───冒険の書35/同盟結成作戦───
【ケース164:閏璃凍弥/地味に】 ゴコォンッ……!! レックナート「よく来てくれた。        今回は少し話しておきたいことがあってな、こうしてお前らを呼んだ」 凍弥    「頭あんまり良くないんで……中国語だし───帰っていい?」 来流美   「なにいきなりワケの解らないこと言ってんのよ。ちゃんと聞きなさい」 凍弥    「お前っていちいちツッコミ方がオカンくさいよな」 来流美   「うっさいわねぇ!!」 レオン   「静まれ。此度の出来事はふざけながら聞ける事柄を逸脱している」 凍弥    「待ってくれ。その前にひとつだけ答えてくれ」 レオン   「───?お前の真剣な顔は初めて見るかもしれないな。なんだ」 凍弥    「帰っていい?という質問の答えがまだだ」 コッパァン!! 凍弥 「ほわたぁっ!!」 来流美「あんたはぁああっ!!なんでそう無茶苦茶な態度ばっかり取るの!」 凍弥 「落ち着け来流美───まずスリッパを返して俺の話を聞け」 鷹志 「なんで回復アイテムよりスリッパを常備するかねコイツは」 凍弥 「まあまあ、今はそれよりも来流美への返答だ。うん、よし。     いいか来流美───だって考えてもみろ、     キャラクター一人一人のエフェクトが無駄に多い3DRPGは     とても面倒くさいんだぞ?ストーリーを重視したい人だって、     あんなにエフェクト時間が長い上に回数が多いんじゃあ、     二周目プレイなんてやってられんだろう。     まあ2DRPGにしたってフキダシの中に感情を表すものを出しまくられれば、     面倒といえば面倒なんだが。会話イベントはスムーズに飛ばせるべきだと思う。     たとえそれがエフェクトの最中であって、コメントだけはパパパーと」 レオン「……会話が長引くのが嫌なのなら少々黙っていろ」 柿崎 「あ、それ正論」 凍弥 「返す言葉もないが……」 あっさりと黙っていろって…… そりゃあ、意見を述べてみたかっただけだから大して言いたいこともなかったわけだが。 レックナート「率直に言おう。……ランダーク王国がジュノーンの手によって壊滅した」 来流美   「ランダーク王国?って、確か───」 真由美   「与一くんたちが居たところ!?そんな!」 凍弥    「ああ大丈夫大丈夫、あいつらならランダークから逃げ出したらしいから」 来流美   「……ちょっと。なんでアンタそんなこと知ってんの」 凍弥    「え?tell来たし」 鷹志    「だ、だったらなんでそういう大事なこと黙ってるんだよ!」 凍弥    「それが聞いてくれ。        話そうとしたら来流美が俺の金に目が眩んで殺しにかかってきたんだ」 柿崎    「あの時か……」 由未絵   「それで、そのあとはすっかり忘れてたんだよね、凍弥くん」 凍弥    「はっはっは、由未絵は俺のことをよく知ってるなぁ」 真由美   「威張れることじゃないと思うな……」 凍弥    「やあ、まあまあいいじゃないか」 さて、それはさて置くとして。 俺は由未絵を後ろからキュムと抱き締め、 タワッシをしつつレックナートの出方を待つことにした。 さすがにこのまま勝手な話をしてたんじゃあ話が進まん。 レックナート「あー、うむ。このことに伴い、        我がセントール王国はエトノワールと同盟を組むことにした。        そのための書状をここに(したた)
めてある。        これをエトノワールのレイナートに届けてほしい」 凍弥    「なあパーシモン……したためたって聞くと、恋文を連想しないか?」 柿崎    「解る気もするが、俺を普通にパーシモンと呼ぶのはいい加減やめないか?」 レックナート「いや……あのな。人の話をだな……」 真由美   「えーと、解りました。確かに預からせてもらいます。        これを……えっと、レイナートさんに渡せばいいんですね?」 レックナート「ああ、頼む。恐らくレイナートも同じことを考えていると思う。        もしまだ使者を送り出していないようなら、        同盟の返事を受け取ってきてほしい」 真由美   「はい」  てとてとてんとんてん♪《真由美は“セントールの同盟書状”を受け取った!》 レオン「書状というのは書き上がった時点で重要物とされる。     それが同盟を示すものなら尚更だ。     決して何者かに盗まれるようなことがないよう努めるんだぞ。     もしどうしようもなくなった時は、迷わず燃やせ。奪われるよりはいい」 鷹志 「“燃やせ”と来たか……」 レオン「悪巧みを考えるヤツにはいい金の素にもなるということだ。頼んだぞ」 真由美「もちろんです」 来流美「はぁ〜あ……あなたが居てくれて助かったわ。     わたしと由未絵だけじゃあ、この三馬鹿たちは止められなかったし」 柿崎 「待て!バカなのは凍弥だけで俺と鷹志は違うだろ!」 由未絵「柿崎くん!凍弥くんはバカじゃないよ!」 柿崎 「あぁいやそうじゃなくてだな支左見谷……!!いや違わん!バカだ!」 来流美「バカ同士のバカ問答はもういいわよ……     いいからさっさとエトノワールに行きましょ」 凍弥 「ええい何を言う、同じくバカである貴様にバカと呼ばれる筋合いは───」 来流美「問答はいいって言ってんのが解らんのかあんたはぁっ!!」  コッパァンッ!! 凍弥 「はぶぅぃっ!!」 そして再びスリッパアタック。 どうしてこいつはこう、人のスリッパを奪うのが上手いんだろうか。 いっそのことシーフやったほうがいいんじゃないか? などと思う今日この頃だった。 【ケース165:清水国明/所さんのメガンテ(TVの前の汝!死ぬ覚悟は出来たか!)】 で…… 清水 「サイクロプスにブッ殺されて国に戻ってみれば……なんだネこりゃ」 手の中にある書状をコサ……と持ち上げてみた。 なんでも同盟のために必要らしいが─── これをセントールに届けるるのが今回のミッションらしい。 岡田 「ま、冒険がてらに行ってみるのもいいんじゃないか?」 田辺 「いい加減エトノワール周辺は熟知してきたし」 清水 「そだなー」 これをセントールに届けると同盟は完了するらしい。 盗まれでもしたら大変だそうだ、気をつけなければ。 などと思いながら町を抜け、ルルカで地を駆け山を越え───ようとした時だった。 獣人2『ホガァーーーーーッ!!!』 清水 「うおっ!?」 突如!大きな茂みの中から数人の獣人が現れ、俺達の行く手を塞ゴシャア!! 獣人2『オギャアーーーーーーッ!!!』 獣人3『キョウダイ!?キョウダーーーイ!!』 止まるに止まれなかったルルカにビッグバンタックルをされ、宙をキリモミで飛んでった。 獣人1『オノレ貴様!我ラガ獣人ト知ッテノ暴行カ!!』 清水 「バカヤロー!!何処見て歩いてやがる!!     車の前に飛び出すのがいけないことのように、     ルルカの前にだって飛び出すのは厳禁なんだ!それくらい解れボケ!!」 獣人1『エ?ア、イヤソノ……ゴメンナサイ』 素直なヤツだった。 岡田 「して、なに用か。我らを止めたのであれば、ただの物乞いではあるまい」 田辺 「なんでここで時代劇風なのかは解らんが面白いからノっとこう」 清水 「ひかえおろーーーう!!ここにおわす方をどなたと心得る!!」 獣人3『グ……ダ、誰ナノダ!!』 清水 「田辺だ」 田辺 「えぇーーーーっ!!?そこで普通に本名言うだけなの!?」 岡田 「だってお前田辺だし」 田辺 「や……そりゃそうだけどさ。     もっとこう、なんたらかんたらグレート田辺とか、無かったのか?」 岡田 「無い」 田辺 「ひでぇ……」 彼は悲しそうな顔で遠くを見つめた。 まあそれはそれとして、そろそろ獣人たちもシビレを切らしたみたいに殺気立ってる。 獣人1『埒モ無シ……貴様ラガ持ッテイル同盟ノ書状ヲ渡シテモラウ!!』 清水 「なにぃ!」 岡田 「この書状が欲しいとな!貴様……何処の回しものぞ!?」 獣人1『エ?アノ……見リャ解ルダロ』 獣人勢力だよな……どう見ても。 指摘された岡田はカァアアと顔を赤くして、焦ったようにギャーギャー騒ぎ出した。 清水 「ようするに、我らの書状を奪いに来たということか」 獣人1『イエ、譲ッテクレルナラ譲ッテクダサイ』 清水 「譲るかぁっ!!」 獣人1『チィイ!ソリャソウカ!!ナラバ問答ハ埒モ無シ!!イザ!!』 獣人2『ゲフッ……!キ、貴様ラニ同盟ヲ結バレルト厄介ナノダ……!!     故ニ貴様ラニハココデ死ンデ───ア、イヤ、ベツニ殺スマデイカナクテモ、     書状サエ奪エレバソレデイイヤ』 獣人3『ドッチナノダ、キョウダイ』 獣人2『ヤカマシイ、キョウダイ』 獣人4『イイカラトットトヤルッス』 さてどうする。 相手は随分やる気だよし逃げよう。 清水 「ハイヨー!シルバー!!」 ピシャァン!! ルルカ『ウェバババ……!!ゴェエオァアアォオウ!!』 獣人1『ナニィ!?チョ、チョット待テェ!!書状ヲ置イテイケト───』 清水 「ふはははは!!それは貴様らの道理!!考えてもみるがいい!     ならばわざわざ乗ったルルカから俺達が降りる道理などないわ!!」 獣人4『アア、ソリャ確カニ正論ッス』 獣人1『納得シテル場合カ!!飛ビツイテデモ止メロ!!』 獣人2『ヨッシャア!!任セロ同志───デハナク友ヨ!!』 言うや否や、獣人の一人が飛びついてきた!! だがこの書状を盗まれるわけにはいかんし、燃やしたりしてまた書いてもらうのも面倒!! ということで。 清水 「ふはははは!馬鹿め!書状を持っているのは田辺であり、俺ではないわぁ!!」 獣人2『ナニィ!?謀ラレタワ!!』 田辺 「え!?や、ちょ───」 獣人3『ナラバ貴様ヲ抑エレバ全テガ終ワル!!デストロォーーーーイ!!』 やがて獣人全てに襲われる田辺。 そんな彼を悲しい目で見送るように、俺と岡田はとっとと逃走を開始した。 田辺 「ちょ、ちょっと待てぇーーーーっ!!     つーか───清水ぅうううううっ!!てめぇえええええっ!!!」 岡田 「誰だって自分が一番かわいいのさ……あんただってそうだろ?」 田辺 「そういう問題じゃ───おぉわっ!?」 そして引きずり落とされる田辺。 その姿はまるで、ハムナプトラで車に乗って逃げてる最中に、 車から引きずり落とされた二丁拳銃のおっさんのようだった。 そして僕らはもう振り返らずに進むことにしたのだった。 さようなら田辺……アンタ、男だったぜ。 声  「ま、待ってくれぇーーーっ!!俺だけ独りなんてヤだぁーーーーっ!!!     うおぉ寄るな!寄るんじゃねぇ!!持ってねぇ!俺書状なんて持ってねぇって!     ちょ、待───ギャアーーーーーーーッ!!!!」 ───……。 ……。 田辺の死を乗り越え、やがて山を一つ越えた頃。 前方から走ってくるルルカを発見した。 それに乗ってるのは───閏璃たち友の里系関係の者だった。 清水 「おでかけかー?」 凍弥 「ああ。伝説の青い鳥を探しに」 鷹志 「出会いがしらに嘘つくのやめろ!     えっとな、ちょっとエトノワールまで同盟書状を渡しに。そっちは?」 清水 「へ?同盟書状って……もしかしてお前らってセントールの使者?」 凍弥 「死者とは失礼な。俺達は生きて《コッパァン!!》いてぇ!!」 来流美「ア〜ンタはちょっと黙ってなさい……!!」 凍弥 「いーからまずそのスリッパを返せよぅ……」 鷹志 「……と、話が逸れたな。俺達ゃ確かにセントールからの使者だ。     で、それを知ってるってことは───」 清水 「おお。俺達がエトノワールの使者だ。ほれ、書状もこれこのように」 真由美「うん、こっちもちゃんと。じゃあえっと……ここで交換しちゃえばいいのかな」 凍弥 「騙されるな鉄郎!そいつは機械の身体をエサにお前を《コッパァン!》はぶぅ!」 来流美「いつもの発作だから気にしないで話進めて……」 総員 『それはもちろん』 凍弥 「……無情だなぁ……」 ともあれ俺達は書状を交換すると、 互いが互いに遠くまで行く必要が無くなったことに溜め息を吐いた。 どうあれ旅をするのは悪く無い。 どうせだったらセントール方面まで行きたかったくらいだが、 残念ながらこの書状がある限り無茶は出来ないのだ。 まあそんな思考はだ、とりあえず遠方の彼方までうっちゃっちまおう。 鷹志 「じゃ、俺たちはセントールに戻るわ。そっちはどうする?」 清水 「俺達もだな。少し迂回しつつ戻ることにする」 柿崎 「迂回?なんでまた」 清水 「先ほど、田辺が獣人たちに襲われてな。だから迂回していく」 岡田 「見事な勇姿だった……書状を守るために“自ら”犠牲になり、     俺達を送ったあの蛮勇たる笑顔を俺達は忘れない……」 鷹志 「……俺達ゃ凍弥の所為で慣れてるけど、それ嘘だろ」 岡田 「うおう、何故解った」 由未絵「ふわ……隠そうともしないんだね……」 岡田 「ふざけはするが、指摘されれば素直に頷く。それが原ソウル」 真由美「つまり指摘しない人は永久に騙されることになるんだね……」 清水 「イエス!」 まさにその通りだった。 無関心なヤツは無関心なのが悪いのだ。 だが騙す方と騙される方でどちらかが悪いかと言えば、当然騙す方が悪い。 それくらいの良識を踏まえた上で、 金銭などの損得を度外したからかい、または騙しをする。それが原中クオリティ。 それはまあそれとして、我らは早速彼らに別れを告げつつも迂回し、 エトノワールへと戻ったのであった。 ───いや、戻ろうとしたのだが。 ザシャア…… 獣人4『クックック……ここは通さねぇッスよ』 清水 「なにぃ!?」 迂回した道にはなんと、獣人どもが待っていたのだ!! 清水 「馬鹿な!何故この道が……!!」 獣人2『フフフ……こちらには頭のキレる愉快な仲間が居るのでな』 獣人3『貴様らの行動など、軽く予測できるのだよ』 獣人4『さあ!この仲間を殺されたくなければ、その書状を置いていくッス!!』 田辺 「ゲ、ゲフッ……!ウググすまねぇ……こいつらよってたかって俺を……!     だ、だがよ……へへ……俺だって原中の猛者と呼ばれた男だ……。     ここでお荷物になる気はねぇ……!!───行け!行ってくれぇっ!!」 二人 『よし解った!!』 田辺 「えぇーーーーーーーーーっ!!?いやちょ───ここって普通、     “お前だけを置いて行けない”とかいう駆け引きするところだろ!?     ここまでオイシイお膳立てしてんのに───ってオイぃ!!     行くな!行かないでくれぇーーーーーーっ!!!!」 岡田 「誰だって自分が一番かわいいのさ……あんただってそうだろ?」 田辺 「岡田ぁあああああっ!!!てめぇええええええっ!!!!」 そして二度目の置いてけぼり。 俺達はルルカの手綱を強く引き絞ると、全速ダッシュを促した!! 獣人2『うおおなんと仲間思いでない行動!!』 獣人3『だがその意気や良し!!任務のために仲間を犠牲にするとは国家栄誉ものぞ!!』 田辺 「人として間違ってる!人として間違ってるぞお前らぁああっ!!!     でも自分が逆側の立場だったら絶対そうするって解る原ソウルにこそ泣ける!!     ちくしょうそれならもうヤケだ!!こちとらHP5の状態で捕らえられてるんだ!     今さら何が怖いというか!防具も武器も最新式!もちろん残高零円也!!     さあ御用とお急ぎでない方は寄ってたかってごろうじろ!!     ここに取り出だしましたる黒塗りの球体!そして連なる導火線!!     見さらせ俺の男意気!!アァアアスタラビィイイスタァアアーーーーーッ!!!」 清水 「でぇえっ!!?」 岡田 「うぉわやべぇ逃げろ!!あいつ自爆する気だ!!」 獣人4『させないッス』 スパリ。 総員 『あ』 導火線があっさりと斧で斬られた。 でもとりあえず逃げとこう。 これしきで潰えるほど、原中魂は弱くない。 声  『これでその爆弾はなんの意味も───』 声  「クックックック……勝ったつもりかぁ……?     リモコンがある!!っ───どうだぁっ!!」 声  『リモコンなんて無ェッス』 声  「ノリくらい受け取れ!ちなみに導火線など飾り!!     かつて足の無いビグザムにシャアが不満をたれた時、兵士が言ったそうだ!     “足なんて飾りです。お偉い方にはそれが解らんのですよ”と!!     ふはははは!!この爆弾は手投げ式!!衝撃が加われば爆発すんのさ!!     導火線なんざ敵を欺くための飾りにすぎねぇ!!さぁ今度こそ!!     地獄で会おうぜベイビィーーーーーーーッ!!!」 声  『うわぁマジだ!!やばい!逃げ───』 声  「もう遅いわぁーーーーーーっ!!!!」 ゴカァッ───!! ボガガォオオオオオオオンッ!!!! 清水 「だぁわぁあああーーーーーーーっ!!!!!」 岡田 「うぉひゃぁああーーーーーーっ!!?」 後方で物凄い爆発───それとぺぺらぺっぺぺ〜♪ ……彼の死による涙のレベルアップ。 さらば田辺……俺達は忘れない。 貴様のような男が居たことを……。 岡田 「田辺……いいヤツだったな……」 清水 「ああ……あいつ、男だったな……」 岡田 「それはそうとさ、獣人たちはいい迷惑だよな。どうする?黙祷でも捧げるか?」 清水 「いや……素直に立ち去ろうや」 さらば獣人……そして田辺よ。 貴様らの犠牲は、必ずや二国のためとなるだろう……。 ───……。 ……。 で。 田辺   「やあ」 清水&岡田『…………』 エトノワールに戻ってみれば、死亡ワープでありがたい説教を受けたであろう田辺くんが。 いろいろツッコミたいこともあるが、 ひとまずはまあ……書状を届けることを優先させた俺達であった。 つーか……二度目現れた獣人の声がヤケに人の声に近かったような……気の所為か? 【ケース166:閏璃凍弥/ランバージャックナイフエッジワードオブデスマッチ】 鷹志 「しかしまあアレだな。こんなに簡単に終わっていいのか?」 柿崎 「いいっていいって。ややこしくなるよりゃよっぽどマ《ベゴォン!》シォゥ!?」 ドゴシャベゴシャバキベキゴロゴロズシャアーーーアアーーーッ!!! ガクッ……ピクピク。 鷹志 「……オヤ?」 凍弥 「おおパーシモン……貴様にパントマイムの技法があるとは!!」 来流美「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?敵よ敵!!敵襲!!」 鷹志 「敵っつったって誰だよ!敵の姿なんて何処にも、って居たァーーーーッ!!!」 離れた場所───今居るここよるまだ先の大地に、そいつは立っていた。 一人……うん、一人だ。 そして獣人。 重心を腰より下に下ろし、拳を突き出した状態で止まっていた。 ていうかあいつって─── 鷹志 「あ、あぁあーーーっ!!またアイツか!?」 凍弥 「レオンにブッ潰されたヤツだっけ。うひゃー、生きてたのか」 獣人 『我ガ名ハゴルベーザ!!ブッ殺ガサレタクナケレバ書状ヲ置イテユクノダ!!』 真由美「ど、どうするの!?」 凍弥 「……轢こう」 鷹志 「オーライ友よ」 来流美「サ、サワヤカになんてことを!!」 由未絵「で、でも柿崎くんは!?置いてなんか行けないよぅ!!」 凍弥 「大丈夫!柿の木は丈夫なんだ!」 由未絵「生身の人間だよぅ!!」 ともかく今は目の前の敵をデストロイ!! 走るルルカの速度をより速くより早く上げてゆく!! ゴルベーザ『エキストラスキル、“ストック”解除……“常にためる”を解放。       さらに“錬気”を解放し、闇の力を心に込めて、今日もゆくゆく男道……!       防御のことなど後回し!常に進むは力の覇道!唸れ獣人奥義!!       超限界ストレングスマックス───』 凍弥   「遅い!くらえ必殺!!モンガロン轢き逃げアタァーーーック!!」 ゴルベーザ『フフッ……遅くていいのさ。       攻撃されても全力でぶつかるのが奥義なんでね!つーわけで死ね!!』 相手の獣人の声が聞こえる場所にまで近づいた。 あとは───全力で轢くのみ!!───だった筈なんだが。 凍弥&鷹志『───!!』 感じたのは確かな殺気───!! それに恐怖したのか───反射的に、あるいは人としての本能なのか、 俺と鷹志は武器を振り上げ獣人の左肩を突き刺していた。 だが相手はその“左肩”への反動さえも突き出す右手の力に変え─── あ、ヤバイ……これ死ぬわ。 ゴルベーザ『“渾ッ身!ジェノサイド諸刃カウンター!!”メゴシャドゴベキャァーーーーーーンッ!!! ───……。 ……。 神父   「おお冒険者たちよ!死んでしまうとは情けない!!」 凍弥&鷹志『え───あ、あれぇえええっ!!?』 殴られたと思ったら既に目の前に神父が……。 ば、馬鹿な……どういう死に方だ……? 鷹志 「……なぁ……凍弥よぉ……」 凍弥 「ん……なんだぁ……?」 鷹志 「俺……もうあいつとだけは戦いたくないかも……」 凍弥 「……同感……」 今はただ、残された女たちの行く末が気になる限りであった。 などと思ってる間に───シャラァアン♪ 由未絵「えっ……ふわっ?あれっ?」 来流美「あ───え?」 真由美「うわ……もしかしてたったの一撃……?」 女性軍たちは飛ばされてきたのであった。 ああ……これで作戦は失敗か。 凍弥 「しっかしまいったな……これじゃあ書状を貰い直さなきゃいけない。     やっぱアイテム欄には書状、無いんだよな?」 鷹志 「へ?なに言ってんだ、書状持ってるの柿崎だぞ?     イベントアイテムってどんなんだ〜?って訊いてくるから真由美が渡した」 凍弥 「……え?」 待て、そういえば柿崎はいずこ? コロがされたと思いきや、ここには居ない───何事? もしや生きてる!? 凍弥 「お、おおお!!これは期待できるぞ!すごいや僕らのパーシモン!」 鷹志 「やっぱやる時ゃやるヤツだよアイツは!!」 来流美「はぁ〜、これでミッションもまたクリアね」 由未絵「柿崎くんに感謝、だね」 真由美「うん、ひとまずは安心ってことで───」 シャラァアアン♪ 柿崎 「ん……あれ?俺確か……」 総員 『……まぁ……柿崎だしね……』 柿崎 「え───な、なにが!?」 喜んでいた時に現れたのは、恐らくトドメを刺されたであろうパーシモンだった。 ちなみに─── 書状が無くても同盟確立の話さえすればいいのではないかという事実に気づいたのは、 これから4時間後の宿でのことだったりする。 【ケース167:霧波川凍弥/アロエリィナ“サンバースの野望”】 獣人 『コッピドクヤラレタヨウダナ。次カラハモット注意シテイケ』 凍弥 『……へぇ』 浩介 『ほほぅ』 浩之 『ふむぅ』 佐古田『………』 それぞれが思い思いの反応を示した。 現在地はオルクヴィレッジという場所───獣人の集落らしい。 そこかしこに居る獣人たちが、なんとも蛮勇に見える世界だ。 ていうか誰もがいかにもって感じに強そうである。 ……獣人勢力でよかった。 どういう原理かは知らないが、彼らは己を強くすることに忙しいらしい。 どうすれば獣人たちが己を鍛えようとするのかがまず解らないけど。 凍弥 『うわぁ……どこの獣人も俺達なんかよりよっぽどレベルが上だ』 浩介 『鍛えているのだなぁ、ふむふむ』 佐古田『心強いといえば正解に値するッスね。     一人の冒険者に自爆されて全滅してるようじゃあまだまだッス』 凍弥 『あー、あれには驚かされたなぁ。逃げる暇も無かった』 しかもそのダメージの高いこと高いこと。 どこであんなもの手に入れたのかは知らないが、 危険物を常備してた根性だけはド根性というか。 凍弥 『精進あるのみだな。今の俺達は獣人勢力の中じゃあせいぜい下っ端だ』 浩介 『あの田辺とやらを捕らえるだけでも随分と苦労したしな』 浩之 『うむブラザー。あれは単体であろうが強者になれるという現実の現れだろう。     我らも負けてはいられん』 佐古田『それじゃあ当初の予定通り、そこらの敵をブチ殺していくッス』 凍弥 『だな。レベルを上げないことには何も出来ない』 志摩 『うむ同志よその意気だ!無理に強い敵を倒すより、     弱い敵を素早く屠って経験値を稼ごうぞ!!』 凍弥 『よぅし!それじゃあ早速ジェノサイド!!』 志摩 『オォーーーーーッ!!!』 凍弥 『オォーーーーーッ!!!』 佐古田『元気ッスねぇ……』 それが俺達の原動力なんだからしゃあない。 というわけで俺達は意気揚々とし、 オルクヴィレッジを抜けた先のフィールドで早速レベル上げを開始したのだった。 凍弥 『そういや……彰衛門が使う───なんだっけ?諸刃カウンター?     あれって教えてもらえないんだろうか』 浩介 『ふぅむ、さすが同志。我も丁度同じことを考えていたところだ』 浩之 『なにを言うブラザー、考えるのは我の方がきっ早かった』 浩介 『なんだと貴様ブラザー!我の方が早かったに決まっているだろうブラザー!!』 浩之 『そんなことはないぞブラザー!我の方が早かったわ!!』 佐古田『ああもうはいはいやめるッス!どっちかなんて激関係ねぇッス!』 志摩 『やかましいわ黙っていろ激馬鹿!!』 佐古田『なっ───そりゃアチキが物凄い馬鹿なのか、     激って言葉を何度も使ってるって意味なのかどっちッス!?』 浩介 『そんなもの決まっておろうが馬鹿め!我が物凄い馬鹿って意味で!』 浩之 『我が激って言葉を何度も使ってるって意味で言ったのだ馬鹿め!!』 凍弥 『この馬鹿め!』 佐古田『激うるせーッス!!だいたい』 怪鳥 『ギョェエエォァアアアアォオオウ!!!!』 総員 『キャーーーーーッ!!?』 モンスターが現れた!ていうか唐突にも程がある!! 凍弥 『か、各自戦闘体勢に!』 浩介 『我はいつでも臨戦態勢!!』 浩之 『我らの鈍器が光って唸る!!』 凍弥 『光らんし唸らんわぁ!!』 佐古田『毎度毎度やかましいッスねぇ』 凍弥 『この騒がしさの渦中に入れんヤツは人間じゃねぇ』 志摩 『フッ……このモンスターめが!!』 佐古田『目の前に怪鳥が居るのになんでアチキに言うッス!!』 浩之 『ふはは知らぬわ!!そぉおおおぃやぁあああっ!!』 踏み込む浩之!振るわれる大木槌!! ヴファォンッ!! 浩之 『ヌオ!?』 が、当然のように避けられた。 そりゃそうだ。 あんなもん、よっぽど反射神経の遅いヤツ以外に誰が当たるもんか。 浩介 『ふはははは!しようのないブラザーだ!だから武器は選べと言ったろう!!     その点、我の鉄棍棒なら小回りが利く上に高威力!!     微塵と砕けろ頭蓋骨ーーーーーーッ!!!!』 浩介の攻撃!浩介は鉄棍棒を振るった!! 怪鳥 『ギョェエエォオウ!!!』 ガッキィイインッ!! 浩介 『なにぃ!?』 ミス!なんと怪鳥は浩介の攻撃を見切り、鉄棍棒をそのクチバシで噛むことで止めた!! 浩介 『ぬっ!ぐっ!こ、この貴様ぬおっ!?     な、なにをする離せ!!ええい、離さんかっ!!』 怪鳥 『ギョォオオゥウアアアッ!!!』 浩介 『ぬおおおおおおっ!!!』 さらに!怪鳥は鉄棍棒を銜えたまま浩介を振り回し始めたのだ!! さすがに武器を無くすわけにはいかないのか、浩介も決して離そうとはしない! 浩介 『ぬ、ぬわぁあああっ!!同志!同志ぃいいいーーーーっ!!     こ、こいつを止めてくれぇえーーーっ!!!』 凍弥 『よ、よし解った!よし行け佐古田!』 佐古田『ラジャッス!!───っててめぇで行くッス!!』 凍弥 『じゃなくて!足を狙ってくれ!そのデカい斧なら攻撃範囲も広いだろが!』 佐古田『おぉなるほどッス。そぉおおい!!!』 ヴオンッ!!! 凍弥 『ヒィイイッ!!?』 佐古田『チッ……外したッス』 凍弥 『なんで俺の足狙うかな!?お前は!!     もうちょっとで足が吹き飛ぶところだったよ!!』 佐古田『実は喜兵衛の洗脳がここに来てマックスに』 凍弥 『お前喜兵衛のことなんか微塵も知ったこっちゃねーヤツだろうが!!     するか!?フツー!!フルスイングだったろ今の!!』 佐古田『避ける気配が無かったら寸止めするつもりだったッス』 凍弥 『殺気満点のフルスイングを止める馬鹿が何処に居るんだボケェエエエッ!!!』 浩介 『あの……賑やかなところ……悪いん……だが……     そろそろ……助けてくれると……うぶっ……目ェ回ってきた……』 凍弥 『ああしまった!!振り回されてる浩介のこと忘れてた!!』 佐古田『頭いいのか悪いのか解らねぇッスね』 凍弥 『うるさいよ!!』 ええいこうなりゃとにかく突っ込む!! 戦の神々よ!我らに貴様を屠るチェーンソーの如き力を与えたまえ!! 凍弥 『光技身刀流!揺身清流刀!』 構えた刀を身体ごと揺れるように振るう。 風の流れに逆らわず、むしろ流されるが如く、だがそれを力とす! 凍弥 『セイッ!!』 ザスゾスバシュドシュゾフィィンッ!!! 怪鳥 『ゴェエエォアアアアゥウッ!!!』 浩介 『ぬわぁーーーーーっ!!!?』 足を切り刻んでやると、怪鳥は浩介を放り投げて叫ぶ。 もちろんそれは隙以外のなにものでも無し! ───とりあえず、ドグシャアと大地に叩きつけられた浩介は無視する方向で。 凍弥 『よぅし佐古田!浩之!この鳥野郎を今日の昼飯にでもしてやろうぜ!!』 浩之 『おお了解だ同志よ!丁度腹が減っていたところである!!』 佐古田『鳥肉料理は大の好物ッス!!今すぐ全力でブチノメーション!!』 怪鳥 『ゴ、ゴェエエエエッ!!?』 総員 『死ねぇえーーーーーーーーっ!!!!』 ドゴバキゴスザショドカバキ!! 怪鳥 『ギャアーーーーーッ!!!!』 容赦の一切微塵も無し。 やがて怪鳥がその巨体をズズゥンと倒した時、我らの勝利は確定したのだった。 凍弥 『さぁ!料〜〜〜理ドン!!』 浩介 『ゲフッ……!ど、同志よ……我を忘れてもらっては困るのだが……』 凍弥 『大丈夫だ!無視してただけだから!』 浩介 『お、おお!そうか!ならば良し!───良いのか?』 佐古田『その方がよっぽどヒドイッス』 とにかく中々大きな鳥を捌きにかかり、調理を開始した。 で、用意したものを焚火で焼いて頬張るに至り─── 凍弥 『……とにかくさ。武器がこのままってのは非常に危険なんじゃないか?』 浩介 『む?むう、確かに。我はもっと高威力の鈍器が欲しい』 浩之 『我ももっと、木ではなく鉄などのハンマーが欲しいな』 佐古田『アチキは当然ミノタウロスの斧が欲しいッス』 凍弥 『佐古田、そりゃ無理だ』 とまあこんな感じで武器防具についての談義を始めた。 ようするに───今の俺達では、 レベルがあっても敵に効果的なダメージは与えられないってことだ。 凍弥 『まあそこのところは先人である悠介さんや彰衛門に聞いてみるか。     案外獣人にしかない武器とか、その強化法とかもあるかもしれない』 浩介 『む。そうだな。ではまずこれからのことでも話し合うとするか。     まず獣人になったからには獣人らしいことをするべきだと思うのだ』 浩之 『おお鬼だなブラザー。早速農村を襲う気か』 浩介 『フフフ、任せろブラザー』 凍弥 『否定してくれ頼むから』 佐古田『まずは獣人の王に目通りするのはどうッス?     そういえばアチキたち、自らの王の姿も見てないッス』 あ……そういえばそうだな。 浩介 『ふむ。一理ある。     ではブラザー、同志、まずは獣人の王に会うことを最初としよう』 凍弥 『了解』 浩之 『意義無しであるブラザー』 こうして、まず最初の目的が決まったんだと思う。 というかレベル上げとか旅人強襲とかしておきながら、 目的が特になかったのも如何なものか。 まあ、面白かったけどさ。 佐古田『ところで……その王様を不意打ちで仕留めたら、     その分の経験値はもらえるッス?』 凍弥 『……頼むから実行するのだけはやめてくれよ?』 佐古田『ンなことしねぇッス』 ともかくまあ───なんだ。 こんな調子で不安要素を抱えたままに……ようやく俺達の冒険は始まったんだと思う。 Next Menu back