番外のご/蒼い天の下で

 日々は少しずつ変化するもの、なんてことを誰かが言った。
 ありきたりな日常に欠伸をこぼすなんていつものこと。
 じゃあ毎日は本当に同じなのかと訊かれれば、そんなことはない。
 同じことに飽きたのなら一歩を踏み出してみよう。飽きたなんて言葉はその後からでも十分だ。
 面倒だという意識が先に走るなら、まだまだ世界には飽きは無い。面倒を越えた先にあるものを見て、一度心ゆくまで表情を破壊してみよう。

「あはははははは!! あはははははは!! ぷふっしゅ! ぷはははははは!!」

 さて、ここに全力で笑っている女性がおる。
 この者、プロポーズされた覇王の知り合いであるが、彼女がプロポーズされて気絶したことを知ると、それはもう遠慮もなしに笑い始めた。

「普段から人に察しなさいとか言っておいて、いざ大事な告白を受けたらっ……! きぜっ、気絶ってあはははははは!!」

 結局のところ、いろいろと悶着はあった。
 主に俺の思考内での悶着だけど、それも今は落着している。
 一夫多妻制度を受け入れることにしたし、あくまで門下生としてなら氣を教えることにも頷いた。
 ……大体にして、氣の在り方を探って引き出してやらなきゃ、使おうにも使えないだろうし。誰か一人が覚えて他の人に教える、なんて器用なこと、それこそ御遣いの氣があって相手の氣に干渉しやすい人じゃなきゃ無理だ。
 で、御遣いの氣を持っている人物は限られているわけで。
 ……結局のところ、門下生にならなきゃ覚えられないのだ。
 そのことを華佗と相談し合ったら、話を受けようってことで落ち着いた。
 教えるのはもちろん剣術メインでございますが。だってそういう道場だし。

「それで、どうするの、一刀。結婚はここでして、暮らすのは道場、ということになるの?」
「それはもうちょっとこっちの事情と向こうの事情を考えてからだなぁ」

 心配を口にしたのは蓮華だ。
 そうなのだ。結婚はこっちでしか出来ない。重婚ってことになるし。
 もちろん道場のこともあるから、向こうにも戻らないといけない。道場経営が始まればこっちにはなかなか戻れなくなるだろうし、やれることはやっておこうって話になる。
 そんな結論に到ったなら告白。で、告白したら気絶したと。

「あ、ところで前に送った手紙の返事が届いたんだけどさ」
「一刀のお爺様に送ったものよね?」
「へ〜〜っ、どんなお返事かなぁ。あ、結婚式には来てくれるのかなっ」
「桃香様……前の手紙に結婚の話など書いてはいなかった筈ですので、それはないかと……」
「あれ? そうだっけ。ていうかどうして愛紗ちゃんがそんなこと知ってるの?」
「ああうん、ちょっと手伝ってもらったんだ。家族に手紙って、結構難しいというか恥ずかしいというか、複雑な気持ちだったから」
「むー、私も呼んでくれたらよかったのにー」

 まあ、日々は相変わらずだ。
 飽きることは、今のところ……無い。
 言う通り、変わらぬ騒がしい日々ばかりだけど、それでもだ。
 大変だなぁとは思っても最後には笑っているのだから、そんな苦労も楽しめているのだろう。

「それでご主人様? ご主人様はどんなお手紙出したの?」
「曾孫の名前……真名を考えてくれって」
『………』

 ぽんと出した言葉に、全員が停止した。
 けれど次の瞬間には元娘たちが騒ぎ出す。

「父さまっ! 私の真名は父さまがつけてください!」
「そうだぞ父よ! 見たこともない曽祖父に名づけられるのは怖いぞ!」
「って言ってもなぁ。お前たちが産まれる前に、約束したわけじゃないけどそれっぽい話をしちゃってな」
「あの〜……お父さん? 話をしたってだけなんですよねぇ? だったらそうしなくてもいいんじゃないでしょうかぁ〜」
「まあ、そうなんだけど。曾孫の名前をつけたいっていうじいちゃんの気持ちも、解らないでもないんだよな」

 でも、そっか。
 だったら……

「まあ確かに、今じゃ“元”娘のお前たちの真名をじいちゃんに頼むっていうのは変か」
「は、はいっ、ですですっ! なので是非───」
「その場合、親でもない俺がつけるのもおかしくないか?」
『いえ全く!!《どーーーん!》』
「エー……」

 全員一斉に、そう返してきた。
 元娘達がとても元気でなにより……って言っていいのかなぁ。

「解った、じゃあ……そうだなぁ。今度こそ、産まれてきた娘達には名前をつけようか。お前たちの名前は女性親の皆様が俺の意見は一切関係無しに決めちゃったから、今度は……」
『………』
「……なんで、睨むかな?」

 娘が産まれる、という部分で元娘たちが何故か睨んで───って待て、あれ? 待って? なんかもう普通〜〜〜に、娘が産まれることを確信してないか?
 ……い、いやっ、いやいやいやっ、次は本当に息子だよ!? 息子だもん! キャッチボールして遊ぶんだよ!? 本能的に認めてるとかそんなことは無い! 絶対に無いから!

「───」

 落ち着こう。
 状況的にもいろいろ余裕が出てきたし、ようやく腰もどっしり下ろせそうだ。
 でも下ろして固まるより先に、一度日本の道場に戻って纏められることを纏めておきたい。フランチェスカにも挨拶しに行きたいし。

「あ、手紙」

 まあとりあえずだ。
 まずはじいちゃんからの手紙を開けて、その内容を確認する。
 主な話題は…………

 1、中国文字が解らん

 2、国際電話をした際、どこぞのお嬢さんが応対してくれたが、中国語で何を言っているのか解らなかった

 3、だというのに10以上の名を考えろというのかお前は

 ……などなど。
 ワー、ソッカー、やっぱり普通に聞くと、ただの中国語にしか聞こえないのカー。

(……御遣いの氣ってすげぇ)

 初めてあの時代に降りた時も、羅馬に行った時も、言葉が解った理由はソレらしかった。だから及川も普通に会話出来る。……思えばあいつにもそういった氣があるんだよな。なにか頼もうか。……まあ、それはいずれ考えよう。
 ともかく、こんな手紙が来た以上、一度じいちゃんのところに戻ってじっくり話し合うのもいいだろう。道場のこれからのこともしっかりと決めなきゃいけないしね。

「これでよしっと。思春、この手紙を各国の王に出してもらっていいかな」
「手紙か。よく解らんが、けーたいとかいうもので知らせれば早いんじゃないのか?」
「いや、こういうことはしっかりと届けないと。ていうか時代が時代でもこういうことをメールで送るのはどうかと思う」
「そうか。お前がそう言うのなら、そうしよう」
「……思春も本当、一刀に甘くなったわね」
「蓮華様。これは私が支えてやらねば駄目になります」
「いやいや俺頑張ったよ!? あの時代で最後までしっかり頑張ったって!」

 思春がもはや甘やかしまくりのお方になっていて怖い。
 気を張ってないと仕事全部奪われそうなくらいだ。ただでさえ、やること少ないのに。



 ───……と。
 そんなわけで、各国の王に実家に帰らせて頂きます、と手紙を送った俺だったのだが……わざわざ高速移動絡繰を出してまで各国から伝令が届き、呆然。
 ここへ辿り着くために、氣の鍛錬をした女性が何人も全力放出をして昏倒したことを聞いて、唖然。
 町から町へ辿り着く度に操縦者を変えて、同乗してやってきたのは各国の王様であることを知って、愕然。
 まさかそんな絡繰に王が乗ってくるとは思わなかったのだ。
 それ以上に驚いたことに、皆、口を揃えて言うのだ。

  “王が国を出て何処へ行こうと言うのです!”

 ……と。
 王……王? …………OH?
 しばらく硬直していたこの北郷めに、三人はどこか胸を張って続けました。
 なにか忘れてるなー、なんて何かが引っかかっていた俺へと、真っ直ぐに。
 言われた言葉が頭の中で渦巻き、やがて形になると……静かに涙を流しました。
 そう、言っていた。言われていた。知っていた筈だったのに。

  今の大陸は実力至上主義。強いからこそアマゾネス状態。

  強者こそが王になる、なんてこともやることがある、と。

 ……はてさて。
 この北郷めは果たして、三人の王になにをしちゃいましたっけ。
 問答無用で掌底ブチ込んだり、お尻ぺんぺんしたり、緊張感に欠ける王を正座させて説教地獄したり…………わあ、結果として勝っちゃってる。魏王や蜀王なんて特にで、お尻ぺんぺんや説教地獄で泣かせちゃってる……。
 そんな、自室にて各国の王に……───も、元王に詰め寄られて、頭を抱えそうな俺に、元魏王が真面目な顔で言葉を放つ。

「王。日本に帰ったとして、あの人数を養うだけの貯蓄がおありですか?」
「王って言わないで!? ……っ……ぐぅ……無いけどさ……!」
「ならばこの大陸で一夫多妻制度を受け入れ、根を下ろしてください。強きあなたになら、先祖が愛したあなたになら、民も時代も託せます」
「きみたち面倒になったとかじゃないよね!? なんか凄く嬉しそうなんだけど!?」
「強き男に出会え、他の男たちも強さに欲求を出し始めました。こんなに嬉しいことがありましょうか!」

 魏王さん、フンスと鼻息も荒く目をキラキラさせている。
 お尻ぺんぺんされても相手をこんな目で見ることが出来るって、ある意味すごいよな……。

「そうだ。あたしもあなただったら文句などない。天の御遣いといえば、大陸に生きる者にとっては憧れの存在だ。長い歴史の中、唯一と言っていい強き男の伝説……誰もが書物を読み、どうせただの誇張だろうと笑いつつも目が離せなかったものだ。1800年後を託されたあたしたちからしてみれば、その日を待ったには待ったが……はっきり言って信じちゃいなかった。仕方ないだろ、伝説ってのは過去のことだから。なのにまさか本物でっ……あああああたしの胸にっ……か、“覚悟完了”をしてくれるなんてっ……!《ぱああ……!》」

 呉王さん、まるでヒーローショーのヒーローを前にした子供のような燥ぎっぷり。
 あとその言い方だと誤解が生まれるからやめようねー!?
 俺がやったのはキミの手を取って、キミの手をキミの胸にぶつけるみたいにしたノックであって、俺がキミの胸に触ったとかじゃないからねー!?

「そうだよ〜、私も飾りの王みたいなのではあったけど、心配してたのは確かだし。それにあんなに真っ直ぐに、思いっきり叱ってくれる人なんて今まで居なかったから……」

 平和そうでいいなぁこの蜀王様。
 なるほどー、こんな状況になってみると、覇王になった直後の華琳の言葉も解るなぁ。
 いっそ三人に国を任せて、自分は自分のためを全力で、と……そんな選択をしたくなる。

「ちなみに各国を私たちに任せて、自分は極力係わらない、という提案は受け入れられません。お言葉ですが、男たちの勢いが安定するまで、男に王として立っていてほしいのです。なにもあなたが強いから、というだけの話ではありません」
「そうそう。あたしたちがあのまま王をやったって、解決することとしないこと……いや、違うか。出来ることと出来ないことがあったんだ。その大半が男の問題さ。だからあなたに頼みたい」
「もちろん補佐なら頑張ってするよ〜? あ、でも失敗したら思いっきり叱ってくれると……」
「そ、そうだな。長年の王としての暮らしで天狗になっている部分もある。王、そういった場合はまた遠慮無用で……し、尻だろうとどこだろうと叩いてくれて構いません」
「あの腹への一撃は芯に響いたからなぁ……あ、べつにわざと失敗するつもりはないぞ? あたしたちだってこれでもきちんと王をやってきたんだ。進み方はそりゃあ先人の願いを潰す結果に到ったけど、これからは全力であなたを支えるさ! うん、だからまた叱ってくれ!」
「───……」

 前略、華琳様、雪蓮様、蓮華様、桃香様。
 現代の王が、なんだかいろいろな血が混ざった結果、叱られたがりになっている気がします。こんな時代だった上に、アマゾネスワールドだった所為か、それこそ叱られたことなんかなかったのかもしれません。
 本当は誰かにそれは間違いだって叱られたかったのかなぁ……そう思わずにはいられない。なんだいこれ、まるで頑張って大人の気を引こうとやんちゃする子供じゃないか。
 一緒になった男はいったい何をしていたのか。

「……今さらだけどさ。きみたち、相手の男はどうしてるんだ?」
「相手? ……ああ、子供を産むための相手か」
「居ません。医学も進歩しましたし、精子のみを採取しました」
「えっとね? 対等として認められない相手に肌を晒してはいけないと、昔から言われてたんだよぅ?」
「───……」

 OH……なんということだろう。
 そこまでだったのか、この大陸での男の弱さは。
 ……と、いうかだ。まさか、まさかだが───

「ええっと、だな。あー……まさかだとは思うけど。……三人とも、誰かを好きになったこととかすら……」
『…………!《かああ……!》』

 ───恋をしたこともないそうです。
 俯いて顔を赤くする三人を前に、この大陸が相当危険な方向に向かっていたことをさらに知った瞬間だった。

「だ、大丈夫だっ! 最近じゃ男も随分と自信をつけてきたし、ふとした瞬間の男の笑顔に目を奪われている女を見たこともあるっ! というか、そもそも今までの男どもが俯きすぎていたんだ! 人と目を合わせようともしない、笑いもしない、ただ黙々と小さな仕事をするだけ! そんな存在にどう惹かれろっていうんだ!」
「うん? しかしお前は過去、一緒に居た男が急に変わって泣いたことが」
「黙れ」
「あ、知ってるよそれ。最近は頑張ってる姿を見て、少しホッとした顔を」
「黙れ!」

 ともかくいろいろあるらしい。
 まあその、頑張ってください。きっと良い青春になります。
 夢に年齢制限がないように、青春だってまだまだこれからだ。
 というか三人ともまだまだ全然若いんだから、……あれ? ほんと若いよな。いったい何歳でこの時代の丕や登や禅を産んだのか。

「ま、まあその、青春しているようでなによりだよ。じゃあそういうことで、俺は日本に───」
「ですからそれは無理だと言っているのです!」
「安定するまでは最低でも都からは出ないでくれっ!」
「まだまだ男の子を見下す子が居るから、そんな子を叱ってくれると嬉しいかなっ!」
「どこまで他力本願なのきみたち! 気持ちは解らなくもないけどさぁっ!」

 確かに今、王だとしても女の口から“男を見下すな”なんて圧力をかけたって逆効果だ。
 むしろ一時的でもいいから、強者である女王を打ち下した男として、各国に圧力をかけるくらいのことをしたほうがいいくらいだろう。むしろ冥琳や朱里や雛里にそう言われたこともありました。こうならないことを願いつつ、むしろ望みつつ、様子を見ていたんだけど……まさか自室まで突撃されるとはなぁ。
 でも、だからって…………えぇえ……?
 や、やるしかないのか? 本当に?
 俺も過去から何を学んだー、とか言って殴っちゃったけどさ。これって俺が最後まで始末をつけなきゃいけないこと…………なんだろうなぁ。
 だって、この時代の決め事に倣うなら、俺……王になっちゃってるらしいし。

「〜〜……ああもう! 解ったよ! 叱るためとはいえ打ちのめしちゃったのは確かだし、そういうことのためでも暴力を振るった俺の自業自得だ! ───思春! みんなを中庭に集めてくれ!」
「任せろ《シュタッ》」
『ひゃわぁっ!?』

 気配を全く感じさせずにその場に居た思春に、三人が心底驚いた。
 しかも驚いた頃には既にその場から消えていて、出入り口の扉がいつの間にか開いているんだから仕事が早い。……っと、俺も行こう。呼んでおいて遅れるとうるさいからな……主に桂花が。

「ほらっ、お前たちも来るっ! 嫌な気分とか味わうかもだけど、各国を一緒に回ってもらうからな!? 女性が負けたなんて信じない、なんて言ってる子が居たらいろいろ対立するだろうし、一時的に、本当に一時的にだけど負けたって事実を解ってもらうために一緒に歩いてもらうから!」
「お、おお……なんか急に慌しいな。でもこういうの、嫌いじゃないあたしが居る」
「思えば男に強気で物事を言われたことなんて今回が初めてだからな……」
「二人は賛成なんだね。私はむしろ、いい方向に転んでくれたらな〜って思ってるけど」
「話してないでさっさとする! ほらっ、ついてこい!!」
『!《ビクゥッ!》は、はいっ!!』

 なにやらひそひそと話し合っていた三人に、歩きながら声を投げる。
 娘、孫、曾孫と散々相手にしてきた所為か、こういう時はつい声を張り上げてしまう。
 怒鳴るんじゃなく、言葉通りに急かしているわけでもない。ただ、待っているからここまで来て手を取りなさいって感じに。
 なのに……どうしてでしょうね覇王様。
 慌ててぱたぱた駆けて来た三人が、なんだか目をきらきらさせて俺を見るんです。
 「“ついてこい”か……な、なんかいいな……なんかいいなっ、こういうの……!」とか、「ついていこう、って自然に思ってしまった……自信を持った男はこうも違うのか……!」とか、「また怒られちゃった……えへへ、やっぱりいいなぁ、ただ怒鳴るだけじゃなくて、きちんと叱ってくれる人って」……なんて言っている。
 イヤ……アノ。ワタクシといたしましては、結局はソノー……ホラ、娘の娘の娘の娘の……アルティメット娘って感じだから、ついこう、身内気分で声をかけるようになってしまうだけであって、早速王としての在り方に倣った〜とかそんなことは一切無いのデスヨ? 打ち勝った男として偉ぶるつもりも全然ございません。
 だというのにいったいどうして……!

「………」

 いい加減目覚めなさい、北郷一刀。
 なんかもうこういうのもいつものコトだって、長い人生で学んだではありませんか。
 娘や孫や曾孫に散々と振り回されて、様々な意味での女性経験だけは無駄に積みました。だからもはや迷うまい。突撃あるのみです、一刀よ。

「───……」

 笑顔でホロリと涙しつつ、中庭へ向かった。
 昔から続いていることだ……女性のことで振り回されたり頭を抱えることなんて今さらだ。…………今さらだ。うん、本当に……うん……今さら……今さらなんだよな、ほんと……うん……今さら……。
 だから、頑固で我が儘で解らず屋に育った子孫に喝を刻みに参りましょう。
 ああもちろん、そんな状況に便乗して調子に乗り、勝気になって女性を見下す男が居たら、過去のこの北郷めのように空を飛んでいただきましょう。およばずながら全力で拳を振るわせていただきます。
 なにかの勢いに便乗するなとは言わないけど、人を見下したり罵倒したりしたいなら自分だけでいきなさい。後ろ盾を持たず、己自身のみでだ。親が偉いからとか後ろにはなになにが居るだとかそんなのは抜きにしてだ。集団の強みで誰かを見下すような存在は、この御遣いめが許しません。
 中庭にて、ウムスと頷いていると、そこへとみんながやってくる。呼ばれただけあって、急ぎ足だ。でも走りはしない。さすがだ。

「一刀? 急に呼び出すなんてあなたらしくもないわね。何事?」
「合戦か!?《わくわく……!》」
「ああ華琳、みんな、急に呼びだしてごめん。あと華雄、ある意味戦みたいなことではあるけど、本当に戦うわけじゃないから落ち着いて」
「そっ……!? …………そうか……っ……!《ずぅうう……ぅん……》」

 なにもそんな、この世の終わりみたいな顔して落ち込まなくても……。
 と、今は華雄のことは霞に任せよう。
 それよりも、きちんと決意を届けないと。

「みんな、聞いてくれ」
「どうした、北郷。本格的に、この時代の三国の支柱になる気にでもなったか」
「なんで知ってるの!?《がーーーん!》」

 一歩前に出た冥琳さんがあっさりと決意を暴露してくれちゃいました。
 いろいろ悩んだのに……俺はこのもやもやを何処へ吐き出せば……!? と、いつも通りと言えばいつも通り、頭を抱えそうになる俺の前に、ひょいと近づく影ふたつ。
 視線をやれば、朱里と雛里がそこに。

「あの……ご主人様? ご主人様の性格は解っていますし、遅かれ早かれそうなるのではとは思っていましたから……」
「そうなの!?《がーーーん!》」
「ひゃっ、はい……! あ、あのあの、ですからそんな、落ち込まないでくだしゃい……!」
「………」

 落ち込むとかじゃなくて、普通に驚いただけなんだけど。や、そりゃあ決心した気持ちが空ぶって残念だったって思いはあったけどさ。
 ……確かに、日本に戻ってやることやったらもう一度、とは思ってたよ? ……あれ? ちょっと待て? ……気軽に往復出来るほどお金あったっけ。……無いね。

「なによ、そんなこと? あなたもつくづく一刀ね。他の外史と合わさって、少しはそのお人好しが落ち着いてくれることを願っていたのだけれど」
「北郷一刀なんだから北郷一刀なのは当たり前だろ……そういう華琳だって、ああいう初めてを経験したこともあるんだから、少しは素直になってくれることを───」
「お黙りなさい」
「メイド服でご奉仕とか」
「お黙りなさいっ」
「……リリカル・マジカル・るるるるるぅ〜☆」
「殺すわ《にこり》」
「ごめんなさいっ!?」

 いや、ね。外史がくっついたお陰で知ることが出来たことは割りと多い。
 むしろ華琳が魔法少女していた世界があるなんて、知らなくてよかったとも思う。思い出した途端、隠れて腹がよじれるほど笑ったのは絶対に墓まで持っていく。絶対にだ。

「えと、ご主人様? ご主人様が支柱になるのは解ったけど……っていうか、もうとっくになってると思ってたんだけど、今度はどんな目標を立てたのかな」

 思い出して笑いそうになったところに、丁度桃香が質問をくれる。
 口の中で舌を噛みつつ、笑撃が引っ込んだところでようやく続きを話すことが出来た。
 とっくに、という部分はスルーしよう。振り返ってみて“あ、そうかも”って思ってしまっただけに、ちょっとだけ悲しい。

「まずは王になる。今代の王達が言うように、この時代の男性はちょっと弱い。逆に女性は気が強くて、今でも見下している人が居る。俺の知る中でも強烈なのが一人居るけど」
「はん? それ誰のことよ。男が嫌いだなんて仲良く出来そうだわ。これで男の中でもあなたのことが一番嫌いなら、もっと良いけど」

 今喋ってるアナタのことです桂花さん。
 とりあえず彼女のことはスルーしつつ話を進める。

「今、女性が王のままで居ても、その王が女性は男性を見下すことを禁ず、なんて言っても、たぶん状況は変わらない。だから一度男が王になって、一度“男性の王”っていう前例を作らないといけないって思うんだ。強い男だって居るんだって、見下し続ける女性に少しでも解ってもらうために」
「……ですがご主人様。王に、といっても、そう簡単になれるものではないでしょう」

 すかさず愛紗がツッコんでくる。
 うん、俺もね、さっきまではそう思ってたんだよ。
 思っていたのになぁ……。

「いいえ、雲長様。御遣い様は既に王です」

 愛紗の言葉にとうとう顔を片手で覆うように俯いた俺を余所に、元魏王が一歩前へ出て言う。当然愛紗さん、ぽかーん状態。
 もちろんこの大陸でしばらく過ごしていれば、知ろうとすれば知ることの出来ることだ……軍師達は“そういうことか”と頷き、華琳も……マテ、なんか華琳さん、“今さら?”って顔で笑ってる。
 ……いやいや待ちなさい!? まさか全て計算通りか!? だから俺が一人で突撃することを全く止めもしなかったと!?

(敵ながら見事な働きよ。斬るには惜しいが、生かしてはおけん!)
(孟徳さん!?)

 いや今目の前で笑ってるのあなたですからね!? あなたであってあなたじゃないけど! 惜しむ程度で斬り捨てちゃだめでしょ!?
 ……脳内孟徳さんが暴走している内に話が済んだのか、何故かみんなが“またか……”みたいな顔で俺を見る。また!? またってなに!? 俺別におかしなことしてないよね!?

「そう。ならばいいじゃない、今はここに腰を下ろして、立派に王を務めなさい。むしろ相手が男性を見下す女性だというのなら、あなたほど有効な存在など居ないわよ」
『───……』
「だからその“あ〜”って顔なに!?」

 華琳が放つさらなる言葉で、“またか”と言う顔が“あ〜……”と妙に納得した顔に変わった。
 そして、そんな顔になった皆様はもう何も言わず、むしろ俺がそうなるように手回しを開始した。俺が何を言っても「任せてくだしゃい!」と返すだけである。……噛むのは朱里や雛里だけだが。
 そんなわけで……この大陸に来るまでは、ただの学生でしかなかった男が……王になってしまったのである。


───……。


 王になってからの日々は、実に忙しい。
 各国……大陸の、ではなく、それこそ世界の皆様に挨拶をすることになり、いろいろなところから“随分可愛い王だ! ワッハハハハハハ!”と笑われたものだ。
 まあ実際、死ぬまで王、なんてことにはならないだろうから笑わせておこうと引き下がる。あと困ったことに各国の言葉が解る。御遣いすげぇ。
 しかしいろいろなことはともかく、まずは地盤……自分が立つ場所の改善から始めないとと、まずはこの大陸のことについてを調べ始めた……ら、既に纏めてあった。
 軍師たちの「知識が必要なら必要と言え」という言葉には素直に頭が下がる。
 そもそも自分だけでこの広い大陸をどうにか出来るわけもないのだから、もうこうなったら全員で、だろう。
 大陸……中国大陸の在り方は、かつて俺が知っていたものとは随分と違っている。
 お陰で混乱することもあったものの、新しい知識を取り入れればそっちが基盤になっていくんだから、辻褄っていうのは面白い。

 そうしてまずは勉強から入り、次に……時間を取っては街の女性とコンタクト。
 結構迷ったものの、“どう接していけばいいのかな……”なんて質問をした俺に対し、みんなの返事は“なにも考えずにあなたらしく”だった。
 首を捻り、それでも真っ直ぐに向かっていった。
 “お前が王だなんて認めない”とか“たまたま勝っただけで、男がつけあがるな”とか散々言われても、まあ……罵倒には変わりないんだろうけど、桂花と長く付き合ってると、この程度じゃなぁ……。
 などと、罵倒されるたびに桂花を思い出し、そうなるとギャーギャーと目の前で罵倒する女性の言葉が小さな子供の癇癪みたいに聞こえて、不思議と苛立ちも沸かないとくる。
 そうして笑顔で向き合っているうちに、やがてぽかんと毒気を抜かれたような顔をされるようになって、なんだかいろいろ相談されるようになって、ふとした拍子に笑顔が見られるようになって、鍛錬で伸び悩んでいると打ち明けられ、教えてみたら解決して…………いつしか、なんか、懐かれた。
 ……え? それに対してのみんなの反応?
 うん……なんか、“ほらやっぱり”って。

 そんなわけで、いつかのように時間をかけて、各国を回って人望を集めた。
 気がつけばまた一月、また一月と時間が過ぎて、それこそいつかのように行く先行く先で笑顔が見られるようになった頃───そう。現代の調理の勉強をしながら飯店で働いたり、元々あった武術道場のだらけきった雰囲気をブチノメ……もとい、壊して、気持ちを新たに再開してみたり、アイドルやったり医者になったりをやって、仕事も生活も安定した頃のこと。

『いい加減帰ってこんかこの馬鹿者っ!!』

 道場を任せっきりだったじいちゃんから、怒りの国際電話が届いた。
 これはそろそろ帰らないとと、またみんなを呼んで相談。帰る準備を始め、街にも挨拶に行った。
 するとどうだろう、みんなはともかく、この地に住んでいた皆様が反対すること反対すること。ついポロっと「実家に帰らせていただきます」と言っただけなのに、どうしてか逃げられない状況に……!
 こうなると余計に帰ることが出来ない。むしろ送り出してくれる人が居ない。みんなは一緒に帰るし。

「………」

 じゃあこうしよう。
 未だに俺を嫌っているおなごがおる。
 彼女に話して、いっそ追い出すようなことを言われれば、その勢いで───!

「───」

 結論から言おう。
 泣かれた。
 嫌ってなんかいない、全部嘘、構ってほしかっただけ、行かないで、だそうだ。
 なにがどうしてこんなことに……。
 え? これって俺が悪いの!? ちょ、みんな!? なんでまた“またか”って顔するの!? いやいや霞さん!? “よっ、女泣かせ!”じゃないよ!
 一度場が混乱すると関係ない話になることが多いので、早々に話を切り上げて移動。もちろん泣いた彼女には嫌われたから帰るんじゃないことはきっちりと教えて。
 で……また都の中庭、その端の東屋に腰を下ろしつつ考えるわけですよ。

「その……い、いろいろ大変ね、一刀」
「蓮華……うん、ほんとね」

 おきまりのポーズといえばそれまでな、円卓に肘をついて頭を抱える俺へと声をかける、前の席にとすんと座った蓮華。
 まさか嫌われてなかったとは……人生経験って案外、どれだけ積んでもわからないことってあるものだなぁ……。や、100年生きたって乙女心を完全に理解するなんて、俺には無理そうだとは思ってる。
 ……思ってるところへ、どこかそわそわした蓮華さんである。
 なんだろ、とても嫌な予感が。

「と、ところでなんだけど、一刀」
「う、うん? なにかな?」

 顔を赤らめ、もじもじする蓮華さん。
 なんというか、懐かしい光景だ。
 この年老いた心にもなにかこう、暖かいなにかが湧き出て───

「け、結婚式は、いつするのっ?」

 湧きっ……

「………」

 ワッ……

「れ、蓮華? 結婚式って……」
「あ、べ、べつに焦っているとかじゃないのよ? ただそのっ、紫苑が祭との酒の席でちょっとこぼしたらしくて……!」
「紫苑が?」

 湧き出た云々はこの際置いておこう。
 でも何故急にそんな? あの紫苑が……

「珍しく結構酔ったらしくて、どうせやり直したなら、まだまだ若い内に結婚してみたい、って」
「───」
「それに、祭も桔梗も悪乗りして頷いて、翌朝……というか今日なのだけど、頭を痛めながらもやっぱりそうしたい、って……」
「………」
「そんな気持ちに便乗するわけじゃないの。私もその、あなたとはもう一度、そうしたいと思っているわ。むしろ生活が安定したらとずっと思っていたの。そ、それで───」
「安定したから、そろそろ……と」
「そ、そうっ! そそそそれでなのだけどねっ!? ほらっ、そのっ、ここっこここんな時代なのだからっ、他国の風習も取り入れてみてもいいのではと思って! ここここれをっ!《ズヒャア!!》」
「ウワォッ!?」

 顔を真っ赤に、目をぎゅっと瞑りながら、彼女は両手で何かの本をズヒャオと突き出してきた。
 ……見れば本らしく、表紙にはウェディングドレスを着た女性が。
 ……エ?

「ここここここっここここのっ、ウェディングドレスとかいうの、初めて見た時からずっと気になっていて……!」
「………」

 全員ニ、ウェディングドレス。
 果タシテ、オイクラニ……?
 でも、お高いんでしょう? どころの騒ぎじゃないでしょう、これ……!
 エ、エート、何人だっけ。元娘らも合わせて……100人以上!?
 ウワハーイ! 自分のことながら凄まじい重婚だ! なんかもう死にたい!
 そういえば会場予約してドレスとタキシード用意して、安いほうでも100万したって話を聞いたことが………………え?
 ひゃ、百万? 百万×100人…………ブフォオ!?
 いぃいいいやいやいやいや! それは会場とタキシード込みでなんだから、会場は都! タキシードは一着! 増えても二、三着あればヨロシ!
 だ、だからえぇと……ウェディングドレスって一着いくらなんだ?
 レンタルって手が一番無難とか聞いたけど、やっすいやつだとぺらっぺらの子供の学芸会で着てるような質のものになるとか及川が言ってたな……。あれはないわー、って笑ってた。うん、俺も今笑いたい。泣きながら笑いたい。
 えっと、そうだな。会場30万、タキシード30万、ドレス30万と適当に考えたとして、約100万。
 で、ドレスを100人分となると30×100でブッフォオ!! やっぱりひどい結果に! むしろ考えるまでもない結果だったよ! 実に混乱してる!

「ソ、ソウダネー! キレイダネー! ヒャッハァーーーッ!!」
「か、一刀もそう思ってくれる? 私に……似合うかしら」
「似合うヨ!? 間違いなく似合うネ! 命懸けるヨ! 似合う!」
「一刀……そんな、涙を滲ませてまで……《かああ……!》」

 そう、命を懸けてもいい。似合う。それは間違い無い。それは。
 ただ値段が……! 値段が恐ろしいことに……!!
 い、いやっ! 泣いてないよ!? 僕強い子だもん!
 それに、みんながみんなウェディングがいいなんて言うかも解らないし……あ、そ、そうだよな、落ち着こう、うん。
 まずはみんなの気持ちを訊いてみないと。

(ていうか、王だった三人……蓮華はウェディングがいいって言ってるんだから、あとは華琳と桃香と……一応雪蓮にも訊いてみようか)

 華琳はこの地に則ったものを取る気がするし、桃香もなんかそんな感じがするよな。
 それにしたって呉服屋に相談しなきゃだけど、ウェディングドレスほど値段が跳ね上がるかは謎なわけで。むしろレンタル前提で考えてたけど、フルオーダーの場合だとウェディングドレスって……やっぱり100万くらいかなぁあ……! セミオーダーの場合はその半分くらいか……!?
 ええい悩んでも仕方ない、とにかくみんなと相談を───!

……。

 コーーーン……。

「…………OH」

 戻ってきた中庭、その端にある石段を登り、城壁の上へ。
 見張りの兵も居ないそこで、「るーるるー」と鼻歌交じりに……たそがれた。
 華琳、桃香、雪蓮ともに、むしろ着たいという意見。
 当然彼女らを慕う将の皆様も、否を唱える者はおらず……。

「確かにお金は溜まってきてるけど、まだそこまで溜まってないって……」

 みんなで働けばあっという間! というわけでもない。そりゃ、物凄い勢いでお金は溜まるだろう。なにせ100人以上が同じ目的でお金を溜めるのだ。
 でも無くなるのもあっという間だ。

「さて、北郷一刀よ。よーく考えなさい」

 脳内問答開始。

 Q1:ドレスは必要か?
 A1:必要だ
 Q2:結婚式なんて過去に婚儀やったからいいじゃないか。
 A2:そういう問題じゃない。
 Q3:結婚式じゃなく、その後の安定のために貯金しよう。結婚式は余裕が出来てからでも……
 A3:それは何年後だ。若い姿でいられるのは今しかないのだ。翌日事故で傷を負ったらどうする!

 結論:やはり行う。
 だが無謀はしない。
 コネというコネ、仲良くなれた人達、そして……先行投資という名のコネさえ全力で使おう!

「丕」
「《びくぅっ!》ふひゃいっ!? はえっ!? ななななんで解ったんですか!?」

 後ろから静かに近づいてきていた丕に、振り向かずに声をかけた。
 何故って、気配で解ったから。
 そう……そうなのだ。僕らには氣がある。
 他では教えようがない、あなたたちの中に眠る完全オリジナルッ……!
 それを引き出し、扱う術を教えましょう。

「丕。聞いてくれ。日本にはな、記憶術というものがあって、段階毎に分けられたそれらを全て習得するのに結構なお金がかかるんだ」
「記憶術、ですか」
「うん。数百〜数千円のお金で買える本から始まって、果ては一人100万円以上のものが……!」
「百万円……うわぁ……それ、結構な大金でしたよね……? 円通貨は勉強しましたけど、まだはっきりとは……」
「間違いなく大金だ。ちなみに一ヶ月働いて貰える給料の大体の平均は……確か、うん、ほんと大体だけど、30万あたりだって聞いたことがある。職種にもよるけど」
「お給料3〜4ヶ月分ですか!? あ、あの……その記憶術、というのは本当に効果が……」
「謎に包まれている。まあ面白いもので、人って高い金を払って受けたものには見栄を張りたくなるってケースが多いんだ。あれだけ高いお金払ったんだからって意識が働いてね。だから誰かに“効果があったか”って訊かれたら、まず頷く。きっぱり言える人は効果が無いって言えるんだけどね」
「効果が無いんじゃ意味がないですよ!」
「で、そこで使うのが常套句だ。人にものを売る前提として、必ずこう書いておくんだ。“効果は人によって個人差があります”と。で、買ったからにはその注意書きにも頷いたんだからって理屈で、文句は受け付けない。さらにはこの教材、もしくは教えることについて、批判することや他者に内容を教えることを禁じますって書いておく」
「詐欺ですか」
「困ったことに“個人差がある”って言葉は万能なんだ。100人ダメでもたった一人が成功すればそれが成功例で、それが個人差だ」

 言いつつ、背格好もそう変わらない元娘をちょいちょいと手招き。隣に立たせて城壁に両肘をつきながら町並みを見つめた。

「え、と。それで、その記憶術が、どうかしたのですか? ……まさか、父さま」
「いやいややってないし払ってもいないぞっ!? そんなことしたらじいちゃんに殺される!」

 無駄遣いが嫌いな祖父だ。そのくせ木刀は10万で買えと言う。……まあ、当然なんだけどさ。
 じいちゃんの顔を思い出して、くっくと笑って頬杖をついた。

「氣をな、商売にしようと思った。やってくる人全員を馬鹿正直に迎えて氣なんて教えてたら、こっちの時間がいくらあっても足りない。じゃあどうすれば捌けるのかな、なんて考えて、じゃあそれこそ途中で諦めないように、投げ出さないようにって、高い金額で」
「……父さま」
「あぁ、呆れるのはちょっと待とう。たとえばさ、入門に30万もらうとして、最後までいけたら20万返すとか、そういう方向で考えてたんだ。実際の儲けは10万。相手はきちんと氣の鍛錬が出来るし、諦めなければ20万戻ってくる」
「……一ヶ月分の給料ですか」
「この北郷が50年以上をかけて練った氣の在り方をみっちりと教える。やる気がないならそもそも払わないし、挫折するのは相手の都合だ。だから30万。微妙に払えそうで、軽くは払えない金額。……丕はどう思う? これくらいの値段だったら、客も呆れて来ないんじゃ───」
「殺到します」
「そうなの!?《がーーーん!》」

 30万なんて大金だ。
 いやいやそんな気軽に払えるものじゃないだろ。
 というか、丕が俺の顔をじとーーっとした目で睨んでいる。
 ……あぁ、やっぱり解った?
 そうだ。本気でやるつもりなんてない。
 道場をきちんと運営して、教える立場に立ったのならそりゃあするかもだけど、世の中に氣が必要か、なんて訊かれたら……いさかいの種が増えるだけな気もするのだ。

「はぁ。まぁさ、日本に戻っても結局は、氣を教えろ我らが日本国のために〜とか、そんなことになると思うんだ。同じ日本人のくせに金を取るとは何事だ〜とかね。じゃあ、どうなんだろうな〜って思うわけだ。その100万以上の記憶術を無料で教えろって全員が押しかけたら、その人は教えるかな。教えないんだろうなぁ。でも、周囲は多分数の暴力で教えろ教えろって潰しにかかる気がするんだ」

 タダより怖いものはないって、教える側にも言えることだ。
 タダだから、気まぐれに覚えようって来る人も居るし、上手くいかないからって暴言を吐く人なんて腐るほど居る。
 氣を覚えれば、今まで勝てなかった競技で勝てるかもしれないって、みんな当然思うだろう。だからみんな飛びつくし、けど金の都合で勝てるか負けるかが決まるのは納得が出来ないとかも言い出す。
 じゃあ空手道場の人に無料で教えろと言うのか、と言えば、別の文句も飛ぶだろう。
 実に上手くいかない。

「どうしたものかなぁ。もし教えて犯罪とか増えたら、それこそ目も当てられないよなぁ」
「父さまが教えた技術を犯罪に使う存在など、氣で探知して潰しましょう」
「素直に物騒だな」

 気持ちは解るけど。
 ……まあ、こればっかりは自己責任になるのかな。
 あ、じゃあ法律でも作ってもらおうか。
 氣を用いて犯罪行為をした場合、天の御遣いが現場に残った氣を辿って全力で潰します、と。

「……犯罪を起こしたら、相手を探知して追い詰めて、氣脈を潰すって手もありか。二度と使えなくなるし、むしろ様々な身体機能が覚える前より低下する」
「いいと思います。それぐらいしなければ、戒めにはなりませんよ」
「だな」
「はい」
「………」
「………」

 はははと笑い合ってから、はふぅと息を吐いて……丕も頬杖をついた。

「やっぱり過去の記憶があると、体は子供でも大人っぽくなるよな」
「子供って……父さまと似た年代だと思いますが」
「そうだな。せっかく精神がじいさんだったのに、他の北郷一刀とくっついたお陰で無駄に若い意識の方が高い」

 というか、みんなのことが好きすぎて困る。
 みんなのためならなんでもしてあげたいって思ってしまう。
 けどまあ先立つものは国のもの、って感じなので。
 一応、王だもの。

「あの、父さま?」
「うん? なんだ〜、丕〜……」
「いえ、そんなぐで〜っとしていないで……その。過去に溜めた父さま自身のお金は使わないのですか? と。聞けば婚儀に使う衣装を全員分用意しようと頑張っているとか……」
「…………」

 エ?

「かっ……過去、の……俺の……?」
「はい。母さまたちが若い頃ほど食事を取らなくなって以降、使う予定もなく無駄にたまっていったあれです」
「いや、でもさ、あれから何年経っていると───」
「何年経とうが、父さまが今生きているのなら父さまのお金で、そもそもそのお金も“使わずに遺しておくように”と伝えていた筈です」
「───」

 いや。
 いやいやいや、ちょっと待て。
 もうこの大陸に戻ってきてから何度ちょっと待てとかいやいやとか言ったか忘れたけど待とう。

「……丕サン? これまででお金のカタチが変わったこととかは……」
「もちろんありましたが、その金額分は遺しておくようにと」
「あ、でも貨幣価値とかが変わったりして───」
「父さま。父さまは自分がいったいどれほど溜め込んだのか、まさか忘れたわけではありませんよね?」
「………」
「……あの。ちなみに私たち姉妹も、どうしても必要だと思うお金以外はそこへと上乗せしていましたので、是非使っていただけたらと。使う目的が私たちに関係することなら、躊躇も遠慮もいりませんし」
「……うう」

 解決した。
 むしろそれ全部使わずに遺しておくとか、どれだけ……───

「……丕。これを自覚するのは物凄く恥ずかしいし、勘違いだと一層に恥ずかしいんだけどな?」
「はい。それだけ父さまは皆に好かれていたということです」
「はぐぅううっ!!」

 確認する前に言われてしまった。
 いったいどれだけ注意したり言い伝えてきたら、過去の人のお金を遣わずにいられるのか。
 金銭的に余裕が無い時だって、きっとあっただろうに……。
 そんなことを言ってみれば、丕は当然のようにムフンと胸を張って、

「決まっています。皆、天の御遣いが大好きでしたからっ」

 腰に手を当てて、まるで自分が褒められたような得意げな顔で遠慮も無しに誇る、元娘。つい頭を撫でてしまうのは仕方ない。
 対する丕は、最初は驚いたものの、抵抗するでもなく撫でられた。顔、真っ赤です。

「い、いやっ……でもな。余裕が無い時だからこそ、“きっとこんな時のために遺しておいてくれたんだ〜”とか言って使いそうなものだろ……!」
「はい、もちろん居ましたが、夢枕に立って散々脅しました」
「幽霊時代になにしてんの我が娘ぇえーーーーっ!!」

 娘が随分とやんちゃでした。
 ああそうかそうだった! この娘、前まで幽霊だった!
 どうりで知らないだろう知識までぺらぺらと……!

「……ちなみに、脅しってどうやって……?」
「今まで辛くてもお金を使った者はいません。なのに今代のあなたが使って、歴史に汚名を刻みたいのですか? と」
「……泣いてもいいと思うな、その人……」

 ただその夢を見たあと、その人はとても頑張ったらしい。
 自分に自信が無い人で、たぶんどんなものでもいいから必死になるきっかけが欲しかったのだろう、と。

「結果として、父さまの遺産は使われずに済んだのです!《どーーーん!》」
「……うん……まあ……そうだよな……」

 左手を握り拳にして腰に。
 右手は自分の胸に開いて添え、“さあ、褒めてください!”とばかりに目を輝かせる元娘。
 ……ごめん、前言撤回。全然大人っぽくなかった。口調は少し変わったけど、昔のまんまだこの娘。
 呆然として動かない俺を、キラッキラ輝く瞳でずーっと見つめてきている。
 でも少しするとぱちくりして、“あれ?”って顔になってくる。
 褒めないと話が進みそうになかったし、実際助かったのでたっぷりと頭を撫でつつ褒めた。子供扱いしないでください、なんて言葉もなく、とても嬉しそうだった。

「けど、そっか。これでお金の心配は無くなったわけか。……どうするかなぁ、氣の道場」
「やってしまえばいいんじゃないでしょうか。そして日本人にも父さまの素晴らしさを存分に思い知らせて……!」
「100人以上と重婚するって時点で、もう日本国民ドン引きだと思うぞ……」

 だって俺自身でさえドン引きだ。
 幸せにしてやりたいとは思っていても、時代が違うし、半数は元とはいえ自分の娘とくる。抵抗は今だって物凄いある。やっぱりやめると言われれば即座に了承と言える。一秒了承が得意なジャム好きの奥さんにだって負けやしない。
 でも……そっか。
 いろいろと問題があっても、どう転がるかは使い手次第だ。
 曲がったなら潰そう。悪用したなら潰そう。逃げたなら地の果てまで追いかけて潰そう。
 そういったことを注意事項に書いた上で、氣の伸びには個人差がありますとでもデカデカと書いておけば大丈夫だろう。
 大丈夫だ、あの頃に道場で教えていたのと、そう変わらない。
 無料で教えろとか言ってきたら、じゃあそういった通信教育とか教材の価格を全て無料にしてくれとでも言おう。きっと誰も儲からなくなって暴動が起きるから。

「悩むくらいならみんなに相談するか。どうせ俺一人じゃ上手く出来ないだろうし」
「過去の都の政務をほぼ一人で回しておいて、よく言えますね、それ……」
「あー……懐かしいなぁ、そんなこともあったなぁ」

 将の大半が死んでしまったあと、寂しさや悲しみを紛らわすために仕事や鍛錬をしまくった。将とともに居る時間が無くなった分、どうしていいかが解らなかったのだ。
 静かな時間に埋没すると、叫び出したくなるから。
 そんなものが積み重なったいつかの夜、“怖い夢”を見て泣いているところを華琳に抱き締められた。
 ……不思議と、思い出しても恥ずかしくはない。
 結果として仕事と鍛錬ばかりになって、お金を使う暇さえなかったのが今になって吉に繋がった。
 あくまで結果だ。ここでこうして丕に訊かなければ、まだお金のことで悩んでいたに違いない。

(うん)

 やっぱり一人で悩む必要はない。
 男の俺がしっかりしなくちゃ、なんて考えも要らない。
 男達に自信を持たせるための王だとしても、別に女性を突き放したいわけじゃあないんだから。

「なぁ、丕〜」
「はい、なんですか父さま」
「男って弱いな〜……」
「お言葉ですが、父さま……。たとえ世の男性すべてがそうであっても、父さまはその限りではありませんっ!《クワッ!》」
「……お前もいい加減、俺を超人みたいに見るの、やめような……?」
「手から氣弾を放ち、木剣から光を放ち、疲れ知らずで延々と走り、全盛期の母さま方と鍛錬を繰り返す父さまのどこが超人でないと?」
「………」
「………」

 ……超人だった。
 いやいやっ、俺より上なんていっぱいっ……!
 い、いっぱい……!
 …………、…………お、男限定ってだけで、どうしてこう候補が出てこないかなぁあっ……!

「………」

 よし。今度左慈を誘って遊びにいこう。そうしよう。
 左慈や貂蝉は確実に超人だしね! うん!



───……。


 状況の解決方法が解ってからは早かった。
 皆様に訊いてみれば、誰もが二十歳前にはなんて言い出す始末で、嫌なわけでは断じてないけど少しは加減してくださいと言いたくなった。むしろ言った。
 そりゃああの頃に比べれば仕事なんて少ない。各国の発展のために頑張っていたあの頃に比べればだ。
 けれど現代に生きる今には、今でこそ必要な知識がたくさんあり、未来の知識を活かして改善案を出していたあの頃とは“忙しさの種類”が違う。種類? 方向性? ……ええいどっちでもいい、それを考える時間も惜しい。

「幸い、思考の回転は以前よりいいから助かってるけどさ……」

 言いつつも書類を纏める。さすがにもう竹簡などは使っていない。
 筆でもいいならやりたいところだけど、非効率であるって事実が勝っているのだ。
 急ぎの用事はメールを飛ばせばいいし、仕事の都合で誰かと実際に会って確認したいこと、などは絡繰を使って全速力。
 あの頃ほど馬は使われていない。蜀の一部が競馬大帝国みたいになっていた時は眩暈を覚えたけど、きっと気にしちゃいけない。

「いやぁ〜……この執務室にパソコンという機械。……何度見ても似合わない」

 むしろ書簡竹簡で確認するほうが頭の回転にはいいんだけどな……とはいえない。効率問題があるし。
 いい加減慣れないと。

「………」

 一心不乱にカタカタ。
 筆よりも早いものの、無機質って感じは否めない。
 直筆の報告書が懐かしいなぁ。
 だが断言しよう。三国の王となった今、報告書を三国から送ってもらって確認して返して、では、現代の仕事の回転速度には追いつけない。
 だからメールだFAXだ。
 ただし心を込める時は絶対に直筆。これは譲れない。
 確認する人が見やすいようにと長年……本当に長年鍛えた筆の文字……自分で言うのもなんだけど、綺麗に書けるようになっていると思う。

「タッピーツ」

 書かないけどね。
 無駄に達筆と呟きつつ、作業を続ける。
 纏めて、チェックを完了したら送るだけ。
 つくづく便利な世の中だ。でも会って話をする機会が減る分、相手がどんな顔で受け取っているのかも解らない。
 それは、ちょっぴり寂しい。
 けど。そう、けどだ。
 仕事の合間に作成したこの案内書……結構良く出来ているんじゃないだろうか。
 直筆で、絵も描いてみた自信作。

「いや待て」

 みんなの意見では、俺は絵が下手らしい。
 自分で描いたものを見ても誇らしげに胸を張れるのだが、下手らしい。
 それは絵描きさんが数年前に描いた絵を、黒歴史として恥ずかしがる感覚に似ているのだろうか。
 当時は上手いと思っていたのに、時間が経ってから見てみれば酷い有様、と。

「うーん」

 言ってしまえば案内書とは結婚式への招待状みたいなものだ。
 日本の家族や友人に送ろうとして作っているモノ。
 こんなもん送っている暇があったら帰ってこいって言われそうだけど、結婚式だ。是非来てほしい。来て欲しいけど……重婚式なんだよなぁ……困ったことに。
 俺が良くても……いや、まだ納得できないけど、俺がよくても招待状を受け取った相手は嫌悪するかも。嫌悪はしなくても引くだろう。
 ……アレ?

(今さらだけど帰る場所が不安になってきた)

 100人重婚に対して嫌悪感を抱いた人とかが、嫌がらせの一環で道場に悪戯描きとかしないといいなぁ。
 それに、たとえば───仕事で留守中の際、忍び寄る男数名……無防備にくつろぐ女性。
 襲い掛かった彼ら───……そして血祭りにあげられる。
 うん、何と言うか無理だ。
 少し想像を働かせてみたけど、襲い掛かったところで返り討ちに遭うだけだった。
 気配に敏感な彼女らが、自分に近づく相手に気づかないはずもなく……。

(男って……)

 弱いなぁ。
 やっぱりそう思ってしまった。
 ああいやいや、今はそれよりも先のことを考えよう。
 知り合いに送る手紙もしっかり直筆で書いたし、一つを書いてコピーなんて量産方法なぞとっていない。
 相手も忙しいだろうに、貴重な時間を割いてもらって招待するのだ……真心を込めましょう。うん……なにせこっちまで来てもらうのだ……ほんとごめんなさい。忙しいのにごめんなさい。

「拝啓、及川祐様。この度は───」

 さらさらと文字を書き連ねる……もちろん日本語で。
 彼も地味に御遣いの氣はあるから、言葉の壁は平気なわけだが……やっぱり文字は日本語じゃないと難しい。
 なので散々鍛えた綺麗な文字で、しっかりと招待の旨を伝えるべく……

「……なんか堅苦しいな」

 せっかくの友人に送る手紙だというのに、気安くなくてどうする。
 ここはまずフレンドリーに…………いや、あまり馴れ馴れしすぎてもな。
 でもあいつの場合は水臭いとかいいそうだし……うーん。
 あれか? 最初は冗談から入るとか……あ、いいかも。
 じゃあ───

「拝啓、及川祐様。このお手紙は呪いの手紙です。読んでから一週間以内にお返事をくれなければ、殺し屋があなたを殺しにうかがいますゆえ」

 ……殺し屋は物騒だな。

「んー……どうしたもんかな」

 筆をゆらゆら揺らしながら思考にふける。
 しかしそう簡単には彼が喜びそうな面白いことが浮かばない。

「及川……及川が喜びそうなこと───」

 女───待とう。
 さすがにそれはいろいろだめだ。

「………」

 普通に出そう。
 “つまらない招待状”なんて言われたら言われたで、それを話のタネにするだろうし。

「いっそ家族だけでひっそりとやるかな。……マテ。家族だけ、っていったって……家系図を見ると、この大陸のほぼが自分の家族に……!」

 盛大なパレードが脳裏に浮かんだ。……直後、頭を抱えた。
 解ってる、北郷解ってる。ひっそりとやったところであっという間にニュースになって、世界全土に知れ渡ることになるくらい。
 それならいっそ開き直って知ってもらうほうがいいんじゃないかとは思った。思ったけどキツい。

「いや……いや! こういう時こそ立たなきゃだろ、男の子!」

 精神はとっくに爺さんだけど、男を見せる時にこそ臆病になってくれるな!
 そう、これは戦だ。
 自分の弱さと戦えないというのなら、最初から複数の人を愛したりなどするな!
 頭を抱えて溜め息乱舞だった自分を奮い立たせて、椅子から立ち上がるや───……仕事の途中だったことを思い出して、大急ぎで片付けた。




ネタ曝しです。 *蒼い天の下で  もしも天を“そら”と読むのなら、中華一番のアニメを思い出さずにいられない。  とりあえず包丁をヌンチャクのように振り回すのはやめなさい。 *いい加減目覚めなさい  女王の教室より。いやぁ……ハマったなぁこのドラマ。  毎週始まるのが楽しみでした。 *100万円の教材  よくあるお話。  でも100万出して“個人差があります”の個人差に引っかかった人って悲しすぎる。  多くの人は大金を出したので“買っておいて効果が無かった”なんて、自分が騙されたってことを口にはせずに済ませます。  そんな時になったら素直に周囲に言いふらしましょう。  じっくりやってみて本当にダメだったら、です。  詐欺なぞ滅べとばかりに。 *タッピーツ  親愛なる殺し屋さまより。  ヤシロさんからのオテガーミを読んだマモーティ・ヤルケンが呟いた言葉。  殺される側の名前が毎度ステキ。  最初の相手の名前がMr.コロッサレルだった時はもうどうしてくれようかと。  キャラの名前が言葉などにちなんであるので、なんか面白い。  ダレカ・ドッカーノ=どっかの誰か  Mr.コロッサレル=殺される男  マモーティ・ヤルケン=守ってやるけん  増手 一(ますて はじめ)=はじめまして  太刻=ふとどき者  七忍 忍(ななしの しのぶ)=名無しのシノビ  デ・ダレー=で、誰?  麻田真友=まだマトモ  八手増朋=やってますとも!  ……と、いろいろありますが、ディンゴって犬でいいのかな。  ハイ、とりあえず書いてあるのはここまでです。  こんなお話ですが、続きが見たいというお方が居るのかどうか。 「……話を続けろ」  しかし最近付き合いであまり時間が取れずに 「続けろ、と言っているのだ!」  ワムウっていいキャラしてますよね。  そんなわけで、また気が向いた時、さらに時間がある時にでも。  いえまあ、やっぱり“コレジャナイ”と言われればそれまでですが。 Next Top Back