───冒険の書12/覚悟を決めろ!旅人たちの誓い!───
【ケース95:清水国明/愛羅部破壊僧十本刀】 ゴコォン…… 清水   「えーと……なんの用か、王様よ」 レイナート「うむ。そなたらは既にレベル3までのミッションをこなした。       そろそろ我が国の軍事の方のことも頼もうと思ってな」 田辺   「うへぇ……またミッションかよ……」 レイナート「大臣、報告を」 ソナナニス「はっ。───最近、不死王国トリスタンの進行が幾分増徴している。       その国の王、黒き死仮面の異名を持つ不死戦士、       ジュノーンの手によるものだ。       既にひとつの町がジュノーンによって滅ぼされている」 田辺   「不死戦士ってアレだよな……死人の森に居た」 清水   「だろ……。ジュノーンって名前だったのか」 岡田   「まるでドラゴンフォースだなおい」 レイナート「そこでだ。お前たちに調査として       “タクシム”というアンデッドモンスターを倒し、       その体の一部を持ち帰ってもらいたい」 清水   「タクシムって……」 アレだよな。 トバル2で居たグール系モンスター。 投げ技が異様に強かった、あの。 投げ技っつーか噛み付きっつーかよく解らん技だったが、効果音が好きだった。 ソナナニス「タクシムは貴様らのレベルならば楽に倒せる相手だろう。       だが今回調査に必要なタクシムはタクシムグレートといって、       強かった冒険者が堕ち、グールとなった姿のもの。       油断するとやられてしまう。気をつけるように」 清水   「タクシムグレートって……」 田辺   「まんまで言うと『タクシムすごい』?それとも『すごいタクシム』?」 岡田   「はたまた『ウホッ、いいタクシム……』?」 清水&田辺『や、それは絶対無いから』 ソナナニス「ともかく、そのモンスターの体の一部を取ってきてほしい。       冒険者が堕ちてしまう原因を突き止められるかどうかの大事な任務だ。       くれぐれも失敗しないようにな」 三人   『うへぇ〜い……』 あぁ……また面倒なことになったなぁ……。 ───……。 ……。 そうして、謁見の間を出てそのまま城から出た俺達。 エトノワールの城下町をてくてくと歩き、思わず溜め息をモルルバファ〜〜と吐き出した。 清水 「はぁ……クエストとかミッションとかこなしてりゃあ、     なにかいいことがあるかと思ってやってみりゃあ……」 田辺 「なんのことはなく面倒ごとばっかか」 岡田 「つーかさ、なんでこういうのって王自らがやらんかね」 田辺 「俺としてはさ。斉王を蘇らせちまったごうつく王ってのが     レイナートじゃないことを願うよ」 岡田 「そだな……。そんなヤツのために働くのなんて冗談じゃねぇや……」 やはり漏れるのは溜め息ばかり。 と、そんな時─── 町人 「おぉ、清水さんじゃねぇか。     いいところで会った、丁度いいリンゴが故郷から送られてきてね。     ちょっと多くて困ってたんだ。少しあげるよ」 清水 「お、お……おお」 《リンゴ》を5個もらった! 清水 「……こういう時くらいだよな。     クエストとかミッションやってよかったって思えるのって」 岡田 「いまやこの町じゃあ結構名前が知れ渡ってるしな……」 田辺 「名声があるってのはいいことだよ」 岡田 「それよかさ。いーかげん他の猛者とかに会ってもいいと思うんだが」 岡田の言うことはもっともだ。 まあとりあえず貰ったリンゴはバックパックに入れとくとしてと。 うん、岡田の言うことはホントもっともだ。 このエトノワールに来てからというもの、まだ誰とも再会してなかったりする。 どっかで擦れ違ったりしてるかもしれないが、 それでもハタと巡り会うことが無いのはこれはこれで珍しい。 清水 「これで、晦か弦月にでも会えればなぁ。まだ世界の勝手ってもんが解るだろうに」 岡田 「そだなー。あいつらくらいだもんな、空界にめちゃくちゃ詳しいのって」 田辺 「黒竜王とかは?」 清水 「すまん、正直苦手だ」 岡田 「晦に関わる強者が悉くボコボコだったんだもんな。そりゃ怖ぇって」 田辺 「そりゃそうか。んじゃあ他には……みさおちゃんか聖ちゃん、     他には篠瀬さんか提督か綾瀬くらいだな」 清水 「提督かー。こういう時に提督と他の猛者どもが居れば、     そりゃもう絶叫とともにタクシムグレートをコロがす旅に突撃するんだろうけど」 少数では臆病になるのは人間のサガってやつだろう。 うーむ、なんとも情けない。 度胸を身に付ける上で見習うなら、やっぱ晦か? なんたって単身で黒竜に立ち向かうくらいだし。 やぁ、普通出来ねぇだろアレ。 つくづくとんでもねぇヤツとクラスメイツだったんだなぁって感心と呆れを抱くよ。 清水 「じゃあまずはタクシムグレートでも探しに行くか。     で、調べてみて強そうだったらレベル上げの方向で」 岡田 「オーケー」 田辺 「支給として金ももらったし、装備整えるって手もあるしな」 王国兵制式装備は安定がウリだが、 その安定がレベルの超過とともにどんどんと役不足になっていく。 そろそろ新しいのを揃えなきゃならないのは確かだ。 王国制式のものとか、どこかに属するシンボル系装備は強化出来ないらしいから。 しっかりと『王国の作成物を鍛えるなんてとんでもねぇ!』って怒られたし。 そりゃそうだ。 王国直属でもない城下町の鍛冶職人が、 王国制の武具を強化することに成功しちまったら目も当てられない。 清水 「しかし、晦ね……」 今なにやってんのかな。 tellシステムは全然通じないみたいで困りもんだけど。 晦はホントにヒロラインに参加してるのか確認したわけじゃないから解らんけど、 なんだって弦月にまでtellが届かないかね。 【ケース96:弦月彰利/それはね?彼らが既にキミらの敵だからだよ】 悠介 『はぁああああああっ!!!!』  トッ───ガガガガガガガガァンッ!!!! ロックウォリアー『グォオオオオオオオッ!!!!』 踏み込みと同時に放たれた槍が、岩の肌を持つモンスターを砕き屠った。 素早さを瞬時に上げ、攻撃の瞬間に攻撃力を上げ、連ねること八閃。 完膚なきまでに身体を穿たれたロックウォリアーは当然塵と化し、 槍を振るった当の本人は既に別のモンスター目掛けて疾駆していた。 彰利 『……まあ、なぁ』 やっぱ悠介には短剣なんぞより刀剣か槍なわけだ。 短剣から長剣、長剣から槍に変えただけで恐ろしいまでの強さだ。 試しに“調べる”でステータスと覗かせてもらったところ、 刀、剣、槍、弓、格闘のスキルは俺なんぞよりよっぽどあった。 ようするに身体能力こそ無いものの、基本はしっかりの悠介だからこその熟練度。 特に剣と槍は扱いすぎだってくらいに扱ってたわけだから……はぁ。 俺ももっと、現実世界で戦闘知識を頭に叩き込んどきゃよかった。 まさかここで役に立つとは。 ゴーレム『ゴォオオオオオオンッ!!!!』 悠介  『“捻り穿つ”(スパイラルディガー)
!!』  ギョリゴバァンッ!! ゴーレム『グォオオ!!?』 巨大な岩の塊だろうが、まず足を破壊してバランスを崩させてから破壊にかかる。 上手く壊れやすそうな部分を穿つのも、長きに渡る鍛錬の賜物ってやつだろう。 やがて悠介は、片足を無くして倒れゆくゴーレム目掛けて構え、 長い戦槍を回転させ───!! 悠介  『その五体、微塵と砕けろ───!!』 ゴーレム『ルグォオオオオオオオッ!!!!』 悠介  『突き穿て戦槍!!“猛り狂う(レイジング)───』  ズズゥンッ!!……ぷちっ。 ───潰れた。 彰利 『おわぁああーーーーーーーーっ!!!!ゆゆ悠介ぇえーーーーっ!!!!』 ……とまあこんなわけで、悠介はまだまだボケが治ってない。 というのも、戦いに夢中になるとついつい“今までの戦い方”をしちまうのだ。 今までってのは当然、神魔竜人であった時に散々身体に覚えさせた戦闘方法のことだ。 もちろんそんなイメージをして疾駆しようが、 体がまったくついてこないので今のように潰れたりする。 ……俺は普段から自由奔放に戦ってたし、 悠介ほど実戦の経験も無ければ練習回数も圧倒的に少ない。 だから身体に戦闘方法が染み付くほどでもなかった。 けどこのモミンゲリオンは、 考えるよりも体が戦闘方法を実行するような修行馬鹿なわけで。 つまり……まあその、その末にこうなるわけだ。 悠介 『い、ぢぢ……!ギ、ギブ……ぎぶ……!!!』 悠介はかろうじて、ゴーレムの手の甲に潰されただけで済んだようだった。 これが背中とかだったら確実に一撃死だったことだろう。 ……まあ、それでも相当に重いことにはなんの変化もないわけだが。 しかも槍、砕けちまってるし。 悠介 『こっ!はっ……!くはっ!!この……!とっとと起きろっての……!!     動け───ぐはっ……動けねぇ……』 あまりの重さにか、悠介は動けないようだった。 そこでこのDIOは考える。 ここは華麗に悠介を助けるために戦闘に参加して、俺も経験値を山分けしてもらうべきか? ……考えるまでもねぇやね。  ゴォッ───モファアアアンッ!!!! モンクアビリティ:“ためる”を使用!! 俺の拳が通常の1.5倍!! あとは渾身を以って、悠介の上に乗っかってるデッケェ手を破壊するのみ!! 彰利 『くぅううだけろぉおおおおおおっ!!!!!』  ヴオドゴォオオオオオンッ!!!! 渾身の一撃により、岩で出来た手にヒビが入った!! 悠介 『うあっがぁああああああっ!!!!!』 そしてその下敷きになっている悠介にも当然ダメージが齎された!! 彰利 『アイヤァアアアーーーーーッ!!!!』 悠介 『げほっ……!!て、てめ……!この機に乗じて俺を亡き者にして、     ゴーレムの経験値を我が物にしようって魂胆か……!!』 彰利 『ギャア違う!違うよ!?僕そんなこと考えてないよ!?     なんで突然そんな絶望的思考から入るの!?もっと明るくいこうよ!!』 悠介 『冗談だっ……!誰が経験値欲しさに友人罵倒するか……よっ!!』 悠介が自分の右手にイメージを集中させてゆく。 するとその右手からひとつの巨大な戦鎚が現れる。 悠介 『すぅ───はぁっ!!そぉらぁっ!!』  ゴォッ───ボガシャァアアアアアアンッ!!!! そしてそれを一気に振り下ろすと、自分の体ごとゴーレムの巨大な手を砕いた!! ……といっても、悠介の身体は砕けちゃいないが。 悠介 『いっ……づ……!!』 でも五体満足ってわけにはいかなかったらしい。 そらそうだ、自分の体ごとだし。 立ち上がる悠介は身体を痛めたようで、思い切り辛そうだった。 けどアップルグミを口の中に放り込むと、それを噛み締めて一息をついた。  ◆アップルグミ  ポーションをグミ状に加工したもの。  味付けにリンゴが使われているため、子供から大人にまで大人気のグミ。  食物としての効果もあり、精神疲労が5%だけ回復され、  HPが最大HPの10%分回復する。  小さいためにポーションよりも少々回復量が少ないのが難点だが、  一気に数個を食べることが出来るので、ポーションよりも人気がある。  *eb!刊:『胃液にサッと溶けるから、瞬時に効果が出るらしいよ?』より 彰利 『やぁ、思いっきり潰れたねぇ』 悠介 『はぁ……情けない』 情けないっつーか、それほど一生懸命修行した結果だろうに。 そこんところは落ち込むべきところじゃないだろ。 と、悠介は突然駆け出し、 渾身を込めると鎚を振り上げてゴーレムの頭を木っ端微塵に砕いた。 ……そういや、倒れただけでべつにコロがしたわけじゃなかったもんな。 顔面を破壊するとゴーレムはあっさりと微塵と化し、 悠介はそうしてからようやく息をついた。 それとともに大槌も消え、悠介のHPが創造した時の消費量分回復する。 彰利 『…………いいよなぁ、武器創造。今どれくらいまで上達したっつったっけ?』 悠介 『ハト、食べ物(小)、飲み物(小)、     木製武器、鉄製武器……それと無形物創造くらいだな。     鉄製武器っつったって木製の武器の周りを鉄板で固めただけだし』 彰利 『それでよくもまあゴーレム破壊できるよな』 悠介 『これだよ、この先端の棘。ここだけは完全に鉄なんだ。     だから振り下ろした時にだけ重力が倍加するイメージを乗せれば……な?』 彰利 『なるほど』 岩だろうが一点に衝撃を加えれば、案外割れたりするのだ。 それと同じ要領なんだろう。 つーことは槍にしても同じなのか? 彰利 『で……無形物創造ってのは?』 悠介 『風とかの、カタチの無いものを創造する力だな。     とはいっても、風って言っても出し続ければHPはぐんぐん減ってく。     使い勝手はお世辞にも良いとは言えないんだ、これが』 彰利 『ははぁ……相変わらず初期状態だと上手くいかん能力なのね』 悠介 『昔は“創造出来る”っていったらハトだけで、     キャベツ出したら気絶するほどだったしな』 彰利 『キャベツで気絶なんて、まるで俺みたいYO』 悠介 『妙なところで親近感覚えられても困るんだが』 彰利 『まあよ、まぁあああよ、ええじゃんべつに。     それよかYO、オイラ新発見しちゃったのだよ。     このヒロライン、攻撃すればスキルあがるわけじゃん?』 悠介 『ああ、そうだな』 彰利 『で、ちょいと試してみたんだけどさ。     速度重視でステイト全てAGLに振り分けて攻撃しまくったらアラびっくり!!     なんと、相手がなかなか死なない上に攻撃出来まくる分、     スキルも上がるじゃないですか!!     しかもスキル特有技“まっはぱんち”を習得したYO!!     AGLが30以上無いと覚えないんだって!ほらほら見て見て!!』  シュッシュッシュッ───ボボボボボボボボ!!!!! 悠介 『うお……』 彰利 『ね!?ね!?すげぇっしょ!?』 続いて“まっはきっく”も見せる。 おお、我が足がまるで、 PCゲームソフト『秋色恋華』に何故か出ていたロバート=ガルシアの幻影脚のように!! ……ちなみに何故彼があんなところに居たのかは未だ解っておりません。 あれは秋色恋華の不思議の中のひとつとも言えましょう。 彰利 『しかもこの“まっはぱんち”と“まっはきっく”使用中、     しっかりと蹴れば蹴るだけ、殴れば殴るだけスキルアップの確率も存在します。     一気に8発殴るわけだけどさ、     その8発のうち8発全部スキルアップに繋がるかもしれんのです』 悠介 『そりゃ……なんつーか便利だな』 彰利 『けどまあステイトをAGLだけに振り分けてる分、攻撃力弱いから悲しいけどね。     しかも一気に殴る所為で疲れるのか、HPが減るんスヨ……』 悠介 『そか。そう上手くはいかないわけだな』 バランス悪いのは確かだが、面白いのも確か。 やぁ、でも俺ゲームの中くらいは創造の理力欲しかったかも。 悠介 『っと、そうこうしてるうちにまた来たぞ』 彰利 『オウヨ〜?オウヨオウヨ───オウヨ!!』 R・S『ブギャァアアアアアアアンッ!!!!』 ロックスライムが五体現れた!! 彰利 『ってちょっと待った!!ここ岩石系モンスター多すぎやしない!?     いくら採石場の洞窟だからって!!』 悠介 『ぐだぐだ言ってる場合か!!来るぞ!!』 彰利 『ギャアもう!!唸れ我が拳よ!!“界王拳”!!』  ヒュキキキィイイイイインッ!!! ───俺の界王拳が発動!! 格闘能力UPと攻撃力、素早さに+修正!! 彰利 『いくぜロックスライム!速度重視故に可能なひとり連携!!     “コークマシンガン観音”!!』 なお、組み合わせは“コークスクリュー+マシンガンジャブ+千手観音”です。  キュオドガガガガガガガンガンガンガガガガンッ!!!! ポポポポポポポインッ♪ 格闘スキルが0,1上がった!! 格闘スキルが0,1上がった!! 格闘スキルが0,1上がった!! 格闘スキルが25になった!! 格闘スキルが0,2上がった!! 格闘スキルが0,3上がった!! 格闘スキルが0,1上がった!! 格闘スキルが0,2上がった!! 彰利 『おぉっほっほっほっほ!!格闘スキルが上がる上がる!!     ウギャアでもダメージすげぇショボイ!!22だって22!!ひでぇ!!』 R・S『ブギャアアアアアアアム!!!!』 ロックスライムの攻撃! 彰利 『ランブル!ガードポイント!!』 俺は咄嗟にアップルグミを噛み締めると結構減ってたHPを回復! すぐさま伝説のピーカブーブロックをしてガードを固めた!! だがずばごぉんっ!!! 彰利 『ゴフェぇえァアアアッ!!!』 物凄いブチカマシの前に為すすべも無く吹き飛ばされました。 そういやステータス戻すの忘れてた……。 彰利 『ああもう怒ったぞこの野郎!!岩野郎なら動きだって鈍いだろ!!     アタックポイント!!フルブレイクストレングス!!!』  ゴォッ───モファァアアンッ!!! ステイトを全てSTRに回し、その上で“ためる”を発動!! 案の定動きの鈍いロックスライムの懐に駆け込み、全てをこの拳に乗せて!! つーか足遅ッ!!おそ───遅い!!遅いよコレ!!遅すぎ!!なにコレ!! 彰利 『ええい構うか!!ガァイ!!スーパァーーーッ!!     ンナァッパァアアアアーーーーーッ!!!!』  コォバゴシャオォオオオオオオオンッ!!!! R・S『ブゲルギャアアアアーーーーーッ!!!!』 ロックスライムを破壊した!! 経験値35と弾力岩の角を手に入れた!! 彰利 『うっしゃあっ!!よっしゃ次こーーーい!!!』 俺はすぐさまに構え───ってちょっと待て!? 俺がずっとアイツとだけ戦ってたわけで、他の4体は─── 悠介 『だぁあああっ!!馬鹿っ!一体倒しただけで感激してる場合かぁあっ!!!』 彰利 『あ』 悠介が駈けていた。 や、厳密に言えば『追われてた』。 向うの方も一体を倒したようだが、いかんせん落ち着いて攻撃が出来てない様子。 相手の動きが遅いのが救いになってるようで、 AGL振り分けで駆け回りながら戦っていた。 疲れそうな戦い方だねぇ……っと、感心してる場合じゃねぇや。 彰利 『よっしゃ!んじゃあ一体ひきつけるから、あとヨロシク!!』 悠介 『おいこらぁあっ!!!』 俺のステキな提案に切羽詰った表情で叫ぶ親友。 当然俺はそげな声を無視して、一体だけに石を投げてこちらに誘き寄せた!! R・S『ブギャアアアアアム!!!』 彰利 『ふっはっはっはっは!!ア〜〜バYO〜〜〜〜〜ッ!!!!』 悠介 『おまっ……お前なぁあああっ!!!!って!だわわわぁああああっ!!!!』 R・S『ミギャアアアアアム!!!!』 俺が逃げると同時にロックスライム二体に襲われる悠介。 よし、俺はなにも見なかった。 つーか一体だけで大変だし、余所見なんて出来ねぇや!! 彰利 『ふはははは!!よっしゃこーーい!!』 だから俺は構えた! そして能力の効果時間が消える前に一気に殲滅する!! ……と意識を集中した時だった。  バガボガァアアオオオオオオンッ!!!! 彰利 『へ───?』 離れた場所で轟音が高鳴り、悠介を押し潰していたロックスライムが砕け飛んだ。 彰利 『え……あ、え……?』 もちろん二体ともだ。 が、あんな風に一瞬にして吹き飛ばせるほどの力なんてまだ無い筈───なんだが。 悠介 『げっほごほっ!がはっ!!〜〜ったく!!     なんだってこう岩モンスターは俺のことを押し潰したがるんだっ……!!』 岩とかの欠片が口に入ったらしく、激しく咳き込む親友ボグシャア!! 彰利 『ばもべるあぁあああああっ!!!!?』 そして、悠介に気を取られてる間にブチかましを喰らう俺。 うう、情けなや……しかし華麗に着地をすると、拳に熱き思いを込め、一気に振り切った!  ブォンッ!!───しかしミス!! 彰利 『ギャアてめぇ!!なんだネその奇妙な避け方は!!』 目の前のロックスライムがゴロリと転がり、それだけで我が一撃を避けたのだ!! ……拳って攻撃範囲が狭すぎるのが問題だよなチクショウ。 ───と、呆れていると、ロックスライムが転がっていった先に悠介が。 悠介 『加減してやらんからな……遠慮無く塵と砕く!“排撃(リジェクト)ォッ”!!』  ゴカァッギシャバゴォオオンッ!!!! 彰利 『どわぁああああっ!!!?』 R・S『───……!!!』 ゴコッ……パラパラ…… 悠介 『っ……〜〜……い、ぢぢ……!!』 彰利 『…………』 エート……え?なに?リ……リジェクト? なんで使えんの?能力は完全に殺されてる筈で───って  『無形物創造ってのは?』  『風とかの、カタチの無いものを創造する力だな』 ───アレか!! そ、そうか!そらそうだ!リジェクトにカタチなんて無ぇわな!! ……無ぇけど、あの威力だ。 HP相当に使うんだろうね。 ともあれモンスターは倒したわけだ。 ちとそのヘン訊いてみるかい? 彰利 『ヨゥヨゥヨゥメェーーン!!ちょほいと質問Eかい!?』 悠介 『断る』 彰利 『えっとさえぇっ!?』 即答!? 彰利 『や、それは冗談として受け取ろう。     でさ、リジェクトの創造ってどれくらいHP消費するん?』 悠介 『創造自体は無形物だから大したこと無いんだけどな……。     問題はその衝撃によるダメージでな……逃げようが無いから辛すぎる』 彰利 『うおう』 そうだよネー、リジェクトって敵に手ェ付いて、そっから衝撃送るような技だもんネー。 インパクトとなにが違うのかは気になるところだけど。 ちなみに辞書で言うリジェクト……“排撃”は、 攻撃で押しのける、または撃退するって感じの意味で、 インパクト……衝撃は、急に激しく打つこと、または心に巻き起こる激動とからしい。 ファンタジーで言う“衝撃”は“衝撃波”の意味からとった方が解りやすいと思う。 衝撃波の意味合いは─── “気体の流れに急激な圧力の変化が生じた場合、それが音速以上の速度で伝わる現象” ───らしい。 ようするに強い痛みとかが一箇所から一気に広がる様子……? よし解らん。 けどまあ、意味通りに受け取れば─── ファンタジーとかで使用される技の“衝撃波”。 それは“人”である以上、避けることは不可能ってことだ。 ……もちろん、手を付いて放つ衝撃を避けることなんて不可能ってことで。 しかも内部に伝わる分、内側から破壊されるわけだ。 硬い相手でも抗いようが無い。 悠介 『はぁ……』 ややあって、モキュモキュとアップルグミを食し始める悠介。 ちなみにアップルグミは悠介が冒険者からローバーアイテムで盗んだポーションを、 俺が調理スキルで加工したものである。 やぁ、オルクヴィレッジはまだ発展途上な分、 広くないけどギルドは揃ってるからありがたいよ。 ナビによると獣人勢力側だと集落が発展するまでバトルギルドは出来ないみたいだけどね。 あ〜……さっさとブレイバーギルドに入りてぇ〜……。 ───……。 ……。 悠介 『よし彰利。いっちょ連携やってみないか?』 彰利 『お?おお、OKOK』 ───で、敵を探しつつ歩いていると、悠介が提案を寄越してきた。 ふむ、連携か。 そういや初心者修練場でやったっきりだったな。 彰利 『んじゃ、ちとやってみよう』 悠介 『よし───っと。お誂え向きだ。あのグールと戦おう』 彰利 『OK』 随分と歩いた場所で、一体のグールを発見。 俺と悠介はニヤリと笑うと、すぐさまに駈け───  ザッ……! 清水 「ん───あぁっ!?モンスター!?これからって時に!」 彰利 『弱イニンゲン!?チィ!コレカラッテ時ニ!!』 悠介 『……スグニ声質変エタナ』 面白いことのためなら瞬時に対応。 それが原中クオリティ。 田辺 「貴様らまさかあいつ狙ってたのか……?獣人でもモンスター狙うんだな……」 岡田 「させねぇぞ!?あのタクシムグレートは俺達が狙ってたんだ!」 彰利 『ソウカ。ナラバ貴様ラガ戦ウガイイ。     我ラハソウマデシテ狙ッテイルワケデハナイ』 清水 「て───え?いいのか?」 彰利 『イイゾ。アイツヲ屠リ、我ラヲ打チ倒セルノナラバナ』 清水 「……つまりタクシムグレートは譲るから、そのあと戦えって……そういうことか」 彰利 『ソウダ』 田辺 「………」 田辺がギロリと俺達を睨む。 つーか悠介はまったくの無関心みたいにタクシムグレートを見てる。 清水 「……選択肢なら他にもあるぜ?」 彰利 『ナンダ?』 清水 「先にお前ら倒して、HP回復させてからタクシムグレートを倒すんだ!」 清水が構えた───清水はやる気だ!! 彰利 『断ル』 清水 「そうだ来いえぇっ!?」 彰利 『言ッタ筈ダ。貴様ラガアイツヲ倒スマデ、我ラハ貴様ラト戦ウ気ハナイ』 清水 「………」 岡田 「えーと……」 田辺 「そんじゃ……まあとりあえず……倒す?」 清水 「そ、そだな……そんじゃ」 清水、岡田、田辺が頷き合い、武器を取り出すと駆け出した。 その先にはタクシムグレート(というらしい)。 最初っから全力だ、10分アビリティを解放して一気に殲滅を図ってる。 そんな中、悠介は手持ち無沙汰に───なるわけでもなく、 創造を実行することで創造の熟練を密かに上げていた。 んじゃまあ俺も、調理スキルでも上げるかね。 つーわけでバックパックから携帯調理セットを取り出し、調理を始めた。 ───……。 ……。 清水   「だぁあーーーーっ!!強ぇえーーーっ!!!」 タクシムG『ガォオオオオーーーーッ!!!!』 田辺   「こォンの野郎ォーーーッ!!!」 岡田   「これが……これが堕ちた戦士の力か!!」  フォンッ!!ガッギィン! 清水 「くぉおぁああっ!!」 おー、頑張ってる頑張ってる。 相当苦戦してるみてぇだね。 岡田 「おい清水!こりゃ無理だって!適当に部位破壊してそれ持ち帰るべ!!」 田辺 「賛成!!勝てねぇ!」 清水 「つーか待て!そもそも部位破壊も出来そうにねぇぞ!?」 おー、苦戦してる苦戦してる。 追い詰められまくってるぞ。 さて……どうなるかね。 悠介 『───』 彰利 『?……って、待て待て待てぇっ……?』 悠介が手に光を創造し……いや、光というよりはエネルギーの塊みたいなのを創造した。 それはまるでマッチョ=ゴローのエネルギーボールを微妙に調節したもののようだった。 TPギリギリで使うと、本気で小さいエネルギーボールを投げることが出来る。 アレですな。 それを投げてタクシムグレートの頭にぶつけた。 するとそこがバヂィッ!バリバリバリーーーッ!とスパークする。 タクシムG『ゲアァッ!!?』 清水   「ヌ───!?」 田辺   「───!今だ!!」 その隙を衝いて、田辺がSTR振り分けで剣を振るう!! その剣はタクシムグレートの小指をゴギィン!と斬った。 田辺 「……!よっしゃ!!」 スパシィッ!!───その小指をバックパックでナイスキャッチ! そしてすぐさまに逃走!! 清水 「うおぉぉおおおおおおおっ!!とんずらぁあーーーーーーーっ!!!!」 岡田 「走れ!走るンだッッ!!」 田辺 「けどさ、もし死んでも金は武具に使ったし、他に無くすものなんて無いぞ?」 清水 「バトル再開!!」 岡田 「宣言しよう!貴様は華麗に屠る!!」 田辺 「醜いそのツラに相応しいコロがしかたをしてやる!」 ……それは、とてもとてもサワヤカな笑顔だったという。 そして─── ───……。 清水 「“バッシュ”!!」  キュイイイゾバシィッ!! タクシムG『キョエェッ!!』  マゴシャア!! 清水 「ぶへぇあぁあーーーーーーっ!!!!」  ドゴォッ!! 田辺 「うわらば!!」 清水のバッシュが発動! だが斬られても無視して殴りかかったタクシムGの猛攻に吹き飛ばされた清水が、 その背後に居た田辺に見事衝突。 ごろごろずしゃーと吹き飛び転がり、その場に岡田だけが残された。 岡田   「あ、あれ!?おやっ!?」 タクシムG『ホォオオルエェエエエエッ!!!!』 岡田   「えーと……ぅぇっはっはっはっはっは!!!」  ズパァン!! 岡田 「たわば!!」 残された彼は笑って凌ごうとした───が、 タクシムグレートのビンタの前に吹き飛ぶ結果となった。 そりゃ、アンデッドにごまかしなんぞ効かないっつーの。 清水 「お、おのれ貴様……!」 田辺 「罵倒はいいからポーション!」  ンゴッキュ───マキィンッ♪ 田辺がポーションを使用し、続いて清水、岡田がポーションをガブ飲みする。 清水 「ガブ飲みしたい時ーーーっ!!」 岡田 「ガブ飲みしたい時ーーーっ!!」 清水 「王様に頼まれて来た場所で強敵と出会った時ーーーーっ!!!」 岡田 「むしろこんな大変なこと頼むなら自分で来いと叫びたくなった時ーーーっ!!!」 それは、とてもとても切実な叫びだったという。 タクシムG『ホォオオオルェエエエエエエエッ!!!!』 三人   『キャーーーーーーッ!!!!!』 ドゴロシャバキゴキドゴゴシャベキ!!ゴシャッ!メゴシャッ……ゴシャッ…… ……あとは、例のごとくボコボコだった。 ───……。 ……。 パパァアアアア………で、為すすべ無く昇天するクラスメイツたち。 タクシムG『コルルルルルル……』 さらに俺を睨むタクシムグレート。 悠介は───……近くにある、廃れた城を眺めていた。 しかし……おいおいおい、こいつまだHP半分程度も減ってねぇじゃん。 まいったね、あれから俺も随分頑張ったけど───勝てるか? 彰利 『お、おーい、悠介ー!?出番ですよー!?』 悠介 『ああ』 即座に槍を創造する悠介。 俺もそれに合わせてナックルを弾き合わせて構えた。 彰利 『よっしゃ早速いくぞ悠介!!』 悠介 『ああ!俺は三段突きで!』 彰利 『俺は活殺破邪法で行く!!今こそ唸れ!活殺三段突き!!』  ヂュイィンヂュィインッ!! 俺と悠介の体が光り輝く。 それとともに俺と悠介はタイミングを合わせたように攻撃を連ねてゆく。 俺が練気で作った練気弾でタクシムグレートを攻撃!! その衝撃にバランスを崩した間隙を悠介の三段突きが穿つ!!  ドドンッ───ゾブシャアッ!! タクシムグレート『ギキャァアアアアッ!!?』 少しのズレも無く、同じ箇所へと連ねること三閃───綺麗なもんだ。 だがやはりこれだけでは死なない。 当然悠介もそんなことは解っている。 “相手を一撃で屠れるとは思うな”───それを、 さんざんっぱらエドガーに教えられた悠介だからこそ。 当然次弾など用意してあるのだ───!! 悠介 『突き奔れ激動!!“ショック”!!』  キィンゴパァンッ!! タクシムG『───ッ……!!』 槍の切っ先から、創造した波動が駆け抜ける。 そのダメージはタクシムグレート自体に広がり、相当なダメージを与えた。 だがそれでも相手は死なない。 だからこそ俺は、俺の攻撃が第三撃になるよう疾駆し、拳に全力を込めて振り被った。 悠介は───即座に振るわれたタクシムグレートの反撃を、 槍をHPに戻してバックステップすることで回避。 さらには着地と同時に疾駆し─── 悠介 『いくぜ彰利!』 彰利 『応ッ!!スラストォッ!!』  バガァンッ!! ───悠介の方を向いているタクシムグレートの後頭部を殴り弾く。 悠介は待ち構えたかのように相手の顔面を手で捕らえ、ニヤリと笑った。 悠介 『消し飛べ───!!“排撃(リジェクト)ォオオオッ”!!!!』  バゴォッシャァアアアアアンッ!!!!! タクシムG『……───!!!』 それで終わりだった。 悠介はHPが1しか残らないほどの全力でリジェクトを放ち、 タクシムグレートを吹き飛ばした。 頭はバラバラになり、身体もドシャリと砕けた。 アンデッドとはいえ、司令塔が無くなると一気に崩れる体。 当然だ、不死を保っていたのが司令塔によるものならば、そこが破壊されれば崩れもする。 とはいえ塵にならないのなら───って!既に悠介剥ぎ取り開始してるし!! 彰利 『お、おのれ〜〜〜っ!俺も負けてらんねぇぜ〜〜〜っ!!!』 俺も早速剥ぎ取りを開始する。 ───が、どれだけ剥ぎ取っても出るのは『堕ちた冒険者の欠片』ばかりだった。 つーかそれだけしか出ない。 彰利 『………』 ま、いいか。 剥ぎ取れるもんは剥ぎ取っとこう。 とかやってる時、ぺぺらぺっぺぺ〜というレベルアップの音が耳に届いた。 彰利 『レベルアップですぜ旦那。あんたも成長したもんだ』 悠介 『ほんと、助かる』 レベルアップとともにHPやTPは完全回復する。 そのお蔭で、HP1だった悠介も即座に回復。 おお主よ、感謝しまッスェ。 彰利 『ハフゥ、剥ぎ取りも完了したし……これからどうする?』 悠介 『他の獣人たちも頑張ってるだろうし、まだまだ鍛錬あるのみだ』 彰利 『うわぁマジすか……?あー、ほら、もっとこうさ、世界を探検するとか……』 悠介 『ん───それもそうか。お前の性格じゃあバトルばかりじゃ飽きるよな』 彰利 『や、バトルはバトルで飽きることなく続けられっけど。     ゲームと違って自分が動いて戦うわけだし。     ですがねィェ〜〜〜、このままこうして戦っていては、     空界での旅よりもヒドイものになるでしょう。     覚えとる?あの頃ってば強くなるための修行ばっかで     ロクに旅も出来なかったっしょ』 悠介 『そうか?なんだかんだでいろんな場所に行った気がするけど』 彰利 『そう!よく言った!そうそれ!それだよ!     果たしてこのヒロラインと空界での旅とでなにが足りないのか!!それは旅!!』 悠介 『サマルトリアか?』 彰利 『ノー!もっと自由性のある旅がいい!!つまり!!     ……えーとさ、この世界にもやっぱ精霊って居るんだよね?』 こればっかりはちと自信が無いからおそるおそる。 悠介 『ん、居る筈だぞ?同じ名前じゃないけど、それぞれの属性の精霊は居ると思った』 彰利 『ッシャア!!』 悠介 『……彰利?』 彰利 『む?あ、ああいやいや』 拳を強く握り締めて喜びに打ち震える俺を、悠介が困惑顔で見つめる。 そう、重要なのはそこなのだよ悠介くん。 彰利 『どうせならさ、精霊と出会って底知れぬパゥワァ〜を貰いに行かんかい?     戦えるんなら腕試しの意味も兼ねて』 悠介 『……あのな。タクシムグレートに梃子摺るような俺達が、     精霊に勝てるとか本気で思ってるのか?』 彰利 『やってみなけりゃ解らんデショ。     それにそこまで辿り着くまでなにもしないなんて言っとらんし』 悠介 『………』 彰利 『む?迷うのかい?』 悠介 『や、そうじゃなくて。     お前の口からそんな前向きな言葉が聞けるなんてなぁ……って。     ちょっと感動してた』 彰利 『どういう意味かねそりゃあ!!』 悠介 『まあまあ。よし、じゃあ行くか。お前の気が変わらない内に』 彰利 『言われるまでも変える気なんて無いんだがね……』 まあいいや。 ともかく前進あるのみ。 我が生涯に我と御身と栄えあれ!! 彰利 『んじゃまあともかく、     まずは精霊が居そうな場所に行ってハルマゲドンパワーを手に入れっぺ』 悠介 『………』 彰利 『悠介?って、ナビ見とんのか』 悠介 『んー……。精霊精霊……お、あった。     精霊……精霊に会うとイベントが発生、     戦うか会話するかして力を受け取ることが出来る。     上手く出来ればエキストラスキルボーナスってのが受け取れて、     いろいろな“その他”の力を引き伸ばせるようになるんだとさ』 彰利 『エキストラスキルボーナスってのは?』 悠介 『ん、アレだ。変身後の能力を引き伸ばすとか、特殊能力を強化するとか』 彰利 『特殊能力って……ああ、あの分身魔球とか火の出る剣とか?』 悠介 『そうらしい』 ようするに技に付加される能力をパワーアップさせたりすることが出来るわけか。 たしかにアレにも成長度ってのはあるんだが……いかんせん成長させるのが難しい。 それに多分限界があるだろうし、 そういう時にこそエキストラスキルボーナスってのが必要になるってわけですな。  ◆エキストラスキルボーナス  精霊との交渉、または打倒によって貰うことの出来る宝玉に付加されている要素。  所持しながら敵との戦闘に勝利すると少しずつ蓄積され、  それが一定量になるとスキルを上げることが出来る。  創造の理力は最大HPによって創造物の幅が増えるが、  他の者の変身後能力は成長をさせることが出来ない。故にこの宝玉が重宝される。  もちろん振り分けたのちも自由に振り分け変化が出来るので、気軽に使用可能。  システムがSTRなどのステータス振り分けを可能なのとは逆に、  こちらはようするにスキル専用振り分け道具。  さらに、“変身後能力”を高めていけば“変身”も可能になる。  *eb!刊:『精霊とエキストラスキルの関係』より 彰利 『おお……では是非とも手に入れなくては!!』 悠介 『確かに早ければ早いほうがいいな。問題はどの精霊に会いに行くかだが』 彰利 『あ……やっぱいっぱい居るん?』 悠介 『地、水、火、風、雷、光、闇、と……そんなとこだな。     他にも居るけど宝玉はもらえないらしい』 彰利 『あらそうなん?……って、普通に考えて勝てるヤツが居ないからかね』 悠介 『いや、それはそうかもしれないけどな。     先入観とかで選ぶとヒドイ目に合うことになるぞ。     まあ……名前は違うヤツが居るみたいだけど、基本的に姿は違うらしい』 彰利 『ほほう』 悠介 『地の精霊ノーム、水の精霊ウンディーネ、火の精霊イフリート、     風の精霊シルフ、雷の精霊ヴォルト、光の精霊レム、闇の精霊シャドウ、と。     ようするにテイルズオブエターニアの精霊だな。     他に時の精霊ゼクンドゥス、氷の精霊セルシウス、     自然の精霊ドリアード、元素の精霊マクスウェルが居るらしい』 彰利 『無とか死の精霊は?』 悠介 『今のところ未定らしい。バージョンアップで増えていくんじゃないか?     もちろんそうなるといろんなものの変更もあるわけだけど』 彰利 『そか』 となると俺は断然闇の精霊と契約を交わしたいわけですが。 悠介は絶対にヴォルトのところに行くだろうし。 彰利 『んじゃ、俺は闇で───』 悠介 『俺が雷、だな』 やっぱりか、って顔を同時にして笑う。 彰利 『しっかし精霊ねぇ……。     しかもふたりとも話なんざ聞いてくれそうにねぇ相手だし』 悠介 『はは、まあ戦いは避けられないだろうな』 悠介もなんとなく予感がしてるのか、笑いながらそう答えた。 なにせ今回はゲームの中だ。 相性がどうとかは通じるわけもなく、 しかもテイルズオブファンタジアを思い出してみればすぐに結果は見えてくる。 ともかくヴォルトってのは言葉が通じないからいきなり襲い掛かってくるし。 悠介 『お前こそシャドウには勝てそうか?』 彰利 『姿とバトルオーラを感じてみなけりゃ解らんって。     まあ強くなっておいて損はなさそうだわいや。     さすがに出会った瞬間負けるのはいやじゃけぇ』 そのためにも、戦闘は積極的にやっていかなきゃならん。 ロビンになりたいってわけでもないけど、このゲームにはハンパなんて無いと思うし。 もしロビンになったら間違い無く、 95万パワーを手に入れることが出来るに違いねぇぜぇ〜〜〜っ!!! そうすりゃエセロビンとは違って、きっちり強くなれる筈!! ……でもそうなると、 あんまりにも可哀相なのがテウーチソバットとかカオヤイ=ソンチャムだね。 彰利 『………』 そう考えると一番怖いのは間違いなくアイツだ。 彰利 『……なぁ』 悠介 『ああ。多分考えてるのは同じだと思う』 そう……アイツだけは変身させちゃならねぇ。 変身させるくらいなら、今のままのほうがまだマシだ。 彰利 『オリバか……獣人勢力を広めるためには、最強の敵になりそうだぜ』 悠介 『覚悟してかからないとな……』 執事でも強くて、変身しても強いなんて……さすがだオリバ。 いずれヤツもその頂に辿り着くんだろう……。 ならば我らはそれに備えてもっと強くならねばならない。 彰利 『よぉっしゃああ!!気ィ引き締めてまいりましょう!!』 悠介 『おうっ!!いつだって全力だ!!』 彰利 『まずは闇の精霊でええんかな?』 悠介 『ああ、常闇の領域ってのがマップにある。     そっちに居る可能性が高いし、なにより雷の精霊が居そうな場所より近い』 彰利 『オッケー!』 さあ、さらなる冒険への序曲!! まずは精霊にあって、新たなる力を得よう!! ……負ける可能性は……会ってみんことには解らんけどね。 【ケース97:清水国明/死にデジョン】 神父 「おお旅人よ!死んでしまうとは情けない!!」 清水 「うるせぇヒゲ!!」 田辺 「ヒゲ!!」 岡田 「いっつもいっつも同じ説教してんじゃねぇクズが!!」 神父 「これで貴様らが死んだ回数は二桁に達した!     ああ情けない!いつまで初心でいるつもりか!!」 清水 「なっ……うっせぇ!!てめぇに説教される覚えなんてねぇ!!」 岡田 「つーか聖職者が迷える子羊に『貴様』とか言うなよ!!」 神父 「黙れ!貴様らが敗北したことには変わりあるまい!     悔い改めよ!そして主に感謝したまえよ!!」 清水 「黙れクズが!!」 二人 『死ね!!』 さて……現在エトノワールの教会。 タクシムグレートにコロがされた我らはそのまま死にデジョンというか、 国にまで戻されたわけで─── 清水 「ええい貴様の顔など二度と見たくなかったっつーのに!!」 田辺 「いこうぜ!こんなクズと一緒に居るとヒゲが伝染る」 岡田 「や、どんな伝染病だよ」 ともかく教会からとんずらし、城へと赴くことにした。 さっさとミッション終了させんといかんし。 ───……。 ……。 で───謁見の間。 レイナート「……ふむ、これが」 清水   「御託はいいからミッション報酬くれ」 ソナナニス「こら貴様っ!王に向かってなんてことを!」 清水   「うるせーーーー!!こちとら命懸けでこのゲームやってんだ!!       慈善事業だけでこの乱世を生き延びられっかボケ!!」 田辺   「で、報酬は!?」 レイナート「やれやれ……話くらいは聞くものだ」 岡田   「話が進まないから頼むわ」 ソナナニス「王に向かってタメ口を───」 レイナート「いやいい、ソナナニス。       ……率直に言えば、この欠片からはゾンビパウダーの気配が感じられる」 岡田   「ゾンビパウダー?」 芥火ガンマ? 田辺 「……多分違うと思うぞ?」 清水 「やっぱ同じこと考えてたか」 もしくはC・T・スミス。 まあどっちでもいいんだが。 レイナート「そう、ゾンビパウダーだ。かつてトリスタンを襲った謎の灰のことだ。       それを吸い込み、酸素が血流に溶け込みそれが脳に達すると───       こうして、冒険者だろうがなんだろうが不死のバケモノに変わってしまう」 清水   「うへぇ……!」 レイナート「だが安心していい。特効薬の開発には成功している。       たとえ吸い込んでしまったとしても、処置が早ければ回復は可能だ」 田辺   「な、なんだそうなのか」 レイナート「もし吸い込んでしまったとしても、       吸い込んだ本人が絶命するまでは大丈夫だ。       ただし絶命した瞬間、その者は不死の怪物と化す。       不死とはいっても、不死である要因を消せば死ぬわけだが」 岡田   「つまり……頭の破壊?」 レイナート「そうだ。脳にパウダーが回ると不死と化すのなら、       その脳を破壊してやればいい。それで不死の要因は途絶えるわけだ。       だが───」 清水   「だが?」 ……やっぱそう簡単には終わらないってか……? レイナート「困ったことになった。       ゾンビパウダーなど、遙か昔に全て焼き払った筈だったが───       これで確信に至ったわけだ。       焼き払ったというのに滅びない不死のバケモノに、       こうして新たに不死となった冒険者の欠片───もう間違いは無い。       ゾンビパウダーが新たに精製されている」 清水   「精製って……誰に」 レイナート「トリスタン国王ジュノーン。……に、間違いないだろうな。       恐らくトリスタンの内部にゾンビパウダーが発生する要因があるんだろう」 岡田   「マジか……?つーかジュノーンってそんなヤバイやつなのか?」 レイナート「黒き死仮面の異名を持つ不死戦士、ジュノーン。       アンデッドモンスターの長にして、真の不死人だ。       当然、アンデッドモンスターを束ねるだけの技量は持ち合わせている。       ともなれば、そういった能力があるのも頷けるものだろう」 田辺   「黒騎士仮面?」 レイナート「黒き、死仮面だ。黒い死の仮面。解るか?」 清水   「黒石の仮面?」 レイナート「違う」 岡田   「クロイス仮面?」 清水   「……ポポロクロイスか!!」 田辺   「ま、まさかポポロクロイスの主人公は不死身だったとでもいうのか!?」 清水   「い、いや、間違いない……」 岡田   「す、するとまさかこれも……?」 清水   「そうだよ!これもノストラダムスの予言にあったことだ!」 岡田   「な、なんだってぇーーーーっ!!?」 田辺   「またしても───       またしても我らの前に立ち塞がるのか……ノストラダムス!」 レイナート「……牢獄にでも入ってみるか?」 三人   『あ、結構です』 さすがにミッションこなしたのに捕まるのは冗談じゃない。 レイナート「……ああ、さて。どこまで話したか。       こうなったからにはトリスタンを潰さなければならない。       もしゾンビパウダーがなにかの拍子で世界中にバラ撒かれたら、       世界中が死の世界と化すことになる」 清水   「平気なのか?強いんだろ、そのジュノーンての」 レイナート「ああ、強い。だからこちらはその分、策を練ることになる」 田辺   「策?」 レイナート「トリスタンと戦争を起こす。己の領土に襲撃を受ければ、       ジュノーンは恐らく戦争に乗ってくるだろう。       でだ。そうして引きつけているうちに、       少数で募った潜入部隊に潜入してもらい、内部でパウダーを燃やしてもらう」 岡田   「あ……なるほど」 清水   「頑張れ王様!!」 岡田   「……え?潜入部隊って王様なの?」 清水   「だって俺、そんなとこに潜入したくねぇもん」 田辺   「まったくだ」 この調子からいくと、俺達がそこに向かわされることになりそうだし。 レイナート「心配しなくていい。潜入部隊には我が国から選りすぐりの戦士を捻出する。       お前たちは戦争に参加するか補給部隊になってもらいたい」 岡田   「……だとさ。どうする?」 清水   「そりゃお前……どうする?」 田辺   「人と戦うってことだろ?まだそこまでの勇気はねぇぞ俺……」 人と戦うってことは、人を斬るってことだ。 拳ならまだよかった。 けど……俺達が装備してるのは剣であって─── 清水   「………」 レイナート「魔物は斬れても人は斬れぬ、か。なに、気にすることはない。       冒険者にはよくあることだ。       そも、冒険者は魔物を倒しながら世界を見るために冒険をする。       それはもちろん、人殺しをするためなんかじゃない。       ……それが当然の反応なのだ、無理はせず補給部隊に入ってくれ」 清水   「………」 正直、手が震えた。 俺達冒険者と違って、多分町の人達や騎士たちは殺されれば死ぬ。 神父のもとに戻ってどうにかなる問題じゃない。 それはつまり、戦争に出るなら人を殺す覚悟を持て、ってことで─── 岡田 「俺は出る」 清水 「え───えぇっ!?」 岡田 「だってホレ、考えてもみろ。     こういうことは空界に降りても始まるかもしれないんだ。     そんな時、お前は黙ってどっかで震えてるのか?」 清水 「あ……」 岡田 「そりゃ俺だって怖い。人殺しになるかもしれないんだ、怖いさ。     でも───ここで踏ん切りつけなきゃいずれ殺される。     ここと違って、空界じゃあ殺されれば死ぬんだ。俺はそんなの嫌だ」 清水 「………」 田辺 「………」 それは、そうだ。 ゲームの中でさえ覚悟が決められないヤツが、 どうやってファンタジーの世界で生きていけるっていうんだ。 清水   「よ、よし!俺もやるぞ!」 田辺   「俺もだ!」 レイナート「いいのか?辛い戦いになるぞ」 三人   『私は一向に構わんッッ!!』 レイナート「……そうか。ならばそれを受諾しよう。       戦争の準備には時間がかかる。       それまでは、己を鍛えるなり冒険するなりするといい」 清水   「───よし!やってやろうぜ野郎ども!!」 田辺   「や、お前が仕切るな。我らは平定の立場にあるモノノフだ」 岡田   「ふむふむ、ならばごゆるりと……スキルでも鍛えるか」 清水   「だな。なんにせよ……震えたまま戦争が終わるのを待つなんて嫌だしな」 力があるのならそれで抗う。 それは、晦の戦いで嫌ってくらいに思い知らされたものだから。 なにか出来ることがあるならそれをまずするべきなんだ。 後悔なんて、それこそ後にすればいいんだから。 さあ───!いっちょ派手にやったりますか───!! 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