15/祭りを楽しむんじゃなく楽しんで祭りをしろ

 お化け屋敷のセットも完成し、あとは祭りを待つだけとなった僕ら。
 ニッコニコ笑顔でウェーイと手を叩き合わせていた生徒をほったらかし、僕はといえば学園敷地内を駆けずり回っておりました。

中井出「おっかおっかざきイィヤッホォーーーーーーゥイ!!」

 何故そげなことにと問われれば、お姫様抱っこしているこのお子が原因と唱えましょう。

超  「おお、すごいナせんせ、建物から建物へ飛び移るなド、人間技ではないヨ」
中井出「フッ……博光だからな」

 お祭り前ってこともあり、学園都市は人で溢れかえっている。
 飾りつけもさることながら、学園の祭りだってのに都市全体が祭りを楽しむかのように、屋台があったり製作展示物があったりと、いろいろ凄まじい。
 原中の喧噪祭や高校ン時の学祭なんて大したもんじゃあなかったけどなぁ。

中井出「ほんで? キミは“悪い魔法使い”から何故に追われておるのかな?」
超  「学園の秘密、握ろうとしたらこうなったネ」
中井出「ほほう、それは素晴らしい。つーか一応僕教師なんですけど?
    秘密だのどーの言って、キミ大丈夫なん?」
超  「……それは問題ないネ。中井出センセはこの世界の人間ではないハズ」
中井出「ム」

 おやおや、なにを言い出すかと思えば……。

中井出「おかしなことを言うねぇキミは。何か、確信が持てることがあるなら言ってみ?」
超  「簡単なことヨ。
    “中井出センセ”が現れた場所から、強烈な空間の歪みが観測されたのだヨ。
    気まぐれで回してたカメラがそれを発見、私とハカセはそれを見たというわけネ」
中井出「……なるホロ」

 麻帆良の科学力の基準って未だによく解らんのだよね。
 不可能なんてないんじゃないかってくらい進んでるし。
 だってさ、科学の力で闇の福音の能力封印とかってありえんデショ。

中井出「OK、退屈してたし思う存分付き合ったるわい。
    んーで? 追ってくる連中ブチノメせばいいんかい?」
超  「それはやめとくことをススメるヨ。なにせ相手、教師だからナ」
中井出「へー。で、何故やめとくことを奨めると?」
超  「……ホエ? や、だからナ? 教師同士で争うのはマズイと思うダガ」
中井出「いえ全然。あたしゃ目的達成のためならば、
    たとえ同じ釜のメシを食った同胞にだろうと毒を盛るぞ。主にワライダケとか」
超  「ウワー……滅茶苦茶ネ、中井出センセ」
中井出「つーわけで、っと───!」

 遠くの空より黒い物体が飛来! あれは……おお! 確かグッドマンさんの黒仮面さん! 名前なんだっけ!? シャドウ!? コタロの狗神みてーなもんのはずだが───
 おお速い速い! この距離を一気に詰めるとは!

中井出「人間より愛を込めて」

 でも残念。
 花火がポヒュ〜ンと上がる瞬間、跳躍して空を飛びながら、ヒョイと投げた物体。
 ソレが黒仮面さまにバシッと弾かれた途端、そこでは爆発呪文級の大爆発が巻き起こる!

超  「ぷわっぷ!? な、なにカ!?」
中井出「なにって……アレだよお前、ジャスタウェイに決まってんだろ」

 寝起きが悪くて、少し彰利に任せっぱなしの意識での逃走。
 ううむ、任せてるとはいえ、あんまり無茶しないでほしいんだけど。

中井出「さてどうしましょ。このまま逃げたほうがいい?」
超  「逃げ切ることが成功と言えるナ、この場合」
中井出「よろしい! ならば向かってくる者全てをブチノメす!!」
超  「ナンデスト!?」

 眠気覚ましにゃあ丁度良いぜ〜〜〜っ!!
 そげなわけでブリュンヒルデ解放! 黒と合わせて我が身を包み、全くの別人を象る!

ブロリー「さあ参ろう!」
超   「ブロコリとやらカ!?」
ブロリー「ブロリー……です」

 姿はイケメンブロリー(最強戦士は眠れないバージョン)。
 俺、金髪ブロリー大好きなんですよ。

ブロリー「《ぎしぃいい……》フッハッハッハッハァッ!!」

 噛み締めた歯から吐息をこぼすように笑い、勢いよく飛行。
 突っ込んできた新たなるグッドマンシャドウに対して、空いた右腕でラリアットをぶちかまし、遠くへと吹き飛ばす!
 左腕で掴んでる超さんが、飛行速度による風圧で苦しそうだったがうん僕知らない。

ブロリー「超、背中にしがみついておけ」

 というわけにもいかんので、背中にしがみついてもらうことに。
 それから少しもしない内に魔法先生たちが突っ込んできて……って無茶苦茶だねもう!
 空飛んでる僕が言うのもなんだけどさ!

ガンドルフィーニくん「……!? なんだあれは!」
ブロリー      「ぬう!?」

 ガ……ガンドルフィーニくん!? ガンドルフィーニくんだ!
 間違い無いよ! だって黒いし! やべぇガンドルだ! 生ガンドルだよナマガンドル!
 ど、どうしよう! 俺ネギまではガンドルフィーニくんが一番好きなんですよ! 理由はとくにねーけど! だってネギまは最初あたりの頃のしか知らんし! でもこう、猛者どもの知識を集めてみた結果、何故かガンドルがナンバーワンに!

ガンドル「杖も無しに空中に浮いている……!?」
高音  「……彼の後ろを! 超鈴音が!」
ガンドル「! では機械技術かなにかで……!?」
ブロリー「………」

 あ、ちなみに魔法先生たちは建物の屋根の上から叫んでおられます。
 これもうビルでいいんじゃない?ってくらいの高層なる建物の屋上。
 それに囲まれた中空に浮いているのがブロリー……です。
 しっかし……ブロリー知らない人って居るもんなんだね。
 生徒とか参加者が界王拳知ってたりするから、ドラゴンボールが知れ渡ってることは確かなはずなんだけどねぇ。
 不思議だね、世界。

ブロリー「けどまあ、なんだ。それとは関係ないけど、段々とカラクリが読めてきたぜ?」
超   「? なんのことカ?」
ブロリー「飛ばされる世界についてのことさね。
     恋姫、ゼロ魔、ネギま。これらの繋がりが、な〜んとなくね」
超   「?」

 話してやらんけどね!
 そんなわけで気を解放!
 ヘェエァアアッ!!とブロリーチックに叫び、薄緑色のバリアーを張る!
 誰かに見られたところでドラゴンボールの真似だと思われるだけで、怪しまれることなどアラズ!

ガンドル「どちらにせよ超鈴音の捕獲が優先だ! 高音くん!」
高音  「はいっ! ───いきなさい!」

 Dを継ぐ者(笑)、高音=D=グッドマンの攻撃!
 17体のシャドウが突っ込んでくる!
 親戚に革命家のドラゴンさんとか居ないかな!?

ブロリー「イィイヤァッ!!」

 それはともかく、右手に圧縮させた光弾(マナ)をつぶて状に放ち、シャドウを破壊。
 腕の一振りで片付けられたシャドウを前に、動揺を見せた瞬間には距離が消えていた。

高音  「は、え《ドガッシィッ!!》うぶっ!?」
ガンドル「! 高音くん!」

 伸ばした手を咄嗟に避けたガンドルフィーニくんとはべつに、完全に緊張に走ってしまったグッドさんの顔面を掴み、一度後方に振ってから───遠投!!

ブロリー「ウゥウウリヤァッ!!」

 ルブォオッファォオオオンッ!!!

高音 「ひぃいぃやぁああぁぁあぁぁぁぁぁ…………───」

 頭を手放した途端、彼女は風になった。それは突風が如く疾風が如く……やがて星になられた。

ガンドル「…………き、きみは何者だ……!? 何故邪魔をする!」
ブロリー「カカロットォ……!」
ガンドル「質問に答えるんだ!」
ブロリー「カカロットォオオ……!!」
ガンドル「カカ……!? さっきからなにを言って」
ブロリー「カカロットォオオオオオオッ!!!」
ガンドル「っ……!? うぉおあっ……!」

 マナを解放すると、巻き起こる旋風!
 その風圧に怯んだ瞬間にはベゴキャア!!

ガンドル「へぎゅうっ!?」

 ……狼髏館回頭閃骨殺は完了していた。
 よーするに首を捻じ曲げて気絶させたんだけど。

中井出「お前は強かったよ。けど、間違った強さだった」

 変装も解き、溜め息とともに言葉を送る。
 さて…………どうしよう。
 勢いに任せてえらいことをしてしまった気が……!

超  「せんせ、強いネ───私驚いたヨ。
    その力を見込んで、チト手伝ってもらいたいコト、あるのだがナ」
中井出「フン断る」
超  「冷たくなるのが急すぎるヨ!? い、いいから少し聞くがいいヨ!
    この世界の在り方を大きく変える計画なのだヨ!?」
中井出「在り方は自分で決めるからべつにいーです。楽しそうではあるけど」
超  「ム……ならば仕方ないネ。これだけは使いたくなかった……」
中井出「ホホウ……この博光を唸らせるほどの何かを持っていると言うのかね?」

 超さんがズズ……と怪しい迫力を放ちながら距離を取る。
 僕も負けじと妙な凄みを滲ませながら、それっぽいポーズをとってニヤリと笑い───

超  「センセが今の姿に戻るトコ、映像に収めたヨ。
    これを公開されたくなくば、私に協力することネ!」《ドギャーーーン!》
中井出「⇒殺してでも奪い取る」
超  「なにをするネ貴様ーーーーっ!!!」

 埒もなし!
 屋根の地を蹴り距離を詰め、身柄の拘束を───!

超  「おおっと動くでないネ!
    動けばこのリモコン一つで、映像が茶々丸のもとへ飛ばされることに」
中井出「超眼力!!《クワッ!!》」

 チュボォンッ!!

超  「ホエ……? オォオーーーーッ!!?
    リリリリモコンが睨まれただけで爆発したヨォオーーーッ!!?」
中井出「コココ……! やってくれましたね超さん……。
    初めてですよ、ここまでコケにされたのは……」
超  「あ、あやー……お、おおお落ち着くことをオススメするヨセンセ、
    暴力はそのー、よくない思うナ……」
中井出「大丈夫! 暴力じゃなくてこれは躾である!!
    我が儘なるお子に自分勝手な正しきを叩き込む、躾というなの体罰である!!」
超  「なお性質悪いヨ!?」
中井出「ええい黙らっしゃい! こげに楽しいことを貴様らだけでやりおって!
    この博光も混ぜるがよいわ!」

 ───…………。

超  「……さっきは手伝わん言ってなかったカ?」
中井出「世界の在り方なぞ自分で決めます。
    だが迷わず脅迫に踏み出すその外道さに、この博光の心は動かされたのだ……!」
超  「……な、なんだか喜んでいいのカものすごく複雑ネ……」
中井出「うむ、素直に喜べこの腐れ外道が」
超  「やっぱ嬉しくないヨ!?」

 こうして……僕は超側への仲間入りを果たしました。
 なにやらユグドラシルに居る皆様が(主に猛者が)笑い転げてたけど、きっとこれでよかったのよね?
 間違っていたとしても、同じ道を歩むだけではつまらんし。


───……。


 さて、あれから数日の今日。
 仲間の証として妙な時計を貰ったんですが……ナニコレ。

中井出「分析…………航時機。航時機!? ってあのキテレツ大百科の!?」

 それがこんなちっこい懐中時計みたいになってしまったと!?
 お手軽簡単時間移動が可能! ステキ!
 ……でも僕、武具さえあれば時間移動も歴間移動も出来るしなぁ……。

中井出(ねぇ藍田くん、これどーすりゃいい? …………え? ネギに渡せ?)

 ……ふむ。
 じゃあ一応黒でコピーしてから……と。

声  『只今より第78回、麻帆良祭を開催します』

 っと。

中井出「おおっ」

 始まった始まった。
 学園都市上空を航空機が飛び交い、その煙でアートを描く。
 アーチってやつ? よく解らん。
 つーか学生が航空機とか乗って大丈夫なのかね。

中井出「まあなんだ、とりあえずは始まった祭りに没頭しますか」
エヴァ「…………《ひょこり》」
中井出「ウォアッ!!? き、キティ!? 貴様いつの間に!」
エヴァ「お前がキテレツがどうとか叫んでいた時だ。
    で、なんだそれ。拾いものか? 見せろ」
中井出「いきなり興味深々だねキミ……。
    ホレ、科学の力と魔力を糧とし時間を跳躍する機械、その名も航時機だ」
エヴァ「時間を……?
    ……まあ、お前の過去を見たあとじゃあ、あまり目が輝くものでもないが……」

 チャラリと渡した懐中時計型航時機を目の前にぶらさげ、つまらなそうに溜め息を吐く。
 フツーならもっと驚くだろうに……すまん超さん、キミへのィヤンパクトはかなり低い位置になってしまった。

中井出「まあいいや。暇してるなら一緒に回る?
    体ちっこいから障害物どもが邪魔でしょ」
エヴァ「完全にガキ扱いかこの……。だがいい、足があるなら面倒もないしな」

 それだけ言うと、ちゃっかり時計はポケットにしまい、トトンッと僕の肩に登るキティ。
 もうキティ呼ばわりも諦めたのか、「とっとと歩け」と僕の胸を踵で蹴ってくる。

中井出「あいよー」

 さて、ほいじゃあせっかく始まった祭りだ……思いっきり楽しむとしましょうか。


───……。


 レディー……ファイッ!

中井出「うおおおおおおおマリーーーーーーン!!!」
エヴァ「そこだっ! そこっ! そこそこそこぉっ!!」

 で、何をしているのかといえば、工学部の出し物のシューティングゲーム。
 手に持った光線銃(もちろんオモチャ)で映像の敵を撃ち落とすゲームさ。

中井出「だぁああ勝てーーーーん! 次だ次!」
エヴァ「はっはっは、余裕というものを見せてやろう。
    ん? なんだったら負けてやってもいいんだぞ?」
中井出「ギ、ギィイイイーーーーーーーッ!!!」

 相変わらず連敗記録更新中です。
 “他は地味なくせにゲームだけはハンパねぇよあいつ”の異名を誇ったこの博光が……!
 ええい次だ次!

中井出「よしキティ! ゴーカートで勝負だ!」
エヴァ「負かしてやるよ、ゲーム王(笑)」
中井出「(笑)つけんなぁあーーーーーーーっ!!!」

 ───……。

【ゴーカート乗り場】

中井出「ゴーカァーーート!! ゴー! ゴーよゴー!
    くっ……このコーナーを曲がりきれるかっ……!?」
エヴァ「余裕だな! ふっ! 勝った!」
中井出「フハハハハ! 相手が勝利を確信した時、既にそいつは敗北している!
    つまりその瞬間、この博光が勝利を確信することになり───敗北している!?
    あれぇどういうことなのジョースターさん! これじゃあ誰も勝てない!!
    とか言ってるうちに負けそうだよ僕!
    こうなったら───炸裂のビッグバンタックル!!」
エヴァ「《どがぁんっ!!》わたたぁっ!? き、貴様っ!
    ゴーカートでタックルかます馬鹿が居るかっ!」
中井出「ゲェハハハハハ!! お望みならばここにと絶叫!!
    それが私の生きる道!! OHコレ即ち腐れ外道!!」
エヴァ「こんのっ……! いい度胸だよヒロミツ! 貴様生きて帰れると思うな!?」
中井出「ゴーカートで人殺し宣言とかやめません!? タックルより性質悪いよ!?」
エヴァ「お前が言うなばかっ!」
声  『こらそこぉっ! 大事な商売道具に傷付けるのはやめ───』
二人 『やかましゃぁあああっ!!!』
声  『ひぃいっ!? す、すんませんっ!!』

 ───……。

【公共広場】

 ───……昼より夜へと移り変わり、現在は広場でパレードを見ております。
 色とりどりの花火が炸裂し、見る者の心を和やかにする中、

中井出「あれ俺の勝ちだったろ!」
エヴァ「いーや私の勝ちだね! どこに目をつけてるんだ!」
中井出「お望みとあらば何処にでも!《ギョパァッ》」
エヴァ「うひぃああっ!? どどどどどどこの百々目鬼だお前はぁあっ!!」

 体中に目玉を出現させつつ、僕らは変わらず口論しておりました。
 つーわけではい! 結局一度も勝てない僕のおなーーりーーーっ!
 くっ……悔しくなんかないんだからねっ!?《ポッ》……と無駄に色気を振り撒いてないでと。
 どうせなら明るい笑いを振りまきたいよね、俺の心の中の師匠はサザエさんに違いない。
 考えてもみてくれ、笑いを振りまくのは解るよ? うん解る。
 でもさ、お料理片手にお洗濯って人間業じゃないよ。
 サザエさん家の洗濯機って古かった気がするし……グムー。
 片手ってのはあれか、片手間とかそっちの意味か?
 煮物とかならしばらく放置できるし。

エヴァ「……? 真剣な顔だな、何か考え事か?」
中井出「サザエさんの歌でさ、お料理片手にお洗濯ってあるよね?
    あれって実際片手にフライパンとか持って洗濯してるのか、
    片手間で洗濯してるって意味なのか……」
エヴァ「……訊いた私が馬鹿だったよ」
中井出「馬鹿め!!《マゴシャア!!》あわばっ!!」

 認めてやったら顔面ナックルされました。

中井出「グウウ……なにも殴らんでも……。っと、そろそろ一日目も終わりか。
    教師らしいことアルティメット無視で好き勝手やっちまったい」
エヴァ「明日はどーするんだ? また懲りずに遊び倒すのか?」
中井出「んにゃ、まだ明日には行かん。ちぃとネギ坊主の手助けでもしてくるさ」
エヴァ「ぼーやの?」
中井出「うむ」

 結局、予定だらけでぐったりしてるだろうからね。
 航時機関連のことで超さんに睡眠薬を盛られることがなかったとはいえ、約束した数は頭痛がするほどだって、僕の中の皆様が言っております。
 そげなわけなので開催の瞬間まで戻り、からかってやるとしましょう。

中井出「これからネギ探して過去に戻るんだけど、キミも来る?」
エヴァ「……なるほど、なかなか面白そうじゃないか。
    気になることもあるし、参加する」
中井出「うっしゃ。じゃあえーーーと……」

 黒刀【天樹】より、かずピーの能力を解放。
 氣の探知で学園都市を探り、その中より分析済みのネギの氣を探す………………おった!

中井出「ありゃま保健室だ。
    キティ、転移するから掴まって《どすっ》……や、いいけどね、肩車でも」

 月空力を解放、保健室まで飛び、そこでワタワタと慌てるせっちゃんとネギを発見。

中井出「ヒーホー! ……なにやっとんの?」
ネギ 「えうっ!? あ、あぁああ……ひひヒロミツーーーーッ!!
    どうしよ、どどどうしよ、どうしよーーーーっ!!《ゴキャア!》ぱろっ!?」

 説明する気ゼロのネギの首を捻じ曲げ、黙らせた。
 ドシャアと崩れるように倒れたが、気にしないでGO。

中井出「……ふう。じゃあせっちゃん、説明よろしく」
刹那 「え……いえあの、今ネギ先生の首を………………な、なんでもないです。
    あの、実はネギ先生が連日の徹夜に耐え切れず倒れてしまって、
    ここに運んだのですが……」
中井出「ですが?」
刹那 「しばらくしたら起こす約束だったのですが、
    その……祭りの雰囲気に油断したのか、私もその……うぅ……」

 熟睡してしまったと。
 気の抜けた自分を恥じているのか、俯いたせっちゃんの頭をぽむぽむと撫でる。

中井出「うむうむ、ととさまにどーんとお任せ! 貴様らの希望を叶えよう!
    さ、掴まりなさい」
刹那 「え……あの、ととさま……?」

 よく解っていないのか、迷っているせっちゃんが居た───が、ぐったりと気絶中のネギを左腕に抱え、右手でせっちゃんを掴むと早速時空転移を解放。
 場所は───なるったけ“僕”に探知されない場所が良いね。はい転移と。

  ビジュンッ───……


───……。


……。

 ───……キィンッ!!

中井出「Ja(ヤー)!! 転移成功! いろいろ考えたがそのまま保健室となりました」
刹那 「………」

 さっきまで夜だった景色が、突然の眩しさ。
 せっちゃんはぽかーんとしておりますが、気にせずネギにキツケを実行、叩き起こした。

中井出「あ、せっちゃん、これ持っとき」
刹那 「? っと───?」

 ヒョイと投げたのは分析コピーの航時機。
 それを受け取ったせっちゃんは、首を傾げて手の上のそれを見下ろしていた。

刹那 「ととさま、これは?」
中井出「航時機。分析によると、カシオペアっていう名の時間移動装置じゃい。
    えーと……ここで飛ぶ時間を決めて、魔力注入やらなにやらで飛べるから。
    ただしあんまり遠い時間を飛ぶと壊れるやもだから、注意すること」
刹那 「じっ……!? ……はぁ、本当になんでもありですね、ととさまは」
中井出「……この世界の住人に、それは言われたくない僕が居る……。
    まあいいや、ほいじゃ、長寿と繁栄を!」

 シュタッと上げた手。
 その揃えられた手の中で、薬指と中指だけを離した状態で、こう言うのがルールです。
 ポカンと停止中の二人を置いて、僕とキティは保健室の窓ガラスを「うぉらぁああ!」と頭から突っ込んで破壊! キティが絶大なダメージを負ったが、無視して走った!

エヴァ「いががががが……!! お、お前はぁああ……!!」
中井出「痛がってる場合じゃあ……ねぇぜ!?
    これから僕らを見つけに行くのさ!
    そして貴様を邪魔して俺がナンバーワンになるのよグヘヘヘヘ」
エヴァ「やっぱりかっ! 何をやっている時でも妙に邪魔されている気分だったんだ!」
中井出「ええっ!? そうなの!? じゃあ僕邪魔した上で敗北したってこと!?
    ……うぅあぁああ……弱ェエエエ……!!」

 ショックがデカかったです。
 い、いやだがまあ落ち着け僕、きっとこれはキティが僕を騙そうとして言っているに違いねー。だからここできっちり邪魔すれば───勝者は依然! このディアヴォロだ!

中井出「……キティ? マジで、ホントに妨害に遭った?」
エヴァ「遭ったぞ。光の反射に目をやられたり、コルク銃のコルクが頬に飛んできたり」
中井出「うわぁ……そのみみっちくも地味な嫌がらせ、なんともヒロミティックな……」

 起きた過去を受け容れるのがこの博光。
 しかし、今立っているここは現在! ならば未来に抗うことこそ私の生き方!
 この時間軸では“まだ起きていないこと”に迷うくらいならば、いっそ妨害してくれるわグオッフォフォ……!!

中井出「あ、でも待てよ? 抗うんなら妨害するのは違うよな。
    よしキティ、別方向を攻めよう」
エヴァ「別方向?」
中井出「そ。ガンシューティングとかはこっちの僕らに任せて、
    妨害とかの歴史はとりあえず無かったことにします。
    んで、俺達は俺達で別の方向でこの祭りを楽しむと」
エヴァ「ああ、退屈しない限りはさほどの文句はないが……」
中井出「ヨロシ! ではGOだ!」

 コクリと頷きゃあ後は速し!
 地を蹴り壁を蹴り、建物から建物へと飛び移り、遙か高き位置より祭りの様を見下ろす!

中井出「人々の恋模様を茶化すのもアリですが、ここはちと別の視点を見てみましょう」
エヴァ「別視点……夜に人の流れが一箇所に集う感があったが、それか?」
中井出「おっ、さっすが見てらっしゃる。うむ、ちとスーパーちゃんのところへね」
エヴァ「超鈴音か……あの女は何を考えているのかイマイチ解らん」
中井出「猛者どもから掻き集めた断片的な情報から、
    実はサウザンドマスターの師匠と関わりがあるんじゃねぇかと予想してみてます」
エヴァ「ナギの師匠? …………」
中井出「ままま、つまらんことはいーから行こう。
    どーせ猛者どもに訊こうが答えやしないんだから」

 おのれ猛者ども、答えをくれないのはとってもステキだが、わざとクイズになるように断片的な情報を寄越しおるわ。
 俺自身が知ろうとすれば確かに解ることだけど、それじゃあ人生つまらんデショ。
 故にこのままでGO!

───……。


 そんなわけで、龍宮神社に立っておるわけですが。

超  「おおセンセ、来たナ」
中井出「うむ、好き勝手しに来ました。
    情報聞いて来たんだけど、ホントにここで武術大会するのね」
超  「ウム、あっちではチト狭いネ。
    きちんと許可は得ているし、ここでなら存分に本気を出してもらえる」
中井出「もちろん、なんらかの企みがあるのだね?」
超  「ははは、それは教えられないネ。
    なにせまだせんせが味方だと認めたわけではないからナ」
中井出「当然よ。この博光は面白いことの味方。個人の味方などとてもとても……」

 肩の上のキティが「よーするに敵側が楽しくなったら裏切るんだろ」と溜め息混じりに。
 ええ当然です。なにせ楽しいことの味方ですきん。

中井出「でも武術大会〜とか格闘大会〜とかいくら言っても、
    食いつきってあんまりよくないんじゃないかね?」
超  「そこんトコも心配無用ネ。複数の大会ナドを買収、合併してこの大会に纏めた。
    スポンサーも得られたし、賞金額も大盤振る舞いの一千万ヨ!」
中井出「一千万! ほほう、そんな賞金まであるのか……」

 ……そりゃあ正直、トロフィーとか受け取っても置く場所とかに困るだけだしね。
 金ってのはあって困るもんじゃないし、いいとは思う。うん。

中井出「参加は自由?」
超  「ウム、年齢制限も設けてはいないカラ、その気さえあれば誰でも参加可能!
    人数の多さも考慮して、まずは予選をする必要がありそうだがナ」
中井出「よろしい! ならばこの博光も参加しよう!」
エヴァ「貴様が出たら大会にならんだろうがっ!」
中井出「ゲハハハハ馬鹿め! 貴様この博光が弱体化状態にあることを忘れたか!
    今のこの博光ならば一般人にさえボコボコにされて……───
    うぐっ……ひっく……うぇええ……!」
エヴァ「泣くな鬱陶しい!!」
中井出「だって……だってさぁあ……こんなはずじゃあなかったのに……うぇええ……!」

 必死こいて上げたレベルがおじゃんです先生。泣いていいですか? 泣いてますね。
 ってそうだそうだよそうじゃないか!

中井出「霊章同調を解除すりゃ、武具のレベルだけでも元通りに……」

 ……いや、いいや。
 強いよりもザコのくせに偉そうな僕で行く。
 強いだけではつまらん。弱いだけではつまらん。
 もっと状況を利用して楽しめんようでは下の下。
 能力だけは使えるんだし、いざとなった時だけ同調解除でGOだ。

中井出「もうどうでもよくなったから僕に出来る企みごとをよこせ」
超  「では世界に魔法の存在をバラまく手伝いをしてほしいヨ」
中井出「ウムムー……面白くなさそうだから遠慮する。
    もっとこう、ない? 超をからかうとか超を罠にはめるとか超を───」
超  「何故私限定カ……」
中井出「僕は企みごとをしているのに、
    自分が前面に出ないで踏ん反り返るヤツが大嫌いです。
    軍師とかにこれ言っちゃあさすがに非道いけど、超さん武術とか出来そうだし」
超  「ム……か弱い中学女生徒に戦え言うカ」
中井出「か弱かろうが、必要ならば戦えと子供にだろうが言い放つ博光です。最強」
超  「鬼だナ、センセ」
中井出「この俺が鬼……? 違う、俺は外道だ」
超  「なお悪いヨ!?」

 外道を自負する博光ですもの。
 さて、とりあえずは大会の準備を手伝うことにした僕は、神社にこんなもん要らねーだろと思うような舞台をパッパと掃除し、

中井出「ホーワーイトニングー♪《キュッキュッ♪》」

 その輝きを指でなぞりながら、ニコリと笑った。
 やっぱりせっかく戦うなら場所は綺麗でないと。
 綺麗なほうが、どれほど凄絶なバトルだったのかが解るってものですもん。

中井出「チャオりーん、場外に出たら爆発する地雷とか───」
超  「間違っても設置しちゃダメヨ!?」
中井出「……訊かずに設置しちまやぁよかった」
エヴァ「死人出してどーすんだ、ばか」
中井出「その時は月癒力で死人の二度目の息吹を。
    とゆーのは冗談で、ホラ、ただ吹き飛ぶだけの地雷にすればいいじゃない?
    きっとみんな実力以上の実力で戦うよ?」

 眺める神社の内部にある武舞台は八つ。
 ここで予選バトルをして数を減らし、残った16名から優勝者を決定するんだそーな。
 定員は160名まで。八つの舞台に20名ずつでバトル開始し、ブチノメすか場外に飛ばすかで決めると。
 えー……つまり? ひとつの舞台から2名しか勝者は選ばれないと。
 刃物禁止、飛び道具も禁止、呪文詠唱も禁止で行くから、剣とかはもちろん使えないしブーメランや魔法も無理と。

中井出「チャオちー、飛び道具ってのは魔法も無しってこと? 魔法の射手とか」
超  「イヤイヤ、それを飛び道具と捉えるのはチトゲームのやりすぎヨ。
    あくまで道具ネ。銃器などといった道具の使用を禁止するだけネ。
    ケド木刀ナドは認めるヨ。刃物でなく、投擲物でなければOKネ」
中井出「なるほど……じゃあよく砥がれた定規とかは……」
超  「斬れれば刃物ヨ!?」
中井出「なにぃ、では貴様は雑草や紙すらも刃物だとぬかすか。
    あれだってスッと引くと指とか切れんだぞーコノヤロー」
超  「それは屁理屈すぎだと思うガ……」
中井出「まあ木刀使っていいならそれでいいんだけど……」

 言いつつ、ズチャアアと霊章から黒刀【天樹】をエジェクト。
 かずピーが使い古し、とっくに武器自体に氣が宿っているそこにマナを通すと、黒の木刀が金色の光を放ち始める。

中井出「ウヒョー! こらすごいわ……!
    どんだけの時間、氣を付加させりゃあこうまで媒体として完成するんだか」

 十年やそこらじゃ無理だよこれ。
 五十……はたまた八十くらいは平気で使ってたりした?
 フツー、氣やマナってのは付加させづらいもののはずなんだけどね……軽く流しただけであっさり通ったよ。まるで木刀自体が回路になってるみたいに、キュンッと氣が走る……そげな感じ?

エヴァ「随分と年季の入った木刀だな」
中井出「うむ……そのくせ、傷とかがあまり無いとくる。
    持ってみる? 驚くほど使いやすいぞ?」
エヴァ「使いやすい? 誰かの使い古しがか?」

 言いながらも、ハイと掲げた木刀をひょいと受け取る方の上のキティ。
 「魔力通してみな?」と告げてみれば、即座に驚きの声。

エヴァ「……なるほど。常に氣を纏わせていたために握る部分が変形することもなく、
    攻撃を受けても傷を負うこともなかったわけか」
中井出「うむ。だから我らの手にも馴染む馴染む。
    こーゆーのってほんとに長い年月かけてやらなきゃ完成しないもんだから、
    博光ったら素直に感心」
エヴァ「氣だろーが魔力だろーが簡単に通るのか。
    武具が回路の一部と化すまで氣を通すか……ヤツは一体何者だ?」
中井出「天の御遣いでしょ。外史にもいろいろあるってことさね。
    なぁキティ? 舞台ってのは基点があって初めて回るだろ?
    オルゴールは巻いてやらなきゃ音を奏でない。
    ゲームもゲーム機と電気が無いとだめだ。
    北郷一刀がとある外史の基点だったとして、
    その世界が動くための動力である基点がその世界からなくなったら、
    世界はどうなると思う?」
エヴァ「動かないな。───待て、いや、つまり……そうなのか?」
中井出「多分合ってるよ。そんなわけだから、あの若さでこの木刀ってのも納得出来るわ。
    で、ねーチャオりーん、これ使えば平気で人両断できるんだけど、いいのー?」
超  「殺人はダメに決まてるヨ、センセ……」

 離れた位置でいろいろと整備をしていたチャオちーが、心底呆れた言葉を返しました。
 ウヌ、確かにコロシはヤバイアルヨネ。何せ生徒がいっぱいの祭りの中だ。参加者はほぼ麻帆良関係者と踏んでいい。

中井出「中々に難しいのぅ」
エヴァ「どーせ戦いが始まれば、姑息な手段を行使してでも勝つんだろーが」
中井出「ゲフェフェフェフェ当然よ」

 ほら、と返された木刀を受け取り、マナを解放。
 ヒュフォンと袈裟に振るっただけで、一つの舞台に地割れのような亀裂が走った。
 うおイカンイカン、舞台壊しちゃメーだよね。はいタイムヒーリング。

中井出「しかしまぁなんだね。レベルが低かろうが、武具能力がスゴイってのはひでぇね」
エヴァ「自覚してるんだったら大会では使うなよ……私も参加するつもりなんだから」
中井出「え? そうなの?」
エヴァ「いい暇潰しになるだろう? 毎年毎年、つまらない大会ばかりを見ていたんだ。
    こういった催し物ならぼーややヒロライン経験者も出るだろうし、
    全員ブチノメして勝利の酒をすするのも悪くない」
中井出「なるほど。その勝利の美酒を、直前の決勝でこの博光がぶち壊すと」
エヴァ「壊すなよっ!」

 メギョメギョと破壊部分の時間を巻き戻しながらの会話がこれである。
 うむ、美しい武舞台の復活じゃい。

エヴァ「…………なぁヒロミツ? このナビネックレスでは、
    “調べる”さえ使えば武器の性能を見ることが出来たよな?」
中井出「うむ? まあ、そうだが。どうかした?」
エヴァ「お前のジークフリードを見せろ。少し興味がある。
    というか本当に当たる前に手のうちを少しくらい見せろ」
中井出「や、構わんが……ジーク、敵じゃないから重力解除しといて。
    ……うむ、よしっと。ほい」

 取り出したジークフリードに黒刀【天樹】を融合させ、ハイとキティに渡す。
 霊章輪以外の全ての武具を含ませてるから、今の僕は不死身なだけのすっからかん人間です。

エヴァ「改めてみると異様な大きさだな……大人二人分はあるか?」
中井出「長さとかは測っておらんからなんとも言えぬわ」

 確かに3〜4メートルはあるやもだが。
 そういえば、必要に応じて伸び縮みしてくれるからあんまり気にしてなかったよ。

 ◆稀紅蒼剣ジークフリード───きこうそうけんじーくふりーど
 もはや説明するのも面倒な紅蓮蒼碧の長大剣。
 持ち主とともにある一心同体の武具であり、
 様々な武具を合成した上でこの形へ至っている。
 骨子となった武器は稀黄剣シュバルドラインと思われがちだが、
 実は初心者修錬場で貰ったグレートソードであり、
 武器に宿る意思自体がグレートソードだったりする。
 本人(剣?)はジークフリードという名前をいたく気に入っていて、
 偉そうな口調をたまにしたりするが、基本は持ち主と同じく凡骨。
 本来ならば+53万以上のバケモノウェポンだが、
 同調のために持ち主と同じレベルまで下がっている。
 アハツィオンとレヴァルグリードの能力は封印状態にあるものの、
 古の神々の力とかそれ以外が使えりゃもう十分だろオイ。
 そんなわけで能力“だけ”は超一流。総じてみれば超一流のB級。
 レンタヒーローみたいな武具である。
 *潜在スキル───“万象担う灼碧の法鍵”(スピリッツオブラインゲート)

 ……。

エヴァ「……能力以外があまりに頼りないんだな、これは」
中井出「失礼な。同調を解除すれば、切れないものなんてないモノに変わるんだぞ。
    希少金属とか滅茶苦茶使ってるから、このままでも相当強いし。
    竜鱗くらいならスパーンといけるよ? ドラゴンキラーも合成してあるから。
    覚えておくのだキティ……頼りないのはこの博光であり、武具ではないのだ」
エヴァ「言っててむなしくならないか? それ」
中井出「もう……慣れたよ……」

 様々な能力は使えるものの、肝心の僕がレベル1だからね。
 くそう、ベルセルクさんが暴走しなけりゃ、能力使い放題&強い僕でいられたのに。
 や、実際強い自分にゃ興味ないんだけどね? いつまでも誰かをからかえる自分でいられればそれでいい博光だし。
 ただね、武具の能力が使用不能状態なのは許せんのです。何故って、頑張って鍛えてきた武具だから。
 自分のレベルよりも武具を優先する……こんにちは、中井出博光です。

中井出「ではキティよ。バトルがここで始まることが解ったところで、これからどうする」
エヴァ「……せっかく武舞台があるんだ、少し遊んでいこうじゃないかヒロミツ」
中井出「オ? なんだコラ、この博光とやろうってのか? オ?《ドスッ!》ベイ!」

 不良っぽく言ってみたら両頬を殴られました。

エヴァ「いちいち不良の下っ端みたいな反応するなばか。で? やるのかやらないのか」
中井出「クックック……馬鹿めが、この博光の強さが解ってねぇようだぜ。
    いいだろう小娘〜〜〜っ! 力の違いってのを見せてやるぜ〜〜〜〜〜〜っ!!」

 返答を得た途端、キティが我が肩を踏み台にして武舞台の一つへと着地する。
 当然この博光はズシーンズシーンと無駄に大物ぶって歩き───

エヴァ「さっさと来いっ!」
中井出「な、なんだよう! いいじゃんかよう!」

 怒られてしまった。
 だが武舞台に上がったからには容赦しねぇぜ?
 この博光の強さ……思い知らせてやンヨ。


───……。


 シュウウプスプス……

中井出「グビグビ……」

 で、開始5秒で瀕死な僕が居ます。
 武舞台に倒れ、今日も元気にぐったりさ。……どういう意味?

エヴァ「弱いにもほどがあるだろ……」
中井出「《シャキィンッ》フッ、馬鹿め。今のは油断させるための演技だぜ?
    これからがこの博光の本気よ!
    さあ……どこからでもかかって《バゴシャア!》つぶつぶーーーーっ!!」

 瞬時に回復&立ち上がり、ターちゃんポーズで構えた途端に殴られた。
 再びズシャーと武舞台を転がり滑った僕は、口からエクトプラズムを吐いて青い空を見上げていた。

エヴァ「………」
中井出「フッ……我が本気をこうも容易く破るとは……。完敗だ……俺の……」
エヴァ「で、油断させて攻撃するんだな?」
中井出「ゲェッ! バレてる! チィイ〜〜ッ! ならば実力行使だ!」
エヴァ「フフッ……そうだ、それでいい。即座に負けを認めるお前なんか私は認めん!」
中井出「えぇ!? いいじゃん別に! 僕基本は雑魚ヒューマンなんだから!」

 そうして始まる本気バトル。
 能力を駆使したバトルなんて久しぶりだから、この博光も中々に心躍るサンデー!

中井出「覚えておくがいい……!
    私の体の中にはッ……神の力が宿っていることをォオーーーーーッ!!!」

 ですから素直に古の神々の力を解放しました。
 金灼はアハツィオンの力が無いと使えないし、黒もレヴァルグリードの力を使えない今じゃああまりね……。

エヴァ「古の神々の力ってやつだったな……ハッ、面白い!
    神に勝つのも悪くない! ストック解除! “掌握”(コンプレクシオー)!!』

 力の解放の瞬間、キティがストックしておいたらしい魔法を闇の魔法で掌握!
 どうやら本気で来るらしく、目の色が金色深紅に! ───だがしかし!

中井出「ゲェハハハハハ! それを待っていたぞ!
    超越凌駕!! この博光が貴様より弱いという既存を破壊する!!」

 晦やブラックノートン先生の能力、超越と凌駕を使用!
 これによりキティの現在の強さを超越、凌駕し、しっかりと既存破壊で自分の弱さも破壊する!
 さらにこの状態でフルブラスト!
 強化能力の全てを解放して、魔王カオスエグゼプターの力によりカオスの力を極大強化!

エヴァ『なっ───こ、こらぁあああっ!!!』
中井出「ウェエエエエヒェハハハハハ!!! 強靭無敵最強ォオオオ!!!
    さあいくぜキティ……! 正々堂々、試合開始!」
エヴァ『その笑い方の時点で正々堂々から外れてるだろおいぃいいいいっ!!!』
中井出「ゲハハハハハ! 勝ちゃぁいいのよ勝ちゃあよォオオオ!!」
エヴァ『こんのっ……! だったらさらに上乗せだ! “掌握”(コンプレクシオー)!』
中井出「ひょっ!? 無詠唱かね!」

 キティの両腕が真っ黒に染まり、ヤバイくらいに闇の蒸気みたいなのを立ち上らせた。
 な、なんという闇の波動……! 対面しているだけでとんずらしたくなりそうだぜ……!

エヴァ『シィッ!!』

 声がもうバケモノじみて聞こえるキティが武舞台を蹴り、とうとう動く!
 そんな景色を“時眼視・冥”で先読みし、右に一歩ドガァンッ!!

エヴァ『っ!?』
中井出「ヒィッ!? ななななんという威力……!」

 直後に武舞台を破壊せんばかりのキティの拳が、僕が立っていた場所へと突き刺さった。
 おぉお速い……! こりゃあ真面目にかからんとボッコボコやぞ……!?
 だって超越凌駕したところで、僕がレベル1なのは変わんないし……。

エヴァ『ちぃっ! リクラク・ラ・ラック───』
中井出「毒霧!!」
エヴァ『《ブシィッ!!》かっ!? くわぁああああっ!!!』

 キッと僕を睨んだ彼女の瞳に毒霧をプレゼント。
 ホホホ……不用意に我が瞳を睨むとは愚かな。
 この博光の口の中には、常に毒霧袋が常備されておるのよグオッフォフォ……!!

エヴァ『真面目にやる気があるのかお前はぁあっ!!』
中井出「クックック……この博光、勝つためならばどんな外道も即座に実行!
    ならばこの博光こそ真面目な博光! 我の正々堂々……即ち外道!!」
エヴァ『か、かかかか……!!《ミチミチミチ……!》』

 わあ、血管ムキムキだ。
 コメカミあたりが痙攣してらっしゃる。
 そんな彼女が瞳をぐいっと拭うと、ギパンッと見開かれた変異眼が僕を睨み───

中井出「毒霧!!」
エヴァ『《ブシィッ!》くわっ!? かっ……おぉおおお前はぁああっ!!!』
中井出「ゲハハハハハ!! 一度やったからといってやらないと決め付けたのが敗因よ!!
    さあくらうがいい! 我が渾身のぉおおお!!」
エヴァ『!!』

 キティが目を閉じたまま防御に入る!
 そんな彼女の鼻に、ニンニクエキスをプシュッと。

エヴァ『はぐぅっ!? うあっ! ふゎああぁあああっ!!』

 突然の苦手なものの香りに悶絶するキティさん。
 え? 渾身はどうしたと? ええはい、渾身の嫌がらせです。

中井出「ククク、知るがいいキティよ……力なぞ無くとも、得られる勝利があることを。
    そして、力があっても得てしまう敗北があることを……!」
エヴァ『けほっ! こほっ! う……や、やめろ、今度はなにを……!』

 毒霧に目をやられ、鼻をニンニクにやられ、さて次はなんでしょう?
 ニコリと笑んだのをなんとなく感じたのか、キティはびくりと肩を震わせ、閉じた目もそのままに後退った。

中井出「視覚、嗅覚とくれば、次は?」
エヴァ『!!《ババッ!》』

 僕の言葉に咄嗟に耳を塞ぐキティ!! そんな彼女をくすぐってやりました。

エヴァ『ふきゃうっ!? やばっ! なにをひゃわはははははは!!?』
中井出「ワハハハハハ!! 聴覚と思ったのが運の尽きよ!
    さあ地獄の苦しみを《マゴシャア!!》ニーーチェ!!」

 殴られました。

中井出「ほががががが……! い、痛い……!」
エヴァ『《ごしごしごしっ!》〜〜〜っ……痛いじゃないだろーが!!』

 殴られた頬を押さえながら、乙女座りをする僕をこすった瞳で見下ろすキティ。
 うん……そうだよね。くすぐられようが、殴ろうとすれば殴れるよね……。

中井出「み、見事な攻撃だ……この博光、あんな凄まじい技など見たことがない……!」
エヴァ『たまたま振り回した手が当たっただけだろ!?』
中井出「自惚れるなよ小娘!
    貴様なぞこの博光が本気を出せば、一秒でノックアウトだぜ!?(俺が)
    しかしただで済むと思うな!
    一秒もあれば貴様の口の中にニンニクを創造することなど造作も」
エヴァ『死ねぇええええええっ!!!』
中井出「キャーーーッ!!?」

 お話の最中に迫り来るキティ!!
 そ、そんなにニンニク嫌いですか!? 
 ククク、だが未来視能力を目に宿したこの博光!
 貴様が一生をかけようとも触れられるものか!

  バゴゴシャバキドガガンゴンガン!!!

中井出「ギャアアアアアアアアアア!!!」

 ……ものめっさ殴られました。
 ええそうですね、未来視できるからって動きが速くなるわけじゃないものね……。

中井出「こ、このやろ〜〜〜〜っ!! 図に乗りやがって〜〜〜〜〜っ!!
    ならば真の卑劣というものを見せてくれる〜〜〜〜〜っ!!」
エヴァ『! フンッ! どうせまた毒霧だろう!』
中井出「なんで解ったの!?」《ガーーーン!》
エヴァ『少しは違うやり方を変えろよおいっ!!』
中井出「ばかもん! この博光から卑怯卑劣を抜いたら何が残るか!」
エヴァ『胸張って言うなよそんなこと!』

 それから始まる取っ組み合い。
 懲りずに毒霧吐いたりニンニク創造して投げつけたり、ヘッジホッグスキルで受けるダメージの半分を無理矢理返したり、魔法をアスラーナで倍返ししまくったり、怯んだところを捕まえてくすぐりまくったり───

エヴァ『うわやややややめっ……こらぁあああっ!!』
中井出「じょ、嬢の体にもうとんでもないことしたるわ……!
    す、すぐによくなるし大声あげてもあのー……誰も来やしねぇのじゃよ?」
エヴァ『くすぐられてていいも悪いもあるかぁああっ!!!』

 ……こうして。
 外道の限りを尽くした僕は、終いには卑怯者卑怯者と泣き出すキティを散々とからかいながら、夜までの時間を楽しみました。いや、けどマジ泣きされるとは思ってなかったので、泣き止んでもらうのに相当苦労しましたが。


───……。


 なでなでなで……

中井出「はぁ〜〜ンぁ、しっかしマジ泣きされるとは思いもせなんだ……」
エヴァ「う、うるさいなっ! お前がいけないんだぞっ! あんな外道な技をっ……!」
中井出「外道と書いて博光ですもの」

 現在とっぷりと夜。
 朝っぱらから今までを散々とキティバトルに費やした僕は、人が集まり始めた龍宮神社の屋根の上に胡坐をかき、その上にキティを乗せてすっぽりと抱きすくめながら頭を撫でていた。
 やっはっは、やはり相手が自分より長生きしてるって解ってると、案外弱い部分もポロリと見せてしまうものなのかね。この博光、キティはもっと強いお子かと思っておったよ。
 もっとやさしく外道チックに対応してやらねば。

中井出「しかしなぁ、苦手なモノは克服しとかなぁなぁ。
    今のままでは貴様、誰にでもいいように負けを進呈されるよ?」
エヴァ「お前以外に嫌がらせのために、
    “創造”なんていうとんでもない力を行使する馬鹿が居るかっ!」
中井出「え……や、照れるな、そんな褒められ───」
エヴァ「褒めるかぁっ!! そんなことっ!!」

 うむ、今日も元気元気。
 さて……猛者情報によれば、この会場にはもう三回目の時間旅行中のネギが居るはずなんだが……お、居た居た。
 はっはっは、人垣に混じって威勢のいいセリフ吐いておるわ。

中井出「前途ある若者の自信を叩き折るのも楽しそうじゃのう」
エヴァ「エントリーするか? 開始時間ギリギリまで受け付けると言っているが」
中井出「うむ、やってしまおう。力があることバレたくないから、ルミエールスタイルで」

 マキィン♪ 軽い音を立てて女の姿に変身。
 刃物の使用が禁止ってことらしいので、武具の全てを託したブリュンヒルデでただの服を象り、纏う。これで能力使いたい放題の小娘の完成だぜ〜〜〜っ!

カーナ「おっといけねぇ、ポニーテールを忘れるところだった」

 女になったからって無駄に伸びるこの髪はどうなってるんだろうね。
 ポニー大好きだからべつにいいけど。

カーナ「よっしゃ行くかっ! 参加する生徒諸君に目にモノ見せてくれるぜ〜〜〜っ!」
エヴァ「腕鳴らしになればいいけどな……」

 首をコキッと鳴らすキティを抱きすくめ、その状態で大地へ降りる。
 エントリーを済ませればあとは戦うだけ。
 ネギたちが居るグループと重ならんように調整しつつ、適当な武舞台を選んで。
 ……うん、そこらへんは既存破壊でなんとかしました。

ポチ 「ム」
カーナ「オ?」

 そのグループ内で、なんか“もうしませんから”の作者っぽい人を発見。
 いや、細身で髪長いけど絶対そうだって。
 コレあれだよね? ポチの人だよね?

カーナ「ウム」

 呼吸を整えると、予選は開始した。
 キティとは別のグループになったけど、ヤツなら余裕なことでしょう。
 そんなわけなので早速、武舞台上の人々の排除にかかった。

カーナ「おさらいだ。飛び道具と刃物はダメ。
    飛び道具は銃器、矢尻のついたものはアウト。
    投石及び投げ縄等は許可される……と。そうくれば、何がいいのか」

 ごめんうそです、どうしましょうかと思案ドギャルド。
 シアンドギャルドについてはテイルズオブデスティニーあたりをどうぞ。

カーナ「武具がよくても体は雑魚だからなぁ……攻め切られれば敗北必至」

 こんなひょろいあたしだからか、ぼんやりして動かない僕を誰も攻撃しませんし。
 目の前ではいろんな人が血生臭いバトルをしているといふのに。
 や、しかしその中でも強い! ポチの人、なかなか強いぞ!?
 あ、あれは中国武術!? いや、中国武術かもしれん! あるいは中国武術……!
 …………うん、中国武術だろうね。

カーナ「うむ、では参ろうか。バレットブラスト!
    我が拳より火属性の空拳、我が足より雷属性の雷撃を放つ!」

 武舞台の端に立ち、そこから空拳を放つ放つ放つ!
 疾風奥義で一息で四発放ち、それが済むと一呼吸おいて再び放つ。
 否、むしろ面倒だったのでエンペラータイムを使用。全ての能力から制限を除外した状態で、これでもかというほどに空拳を放ちまくる。

カーナ「ワハハハハ!!
    フラッシュピストンマッハパァーーーンチ!! ハァアアーーーーウ!!!」

 ユーアーノットマイマッチ! アイアムノットマイマッチ!!
 盲目ペナルティや、威力&速度減少ペナルティが無くなれば、疾風奥義や烈風奥義ほど使いやすい技はねぇぜぇ〜〜〜っ!!

カーナ「さあいくぜ最速領域! 疾風斬・神域!!」

 ただただ同じ速度で腕を振るうのが疾風斬ではない!
 生命エネルギーを力に変えることで、人が至れる速度よりなお速く!
 これぞ速度の極致、神域……! 
 え? 光速拳でやったほうが速いって?
 ……うん、そうだね。

カーナ「ならば光速拳・神域!!」

 愚地克己氏の音速拳の進化型、光速拳にてラッシュラッシュラッシュ!!
 するとあまりの速度に腕が破裂して肉とか骨とかギャアアアアアアアアアシールド張るの忘れてたぁあああああ!!!
 ええい治れ治れ! 水+然! 水の恩恵!

カーナ「お、おーっ……おっほ……! 死なないとはいえ死ぬかと思った……!」

 危うく産まれたままの姿よりも赤裸々なボデーをさらすところだった……!
 ボデーっていうかボーンだけど。や、むしろさらしてたか。

カーナ「うむ! では気を取り直して───なに!?」
ポチ 「ハイィイーーーーッ!!!」

 傷を癒していた最中だった!
 一気に間合いを詰めてきたポチさんが、あたし目掛けて中国武術の嵐を───!

カーナ「ふっはっはっはっは! 当たらない! 当たらないなぁ水越ぃいいい!!」

 しかしターちゃんばりのふにふにウェービングで全ての攻撃を避ける避ける!
 言葉は杉並チックだけど、気にしない方向で。

カーナ「《ビッ!》ぬおっ!?《ヂッ!》おっ、おおっ!?」

 けどマズイ! こいつ中々やりますよ!? かするようになってきやがった!
 さすがにレベル1じゃあ対処しきれんということですか!?
 ぬうう! 奥の方では空拳から一人逃れたらしい薄緑色した髪の男が、こちらを見て笑っておるというのに! あんにゃろこっちが勝手に潰し合うのを待っているということですか!

カーナ「バッスー・ピンコオ拳!!」
ポチ 「《ドボォッ!!》ぷろぉっ!?」

 ズシムと踏み込み、拳を振るった彼の懐に潜り込み返し、その腹部に掌底を沈める。
 と、エンペラータイムによって解放されてた様々な力の恩恵か、ポチさんはゴシャーアーと吹き飛んでしまい、場外へ。

カーナ「あ、あらやだ……」

 レベル1だから少し強めにしたら……この有様ですか。
 まあいいや、あとはあのキザーラさんを……!

声  『おっと早くも決着がついたグループが!
    残ったのは、あー……山下慶一選手と、ルミエール=D=カーナ選手!
    本選出場決定です!』
カーナ「なにっ!?」

 あのキザーラさん山下慶一っていうの!? なんか普通! すげぇ普通!

明日菜「……? ───!」

 あ。Cグループの明日菜くんが僕を見てなんか叫んでる。
 これこれ、人を指差すのやめなさい。

カーナ「まあ……終わったなら退場しますか」

 本選を待つまでもねぇ〜〜〜って、山下たろー……じゃなくて慶一さんをブチノメしてみたかったのだが。
 ……さて。
 傍観する限り、キティもさっさと周りのやつをブチノメしてるみたいだし、タカミチも一緒になってブチノメしまくってるから───とか思ってるうちに終わった。
 ちなみにグループ内でのバトルは随分と急ピッチで進み、気づけば武舞台に立っている二人は……見知った者ばかりになっていた。

A:あたし、山下慶一
B:ネギ、クーネルさん
C:せっちゃん、明日菜くん
D:くーさん、たつみん
E:コタロ、楓さん
F:キティ、タカミチ
G:……誰?、グッドマンさん
H:知らん。なんかゴツイやつ

 こんな感じです。
 ふむ……GとHってグッドマンさん以外解らん。
 Gのもう一人は、なにやら大人しげなおなごですが。
 Hの二人は……ゴツイサングラスマッスルと、武闘家っぽい男。
 名前はちと知らん。

声  『…………なにやら開始までまごついていた割りに、
    一瞬にして予選が終わってしまいましたが!
    これにより本選出場者16名が決定しました!
    本選は明朝8時より龍宮神社特別会場にて!』

 いやほんと……余所見してたうちにあっさりとまあ。
 特にABCDEFは速かった……ヒロライン経験者からしてみれば、こんなもんかもしれん。

声  『では大会委員会の厳正な抽選の結果決定したトーナメント表を発表しましょう!』
全員 『速ッ!!?』

 驚きの声が上がった!
 速っ! 速ぇよ! 大会委員会って誰!? 大会委員会って何処!?
 つーか朝倉さん!? そういやいつの間に司会とかやってるの!?

朝倉 『こちらです!』

 バッと手で促された先を見ると、垂れ幕めいたものがバァッと開かれ、そこには───

第一試合───佐倉愛衣VS村上小太郎
第二試合───ルミエール=D=カーナVSクウネル=サンダース
第三試合───長瀬楓VS中村達也
第四試合───龍宮真名VS古菲
第五試合───田中VS高音=D=グッドマン
第六試合───ネギ=スプリングフィールドVSタカミチ=T=高畑
第七試合───神楽坂明日菜VS桜咲刹那
第八試合───エヴァンジェリン=A=K=マクダウェルVS山下慶一

 って組み合わせが記されておった。
 俺の相手は〜……カーネル!? お、おぉおお……! Mのソナタを愛して三千年、この博光が憎むべきカーネルのやろうと戦う日が来ようとは!
 見ていてくださいドナ様! 俺……俺、カーネルをブチノメしてマクドナルドの天下を!
 …………あれ? よく見たらクウネルだ。騙された……。

カーナ「おっと、興奮してつい俺とか思ってしまった……あたしね、あたし」

 よし、キティもトコトコと戻ってきたことだし、明日菜くんが来る前に退散を───

明日菜「ちょっとあんたぁあっ!!!」

 ……だめでした。

カーナ「……? どなたでしょう」
明日菜「へぐっ!? ど、どなたって……覚えてないの!? 私よ私っ!」
カーナ「……ひょっとして私私詐欺ですか? それならせめて電話でしてください。
    電話もなしに直接詐欺に走るなんてどれだけアグレッシヴなんですか、もう」
明日菜「いやいやいやいや違うからっ! 詐欺とかじゃなくて、ほらっ!
    吸血鬼騒ぎの時に会った!」
カーナ「吸血鬼……? …………うわぁ」
明日菜「ちょっ!? なんでそんな哀れむような目で!?
    違うわよっ!? 私は頭の可哀想な人じゃなくてぇーーっ!!」
カーナ「解ってます、解ってます……吸血鬼は居ます、居ますよ。あなたの胸の中に」
明日菜「うあぁあああーーーーっ!!? なんかすっごく馬鹿にされてるーーーっ!!?」
カーナ「話はそれだけですか? では失礼します。これでも盛大に暇なので」
明日菜「暇なの!? 暇なら話に付き合ってくれても!」
カーナ「それはだめ」
明日菜「私限定で大忙し!?」《がぼーーーん!!》

 早々と会話を済ませ、キティを連れて歩きだした。
 さて、これにて一日目が終了するわけだが───どうせなら過去に飛んでやんちゃしますか。
 もちろん歴史が変わらん程度に楽しむ方向で。
 どうせもうネギ坊主がカシオペアで散々改変しちゃってるんだろうから、いちいち悩む必要もなし。クラスの出し物とかもちゃんと見てやらなきゃ可哀想だしね。

カーナ「ほんじゃ、戻るか」
エヴァ「よし来いだ。今年の学祭は回り甲斐がある。いくらでも付き合うぞ」
カーナ「うむ、頼もしい限りである! では───」

 人の目から離れた場所までをトトンッと移動すると、即座に時空転移を実行。
 今日の昼まで遡ると男の姿に戻り、祭りを楽しむべくヤイサホーと叫んで駆け出した。
 さあ……俺達の戦いは始まったばかりだ!




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