───冒険の書37/荒岩流クッキング───
【ケース168:中井出博光(再)/メルコムリッチが死亡した日】 さて……死人の森を出たその時、 ふと気になることがあると言ってステータス画面を展開した木村夏子二等が、 ナビにズギュゥウウウンと吸い込まれてからしばらく。 丘野 「なになに……?秘奥義の使い方は、奥義からの派生や特定の条件下で───」 麻衣香「わわわ……!ちゃんと称号がワイズマンになってる……!     賢者だよ賢者!ほらほら見て見て博光博光!」 中井出「俺なんてソードマスターだ!どうだー!」 藍田 「こちとらバトラーさんだ!……執事って名前のままの方がよかった気もするが」 殊戸瀬「………」 丘野 「……ふむ。大丈夫でござるよ睦月。     拙者も協力するでござるから、さっさと野良ルルカを探して───」 殊戸瀬「……孵る」 総員 『え?』 それぞれが思い思いの喜びを噛み締めあっていた時、 魔王の卵に次いで、殊戸瀬二等がバックパックに仕舞いつつも 様子を見ていた飛竜の卵に、ついに亀裂が───!! 麻衣香「えぇ!?いいの!?ルルックナイトは!?」 丘野 「落ち着くでござる綾瀬殿!考えてもみれば、     生まれたばかりの飛竜に乗って戦うことなど不可能でござる!     だからここは成長過程をともに生きることが大切なんだと思うでござる!」 殊戸瀬「そう。眞人の言う通り」 藍田 「な、なるほど……」 ナギー『飛竜の卵……おぬしらそんなものまで持っておったのか……』 シード『知識としては知っていた。でも見るのは初めてだ……』 普通はそうである。 とはいえ、産まれる瞬間を見るのは本気の本気で初めてだ。 そんなことを考えているうちにカラはペキパキと砕け…… 飛竜の子『クァ……アゥ……』 その間から顔を覗かせた小さな飛竜が、そうやって声を漏らした。 中井出「カワイイ禁止」 女性陣『っ……!!』 丘野 「言うつもりだったでござるか……」 藍田 「女ってほんと、なんでもかんでもカワイイって言わなきゃ気が済まないのな……」 麻衣香「い、いいでしょ別に!カワイイんだから!」 殊戸瀬「………」 丘野 「睦月も、そんなに真っ赤になるくらいなら言おうとしないことでござるよ……」 殊戸瀬「うぅ……」 ナギー『可愛いものを可愛いと言ってはいかんのか……難しいところじゃのう』 シード『言われる方の身になってからものを言えばいいだろうに』 ナギー『うるさいのじゃ』 とまあそんなこんなで話しているうちに飛竜もカラから出てきた。 まるで人が伸びをするみたいに、くぁあと翼を広げて口を開けている。 それを見ていると微笑ましい気分にはなるが、成長した先を思うと少し心配ではあった。 しかもナビが言うには、 いつかこいつと戦って主従関係をハッキリさせなければいけないというじゃないか。 見れば、既に飼い主(?)である殊戸瀬二等を、 “カッ!カッ!”と威嚇してボグルシャア!! 飛竜の子『キャペェーーーーーッ!!?』 総員  『オワァーーーーーッ!!!!』 マテ!今殴った!!思いっきり殴ったぞ!! 殊戸瀬 「……誰に向かって威嚇していると思っているの?      あなたはこれからわたしのもとで成長するの。それが解る?      産まれたばかりのヒヨッ子風情が……威嚇するのは勝手だけど、      相手を違えるつもりならわたしは生後一秒だって容赦しない……。      それを肝に命じておきなさい……」 飛竜の子『キュ、キュイイ……』 殊戸瀬 「産まれた時から誇りを持とうがどうしようがそんなことは知ったことじゃない。      でもね、誇りとやらでお腹は膨れる?      誇りとやらで産まれたばかりのあなたがエサを取れるっていうの?      これからともに生きてゆく仲だっていうのに、      最初がこんなことじゃあ先が思い遣られるわ……。      なんなら今すぐ火を起こして、      提督風・空の幸串焼きでも作ってあげようかしら……!?」 グワシィ!!と飛竜の子を掴みつつ、 ギロリと睨みながらゴファアアと熱い吐息を吐く殊戸瀬二等……!! その様は、明らかにいつもの彼女とは違う……!! 飛竜の子『キキュッ!?キューーー!!キューーー!!』 総員  『ああ……』 ありゃあ飛竜の子じゃなくても怖いわ。 なにせ有言実行しそうだぜトニー。 しかも空の幸ってのがまた反・FF11っぽいじゃないか。 ……ところでその“提督風”ってのはナンデスカ、殊戸瀬サン。 殊戸瀬 「あなたはまず“恐怖”というものを知りなさい。      それを知った上で高みを目指せるのなら、あなたは必ず強い飛竜になれる。      そうなりたいのなら食事も与えるし面倒も見てあげる。      ただしこれだけは言っておくわ。わたしや原中のみんなに歯向かうようなら、      あなた自身が食卓に上るものと知りなさい」 飛竜の子『───……キュウ!!』 ゾスッ!! 殊戸瀬「つっ───!?」 総員 『ギャア馬鹿ァーーーーーーーッ!!!!』 なんてこと!! 飛竜の野郎、話中の殊戸瀬の手を啄ばみやがった!! 殊戸瀬「───……」 や、やべぇ……!!今、確実に冷たい風が吹いた!! しかも物凄い静寂空間が刹那の時のみ展開され……─── 殊戸瀬 「……聞いていて冗談だと思ったのなら哀れとしか言いようがないわ。      人語が理解できるくらいの知能は持っているでしょうに……残念ね、      あなたは選択を違えた。間違えた時間は戻らない……それくらい解るわね」 飛竜の子『キュ……』 ここに来て、飛竜の子も尋常ならざる殊戸瀬二等の出す雰囲気に気づいたのだろう。 ザマァミロといった風な態度が一変、 漫画的な表現なら汗がダラダラ出てそうな風に縮こまりだした。 喩えるなら、叱られて頭を下げる犬だろうか。 もちろんそれだけで済むほど現実ってのは甘くない。 特に相手が殊戸瀬じゃあ。 殊戸瀬「燃ゆる種火よ“フラッシュファイア”」 ヂボンッ!!───さて、ここで状況説明でもしておこうか。 殊戸瀬は手頃な石を地面に並べると、その上に調合用の大き目の鍋を置き、 適当な木の枝を並べたのちに武器を杖に変えて魔術を発射。 そうして燃え始めた木葉や枝はもちろん鍋を焼いてゆく。 その鍋の中にこれまた初級魔法で水を満たした殊戸瀬二等は、 溜め息を吐くでもなく淡々と行動を進め、 やがてそれが沸騰してくると鍋に向かって手の中にある飛竜の子をズズイと 中井出「おわぁ待てぇえええええええっ!!!!」 麻衣香「ほんとにやる気!?むしろ殺る気!?」 殊戸瀬「……フッ」 総員 『やる気だぁあああああああああっ!!!!』 麻衣香「待って睦月!待って!!」 藍田 「そりゃさすがにヤバイ!!     竜族煮るのは世界初だと思うがその挑戦はいかがなものか!!」 殊戸瀬「っ……離しなさいっ……!離してっ……!!」 丘野 「いかんでござる!!ボイルはいかんでござるよ!!」 中井出「そういう問題かっ!!と、とにかくだな!     その飛竜には少しずつ俺達のことを理解してもらうとしてだな!     ああ可哀相に、こんなに震えて《ガブリ》うっひゃっほぉーーい!!」 ボグルシャバッシャァーーーン!! 飛竜の子『ピュキィイーーーーーッ!!!』 差し伸べた手をゴリリと噛んできた飛竜の子を、ナックルとともに鍋の煮え湯にブチ込む。 ナギー 『わぁあヒロミツ!なにをしておるのじゃ!!』 中井出 「だまらっしゃい!!躾のなってない子なんてこうです!!      キッツネッいっろ〜に〜な〜る〜まで〜♪お〜待〜ち〜な〜さい〜♪」 シード 『やさしく手を差し伸べた父上の慈悲に対して噛み付きで返すなど!      こうなって当然だ!後悔するがいい飛竜め!!』 中井出 「煮え湯を飲ませてあげましょう!!熱いか!えぇ〜〜っ?熱いかぁああ!!」 シード 『ふはははは!!こうなればトカゲも竜族も変わらんなぁ!!ふはははは!!』 丘野  「……そういう笑い方は魔王っぽいでござるなぁ」 麻衣香 「うわー、標準装備なんだねぇ、そいうところって」 ナギー 『ほのぼのと言っておる場合ではなかろう!!早く助けるのじゃーーっ!!』 ───……。 ……。 中井出「………」 殊戸瀬「………」 シード『………』 さて……暴走しすぎた俺と殊戸瀬二等と、 ついでにシードが縄で縛られて口を封じられ、そこらに横に転がされた現在。 飛竜の子『……!!』《ガタタタタタタタタ……!!》 飛竜の子は、もうこれでもかってくらい怯えていた。 誇りもなにもあったもんじゃない。 藍田  「いいか……竜の子よ……。命が惜しいのなら殊戸瀬にだけは逆らうな……。      そりゃな?お前が命より誇りを大事にするってんならなにも言わんよ……。      だけどな?誇りとは貴様が生きていてこそ映えるものだ……解るな?」 飛竜の子『キューイ……』 丘野  「さらに言えば、今貴様の目の前におわす男は魔王とその父親でござる。      いくら貴様が頑張ろうとも敵う相手ではないでござるよ……」 藍田  「そう!その上エロマニアである!」 丘野  「そうでござる!他の追随を許さぬエロさの持ち主でござるぞ!      貴様ごときが楯突こうなど片腹痛いでござる!!」 麻衣香 「少しは産まれたばかりということと自分の身の置き方を知りなさい!      じゃないとエロマニヨン人に食べられちゃうよ!?」 ナギー 『……のう。ヒロミツが泣いておるぞ?』 総員  『感動の涙だ!!』 中井出 「むぐー!ぐー!!ぐむごー!!」 ナギー 『抗議しておるようじゃが……?』 総員  『ザ・気の所為!!』 中井出 「………」 何言っても無駄なようだった。 殊戸瀬ももう……いや、縛られて転がったあたりから身動きの一つたりともしてない。 俺もそれに習うよう、そしてシードは俺に習うように動かなくなった。 んでもって…… 夏子 「ただいまー、……なにごと?」 ……戻ってきた木村夏子の一言といったら虚しいったらなかったね。 敢えて俺達を無視して、 飛竜の子を見てキャイキャイ騒ぐところとかもコンチクショウって感じである。 ───……。 ……。 ───……さて。 “さて”と言うのもこれで何回目かと思うには思うが、さて。 ようやく事態が落ち着き、俺達が縄の呪縛から解放された頃。 俺は先ほどから気になっていたことを、早速木村夏子にぶつけてみたのであった。 中井出「そィで───木村夏子よ。その格好はやはり……?」 夏子 「うふ、うふふうふうふうふふふふうひひふふひひひひぃいい……!!」 中井出「怖ッ!!な、なに!?なにが起こったの!?     みんな大変だ!壊れた!木村夏子が壊れたぁああっ!!」 夏子 「壊れてないってばぁ、うふふふ……!!」 中井出「みんな騙されるな!幽霊は人を騙すのが上手いんだ!悪霊退散!!」 麻衣香「はいはい!退散するのは博光ね!」 中井出「《べぐしっ!》ゾマホーーン!!」 怪しい雰囲気になりかけた状況を賑やかにしよう計画……妻の掌底により頓挫。 妻から贈られた頬への掌底は俺の心を深く傷つけた。 夏子 「見てよほらこれ見てぇええ〜〜!!     呪い装備が称号“カオティックロード”のお蔭で神々しいまでに反転を!!     暗黒騎士からパラディンにクラスチェンジした時のセシルも、     きっとこんな気持ちだったに違いないわ〜〜〜っ!!」 丘野 「……拙者、半端でクソの役にも立たない回復魔法しか使えない聖騎士より、     暗黒が使えた頃のセシルの方が好きだったでござる……」 夏子 「喜びに水を差さないで!お願い!」 どうやらそこのところは木村夏子も同意見のようだった。 しかし確かに木村夏子の装備はどれも綺麗なものばかり。 呪いが反転したお蔭か、今までの暗い雰囲気の一切が払拭されているのだ。 夏子 「というわけでナギちゃん!わたしと契約して!」 ナギー『な、なにを言い出すのじゃ突然……』 夏子 「クリスタルに聞いたの!条件さえ揃ってれば精霊と契約できるって!     だから!ね!?アンデッドばかりだったわたしの冒険記に輝かしい一ページ!」 ナギー『いやなのじゃ。どこか余所の精霊に頼むのじゃな』 夏子 「いやぁああああやだぁあああああっ!!お願いお願いお願いぃいいいいっ!!!     今すぐアンデッドのイメージからわたしを救い出してぇええええっ!!」 ナギー『わぁあっ!こ、これっ!なななにをするかぁあっ!!     離せっ、離さぬか無礼者めぇええっ!!』 夏子 「ならぬ!!わたしと契約せよ!!でなければわたしは強行手段を取る!!」 ナギー『な、なんなのじゃこの雄々しさは!!     これおぬし!おぬしも女性ならばもっと言葉使いにはじゃな!!』 藍田 「はっはっは、夏子は今日も輝いてるなぁ」 総員 『………』 感情って案外人を盲目にするよなー。 ナギー『ひぃっ!やめよ!やめよと言うに!!服を脱がすでないぃいっ!!     ヒロミツ!ぬしらもなにを暢気に見ておるか!     今すぐ助け───やっ!見るなぁっ!見るでないぃっ!     こ、これ!だから脱がすでないというにっ!!!     やめよというにぃいいいいっ!!!〜〜っいい加減にせんかぁーーーーっ!!!』  ドゴォオオオーーーーーーーーーンッ!!!! 総員 『ほぎゃああああああーーーーーーっ!!!!!』 ……その日、極一部の地域にて木々が大増殖する事件が勃発。 俺達は大地から突如爆発的急成長を遂げた木々に吹き飛ばされ、 空の旅をすることとなった。 まあ……もちろん大地に落下した時点で死亡したわけだが。 なんにせよだ。 こうして俺達の旅は、より充実したものに発展したわけである。 そう思わせておいてほしいと切に願う。 何故なら願うだけならタダだからである。 ───……。 ……。 そんなわけで神父のありがた〜い説教をとっとと聞き流し、 いやむしろ無視しつつも旅に再出発した我々は、 まず死人の森の前で泣きそうな顔で俺達の来訪を待っていたナギーを回収。 シードはその場で座禅を組んで瞑想をしていたらしく、 寂しいとかいう概念はまるでゼロであった。 そのことをツッコんでみれば─── ナギー『べつに寂しくなぞなかったのじゃ』 の一点張り。さすがはナギーである。 まったく、なにが彼女をこうまで捻じ曲げたのか、誰かに教えてもらいたいものである。 目尻に涙まで溜めてなにを言っとるのだと言ったところで、 こいつの見栄&意地っ張りを増長させるだけなのでやめておいた次第だ。 中井出「よっし、んじゃあ次は───」 丘野 「睦月の野良ルルカ探しでござるな」 殊戸瀬「………」(コクリ) 中井出「……あのさ、殊戸瀬?いつまでその布巾というか手拭いというか     タオルというかダイニングナプキンというか、     なんと喩えたらいいのか解らんソレを口につけてるつもりだ?」 殊戸瀬「………」《←なんとなく気に入ったらしい》 中井出「……や、解った。皆まで言うな……」 一昔前の暴走族を彷彿とさせる、口を覆う白い布を見て溜め息を一つ。 喋りづらいってことを無視してでもつけていたいってことだろう。 中井出「で、野良ルルカだけど───何処に居ると思う?」 ナギー『ルルカの生息地なら知っているのじゃ。地図はあるかの?』 中井出「うむ。ほれ」 ナビを開いて地図を見せてやる。 するとナギーは『おぉ……珍妙なものよの』と、ナビの機能を見て驚いていた。 それこそが意外……っと、そっか。 ヒロラインに居る人達にとっちゃ、この世界こそが普通であって…… 俺達が使うこういうナビってのは本来備わってるわけがない機能だ。 驚くのも無理はないか。 と、そんなわけで特定に時間がかかりそうだと判断した俺は、 ここまでの距離の休憩がてらに草原に腰を下ろし、 足の間にナギーに座ってもらうことで一緒にナビを見た。 シード『───』《ギラリ》 中井出「ヒィッ!?」《ゾゾクゥッ!!》 な、なにっ!?なに今の!殺気!?殺気ですか!? キルユーマイソウルと書いて“俺を殺すオーラ”!?何処!?何処から!? 連続で寒気感じちゃったよ今!なんてトキメケ体験!!(強制ときめき体験の意) ナギー『ん……なんじゃ?ヒロミツ』 中井出「な、なにって……───なんだろ」 そんなことは俺が訊きたいぞ、森の子よ。 今の殺気ってなんスかゴッド。 俺が貴様をチェーンソーで屠ってやりたいハートの現われ? フフフ……この博光、今宵も猛っておるわ……じゃなくて。 中井出「………」 無視しよう。 未だ殺気はヒシヒシと感じているが、 なんかぶつけられてるのって俺じゃないような気もしてきた。 微妙〜にズレて、そう……むしろナギーにぶつけられてるような気がする。 うーむ……そうだな、うんそうだよ、まず間違いはないだろう。 でも当のナギーはナビの方に夢中のようで、殺気に微塵も気づいてない。 ある意味大物だ。 ナギー『ここじゃな。この辺りに多く生息しておるぞ』 中井出「ほほう」 ややあって、ナギーが示した場所はここから南に行った暖かい場所。 流石に砂漠地帯ではないが、他の場所に比べれば暖かい場所のようだ。 中井出「名前は……ホルニシモ平原か。     なるほど、そういう動物とかがいかにも居そうな場所だ」 丘野 「フォルテッシモ平原?」 藍田 「惜しい。ホルニシモ平原だ」 ナギー『惜しいのかの』 中井出「惜しい。ヒエログリフとホエグロヒキガエルを間違えるくらいに惜しい」 ナギー『……ようするに全然惜しくないということじゃの』 そうなるのかも。 と、そんなことはどうでもいいことにしよう。 もはや問答は埒も無し。 ……いい言葉だよな、あの言葉。 幻柳斎先生の言葉であの言葉が一番好きだ。 などとよく解らんことを思いつつ、 俺達はホルニシモ平原へ向かってルルカを駆らせたのであった。 もちろんナギーとシードも連れてである。 ナギーは麻衣香のルルカに、シードは俺のルルカにそれぞれ乗った状態で。 【ケース169:中井出博光(再ボーグ)/限界フォルテッシモ】 そんなこんなでホルニシモ平原ドグシャアア!!! 総員 『ギャオォーーーーーッ!!!!』 ───に着いた途端、ルルカたちが急ブレーキをかけたもんだから、 振り落とされた俺達は草原を、 丘サーフィンをやってもここまで滑れないだろうと断言できるくらい滑走した。 ダンボール無しでこの滑走は大変貴重だと思うんだが、どうだろう。 と、そんなことはさて置いてだ。 中井出「ま、待て!待ちやがれぇええーーーーーーーっ!!!!」 ズドドド−!と逃走を始めたルルカ達に絶叫紛いの制止の言葉を放つ───が、 あっさりと無視されて逃げられてしまった。 ひでぇ……いくらここが目的地だからって、 一度降りてからもう一度乗って降りるまでは逃げない筈なのに。 もしや野生のルルカの縄張りってのを肌で感じ取ったのか? 中井出「ウヌヌ、げに恐ろしきは本能よ……」 丘野 「提督がついにエロの本能を思い出したでござる!!」 中井出「───え?ち、違う!!今の本能ってのはそういう意味じゃなくて!!」 藍田 「すげぇ……!大地を滑っただけでエロくなれるなんてさすが提督だ!!」 中井出「普段は感心もしないくせにこんな時だけ感心モードなの!?     ちょ、やめて!!羨望の眼差しで見ないで!!     ───だからって絶望の眼差しで見ないで殊戸瀬!!俺がなにしたっての!?     なにその地底よりも深い底の獄から吐き出されたような溜め息!!     そもそも俺が本能を口にした途端にエロって断定するのはどうか!!」 丘野 「だって提督はエロマニアでござる!!」 藍田 「断定しないのは失礼無礼!滅礼至極!」 中井出「礼を滅するほどのエロさってどんなだよ!!」 ナギー『よう解らんが、ほんに賑やかよのう、ぬしらは』 中井出「に、賑やかと言いやがりますかこの状況を!     人がエロマニアのレッテルを     貼られるか貼られないかの瀬戸際に立っているこの状況を賑やかと!!」 ナギー『……?ヒロミツは助平なのじゃろ?     貼られるだの貼られぬだのは二の次以前に済んだことじゃろ』 中井出「ち、違うやい!!俺はもうエロなんて卒業したやい!!     今を思えば端折って喩えて20年前!!     俺は己の妄想と現実の差に泣き、     エロマニアであることを捨て───ちょっと待てキサマら!!     人が熱弁始めた途端になに談笑しながら歩いていってんの!!     ちょ───聞きなさいキミたち!わははじゃないって!なにその笑顔のギャップ!     まだ俺の話が終わってな───え?うるさい?あ、いやその……ごめんなさい」 ホルニシモ平原に付いて間も無く……俺は本気で泣きたいと思う心境にありました。 天国でも地獄でもどっちでもいいから見ててくれてるかもしれない両親よ…… そして、きっと俺を見守ってくれてるばーさん、じーさん……俺、頑張ってるよ……。 中井出「俺……もう泣かない!」 ナギー『それは勝手じゃがの、ヒロミツ。もう皆、向うのほうへ行ってしまったぞ?』 中井出「───」 ダディにマムにビッグマムにビッグダディ…… 我が心の巴里にシャンドラの炎をくべてもいいでしょうか。 つーかくべる。 むしろくべられた。 中井出「シャァアンドラの火を灯せぇええええっ!!!」 僕の涙よ今こそ輝け! 俺は燃えるトキメケハートをエンジンに駆け出した。 ナギー『あっ、これ待つのじゃヒロミツ!     歩幅が合わぬから少しゆっくり歩かぬか!これ!』 中井出「ボクの燃え滾るパトスはもう誰にも止められない!!     ジャンボ鶴田直伝!ジャンピンニーーーッ!!!」 丘野 「《ゴシャーン!!》べぼっぴ!!?」 藍田 「ヌウ何奴!?」 中井出「転校生!!(嘘)」 藍田 「ひきっ───!?」 麻衣香「あ───!やばぁああっ……!!」 夏子 「こ、この返し方って……もしかしてもしかする?」 ナギー『な、なんなのじゃ一体……これ殊戸瀬、わしにも解るように説明するのじゃ』 殊戸瀬「……わたしたちがまだ原中に居た頃、     かつていろいろな物事の先で温厚で知られる提督が壊れたことがあったの」 麻衣香「その時の行動がまずジャンピングニーパッド。     で、何かを問いかけると答えるのは『転校生』」 藍田 「つまり……その」 中井出「シャンドラの火を灯せぇええええっ!!!」 総員 『提督がキレたぁあああああっ!!!!』 正直俺は、心にシャンドラの火を灯した後のことは覚えていない。 ナギーの話によれば丘野二等にジャンピングニーパッドをかましたあと、 暴走の限りを尽くしたとかなんとか……。 丘野 「ヒィイ!!強いでござる速いでござる!!」 夏子 「行ってパパトス───キャーッ!?頭突きで一撃粉砕!?」 藍田 「こうなったらとっとと気絶でもさせて───     ウギャア提督殿がマグニファイ使いやがった!!」 麻衣香「魔法でスタンさせるからその隙にって速ァアアーーーーーッ!!!?」 夏子 「無理無理これ無理だってば!     ステータス二倍になってるから追いつけも───あぁあああ!!     そうこうしてるうちに鬼靭モードまで発動しちゃったぁあああっ!!」 丘野 「と、止めるでござる!提督を止めるでござ《ゴッパァン!!》ぶほぉっ!!」 夏子 「キャーーーッ!!?丘野くんが爆弾パチキの餌食にぃーーーっ!!!」 藍田 「お、落ち着くであります提督!一体貴殿の身になにが───!?」 麻衣香「……解らない方がどうかしてると思うなぁ……」 藍田 「なんで!?僕らの提督はいつまでも永遠のエロマニアでありますぞ!!」 夏子 「ゴー!アンデッドゴーレ《ドゴォオン!!!》キャーッ!?一撃ぃーーっ!!?」 シード『はっはっはっは!父上を侮辱した罪!今こそ償うがいいさ!』 ナギー『おぬしも傍観者になっておらんで止めぬか!』 シード『だめね!断るね!!』 麻衣香「ああっ!早くも魔王くんが原中っぽい断り方を!!」  ゾガラシャシャシャシャシャシュキィンッ───ゾッパァアアアン!!! 藍田 「おぉおおおっ!!?とかやってるうちに瀕死状態の丘野くんが秘奥義発動!?」 夏子 「うーわー!綺麗な無月散水が!!」 中井出「なにがっ……植物学者!!」《ドンッ!!》 夏子 「ってなにやら訳の解らないことを言いつつ生きてるーーーーーっ!!!」 麻衣香「で、でも大丈夫!HPは辛うじて2残ってる程度で」  ───ゴォッキィインッ!! 総員 『───あ゙』 中井出「荒廃の世の自我(エゴ)
、斬り裂けり……二刀流居合い」 総員 『あわわわわぁああっ!!ちょ、ちょっと待───!!!』 中井出「羅生門(らしょうもん)”!!」  ゾギィンッ!!ボガガガドォッパァアアアアアンッ!!!! 総員 『ほぎゃぁあああああああっ!!!!!』 ともかく……その日。 いろいろあって、パーティーは全滅したそうだ。 ……と、俺は聞いてる。 Next Menu back