07/ワーーーオ! モートクーーーーッ!!

 そうしてからっぽの陣地で一休みを開始した僕ら。
 皆様が互い互いを褒め、認め合う中で、僕は軽い料理を作っていた。
 そうはいってもおにぎりだけどね?
 それに味噌汁を付け加えて、皆様に配布しております。
 この陽光の下、汗水垂らして戦ったのだ。
 塩分が必要になりましょう?
 だから少し塩多めのシャケおにぎりを焼き海苔で包み、並べて……食える分だけを取ってもらい、各自食事にしてもらった。

兵士 「ぷっは……美味いなこれ!」
兵士 「なんだか良く解らねぇけど美味いな!」

 おにぎりと味噌汁は最強のコンビだと思います。
 冷酒とおにぎりでもいいんだけどね、やっぱこれでしょう。

兵士 「御遣い様ぁ! これ、まだもらっても……?」
中井出「おーうどんどん食えー! おかわりはたーんとあるぞー!」
兵士達『うぉおーーーーーっ!!!』

 朱里をアシスタントに、作った先からなくなるおにぎり。
 おお、大人気で何よりである。
 そしてなによりこの場の空気もマナで浄化させて、癒し効果も出してるからリラックス出来る筈。
 な〜んて思っていた時です。

兵士A「申し上げます」
中井出「あ、メシ食う?」
兵士A「はっ……いえ、仕事が残っておりますので」
中井出「そか、じゃあこれ持ってけ」

 おにぎりを包んだ大きな笹と、味噌汁入りの竹筒を渡す。
 兵士はちょっと困惑してたけど、腹は減っているようで、素直にお礼を言ってくれた。

中井出「で?」
兵士A「はっ! 陣地の南方に官軍らしき軍団が現れ、
    我らの部隊の指揮官にお会いしたいと……」
中井出「なんと!? ───ねぇ愛紗〜!
    この部隊の指揮官って玄徳様でいいんだよね〜?」
声  「もー! ご主人様ー!? 様付けはだめだってばー!」
中井出「お黙り! ご主人様呼ばわりをやめない桃香に言われたくありません!」
声  「えー!? だ、だってご主人様はご主人様だもーん!」

 ……つーか離れたところからなんつー会話してるんでしょうね僕ら。
 でもとりあえず、指揮官は桃香でいいらしい。

中井出「……それで官軍らしきとは、どういうことなの……」
兵士A「それが……通常、官軍が使用する旗を用いず、
    曹と書かれた旗を掲げているのです」
中井出「なんと!?」

 では孟徳!? 孟徳が居るの!?

朱里 「官軍を名乗りながら、官軍の旗は用いず。
    ……恐らく黄巾党征伐に乗り出した諸侯でしょうね」
中井出「曹の旗っていえば曹操だって絶対。
    曹操孟徳殿に違いねぇ〜〜〜〜〜〜っ!
    というわけで会います! 会いますとも! 今何処に?」
兵士A「は……こちらでお会いに?」
中井出「いや、むしろ俺が行こう。へりくだる必要なんぞないが、
    だからといってせっかくの来客を来させるだけってのもつまらん」
???「あら、その必要ないわ」
中井出「なにっ!?」
朱里 「はわわっ!?」

 と、一応驚きながら振り向いてみると───兵士の後ろからやってくる、三人組さん。
 一人の少女を取り巻くように二人の女性が両脇に控え、ずんずんと歩いてきている。

中井出「おお、ではヌシが。我は中井出提督。ようこそいらっしゃった、孟徳殿」
曹操 「へえ。私が誰か解るの」
中井出「押忍。お会い出来て光栄だ」
曹操 「ふうん、礼というものを知っているようね。
    でも……人を迎えるのにこの騒ぎはないのではなくて?」
中井出「はは、無茶を言う。食事の時にいらっしゃったのは貴女だ。
    貴女は自分が食事している時に急に客がズカズカ入って来たら、
    食事をやめて自分が引き下がりますかな?」
???「貴様! 華琳さまに向かってなんという口を!!」

 ───ムカリ。
 ……あ、今ムカッときましたよ?

中井出「───下がれ下郎」
???「なっ!?」
中井出「国のために戦う兵たちの食事を邪魔された上、口出しを許さぬなど。
    貴様こそその口、何を義に開く」
朱里 「ご主人様……」
???「貴様───!」
曹操 「よしなさい春蘭。……部下の無礼を詫びるわ。けど、下郎は言いすぎね」
中井出「ふむ。それは失礼した。よければ名をお聞かせ願いたい。
    生憎と呼ぶ名をまだ知らぬ」
???「ぐっ……いいだろう。我が名は夏侯惇! 華琳様に仕える剣だ!」
???「夏侯淵だ。姉者が失礼した」
中井出「なんとまあ」

 夏侯惇といやぁ魏に名を轟かせる突撃隊長さんじゃないですか。
 ……あれ? でも華琳さま? 華琳ってのが曹操の真名だってのは想像ついたけど、夏侯惇って曹操を様づけで呼ぶような間柄だったっけ?

曹操 「中井出、といったわね。あなたがこの隊の指揮をしていたの?」
中井出「否。これなる隊は劉備軍。この隊は劉備玄徳の隊だ」
曹操 「劉備……良い名ね。で? あなたは何者?
    まさかあれほどの殺気を放っておきながら、ただの給仕とは言わないでしょう?」
中井出「衛生兵です」
曹操 「………………わたし、嘘は嫌いなの。訂正したいならば一度だけ聞くわ」
中井出「そうか。衛生兵だ。間違いじゃない」
曹操 「………」
中井出「…………(CHRマックス)《シャラァ〜〜ン♪》」
曹操 「───!《グボンッ!!》」

 あ、赤くなった。
 やばいぞ、淡々として冷徹な雰囲気だったのに、赤くなった顔がかなりめんこかった。
 でもね。だってね? なんかじっと目を覗いてくるんだもの。
 からかいたくもなるでしょ?

曹操 (え……? なに……? な、なんだというの……?
    この男を見ていたら、胸が急に……!)
中井出「それで、孟徳さん?」
曹操 「! な、なに?」
中井出「こんなところに何用だい?
    貴女ほどの将が、まさか世話話をしに来た、なんてこともあるまいて」
曹操 「…………」
中井出「?」

 ツーテール……なんだけど、髑髏の装飾で結ってある髪はなぜかグルグルのドリル髪。
 金髪ツーテールはもはやツンデレの基本な感じだが、やっぱりツンデレなのかな。
 つーかなんでこの世界の女性って大抵ミニスカートなんでしょう。
 まずそこにツッコミたい僕。
 つーかあのー? なんか孟徳さんがうるんだ瞳で僕の目をじ〜〜〜っと眺めてきてるんですけど? でもなんか面白そうなのでCHRはマックスのままで、せっかくだから愛、果てしなくを発動させてみた。

曹操 「《ズキューーーーン!!》はうっ……!!」

 すると、胸を押さえつけてその場にへたりこんでしまう孟徳さん。

夏侯惇「華琳様!?」
夏侯淵「華琳様!」

 そんな彼女をすぐに介抱しようとする惇淵の二人は……どうやらチャームされていないらしい。
 多分思い人が既に居るのでしょう、良いことです。

夏侯惇「貴様ぁああ!! 華琳様になにをしたぁ!」
中井出「……なにかしたように見えた?」
夏侯惇「見えなかった!」《どーーん!!》
中井出「お、おお……」

 なんか凄い真っ直ぐさを感じました!
 やばいどうしよう! 惇さんってば物凄く友達に欲しいタイプだ!

曹操 「……なんでもないわ、下がっていなさい」
夏侯惇「し、しかし華琳さま」
曹操 「春蘭。命令よ」
夏侯惇「は、はい……」

 赤い顔で、目を潤ませたままでよろよろと立ち上がる孟徳さん。
 はて……チャームにそんな、よろよろになる効果なんてない筈なんだけど……

曹操 (……この男を見ていたら……胸が……苦しく……。
    まさか……そんな有り得ないわ。この曹孟徳ともあろう者が───
    そんな、ひ、ひ……一目惚れ、など……!)
中井出「?」
曹操 (そう……わたしは曹孟徳! これより起こる魏の未来を担う覇王!
    その覇道を進むためにもこんな───こんな───!!)
中井出「だいじょぶ? なんか顔真っ赤ですよ?」
曹操 「《ひたり》こんな───なぁあああああああっ!!?」
中井出「む?」

 ゆらゆら動いていたその額に、ひょいと手を当ててみた。
 なんか叫ばれたけど……ふぅむ……?

中井出「ひょっ!? 凄い熱じゃ!《ジョリィッ!》ってうぉわぁあああああっ!!?」
朱里 「はわわぁあーーーーーーっ!!? ごっごごごご主人様ぁあっ!!?」
夏侯惇「貴様! 華琳様になにをする! 離れろ!!」
中井出「待ってちょっと待ってぇええ!! 今ジョリって! 頬掠ったよ今!」

 惇さんが薙刀のような大剣を振るってくる!
 つーかここ敵陣だってこと忘れてません!?
 あああほら兵士たちが気づいちゃったよ! 朱里も走っていっちゃったし! ダ、ダメヨー!? 愛紗とか呼んじゃったらもうここ修羅場に───

愛紗 「ご主人様! この騒ぎは───なっ!?」
中井出「アイヤー! シマタヨー!!」

 あっさり見つかった!
 そして愛紗の視線は惇さんが振るう大剣にロックオン!
 さらにCHRマックスにしていたために傷ついてしまった僕の頬からは、たらりと血のしずくが……!

愛紗 「───貴様ぁああああああああああああっ!!!!
    我が主に傷を負わせたなぁあああああああっ!!!!」

 裂帛の気合いってのはこういうのを言うんですよ? っていう素晴らしい例でした。
 絶叫ののちに一気に疾駆し間合いを消した愛紗が、惇さんの大剣と自分の刀を殴り合わせるのはほんの数瞬の間の出来事。
 こ、怖い! 愛紗ちゃん怖い!
 なにが彼女をここまで怒らせたの!?
 っと、それよりも止めなければ!

夏侯惇「邪魔をっ……するなぁああああああっ!!!」
愛紗 「邪魔を……!? ふざけるなぁああああああっ!!!」

 二人の渾身がここに。
 怒りに我なんて忘れましたよってくらいの気合いとともに振るわれる武器は、通れば確実にどちらかの命を絶つもので───

中井出「ハイストップ!」

 ビッシィイイ!!!

夏侯惇「───! なっ……に……!?」
愛紗 「───ご主人様!? なぜ……!」

 その一撃を、人差し指と中指、そして親指とでそれぞれ片手ずつで止めてみせる。
 そこまでやって、ようやく曹操もハッと気が付いて、慌てた様子で惇さんを下がらせる。
 だがもちろん僕らの方の皆様の怒りが治まる筈もなく……

愛紗 「どういうつもりだ貴様ら! ずかずかと入ってきたばかりか、
    その陣地内でご主人様に刃を向けるなど!!」
中井出「まあまあ愛紗、そのくらいに」
愛紗 「ご主人様は黙っていてください!」
中井出「…………ねぇ桃香。僕当事者だよね?」
桃香 「だめだよご主人様。今の愛紗ちゃん、
    ご主人様のこと傷つけられて、すっごく怒ってるんだから」
中井出「…………そういうキミも、なんだか笑顔が怖いよ?」
桃香 「……うん。わたしも正直怒ってるよ。
    ご主人様を傷つけられたんだもん、当然だよ」
鈴々 「鈴々もなのだ!」
中井出「………」

 見れば、皆様が一様に孟徳さんたちを睨んでいた。
 将も兵も関係なし、全員が敵意剥き出しでだ。
 そんな中、

中井出「孟徳さん、惇さん、淵さん、一緒にメシ食わない?」

 僕は気軽に食事に誘いました。

愛紗 「なっ! なにを考えておられるのですか! ご主人様を襲ったような相手を!」
中井出「ん〜……でもね、愛紗。きっと愛紗と惇さんの立場が逆だったとしたら、
    思わず行動に出てたかもって思うんだ。
    惇さんは孟徳さんを守ろうとした。ただそれだけだ。
    結果として俺の頬が切れたけど、こんな浅い傷と命を天秤にかけちゃいけない」
愛紗 「し、しかし……!」
中井出「惇さん、急な行動に驚かせたと思うが、どうか許してほしい。
    食事を断るなら、せめてこれを持ってってくれ。俺が作った飯だ」

 そう言って、さっき兵士さんにも渡したおにぎりと竹筒を一つずつ渡す。
 毒でも入ってるんじゃ……という表情なのは淵さん。
 しかしこの状況でさすがにそんなことを言えるわけもな───

夏侯惇「毒でも入ってるんじゃないだろうな」

 はい居ました! そんなこと言っちゃう人大発見!!

愛紗 「貴様ぁあ……! ご主人様のご好意を踏みにじるばかりか、
    そんな姑息な手を使う者だと疑心するかぁ!!
    もはや我慢の限界! 関雲長! 参───」
中井出「らないのっ!!」
愛紗 「《がっしぃ!》あっ───お離しくださいご主人様!
    わたしはあの者が許せないのです!」
中井出「大丈夫だから! 別に気にしてませんから!
    ……で、孟徳さん? こんな状態で失礼だけど、
    指揮官に会ってどうする気だったの?」
曹操 「…………《ぽ〜〜〜〜……》」
中井出「あの?」

 ………………あれ? もうCHRは普通に戻した筈だけど……あれ?
 なんかさっきより潤んだ目で見られてる気がするんですけど!?

夏侯淵「…………華琳さま?」
曹操 「はっ! ───、……、…………り」
中井出「り?」
曹操 「りゅ、りゅりゅ劉備玄徳! わた、わらひ───…………帰る」
中井出「いやいや待ってちょっと待って! 噛んだからって帰っちゃだめ!」
曹操 「《きゅむ》ふひぃっ!?」
中井出「むっ!?」

 踵を返した孟徳殿の手を握った途端、なにやらとてもヘンな声が!?
 ……そしてめらりと揺れ動く惇様と淵様……さらにはそんな二人の動きに敏感に反応して動き出す、僕が手放してしまった阿修羅、もとい愛紗さん。

中井出「ええいしっかりなさい曹孟徳! 貴女はここに何しに来たの!?」
曹操 「《ガッ!》───!!」

 顔を真っ赤にしたまま、わたわたと僕の手を振り解こうとする孟徳さんの両肩を掴み、
 真っ直ぐにその目を見つめて言う。
 ……なんてことをしてみた途端、なんとなくこの体勢が自分にとって危険なもである気がしてきた。
 だってこう肩を掴んで、その瞳を覗きこみながらって……!
 ま、まるでチスでもせんばかりの体勢っつーか……!

愛紗 「───ご主人様」
中井出「ヒィッ!? な、ななななにもシテナイヨ!?
    ほんとだよ!? 僕いい子だもん!」

 と言って慌てて振り返ってわたわたと動揺する僕───の服が、なんだかちょこんと引っ張られる感触。
 ……なんだか、かつてない程にいやぁあああああああ〜〜〜〜〜な予感に包まれながら、ゆ〜〜っくりと振り返ってみると……

曹操 「……貴方、気に入ったわ。私の軍の衛生兵になりなさい」

 なんてことを仰りやがりましたのです。
 ええまあその、顔を赤らめて顔を背けながら、でも視線は僕を見たままで、僕の服をちょこんと摘みながら。
 したっけ

愛紗 「却下ぁあっ!!」
桃香 「だよぉっ!」
鈴々 「なのだー!!」

 ……ギキョーダイたちが物凄い速さで却下を出しました。

曹操 「貴女たちの意見なんか聞いていないわ。
    あなた───中井出といったわね」
中井出「うむ。姓は中、名は井出。字は提督なり」
曹操 「そう。それで? あなたの答えは?」
夏侯惇「華琳様っ! こんな男を───」
曹操 「黙りなさい春蘭。───それで?」
中井出「ふむ。負傷兵の手当てくらいなら構わんぞ?
    ───いずれ敵対するにせよなんにせよ、民や兵には罪はないしね」
愛紗 「ご主人様!? なにを馬鹿なことを!」
中井出「馬鹿とはなんだコノヤロウ!」
曹操 「それじゃあ───」
中井出「うむ! 仲間になってはやれんが、傷の手当てならば受け入れよう!
    その代わり、黄巾党ブチノメすの手伝ってくれない?
    あいつら無駄に数が多いからさ。愛紗は僕に戦うなって言うし」

 チラリと愛紗を見───た途端に曹操に視線を戻しました。
 ええ……般若の形相でした、恐ろしい。

曹操 「ええいいわよ。もともとそれを言うために来たようなものだもの。
    ただし、あなたたちには先陣を切ってもらうわ」
中井出「え? いいの?」
曹操 「ええ。手柄なんてくれてあげるわ」
中井出「愛紗愛紗! 許可出たから───ヒィッ!!」

 ようやく戦えるぜ〜〜〜っ! と気持ちを新たに振り返ると阿修羅面(怒)の形相。
 思わずヒィッと悲鳴を上げてしまうこの恐ろしさ……まさに国宝級である。

愛紗 「ご主人様……貴方という人は相も変わらず将の同意も得ず……!」
中井出「あいや待たれい! これは───」
曹操 「───待つのは貴方よ、中井出。気になったから訊いてあげる。
    そのご主人様とはどういうこと? この男はただの衛生兵でしょう?」
愛紗 「なにを馬鹿な……! この方は我が隊の主!
    天の御遣い、中井出提督様だぞ!」
曹操 「天の……? あのエセ占い師が言っていた……? 中井出。それは真実?」
中井出「うむ、天の御遣いである。だが同時に衛生兵だ」
曹操 「そう。証拠となるものを見せられる?
    私はそういう占いだとか鮮明でないものは信じないのだけれど」
中井出「……ふむ。御遣いであればこそ出来ることっていったら、期待するものはなに?
    と訊いたら、それも考えなさい、と言われそうだね」
曹操 「その通りよ」

 ビンゴでした。
 ならば……ふむ。

中井出「シャモン」

 竜玉をココンッと突付いてシャモンを召喚。
 普通サイズの、小さな月光竜です。

曹操  「───!?」
夏侯惇 「華琳様お下がりください! ───貴様! 怪しげな術を!」
中井出 「証拠見せろって言ったんでしょうが!
     それに触ろうとしない限り危険はないから大丈夫だよ!?
     あー……ほら、シャモン、挨拶挨拶」
シャモン『クキュウ《ペコリ》』
夏侯淵 「…………《きゅんっ……》」
中井出 「あれ?」

 静かに曹操の傍に立っていた淵さんが、なにやら頬を赤く……気の所為?

中井出「あ、でも竜召喚だけじゃ御遣いっぽさはないか?
    空でも飛んでみる? それとも大地を駆けてみる?」
曹操 「空を? ……そうね、本当に出来るのなら信じてあげなくもないわ」
中井出「よろしい。ではお手を」
曹操 「え?」
中井出「飛ぶんでしょ? 見るより一緒に飛んだ方が面白いよ?」
曹操 「…………《かああ》」
中井出「?」

 孟徳さんが自分の手と僕の手を見比べて顔を赤く……
 しかしここで、ええい面倒な〜とか言って抱き締めて飛んだりしたら、また惇さんが暴れて愛紗がキレて……ググ〜〜〜〜ッ!!

中井出「惇さん!」
夏侯惇「なんだ!」
中井出「俺が曹操殿に触ると怒るよね!?」
夏侯惇「当然だ!」
中井出「じゃあ曹操殿の代わりに貴様を連れて飛ぶのはどうか!」
夏侯惇「華琳様に害が及ばぬならそれでよし!」
曹操 「なっ!? ちょっと春蘭!?」
中井出「よろしい! では───ちょえぇええええええっ!!!」

 疾駆&キャッチ!
 烈風脚で惇さんの背後に一瞬にして回りこんだ僕は、後ろから惇さんの腰に腕を回すと抱き締め、フロートを発動!!

夏侯惇「なにっ!? わたしが……こうも簡単に背後をうゎあああああああっ!!?」

 そして空を飛ぶ。
 陣地の上空へぶわぁっと浮き上がり、そして……えーと。

中井出「惇さん惇さん、どっか行きたい場所ある? ねぇ」
夏侯惇「───」
中井出「あれ?」

 覗きこんでみると、目をまんまるにして、白目状態で固まってました。
 ……もしかして高いところは苦手ですか?
 けどまあ上に飛んだだけじゃ怪しまれるかもだし……そうだ! 星の方ももう戦い終わってるだろうし、そっちの傷を癒すついでに飛んでいこう!

中井出「レディゴー!!」
夏侯惇「ほわぁああああああああーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

……。

…………。

 ヒョ〜〜〜〜……スタッ。

中井出「やあ」
夏侯惇「……………」
曹操 「春蘭!」
夏侯淵「姉者!」

 そうして星たちの陣を回復させてから戻る頃には、惇さんの口からはヒョオオオ〜〜となんか白い空気みたいなのが抜けていっていた。

中井出「桃香〜、星の方ももう戦い終わってたぞ〜! 兵たちの傷も塞いできた〜!」
桃香 「わっ、やった! さすが白蓮ちゃん!」
愛紗 「うむ。星と白蓮殿ならばそれも当然でしょう」
鈴々 「鈴々たちも負けてらんないのだー!」

 うむうむ、他のところも勝てたってことで、兵たちの士気も上がってます。
 大変よいことです。

曹操 「傷を癒した……まさかとは思っていたけれど」
中井出「うむ。我が治療は包帯を巻く必要がない。
    傷をそのままその場で時間をかけずに癒す。これぞ御遣いの力です」
曹操 「……信じるしかないようね」
中井出「ありがとうござる。
    それじゃあ作戦とかこれからの行動はそれぞれの軍師に話し合ってもらうとして。
    そっちの準備はどう? すぐ出来そう?」
曹操 「軍師たちの作戦によるわ。無駄に突撃して兵を散らすわけにもいかないもの」
中井出「なるほど。んじゃあまずは孟徳さんところの兵士の傷でも癒すとしますか。
    負傷兵はどのくらい?」
曹操 「大した数じゃないわ」

 あっさりケロリとした返答でした。
 ふむ。

中井出「よっしゃ。じゃあ朱里、雛里」
朱里 「はわっ!」
雛里 「あわわわ……!」

 トンッと地面を蹴って、離れた位置に居た朱里と雛里の傍へ。
 二人の肩を抱き寄せるようにして、耳元でささやく。

中井出(……これから共同戦線になるから、曹操の兵から学べることは学んでおいてくれ)
朱里 (はわ……は、はいっ)
雛里 (わかりました……)
中井出(よしっ)

 こうして、曹操軍との共同戦線が成立した。
 我らは前線ってことで、まあ多分捨て石とか、良い的になってもらおうって魂胆なんだろうけど。
 だが侮るなかれ、黄巾のクズどもなぞ我らだけでも十分殲滅できるわ!
 技術を盗むための共同戦線……ただそれだけよ!






08/黄巾党一掃作戦

 そうして作戦会議が終わると、我らは黄巾党の本隊がいらっしゃる冀州目指して出発。
 本体が見えましたよ〜っていう斥候の情報を得てから停止命令を受け、作戦開始。
 その作戦ってのが俺達を囮にして相手を陣地から突撃させて……手薄に成った陣地に潜入部隊が突撃、敵の兵糧を焼く、という手段らしい。

中井出(ウヌヌ、俺に言ってくれれば潜入して火ィつけるなんて簡単なのに……)
愛紗 「我らを囮に使うとは……一筋縄ではいかない人物のようですね」
中井出「え? あ、うん」
朱里 「私達はまだ組織としての力がありません。
    こうなってしまうのも仕方のないことです」
中井出「相手は軍隊、こっちは義勇兵だものねぇ」
愛紗 「下に見られるのは仕方ない、と?」
中井出「そりゃそうだよ。相手だってただ適当に組織を組んでるわけじゃないだろうし。
    敵を倒したいから力貸して? 武器あげるから。
    って、村人に武器を渡しただけの人達と、
    最初から戦うために鍛えられた兵とじゃあ力に差が出来るのは当然で、
    自分が鍛えたからこそ部隊を編成、自分の周りを任せられる。
    だが案ずるな愛紗よ。我ら義勇兵とて勇気を持って立ち上がりし者達。
    精錬さに欠けても、立ち上がる勇気は他に負けぬわ」
愛紗 「……はい、もちろんです」
鈴々 「それでも早く強くなりたいのだー……」
中井出「まあ、組織された部隊を手に入れるまではこういうことが続くってことさ。
    まずは自分の旗揚げが出来るくらいにまで名をあげないと」
桃香 「そうだねー……このままじゃ諸侯に利用されるだけで終わっちゃうもん。
    この戦いが終われば……ちゃんと独立出来るのかなぁ」
中井出「うむ! 当然である! そのためにも任された責は完璧にこなしてみせよう!
    ───みんな聞けぇええい!!」

 停止させていた足を180℃向き変えして、立っていた兵士たちへと向き直る。

中井出「我らは前曲を任せられし修羅よ!
    後ろで弓を構え、機を伺う軟弱者とは違う!
    やつらは組織軍隊だというのに我らの背後に隠れ、
    己は一切傷つかぬ弓での攻撃をするのみ!
    つまり! この戦いはやつらの戦いではなく、我らが主役の戦争よ!
    武器を取れ! 勇気を振り絞れ! 後ろで待つだけの軍隊どもに、
    我ら義勇軍の勇気と力を思いしらせてやれ!!
    兵糧が燃えることを待つ必要など無し!
    出来るのなら───我らのみで敵を滅ぼしてみせよう!」
義勇兵『ウォオオオオオオオオオッ!!!!』
中井出「傷を恐れるな! 死を恐れよ!
    腕を犠牲にしようが生き残り、我が治療を以って命を繋げ!
    貴様らは不死身! 我らは最強の義勇軍なり!
    力あるくせに後方で怯える馬鹿どもに───我らの武力、見せつけようぞぉ!!」
義勇兵『ウォオオオオオオオオッ!!!!』
朱里 「はわぁっ!? ご、ご主人様!?」

 兵達が怒号のごとく叫ぶ中、朱里があわあわと悲鳴に似た声を出すが……今回ばかりは策など要らぬ!!

中井出「朱里よ……作戦は相手の裏を掻くことにこそあり!
    せいぜいで敵を引き付けるだけしか出来ぬだろうと我らを下に見る輩に……!
    我ら義勇軍の力を見せつけてくれるのだ!」
雛里 「あぅ……ご、ご主人様……怒って……ますか……?」
中井出「当然である! 手伝ってくれと頼んだのに自分達は後方でなど!
    これでは共闘ではなく生贄のようなものぞ! 前線を任されてはいたが、
    だからといって我らのみで突撃したいなどと言った覚えは無し!
    愛紗! 鈴々! 汝らはどうか!
    ここまで我ら義の勇気を振り絞り立ち上がった兵を馬鹿にされ、我慢がなるか!」
鈴々 「許せないのだ!」
愛紗 「それはわたしも同じ気持ちです。しかし、相手の数を考えれば───」
中井出「愛紗! 我は汝に“兵たちの勇気を小馬鹿にされ!
    怒りはないか”と訊いている!」
愛紗 「───あります!」
中井出「ならば憤慨せよ! 人の勇気を笑う者に真の勇気を見せてやれ!
    皆の者! 我らのひとりの勇気はヤツらの千人に及ぶ!
    我らの力! 我らの勇気! 見せてくれようぞぉおおおおおおっ!!!!」
全軍 『ウォオオオオオッ!!!!』

 今度は愛紗も鈴々も絶叫を張り上げ己が手の武器を天高く翳した。
 見よ、この勇気! この勇気を武器に、黄巾党なぞ捻り潰してくれる!

中井出「紅蓮に然! 蒼碧に災! 連ねて一つの力と成す! 義聖剣!
    災の加護よ! この勇気を我らの力にせよ!《ゴシャァッキィインッ!!》
    ───いいか! 後先考えずに突撃しろ!
    敵との接触と同時に我らは30秒間無敵の軍団となる!
    敵の防具、武器ごと敵の命を跳ね上げ、我らの勇気を以って制圧する!」
全軍 『オオッ!!』
中井出「全軍ンン……突撃ィイイイイイイイイイッ!!!!」

 作戦? そんなものは要らん。
 侮辱された兵の勇気の強さ……とくと知りなさい!

───……。

 結論から言えば、義勇兵の強さは曹操さんの予想の何十倍も上の世界を駆け抜けていた。

黄巾兵「な、なななんだっ……ひぃっ! こいつらおかし《ゾゴォ!》げひゅっ!」
義勇兵「俺達の勇気を……馬鹿にすんじゃねぇえええええっ!!!」

 敵と見るや突出してきた黄巾兵などものの数にもならず、あっさり全滅。
 陣地に居た黄巾兵たちも突撃をかけるが、そんなものが今の彼らの敵である筈もなく───俺に能力全体化+人器を使われた義勇兵は、1分とかからず黄巾本体を殲滅。
 曹操たちは、あっという間に折れた黄巾の旗を眺めながら、呆然としていた。
 ただまあ問題としては───

鈴々 「あうぅうあぁああ〜〜〜……
    い〜〜〜た〜〜〜い〜〜の〜〜〜だ〜〜〜〜……」
愛紗 「ふぐっ……く、くくぅうう……!!」

 将を含めた義勇兵の皆様、筋肉痛。
 さすがに人器はやりすぎたかなぁと猛省中です。

曹操 「……呆れた。作戦なんて必要なかったってこと?」
中井出「フフフ、義勇兵を馬鹿にするなかれ。
    ただ張りきり過ぎて、みんな疲れてらっしゃる」
曹操 「当然よ。あれだけの人数をこれだけの人数で殲滅、しかも無傷でなんて無茶だわ」
中井出「面白半分、働かずに食っていきたい、なんて考えで、
    数の暴力を振るうことしか脳のないやつらに、
    勇気を以って立ち上がった者たちが負ける道理なぞ俺は知らん」
曹操 「ふぅん……それで? これからどうするの?」
中井出「兵糧強奪して街の民に分け与えるのってどう?」
曹操 「やめなさい。盗まれたものを分け与えても民は喜ばないわ」
中井出「ん、そうくると思った。これから……ふむ」

 チラリと、敵が居ない陣地を見渡してみる。
 ……と、ゾンビのようにう〜う〜唸る僕のキミたち。

中井出「みんな筋肉痛だし、ここで休んでいくよ。
    ど〜やらここの本隊は別のところに出陣してるみたいだし、
    兵糧とか取りにきたらそいつらブッ潰す」
曹操 「……本気で言っているのなら無謀としか言い様がないわ。死ぬ気?」
中井出「ん? 心配してくれてる?」
曹操 「なっ……! そんなわけないでしょう!
    ただ私は欲しいと思ったものはどんな手段を用いてでも手に入れるから!
    こんなところで貴方に死なれたら困るのよ!」
中井出「そっかそっか。でも大丈夫、あんな寄せ集めどもなんかにこの博光は負けん。
    ……ありがとな、孟徳。
    どんな理由にせよ、死なれたら困るって思ってくれるなら、俺は嬉しいよ」

 言いながら、曹操の目の前まで歩き、その頭をやさしく撫でる。
 プライドの高い曹操のことだ、すぐ払いのけるだろうから、幸せ光線を発射しながらやさしくやさしく撫でた。

曹操 (───……なに!? な、なぜ手が動かないのっ……!?
    この曹孟徳ともあろう者が……!
    気安く頭を撫でられているのに、手を払うことが出来ない……!?
    それに、この気持ちは……なに……? なんなの……!?
    心が暖かくて……むず痒くて……落ち着いて………………)

 そんでもって、撫でるのをやめると同時に幸せ光線の効果を消す。

曹操 「───!」
中井出「ウィ?」

 一瞬見えた、俯かせていた顔。
 その顔は、なんというか寂しげに見えました。
 OK、こういうプライドの高い人の真っ赤な顔とか大好きです。

曹操 (なんだというのよ……! この喪失感にも似た気持ち……!
    撫でられ終わった途端に暖かさが消えた……! …………私は……!)
中井出(あれ?)

 からかうつもりが、なんか本気で嫌な予感がジワジワと膨れ上がってきてる。
 ていうかね、曹操さんの後ろに居た惇さんが、ギリギリと歯軋りしながら剣をお抜きになっていらっしゃるんですが。
 その隣では淵さんがギリリ……と弓を……ハワワ!? 話題を……話題を作らなければ!
 話が始まれば、主の話を邪魔するようなことをしない筈!

中井出「ももも孟徳さん!? 貴女はこれからどうするの!?」
曹操 「ハッ! …………こほんっ、……そうね。
    我らはこれから西方に向かい、渠帥の一人が率いる部隊を蹴散らすつもりよ」
中井出「きょすい? ん〜〜〜……」

 解らん。
 そんな時はホギーブレイン!
 ───説明しよう!
 ホギーブレインとは、穂岸遥一郎の武具、ウロボロスに宿るホギーの意思から知識を受け取る技術さ! つまり僕は武具と意思の数だけ、様々な知識と経験を得ることが出来るのです!
 えーと…………渠帥。黄巾党の将軍みたいな人、らしい。

中井出「キミらだけで大丈夫? 一応将軍なんでしょ?」
夏侯惇「黄巾党如き雑兵が我らに敵うはずはなかろう!
    孟徳様の忠実な兵士たちを見損なうな!」
中井出「断る!」《どーーーん!!》
夏侯惇「なっ……なにぃいーーーーーーーーーっ!!!?」
中井出「惇将軍に物申す! 貴女のその猪突猛進の体勢は実に素晴らしい!
    真っ直ぐで歪みねぇ! だがそこに慢心を覚えてしまえば、
    付け入る隙だらけで兵が無駄に傷つくばかり!
    学びなさい惇将軍! 貴女は確かに一騎当千の武将!
    しかし兵は貴女ほど強くはないのだ!」
夏侯惇「き、貴様ぁああ!! わたしの兵を愚弄する気かぁあ!!」
中井出「え? いや。愚弄じゃなくて注意してるんだけど。
    将なんだから、兵に無茶を強いるばかりじゃなくてもっと考えなさいと」
夏侯惇「考えている!」《どーーーん!》
中井出「なんと!?」

 胸を張って言われた!
 オ、オオ〜〜〜ッ、これはよほどに自信があるに違いねぇ〜〜〜〜っ!

中井出「で、では! 敵の軍が防御を固めた状態で貴女の軍を待ち伏せしていました!
    貴女の行動は次のうちどれ!?
    1! 正面の防御が固いところから正面突破!
    2! 部隊を割り、左右から挟撃!
    3! 挑発して誘き出し、軍勢がバラけたところを一気に殲滅!」
夏侯惇「正面突破に決まっているだろう!」
中井出「…………曹操さん…………」
曹操 「……部下の思慮不足を詫びるわ」
夏侯惇「華琳様!?」

 もう決定です、惇さん馬鹿だ。パワー馬鹿だ。
 と、そこまで考えても、それでも曹操さんらの軍隊の能力は高いものでしょう。
 どうせならあんな囮作戦ではなく、共闘の中でこちらの兵にも学ばせたいことが山ほどあるんだが……

中井出「孟徳殿」
曹操 「……? なにかしら」
中井出「一つ提案。兵糧を提供する代わりに、桃香たちの兵と共同戦線組んでくれない?
    こっちの兵の強さはさっき見せた通り。役立たずにはならないと思うんだけど」
曹操 「兵糧を? 結構よ。こちらの兵糧は十分だもの」
中井出「そう? 自軍の兵糧を使う必要がないのって、結構ありがたいもんだと思うけど」
曹操 「…………」
中井出「今なら負傷兵を無料で直す御遣いさんが付いてきます」
曹操 「………………そうね、いいでしょう。
    雑兵とはいえ、我が精鋭部隊が傷つかないという保証はないものね」
夏侯惇「華琳様っ! 私は反対です! こんな男と手を組むなんて!
    傷を治すだけで、それ以外なんの役にも立たないに決まっています!」
夏侯淵「姉者、少し落ち着け……」
中井出「え? ───あ、あれ? もしかして戦っていい!? 戦っていいの!?」
夏侯惇「駄目に決まっているだろう!」
中井出「ええ!? そんな!」

 ワクワクさんが! ワクワクさんが逃げてゆく!
 せっかく戦えると思ったのに!

曹操 「……? 貴方、戦えるの?」
中井出「うむ! とりあえず指だけで惇さんと愛紗の一撃を受け止められるほどには!」
曹操 「───……」
夏侯惇「な、なにを言う! あれは加減してやったから平気だっただけだ!」
曹操 「加減していたの?」
夏侯淵「姉者がそんな器用なことをするとお思いですか?」
曹操 「無理ね」
夏侯惇「なっ……か、華琳様ぁあ……!」
中井出「よろしい! では惇さん! 言葉で理解できないなら武器でだ!
    えーと……よっこいしょおっ!」

 ザゴォンッ!!
 ───ジークフリードのまま手に出現させたそれを、地面に突き刺す。
 といっても、ランドグリーズ状態だから鞘とかごっちゃりだけど。

曹操 「……こんなもの、どこから」
中井出「いろいろあるんです。というわけで惇さん? これ抜き取ってみて?」
夏侯惇「?」

 惇さんがジークフリードの柄を握る。
 そして地面から抜き取ろうとするが───

夏侯惇「《グッ!》うん?《ぐっ! ぐっぐっ!》んっ! ぐっ! んぐぐ〜〜っ!」
曹操 「……春蘭?」
夏侯惇「お、お待ちください華琳様! こんなもの、すぐに……んぎぃいいいっ!!」

 ………………

夏侯惇「ぷはぁっ! はあぁっ! はぁっ……!
    な、なんだこれは! ビクともしないぞ!?」
中井出「ちなみに僕は片手で軽々振るえます《ずぼっ! ───ブフォォンッ!!》」
夏侯惇「………」
中井出「……戦う?」
夏侯惇「当然だ!」
中井出「曹操さん…………」
曹操 「ダメよ、そんなやりかたじゃ……。
    戦いにおいての春蘭は、回りくどいやりかたじゃ納得なんてしないんだから」
中井出「はあ……」

 どうやら戦わないとダメっぽいです……。

中井出「曹操さん、ほんとにやっていい? 止めるなら今だよ?」
曹操 「構わないわ。私も貴方の実力、見ておきたいもの」
中井出「淵さん?」
夏侯淵「ああ、まあ……怪我しない程度にやってくれ」
中井出「うう……」
夏侯惇「なにをぶつぶつ言ってる! いくぞ!」
中井出「む……では───参る!」

 どがぁんっ! ヒョ〜〜〜……ぼてっ。

中井出「じゃ、行こうか」
曹操 「な……!」
夏侯淵「姉者!?」

 勝負は一瞬でした。
 KOFのK’くんのようにヒートドライブを使い、高速疾駆の擦れ違い様にナックル。
 空中に弾き飛ばされた惇さんが地面に落ちるのと同時に、決着はつきました。
 しかし惇さんはすぐさま起き上がり、僕に向けて剣を突き出す!

夏侯惇「何処へ行く! まだ勝負は」
曹操 「ついたわよ」
夏侯惇「華琳様ぁっ!? い、いえこれは……!」
曹操 「あれだけの勢いで殴られて傷もついてないことに気づかないの?
    春蘭、貴女は殴り飛ばされて、けどもう治療もされているの。
    ……この意味が解らないわけじゃないでしょう?」
夏侯惇「う……」
曹操 「見事だったわ中井出。御遣いの力の本気、確かに見せてもらったわ」
中井出「え? 本気?」
曹操 「……え?」
中井出「…………」
曹操 「…………本気じゃ…………ないの?」
中井出「え、えーとグムーーーー」

 うっかり疑問形で返してしまってからシマターって感じに。
 ええ、実際本気じゃないわけですが。
 そんな態度を肯定と受け取ったのか、曹操さんは解らないって顔で僕を睨みます。

曹操 「……解らないわ。そこまでの力を持っていながら義勇兵の将軍をやってるなんて。
    その力があれば、独立することなんて容易いでしょう。それとも馬鹿なの?」
中井出「いや馬鹿って………………馬鹿だけどさ。俺一人が強くたって意味ないよ。
    俺はね、結盟を立てた仲間と強くなっていきたい。
    だからこうして地道な経験を積んで地盤を固めてるんだ。
    誰か一人が強いだけの国なんて、そいつが居なくなればもろい。
    もろさのせいでくずれてしまわんための地盤さ。
    そのためにも是非僕らと共闘して? そして技術盗ませて?」
曹操 「わたしは既に“いい”と言ったはずよ? それでも納得していない者が居るなら、
    それを納得させるのは貴方の仕事。違う?」
中井出「ふむふむ。じゃあそれはおいおいやっていくとしましょう。
    まずは皆様の筋肉痛を治さないとね……」

 ユグドラシルに蓄積されてるマナを介抱して、皆様を癒しにかかります。
 妖精たちを出して鱗粉を振りかければ手っ取り早いんだろうけど、曹操さんたちが見てるからダメだね。
 さしずめ、“カリン様がみてる”ってとこでしょう。略してカリみて。うん意味ねぇ。

───……。

 こうして僕達は曹操軍と共同戦線を行うこととなった。
 各地に散っている大小様々な黄巾党の部隊を協力して次々に撃破してゆく。
 ……と言えば連戦連勝の精鋭部隊に聞こえるわけですがね、実際は集積してた兵糧を焼き払われて、既に軍と言う形も保てなくなった黄巾党を掃討するだけのことです。
 それでも義勇兵ばかりのあっしらにゃあ貴重な実戦経験でさぁ。
 桃香たちも指揮の仕方なんかを必死になって曹操から盗んでらっしゃった。
 勉強熱心なコってステキ!

 そんなこんなでほぼ半年の間、黄巾党征伐に明け暮れて……気づけば桃香たちは、いっぱしの先頭指揮官となっておった。
 もちろん俺もホギーズブレインと未来凍弥の政治力を糧に、この世界のことをしっかり学んで……まあ最初は読めるようになることに専念するばっかだったけど、いろいろなことを学び、記憶し、文学面で結構成長できたと思います。

 ……あ。
 ちなみに曹操と一緒に行動することで、曹操に一番喜ばれたのは風呂の世話だったりしました。
 この世界では水が大変貴重らしく、毎日風呂に入るのは贅沢ってくらいなのだそうだ。
 だから僕が簡易風呂を木で作り、キャリバーで出した水を湧かして風呂にして、毎日毎日リフレッシュさせてあげました。
 …………念のために言うけど、一緒に入ったりなんかしてませんよ?

 で、次に喜ばれたのが食事。
 兵糧なんて有り余ってるもの〜とは言うものの、旅をする中で用意される食事なんてのはずうっと同じようなものばかり。
 そこで腕を振るって地界料理や空界料理、ヒロライン料理を食わせてやると、もう大変感心されましたさ。
 彼女はこれで結構、食にはうるさいそうで。(淵さんに教えてもらった)
 そんな彼女が褒めてくれるのだから、それだけ珍しかったのでしょう。

 ……そうした時間が実際に半年過ぎた頃、曲陽という場所で黄巾党の頭領、張角が討ち取られた、という情報が飛び込んできた。
 長かった黄巾党の戦いが、これでようやく終わりを告げたのですじゃ───そう、天下に平和が訪れた…………




09/イケメーン

 …………と、いくわけもなく。
 けれど、乱鎮圧の恩賞として平原というところの相……ええと、知事みたいなものに任命された桃香ならびに僕らは、初体験の連続に、周囲の状況に気を配る余裕さえなかったのです。
 一応国というか街を任された〜とか思って諸手を上げればいいのですか?
 でも忙しすぎて大変ですよこれ。
 そう……初体験。
 街を治めるっていう、責任ある仕事のことである。
 ……主に桃香の。

桃香 「きょ〜うもたっのしっくみっまわっりだぁ〜♪」
中井出「なんと! ならば全て桃香に任せて
    俺とんずらぁあああ《がしぃい!!》ぬうう離せぇえええ!!!」
桃香 「うああああんいかないでぇええ〜〜〜〜!!
    私一人じゃ不安だよぉお〜〜〜〜〜っ!!」
中井出「なにを申されるか!
    やっと乱も終わってみんなが平和そうに暮らしてるのを見ると
    ちゃんと頑張れたんだなぁ〜って楽しくなると言ってたじゃないですか!」
桃香 「それでも一人で見回りはやだぁ〜〜〜!!」

 ……そう、今では平和なもんです。
 街を任されたといっても、実際に俺達がやることは、政治と見回り……この二つくらい。
 兵を雇えるほどの金がごろごろあるわけでもなく、基本的には以前とそう変わらない。
 ……そういえば半年前移行、白蓮と星とは会えてなかった。
 今頃何処でなにやってるのかなぁ。
 なんて思いつつ、腰に抱き付いてビワーと泣く桃香の頭を押さえて引き剥がしにかかる中。
 朱里が僕と桃香を呼びながら小走りに駆けてくるのが見えた。

中井出「朱里? どうしたんだそんな慌てて。───ハッ! まさか桃香がミスを!?」
桃香 「えぇえええ!? どどどうしたの朱里ちゃん! わたしなにかやっちゃった!?」
朱里 「あ、いえ、それは大丈夫ですけど……ふぅ、はぁ……
    ───実はお城に、お二人を訊ねて来た方が……名前は趙雲といってましたが」
桃香 「え?」
中井出「星が? ハテ……噂をすれば影武者徳川家康とはよく言ったもんだが……」
桃香 「? なにそれ、とく……?」
中井出「ナンデモナイヨ? とにかく行こう」
桃香 「あ、待ってよご主人様っ」

 星に会うのも久しぶり。
 なんとなく嬉しくなった僕はいつもより急ぎ目に、平原の小さなお城を目指しました。

───……。

 ドタタタタタ───

中井出「セェーーーーイ!!」
星  「む? おお、博光殿」
桃香 「星ちゃんっ、久しぶりだね〜♪」
星  「桃香殿も。久方ぶりですな」

 城の玉座の間に行ってみれば、確かにそこに居る星。
 愛紗や鈴々や雛里も居るようで、駆けつけた俺と桃香と、案内してくれた朱里が集まって全員集合となった。
 ……聞けば、黄巾の乱が収束に向かいだした頃に白蓮に暇を貰ったらしく、各地を放浪していたんだとか。

中井出「……で、どうだった? メンマは」
星  「うむ……なかなか博光殿の味を超えるメンマはありませんな……」
中井出「ぬう……嬉しくもあり寂しくもある。だがそこにはそこの味があった、ですな?」
星  「ふふっ……さすがに解っておられる。
    ……と、なにもメンマ探しをしていたわけではなく。
    以前にも言った通り、天下を憂う者として、徳ある主君に仕えることこそ喜び。
    主となる人物を求めて動いたはいいが、これがなかなかどうして難しい。
    主となる人物の器量と徳、
    そしてその周囲に居る人間の質。その三つを兼ね備える勢力は少なかった」
中井出「ふむ。少なかった、ということは……いくつか見つけたわけだ。
    一つは曹操と考えていいかな?」
星  「ええ、さすがに見る目がありますな。
    兵力財力人材と全てを兼ね備えた勢力であり、
    当主である曹操は器量才能豊かな、まさに英雄だ。
    しかしなぁ……あの陣営の中に漂う、
    百合百合しい雰囲気がどうも好きではないのですよ」
中井出「わあ」

 百合ってあの百合ですか。
 なにやってんスか孟徳さん……。

中井出「ま、まあ愛の形は人それぞれ…………ってことでいいのかなぁ…………」
星  「まあそういうことですな。その道も耽美ではありますがな、
    あの国の将たちは少し排他的でな、正直つまらん」

 歯痛? …………あ、ああ、排他ね?
 確か自分の仲間以外は邪魔物扱いする〜みたいなもののことだよね?

星  「もう一つは孫策殿のところだ」
愛紗 「孫策……江東の麒麟児か」
星  「ああ。性勇猛、知略にも通じ、従える将はそれぞれ一騎当千。……なのだが」
桃香 「だが?」
星  「完璧な布陣すぎてつまらんのですよ。私の活躍できる場所がない」
中井出「なるほど」

 確かに仲間になったところで、活躍の場がなけりゃあてんで嬉しくないね。
 ……で、そんな星が今ここに居るのは……その各国放浪の旅で偶然立ち寄ったと、そう考えてよろしいですね?

桃香 「あとは?」
星  「その他は有象無象ですな」
中井出「ふむ。眼鏡に適うヤツはおらなんだか」

 一応は歴史に名を残した英雄たちだろうに……星にしてみりゃ路傍の石と変わらんらしい。
 とっても豪毅ですね。

中井出「えーとなんていったっけ。袁家とかは? 袁術とか袁紹とか。
    あ、もしくは馬騰とか董卓…………ダメそうだね、志が天下に向いてないや」
星  「その通り。袁家は己が血筋を威張り散らすことしか脳がなくつまらん。
    馬騰殿は確かに素晴らしき武人であるが、その心は天下というよりは現状の平穏。
    志が天下に向かい、それを実現する力があるとなると、やはり何処も有象無象。
    先に挙げた二名の他には期待出来ませぬな」
中井出「そ、そうか〜〜〜〜〜〜っ! じゃあここにはメンマを食いに来たんだね?」
星  「……博光殿」
中井出「じょ、冗談です。……それじゃあ、いいんだな?」
星  「ええ。貴殿らさえ良ければ、私もともに戦わせて頂きたい。
    貴殿らの理想の実現のために。私の理想を形にするために」

 力強い瞳で俺達を見つめてくる星の言葉から、その志の高さが伝わってくる。
 それと同時に、いつか道の途中で、みんなで重ねた手の熱さが蘇ってくるような気がして───

桃香 「うん! 一緒に戦おう星ちゃん!
    みんなが笑顔を浮かべて、平和に暮らせるその日のために!」
鈴々 「星が来れば百人力なのだー♪」
愛紗 「ふふっ、そうだな。……星、お主の力、あてにさせてもらうぞ」
星  「ふっ、任せておけ」
中井出「じゃあ政治も頼んでいい!?」
星  「いや、それはお断りする」
中井出「ゲェエーーーーーッ!!」

 任せておけっていったのに!
 グ、グウ……まあいいや。

星  「では……主よ。私の初任務を命じていただきましょうか」
中井出「うむ! ……主!?」
星  「当然でしょう。愛紗や鈴々たちにご主人様と呼ばれているのなら、
    私にとってもあなたは我が主だ。……なんなりとご命令くだされ」
中井出「博光殿って呼んで?」
星  「お断りする」
中井出「ゲェエエーーーーーーッ!!」

 だめじゃん! なんなりとじゃないじゃん!
 グ、グウ……まあいいや。

星  「兵の調練から街の治安維持、はたまた開墾(かいこん)の指揮や灌漑(かんがい)指導。
    ……もちろん夜の伽まで、何でも命じて頂いて結構ですぞ」
中井出「おお、それいいね。じゃあ夜の伽を」
愛紗 「ゴホンッ!」
中井出「ヒィッ!? ……な、なに? 愛紗」
愛紗 「……星。着任早々、ご主人様を誘惑するようなことは止めてもらおうか」
中井出「………………誘惑? え? 星が? ……いつ?」
愛紗 「え? ……いえ、あの……夜の伽と…………」
中井出「伽って……お話のことでしょ? 枕元での。御伽噺(おとぎばなし)〜とかよく言うじゃない。
    眠たくなるまで話しませうって意味だったんだけど………………違うの?」
愛紗 「《かああっ……!》ま、紛らわしいことを言わないでいただきたい!」
中井出「えぇっ!? なんで俺が怒られるの!?」

 なんかいつの間にか僕が悪者に!
 これはいかん! 話を逸らさねば!

中井出「え、えーと。今やらなきゃいけないことって、なにかあったっけ」
朱里 「はい。えーっと……色々とありますけど、
    やはり募集に応じてやってきた兵隊さんたちの訓練が急務かと……」
星  「ふむ……ならばその仕事、私に任せて貰おう。諸葛亮殿」
中井出「うむ。どんと胸を張って任されてくれ」
朱里 「あ、あの、その……私のことは朱里でいいです、趙雲さん」
星  「朱里……と。美しい名だ。……では我が真名“星”をおぬしに預けよう。
    軍師殿、宜しく頼む」
朱里 「こ、こちらこそでしゅ!」

 噛みながらのお辞儀って結構危ない気がするよね。
 主に舌あたりが。
 そんな心配の傍で、星は雛里へと向き直ると、

星  「それで、こちらのお嬢さんが───確か鳳統殿だったかな?」
雛里 「あわわ、は、はい、ほ、鳳統でし! ……へ、へぅ……!」
星  「………」
中井出「二人とも、緊張すると舌を噛むくせがあるのだ。……可愛いだろう?」
星  「《マキィーン♪》……少女のカミカミ口調とは、良いものですな」
中井出「解るかね」
星  「解りますとも」

 マキィーン♪と妖艶チックにしなを作って笑む星さん。
 うむ、可愛いものを可愛いと言えるのは貴重です。素晴らしい。
 雛里が顔を赤くするのを余所に、ニヤリと笑いながらガッチリと握手する僕ら。
 どう見ても変態ですね。ありがとうございます。

星  「では鳳統殿。我が名は趙雲。字は子龍。真名は星。
    星と呼んでくれて構わないのだが……」
雛里 「あわわっ、わ、私、ひ、雛里って言いますです、えと、宜しくです……!」
星  「雛里殿か。こちらも良い名だな。その可憐な姿にはぴったりだ」
雛里 「あぅ……」

 真っ直ぐに雛里を見つめ、まるで男が女性を口説くような言い方をする星。
 何気に男らしいですねこの人。

中井出「桃色……これで結構似合ってるんじゃない?」
愛紗 「同感です」
鈴々 「まったくなのだ」
星  「良いではないか。美味い食事に極上の酒、美しい少女と素晴らしい仲間。
    ……戦いだけの日々では身が保たんといういものだ」
中井出「否! そこに楽しさがあれば僕は生きていける!
    星よ! 素晴らしき仲間とともにあるならば! 楽しまなければ……ウソだぜ!」
星  「ふふっ、ええ、その通りですな」

 で、再び握手を交わす僕ら。
 “握手”の意味を知ってくれている星にとって、こうして握手をしてくれるのは信頼の証だと思ってる。
 ……なんか照れるけど、それでいいと思えたとある日の午後でした。

朱里 「そ、それよりご主人様。お仕事の配分はどうしましょうか」
中井出「む? うーぬ……ほいじゃあ愛紗と星には新兵の訓練を。
    鈴々と桃香には街の警邏。朱里は市の管理で、雛里には兵站管理。
    そして僕は掃除洗濯炊事!」
雛里 「……適材適所かと」
朱里 「あ……でも書類整理はどうしましょう」
中井出「…………」
桃香 「あ、あれ……ご主人様? どうしてそこで私を見るのかな……。
    り、鈴々ちゃん! わたし今すっごく街の警邏やりたいなぁ!
    行コッ! すぐ行コッ!」
鈴々 「にゃ! 解ったのだ!」
中井出「え!? あ、待ってよぉぅ!!」

 止めようとするも、二人はズダーとさっさと行ってしまった。

中井出「グ、グウウ〜〜〜〜ッ!
    ま、まだ種類整理は慣れていないというのに〜〜〜っ!」
雛里 「あ、じゃあ私が、あの……お手伝いします」
中井出「───〜〜〜〜雛里! ああ雛里! 私の可愛い雛里!!」
雛里 「《がばぁ!》あわわぁあ〜〜〜〜〜〜〜っ!!?」

 博光感激!
 感激のあまりに抱きすくめ、頬擦りしたり頭撫でたり幸せ光線放ったりと、これでもかってくらいイイコイイコする!
 ああもう! もう! なんと可愛いお子でしょう!
 もう愛してる! 最強!
 と、雛里が目を回し始めるまで愛でまくり、人心地ついてからひと息。

中井出「じゃあそろそろ仕事を開始いたしましょう。
    夜には星の歓迎会開くから、みんなそのつもりで」
愛紗 「はっ」
朱里 「はいっ」
星  「ふむ……なんだか照れますな」
中井出「うむ、存分にお照れめされい。こんな時でなければ味わえぬ感情ぞ」
星  「面白い考え方をしますなぁ主は」
中井出「面白いことが僕の大好物ですから」

 ……こうして我らに新たな仲間が加わった。
 姓は趙、名は雲、字は子龍。
 三国志で有名な人気のイケメンさん、趙雲子龍だ。
 ほんとにイケメンだったのかは知らんけどね?
 それにこの趙雲がヒーローなのかは正直判断に迷うけど。





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