───冒険の書325/夢見るナンディさん───
【ケース810:岡田省吾/風なアイツ】 ざむざむざむざむ…… 岡田 「あーのー、篠瀬さ〜ん?」 夜華 「なんだっ、今忙しいっ」 岡田 「いや……額のそれ、取らないのかな〜って」 夜華 「もう取る気も失せたわっ!」 風グループとして篠瀬さんとともに歩む道。(丘野は殊戸瀬についてった) それは長く嶮しく美しく……美しく関係ないな。 ともかく篠瀬さんが大変なことになりまくっていた。 どうやら罠という罠が苦手らしく、まあどんな時でも回りくどいのが嫌いな人だから、 突っ込みたがるのも解らんでもないのだが、つまりは罠に引っかかりまくっていた。 今も額にくっついた吸盤付きの矢が、篠瀬さんが歩くたびに上下にゆらゆら揺れている。 学びなさい若者よ……あれぞホーンクラウン……。 魔冠と云われる、人の優しき心を閉じ込める角だよ……。 だから篠瀬さんも気が立ってるに違いない。 ……ほんとは罠に掛かりまくったからだろうけど。 夜華 「どこだ……次はどこから来る……!もうかからんぞ魔王め……!《スカッ》!     ぬあーーーっ!!《がしぃっ!!》」 岡田 「おおっ!匠っ!」 篠瀬さんの踏み込んだ足場が消えた───が、根性で木の蔓の地面を掴むと、 それを支えにして片手で身を捻ってひらりと飛んで着地!《スカッ》 夜華 「ぬぁああーーーーーーーーっ!!?」 岡田 「ゲェエーーーーーッ!!」 ……着地してみせたところも落とし穴だった。 すげぇ……すげぇよ魔王……。 篠瀬さんの行動パターン、完全に読んでやがる……。 声  「まぁああだだぁああああああああっ!!!《ガガガガガガ!!》」 岡田 「へ?うおおっ!?」 落とし穴の底から声! 覗いてみれば、穴の側面の枝を掴みに掴みまくって昇ってくる篠瀬さん! やがてその手が地面部分にあたるココへと伸ばされると《ズリュウッ!!》 夜華 「ふやわっ!?あっ……あぁあーーーーーーーーーっ!!!」 岡田 「あー……」 ……そこによく滑る樹脂があったらしく、あっさり滑って落下していった。 しかも今度は掴めないように穴の幅が広がり、 咄嗟に逃げた俺を見上げながら驚いていた篠瀬さんが穴の底にどすんと激突。 みぎうっ!という変わった悲鳴を耳にすることが出来たのち、 転移させられた篠瀬さんが……とてもとても長く熱い溜め息を吐いた。 触ると火傷しそうなくらい、モシャアアアって感じの。 夜華 「翔風斬魔刀(はばのかざま)……《チャギィンッ……》」 岡田 「おぉおっ!?ちょ……なにする気デスカ!?」 夜華 「こんな床があるからいけないんだ……こんな……こんな……!」 岡田 「いやいや!破壊なんかしたらそれこそどんなトラップが発動するか!」 夜華 「そのとらっぷとやらを一度我慢すればいいだけのことだろう!     男ならそれくらい受ける覚悟を持て!」 岡田 「覚悟とかの問題じゃねェエエ!思いっきり俺とばっちりじゃねぇかァアア!!」 夜華 「ふん、やはり男女の区別など有って無いもの!有無と唱えて頷くがいい!     故人とは未来のために危険を冒して知識と経験を後世に残したのだ!     その一歩の礎たれ!それが人というものだ!」 岡田 「ぐはっ……!頷きたくないけど、     頷かなきゃチャラリーナ認定みたいなこと言いやがってこの武士さんめ……!     よ、よっしゃあいいぜ!?受けてやる!     なぜなら俺は……日本男児じゃけぇのう!!」 夜華 「よしよく言った!ではいくぞ!」 スラリと抜かれた刀から、暴風が吹き荒れる。 けど……周りに対しては暴風なのに、篠瀬さんの着衣が乱れることはない。 アレはそういう風なのだろう、便利なことだ。 そんな刀から放たれる剣圧が、一気に周囲の木々を破壊し吹き飛ばす。 岡田 「ほっ……ほえぇええ……!!」 ほんの一瞬のうちに景色は丸変わりだ……もはや原型なんて留めちゃいない。 それを見て満足げに頷くと、刀を納めて歩き出す。 トラップは……どうやらないらしい。 岡田 (……無茶苦茶だなぁこの人) 短気だ。 実に短気だ。 不敵に笑う姿をみていたら、もうこの人の通る道を大人しく進んでいた方が安全かも、と。 夜華 「さあ!次の部屋に《ガチャドムンッ!》ぱぶっ!?」 ……思っていた時期が、俺にもありました。 扉を開けた彼女が巨ケツを顔面に食らった瞬間に、気が変わりましたがね。 岡田 「うわ〜……飛び出しボクシンググローブ型のケツって……」 カタチは桃にスプリングがついたようなもの。 なのにケツって解るだけで屈辱度は数倍に跳ね上がるときたもんだ。 それを顔面で受け止めたまま硬直していまっている篠瀬さん。 ……あ、なんかヤバい。 とりあえずどかしてあげたほうがよさそうだ。 よし、ケツを押し退けて…………ヒィ!! このズムッとしてミシッとした男性特有の感触!誰だぁこんな生々しい感触に作ったの!! 気色悪《ズルッ》あ《ドムンッ!》あー…… 夜華 「…………《カタカタカタカタ……!!》」 岡田 「アワワワワワ……!!」 気色悪さに思わず手を離した途端、篠瀬さんの顔面を再び襲うズムっとした感触のケツ。 もう僕としては震えるしかなく、むしろ逃げ出したいっていうかあの……アワワ……!! と震えた瞬間、ズバァン!とケツが粉々に切り刻まれて……!! 痛ぇ!!見てるだけでケツが痛くなる!! 夜華 「うがぁああああああっ!!!いい加減にしろぉおおおおおおっ!!!」 本日何度目になるのでしょうか、彼女のブチギレは。 顔を真っ赤にしてずかずかと部屋の中へと入ってゆく彼女を、 僕は慌てて、だけど慎重に追って《ズルベシャアッ!!》 夜華 「ぷわぶっ!?」 あ、コケた。 うわー、こんなところにもよく滑る系統の樹脂がいっぱい……。 夜華 「こっ……こごごわぁあああああっ!!!小ばかにしおってぇええええっ!!!」 で、再びキレる篠瀬さん。 “風”を使い、油地帯を一気に抜けようと《バゴシャア!》 夜華 「けひゅんっ!?」 ……して、突然伸びだした木に顔面から激突。 やたら可愛い声を出して……ドシャアと倒れた。 岡田 「篠瀬さーん……ままならなくなったらとりあえずスピードに頼る癖、     絶対になんとかしたほうがいいと思うんだ……俺……」 一定の速度以上を出すと木が飛び出てくるって、来て早々に知ったっていうのに……。 【ケース811:清水国明/ブックオフのヘビーユーザー】 ゴシャッ……めしゃっ……バキッ……ミキッ……!! 悠介 『ふぅうう……ふっ……ふふー……!……ふー!ふー……!』 清水 「アワワ……!」 目の前に修羅が居た。 番長ソングにマジギレした彼が、全てを破壊しながら進むのにそう時間は要らず─── ラグナロクと創造と神器をフルに扱い部屋という部屋の仕掛けを破壊する様を、 修羅と言わずになんと言おう。……モミアゲでいいか。 悠介 「さあ……!今度こそ最後の部屋だ……!     いい加減破壊活動も飽きてきたぞこの野郎……!」 清水 「その前に落ち着こうぜ……っと、もしもし?     ああ田辺……え?ラフレシアに食われた?島田が?火村はウツボカヅラに?     …………お前らいったいなにやってんの?」 悠介 「鬼ィェエエエエエエエ!!!」  ゴヴァアッシャァアアアアアンッ!!!! 清水 「うおぉっ!?ちょ、悪い!また後でな!───晦!     罠破壊のためとはいえドアごと破壊は───」 悠介 「やーかましい!これだけ馬鹿にされて黙ってられるかぁ!」 清水 「そうじゃなくて!     魔王のところに着くまでにそんなに能力使ってちゃTP保たないだろ!?     なんかここ、自然回復が効かないし!」 悠介 「む───」 ピタリと止まり、視線を動かす。 ……多分、ナビで自分のTPとHP見てるんだろうけど。 間も無く“ぬぐはっ”というヘンテコな言葉とともに、がくりと首を曲げる晦。 どうやらとっくにTPは底を突いていたらしい。 悠介 「……いい、突っ切る。どうせもうここで最後だ……」 清水 「つーか回復の泉くらいあるべきだと思うんだよな、俺」 これだけトラップがあるんだから……なぁ? 声  『回復の泉をご所望ですか……』 悠介 「!」 清水 「誰だ!」 精霊 『わたしです』 …………。 誰? 悠介 「泉の精霊……?確か、竜の泉に居た……なんでこんなところに」 精霊 「泉があるところにわたしあり。ええ、湧き水があったので飛んできました。     というわけでさあ、このお水を飲みなさい」 清水 「え?いいの?やっりぃ!」 スッと差し出された木の器。 その中の水をグイッと飲むと、冷たさが喉を通り過ぎてとても気持ちのいい感覚が……! 清水 「っはぁああ……!!冷たくて生き返る気分だ……!」 悠介 「ん……そうだな。これはいい」 清水 「なぁ、この水、もらってっていいか?」 精霊 『ええ、こんな毒でよければいくらでも』  デゲデデーン!《清水と晦は毒を受けた!》 清水&悠介『なにぃいいいーーーーーっ!!?』 毒……え!?毒!? 清水 「ちょっと待てェエエエ!!てめぇ今回復の泉がどうとかって……!」 精霊 『愚かな……。わたしは回復の泉をご所望ですかと言っただけで、     差し出したものが回復の水だなんどとは一言たりとも言っていません。     それとわたしは魔王直属の精霊なので、     あなたがたがどうなろうと知ったことではありません』 清水 「うおおすげぇ素直な精霊!」 悠介 「解毒薬だ!解毒薬が出ます!《がしゃあん!》ぐあっ……!」     しまった!そういえばここに来るまでに解毒薬はもう二回創造して……!」 精霊 『うふふふふふ……!チャーーーオーーーーーッ♪《マジュンッ!》』 悠介 「あぁああ待てこらぁああーーーーーーーっ!!!」 とてもオチャメな別れ文句を言って、精霊はどこぞかへと転移した……! とか思ってる間にじくじくと回ってくる気持ち悪さ……!! あ、あんにゃろ今度見つけたら絶対に…………しまった女が相手じゃ殴れねぇ!! く、くそう正義超人ツマラナイ……!もっと自由に戦いたいのに……! よし決めたぞ……!今度みんなで会議開いて、女性も殴るべしを絶対に通す……! 正義超人、ツマラナイ! 戦場は戦場だ!相手が女だからって殴らないで、自分が殺されて本望か!? 違う!ツマラナイ!そんなの楽しくない! こんな風に縛られるくらいなら、俺は悪でも───!
【Side───管理者(城の)】 …………。 中井出「ぬういかん……!清水二等の不愉快指数が別の方向に向けられている……!     このままではいずれ彰利や原中を裏切り、こちら側に来てしまう……!」 ノヴァルシオの能力を存分に発揮させ、ミクにいろいろと調べてもらっている中。 俺に向けられる怒りは望むところだが、 そのいくつかは女性への攻撃がご法度ってことに悩む原中生の鬱憤であった。 各所に用意された“泉”に、いつでも泉の精霊が転移して遊ぶって罠も作ったんだが…… 今の原中ならば絶対に攻撃されないからって理由にかこつけて、 こんなの考えるんじゃなかった。 ミク 『どうしますか?マスター』 中井出「泉さんには戻ってきてもらってくれ。これより女性の干渉は無し。     男で散々からかって、僕に怒りを向けるよう仕向けてくれ」 ミク 『マスター……』 中井出「いいからいいから、な〜んにも心配いらないから」 マール『………』 肩に留まっていたマールが、俺の頭を小さな掌で撫でる。 くすぐったくて振り向いたら、なんか急に真っ赤になってたけど、 ただ一言、消え入るような声で“寂しそうでしたから、その……”と言う。 ……寂しそうか。 なるほど、確かに寂しいかも。 だがやると決めた覚悟にゃウソはつかねー! 俺は誰に嫌われてでも未来を目指すと決めたのさ! そのためには、かつての同胞原中だって利用するまで! 散々レベルを上げさせて強くして、今を未来へと繋ぐための礎とするのさ! ……あれ?それって彼らが未来を築くって意味じゃない? …………OK!未来へいけるならOKさ! 中井出「よぅし!それじゃあそろそろやつらもゴールする頃だし、     みんな準備のほうよろしくねー!」 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 さあ楽しくなってまいりました! 細かいことは大雑把に修正して、楽しめるとこだけ楽しもう! それが男だ任侠だ!! 【Side───End】
……。 清水 「というわけで、俺はもう正義をやめるぞ!」 悠介 「いいんじゃないか?それで」 清水 「あれ?」 言ってみたらあっさり受け入れられた。 ……そういや晦って男女差別無し推奨派だったっけ。 清水 「問題は将軍と他のやつらをどう説得するかなんだが」 悠介 「男連中はともかく、女連中は難しいかもな。……っと、雷属性流し込んだぞ」 清水 「おおっ」 通路の先の先には妙な玉があった。 それに属性を封入することで、ここでのミッションは終わりらしい。 ……ああちなみに、解毒薬は創造した解毒草から調合で作って事無きを得た。 面倒な限りだった。 死ぬ思いで不慣れな調合やって、完成した時はどれだけ感動したことか。 悠介 「よし、あっちにゲートが出来た。行くか」 清水 「おー」 言われるままにゲートをくぐり、よく解らん場所へ。 マップを調べるに、どうやら上の階らしい。 飛んだ先にはまた長ったらしい通路があって、 また罠でもあるんじゃないかと怯えながら進んだが……拍子抜けなくらいになにもない。 ホッとした時には既に通路の先。 広間の中心に一つの大きなゲートがあり、今は紫色に輝いて……あ、白に変わった。 ……それから、青くなったり黒くなったりと点滅を繰り返し、 やがてそれぞれの色が混ざり合った時、ゲートは深緑色へと変化した。 この城の……自然という景色によく似合う色に。 声  「んお、おー、晦ー」 悠介 「うん?」 清水 「おっ、藍田だ」 しばらくして別の通路からトコトコと歩いてくる藍田。 それに続くように、ここを中心にクモの巣のように存在する通路から、 それぞれの属性の人物が歩いてくる。 ルナ 「ゆーすけー!」 悠介 「ルナ、そっちはどうむわっ!」 清水 「うおっぷ!物凄い臭いだ!」 セレス「こっ、こっ、これ、は……!!」 彰利 「おやまあニンニクだぁねぇ……」 ルナ 「うー……通る先々でニンニクがぐしゃぐしゃって飛んできて……」 セレス「……近寄らないでください。臭いです」 ルナ 「なによー、それじゃあわたしが臭いみたいじゃないのよぅー」 セレス「そうだと言ってるんです!よ、よよよよりにもよってニンニクなんて……!!」 ルナ 「……むー……《ズイッ》」 セレス「ひぃっ!?ちょ……近づくんじゃあありません!」 ルナ 「いーいネッキー!     臭いのはニンニクであってわたしじゃないのー!それを認めること!」 セレス「なにを言いますか!じゃあ汗だって汗が臭いのであって、     汗を掻いた人が臭いわけじゃないと言うつもりですか!?」 ルナ 「それは体から出てくるものだからいーの!     わたしのはニンニクの臭いが移っただけだもん!」 セレス「そういうのを屁理屈って言うんですこの馬鹿死神!」 ルナ 「むかー!このっ───地獄のゆりかごー!!」 セレス「《がばーーっ!!》ひぎゃああああああーーーーーーーーーーーっ!!!!」 早乙女玄馬の技が炸裂した。 ルナ子さんはセレスさんをがばーと抱きすくめると宙に浮き、 その体を包み込むようにして離さず、その状態のままねちっこく頬擦りを……!! セレス「ひっ!いっ!いひあっ……!ひぃやぁあああああああ───あ……《ガクッ》」 全員 『死んだ!』 気絶しただけだけど。 それを確認すると、ルナ子さんはセレスさんをゴシャアと解放し、何故か将軍の方を見て ルナ 「えへー、びーくとりー!」 にこー、と笑顔でVサインを突き出した。 彰利 「グッジョブ!     こんなこともあろうかと、地獄のゆりかごを伝授した甲斐があったぜ……!」 悠介 「お前が教えたのか、あんな技……」 彰利 「ああほれ、普段仲の悪いヤツに頬擦りされるのって心底嫌デショ?     だったらそれを最大限利用して、動揺を誘いましょう作戦ってことで。     修行のさなかにルナっちに教えておいたのよ」 悠介 「はぁ……あのなぁ……。あいつにヘンなこと教えるの、やめてくれ……。     セレスにだけならいいけど、もし俺にやられたら逃げ場がないだろが」 彰利 「ぬ、ぬう」 清水 「いいじゃん、女に抱き締められるって、男にとっちゃお前、幸せの瞬間だろ?」 悠介 「それが空中頬擦りでもか?」 清水 「え?」 悠介 「ニンニク臭くてもか?」 清水 「あ、いや……」 悠介 「歓喜のあまりにブンブン振り回されてもか?」 清水 「将軍、あんたが悪い」 彰利 「アルェー!?清水くん!?」 驚きの将軍さま。 でもなぁ、ニンニク臭くて宙吊りでサイクロン抱き締めは辛いだろ、普通に。 彰利 「ま、まーまー、ええでないの。それよかほら、ゲート。くぐろうぜ?」 みさお「あ、ちょっと待ってください彰衛門さん。……父さま、これを」 悠介 「うん?あ……月の欠片じゃないか。ちゃんとあったのか」 みさお「ちゃんと?」 悠介 「ああいや、こっちの話だ」 彰利 「……ふむ。おーい他に欠片見つけたヤツ、おるー!?」 ………………将軍が声をかけてみるも、周りは無反応だった。 やっぱそうそうあるわけもなし。 晦は“見つかったんなら十分だ”と言って、カチリと台座に欠片を嵌めこんだ。 ……残りは二つくらいだろうか。 嵌めこみが済むと、俺達はうん、と頷いて……中央の大きなゲートを見やる。 さあいよいよ。 この先に魔王が待っている。 彰利 「準備……よろしいな?」 全員 『押忍!』 彰利 「では───魔王討伐戦!開始!!」 全員 『うぉおおおおおおおおおっ!!!』 走り出す! 大きなゲートへ向けて、その場に集まった全ての者が! 一人、また一人とゲートをくぐり、やがて俺も飛ばされた───その時!!  ガスガスガスガスガス!!! ナンディさん『ハーイ!ワタシインドのナンディさんネ!』 ……………………カジノみたいな場所で、ナンディさんが拍手で迎えてくれた。 ナンディさん『よくキタネ!ここではコード・ブレイカーできるヨ!やっていくネ?』 ん?と首を傾げられた。 いや、やっていくネ?と言われても…… 悠介    「……出口は何処だ」 ナンディさん『それならナンディさんの後ろにあるヨ!急ぐ方はコチラ!』 悠介    「そうか、邪魔したな」 ナンディさん『今日の賞品は月の欠片が一つネ!        さあ、このヒトほっといて、やりたいヒト前出るネ!』 悠介    「気が変わった是非やらせてくれ!」 ナンディさん『キサマなにイッテるカー!!ふざけんなヨテメー!!        やらないってイッタヤツにようはナイネー!!        コレだから人のハナシサイゴまでキかないヤツ、ダメヨ!』 悠介    「ぐくっ……!!す、すまん……!誰か、頼んでいいか……!?」 彰利    「ふっ……しゃあねぇなぁ……ほいじゃあアタイがやるぜナンディさん」 ナンディさん『《ガスガスガスガスガス!》ナイスユウキヨ!        それじゃあセツメイするヨ!よくキいておくといいヨ!』 拍手の音がいちいちうるさい。 でもそれがナンディクオリティ。 ナンディさん『ワタシのコードブレイカー、どっかであったモノとはスコシチガウヨ。        ワタシのコードブレイカー、コレつかうネ』 彰利    「ウィ?」 コサ、と渡されたソレを受け取る彰利。 シゲシゲと覗いてみると……拳銃だった。 彰利    「あ、あのー……ナンディさん?なんでこげなもんを……」 ナンディさん『これでスウジ、うつヨ。        サキにモンダイでるから、コタエのスウジうちぬくヨ。        ダンガン、ロッパツまでネ。モンダイのコタエ、ムッツヨ。        オテツキイッカイもユルサレないネ』 彰利    「シ、シビアっすネ……」 ナンディさん『それじゃモンダイイクヨ!』 彰利    「ゴヘェ!?ちょっとお待ち!?まだ心の準備が!」 ナンディさん『うるさいヨ!ガンつかんだトキ、カクゴキメるトキヨ!』 ハイ!とナンディさんが手を上げると、巨大な映像の中に現れる複雑な数式! それもいっぺんに六つ! 彰利    「ギャア!?いやちょ……いっぺんだなんてそげな!        ってゲェエもう消えた!」 ナンディさん『このナンディさん、ヨウシャしないネ!じゃあツギはコタエヨ!        イチモンメのコタエのスウジからうっていくネ!』 彰利    「オ、オオヨやったろーじゃねぇの!」 ガチャリと銃を構えると同時に現れる数字板! それを─── 彰利 「一問目は解ったから───答えはこう!」  ガンッ! 撃った弾が2にヒット! と同時にガスガスガスガス!とナンディさんが拍手をする。 ナンディさん『オミゴトネ!すばらしいヨ!』 彰利    「いいから速く次出してぇえええ!忘れちゃうでしょォオオ!!?」 ナンディさん『ナンダトコノヤーロ!!ヤルッテユーならアイテなるヨ!?』 彰利    「やるなんて一言も言ってませんよ!?いいから速く新しい文字板!」 ナンディさん『イチモンメあたったからってチョウシコイテンジャネーゾコノヤーロ……』 彰利    「あの……なんでアタイこんなに喧嘩腰で挑まれてんの……?」 清水    「俺に聞かれてもな」 と、余所見した瞬間に出る文字板! オワ───と小さな悲鳴を出して、将軍が撃つ! しかし慌てたためかそれは見当違いのところに飛び、 ヂョインッ!という小気味のいい音を奏でてボゴォオオーーーン!!! 全員 『ほぎゃあああああああああああああ!!!!』 あろうことか跳弾し、ナンディさんの額にヒット! ジョジョのアヴドゥルが撃たれた時のようにステキな音を奏で、ナンディさんは─── …………た、倒れない!? ナンディさん『……モジバンコワセても、タッタヒトリノニンゲン、こわせないようネ』 彰利    「なっ……!」 全員    『ざわ……!』 なんとナンディさん!仰け反っただけで、すぐにこちらを見てニヤリと笑う! 彰利    「き、キサマ……何者だ……!」 ナンディさん『トックにゴゾンヂなんだロ?        ワタシインドからコードブレイカーひろめにキた、        おだやかナココロもちながラはげしいイカリでメザメたインドジン……        コードブレイカーのナンディさんネ!!《バーーーン!!》』 全員    『確かにご存知だぁーーーーーっ!!!』 ナンディさん『ナンディさんコウゲキしたツミ、オモイネ!        キサマいっぺんジゴクみるといいネ!!』  ゴヴァーーン!《ナンディさんが襲い掛かってきた!!》 清水    「どどどどーすんだよ将軍!」 彰利    「どうするったって───殺して奪う!」 ナンディさん『ナニヲスルキサマーーーーーッ!!!』 ナンディさんはやる気だ! 彰利 「相手は素手!こっちは大勢!勝てる!勝てるね!     ど〜せナンディさんさんなんて苦労せずに勝てるさ!調べる発動!」  ピピンッ♪《ナンディさんは理解できないほどの強さだ!!》 彰利 「アルェエーーーーーーーーーーッ!!?」 清水 「え?なに?どうだったんだ?」 彰利 「り……」 清水 「り?」 彰利 「理解できないほどの……強さだって……」 清水 「………」 チラリとナンディさんを見てみる。 なんか北斗の拳のラオウみたいにユラァアアと腕を回転させてる。 もうほんとすっかりやる気になっちゃって……! 彰利    「こ、こいコナラー!言っとっけどなー!        この人数相手に勝てッと思ってンのかヨッッ!!」 全員    『ナビ⇒設定⇒仲間⇒パーティー解除』 彰利    「アルェーーーーッ!!?」 岡田    「あ、ナンディさん、俺達この人とはなんの関係もないから」 殊戸瀬   「撃ったのはこの人です……!わたし達……脅迫されてここに……!」 彰利    「殊戸瀬ぇええええええ!!!てめぇえええええええええっ!!!!」 ナンディさん『トンデモないアクトウネ!ナンディさんもうシンボウたまらんヨ!!』 彰利    「う、うう……う、っ……ちくしょおおおおおおおおっ!!!」 そうして始まるナンディさんバトル! 将軍は最初からトバしていって、 ナンディさん『ホアトトトトトトトアトゥーーーッ!!!』 彰利    「《バキベキベチベチ!!》あででいだだだうぁだだだだぁーーーーっ!!」 ナンディさんの凄まじいチョップの嵐に思わず防戦一方に……! ……と、この隙に晦がカウンターの後ろに回り、 賞品の入ったショーケースを破壊、月の欠片を強奪する。 ナンディさん『アッ!キサマなにやってるカー!!』 悠介    「やかましい!こういうのはやったモン勝ちだ!        俺はもー迷わん!!───不良だからな!!」 若葉    「お兄さまが……グレた……!」 悠介    「グレたとか言うなー!不良=グレたってのはちょっと違うだろっ!」 ナンディさん『どっちでもおなじヨ!ソレケイヒンネ!かえすヨ!!』 悠介    「断る!」 ナンディさん『これがさいごのケイコクヨ!かえすヨロシ!』 悠介    「こーとーわーる!」 いや、つーかどうしてエセ中国語? ナンディさん『いいドキョウヨコゾォオオオオッ!!!《モキィッ!!ゴバァン!!》』 悠介    「うぃいいっ!?」 全員    『あっ───あれは!爆肉鋼体!!』  ◆爆肉鋼体───ばくにくこうたい  霊力で筋肉を増加、圧縮する、美しい魔闘家鈴木の技。  戸愚呂(弟)の技もこれと見られるが、正式名称は不明。  極めると周囲の魂を吸うほどのマッスルになる。  *神冥書房刊:『戸愚呂、その悲しき人生』より 彰利 「き、貴様ら!先にゆけ!こいつはヤバい!」 悠介 「ここは俺達に任せて───行けェエエッ!!」 全員 『待っていたぜそいつを!!』 全員が全員、その言葉に逆らうことなく走り出す! 目指すはナンディさんの後ろのゲート! 俺達が駆け出すと同時にナンディさんも動きだしたが、 それを将軍の影と晦の光が邪魔する! なるほど……光で照らして影をくっきり出して、そこを影で縫い止めるか……! 清水 「じゃあな!先に言ってるぜ!」 彰利 「オウヨ!俺達もすぐ追うさ!」 悠介 「こんなヤツに梃子摺ってるようじゃ、魔王なんて倒せないからな───!」 その言葉を最後に、俺達は別の……そう、 さっきまでとはまるで違う景色に飛ばされていた。 そこは喩えるならジャングルで、 よく解らないが緑色の光の粒子があちらこちらでゆるやかに漂っている。 大小さまざまのソレは、いったいなにが光っているものなのか、と疑問に思ったが─── みさお「あ……これ、マナですよ……?すごい濃度のマナが、ここには集まってるんです」 マナ……? 麻衣香「マナ!?こ、こんな肉眼で確認できるほどの!?」 みさお「はい、恐らくは……」 マナか……へぇええ……! 触れ……ないんだな、やっぱり。 こんなに鮮明なのに触れられないのはヘンな感覚だ。 でも少し暖かい気もするから不思議だ。 藍田 「で……これからどう進めばいいんだろうな」 現れたのはジャングルのド真ん中……というわけでもないらしい。 四方で喩えるならそのずっと隅に、俺達は飛ばされたらしい。 帰りのゲートはないようで、ようするに進むしかない、ということなんだろう。 清水 「とりあえず……行ってみるしかないんじゃないか?」 藍田 「……だよなぁ」 団体行動の方がいいんじゃないか、とは俺達原中の言葉だったが、 他の連中……主にゼノ郎さんやゼットなどといった堅物さんは、 さっさと自分ひとりで歩いていってしまう。 かくいう俺も人垣から離れて、一人で進む。 清水 「ククク……!」 …………正義超人、ツマラナイ……ヒトリなら、好き勝手デキル……! などと、マンモスマンチックなことを思いながら。 Next Menu back