───冒険の書329/VS月光竜───
【ケース817:双月朧弦/黄昏月下(こうこんげっか)の戦い】 必要なのは意識。 イメージを固め、白と黒を奇跡で繋ぎ、皇竜と神々と黄昏を力の原子炉とし、 トランスの集中力を以ってひとつにし、安定させる。 速度は光、撃は闇。 対となる力をそれぞれの役割に振り分け、いざ───! 朧弦 『せいぃっ!』 宙に浮く月光竜目掛けて閃速疾駆! 一気に間合いを詰めるやラグに闇光雷を宿し、斬撃を落とす!  ガッシャアアアッ!!! 即座に中空に展開されるリングシールドに妨害されるが破壊! 斬撃がそのまま月光竜の額に直撃すると、黄昏の世界がズシンと震える。 月光竜は吹き飛び、地面に激突───しそうになるが、寸前で身を翻して宙に舞う。 朧弦 『はぁあああああああ!!《ガガガガガガォオオン!!!!》』 その姿をメガレールで追撃し、幾度も直撃を見舞うが───予想通りと言うべきか。 ダメージは通っているようだが怯んだ様子もなく、 依然として輝く体を宙に浮かせ、俺をねめつけていた。 朧弦 『仕掛けてこない…………?』 まさか本当にカーネイジを放ったことで行動を停止している……のか? いや……様子がおかしい。 そう思った時だった。 究極竜(……あなたはどうしてパパをねらうの?) 朧弦 『───!テレパシーか!?』 頭に直接声が響いてきたのだ。 竜がそんなものを使えるなんてと思ったが、 今は疑問を晴らすことに専念したい気分だった。 攻撃の意思がない相手を一方的に痛めつけては、それはもう“戦い”じゃない。 朧弦 『どうして……?そう約束したからだ。     強くなって、あいつと戦う。勝てないまでも、出来る限り、どこまでも』 究極竜(あなたのちからじゃあ、パパにはかてない。それなのに?) 朧弦 『それでもだ。俺はそれを成し遂げるためにここに居る。     特別恨みがあるわけじゃないが、     全力を出し切って、出し尽くして、納得できるまでそうしたい』 究極竜(………) 朧弦 『……月光竜……?』 究極竜(パパはさみしがり……とてもさみしがり。     そんなパパをいじめるあなたを、わたしはゆるさない) 朧弦 『寂しがり───?待て、それは───!』 それは、俺と彰利が疑問に思ったことへの答えなんじゃないか。 そう言おうとするが、月光竜から放たれた閃光の威圧感により、 暢気に喋っていられなくなる。 ……来る! 究極竜『ルシャァアアアォオオオオンッ!!!!』 朧弦 『くっ……おぁあ……!《ビッ……!ヂ、ヂヂヂ……!!!》』 咆哮。 それも、ショックウェーブが出るほどの強烈な。 草原が波立ち、倒れた状態のまま直らないほどにそれは強烈であり、 空気震動を起こして震える皮膚が圧力に負け、裂けてゆく。 悠介 (月の守護竜……!     話に聞いたことはあったが、ここまでだなんて聞いてないぞ……!) 彰利 (も、物凄ぇ気だ……!オラの数百倍はありそうだ……!) 悠介 (言ってる場合か!来るぞ!) 彰利 (キミが言い出したんでしょうが!) 月光竜が突撃を仕掛けてくる! 大きく旋回してから、なんてまだるっこしいことはせず、 飛翼の羽撃きだけで一気に加速しゴギャォンッ!! 朧弦 『ぐあぁああっ!!!?』 ま……待てちょっ……速いなんてもんじゃないぞ! 威圧から体を守るためにVITマックスにしてなきゃ今のでやられうお!? 朧弦 『ちょ、待て待て待てっ!!』 ぶちかましによって体勢を崩されたところに、 旋回した月光竜が極光レーザーを放ってくる! 咄嗟に転移で避けるが───転移した中空に居る自分に、どういうわけか影が差している。 まずい───!  ルヴォゴギィンッ!! 朧弦 『つぅあおぉおおおああああっ!!?』 先回りしてやがった……! 振るわれた尾撃を咄嗟にラグでガードしたが、 威力が強すぎて空中で受け止めきれず、地面へと吹き飛び激突する。 だがここは俺の土俵。 ダメージを受けてもすぐ回復し、俺はすぐに立ち上がるとぺぺらぺっぺぺ〜♪ …………マテ。なんでレベルアップを─── 魔王 「…………?《……ニコ……ニコ…………!》」 朧弦 『───!』 届いて、いるのか……!? ここにまで、世界外のマナが……! レベルアップを喜ばないわけじゃないが、だとしたらまずい! この場の月光に加えて、外のマナまで月光竜が吸収したら───! ていうかしてるよ!してるだろもうコレ!! 彰利 (あーあー絶対絶命だよォオオ!!     どーすんのコレェ!お前の所為だよコレェエ!!     こんな敵に塩送るようなことしちゃってさァア!     もう戦い終わりだコレェ!全部お前の所為だかんなコレェエエ!!) 悠介 (今は一体化してるんだからお前の所為でもあるわっ!     ───とにかく!こっちだって強化されてることに変わりはない!     戦うにつれレベルが上がるなら、いつかは勝てる!) 彰利 (……おお!考えてみりゃオイシイ状況じゃねーのよコレ!) 悠介 (勝てない相手と延々と戦い続けてボコボコにされるのがか……?) 彰利 (ごめんヘコむわ) ラグでの攻撃もレヴァルグリードの攻撃も大した効果はない。 と来れば、あとは───紛らわしいな。 拳足武具はレヴァルグリードじゃなくダークマターって呼ぶことにしよう。 悠介 (攻撃するならレヴァルグリードでだ。     武器が通用しないなら、火力でブン殴るしかない。……頼めるか?) 彰利 (オウヨ。リラックスした方が出しやすいからリラックスよろしく。     どうでもいい話をするから、それを糧にリラックスするのYO?) 悠介 (いや、そんなものされなくてもリラックスくらい───) 彰利 (昔、稀捺かのとさんが描いた漫画で“まじぴこる”というものがあった。     そのタイトルを見て“ピクル”と合わせたのは俺だけじゃねー筈だ。     その名も───“本気(マジ)ピクル”!!……常にね?こう……     魔羅が隆起した状態の本気モードピクルが) 悠介 (さ〜てリラックスリラックスと) 彰利 (アルェエ無視!?…………いいけどさ、どうでもいい話だし) リラックス終了。 背中にではなく両手に皇竜王の両前足を召喚し、背中には皇竜王の飛翼を。 体躯的にアンバランスなそれを、制御が許す限り圧縮、縮小させて構える。 それでもなにやらマーヴルチックなジャガーノートの両腕なみの大きさになっていて、 ゴツいことこの上ないが…………ああ、殴ったら気持ちよさそうだ。 朧弦 『よっしゃあっ!』 バンッ!と広げた飛翼を羽撃かせ、今度はこちらから突撃を仕掛ける! 空に居る月光竜目掛け、ドゴンと一気に飛翔! 朧弦 『ガァイッ!スゥウウパァアアッ!!ナッパァアーーーーーーッ!!!』 突き抜けろ流星! 飛翼の速度に光を上乗せしての突撃攻撃! 貫けーーーっ!はーーーっ!とか言いたくなるが、そんなものはどうでもいい! 今はこの突き出した拳を!相手にブチ込むことだけを考える!!  ドガガガガチュガンガンガォンガォオンッ!!! 朧弦 『うぃいっ!?うおぉおおおおおおっ!!!』 それに対する月光竜の対応といえば、 傍らにいくつものビットや重火器を出現させてのガトリングブラスト。 それらひとつひとつが竜族のレーザー並みの威力を誇っており、 特にビットが放つ光は竜王並みの威力を……やべぇええええっ!!! 朧弦 『うっ……うぉおおおおおおっ!!!』 羽撃かせていた飛翼を盾にし、それらをガードする! 落ちゆく体はさらに発動させたセイクーで飛翔させ、ガードしながら───突っ込む! 朧弦 (……大丈夫だ……!皇竜王の飛翼は、そこいらの竜族のレーザーにも負けない!) ならばと安心して突っ込む! 転移すれば再び先読みされて撃ち落されるだけだ。 だったらこうして強引にでも突っ込むしかない! 朧弦 『いっくぜぇええ───えぇええええええっ!!?』 究極竜『クァアォオッ!!!』 ちょっと待てそっちから突撃なんてドガァッパァアンッ!!! 朧弦 『げぎゃ《キュゴドゴォオオオンッ!!!》』 飛翼をシールドにしたのは正解だったのか不正解だったのか。 視界を悪くしていたために突撃を音でしか感じとれず、 気づいた時にはぶちかましをされ、再び草原の地面に激突していた。 朧弦 『〜〜〜〜っ……ぶっは!!げほっ!ごっほぐはっ……!!!』 さっきから背中をしこたま打ち付けてばかりで、いい加減内蔵の方がキツイ。 それでも黄昏が痛みを癒すと、大して休む間も無く空へと……ってだから待てぇええっ!!  ギガァッチュゥウウウウンッ!!! 朧弦 『ウォオオオオオオオオッ!!!?』 痛みに目を瞬かせているうちに溜めたのか、 起き上がったばかりの俺へと合わせるように放たれた極光レーザー! どうする、と一瞬だけ考えてから皇竜王の両拳を突き出し殴りつける! そうしてからこちらの力も上乗せしてぇええっ───一気に返す!! 朧弦 『オラ返すぜぇええっ!!!』  ドガァアッチュゥウウウウンッ!!!! 黄昏と夜の狭間の風を巻き込み上昇する、黒を孕んだ極光! ソレは真っ直ぐに月光竜へ向けて飛び、一瞬にして月光竜を飲み込む───! 朧弦 『…………はぁあ……!あまり低く見るなよ……!     完全じゃないとはいえ、こっちは竜族の皇の力があるんだ……!』 あれくら返せなくちゃ、皇竜王なんて名乗れやしない。 ぺぺらぺっぺぺ〜♪ ……いや、もう解ったから。 行動のたびにレベル上がるのは嬉しいが、 それだけ俺達が底辺なんだって言われてるようで物凄く悔しいから勘弁してくれ。 朧弦 『すぅ───はぁっ!』 けどどうせ終わってくれない。 だから、直撃による爆発と、爆煙が晴れないうちに一気に空へと舞い上がり、 気配を探ってから力を溜める。 黄昏から、神々から集めた力の全てを、皇竜の両前足に。 やがてチャージが終了すると同時に飛翔し、 朧弦 『ソウルエナジーMAX!!ゴッドハンドインパクト!!』 未だ爆煙がもうもうと揺れる場の中心───気配のある場所へと、拳を握って突撃する!  ドゴォッパァンッ!!! 声  『クギャァゥウッ!!!』 朧弦 『───!手応えあり───!』 振り切った両拳が煙を吹き飛ばし、 晴れた視界の中で月光竜が吹き飛ぶ様を、俺は確かに見た。 月光竜は再び身を翻して地面との激突を防ごうとするが、 勢いが強すぎるために飛び上がれずに激突。 それを確認するより速く、 竜の拳を殴り合わせた俺はそこに分散した力を掻き集め、増幅させ───! 朧弦 『くらいやがれぇえ……!!     オメガレールッ!カタストロファァアーーーーッ!!!』 “俺”に出せる全ての属性を掛け合わせた力を闇光に変換し、 月光竜が落ちた場所へと遠慮無しに放つ!! 黒だというのに目を劈く閃光大砲は月光竜が横たわるクレーターへと急速落下! 直後に大爆発を巻き起こし、草原の景色の大半を滅茶苦茶に変貌させる……! 朧弦 『ふう……!はぁ……!───油断すんなよ……!?』 爆発による煙で敵が見えない時にも油断はしない。 気配で解る……まだ終わっちゃいない。 今のうちに黄昏から力を掻き集めて……!  ───ヴミンッ!!! 朧弦 『!映像!?』 力を溜め始めた動作に合わせるように、中空の俺の視界の先にひとつの映像が出現する! カーネイジか!?と想像するや、 俺の体は力を溜めることをやめて防御体勢に入ってしまう。 ……っ……情けねぇ……!体が怯えきってやがる……! だがそれに抗う気になれず、俺はただ映像を睨みつけて硬直することしか出来ない。 ───いや、動け───! 映像なら壊せばいい!壊せばカーネイジはこない! 朧弦 『っ……うぉおおおおおおおっ!!!』 飛翔!攻撃! 恐怖のためか、防御を忘れた突撃をして、力の限りに映像を殴ガブシャアッ!! 朧弦 『い……あ……!?』 突き出された拳が空を裂く。 代わりに、俺の体から血が噴き出て、込めていた力も失ってゆくと、俺は─── 映像から飛び出てきた月光竜を見上げながら……地面に落下した。 朧弦 『……、がふっ……!』 体が噛み砕かれた。 噛み千切られなかっただけマシだが、ズタズタすぎて逆に回復が遅い。 朧弦 『く、そ……!っ……かぐっ……、ぐ……!』 なんとか動く腕でグミを取り出し、 口に含むが……口が上手く動いてくれず、飲み込むことさえ難儀する。 そして当然敵が待ってくれる筈もなく、 空から舞い降りる閃光を見た時───俺はなにも出来ないままに、消滅した。 ───……。 ……。 朧弦 『《ヴミンッ!》───とわっ!?』 ───だが、死んでみれば黄昏月下の草原の上。 融合も解けておらず、何故、と戸惑───う暇もない!! 究極竜『クァアアカカカォオオオオンッ!!!!』 朧弦 『いきなりかよ!くそっ!』 夜風を切って突撃してくる金色の竜の姿に息を飲む。 が……そっちから来てくれるなら願ったり叶ったりだ! 朧弦 『レヴァルグリード!!』 皇竜王の右手を自分の右手に重ねるように召喚。 その他の部位にある力も全てそこのみに集中させ、さらにSTRをマックスに……! 朧弦 『こォオれでェエエエエ……!!』 夜空に空気の幕を発生させるほどの速度で飛翔する月光竜目掛け、 距離とタイミングを深紅眼で分析!そしてえぇえっ───!! 朧弦 『決まりだぁああああああああっ!!!』 分析が完了した刹那に、皇竜王の右手での光速釘パンチ!! キュヴォァッ───!と衝撃波が広がる中で拳と額が激突し、 さらなるショックウェーブが黄昏月下の景色を吹き散らしてゆく!  メゴォンッ……!! 朧弦 『ぢっ……!ぐ、ぉおおあぁああ…………!!!』 あまりの重圧に、両足が大地を砕く。 徹しまで付加し、渾身で殴ったというのに月光竜の勢いは衰えない。 ならばと突き出しきれずに敵を抑える形となった拳を、負けじと突き出してゆく……!!  ガボォッ! 朧弦 『!!ぐ、ぉああ!?』 だが。 あまりのレベル差、あまりの力の差に負け、俺の体はどんどんと押し潰されてゆく。 それでも足を踏ん張り、拳を突き出すが……!! 朧弦 『《ブギッ……!ビギギ……!》いぎっ……ぐ、あぁああっ……!!!』 STRマックス状態での真正面からの激突。 当然、体が耐えられるわけもない。 俺のHPは既に灯火程度であり、黄昏の効果によって多少命を繋いでいるにすぎなかった。 朧弦 『っ……だったらせめてっ……!』 コロがされる前に、一矢報いる! 朧弦 『ひゅっ───』 突撃を続ける月光竜から右手を引き、一瞬の戸惑いを誘う。 月光竜は上手くそれに引っかかり、だが構わず突撃したところで───柔!! 敵の力を上手く利用し、向かってくる直線の力を曲に変え、後方の大地へと投げ飛ばす!!  ゾンッ───! 朧弦 『!?え、あ───!?』 草原に落下する寸前、月光竜の姿が消える。 気配を探るが───居ない!? この世界に存在が感じられない───そう思った瞬間、頭上に気配! 見上げれば、上空に映像が出現していて、そこから月光竜が現れる!! 朧弦 『っ……さっきの攻撃の仕掛けはこれか!』 映像を通して転移できるなんて、どんな竜族だ! とにかくぺぺらぺっぺぺ〜♪ あ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁぁぁぁ緊張感のないぃいいいいいっ!!!  キュゴドドドドドドンッ!ドドドドンッ!!! 朧弦 『うぉおおあぁああああっ!!!?』 閃光のレーザーが降り注ぐ!! 月光竜の口からビットから、吐き出され続ける閃光はまるで性質の悪い豪雨だ。 それを皇竜王の手や飛翼で弾き、 避けられるものは避けながら飛翔するが、あんまりにも滅茶苦茶だ、近づけない。 けどこっちも考え無しじゃない。 ハトを幾羽も創造するとそれを爆発するナイフに変換、 レーザーの群の隙間を縫わせるように幾つも投擲し、爆発させて挑発する。 ───次だ。 レベルアップしたことでHPもTPも完全回復した。 次……ヤツが突撃を仕掛けてきた時、 カウンターゴッドハンドインパクトでブン殴る! 朧弦 『……今!月空力!───タイムブレイク!!』 ───レーザーの群が波を途切れさせた瞬間!時を止める! 刹那に両手いっぱいにハトを変換した炸裂ナイフを創造し、月光竜目掛けて投擲! さらに月光竜の背後に転移すると、時間凍結を解放!! 相手は転移に敏感のようだから、すぐに背後の俺に気づくとこちらへ向き直る。 だがその後方から飛んできた炸裂ナイフが飛翼を爆発させると、 流石に苦痛の悲鳴をあげる。 よし……上手く翼膜に炸裂した……! あれは痛い筈だ……怒れ!もっと怒って突撃をかけてこい! 朧弦 『五連……光速釘パンチ!!』  ガゴゴゴゴォンッ!!! 究極竜『ッ……ギアウッ……!キウウ……!!』 突然の翼膜への痛みに気が抜けたのだろう。 突き出した竜の右手での光速拳が胸部を捉えると、 月光竜は苦しげな声を上げて俺から距離を取る。 それを見ると、俺もわざと距離を取って休むフリをし、離れる。 すると───月光竜が体に光を掻き集め、力を溜めてゆく。 飛翼を強く羽撃かせ、真っ直ぐに俺を睨んで───…… 朧弦 (……来る!) そう思った刹那、空気に弾かれるように始まる月光竜の突撃!! 音速の壁を破壊する音が月夜の空間に弾け、 結構な距離を稼いだというのにあっと言う間にそれが埋まる! 朧弦 (よし……!フル、パワァアアアア…………!!!《メキメキメキメキ……!!》) 再びだ。 右手に全てを託し、この世界の力をも全て封入……! それとともに世界は黄昏から元のジャングルの風景に戻るが、 突撃する月光竜の速度に迷いはない! 朧弦 『いくぜ相棒!うぉおおおおおおおおっ!!らああああああああっ!!!』 突き出す! タイミングは完璧!これでダメだったら───、っ───!? 朧弦 『なっ───』 そこで違和感。 月光竜が直前で身を翻し、体に溜めた光を飛翼に移した。 その姿に向け、俺が突き出した拳からはゴッドハンドインパクトの波動が放たれるが─── 直接殴るつもりが飛び道具になった……そう考えれば直撃するソレなのだが、 どうしてか……自分の死しかイメージ出来ず、まずいと感じた時には全てが遅かった。  ガキィンッ!! 月光竜の飛翼が鋭いブレードに変異する!! 掻き集められた光がブレードをひとつの光に変化させ、 月光竜は身を翻す動作をそのままに、光り輝く飛翼を振るい───!!  ギパヂガァアアガガガフィガァォウンッ!!!! 朧弦 『がぁあああああああああああっ!!!!!』 巨大なブレードスラッシャーを放ち、ゴッドハンドインパクトを容易く破壊。 その先に居た俺を切り刻み、両断し、微塵にしてみせたのだった。 ───……。 ……。 悠介 「……、はっ……はぁ……!はぁ…………!」 彰利 「ぐっは……!だめ……も、だめ……!!」 トランスを続けすぎたために、死んで復活しても体は万全の状態であってくれなかった。 情けないことに立ち上がることすら出来ず、 俺と彰利は地面に倒れたままにゆっくりと飛んできた月光竜を迎えることとなった。 悠介 「はっ……ぐ、はぁ……!」 彰利 「は、っ……く、そ……!はぁ……!」 力を込めるが立ち上がれない。 そんな俺達を空中から見下ろし、月光竜は再び語りかけてくる。 究極竜(まだやるの……?) それは、まるで子供が首をかしげながら訊いてくるような気安さ。 やる、と言って立ち上がりたくても体はボロボロ。 こうしてる間にもレベルが何度も上がってるが、体が癒されることはなかった。 まいった……!こいつ、強ぇえ……! 解ってたことだけど、全力出し切っても知恵を絞っても勝てねぇ……! 魔王 「はっはっは、これこれシャモン、そのくらいにしておいてあげなさい」 究極竜(!パパ!) 魔王が穏やかに笑いながら歩み寄ってくる。 その声を聞くや、月光竜は弾かれるように振り向くと魔王の傍まで飛び、 その肩へとズシィッ!ペキコキ……!!……小気味のいい音を立てつつ、乗っかった。 魔王 「ごぉおおお……ぉおっほっほっほ……!!     お、おやおやシャシャシャシャモンったら……!こっ……《コキンッ》ほごっ!     っ……ほは、っはっは……かはは……!こ、この子がまたヤンチャでして……!」 汗をだらだら流しながらも振り切ったりはしないところはどういう根性なのか。 いや、それよりも…… 魔王 「それで、どうだ勇者たちよ。……まだやるかい?」 悠介 「っ……やる……!やるったらやるぞ……!」 彰利 「ああ……!このまま終われるか……!」 魔王 「グムムギギ〜〜〜〜〜ッ!ど、どこまでも頑固なやつらよ〜〜〜〜〜〜っ!     よろしい!ならば貴様らまとめて相手をしてやろう!     お相手はこの博光のみ!それで全滅した時点で貴様らの負けだ!」 悠介 「なに……!?」 彰利 「ちょ……待てテメ……!」 魔王 「勝負はこれより一時間後!それまでにせいぜい疲れを癒しておくがよいわ!!     ゴフェフェハハハハハハッハッハッハッハッカッカッカッカ…………!!!」 バサァッ!と、わざわざマントのようなものを鎧に象らせると、 それを翻して魔王が歩いてゆく。 待て、と唱えるが……それは余りにもか細い声で、 守護竜を乗せたままズシンズシンと歩く彼に届く筈もなかった。 Next Menu back