03/魔法世界編はタイトルの魔法先生と関係ないじゃんっていうけど魔法使う先生でネギま部なんだからむしろタイトル通りなんだよって子供みたいに言い合うぼくらはなんだかんだでネギまが好き

 コキィイインッ───ゾシャアッ!!

中井出「招待だーーーーっ!!」
総員 『Yah(ヤー)ーーーーッ!!!』

 ユグドラシル、猫の里内のガノトトス湖の前に降り立ち、サッと一声。
 その声に気づいたくーさんと楓殿がこちらを向いた瞬間、この場に亜人種が一気に集合した。

古菲 「…………ネコが二足歩行で走てるアル」
楓  「これは随分と賑やかでござるなぁ」

 亜人種が僕等を囲むように集合。
 その中からジョニーがとことこと歩いてきて、「ゴニャッニャォウ!」とお辞儀をする。

ジョニー『お帰りなさいニャ旦那さん』
中井出 「うむ。することは全部聞いてたよね?」
ジョニー『もちろんぬかりなくニャ』
中井出 「おおそうか。では───くーさん、楓殿。
     これから貴女がたにはここで、好きなように修行を積んでもらいます。
     ここは広大に広がる剣と魔法と乱世の世界、フェルダール。
     様々な冒険と熱烈バトルが貴女達を待っています」
古菲  「ムムム……? つまり鍛錬場アルか?」
中井出 「鍛錬場が世界になった〜と考えていただければ。
     ただし外の世界とは完全に乖離された世界であって、
     ここで何をしようが外に漏れることはござんせん。
     ただし死ねば本当に死ぬので……まずはこれをどうぞ」

 ノートン先生の力をダウンロード……両手にナビネックレスを生成し、くーさんと楓殿に渡してゆく。
 もちろんもういっちょ生成して、気絶中のキティの首にかけてやるのも忘れない。

中井出「さ、よろしいかな? 首にかけたら消えると思うから、
    あとは視界の端にあるメニューでいろいろ設定をしてください。
    ジョブはフリースタイルで固定になってるから、
    自分の好きなように戦い、経験を積んでください。
    拳を使えば拳が強くなって、
    剣や手裏剣などを使えばちゃ〜んとそのスキルが上がります」
古菲 「……不思議アルな」
中井出「村も街も、城も洞窟も浮遊城も海底神殿もいろいろあるから、
    とにかく楽しみながら強くなってください。
    金などは自分できっちり稼いで、
    敵を倒すことで剥ぎ取った素材などは大事に持っておくこと。
    まあこの辺りはナビの説明に書いてあるから目を通せば大丈夫か」
楓  「ふむふむ……おおっ♪ 剥ぎ取った素材で武具強化が出来ると。
    これは中々興味深いでござるなぁ」

 うむ。なにせこの世界は僕らの夢と希望がたっぷり詰まったエルドラド。
 逃げる時以外疲れ知らずで、戦わない限りHPMPも即座に回復! こんなやりやすいRPGがありますか? 本当に楽でいいですわい。

中井出 「敵は人間から魔物、悪魔や竜族や幻獣と、本当にいろいろだから。
     一度は戦ってみたいと思う相手は居ると思う。
     自分の実力を試したくなったら闘技場に行ってみるといいよ?
     種族無視の無差別バトルが味わえるから。
     えーと今のランクは……トップがアハツィオン&レヴァルグリード、
     二位が晦&彰利、三位がオルランドゥ伯、四位が穂岸&麻衣香、
     五位が藍田&岡田、と……結構とんでもないランキングだなオイ……。
     6から上はランク外になってるから、まあ気楽にやってみるといいでしょう。
     五位から藍田と岡田って、かなりキツいと思うけど。
     つーか一位に勝てって無茶だろオイ! 運営どうなってんのこれ!」
ジョニー『つい先日、二位がトップに挑戦して九頭竜レーザーでケシズミになってたニャ』

 だろうよ……と、つい冷静に納得してしまった。

古菲 「? よく解らヌが、二組で戦うアル?」
中井出「否である。一人でも戦えるし二人でも戦える。現に三位の伯は一人だしね。
    ……って言っても普通に戦ったんじゃまず勝てないからこの人。
    晦&彰利タッグも、記憶と経験受け取ってなければ絶対に負けてただろうし」

 たった一人でデスゲイズを追い詰めてみせた最強人類だからね……。
 不死状態が続いてたとしたら、きっと一人で勝ってたよ。

中井出「まあそんなわけなんで、退屈はさせません。というか出来ません。
    あ、ちなみにここでの一ヶ月は外での一時間なので、
    本当にノンビリと鍛錬できます。さらに言うとここで一ヶ月が過ぎようが、
    肉体的成長は外の時間と変わりません。
    一年修行しても十ニ時間で、十二時間分しか身体成長はしない。
    もちろん筋肉とかはつくけどね?
    あと、基本的にこの世界では逃げるって動作をしない限りは疲れることがない。
    ダメージ受けても戦いが終われば瞬時に回復するし、
    回復アイテムも口に入れるとサッと溶ける即効性。
    さらにさっきのネックレスをつけている限り、死んでも蘇れます」
古菲 「至れり尽くせりアルな……」
中井出「うむ。“ちょっと無茶してアイツと戦ってみたい……!”って時には、
    これほど大変ありがたいものは無いと言えましょう」
楓  「なるほど、それはありがたいでござるな」
中井出「あ。あと重要なことをいくつか。
    この世界、飯を食べないと精神が参ってしまいます。
    金が無い時は素直に魔物の肉か果物でも食べましょう。
    食い逃げも出来るけど、村人が普通に強いから気をつけるように」
古菲 「どれくらい強いアル?」
中井出「村人に故意に暴行を加えた場合、村人の身体能力が千五百倍ほど膨れ上がります。
    今の状態で勝つのは不可能です。
    それでも勝ちたかったら、レベルを三千近くに上げましょう。
    で、これが一番重要だけどね?」
古菲 「ム?」

 一呼吸置いて、重要加減をなんとなく伝える。
 そう、これを忘れてしまっては教師として不出来というものよ〜〜〜っ!

中井出「“この世界での一週間”にいっぺん、実力テストが実施されます。
    それに合格出来ないと、冒険には出られなくなり、
    この世界の図書館に幽閉されます」
古菲 「と、閉じ込められるとその、どどどうなる……アル?」
中井出「もちろん合格点が取れるまで一歩も外には出られません。
    無理矢理出ようとしようものなら、マクスウェル老直々に天誅が下されます。
    あ、ちなみに相手は高位精霊なので、無闇に襲いかからないほうがいいです。
    勉強の際は先生役として教鞭を振るってくれますが、
    怒らせると怖いと……思うので」
楓  「む……文武両道を見せ付けろと。そう言いたいわけでござるな?」
中井出「ほら、一応僕副担任だし」

 ちなみにこのテストは、皆様の中でもやってたりする。
 夏侯惇……春蘭のレベルが思うように伸びないのは、主にこれの所為だったりするわけだし。

中井出 「なお、“手っ取り早く頂点に立ってみたい!”って時には、
     メニューの“VSベルセルク”を押してください。
     本当に指とかで押すんじゃなく、これを押すって意識すれば押せるから」
楓   「押すとどうなるでござるか?」
中井出 「この世界の“最強”と戦えます。
     死んでも生き返れるから、心が折れない程度にやってみるのもアリかと。
     まあ、もし俺が戦えるんだとしても絶対に戦いたくない相手だけど」
楓   「今まで戦ったことのある者は?」
中井出 「闘技場トップのアハツィオンとレヴァルグリードが、
     二体がかりでブチコロがされたって履歴があるね……つーかこれマジすか?」
ジョニー『マジニャ』

 どれだけ強いんだ、ベルセルクさん……。

中井出「えぇと、相手はようするに常時エンペラータイム状態の俺なわけだけど、
    一切遊ぼうとしないで、殺すことだけしか考えないから滅法強い。
    武具能力全て引き出せて、
    常時スピリッツオブラインゲート&人器100%に加えて、
    古の神々の力や英雄王と皇竜王の力全て発動済みな、一種のバグキャラだ。
    手っ取り早く死にたかったらどうぞ。
    ちなみに姿は……うわぁ……暴走時の僕ってことで設定されてる……!
    って、それはさっき言ったか。つまりベルセルクだ。
    あ、ところでいきなり話は変わるけど、
    この世界では僕のことは中井出師父か提督って呼んでね?
    仕事とプライベートは別って言葉が何気に好きな博光だから」
古菲 「ム。解たアル。負けた上で鍛錬させてもらうなら、確かに師父アルヨ」
中井出「あ、でも読み方は“せんせいね”? 師父と書いてせんせい。
    ちゅーせんせいね? 中井出師父(チューせんせい)。ナカイデシフじゃないから。
    提督ってのは僕の通称で、この世界の人の大体が僕のことを提督って呼ぶから」
楓  「それだけ慕われていると?」
中井出「…………《スッ……》」
古菲 「オ? どうして目を逸らすカ?」
中井出「うん……どうしてだろうね……」

 慕われ……てるといいなぁほんと。
 と、そんなことはよしですね。

中井出「で、えーと……これから初心者修錬場に行ってもらうわけだけど、
    そこで一番使用した攻撃方法によって、貰える初期装備が決まるから。
    修錬場には予め武器が用意してあるから、これがいいって思ったものをどうぞ。
    あくまで素手がいいって思っても、篭手と具足はきちんと手に入れときなさい。
    強化した武具を腕や足に溶け込ませて、
    武具の力だけを引き出すって方法も出来るから」
楓  「もはやなんでもありでござるなー」
中井出「だって僕らの理想郷だもの。あ、それともーひとつ重要なこと。
    今この世界には九つの国が存在します。
    エトノワール皇国とトリスタン帝国。
    セントールとランダークって国があったけど、事情によりエトノワールに吸収。
    三つ合わせてエトノワール皇国となっておりんす。
    それから魏、呉、蜀の三国と、
    亜人天国のこの猫の里エーテルアロワノンと巨人族の国、巨人の里。
    トドメに獣人族の国ビーストキングダムと魔物の国モンスターユニオン。
    この中からどの勢力に入るか〜とか決めておくといいかも。
    国など要らぬと言うのなら一人で進むも全然OK。
    ただし戦争イベントに参加できないのがちょっぴり寂しいかも」
古菲 「戦争アル?《きょとり》」
中井出「戦争アル《こくり》」

 きょとんと首を傾げた彼女に、うむと頷いてみせる。
 いやこれが結構面白いんだわ。
 なにせ死んでも蘇るから、兵も面白がって突撃しまくるし。
 確かに死の恐怖ってのはあるけど、もう慣れてしまってます。
 むしろ我らが王のためにー! って躍起になってるくらいさ。

楓  「今一番強い国は?」
中井出「ゲエフェフェフェ、この博光率いるこの猫の里、
    別名グレートキャッツガーデンよ〜〜〜っ!! いえエーテルアロワノンですが。
    と言いつつも、同盟とか結べそうにないからさ。
    みんなから集中攻撃受けやすいんだよね」

 みんな好き勝手に各国に降っちゃったし、今この猫の里に居る人は僕と閏璃凍弥くらいなもんさ。
 精霊たちもこの世界でのイベントを仕切るために自分の持ち場に居るし、猫や妖精たちも似たようなもんだ。
 つまり、今ここに居る猫たちは元々ここが住処だった者たちだけだ。
 ジョニーがそうだったとは驚きだったけどね。
 ……住処か。みんな今なにやってるだろうなぁ。
 と、気になったので式を描いて映像を作りだしてみる……まずは彰利あたりから。


【Side1───弦月彰利】  ゴゾォオ……! 彰利 「クォックォックォッ……! 腕が鳴る腕が鳴る……! アア、早く……!」  ゴゾォと蠢きつつも、今日はWREYYYな気分じゃねぇアタイ参上。 華琳 「ああ帰ったの。それで?」  場所は魏の華琳室。  アタイはここで素敵なポーズを取りつつ、覇王然とした大きな机の椅子に座る華琳さまにニコリとスマーイル。  桂花も居るけど無視の方向で。 彰利 「押忍だぜ、報告致そうだぜ。呉はこのままセントールを襲うらしいだぜ?      しかし国力の主力の大半を宛がったようで、城の方が逆に手薄……だぜ!?     攻めるなら……今じゃぜ?」 華琳 「それを決めるのは貴方ではなく私よ。……さて、これが策であるか否であるか。     呉の冥琳と与一の組み合わせには毎度楽しませられるわ」 彰利 「ヒョ? 城が手薄なのは罠だ、と?」 桂花 「当たり前でしょこの棘頭っ! そんなことくらいいい加減学びなさいよっ!」 彰利 「馬鹿とはなんだコノヤロウ!」 桂花 「いつそんなこと言ったのよああもうほんっと馬鹿!」 彰利 「うるせータコ! 茹でるぞコラ!」 桂花 「タッ……!? こ、ここここんのぉおお……!!」  聞き分けのないコなんてみんなタコYOタコ!  ほれみんさい、華琳も笑っちょおが!! 華琳 「やめなさい。……それより彰利? 貴方ならこの状況でどう出る?」 彰利 「蜀をだまくらかして向かわせてみる? 罠だったらそれで良しってことで」 華琳 「あら奇遇ね。私もそう思っていたところよ」 彰利 「クォックォックォッ……貴女も人が悪い……!     もちろん両方が消耗したら突撃で?」 華琳 「ええもちろんよ。     その頃にはトリスタンへ偵察に行った悠介とルナも戻ってくるでしょう」 彰利 「……随分カタカナ系の言葉も上手くなったねぇ」 華琳 「覇王たる者が精進を怠ってどうするのよ。     それより彰利、貴方は春蘭と秋蘭に兵站の準備をせよと報せなさい。     それと桂花。貴女は兵糧の確保の指示を。     兵站と平行出来なければ意味がないわ、迅速に」 桂花 「はいっ、華琳さまっ!」 彰利 「わ、解ったぜ〜〜〜っ!」  そう、腕が鳴る。  ほんに華琳の傍はバトルだらけだから退屈せんわい!  力で捻じ伏せる……このスタンスは実にアタイにぴったりさ。だって解り易いし。 彰利 「しかし蜀かぁ……澄音っちが素直に引っかかってくれりゃあいいけど」 華琳 「かかるよう上手くやりなさい。     それくらいの仕事が出来ないようでは協力する意味がないわ」 彰利 「へいへい、解ったようおこちゃま覇王。だが忘れるんじゃあねぇぜ?     アタイはビーストキングダムの、悠介はモンスターユニオンの王よ。     今回は勝利ボーナスが素敵だから協力しているだけ……     王の地位に未練なんざねーけど、他国を潰したあとは貴様の番よ!」 華琳 「ふふっ……ならばせいぜい楽しませて頂戴?     貴方たちがこの世界で生き抜いてきたことは知っている。     けどいつまでも優位に立っていられると思っているのなら、     それは愚考というものよ」 彰利 「クォックォックォッ……ほざきおるわ小娘が」  確かに近頃は凪っちが随分と力をつけてきてやがるからね……油断はならねー。  レヴァちゃんやアハツィオンがこの世界に体現してからというもの、アタイの中からは皇竜王の力が、悠介の中からは神々の力が無くなった。  黒と白ならばホントに全然使えるんだけどねェ〜ィエ……鎌の力と光の武具とが使用可能になっとるし、それは感謝ってもんさ。  ……まあ最近他国の皆様が強くなってきて、鎌や光の武具だけで勝てるってわけじゃなくなってきたけど。特にホギーが強ぇええのなんの……麻衣香ネーサンと組むと、ほぼ無敵なんじゃねーの彼ってば。まあそれでも勝っとるけどね? 強引に。 彰利 「フム」  まあ、よいでしょう。今回も圧勝……だぜ?
【Side2───穂岸遥一郎】  呉国建業。  様々な街や邑が融合し、一つの巨大大国となったその城の執務室で、今日も筆が動く。 蓮華 「……与一、良かったの? 主力部隊を出してしまって。     この国にはもう、貴方と凍弥くらいしか───」 遥一郎「問題ない。ノアも居るし、いざという時のための策ももう用意してある」 ノア 「ええ、問題ありませんね。問題は蜀の澄音さんがどう動くか───ですが」 遥一郎「蒼木なら大丈夫だろ。     それよりも蓮華、華琳のことだからここには必ず攻めてくる。     真正面からの全面対決が好きなヤツだが、     正攻法ってものを無視する相手でもない。     籠城戦の用意をしておいてくれ」 蓮華 「解ったわ」  最初以外、一言の疑問も挟まずに頷き、走ってゆく蓮華を見送る。  すると凍弥が「はー」と妙な感心を込めた声をあげた。 凍弥 「扱いが上手いなぁおっさん。俺と話する時なんて怒ってばっかりだぞ?」 遥一郎「おっさんはやめろ……それはお前の話方がまずいだけなんじゃないか?」 凍弥 「そうなのかな……まあそれはそれとして、籠城は当然だよな。     曹操のことだから全力を以って潰しに来る……となると、楽進が怖いなぁ」 遥一郎「油断だけはしないようにな。……っと、よし。本日分の政務終了」 凍弥 「もうか!? ……はぁあ……カンパニーで仕事してもらいたいくらいだよ」 遥一郎「そのカンパニーの双子の活躍を期待しよう。行くぞ、凍弥」 凍弥 「OK」  立ち上がり、戦の準備をと歩いてゆく。  在住する国に呉を選んだのは、単に三国志では呉が好きだったからだが……これが中々働き甲斐がある。頭を使える場所はどこか〜って意味でカンパニー方面のやつらも来たが、こ れじゃあ本当に頭脳ばかりの国にならないかと心配していたりする。  ……ああいや、そこに観咲を混ぜればいいバランスが取れてるか。祭さんと気が合うようで、今も元気に戦場を駆けているんだろうが……。 凍弥 「じゃ、派手にいきますか」 遥一郎「ああ。軍事はいいな、頭の使いようがある」 凍弥 「はははは……ヒロライン自体じゃあ、突っ込んでブチノメして勝ち〜だもんなぁ。     その点、魏呉蜀の連中が吸収されてからは随分と戦い方が変わったよ。     頭を使うって分野じゃあ、悪いけど負けられないよな」 遥一郎「ああ」  それじゃあ、今日も頑張ってみようか。
【Side3───晦悠介】  ……。 悠介 「トリスタンか……来る度にルドラを思い出して、いい感じはしないよな」 ルナ 「中身はもう別物なのに?」 悠介 「印象ってやつだよ。それより……どうだ? 他国の気配は」 ルナ 「んー……《キィイイーーー……ン》……呉がエトノワールの一角、     セントールに向かってるみたい。で、手薄になった呉を魏が狙ってる」 悠介 「元気だなぁおい……蜀は?」 ルナ 「動きは無し……かな。     エトノワールは向かってくる呉を迎え撃つ気で。セントール側に人を集めてる。     ……あ、猫の里のほうに新しい子、入ったみたい」 悠介 「……? ああ、ネギまの世界のヤツか? 提督も巻き込むのが好きだな……」  言いつつ、こぼれるものは苦笑じゃなく笑みだった。  本当に、退屈させてくれない人だ、と。 悠介 「スプリングフィールドとは一度戦ってみたいんだけどな。     あー……なんだって言ってたっけ?」 ルナ 「雷速瞬動?」 悠介 「そう、それだ。一度雷化を使ってぶつかってみたい」 ルナ 「それにはもっとネギちーが頑張らないとね。まだ図書館島あたりなんでしょ?」 悠介 「……お前はどこからそういう知識を得てるんだ?     というかネギまなんていつ読んだ」 ルナ 「え? ホモっちが読めーって持って来た時だけど」 悠介 「あいつは……」  なんでもかんでも人の妻に奨めるのはやめてほしいんだが……。 悠介 「……よし、と。ジュノーンが動く気配は無しだな。そろそろ魏に戻るか」 ルナ 「その前にナットクラック」 悠介 「……あの町もなんだって大根おろし料理なんて始めやがったんだか……」  ああいい、行こう……。
【Side4───藍田亮】  ジャジャーーーン! 藍田 「YO……」 岡田 「HEY!!」  今日も今日とて空が蒼い。  蒼天の空とはよく言ったもんだ、あれ? ちょっと違う? 藍田 「傭兵はいいな……どの国でも活躍出来て」 岡田 「というわけで今日は蜀の国からお送りします」 閏璃 「ちなみに前回は?」 藍田 「エトノワールに雇われ、魏延さんを暗殺しました」 来流美「あんたどのツラ下げてこの国に来てるのよ……」 藍田 「もらった金額の分はきちんとやる……それが執事というもの!」 来流美「暗殺執事なんて聞いたこともないわよっ!!」  怒られてしまった。  まあつまりはそういうことで、今回は蜀が暗殺を恐れて俺達を雇ったと。  魏延はギャースカ叫んでいたが、正々堂々と羊肉で壁画にしておいたからしばらく静かにしてくれていることだろう。  女子供も容赦なし、それが我らの原ソウル。  というか閏璃は何故縛られて、石畳の上で正座しているんだろうか。 藍田 「けど意外だったなぁ。閏璃って蜀に居たのか」 閏璃 「いや? 俺は提督さん側だぞ? 今日はここに偵察に来た」 岡田 「随分堂々とした偵察だなオイ!」 閏璃 「さっきそこで捕まって、この筋肉ゴリモルディにボコボコにされてたところだ」 来流美「誰がゴリモルディよ!!」 鷹志 「他国に来て“偵察だー! ヤー!”って叫んでおいて、     捕まらないと思ってるんだから凄いよな、お前」 岡田 「で、捕まってボッコボコ……と」 閏璃 「ワケないことさ《サァア……!》」 来流美「キザっぽく風になびいてるところ悪いけど、相当に格好悪いわよそれ」  どうやら閏璃もいつも通りらしい。  まあ、国が新しく追加されたところで調子を狂わせる我らではない。 藍田 「で? 孔明殿に会いたいんだけど、どこ?」 稔  「城じゃないか? 戦のための会議してると思う」 藍田 「おお稔」 岡田 「ネギま方面で柿崎が現れたから稔になった稔」 稔  「なにがだ!? 俺元々稔だろ!?」 閏璃 「いや……稔になったお前はもはやパーシモンでもなんでもない……ただの稔さ」 稔  「普通じゃねーかよそれ!!」 閏璃 「まったくだ!」 藍田 「あ、でも稔じゃあ穏と似ててややこしいな。     この際、戦闘妖精シャザーンでいいんじゃないか?」 閏璃 「よろしくシャザーン!」 稔  「一瞬にして受け容れるなぁああーーーーーっ!!!」  大好評のようだった。 藍田   「なに言ってんだよシャザーン、受け容れてやるのが友情ってもんだろ?」 シャザーン「お前らいっつも人をおもちゃにして楽しいか……!?」 藍田   「え? 楽しいけど……なんで?」 シャザーン「うわーーーお正直者だなチクショォオオオオオ!!!」 鷹志   「まあま、落ち着けよシャザーン。からかう時はお前も全力で参加するんだし、       人のこと言えた義理じゃ───」 シャザーン「だとしてもまずシャザーンはやめような!?       なに当然のようにシャザーン扱いしてるんだよ!」 閏璃   「じゃ、俺もう戻るからこれほどいてくれ」 来流美  「捕虜の末路なんて登用か斬首って決まってるでしょ?」 閏璃   「じゃあ首を斬られてから俺はその首を抱えて走る。       その際、通過した人数だけどうか逃がしてやってほしい」 来流美  「偵察者なんてあんたひとりでしょうが!!」  なにを逃がしたかったのかは知らんが、閏璃は今日も閏璃だった。  さて、城か……傭兵は本当にどの国にもいけるからやめられん。  もちろん戦争イベント中じゃない時は普通に行き来出来るけど。 藍田 「なんかさ、ブレードストーム思い出すよな」 岡田 「地味に面白かったなぁ……テレビがハイビジョンじゃなかったときは、     もう文字が全然見れなくてなんだこりゃって感じだったけどな」  なんでもないような話をしながら城を目指した。  さて、今回のバトルはどの国が一位になることやら。  前回は巨人の里だったから、なんとしても二連覇は潰さねば。 【Side───End】
 ……。 中井出「とまあこんな感じで皆様楽しんでます」 古菲 「アレ曹操アルカ!?」《メギャーーーン!》 中井出「うむ! つーかなんて擬音で驚いてるのキミ……エンペラー?」  見せた映像の中の華琳を見て、くーさん驚愕の瞬間。  まあそれはそれとして、皆様楽しくやってるみたいです。 楓  「戦争イベントというのは?」 中井出「六ヶ月に一度開催されるビッグイベントです。     見事頂点に至った国には豪華賞品が贈られる。     って言っても、みんな一ヶ月のうちに鍛えた自分を試したいのと、     みんなで騒ぎたいってだけなんだけどね」 古菲 「みんな強いアルか?」 中井出「うむ。一人一人がバラケてるから、どこの国が最強ってのはハッキリ言って無い。     この猫の里が強いって言ったのもバトル設備があってこそだし、     しかし同盟組まれて一気に襲われたらひとたまりもない。     俺の参加も禁止されてるしね……博光寂しい。     戦いたくなったらVSベルセルクの項目の下のVS中井出師父を押してネ?     その時は非道卑劣を以って相手になります。     VS項目には他にVSバルバトスってのがあるから、それも是非」  あと他に報せることは……ああそうそう国のことに続きがあった。 中井出「原則としてアハツィオンやレヴァルグリードが参戦するのは却下となってるし、     みんなもそれが解ってるから各国に散らばって、バランス取りつつ楽しんでる。     だからキミたちが強くなって傭兵になるなりどこかの国に入るなら、     バランスは傾く……その瞬間の戦いを見てみたいのです」  言葉の途端にジョニーが『さすが旦那さん、性質悪いニャ』と大絶賛してくれた。謝謝。 中井出 「まあともかく、一番最初は普通に冒険してみることをお勧めします。      まずはこの世界に慣れなければ。      あとくーさん、貴女の錬氣は一般から見れば結構だが、      この世界やキミらの世界の“裏”から言えばまだまだ初心者。      まずは錬氣鍛錬から始めることをお勧めしますが、      最初は考えないで突っ走るほうが楽しいです。      ここは夢と希望の世界ヒロライン。貴女が望む貴女になるためなら、      この世界はいくらでも貴様の手助けをするでしょう」 古菲  (……何故最後だけ貴様だたアル……?) 中井出 「で、えーと。初心者ということで、      望むならばキャットか妖精を一人オトモにつけますが?      ちなみにこのジョニー、もはや一匹だけで竜族と渡り合える最強猫です」 ジョニー『ゴニャッ。長き鍛錬の末、お師匠さんから皆伝を得たニャ。      現在は旦那さんのオトモをやってるけど、      旦那さんの頼みなら喜んで引き受けるニャ』  守護竜相手では無茶があるが、普通の竜クラスなら勝てる猫……ステキです。  そんな彼はギルティギアのジョニースタイルで、被っている帽子の端をクイッと軽く持ち上げると、歯をゴシャーンと光らせてニヒルに笑う。  グラサンと刀が似合う素敵猫……ジョニーです。 中井出 「あ、でも最初はマジックキャットのほうがいいか?      回復魔法とかがあると楽だし」 ジョニー『だったらルンナとムサシをお薦めするニャ。      回復魔法だけなら中級まで使えるニャ』 古菲  「いや、私は身一つで行くアルヨ。      ケド武器防具は必要そうアルな、      さすがにモンスターなんかと戦ったことナドないアルから」 中井出 「楓殿は?」 楓   「拙者も結構でござる」 中井出 「了! では誘いましょう、初心者修錬場へ!      あ、忘れてた。VSベルセルクでは自動で皆様に収集がかかります。      都合のつく人は参戦してくれて、五回まで死んでも平気です。      バトルは“神の眼の間”に転送されてから始まります故、      準備が出来てから“バトルフィールドへジャンプ”項目を押してください。      では、善きヒロライン生活を」  キキィイイ───ビジュンッ!!  ……くーさんと楓殿と、気絶中のkittyさんを転移させて一息。  さて、僕も麻帆良に戻ろうか……戦争は気になるけど、副担任の仕事をサボるわけにゃあいかんとです。 ───……。  で、時は再び流れます。  ぬら様のことが原因で最下位確定だった期末テストも、採点ミスを見直されてトップに。  晴れてネギエスさんはクラスの担任を任され、3−Aへと進級した彼女らの担任となりました。 古菲 「中井出師父(チューせんせい)
ニーツァオーーーッ!」 中井出「これ! ヒロライン以外ではその呼び方は禁止と言ったでしょう!」 木乃香「……? ちゅーせんせーてなにー?」 中井出「なんでもありんせん! つーかこんな朝っぱらからやりたいの!?     今ホームルームですよ!? ほら、ネギもハテナ顔でこっち見てるし!」  そこに至るまでのことといったらいろいろと大変でした。  つまり2年の頃のお話に戻るわけですが、やれ─── 中井出「ネギ! ネギ! 大変なことが解ってしまった!」 ネギ 「え、え? なに、ヒロミツ」 中井出「うん実はね? メガネの落としモノがあったからメガネ届けに行ったら扉が開いて     てね? 無断侵入してみたところ、なんとあのメガネの長谷川さんがネットアイ」 千雨 「うわあぁああやめろぉおおおおおおっ!!!」  長谷川千雨さんがネットアイドルだったことが僕とネギの間で発覚したり、 風香 「あーここのマンゴープリンココパルフェおいしーY」 史伽 「今月の新作ですー♪」 中井出「甘いわ! 男は黙ってナタデココ!!」《どーーん!!》 風香 「副担任古いー」 史伽 「あのー、なんですかナタデココって」 中井出「ええっ!? あんな美味いもの知らないの!?     つーかココパルフェって名前なら入ってるんじゃないの!?」 ネギ 「あ、ヒロミツ、僕も好きだよナタデココY」 中井出「だよね、だよねぇ!?」  鳴滝さん家の双子娘がオマセさんだったことを知ったり、 もんがー『かーたーをほっぐしってアッキレッスのーばしって……も〜んがもんが♪      ……準備体操終わりィイイイイーーーーーッ!!!!《ゴシャーーーッ!!》』 木乃香 「ひゃーーっ!? なんかプールにヘンなんおるえーーーっ!?」 あやか 「水の上を滑ってますわーーーっ!!?」 明日菜 「ちょっとネギッ……なんなのよアレッ……!」 ネギ  「えうっ……!? ぼぼぼ僕にもなにがなんだかっ……!」  いいんちょさんの、産まれることが出来なかった弟さんの誕生日を祝いに行って、いいんちょさんがショタコニアンデビルであることを知ったり、そうなった理由を知ったり、 中井出「お見合いの写真撮影! ならばこのお見合いクラッシャー中井出にお任せあれ!     中学の身空でお見合いなどとは笑止千万! あれ? 言語道断だっけ?     今からあのぬらりひょんタコ殴りにして、     あの頭を酒徳利にして持ってくるからちょっと待ってて?」 木乃香「あ、違うんよー? お見合い奨めてくるのはおじいちゃんやなくてなー?」 中井出「親父か! ならばその父親をタコ殴りにして碇ゲンドウどころではなく、     むしろマダオに……!」 木乃香「ウチのことはえーから、ネギくんの話よー?     ネギくん、パートナー探しに日本に来たってほんまなんー?」 ネギ 「え、えとその、直接的な理由はそういうわけではなくてっ……」 中井出「噂では某国の王子だとか」 木乃香「えー!? そーなんー!?」 ネギ 「えぇええっ!? ちがっ、違いますよー!?」  近衛嬢のお見合い騒動やネギのパートナー選びのことで騒いだりと、本当にいろいろありました。俺は力の限り遊びまくってたけど。  とまあそんな調子で時は流れ、こうして3ーAの担任として彼は立ち、僕は副担任の座を不動のものとするとともに、影で暗躍しているわけですが……困ったことに、くーさんや楓殿がヒロラインにバカハマりしてしまいまして、休み時間になるたびにログイン許可を取りにくるもんだから大変です。  その合図として、大体中井出師父と呼ばれます。 中井出「……でもね、くーさん。なんだか最近いや〜んな噂が流れてるのよ?」 古菲 「? なにアルカ?」 中井出「生徒といけない関係にあるんじゃないかーとか。ただゲームやってるだけなのに」  昼休みの屋上。  フォークでつついたミートボールを、もくもくと猫口が咀嚼する中で溜め息。  いや、僕も一応副担任ですからね? 生徒とのいけない噂とかあると怖いんです。主にドリアードの嫉妬が。……うん、副担任関係ないね。 中井出「あ、でも今日は夜までは出来ないからそのつもりで。     今日はちとマクダウェルと約束があるのです」 古菲 「オ? 例のネギ坊主成長作戦アルな?」 中井出「うむ。実際のところ、ログインしてくれてても構わないんだけどね。     そっちにもこっちにも害はないはずだし。……ああうん、じゃあ夜もOKだ。     ……と、それはそれとして今何レベルくらい?」 古菲 「300いったアル!」《クワッ!》 中井出「おおっ!?」  黒丸目で猫口をカッと開いてのお言葉! この短期間で300とは中々やりおるわ!  ……あれ? でもそれって僕の感覚で短期間ってだけだから、それくらいあればいけるかな……? いけたっけ……? ウーヌ、思い出せない。  つーかしまった、結局ネギを鍛えられてないから、無駄にキティを強くしただけで余計に難度を上げる結果になってしまった。  ……これは少し手伝ってやるしかないかなぁ。 中井出「ならば武具の性能を考えるに、     麻帆良学園の魔法先生と対等かそれ以上であるな。     氣も随分安定してきたみたいだし、これから一気に伸びそうだ」 古菲 「強い相手に苦労しないアルからな、鍛え甲斐がアルヨ。     特に凪には是非勝ちたいアル。     拳同士であそこまでコテンパンにされたの、初めてだたヨ」 中井出「凪はなー、警備隊から外れた時点で修行の鬼になったから。     ただフツーに“魏を……任せたぜ?”って言っただけなのに、     どうしてあそこまで頑張れるのか……」 古菲 「ニャハハハ、よく解らんから気にしないアル」 中井出「うむ」  今のところ、体術最強は藍田くんだ。  彰利もかなりのもんだが、月操力と鎌の力や黒があってこそ。そしてそれらを使っちゃあもはや体術とは呼べねー。  蹴りしか使わないってのに恐ろしく強い……ああいや、蹴りスキルが異常な藍田くんだからこそ、他に気をやっていた彰利じゃあ敵わぬ。  藍田くんの次が彰利で次がシュバルドライン。  先駆者というか、我らのレベルが高いのは仕方無しとして、簡単に言えば我らを度外視して見てみれば、見事に体術トップは凪とくる。  彼女は錬氣が異常に上手いから、それを使った体術がモノスゲー重いのです。  くーさんも一度だけ遭遇、ガチバトルを挑んだらしいが……結果は敗退。  武でぶつかり合い、真正面からブチノメされたそうだ。  まあ仕方ないだろう、ヒロライン歴で言えば凪の方が長いし武具もいい。 中井出「で、くーにお願いなんだけど」 古菲 「にゃむ?《もぐもぐもぐ……ゴクリ》……なにカ?」 中井出「もしさ、ネギが何かキミに願い事を言ってきたら、快く引き受けてやってほしい。     絶対に譲れないこと以外って意味で受け取ってくれて結構だから、     あいつの願いを出来るだけ」 古菲 「それはヒロライン代と考えてヨロシ?」 中井出「ヨロシ! たっぷり遊んでる代わりにそうしてやってくれるとありがたいさ。     楓殿もヨロシ? 困ってたら助けてやってほしいのだ」 声  「おやおや、気づかれていたでござるか」 古菲 「オオッ!?」  ずずずと出入り口の影から出てきた彼女に、やあと挨拶。  同じ動作で返されて、僕も糸目になって笑った。 楓  「うむ、了解した。博光殿には恩があるでござるしな」 古菲 「ケドますますここでの敵が居なくなったのはイタイアル」 楓  「気づいておらぬだけで、随分と居るでござるよ古」 古菲 「そうアルか? 楓がそう言うならそうアルだろうナ」  どういう言葉遣いですかそれは。  と考えつつ、モシャリとパンをかじる。今日はパンの気分だった。ウマイ。 中井出「こういうの好きだなシンプルで。ソースの味って男の子だよな」 古菲 「女はなにアル?」 中井出「んー……甘味?」 古菲 「肉まんアルヨ!」《どーーん!》 中井出「それは貴様だけです」 古菲 「ナント!?」《ガーーーン!》 楓  「はっはっは、いやしかし、東の地での修錬は非常にためになる。     まだまだ修行不足だったと実感しているところでござるよ」 古菲 「オオ、アレはいいものアル。先日、烈風を体得したアルヨ」 中井出「………《スッ……》」 古菲 「何故目を逸らすアル?」 中井出「うん……どうしてだろうね……」  自分の才能の無さに嘆いてます。  いいなぁちくしょう、行く人行く人み〜んな体得出来て。  こちとら武具が無ければ錬氣も外氣功も出来ねーっていうのに。 楓  「拙者は疾風を体得したでござる。     お陰で苦無を投げる速度が大幅に増し、手数が増えたでござる。     ……と、何故目を逸らすでござる?」 中井出「ナンデモナイヨ?」  いやーはははと後頭部に手を当て笑う楓さんを前に、再び視線を逸らした僕。  いいんだ……僕には武具があるから。  べ、べつに悔しくなんかないんだからねっ!?《ポッ》 古菲 「このまま疾風も体得出来れば、手数も増えて速度も増すアル。     そうしたらまた凪に挑戦するアルよ」 中井出「あー……冷水ぶっかけて悪いけど、     凪はその二つに加えてトランスと音速拳体得してるから」 古菲 「無茶苦茶アルヨなにアルかソレ!!」《ゴガーーン!》 中井出「まあまあ、今のペースで行けばいずれ追いつけるから。     相手も修行してるんだから、そう簡単に追いつければ苦労しないって。     今の凪のレベルは700近く。     トランス込みで言えば933辺りだ。まだ30%だからね。     今のキミでは到底勝てぬヨ」 古菲 「ムムム……さらなる修行アルのみネ!」 中井出「うむ! その通り!     ……って、僕修行とか全然してないからどんなものかとか知らないけど」 古菲 「いいものアル!」 中井出「いいものアルか!」  ノリで騒ぎつつ、もしゃりとパンを食べてゆく。うんウマイ。  ネコット小麦で作ったパンはやはり最強だ、ふんわり感も香りも市販のものとは一線を画す美味さだ。 楓  「しかし、昨夜まき絵殿が襲われた事実をそのまま流せというのも難しいでござる」 中井出「大丈夫大丈夫、危害らしい危害は一切無いから。     ちゃんと治るし、一時的なものである。     ……ところで、ヒロラインでのマクダウェルの様子ってどう?」 古菲 「トンデモないアルヨ。もうレベル一万二千アル。     本人が言うにはレベルが実力に見合うよう追いついただけらしいガ」 中井出「彼女も随分なバグキャラだねぇ……」  いや恐ろしい。  真祖ってのはアレか、基本的に強いもんなのか。  吸血鬼の云々はよー解らんが、まあようするに……エドガーが強大な魔法を笑いながら撃ちまくってくるーと考えれば……ああ怖いね、うん。 楓  「吸血鬼同士で仲が良くなるかーと思いきや、セレス殿……でござったかな?     はたまたエドガー殿かはこんがらがっているでござるが、     会った途端に喧嘩腰でござった」 中井出「なんとなく想像つくかも。どっちも仲良くしましょーって性格してないもん」  吸血鬼ってきっとそんなんばっかなんだよ、きっと。 古菲 「ただ魔力に任せて武具を揃えないアルから、     大体は無茶してダメージ食ってるアル」 中井出「防具とか嫌いそうだもんなぁ……不死身だから構わん〜とか言って」  言いながら、ネコット農場で作った果物をデザートに配布。  カシュリと味わいながらも世間話のように談話をします。 中井出「そういえば戦争イベントは何処が勝った?」 楓  「呉でござる。いや、窮地に置かれてのあの策は実に見事。     気づいた時には他国の精鋭の大半が穂岸殿のエインシェントスペルの魔法陣内で、     抜け出そうと判断した時には既に炭クズでござった」 中井出「あ〜……」 古菲 「残た精鋭も、刹那に走った驚愕を縫って放たれた連続魔法の餌食。     反撃トカ逃走トカ、考えてる暇はなかたアルな、あれは」 中井出「……連続魔法とか、生易しい喩えじゃないもんなぁアレは」  無詠唱魔法を無遠慮に放ちまくり、その隙に頭の中でさらなる上位魔法を詠唱。  それも無遠慮に放ちまくって口では最上級魔法を詠唱してブッ放す。  さらに飛び散るマナを利用して古代魔法を完成させたり、そこから精霊魔法を発動、奥義に繋いで秘奥義最終奥義と繋げてジ・エンド。  初撃をくらって怯んでしまえばそれで終わるって考えた方がいい。  ましてやエインシェントスペルの魔法陣を描かれていて、それを発動させてしまったってんなら、発動後に飛び散る膨大なマナも次への魔法の糧となる。  そりゃ、引っかかった時点でアウトだ。 中井出「マクダウェルの反応は?」 古菲 「目を丸くして固まてたアルな」 楓  「口を開けたままカタカタと震えていたでござるな。     怯えて、という意味ではなく、純粋に驚愕の意味で」 中井出「だよねぇ……」  魔術、魔法に関わる、もしくは知識を持つ人があれを見れば誰でも固まるよ。  詠唱速度とかマナの扱い方がハンパじゃない。  一応僕もホギースキルをダウンロードすれば出来るには出来るけど、あの早口は無理だ。絶対に真似出来ん。あ、いや、人器使えば出来そうか?  ともあれ、マクスウェルと協力しての連続魔法の恐ろしさは、恐怖の一言に尽きます。  契約の指輪があるからこそ一人で完成できる奥義だろうけどね。  だって今、精霊は初心の皆様のために各自の持ち場に戻ってるしね。 楓  「あれを見てしまうと、魔法使いもいいと思わされてしまうでござるな」 古菲 「悔しいがウズウズしたアル」 中井出「や、多分あんな芸当ヤツにしか出来んから」  候補が居るとしたらネギくらいでしょ。そうなるためにも相当な鍛錬が必要だろうけど。 中井出「ふむ、ご馳走様でした」 古菲 「アル」 楓  「でござる」  一通り食した僕らは、両手を合わせてペコリとお辞儀。  ウム、やはり食はいいもんです、心がぽっかりしてくるぜ〜〜〜っ!  ……アレ? そういや楓殿はいつの間に食べたの? まあいいや。 中井出「では?」 古菲 「ウム、腹ごなしに早速やるアルよ」 楓  「はっはっは、交友関係がおろそかになりそうで怖いでござるなぁ……」 中井出「だったらたまには休みなさいね……」 古菲 「こんなおもろいモノ目の前にぶら下げられて、じっとしてられたらスゴイアル」 楓  「面白くて強くなれる。理想的な環境でござるよ。     しかも強敵には事欠かぬとくれば、やらないでおく理由が無いでござろう」 中井出「でもほどほどに。鳴滝さん家の双子が寂しがってたぞー?」 楓  「むぅ……それはいかんでござるな。修行を理由に他がおろそかなのはいかん」 古菲 「こちらも武術研究会がオロソカアルな」 中井出「……どうします?」 古菲 「昼休みはやるアル」 楓  「放課後に時間を取り、じっくりと交友を深めるでござるよ」  ……どうやら相当にハマってしまったらしい。  まあ、いいけどね……楽しんでもらえてるなら。  勉強もきちんとやれてるみたいだし、それなら副担任としてのこの博光から言う言葉など特に無し。交友を疎かにするのは認められんが。 中井出「では?」 古菲 「よろしくアル、中井出師父!」 楓  「よろしくお願いするでござる、中井出師父」 中井出「Ja(ヤー)! では誘いましょう! ようこそ、冒険の世界フェルダールへ!」  黒衣を出現させ、一気にゴクリ。  以前ログアウトした場所へと一気に転移させて、後は各自にお任せモード。  マクダウェルは今夜のための準備をしてるだろうし、やることも無いから昼休みが終わる まではここでのんびりしてようかな。 中井出「あー……平和だー……」  屋上に人影はない。  普段なら生徒どもがごっちゃり居るんだけど、気を逸らす魔法とやらを使ってみればガランガランの貸し切り状態。  しかし耳を澄ませば聞こえる喧噪に、この博光も心落ち着く次第です。  いいなぁ……学園全体が無茶な祭り好きって学校、俺も通いたかった。  そう考えればここは本当にエルドラドのようだ。騒ぐだけ騒ぐ生徒たちの天敵はデスメガネこと高畑・T・タカミチらしいけど、天敵が居てこその盛り上がりだ。  止める人が居ないのはエスカレートしすぎていかん。というか止める人が居るからこそ、もっともっと……まだやれる! と盛り上がれるわけで。そういった意味でも、この麻帆良は僕らにとっての理想郷。素敵な場所なんです。 中井出「出来れば生徒として光臨したかった気もするけど……今さらだわな」  ハフゥと溜め息を一つ、バタリと倒れて空を仰ぎ、まったりタイム。  昼休み終了までにはまだ結構あるし、少し寝ようか。  夜にはキティさんのパーフェクト吸血教室があるから、寝ておいて損は無しだ。  ネギのことは……あとで考えよう。助っ人するのもありだし、しないのも面白い。  猛者情報によると、窮地に放り投げられなきゃアステカさんと仮契約しないみたいだし。  長い夜に……なるといいなぁ。なにせ夜遊びは悪ガキの典型。わくわくしねーわけがございません。 Next top Back