00/思考の果てにある思い出の空を、今もまだ、この時も

 ───……それは、とても静かな目覚め……でもなかった。
 ふと気づくと椅子に座っていて、そこが………………自分の世界の自分が通っていた学校、そして自分の席であることに気づく。
 自分がどうしてここに居るのかを小さく考えて、すぐに首を振る。
 役目を終えた自分はあの世界から消えたのだから、いまさら何を振り返る必要があるだろう。

「…………役目か」

 小さくこぼし、席を立つ。
 椅子の支えが床を滑る音を聞きながら、もうなにを詰めていたのかも忘れてしまった鞄を手に。
 何処に行こうか、なんて考える必要なんてなかったのに考えると、一番先に頭に浮かんだのが……華琳の顔だった。

「…………」

 帰る場所なんてもう無い。そう言えるくらい、胸に空いた見えない穴は大きかった。
 そんな、どこかボウっとした状態のままに窓越しの空を仰いだ。
 ……夕焼けに染まる空が、ゆっくりと黒に塗り替えられようとしていた。

「お前はまだ、黒の空の下に居るのかな…………なぁ、華琳───」

 風邪引くから早く戻れ、くらい言えばよかった。
 別れ際に言う言葉じゃないかもしれないけれど、頭に浮かぶのが彼女のことばかりなのだから仕方ない。
 当たり前にあったものを当たり前に頭の中に描き、当たり前の行動をとる。
 そうやって過ごしてきた日々との別れは、思いの外自分にダメージを与えていた。
 この場に立って、おぼろげだけど思い出せたかつての自分のことなんて、居眠りをしていて、気づけば放課後だったってことくらいだ。
 でもここで目を閉じても、もうあの大地に居て盗賊に襲われました、なんて経験をすることもないのだ。
 命の危険さえ冷たく感じたっていうのに、そんな経験が出来ないことさえ悲しく思えるのだから、きっともう自分は重症なのだろう。

「……なにも……言えなかったんだよな……」

 一緒に天下を目指したみんな。
 天下を手にし、平和という名の下に手を組んだ三国。
 嬉しそうに笑っていた劉備や、どこか晴れやかな顔をしていた孫策。
 そして…………そして。

「……すごいな。まいったよ華琳…………」

 どうやら俺は、この世界よりもあの世界こそを故郷と思えているようだった。
 この世界で生きた時間に比べればほんの少し。
 それでも、これまで生きてきた中では経験できないものを幾つも経験してきた。
 戦をした。
 人が死ぬのを見た。
 手を取って国を大きくして、民の笑顔に喜んで。
 警備隊長になって、民と笑い、民を守って、兵と酒を飲み、慕ってくれる人と楽しく過ごして。
 ……人を愛して。
 人に愛されて。

「……そっか…………」

 そんな世界と離れてみて、初めて知った。

「……あれが…………幸せ、ってものだったんだ───」

 不思議なくらい、すとんと心に落ちた言葉。
 それが嬉しいのと同時に、とても悲しい。
 涙は出なかったけど、その代わりに強く誓った。
 許されるのなら、必ずあの世界に帰ろうと。
 その時が来るまでは、彼女たちに恥じないような自分になれるよう努力をしようと。

「……うんっ」

 頷いて、胸をトンッと小突いたら……もう立ち止まってはいられなかった。
 鞄を乱暴に肩に引っ掛けると駆け出して、自分の奥底から湧き出した目標を胸に、こぼれてしまう笑顔をこらえきれず、にやけたままの表情で家路を駆けた。
 いつになるかは解らないけど…………いつかまた会おう。
 それまで元気でいてくれな、華琳……みんな。





01/流れる時の中で

 がむしゃらな生きかただったと思う。
 一年前、夕焼けに染まる教室から帰った俺は、かつてのように普通に家に帰った───途端に母さんに驚かれた。
 それはそうだろう、朝出て行く時は綺麗だったフランチェスカの制服が、たった半日程度で戦場を駆け抜けたようにところどころにボロを見せていたのだから。
 「なにがあったの」としつこく訊いてくる母さんに、「ちょっと天下統一してきた」と言ったら、オタマで叩かれたのもいい思い出だ。
 そんなことも笑い飛ばせるくらいの度胸は十分に養われていた俺は、じいちゃんを前に、真剣に土下座。
 俺に剣を教えてくださいと、かつてでは有り得ないくらいに真剣に頼み、「……いい顔が出来るようになったな、あの洟垂れ小僧が」としみじみ言われ、了承を得た。

 はっきり言えばじいちゃんの教えは容赦がなかった。
 以前の俺であったならば絶対に逃げ出していただろうし、“理不尽だ”だのと口から出る言葉を適当に捲くし立てて諦めていたんだと思う。
 それをしなかったのは、自分から言い出したということももちろんそうだけど、今なら解ることがあったからだ。
 相手がこちらに厳しくするのは、自分が持つ技術を相手に本気で与えたいからだと。自分の教えを糧に、成長してほしいからなのだと。
 相手の感情を少しは汲めるくらい、自分が成長できていたことが純粋に嬉しかった。

 そう、がむしゃらだった。
 友達と遊ぶ時間も惜しみ、じいちゃんに教わり、部活で結果を出し、勉学にも励んで基礎体力もつける。
 “考える”っていうのは脳にはいい刺激になったらしく、インターネットもないあの時代、“知りたいことは足で探せ”と言えるような日々は無駄ではなく。
 以前よりも記憶できる容量が増えてくれたらしい頭を使って、かつては手付かずだった分野にも首を突っ込んでいった。
 どうしても解らないことがあれば誰かに頼る。
 既存の知識に逃げるのではなく、既存の知識に教えを乞う。
 答えを知るだけではなく、そこに行きつく過程を知り、頭に叩き込んでいった。

 そうした様々な勉強や鍛錬の中、なにより励んだのは持久力と筋力作りであり、筋肉は思いきり使ったのち、三日ほど休ませつつ栄養を摂らせるといい、ということを知ると、それを実践。
 思い切り使うといっても持久力をあげる筋力作りだから、ダンベルを何度も持ち上げるようなものではなく、持ち上げたまま限界がくるまで筋肉を緊張させる方法。
 そうして出来るのは外側の筋肉ではなく内側の筋肉のため、鍛えてもそう目立たないこともありがたいと思った。
 もしみんなに会えるようなことがあったとして、その時の自分があまりにゴリモリマッチョでは恥ずかしいという、それこそ恥ずかしい理由からだった。

 そんな日々を一年。
 いい加減眩暈がするくらいの時間を過ごしてもまだ、意識はあの懐かしい世界へ。
 それでも…………いい加減気づくこともある。
 自分はあの世界にはもう行けないのでは、と。

「…………ふぅ…………はぁ」

 その日の分の鍛錬を終えた俺は、剣道着に剣道袴の格好のままに道場に倒れこんでいた。
 傍らにはつい今まで振るっていた黒檀の素振り刀があり、振るうモノにいちいち体がもっていかれないように、とじいちゃんに渡されたのがこれだった。
 ……値段を聞いて、たまげたのは内緒だ。

「…………」

 呼吸はそう乱れていない。
 汗はかいても呼吸を乱さないようにと訓練したことも無駄ではないらしい。
 そうやってひとしきりこの一年を振り返りながら、仰向けに見る天井に向けて、手を伸ばしてみた。
 あの世界に居た頃と違い、大切なものを守ってやることさえ出来ないちっぽけな手を。
 どれだけ鍛錬しても勉強しても、なにもかもが無駄だったと悟った時、この手はいったいなにを守れるのか。
 ふと冷静になってみると、ひどく泣きたくなる時があった。
 “充実していなかった”と言えば嘘にはなるが、的外れだと断言できるものでもなかったのだ。

  理由が欲しい。

 もっと明確な、傍に居るなにかを守る……そんな、単純だけど自分がなにより頑張れる理由が。
 たとえば俺が武芸を学んだところで華琳を守れるかといったら、そりゃあ弱い盗賊程度なら撥ね退けられるかもしれないが、そんなものは華琳にでも出来る。
 じゃあ自分がこんなことをする理由はなんなのかと自分に訊いてみれば、忘れないために、というのが一番だった。
 ……いや。あの世界のみんなのために自分を鍛えている、という名目が欲しかっただけなのかもしれない。

「……学べば学ぶほど……鍛えれば鍛えるほど……」

 ……遠くなっている気がするよ、華琳───
 そう呟いて、天井に向けて伸ばしていた手を顔に落とし、手の甲で目元を隠すようにして溜め息を吐いた。
 そうして思うのは、自分が居たあの世界。

  …………簡単な理屈だった。

 かつての俺、北郷一刀があの世界に居た理由は、華琳の天下統一を手伝うため。
 彼女が望み、その望みを叶えたからこそ俺は役目を終え、この世界に帰ってきたのだ。
 大局から外れるという歴史の改変を前に、俺は消えた……らしい。
 けどそんなものは、例えば諸葛亮があんなに早く劉備の仲間になっていたことや、呂布が劉備に降ることを考えれば、そう大事なことではなかったはずなのだ。
 つまり、俺がここに帰ってきた理由は大局が曲がることだけではなく、やはり───彼女の望みを叶え、役目を終えたゆえ。

  あまりに簡単すぎて、気づくのに一年近くもかかった。

 じゃあ再びあの世界に行くにはどうすればいいのか。
 そう、簡単だ。
 華琳が再び望んでくれればいい。
 心から望み、口にしてくれればいいのだ。
 天の御遣いが必要だと。
 俺が───北郷一刀が必要だと。

  けど、俺にとっては簡単でも、あの華琳にとっては……それは簡単ではなかった。

 華琳は消えてしまった俺のことを、忘れることはしないとは思うが、女々しく口にすることを嫌うに違いない。
 引きずることなどせず、「私は一人でも大丈夫だから、貴方は貴方の物語で精々頑張るがいいわ」なんて言って、望むことなどしないに違いない。

「……はぁ……」

 思わず“あのばか”、とか言いそうになるけど、それは苦笑を噛み締めることでやめることにした。
 どうせ仮定の話だ。
 望んだだけで飛べるかどうかも解らない上、あの華琳がそんな風に望むはずもないし、役目を終えた俺を呼び戻そうだなんてする筈もない。
 彼女は「一刀は役目を終えることが出来たのだから」とか言って、胸に刻むヤツだ、きっと。

  ……と。そんな風にして、最後に長い長い溜め息を吐いた時だった。

「かずピー……な〜〜〜にこんな場所で百面相なんぞしとんねん」
「うぉわっ!?」

 よっぽど考え事に没頭していたんだろう。
 天井を遮るようにぬうっと視界を覆った及川の顔に、思わず悲鳴をあげてしまった。

「あぁん、そないに引かんでもええや〜〜ん! 最近付き合い悪いかずピーにこうして会いに来てやったっちゅーのになんやねんその態度」
「あぁいや……ちょっと思い出してたことがあってさ。そこに急にお前の顔がぬうって来たら、そりゃ驚くだろ」
「驚くっちゅうか引いとったやん自分。……んあぁ、あん……まあ……ええねんけどな。ほんでなかずピー、俺これから男ども誘って遊びに行くんやけどー……かずピー、一緒に来てくれへんかなぁ。やぁ、な〜〜んや知らんけど女どもがなぁ? み〜〜んな揃いも揃ってかずピーが来るなら〜とか言うとんねや」
「行かない」
「速ッ!! もうちょい考えたってやぁ! そりゃ自分っ……即答すぎやろがぁ!!」

 真っ赤な顔で、変わらず間近で叫ぶ及川……離れる気ないのかこいつは。
 仕方ないので転がるようにして横に逃げると、黒檀木刀を拾い上げながら疲れた体を起こして、胴着を正す。

「いやまぁなぁ? 一年前あたりからみょ〜〜にかずピーが凛々しなったんは俺も知っとる。なんやキャワイイ女の子が話し掛けてきて、ウキウキ気分で話に乗ったらかずピーのこと訊かれて殺意覚えたのもいい思い出や」
「そんな思い出捨てちまえ!」
「やぁ〜、しゃあけどホンマに人気あんのんは事実やからなぁ……せやから考えたっちゅーわけや! かずピーが来るなら俺らにもチャンスが───」
「だから行かないって」
「ウソやぁあーーーーん!! ウソやゆぅてーーーーーっ!! ほ、ほらぁ! この前抽選で当たったオーバーマンマスクくれたるさかいぃいっ!!」
「《がぼぉっ!》ぶわぁっ!? ちょっ……こら及かっ……やめっ……!!」

 なにを思ったのか、取り出した外国人の顔型のマスクを無理矢理被せてくる及川。
 抵抗しよう……とも思ったが、なんだかこうして及川とじゃれるのも久しぶりな気がしたら……そんな気は失せていた。
 だから被せられたマスクも取ることはせずに、にこやかな外国人の顔のままに笑みを漏らす。
 やがてそれは大きな笑いとなって、久しぶりに……本当に久しぶりに、俺は大声を上げて笑っていた。

「か、かずピーどないしたんや!? ……ハッ! まさかこれは被ると呪われる呪いのオーバーマンマスク……!?」
「あ、はは、いや違う違うっ……! くっふふふはは…………はぁ……。……なんかさ、安心した」
「んあ? 安心てなんや? ……まさかかずピー、しばらく見ぃひん内にオーバーマンに母親の母胎にも似た安堵感を覚える変態さんに」
「なるかぁっ!!」
「《こぱきゃあ!》ほんぎゃぁぉおおっ!!? かぼはっ!? かずっ……おぉおおごぉおお……!!」
「うわぁすまんっ!! 大丈夫か!? すまんっ!!」

 あんまりにふざけたことを言うもんだから、つい手にあった黒檀木刀で頭を殴ってしまった。
 ……うん、あまり中身が入ってなさそうな音だった、という感想は黙っておくべきだ。

「うぅ……ええねんけどね……俺なんて所詮こないな役回りばっかやしな……。けど俺のことキズモンにしたんやから宴会くらい来てくれるんやろなぁ」
「宴会とか言うなよ…………ん、解った。たまには気晴らしも必要だよな」
「うぉっしゃああい!! ほなイコ! 善は急げや! 急がな悪になってまうわ! かずピーは俺ンこと悪にしたないやろ!?」
「ワケの解らんこと言うな!」
「ワケ解らんのはオーバーマンのままのかずピーやて」
「自分で被せといてっ……おっ……お前なぁあ……!!」

 ああもう、とオーバーマンマスク越しに頭を掻くと、しばらくして仕方ないなって気分になる。
 そうだ……ずっとこんな感じだった。
 勝ちたい人が居たから剣道に時間を費やして、普段はこうして及川と馬鹿やって。
 一年前までを必死に生きすぎていたから、こんな気安さを忘れていた。
 確かに魏のみんなにも気安さはあった……けど、対等でいられる男友達なんて居なかったんだ。

「…………」

 心の奥にあった冷たい空気が、そんな気安さを受け入れた途端に漏れていった気がした。
 この一年。
 きっと帰れる、きっと会えると信じて費やした一年は、俺にとっては有意義だったのかもしれないが、それは逆にこの世界の知り合いにしてみれば冷めたもの。
 急に付き合いが悪くなる俺を見て、及川はどう思ったのか。
 逆に自分の友達が今の俺みたいに付き合いが悪くなったら、心配するんじゃないだろうか。
 そう考えて、諦めることは出来そうにはないけど……「もう、いいよな?」と、自然と言葉が漏れた。
 がむしゃらだった日常にさよならをしよう。
 あの日々は幸せだったけど、ここでの生活だって無二なのだと今なら思える。
 ……まあもっとも、あの世界に帰った途端にこの世界が“二番目”になるのが目に見えているのは、申し訳ない気分だが。

「じゃ、着替えてくるからちょっと待っててくれ」
「おーう! あ、ちゃんと汗流しぃや〜〜」
「言われなくてもするわっ!」

 どこか晴れやかな気分だった。
 これから自分の生活は一変するのだろうか……そんなことを考えながら、新たな気持ちで更衣室の扉を開けた。
 ……新たな道が、充実感に溢れていることを願って。





02/一年越しの“願い”

 物語には終わりがない。
 “お祭りがずっと続けばいいのに”と少年少女が願うように、誰かが願えば物語は幾重にも存在出来る。
 たとえばここに、大陸の覇王になることを夢に見、願った少女が居たとして───
 その少女が願ったように彼女が覇王になることで夢が終わるというのなら、再び願えば物語は続くのだろう。
 どんな些細な願いでも、それが真に願われたことならば───



       ───じゃあね! “また会いましょう”、一刀!───



 ……願われし外史の扉は、再び開かれるのだろう───




 ……………………。

 …………ガチャッ。

「ふぅ、さっぱりした。さてと、及川もうるさいしちゃっちゃと出かける準備をし……て───」
「……ふぇ?」

 ………………思考が停止した。
 ……あれ? と首が傾ぐ。
 呆然としながら、視界の先の……服を脱ぎかけていた誰かさんを見やった。
 ああいや、正しく言えば脱がされていたというか、なんというか。
 ……その服にはシミらしきものがついていて、お茶かなんかをこぼした誰かがつけてしまったのだろう、洗うために脱いでいたらしい…………まあその、信じられないんだが……

「え……りゅ、劉備、さん? え? あれ!? え、なんで日本に───」
「……! ……!《ぱくぱく……ふるふる……!!》」

 と声をかけるも、侍女二人にお召し物の替えを用意してもらっていたらしい劉備さんは、顔を真っ赤に染めていき、口をパクパクと開けたり閉じたりして………………視線の先、なんとなく気に入ったから、シャワーを浴びたあともつけていたオーバーマンマスクな俺を見て───

「きゃーーーーーーーーっ!!!!!」

 爆発した。

「えぁあっ!? ななななんだか知らないけどごめんっ!!」

 慌てて部屋から飛び出て、後ろ手に扉を閉めて一息……つくと、更衣室だったはずのそこが、今の自分じゃ見慣れていない通路に変貌していた。
 あれ? と再び首を傾げるが、この雰囲気、この空気、この建物、この色このツヤ、そしてこのコク……! いやコクは関係ないけど。

「───……!!」

 ようやく、理解する。
 自分が今何処に立っているのかを。
 …………そう、ようやく理解した。

「桃香様!? 桃香様ぁっ!! 今の悲鳴は───なにっ!?」
「あ」

 ……自分が、蜀の王の着替えを偶然とはいえ覗いてしまったことを。
 ズザァアアアザザザアァ!!と滑りこんできた関羽を前に、外国人スマイルを(マスクの所為で強制的に)浮かべた俺は、フランチェスカの制服と剣道着が入ったスポーツバッグ(黒檀木刀も差さってる)を手に、着替えた私服の状態で慌てるほかないわけで。
 ……ええ……っと。とりあえず挨拶は必要だよね。

「Yes! We! Can!!」
「くせものぉおおおおおおおおっ!!!」
「キャーーーーーーーッ!!?」

 喋った途端にくせもの扱いだった。
 というかそもそも挨拶ではありませんでしたすいません。
 裂帛の気合を真正面からブチ当てられた俺は、思わず女の子のような悲鳴をあげて逃げ出し、戻ってこれたことへの感動もブチ壊しなままに走り続けた。



-_-/魏

 主催者が曹操なのか劉備なのか実は解らないままの立食ぱあていの最中。
 そこへの賊侵入の報せは、この数だ、あっという間に広まった。

「なにぃ!? 賊が侵入した!?」
「それは本当なのか、流琉」

 話を耳にし、大慌てで春蘭秋蘭のもとへ駆けつけた季衣と流琉は、聞いてきたこと全てをそのまま聞かせる。
 当然いい顔をする者など居るはずもなく、二人はあからさまに機嫌を悪くした。

「今は愛紗さんと思春さんが追っているそうなんですが……!」
「やれやれ、こんな日に侵入なんてついてませんねー、その賊さんも」
「風の言う通りです。三国の武将のほぼ全てが集まる今日というこの日に、よりにもよってこの城に侵入するなど」
「捕まえたら稟ちゃんの命令の下、きっととんでもない罰がくだされますよー」
「当然です」

 そしてその機嫌の悪さは、その後ろからやってきた二人も同様だった。

「それで季衣、その賊というのはどんなやつなんだ?」
「はい春蘭様。なんかずっとにこにこしてるへんなやつです」
「…………笑ってるのか?」
「はい、笑ってましたよ? ねー流琉」
「はい、笑ってました。……あ、ほら、丁度あんな感じの……」

 流琉に促されるままに春蘭と秋蘭が視線を向ければ、凪と思春と明命に追われている……変わった服装の男。
 確かに慌てているようなのだが、その顔は笑顔のままで翳ることを知らない。

「ちょ、ちょたっ……たんまっ! うわっ! ちょまっ……! 今これ外すか───うわなんだこれ! 湯気と汗でしっとりフィットして取れない! た、たすけてパーーーマーーーン!!」

 よく解らない言葉を叫んでは、しかし追って放たれる攻撃を巧みに躱し、宴の席である中庭を駆け抜けていった。

「……あれが侵入者か?」
「みたいですね……」
「うむ……しかしあの三人に追われて、それでも逃げていられるとはなかなか……」
「でもあのおっちゃんおかしな格好だったねー」

 そう、見たこともない格好だった。
 しかし最近は国も豊かになり、華琳や沙和の案もあって、服の意匠もいろいろと凝ったものが出されている。
 ならばあれは自分達の知らない新しい服なのかもしれない、と軽く流すことにした。

「姉者、行かないのか?」
「ああっ、華琳様がここに居ろと仰ったからなっ」
「……? 華琳様はどちらに?」
「はい秋蘭様、なんでもお酒を飲みたい場所があるとかで、一人森の奥へと」
「なにっ!? 聞いていないぞそんなこと!」
「姉者が訊こうともしなかったんだろう?」
「うむ! 華琳様はここに居ろとだけ仰ったからな!」
「…………」
「………」
「………」
「…………」
「な、なんだ? どうしてそんな目で見るんだ?」

 少しだけ哀れみの空気が流れた。
 そんな中、風が一歩歩を進め、とことこと歩きだす。

「風?」
「風も少し静かなところに行きたいので、外しますねー」
「ぬ? 何処に行くんだ?」
「おうおうねーちゃん、それは訊くだけ野暮ってもんだぜー」
「…………なあ秋蘭。私は野暮なのか?」
「……姉者はかわいいなぁ」

 賊の侵入があったというのに、平和なものだった。
 それは仲間たちの能力を信じてののん気だったから、誰も責めるはずもなく……宴は、変わらず続いていた。



-_-/一刀

 ガゴガンッ! ガッゴッビシィッ!!

「まっ! 待て待てっ! 待てって言ってるのにーーーっ!!」

 拳や蹴りを木刀で逸らし、散々と逃げ回る現在。
 ふと気づけば城壁を背にして、目の前には凪、といった状況が完成していた。
 オーバーマンマスクを取れば一発で止むであろう攻撃も、こうして向かい合っているからこそ気を抜けない状況にあるわけで。
 それこそオーバーマンマスクに手を伸ばそうものなら、凪の一撃であっさり昇天である。
 甘寧と周泰の姿は途中から見なくなった。
 恐らく先回りをして、別の方向を封殺しているんだろう。
 つまり、逃げるなら凪をなんとかして、来た道を戻らなければ…………あの、神様? これはなんという名前の試練でしょうか。
 過去に打ち勝てという試練と、俺は受け取らなければいけないんでしょうか。

「っ……はぁあああああああっ!!!」
「───!」

 待て凪、と言いたいところだが、オーバーマンマスクな俺が真名を呼ぼうものならそれこそ瞬殺されかねない。
 ならばまずはなんとしてもオーバーマンマスクを取らなければならないんだが、取りたくても取れない状況にあるのだから……仕方ないね。

  ガッ! ゴッ! パンパンパンパンパァンッ!!

 左右の拳の連撃からの連続回し蹴り。
 それらを黒檀木刀や身捌きでいなし、力を殺してゆく。
 こちらの無力化が狙いなのか、殺す気でこないだけ大助かりだ。

「何者だ貴様……! ただの賊ではないな……!?」

 ここで北郷一刀だ、と言ったら信じてくれるだろうか。
 ……いや、なんか信じてくれない気がする。
 それどころか“隊長を侮辱するなぁあああ!!”とか怒号を高鳴らしそうな気が……それはそれで嬉しいけど素直に喜べない。

「いや……貴様の目的がどうであれ、隊長が託してくださった警備隊の名にかけ、賊の勝手を許すわけにはいかない!」
「……!」

 不覚にもグッときてしまった。
 思わず手を伸ばし、抱き締めたくなるほどに。
 しかし……やはりこのオーバーマンマスクがそれを許してはくれなかった。

「……くそ、歯痒いなぁ……!」

 こんな嬉しいことを言ってくれた凪と戦わなければいけないアホな状況に、頭を掻き毟りたくなる。
 及川……とりあえずとても素晴らしいプレゼントをありがとう。オーバーマンには罪はないけど、あとで八つ裂きにさせてもらうよ。

「……すぅ…………ふっ!」

 息を吸い、丹田に力を込める。
 意識を集中させ、黒檀木刀を正眼に構え、いつでも動けるように相手を凝視する。
 ……これで顔がオーバーマンじゃあなければ、もっとサマになっていたんだろうけど。

「だぁあっ!!」
「───」

 凪が気合いとともに、篭手に包まれた右拳を突き出すのを半歩横に動くことで躱す。
 反撃───いや。次いで即座に振るわれた左拳を、木刀の腹で己の身を逃がすように逸らし、場を入れ替えるように足を捌き、凪の後方へ。
 結果的に背後を取ったが、反撃には───移れなかった。

「《ビッ!》うおぉっ!?」

 気迫が消えていない……そう感じた途端に振るわれた振り向きざまの上段蹴りが、まさに風を斬るように俺の鼻を掠めていったのだ。
 反撃をしようものなら、左頬が大変なことになっていただろう。
 だがここに隙は生じた。
 最高の一撃を決めるつもりだったのだろう、大振りだった蹴りを外した凪は体勢を立て直すのに多少の時間を要し、俺は今こそ───……踵を返して逃走した。

「なっ───!? ま、待て貴様!!」

 勇敢に戦わないのかって? 冗談じゃない、俺はここに戦うために戻ってきたんじゃない。
 味方と戦うためにこの一年を費やしてきたんじゃない。

(今はとにかく、このオーバーマンをなんとかしないと……!)

 フィットしすぎてて、走りながらでは取れそうもなかった。
 それにしても凪相手に、鞄を引っ掻けながらよく戦えたなぁと感心する。
 殺す気で来なかったからだといえばそこまでだろうが。


───……。


 そうして走って走って…………森を抜け、辿り着いたのは川のほとり。
 さらさらと流れる川を前に、呼吸困難になりながらもとりあえずは追手がないことを確認して、自由になった両手でオーバーマンマスクをバリベリと力任せに引き剥がす。

「ぶはっ……! は、はぁっ! はぁっ……!!」

 マスクをつけながら走るのは、ちょっとした地獄だったといえる。
 それでも逃げきれた自分に拍手。ありがとう修行。ありがとうおじいちゃん。及川、お前はいつか殴る。

「はぁ……」

 息切れによる疲労はそう長くは続かず、ふぅ、と長く息を吐いて、吸ったあとは普通に戻っていた。
 そうしてから改めて、自分の服が汗まみれだという事実に気づく。
 鍛えて代謝能力が上がったからだろうか、そう臭くはない汗をかいた俺は、目の前の川を見て思案。

「……まあ、久しぶりに会うのに汗まみれっていうのも……なぁ」

 決定だった。
 バッグを地面に置くと私服を脱ぎ捨て、どうせならここで洗ってしまおう、と剣道着と私服を手に川へ。
 ひんやりとした冷たさと、どこか懐かしい匂いが胸一杯に広がる気分だ。

「………………帰って…………これたんだよな」

 しみじみと言う。……まあその、裸で。
 一応腰に汗拭き用のタオルを巻いてはいるが、そんなもの、濡れてしまえば大して意味をなさない。
 それでも巻くのは……ほら、やっぱり隠したいじゃないか。

「……うん」

 剣道着と私服を洗い、汗も流したところで川から出て、よく絞った衣服を岩肌に貼り付けるように置いたり、木に掛けるなりして乾かす。
 俺自身は代えの下着と……フランチェスカの制服を着て、川の水面に映る自身を見て、深く頷く。
 これでこそ帰ってきた、と胸を張れる……そんな気がしたのだ。
 自然と笑みがこぼれるのも仕方ない。

「ははっ……なんて締まりのない顔してんだよ、まったく」

 ……水面に映る自分の笑顔を笑い飛ばして、草むらに身を預けた。
 服が乾くまではこうしていようか。
 早くみんなに会いたい……けど、覗きは僕でしたとか帰って早々死にかけたとか、そんな感想言いたくないし。

「…………しまった。木刀だけでバレバレだ」

 溜め息と同時に、あっちゃあ……と自分の手が視界を覆うことを止めることなど出来なかった。

「………」

 服が乾くには時間がかかる。
 ……ええい寝てしまえ、寝て起きればいいことあるさ。


───……。


 …………ぺろり。
 ……ぺたぺた。
 ………………ふにふに………… 

(…………?)

 どれくらい眠っていたのだろう。
 ふと意識が浮上すると、顔や体を触られている感触。
 目を開けるでもなく、んん……と身じろぎしてみると、触れられる感触が止まる。
 が…………少しして、またぺたぺたぺろぺろ。
 頬をくすぐられて、くすぐったくて、なんだか体が心地よい重さを感じている気がして……あれ? なんか前にもこんなことがあったような……。

(…………ああ)

 なんとなく解った。
 もしこのあとに“にゃーん”とか鳴いてくれたら、俺は迷わず抱き締めるのだろう。
 むしろそう続けてほしいと願っている自分が居た。
 ………………果たして、その願いは───

「わふっ」

 …………犬の鳴き声にて、ゴシャーアアと崩れ去った。

「っ!?」

 慌てて目を開けて自分の胸の上を見やれば、なんのことはない……赤い布を首に巻いた犬が、きょとんとした顔で俺を見つめていた。
 次いで、まだ幼い肉球で頬をペタペタ。それが終わるとペロペロと舐めてくる。

「…………えぇ…………っと…………」

 俺の期待を返してください。
 なんて願っても仕方のないこと……とはいえ、がっくり来たのは確かで。

「あぁああ……もう…………」

 よく解らないけど尻尾を振っている犬の頭から背中にかけてを撫でさすり、持ち上げていた首を再び寝かせると同時に溜め息が出た。

「日向ぼっこは好きかー……?」
「わふっ」
「そっかそっかー…………」

 ……なにも言うまい。
 一気に気が抜けた俺は、そのまま目を閉じると再び眠りについた。
 すぐにみんなに会いたい気持ちはあるが、慌しいながらもみんなを見ることは出来た。
 焦ることはないだろう……ここに居る理由がなんであれ、きっと自分は必要とされたからここに居るのだろうから。





02-5/一年越しの“願い”2

 で…………

「なんか増えてる……」

 目覚めれば、赤い髪の女の子が俺の腕を枕にして寝ておりました。
 あの……確かこの娘、呂布……だよな?

「…………」

 ずず……と腕を引こうとすると、無意識なのだろうか……制服をぎゅっと握り、逃がしてくれない。
 ええ、と。これはどうしたら……。
 そんなことを考えていると、彼女の目がぱちりと開かれる。

「………」
「…………」

 気まずい。
 なにが気まずいって、大して面識もない相手に腕枕して、目が覚めたらあなたが居ましたって状況が気まずい。
 ほら、あれだ。女性が寝てたらいつの間にか見知らぬ男が隣で寝ていましたって状況?
 いや……相手にしてみたらって意味で。
 けれど呂布は、かふ……と小さなあくびをすると、ごしごしと俺の腕に顔をこすりつけるようにして再び目を閉じる。

「いやいやいやいや……!」
「…………?」

 目を閉じる呂布を言葉で制止する。お願いだから二度寝は勘弁してくださいと。
 いや、はい、俺もしました二度寝。人のことを強くは言えません。だから優しく言います。

「あーの、りょ、呂布さんで……あらせられるよね?」
「…………《こくり》あらせられる」

 微妙に傾げ気味に頷く彼女は、またも顔をこしこしと腕にこすりつける。
 ……いい匂いでもするんだろうか、くんくんと鼻を動かしている。クリーニングには出してたけど……そんなにいい匂いするだろうか。
 って、だからそうじゃなくて。

「どうしてここで寝てるんでしょうか……」
「…………セキト」

 ……セキト? と、目の前の少女のように首を傾げるとその腕の中で“わふっ”と鳴く犬のことを思い出す。
 この犬がもしかして、だろうか。……だからといって、寝てる理由と繋がるかといったらそうでもない気がするんだが。

「えっと……この犬がここで寝てたから、キミも?」
「…………《こくり》」

 ……警戒心というものを知らないのだろうか。仮にもそう面識のない男の腕を枕に、とか……。

「…………ああ」

 なるほど、俺がなにかすれば、三国無双によって俺はミンチになるわけだ。
 そりゃあ恐れることはないよなぁ。……と、そこまで考えてみて泣きたくなった。
 一年やそこら修行したところで、この世界の女の子たちには敵わないんだよなぁ。
 うう、頑張れ、男の子……。

「でもそれとこれとは話が別で……えぇと、呂布?」
「………………恋でいい」
「え?」
「…………恋」
「……れ、ん…………って、もしかして真名のこと? い、いやでもそれは───」
「…………《じー》」
「うっ……」

 無表情だけど、どこか期待を含んだような目が俺を見つめる。
 女性が自分の腕を枕に寝て、その無垢な目が期待に揺れて……そんなものを断れる男を、少なくとも俺は知らない。
 断る男が居るのなら、それは紳士というものだ。
 もちろん時と場所を弁える意味でなら、俺だって踏みとどまれるさ。多分、きっと。
 だからこそ断ろうとした、と思いたい。

「…………れ、恋……?」
「…………《すりすり》」

 真名を呼ぶと、呂……恋はもう一度腕に顔をこすりつけた。
 まるで手に頭を押し付ける猫だ。
 い、いけませんよ北郷一刀警備隊長! 俺は! 俺は魏を! 曹魏を愛する男!
 それをこんなっ……擦り寄ってきたからといって、他国の重鎮さんを召し上がったとあっては覇王に会わせる顔が───

「…………《ぼとり》」
「ヒィッ!?」

 そんな時、なにかしらの気配とともになにかが落ちる音。
 背筋が凍ったなどというレベルじゃあなかった……喉から思わず悲鳴が出るほど……それこそ、死ぬほど驚いた。
 おそる……と音がした方向、つまりはなにかしらの気配がした方向を見ると……

「…………お兄さん?」

 ……風が居た。
 傍らにはペロペロキャンディーが落ちていて、さらには頭にあった宝ャまでもが落ちていて……さっきの音はあれかな、と思うや、信じられないものを見た、といった風情でよろよろと近づいてくる。

「お兄……さん、ですか?」

 本当に信じられなかったんだろう。
 風とは思えないほどの動揺が声に表れていて、そんな反応でどれだけ自分が周りに心配させていたのかが解って、俺はすぐにでも起き上がって風を抱き締め《グイッ》あぁらっ!?

「………」
「………………《ごしごし》」

 ダメです、起き上がれません。
 恋さんが俺の袖を掴んで離してくれません。ていうか顔こすりつけまくってます。マーキングです。
 って風! だめだ風! そのまま進んだら《バキ!ビキ!ミシッ……!》ホウケェエェーーーーーーイ!!
 宝ャが! 宝ャが踏み潰されたぁああーーーーーっ!!!

「…………!《カタカタ……!》」
「……? ……どうして震えてる……?」
「い、いや……幼少の善き日が踏み潰された気分で……」

 隣の恋が無表情で首を傾げる。
 そんな顔を見ていた俺の傍らにスッと差す影……風だ。
 太陽を遮るようにして俺の顔を覗き、足を畳むようにして草むらに座ると、壊れ物に触れるようにそっと手を伸ばし、頬に触れてきた。

「…………」
「えーと……」

 言うべきことは決まってる。けど、ちょっと恥ずかしい。
 それでも空いてる手で頬をカリ……と掻くと、段々と潤んでいっている瞳を見つめながら───

「……ただいま、風」
「…………はい。おかえりですよ、お兄さん」

 やっぱりここが自分の帰るべき世界なのだろうと実感しながら、ただいまを口にした。

「…………」
「…………」

 恥ずかしい。けど、交差する視線はやがて近づき、太陽が視界から完全に消える頃───……ちむ。

「……?」
「わふっ」

 俺と風の間に差し込まれたセキトが、風の鼻先に口付けをした。
 
「……おおっ、お兄さんいつのまにこんなに毛深く」
「違うっ! って恋、いきなりなにを───」
「………………? 抱き締める?」
「いや、そうじゃなくて、どうしてセキト……? を、突き出したりなんか」
「…………目を閉じてた。……眠るなら抱き締めると暖かい……」
「……エ?」

 ……じゃあ、なんだ。
 邪魔をしたとかじゃなく、眠ると思ったから「寝るなら湯たんぽをどうぞ♪」的なノリだったと?

「むー……お兄さん、右手をこう……こう、伸ばしてもらえますか?」
「うん? ……こう?」
「はいはい、ではではー」

 ……ことり。
 風が身を横に寝かせ、俺の右腕を枕に擦り寄ってくる。

「あ、あー、あの、風?」
「おうおうにーちゃん、そっちはよくてこっちは駄目なんて贔屓臭いこと言うんじゃねーだろうなー」
「……いや、風。宝ャもう大変なことになってるから。頭の上に居ないから」
「………………………………おおっ!?」

 きょとんとした風が視線を彷徨わせると、落ちた時のままの姿のキャンディーの隣で無残に砕けた宝ャの姿を確認。
 結構驚いたのか、パチクリして頭の上に手を当てている。
 寝転がってるんだから、そこにあるわけないのに。

「ところでお兄さん? 風たちに挨拶もなしに、なぜこんな場所で呂布さんとちちくりあってましたか」
「いや、《ぺろぺろ》実はここで服を乾かしながら《ぺろぺろ》ぶわっぷ! ね、寝てたら……ってやめろセキト! 喋ってるんだから舐めるなっ!」
「お兄さんはまさか動物もいけるくちですか」
「なに恐ろしいこと言ってるの!? いけないよ!」
「………………セキト、好き?」
「ど……動物としては、ね? 懐いてくる動物を嫌いって言える人、そう居ないよ?」
「そして好き合う一人と一匹はやがて恋に落ちるのですね」
「落ちないよ! 落ちないから! なんか恋が真に受けそうだからやめてくれって風!」
「………〜〜♪」

 困っている俺を見て、どうしてか風は微笑んで俺の胸に頬をこすりつける。
 喜ぶ要素が今の会話の何処にあったのかは謎だけど、甘えられているようで悪い気はしなかった。

「………」

 空を見上げている。
 太陽が真上あたりってことは、今は昼なんだろうか。
 太陽が同じ周期、同じ速度でここから未来までず〜っと回ってるのならそうなのかもしれない。

「……なぁ風。…………みんな、元気か?」
「そんなわけないじゃないですか」

 タイミングを見計らっていたことは確かだったが、ここまではっきり言われるとなかなかに辛い。

「お兄さんが居なくなってからの魏は、本当に抜け殻のようなものだったのですよ。天下を手にして一皮剥けて、中身だけ飛んでいって……残された抜け殻が風たちだったのです」
「いや……そうなのかもしれないけど、なんかヤなんだけど……その言い方……」
「華琳様からお兄さんが天の国に帰ったと聞かされた時のみなさんの動揺は、それはもう心臓を握り潰されたかのようなものでした」

 それはもちろん風もですよ、と続ける風の頭を撫でる。
 腕ではなく、頬擦りしたままの胸を枕にする風を撫でながら、仕方が無かったとはいえ魏のみんなにしてしまった罪の重さを噛み締めてゆく。
 ……って、あのー、恋さん? 真似して胸に頬擦りしなくていいですから。

「華琳はどうしてる?」
「普通ですよー? 普通に仕事をして、普通に女性と楽しんで、普通に日々を過ごしてます」
「……それは、すまん。異常だな……よく解る」
「異常は言いすぎな気もしますけどねー。そういうことです」

 華琳が普通に日々を送るなんて、考えられない。
 普通よりも一歩先を目指す彼女だ、風の目から見てそれが普通だというのなら、それは華琳……いや、曹孟徳としての実力の低下を意味するのでは。
 それとも……

「……羽根を休ませたかったってことはないか?」
「それはないですねー。あれはまるで、張り合いを無くしたというか……自分の善いところを見せる相手を失くした子供のような姿ですしねー」
「………」
「おやおやお兄さん? 今お前も子供だろ、とか失礼なことを考えませんでしたか? 散々人を開発───」
「考えてません! ていうか開発とか言わない! 何処で覚えたのそんな言葉! 今すぐ忘れなさい!」
「おうおうにーちゃん、それは───」
「だから! 宝ャもう大変なことになっちゃってるから! いたたまれなくなるからやめて!」
「むう、お兄さんは少し意地悪になりましたね。風は悲しいです」

 ……そりゃ、一年もあっちの世界で暮らしてたんだ。
 郷愁はあるわ口の利き方が悪いとじいちゃんに怒られるわ、変わらずに居られるほど穏やかじゃあなかった。
 勝手に決めた誓いとはいえ、強くなりたいと本気で思って立ち上がったりもしたんだ。
 意地悪っていうのは不本意だけど、変わることが出来たことを少しでも喜びたい。
 まあその、いい意味で変われているのなら、だが。

「……華琳様に会いたいですか?」
「みんなに会いたい」
「おおっ……即答ですねーお兄さん。さすがに気が多いだけはあるですよ」
「そういう意味じゃなくて。……うん。誰に会いたい、とかじゃない。みんなに……魏のみんなに会いたいよ」

 ずっと望んでたのだ。みんなに会いたい、この世界に戻りたいって。
 服なんてほうっておけばよかった。フランチェスカの制服に着替えるのももどかしく、たとえ誤解されようが怒られようが、この足で走って、みんなに会えばよかった。
 そうしなかったのは───きっと。

「俺は……見苦しいところ、見せたくなかったんだろうなぁ……」
「あら。誰にかしら?」
「天下を統一させた、我が唯一の覇王に」

 影が差す。
 いったいいつから居たのか、俺を見下ろす姿。
 太陽を微妙に隠しきらないあたり、居なくなったことへの仕返しをしているのかどうなのか。
 けど……そんな反応が懐かしい。

「戻ってこれたことに燥いで、感激して。喚きながら王に抱き付く姿を見せたくなかったんじゃないかな、って」
「そう? 私は見せてほしかったくらいだけれど」

 一年。

「……桂花が黙ってないぞ」
「黙らせるわ」

 一年間だ。

「集まってくれたみんなが引くぞ」
「引かせておけばいいわよ」

 この姿を何度思い浮かべ、何度胸を焦がしただろう。

「稟が鼻血噴くぞ」
「風に任せるわ」

 会いたくて、会えなくて。

「酒が、不味くなるぞ」
「そんなの、一年も前から不味いわよ……」

 会えないというだけのことが、あんなにも辛いことを俺は初めて知ったんだ。

「…………華琳」
「……なによ」

 この目を見ながら名を呼べる日が、また来るなんて。

「……我、天が御遣い北郷一刀。天命ではなく、貴女の願いにこそ応じ、参上した。……さあ、貴女が望むは天下泰平か? はたまた武と知を振るえる戦乱か」
「───……そんなもの、決まっているわ。貴方に願わなくても、天下の泰平など成し遂げる。戦がなくとも、武と知を振るえる場所など作ってみせる。私が貴方に望むことなんてたったひとつよ」

 伸ばした手が、彼女の頬をやさしく撫でる日が、訪れてくれるなんて。

「ほう。ではその望みを、この使者に」
「ええ。……天が御遣い、北郷一刀。貴方に命じます。……天より我がもとに降り、その一生を……魏に捧げると誓いなさい」

 こうして、再び引き寄せることが出来るなんて───

「……仰せのままに。我が王よ───」
「……ばか」

 目を静かに閉じ、唇が近づく。
 やがて太陽は遮られ、ふたつの唇が───……ちむ。

「………」
「…………風?」
「いえいえー、なんといいますかここまであからさまに二人の空間を作られては、邪魔をされた風としては立つ瀬がないといいますか」

 華琳の鼻先にセキトの鼻。
 ひんやりとした感触に華琳がババッと離れるが、すぐに平静さを見せるとこほんっと咳払い。

「風が邪魔をされた、とは……どういう意味かしら、一刀?」
「え? いや……」
「お兄さんは服が二着も汗で濡れるほどに呂布さんを愛し、それだけでは飽き足らず、飴が落ち宝ャがぐしゃぐしゃになるほど風を愛し抜いたのですよ」
「《ビキッ!》…………一刀?」
「ちっ、違う! 断じて違う! 誤解だ! 濡れ衣だ! ってどっかで聞いた言い回ししてる場合じゃなくて!」
「言ったはずよね? 私以外の女に手を出す、または出した時は、きちんと報告すること、と」
「今まで居なかったじゃないかーーーっ!! それでどうやって報告───ってだからそうじゃなくて!」

 さっきまでの甘い雰囲気が逃げてゆく! 手を伸ばしても届かない! さよなら愛情ようこそ理不尽!

「お兄さんは風の頬をそっと撫で、“ただいま、風”と囁いて、やがて唇を奪おうと───」
「っ! ……一刀。風には言って私には言わないとはどういうこと?」
「え? なにが?」
「なにっ……!? ……ふ、くくく……!! ええ、改めて確認した気分だわ……本当に一刀ね……。 妙なところで察しがいいくせに、こういう時にはまるで。“なにが?”、なにがと言ったの貴方は」
「う、うん……?」
「お兄さんは時々、英雄なみの苦渋の選択をしますねー」

 いや、なにを言われているのかよく解らないんだが……。
 ていうか風さん? あなた今この状況を滅茶苦茶引っ掻き回してません?
 ……あ、あれ? あの、恋さーーーん? 急に立ち上がってどこへ……え? 静かなのがいい? いやあのべつに好きで騒いでるわけじゃっ……ま、待ってーーーーっ!!

「お兄さん、華琳様はお兄さんにただいまを言ってほしかったのですよ」
「え? そうなのか? だってそんな、当たり前のこと言ったって」
「!」
「おやおや……風に対しては当たり前ではなかったのですかー」
「む。それはちょっと違うんだが……俺、日本……天の国に帰ってからずっと、ここに帰りたいって思ってた。また会う時に恥ずかしい自分じゃいられないって、自分を鍛えたりもした。情けないことに泣いたりもしたんだぞ? これじゃ本当にホームシックだ」
「ほむし? なんですかーそれは」
「郷愁のことだよ。……だから、つまりな風。俺は自分の……天の国なんかよりも、華琳が辿り着いた天下。魏の空の下こそを故郷だって思ってたってことなんだ。魏は華琳の旗だろ? だったら、俺が帰るべき場所は華琳のもとで《ぼかっ!》いたっ!?」

 え、いや……な、殴られた!? 今殴りましたか華琳様!

「っ……! っ……!!」
「……華琳?」

 風に向けていた視線を華琳に戻すと、華琳は涙と笑みを必死になって噛み殺しているような顔で真っ赤になりつつ、口をぱくぱくと動かしていた。

「っ……、ら……!」
「……ら?」
「だ、った、ら……ぁっ……! 勝手に居なくなるんじゃないわよっ! ばかーーーーーーっ!!」

 ……弾けるような声だった。
 結局涙も笑みも我慢しちゃった我らが孟徳様の行動は怒りで。
 華琳とは思えないくらいの、別の意味での真っ直ぐな言葉に面を食らった俺は、
 呆然としたままあることないこといろんな罵倒を浴びせられることになり───





03/背中合わせは夢想でご堪能ください

 ……その後私は担任の鬼山……ではなく、大将の華琳にボコボコにされた。

「ちくしょ〜〜〜……」

 “私”と言った意味は全然ない。なにも問題はないさ、顔が痛いこと以外。
 結局、“言いなさいよ……いいから言いなさい!”って脅されて、ただいまを言わされた俺。
 その途端にボッコボコである。意味もなく“ワーオ!モートクー!”とか言ったのがマズかったようだ。
 涙こそ流さなかったけど、俺を殴る華琳は本当に子供のようで。
 “覇王”との約束を違えたって意味なら、殴られるだけで済んだのは破格。
 それ以上に愛しい人を泣かせたとあっては斬首も当然なのだろう。……こう、春蘭的に。
 ここに春蘭と秋蘭と桂花が居なくて本当によかった。
 泣いてないとはいえ、拳を振るう華琳の心は間違いなく泣いていただろうから。

「それで? 久しぶりの天はどうだったの?」

 で、現状といえば、斜に埋まった岩に背を預け、その足の間に華琳が治まり、胸に後頭部を預けている状態。
 風は…………宝ャの残骸の傍らで手を合わせてる。

「うん。華琳の目から見れば、大げさに言うほどの実りはなかった、っていうのが実際のところ」
「なによそれ。私が私の物語を生きていた中で、貴方はそんな物語を生きていたの?」
「……仕方ないよ、そればっかりは。天での暮らしよりも、ここでの暮らしこそが俺にとっての物語だって解っちゃったんだから」
「……う…………そ、そう」
「ん、そう」

 あの世界での暮らしは無二だった。
 でも、必死になることを、生きる希望を、作り上げてゆく絆の大切さを知ったのはこの世界だった。
 世界の厳しさを、自分が知らない場所にある苦しさを、自分なんかの手で救える人が存在するほどの貧しさを、人としての俺を成長させてくれたのは間違いなくこの世界だったのだ。
 この世界は俺に勇気を、慈愛を、喜びを本当の意味で教えてくれた。
 ……俺が日本で暮らしてきた十数年などよりも、よほどに実りある僅かな時間。
 それをくれたこの世界だからこそ、華琳が治めた世界だからこそ、愛しいと思えたのだから。

「《きゅっ……》……一刀?」

 そっと抱き締めた。
 預けて貰っている体を、さらに近くに感じられるように。

「中途半端だったんだ」
「……?」
「この世界に来るまで、俺はなにもかも中途半端だった。成績は普通だし、やってた剣道も並以上になんか上がらない。じいちゃんに習っていたことも、やりながら“さっさと終わればいい、こんなのがなんの役に”なんて、学ぶことの大切さも考えないで否定ばっかりしてた」
「そう。それで?」
「ある日さ、友達……あ、及川っていうんだけどな? そいつが言ったんだ。“なんでもそこそこにやっとったら、そこそこの人生しか生きられんでー”って。それの何が悪いんだ、って俺は思った。普通のなにが悪いって」

 たとえば教室で。たとえば道場で。
 気の許せる友人に何気ないことを話して、話されて。

「でも、違った。俺の考えはその“普通”にすら届いてなかった」
「ええそうね。現状維持は悪いことではないけれど、進む気がないならそれは普通とさえ呼べないわ」
「うん。それに気づいたのは、勝ちたい人に出会ってからだった」

 目標が出来て、頑張ってみて、それでも届かなくて。

「でもさ、頑張ってみたけど届かないんだ。なにが足りないのかなって考えてみたけど解らない。どうして解らないんだろ、って頭を掻き毟ったなぁ……」
「……ふふっ……今はどう?」
「ああ。足りないのなんてたった一つだった。俺には覚悟が足りなかったんだ。勝とうとする覚悟、負けても打ち込める覚悟。いろんな覚悟だ。相手は自分よりもいっぱい練習してるんだから、俺が負けてもしょうがない、なんて逃げ道ばっかり作って。そんなんで、努力をする人を倒せるわけがなかったんだ。……たとえ、同じだけ努力しても」
「それはそうよ。気構えの時点で負けているもの」
「きっぱり言うなぁ」
「言ってやらないと解らないでしょう? 一刀は」
「……すいません」

 言いながらも、華琳は散々殴った俺の頬を見上げるようにしてやさしく撫でてくれる。
 正直触れられるだけでも痛いんだが、罰だと思ってこの痛みは受け取っておこう。

「で、な。……えっと。その覚悟を、俺はこの世界で知った。正直な話……人を殺す覚悟なんてのは持ちたくなかったっていうのが本音だけど。天の国に戻った時、友達にどのツラ下げて会えばいいのか、怖かったくらいだけど。直接ではないにせよ、俺は人を殺しましたって言えばいいのかな、って思ったりもしたけど……さ」
「……ええ」
「でも……誰かの死は、取り返しのつかないことをやり遂げる覚悟を、俺にくれた。ひどい話だけど、俺は味方や敵の死でいろいろなことを学んだよ。……戦場、なんだもんな。武器を取って向かい合えば、相手が女でも子供でも老人でも、殺さなきゃ自分が死ぬ。それと同じように、勝ちたい人にだって勝ちたいって気持ちで……本当に勝ちたいって気持ちで向かわなきゃ、勝てるはずなんてなかったんだ」

 殺したかったわけじゃない。負けたかったわけじゃない。言い訳を言いたかったわけじゃない。
 いろんな思いが交差するこの世界で、それでも前を向いていられる理由が持てた。
 目標があるのなら進まないと。理由があるなら立たないと。
 あの日、俺の頭を抱いてくれたやさしいぬくもりに報いるためにも。
 そうやって、人の死を前に吐いてばかりだった俺はようやく立ち上がって、前を向くことが出来た。
 戦場の意味も知らない子供がようやく立って、魏のみんなと一緒に駆けて、笑って、泣いて。
 手が赤く染まるって解ってても、生きたいと思うなら振り下ろさなきゃいけない時だってあることを知った。
 ───それが即ち戦場で、そうと知ってて向かっていくことこそが覚悟だった。

「……本当に、中途半端だった。今回天に戻ってみて、本気でそう思ったよ」
「あら。今は中途半端じゃないっていうの?」
「完全とはいえないけど、そうであってるつもり。足りないものが満たされてるって、そう思えるから」

 言いながら、華琳の髪に鼻をうずめる。
 途端に《べしぃっ!》と額を叩かれた。うん痛い。

「あたた……はは、うん。及ばないことなんていっぱいあるけどさ。本気で鍛えて本気で勉強して、本気で願った場所へと辿り着けることってこんなに嬉しいんだなぁって感じられた」
「へえ……ともに天下を抱いた時はそうは思わなかったということかしら?」
「確かにあれは俺の願いでもあったけど、どちらかというと魏のみんなの願いだ。俺は案を出すばっかりで、本当の意味で身を費やしてなかったと思う。自分のためっていうよりは華琳や魏のみんなのために、っていうのが大半だ」
「……そう」
「天下を目指すための努力に比べれば薄っぺらくて、お前の充実感はその程度かって怒られるかもしれないけど、うん。俺は嬉しいって思えた。少しは中途半端から抜け出せたのかなって」
「………」
「《うぃにゅっ……》……ふが? ふぁりん?」

 頬を引っ張られた。
 背を預けたままにもう一度伸ばされた手が俺の頬を撫でた……次の瞬間には、俺の頬は伸びていた。

「だったら、もっと高めていきなさい。この大陸で、あなたが望むままに。多少の馬鹿な行為くらい見逃してあげるから」
「…………」
「《うにゅっ》ふふぁ!? ひょっ……はふほ!?」

 仕返しに華琳の頬を両側から引っ張り、華琳の手から自分の頬を逃がす。

「うん。それが華琳の願いなら、俺はずっとここで高めていくよ。自分の理想を、自分の信念を」
「《ぱちんっ》はうっ! …………そう。なら早速だけど覚悟を決めてもらう必要がありそうね……!」

 ンゴゴゴゴゴゴ……! という擬音さえ聞こえてきそうな覇気とともに、修羅が振り向く。
 それに合わせて顔を突き出すと、怒気を孕んだ表情を驚きに変えてやった。
 途端に顔は真っ赤になって───でも、唇が離れることはなかった。




◆ネタ曝し  *ち、違うっ!断じて違う!誤解だっ!濡れ衣だっ!  “テイルズオブファンタジア”より、クラース=F=レスターのセリフ。  忍者の里の温泉に入った後でのフェイスチャット。ハゲ疑惑。  *その後わたしは担任の鬼山にボコボコにされた。ちくしょ〜〜……  “画太郎先生ありがとう/災いは口のもと”より。鬼山さん、やりすぎ……。  *ワーオ!モートクー!  いや……言う必要ないと思うけど、オ〜〜ゥ!モーレツ……!ですね。  小川ローザさんです。  *ビキッ!  特攻の……ゲフッゴフッ!  *オーバーマン  米大統領様より。Yes!We!Can!  *過去に打ち勝てという試練と、俺は受け取った  ジョジョの奇妙な冒険、ディアヴォロより。  *なんかヤなんだけど……その言い方  銀魂、サンタクロースの言葉より。 誤字確認中にゴロゴロ見つかるネタもの。 素で書いてしまう自分に時々頭を痛めます。 Next Top Back