102/慣れると出来ることもある

 とある、まだ景色に薄暗さの残る朝。
 飽きもせずに城壁の上を走るは、俺と凪、そして春蘭。
 巡り巡って再び非番の日が来たらしく、それが三日毎の鍛錬に重なり、こうして二人で地面を蹴り弾き続けていた。
 凪と調子を合わせて走るでもなく只管に前を目指し、そうした中で中庭をちらりと見下ろせば、自身の得物をぶつけ合う思春と華雄。
 朝から付き合ってくれて感謝だが、ちゃんと寝ているんだろうか。
 特に思春には、俺が三日毎に鍛錬の日を入れることで随分と迷惑をかけてしまっている。とどのつまりは警備隊で仕事をしてもらっているんだけど。
 華琳も“思春ほどの人材を庶人扱いで遊ばせておくのはもったいないわ”とは言ってくれた。だから、まずは“俺の下に就いている”という俺でも時折忘れてしまう事実をもとに、警備隊に入ってもらった。
 思春自身も“貴様の下───警備隊長の下に就いているのだから、これが普通だ”と言ってはくれたんだけど、その勤務時間は主に俺が鍛錬をする日に集中している。だから俺の代役をやらせてるみたいで罪悪感がさ……ねぇ?

「ふんっ! なかなかやるなではないか北郷!」
「調子が戻るまで長かったけど、これでも走りでなら鈴々───張飛に勝ったことがあるんだ! いつまでも置き去りにされたままでなんかいないっ!」

 負けてなるものか、離されてなるものかと、春蘭のすぐ後ろを駆ける続ける。
 隙在らばたった一度でもいい、たった一瞬でも構わないから追い抜いてくれようと、前へ前へと地を蹴り続ける。
 だというのにあと少しの差がどうしても縮まらない。
 春蘭も春蘭で、俺に抜かれてなるものかと躍起になっているのだろうか。

「た、隊長っ! そう無理をされては……!」
「───っ!」

 その少し後ろを同じく走る凪が声をかけてくるが、声を返す余裕などは一切ない。
 走ること、前へと進む以外のことに強く意識を傾けてしまえば、それこそほんの少しの気の緩みが原因で差をつけられてしまう。
 だからちらりと凪を見て、せめて目で語った。
 「戦である! これは既に走りという名の道を、相手よりも一歩先に進まんする戦いである!」という言葉を届けんばかりの眼光を向けることで。
 ……そんなんで通じれば苦労はしないけどね。
 けれど、無理はしていない。鈴々に勝ったことがあるのも事実だ。今すぐ追い越すなんてことはできないものの、まだまだ体力に余裕はある。
 もっとも───鈴々に勝てたのなんて、たった一度だけだが。

「───春蘭さまっ、隊長っ! 次の角で約束の“ごおる”です!」
『!!《ダァッ!!》』

 なんてことを考えていようが、凪の声がかかれば一気にラストスパート。
 春蘭もさらに速度をあげんばかりの勢いだ。
 俺も、余力を残そうとはせず、ただ今この時の勝利を掴むために全力を振り絞る!!

『っ───……〜〜〜〜〜っ!!! おぉおおおおおおおっ!!!』

 いっそ角にぶち当たる気で───否! ぶちあたるだけではなく破壊し、さらに突き進む勢いで走る!!
 体勢は前傾! 倒れるだろってくらいに体を傾け、足に込めた氣で地面を弾き、前へ、前へ、前へ、前へ───!!
 その、前に───只管に前に出んとする意識と姿勢が僅かだろうが善に転がったのだろうか。俺はとうとう春蘭の横に並ぶことが叶い、その事実に驚き───もせず不敵に笑う春蘭は、角が近付いているにも関わらず力を込め、視線は俺にではなくどうしてか城壁の角の先へと向けられ───って、まさか。

『───フッ!』

 角に辿り着く。と同時にやはり地面を蹴り、直角に飛ぶようにさらに先へと走る!

「なにぃっ!? 北郷貴様ぁっ! 真似をするなっ!」
「やっぱりかぁっ! どうせどっちが先に辿り着こうが、相手より長く走ったほうが勝ちだとか言う気だったんだろっ! 到着は同時……だったら次はどっちが一歩先を踏みしめられるか……!」
「むぅうう! 北郷のくせに生意気な……!」
「追いすがっただけで生意気よばわり!? どっ……どこのスネちゃまだぁ!!」

 この場合はジャイアンか!? ええいそんなことはどうでもいい!
 売られた勝負は買いましょう! 一度でも今日は負けんと決めたのなら───一刀よ! 己の全てを吐き出してこそだろう!

『うぅおおおおおおおっ!!!』

 そして走る。
 体力、氣、呼吸。体の様々が続く限り、負けはせぬと断ずるように。

「しゅっ……春蘭さまぁっ! 隊長ぉおっ!? いつまで走るつもりですかぁああっ!!」

 後ろから聞こえる凪の声も大分呆れが混ざっている。
 きっとここで自分だけ止まったら悪いと感じたのだろう、律儀に走っていてくれる彼女に感謝と謝罪を心の中で届けるとともに、さらにさらにと前を目指し続けた。

───……。

 走りの鍛錬が終われば次は実技。
 一対一で戦うことを実技と呼べるのかは甚だ疑問ではあるが、それでもやっぱり相手が居ると研ぎ澄ます意識のレベルも変わってくる。
 ……特に相手が春蘭だとね。

「はっはっはっはっは! どうした北郷! かかってこないのかぁっ!」
「おっ! だっ! とわっ! たっ、とっ!」

 振るわれる模擬刀の一撃一撃をなんとか避けていく。
 一度受け止めてみたけど、手が痺れました。受け止めるにも、威力を逸らす氣を付加させなきゃいけないなんて、対峙する相手としてはとても疲れる相手だ。
 鈴々もそうだったから、むしろこのパターンはありがたくもあり、焦りの量も口で慌てて見せているほどのものでもない。
 春蘭はこちらが何もしなくても追い詰め、撃を振るう───それはイメージトレーニングで散々した通りのもの。追い掛け回されるイメージと戦い続けたのだから、追われることにそれほどまでの緊張は抱かなかった。

「───」

 冷静に、その動きを目に、頭に叩き込んでいく。
 思い出してみても呆れるほかないのだが、回転力は長柄の得物だというのに鈴々のほうが速かったりした。
 けれどその分、春蘭からは“確実に追い詰めて相手を潰す迫力”ってものを常に感じる。
 ……普段から追い掛け回されて耐性を作っていなければ、睨まれただけで動けなかったかもしれない。なるほど、こんな武人を前に得物を突き出した兵は実に勇者だ。

「むう……興覇? 北郷は何故反撃をせんのだ?」
「……。何故それを私に訊く」
「私の時にも攻撃はせず、避けてばかりの日が随分とあったから、少し気になったのだが……お前は北郷の鍛錬をずっと見てきたのだろう?」
「………」

 少し離れた場所で、俺と春蘭の模擬戦闘を見る思春、華雄の声が耳に届く。
 意識を集中しているからだろうか、他の音といえば剣と木刀がぶつかり合う音ばかりが聞こえるのに、人の声がやけに大きく聞こえた。
 しかし、華雄の質問に思春は答えず、少しの間を置いてから凪が口を開いた。

「あれはおそらく……反撃をしないのではなく、見ているのだと思います」
「見る?」
「───……ああ。あの男は相手の動きや気迫、仕合うことで感じる殺気や緊張といったものを覚え、その感覚と戦うことを基本においた鍛錬をしている。凪の言う通り、あれは見ているんだろう」

 凪に続いて口を開いたのは思春。なんかもう、見透かされてて少しだけ恥ずかしい。
 心境はといえば、学校でなんとなく上手くいった物事を、“みんなに見せてごらんなさい”と教師に言われた時のような……喩えが長いか。

「そんなものが鍛錬に役立つのか?」
「意識して違う動作を混ぜるように仕合わねば、面白いほどに先を取られることになる。それは、逆を説けば鍛錬に付き合った期間が長いほど、知られるということだ」

 それでも勝たせてはくれないくせに、よく仰る。
 とはいえ、鈴々にも言えるけど、春蘭も本能で戦ってるみたいで攻撃一つ一つにクセがない。なもんだから、これがこう来たら次は……なんて予測がてんでつかない。
 ただし、本能で戦う相手だからこそ軽い誘導は出来る。
 わざと軽く体勢を崩したり、隙を見せたり……そんなことをしたって野生の勘は誘いに乗りはしない。ならどうするかっていったら、その行動。自分の隙に説得力を付加させる。
 本能で動いているのなら、相手の氣の乱れ、慌て様、様々なものに意識が向いているはずだ。ならば身だけで慌てる様を見せるのではなく、氣でも意識でも本気で慌ててみせる。
 そこまでやって誘えたとして、問題になるのが……それこそそこまで本気でやってみせて、思うような反撃が出来るかどうか。
 これは相手の攻撃を誘うものであるって意識がある限りは、ほんの僅かの差だろうが体は早く動いてくれる。それを上手く誘導させることを、さっきから試しているわけだが……

(こっち……次はこっち、こっち───《ヂッ!》ヒィッ!?)

 そう上手くいかないのが世の中です。
 忘れてた! というか考えもしなかった! 本能っていうかもう好き勝手に振るってるだけで、相手の隙とか全然考えてないよこの人! 春蘭で、相手が俺だもんなぁ! そりゃそうだよ! 適当に振るっていればいつかは終わるって感じで、相手の隙を伺うとかそもそもそういった達人同士の探り合いをする気が全然ないよ!
 だったらどうする!? どう───って、鈴々と戦うつもりで突っ込むしかないだろ!
 小細工が通用しない相手ならそう! 最初から何も考えずに全力! ただし相手の動きとかはちゃんと頭に叩き込んで、いつでもイメージトレーニングが出来るように───!

「あ……見るのをやめましたね」
「見たところで参考にならんと踏んだのだろう。確かにどれだけ相手の動きを記憶しようと、本能で戦う相手に対してはあまり有効的とは言えんな」
「《ムッ》……“参考にならない”は、少し言いすぎでは?」
「相手を、ただ力で叩き潰せばいいと突撃してくる者の動きを覚え尽くす必要があるか? 相手を格下だと確信するあまり、攻撃の全てが避けられていることに気づいてもいない相手の動きを」
「───あ……」

 確かにそうだけど、簡単に避けられるほど楽じゃないぞこれ!
 追い掛け回すことが習慣化してたからだろうけど、大振りのソレでもどうしようもなく緊張はするし、大振りでも速いんだってば振る速度が!
 でも───よしっ! 男ならやってやれだ!

(集中……!)

 木刀に氣を込める。
 強く、強く。
 そして、大振りに放たれる春蘭の一撃にソレを添えるように振るい、自分に当たるはずだった軌道を強引に逸らす。

「なっ!?《ビシィッ!》はうっ!」

 そんな事実に春蘭が驚いたまさに次の瞬間には、既に行動を移していた俺の中指が、春蘭の額をビシィと弾いていた。

「な、あ……う……?」

 春蘭はといえば、散々と逃げてばかりだった俺の急な反撃に、額を押さえながらポカンとして停止。
 俺はといえば……そんな春蘭を見て、方法はどうあれ一撃を当てたことを素直に喜んだ。
 ……喜んだけど、逸らした先の剣が地面を抉っていることに、さすがに背筋に冷たいものを感じた。氣で強化してなかったら、今頃逸らそうとする力ごと叩き潰されて、あの地面のように大変なことに……。

「…………」
「…………」
「……えと、春蘭?」
「……認めん」
「エ?」

 目をまん丸くして停止していた春蘭だったが、急にボソリと言うと、キッと俺を睨んで模擬刀を構えた。

「今のは無効だっ! 次は本気で貴様を潰す!」
「いやいや春蘭、それはそうじゃなくてな? 仕合は3本勝負と決まってるらしいから、これから春蘭が3回勝てば問題ないんだ」
「んん? そ、そうなのか?」
「そうらしい。蜀の趙子龍が自信満々に仰ってた。だから一回卑劣にも隙を突かれようが、春蘭がここから3回勝てばいいんだ」
「おおなるほどっ! それは解り易いなっ!」
「あ。でも逆を言えばあと二回当てられれば春蘭の負けってことになるから、ちゃんと来ないとまた隙を突くからな」
「言われるまでもない!」

 ニヤリと笑う春蘭。けど殺気は明らかにさっきよりも重い。
 よ、よし、これでひとまずは目的の一つは達成。
 ただ適当に振るわれるだけだった攻撃も、これからは本物になるだろう。
 適当だったからこそ突けた隙がどれだけ変わってくるのかは解らないが───精々頭や体に叩き込もう。この意識が続く限り───!!


  続く───つづ、つ───ギャアアアアアアアアアアアア!!!


───……。


 えー……はい、結論。甘い夢見た俺が馬鹿だった。
 あっという間に二本返され、その時に生まれた“やはり余裕だ”という意識を突いて一本を返した……まではよかったんだが、大マジにおなりあそばれた魏武の大剣さまの攻撃で、大空を舞う俺が居ました。
 ちゃんと木刀で受け止めたんだけどなぁ……で、飛んだ先の木に背中をしこたま打ち付けて、立てはしたけど動きが鈍くなったところへあっさりと落とされる一撃。それで、三本仕合という名の模擬戦闘は終了した。
 いや、でも結構粘れた。勝てはしなかったけど、きちんと向かい合って二本取れたのが純粋に嬉しい。
 どっちも相手の油断を突いてのことではあったが、それはそれだ。油断するほうが悪い。

「くぅうう……っ……はっ……はっ……! 腕が……ま、まだっ……痺れてる……っ!」
「春蘭さまと本気でぶつかり合うなんて無茶をするからです」
「そりゃ……はぁっ……そうかも、だけど……っ! 鈴々とも結構……やって、たから……はぁっ……いけるかなぁ……って……!」

 ピリピリとした感触だけを、何かが這うような間隔で伝えてくる手の痺れ。
 間隔というからには時折感触が薄れるのだが、やっぱり一定の間隔でゾワゾワと戻ってくる。
 そんな感触を、木の幹に座り、凪に付き添われながら味わっていた。
 ……そう、本気でぶつかりあった。
 二本取られて二本取って、互いの三本を狙う際には小細工無しの全力。
 氣を全力行使して、振るわれれば受け止めもして弾きもして逸らしもして、もちろんそれだけではなく攻撃も散々とした。
 手の痺れなど知ったことかと気合いだけでぶつかったようなものだな、うん。
 結局は、“これは逸らせる”と自分の力を少しでも過信したため、空を飛んだ。
 もっと慎重になっていれば、まだ粘れただろうに。
 と、がっくりきているところに楽しげに近付いてくる影ひとつ。

「はっはっは、今回も私の勝ちだなっ」
「あ、あー……ああ……負けたよ……はぁっ……やっぱり……勝てないなぁ……はは、はぁあ……!」

 腰に両手を当てて嬉しそうに言うのは春蘭だった。
 俺も全力を出して負けたのだから、素直に両手を軽く上げての降参ポーズ。
 負けず嫌いなのも結構だろうが、こうまで真正面から叩き伏せられるとね。
 というか呼吸辛い。なかなか落ち着いてくれない。これでもマシになった方なんだが……ん、んん……深呼吸深呼吸……。

「すぅ……はぁあ……すぅううう……はぁあ………………。んっ、よし、と。……で、これからどうするんだ? そろそろ昼……は、もう過ぎてるな。あっちゃあ……完全に食いっぱぐれたな。どうしよ」

 どうしようもなにも、口に入れても食べられるかが疑問だ。
 さすがに吐いたりは…………しないよな?

「どうしようだと? 当然、食事をするに決まっているだろう。そうだな、今日の貴様は逃げずに頑張ったから、外に食いに行くのなら貴様の食いたい場所でいいぞ」

 そしてこの人は、あれだけ動いても食事は余裕らしい。
 ……春蘭と鍛錬してると、ほんといつまで経っても自分はまだまだだなって思うよ……。

「え……いいのか? じゃあ、三区画目のあっさり塩ラーメンが……」
「あそこは量が少ないから好かん」

 いえあの、量が少ないのを選んだんですが───?

「そ、そうか? じゃあ同じく三区画目の杏仁豆腐が美味い───」
「あんなちまちましたもので腹が膨れるかっ」
「え……えぇええ……? じゃあその隣の豚まんが美味い……」
「今日はラーメンの気分だからだめだ」
「………」
「? どうした?」

 いや、“どうした”って……相変わらずだなぁこの大剣さまは。
 変わらず、少しずつ深呼吸を繰り返しながら、体の熱が引くのを待った。
 その間にも行くべき場所を頭の中で検索、絞り込んでみる。

「ラーメンが食べたいんだな? ちまちましてないで、がっつり食える。となると───」
「大通りの登龍麺店でしょうか」
「だな。あそこは量も多いし、味もいいし───」
「そこは昨日食べたばかりだからだめだ」
『………』

 俺と凪、二人して固まった。
 どうしろっていうんですかあなたは。あなたはあれですか、なんでも会長任せにしておいてるくせに、文句や意見ばかりはちゃっかり言いまくる生徒会役員ですか。
 いや、大分違うか。

「……凪」
「はい、隊長」

 見つめ合い、こくりと頷く俺と凪。
 だめだだめだと言うのなら、良しと言わせてみせるのが我ら北郷警備隊。
 警備隊のくせに、やってるのは道先案内ばっかりなのは気にしない方向で。

「おーい思春、華雄ー! 昼餉、一緒に食べに行こう! リクエス───じゃなかった、どこか行きたい場所があったら言ってくれー!」

 どうせなら行きたい場所が重なったほうがいいので、軽く仕合をしていた二人に声をかけてから、ようやく痺れが取れた手を地面について立ち上がる。

(……うん)

 なんだかんだで鍛錬にもついていけてるし、この調子なら華琳が帰ってくるまで続けられるだろう。そうなれば、三日毎の鍛錬が可能になる。
 もちろん仕事は仕事できちんと片付けなきゃいけない。今日までの中でも凪や真桜や沙和の報告に加え、思春からの報告もきちんと受け取って纏めたりしていた。
 自分が確認したものをわざわざ俺に報告するのが嫌なのか、思春は俺を睨んできてたりしたが……それでも、嫌とは言わないんだよな。だからつい頼ってしまう。だめだなぁとは思うものの……うーん。
 などと考え事をしているうちに華雄と二人、こちらに来た思春に軽く質問を投げてみる。

「ん……なぁ思春。思春はさ、嫌なことは嫌って言うよな?」
「貴様が相手ならば特にな」
「…………ははっ、だよなぁ」
「……?」

 予想通りの迷いの無い即答に思わず破顔した。
 だから、聞こえるか聞こえないかってくらいの声量で呟いた。
 これからもよろしくと。





103/慣れてもできないこともある

 筆を走らせる音が部屋を支配する。
 鍛錬も結構だが、やっぱりやらなければいけないのが仕事。昨日の鍛錬の疲れがミシミシと体を蝕んではいるものの、本日の仕事は警邏ではなく書簡整理だからまだらいい。
 それに“やらければいけない”と使命的に言ってはみるものの、前にこの世界に居た頃よりも辛さは感じず、むしろ楽しんでやっている自分がいるのだ。
 何故かと言われれば、以前よりも解ることが多いことが大半を占めており……他を挙げるのなら、警備隊の仕事を誇りだと断じたことがあるってところからもきている。
 事実、“やっぱり自分の仕事といったらこれだろう”と頷けるから。
 治安もよくなって、窃盗食い逃げもあの頃に比べれば随分と減った。
 たま〜に他の街か邑かから来た人、裏通りの人がやったりもするが、そういった輩はあっさりと思春に捕まえられている。

「……よしっ、こっちはもう乾いたな」

 墨が乾いた竹簡をカロカロと丸め、積んでゆく。
 こうして山になったものを見ると思うのだが、こういうのって誰がどう作ってるんだろ。
 絡繰はあっても機械はない時代だから、もちろん手作りだろうし。
 職人業だなぁ。

「た〜いちょ〜〜……退屈なの〜……」
「はーいはいはい、それもう12回目だからな?」

 と、軽く別の方向に意識を向けてみれば、少しの間を黙っていた沙和が愚痴り始める。
 非番だからと最初は張り切っていたんだが、阿蘇阿蘇も読み終わり、爪などの手入れをなんとなく終了させた今、どうにも手持ち無沙汰らしい……って、こういったことを考えるのも何回目だろうか。
 しかも入ってきたらきたで、扉も閉めずに退屈だ〜と念仏のように唱え続ける始末。
 ええいどうしてくれようか。

「沙和ー? そういう時はな、一人で出来る楽しいことを開発するチャンス……いい機会なんだぞ? なにせ上手く思い付ければ、暇になっても暇潰しが出来る」
「だったら隊長、でーとしてほしいのー!」
「……いや。あのな? 見ての通り書簡整理中なんですが? あ、なんだったら美羽と一緒に勉強でもするか?」
「え〜〜〜……? 休みの日にまでそんなことしたくないのー……」
「ええいこの娘は……!」

 人の寝台で好きなだけゴロゴロして、阿蘇阿蘇を読みっぱなしで放置したりしているだけじゃあまだ足りないと申すか……!
 美羽を見なさい! 隣の円卓で静かに勉強してらっしゃるでしょう!?
 ……なんて言おうものなら妙に反発されるのが目に見えているので言わない。
 しっかし、本当に静かなもんだ。
 俺に迷惑はかけない、俺の期待に応えたいと言っていたけど、だからこそこうして静かに勉強してるのか?

「………」
「う、うみゅぅう〜〜……」

 まあその……それでも解らないものは解らないらしく、しっかりと理解しようと時間をかけた上で、申し訳なさそうに俺に訊ねてくる。
 ならばと俺も、答えではなく解き方をもう一度教えていく。

「むー……袁術ちゃんー、それ楽しいー……?」

 と、ここで人様の寝台にうつ伏せに寝転がり、足をぱたぱたさせていた沙和が質問を投げてくる。それすらもただの話題作りなのか、言葉にあまり感情がこもっていない。

「ふふーん、お主には解らぬじゃろうの。こうして苦労して覚えたことは、けっして……けっして…………お、おー……?」
「自分を裏切らない、な?」
「おおっ、そうなのじゃっ、自分を裏切らぬのじゃ! それに、出来ると主様が褒めてくれるでの、たくさん覚えてたくさん褒められて、いずれは妾が主様を隣で助ける者になるのじゃ」
「……そっか。ありがとな、美羽」

 美羽は……殴ってしまい、仲直りしてからは随分と丸くなった印象がある。出来ることはなんでも自分でやろうとする姿勢になったし(あくまで“やろうとする”)、妙な見栄を張ることも少なくなった───のだが。丸いのは何故か俺にだけであって、魏将とはそれなりに衝突していたりする。そこのところは妙な意地があるのか、打ち解けるまではなかなか時間が必要になりそうだ。
 しかしまあ、なんだろう。隣で助けるって、知識的なことでだろうか。
 今からいろいろ学んで、活かせるようになるにはどれくらいかかるかを考えてみる。
 ……いや、期間は関係ないか。今ここで頑張って、いつか役に立ちたいと願ってる。それでいいんだよな、きっと。俺だって、国に返すためにこうして頑張ってるんだし、美羽の場合は“返したい気持ち”っていうのが俺に向いているだけなんだ。
 怒って殴って心配して、無視して振り向かされて抱きつかれて泣かれて───どこらへんに俺に返したいと願うきっかけがあったのか、いまいち掴みきれてない俺だけど……うん。そういう気持ちは素直に嬉しい。
 あの後の華琳の言葉や、美羽が俺の目を覗きこんだところに答えはあるのだとしても、それを真正面から受け取ってしまうと今以上に甘やかしてしまいそうで、それが出来ないでいる。
 断言しよう。俺、絶対に子供が出来ると甘やかしまくる。

「うーん……ねぇ隊長ー? 隊長は仕事、手伝ってもらえたら嬉しい?」
「ものや程度にもよるけどな。ほら、自分が得意な仕事があったとして、自分だけのほうが早く終わらせられるのに〜……って思う時、あるだろ?」
「あ、うんうんあるあるー! 絡繰いじってる真桜ちゃんがそんな感じなのー!」
「真桜はなぁ……趣味が仕事になってよかったなとは思うけど、邪魔すると怒るからなぁ」

 俺が作った問題集を前に、うんうん唸りながらも筆を動かす美羽を、ちらりと見ながら頬を掻く。

「それはそうだよー、邪魔されて喜ぶ人なんていないもん」
「だな。で、そう仰る沙和さんは、いつまで俺に話し掛けますか」
「だって退屈はお肌の天敵なのー! たいちょーたいちょー、でーと〜!」
「いつからお肌にそんな天敵が追加されたんだよ! だ〜めっ! 仕事ほったらかしにしてデートなんてしたら、鍛錬取り上げどころか罰が下されるだろっ!」
「ぶ〜……! 前の時はなんでもよかったのに、ひどいのー……!」
「前回のが条件が厳しすぎただけなんだって。それよりほら、美羽と同じ問題を作ったから解いてみなさい。退屈しのぎにはなるだろ」

 ぐで〜と伸びている沙和の傍まで歩き、書き、墨が乾いた竹簡をほいと渡す。
 こちらを見上げてくる表情は……実に面倒臭そうだった。言葉にするなら「え〜?」だ。
 むしろ普通に言われた。

「いいから軽くやってみろって。ここでぶちぶち言ってるより、よっぽどいいから」
「えー? だって《がばっ》ひゃぁんっ!? やっ……たいちょっ!? なに───」

 ぷ〜っと頬を膨らませていた沙和を強引に抱き上げ、妙な誤解を受ける前にすとんと美羽が座る円卓の向かいの席に座らせる。
 そうしてから筆と墨と竹簡を渡し、ニコリと笑ってサムズアップ。
 幸運を祈る。

「むー……あ、隊長たいちょー? これやるから、なにかご褒美がほしいのー!」
「書簡整理の仕事を差し上げよう」
「そんなのいらないの……」

 即答だった。
 いや、もちろん冗談だし、差し上げる気もさらさらない。自分の仕事だしね。

「けどな、ご褒美っていったって急に振られてもなにも思いつかないぞ? あ、デートは却下だからな?」
「あうっ……さ、先に言われちゃったの……」

 やっぱりか。でも褒美……褒美ねぇ……。

「あ、じゃあ」
「艶っぽいのも却下。ほら、いいからやってみるやってみるっ」
「うぅー……こんなのつまんないのー……」

 それでも筆に墨をつけ、問題が書かれた書簡を見ていく。
 そんな様子を見て真っ先に思うことが、“こっちのほうでも黒板とかチョーク、なんとかしたほうがいいだろうな”なんてことだった。
 あって損はしないし、そもそも便利だ。
 勉強のたびに竹簡と墨を用意するのもなぁ。

「褒美ねぇ……満点取ったら昼餉をおごるっていうのはどうだ? 昨日は凪たちにご馳走したし」
「えー……? 満点なんて無理なのー……」
「いきなり随分な弱気だな……そんなに難しいか?」

 軽い授業の中でもきちんと教えてきたものだ。
 これは?と訊かれれば、こうですってすぐに返せるような問題なはずなんだが。
 と、そんなおり、

「でっ……できたのじゃー! 主様主様、見てくりゃれっ? 全部きちんと出来ておるであろっ?」

 うんうん唸る沙和の正面で、竹簡を両手で持ち上げながら喜ぶ美羽。
 きちんと考えて解けたことが嬉しいのか、はたまたとりあえず全てに答えを出せたことが嬉しいのか、文字通りの満面の笑みで席を立ち、竹簡を差し出してくる。
 そんな美羽の頭をよしよしと撫でながら竹簡を受け取って採点。
 さてさて、どうなっていることやらと、椅子に座り直したところで美羽がちょこんと膝の上に乗ってくる。
 沙和がぴくりと反応を見せたが、俺にとっては季衣を始め、他国の将にもこうして膝を提供したことがあり、なんかもう座りたいならどうぞって感じだ。
 だから特に気にすることもなく採点をする。
 美羽はその採点を俺より近くで見て、時折にごくりと喉を鳴らしていた。
 解る、解るぞ美羽……目の前での採点って凄く緊張するよな。

(問題は二十問。対する正解は……)

 この世界の問題じゃないから間違いが多いのは仕方が無い。
 大事なのは最後までやりきること。でも、仕方なく最後までやるのと諦めないで最後までやるのとじゃあいろいろと違う。
 そういったことを学んでほしくもあり、こうして暇が出来ると問題を出しているのだが……お、おお? 正解、正解、正解……おぉおおっ? 何気に正解が多い!?
 ……と思ったら、途中からは不正解の嵐。
 なかなか上手くはいかないもので、二十問中八問正解という形に落ち着いた。

「うみゅぅ……半分は正解じゃと思ったのじゃがの……《わしゃしゃっ!》わぷぅっ!? ぬ、主様!?」

 さっきまでの元気が嘘のように落ち込む美羽の頭を、ちょっとだけ乱暴に撫でる。
 頑張ったのに落ち込む結果の辛さを知っていればこそ乱暴に。

「落ち込まないの。八問正解ってことは、教えたうちの八個を覚えることが出来たってことだろ? じゃあ次は九問正解すればいいよ。べつに同じ間違いをしたって怒ったりはしないから」
「主様……」
「ただ、解らないからって考えること自体を放棄するのはだめだぞ? 覚える気があるならきちんと教える。覚える気がないなら、そりゃあやめちゃってもいいかもだけど……後悔ってのは先に立ってくれないからなぁ。教えてくれる人が傍に居るうちは、なんでも覚えてみるのもいいもんだよ」

 そう伝えてから、俺へと軽く振り向く美羽の頭を胸に抱く。
 どうしてそんなことをしたのかな、なんて軽く考えてみると、答えなんてあっさり出た。
 俺も、教えてくれる人に囲まれながら成長している途中だからだ。
 人に偉そうに言えるほどにこの世界を知っているわけでもない。
 半端に生きて、この世界に飛んで、戦を知って死を知って、“人が生きるために必要なこと”を何度も何度も様々なものを吐き出しながら知ってきた。
 些細なことで泣いて、些細なことで世界って箱庭から逃げ出したくなっても、明日へ辿り着けばまだいいことが待っているかもしれないなんて理由で生きるのとは違う。生きたいからこそ、米の一粒のために死地へと歩む人を見た。
 この地に教わり、祖父に教わり、天の書物に教わり、再びこの地でどれほどを学んだだろう。
 他国を回ることで知ったこと、第二の故郷でもあるこの魏で学んだこと。
 それら全ての知識を合わせたところで、泣いた子供一人を笑顔にするのでさえ苦労する自分が居る。

「んみゅ……よく解らぬが……心地良いの、これは」
「……。ああ」

 いつかの戦、いつかの出城にて、華琳に頭を抱かれてありがとうを伝えられた。
 それを思い出したら、“俺もこうして、誰かにありがとうを伝えたいのかな”なんて考えが浮かぶ。もしそうやって、ありがとうを伝えるのだとしたら、どんな言葉がいいだろう。
 この世界に来させてくれてありがとう? みんなに会わせてくれてありがとう? もちろん思っていることだが、なにか違う気がした。

(……あれ? 来させてくれてありがとうなら、俺は貂蝉が言ってた銅鏡か、もう一人の誰かさんの頭を抱かなきゃならないんだろうか。待て、そもそも銅鏡に頭はないぞ)

 穏やかだった気持ちが、軽い疑問を持った所為で滅茶苦茶になってしまった。
 けれども美羽の頭は胸に抱いたまま、ゆっくりと撫でる……のだが、沙和が頬を膨らませながら睨んでいることに気づいた。
 しかもこの状態をどう受け取ったのか、ごしゃーとかつてない速度で筆を動かす沙和さん。そうして問題分の答えを連ねた竹簡をどうだとばかりにニッコリ笑顔で突き出してくると、勢いにたじろいだ俺へと今ぞとばかりに抱き付いてきて───ってこらこらこらっ!!

「袁術ちゃんばっかりずるいのー! 沙和も撫でてー!?」
「そういうことは採点くらいさせてから言おうな!?」

 そう言いながらも、こうしたドタバタにひどく安心している自分を感じた。
 本当に、どこまでお人好しなのか。
 結局そうしてドタバタに巻き込まれて時間を無くしても、仕方ないって笑っている。
 もちろん二度目まで失敗するわけにはいかないから、そんな仕方ないって笑みもどうにか引っ込めて仕事に戻るものの───そうだなぁ……。
 うん、そうだな。まずはこれだ。
 この世界で今まで経験したことの様々を思いながら……やがて、何を争っているのかギャーギャーと騒ぎ始める沙和と美羽を両手で抱き締める。
 二人は急なことに少しだけ硬直してみせ、そんな硬直の隙に言いたいことを言ってしまうことにした。

「傍に居てくれて、ありがとう」

 言いたいありがとうを数えればきりがない。
 届けたい気持ちを頭に描いたところで、いくら口にしても唱えきれないだろう。
 ならば今、あの乱世を抜けた先に今でこそ、生きて傍に居てくれる事実にありがとうを。

『………』

 二人は特に反応を見せない。
 何を言うでもなく、身動ぎをするでもなく───ただ、大事なものを離すまいとするかのように、ぎゅうっと俺を抱き締め返してきた。

「………」

 穏やかな時間。
 筆が走る音も、誰かが騒ぐ音も聞こえない。
 風に揺れる草花の音、鳥の鳴き声ばかりが耳に届き、そうした静けさの中で、俺は───

「一刀殿、今日のまろやか麻婆のことなのですが───はっ!?」
「あ」

 ───開けっ放しの扉の先から、ひょいとこちらを覗く稟と、視線を交差させた。
 少女二人を抱き締める俺。嫌がるでもなく何も言わず、抱き締め返してくる二人。
 抱き締めている二人からは見えない……というか見る気もないのか本当に身動ぎひとつしないが、見えてしまう俺の視線の先には、見る間に顔を紅潮させてゆく稟が……!!

「ま、ままま待てっ! ストップ稟! ここ最近は鼻血なんて出してなかったんだから、妄想だめ! 妄想禁止!」
「か、かかかっ……一刀殿がっ……両手に童女と少女を……! 嫌がる様子も見せない二人はこれから彼になにをされるかも知らず……い、いいえ、知っていても抵抗する気さえなくっ……! しかもそれを知ってしまった私までもを捕らえ、北郷隊や数え役萬☆姉妹とともに鍛えた三人同時に食らう淫技を……!」
「離れてても聞こえる声でそういうこと言うのやめよう!? り、稟っ! 抑えて! それ以上先に進んだら───」
「まずは一人ずつ、いつしか二人、やがて三人に……! 扉を開けたままという大胆なる行動も、恐らくは訪れた女性を次々と閨へと引きずりこむため……! あぁっ……華琳さまや桂花が居ないのをいいことに、抑え付けていた獣がとうとう解き放たれて、この国の女性という女性を……!」
「…………あれ?」

 鼻血が出ない。
 それどころか次々と妄想を働かせて、その度にうへへへとかえへへへとか怪しい笑みをこぼす稟は、もはやブレーキを無くした乗り物のように止まることなく怪しい言葉を放ち続け……って赤っ!? 顔すごい真っ赤!!

「りりり稟っ! まずい! 妄想やめてほんと!」

 抱き締めていた二人に断りを入れ、稟の傍へと駆ける。
 鼻血が出ないのは、食事での血管や粘膜強化の賜物といっていいのだろうが、この赤さは怖い! 血管破裂するんじゃないかってくらい怖い!
 そして人の話全然聞きやしないよこの妄想娘ったら! うへへへへじゃないってば!

「えーとえーとこういう時はぁああっ……!!」
「たいちょー! 抱き締めるのー!」
「! よしきた!」

 悩んでいる時に放たれる誰かの助言ってありがたいよね。
 だから咄嗟に、顔が段々と紫色っぽくなってきた稟を抱き締めたんだが。

  ……次の瞬間、世界は赤の色に包まれた。

「ギャアーーーーーーッ!!!」
「きゃああーーーーーっ!? きゃーーーーっ!!」
「ぴきゃーーーっ!? 赤いのじゃーーーーっ!!」

 抱き締めた俺を振りほどくほどに大きく仰け反り、そこから放たれるは赤の雨。
 我慢した分と妄想した分、その量は凄まじく……部屋の中が真っ赤に染まったその日、俺はまず、血管強化よりも妄想癖を直させる必要があることを、心の奥に刻み込むことで知った。

 ……ちなみに沙和の答案だが、一問たりとも正解はなかった。




ネタ曝しです  *北郷のくせに生意気な  ドラえもんより、スネちゃまの名台詞。のび太のくせに生意気だ!  *男ならやってやれ  マサルさんですね。  *甘い夢見た俺が馬鹿だった  カメレオンより。残高0円……甘い夢見た俺が馬鹿だった。  パチンコはね、怖いよ。  はい、60話をお届けします。  なんでしょうね、盆の忙しさ。  皆様が基本的に休みの日は、凍傷は仕事です。  先生、僕も夏休みが欲しい、です……。  せめて盆休みくらい欲しかったなぁ……。  ようやく訪れた休みも家族の用事で一気に減少。  家族サービスって素晴らしいなぁくそう。  えーと、ツッコまれて気づいたのですが、この60話が途中の状態でUPされてました。  「既に見ていたよ、フフフ」という方へごめんなさいを。  最近一話丸ごと長い話ばっかりだから、短編っぽくしてみようかって考えでこんなのになりました。  やっぱり短くまとめるのは苦手です。  では、また次回で。 Next Top Back