───冒険の書22/突入!飛竜の巣!───
【ケース121:中井出博光(ヤーサッ再)/猫耳は眠らない4】 ぺーっ、ぺぺらぺーぺーぺーぺー♪ 総員 『ひぃいいっ!!?』 突然の音楽に我らは叫んだ。 冗談じゃない、音を聞かれたりしたら飛竜に襲われるのだ。 で、慌てて音の発生源を見れば───ナビからだった。 麻衣香「“バージョンアップについての情報の追加”……?」 そう、ナビにはそんな情報を纏めた手紙が送られてきていた。 それには隠しジョブや、ジョブの10分アビリティについてのことが記されていた。 《ジョブ一覧》 剣士─────グラディエーター───ソードマスター モンク────拳闘士────────バトルマスター シーフ────ローグ────────盗賊王 アコライト──マジシャン──────ワイズマン 忍者─────アサシン───────忍者マスター 魔物使い───モンスターテイマー──ムツゴロウさん アーチャー──スナイパー──────ハンティングマスター 刀士─────侍──────────刀神倭道人 女中─────メイドサーヴァント──メイドさん 執事─────スチュワード─────バトラーさん 《隠しジョブ》 ネクロマンサー────カオティックロード ルルックナイト────竜騎士 創造者────────超越者 黒操者────────ブラックオーダー 竜王─────────黒竜王 《10分アビリティ一覧》 剣士──────マグニファイ(武器の潜在能力を開放する) モンク─────界王拳(格闘能力UP。速度と攻撃力にボーナス) シーフ─────泥棒根性(回避率UP、ローバーアイテム成功率UP) アコライト───漢神の祝福(攻撃力5%UP、HPTP完全回復) 忍者──────生分身(25体分身) 魔物使い────取り込む(敵モンスターを壷に閉じ込め、しもべにする。         ボスクラス以外のモンスターなら大体取り込むことが可能) アーチャー───スナイパーアイ(弓攻撃のみ、攻撃力、命中、クリティカル率アップ) 刀士──────怒り頂点也(刀攻撃のみ速度、攻撃力UP。連ね斬り、一閃が使用可能) 女中──────尽くす心(献身スキルに+修正。主人の傍に居ると能力上昇。永続) 執事──────尽くす心(献身スキルに+修正。主人の傍に居ると能力上昇。永続) ネクロマンサー─冥哭の泉(場に出している召喚した魔物の強さを倍にする) ルルックナイト─妙技(攻撃に残像が付き、自動で二回攻撃になる) 創造者─────イメージ(より深く想像が可能。         敵の攻撃の中でも集中出来る……んだけど、         そういう状況に慣れてるモミアゲさんにはあまり意味が無い) 黒操者─────黒呼称(黒いもの、影、闇の操作が可能。黒胡椒ではない) 竜王──────竜闘気(ブレス、飛翼解放、竜人闘技が使用可能。         ドラゴニックオーラと読んではいけない) 《隠しジョブ取得条件》 ルルックナイト───飼われているルルカよりも強靭に育った野良ルルカを従わせる。           さらに野良ルルカに乗った状態で敵と戦い、レベルアップすること。           クラスチェンジの条件を満たしていれば、           たとえば31レベルになった時でもなれる。 竜騎士───────飛竜の卵を手に入れ、孵化させて育てる。           産まれた時から既に竜族としての誇りを持つため、           一定以上育った状態の飛竜と戦い、打ち勝つ必要がある。           ジョブがルルックナイトであることが前提条件。 ネクロマンサー───黄泉路孵りの杖を装備した状態でレベルアップすること。           クラスチェンジの条件を満たしていれば、           たとえば31レベルになった時でもなれる。 カオティックロード─“混沌の勾玉”を身に付けた状態でレベルアップすること。           クラスチェンジの条件を満たしていれば、           たとえば61レベルになった時でもなれる。           ジョブがネクロマンサーであることが前提条件。 創造者───────某モミアゲ専用ジョブ。           一度でも創造を行使したことがある状態でレベル30になる。 超越者───────創造者の状態でレベル60になる。 黒操者───────某ツンツン専用ジョブ。           後ろ向きな心を捨てた状態でレベル30になる。 ブラックオーダー──黒操者の状態でレベル60になる。 竜王────────某黒竜専用ジョブ。           無駄な殺戮はしないと誓った状態でレベル30になる。 黒竜王───────竜王の状態でレベル60になる。 《構想段階でボツとなったジョブ───ペリカンシーフ  怪盗ペリカンに乗ったシーフ……だが、あまりに極悪盗賊になるのでボツに。  他プレイヤーからの盗みはほどほどにしましょう。暗殺されます》 《上級ジョブ特性》 ソードマスター─────秘奥義・“キャリバー”が行使可能。             手に入れたエキストラスキルの宝玉の属性によって能力が違う。             例:風/ソニックブレスト 火/エクスプロードブレード             双剣テオブランドを装備していると“精霊斬”に昇華。             剣の潜在能力でそれぞれの剣に好きな属性秘奥義が付加できる。             異なった属性を合わせて強化することや、             反発属性を宿す双剣を合わせ、             反発反動力を利用した攻撃も可能になる。             例:風+光/エクスキャリバー 水+火/スチームレイザー             なお、属性の宝玉を持っていない場合は無属性秘奥義、             飛翔する無属性の斬撃“剣閃”のみとなる。 バトルマスター─────秘奥義・“龍神烈火拳”が行使可能。             永久水晶を持っていると“ゆきだるま”の気持ちが解り、             フィニッシュの回し蹴りの龍属性が倍化される。             龍属性とは:攻撃力を倍化する属性。             この場合、最後の回し蹴りのみの龍属性が二倍。             龍神烈火拳自体には最初から龍属性が付加されている。 盗賊王─────────秘奥義・“隠れて不意打ちして意地でも盗む”が行使可能。             対象の持っているものならなんでも盗める。             ただし相手が逆上することもあるので注意が必要。 ワイズマン───────秘奥義・“賢者の英知”を行使可能。             詠唱破棄状態で一分間魔法を使い放題。             ただし効果時間が切れるとTPは必ず0になる。             強力な魔法の連続行使は大変危険ですのでご注意ください。 忍者マスター──────秘奥義・“無月散水”が行使可能。             一時的に四人に生分身し、対象を切り刻む。             10分アビリティに影響が無い他、             “龍刀”と“虎刀”を片手ずつに装備している場合、             トドメの一撃が“龍虎滅牙斬”へと昇華。 ムツゴロウさん─────秘奥義・“愛……果てしなく”が行使可能。             魔物使い系ジョブで操ることの出来る魔物が場に居る場合、             その場に居る全ての魔物を強化した状態でペットに出来る。             操れない相手の場合は一定時間金縛り効果。 ハンティングマスター──秘奥義・“屠竜”が行使可能。             放った光の矢が対象に当たると光が散開。             個々の矢となり、再度対象を射抜く。             “アポロンの弓”を装備していると光の矢の数が増える。 刀神倭道人───────秘奥義・“明鏡止水”が行使可能。幾つかの刀技が行使可能に。             *抜刀燕返し───効果時間中、             刀の攻撃全てに刀の残像が加わり、             自動で三回攻撃となる。連撃奥義に向いている。             *無限咆───飛翔する斬撃、“無限流 無限咆”。             刀技には珍しい飛び道具なので慣れない内は使い勝手が難しい。             *翔破裂光閃───光属性の刀、             または光のEXスキルの宝玉を持っていると行使可能になる。 メイドさん───────秘奥義・“主人一筋60レベル!”が自動行使される。             永続能力であり、献身能力にさらに+修正。             ただし主人が居ないと能力はより深く下がる。             包丁、フライパン、おたま、下ろし金を持っていると、             “料理”が使用可能になる。……もちろんモンスターを料理。 バトラーさん──────秘奥義・“主人一筋60レベル!”が自動行使される。             永続能力であり、献身能力にさらに+修正。             ただし主人が居ないと能力はより深く下がる。             蹴りスキルが200を超えていると、             超自爆技“疾風のごとく!”が使用可能。             鍛えられた脚で地面を蹴り、超高速で相手に突っ込む技。             HP八割使用。相手も自分もただじゃ済まない。 《隠しジョブ特性》 ルルックナイト───野良ルルカに乗って戦える。長柄武器しか有効なものはないが、           ルルカとの連携攻撃が可能。           ルルカもレベルアップするので、頑張ってルルカを育てよう。 竜騎士───────秘奥義:“ツインスパイク”が行使可能。           やはり長柄武器しか有効なものがないが、           飛竜のブレスや爪攻撃はかなりの助けになるだろう。           ルルカ同様、飛竜もレベルアップするので頑張って育てよう。 ネクロマンサー───黄泉路孵りの杖の効果でアンデッド系モンスターを従わせる。           呪い装備をしている分だけアンデッドモンスターも強化。           場に十体以上のアンデッドモンスターが居る状態で冥哭の泉を使うと           アンデッドゴーレムを召喚可能。だがザコモンスターは消える。 カオティックロード─秘奥義・“亜空召喚”が行使可能。           効果時間内、リビングアーマーを召喚出来る。           プレイヤーが女でも名称は“ロード”。           魔物使いが操ることの出来ない全ての魔物を操ることが可能。           召喚、操りに長け、           悪魔系モンスターや聖系モンスターまで幅広く操ることが可能。           このジョブになる瞬間に呪い系の装備をしていると、           それまでの呪いが裏返り、本来の姿を取り戻す。           例:血塗られた盾→英雄の盾など。           英雄の盾/装備した状態で百回戦うとアルテマメガンテを習得。           アルテマメガンテ:己の命を糧に全てを巻き込む究極の自爆技。                    敵味方問わずに絶望的ダメージを与える。                    味方のために自爆する様は英雄の鏡。                    味方を巻き込まないように注意しましょう。 創造者───────創造が可能。それ以外に目立った能力は無い。 超越者───────秘奥義・“黄昏”が行使可能。さらに既存超越が可能になる。           黄昏効果時間内ならばHP消費無しで創造が可能。           光の武具の実装は強すぎるので未定とされている。           精霊体のため、竜人剣技はもはや創造以外では使用出来ない。 黒操者───────影、または黒いものや闇を自由に操れる。           それ以外に目立った能力は無い。 ブラックオーダー──秘奥義・“アンリミテッドブラックオ−ダー”が行使可能。           黒、影、闇であればそれを元に様々なものへの変換が可能。           ただし魔人影黒結界の実装は強すぎるので未定とされている。           当然レヴァルグリードの力や神魔月光刃の力は無い。           秘奥義使用中のみ、魔人天衝剣が行使可能になる。 竜王────────竜人として戦うことが可能。それ以外に目立った能力はない。 黒竜王───────秘奥義・“ロードオブブラックブレイカー”が行使可能。           自身を最大まで強化する他に竜化も可能なので、           行使されたら素直に効果時間が切れるまで逃げ回りましょう。 《注:秘奥義には武器固有のものもあるので探してみよう。  ジョブ特性の秘奥義には劣るが、役に立たないということはまず無いので》 《創造者、黒操者、竜王などは力の使い方が解らんたわけどものためのジョブであるため、  他のヒロラインを純粋に楽しむ者たちはチェンジすることが出来ないので注意。  ネクロマンサー、ルルックナイトなどのジョブはチェンジ可能なので頑張るよう。  なお、隠しジョブはレベル30のクラスチェンジから可能故、  のちのクラスチェンジは一度のみ。それまでの10分ジョブアビリティは無くなる。  これ以降、変更、もしくは追加があるかもしれないのであまり無茶はしないこと》 ───とのこと。 中井出「……木村夏子よ。貴様実は新たな10分アビリティを手に入れていたのか?」 夏子 「……一応。冥哭の泉っていって、場に出てるしもべの能力が二倍になるんだとか。     それを覚えた代わりに漢神の祝福が消えた……って言っても、     ちゃんとアコライトに戻れば使えるみたいだけど」 丘野 「なるほど……こりゃなかなか画期的なシステム」 ふむふむ、とナビを見る丘野二等に習うように、再び目を通す。 ……黒竜王とは是非とも戦いたく……否!! もし襲われたら一度でいいから戦ってみたくはある! この世界なら条件はそう違わない……ならば我らがパーティーの底力を見せる時! でも黒竜変化されたらホント素直に逃げましょうね?絶対コロがされるから。 ……まあ、その前に足が竦みあがって逃げられない可能性が100%だけど。 しかし可哀相に。 彰利と晦、これじゃあこのゲーム自体を楽しめないだろ。 つーか超越者の能力とブラックオーダーの能力に未実装部分があるってのに、 どうして黒竜王の方は黒竜化が実装済みなんだ? 出会ったらマジでコロがされそうだ。 効果時間……ってことは多分1分間だけ竜化が───とかだと思うけど。 それにしたって竜はないだろ竜は!! あんなの常識外れのモミアゲバトラーじゃなくちゃ勝てやしねぇって!! ……出会ったら一度戦ってみたいってのは確かだけどね? 中井出「しかし喜べ木村夏子。これを見る限り、呪い装備もそう悪いものじゃないらしい」 夏子 「〜〜〜……」 麻衣香「今なに言っても無駄。感無量みたいで空に手ェ合わせながら感涙してる」 中井出「……そう……みたいだな」 呪い装備が裏返るという事実に本気で感動している木村夏子。 気持ちは解らんでもないが、装備させた身としては肩身が狭い状況だ。 丘野 「無月散水……龍虎滅牙斬……嗚呼……」 こっちはこっちで忍者マスターの秘奥義を見て夢心地だし、 藍田 「疾風のごとくってあれだよな、     “ハヤテのごとく!”でハヤテくんがやってた超突進技。     あれ痛そうだな……大丈夫なのか?」 こっちはこっちで秘奥義にちと不満気味。 ハマる瞬間というのは得てしてそういう時らしい。 殊戸瀬「……麻衣香。あなたこのままワイズマンを目指すの?」 麻衣香「ん……多分。戦闘向きじゃないからわたし」 殊戸瀬「……そ。じゃあわたしは竜騎士を目指すわ」 総員 『なにぃ!?』 突然の告白!! 殊戸瀬が……あの殊戸瀬がやる気だ!! 麻衣香「さ、参考までに……いきなりなんで!?」 殊戸瀬「同じジョブが居ても面白くないでしょ?それだけ」 総員 『………』 綺麗なくらいに率直だった。 ほんと……未だにこの殊戸瀬睦月の性格だけは読めん。 だがもちろん面白そうだから全力で補助するつもりだ。 むしろ丘野は既に殊戸瀬の手を取って頑張ろう!とか叫んでる。 一方の殊戸瀬は顔を真っ赤にさせてそっぽを向きつつも、 握られた手をしっかりと握り返してる。 ……とことんまでに素直じゃないらしい。 これでよく結婚まで辿り着けたもんだ。 夏子 「召喚……聖系のモンスター使役……呪い系装備からの解放……!!     ああっ!目の前がまるで綺麗なお花畑のようっ……!!」 中井出「はっはっは、木村夏子よ、お花畑を求めるにはここはちょっと荒れ……はうあ!     木村夏子がいつの間にかバタフライの幻覚鱗粉でラリってる!!」 麻衣香「えぇっ!?あ、ホントだ」 藍田 「バタフライをコロがせ!」 丘野 「つーか話に夢中で襲われてることにすら気づかんかった!!」 殊戸瀬「……この鱗粉、調合に使えるかも」 そして僕らは今日も元気だった。 ───……。 ……。 ゴォオオオオ……!! 中井出「ふぅぁああ〜〜〜……結構登るなぁオイ……」 藍田 「疲れないのがほんと救いだな……」 登山をして、はや数十分。 俺達は山の中腹まで辿り着くと、 とりあえずそこにベースキャンプとしてのテントを広げた。 丘野 「これからどうする?早速飛竜の卵を奪還してみるか?」 中井出「俺はまず鱗が欲しいな。今のところ敵らしい敵と会ってないけど、     居るなら強さも確かめておいたほうがいいだろうし」 藍田 「こういうこと話してると、     確かに“冒険してるんだな”って実感が沸いてくるよな」 藍田二等がふるふると震えながら、どこか緩んだ表情で言う。 それは俺も同じだ。 仲間とともに行動してるって感じが物凄く実感出来てる。 彰利風に言うと……俺、今とっても輝いてる!って感じだ。 中井出「じゃあ各自、バラけて素材収拾でもするか?     現時点じゃあ何処に飛竜の卵があるか解らないわけだし」 麻衣香「あ……そうだったね」 丘野 「異存無〜し」 藍田 「じゃあ、どんな感じでバラけるか。男女ペアでいいのか?」 中井出「藍田二等は木村夏子と一緒に居ないとダメだからな。自動的にそうなるだろ」 藍田 「そか。じゃあ夏子」 夏子 「うん」 まず、藍田二等と木村夏子が分かれ道の右端を歩いてゆく。 続いて丘野二等と殊戸瀬二等が真ん中の道を。 最後に俺と麻衣香が左端の道を歩き出した。 さあ……いざ、未開の地へ!! 【ケース122:中井出博光(再デリア)/猫耳は眠らない5】 ───そうしてしばらく歩いたのち、モンスターと遭遇した。 トカゲ『クケェエエッ!!』 トカゲ型モンスターだ。 地面を這うようにウネウネと走るその姿はまさしくトカゲッ……!! だが地界のソレと違い、一目でモンスターだと解る理由は……その大きさにあった。 中井出「でっ……でけぇえええーーーーーーっ!!!!」 Sagaに出てくるサンショウウオなど目じゃねぇ!……かもしれん!! つーか怖い!むしろ気持ち悪い!! 大きさが俺の膝の高さくらいまであるぞ!?地面這っててこの大きさ!? 麻衣香「きゃああああああっ!!きゃぁああっ!!きゃぁあああああああっ!!!!!」 で、爬虫類が苦手な麻衣香はそれはもう絶叫。 バタバタと逃げ回り、トカゲが俺だけを狙ってることにも気づかずに走り回ってる。 つーかまたですか。また俺だけ狙ってんですかコノヤロウ。 中井出「甘し……!既にこの博光はブラッシュデイムと一心同体!     たかだかトカゲのバケモノごときに負けるものかぁあああっ!!ショラァッ!」  フィンゾバシィッ!! トカゲ『ギギィッ!?』 中井出「ヌオッ!?」 意外に硬い……!? なんて丈夫な肌をしてやがんだこいつ……! 肌っていうか鱗だけど。 トカゲ『キョエッ!』  ブォンッ!───タンッ。 中井出「ぬはははは!!甘し!さらに甘し!」 トカゲが突進とともに振るってきた頭をバックステップで避ける。 いい……ああ、とってもいい!! 武器を手にして、一撃で倒せない相手と一進一退の攻防……!! 顔が緩むのが押さえられん!嬉しい!最強! 中井出「鱗が硬いなら目を狙えってな!もしくは燃やす!!」 先ほど攻撃したことで発動した鬼靭モードを有効利用! 一手前の俺とはちょっと違う俺をどうぞ! 中井出「鬼人化をするまでもない!貴様なぞこの鬼靭モードで十分だーーーっ!!」 ジャーーーーン!と挑発を発動!! 一度偉そうなことを言ってみたかった俺は、それはもう体がぶるるいと震えるのを感じた。 エ、エクスタシー!? 中井出「突撃ィイイイイイッ!!!」 そのシビレるような興奮が冷め切らぬ内に疾駆! トカゲの横を駆け抜けるようにまず右目をブラッシュデイムで一閃! 痛みと消えた視界に叫ぶトカゲの後ろに回り込み、武器を仕舞って尻尾をキャッチ! 中井出「そして必殺のぉおおおおおっ!!!!」 ご存知、STRMAXジャイアントスイング!!  ブォン……ブォンブォンブンブンブンブンドゴシャ!ゴシャ!ベキャ!ドゴォンッ!! もちろん振り回すだけではなく地面に激突させたり岩肌にぶつけたりの連続!! これぞ環境利用闘法!! 頭を重点的に岩肌や地面にぶつけることで相手をピヨらせ、その隙に─── 中井出「成敗!!」 全力を以って破壊!!  ザゴシォンッ!! トカゲ『キョェエエーーーーーッ!!!!』 ……ガクリ。 トカゲを倒した!! 中井出「さぁ〜て剥ぎ取り剥ぎ取り……ウフフフフ」 麻衣香「…………」 俺が上機嫌で剥ぎ取りを実行し始める中、 麻衣香だけが俺の暴れっぷりにポカンとしていた。 中井出「ん……麻衣香?剥がなくていいのか?もったいないぞ」 麻衣香「わっとと、うん。ちょっとびっくりしてた」 やがて麻衣香もショリショリと剥ぎ取りを開始する。 麻衣香「なんか驚いてた。鬼靭モードってあんなに強かったんだ」 中井出「んむ?おお、俺も内心ここまで強くなれた自分が愛しいというか」 むしろ武器のほうが愛しくてたまらん。 早く成長させたくてウズウズしておるわ。 麻衣香「うん、こっちどんどん魔法スキル上げないとね。     なんかもう物凄い戦い方するもんだから魔法唱えるの忘れて呆然としちゃったよ」 中井出「ゲームの型に縛られないってのがこのゲームの一番の魅力だな。     目を狙えば目を潰せるし、掴みかかってきた相手にプロレス技もかけられる。     なによりステータス振り分けが物凄く有り難い」 麻衣香「そだねー。わたしも後衛に居る限りは魔力系統を上げてればいいんだもん。     博光はちゃあんとわたしのこと守ってくれるしね」 中井出「む……そういうことは敢えて言わんでも」 麻衣香「言わなきゃ伝わらない鈍感さんにはこれくらいで丁度いいの。     っと。剥ぎ取りも終わったし、行こっか」 中井出「そだな」 剥ぎ取りナイフ(恐らく世界で一番切れ味がいい)を腰に納めて歩き出す。 バックパックにはオオトカゲの鱗がいっぱいだ。 剥ぎ取る際には質が落ちないように慎重に剥ぐのも重要とのことなので。 皮ごと剥ぐのもいいんだろうけど、大荷物になりそうだからやめといた。 麻衣香「なんか順調だね。このまま卵とかもパパーって取れちゃいそう」 中井出「甘い、甘いぞ麻衣香。この世界はいつだって乱世よ。     弱肉強食……それがこの世界初期よりの暗黙のルール。     だがな麻衣香、よくお聞き。パパはね、     自分がトロフィーを貰うよりも武器が強くなってくれる方が嬉しいんだよ」 麻衣香「言ってることはよく解らないけど、言いたいことはなんとなく解るよ」 男なら防具成長させるよりまず武器だろ。 たとえ一撃で物凄いダメージを受けることになろうとも。 男ならきっと誰だってそうする。俺だってそうする。 だからこそこの乱世、攻撃される前にコロがす!これしかない!! や、どっちかっつーと防具買ったり鍛えたりするより、 その金を武器に注ぎ込みたいだけなんだけど。 でも金が溜まったら防具も買ったほうが良さそうだ。 ブラッシュデイムが強いのに負けたとあっちゃあ、それは武器の責任ではなく俺の責任だ。 中井出「よぅしっ!やってやるぞーーーっ!!俺はもっと!より高きロマンを追い求める!     おともには当然双剣!ハァーーレルヤァアーーーーーーーッ!!!!!」 麻衣香「ちょっ……博ちゃん!!そんな大声出したら───」  ゴォオオオオオッ───バサッ……バサァッ─── 中井出&麻衣香『…………!!!』 驚愕の拍子か、麻衣香がかつての呼び方を俺に向けたその時─── 遠くの方から、風を裂く音と何かがはためく音が……聞こえた気がしました。 【ケース123:丘野眞人/エーデンリバー】 ギシャアアアォオオオンッ!!!! ほぎゃぁああああーーーーーーーーーー……………… 丘野 「んあ……なんだ?」 殊戸瀬「さあ」 遠くの方からなにやら咆哮めいたものと絶叫が聞こえた……気がした。 が、睦月が気にしてなさそうだったので俺もあまり気にしないことにした。 殊戸瀬「……なるほど。ここには他のところにはない野草が結構あるのね……」 丘野 「お?なに書いてんだ?」 殊戸瀬「えっ?あ、う……な、なんでもないわ」 覗こうとすると、ツンと、書いていたメモのようなものを隠す。 むぅ。そういう態度取りますか。 じゃあ俺は─── 丘野 「ふーん、そっか」 殊戸瀬「あ……」 同じく、ツンと興味無さそうにソッポ向く。 そしてテコテコと先に進み───クンッ。 丘野 「おわっと!む、睦月?」 忍び羽衣の先を軽く摘んで離さない睦月に向き直る。 睦月の弱点というか……弱いところはこれだ。 いっつもツンケンしてるくせに、いざ自分がそういう態度取られるととても弱い。 今だってどこか怖がった様子で服を掴んだまま、恐る恐る俺を見上げている。 殊戸瀬「ご、ごめん……あの……怒った……?」 もちろん俺はそういう睦月の弱いところを結婚生活の中でいろいろと知った。 だから気にする風でもなく頭をポンポンと撫でると、笑って言う。 丘野 「んにゃ、全然気にしてないよ」 と。 すると、普段では絶対に見せないような安堵のやわらかい笑みを見せる睦月。 ……恐らくこの笑みを知っているのは俺だけだろう。 時々この笑顔が見たくて、わざとイジメたりもする俺は悪ですか? 殊戸瀬「えっと……ね、わたし……コレクター図鑑を作ってみようって……思って……」 と、さっき書いていた大きな本を俺に見せてくる睦月。 そこには綺麗な文字と絵で、今まで見てきたものがズラリと描かれていた。 しかも説明文まで丁寧だ。 普段から気が付けばなにか書いてるなって思ったが…… 丘野 「そうだったのか……だったら隠さずに見せてくれればよかったのに」 殊戸瀬「だ、だって……自分が描いたものって人に見られると恥ずかしいし……。     それが眞人だったら余計に……その……」 丘野 「………」 睦月は既に真っ赤っかだ。 それでもちゃんと最後まで言葉を言おうとするところは流石というか。 俺は、そんな……普段は気丈に見えても心は弱い睦月の頬に手を添えて、 やがてゆっくりと顔をズドドドドドドド!!!!!! 中井出「おかっ……おかおかぁああああああああああっ!!!!!     にげにっ……逃げぇえええええええええええっ!!!!!!」 麻衣香「逃げて!!振り向く間も無く逃げてぇええええええええっ!!!!!!」 蒼飛竜『グバァアアシャァアアアアアアッ!!!!』 丘野 「お、わ……おわぁああああああっ!!!?」 ───キスする暇もなかった。 俺はすぐさま睦月を抱き上げ、速度に全てのステータスを振り分けて駆け出したのだった。 Next Menu back