───冒険の書25/猫とボマーと剣の旅人───
【ケース132:中井出博光(再)/猫耳は眠らない10】 どたたたたたた……!!バターーーム!!! 中井出「頼もぉおーーーーーーっ!!!!」 鍛冶屋「へいらっしゃい!───ってお前さんかい!今日はなんの用でい!」 風切りの原結晶を手に入れるなり駆け込んだのはエトノワール城下町の鍛冶屋!! もはやアイルーなど頼りにならん!そう踏んだ俺はここに真っ先に来たわけであります! 中井出「う、うむ!貴殿にちと頼みたいことがあるのだ……!!」 鍛冶屋「……?なんでい改まって。     もしかしてまたレアウェポンをいじらせてくれるんかい?」 中井出「それに近いと言えば近いんだが……時に鍛冶屋よ。     風切りの刃というのを知っているか?」 鍛冶屋「そりゃおめぇ、エトノワールの鍛冶屋やってりゃ知ってるさ。     あー……で?その風切りの刃がどうしたんでぃ」 中井出「実はな……貴殿に()
ってもらったブラッシュデイム……あれを強化するために、     風切りの刃を作ってほしいのだ。───もちろん原結晶ってのは持ってきてある。     何分急ぎの用なのだ……なんとか出来んか?」 鍛冶屋「そりゃ出来るが……急ぎの用ってのはなんだ?」 中井出「早く武器を成長させたいんだ!男なら解るだろ!?」 鍛冶屋「───……ぶっ!ぶはぁっはっはっはっはっは!!だぁっはっはっはっはっは!!     い、今まで散々わがままな客を見てきたがよぉあんちゃん!!     お前さんみてぇに素直に武器の成長が見たいなんて言ったのはブハハハハ!!     お、お前さんが初めてだぁっ!!ぶはぁっはっはっはっはっはっは!!!」 中井出「………」 なにやら突如として笑われてる俺。 だが今はそんなことよりも風切りの刃だ。 中井出「で……どうなんだ?やってくれるのか鍛冶屋よ」 鍛冶屋「だはっはっはっはっは……!!───よっしゃ!いいだろう!任せときな!!     俺ぁな、お前さんみたいな“武器が好き”なヤツが大好きなんだ。     成長した武器を受け取った時のとろけるような笑顔が好きでこの職業やってんだ。     だってのに最近の客ってのはやれアレをこうしろコレをああしろと……     注文ばっかで淡々として、受け取っても喜びもしねぇ。     だがアンタは違う。俺の長年の目がそう言ってんだから間違いねぇ。     今さらそんなヤツの頼み断る理由なんざありゃしねぇやい!!」 中井出「お、おお……そうか!!ではこれが風切りの原結晶だ!それから───」 鍛冶屋「あぁ待て待て待て!!お前さんそりゃいけねぇ。金は出すんじゃあねぇ。     俺はな、お前さんの素直さに感心したんだ───金なんざいらねぇ!!」 どーーーーん!!! 中井出(な……なんと漢らしき御仁よ……!!) 素直に驚いた。 デケェ……この人デケェよ……。 鍛冶屋「お前さんは大人しく宿で一日待ってな。     それから……ブラッシュデイムは今持ってっかい?」 中井出「う、うむ。これだ」 ガシャン、と装備から外したブラッシュデイムを鍛冶工房のテーブルに置く。 すると、満足そうに頷く鍛冶屋。 鍛冶屋「よっしゃ。そんじゃあそれはそこに置いたまま一日待っときな。     強化に必要な材料は風切りの刃だけって聞いたんかい?」 中井出「っと、いや。蒼竜の鱗が必要だと言われた」 鍛冶屋「竜の鱗か……残念だがウチにゃあもう置いてねぇな……」 中井出「心配無用!蒼竜の鱗なら10個くらい持ってる!」 ザラァッ!とバックパックから蒼竜の鱗を取り出す! そして……その量に唖然とする鍛冶屋。 鍛冶屋「こ、こりゃ凄ぇ……お前さんもしや飛竜の巣に行って帰ってきたんか……!?」 中井出「うむ。しっかり卵も盗んできた」 鍛冶屋「はぁあ〜〜……!!こりゃ驚いた……!こんな興奮はどれくらいぶりかね……!     で……飛竜とは闘ったんか!?俺が鍛えたブラッシュデイムは役立ったか!?」 中井出「む……」 ここは鍛冶屋のオヤジのためにも役立ったと言うべきか……? それとも真実を告げるべきか……ピピンッ♪  《イベントが発生しました。返事を選択してください》 1:もうステキ!ズンバラリンと切っちゃったYO!! 2:いやそれがもう全然ダメで…… 3:正直に普通に全部話す ───……結論:3!! 中井出「実は……」 ───俺は飛竜の巣で起きたことを、ところどころ端折りながらオヤジに聞かせた。 鍛冶屋「そうか……簡単に弾かれちまったか……」 中井出「相手は飛竜だからしょうがない、なんて慰めにもならんか」 鍛冶屋「当たり前だ。俺は誇りを持ってこの仕事をやってんだ。     相手が竜族だからって歯が立たない。     そんなもんは“ああそうかい”って納得出来るもんじゃあねぇぜ」 鍛冶屋はう〜〜ん……と腕を組みながら顔をしかめている。 さっきまでの喜びも影を潜めてしまっている。 と───そんな時。 鍛冶屋「そうだ。そういやずっと昔にウチの親父が漁って来たガラクタん中にアレが……」 ……ガラクタ? と訊こうとしたが、オヤジはさっさとカウンター奥に腰をかがめ、 見えなくなってしまった。 声  「あぁ、すまんな。     これから集中するからお前さんはさっきも言ったように宿屋に行ってくれ。     一日経ったらまた来てくれるだけでいい。いいかい?」 中井出「あ、ああ……じゃあ、任せた」 声  「おうっ!……アレが見つかれば絶対に期待は裏切らねぇからよ。また来てくれな」 アレ……とはなんなんだろうな。 そんなことを考えながら、俺は鍛冶屋をあとにしたのだった。 ───……。 俺は再びみんなにその旨を話し、宿屋へ。 いままでの旅のことを小さく語り合いながらやがて眠り、そして───翌日。  バターム!! 中井出「来ーーたーーーぞーーーーっ!!」 鍛冶屋「へいらっしゃい!───っと、待ってたぜあんちゃよぉ。     ホレッ!これが俺っちの傑作、煌剣ブラッシュデイムだ!」  ガシャンッ───《煌剣ブラッシュデイム+20を受け取った!!》 中井出「これが……?」 鍛冶屋「おうよ。鱗を耐久限界値ギリギリまで磨いて、切れ味を重視したものだ。     あぁもちろん、ギリギリだからって刃こぼれしたりゃあしねぇぜ?     俺がやったのはそういった意味でのギリギリだ。     あーあー……徹夜したもんだから眠くていけねぇ。     こりゃ、今日は仕事にならねぇや。悪いなあんちゃん、ちっと寝させてもらうぜ」 中井出「むお!?そ、そうか……で、代金はほんとに要らんのか?」 鍛冶屋「素材をた〜っぷり貰ったからな。それが代金代わりでかまやしねぇやい。     んーじゃあな。今日はもう店じまいだ、おやすみ」 中井出「お、おやすみ……」 背中を押されて追い出されるや否や、後ろで扉が閉まる───と、目の前に仲間の姿。 藍田 「今回のはどうだった!?」 丘野 「見せろ提督!!」 中井出「………」 ずっと待ってたんだろうか。 まあいい。 俺は受け取った双剣をみんなに見せると、ナビで情報を引き出した。  ◆煌剣ブラッシュデイム───こうけんぶらっしゅでいむ  蒼剣ブラッシュデイムにさらに蒼竜の鱗を追加し、磨き上げたもの。  さらに蒼さが増したその造型はもはや芸術作品の域。  陽光に煌く輝きはまさにプロの職人の良いお仕事の結果と言えるだろう。  切れ味重視だが、元の素材が耐久度の高いものなのでモロイわけでもない。  鍛冶屋のオヤジの親父が拾ってきたという“戦斧石のカケラ”が嵌め込まれている。  ただでさえカケラだったというのに片方ずつに分けたために効果が激減。  スキル発動確率は雀の涙ほどしかないが、極々稀に会心の一撃が発動。  ふんだんに使った蒼竜の鱗の効果か、鬼人化していなくても鎌鼬が発生。  だが鱗にそれほど力が残っていなかったのか、発生確率は10%程度。  鬼人化をすれば30%の確率で発生するようになった。  さらに、その奥には秘められた真価があるらしいが……?  ★潜在能力:鬼人化、鬼人化時間+1分、???(閃くまで使用不可)   毒:★★★ 麻痺:★★★ 回復:★★   銭:★ 金:─ 背:★★ 会心:☆ 鎌鼬:★ ───。 中井出「……この???ってなんだ?」 丘野 「さあ……閃くってことは特殊技?」 藍田 「???……三文字技?攻撃系とは限らんよな。     ……となるとやっぱ攻撃力アップ系だろうなぁ」 丘野 「俺もそう思う……」 麻衣香「ねぇ、この会心スキルの☆マークってなんなんだろ。他に比べると随分薄いけど」 殊戸瀬「数として数えるなら0.5って意味らしいわ」 総員 『低ッ!!』 普通にやって発動するのかコレ!! でも発動しないよりはマシか……? 藍田 「ま、良かったんじゃないか?     会心の一撃といえば近接攻撃ジョブならば絶対に憧れるスキルのひとつだし」 中井出「う、嬉しいさ!もちろん嬉しいぞ!?     でも0.5はいくらなんでもないだろ……」 夏子 「ほぼ役に立たないって言えるかもね……」 まさしくその通り。 悲しいが恐らく事実。 だ、だがこれしきでは浪漫は潰えん!!───ほんとだよ!? 時折にでも発動してくれりゃOK! 今まで無かったんだから、時々だって嬉しいさ!そうに決まってる!! 中井出「よ、よし。では次の目的地を決めよう。まずはやっぱり───」 丘野 「エキストラスキル!」 藍田 「ザッツライト!」 中井出「うむ!その通り!     まずはどの属性の宝玉とやらが欲しいかをここで決めるとしよう!     ちなみに俺は火属性の宝玉が欲しい」 丘野 「俺は……風?風のごとく疾走して敵を翻弄……オオ忍者!!」 藍田 「俺は地属性かな……うん」 麻衣香「水……かな」 夏子 「光!光がいい!」 中井出(言うと思った……) 殊戸瀬「氷があるなら氷が欲しいわ」 総員 (ベストマッチだ……冷たいとことか) ま、まあそれはそれとして……これで目的地は───決まってないな。 まず何処に行こうか……つーか欲しい宝玉を持つ精霊全員に勝てるかな。 えーと……地、水、火、風、光……あれば氷と……。 六人全員が別々の宝玉を欲することになるとは……。 中井出「まあここでこうしててもしゃあないな。     じゃ、今日のところは一旦バラけて自由時間ってことで。     身体を休めるも良し、やりたいことをするも良し。好きにしよう」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「うむよし!ではこれよりの行動は各自の自由とする!     翌日の早朝まで好き勝手に騒げ!すわっ!解散ッ!!」 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 中井出「と、その前に金はちゃんと分け合おう」 丘野 「オオッ!そういえば金がなければなにも出来ない!」 藍田 「忘れるところだった……危ない危ない」 殊戸瀬「飛竜騒ぎで貰った3G$も均等に分けていいのね?」 中井出「うむ!その金は我ら全員の力で勝ち取ったもの!分けるのは当然である!」 殊戸瀬「そう。じゃあ」 ガシャガシャチンッ♪───お金が均等に分けられた! 中井出「うむ!では再度───すわっ!解散ッ!!」 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 バラタタタタッ───!! 案外みんなやりたいことがあったのか、解散を申し渡すと同時に駆け出した。 俺はそれを満足げに見送ったのち…… ゆっくりとエトノワール城下町をあとにし、フィールドへと足を運んだ。 ───……。 ……。 で、やってきたのが─── アイルー『……いらっしゃゴニャアッ!?な、ななななんの用ニャ!?』 ───ここである。 中井出 「うむ。実はタダで武器を強化してもらったのでその、見せびらかしに」 アイルー『せ、性格悪いニャ……!!』 中井出 「というのは冗談で。実は武器を鍛えてもらいに来たんだ」 アイルー『ニャニャッ!?そうなのかニャ?それならそうと早く言うニャ。      性格悪くてもお客様である限り神様ニャ〜。それで、なにを鍛えるニャ?』 中井出 「この煌剣ブラッシュデイムだ。金は……」 ドシャリ。 アイルー『ゴニャッ!?お金袋ニャッ!?』 中井出 「これに分けてある。この袋にあるだけ鍛えてくれ」 アイルー『か、かしこまりましたニャー!!少し時間がかかるけど、OKニャ?』 中井出 「うむ。その間に俺は防具を買ってくる」 ワクワクさんが爆発せんうちに移動を開始することにする。 爆発すると、それはもうここで剣を鍛つ様を完成するまで凝視しかねないからだ。 と───踵を返したその時! 声  『待つニャ!』 俺の行動は、可愛げのある声に引き止められたのだった。 もちろん振り向けばアイルー。 アイルー『防具を買うならウチで買うニャ!ウチにも防具はあるニャ!』 中井出 「……どうせ高いんだろ?」 アイルー『し、失敬ニャ!      確かに僕はお金が好きだけど、素材の分の値段しか取らないニャ!      何故ならそれ以上取るのは道具や防具、ひいてはお金に対する侮辱だからニャ!      そんな汚いやり方でお金を手に入れたところで嬉しくないニャ!!』 中井出 「おお……」 トスンと胸を叩いて豪語するアイルー! 音は頼りなかったが、それでもこやつが持つプライドはきちんとこちらに伝わった! 中井出 「そうか……疑ってすまんかった」 アイルー『仕事がら、疑われるのは慣れてるニャ。気にせず見ていって欲しいニャ』 中井出 「うむ、そうしよう」 アイルー『はいニャ。これがウチの店の防具一覧ニャ』 コサ、とアイルーが見せてくれたのは防具表。 そこにはなかなか様々な防具が記されていた。 ふむ……今装備してるヤツも売ってるな。 しかも俺が買った場所のよりもちょいと安いとくる。 中井出 「ん……ミスリル系防具って重いか?」 アイルー『ちょっと重いニャ……。軽快に動いて戦いたい人にはちょっと向かないニャ』 中井出 「むう……じゃあブレスト系一式をくれ。これなら予算内で結構強い」 アイルー『毎度ありニャ〜♪今装備してる防具の下取りはやっちゃって大丈夫ニャ?』 中井出 「ああ、頼む」 ガシャガシャチンッ♪ 《ブレストサークレット、ブレストプレート、ブレストガントレット、  ブレストクウィス、ブレストシューズを購入した!!》 アイルー『ありがとニャー♪装備、よく似合ってるニャ〜』 装備が自動で外され、すぐに買ったばかりの装備が装着される。 そして……俺の手元には下取りしてもらった装備の金が。 俺はそれさえも武器強化の礎とするべく$袋に追加し、満面の笑みを送った。 アイルー『それじゃあこれから武器を鍛えていくニャ。      前払いであるからには普段よりももっと気合を込めていくニャ!』 豆村  「師匠〜、俺も手伝おうか〜?」 アイルー『失敗したら彼も僕もキミを許さないニャ。それでもやるニャ?』 豆村  「あ、いえ、結構です……」 アイルー『僕はお金を貰ったからには半端な仕事はしたくないニャ!      これは僕の誇りニャ!プライドニャ〜!!それじゃあ始めるニャ〜!』 中井出 「………」 受け取ったブラッシュデイムを、 ウェイターアイルーが料理を運ぶ時のような運び方で店の内部に持っていくアイルー。 それからはもう鎚を打つ音やジュウウという音、 猫の声やリズミカルななにかの音などが聞こえ始める。 豆村 「師匠、ノってんなー」 刹那 「こりゃあきっと大成功ですよ」 中井出「大成功?」 刹那 「大成功だと、普段鍛えても1しか上がらない筈が2上がってたりするんですよ。     俺とビーンはそれを大成功って呼んでます」 なるほど。ここでもまた風来のシレンっぽいものが……。 と、それはそれでありがたいとして。 中井出「お前たちは冒険とかしないのか?」 豆村 「冒険は先送りかな。俺まだ真・ナマクラー作れてないし」 刹那 「俺も自分で納得がいく剣を作れるまでは師匠の下でゴールデン修行三昧かな」 中井出「そっか……もったいない。世界はこんなにも楽しいというのに」 豆村 「仲間に誘うんだったら親父とか悠介さんあたりがいいんじゃないスカ?     案外暇そうにしてたけど」 刹那 「暇そうってことはなかっただろ」 中井出「む……?晦と彰利に会ったのか?」 豆村 「ああうん、会った会った。ここでグミとかハイポーションとか買って行ったスョ」 刹那 「そうそう」 そっか……それ聞いて安心した。 探しても居ないんじゃあ、もしや誤情報だけで本当はログインしてないのかと思った。 豆村 「ところで……聖剣ナマクラー、買わないスカ?」 中井出「ナマクラー?どれ……」 スチャリと渡された剣を見る。 すると───自動でナビが情報バーを表示して文字を連ねてゆく。 木系のモンスターに対してダメージ+修正。 固有秘奥義“必殺柱斬り”が行使可能……だが使用すると問答無用で剣が砕ける。 スキルは─── プラントキラー:★★★★★ ファイナルストライク:─── のみとなっている。 中井出「このファイナルストライクってのは……」 豆村 「あ、それはですな。そのスキルがついてる武器には絶対、     武器破壊技が存在するってヤツッス。棒線が引かれてるやつだと絶対壊れて、     星があるやつだと砕けても戦闘終了後に復活、とかもあるらしいッスヨ」 刹那 「助言として言っときますけど……     間違ってもこのナマクラーを合成なんかに使わなないほうがいいッスよ。     このあいだ、プラントキラースキルが5ってことで、     喜んで買っていって合成した人が居たんスけどね。     武器固有技を使用した途端に砕けちまったんスよ」 中井出「うおう……それってアレか?必殺柱斬りじゃないにしても、     “武器固有技”を使った時点で砕けるように出来てるってことか?」 刹那 「まあ……そうなるっすね。多分ナマクラーに限ったことだと思うけど」 豆村 「こんなにいい武器なのに……」 刹那 「見た目はしっかりでも中がスカスカって感じだからな、これ。     無茶な鍛ち方と無茶な焼入れなんかするからだぞ?」 豆村 「フフフ、俺は俺のナマクラーを目指してるんだ。我流で世界を目指すぜ俺ゃあ」 よく解らんが、それぞれ自分の道を歩んでいるらしい。 やっぱファンタジーなら普段出来ないことをするべきだ。 俺はもちろんそげなやつらを応援する。 俺は俺で、武器を成長させてやるのが楽しくて仕方ないし。 中井出「ふむ。それはそれとして、やっぱり時間かかりそうだな。     どれ、なにか話でもして時間を潰すか」 刹那 「お、そりゃ丁度よかった。     俺、一度でいいから悠介さんや彰利さんが『提督』って読んでる中井出さんと、     じっくり話してみたかったんだ」 豆村 「あ、俺も俺も。ところでナマクラー買う?     今ならなんとマトック一本分のお値段!20年前のお値段です!」 中井出「マトックって言ったら2S$のアレか?悪いが金なら零である」 豆村 「あ……そういや全部武器を鍛えるのにつぎ込んだんだっけ。     あ、じゃあお試し用として一本サービス!     猫の店は親切丁寧愛情一番!モットーモットーサービスモットー!!」 刹那 「金を貰わずに賞品渡したら、師匠に破門されるぞ」 豆村 「今の話は無かったことにしといてくださいッス」 どうやらアイルーの金に対する心は本物らしい。 よもや破門とくるとは。 中井出「ま、それは置いといて。さて、何を話したもんか」 豆村 「親父の弱点を……!!」 刹那 「いーかげん諦めろって。お前じゃ勝てん」 中井出「弱点は普通にあるぞ?」 二人 『えぇっ!?』 俺の言葉に、二人は相当に驚いていた。 相当に意外だったらしいが……難しく考えない程度の弱点なら腐るほどある気がする。 なにせ彰利だし。 中井出「まずキャベツだろ?次に聖なる属性。女に弱いし特に妻はもっと苦手。     考えればまだまだ出てきそうだが」 豆村 「あー……確かに。で、でもですな、出来ればそのー……もっと実戦的なもので」 中井出「全力出されたらまず勝てる相手じゃないな。諦めろ」 豆村 「やっぱそスカ……」 そんなもんは見てりゃあ解るだろうに。 高いハードルでも、越えられなけりゃほんと意味無いなぁ。 ……などと、俺達はしばらくそうして、 鎚を打つ音や猫の声を音楽代わりにしながら時間を潰していったのだった。 【ケース133:中井出博光(DBAFの主人公は再コー)/猫耳はやがて眠りゆく】 鍛冶は予想に反してその後、丸一日かかった時点で……ようやく、終わりを迎えた。 アイルー『で……できた……ニャ……』 恐らくずっと鍛冶工房に潜り込んでいたであろうアイルーは、 あまりの熱のためか脱水症状気味になって工房から出てきた。 その手には……確かな滑らかさを持つ輝ける双剣が!! 中井出「むう……!礼を言う!」 俺は厳かにそれを受け取ると早速装備し……うむと頷いた。  ジャキンッ♪《煌剣ブラッシュデイム+43を装備した!!》 中井出「ありゃ?なんか武器名の文字が青になってるんだが」 豆村 「あれ?知らないんスカ?     ここ、猫の店だと5000円以上の強化、または鍛えとかをやってもらうと、     オマケでスキルをひとつ付けてもらえるんスヨ。     で、普通じゃ付加されないスキルとかが付くと、青色になるらしいッス」 中井出「なんと!?で───そのスキルとは!?」 豆村 「ああ、それは───」 彰利の息子が何かを言う前にナビを開いて情報オン!! ズラリと並ぶスキルの名前から、見たことのないものを探し───  ボマー:★★ というスキルを発見し、疑問符を浮かべた。 中井出 「ボ……ボマー?」 豆村  「あ、今回はボマーだったのか」 刹那  「前に来たヤツは確かメラルーテクニックってやつだったよな。      “ぬすむ”の成功率があがるスキル」 中井出 「……なぁ猫よ。このボマースキルってのはなんの役に……」 アイルー『んぐんぐんぐんぐ……ぷはー!生き返ったニャーーッ!!!』 中井出 「……水飲んでたか、そりゃすまんかった。で、このボマーとは?」 アイルー『よくぞ聞いてくれたニャ!      ボマーは猫印スキルの中でも嬉しいスキルの中のひとつニャ!      実は僕も鍛ってる時はどんなスキルが付加されるのか解らないのニャ。      だからお客さんはラッキーだニャ。      それは火、または爆発系の技を使った時に、その威力が高まる猫スキルニャ。      もちろんアイルー特製の大タル爆弾もよ〜く爆発するニャ』 中井出 「火か爆発系……おお」 そりゃ丁度いい。 これから火の宝玉を取ろうって俺にはもってこいのスキルだ。 俺は心の中でじゃんぼりぃ〜じゃんぼりぃ〜と小躍りをすると、 うむと頷いて剣を仕舞った。 アイルー『お帰りニャ?』 中井出 「うむ。大変貴重な鍛え方をしてもらった。恩に着る」 アイルー『だったら今後もご贔屓に、ニャ!      もしかしたらまたボマースキルが付加されて、      もっと強くなるかもしれないニャ!』 中井出 「ずっとここに居るのか?」 アイルー『ここでの仕事も結構経つニャ。      だから今度は北東のほうに行ってみようと思うニャ。      氷河地帯なら珍しい鉱石とかが掘れるかもしれないからだニャ』 豆村  「うへ……マジすか……」 刹那  「ひょ、氷河かぁ……防寒具、しっかりしとかないとな……」 中井出 「火山とかには行かないのか?      俺としてはそっちに行ってくれた方が助かるんだが」 アイルー『熱いから嫌だニャ』 即答だった。 刹那  「火山のほうがいい鉱石が見つかるって解ってるのに、      行こうとしないンすよこいつ」 アイルー『こいつじゃなくて師匠ニャ!!』 豆村  「逆に、氷河のほうだと自分は毛があるからってノリ気だし……」 アイルー『毛皮のマント一丁で事足りるニャ』 確かにそんな感じだ。 ちっこいし。 アイルー『それじゃあ今日はもう店仕舞いニャ。疲れたから眠るニャ。      で、起きたら氷河に向けて旅に出るニャ』 豆村  「えっ!?そんな!今日は俺の武器を店に並べてくれるって……!!」 アイルー『眠いからだめニャ』 豆村  「そげなぁあああーーーーーーーっ!!!!」 刹那  「ナマクラーデビューはまた今度だな……。落胆すんなよビーン。      もしかしたら氷河の方で大ブレイクするかもしれないだろ?」 豆村  「氷河の方にプラント系モンスターが居るわけねぇじゃんかよぅ……。      売れねぇ……絶対ぇ売れねぇよ……」 刹那  「はは……ったく、だったら普通の武器作りゃあいいのに」 豆村  「こればっかりは譲れん」 中井出 「………」 そんな感じの会話を聞きながら、俺はふむと息を吐いて歩き出した。 そろそろエトノワールの方で猛者どもが起き出している頃だろう。 中井出(集合に遅れるのも癪だ……急ごうか) そうして、足取りも軽く駆け出した。 その喜びはもちろん武器にこそある。 嗚呼……スキルが増えるたび、武器が強くなるたびに顔が緩む……!! ……っとと、いかんいかん……!今は急がねば……! などと顔をキリッと引き締めつつフィールドへ。 この町からエトノワール城下町まではまあ……まあまあの距離がある。 ちんたら歩いてたら殊戸瀬あたりにいろいろ言われるのは確実……うむ急ごう。 中井出      「うーむ……なんにしても、           走って疲れないのは大変ありがたいことで───む!?」 ジャイアントバット『キキッ!?』 敵を発見!だがしかし今の俺は急いでエトノワールへ─── 中井出 「シャンドラの火を灯せぇえええーーーーーーーっ!!!!!」 Gバット『キキィイイイイイッ!!!?』 ───だめだった。 思うより体がジャイアントバットへと駆け出し、 鍛えたばかりの双剣を喜び勇んで構えていた。 今も何処かで頑張っているであろう原中の猛者どもよ……今日も僕は絶好調です。 Next Menu back