───冒険の書46/イフリートさん───
【ケース190:閏璃凍弥/チョッパーの声はDVDでは直ってるのだろうか】 ゴコォンッ……!! レックナート「すまないな、何度も呼んでしまって」 凍弥    「はっはっは、こう何度も呼ばれると、呼ばれるだけで金が欲しくなる」 鷹志    「既に王様として見てないってこったな」 柿崎    「らしいっていうかなんていうか」 凍弥    「それで、今回の任務は?」 レックナート「ああ。同盟は確かに成立した。        だが、奪われた書状を使って民たちの不安を促す獣人が現れたのだ」 来流美   「あー……なるほど」 真由美   「返す言葉もないっていうか……」 由未絵   「頼まれたら断れないことだね……」 レックナート「そこでだ。お前たちに書状の奪還を」 三馬鹿   『ダメね!!断るね!!』 レックナート「なにぃ!?」 凍弥    「おいおい王様よ……勘違いしてもらっちゃあ困るぜ?」 鷹志    「俺達ゃ確かにこの国に所属している……」 柿崎    「だが考えてもみろ。俺達ゃどっかりと座ってるだけの貴様の代わりに、        わざわざ赴いて同盟を結ぼうとしたんだぞ?」 凍弥    「ふんぞりかえってるだけの貴様に!何故そう幾度も命令されねばならぬ!」 レックナート「王様だからだ」 そうですね。 凍弥    「だが断る。この岸辺露伴が最も好きな事のひとつは……        自分で強いと思ってるやつに“NO”と断ってやることだ!」 レックナート「え?いや、私はべつにそんなことは思ってないんだが……」 鷹志    「つーわけで王様に提案。そこに居るレオン殿に行ってもらってはいかが?」 凍弥    「賛成」 レックナート「馬鹿を言うな。レオンはこの国でやることが───」 凍弥    「うーるーせー!!ミッションばっかで        ろくに冒険出来ねぇ俺達の気持ちもちったぁ考えろ王様コノヤロー!!」 鷹志    「そうだそうだ!!許可が無けりゃあろくに旅にも出れやしねぇ!!        そんな箱詰め状態なんてまっぴらごめんだ王様コノヤロー!!」 柿崎    「暇を寄越せ!俺達はまだこの世界のことに対して知らないことが多すぎる!        俺達ゃもっともっと知りたいんだ!冒険せずに何が男だ王様コノヤロー!」 レックナート「グムゥウウ……」 困惑する王様。 そう、たまには悩みなさい王様よ。 我ら若者の押さえ切れない若さを押さえようと言うのだ、たまにはいいでしょう。 レオン   「……構いません。王、私が行きましょう」 レックナート「レオン……?しかし……」 レオン   「兵を休ませるのも王の務め。        私のことは気にしなくて結構です。───お前たち」 凍弥    「む?なにぞ」 レオン   「次の任務までゆっくり休むといい。今回の任は、私ひとりで片付けよう」 凍弥    「おお、そりゃありがたい。……だが断る」 鷹志    「お、おいおい凍弥?ちょっと!」 凍弥    「ここで宣言しよう!俺は───この国の兵であることを捨てる!!」 レックナート「なんだと!?貴様……正気か!?」 凍弥    「なんだてめこのやろう!!        人の正気疑う前にまず自分の正気を疑えって言葉を知らんのか!!」 鷹志    「人のフリ見て我がフリ治せ、な。しかも意味違う」 凍弥    「王様よ!貴様なにか素晴らしい武器とか持ってないのか!?        老兵にしてその筋肉!飾りではあるまい!!」 レックナート「………」 凍弥    「だから持ってるならその武器をくれ!!」 鷹志    「馬鹿っ!遠慮ってもん知らんのか!あぁ、知らなかったな……そういや」 凍弥    「そこで素直に納得されるとかなり悲しいんだが」 レックナート「いいだろう、と言いたいところだがな。        実はこの国の宝物殿に治めていた武具は、        そこのレオンの持っている稀紫槍カルドグラス以外、盗まれてしまった」 三馬鹿   『なにぃ!?』 なんともったいない!! 兵士たちはいったいなにをしていたのだ!! 凍弥    「では王様この野郎!        もしそれを何処かで発見したら遠慮なく貰っていいのか!?」 レックナート「ああ、好きにするといい。もはや手には戻らぬと諦めていたものだ。        この国から盗まれた武具は一つだけだがな」 凍弥    「武器の名前と特徴は?」 レックナート「蒼刀アーガスィー。煌く蒼い刀身の刀だ。        元々我ら三国に伝わる伝説の六つの武具を、        我々の遠い祖先が一国に二つずつ安置したものとされている。        今やかつての輝きを失ってはいるが、鍛えることでその真価を発揮する。        だが───」 鷹志    「だが?」 レックナート「今となっては、その鍛える方法を世に伝えられる者が居ないのだ。        レオンのカルドグラスは運良く状態のいいままで残っていたが、        他の武具は輝きや性能こそ他の武具とは比べ物にならんが───        やはりかつての輝きは無く、真の力を引き出すには至らなかった」 柿崎    「なんとまあ……」 レックナート「もし真価を引き出すことが出来る者が居るとすれば、        その者はよほどこの世界を歩き回り、歴史を知る者ということになるな」
【Side───その頃の猫たち】 アイルー『ニャックシッ!!』 豆村  「ありゃ、師匠風邪っすか?」 刹那  「猫が風邪なんて。珍しい」 アイルー『うるさいニャ。きっと誰かが噂してるのニャ』 刹那  「ところでさー師匠。こういう鍛冶とかの技術って誰に教えてもらったんすか?」 アイルー『親にだニャ。ボクたちアイルー族は歴史を重んじるニャ。      だから親から子へと、己の知識の全てを覚えさせて跡を託すのニャ』 刹那  「へぇ……だから鍛えられない武器なんてないってことか」 アイルー『そういうことニャ。古代武具から現代武具、なんでもござれニャ』 【Side───End】
鷹志    「……?どした?凍弥」 凍弥    「いや……なんだか今、        物凄い盲点というか、物事の穴が展開されたような……」 レックナート「ともかくだ。武具を見つけたら一報してくれるとありがたい。        他の国にもその盗賊は入ったようで、武具は全部で三つ盗まれている。        ……いや、ランダークのことを考えると四つか。        ランダーク王、サイナートが愛用していた宝剣、シュヴァルツレイヴ……        それがな、どれだけ探しても見つからないのだ」 凍弥    「それって……」 レックナート「ああ。恐らく盗まれたのだろうな」 チィ……先を越されたか。 是非とも俺が盗みたかったのに。 レックナート「それで───お前らは本当にこの国から出るのか?」 三馬鹿   『くどいぞ仁赦!!』 レックナート「仁赦!?」 凍弥    「ともかく俺達はもうこんな息苦しい暮らしは御免だ!!」 鷹志    「俺達が望んだファンタジーはこんなんじゃないやい!!」 柿崎    「もっと浪漫輝くエステールよりも輝く冒険が欲しいんだ!!」 来流美   「エステールは関係ないでしょ」 由未絵   「え?浪漫っていったらエステールじゃないの?」 来流美   「……由未絵。        わたし時々、あんたがわたしより成績が良かったのを疑いたくなるわ……」 柿崎    「とまあそんなわけで!さよなら王様!」 鷹志    「僕らの旅が今始まる!!」 凍弥    「別了(ビエラ)
!!」 来流美   「訳:貴様とは二度と会わん」 真由美   「容赦ないね、本当に……」 由未絵   「もう会わないだろうっていうだけで、        そんなに汚い言葉じゃないよぅ来流美ちゃん……」 来流美   「そ?凍弥ならこう言うでしょ。ねぇ?」 凍弥    「貴様とは二度と会わん!!」 来流美   「……なんでわたしに向けていうのかしら?」 凍弥    「知らん!自分で考えろ!!」 来流美   「……凍弥。ちょっと表出なさい」 凍弥    「闇討ちか!?」 来流美   「いきなり物騒なこと言わない!!」 レオン   「……やれやれ。お前ら、気を付けて行くんだぞ。        ここを出る以上、私たちはもう助力はしてやれない」 凍弥    「おー。レオンも元気でなー」 鷹志    「お前の剣術指南、解りやすくてよかったぞー」 言いつつ手を振ってボンジョリーノ。じゃなくてアディオス。 俺達は王様にではなく、 むしろレオンに別れを告げることでセントール王国を出たのだった。 【ケース191:中井出博光/ヌワンギの名前も相当だろう。うん】 丘野 「キャプテェンッ!!ソォオーーーーーードッ!!!」 エネル「ええ!?ギャア待ってぇえーーーーーーーっ!!!     キミね!少しは人の話を聞こうとはギョエェエエーーーーッ!!!ゾゴォッッ!!フィィイイインッ!!! シャァアアン……キラキラ…… 中井出「……お前は強かったよ……。だが間違った強さだった……」 ナギー『なんじゃ、もう終わったのか?』 中井出「おう終わったぞー」 ───さて。 神エネルを再びキャプテンソードで亡き者にしている隙に、ナギーが取り出してきたソレ。 それは……なんとも古びた杖だった。 あとはお金とか消耗品だったが、それは森人たちの糧にしようってことで置いてきた。 中井出「杖ねぇ……。名前が思いっきり“古びた杖”だ」 麻衣香「でもスキル詳細には“????”があるよ?むしろそれだけしかないけど」 藍田 「じゃあ、もしかして鍛えることで稀黄剣みたいに化けたりするのかな」 丘野 「いやぁ……そうそう“六つの武具”が手に入るわけがないでござるよ。     きっとこれは提督殿の武器の前バージョン、     ブラッシュデイムと同じなんでござるよ」 中井出「固有秘奥義が隠されてるとか、そういうのか?」 なるほど、確かにそれはあるかもしれない。 思いつつルドルグニスを見る。 中井出「……言っちゃなんだが、俺はブラッシュデイムの方が名前好きだった」 藍田 「いきなりしみじみと言われてもな。ま、気持ちは解るけど」 丘野 「グレートソードが好きなのに、     グレートソードは最強の武器にはなれない法則でござるな」 夏子 「それは喩えとして合ってるのかな……」 中井出「いやいや、似たようなもんだぞ木村夏子二等。     それはサブキャラが好きなのに主人公が目立ってしまう漫画の法則にも似ている」 麻衣香「喩えを挙げていくごとに武器から離れていってるの、気づいてる?」 丘野 「グレートソードはちゃんと武器でござるよ!」 中井出「あ、でもサブキャラが目立つ方が好きだからって、     ヒロイン的扱いの女キャラばっかが目立つ漫画は正直好きじゃない」 殊戸瀬「エロマニアなのに?」 中井出「エロマニア違う!!」 藍田 「そういった漫画とかだと大抵、     主人公がもやしっ子でクソの役にも立たないんだよな〜」 そう。 等しく役立たずで、女どもに迫られてハワハワ言ってるヤツだ。 べつにそれが悪とは言わんが、 女を目立たせたいだけなら主人公も女にすりゃいいんじゃなかろうかと思うのだ。 でも不思議と、それだと読者が居なくなる気がするんだよな。 藍田 「女キャラがいっぱい居る所為で男キャラが目立たない漫画か……いっぱいあるな」 中井出「その分、無駄なサービスカットとかがつけられて正直見るに耐えん」 殊戸瀬「エロマニアなのに?」 中井出「エロマニア違う!!俺は純粋に漫画を楽しみたいの!だ、大体!     俺はエロ好きだった頃から無駄なサービスカットなんて嫌いだったんだ!!」 藍田 「あ、そういやラブひなもネギま先生も案外嫌ってたっけ」 中井出「楽しいラブコメ大いに結構!!だが無駄なサービスカットなぞ要らん!!     お前ら解ってない!女の体ってのはな!     ここ一番って時に見ることが出来て初めて嬉しいと思えるんだ!!」 ざわ……!! 藍田 「す……《ゴクリ……》すげぇ……」 丘野 「さ、さすがは提督殿でござる……!」 夏子 「そ、そこまで考えてのエロマニアだったんだ……」 麻衣香「ひ、博ちゃん……それってわたしもそういう目で見てたってこと……?」 殊戸瀬「変態」 中井出「ちょ、直球すぎる!!少しはオブラートに包み込もうよ!!寒天と澱粉に!!     つーか普通そうじゃないか!?キャラのサービスカットばっか見せてたら、     本番の時にもそういった目で見ちまうだろ!?」 藍田 「解った……解ったよ提督。あんたやっぱエロマニアだった」 丘野 「提督殿は拙者たちを裏切ってはいなかったでござる……」 中井出「ち、違う!!違うんだ!!俺はきちんと自分の意見を言っただけだ!!     べつにエロマニアじゃなくても誰だってそう思うって!!     女がそんな易々と身体を見せていいわけないだろうが!!     そこんところを解ってないって言ってるんだよ俺は!!」 丘野 「エロマニアの復活!我らの提督の復活でござる!!」 藍田 「エロマニア!エロマニア!!」 夏子 「エロ!エロマニア!!」 殊戸瀬「エッロマッニア!!エッロマッニア!!」 総員 『エッロマッニア!!エッロマッニア!!』 中井出「ち、違う!俺は違うんだ!!エロマニアじゃない!やめろぉおおーーーーっ!!」 ───……。 ……。 中井出「うぐっ……ひっく……うぇえ……」 藍田 「というわけで……」 丘野 「泣いてしまったでござるが……」 麻衣香「もう、ほら博ちゃん?いつもの冗談なんだから本気泣きすることなんか───」 藍田 「俺はいつだって本気だ!」 丘野 「拙者もでござる!!」 麻衣香「まあ……そうだとは思ってたけど」 藍田 「昔の提督ならばきっと喜んでエロマニアと呼ばれただろうに」 中井出「今も昔も嫌だよ!!」 くそっ……不覚にもマジ泣きしてしまったじゃないか。 ああ……これ考えるのも何度目になるか解らんが─── 俺、本当に提督って思われてるんかなぁ……。 ナギー『情けないぞヒロミツ。このくらいで泣くなぞ。     エロマニヨン人最後の生き残りとして恥ずかしくないのか』 中井出「その種族として見られてる時点でよっぽど恥ずかしいよ!!     つーかまだ覚えてたの!?忘れなさいそんな種族のことなんか!!」 ナギー『馬鹿者!自種族をそのように罵倒するとは何事じゃ!!     おぬしは最後の生き残りなんじゃぞ!おぬしが繁栄させんどうするか!!』 中井出「うおお馬鹿って言われた!!     屈辱的な種族のことを自種族って言われた上に馬鹿って!!     あのねナギー!?俺本当にエロマニヨン人なんかじゃないだよ!?」 殊戸瀬「騙されてはいけない、おチビさん。     彼はそう言いながらあなたに近寄って、隙あらば茂みに押し倒して」 中井出「押し倒さないよ!そもそも騙すも騙さないもないよ!!」 殊戸瀬「有無も言わさず押し倒すらしいわ」 ナギー『け、ケダモノめ!!』 中井出「殊戸瀬ぇええっ!!てめぇえーーーーーーーっ!!!!」 さっきから涙が止まりません。神様どうしよう。 俺、本気で過去に戻って昔の自分に説法してやりたい。 子供にケダモノとまで言われたんですよ?泣くなってのが無理です。 でも気にしません。きっと旅がこの荒んだ心を癒してくれると思うからです。 なんてったって向かう先は火山!俺の求める火の宝玉のある場所!! エロマニアの所為で傷ついた心など捨ておこう! さあ!僕らの歩む先には希望が待っている!! 中井出「あ〜……っと……こんな話はやめて、いい加減火山のことについて話し合おう」 丘野 「おお、そうでござるな」 藍田 「じゃ、話戻すか」 夏子 「なんの話してたんだっけ?」 殊戸瀬「エロマニア」 中井出「違う!!」 麻衣香「あはは……はいはいどうどう。古びた杖の話、だったよね?」 藍田 「あっと、そっか」 丘野 「おお、そうだったでござる。……それがどうしてエロマニアの話に?」 殊戸瀬「急に提督が自らの熱いパトスを振りかざし、女体の神秘について語り出して」 中井出「ないよ!!」 麻衣香「あははは……はぁあ……。えと……それじゃ、古びた杖の話を再開させよっか」 丘野 「確か提督が、     自分の武器の名前がどうのこうのと言ったのが始まりだったでござるな」 藍田 「ああ、そうそう。いい名前の武器は最強にはなれないってアレだよな」 そう、確かにそういう話だった筈だ。 しかし俺の何気ない一言から話は脱線して……現在に至るわけだ。 世の中、なにがどういう風なきっかけで動くのか解ったものではない。 中井出「そィで……」 藍田 「あ、ヒロインが目立つ漫画がどうとかって話も出たよな」 中井出「や、それはもういいから。古びた杖のこと、もうちょっと考えてみよう」 麻衣香「そうだね。火山まではもう少しありそうだし───」 夏子 「麻衣香、持ってみたら?」 麻衣香「持つだけで効果が出るとは思えないけど」 中井出「まあまあ。ほれ」 手に持っていた杖をヒョイと渡すと、麻衣香はそれをわたわたと受け取って装備する。 麻衣香「えっ……と……持ってどうすればいいのかな」 中井出「魔法を放ってみる、とか」 麻衣香「あ、そっか。───煌きよ、威を示せ……“フォトン”」 キィンッ───モゴシャアアンッ!! 詠唱を唱え、魔法陣を弾かせると同時に虚空に小さな大気の猛りが現象する。 だが……とくにこれといって気になることもなく。 麻衣香「……べつに強くなったわけでもなんでもないね」 中井出「攻撃力は今普通に装備してる杖のほうが強いんだろ?」 麻衣香「うん」 中井出「じゃ……どうすっか、これ。なぁナギー?     これってどういう経緯で手に入れたんだ?」 ナギー『これか?これはの、かつて関所に侵入したコソドロをとっちめてやった時、     そのコソドロが落としていった杖なのじゃ』 中井出「へえ……」 ナギー『他にもいろいろ持っていたようなんじゃが、     慌てておっても大事なものだったらしく、必死に掻き集めて逃げていきおったわ』 中井出「コソドロね。金目当てだったとしたら、それなりに価値があったってことか?」 麻衣香の手からチャッ……と杖を取ると、シゲシゲと見てみる。 だが……やっぱりたんなる古びた杖だよなぁ。 こんなんが本当に役に立つのかどうか。 中井出「町に寄ったら鍛冶屋に頼んでみるか。     それで重要性があるかどうかが解るだろうし」 麻衣香「そだね」 藍田 「じゃ、今はヴォル火山だな」 丘野 「そうでござるな」 中井出「ではさらに歩を速めて前進!!」 総員 『サーイェッサー!!』 古びた杖をバックパックに仕舞った我らは、 ババッと敬礼をしたのちに更なる前進を始めた。 もう少し、あと少しでヴォル火山である。 頑張っていきましょう! ───……。 ……。 カァーーーーーーーン!! 総員 『うあっちぃいいーーーーーーーーっ!!!!』 さて……そんなわけで歩いて歩いて辿り着いたのがヴォル火山……ではなく、 その手前にある砂漠地帯である。 とはいっても視界の中には既にヴォル火山は見えていて、 目的地まではそう遠くないわけである。 だがこの砂漠……一筋縄ではいかない。 ヒロラインに降り立ったのち、 魔法使いのじいさんに飛ばされた先の砂漠ともまた違う場所だ。 周りには町も村も無く、ただ砂漠と岩山があるのみ。 しかもその岩山の全てが火山のようで、 地脈を走るマグマの影響か、砂が物凄い熱を持っているのだ。 ああ、こりゃまいった……ちと砂漠を甘くみていた。 中井出「さすがにこっからはルルカは無理だろ……」 ルルカ『ウェルルガガ……』 殊戸瀬「……突撃(ロース)」 ルルカ『ゴエェッ!?』 中井出「いやこらこらこらっ……あんまイジメてやるなよ……。     とにかく、ルルカはここで留守番。ナギーは……どうする?」 ナギー『い、いくのじゃ……』 中井出「そか……ヴォル火山を攻略するまで、クーラードリンク間に合うか……?」 丘野 「結局町らしい町も無かったから直で来てしまったでござるし……」 藍田 「やぁ〜な予感がするんだよなぁ……」 これは直感といってもいい。 きっとクーラードリンクは尽きるだろう。 なにせ、殊戸瀬二等が調合する以外に入手方法が無いのだから。 殊戸瀬「はい、麻衣香、夏子、藍田くん、提督」 四人 『おぉ?』 ひょい、と我ら四人に渡されたもの。 それは───一本のクーラードリンクだった。 って、まさか…… 中井出「ま、まさか四人で一本で乗り切れとか……言わないよな?」 殊戸瀬「言う」 中井出「隠しもせず即答かよ!!」 丘野 「で、拙者と睦月が二人で一本でござる。頑張るでござるよ」 藍田 「ちょっと待てぇい!!そりゃいくらなんでも差がありすぎだろ!     明らかに扱いがヒドすぎる!!」 丘野 「誰だって自分が一番可愛いのさ……あんただってそうだろ?」 藍田 「クハァーーーーッ!!こんな時ばっかござる語捨ててんじゃねぇーーーーっ!!」 でも俺達に調合は出来ないので実行するしかない悲しい状況。 四人 『………』 俺達は無言でクーラードリンクを飲み分けると─── 中井出「では!クーラードリンクの効果が切れないうちに、     全速力でヴォル火山を攻略するものとする!!」 ナギー『ま、待つのじゃ!わしの分は!?わしの分が無いのじゃ!』 中井出「自然の力でなんとかならんか?」 ナギー『無茶を言うでないわ!!』 麻衣香「いざとなれば魔法でなんとかするから。     一応、氷系の魔法は初級だけなら覚えてるから」 夏子 「わたしたちが旅した場所って、どうしてか凍り系の魔法書が極端に無かったよね」 中井出「当然とはいえ、魔法書を読まなきゃ覚えられないのは辛いよな」 藍田 「レベルが上がりゃあ勝手に魔法覚えるドラクエの魔法使いが異常なんだよ」 ああそりゃ確かに。 やつらの頭の中、 はたまた小宇宙ではきっと革命的なビッグバンが年中無休で行われているのだろう。 ああ、ちなみに小宇宙はコスモと読む。 中井出「ま、いいからとにかく走ろう。     敵が出たら出来れば無視。一撃で倒せそうなら攻撃。     宝箱は……───帰りの際に取ってゆく!」 藍田 「イェッサー!了解であります提督!」 丘野 「ではここからは───ボスのもとまで全速ダッシュでござるか!?」 中井出「そうなる。よっしゃあ!それでは元気出して行きましょう!!     あ・そぉ〜れとっかぁあーーーーん!!!!」 総員 『ハワァーーーーーーーッ!!!!』 ついに走り出す我ら!! 砂漠に足を踏み入れると同時に迫り来る熱!! だがそれを中和してくれるクーラードリンクの効果! さあ!この効果が続いてるうちに行けるところまで行く!! 技巧を懲らしAGIに全てを注いで一気に駆ける!! 中井出「フンフンフンフン!!」 藍田 「ハッハッハッハッ!!」 丘野 「そりゃそりゃそりゃそりゃ!!」 総員 『どすこいどすこいどすこぉおーーーーーい!!!』 ナギー『あ、暑いのじゃぁあーーーーーっ!!!』 中井出「はうあしまった!結局ナギーにはクーラードリンクを飲ませてなかった!!」 藍田 「しまったそういえば!」 ナギー『あ、汗が吹き出るのじゃっ……!!う、うぅうう……!!』 丘野 「ナギー殿ナギー殿!日本の有り難い言葉にこんなものがあるでござる!!」 ナギー『にほん……?なんじゃそれは……い、いや……そんなことはどうでもよいか……。     それで……その言葉とは……なんじゃ……?』 丘野 「心頭滅却しても……火はそりゃ熱い」 総員 『や、それ当たり前だから』 丘野 「火が涼しいわけないでござる!!考えた者はタコで馬鹿でハゲでござるよ!!」 中井出「逆ギレするな!そしてハゲは関係ねぇ!!』 中井出「し、仕方ない!ナギー!」 ナギー『な、なんじゃ……あまり喋らせるな……。喋ることさえ辛いのじゃ……』 中井出「今から俺がリヴァースするからそれを飲───」 ナギー『飲めるか馬鹿者!!』 当然だった。 リヴァースの意味を知ってる時点でも驚きだったが。 それ考えるとペンギンの野郎は偉大だと思うのだ。 中井出「よっしゃあなにはともあれヴォル火山到着!!     このまま一気に《ジュウウ!!》ギャアーーーーーーーーーッ!!!!!」 藍田 「うぉあっちゃぁあああーーーーーーーーーっ!!!!     ククククーラードリンクの効果が切れたぁーーーーっ!!早ぇえーーーっ!!!」 麻衣香「ちょ、ちょっと早すぎない!?」 夏子 「うぅ……目が回る……!!」 殊戸瀬「こんなこともあろうかと原液を水で10倍に薄めたの」 総員 『おっ……鬼かてめぇええーーーーーーーっ!!!!』 殊戸瀬「でもあと9回分は保つから。頑張って」 中井出「それって薄めなけりゃ一回飲むだけで十回分保てたってことだよね!?     なんでわざわざ薄めたりしたの!」 殊戸瀬「喉が渇くでしょう?水も混ぜたほうが長持ちするから」 中井出「だから!薄めたりしなけりゃ10回分保って、     暑くもないなら喉も渇かなかったよ!!」 藍田 「そ、そんなこと言ってる場合じゃありません!サー!     さっさとドリンク飲んで走りましょう!!このままでは本気で保ちませんです!」 中井出「お、おお!そうだった!!」 我らチビチビ組は再び殊戸瀬二等に10倍薄め液を貰い、 今度はナギーも混ぜて五等分……。 これで逸るなってのが無理だよな。 中井出「よっしゃあダァーーーッシュ!!」 総員 『イ、イェッサー!!』 飲んだら即ダッシュ!!何処に行きゃいいのかなんてまるで謎!! だがそんなものがなんだ!解らんのなら片っ端だ!! 藍田 「提督!左右真ん中と道が分かれております!」 中井出「突き進むが吉!!」 丘野 「おーしゃあ!!」 うだうだやってる暇など無し!! 真っ直ぐ!真っ直ぐ!とにかく走れ!!  ボッゴォオオオオオオオンッ!!! 中井出「ほぎゃぁあああああっ!!マ、ママママグマが生き物みたいに!!」 藍田 「おお!ゲームとかアニメでよくある、切り立った地面を跳び越すマグマ!!     ファ、ファンタジィイーーーーーッ!!《ドジュウ!!》ギャアーーーーッ!!」 丘野 「あ、藍田殿!?藍田殿ォオーーーーーッ!!!」 藍田 「ギャアアギャアアアウギャアアアアアアアアッ!!!!!     腕が腕がぁああああああっ!!!」 藍田二等の腕にマグマの雫が落ちる! それは藍田二等の腕を溶かし───てないな。 藍田 「あ、あれ!?無事だ!!」 中井出「ま、まあ!さすがに腕が溶けるようなこと!ゲーム内じゃやらないよなっ!!」 ナギー『ゲーム!?なんのことじゃ!!』 丘野 「いいからもっと速く走るでござるよ!!」 藍田 「つーか腕が溶けなかった代わりにすげぇダメージ受けてる!     なんだよこれ!!HPが半分に!!」 麻衣香「ま、まさか掠りでもしたら絶対にHPを半分奪われるとか……!?」 夏子 「ちょっとちょっとぉっ!冗談じゃないよぅ!!」 殊戸瀬「……無視して進むしかない。敵が出ない限りはHPが減ろうが無視して直進」 丘野 「───でござるな!     HPを回復してたらいくつドリンクがあっても足りないでござる!」 総員 『原液分け合ってる貴様らに言われたくないわ!!』 ともかく走る!! 跳ねてくるマグマの蛇を屈みこんで避けたりジャンプして避けたり! とにかく真っ直ぐ走った!寄り道などせずとにかく走った! すると─── 中井出「───扉!?」 なにやら物凄く頑丈そうな、しかし思い切りここにボスが居ます的な扉に行き当たる。 しかしこの様子から察するに、なにか仕掛けがありますって雰囲気もバリバリだった。 中井出「こ、これは……!!」 藍田 「あ、あぢ……あぢぢ……水くれぇ……!!」 丘野 「ドリンク飲んでても暑いものは暑いでござる……!!」 夏子 「もうやだぁ〜……お風呂入りたい……水風呂に……」 麻衣香「目が……目が回るよぅ……」 ナギー『頭が……ぼ〜っとするのじゃ……』 殊戸瀬「………」 中井出「あ、あのさぁ殊戸瀬……?     な、なぁんで……お前ってばそんなに涼しい顔してるのかなぁ……」 殊戸瀬「……?一流のメイドさんは、暑くても汗なんか流さないから」 中井出「お前メイドじゃないじゃん!!」 殊戸瀬「細かいことは気にしなくていいの、提督」 しかしどうする!ああいや、殊戸瀬への疑惑はこの際どうでもいい! 俺が悩んでるのはこの扉の仕掛けについてだ……!! いったいどうすれば開くいいや壊そう。 中井出「ヘイ丘野二等!稀黄剣を貸してくれっつーかレンタベイビー!!」 丘野 「《パシィッ!》あぁなにをするでござる!それは拙者の」 中井出「いくぜ全力マグニファイ!!ブッ飛べ扉ァ!!“黄竜剣”!!!」  フィギシャゴバドッパァアアアアンッ!!!!! 総員 『ヒャーーーーッ!!?』 中井出「よっしゃあ開いた!丘野二等これ返す!そして突貫ンーーーーーーッ!!!!」 総員 『お───おぉおおおおおおっ!!!!』 もはやまともな思考は働かない。 何故なら頭の中は、一刻も早くここから出たいという思いだけだったのだから!! 仕掛け!?扉!?常識!?知らんヨそんなもの!! RPGの常識などブチ壊せるなら当然壊す!! そして───バフォォオンッ!!! イフリート『ククク……よく来たな冒険───』 総員   『オラ死ねぇえええーーーーーーっ!!!!』 イフリート『な、なにぃいっ!!?待て!まだろくに話も───』 中井出  「黙れクズが!!」 総員   『死ね!!』 イフリート『い、いきなりなんと失礼な!!』 麻衣香  「癒しと雄々しき力の波動よ!“漢神の祝福”!!」  キィンッ!モンシャンシャンシャンシャァアアン!! 戦闘開始とともに麻衣香の漢神の祝福が発動! HPTPともに完全回復!さらに攻撃力も5%アァーーーップ!! よしコロがせ!すぐコロがせ!全力でブッコロがせぇえーーーーーっ!!!! 中井出「死ねっ!!」  ブォンッ!! イフリート『フンッ!当たらん当たらん……!そんな力任せで焦りすぎた攻撃では』 藍田   「“粗砕”(コンカッセ)!!」 イフリート『《ドゴォンッ!!》ふぐぉぉっ!!?』 切り込んだ俺の肩を踏み台に跳躍、 高速で縦回転しての踵落としがイフリートの脳天に突き刺さる!! 丘野 「10分アビリティ“生分身”!!さらにそれぞれで“分身”を行使!!     これで50体分身!!さらに稀黄剣を双剣にしたのちに、     それぞれで技を乱行使!!これぞ───一人連携!!」 ゴシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャァアアアアアアンッッ!!!! 中井出「ぐわぁああああっ!!」 藍田 「目がっ!!目がぁあああっ!!!!」 50人に分裂した丘野二等のそれぞれが連携の輝きに包まれる!! それはもう、眩しすぎて目が痛くなるくらいに!! 丘野 「強引連携“無月散水”!!」  ズヂュィインッ!!! 叫ぶとともに消える丘野くん! 次にイフリートの周りに現れた丘野くんの数は───…… ざっと100を越えていたんだと思う。 確か無月散水って一人の状態で四人に分身して敵を切る技だから…… 単純に考えて、50×4は……200人!? さらに言えば丘野二等が持っている剣は“一閃”を“六閃”に変える宝剣。 一人が双剣で同時攻撃するとなると十二閃になるわけで……それ×200? イフリート 『な、なっ……なぁああああ!!!』 丘野×200『死ねぇええええええっ!!!!』 ───そして始まった殺戮の宴。 熱で暴走していた俺達も、200人の丘野くんの前にさすがに正気に戻り…… 総員 『……アーメン』 ただ十字を切る他なかった。 ゾガラシャシャシャシャシャドヂュゥウン!!ゾプシャゴプシャゾフィザフィン!! マチュゥンゴッパァアアアンッ!!!シャキィンゾバァッ!! ザガラシャシャシャシャシャゴバッシュバガァアアォオンッ!!! ドゴォンッ!!ゴバァン!!ドンチュゥウウウウウンッ!!!! ───……。 ……。 ……さて。 強引な連携の最中、 技術連携ボーナスで溶解やら核熱やら切断やらなにやらが起こりまくる中、 なんとか頑張っていたイフリートも……いまやボロ雑巾のように転がっていた。 200人に囲まれて斬られりゃ誰だってボロ雑巾になれる気もするけど。 ともかく今回ばかりはデカい身体が災いしたようで。 それこそ全方向を包囲されたかのようにボッコボコだった。 ───が。 イフリート『ぐっ……ふふふ……!!俺はまだ……やれるぞ……!!』 神様、ここにバケモノが居ます。 なんとイフリートが起き上がり、HPも少し回復した状態で復活したのだ!! もしやあれか!?一度倒しても復活するボスイベントみたいなアレ!! 記憶に新しいのではFF11の闇王あたりか? 復活とはまたちょっと違う気もしたけど。 丘野   「な、なんと見上げた精神力でござろう!       よもやあの攻撃の中で生きているなど!」 夏子   「言ってる場合じゃないってば!       こういう、敵が復活するパターンは大体が強い技を最初に使ってきて……!」 イフリート『ククッ……察しがいいな……!!』 ───ゴゴォッキィンッ!! 中井出  「景色の暗転!?───秘奥義か!!」 イフリート『猛き焔よ……汝に触れし者全てを滅さん。       我が灼熱の魔手にて……!!灰燼と化せェエーーーーーーイ!!!!』 イフリートが巨大化する! まるでビルのような、見上げるほど大きくなったイフリート! しかもそのまま嫌になるくらいの炎を腕に巻きつけて、 その拳を我ら目掛けて振り下ろ─── 総員 『ってちょっと待てぇええーーーーーーっ!!!!』 中井出「そ、総員!!防御重視レッツゴー!!」 総員 『イェッサギャアーーーーーーーッ!!!ズゴシャボゴォッッパァアアアアンッ!!!! 総員 『あぁああぎゃぁあああああああっ!!!』 拳が大地に触れた刹那、物凄い質量の炎が弾け、 半球となって俺達を飲み込んでも飽き足らないくらいに広がった。 もちろん俺達は吹き飛ばされ───今までにないほどのダメージを食らって転がっていた。 いや、むしろ生きていたのが奇跡だ……。 中井出「げっ……がっ……!げっほっ……!!あ、あぁ……!!」 よく生きてたものだと素直に感心した。 身体のところどころから煙のようなものが吹き上がり、 体全体を、火傷した時のじくじくとした痛みが断続的に襲う。 藍田 「う……あ……っ……キッツ……!」 丘野 「たい……りょくが……残り3しか……ないで……ござ……」 ───全員の無事を確認する。 だが全員が全員、瀕死の状態だ。 防御重視でこの有様……普通に受けてたら死んでたな……はは……。 中井出「〜〜〜っ……どう、なってんだ……!今までの精霊たちの……攻撃より……!」 藍田 「ぅ……ああ……!強すぎる……!」 殊戸瀬「……ぅ、く……。     人間にしてみれば……“炎”に対しての防御方法なんて……無い……から」 中井出「……、そっか……そういうこったか……」 いや、少し考えれば解ること。 どれだけ防御力が高かろうが、結局のところ生き物にとっての最大の弱点は“炎”。 いくら鍛えようが、装備を整えようが───熱を凌駕する高熱の前にはなんの役にも……! イフリート『よく生き延びていたものだ……だがこれで終わり───』 ガガシュガシュガシュショショリショリショリ……ゲェッフ……!!ポムポム。 総員   『復活!!』 イフリート『なにぃっ!?』 しかし愚かだ。 口上なんぞあとにしてトドメを刺さんから、回復する隙を与えることになるのだ馬鹿め。 というわけでミックスグミを早食いした。 ───HPもTPも完全回復!出費がかさむがこれは仕方のないこと!! イフリート『小癪……!!ならばくたばるまで続けるまでよ!!       劫火よ……全てを灰燼と化し、獄の熱にて焼き尽くせ!エクスプロード!』 ボシュゥウウンッ!!───魔法陣によって呼ばれた火珠が上空より落下してくる。 あれが地面に触れると大爆発を起こすのだ───みすみす喰らうか!! イフリート『フレアトーネード!!』 ボフォオオオッ!! 中井出「おわっ!?」 藍田 「メ、メーデー!提督殿に報告!突如炎の竜巻が出現!!     エクスプロード落下予想地点に引き込まれていきます!!」 中井出「耐えろぉおおおっ!!耐えなきゃ死ぬぅううううっ!!」 踏ん張る!!足が地面から離れたら本気で死ぬ! イフリート『イラプション!!』 メゴゴゴゴッ───!! 中井出「イラプション!?」 確か───地面が割れて、そこからマグマが噴き出す魔法……だったか!? 冗談じゃあねぇ!避けるなら地面から足離さなきゃいけないじゃないか!! こうなったら……! 中井出「ぬおおおお!!」 双剣を地面に突き刺し、それを杖代わりにザクザクとフレアトーネードから逃げてゆく!! すると─── イフリート『イグニート・ジャベリン!!』 中井出  「ちょっと待て!!そりゃお前反則───ギャアアアア!!!」 追加されて上空から降り注ぐもの。それは炎で象られた無数の剣だった!! 中井出「ち、ちくしょぉおおおおっ!!!」 それを双剣で弾く!───と同時、バランスを崩した俺は地面から足をオサラバし─── 中井出「あ」 藍田 「やあ」 丘野 「やや、これは提督殿に藍田殿。奇遇でござるな、はは……」 同じくオサラバしていたらしい藍田二等と丘野二等とともに、 フレアトーネードに巻き込まれボゴォッカァアアアンッ!!! 男衆 『ほぉおぎゃぁあああああああぁぁぁぁ…………───……』 エクスプロードによって、お空の星と化したのだった。 おお、この素晴らしき滞空時間……まさに国宝級───なんて言ってる場合か!! 中井出「だぁあああっ!!強ぇええええええっ!!!グミ!グミをぉおおっ!!!」 秘奥義ほど効かなかったのが幸いした。 が、それでも凄まじきダメージなのは確かな上に、 ただでさえだだっ広い広間のとても高い位置……天井付近まで吹き飛ばされた我らは、 このまま落下してミンチギャア!! そんな無様な死に方は遠慮したい!! 幸いにして魔法攻撃は我ら男衆に集中していた───つまり! 麻衣香たちは無事ということである!後方支援の陣形でいってたことが幸いしたのだ! 中井出「麻衣香ぁーーーっ!!風魔法で受け止めてくれぇーーーっ!!!」 麻衣香「えぇっ!?ごめーーん!!別の詠唱始めちゃってるから無理ーーーっ!!」 中井出「な、なんだってぇーーーーーーっ!!?」 ナギー『わしに任せるのじゃヒロミツ!!自然の力強さよ、我が友を守れ……!!』 ボゴッ! 藍田 「おおっ!?」 ボゴゴゴゴ!! 丘野 「おぉおおおぅ!?」 ナギーを中心に現れた魔法陣が瞬時に弾ける! それと同時に壁という壁から木が物凄い勢いで生えてきて─── 藍田 「お、おぉ〜〜〜っ!!     木の枝をクッション代わりにして助かるって寸法か〜〜〜っ!!」 丘野 「上空2000メートルから落下した軍人も、     木の枝のお蔭で助かったって実話もあるほどだ〜〜〜っ!!」 中井出「こ、これは期待できるぜ〜〜〜っ!!!」 我らの落下地点は既に枝の密集地帯となっていた。 この上に落ちれば、下につくまでには勢いが殺されてるって作戦よ〜〜〜っ!! フフフ、あの炎野郎め……! 下に降りたらどうしてくれようベゴキャメキバキゴキャキャキャキャアアアア!!!! 男衆 『ギョエァアアアーーーーーーッ!!!!!』 メキキキキキキ……ドシャア〜〜〜〜ン……。 男衆 『グビグビ……』 降りた時には虫の息だった。 むしろ絶命寸前。 丘野 「わ……忘れてた……。2000メートルから落ちた軍人は……     枝だけじゃなくて……枝に積もった雪も……クッション代わりに……ぐふっ」 藍田 「そういうことは……もっと早くに……げふっ」 中井出「フフフ……あ、あとを……た、頼んだ……《コトッ》」 女衆 『ど、独眼鉄ーーーーーーっ!!!!』 大変失礼な言葉を最後に耳にして、 俺達は光に包まれて神父のもとへと飛ばされたのだった。 Next Menu back