───冒険の書47/新世紀マグマダイバー───
【ケース192:中井出博光(再)/決死!結束の万人橋!の巻】 で。 中井出「ハイヨーシルバー!!」 藍田 「ゴールデン・シルバー!!」 丘野 「プロトタイプ・シルバー!!」 最寄の町に飛ばされた我らはすぐさまクーラードリンクを……予算の都合で一本だけ購入。 ルルカを借りると全速力でヴォル火山へと舞い戻り、 “これ以上進めない”と立ち止まるルルカを置いて己の足で駆け抜ける!! 中井出「おのれおのれっ!よくも我らを屠ってくれおって!!     絶対に許さんぞムシケラがぁーーーーーっ!!!!」 藍田 「この場合、相手の大きさも考えると俺達の方がムシケラです!サー!!」 中井出「それもそうだね」 丘野 「納得するんでござるか……ともあれ、もう少しでござる!!     きっと睦月たちが頑張ってくれているでござるよ!!」 藍田 「走れ走れ走れ!女人に戦場を任せたまま待つことなど無理!理解不能理解不能!」 中井出「だからこそ走れ!むしろ倒されていたら経験値もらえないし!うん!」 丘野 「照れ隠しでござるな!」 中井出「そ、そんなんじゃ《ボゴォオン!!》ギャアーーーーーーッ!!!」 藍田 「て、提督ーーーーーっ!!!」 丘野 「て、提督がマグマの蛇に飲み込まれたでござるーーーーーっ!!!」 中井出「うあぁああああああちゃちゃちゃちゃちゃほわちゃちゃちゃちゃああっ!!!!」 丘野 「も、燃えているでござる!提督殿が燃えているでござる!」 中井出「グ、グゥウウウ……!!た、立ち止まるな戦士たちよ……!!     俺のことはいい……!一刻も早く麻衣香たちを助けてや───」 藍田 「任せろ提督!!」 丘野 「それじゃあ先に行ってるでござる!!」 中井出「決断早ェエ!!ちょ、ちょっとは考えろぉーーーーっ!!!     うわぁああああん!!俺だけ独りなんてやだぁーーーーーーっ!!!」 丘野 「ヒィッ!?提督殿が燃えながら追ってくるでござる!!」 藍田 「だ、大魔王マグマビーストだぁーーーーっ!!!」 中井出「ヘンな名前つけんなぁあーーーーーーーーっ!!!!」 こうして俺は、マグマに燃やされながら走るハメになった。 ていうか消せる方法がなかったし、 むしろHPが1になってもマグマダメージでは死なないようだったので。 そして───ザザァッ!! 丘野 「大丈夫でござるか睦月!」 殊戸瀬「眞人……!」 藍田 「待たせた!平気か夏子!」 夏子 「亮!もう!心配させて!」 中井出「俺達が駆けつけたからにはもう大丈夫!」《ゴオオオオメラメラメラ……!!!》 麻衣香「博キャアアアーーーーーーーーッ!!!!?」 妻の心からの悲鳴は、俺の心をしこたま傷つけた。 まあ、そりゃあ駆けつけたダンナが炎の男になってたら誰でも驚くが。 夏子 「な、なに!?アレなんなの!?」 藍田 「ワールドヒーローズのNEO-DIOだ!!」 中井出「違うわ!!」 丘野 「ガイア幻想紀のテムの最終変身姿、シャドウでござる!!」 中井出「NEO-DIOもだけど今時そんなの覚えてるヤツ居ねぇよ!!」 夏子 「ふ、風来のシレンの火炎入道……!?」 中井出「余計に違うわ!中身!中身を考えようよ!なんで燃えてる現状だけ見て言うの!」 麻衣香「……スーパージャガー!?」 中井出「違うよ!!そりゃ確かにスーパージャガーは最後に燃えてるけど、     それ以前にそれこそ知ってるヤツも覚えてるヤツも希少すぎるよ!!」 殊戸瀬「……エロマニア」 中井出「違っ……違うよ!?違うもん!!」 つーか目的地には到着したんだから火を消しゃいいんだ!! とりあえず地面にゴロゴロと転がって───!! 中井出「そりゃぁあ〜〜〜〜っ!!人間魚雷〜〜〜〜っ!!!」 まず跳躍!そして格闘の指輪───はないから、身を捻って転がってゆく!! これぞダウンタウン熱血行進曲流・人間魚雷!! 横回転なのに何故か前に進むという奇妙技よ〜〜〜〜っ!!! 藍田 「……《うずり》……カミソリパスやぁーーーーーっ!!!」 ───その時である!! 突如、目の前で猫じゃらしをちらつかされた猫のように目つきを変えた藍田二等が、 俺目掛けて疾駆し、脇腹に鋭い蹴りを向けてきたのは!! 中井出「なにぃ!?《ドボォッシャァアアアアアンッ!!!》ギョアーーーーッ!!!!」 シャァアアン……キラキラ…… 燃え続けてHP1だった俺は、あっさりと昇天した。 ───……。 ……。 ややあって。 中井出「うあがぁああーーーーーーっ!!!藍田二等貴様ァアーーーーッ!!!!     よもやこの博光の命を狙っていたとは夢にも───」 殊戸瀬「遅い。今までなにしてたの」 中井出「えっ!?あ、いや……な、なにしてたのって……俺ボール扱いでゴートゥーヘル!     神父の野郎の話無視してここまで全速力で走ってきたんだよ!?     べつに道草なんか食ってないよ!?ほんとだよ!?」 藍田 「やぁ……すまんでありますサー!!回転してる姿を見ていたらつい!!」 中井出「“つい”で蹴るなぁーーーーっ!!     俺ここまで独りで走ってきてた時、寂しさのあまり泣きそうになったよマジで!」 俺、サッカーボールの気持ちとか解っちまった! もうサッカー出来そうにないよ俺! ……などと悲観に暮れていた時だった。 イフリート『いい加減にしろぉおーーーーーっ!!!!』  ドッゴォオオオオオオンッ!!! 総員 『ほぎゃぁあーーーーーーーーーーっ!!!!』 散々無視してたイフリートからの怒りの鉄槌が落とされたのである。 そりゃあまあ、 目の前でここまで盛大に無視してりゃあ精霊じゃなくても怒るってもんだろう。 イフリート『さっきからうだうだうだうだ……!       貴様ら、ここに来た目的を忘れたわけではあるまいな……!!』 中井出  「なにぃ、そういう貴様は俺達の目的を知ってるのか」 イフリート『え?……いや、それはその……お、俺を倒しに来たんだろう!!』 中井出  「違うわ!!なに知ったかぶりしてんだてめぇ!!」 総員   『そうだこのタコ!!』 イフリート『タコ!?』 ナギー  『目的を忘れたのかと問われ、       目的を知っているのかと返した者なぞ初めてみたのじゃ……』 中井出  「それが原中クオリティ。常識だけでは語れんのだ」 というわけで戦闘再開!! さぁ、存分に戦おう!! イフリート『まあいいだろう……!貴様らの目的などどうでもいい……!』 丘野   「おお!解らなかったからって開き直ったでござるよ!!」 総員   『クズが!!』 イフリート『う、うるさい!!だったら貴様らの目的を言ってみろ!!』 藍田   「おっとその手にゃ乗らねぇぜ?       てめぇ〜〜〜、そうやって俺達の隙を突こうってんだろ〜〜〜っ!       えぇ〜〜〜っ!?あたしにゃちゃーーーんと解ってんだよ!!」 総員   『クズが!!』 イフリート『ぐごっ……こ、この糞餓鬼ども……!!今すぐ滅ぼしてやる!覚悟をしろ!!       貴様らの目的ごと、貴様らを燃やし尽くしてくれる!!』 中井出  「なんだかんだで俺達の目的が気になってるんじゃねぇか〜〜〜っ!!       うむ!その素直さに免じて俺達の真の目的を教えてやろう!!」 イフリート『〜〜〜っ……いいだろう、聞いてや───』 中井出  「ウソだ。なに聞く満々になってんのキミ」 藍田   「やっぱり気になってるんじゃあねぇか〜〜〜っ!!」 総員   『クズが!!』 イフリート『オゴゴギャァアアーーーーーーーッ!!!!』 丘野   「ワー、怒った怒ったオーコッター♪」 藍田   「小さい小さい精霊小さーい♪」 イフリート『ギ、ギィイーーーーーーーーーーッ!!!!』《ブチブチブチィーーー!!》 おお!血管が物凄い勢いで切れる音がする! つーか炎の精霊にも血管ってあるのか!? なんにしても相手を逆上させて隙を作る作戦成功!! ナギー  『……ぬしらが敵じゃなくてよかったと、今は本気で思うぞ……』 麻衣香  「作戦とはいえ、       怒らない方がどうかしてるっていうのは解ってるんだけどねー」 夏子   「どうも、原中はそこのところのノリが身体に染み付いてるっていうか」 殊戸瀬  「申し合わさなくても声は合わさるし」 麻衣香  「そうなんだよね。たとえば───」 イフリート『貴様らもう許さん!!我が炎に焼かれ、その生涯を悔や───』 中井出  「黙れクズが!!」 総員   『死ね!!』 麻衣香  「───ってふうに」 ナギー  『……な、なるほどの……』 イフリート『き、貴様らには情ってものがないのか!!人が話をしている時に』 総員   『黙れクズが!黙れクズが!黙れクズが!!』 イフリート『ウバラギャアアアーーーーーーーーッ!!!』 ナギー  『……イフリートの方が不憫に見えてきたのじゃ……』 中井出  「さあみんな!ヤツはもう怒りでまともな判断など出来やしない!!       咄嗟の判断を無くした強者など、足元を掬われるために居るのだ!!」 藍田   「おお!物凄く切ない存在意義だ!!」 中井出  「故に!!怒りに我を忘れた貴様なぞ!       我らの敵では《バゴシャア!!》ギャアーーーーッ!!!」 藍田   「て、提督ーーーーッ!!!」 丘野   「て、提督が殴り潰されたァーーーーーッ!!!!」 ハ、ハハ……そうだね……そうだよ……。 怒りに我を忘れようが、その怒りは“相手を潰すため”に燃え上がったものだもの……。 そりゃあ、怒らせた相手への攻撃は正確無比だよね……。 なんか違うって……思ってたよ……───ドシャア……。 総員   『て、提督ーーーーーッ!!!』 藍田   「おのれ貴様ァ!!よくも提督を!!」 丘野   「ここで提督が死んでしまっては、       また倒さない程度に待ってなきゃいけないでござるじゃねぇか!!」 中井出  「言葉がヘンなくせにすげぇ失礼だぞそれ!!」 麻衣香  「あ、生きてた」 夏子   「さっすが提督さん!」 殊戸瀬  「……チッ」 中井出  「舌打ちするのやめなさい殊戸瀬!!───ともかく!       ここが貴様の墓場になること請け合い!観念して宝玉を渡せ!!」 イフリート『断る!!どうしても欲しいというのなら俺を倒してみせろ!!』 中井出  「ならば死ね!!飛翔せよ剣の軌跡!“剣ッ閃”!!」  コキィンッ!シャキィンッ!! 双剣を振るって剣閃を二つ放つ。 TP上、二回までが限度だが当たればそれなりのダメージは約束される。 もちろん当たればなんだが─── イフリート『無駄だ無駄だ!こんな適当に放たれた剣閃などこうして躱して』 藍田   「“粗砕(コンカッセ)
ェッ”!!」 イフリート『《ドゴシャアン!!》はぶぉあっ!!』 剣閃を避けたイフリートが、再び同じ手を喰らってコンカッセで脳天を打たれた。 ……学習能力無いのかな、あいつ。 まあ確かにイフリートって頭悪そうな印象あるけどさ。 ああいやそれはあとでどうとでも考えよう! 今はコンカッセによって前のめりに倒れてきたこの巨体をどうしてくれるかだ!! ───いいや!めんどい!! 中井出「オペラツィォン:イレイザー!!───丘野二等!セットイン!!」 丘野 「えぇっ!?またでござるか!?     この暑い中でキャプテンソードはキツイでござるよ!!」 麻衣香「あ、ちょっと待った。魔法っていうのは詠唱命……だよね?」 中井出「む?そりゃそうだが」 麻衣香「魔法書にも詠唱のこと以外は書いてないわけだし───」 丘野 「……?そうでござるな」 藍田 「どうかしたのか?綾瀬」 麻衣香「や、ちょっと。ノームが唱えてた詠唱でも試してみようかと。     ───大地の咆哮。其は怒れる地竜の双牙!!“グランドダッシャー”!!」 ゴコォンッ!!ゴババババァアアアアアンッ!!! 総員 『おっ───おぉおわぁああーーーーーーっ!!!!』 唱えるとともに、魔法陣が確かに弾けた。 次いで、麻衣香を中心に見当違いの場所の大地を削るのは大地の波。 中井出「ギャア馬鹿ァーーーーーッ!!!性能考えてから唱えろォーーーーッ!!!!」 藍田 「うおぉわぁあっ!!大地が!大地が荒れ狂うっておわぁあーーーーーーっ!!!」 丘野 「た、立っていられないでござギャアーーーーーーッ!!!!!」 藍田 「お、丘野ォオーーーーッ!!」 中井出「お、丘野二等が岩盤の波に飲まれたァーーーーーッ!!!」 麻衣香「わ……す、すごい……成功しちゃった……」 中井出「感激してる場合かぁーーーーーーっ!!!     お前またMNDマックスで魔法放ったろ!!」 麻衣香「え?あはっ、あはははははっ!!」 中井出「笑い事じゃっ───お、おわわわゎあああああああっ!!!!」 ドゴゴシャバキベキゴシャベキャ!!! 総員 『ギャアーーーーーーーーーーッ!!!!!』 ゴシャア〜〜〜ン……キラキラ…… 麻衣香  「あ、あれ!?ちょっと!!みんな待ってぇえーーーーーーっ!!!       わたしだけ一人なんてやだぁあーーーーーーっ!!!!」 ナギー  『……一応、わしも居るがの。この馬鹿者めが!少しは考えてから───』 イフリート『面白い……!!小娘風情が……!!       仲間を殺めてまで俺と一対一で戦いたかったということか……!!』 麻衣香  「あ、あわ、わわわわ……!!あわぁーーーーーーっ!!!!!」 ───……。 ……。 中井出「いやぁ……不意打ちだったなぁ」 丘野 「そうでござるなぁ」 藍田 「あまりの不意打ちっぷりにガードポイントに振り分ける暇もなかった」 夏子 「驚いたねー」 殊戸瀬「痛かった……」 ドゴォオオオオンッ!!バッゴォオオオオオオンッ!!!! 麻衣香  「うわわゎわゎわわゎあああああああっ!!!!       み、みんなぁっ!!ごめんったらぁっ!!謝るから!!       謝るから戻ってきても談話しながら眺めてないで助けてよぉ〜〜〜っ!!!」 イフリート『すばしっこいやつだ……!!いい加減くたばるがいい!!』 麻衣香  「キャーーーーーーッ!!?」 ナギー  『仕方ないのぅ……直接的に戦いに協力なぞしたくなかったのじゃが。       Remplissez-le. Le chuchotement de la nature qui devient du gaspillage』 振り下ろされる豪腕を前に、ナギーの歌が奏でられる。 途端───バゴシャギキィインッ!! イフリート『……!?ドリアード!貴様!』 イフリートの拳が、突如生えてきた木々によって止められた。 ナギー  『女一人に全力で拳を下ろすなぞ。ほんに男かおぬし』 イフリート『黙れ!俺は差別などせん!!戦場でそんなことを唱えて誰が頷くか!』 ナギー  『それでもじゃ。男は女を守るもの、という言葉を知らんのか』 イフリート『守りたいヤツが守ればいい!俺はそんなこと知らん!!』 総員   (断言した……!ある意味漢らしい……!!) イフリート『それに……誰に向かって口を利いている?       いくらお前が高位精霊だとはいえ、木が炎に勝てるとでも思っているのか』 ナギー  『……ふむ。一般的に考えることしか出来ない低脳な輩では、       そう思うことしかできぬのじゃろうな』 イフリート『なにっ───!?』 ナギー  『燃やしたくば燃やしてみるがよいわ。       その代わり、そちらが動くのならばこちらも動かせてもらうがの』 イフリート『ほざけ!!我が炎腕よ!業火に飲まれろ!』 イフリートの腕から物凄い質量の火が吹き荒れる! このままでは─── 中井出  「───!いかんナギー!やはり───あれ?」 ……や、吹き荒れているんだが……木々は一向に燃え尽きやしない。 確かに“焼かれて”はいるんだが、“燃えてない”のだ。 イフリート『な……に……!?これはっ───』 ナギー  『おぬしも浅はかよのぅ。       この程度の火力では、わしの木を燃やすことなどできんよ』 イフリート『何故だ!こんな筈は……!!!』 ナギー  『簡単なことじゃ。       木々に巡る樹脂や樹液、水の量を異常なまでに高めてやった。       そうなれば木々は湿り、焼かれはするが燃えはせんのじゃ。       くくっ……ほんに浅はかよのぅ。木は必ず燃えるものだとでも思うたか。       ───甘く見るでないぞイフリート。わしを誰だと思っておる』 中井出  「魔力は高いけど重い責任の前には泣いてしまう子供」 ナギー  『う、うるさいのじゃヒロミツ!!黙っておれ!!』 そして吹き飛ぶシリアス空間。 ただの、いつかのお返しである。 イフリート『高位精霊か……よもや、ここまで魔力の質量が違うとはな……。       燃やせぬわけだ。だが───!!』 ナギー  『───?』 イフリート『さらに炎の質量を上げればどうなるかな!?フハハハハハ!!』 ───ゴゴォッキィンッ!! イフリート『───あ?なんだ?景色が暗転───まさか!』 麻衣香  「ううん、間違い。ナギちゃんじゃないよ」 イフリート『……?冒険者の小娘か。一体なんの真似───』 麻衣香  「秘奥義───“賢者の英知”」 イフリート『なに……?』 総員   『おおっ!』 説明しよう! 賢者の英知とはワイズマンの秘奥義であり、 TP全てを使うことで1分間の間、詠唱破棄状態で魔法を思う存分放てるのだ!! 麻衣香「タイダルウェイブみたいな巨大な大津波は出せないけど!!“ノア”!!」 ゴカカカカカカカァアアアアアンッ!!! 麻衣香が魔法名称を口にした途端、 麻衣香を中心に展開されていた魔法陣が次々と現れては弾けてゆく!! それとともに暗転した景色の奥から津波が幾度も幾度も迫りくる!! イフリート『《ジュワァアッ!!》ぐ、ぐおぉおおおおおっ!!!?』 もちろん弱点属性であるイフリートにとって、 この連続魔法はたまったものではないだろう。 事実、イフリートは身の危険を感じたのか、宙に浮いて津波から逃れようとする!! 中井出「丘野二等!セットイン!」 丘野 「ラジャー・ビュー!!」 中井出「よっしゃいけ藍田ァーーーッ!!」 丘野 「そおおおおおおおうりゃぁああああっ!!!!」 だがさせん!! 俺と丘野は駆けてくる藍田の前に手を下ろし、丘野と繋ぎ合う。 やがて藍田がそこに足を乗せた刹那! STRマックス状態で一気に上空へと飛ばした!! イフリート『───!?なに!?』 藍田   「“(ブロ)───焼き(シェット)ォオオッ”!!!!」 その姿がイフリートの頭上へ届く頃。 己の全体重と回転を加えることで威力を増した片足での錐揉み突きが突き刺さる!! ドゴジャバッシャアアアアアンッ!!! イフリート『ぐっ……───っっはぁああああああっ!!!!』 おおベラボー。 その威力はさすがの一言。 見事イフリートを再び津波の中に串刺しにした藍田二等はザッパァアアンッ!! 藍田 「ギャアーーーーーーーーーッ!!!」 ……一緒になって波に飲まれた。 藍田 「ぶっは!べぼはっ!ウギャアキン肉マーーーーン!!!     この津波痛ぇ!!地震とかで津波に飲まれた場所の惨劇の意味が解る!!     レベル低いとこりゃ一発で死ぬわ!つーか綾瀬ぇえええっ!!     お前またMNDマックスで《ザッパァン!!》ギャアーーーーーーーーッ!!!」 丘野 「ああっ!藍田殿が第二波にやられたでござる!!」 麻衣香「ど、どうするのーーーっ!?止めたほうがいいーーーっ!?」 藍田 「だ、だめだーーーーっ!!それはだめだぁーーーーっ!!!     俺のことはどうでもいいっ……!!     そいつを……イフリートの野郎をやっちまえぇーーーーっ!!!」 麻衣香「うん解ったーーーっ!!」 藍田 「物解り早ぇえーーーーーーーーっ!!!!     じょ、冗談です!この波マジでキツイです!     このままだとマジで死にます!!勘弁してください!助けてぇええ!!」 中井出「あ〜〜……飛んでくる水飛沫がほてった身体にありがたい」 ナギー『涼むのじゃ〜……』 藍田 「てめぇら少しはこっちの心配しろォーーーーーッ!!!     って言ってる間にさっきより大きな津波がぁあっ!!ギャアーーーーーッ!!!」  ザパァッシャァアアアアアンッ!!!バシャシャシャシャアアア……!! ……ザァアアアア…… 中井出「………」 もう一分経ったのか、ようやく津波魔法ノアが引いた頃。 ところどころにあった岩は砕け、その場の地形は明らかに津波によって削られていた。 そんな、恐ろしい威力の津波に完全に飲まれてしまった藍田二等は…… オリバ「私の筋肉の厚さは世界一だ。     この程度の津波ではとてもとても内臓までは……」 オリバとなって、引いてゆく津波の中心に堂々と雄々しく立っていた。 総員 (……ああ……やっぱりパンツ一丁だ……) 人間じゃないって言葉、その通りだと思うよ……園田警視正。 イフリート『ぐ……!お、俺はまだ……!』 ───ってオイ!!まだ生きてるのかよイフリートのヤツ!! ……アレ? オリバ  「馬鹿だぜアンタ」 イフリート『!!』 謝謝、楊海王……。 ベッシャアアアッ!!バキベキ!コキッ……ポキン…… ───……。 ……。 オリバ「最後の最後まで……スマートな野郎だぜ」 総員 (イフリートを潰しちゃったよこの人……) なんという腕力ッ!!なんという怪力ッッ!! 水を受けすぎてて小さくなってたとはいえ、 イフリートの頭掴んで楊海王のようにグシャグシャに潰しちまうなんて……!! しかも片手ですよ神様!!  マカァーーーーンッ!! 藍田 「はふぅ……って、な、なんだよみんなして、     そんな伝説上の生物見たみたいな顔して」 中井出「や……言い得て妙っつーか……」 丘野 「イフリートがあまりにも可哀相っていうか……」 麻衣香「どちらにしろ物凄いパワーだね……」 まさに怪力無双……。 中井出「で……どうしようか。また目覚めるまで待つのか?」 藍田 「それもどうかなぁ。もうこの際、盗んでってもいいんじゃないか?」 丘野 「賛成でござる。いい加減早くこの火山から出たいでござるよ」 中井出「ん、そうだな。それじゃ、えーと……っと」 ぐしゃぐしゃになったイフリートに近づいてみると、丁度その懐……か? ぐしゃぐしゃ過ぎてどこがどこなのか解らんが、そこらへんの炎から宝玉が転がってきた。 俺はそれを手に取るとジュウウ!! 中井出「うおちゃぁあああーーーーーーっ!!!!」 叫んだ。 丘野 「なにごとでござる!?     もしやイフリート!?イフリートがしぶとく生きてたでござるか!?」 藍田 「や。ただ宝玉に熱がこもりすぎてただけだろ」 その通りだった。 正直なんでこんな熱いもんを直に触ってしまったんだと 己自身に幾度もツッコミを入れたい次第ではある。 そもそもあいつの懐にあったんならそれくらい解りそうなもんだろう。 中井出「麻衣香〜、水魔法かけてもらっていいか〜?」 麻衣香「あ、うん。ちょっと待って。TPがすっからかんだからオレンジグミ───って。     敵を倒したんだから自然回復するね。じゃあ、ちょっと座ってよっか」 ナギー『いやじゃ〜……暑いから早く出たいのじゃ〜……』 中井出「ということらしいので、これ食ってぱぱ〜っと頼む」 ヒョイとオレンジグミを投げると、ソレをハッシと受け取る麻衣香。 だが─── 殊戸瀬「違うわ提督」 中井出「殊戸瀬?……嫌な予感がするから出来れば会話を成立させないでほしいんだが」 殊戸瀬「あなた……それでも男なの?」 中井出「───男ォ!!」 藍田 「や、そこでわざわざ凶徒の拳の真似しなくていいから」 殊戸瀬「熱いのがなんだというの?提督ともあろう人が、富樫源次に負けるというの?」 中井出「え───いや俺べつに男塾塾生じゃないし……」 殊戸瀬「それでも油風呂くらいには勝ってほしい。提督として」 中井出「提督だからって我慢大会で優勝したって意味ないよね!?」 殊戸瀬「───……」 中井出「グ……」 ジッと見つめられると、なんだか男を試されてるような……なにくそ!! 中井出「お、俺が原沢南中学校提督!中井出博光であるーーーーーっ!!!!」 俺って多分長生きしないんだろうと思いつつ、ガッシィと宝玉を掴んだ!! するとドヂュウウウ!!と手を襲う熱ってギャアーーーーーーーッ!!!! 中井出「いあぢゃいだだだ焼ける焼けるギャアーーーーーーッ!!!!     ぎ、ぎぐぐがが……!!だがこの博光!!玉ごときに負けはせん!!     貴様の男を見せてみよ!!───歌えぃ!野郎ども!!」 総員 『おぉーーーーーーーっ!!!!!』 ザザッ……総員が後ろで腕を組み、応援団のように仁王立ちをする。 やがて─── 総員 『日本男児の生き様は 色無し 恋無し (なさけ)有り     男の道をひたすらに 歩みて明日を魁る     嗚呼男塾 男意気 己の道を魁よ     日本男児の魂は 強く激しく 温かく     男の夢をひたすらに 求めて明日を魁る     嗚呼男塾 男意気 己の夢を魁よ 嗚呼男塾 男意気 己の道を魁よ』 ナギー『……な、なんなのじゃこの歌は……!     なにやら胸の奥で喩えようの無い雄度が猛っておる……!』 雄々しい歌がこの広間を支配する時、俺はついに手の中の熱さを越えた……!! ───なんてことがあったらよかったんだが。 中井出「ママママママ……!!マ゙ーーーーーーッ!!!!」 ジュウウウ───ヂュウッ!! 中井出「───よし!!熱は体温にて調節完了!……代わりに、無情にもHPは1だが」 麻衣香「うん、わたしのほうも回復魔法分はTP回復したから。癒しの光よ。“ヒール”」 シャラァァアアンッ♪《HPが回復した》 中井出「おおサンクス。     完全回復までには至らんかったが───今はとにかく火山探検だ!     逃すことなく宝を拾えェィ!!」 ザザァッ!! 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサァー)!!』 暑いから走る!さっさと逃げたいから走る!! 後先なんぞは考えん!! ───……。 ……。 ヂリヂリヂリヂリ…… 総員 『ア゙ァアアァァァアア〜〜〜〜……』 まいった……暑い……クーラードリンクが尽きた……。 丘野 「……げ、幻覚が見えるでござる……」 藍田 「マ……マッスルの神様が見える……」 夏子 「目の前が歪んで……あぁ……」 麻衣香「茹でられてるみたい……頭がぐわんぐわんする……」 脳が揺れる。 ショート寸前の回路が美しくも素晴らしい思考を紡ぎ出す。 暑い場所に行って暑いと言ってしまうように、 それはまるで無意識のままに口からこぼれたのであった。 中井出「フ……ふふふ……その夜が美しいと感じた。OHポンパドゥール……」 麻衣香「夜とはかくや、人の感情を奮い立たせる時よ」 夏子 「実、世界に蔓延る悪鬼夜漢の総勢とも言える者どもが夜にこそ吼えると人は言う」 藍田 「毒牙に襲われるのは女人と極一部の嗜好の男性。     掘られたら刺し殺しとけ。視線で」 丘野 「人というのはとかく、投げ遣りになった時こそ力を発揮するのだと人は言う。     じゃあ常時堕落しとんのかお前は。常日頃からアイムマッチョで居ろちくしょう」 中井出「などと愚痴っても仕方ないわけだが。OHフルナドゥール」 麻衣香「まあなんにせよこの夜に感謝を。そしてようこそ、この素晴らしい惨殺空間へ」 藍田 「いくぞ英雄王つーかゴッド。     チェーンソー対策は十分か?いや死んどけ。いいから」 中井出「OHアブラドゥール。     ラブラドールなゴールデンじゃねぇぞ。黄金かよ貴様。いくらだ。     ちなみにアブラドゥールってのはアヴドゥルの親戚じゃないよ?」 ナギー『……なにを言いたいのじゃ?』 総員 『暑ぃ……』 脳がとろけそうだ。本気で。 誰か助けてくれ。 ナギー『我慢するのじゃ……。あとこの道の探索だけで終わりであろ……』 中井出「フッ……理屈では捕らえられない心の葛藤に……     もう少しなんて気休めは無為に等しい……」 藍田 「つーかさ……ホントどうして殊戸瀬は……涼しい顔してるんだ……?」 殊戸瀬「……以下同言」 中井出「よく解らんが……極めた人は汗すら隠せるらしいぞー……」 藍田 「へえ……そりゃすげぇや……」 なんだかんだ言いながら歩くペースは落としていない。 歩き方など既にゾンビだが、それでもだ。 心はいつだって外への脱出を考えているのだから、ぐったりと歩いていても始まらん。 と───そんな葛藤を心の中で展開していると、ようやく辿り着く道の最奥。 そこにちょこんと点在している宝箱を見て、俺達は暑さも忘れて駆け出した!! 中井出「ここまで苦労させたんだ!きっといいものが入ってるに違いねぇ〜〜〜っ!!」 丘野 「開けるでござる提督!今こそ!!」 藍田 「俺も手伝うぜ〜〜〜っ!!せぇーーーのっ!!ソィやぁあっ!!」  ギシィッ!! 中井出「………」 丘野 「………」 藍田 「……あれ?宝箱が開かねー……」 中井出「こんなばかな!ここまで苦労させといて鍵つきか!?」 殊戸瀬「……ん」 中井出「む?殊戸瀬?……って……」 殊戸瀬二等がとある場所を指差す。 と───そこにあるのは、宝箱の一点。 フタと本体がくっついている金具のところだった。 よく見れば……暑さで溶けて、くっついてしまっている。 うわぁ…… 中井出「どうする?これ……」 藍田 「そんなに重くないし……持って帰りましょう、サー」 丘野 「賛成でござる」 中井出「よっしゃ。じゃあ男三人で持ち上げて、とっとと逃げ出そう」 総員 『イェッサァッ!!』 俺達はさらに嬉々として宝箱を持ち上げ、いざ涼しき外界へと───ゴタタタタッ!! 総員 『ざわ……』 ───走り出そうとしたら、なんと宝箱が勝手に動いた。 これは……いわゆるデストラップ代表のミミックさんですか? はたまた中は並列世界に繋がっていて、生ける変身ステッキでも安置されてるのか? ……なんのこっちゃ。 中井出「ノックしてもしもーし。言葉を話せるなら話みろー」 ───シン…… 中井出「マグマ行き決定」 宝箱 『……ッ!!?』《ガタタタタッ!!》 藍田 「ミミックなんて、リスクが大きいくせに小さなメダルくらいしか持ってないしな」 丘野 「さよなら箱野郎。     拙者……箱のくせに殺人呪文使ってくる貴様が大嫌いだったでござるよ」 中井出「俺もだ」 藍田 「俺も」 夏子 「わたしも」 麻衣香「わたしも」 殊戸瀬「……そうね」 ナギー『……?よく解らんが、そうなのじゃ』 満場一致!! よし死ねクソヤロウ!! 中井出「あ、でも中身は普通に気になる。     ということで、マグマから盛り上がる蛇状の溶岩───     別名サラマンダーに溶かしてもらおう」 藍田 「お、そりゃ名案」 丘野 「楽しみでござるよ」 ナギー『こういうことになると、途端に元気になるのじゃなおぬしら……』 中井出「原中大原則ひとぉーーーーつ!!」 藍田 「楽しいと思ったことは全力で楽しまなければァーーーーンならないッッ!!」 丘野 「つまりそういうことでござるよ!!」 そんなわけでダッシュ!! 丁度、今こそ盛り上がらんとするマグマを発見!! 俺と藍田と丘野は今こそ沸き上がるワクワクさん魂を活力として、 宝箱を持ったままサラマンダーの中へと投身した!!  ボゴォッファァアアアアアンッ!!!! 男衆 『ぎゃあちゃぁああああああああっ!!!!』 もちろん絶叫。 瞬時に全身火傷&発火状態に陥り、その場をゴロゴロと転げまわった次第である。 やがて炎が消える頃、プスプスと煙を出しながらニヤリと笑い…… 中井出「フ、フフフ……わ、我ら三人……」 藍田 「生まれた時は違えど……」 丘野 「死ぬ時は同じ日同じ場所で……」 麻衣香「あーはいはい。なんだって煙出して倒れながら桃園の誓いをしてるの……」 なんでだろう。 そんな異常空間はさておき、上部が完全に溶けて絶命してる手の中のミミックを見た。 ……うん、ミミックだ。やっぱりミミックだったようだ。 俺達ゃ死なないが、やはりこの世界の存在は普通に地形の影響を受けてしまうらしい。 そりゃ、普通はマグマに当たれば一撃でアウトだろう。 ともすれば、ナギーも……死ねば死んでしまうのだろう。 ナギー『……?なんじゃ?』 中井出「……んーにゃ」 プスプスと煙を出しつつ、ナギーの頭をポムポムと撫でる。 さて……肝心のミミックの中身は…… 中井出「……?なんだこれ。短剣?」 藍田 「みたい……だな。やぁ、あのまま投げ捨てなくてよかった」 丘野 「それはいいからさっさと出るでござるよ!     そろそろ本気で平常ではいられない拙者になってきたでござる!!」 中井出「だな。よし!脱出ーーーーーっ!!」 総員 『ハワァーーーーーーーッ!!!!』 宝さえ取れりゃあもうこんな場所には用はねぇ〜〜〜っ!!! そんな意を込めて、かつてない速さで俺達はヴォル火山を脱出───ガコォンッ!! ゴガガガァアアアアアンッ!!! 中井出「どっ……わッ……!?」 藍田 「じ、地震っ……!?」 丘野 「み、みんな!伏せるでござるーーーっ!!!」 突然の地震だった。 いったいなにが、と思ったが─── ナギー『……そうか、ここらは……』 中井出「し、知っているのか雷電……」 ナギー『う、うむ……知識としてじゃが聞いたことがある……。     ここの近くにはの、巨人たちの狩り場があるのじゃ……』 中井出「な、なにーーーーっ!!」 藍田 「きょ、巨人たちのか、狩り場があるだとーーーっ!!?」 丘野 「な、なんだか嫌な予感がするのぅ……」 麻衣香「ナギちゃん……染まっちゃったね……」 夏子 「そうだね……素で雷電の真似が出来るくらいまでになると……」 うむ、大変嬉しい事実である。 しかしそうか……ここらに狩り場───ってことは、 その近くか遠くかに巨人の里があるってことか? 藍田 「おっ……地震、治まったぞ」 中井出「オッ……ほんとだ。それじゃ───ぐあ」 丘野 「?どうしたでござ……あ……」 ……なんてこと。 帰り道の切り立った道が、地震によって崩れてしまっている。 この距離はちと……ジャンプで通れるほど生易しくないぞ……? 中井出「───丘野二等。アレは出来そうか?」 丘野 「フッ……当然でござる。この丘野眞人にお任せあれ。     そりゃあーーーーっ!!!“生分身”!!」 ズララララァアアアアッ!!! 丘野二等が一気に25人に分身する! さらに、いつかの大地の洞穴の時のように人間梯子を作る!! 丘野A「これぞ男塾名物人間橋!“万人橋”!!     あとは前に倒れ、てっぺんの拙者が崩れた先の岩を掴めば成功でござる!!」 藍田 「だ、大丈夫なのか?前は失敗して……しかももし出来たとしても、     触れられりゃあ分身が消えるんだろ?」 丘野A「心配は無用でござるよ!エキストラスキルに“生分身強化”があったでござる!     今や分身にもHPが振り分けられているでござる!!     歩くくらいならHPは減らないでござるよ!」 藍田 「おおっ……まさにパーフェクト!!」 丘野A「ではっ……いくでござる!───そりゃぁーーーーーーっ!!!」 グラッ……ゴォオオオオオッ!!───ビタァーーーーーーンッ!! 丘野A「ギャアーーーーーーッ!!!!」 中井出「お、丘野二等ォーーーーーーーッ!!」 藍田 「あ、あのばかっ!また顔面から!!」 中井出「───!!い、いやっ!まだだ!あいつは……本気だ!     気を失うまいと、気力を振り絞り……しがみついている!!」 藍田 「え───ア、アアーーーーッ!!!」 遠く続く万人橋。 その先で、丘野二等は……確かに岩の先端を掴んでいた。 その在り方……その姿に、俺達は酷く心を打たれたのだ。 丘野A「フ、フフフ……さあ……!渡ってゆくでござる……!!」 中井出「お、丘野……き、貴様という男は……」 丘野A「な、長くは保たないでござる……さあ、早く……」 中井出「───っ!すまん!!いくぞみんな!決して立ち止まるな!!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「いくぞ丘野二等!!貴様の決死の行動───無駄にはせん!!」 俺達は一斉に頷くと、脇目も振らずに駆け出した!! 今はここを無事に出ることこそ目的……!! さあ、この向うにある光輝く出口へと───!! 殊戸瀬「……っ───!あっ……!!提督!!止まって提督!!だめ!!」 中井出「え?」  ゴリリッ。 丘野Z『ウヒャァアーーーーーーーーイ!!!!』  ズリャアッ!! 中井出「だわっ!?おわわわわぁあああっ……ギャアアアアアアアアアアッ!!!!!」 藍田 「ひえっ!?ちょ───待てぇええっ!!     全速力中に急に止まれるかぁあああっ!!」 ドドンッ!ドンッ!! 夏子 「うわわっ!?ちょ、押さないで麻衣───あぁああああっ!!!!」 麻衣香「うわひゃっ!?あぁあああああああっ!!!!」 ……突然のことだった。 総員がAGIに全てを注ぎ込み、一気に駆けぬけようと走った時。 そう……まさに俺の足が丘野二等の右肩甲骨をゴリリと踏んだ時だった。 途端、丘野二等は絶叫し、掴んでいた前の丘野二等の足を離してしまい───落下。 橋は決壊し、車の如く急に止まれなかった俺達も─── 事情を知っていたらしい殊戸瀬二等と、 浮いていたナギーを置いて、マグマの海へとダイヴした。  ドッパァアアアアアアアンッ!!!!ジュウウウウウウ!!!!! 総員 『しゃぎゃあああーーーーーーっ!!!!』 サラマンダーに当てられても死ななかった我らだが、 さすがにマグマの海には絶命効果があったらしい。 当然俺達はあっさりと神父送りにされ、 のちにナギーに運んでもらって帰還した殊戸瀬二等の口から、 丘野二等が肩甲骨への刺激に極端に弱い事実が知らされたのだった。 ……そういう無駄知識はもっと早く言おうね、殊戸瀬……。 Next Menu back