16/時間や状況に縛られようとも頭ン中だけは自由であれ

 テコテコテントンテンッ♪
 モンハンの微・貴重品を拾った時の効果音を無駄に奏で、ふぅと息を吐けば喧噪の中。

中井出「つまりさ、僕らがこうして過去に戻ってくるってことは、
    この場には僕らは、戻った数だけ居るってことなんだ。……と思う?」
エヴァ「なんだいきなり」

 時を戻って麻帆良祭一日目、昼。
 キティとともに時間を遡った僕らは、クラスの手伝いをすべくこうしててほてほと歩いておりました。

中井出「時間軸の話。まず俺が過去に戻って、キティの妨害やらをするとしましょう。
    で、一方ではさっきのように武闘大会予選をするとします。
    さて、この場合僕らがここに居るのに他にも僕らが居る理屈は、通るでしょうか」
エヴァ「通るから居るんだろーが」
中井出「うむいい答えです。ただね、この世界は軸が一本しかない。
    過去に何かが起これば未来に無理矢理反映される世界だ。
    俺が居た天地空間って世界は、
    過去で何をしようが自分が生きた歴史には反映されん。
    時間としてそこに存在しちまってるもんなんだから、そりゃ当然だね。
    でも反映した世界で過ごしたいとなると、その軸に存在する自分は邪魔者になる。
    それはどうでもいいんだけどさ、よーするにえーと。
    あ、すまん、自分の中で解決しちまったい」
エヴァ「なんなんだよいったい……」
中井出「人の行動の数だけ歴史は存在するってことを考えてたんだけど、
    そうだよね、そもそもこの世界って何が起きても未来に反映しちまう世界だし。
    つまりどんな道を辿っても、スーパーさんがこの時代に居る時点で、
    そこまでに起きることの全ては決まっちまってるってことだ。
    ……すくなくとも、人が生きていられる世界ではある。
    加えて言うなら……あぁ、不用意に未来人なんて出すべきじゃないってことか」
エヴァ「? だから、なんだよ」
中井出「超さんの言うことが全て正しいなら、とりあえずネギ助は死なないってこと。
    どんな困難があろうと生き延びて、誰かと結ばれて子をなす、ってこと。
    未来がもう存在してるなら、そこに行き着くのは確定なわけだ」

 その世界に混ざった俺が何かをしない限り、だけど。

エヴァ「よく解らんが、その確定とやらも覆せるんじゃないのか?
    過去に起こしたことが未来に反映されるんだろ?」
中井出「───……あれ? あれちょっと待て? えーと……………………」

 猛者どもの知識を集合。
 ………………分析。
 超さんはネギ助の子孫。
 子孫だから、生まれるにはネギ助が誰かと結婚する必要がある。
 そのためにはネギ助は生きていなければならない。
 もちろんオコジョになっていたりするのはアウトだろう。
 ……じゃあ?

中井出「アルェー!?」

 猛者情報だと一度、超さんの手によって魔法がバレた世界ってのが出来上がってるんですが!? え!? それでも超さん産まれたの!? ハッ!? まさか隠し子!? いやいや待て待て子供! まだ子供だからネギ助!
 じゃあ遺伝子を使って!? それこそ待て! 有り得ん! 有り得……ハッ!? 麻帆良の科学力をもってすれば、そんなこと簡単やもしれん……!
 あ、じゃあそうすることで自分が産まれないことを覚悟の上で魔法をバラした!? それこそ待て! そうしたら超が産まれる未来自体が存在しなくなるだろオイ! 産まれてないのに過去に飛ぶのは無理だ! リテイク!
 ならば、ならばぁああ……!!

中井出「………」

 解らん。いいやどうでも。

エヴァ「よく解らんが答えは出たのか?」
中井出「チャオりんが火星人だってことは解った。
    多分火星人がネギをキャトルミューして細胞抜き取っておいたんだよ。
    ちなみに火星人は魔法が使えないらしい。
    きっととある人形使いが原因で魔法世界の全てが破壊されたのよ。
    とまあ予想なら適当に立てられるんだけどね。
    僕らが予想もつかない事実が未来に存在するに違いねー」

 この世界にゃあ過去現在未来の自分しか存在してないってことだ。並列は存在しないわけね? つまり未来の自分が過去に行くことしか、多分許されてない。
 はたまたカシオペアおばさま……じゃなくて航時機を使えば未来にも行けたのかどうか。
 解らんね。未来に行きたいとも思わないから使いたくないし。

中井出「そんなわけでクラスの様子を見に行きましょう。
    お化け屋敷だったよね? 衣装が全然怖くない方向の」
エヴァ「あー、なんだ、怖さよりも視覚的な客ウケを狙ったものだったよな。
    お前が作った衣装は、普通に怖い方向性を目指していたみたいだが」
中井出「……え? モンゴルマンの肉襦袢って怖いものだったの!?」
エヴァ「いつ作ったんだそんなもん!
    バイオハザードのゾンビがどうとか言ってただろーが!」
中井出「あ、あああっちね……驚かさないでくれよキティ、
    おいさんモンゴルマンを誤解しちゃいそうだったよ」
エヴァ「誤解してていーからさっさと質問に答えろよ」
中井出「ウムス」

 溜め息つかれました。いつものことだけど。
 そんなこんなで歩きながら、麻帆良祭初日の教室目指しているわけですがー……なんでしょうねぇ、やっぱり時間のこととかいろいろ気になるわけですよ。

中井出「ちなみにあの怖い衣装、
    他の衣装と合わないからダメってパルシステム先生に奪われたけど」
エヴァ「……まぁ、そーだよな」

 迫力満点の衣装、てゆゥか着ぐるみだったんだけどね。あ、肉襦袢じゃないよ?
 まあお子めらの衣装がなんつーかこー、漫画アニメゲーム等をモチーフにしたものばっかだったから、あそこでリアルな恐怖を追及しても仕方ないのかもしれんけど。

中井出「ねぇキティ? やっぱり僕思うんだ。
    ここで僕らがこうしている間にも、
    別の場所では別の僕がキティの邪魔してるわけだよね?
    それって未来に繋がる結果としてはどーなの?
    やっぱり未来から飛んだ僕らが、ここにはいっぱい居ることになるよね?
    4回繰り返したんなら、繰り返した分だけの僕らが」
エヴァ「めんどくさいやつだな……あのな、いいか?
    お前の世界と違って、この世界は過去がそのまま未来に繋がっている。
    軸だかなんだかは存在してなくて、言ってしまえば今立っているここが軸だ。
    枝分かれもなにもない。
    私たちが今この時間に何人居ようが、それは既に起こることとして決まっている。
    じゃあどうして決定されている歴史に同じ人物が4人も居るか。
    お前が気になってるのはここだろ?」
中井出「お、押忍。理解が早くて助かります」
エヴァ「お前の理解は遅いけどな。少し考えれば解ることだろーが。
    つまり、たとえこの場にお前が5人居たとしても、それぞれ同じ人物だからだ。
    別の軸が無いなら当然だが、それぞれが別の“時間”から飛んできた。
    “別の歴史”じゃないぞ? “別の時間”だ。
    一人目は一日目の夜から。二人目はその一日目をもう一度繰り返した夜から。
    三人目も四人目も、五人目だって同じだ。
    今この場に何人居ようが、それは繰り返した回数だけそいつが居るだけで、
    お前が考えているような歴史軸の問題じゃない」

 ……ふむ。

中井出「じゃあ質問。猛者情報によると、この世界はスーパーさんの手で改変、
    魔法が世界にバレる歴史になるらしいんだけど、
    そんなもんが存在する世界でも、別の歴史軸はないって言える?」
エヴァ「ハ、無いね。断言してやる。
    そんな未来があったとしても、過去を変えれば塗り替えちまうのさ。
    それがこの世界の法則なら当然だ」
中井出「ググー」

 怖いね、過去。
 起きた過去は変えられない世界で生きた僕としては、変えられる過去の方がよっぽど怖いよ。
 だってさ、頑張って積み重ねたものが、誰かの独断である日パタリと変わっちゃうんだよ? しかも変わったことにさえ気づけないとくる。
 これは……ちょっとした大恐怖ですよ? ……あれ? 表現ヘン? ヘンだね。
 まあともあれ、教室前です。
 クラスのお子めらがどっかで見たようなゲームキャラの衣装を着て、客寄せをしとる。

中井出「やあ僕のキミタチ、調子どう?」
桜子 「あ、中井出センセ」
裕奈 「いやー、客足はぼちぼちなんだけど、いまいち伸びなくて。
    なんか打開策とかあったら提案してくれないかにゃー?」
中井出「到着早々に打開案要求されるとは思わなんだよ」
エヴァ「一応頼られてるってことで喜んどけばいいだろ?
    普段から頼られてないんだから」
中井出「うるさいよもう!」

 だがそうか、しかしグムー……!
 客寄せ、客寄せねぇ……。

中井出「おおそうだ! 今なら来た人全員に、モンゴルマスクと肉襦袢をプレゼン───」
三人 『絶対だめ』《どーーーん!!》
中井出「ええっ!? なんで!?」

 言い終わる前に拒否されたよ!
 いいじゃんモンゴルマン! せっかく作ったんだから誰か着てよ!

中井出「グウウ……ムムウ……モンゴルマンがダメとなると、もはや打つ手が……!」
エヴァ「どれだけモンゴルマンに命注いでるんだよお前は……もっとフツーでいいだろ。
    男であるお前が女を連れてくるとか。男連中はほうっておいても来るだろうし」
中井出「それって中学生のコスプレ目当てでやってくる男たちだよね。
    怖さとか関係ないよねそれ。どーすんのそれ。って、そ、そうだ〜〜〜〜〜っ!!
    こ、怖さで客寄せすりゃあいいじゃねぇか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
エヴァ「怖さで? …………ふむ、確かにそれが店の名には相応しいけど」
中井出「というわけで怖さを見せてくれキティ!
    キミのサタデーナイトウヴォーギンの名にかけて!」
エヴァ「ハイデイライトウォーカーだ!!
    いい加減覚えろよこの馬鹿!!」
中井出「馬鹿とはなんだコノヤロウ!!」

 叫びながらも、どうやらやってくれるらしい。
 なにやらテレテレしながら、わざとらしく咳払いを一つ───キッと目を変異させると、辺りに寒気すら感じる空気が立ち込める……!!

中井出「でもキミだけ怖くても催し物にならないから別の案でいこうか」
エヴァ「おぉいっ!? おまっ……おいぃっ!!
    ここまでやらせたなら最後までやらせろよ!
    わ、私の溢れる迫力とかカリスマとか、
    いっつもお前の所為で台無しにされてるところを今こそだな!」
中井出「ん……そうかい、よかったねぇ……」
エヴァ「聞けぇええーーーーーーーっ!!!」
中井出「《ぐぎゅー!》ギュビビーーーッ!!?」

 飛びつかれて首を絞められました。最強。
 とまあそんなわけで、今回はクラスの出し物を手伝うことと相成りました。
 おばけ屋敷……いいね! 我らの手で客どもに最高の恐怖というものを味わわせてあげるのです!
 ……たまに“あじあわせる”と言ってしまう人も居るけど、正しくは“味わわせる”だから気をつけようぜ!


───……。


 カチャリ……コチャリ……

中井出「いちまい〜にまい〜さんま《ガシャーン!》ゲェエーーーーーーーーーーーッ!!
    ヤベェエエエーーーまた皿割っちまったぁあーーーーーーっ!!!
    ハッ!? い、いやキティ!? なんでもない! なんでもないよ!?
    べべべべべつに皿割ったりなんか───違うよ! なに言ってんの!?
    割ってないよ! 割ってないったら! だからこっちに来るんじゃ───え?
    その手に持ってるのはなんだって?
    オイオイとうとうボケたのかね、こりゃあ僕がたった今割った……ゲェーーーッ!
    い、インチキッ……これはインチキッ…………!
    卑怯じゃないか誘導尋問なんて! 僕は精一杯やってたんだ!
    それなのにこの皿の野郎がっ……あ、あれ? なんでカード取り出すの?
    今カード関係ないよね? アデアット言う必要ないよね!?
    なんで今ここで力を解放するの!? ダメ! 人が見てあれ居ねぇ!
    いやちょっ……なんでこんな時に限って僕ら二人だけ!?
    さっきまでそこに桜子さん居たよね!? イリュージョン!?
    ままま待てぇーーーっ! 動くな! 動くとこの!
    モンゴルマスクと肉襦袢が大変なことに───ゲゲェ嬉々として襲ってきた!
    少しも躊躇しないよこの子ったら!
    フッ……いいだろう、ならば存分にヴァーーーーーッ!!!」

 喋り途中にボッコボコにされました。
 ひどいよね……僕ただ、皿の数数えてただけなのに……。


───……。


 なんかもういいからとにかく怖いのにしませうってことになりました。
 しかし忘れちゃいけないのが、これがクラスの出し物だってこと。
 生徒たちの頑張りを消してしまうようなことは断じていけません。
 だから多少プラスしただけ。
 まず入り口で小心者になるガスを噴射。
 で、出口でその効果を無くすガスを噴射。
 これで客は全員ドッキドキやぜ!? そんな反則技です。
 あ、ちなみに中にホンモノの霊とかも混ぜました。
 いえ、さよちゃんじゃなくて、もっと別の。

中井出「あ、にーさんにーさんブッシャシャシャシャ……!
    いい子そろってるよ〜、寄ってかない〜?」
エヴァ「どこの客寄せだお前は……」
中井出「や、一度言ってみたくて」

 で、やることもなくなったので客寄せです。
 適当な男を捕まえては、ブッシャシャシャシャと笑いながら勧誘しております。
 笑い方については、ドリキャスゲームのパワーストーン2より、悪の料理人グルマンを参考のほどに。

中井出「客寄せって退屈だね。究極に怖くしていいんだったらいろいろ改変して、
    客寄せの文句もいろいろと変えようがあるんだけど。
    “グヘヘヘヘ退屈をしているのなら我が教室に来るがいい……!
    貴様らに最高の恐怖と絶望を味わわせてくれるわウェエッヒェッヒェッヒェッ!”
    って、そんな感じに。
    で、こういう場所には大体訪れるチャラリーナさんをご案内するの。
    なんかそーいうのが地獄先生ぬ〜べ〜であったようななかったような」
エヴァ「…………これで案外、悲鳴は聞こえてきてるぞ?」
中井出「入り口に小心者……つーか臆病者になるガスを設置しましたから。
    中の方にもホンモノの霊も混ぜたし。
    あ、ただし幻覚を見せる程度の能力で、
    お子めらの怖さを倍増させる程度でしかないからご安心を。
    この出し物は生徒たちのものですけぇ、生徒たちが怖がらせなければ意味もなし」
エヴァ「いろいろツッコミどころがあるけど、する時間も惜しい。
    ぼーやも到着したようだし、ここはぼーやたちに任せて私たちは移動するぞ」
中井出「え? もう? チャラリーナさんをからかったりしないの?」
エヴァ「そんなことしてなにが楽しいんだ。
    同じところに縛られるよりも歩いたほうがまだ楽しめるだろ」

 ぬう然り。
 ならばと、生徒たちにその旨を伝えようとしたその時でした。

チャラ男「《くっちゃくっちゃ……》オイオイおじょーちゃァン?
     こんなところで店番でちゅかー? おーお偉いでちゅぇねウェヒャハハハハ!
     なぁんだもしかして人手不足なのー?
     あ、なぁんだったら俺が手伝ってやろォかァ、
     いろいろサービスしてくれたらおにーさん、がぁんばっちゃうぜぇ?」

 ……現れました。
 なにやらやたらとチャラチャラしたアクセサリーを身に纏い、ガムをくっちゃくっちゃと噛み、地震でもないのにふらふら揺れながらニタニタ笑んで絡んでくる……祭り名物チャラリーナさん。
 てゆーかガム食うなら口閉じなさい、むしろガム噛みながらタバコ吸うのをやめなさい。むしろ学園内でタバコはタカミチだけで十分です。
 むしろそういう口調は人をからかう時に、自分がボコられることを覚悟の上でするべきである! 失せるがよい!

中井出 「おお、でしたらこの博光が」
チャラ男「あぁ〜? るっせぇな男は黙ってろよ《ベゴキャア!!》うじゅり!?」
中井出 「はい黙らせました。男は黙っててね?」

 首の骨を捻り折って黙らせた。
 もちろんすぐに癒したから、気絶で済んでるけど。

中井出「や、いい人だね。話が早くて助かったよ。
    まさか自分から男は黙ってろなんて言ってくれるなんて」
エヴァ「ああ、まったくだな」

 とりあえずこの人には臆病者のガスをたっぷり吸わせて、と。
 これであとは……よし、顔に“おばけ屋敷へようこそ”って書いて道端に捨てておこう。

エヴァ「なるほど有効利用だな」
中井出「有効利用でしょ?」

 着いて早々にネギとコタロが困惑してたけど、まあ気にしない方向で。
 つーかいつの間にコタロと回ってたんだ? …………まあいいコテ。

中井出「じゃあネギ、僕らちと別のところに遊びに行くから。
    こっちのこと頼みましたぜ?」
ネギ 「あ、うん」
小太郎「とーちゃん、どこ行くんや?」
中井出「うっふっふ、まだ見ぬ“楽しい”を求めにさ!
    普通の学園祭では味わえぬ、麻帆良だからこそ味わえる楽しさを求めて!
    グフフヘヘヘヘこの博光も久しぶりに高揚しておるわグオッフォフォ……!!」
エヴァ「高揚は解ったからその奇妙な笑い方を今すぐやめろこの馬鹿」
中井出「一息でなんとひどい!」

 でもいちいち気にしません。
 そんなわけで僕はキティとともに、新たなる楽しさを求めて歩き出したのだった……!


【ちびっこカンフースクール】

 ザムゥ〜……

中井出「あぁあ……ぁああああ……!!
    シーザーーーッ!! シィーーーザーーーッ!! シ《マゴシャア!》サブレ!」
エヴァ「うるさいな! 何をいきなり叫びだしてるんだよ!」
中井出「いがががが……! や、だって……!
    ザムゥ〜とか鳴ったらとりあえず言いたくなるじゃない……!
    つーかいきなり殴るのやめなさいよもう……!」

 詳しくはジョジョ第二部をどうぞ。
 ワムウ、エシディシ、カーズが復活したあたりです。
 ちなみに実際に鳴ったのは、ただカンフースクール前に立ち寄ったのが原因。意味解らんね、どうでもいいや。

中井出「つーわけでおーい、くーさーん! 遊びに来たヨー!」
古菲 「ム? おお師父、よく来たナ。カンフーに興味があったカ?」
中井出「いや。僕は自由なバトルにこそ興味があります。
    でも中国拳法は普通に好きですよ?
    からくりサーカスの加藤鳴海が特に好きでさぁ」
古菲 「オオ、アレはいいものだたナ。一撃一撃を見るだけでこう、力が入たヨ」
中井出「そーそー! アレよかったよねー!」
エヴァ「格闘馬鹿だな」
中井出「うっさいやいナギ馬鹿」
エヴァ「なばっ!? ばばば馬鹿なに言ってんだ! 私はっ……!」

 返した言葉にあっさり真っ赤で今が食べごろなキティの出来上がりです。
 食べごろは関係ないですね。真っ赤に熟したトマトとか思っていただければ幸いです。
 実際真っ赤だし。

中井出「しかし、ホホー、こげなお子どもがカンフーを」
少年1「にーちゃん誰だー?」
少年2「見ない顔ですね」
少女 「ふつーのにーちゃんアル」
中井出「フッ……最高の褒め言葉だ少女よ。で、このお子めら、結構強いの?」
古菲 「ニョホホ、まだまだアルが、普通の子供として見るならば強いアルヨ」
中井出「ほほぅ……」

 くーさんがそう言うからには僕なんぞよりもよっぽど強いに違いねー。
 いや、もう強さとかどうでもいいんだけどね、武具さえ満足に扱えるなら。

中井出「で、こげなところに萃まって……じゃなくて集まってなにしとんの?
    お子めらからカツアゲでも……」
古菲 「するわけないアルヨ!? ネ、ネギ坊主が来るのを待っているだけアル」
中井出「そうなん? フムー」

 ネギといえば、今は客引きかなんかやってるだろうし……来るまでにはもう少々かかってしまいます。

中井出(どうしよっか、ネギが来るまで少し時間稼いどく?)
エヴァ(お前は私に何を期待してるんだよ……)
中井出(む? なにって……………………………………よしキティ!
    お子めらにホンモンの戦いというものを見せてやるんだ!)
エヴァ(いやだよめんどい。やるならお前だけでやれ)
中井出(OK! じゃあ貴様をサンドバッグにして、
    このお子めらに俺の格好良さを見せ付けてやるぜ〜〜〜〜っ!!
    文句ないよね!? だってやるならお前だけでやれって貴様からの推薦だもん!)
エヴァ(傍迷惑な受け取り方だなおい!!
    お前だけって言ったんだ! 私を巻き込むなよ!)
中井出(ホホホやだ)
エヴァ(お前はぁあああ……!!)

 さあ! そんなわけで正々堂々、試合開始!!
 キョホホ、今こそ貴様に目に物見せてやるぜ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!


───……。


 ガキッ! ゴキィッ!!

エヴァ「オォラァーーーップ!!」
中井出「《グワァキィ!!》おごわごぉおーーーーーーーっ!!!」

 あっさりOLAPで捕まりました。最強。

エヴァ「懲りない奴だな……! 負けると解っていて突っかかってくるなんて……!」
中井出「グッ……グフフ……!
    た、“たとえ勝ち目が無くとも俺は全力を尽くす”という……
    グレイさんの言葉がある……! その言葉はまあどうでもいいんだが、
    平凡に過ごすだけじゃあ得られぬ刺激などを、いつでも手に入れるために……!
    お、俺は貴様をからかうことを絶対にやめやしねぇ〜〜〜〜〜〜〜っ!」
エヴァ「傍迷惑だな本当に!! ……っ……それで、どうするんだ……!?
    この体勢から抜け出す力を、お前が出せるとでも言うのか……!?」
中井出「馬鹿め! 貴様はこの技をかけた時点で、逃れられぬ策略に嵌っていたのだ!」
エヴァ「なっ───!? フ、フン、どうせ強がりで───」
中井出「トタァーーーーッ!!」

 まずは強引に、固められている体ごと宙に跳躍!!
 さらに間接をゴキンと外すことで腕のフックをこれまた強引に外し、急に支えを無くしたキティが腕を彷徨わせているところへと、間接を戻した手でキャッチング!!
 さらにさらにそのまま足をフックして体をブリッジさせれば〜〜〜っ!!

中井出「これが残る50%の! アタル版、マッスルスパークだぁーーーーっ!!」
エヴァ「懲りない奴だな本当に!! その技はもう見切っている!!」
中井出「《ガッ! ガキィ!》アッ……ウォアァアーーーーーッ!!!」

 キティがSTRを調整! 強引に僕の手を外すと、ギュルリと身の捻りだけで空中前転してみせる! 次の瞬間には我が足をがっしと掴み、両足では我が両腕を挟み込み───!

エヴァ「マッスルゥッ……グラビティーーーーッ!!」
中井出「おわぁーーーーーっ!! 逃れられないーーーーっ!!」

 ドォガァアンッ!!!

中井出「ふ……不老不死……と、トロフィー……ば、球根(バルブ)……」

 返したつもりがあっさり返され、僕は血を吐いて地面に転がった。
 そんな様子を見て、くーさんが一言。

古菲 「もうカンフー完全に無視アルナ……」

 うん……そうだね……。


【乗馬レクチャー場】

 と、そんな悶着がありつつ、次に来たのは乗馬をレクチャーしてくれる場所。
 あの騒ぎのあとにネギも来てくれたし、ならばとキティと一緒に訪れたのがここさ。

中井出「大暴れ、将軍」

 デゲデーーーーーーーーーーーン!!
 デッ・テッ・テッ・テェーーーーーーーーーン!!!
 デーケテーン♪ テテーテテーン♪ デッテッテ〜〜〜ケドグシャア!!

中井出「ゲボルファアァアーーーーーーッ!!!!」

 で、乗ってみたっけあっさり落馬。
 しかもその上から馬にコパキャアと顔面を踏まれ、グビグビと血反吐を吐いていた。
 そしてそんな僕を見て、腹を抱えて爆笑するキティさん。

中井出「グ、グウウ〜〜〜ッ、てめぇ〜〜〜なにがおかしい〜〜〜〜っ!!」
エヴァ「ぷっ……! お、お前の盛大な倒れザマがに決まってるだろ……くくくっ……!」
中井出「グムムギギ〜〜〜ッ!!
    そうまで笑うんだったらてめぇも乗ってみやがれ〜〜〜っ!
    そして落ちたら瞬間に盛大に笑ってくれる〜〜〜っ!」
エヴァ「ハッ、いいだろう。種としての違いってものを見せてやるよ」

 僕の言葉にニタリと笑み、余裕の表情で管理している生徒に話をつけるキティ!
 やがてカリスママックスハートな状態で、ズオオと馬に乗り……! あろうことか、その馬を見事に駆ってみせた!!

中井出「ゲゲェーーーッ!!!」
エヴァ「あっはっはっはっは! どうだヒロミツ! これが私と貴様の差だよ!」
中井出「お馬さーーん!! 万象と会話出来るかもしれない博光が命ずる!
    そのお子を振り落として! 今すぐドグシャアと!!」
エヴァ「うぉおおい!!? お前自分が教師であること忘れてないか!?」
中井出「大丈夫! ちゃあんと受け止めるさ! ───大地が!!」
エヴァ「それは普通に落馬するって言うんだよ!!」

 いろいろ叫んでみたが、お馬さんはキティを振り下ろすことはせなんだよ。
 や、よく躾けられてるね。
 ならばと僕ももう一頭の馬に乗り直し、

中井出「大暴れ、将軍」

 デゲデーーーーーーーーーーーン!!
 デッ・テッ・テッ・テェーーーーーーーーーン!!!
 再び将軍テーマを月奏力で奏で、キティの真似して華麗に駆る!!
 だがしかし僕にはそげな才能がなかったのか、馬と会話してバランスを取っても、あっさりとドグシアと落馬する僕参上。

中井出「うっ……ぐふぁーーーげほっ!! ち、ちびっこのくせになんてパワーだ……!」
エヴァ「なんでそこで私を睨みながら言う!?
    わ、私はただ馬に乗ってただけだろーが!」
中井出「うっさいやい! 僕だって本気を出せばスゲーんだぜ!?
    器詠の理力! 意思より翠の能力を解放! 馬術スキルマックス!」
エヴァ「お、おぉおおっ!?」

 馬超先生の能力を解放、馬術スキルを最大まで生かし、ナポレオンポーズでビッシィと決める! う、美しい! なんて美しい僕!

中井出「ウハハハハハもはや負けぬゥウ!
    貴様があらゆる才を操ろうと、僕は意思からの才で補い、貴様を超越しよう!
    どれだけ姑息だろうと貴様にだけは負けっぱなしじゃ治まらーーーん!!
    大切なのはこれが自分の力だと慢心せぬこと! 出来るわけねーけど!
    だから俺は馬術スキルで貴様に勝つ! 勝負だ、カカロット!!」
エヴァ「誰がカカロットだ誰が!!
    〜〜っ……いいだろう、正面から叩き伏せてやるよヒロミツ!」
中井出「ならば叩き伏せられた上で足を掴んでくすぐってくれる」
エヴァ「叩き伏せられた時点で諦めろよ!!」
中井出「ゴファハハハハハ断る!!」

 そうして……永きに渡る戦いの火蓋はァ……切ってェ……落とされたんじゃァ……。

中井出「ごわぁ〜〜、速ゥィ速ゥィ〜♪
    いけ〜、マッスルドラゴ〜〜〜ン♪《ドグシャア!!》はぶぅぃっ!?」
エヴァ「あ」

 火蓋が落とされた僅か二秒後、幼年期孫悟飯さんの真似をしたら、あっさり馬に落とされました。
 マッスルドラゴンってゆゥかハイヤードラゴンだけどね。
 僕の中に眠る意思たちも合わせて、この言葉を言って無事で済んだヤツってあんまり居ないよなぁ……。
 しかも倒れてる僕の顔面に、お馬さんがゴッシャメッシャとストンピングをアオアーーーーーーーッ!!!!

中井出「か、堪忍やーーーっ!! だって仕方なかった!!
    ドラゴンボールシリーズの竜とかってなんかマッスルじゃん!
    ハイヤーだとしてもマッスルドラゴンって呼びたくなるでしょ!?
    いいじゃんあだ名とでも受け取っておけば!
    キミなんてまだいいさ! 僕なんてエロマニア呼ばわりだよ!?
    マッスルさが足りないって謙虚な気持ちでいるのなら、
    このモンゴルマスクと肉襦袢をルヴォァアアアーーーーーーーッ!!!
    ストンピングに勢いが増したァアアーーーーーーーーッ!!!!
    たっ……たすけっ……助けてぇええーーーーーーーっ!!!」

 強ぇえ! 馬強ぇえ!!
 よもやこの博光がお馬さんにこうまで一方的にやられるとは!
 ……ええはい、そもそもスライム相手にもボッコボコだった博光です。
 お馬サンの健脚を前に、太刀打ち出来る筈がなかったのだ……!!
 よせばよかったッ! こんなタフガイに喧嘩を売るような行為ッッ!


───……。

【美術部展覧場】

 シュゥウウウ……

中井出「おぉおお顔面痛い……!」

 やあ僕博光。
 そんなこんなで鼻血を垂れ流した状態の僕が、この祭りの日々からお報せするよ?
 あれから乗馬クラブの皆様のお陰もあって、馬の猛攻から逃れた僕は今、キティとともに美術展に来ておりました。
 生徒が描いた絵とかが綺麗に並べられております……おおみんな上手い。

中井出「いいねぇ……人の手でこうしてモノが完成するのってなんかステキ。
    建築物の場合、どうにもこう素直に喜べない感があるけど」
エヴァ「後で潰せば文句は無いって口ぶりだな」
中井出「おや解ります? だってかさばるじゃん」

 美術部には明日菜くんがいらっしゃいました。
 絵は……どうやらタカミチくんを描いた模様。
 うーむ、これは上手い。俺もこれくらい綺麗に描いてみたいもんだ。

明日菜「あ、中井出センセ……とエヴァちゃん」
エヴァ「ちゃん付けはよせと言っただろーが……」
中井出「そうだぞ明日菜くん。ここは心を込めて“ンゲリオン”と付けてやるべきで」
エヴァ「いろいろマズイからやめろばかっ!」
中井出「え? おかしいかな。マクダウェルンゲリオン」
エヴァ「それ名前か!? どんな生命体だよ私は!!」

 叫びながらも絵を見ていく。
 知らん生徒の絵ももちろんごっさりあって、明日菜くんの絵とはまた違った味がござる。
 立体感といいこの絵の中の空気といい、よくもまあ黒色だけでこんなもんが描けるもんだよ。
 もちろん色を重ねて作ったものもあるけど、ぼかぁ黒一色のほうが好きだなぁ。


【哲学研勉強会】

 明日菜くんとの挨拶を済ませ、一通り美術ってものを堪能した僕らが次に訪れた場所。
 そこは哲学研とかゆー場所で、夕映きちさんがいらっしゃる場所だった。
 勉強会ってこともあり、参加することも出来るのだが……

アナウンス『アリストテレス=ハイデガーによれば、存在は存在者ではありません。
      つまり存在は存在しないというのです。しかし───』
中井出  「存在は存在者じゃない……ふむふむ。つまりアレですな?
      存在って固体はあくまで文面や想像ってものであり、
      僕らみたいな生命体、つまり“存在者”ではない。
      存在は存在しないってのはアレか、僕はここに居ると感じてようが、
      認識は外側から来るものであり、自分が存在してると感じても、
      周りから自分が見られてなけりゃあ存在そのものとして足りえない。
      即ち、真である信念から妥当な推論によって演繹されるもの意外は知識とは呼
      べないという定義に基づいて───この論説は論説足りえない!」
エヴァ  「何が言いたいんだよお前は」
中井出  「人には人の、個人の考えがあるから、
      いくら偉い人の言葉でも文面通りに受け取るなってこと。
      あ、べつにハイデガーさんに喧嘩売ってるわけじゃないからね?
      納得するかしないかは個人任せってことで」
夕映   「自由な発想ですが、理論を残した人が浮かばれませんよ」
中井出  「残した知識なんて、同意してくれる人だけが拾っていけばいーじゃない?」
夕映   「む……一理あります」
中井出  「個人の意見だもの、一理あって当然じゃい。僕が解れば一理です。OK?」
エヴァ  「勝手だな、ほんとに」

 勉強って苦手だし、思い切り深みまで理解しようとしても、受け入れられんものは受け入れられんのよ。
 だからいいじゃない? 自分がそうかもって思う程度を理解するだけで。

エヴァ「理解出来ないからって諦めたらそこで思考が終わるだろ。
    生徒の見本にもなれないで、よく副担任を名乗ってられるな。えぇ? ヒロミツ」
中井出「むっ! それはこの博光への挑戦と受け取った! 勝負だキティ!
    このノリスとマザーとかゆー人の論説に対し、個人の意見をぶつけ合う!
    そこにより多くの説得力を込められた者の勝ちとする!」
エヴァ「いいだろうやってやるよ。退屈凌ぎには丁度いい」
夕映 「うう……退屈ですか……というかアリストテレスです」
中井出「これキティ! 夕映さんの前で何もそんな本当のことを言うことねーべよ!
    俺だって言いたくてうずうずしてたのに!」
夕映 「なんのフォローにもなってないです!?」《がぼーーん!!》
中井出「大丈夫! これからする哲学バトルで、
    僕らがどれだけ哲学が好きかを……見せてあげよう!」《どーーーん!》
エヴァ「カーネフェルの真髄をか?」
中井出「妙な雑学ばっか覚えなくていいよもう!!」

 こうして僕とキティのバトルが再び勃発……!
 あらゆる考え型を駆使し、キティとぶつかり、やがて───!

中井出「……つまりさ。偉大な科学者だろうと哲学者だろうと、
    赤毛のアンは鼻毛も赤いのか否かは解らないってことで……」
エヴァ「あぁ……もうそれでいい……考えるのも疲れた……」

 横道に逸れまくり、決着は赤毛のアンの勝利に終わった。
 当然会場からは叩き出され、微妙な表情でペコリとお辞儀をする夕映きちさんに手を振って別れるのでした。



【割愛】

 それからも僕らは転々と祭りを楽しんだ。

中井出「そぉおおらこれが博光製作! キティの似顔絵だぁーーーーーっ!!」
エヴァ「なっ……なんだこの化け物は!」
中井出「え? 吸血鬼」
エヴァ「《ぐさり》……………………かつてない心のダメージを負った気分だ……。
    化け物ってカテゴリーから出れない分、余計に効いたぞ今の…………」

 パルちー所属、漫研(?)名物似顔絵展にて描くもん借りてキティを描いた。
 我ながらなんと美しい……! 名づけよう、この絵の名前を……ドブルベイベーと!!
 ……ハイ、つまりキティには似ても似つきません。

ハルナ「そんな二人を描いてみたけど、どう?」
中井出「むっ!? いかんぞパルちー!
    キティはもっとこう、ボンテージで身を固めてだね!」
エヴァ「そんなもん似顔絵で描く馬鹿が居るかぁっ! 今の私はちゃんと私服だろーが!」
ハルナ「そうかしまった! 意外性を突くことを忘れては描く者の名折れ!」
エヴァ「うおおおおおい早乙女ハルナ!? そこは納得するところじゃないだろ!?」
中井出「つーか標準の私服がゴスロリって、どんな趣味してんのキミ」
エヴァ「それこそ個人の勝手だろ、ばか」
中井出「うむ! まったくである!
    だからこのモンゴルマスクと肉襦袢を授けよう! 身に付けたまえ!!」
エヴァ「誰が身に付けるかそんなもん!!」

 そんなもん呼ばわりでした。キティったらひどい……。
 しかしパルちー普通に絵ェ上手いね。
 漫画や絵が描ける人ってすごいねぇ……おいさんそれだけで尊敬しちゃうよ。

中井出「漫画描くのもやっぱり慣れ?」
ハルナ「んんー? そだねー、こればっかりは描いて描いて描きまくんなきゃ、
    自分の絵は作り出せないから」
中井出「地道な努力の賜物ですな。楽して上手くなろうってのはやっぱり無茶か」
ハルナ「むしろそんな道があるならこっちが聞きた……くもないか。
    今の絵を自分で昇華させなきゃ、わたしの絵じゃないし」
中井出「うむお見事。どう? あれからインフェルノアニキとか強化出来た?」
ハルナ「あっはっは、自分なりにアレンジ加えて楽しんでるとこだよー。
    手を加えるだけでもいろいろ変わってくるから、
    こりゃ遣り甲斐もあるってもんさね」
中井出「そかそか」

 ニカッと笑うパルちーの頭をわっしゃわっしゃと撫でて、ほいじゃーと軽く挨拶。
 ちなみに僕が描いたキティ(ドブルベイベー)は、パルちーたっての希望で魔除けとして貰われました。
 ……いや、いいんだけどね? べつに魔除け扱いでもさ……。


───……。


 お次。
 出店通りにやってきた僕とキティは、小腹が空いたこともあって、適当な店に立ち寄っておりました。つーかたこ焼き屋です。
 大河内アキラさんが仕切る(?)たこ焼き屋さんさ。
 ガツガツムシャムシャバリバル!!

中井出「ウメー! 焼きウメェ!! ウメェよ焼き!!」
エヴァ「おーい大河内アキラー、このたこ焼き、タコが入ってないぞー」
アキラ「えぇっ!?」
中井出「いやウメェってこの焼き! たこ入ってねーから焼きだけど!
    言っちまえばたこ焼きってべつにたこの食感楽しむもんで、
    全体で言えば美味いのって“焼き”と“ソース”とかだし!
    むしろこれウメーって! 焼き最高!」
アキラ「い、いや、それだとあまり嬉しくない……。
    作り直すから、それは取り替えさせてほしい」
中井出「……!! ……!!」
アキラ「えっ……やっ……、そこでそんな、泣きそうな顔されても……」
エヴァ「お前、もしかしてタコ嫌いなのか?」
中井出「失礼な! 大盛りいか焼きそばよりもたこ焼きそばを愛すこの博光に対する、
    それは侮辱以外のなにものでもないぞクラースくん!」
エヴァ「誰がクラースだ誰が!」
中井出「だが待たれい! この、中が固まるか否かの絶妙な焼き加減……!
    そこに市販品の切り分けタコを入れては、
    無駄な熱吸収や無駄な塩分が含まれてしまう!
    これはもう焼きとして売り出したほうが僕的に大ヒット!!」
エヴァ「常識人には売れないってことでいいんだな? たこ入れろ、その方が売れる」
中井出「キティさん!?」

 僕の意見なぞ全否定でした。
 ウメェのに……焼き。


───……。


 そんなこんなでうろついて、天文部。
 機械で天体観測っつーかプラネタリウムっつーか……星のことってわからんです。

中井出「え、えーと……あれが三途の川?」
エヴァ「天の川だ馬鹿!! お前は織姫と彦星に死んで欲しいのか!?」
中井出「ぬ、ぬうそんなつもりは……じゃあ解った! あれがモナリ座だ!!」
エヴァ「どうしたらオリオン座がそうなる!? そもそもモナリザは美術方面だろうが!」
中井出「なんだとてめぇ! 星は美術的ではないと言うのか!?」
那波 「あらあらホホホ、他の人の迷惑になりますから、あまり騒がないでくださいね?」
中井出「ごめんよ那波ちゃん、この馬鹿ったら騒いでないと、
    全身からマイナスイオンを吐き出しちゃう自然に優しいヤツでさ」
エヴァ「馬鹿にしてるのかおまっ……ば、馬鹿に……おぉ?
    い、いや、うん? 馬鹿にして……るのか? それは」
中井出「自然にやさしい己を誇ればいいと思うよ」
エヴァ「そ、そうか。そうだな、うん……………………待て!
    マイナスイオンなんて出さないぞ私は!!」
中井出「あっはっはっはっは、
    出るのは罵声ばっかだもんなぁ《マゴシャア!》つぶつぶーーーっ!!」

 フツーに殴られました。


───……。


 お次、お料理研。
 さっちゃんさんが居る場所だね。
 つーか実際、視線を動かせば料理しているさっちゃんさん。

  …………スクッ…………モニュモニュ…………
  ………………ハモッ……モグ……モニュバゴシャア!!

中井出「ヒャボベェーーーーーッ!!?」
エヴァ「鬱陶しいんだよ食べ方が!! たこ焼きの時くらいに豪快に食べろ鬱陶しい!!」
中井出「食べ方が鬱陶しいってどんな状況!?
    俺ただオリバの真似してメシ食ってただけだよ!?
    つーか二回言いたくなるほど鬱陶しかったの!?」

 や、そもそもバキキャラは食べることに全力注ぎすぎてるとは思うけどさ。
 何ページにも渡って食事風景を見せる……それが板垣センセのクオリティ。
 モニュモニュって効果音だけだと誤解招きそうだよね。
 でも俺、ただ咀嚼してただけなのに……。

中井出「ちくしょうこのちんちくりんめが……!
    では鬱陶しくない食い方ってのを見せてもらおうか!」
エヴァ「どうしていちいち突っかかってくるんだお前は……」
中井出「キミに言われたくないんだけど!? 我先にって殴ってきたの誰!?」
エヴァ「あーうっさいうっさい、解ったから吠えるなよ。
    いいぞ、ものの食べ方ってものを見せてやるよ」
中井出「フフンやるがいい。言っとくが俺ゃ貴様がどれだけ美麗に食べようと、
    難癖つけて罵倒しまくるぞコノヤロー」
エヴァ「それじゃあどうあってもダメだろーが!!」
中井出「うるせー! いいからやれってんだコノヤロー!!」
エヴァ「こ、この馬鹿は……! 〜〜……いいぞ、やってやるよ」

 こうして我らのお行儀教室が勝手に開催されました。
 キティはナイフとフォークを静かに構え、料理を裂き、口に運ぶ。
 そこには“肉を食う際に白目になる”なんてオリバチックなことはなく、実に優雅に食されなすった。

エヴァ「《ニヤリ……》どうだ? 文句のつけどころも───」
中井出「お食事中ですよ!? 私語は慎みなさい!!」
エヴァ「おぉいちょっと待てコラ!!
    喋っちゃいけなかったら感想も聞けないだろーが!!」
中井出「口答えするんじゃないのォォォォ!!
    アンタはもうホンット人の揚げ足ばっかり取ってェェェェ!!!」
エヴァ「いーかげんにしろこのアホ!!
    だったらお前だってギャーギャー喚かず静かに食ってろ!!」
中井出「静かに食ってたら殴られたんじゃあねーかァァァァ!!
    大体食事中の人を殴るヤツが物の食べ方とか言ってんじゃねーざますーーーっ!」
エヴァ「なんだとこのやる気かヒロミツ!」
中井出「やらいでか! タマネギ畑に出ろコラァ! そこで勝負じゃい!!」
エヴァ「ふつーそこは表に出ろって言うだろ!? なんでタマネギ畑限定なんだよ!」
中井出「俺が有利だからだ!」《どーーーん!!》
エヴァ「こっ……ここここいつはぁああ……!!!」

 そうして始まる取っ組み合い。
 当然と言えば当然ながら、さっちゃんさんにゴシャーンと睨まれ、あっさり沈静化しましたが。
 いやもう……なにやってんでしょーね僕ら。


───……。


 デデンッ!!

中井出「さあ占いのお時間だよ! 今日は占い研究会からこの博光がお送りしよう!
    お相手はこの人、このちゃんでございます」
木乃香「あ、せんせ来てくれたんー? 占ってくー?」
中井出「うむ! ではどうすればキティが不幸になるかを占ってくれ!」
エヴァ「来て早々に頼むのがそれか!?」
木乃香「お安いごようやえー♪」
エヴァ「うぉおおい近衛木乃香!? おまっ……輝く笑顔でそんなっ……!!」

 やあ僕博光。
 今はここ、占い研究会からお送りします。
 いやぁ祭りの騒ぎの中ってワクワクしますね。迷子探しはハラハラするけど。
 しかしせっかくの祭り。
 楽しまなきゃあ損ってもんで、僕とキティはもちろん楽しみまくってます。

中井出「キティキティ! 今すぐそこで白骨化すれば幸せになれるって!」
エヴァ「幸せ以前に死んでるだろーが!!」
中井出「うむもちろん冗談だ!!」《どーーーん!》
エヴァ「…………近衛木乃香。こいつが不幸になる方法を占ってくれ」
中井出「この愚か者がっ! 他人を不幸にしたいのならまず自分から行動せよ!」
エヴァ「真っ先に占いを頼ったのは誰だよ!!」

 行く先々で悶着ばっか起こしてるね僕ら。
 だが構いません。これも祭りの楽しみの一つってもんさ。

中井出「じゃあたんとーちょくにゅーに、この博光の今日の運勢をお願いします」

 でも一息つく瞬間も必要だね。
 だから頼みました。運勢を占ってくれと。 
 そしたらホレ、くじで占うってゆゥからくじを引いてみたわけですよ。
 したっけ……

エヴァ「ぬがっ!? 大凶!?」
中井出「うおぉおおおやったぁあああーーーーーーーっ!!!
    見てキティ見て! 見てほら見て! 見っ……見ろォーーーーッ!!
    見っ……ちょ、見てってばほら! ねっ! ほらっ! ねっ!?
    見てよキティ! キティキティキティ! 見てったら! ねぇ! ねーったら!」
エヴァ「うるさいな見てるだろーが!!」
中井出「グ、グゥムッ……!」

 ママンを困らせるお子の真似をしたら本気で怒られてしまった。

エヴァ「大体顔にくっつけるほど近づけて、見せる気があるのかお前は!」
中井出「溢れ出るほどに!」《どーーーん!》

 でも確かに見れないんじゃあ意味ないよね。
 そんなわけで少し離してみれば、ぽかんと呆れるキティさん。

中井出「すげーだろ! 吉だぜ吉! なんて素晴らしい!
    信じられねーよこれ見てよこれ! 吉だぜ吉! 最強だよもう!」
エヴァ「……………………お前は吉くらいでなにをそんなに喜んでるんだ?」
中井出「俺の今までの生涯、おみくじ全て大凶です」
エヴァ「っ……!《ぶわっ……!》」
中井出「あ、あれ? や、ちょっ……あれぇ!?
    そこで涙されるとスゲー惨めなんですけど!?」

 ふ〜、しかしこんなこともあろうかと、引いた時点で時を止めて、キティのと交換した甲斐があったぜ〜〜〜〜っ!
 …………うん、つまり結局は大凶なんだけどね、俺。

中井出「うっし、ほんじゃあ次いこかー……ってそうだ、このちゃんコレ、差し入れ」
木乃香「? あ、たこ焼きやーY」
中井出「うむ。大河内さんところから買ってきたものじゃけぇ、味は保障するよ。
    残念なことにタコ入りだけど」
木乃香「……? たこ焼きやのにたこ入ったらあかんのー?」
中井出「いやね? 僕としては《ギュミィ!》ギャーーーウ!!」
エヴァ「とっとと行くぞヒロミツ! 今日という日は待ってはくれないんだ!」
中井出「いででいでで待ちなされキミ! まだこのちゃんと話してっ……!
    つーか耳引っ張ンなこのヤロー!! 千切れるでしょうが!」

 占い研、キティに引っ張られて退場。
 僕の今後のこととか占ってみてほしかったんだけど……否!

エヴァ「《ゴキャア!!》ヘヴァーーーッ!!?」
中井出「ぐっへっへ、ナメック星人の誇りとやらを見せる暇もなかったな」

 気になるからキティの首をコキャスと捻り、気絶させて再び占い研へ。
 キティは肩に担いでます。最強。

中井出「そんなわけでまた来たよ。訊きたいことは一つ!
    えーと……これからの我が人生を占ってみてほしいのだ!」
木乃香「んーーー……ええよー? でもあんま本格的なんはでけへんえー?」
中井出「うむ構わぬ。
    未来視とか出来るには出来るけど、他人の視点から一度見てもらいたいのさ。
    それが占いだってゆゥなら余計に気になるし」

 にこーと笑うこのちゃん。
 そんな彼女の、机を挟んだ正面に座り、ドキドキしながら待つ。
 蝋燭の火に当てられ、鈍く光る水晶玉を見つつ。
 ウ、ウウム、これ結構緊張するね、ハラハラです。

木乃香「ん……人生……先のこと……んー……」

 このちゃんは真面目だ。
 水晶に手を翳し、フリをするのではなく、真面目に見ようとしている。
 そんなことが出来るのかと言われればきっと出来ないだろうが、それでも。
 そんなこのちゃんが一瞬眉をひそめ、パチッと閉じていた目を開くと……

木乃香「…………なーせんせー……? その、なんや見えたけどなー……?」
中井出「ウ、ウヌ? なんか不吉なことでも見えた? つーか見えたの!? マジ!?
    僕なにやってた!? 元気だった!?」
木乃香「えと…………昔の日本みたいな場所でなー? ずっとずぅっと、暮らしてたえー」
中井出「……ホエ? ず、ずっとって?」
木乃香「……“ずっと”、やよ」
中井出「………」

 ずっと……ずっと!? 昔の日本っぽい場所で、ずっと!?
 お、おおう……それはいったい何処ですか!? えぇ!? どこ!?

中井出「エート……何処、って訊いていい?」
木乃香「“忘れられたもの”が辿り着く、忘れられた楽園……とか、
    それっぽい名前が頭に入ってきたえー」
中井出「………」

 ……マジすか。
 やばい、心当たりあるよ俺。
 しかもこうして“漫画”や“小説”っていう世界を旅しちまってる現在があるってんだ。
 楽園への切符、もう持っちゃってるよ俺……。
 そっかぁ……忘れられたものが辿り着く楽園かぁ……空界暮らしとかいろいろなことがあって、もうすっかり忘れてた。

中井出(多分、そこが俺の旅の終わり……なんだろうね)

 生きていたら、だけど。
 人間として生きるなら、俺は寿命で死ぬでしょう。
 でも、人としてじゃなく亜人として生きるなら、忘却の猫と融合なりすれば不老不死の博光の完成です。
 はたまたその未来ってのは、俺が武具の意思として辿り着く場所なのか。
 や、そもそもその未来が本当に起こることなのかは解らん。
 サウザンドマスターをも凌ぐ才の持ち主、このちゃんが“見た”っていうんだから、マジで辿り着くのかもしれないけどさ。

中井出(……そうなったらそうなった時か)

 忘れられた楽園に辿り着くとして、そこがどうか楽園であってくれますよう、願おう。
 ボカァ変わらず、ただ楽しむために生きるだけさ。
 ……うん。そうだ。たとえその楽園でも永久に───……のだとしても。

中井出「変わらず、だな。うん、変わらずだ」

 変わらずそうして、出会いと再会を繰り返そう。
 そこが終端の世界なら、きっとそうなるだろうから。

中井出「うむ。あんがとねぇこのちゃん。
    飲み物もないと困るだろうし、クオリティーナッシャー置いてくね?」

 350mlボトルを創造、そこにクオリティーナッシャー(梨ジュース)を入れて、ハイと渡す。
 ヒロラインでのジハードの大好物として有名な飲み物です。
 飛竜のくせにジュース好きって……ほんといろいろおかしいよね。
 でも、それがいいんですよ。

中井出「へばの!」
木乃香「へばのー♪」

 挨拶も済ませ、歩きだす。
 へばのは“さようなら”って意味で───あれ? 前に説明したっけ?
 まあいいコテ。


───……。


 それからも……僕らは祭りを堪能しました。
 気絶中だったキティをキツケで叩き起こし、ちーちゃんのHPで知った麻帆良祭まる秘コスプレコンテストに乗り込んだり。

中井出「キティキティ! コスプレだってコスプレ! 出てみねー!?」
エヴァ「出るかっ! 出るならお前だけで出ろ!」
中井出「グ、グムムギギ〜〜〜ッ! こーゆーのはやったモン勝ちだと思うのに!
    ではちーちゃん!
    出場をしぶっている貴様にツラを曝さず出場出来る処方箋を授けよう!」
千雨 「へあっ!? いいいやいやいや私は関係ねーって言って……言ってるでしょう!?
    大体なんでてめーらこの会場知ってるんだよ!
    これは公式プログラムにも載ってないゲリラ的イベントでっ……!」
中井出「あ、HP毎日見ております。ネギとともに。多分もうネギも来とるよ?」
千雨 「なぁああああーーーーーーーっ!!!?
    いいい今すぐ忘れろ! HPも見るなぁああっ!!」
中井出「フン断る」
千雨 「即答で返すなよぉっ!!
    いいか! 今すぐブックマークだのURL保存だのを消せ!
    てめーらに見られてるって考えるだけで怖いんだよ!」
中井出「フフフ、では貴様がこのモンゴルマスクと肉襦袢を身に付け、出場したら消そう」
千雨 「ハードル高すぎだろオイッ!!
    処方箋ってこれか!?
    つーかそれ以前に生徒で、しかも女の顔をとって“ツラ”ってお前!!」
中井出「なんと嫌と申すか! ならばこれから毎日貴様のHPを堪能してくれる!
    知り合いに見られている恥ずかしさを毎日堪能するがよいわ!
    ウェエエエッヒェッヒェッヒェ!!!」
千雨 「ギャアアアアアアアアアうぜぇええーーーーーーーーーーーっ!!!!」

 散々っぱらからかったのち、フツーに出場させてフツーに優勝もぎとってましたが。
 ちなみに僕はきっちりモンゴルマンとして出場しました。
 一票も入れられなくて、キティに大笑いされましたが。

中井出「ちくしょう、あいつらモンゴルマンの良さを微塵にも解っちゃいねーんだ。
    見てよこの完成度。このマスクもしっかりとマナの大樹から削った一品だよ?
    肉襦袢だって特殊樹脂で作った弾力性抜群のものだし」
エヴァ「素材が良くても受け入れられないものってのはあるだろ……。
    お前はなにか? えらくリアルなゴキブリの作り物をハイと渡されて、喜ぶか?」
中井出「わあ、ゴキブリ扱いだモンゴルマン」

 ただいまは新体操を見ているところです。
 まき絵さんがスターンスタンと華麗に間っております。
 時刻もそろそろ夕刻。
 次なる大会に備えて、そろそろお子めらが準備を開始する頃でしょう。
 まき絵さんとの挨拶もほどほどに、同じものを見ていたらしいネギやコタロと合流、ギャバンの使徒を見つけ次第、ヒロラインにログインさせると、大会に向けての猛特訓がぁ……始まったんじゃァア……。






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