───冒険の書62/クランの番犬さん───
【ケース219:中井出博光(藤原再)/“ふじわらのさい”と読む】 それからの僕らはきっと、人というよりは悪魔的だったに違いありません。 属性で言えばニュートラルというよりは明らかにダークサイドです。 それでもここに居る悪魔は皆仲魔に出来る存在らしく、 レベルを上げたり武器を盗んだり防具を盗んだりするついでに話し掛けたりして、 頑張って仲魔を集めようともした。 したんだが……これがまたどういうわけか全然仲魔になってくれやしない。 だから僕らはとうとう強硬手段に出たのです。 黒ローブの男「邪教の館へようこそ……どんな用かな?」 中井出   「このノッカーとピクシーを合体しろ!今すぐだ!!」 ノッカー  『はなせー!!なにするんだこのやろー!!』 ピクシー  『こんなところに無理矢理連れて来て……!なんのつもり!?』 藍田    「フハハハハ!!勝手にほざくがいい!!        合体さえしちまえば“今後トモヨロシク”だ!!」 そう。これが強硬手段。 話をしても絶対に襲い掛かってきて、 “やる気”ばかりを見せられた僕らがキレた末である。 敵のままの悪魔を無理矢理邪教の館まで連れて来て、これまた無理矢理合体させるのだ。 そうして完成された悪魔はきっと、 心やさしく“今後ともよろしく”と言ってくれることでしょう。 藍田    「さあおっさん!今すぐ合体しろ!!」 黒ローブの男「仲魔になった状態でなくては合体できません」 総員    『あ……やっぱり?』 どうにもならなかった。 中井出 「よしノッカー!仲魔になれ!」 ノッカー「ふざけんなー!見せたるオイラの百万馬力!!」 ノッカーはやる気だ!! 中井出 「どんな味がするのかって俺が食って吐いたマグネタイトあげるから。      今なら漏れなく俺の胃液付きだぞ?」 ノッカー「そんなんいるかー!!」 だめだ話にならない!ノッカーはやる気だ!! 仕方なく我らは邪教のおっさんの目の前で、 例のごとくカツアゲをすると彼らをボコボコにした。 藍田 「なんか段々迫りつつある自分が怖い……」 中井出「それを言うなよ……俺だって正直、自分の人間性疑ってんだから……」 冗談以外で自分がやられて嫌なことはしない主義の我ら原中。 しかしこれはその流儀に反しているわけで。 だがこうでもしないと金が集まらんのも確かで。 中井出「ウ、ウウ……ウググーーーーーッ!!!     しょ、諸君らに告ぐ!!これより我らはやはり悪鬼と化す!!     この“時の回廊”の中でのみ、ド外道さんと化せ!!     盗みや強請りや恐喝なんでもオッケー!!ど外道さんよ……()
れ!!」 藍田 「ぐくっ……!!今までの命のなかで一番キツい命だ……!!     素直にイェッサーと言えない……!!」 殊戸瀬「ここに来てから散々傍若無人に働いてたのに?」 藍田 「それでも心から頷くのと軽い気持ちでやるのとは訳がはうあ!!」 中井出「ど、どうした藍田二等!!」 藍田 「そ、そうだ……軽い気持ち!軽い気持ちでこんなことをしていい筈が無かった!!     ニュースとかでもあった筈だ!軽い気持ちでやったら大変なことに!って!     ならば提督!我らはこの場に限り、心の底から鬼になる必要がある!!」 中井出「その心は!?」 藍田 「中途半端に最低行為をしたら相手が浮かばれない!!     目的のため、志のためと趣を高くしなければ、     遊びでコロがされる悪魔たちが浮かばれんのです!!」 中井出「そ、そうか〜〜〜っ!!」 丘野 「お、おお〜〜〜っ!!こ、今回は貴様に教えられたぜライトニング〜〜〜ッ!!」 中井出「ジョワジョワジョワ〜〜〜ッ、そうと解ればこうはしちゃいられねぇ〜〜〜っ!!     早速心からワルになって目的達成のために鬼になるぜ〜〜〜〜っ!!」 僕らの心に救いが降りた! そして僕らはこの“時の回廊”でのみ悪鬼と化そう!! 麻衣香「ああ……また悪い発作が……」 夏子 「こればっかりは“原中だから”で納得するしかないよ、麻衣香」 麻衣香「解ってはいるんだけど納得は出来ないっていうか……はぁ」 さあ行こう! 僕らの夢と希望をウェルカムさせるために!! ───……。 ……。 というわけで。 中井出「ポセイドンウェーーィ!!!」 モゴッシャァアアアアッ!! プリンシパリティ『くわぁあああっ!!?』 藍田      「オラァアアッ!!大人しくその剣渡すんだよォォオオオッ!!!」 丘野      「さっさと手ェエエ離した方がオメェのためなんだぜ〜〜〜っ!?          えぇーーーーーっ!!?ストンピングストンピング!!」 ガスドスゴスドス!! プリンシパリティ『ぐっ!うっ!くぅっ……!!』 中井出     「───!よっしゃあ離した!錬気の剣ゲットォォォォ!!」 丘野      「ククク、最初っからそうやって離しときゃあよかったんだよォォォォ」 藍田      「次は金だ!持ってンだろテメェーーーッ!!」 僕らは見事にド外道さんとなっていました。 武器を持っているヤツと会うと即座に囲むと、まず強奪をします。 それが済むと今度は金の強奪です。 僕らは容赦の一切をしないと誓いましたので、本気で遠慮は無しです。 プリンシパリティ『げ、外道……!!』 中井出     「ンッン〜〜〜、今の我らには最高の褒め言葉だ」 藍田      「1000$か……天使ならもっと持ってねぇンか?」 丘野      「まあ無いなら無いでしょうがあるめぇよ……。          というわけで仲魔にならない?」 プリンシパリティ『誰がなるものか!!』 当然の返答だった。 丘野 「仕方の無い……。勇ましいことだが、素直に頷かなかったことを貴様は後悔する」 藍田 「今の我らはまさに鬼……。我らを喩えるのならば邪神と唱えよ」 中井出「魔封波じゃあーーーーーっ!!!」 ガッシィッ!! プリンシパリティ『な、なにを───!?』 中井出     「なにって……無理矢理COMPに押し込める」 プリンシパリティ『なっ!やめなさい!!』 中井出     「黙りなさい!!既に中にはたくさんの悪魔が待っている!!          寂しくないぞ!うむ寂しくない!!          COMP内での合体も出来るらしいので既に何回か実行済み!!          邪教のおっさんなどクズだ!融通が利かないにも程がある!!          ふははははは!!さあああ次はどんな悪魔が生まれるかなぁあ!!」 プリンシパリティ『こ、この悪魔っ……!!』 中井出     「うむ悪魔なり!!好きに呼べ!今の俺は仙水さんに          “ここに人間は居なかったよ”と言われて殺されても本望!!          大魔王封じ〜〜〜〜〜っ!!!!」 キュバァアアアアアアアッ!!!!! プリンシパリティ『あぁあああああああああっ───……』 ……キュポン。ピピンッ♪《プリンシパリティを仲魔にした!!(忠誠度:0)》 中井出「さて、こんなヘソ曲りな天使さんも悪魔合体でアラ不思議、     ボクによろしくと言ってくれるほどに気安くなってくれます」 今や女性陣も鬼と化している状態。 今の俺達ゃ間違い無くダークサイド。 だがそれでも突き進む!話しても無駄ならこうするしかないでしょう!! ゼクンドゥスさん設定ミスしてません!? 俺こんなアグレッシヴな仲魔システムの女神転生って初めてだよ!! 中井出「うむ!なんにせよいい調子だ!この調子で悪魔を怯えさせてくれよう!!」 藍田 「悪魔どもが話をまともに聞かないのは俺達を小馬鹿にしている所為!」 丘野 「つまり!やつらが我らに畏怖を覚えるくらいに我らの知名度が上がれば、     きっと話くらいは聞く筈!!     ……まあ、聞かなかったらアグレッシヴに仲魔にするだけだけど」 チュゴォンッ!!《霊鳥スパルナが現われ───》 中井出「あいやぁーーーーーっ!!!」 ガボォンッ!! スパルナ『ッ…………!!』 現れたばかりのスパルナをCOMPで殴るようにして収納!! 何故“あいやぁ”なのかは気にするな! ともかくヤツが暴れ出す前にCOMPを操作し、合成剣の設定をして実行!!  メェエエエエリキキキキキキキ……!!! COMP『ギャアアアアアアアアアアッ!!!!』 COMPの中からスパルナの断末魔が響く!! 恐らくCOMPの中でミンチにされつつ、剣と融合されている故だろう。だが無視。 やがて声が聞こえなくなると、COMPから小狐丸が飛び出した。 レシピは“錬気の剣+霊鳥スパルナ”である。 藍田 「クックック……提督も鬼でありますなぁ……」 中井出「クックック……この場所では躊躇したヤツが馬鹿なのだよ……」 丘野 「さあ……もっと生贄を探すでござるよ……」 麻衣香「男たちは馴染むのが速かったね……」 夏子 「言っても仕方ないってば」 殊戸瀬「槍の武器が少ないのはちょっと」 吹っ切れてしまえばこの“時の回廊”も悪くない。 ちなみにこの場合、“吹っ切る=悪に染まる”ってことで。 ともかくゴー!原中ゴチュゴォンッ!《霊鳥フェニックスが》 中井出「そぉい!!」 ガボォンッ!! フェニックス『ピギッ!?』 再び急に現れたファックス(フェニックス)をCOMPにゴー!! そして再びCOMPを操作して剣合成を実行!! またメリキキキと鳴るCOMPと、ゴシャアンと叩き出される新たな剣。 雷を帯びたそれは雷神剣という名前だった。 フフフ、この場所に霊鳥系悪魔がよく出ることは調査済み。 このままここで立ってればきっとまたチュゴォオンッ!!───来た。 《霊鳥スザクが現れた!!》 しかもお誂え向きだ。ククク……!! しかしレベル40以上の敵となると、 ダメージを与えてからじゃなけりゃCOMPに封印出来ない。 中井出「ヘイライトニング!!」 藍田 「ジョワジョワジョワ〜〜〜ッ、任せておけ〜〜〜っ!!!     “腹肉(フランシェ)シュートォッ”!!」 ドボォッ!! スザク『グエェエッ!!?』 藍田 「ア〜ンド!───変ッ身!!」 マカァーーーーーン!! オリバ「フフッ……コレハチョット痛ェゼ……?」 ───ゴォッキィンッ!! 景色の暗転、そして発揮されるオリバ秘奥義! つーか変身した次の瞬間に秘奥義使うなんてなぁ。 などということを、俺と猛者たちは華麗なる撲殺空間を眺めながら思った。 腕(羽)を折り、足を砕き、顔面に頭突きを埋め込み身体を楊海王マッシャーで潰し…… およそ人体(人じゃないけど)が死を免れるギリギリの破壊ッッ……!! それが済むと暗転は消え、オリバの秘奥義は終わりを迎えた。 ……ホントはトドメにオリバストレートが残ってるんだが、それは発動しなかったようだ。 ちなみにオリバストレートってのは、 ジェフ・マークソンを一瞬にして絶命に導いたあの拳である。 オリバ「そら……シコルスキーだ……。遠慮しねェで持って帰ったらいい」 中井出「仕事が…………早ェえんだな……」 俺はオリバが差し出す超瀕死のスザクを受け取ると、早速COMPに収納。 雷神剣との合成を実行し、“銘刀虎鉄”を作成した。 中井出「よ〜しよしよし順調だ……。あとはヒトコトヌシが現れれば……ククク」 丘野 「ヒトコトヌシなら拙者のCOMPに収納されてるでござるが?」 中井出「くれ!」 丘野 「フフフ……人身取り引きとは我らも地に落ちたものよのォォォォ」 中井出「人物称号も既に“腐れ外道”になってる……。     ウフフフフ、なにを今さらって感じよのォォォォ」 丘野 「それでは早速。出ェて来い出ェて来いィ、すぅ〜〜りゃあ!!」 コシャアアアアアン!!───丘野くんは国津神ヒトコトヌシを呼び出した!! ヒトコトヌシ『バカメ……!!ワザワザ外ニ出ストハ』 中井出   「バッスーピンコオ拳!!」 ヒトコトヌシ『《ドッパァンッ!!》ゲハァッ!!?』 マイトグローブによる、 バッスーピンコオ拳+徹し+ボマースキルがヒトコトヌシを黙らせた! その隙にCOMPにパイルダー!!アァーーンド合成!! ヒトコトヌシ『キ、貴様ラ!イズレ貴様ラニハ天罰ガ───』 中井出   「天罰が怖くて神をチェーンソーで斬殺出来っかタコ!!」 藍田    「悪魔とでもなんとでも言うがいい!!俺達は逃げも隠れもせん!!」 ヒトコトヌシ『オ、オノレェエエエエッ!!!』 ゴシャアンッ……!!《夢想正宗が完成した!》 中井出「おおマーヴェエラス!!正宗だ正宗!!」 藍田 「いやー実にダーク!!もうなんでも来いだ!!」 殊戸瀬「正宗……日本では酷く有名な刀。切れ味はとても素晴らしいもので、     当時烏合の衆が如く所狭しと存在していた刀鍛冶の中でも、     選りすぐりの刀匠だったらしい。それが正宗。正宗とは刀匠の名であり、     正宗は刀に自分の名を彫らないことで知られていた。     名前が彫られている正宗は贋作、偽者であり、     当時はその刀の素晴らしさにあやかろうと、     贋作を作っては売りつける刀匠が後を絶たなかった。     その所為でやがて偽物が多く出回りすぎ、     本物の正宗が真に実在するかを証明できる人は、     それこそ真に存在しないとも言われている」 丘野 「そ、そうなんでござるか?詳しいでござるな睦月」 中井出「ありがたみは出るだろうけど本物じゃないなら要らないよなぁ」 藍田 「だなぁ。正宗は確かに有名だけど、結局は“人間が作った武器”なわけだよな。     神が鍛えたとかじゃないから、普通はそんなに強いとは思えないんだけど」 丘野 「ああまったく」 麻衣香「で……次はなんだったっけ、睦月」 殊戸瀬「眞人、小狐丸はもうひとつ持ってる?」 丘野 「あるでござるが?」 殊戸瀬「だったら地母神イシュタルと一緒に夢想正宗と合成させる」 夏子 「イシュタルならわたし持ってるよ」 中井出「じゃあさっきみたいな面倒にならんように、     木村夏子のCOMPの中で合成させよう」 夏子 「イェッサー!」 丘野 「合体!」 藍田 「アー!サー!童!子!!」 木村夏子のCOMPにまず銘刀虎鉄、次に小狐丸を入れ、そして剣合成を実行する。 すると完成する“天沼矛”。 日本列島を創造したとされる伝説の武具である。 中井出「よっしゃよっしゃーーーーっ!!あと一息だぜーーーっ!!」 夏子 「次は?」 殊戸瀬「また小狐丸が必要」 総員 『またか……』 殊戸瀬「天叢雲があるだけでもいいんだけど」 天叢雲か……残念だが持ってない。 中井出「持ってる敵は?」 殊戸瀬「国津神オオナムチ。まだ一度も会ったことが無い」 中井出「グ、グゥウ……!!」 オオナムチか……確かに会ったこともない。 レアなお方なのか、……って、そうじゃないよな。 この回廊に敵が多すぎるのだ。 望んだ敵が現れること自体が奇跡的すぎる。 殊戸瀬「オオナムチがダメなら、     天沼矛と小狐丸と天津神ヒノカグツチを合成させればいい」 中井出「また悪魔もプラスして合体させなきゃならんのか……」 麻衣香「天津神も女神転生での呼び方で言えば悪魔でいいのかな……」 中井出「我らが納得出来ればそれでいいのでは?」 麻衣香「理屈は解るけどさ」 夏子 「ヒノカグツチ作成への道は遠いね〜」 殊戸瀬「スサノオを倒して手に入れる方法もあるけど?」 中井出「全然出ないから無視しよう」 藍田 「だよな。そりゃ出てきてくれるなら楽だけどさ。     こうやって作っていくのも相当に面白い」 丘野 「そうそう、なんだかんだでここの戦いにも慣れてきたでござるよ」 中井出「立ち回り方さえ理解しちまえばこっちのものさ!」 というわけで───この武器どうしよう。 中井出「考えてみりゃさ、こうやって武器合成させたはいいけど……     装備出来るジョブのヤツが居ないんだよな。     俺、剣士以外を極めたいとは思わないし」 むしろマグニファイに惚れ込んだ。 これは一度使ったら他のジョブになどなれない。 武器でジョブが変わってしまうシステムになってからというもの、 持つ武器への心は深い物へと至ったのである。 藍田 「ヒノカグツチは剣だろ?だったら稀黄剣と合成させちまえばいいんじゃないか?」 中井出「あ……そか。それに矛なら……」 殊戸瀬「……?」 藍田 「あぁ、なるほど。     矛なら槍に分類されるだろうし、殊戸瀬が装備してればいいわけだ」 殊戸瀬「………」 ひょいと渡すとトスと受け取る殊戸瀬。 早速装備してみて、無表情のままに振るっては頷いている。 うーむ……相変わらずこいつの行動パターンは謎ばかりだ。 これは感触などを確認してる……と考えていいのだろうか。 殊戸瀬「……シッ」 ヒュフォフォフォフォンッ!! 殊戸瀬「…………攻撃力は高いけど連続性に欠ける」 ……冷静に分析され、冷静にダメ出しされる最古の創世矛さま。 あんまりだな、うん。 そりゃな、確か女神転生の中でも攻撃回数が“0〜2回”という半端なものだった筈。 この世界がそれっぽく、しかし現実に近い構成で作られているのなら、 攻撃回数がそのまま使い勝手に関わっているのだろう。 つまり攻撃回数に“0”なんて数字があるあの矛の性能は低いと思われる。 殊戸瀬「………」 で、無言でさっきまで装備していた槍を装備する殊戸瀬。 ああ……どうやら創世の矛はあっさりと見限られたらしい。 中井出「じゃあ、このまま天津神ヒノカグツチを探すかオオナムチを探す方向で行くか」 麻衣香「そうだね。じゃあ───」 チュゴォンッ!!《外道スライムが現れた!》 藍田 「話の腰折るんじゃねぇーーーーーーっ!!!」 ベゴッチャアーーーーーッ!!! スライム『ゲルガァアアーーーーーッ!!!』 外道スライムが藍田二等の蹴りで霧散した。 なんとかならんか、この立ってるだけでも敵が出てくるシステム。 しかもゲルガーって。 藍田 「とォーもかく!我らは立ち止まることなく敵をコロがしまくり、     もっともっと知名度を上げるべきであります!」 丘野 「そうでござる!せめて会話が成立するくらいまで有名になるでござる!」 麻衣香「有名になるためにコロがすのってどうなのかなぁ……」 夏子 「悪っぽくていいんじゃないかな」 麻衣香「……吹っ切ったね、夏子」 夏子 「原中だもん」 麻衣香「や……胸を張られても」 なによりもまず有名になる必要がある。 名声を上げるのだ!いや、名声というよりむしろ悪名を!! どうせなるなら悪名名高き修羅となれ!! さあレッツゴー!! ───……。 ……。 そんなわけで僕らは───マヂュウウウンッ!!《魔王ヘカーテが現れた!!》 ヘカーテ『クフフハハハ……!!貴様らの噂は聞いているぞ……!      どうじゃ?わらわの手先とならぬか……?』 総員  『………』 いつしか悪名が広がりすぎて、魔王にスカウトされてました。 いかん……こんな筈ではなかった気がするんだが……何処で間違えたのやら? 中井出 「よし、ならば取り引きをしよう」 ヘカーテ『クフフフフ……人間風情が取り引きと来たわ。      まあよいわ……言ってみるがいい。事によっては褒美をとらせてやってもいい』 中井出 「ククク……俺が欲しいのは貴様の命だ!!」 ヘカーテ『なにっ!?』 俺達は突然襲い掛かった!! ヘカーテ『待て!貴様ら命が惜しくないのか!?』 だめだ話にならない!つーか俺達はやる気だ!! 藍田  「魔王だかなんだか知らねぇがなぁ!      魔王を名乗るならもっとレベル上げてから来い!!      精進を忘れたアタマに従うつもりはないんでね!!」 丘野  「死ね!!」 ヘカーテ『フン!言いおるわ!!ならばわらわの力、その目で』 中井出 「“バーストナックル”!!」 バンガァッ!! ヘカーテ『くあっ!?お、おのれ!話くらいは』 中井出 「魔王を倒せば悪名はさらにアップ!絶対に逃がさん!!      “ソォオーーーーードボンバァーーーーーッ”!!!」 キィンッ!!ドゴゴゴゴォオオンッ!!! ヘカーテ『くあぁあああああっ!!!!お、おのれ忌々しい!!』 マイトグローブで爆裂ナックルを放ったのち、 その場で跳躍すると後退ったヘカーテ目掛けて剣から爆裂する波動を飛ばす! これこそこの場で閃いたクロードくんの技、バーストナックルとソードボンバーである。 藍田  「ほぅれ魔王さま!提督ばっかに気ィ取られてっと危ねぇぞっとォ!!」 ヘカーテ『なっ……《ドゴォンッ!!》ぐぶはっ……!!』 空中から着地する俺に気を取られていたヘカーテに誰よりも早く駆け寄った藍田が、 擦れ違い様に強烈な蹴りをヘカーテの腹部に埋め込むように振り切った。 それはまるでよくできた鋭く太い鞭だ。 ヘカーテは内臓を抉り取られる思いだろう。 胃液を吐き出し、腹を庇うように身体を屈めた。 丘野  「これが最後の警告でござるが───我らが原中の仲魔になるでござるか!?」 ヘカーテ『ふ、ぐっ……!ク、フフフッ……!!言いおるわ……!!      だが無駄なことよ……!わらわは腐っても魔王……!誰が人間ごときに……!』 丘野  「そうでござるか……残念でござる」 言葉とともに25体に分身する丘野。 その末に待つ技は───ヒロラインにおける数少ない“必殺技”である。 発動とともに景色が変色するかのように反転する。 閃きは一手前の戦いの中で終わり、アルケニーが塵と化したばかりだ。 最初は本気で驚いた。 発動すると秘奥義とは違い、景色の色が反転し、景色と行動の一つ一つに残像が付く。 “必殺技”の名の通り、“必ず殺す技”だ。 分身した丘野たちはヘカーテを中心に円を作るように立ち、 龍虎双刀から放たれる闘気を糧に魔法陣を完成させる。 それは龍虎滅牙斬の途中の魔法陣の輝きと同じ輝きを見せ、 ヘカーテの体を闘気で空中へと吹き飛ばしてゆく。 だがそれだけでは終わらない。 24方を囲んだ丘野二等の分身自体が光となり、 空中に飛ばされたヘカーテ目掛けて一斉に飛翔する!! 丘野 「“風塵(ふうじん)ッ……封縛殺(ふうばくさつ)”!!」 ゾガガガガガガガゴバァッシャァアアアッ!!!! 十二の龍の顎と十二の虎の顎がヘカーテを塵と砕く。 言葉通り塵くらいしか残らず、文字通り必殺をして見せた。 龍虎双刀と生分身、そして風の宝玉の力があって初めて閃くことが出来る技、らしい。 分身に龍と虎と風の力を込め、分身自体を刃とした攻撃。 相手を囲み、浮かせてから実行させるので避けるのは困難とされているらしい。 塵となったヘカーテを見て、俺達はその威力にやはり溜め息をもらした。 龍刀と虎刀の固有秘奥義はどれもとんでもない。 残念ながら緋凰絶炎衝は無いようだが、それでもあの二つだけでも十分すぎる。 藍田 「悲鳴すら上げられなかったか……」 夏子 「必殺技って他にもあるのかな……」 麻衣香「あればいいと思うけど、取得条件厳しいんだろうね」 中井出「なにせ必殺技だからなぁ……簡単に出来たら敵が怖くなくなりすぎるだろ」 しかし技、奥義、秘奥義で終わりだと思ってたら。 まさか必殺技なんてニクイ演出技まであるとは。 でも……風塵封縛殺以外に必殺技っぽいものなんて在り得るかね? ……まあ、とか思いつつ、一つだけは予想がついてるんだけどさ。 中井出「まあなにはともあれ!魔王をコロがしたんだしこれで名声も上がっただろ!」 丘野 「しかしまさかスカウトしにくるとは思わなかったでござるよ」 藍田 「会話をするっていう条件では、     俺達と悪魔は同じってこったな。まあ気長にやろう」 中井出「よっしゃよっしゃ!では早速出口を探しつつ、     出口が見つかったらそこの周辺を斬殺空間に変えよう!」 総員 『サーイェッサー!!』 さあどんどん進もう! 欲しいものは意地でも手に入れる! もはや一撃死以外はそう怖くないぞ!……多分。 マヂュゥウウウン……!!《妖精クーフーリンが現れた!!》 中井出「あ」 出た。 何気にこの世界に来てからずっと会ってみたかった敵にようやく会えた。 チラリと見れば、明らかに殊戸瀬の目つきが変わっていた。 その視線の先は……やっぱりクーフーリンが手にする槍。 女神転生シリーズの中ではそう強い武器ではなかった気がするが、 それでも伝承を知る者としてはゲイボルグは意地でも手に入れたい宝具なのである。 中井出   「ヘイミスター!仲魔になって!?」 クーフーリン『ダークサイドで有名な貴様らが私に仲魔になれと?性質の悪い冗談だ』 中井出   「だったらその槍くれ!!」 クーフーリン『断る』 中井出   「だったらもっとクールでニヒルで時々お調子者で、        女と見たらだらしなくなるような調子の言葉遣いをしてみてくれ!!」 クーフーリン『……何を言っている?』 中井出   「コノヤロー!!なんでもかんでもダメだダメだで通ると思ってんのか!!」 麻衣香   「博ちゃんっ!博ちゃんっ……!!明らかに暴走してるから落ち着いて!!」 中井出   「オッ……お、おお……これはすまん」 いかんいかん、落ち着こう。 クーフーリン『おかしなヤツだ。いいだろう、話くらいは聞いてやる。        元々、魔王を倒した人間とやらをこの目で見てみたかった故の参上だ。        話をしてみるのも趣がいいだろう』 中井出   「その意気や良し!!ついでに仲魔になって!?」 クーフーリン『………それは断った筈だが?』 中井出   「それでもである!!我らとともに旅をしよう!!」 クーフーリン『………』 藍田    「呆れられてないか?提督」 中井出   「構わん!俺は彼の力が欲しい!むしろ剣士として痺れる憧れるゥ!!」 クーフーリン『……物は相談だが』 中井出   「いいの!?」 クーフーリン『話は最後まで聞け。……なにか誠意を見せてはくれないか?        共に戦いたいというのなら、        それだけ価値を見出せるものをくれると頷けるかもしれない』 中井出   「ではこの八束の剣などを」 クーフーリン『ふむ……まだ足りぬ』 中井出   「むむ……じゃあこのクチナワの剣を」 クーフーリン『ふむ……まだ足りぬ』 中井出   「なんと!?贅沢だぞてめぇ!!」 藍田    「てーとくてーとく!!相手英雄!英雄!!」 中井出   「お、おお、そうだった」 危ない危ない……いつもの調子でサミングとかするところだった。 中井出   「じゃあキミがニヒルになりますようにという意味を込めて。妖刀ニヒルを」 クーフーリン『……邪魔をした』 クーフーリンが去っていった!! しかし俺は回り込んだ!! クーフーリン『なッ……!?』 中井出   「おやおや……これはお久しぶりですね」 フフフ……回り込みが敵だけの専売特許だと思ったら大間違いだ。 中井出「何が望みだコノヤロー!!このHPを完全回復させる不思議な宝玉か!?     はたまたこの魔石か!?……ま、まさかマッスルドリンコ!?     ええいもう解らん!どれも受け取れコノヤロー!!」 宝玉、魔石、マッスルドリンコを渡した!! すると─── クーフーリン『……お前の誠意、確かに受け取った。        私は妖精クーフー・リン。人知を超えた我が槍術、とくと見るがいい』 なんと!クーフーリンが仲魔になってくれた!! 中井出(……マッスルドリンコかな?) 藍田 (マッスルドリンコだろ……) 丘野 (物好きでござるな……八束の剣やクチナワの剣よりもマッスルドリンコを……) 麻衣香(宝玉や魔石よりもマッスルドリンコかぁ……) 夏子 (すごい趣味してるね……) 殊戸瀬(……脳内がきっと藍田くんと一緒なのよ) 藍田 (し、失礼な!!) なにはともあれ仲魔になってくれたクーフーリンが光となり、 我がCOMPに消えようとする。 だがそれは否だ。 中井出   「あぁ、違う違う。契約したいのはそこの女だ」 クーフーリン『なに?』 夏子    「えあっ!?て、ててて提督さん!?」 中井出   「……ファイッ!!」 夏子    「ファイじゃないってばぁあっ!!」 クーフーリン『………』 中井出   「ところで契約しようとしてくれたよしみでお願いがあるんだが」 クーフーリン『なんだ?お前には沢山の誠意を貰った。少しは聞こう』 中井出   「おおそうか。物は相談なんだが───」 僕は、彼にいろいろな話を話して聞かせてた。 ───……。 ……。 ややあって。 ランサー『これでいいのか?』 男衆  『グッジョブ!!』 僕らの願いは叶えられた。 藍田が持ってた防具をクーフーリンに装備させ、 さらに口調を変えてもらったりもした。 髪はもちろんツンツンとしたもので、項あたりでひと房結んである。 呼び方は呼びやすいように“ランサー”にさせてもらった。 契約もしっかり終了していて、 僕らが初めて普通に契約できたのはクーフー・リン、ということになった。 今までのは契約というよりは檻に閉じ込めてた状態だったし。 ランサー『よく解らんな……こんなことをしてなにになる?』 総員  『いや、ただ面白いだけ』 ランサー『………』 彼は呆れたようだったが、僕らはそれでも嬉しかった。 よもやきちんと契約してくれる悪魔が現れるなんて、夢にも思わなかったからである。 しかも相手はクーフーリンさん。 嬉しくないわけがない。 ランサー『では私は───』 中井出 「いやいやいや、“では”じゃなくて“じゃあ”、または“そんじゃあ”。      そして“私”じゃなくて“俺”」 ランサー『……困った奴らと契約してしまったかもしれないな……』 藍田  「ただ冒険するだけじゃつまらないだろ?      だからこういう無駄な娯楽が必要になるわけなのだ」 丘野  「そうでござるよー?普通に進むより楽しいほうがきっといいでござる。      クーフーリン殿、貴殿も吹っ切れればその楽しさがきっと解るでござる」 ランサー『やれやれ……』 ランサーは呆れたような笑みを浮かべると、木村夏子のCOMPへと消えていった。 理由や動機はどうあれ、クーフーリンが仲魔になった! 中井出「よっしゃあ!密かな目的達成!     この調子でもっともっと悪魔を仲魔にしよう!」 総員 『サーイェッサー!!』 さあ、ようやくサマナーっぽくなってきました! つーか誰とも契約出来ずにヤケクソになって 無理矢理COMPに封印するサマナーなんてサマナーじゃねぇよ! 藍田 「じゃあまずは出口探しだな。その付近で───」 シュオォオオム……!!《聖獣パピルサグが現れた!》 丘野 「パピルサグ!?懐かしいィイイーーーーーッ!!!」 麻衣香「な、なんだろ……この懐かしさは……!」 夏子 「何故かどの悪魔よりも懐かしく感じるこの名前……いったい……?」 中井出「ところで思ったんだけどさ。     “幽鬼ヤカー”を篠瀬さんに会わせて、     “生き別れの妹だ!”とか言ったらどんな反応するかな」 総員 『斬殺決定だと思う』 中井出「やっぱり?」 まあとりあえずどうでもいいことはここらにして、 律儀に待ってくれてるパピルサグに話し掛けてみる。 パピルサグ『オレ、オマエ、ブッチギリ!!』 だめだ話にならない!! ってしまった!今フルムーンか!! でも律儀に待ってくれてたキミのつぶらな瞳にカンパイ!! 中井出「木村夏子!GO!!」 夏子 「イェッサー!!契約者の名のもとに命ずる!!───来い!ランサー!!」 キュィイイ───ドシュゥウウンッ!!! ノリノリの木村夏子が叫ぶと、COMPから光が溢れてランサーが現世する! ランサー『マスター、妙な呼び出し文句は勘弁してもらいたいのだが……』 夏子  「口調が違う!」 ランサー『はぁ……ったく、はいはい』 指摘されてからすぐに応じてくれるのは彼のやさしさだと思います。 苦労かけます、でも頑張ってプリーズ。 ランサー『お前が相手か?聖獣殺しの趣味はねぇが、マスターからの指示なんでな。      運が悪かったと諦めてくれや』 中井出 「よし木村夏子!さらにゴー!!」 夏子  「10分アビリティ発動!“冥哭の泉”!!      これにより場に出した悪魔の真の能力が発揮される!!      ───ランサー!手加減無しでやっちゃって!!」 ランサー『ハッ、ありがてぇ命令だ!』 コォオオオ……─── 静かに、辺りの熱が低下した。 景色の色は反転し、ランサーが構えた槍が凶々しい紅蓮の闘気を立ち昇らせる。 ランサー 『その心臓……貰い受ける』 パピルサグ『───!?』 ランサー 『“突き穿つ(ゲイ)───死翔の槍(ボルグ)”!!』 大きく振り被られ、やがて投擲される槍。 それはパピルサグの心臓を狙うには明らかに高すぎた投擲だった。 パピルサグとてそれが暴投だと認識したように、可笑しく蠢いたくらいだ。 ───だが。   カッ───ドンッッ!! パピルサグ『───』 頭上を飛び、やがてパピルサグの後方に落ちるだけだったであろう槍は、 槍としての飛翔軌道の概念を殺した飛翔を見せた。 直角より遙かに鋭く軌道を変えた槍は、 寸分の狂いもなくパピルサグの心臓があるであろう場所を刺し貫いていた。 そのあまりの鋭さに硬い甲羅にヒビさえ残さない威力で、精密に。 ……やがて、パピルサグは塵へと還る。 恐らく即死だったのだろう。 掠れた声さえ出せないままに即座に息絶えた。 藍田  「す、すげぇ!!ナマのゲイボルグだ!!ナマボルグ!!」 ランサー『妙な略称で呼ぶんじゃねぇ!!』 藍田  「ソ、ソーリー」 藍田二等が怒られた。 けどどうやら口調は着々と染み込んでくれているようだ。 そして“必殺技”の中にはやっぱりゲイボルグは含まれていたようだった。 いやぁ……でもまさか本当にやってくれるとは思わなかった。 どうやら木村夏子が 10分アビリティでクーフーリンを強化してやらないと発動出来ないみたいだけど。 夏子 「うぁあー……強いけどTPが半分減ってるや……」 麻衣香「それって10分アビリティ使用+TP半分消費が使用条件ってこと?」 夏子 「……みたい」 ランサーをCOMPに便利に収納しつつ、木村夏子が微妙そうな顔をする。 やっぱそんなもんか。なにせ必殺技だもんな……条件が厳しいのは当然だ。 中井出「なにはともあれだ!これで僕らの戦いがさらに楽しくなった!!     この調子でどんどんと新要素やらなにやらを探していこう!」 総員 『サーイェッサー!!』 今こそ僕らの夢と希望よウェルカム!! 僕らはこの世界で新たな歴史を作る!多分!! 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