183/クラゲは引力に引かれ、“位置”に到達すると加速する

-_-/甘述

 ……楽しそうにしていた父が、その表情から突然“笑顔”を消した。
 誰かの前で、自信が無さそうな、少し情けない顔をすることはあっても、こんな顔はしたことはない父が。
 声をかけてみても反応はなくて、ただただ、その瞳が不安に揺れていた。
 この目を、自分はよく知っている。
 登姉さまが、そして恐らくは自分がよくしていた目。
 姿見の前でならほぼ毎日見ていた目だ。

「父上……」

 知らなかった。
 大人がこんな目をするなんて。
 大人になる過程でこんな目とは無縁になれるのだ、なんて思っていた。
 成長がそうさせると勝手に思って、早く大人になりたいとさえ思っていたのに。

「父上」

 呼びかける。
 けれど、父はぶつぶつと小さな声で何かを呟いて、目は私に向いているのに私を見ていない。
 もう一度呼びかけようとして、その目がふと私を捉えた。
 向けられていた視線が、ようやく私を捉えた。視線を感じるって言葉があるけれど、それって多分、こんな感じ。

「……なぁ、述」
「え、あ、はい……?」

 急に声をかけられて、驚く。
 こんな顔で声をかけられたことなんて無かった。
 目を見ただけで、“助けて、助けて”って言いたいのが解るくらい、不安に溢れた顔。

「もしさ。自分なんかじゃ無理だろって難題を押し付けられたら、どうする?」
「え……」

 父の口からこぼれたのは漠然とした不安。
 求められたのはきっと、不安の解消。……ううん、違う。多分、少しでも不安を軽くしたいだけだ。解消なんて最高の結末、求めても無駄だって思っている……それが解る。私も、そうだったから。

「……助けを求めます」
「うん。でもさ、周りにはもう、自分を慕ってくれる人は居ないんだ。感謝を抱いてくれる人も居ないし、自分を支えてくれる人も居ない。そんな時、どうすればいいと思う?」

 ふと、それは娘に訊くべきことなのですかと言いそうになる。
 言いそうになったけど、それより先に掴めるものがあったから口を閉ざした。

  “じゃあ、誰になら言っていいのか”

 父は支柱だ。
 柱は立っていなければいけない。
 不安に揺れる柱を信頼し続ける人は、きっと居ない。
 でも、じゃあ、柱はずっと不安を抱かずに生きていかなきゃいけないのかな。
 抱いても、誰にも打ち明けちゃいけないのかな。
 私には登姉さまが居た。同じ悩みを打ち明けて、一緒に頑張れる姉が居た。
 じゃあ、支柱にはそんな相手が居るのか。
 “上手く出来ないから、見る目ばかりが養われた自分”が見る父は、とても小さく見える。
 不安に揺さぶられ、けど……きっと、そんな不安も飲み込んでしまうのだろう。
 覚悟完了と呟いて、胸をのっくしてしまえば。
 そうやって覚悟と一緒に溜め込んで、その先で…………

(……その先で、どうするんだろう)

 普段から何かを我慢しているとして、どうして父が私に打ち明けたのかは解らない。
 なにか私にだけ感じたものがあったのかもしれないし、ただ単に“弱いところ”に自分と似たなにかを感じたのかもしれない。
 ……それは、私にしか出来ないことなのだろうか。
 そう考えたら、受け止めなきゃいけないって思えた。
 たぶん、これが丕姉さまが言っていた“私にしか返せないなにか”。
 一方的に傷つけてきたのなら、今こそ何かを返したい。

「……父上。その難題は……具体的には、どういったものなのでしょう」

 でも、まだ訊かれたことが漠然としすぎていて、何をどう考えていいかも解らない。
 だからと訊いてみれば、たった一人で強大な相手と戦うことになるかもしれない、とのこと。相手は個人かもしれないし、もしかすれば軍隊かもしれないというのだ。
 そんなもの相手に、立ち向かわなくてはいけないのだと父は言った。
 そしてそれは、この父の表情からするに、比喩表現なのかもしれないけれどいつか本当に来るかもしれない困難なのだ。
 じゃあその“いつかは来るもの”という、軍隊かもしれなければ個人かもしれないものとはなんなのだろう。
 まず、そんなことを考えたけど───ふと思う。
 たとえ周囲にもう父を慕う人は居なくても。
 たとえその時に父が孤独なのだとしても。

「父上」
「うん?」
「その難題で立ち向かうべき相手というのは、怖い人なのですか?」
「ああ、怖い。俺じゃあ勝てないってどうしても思っちゃうくらい、怖いんだ」

 父はやっぱり覇気も無く言う。
 その姿を見て、ふと思ったことを口にしてみた。

「それは、この都に集う皆様よりもですか?」
「───《びしり》」

 たった一言。
 それだけで、不安に揺れていた父の表情はびしりと固まった。
 ……固まって、視線をあちこちに飛ばしたのち……私をじぃっと見て……弾けた。

「い、いやっ……ぶふっ! はっ……あっはははははは!! 述っ、お前っ……あはははははは!!」
「え? え?」

 こちらにしてみれば、どうして笑われたのかが解らない。
 べつに笑わせようとなんてしていないし、普通に疑問に思ったから訊いたのだ。
 なのに父は、憑き物が消し炭にでもなったかのような晴れた表情で、子供っぽささえ感じるくらいの笑い方で笑っていた。

「そうだよなぁっ! そうじゃないかあははははは! 姿が見えない相手をどれだけ怖いって思ってようが、都を敵に回すよりはてんで楽だよなぁ! あははははは! あっは! ぷははははははは!!」

 どうやらおかしくて仕方ないようで、話しかけてみてもまともに返事が出来ないくらいに笑っている。
 ……意地悪な私塾の男なら、笑うことと馬鹿にすることを優先させるのに、父は身振りで私に“まともに返事を出来ないこと”を謝罪していた。……うん、やっぱり父は他の男とは違う。私塾の男もみんな、父のようだったらいいのに。
 そうしてしばらく笑った父は、涙の跡さえ拭わなければいけないほどに笑ったのちに、私の頭を乱暴に撫でてからニカッと笑って言った。

「んっ、元気もらった! ありがとな、述っ!」

 とても無邪気な笑顔だった。
 結局、相手がどんな存在なのかも訊くことは出来なかったけど……父のあんな顔をずぅっと見るよりは全然いい。

「父上。それでも一つ質問をしたいのですが」
「へ? 質問? ……いいけど、“それでも”ってなんだ?」

 気にしないでほしい。
 考えていたことをそのまま言葉に繋いでしまっただけだ。

「いえ、お気になさらず。それでですけど、あの……まさか、別の場所で浮気相手を作った、などという話ではありませんよね? だから強大な敵と戦うかもしれない、とか……」
「しないよそんなこと! 述さんキミ父をなんだと思ってんの!?」
「いえあのそそそそうですよねっ、相手が大国の娘で、けれど欲しくて大国相手に一人でとかそんなこと!」
「当たり前じゃああっ!! つか誰!? お前にそんな知識を植え込んだの誰!?」
「私塾での勉強会の際、桂花さまが“北郷の生態”という科目で……」
「けぇええええええいふぁあぁああああああああっ!!!!」

 声が裏返るほどの絶叫でした。

「え、あの、違うんですか? もちろん私たちも否定しましたが、“あいつならやりかねないわよ”とか言ってて」
「やるかぁっ! 自ら危険に飛びこむほど阿呆じゃないよ俺!」
「……ご、ごめんなさい……。聞いた話と妙に一致する部分があったから……」
「……今度、華琳に桂花用の罰でも考えてもらおう」

 頭を抱えてそう言う父は、本当に疲れた声でそう言った。

「でも、大丈夫ですよ。この都を敵に回すより怖いことなんて、絶対にありえませんから」
「……うん、まあ、そりゃそうだ」

 しみじみ頷かれた。
 その表情は、さっきまで晴れやかだったのにひどく疲れたものに変わっている。

「まあ……だよなぁ。左慈ってやつがどれほど強かろうが、今の都の総力に比べたらどうなんだって言われると……なぁ。左慈自体も外史連鎖破壊のために、来るのは軍隊だとしても、決着は個人で決めることを提案するだろうし。……提案? 強制かもなぁ」

 言葉の途中でまた可笑しくなったのか、父はくすくすと笑う。
 そうして軽く笑い終わったら、私の頭を乱暴に撫でてから立ち上がる。
 見上げたその顔は……晴れやかだった。

「よし述っ、鍛錬するかっ!」
「え? あ」

 そうだ。そういえば私は鍛錬をしていた筈だ。
 なのにいつの間にか結構重そうな話になっていて…………

「あの。父上は、もう大丈夫なのですか?」
「ん? んー……おうっ、悩んでも無駄だっていうことがよ〜く解った! 悩んでる暇があるならとにかく鍛錬! 打倒愛紗だ!」

 言いながらも氣を充実させて、「うおおおおお!」と叫びながら妙な姿勢を取っている。
 そのあと腕を組むと、神妙な顔でこくりと頷く…………あの動作に一体なんの意味があるのか。きっと集中をするために必要な動作に違いない。
 こう、うおおと叫びながら心を熱くさせて、次に冷静に頷くことで意識は静かに。
 なるほど、そう考えると素晴らしい動作なのかも───

「父上。今の動作はいったい……?」

 でも直接やり方を訊くのは恥ずかしくて、“間接的に説明してもらえたらいいなー”なんて期待を抱きつつ訊いてみた。
 すると……腕を振り上げながら背を向けて、たった一言を言った。

「……すごい漢だ。《ムキーーーン》」

 ……なんだかいろいろなものが台無しになった気がしてならなかった。

「こらこら、ヘンな目で見ない。硬くなった頭にはさ、こういう悪ふざけが一番なんだよ」
「精神統一の動作かと思った私の真剣さを返してください」
「……お前も時々言うね」

 苦笑。
 私の頭をまた撫でて、それからは真面目な鍛錬が始まった。

「じゃあまずは身を守る術! 硬氣功を修めよう!」
「父上は出来るのですか!?」
「出来ぬ!《どーーーん!》」
「えぇええええっ!!?」

 周りから見れば、ただ中庭の一角で話をしている親子。
 そんな一角でなにを真面目に話していたのだと訊かれれば、私はきっとこう答えるのだろう。
 “ただの他愛ない親子の会話だ”と。

「俺は受け止めて散らすか装填するかくらいしか出来ん! むしろ知ってるか述。硬氣功って一瞬しか効力が無くて、身を固める拍子を間違えると逆に緩んで、痛みも増すらしいぞ……!」
「そ、そうなのですか!?」
「うんたぶん」
「たぶん!?《がーーーん!》」

 急に呆れるくらいに気安くなった気がする父を前に、私はただただ困惑した。
 けれどそれは本当に気安いもので、むしろ私は身構えることもなくそんな父を受け入れられた。ぐうたらだとか立派だとか、それ以前の父の弱さを知ることが出来たからだろうか。
 父の弱さは多少は知ってはいたけれど、なんとなく冗談の延長みたいに聞こえていて、それでも自分よりは強く賢いのだからとどこか遠目に見ていた父。
 校務仮面様であったり三国無双を吹き飛ばしてみたりといろいろすごいのに、本人は自分が弱いと信じきっていて、ふと中庭を見ればいつも鍛錬をしている気がする。
 時間があればそれに混ざるけど、私の氣は長続きはせずにすぐに枯渇する。
 追いつきたくて頑張るけれど、やっぱり届かず落ち込んで。
 ……そんな時に思うのだ。
 打倒雲長さまを願う父も、ずっとこんな気分で追っているのだと。
 そう受け取ってみればなるほど、私と父はよく似ているのかもしれない。

「あ……では父上! 軽氣功って出来ますか!? なんでも身を軽くするとか……!」
「ぬ、ぬう軽氣功……!」
「? ───? ……、! あ、えと、し、知っているのか雷電」
「……教えた俺が言うのもなんだけど、べつにそれ、言わなくていいからな?」
「そういうことは先に言ってくださいなんなんですかもう!!」

 遊戯室で遊ぶ際、いろいろと説明を訊く時に“こう訊き返すといい”と言われたからやったのに! 本当に父はひどい人だ! すごい人なのにひどい人だ! ……そんなだから、他のどんな立派な人よりも話しやすいんだろうとは思うけど。
 私は、外見こそ母に似たが、中身は父に似たのだろう。
 いろいろと足りないところも、足りないものをなんとかして補おうとするところも。
 ……落ち込むと、長いところも。
 なんてことを考えている私を余所に、父は軽氣功についてを語る。
 なんでもどこぞの“神父”とかいう職業の人が14の言葉を唱えると進化して、壊れた窓枠にしがみつくと空を飛べるとかなんとか……はい、意味が解りません。

「天にまします主よ、わたしを導いてください……!」
「何処にですか!? わ、ふわっ!? ひゃああーーーーーっ!!?」

 当然父はそんなことは無理だと断じて、代わりに空飛ぶ絡繰“摩破人星くん”で空を飛んだ。
 抱きかかえられて飛んだ景色はとても広くて、嫌なことなんて吹き飛ぶくらいに、私を好奇心の世界へと導いてくれた。
 ……そっか、導いてくださいって、こういう意味なんだ。(*違います)

「父上」
「ん? どしたー?」
「怖くなったら、こうして空に逃げてしまえばいいのではないでしょうか。相手は空を飛べるのですか?」
「逃げ…………うん、そうだなぁ。相手はとっても怖いんだけどな、残念ながら逃げていい相手じゃないんだ。きちんと立ち向かって、勝たないと……今こうして生きている意味さえ折っちゃうかもしれない」
「折る、ですか?」
「そう。天狗の鼻を折られるよりも、そっちのほうがよっぽど辛い。だからさ、どれだけ怖くても……逃げることだけはしちゃいけないんだ。……肯定者としてってだけじゃなくて、みんなと一緒に生きた世界だ。否定なんて、絶対にさせてやらない」

 本当は逃げたいけどね、と続ける父は、やっぱり弱かった。途中の言葉はよく解らなかったけれど、父が弱音は伝わった。
 ……そんな弱さにこそ、私は頷くことが出来た。
 弱くてもいいんだとは言わない。
 目指せる強さがあって、そこから逃げようとしない姿に、ただ……憧れた。

「感じたぞッ! 位置が来る……ッ!《ゴカァアアアアアアアッ!!》」
「キャーーーッ!!?」

 でも顔から光を放つ父には憧れませんでした。
 憧れないけど…………ど、どうやってやるんだろう。
 曹丕姉さまに見せたら、びっくりするかな。

「やっぱり、たまには馬鹿やって息抜きしないと駄目だなぁ。馬鹿正直に真っ直ぐに進みすぎると、絶対にどこかで逸れてる……」
「馬鹿って、今のがですか?」
「普段やらないことを全力でやってみるんだよ。結構鬱憤晴らしになるんだぞ〜?」
「普段やらないこと……父上にとっては、今のがそうなのですか? その、割とやっているような……」
「ほんと時々言うね、述さん」

 そうは言うけど、笑っている父は「確かに」とも頷いた。

「じゃあ俺が普段やらないことといえば……」
「あ……そういえば私、父上が母上に愛を囁くところは見たことがありません」
「ほんと言うなぁもう!! “時々”が今日に集中しすぎだろオイ!!」

 引き攣った笑顔で、けれど片腕で私を抱いて、片手で私の頭を撫でた父は、すぅぅ……と息を吸って、吐いて、また吸った。
 そして空からゆっくりと中庭の地面へ向けて降りてゆくと、その途中で───

「指弾!《ピシュンッ》」
「《ディシィッ!》ふきゅっ!?」

 なんと握り拳から弾いた親指から放った氣の弾で、母の額を攻撃!
 ……聞いたこともないような可愛い声が母の口から漏れ、その声を自分でも聞いたのか真っ赤になってババッと起き上がる母。
 やがて母が宙に居る私と父に気がつくと───

「思春ーーーっ! キミが好きだーーーっ!!」

 悪戯をされたと思って怒りに震えていた母へと、なんと父が大声で……!!
 あまりに突然の事態に私の心は震え、感じたことのない好奇心を抱き、母を見下ろした。

  どんな反応をするんだろう!

 頭の中はそれでいっぱいだった。
 すると、母は特に何をするでもなく私たちを見上げ……突然、爆発でもしたのかと思うほどに真っ赤になって、狼狽え始めた。
 その姿を、私はどう受け止めよう。
 ただひたすらに人として、私の感性で受け止めるのなら…………可愛い。
 でも口にしたら叱られるだけじゃ済みそうにないので絶対に言わない。
 言わないけど、あんな顔も出来るんだ……なんて、母の新しい一面を胸に、感動すら覚えた……次の瞬間。

「───……《チャリッ……》」

 母が地面に手を伸ばして、たぶん石……を、拾い上げていた。
 そしてあろうことか振り被って、空に居る私たち目掛けて、って───わぁ!?

「ちちちち父上ぇえーーーーっ!! 石! 石がぁあーーーーっ!!」
「AhHAHAHAァ! 述サァン? これは修行サ! 飛んでくる石を武器で叩き落とす、立派な修行で《ゾビィッ!》助けてぇえーーーーーっ!!」

 石が、物凄い速さで父の頬を掠めていった。
 慌てて空に逃げる父と私。そこ目掛けて石を投げる母。
 逃げながら「別にからかってるわけじゃないってぇえっ!!」と全力で叫ぶ父だけど、母はそれを聞いて余計に真っ赤に。
 下から追いすがってまで石を投げてくる始末で、何も言い返さないところが怖いというか可愛いというか。
 父も中庭の範囲から外に出ようとはせず、あくまで中庭の範囲の空から母への説得を続けている。
 けれど、母が投げた石が絡繰の一部にカンッと当たり、父の意識が地面から絡繰に移った途端。

「おわっ、当たった!? 大丈夫か!? 壊れてないよな!?」
「───! ち、父上! 下っ! 下ぁっ!!」
「へ?」

 慌てて下を見る父だけど、もう遅かった。
 私が懸命に下、と告げている内に母は素早く行動して、一気に城壁の上へと飛び移り、壁を蹴って見張り台を駆け上り、一気に“横”と喩えるに十分なこの位置へ───!

『うゎあぁアッきゃあああああーーーーーーーっ!!!?』

 一瞬見失って、気配を横に感じたからこそちらりと見た。
 そこに、朱の君。
 思わず叫んでしまった私と父は、きっと悪くないと思った。


 結局、私と父は絡繰ごと地面に叩き落されて。
 そんな母なる大地の上で、親子仲良く正座させられて、真っ赤なままの母にがみがみと説教をされた。
 こんな自分を情けないなぁとは思うけれど、楽しくもあったことは事実なわけで。
 ちらりと隣を見た時、同じ拍子にこちらを見た父と目が合って、笑った。

  ……母の説教の種が追加されたけど、私たちは笑顔だった。




ネタ曝しです。 *クラゲは引力に引かれ、位置に到達すると加速する  C-MOON。ジョジョの奇妙な冒険第六部より。  プッチ神父のスタンド、ホワイトスネイクと緑の赤子が融合進化した姿。  C=シー→海  MOON=月  海+月=海月→クラゲと読む  位置に到達すると加速する=メイドインヘヴンに進化  時は加速する。 *「……すごい漢だ。《ムキーン》」  前にも曝したと思いますが、不破刃の勝利セリフ。  」で締めるなら“。”は要らんのではと誰かが言いそうですが、仕様です。  。まで書いてこそすごい漢。  129〜131をお送りします、凍傷です。  9月中に上げたかったのに結局10月ですよ……誤字チェックにこんなに時間がかかるとは思いませんでした。  1話の筈が2話に3話にと無駄に書きたいことが増えていって、なんかもう述の話はいろいろとシリアスです。シリアスは壊すためにあるのだと信じておる凍傷ですから、あまり長続きはしませんが。  落ち込みやすいお子のお話は、“大体こうなってしまう”ってパターンがありますよね。  一刀と述っていう合わせ方なため、気づけばこんな感じに仕上がっておりました。  いつでも強く在れれば誰だって苦労はしません。  決めた覚悟だってやっぱり逸れて、その度に決め直すものだと思います。  いろいろと下地は作ったりしてはいるものの、やっぱり複線って苦手です。  特に何も考えずにズガーと書けたら、きっともっと早く書けるに違いない。中身なさそうだけど。  はい、そんなわけで3話ですが、3話目だけちょっと短いです。  他二話は1万7千字いってますが、こちらは1万1千。  いい区切りがなかったのと、おまけがあるからなのですが、まあそのー……あまり気にせず読んでくだされば。  キャラの総数の都合上、子供が少ないのは仕様なのですが、こげなお子が見たい! などという言葉を結構いただいております。  ええ、今でさえあまり目立たないキャラが居るというのに、これ以上増やしたら……! と、大変なことになるのが解っていつつも、構想だけは無駄にあるという。  そんなわけでおまけ、いきます。  あくまでIFとしてお愉しみください。のちに出るかは……まあ、出るんでしょうなぁ。  おまけIF/とある都のお話  お題:他の将にも子供が出来たら  ───それはある日から始まった違和感。 「うん? なんだ恋、また随分と食べたな」 「?」  とことこと歩く恋を見かけた愛紗が、恋にそれを言ったのが始まりだった……と、思う。  言われた恋は首をこてりと傾げて、理解に到らなかったのか、愛紗の言葉に曖昧に頷くことで返しつつも、その場からてくてくと離れていった。 ……。  数週間後。 「お腹、空いた……」  きゅるぐー、とお腹を鳴らした恋が、俺の服を引っ張った。  振り向けば、どうしてか頬がこけているように見える恋がそこに居た。  ……の、割りに、お腹は膨らんでいる。 「って言ってもな……お腹いっぱい食べたんじゃないのか?」  そんなお腹を見れば、きっと誰だってこう言う。俺だってこう言う。  けれど恋は首を横に振るった。 「……最近、みんなそう言う。食べさせてくれない……」  人差し指を口に銜えて、じぃっ……と見つめてくる恋さん。  食べさせてくれないって、じゃあ今までどうしていたんだと訊くと、 「ねねが自分の分をくれた……。それはだめって、言ったけど……、ん……、聞いてくれないから……分けて……」  いや、あの。なんか喋るのもダルそうなんですが?  え? もしかして本当に空腹状態? でもお腹膨らんでて───ハッ!? もしや病気!?  お腹がでっぱる病気ってなんだっけ!? たしか子猫は黴菌とかが入るとお腹が出っ張るとかなんとか……もしやそれ!? 「よ、よし解った! 普通の味で申し訳ないけど、今栄養が付くもの作るから!」 「……!《ぱあああ……! こくこく》」  頬を赤く染めて、こくこくと頷く。  そんな恋の頭を優しく撫でて、ふらつく彼女をお姫様抱っこして厨房へと駆けた。 ……。  さらに数ヵ月後。 「また、随分と詰め込んだな、恋。食べすぎは感心せんぞ」 「……?」  また通路で恋に話しかける愛紗を発見。  おやぁ……? と首を傾げたくなるほどにお腹が出っ張っている恋は、やはりこてりと首を傾げていた。 「えぇっと……愛紗」 「? あ───ご主人様。お出かけですか?」 「仕事がひと段落ついたから、散歩でもって。で……さ。どうしたの?」  なんとなーく思い当たることがあるけど、まあ恋だから……って理由でみんなも納得していたんだろう。  けれど、いい加減に誰かがツッコむべきだと思うのだ。  ……最近は、ただでさえ周囲の変化に思い悩む日々が続くわけだし。 「いえ、最近の恋は見かけるたびに大量に食べているようで、こんなにも腹部が……。恋、お前も女ならば、少しは人の目を気にしてだな……」 「……まだ、なにも食べてない」 「───え?」 「恋、まだなにも食べてない」 「…………」 「………」  ……。 「あのー……さ。ずっと言いたかったことがあったんだけどさ」 「……いえ、私も気になることはあったのですが、恋ですし、まさかと……」 「?」  首を傾げる恋。その腹部を見て、俺と愛紗は軽く空を仰いだ。  ……通路の天井があるだけでした。 「恋。お腹、おかしな感じがしないか?」 「ん……なにか、動いてる……」 「ど、どんな感じに?」 「……? ん、……小さいなにかが……蹴る、感じ……?」 『やっぱりぃいいーーーーーーっ!!!』  ……恋が、妊娠しました。 ───……。  蒼い空の下、その事実は一気に広がり 「ちんきゅぅきぃっく!!」 「《ドボォ!!》ゲベェエウェッ!?」  医療室として宛がわれているの天井の下、俺の腹に蹴りが埋まる。  助走をつけないショートレンジキックだった。 「お、おおおお、おぉおおおまえぇ!! いつの間に、いつの間に恋殿と、ととととぉおお!!」 「仕合で、十回勝った時……っ……やたら、と……抱きついて……きて……!」  水月です。当たり所が悪すぎて、説明どころじゃございません。 「だだだ抱きついてきたのをいいことに、そのまま押し倒したですかこのえろえろだいまじんーーーっ!!」 「そんなことするかぁ! きち───げっほごほっ! き……きちんと、何度も説明したりっ……! 〜〜〜っ……遠回しにやめといた方がって感じに話したりもしたわぁっ!」 「ななななんですとぉおーーーーっ!!? で、では恋殿っ!? まさか恋殿が望んでこのようなことに……!?」 「……《こくこく》……美以が言ってた。強い女は、強い男の子供、産む……って」 「れ、恋殿ぉ……! その条件ならばなにもこの男でなくともぉお……!」 「《ふるふる》……ご主人様じゃないと、嫌……。弱いやつは、いらない……」  うわ……きっぱりだ……。  まさか恋が、いらないとまで言うとは……。 「ねね、ご主人様のこと、きらい……?」 「うぅ……それは、この男は友達なのです……他の男と比べれば、嫌うどころか信頼できる存在ではありますがー……」 「ねねも、やってもらうといい……。とても、しあわせ……《ぽぽぽ……》」 「あ、あぅう……! 恋殿が可愛いのです───はっ!? そうじゃないのです恋殿! ま、まさか産むのですか!? どのような子供が産まれるか解らんのですぞ!?」 「産む。きっと強い子。強く育って、とてもとても強くなって、それで……」 「そ、それで……?」 「恋が倒す《バァアーーーン!!》」 『倒すの!?(ですか!?)《がーーーん!!》』  言い切った恋の目は、楽しみにしている日を待つ子供のようだった。  そんなわけで……ねねの必死の説得(?)も右から左へ。  むしろどんどん言い負かされるねねがついには折れ、曲がりようもなかったけれど産む方向へ。  もちろん俺も喜んで、子供の誕生を待った。  妊婦の世話という意味で恋の世話を続ける日々が流れ……むしろ恋の調子がてんで変わらず、つわりのひどい女性は怖いとか聞いていたけど、あれぇ……? と首を傾げる毎日。  この時代の女性、逞しすぎます。  ……ちなみに言うと、妊娠したの、恋だけじゃないです。  それが最近になって思い悩むことの大体の原因であり……一気に増える子供の数に、果たしてたった一人の父親である俺は、対応していけるのだろうかと─── ……。  しばらくして、子供は無事に誕生した。赤毛の可愛い娘。  娘…………うん、娘なんだ。  息子、産まれないのでしょうか。息子とキャッチボールしたい。  とは思ったものの、これまた可愛いのでデレデレの俺、再誕。 「わ、わ、か、可愛い……! 父さま父さまっ、どうすればいいんでしたっけ! た、たかいたかいとかするんでしたっけ! 黄蓋母さまを持ち上げたみたいに!」 「まず落ち着こうな、丕。あと脇腹抓らないで、痛い」 「父さま……そういうことは、そのだらしがない顔をなんとかしてから言ってください」 「登さん。言いながらなんで俺の脇腹を抓るのかな」 「あらあらぁ、可愛いですね〜♪ ほらほら〜、お姉さんですよ〜♪ ……お顔がとろけきっただらしのないお父さん〜? この子、名前はなんと言いましたっけぇ」 「延〜……? べつにだらしがないは言わなくてもよかったよな〜……? あとさりげなく足踏まないで。名前はほら、あれだよ」  赤子を見る娘達は、その小さな命に興味津々だ。  でも何故か俺への攻撃がやまない。何故?  ともあれ、娘だ。 「姓は呂、名は姫。字は玲綺だ」 「りょ・き・れいき、ですかぁ」  名を唱えられた姫は、返事をしたわけではないだろうけど「あぅー」と声を上げた。  その反応に娘達の反応は盛り上がりの一途しか辿らず、性格的に大人しい方である述が、「つ、次は私に抱かせてください!」と声を荒くして頼むほどで……うん、賑やかだぁ……。 「おぉお……小さいなっ! 小さいぞ父よっ!」 「こーら、柄、あまり大声は出さない。びっくりして泣き出すぞ」 「うっ……こ、興奮しすぎてしまった……」 「あ、あの、父上。こんなに可愛らしいこの子に、桂花さまからいただいた“ねこみみふーど”を着させてあげたいのですが……!」 「邵、それが原因で性格が桂花になったら、俺絶対に泣きそうなんだけど……」 「……そういえば桂花さまもお腹が大きくなっていると聞いた気が」 「へぁあっ!? ……やっ……! そ、j……!? さすがにそれは───」 「あ、いえ。私、見ましたよ父さま。大きくなったお腹を抱きながら、ぶつぶつと言っているのを───」 「禅───今、なんと?」 「見ました。この目で」 「───」  時間が停止しました。 ───……。  度重なる───罠ッッ!  度重なる───罰ッッ!!  普通の罰では喜ぶ軍師に、覇王が与えるべき罰とは何かッッ……! 「華琳、擽っていいかい。キミが泣いて許しを乞うまで」 「やめなさいよ!!」  罠が重ねられて、罰が重なって、コトが重なった結果、子供が産まれました。  姓を筍、名を(うん)
、字を長倩(ちょうせん)と名づけられた赤子は、呂姫には遅れたものの順調に育ち、娘達のいつかを思う8歳までに成長し─── 「なぁああ〜〜〜にが父さま父さまよこの馬ぁああ鹿っ! あんな見境無しを慕う前にやるべきことがあるでしょう!?」 「いい加減になさいツ! 事ある毎に人に突っかかって!」 「貴女が馬鹿だから馬鹿と言っているんじゃない! 何かといえばあの男と比べて、父を思うあまりに落とし穴に落ちるなんて滑稽だわ!」 「───……《ミキリ》」  ───何故か、丕ととんでもなく仲が悪い。  伝え聞く荀ツは曹操の三男である曹植と仲が良く、次男の曹丕が即位したあとも親交が絶えなかったとか、曹丕と親しかった夏侯尚と仲が悪かったとか、そういった理由から曹丕とも仲が悪かったと聞くが……まさか双方自分の娘という立場で、こうも仲が悪くなるとは……!  華琳大好き人間である桂花の娘だ、絶対に丕とは仲良くなると思ったのに。 (原因俺? ……俺だよなぁどう聞いたって)  通路の一角で黄昏る。  こうして言い争いが耐えないものの、周囲の視線を気にしてか、丕は強く叱れないでいた。  結局は毎度丕が退くわけだが、それがツの天狗の鼻を増長させるわけで。 「あらどうしたの? 続く言葉がないわよ? また負けを認めるのかしら、情けないわねお姉さま。うふふははははは、おほほほほほほげーーーっほげっほごほっ!」  でもやっぱりまだ子供で、高らかに笑おうとしたら失敗。  その姿をブフゥと丕に笑われて、カァッと真っ赤になると、負け犬の遠吠えみたいな捨てゼリフを吐いて走り去ってしまった。 「………」 「……《ちょいちょい》」 「……!」  で、ぽつんと残された丕に手招きをしてやると、ぱあっと明るくなって抱きついてくる。  もはや16歳。  良い歳なのだが、いつになったらこの娘の父さま大好きオーラは消えるのだろう。  や、とてもとても嬉しいんだけどさ。こうまでファザコンだと、いくらこの北郷とて相手の存在が気になるといいますか。 「連れて来たら来たで、鬼になるのでしょう?」 「修羅と化しましょう」  人の毎度の表情から心情を察したらしい華琳に、キリっと言って返す。  そう……丕が我慢をして俺が慰めるのは毎度のことなのだ。  我慢をした分、抱きついてきた娘の頭をよく出来ましたとばかりに撫でまくり…………マテ。もしかしてこれが原因なのか? いつまで経っても甘え癖が抜けないのは。 「俺もそろそろ本気で、親ばかをやめたほうがいいのかもなぁ。丕が俺にばかりかまけてなければ、ツだってあんなに丕を嫌うことなんてなかったろうに」 「それとこれとは話が別です。ツは父さまの凄さをまるで解っていないからあんなことが言えるんです。……いつかの自分を見ているみたいで、歯痒くて仕方がないわ……」 「ええそうね。事ある毎に私に、一刀のあれが駄目だこれが駄目だと叫んできたわね」 「うぅぅううっ……《かぁああ……!》か、母さま、それは言わないと約束を……!」 「あら。私がいつそんなことをしたかしら。あなたが一方的に捲くし立てて、恥ずかしさのあまり逃げ出しただけじゃない。了承など一切していないのなら、それは約束とは言わないわよ」 「あ……あぅううう〜〜〜……っ!!」  はい、また些細なポカをやらかしたらしいです、宅の娘は。  そんな娘の頭をもう一度ぐりぐり撫でて、手に自ら頭を押し付けるようにする丕に笑みをこぼしつつ、解放。  途端に残念そうな顔で見上げられるが、気にしてはいけません。 「ん……丕といえば、姫は? 今日はまだ見てないけど」 「姫? 姫なら中庭で関平に氣の使い方を教えていたわよ」 「え? 姫が氣って。あいつ華雄と同じで常時消費型なのに……教えられるの?」 「難しいことは考えないで、全てを渾身でいけばそれが氣だ、と……まあ、そんな感じで教えていたわね」 「………」  姫……呂姫玲綺は脳筋でした。  在り方こそ恋と似ているのだが、小細工無しの全力粉砕型。  無口だし気まぐれだし、猫のような態度だけど犬のような忠誠心、そして白虎のような速さと熊猫のような破壊力。頭は悪いわけではないんだけどなぁ……考える力さえも破壊力に変えてってタイプで、とても元気だ。  ……武器さえ手にしなければ甘えている時の猫、尻尾を振る犬が如く人懐こいんだが。  そんなだから、少しずれて産まれたツとどうしても比較してしまう丕にとって、甘えてくれる姫は可愛くて仕方ないらしい。だから丕といえば姫を連想してしまって、先ほどの質問なわけで。 「それで、一刀? これからの予定は?」 「袁尚の買い物に付き合ってから袁燿に馬の世話の仕方を教えて……終わったら禅と一緒に張紹に勉強を教えて、張虎と楽綝を戦道場に迎えに行って、その帰りに桂花の私塾に周循と孫紹を迎えに行って、その後は中庭で……あ、そっか。だから姫も平も中庭に居たのか。っとと、中庭で姫に常時解放型の氣についてを教えて、平には槍の扱い方を教える約束をしてる。あとは───」 「……はぁ。もういいわ、あなたね、娘が可愛いのは解るけれど、いい加減誰かに手伝ってもらわないと本当に倒れるわよ。というか倒れたじゃない。確かにいつか、この地との絆を深めるためにも次代の子をとあなたに言ったわよ。けれど、だからといって全ての子の面倒をあなたに見ろとは言っていないでしょう」 「だって平等に接しないとみんな拗ねるんだもん!!」 「どれだけ人に好かれているのよあなたは!!」  困ったことに……とは言い難いものの、困ったことに娘らには好かれている。  何がそうさせているのか……とも考えるのもアレなんだろうけどさ。  いつか決めたように、母親に鞭を頼み、俺はただひたすらに飴となった。  その結果が……ファザコン集団といいますか、なんといいますか。  筍ツは本当に、ほんっっっ〜〜〜とぉーーーに桂花に似たため、俺のことを嫌っております。  桂花にしてみれば産まれた子に罪は無いとかで、というか……むしろ男ではないのならとばかりに娘を自分側へと引き込み、幼い頃からの悪口刷り込み効果で父親嫌いに育てなすった。父親嫌いというか……男嫌いだね。別に俺だけが嫌われているわけじゃないし。  とまあ、現状はそんな感じで……なんだかんだで次代を担う子供はしっかりと産まれました。  皆様、まだまだ成長段階の子供だけど、各方面に才能が飛びぬけていて怖いです。  それこそ一人ではなにも出来ないものの、本当に一人一人が一つのことに偏る形で飛びぬけた能力を持っているのだ。  そんなお子めらが手に手を取り合ったらもう…………ねぇ? 「まあ、とりあえず……仕事するかぁ」 「一刀? 子供にかまけて自分の仕事をおそろかにするようなら───」 「“自分の仕事”はもう終わってるんだ。前倒しで出来ることは出来るだけやってあるから、あとで確認よろしくな」 「なっ……!? あなた一体いつ眠っているのよ!」 「ふははははは既に三日貫徹済みよ! もはやこの北郷の未来へかける情熱は誰にも止めることは出来ぬゥウウウウ!!」 「……一刀?《にこり》」 「ゴメンナサイヤメマス」 「ふえっ!? は、速っ!?」  極上の黒い笑みを浮かべた華琳の一言に、下腹部がひゅって音を鳴らした気がした。  途端に心の勢いなぞ死んでしまい、しょんぼりとした俺を見た丕が大層驚いた。 「とにかく。手が空いている者は居るのだから、それらに給金を払う形で面倒を見てもらうわよ。一刀、あなたはまずしっかりと休むこと」 「ア、アノ、氣のことを教えてやると言ったら、姫、とっても喜んでイタノデスガ……」 「そう、残念ね。断りなさい」 「容赦ないですね!」 「いえ、当然のことです。大体父さま、なによりもまずご自愛くださいと言われていたではありませんか」 「無茶はしないことと言われただけであって、べつに無茶じゃ───」 「そう? 私から見ても無茶だと思えて、真似たところで倒れる自信があるのだけれど。そうまで言うなら私が試してみましょうか? そうね、もしそうして私が倒れたら、あなたへの対応は春蘭と秋蘭と桂花に───」 「イェッサァ無茶でしたもうゴネません!!」  華琳が倒れることで悪鬼羅刹と化した三人に吊るされる未来が頭に浮かんだ。  そうなってしまっては、もう折れる以外に道はございませんでした。 「じゃ、じゃあ僕、部屋に戻って───」 「ええ、そうなさい。そっちに部屋は無いけれどね」 「……父さま《めらり》」 「戻る戻ります! だから笑顔で黒い氣とかやめて!?」 「知りません。だから私が一緒に行きます。どうせ父さまのことだから途中で道を逸れるに決まっています。それか、部屋には戻るけれど戻って“少し”休んだらすぐに出るに決まっています」 「なんで解ったの!?《がーーーん!!》…………ア」  静かに、華琳さんが絶を、丕さんが鍛錬用の鉄棒入り木刀をズチャリと……どっから出したァアアーーーーッ!!!  またか! またこのパターンなのか!  俺はただ娘達に親からの愛情を与えたいだけなのに……! ……愛? ハッ! 「やあ華琳さん。今日もお美しい《きゅむビシャアン!!》痛い!!」  愛という言葉で、そういえば娘を構ってばかりで、華琳とは……と思い、抱きしめたら額を叩かれた。程よく脱力された身体で繰り出されるそれはまるで水銀の鞭ッ……!!  ええはい、普通に大激痛でした。  そして何故わくわく顔で俺を見ますか丕さん。  いや、また叩かれるのも嫌だし、あなたにはやりませ───なんで睨むの!? 「本当に、周囲がどれだけ成長しても一刀は一刀ね。外見もまるで変わらないし」 「…………《ガドォッ!》弁慶ェエーーーッ!!?」 「成長、という言葉に反応して、あなたはいったい人の何処を見ているのかしら……!?」  胸です、とは言えない。  背です、とも言えない。  なのに彼女は答えを求め、笑顔のままに見つめてきます。  あなたならどうしますか、神よ。  どうせ怒られるのなら茨の道を歩みますか?  それとも己の信念を曲げず、誇りの道を往き、太陽の導きを受けますか?  はたまた野望の果てを目指し、生贄を受け取りますか? 「丕は大きく育ったのになぁ《ゾブシャア!》モギャアーーーーッ!!!!」  容赦の無い指二本での目潰しが、僕の瞳を襲いました。  そう、選択は1。どうせ怒られるのなら茨の道を。 「まっ……ちょ、待っ……! それでも愛してるって言うつもりでっ……」 「ひぅっ……!?《かぁああっ……!》」  痛くて目が開けられないものの、華琳が息を飲んだのは感じました。きっと赤い。  そしてそんなことを感じている間でも、何故かくいくいと引かれる感触のする僕の服。  ……きっと丕が“私は? 私は?”とばかりに引っ張っているのでしょう。  口で確認しようとしないあたり、なんと言えばいいのか、察しなさいと言うのが好きな人の娘というかなんというか。 「えーと……なんかもう何かを口にすればするほどひどい目に遭いそうだから、素直に部屋に戻って休むな……。あ、あー……あと。娘達にはちゃんと説明してくれると嬉しいかな」 「ん、こほんっ! ……ええ、それはきちんと言うわよ。休むように言ったのは私なのだから、当然じゃない」 「丕。華琳が咳払いから始める言葉って大体小さなポカに繋がるから、丕もよろしくな」 「なっ……!? 一刀っ、何を根拠にそんな───」 「はい、任せてくださいっ《どーーーん!》」 「丕!?《がーーーん!》」  長く一緒に居れば、見えてくる覇王像というものがあります。  それを踏まえて丕に頼むと、もはや目を瞑ってても気配で歩ける都の通路を一人で歩いた。 ……。  で、部屋で休んで、目に氣を集中させて、ようやく開けるくらいに回復した───途端。 「父上様! 約束を違えるとは何事ですか!」  どばーんとノックも無しに扉を開け、関平さんが登場。  感覚的に、まだ約束の時間ではない筈なんだが……華琳か丕から聞いたのだろうか。 「ああ、ごめんなぁ平。ちょっと最近無茶しすぎてな、体調がよろしくないって断言されたから休まないといけないんだ」 「そのことはこの際構いません! 私が言いたいのは約束を違えた上、父上様がそれを言いに来なかったことが───」 「ん、少し黙る」 「《ゴキャア!》ぴゃふぃぃっ!?」  うがー、とばかりに怒りを露にしていた平さんが、その後ろに居た姫に首を捻られて崩れ落ちた。  しかしすぐに平を抱きとめるとソッと寝かせて、扉を閉めて……他に誰も居ないことを確認すると、誰にともなくこくりと頷いて…… 「…………父……!」  ぱあっ、と眩しいほどの笑顔になって、たった一歩で入り口から寝台までの距離を素っ飛んで来た。  ホワア!? と驚くのも束の間、慌てて抱きとめると、そのままの勢いで寝台に倒れてしまう。  当然というべきか、反射的に目を閉じてしまった俺の顔へ、姫は犬のように舌を這わす。 「うわーーーやややややっ!? ちょ、姫、やめなさっ……姫っ!」  自分のやりたいことに猪突猛進。  呂玲綺というお子は、恋の容姿に美以の性格をインストールしたような子供だった。  が、やめなさいと言えば、 「ん……やめる」  ビタァとやめて、代わりにコシコシと俺の胸に頬擦りをしてきた。  うん、素直で聞き分けのいい子なんだ。それは確かなんだよ。  でもなぁ、一度視界から外れると言いつけられたことがリセットされるみたいで、たとえば俺が厠に行って戻ってこようものなら、もう姿が見えなくなったその時点でリセット。  再び飛びついてきて、思考を素直に行動に移して、再び舐めてくるわけで。  ……こうして素直な割りに、別の誰かが居る前ではこういうこと、しないんだよなぁ。 「父……姫、今日は平に氣を教えた。……偉い?」 「あ、ああ……うん、偉いぞ。偉いけど、首は捻っちゃだめだからな?」 「……? しゅんらんが、人を黙らせるにはあれがいいって」 「覚えちゃいけませんそんなこと! もっと別にやり方ってもんがあるでしょうが!」 「ん……解った。姫、父の期待に……全力で応える」 「姫……」  恋のように、どこか眠たそうな半眼めいた目で俺を見上げる姫は、そう言ってこくこくと頷いた。  ……頷いて、 「……かゆーが言ってたように、お腹に拳をめり込ませて黙らせて───」 「却下ッ!!」  ちょっとぉおお!! 人の娘になに教えてんのあの二人ィイイイッ!!  しかもそれやられたら、俺の期待が全力ボディブローってことになりますよ!?  やめて!? 俺そんなこと望んでないから!  ……なんて言ったところで、あの二人が聞いてくれるかどうか。  などと何処ともとれぬ虚空の先にあるであろう遠い空を思い、視線を泳がせた。  途端、姫が弾かれたように顔を近づけてきて俺の顔をペロペロとって、だぁーーーっ!! 「視線が外れたくらいでリセットしないの! 父さんこれから寝るんだから! ね!?」 「……でも父、話をする時、人の目……見て話せって」 「そういうところだけはきっちり覚えてらっしゃるんですねドチクショウ……」  でも怒ったりはしません。  頭を撫でて、とりあえずはもう眠る姿勢を─── 「父さま!《ドヴァーーーン!!》」 「ウワーーーイ!?」  ───取ろうとした途端、姫によって閉ざされていた扉が、何者かによって開かれた。  その先に居らっしゃるのは楽綝さんと張虎さんでして…… 「おとん! 病気って聞いたけど平気なん!?」 「す、すぐに氣による治療を! たとえ私の氣が滅びようと、必ず父さまを救ってみせます!」 「なんか状況悪化してるーーーっ!!」  誰!? 説明して回ってる人誰!?  べつに病気じゃないし、そんなことを楽綝に言えばこうなることくらい解ってるだろうに! 「綝、虎、静かにする。父、これから休む」 「姫姉さん……姫姉さんも話を聞いて……?」 「ん《こくり》」 「姫姉ぇ、おとん平気なん……? 聞いた話じゃ、血を吐いて地面をのた打ち回って、そこいらのゴミ虫同然に死ぬ寸前て……」  桂花さん。  いつか覚えておいてくださいねコンチクショウ。 「平気。看病は姫だけでやる。心配ない」 「いえ、それは逆に心配です。私も───」 「平気」 「や、せやかて姫姉ぇ、家事とかでけへんやん。ウチはおかんがアレやから綝と一緒んなって勉強したけど」 「平気」 「……根拠は?」 「努力、と……根性と…………ん、腹筋」 『腹筋!?』  見事に俺と綝と虎の声が重なった。  え……いやちょ、えぇ!? 腹筋成分で看病されるって、どんな感じなの!?  ていうかそんなことゆっくり指折りしながら言われても、逆に不気味なんですが!? 「とにかく、平気」 「い、いえ。今の言葉を聞いては、余計に任せることなど───」 「……平気《めらり》」 「ふぐっ……!? あ、相変わらずえらい威圧感やな……! けど、威圧感だけでウチらが退く思たら───」 「なら、実力行使」 『へ? あ、いや───ひきゃああああああああーーーーーーーっ!!?』  ───その時のことを、その場に居合わせた北郷一刀氏(永遠の18歳)はこう語る。 「ええ、私も武を齧っている者ですから、その動きを見れば、その者の実力がどれほどのものかくらいおぼろげながらも理解(ワカ)ります」 「あれは武じゃない」 「どう喩えれば通じると言いましょうか」 「例えばその───」 「純粋な?」 「そう、アレです」 「力? とか? ハハ……」  押し出しちゃったんですよ。  たった一人で。  二人がかりをですよ? そんな、それほど歳が離れているわけでもないのに。  いやァ……あんなの見せられちゃね、凄いんだなァ…………って。  え? なにが…………って。  純粋な力? って…………憧れちゃいますよ。男ならね…………。  ええ、片手一本でした。  こう、トンって…………登校してる時にさ、ホラ……級友の肩を叩くくらい気安く。  綝が押されて、ええ、顔が赤くなるくらいリキんでました。精一杯の抵抗ってヤツです。  それを押すんです。誰が、って……後ろに回った虎がですよ。  ハイ、確かに二人がかりでした。  なのに、平気な顔で……ア、チョット……違いました。  笑ってるんですよ、にこーって。二人は必死になってるのに。  傍から見たら……アレ、妹と遊ぶ仲の良い姉にしか見えないんじゃないですかね…………。  え……? 話が進んでない?  口を慎みたまえ。ウソは言ってません。数瞬を詳しく語っているだけです。  決着は直後でした。 「せっかく来てくれたのに追い出さない。姫、来なさい」 「! やめる!《ビッタァ!!》」  で………………やめちゃったんですねぇ……。  ええ、一瞬でした。  なんの躊躇もありません。  言われたから言うとおりにした……本当にそれだけだったんです。  え……? 決着じゃない……?  ……。…………。ハハ……。  決着です。  なにせ─── 「……いや、べつにな、姫。寝転がってお腹を見せなくていいから」 「? 服従の格好、こうじゃない……?」 「………」  どこの獣ですかって話です。  でも、そんなことを笑顔でやるんですよねェ……。  やめなさいって何度言っても聞いてくれないんですよ……お願い助けて。  娘にこんな格好させてるって知られたら、なんかもういろいろなものが崩れ去ります。  無駄にバキっぽい解説しといてなんだけど、こんな冗談めいた話し方でも混ぜないと、いろいろと保っていられないのです。いえ、欲情的な意味じゃなくて。 「ほら、綝も虎もこっち来て。急に予定を変えてごめんな」 「いえ、父さまがご無事でしたら。日々を私たちのために駆け回る父を、何故責められましょう」 「ところでなんで平、こないなとこに転がっとるん? おとんの趣味?」 「違います」  首を捻られたなんて言えない。  言ったら言ったで悶着があって、次は二人が犠牲者になるかもだからだ。 「あ〜……平はかわえぇな〜……。お、おとん、ちぃっとだけここ、めくってもええかな」 「やめなさい」  で、母に似たのかどうなのか、張虎は霞が愛紗のことを好きなように、関平に目を移しやすい。気絶している母違いの妹のスカートを今にもめくりそうです。大丈夫かこの娘。 「あ、なぁ。ここに来たのはこの四人だけか? 尚や燿に会わなかったか?」 「あー、尚なー。相変わらず地味さ目指していろいろやっとるし、また裏通りの店、行っとるんちゃう?」 「またか……尚はどうも、麗羽のあのキラッキラが嫌いだからなぁ。俺に似て黒髪に産まれたことを喜ぶくらいだし」  麗羽の娘、袁尚は母親の高飛車っぷりが苦手である。  常日頃から美しくありなさいと言われ続けた所為か、それに思いっきり反発するように。  現在の彼女は三つ編みに伊達眼鏡、化粧的なものを嫌うという、沙和が毎日“せっかく綺麗なのにもったいないのー!”と言うような格好をしている。  いや、いいんじゃないかな、委員長スタイル。と、俺は思っているんだが……麗羽はそれが嫌らしい。“今すぐに縦ロールにするべきですわっ!”とでも言いそうな状態だ。ロールなんて言葉、使わないけど。 「じゃあ、燿は?」 「セキトの子供の世話をしています。馬の世話の仕方を教わる予定だったそうですね。落ち込んでいました」 「うぐっ……ちゃんと謝らないとな……」  美羽の娘、袁燿は素直な良い子だ。言ってみればそれだけで、特徴的なことは特に。  美羽に似て可愛く、けれど目立つのを嫌う。ちなみに馬鹿ではない。  姫と何かが切っ掛けで仲良くなったらしく、セキトの子の世話をよくしている。  ……そういえば“袁術の子”って、三国志演義では呂布の娘と婚約者的な位置にあったって……。これもなにかの繋がりなのかな。  外史だもんな、曖昧なところからの関係性が混ざっても、なんかもうあまり不思議に思わなくなってきた。 「張紹は? 禅と一緒に勉強を見る約束が……」 「普通に禅姉ぇと一緒に歩いとったのを見たで。ちょっと落ち込んどった。禅姉ぇも一緒んなって」 「うわぁ………………周循と孫紹は?」 「あ、はい。ついでにと迎えに行ったのですが、父さまが来ないと知るや、孫紹が周循を引っ張って走っていってしまって……その後は、解りません」 「アー……」  雪蓮の娘だけはあるなぁとしみじみ。  そして周循、強く生きなさい。キミの母も散々と通った道だ。 「………」  なぁ華琳さんや……。  こんな子供たちが、将の数だけいらっしゃるのですが……本当にお手伝いさんに頼んだとして、その人は無事でいられますか……?  散々と振り回された挙句、泣きながら“限界です……辞めさせてください……!”って言われる未来が普通に思い浮かぶんだが……? 「うん、まあ……解った。一方的にいろいろと訊いておいてなんだけど、少し疲れたから……眠るな」 「あ、はい、是非。父さまは仕事のしすぎです。母さまも常に言っていますが、父さまはいっそ少しくらいサボるほうが丁度いいかと思います」 「んで、サボった分ウチらと遊んでくれたらなー、って。なー? 綝ー?」 「ふ、不謹慎だぞ虎。私はそんなつもりで言ったわけじゃ……」 「えー? ほんならどないつもりなんー?」 「……綝、虎。少し黙る」 『黙りますっ!《びっしぃ!》』  今まで黙って俺の傍で服従のポーズを取っていた姫が、眠たげだけど少し眉間に皺を寄せるようにして二人を睨んだ。  ……途端に姿勢を正して返事をする二人の姿に、俺も様々な将相手にあんなふうな反応で返してたんだなぁ……としみじみ。 「あ、そだ。張紹が勉強を頑張ろうとしてるのは解ったけど、鈴々は? 娘に頭で負けるのは嫌なのだとか言ってたけど」 「……璃々姉さんと一緒に、ラーメンを食べに」 『………』  なんとも言えない沈黙が部屋を支配した。  ……うん、いいや、寝てしまおう。  寝てしまえばこの、今さら襲い掛かってくる疲れとか頭重とかからも解放されるだろう。  あとのことは目覚めた俺に任せるとして、今の俺はゆっくりと…………。 「………」  ゆっくりと…………。 「あの。四人ともなんで布団に上がってくるのかな? ていうか平、いつ起きたの」 「え? はい、たった今ですが。状況がよく飲み込めなかったので、とりあえず三人に習おうかと……」 「………」  ……四人とも寝る気満々でございますか。  いいや、寝てしまおう。  本当に疲れがどっと来た。  寝てしまえば、もういろいろと考える必要も─── 「んぅ〜〜〜……」 「《すりすり》うわっひゃあっ!? ちょ、姫! 肋骨に顔を擦り付けるのはやめなさいっ!」 「で、ででででは父さま、私は首に……!」 「そういう意味じゃないから!」 「あっはっは、こういう時、綝は素直やなー♪ あ、おとん、ウチ腰がええ」 「別に場所を決めろとか言ってないんだが!?」 「父上様、私は腕で。腕枕もいいのですが、こう……抱きついていると落ち着くので」 「………」  前略お爺様。  孫は今も元気に生きておりますが、普通……娘というのはこんなふうに育つものなのでしょうか。  天ではファザコンなんて滅多にないと思っていたのに、この状況はいったい……。  娘に嫌われるよりは、そりゃあいいとは思います。  思いますが……最近、少々いきすぎな気がしてならないのです。  娘達は果たして、きちんと婿を手に入れられるのでしょうか。  ええ、まあ、連れてきたら来たで、全力で娘への愛を証明してもらう所存ですが。  ただまあ、今の気持ちを一言で表すとしたなら─── 「あ、おとん、ウチ久しぶりにおとんの即興昔話が聞きたい」 「あ……懐かしいな。昔は父さまがよくしてくれたな……」 「父上様は話を作るのが上手かったからな……」 「…………《こくこく》」 「寝かせてくれぇえええーーーーーーーっ!!!」  ───まさに、これだった。                    完  ……そんなわけで、軽いおまけをお届けしました、凍傷です。  おまけとか言いつつ本編より長かったりします。どういうことなの……。  書いてみて思いましたが……別にこれ、本編の途中であってもいい気がしました。  そしてキャラの処理がとても大変なのは本当の本当に理解しました。    袁尚(えんしょう):麗羽の娘。母の派手さが苦手で、地味を愛する。  袁燿(えんよう):美羽の娘。容姿端麗、成績普通。動物を愛する。  張紹(ちょうしょう):鈴々の娘。なにかというと禅について回る。武より知。  関平(かんぺい):愛紗の娘。母の手料理に絶望し、調理に目覚める。  周循(しゅうじゅん):冥琳の娘。冥琳の中に居た子供冥琳そのまんま。絵本を愛する。  孫紹(そんしょう):雪蓮の娘。自由奔放だけど柄に続いて酒が嫌い。娯楽を愛する。  筍ツ(じゅんうん):桂花の娘。男は汚物。丕が嫌い。華琳のことは普通に大好き。  張虎(ちょうこ):霞の娘。さらしはお腹が冷えるので、普通に服着てる。平が好き。  呂姫(りょき):恋の娘。忠犬そのいち。思い込んだら一直線。ある意味脳筋。  楽綝(がくりん):凪の娘。忠犬そのに。なにより父さま最優先。父を愛する。  いろいろと考えましたが、それっぽいお話を取り入れてカタカタ。  名前調べるのが、これがまたいろいろと手間だったりして、名前はあるけどすぐに没する長男ではなく次男を調べてみたりと、少し探してみました。  呂布に娘なんて居たっけ……!? って一応調べてみれば、居たかもしれないのだが名前なぞありません状態。  ただコーエーの三國志シリーズ、セガの三国志大戦には名前付きで出ている模様。  コーエー側では呂玲綺。セガ側では呂姫として、ならくっつけちゃえと呂姫玲綺。  真名をヤマザナドゥにしたい衝動に駆られましたがきっと気の所為です。  書いてはみたものの、いや、本当にこれは多すぎて扱いきれません。断言します。  ただ面白い部分もあって、たとえば春蘭の娘である夏侯楙と関平は料理好き同盟を築いたとか、夏侯楙さんはお金が大好きで守銭奴だけど調理に関しては金を惜しまないとか無駄設定が出来上がる。  他にもあるけどキリがないので。  袁燿を懐かせて、平和な都に大渦をと七乃が企むってお話も考えましたが、シャレにならなそうなので却下の方向で。  ちなみに楽綝の読みの多くは“がくちん”ですが、さすがに「ちんー! ちーーんーー!」と呼ぶのは可哀相なので、もう一つの読み方の“がくりん”で。  ……おおう、いつの間にか2万5千文字。  ここらでやめておきます、本当にキリがありません。  ただこういうのを考えるのが自由って、SSならではだなぁと思うのです。  楽しいってステキ。  それではまた次回で。  おまけのネタ曝しの大半がバキなので、説明はいいかなぁ……って……。  あの“口を慎みたまえ”って、そりゃ言いたくもなるよって返したくなりました。  決着は直後でしたって言ったのに……。 Next Top Back