!」 レイル「懺悔っていうかそれただお前が勇者なだけじゃないか」 中井出「いやそんなしみじみ言われても……」 閏璃 「じゃあこのウツボ装備とっていいか?」 中井出「違うよ!?確認以前に装備とかじゃないよこれ!って痛いいたたたイタ痛いって!     無理矢理引っ張らないでやめてやめてぇえええ!!」 閏璃 「男の子でしょ!我慢なさい!」 中井出「僕男女差別嫌いだもん!男でも痛いものは痛いんだもん!」 レイル「どうしてそこで子供とオカンの会話になってんだよ」 閏璃 「痛いのがイヤならMになりなさい!」 中井出「それこそ無茶だよ!?ちょ……人のことなんだと思ってるの!?     違うよ!?僕変態じゃないよ!?仮に変態だとしても、     変態という名の紳士《メリキキキ》ギャアーーーーーーーーーーッ!!!     引っ張らないで引っ張らないでやめてやめてやめヴァーーーーーーーッ!!!」 その後、無理矢理引っ張られたことで肩が脱臼。 激痛のあまりに放たれた僕の絶叫は、この広いジャングルによく響きました。 漫画やアニメだったら、 生息していた鳥がバタバタと飛んでいっていたほどに違いありません。 一人、脱臼を懸命に治そうとしてくれたマールに多大な感謝を。 Next Menu back