───冒険の書38/荒岩流クッキング(再)───
【ケース170:中井出博光(幻柳再先生)/俺の屍を───越えるな!蘇らせてゆけ!】 中井出「えーと……あのー……これって何事なんでしょうか」 殊戸瀬「邪怪禁呪(じゃかいきんじゅ)
」 中井出「何処の精魅(せいみ)なの俺!!ちょ、解きなさい!ほどいてぇえ!!」 目を覚ませばロープでぐるぐる巻きにされて転がっていた。 しかも状況説明を求めた途端に物の怪の類と同列の扱い。 どういったフェスティバルなんだろうかこれは。 殊戸瀬「今、他のみんながルルカを捕らえるために奮闘してるから、待ってて」 中井出「なにぃ!?む、むしろ参加希望を物申す!」 殊戸瀬「だめ」 中井出「何故!?」 殊戸瀬「コロがされた恨み」 中井出「………え?コロがした?誰が?」 殊戸瀬「……わたしたちを、提督が」 中井出「………」 そうなん?と訊きたいところだったが、なにやらマジらしい。 ……ふむ。 言われてみれば、 心の巴里にシャンドラ業火が燃え盛った刹那より、記憶がスッポリと飛んでいる。 中井出「えーと……ごめんにぇ?」 殊戸瀬「……エル、アタック」 エル?『キュイ』 ゴリッ。 中井出「キャーーーッ!!?」 エルと呼ばれた飛竜の子が俺の鼻を!鼻を!鼻ヲォオオッ!!!! だが甘し!この俺も今ではこんな姿……!当然手足での反撃なぞ不可能! だが甘し!俺だってその気になればこれくらいどうってことはねぇ〜〜〜っ!! 中井出「丸ごと食ってやるちょーーーっ!!!」 鼻に食い込もうとしている飛竜の牙を、深く食い込まないうちに強引に外す!! ちと赤い液体が舞ったが無視! そして驚いている飛竜の子を頭から丸ごとシャーク・オン・トゥース!! 声  『キュイィイーーッ!!?』 中井出「ひっはふ!ひへははひはひ!!(訳:必殺!入れ歯カミカミ!!)」 飛竜の声が我が口の中で木霊する!! ふははははどうしてくれようかこの悪戯っ子め! 息を止めて呼吸困難にしてくれようか! はたまた口を閉じたまま胃の中のものをリヴァースしてくれようか!! ともかく知れ!貴様の命運は俺が握っているというこ《ぞぶり》 中井出「ギャアーーーーーーーーーッ!!!!」 舌ッ!!舌いった!!殊戸瀬さん家のエルちゃんたら、 ボクの大事なタンにゴリリと噛み付きやがった!! だが負けん!こうなったらリヴァース元帥殿の恐ろしさをとくと味わうがいい!! 殊戸瀬「……リバースしたら……」 中井出「ほこっ!?」 殊戸瀬「………」 中井出「へ───はひ!?ひはーふひはははひ!?はひはほほふほ!?へふぇ!!     ふぁっ……ふおっ!はんへははふほ!?へへ!!」  (訳:え───なに!?リバースするとなに!?なにが起こるの!?ねぇ!!     やっ───ちょ!なんで黙るの!?ねぇ!!) シード『……何故父上はあれだけの身体能力を持ちながら、縄にくるまれたままなんだ?』 ナギー『場のノリとツッコミは人類の至宝、だとか言っておったの』 シード『なるほど……無闇矢鱈と力のみを誇示しても意味がないということか。     さすがは父上。どのような時でも周りというものを見ているのですね』 中井出「ひはひひはひ!!ははひははひ!!     ひはははふふひはふははははひへぇーーーっ!!」  (訳:痛い痛い!離しなさい!今なら許しますから離してぇーーーっ!!) 誰も助けてくれない中で、 結局俺はしばらくそうして飛竜の子との熱きバトルを繰り広げたのであった。 【ケース171:丘野眞人/ハイディーハイディーリトルラスカル】 シュタタタタタタ!!! 丘野 「そィやぁーーーーっ!!」 シュバーーーッ!!───ドグシャア!! 丘野 「オギャーーーリ!!」 全力で逃げ回る野良ルルカへレッツアタック───するも、あっさりと躱される始末。 丘野 「お、おのれ〜〜〜っ!!」 藍田 「こ、こいつなかなかやるぜ〜〜〜っ!!」 現在、藍田殿とともに野良ルルカ捕獲大作戦を実行中。 もちろん相手は一匹……いや、一羽でござるか?ともかく単体ではござらん。 隙あらばクチバシで攻撃してくるあたり、なかなか厄介でござる。 藍田 「さすがに蹴って動きを止めるのはヤバイか?」 麻衣香「怪我しちゃったら飼うどころじゃないってば」 藍田 「くっ……!こりゃ手強い……!!」 丘野 「───!そうでござる!拙者には生分身があるでござる!     それを使い、縄を用いれば───」 夏子 「縄なら提督さんを縛るのに全部使っちゃってるけど」 丘野 「……そうでござったな……」 原中が誇る伝説の提督……彼の暴走伝説は遙か過去。 我らが中学の時に起こった事件により始まった。 まあ、ただキレただけなんでござるが、 提督殿の場合キレるとその時のことを覚えていないから少々厄介なのでござる。 もちろん拙者たちはそれを利用して、 『提督!貴様は我らから金を借りたのだ〜っ!』とかデマを言ったりして 遊んだわけでござるが。 のちにそれがバレた時、エロビデオの流通ルートが一部で停止したりしたでござる。 若かったでござるなぁ……。 藍田 「えーと、そういや提督はいまどうしてる?」 麻衣香「え?えーと……───また睦月にイジられてるみたい」 藍田 「またか。お、おーおーおー、ほんとだほんとだ。     殊戸瀬も提督相手だとどうも厳しいよなぁ」 丘野 「………」 拙者は知ってるでござるよ睦月……それは照れ隠しでござるね? ほんとはキレるまでキツイこと言ってしまったことを謝りたいんでござるよね? いじらしいでござるなぁ、睦月は。 藍田 「ぬおっ!?よく見ると提督が飛竜を食ってる!」 夏子 「い、いえ───違うわ!よく見ると飛竜に舌を噛まれている!!」 麻衣香「うわぁほんとだぁああっ!!」 藍田 「メ、メーデー!!さすがにアレは危険であります!!     今すぐ救助を───ハッ!!て、提督が我らを見ている!     しかもあの眼差しは……“俺のことはいいからルルカを捕らえろ”という目!?     すげぇや!さっすが天下の中井出提督だ!己の身より任務の遂行を選ぶなんざ!」 夏子 「……泣いてるね」 麻衣香「……泣いてるねぇ」 丘野 「思えば拙者たち、提督殿の涙は何度見たでござるかなぁ」 提督殿は忍耐の男でござる。 むしろもののふ。 常に我らの先頭に立ち、迷惑部を賑やかにしてくださったでござる。 他方からの圧力もきっとあったでござろうに、全てを押し付け───ゲフッ!ゲフッ!! ……全てを受け取り、解決に導いてきたでござるよ。 そんな提督殿を拙者たちはいろんな意味で尊敬してるでござる。 思えば提督殿は原中時代、両親を亡くしたでござる。 だというのにあの元気な騒ぎっぷり……感服でござる。 “どんな時でも面白いものを求めよ”という大原則をしっかり守っていたでござる。 あの頃より積み重ねられた信頼は、 ゲームの中でコロがされたくらいでは潰えないでござるよ。 ……いや、厳密に言えばコロがされそうになっただけなのでござるが。 キレていたお蔭で目測を誤ったらしく、 実のところ羅生門は拙者たちに掠っただけで終わったでござる。 けれど大原則に則った我々の判断でコロがされたということにしてあるのでござる。 発案者は睦月でござる。 丘野 「はっはっは、睦月は本当に提督殿に感謝しているんでござるなぁ」 麻衣香「……あれで?」 舌を噛まれて、陸に打ち上げられた魚のようにビチビチと跳ね回っている提督殿を、 睦月がクスクスと笑いながら棒で突いている。 しかしながら睦月は感心の無い相手は確実に無視する方でござる。 むしろああしてイジメに走るのは、それだけその相手を信頼しているからに他ならない。 どこまで許してくれるかを見抜く力は偉大というやつでござるなぁ。 そして提督殿はそんな睦月に気に入られてるでござる。 微笑ましい限りでござるよ。 声  「ウォイヤァーーーーッ!!!」 と、感心していたその時でござった!! ふと聞こえたガーディアンヒーローズの王国騎士風の声に振り向けば、 なんと藍田殿がルルカに乗っているではござらんか!! 藍田 「ニュニュニュニュニュ!!背中に乗っちまえばこっちのもんだぜ〜〜〜っ!!     見せてやる!ジョセフ=ジョースターさんばりの乗馬テクニック!!」 丘野 「はっ───!い、いかんでござる藍田殿!ジョセフは───」 藍田 「オッ、オ、オ───おぉっ!?《ドグシャア!!》ゲファーリ!!」 ……やっぱり落下したでござる。 大体にしてジョセフが乗るものは絶対に落下するものでござるよ。 藍田 「や、やるじゃねぇか〜〜〜っ!!ヘイ、ブキャナン!     この鳥もどきに俺達の恐ろしさをみっちり教えてやろうぜ〜〜〜っ!!」 丘野 「キョホホホ……解ったぜ〜〜〜〜っ!!!」 しかし我々は挫けない!! “諦めない”!それが我々人類の最大の武器なんだよ!! 丘野 「トトトーーーッ!!!」 藍田 「ヒョハッハッハッ!!」 拙者と藍田殿はスピードをマックスにした状態で駆け回り、 拙者が岩を踏み台に、藍田殿が横転を繰り返してからのフライングボディアタックで、 左右からルルカを狙う!! 丘野 「ニュフーーーッ!!」 藍田 「ヒョハ〜〜〜ッ!!」 ルルカ『グエッ!!』  シュバドゴシャア!! 藍田 「ウヒッ!!」 丘野 「ウギョアアーーーッ!!」 が、瞬時に反応したルルカは我らの超速力ボディアタックを躱してみせたのでござる!! お蔭で拙者と藍田殿が全力で衝突するハメとなり、 勢い余って草原をバキベキゴロゴロズシャアーーーッ!!と滑った。 藍田 「おごフッ……!!ゲフッ……!!     フ、フフフ……!よもやこの藍田が押され負けるとは……!     やはり勢いというのは力だけではなく速度から来るものなのか……!」 丘野 「ベホッ!ゴフッ……!ウゲェエエ……!!     あ、藍田殿の膝がモロにミゾオチに……!!」 衝突具合では速力に分のあった拙者が押したようでござるが、 ぶつかり方のためか大ダメージを負ってしまったでござる……。 もしこれで藍田殿のSTRが何気に高かったりしたら即死ものだったでござるよ……。 藍田 「お、おのれ〜〜〜っ!!もう許せねぇぜ〜〜〜っ!!」 丘野 「こうなったら怪我なぞ無視で捕まえてくれるわ〜〜〜〜っ!!!」 でもお蔭で我らの中に激鉄が落ちたでござる。 拙者は早速10分アビリティを展開し、分身した状態で一気に襲い掛かった!! 丘野×26『サガフロンティア名物“濁流剣”!!(素手)』 拙者たちはバラシャシャシャシャ!!と足音を高鳴らせて、 ルルカを中心に四方八方を塞いだ!! そして中心へ向かって一斉に駆ける!! ルルカ『ゴェエエォェエエエゥウ!!《バシュウッ!!》』 だがしかし!流石は野生のルルカ! その立派な足で地面を蹴り、なんと跳躍して躱してみせたのだ!! だが甘し!! 丘野T「そう来ることは詠んでいたでござる!!キョホホーーーッ!!」 丘野M「テトアーーーッ!!!」 ルルカ『《ガガシィッ!!》ギョァアアアォェエエエゥウ!!!』 待機させていた他の分身で空中のルルカを捕らえた!! これぞ頭脳プレイというやつでござる!! 藍田 「オオッ!いいぞカメハメ〜〜〜ッ!!そのまま決めてしまえ〜〜〜っ!!」 ドグシャアッ!!───スゥウウ…… 藍田 「ゲェッ……!!何故技を外すカメハメ〜〜〜ッ!!!     よもやてめぇ〜〜〜っ、俺達を裏切ったんじゃあるまいな〜〜〜っ!!」 丘野A「違うでござるよ!!     落下の衝撃でダメージを受けたから分身が死んだんでござる!!」 ああもうままならんでござる!! そもそも誰がカメハメでござるか!? 丘野A「ええいこうなればどうにかして地上で捕まえるしかないでござる!!」 丘野B「言われなくても解ってるでござる!!」 丘野C「大体貴様の作戦がおかしいからこんなことになったでござる!!」 丘野A「ひ、人の所為にするなでござるーーーっ!!     それを言うならたった二人に上空捕獲を任せた貴様にこそ責任があるでござるよ!     悪いのは拙者だけでないでござる!!」 丘野C「な、なにを言うでござる!本体のくせに生意気でござる!!」 丘野A「そ、その言い方はヘンでござる!!本体のくせに生意気って───えぇ!?」 麻衣香「あー……」 夏子 「なんていうか……久しぶりに始まったねぇ、分身喧嘩……」 藍田 「……あれ始まると収拾つかないから、こっちでなんとかするか……」 ───……。 【ケース172:藍田亮/嵐が来たら肩を組むシュート】 ───そんなわけでルルカ捕獲計画続行!! フェイントや全速力を以って追って追って追いまくる!! だがしかしさすがは健走動物! その速度はもはや人間で追いかけられる域を超えている!と思う! 藍田 「とったぁーーーーっ!!!」 だがしかし!この藍田とて負けてはおらん!! フェイントを駆使して追い詰め、いざ飛び掛る!! ルルカ『ゴエッ!』 藍田 「《ゴツゥ!!》ヲヴァアアーーーーーーーーッ!!!!!」 クチバシッ!!飛び掛ったところにカウンターでクチバシ!! 刺さった!今確実に刺さった!頭から破滅的な音が聞こえた気がした!! 藍田 「こ、このっ……!いい加減にしくされぇーーーーっ!!!」 もはやこの藍田亮、辛抱たまらん!! 意地でも捕まえて───!! 藍田 「はっ!トハッッ!!このっ!ふんがっ!!」 意地でも───!! 藍田 「ホハッ!なんとっ!せいやぁっ!!ぬがぁああっ!!!」 意地……でも……!! 藍田 「ウロチョロするんじゃねぇええーーーーーっ!!!!」  ドゴバシャァアーーーーンッ!!! ルルカ『ギョエェエーーーーーーーーーッ!!!!』 気づけば“反行儀(アンチマナー)キックコース”で吹き飛ばしていた。 あんまりにもチョコマカと動くもんだから俺の心の巴里が炎上した。 中空を舞い、やがてドグシャアと草原に落ちたルルカを見てようやく冷静になったが─── えーと……死んでないよなザガガガガガ!!! 藍田    「オワッ!?」 ルルカ×35『ウェヴァヴァヴァヴァ……!!』 藍田    「………」 ……エート、囲マレチャッタ。 どうやら仲間を攻撃されたことにかなりご立腹のご様子……。 ルルカ×35『ギョェエエォァアアアアゥウウ!!!』 そしてやっぱり襲いかからずにはいられねぇ!? 藍田 「な、なにくそぉーーーっ!!かかってこいオラァ!!」 今!魂の刃を振り下ろす!! ときにツッコんでおくが、かつてのブリーチの前口上にはおかしな点がある! 斬魄刀は魂の刃なんじゃなくて魂を斬る刃である!! とまあそんなわけで!! 藍田 「“パーティーテーブルッ───キックコォーーーース”!!!」 大地に手を付き、逆立ちした状態で足を広げ─── 横回転とともに向かってくる敵を吹き飛ばす!! そう!敵!すでにこやつらは敵!!遠慮は無用なり!! 再認識した俺は横回転をそのままに、勢いを付けて付けて付けまくるようにさらに回転!! やがて片手のみを地面に付き、 逆立ちの状態から丸まって寝そべるような状態で回転を続ける! やがて、それを隙ととって襲い掛かってきた他のルルカよりも大きなルルカに向けて─── 藍田 「“粗砕”(コンカッセ)!!」  ドゴォンッッ!!! ミル・ルルカ『ゴェエエォオオオゥウウッ!!!?』 そう───以前、トロルにも喰らわせた超回転カカト落としである。 その威力は回転すればするほど増し、遠心力が破壊を齎す蹴りの奥義である。 回転してる間は隙だらけなのが難点だが、当たれば大ダメージは必至!! 強靭な筋肉に包まれている足を打ち抜いたカカトは、 衝撃を筋肉を突き抜けて反対側まで飛ばす。 ルルカはたまらずバランスを崩す。───そんな隙を待っていました!! 藍田 「“受付”(レセプション)!!」 ゴッパァン!! ミル・ルルカ『ゴエァゥウッ!!!』 倒れかけたルルカの顔面に蹴りをぶち込み、倒れるのを手伝うように草原に叩きつける!! だがしかし!見るからに野良ルルカのボスっぽいそいつはそれだけでは参らなかった!! すぐさま暴れ出して起き上がり、まるでゲリョスのように突進してくるではないか!! さらにそれに習うように他のルルカまで!! チィイ!!こうなったら───!! 【ケース173:綾瀬麻衣香/オペラツィオン・ヴァリオ】 マカァーーーン!バゴシャゴシュゥンッ!! 麻衣香「……え?」 ……今、なにかがわたしの顔の横を飛んでいったような……。 麻衣香「………」 恐る恐る振り返ってみる……と、 大地をバキベキゴロゴロズシャーーーアーーーッ!!と転がり滑ってゆく……ルルカが。 えっ……と……これと同じ景色をどっかで見たことあるような…… これはひょっとしなくてもひょっとするんだろうか……。 ああっ……振り向きたくないなぁ……。 麻衣香「でも振り向かなきゃいけないのが人の道……」 わたしはゴクリと喉を鳴らしつつ、騒ぎの渦中へと視線を向けた。 すると───荒れ狂うルルカの中、 一瞬だけ見えた隙間の先に……確かに褐色のゴリモリマッチョさんが居たのだった。 麻衣香「やっぱりぃいいいいいっ!!!」 悪夢再来である。 みるみるうちに吹き飛ばされたり投げられたり潰されたりするルルカが続出。 もう、目も当てられない状況である。 丘野 「か、怪力無双ッ……!!」 夏子 「これほどのものかっ……!!」 丘野 「胸が……まるでケツだ……」 麻衣香「腕が……頭よりデカイ……」 夏子 「大体技が通用するのか……?」 総員 (……そしてどうしてやっぱりパンツ一丁なんだろう……) どちらにせよ、もうルルカの方は藍田くんだけで十分だろう。 無闇に加勢して巻き込まれるのも嫌だし。 麻衣香「……睦月のところに戻ってよっか」 丘野 「い、いや!待つでござる!いくら藍田殿が怪力無双になったとはいえ、     怪力無双変身レベルはまだ星一つでござる!あれではさすがの藍田殿も───」 ゾシュウッ!! ───とか言ってるうちに、ルルカの鋭い爪やクチバシが一斉に藍田くんを襲う!! けど…… ルルカ『ク……クアァ!?』 オリバ「粗塩を肌にスリ込んである」 やっぱり全然通用してないみたいだった。 でもやっぱり言いたい。ウソつけと。 丘野 「星レベル1で既にあの強靭さでござるか!?バ、バケモノでござる!!」 夏子 「あ、ううん、それは違うよ丘野くん。     亮はちゃんと、ここに来るまでの雑魚敵の経験も魔王を倒した時の経験も、     全部変身スキルに振り分けてたから」 麻衣香「あぁ……納得」 わたしたちは酷く納得するとともに、加勢は絶対に必要ないと判断。 何処か祈るような気持ちのままに、睦月と博光が居る場所へと戻っていった。 声   「いいじゃないかソノダッ!!全員に勝ったらブラックベルトだ!!」  ゴンゴシャバキベキガンガンガン!! 声×相当『ギョエェァアアアーーーーーッ!!!!』 ……ルルカたちの絶望に満ちた絶叫を耳にしながら。 【ケース174:中井出博光/コーポ・ポータジュスープ】 オリバ「そら……シコルスキーだ……。遠慮しねェで持って帰ったらいい」 ようやく束縛から解放された頃─── 目の前に現れた怪力無双がズルリと持ってきたソレは…… お世辞にもシコルスキーとは呼べるものではなく─── なんてゆゥか……ブロイラー牧場でシメられる前の…… そう、喩えるならば───鶏のよう、だった─── などとバキっぽく解説してる場合ではなく。 中井出「仕事が…………早ェえんだな……」 俺の言葉にウィンクをするオリバ。 よし似合わない。そもそも怖い。 オリバ「あと2人……だな」《チラリ》 中井出「え───や、いらないよ!?一羽居れば十分だって!しかも数え方間違ってるし!     これ以上どんな残虐ショーを展開するつもりなの!?     これ以上やるなら動物保護条約以前に人情がキミを全力で止めるよ!?」 オリバ「格好つけんでもよろしい。キミはビールでも飲みながら私の連絡を待てばいい」 中井出「無いよ!こんなところにビールなんか!!そもそも格好つけてなんかないやい!」 超規格外の腕力と知識を持ってるくせに、 黒帯の制式な取り方も知らなかった怪力無双が人の目の前で人差し指をチッチッと揺らす。 中井出「………」 オリバ「………」 しかも無反応……ではなく、どう反応していいか戸惑っていた俺を見るに至り、 なにやらモリモリとポージングをしながらどんどん近づいて来て助けてぇえ!! 丘野 「しかしこれでようやく、睦月もルルックナイトになれるでござるな」 夏子 「いいのかな……気絶してるけど」 殊戸瀬「起こす」 ゾクシュ。 ミル・ルルカ『コギャーーーーッ!!!』 ノームのように槍で尻を刺されたルルカが絶叫とともに跳ね起きる。 それを見るや否や、俺はオリバから逃走し、話に加わることにした。 オリバもそんな俺を見ると素直に藍田二等に戻り、ひとまず安心……。 ミル・ルルカ『ウェルルガガ……!!カァッ!!』 殊戸瀬   「五月蝿い」  バゴシャア!! ミル・ルルカ『ペギャーーーリ!!?』 総員    『ゲェエ……!!や、槍で殴ったぁーーーーーっ!!!』 殊戸瀬   「手間がかかるのは好きじゃないから……わたしに力を貸しなさい」 ミル・ルルカ『カッ……ペッ!』 中井出   「ゲェッ!唾吐きおった!!」 殊戸瀬   「……エルに続いて、面倒な子」 溜め息を吐く殊戸瀬二等─── そして、そんな殊戸瀬二等を見下すように口を開けて威嚇を続ける野良ルルカ。 どうでもいいがパクリ。 ミル・ルルカ『クガッ!?』 あ〜あ……注意する前にやられたよ。 あんな大口開けてりゃあ、口に何入れられても文句は言えない……。 藍田 「殊戸瀬、ちなみに今の何?」 殊戸瀬「……筋力低下の劇薬。     どれだけ筋力があっても、筋肉の活動を殺すから足掻いても無駄」 ガクガクガクガクドシャア!! 総員 『ヒィイッ!!?』 説明を聞いた途端、野良ルルカが力を失ったようにその場に倒れ伏した!! 怖ェ!超怖いよコレ!! 殊戸瀬   「あなたには……やっぱり恐怖を教える。        でもその前に───わたしに協力するか否かを問う。どっち」 ミル・ルルカ『コ……コェゥッ!!』 ゾクシュッ! 殊戸瀬「つっ───!」 エル 『キッ……キキューーーッ!!?』 総員 『ギャアまたもや馬鹿ぁああーーーーーっ!!!』 今度ばっかりは、前体験者でもあるエルも絶叫。 殊戸瀬二等の手を啄ばんだルルカはニヤリと笑んだ……気がした途端、 既に用意されていた煮えたぎる熱湯鍋へと躊躇されることもなく放り込まれた。  がぼしゃあーーーん!! ミル・ルルカ『ギョエェエエーーーーーーーーッ!!!!』 もちろん、それだけで済む筈も無く…… 次々と用意されていた殊戸瀬流拷問地獄に続けざまに放り投げられ─── やがてそれが全て終わる頃。 ミル・ルルカ『キュ……キュ〜イ……』 毛という毛を毟り取られたルルカは涙さえ流しながら、 殊戸瀬に忠誠を誓っていたのだった。 総員 『………』 もちろん俺達は、 この“真・鳥肌ルルカ”に対して涙を贈ることしか出来なかったわけで……。 これからのエルとルルカの行く末が本気の本気で心配でならなかった。 Next Menu back