08/竜のはごろもフーズ

【中井出博光/ブラムブルムブルームブレム】

 人は言う! 人は叫ぶ! 人は問い唱え求め乞うだろう!

中井出「いきなりだが才人。キミってどんなパンツが好き?」
才人 「うぇえっ!? ほんといきなりだな!」

 やあ僕博光。
 数日を待って、僕らはシエスタの帰郷に合わせて魔法学院を出ました。
 今はタルブの村って場所を目指し、お馬さんパカパカ。

ルイズ 「なななっ、なに言い出してんのよあんた!」
シエスタ「あ、あの、ヒロミツさん……?」
中井出 「ちなみに俺はトランクス派だ。ブリーフはどうも性に合わなくてね」
才人  「………………あれ?」
中井出 「キザったらしいナルシーさんはビキニパンツとか穿くらしいけど、
     あれって穿き心地とかどうなんだろうね?」
才人  「…………なぁ、提督? パンツって……男モノのこと?」
中井出 「? この博光がおなごの下着になんぞ興味を示すとでも?」
才人  「……ないな」
中井出 「俺ね……下着泥棒とかの気持ちがとにかく一番解らんと思うんだ。
     何故下着? 盗んでどーすんの? パンチラとかも何が嬉しいのか解らんし。
     アニメとか漫画で無駄にパンチラとか連続すると、軽く殺意が沸くよ」
才人  「そこまでかよ」

 わやわやと談話しながら荷馬車が揺れる。
 いやはや、速い乗り物でゴシャーと飛ぶのもいいけど、景色を堪能するならやっぱりこれさー。のんびりさー、のんびりすぎる俺さー。

中井出「で、パンツなんだけど」
才人 「男同士で男のパンツの話して何が面白いんだよ……」
中井出「女のパンツの話なら面白いと? ……そうか……お前、変態さんだったのか」
才人 「んなぁっ……!?」
中井出「だが安心せよ。
    この博光は誰がどんな嗜好を持ってようと、面白いヤツならOKである」
才人 「変態じゃないっ!」
中井出「え? そうなん? じゃあパンツだ。
    ステテコパンツのステテコってどういう意味なんだろね?」
才人 「………」

 それからしばらく、俺と才人は首を捻りながら馬車に揺られた。

                     
───……。


 才人は竜の羽衣を見て、目を丸くした。
 俺は、はごろもフーズブランドのシーチキンが食いたくなった。

中井出「シーチキン食いたい」
才人 「はごろもフーズかよ」

 目を丸くしていた割りに、あっさりとツッコミを入れるキミに感謝を。
 つーわけでここはタレブーメイド婦長……ではなく、タルブの村の外れ。
 そこに建てられた寺院に、安置されていたのがコレさ。

才人 「これ……零戦だよな」
中井出「いや。俺は南葉高校が誇る期待の超新星、剣道部の田中だ」
才人 「提督のこと聞いてるんじゃねぇよ!!」
中井出「あ、あらそう?」

 チベットパドマー寺院に安置されていたそれは、確かに零戦だった。
 ところで3×3EYESを読んでる人に、寺院といえば?と訊ねたら、まずチベットパドマー寺院が浮かぶんじゃなかろうかと思う……こんにちは、博光です。
 ここはただのタルブ寺院ですので、チベットは関係ないですが。

シエスタ「ヒロミツさん、これが何か知ってるんですか?」
中井出 「うむ。かつて、我が祖国日本に存在した戦闘機……その名も零戦。
     空を飛ぶ、敵を殲滅するために作られたものさね」
シエスタ「敵を……じゃあ、それに乗って現れたっていうひいおじいちゃんは……」
中井出 「うむ。うぬのその黒い髪。それは我が祖国の血によるものだということ。
     きっと日本の血を色濃く受け継いだのだろうよ」

 いやしっかしこれは見事。
 アニメや挿絵で見るのとじゃあ大違いだぜこりゃあ。
 この色このツヤ、そしてこのコク……旧時代の兵器とはいうけど、見事。

中井出 「シエスタ、他になんかない? うぬのひいおじいちゃんの遺書でもなんでも」
シエスタ「あ……はい、お墓と、遺品が少しですけど」
中井出 「ベネ! 是非見せてくれい!」
才人  「あ、お、俺も……!」

 シエスタとともに歩き出すと、才人も少し興奮気味についてくる。
 ルイズは“竜の羽衣”を見上げ、「こんなものが空飛ぶわけないじゃない」とぼやいた。
 そんな彼女をほっぽって、我らは寺院の外にある、すっかり植物の蔓でぐるぐる巻き状態の墓石へと歩み寄った。
 これまたなんとも……墓石だよ墓石。日本の墓だ。
 よくもまあこんなものを……

シエスタ「ひいおじいちゃんが、死ぬ前に自分で作ったそうです。
     異国の文字で書いてあるので、誰も銘が読めなくって。
     なんて書いてあるんでしょうね」

 シエスタがどこか寂しそうな声で言う。

シエスタ「この文字を読めた者に羽衣を譲ると、遺言を残したそうです。
     そして、出来ることならば陛下に竜の羽衣を返してほしいと。
     陛下ってどこの陛下でしょうね。
     結局誰も、ひいおじいちゃんがどこの国の人なのか、解らなかったんです」
中井出 「なんと!? 零戦をくれると!? 太っ腹だねひいおじいちゃん!」
才人  「墓に向かってそういうこと言うなって!」

 とまあ冗談はさておき。
 俺と才人は真面目モードに心を切り替えると、そこに刻まれた墓碑銘を見て、一度息を飲んだ。

中井出 「オ……ッ! オンドゥルヌス=ドスコイカーン=剣邪気、ここに眠る……!」
シエスタ「ドスコイカーン!?」
才人  「意味ありげに息飲みながら真顔でウソつくなよ!」
中井出 「やあ、かぁるいジョーク。えっとねシエスタ、これにはねぇ……」

 墓碑銘を読み上げる。
 そこには“海軍少佐佐々木武雄、異界ニ眠ル”と刻まれていた。

シエスタ「ササキ、タケオ……?」
中井出 「うむ。君が望む永遠ファンディスクに出てきたデブだ。
     萌えるとウネウネ動いてキモイ」
才人  「それ竹尾タケオだから!! どんだけ死者冒涜してんだよあんた!!」
中井出 「ああ……いいねぇ、やっぱこう、同じ知識でツッコんでくれる人が居ると、
     ボケ甲斐もあるってもんさ。ところで18禁ゲームのことなんで知ってんの?」
才人  「あぁーーーははははっ!? し、しえすたぁっ!?
     零戦見よう零戦っ!! 俺モットアレ見タイアルヨーーッ!!」

 ……やったことあるンスネ?
 まあノートパソコンも持ってたわけだし、年頃の男の子だものねぇ。真・恋姫のことも知ってるみたいだし、今更ですわい。
 とまあそれはそれとして、慌てて零戦のもとへと戻った才人を追って、再び寺院へ。
 才人は零戦に触れ、静かに頷いていた。

中井出「まあ、それも武器だかんなぁ」
才人 「……ああ。整備すればちゃんと飛べる。けど、燃料が……」
中井出「ふむ……これか。《パコリ》…………カラッカラだな」
才人 「だよなぁ」

 この世界に燃料なんてものはありそうにない。
 ならば創造しましょうホトトギースハワード。

ルイズ「ねぇ、こんなもの見ててもしょうがないでしょ? 村に行きましょうよ」
中井出「ままま、えーからちぃと見とき。あー……」

 燃料タンクを覗きながら、賢者の石の力を発動。
 全ての構築要素を文字列として眺めながら、その在り方を分析、想像、創造───創り出した一滴をコピーし、燃料タンクを満たして栓をする。
 あとはところどころ痛んでいるところを修復、強化して……おっと、機関砲もあんまり弾がないな。
 じゃあこれは無限複製弾に変換しておいてと……うむ、トリガーを押せばいくらでも実弾が出るように変換した。
 こうなると別のギミックも欲しいね!
 えーと……おお! オールレンジミサイルとかマイクロミサイルポッドとかもいいね!
 ホーミングミサイルもいいし……!

中井出「才人! これ改造すっべー! 頑丈に鍛えてヒロラインに導入する!
    えーとまず零戦の在り方を〜〜っと……“器詠の理力”(バストラルフォース)」

 才人と同じく、零戦に触れて“武器”の在り方を知る。
 そこから分析し、イメージの全てをユグドラシルへと送る。
 ……OK、これでいつでも使える。壊れてもコピー出来るってなもんさ。

中井出「まず構築素材をオリハルコンに変換して……剥げ掛けた塗装も明確に塗り直して。
    後方に回られた時用に支援ガトリングも設置しよう。
    ロックオンすれば何処までも追いかけるマイクロミサイルポッドもつけて……」
才人 「それもう零戦じゃねぇよ」
中井出「大丈夫大丈夫! 俺別に戦闘機マニアじゃないし、
    ここには俺と貴様しか零戦を知る者はおらぬ!
    戦えるかどうかが重要なのさ! マニア心で己の命が救えるもんかい」
才人 「……まあ、そうだよな……そう、そうだよなっ!
    じゃあ提督! ここにさ、衝突用の迎撃ニードルとか……!」
中井出「おお! 確かにやぶれかぶれで体当たりとかされると面倒だ!
    突っ込んできたらスパイクシールドが飛び出るギミックを……!」
才人 「おぉおおすげぇ! かっけぇえ!!
    あ、提督! 対魔法装甲もつけとかねぇと!」
中井出「おおそうだった! じゃあ次は───!」
才人 「じゃあアレも───!」

 一度ついた火ってのはなかなか消えないもんです。
 僕と才人は興奮を隠すこともせずに零戦と格闘し、改良に改良を重ねた。
 もちろんカタチを変えることだけは絶対にせずだ。
 何故なら、カタチまで変えたらこれは本当に零戦ではなくなるからである。
 だからそれ以外を変えるのさ! 僕らの思考───無限の自由が許す限り!


───……。


 で……

中井出 「ほれシエスタ! 乗って乗って!」
シエスタ「は、はいっ!」

 タルブ村から歩いた場所、広く綺麗な草原に、それは運ばれた。
 零戦なのにオリハルコン素材なんて馬鹿みたいな飛行機。
 まず乗せるとしたらやっぱシエスタでしょうってことになり、パイロットは僕が務めることに。

ルイズ「なによ……こんな広い場所に持ってきて。まさか本当に飛ぶっていうの?」
才人 「飛ぶさ。見てろ? これが……俺達が住んでた世界の技術だ」
ルイズ「………」

 シエスタを後部座席、僕は操縦席に乗り、手を振る才人に手を振り返す。
 そいでもって器詠の理力を発動……操縦桿を握り、起動、回転、発進───!!
 それらが高速で処理された頃には、俺とシエスタは遙か空の上に存在していた。

シエスタ「わ……わ、わわっ……わーーっ! うわーーーっ!!」

 シエスタは普通に生きるだけでは見ることも出来なかったであろう、空からの故郷に目を輝かせた。
 言葉になっていない言葉を発して、その声調だけで興奮しているのがよく解る。
 俺も試しに大地を見下ろし、千里眼を使ってみれば……こちらを見上げて目をまん丸にしているルイズの姿を発見。思わず笑ってしまった。

中井出 「よぉうしっ!
     村の連中にもひいじいさんが嘘吐きじゃあなかったことを教えてやろう!」
シエスタ「はいっ! はいっ!!」

 興奮と、曾祖父がウソをついていなかったことが証明された喜びからか、少しだけ涙声めいた声が聞こえた。
 実に結構! 家族を信頼できること、“信頼したい”家族が居る者は実にいい!
 さあ村人たちよ! これが貴様らが信じていなかった竜の羽衣だ!

中井出「シエスタァッ! しっかり掴まってろぉっ!?
    イィイイヤッホォオーーーーイ!!! スカイツイスタァアーーーーーッ!!!」

 空気を巻き込み、回転しながら空を飛ぶ!
 その、上空から聞こえる空気を捻る音に、眼下の村から人影がワラワラと!
 そして後ろからはごちんとなにかがぶつかる音と、「はきゅっ!」て声が!

中井出 「ぬう! 平気かね!?」
シエスタ「はたた……は、はい、ちょっと頭をぶつけただけですからっ」
中井出 「うむよし! ならば見たまえ! 村人の驚く様を!」
シエスタ「もう見てますっ! あははっ、みんなあんなに驚いてっ……!」
中井出 「よっしゃよっしゃ! ではテスト飛行はこれにて終了!
     才人たちのところに戻りますぞ!」
シエスタ「はいっ!」
中井出 「……あ、墜落してみるから全力で掴まっててね?」
シエスタ「はいっ! …………はい? ───…………ぃぃぃいいやぁあああっ!!!?」

 耐久実験である!
 もちろん落ちた程度ではこのオリハルコン、欠けることすらない!
 だが内部も守れてこその乗り物よ! 故に───衝撃吸収マットさん! 出番です!
 先ほどのような頭部をぶつけるなどという失態、見事無くしてくれよう、ぞ!

中井出「合い言葉はトルネード! バイクじゃねーが気にするな!
    トルネェエーーーーーーイドゥ!!!」

 最高速度を以って地面へ激とドガァンッ!!
 ガンガガガガゴシャーーーーッ!!!!
 …………シュゥウウ……

中井出 「そして僕らは無事である」
シエスタ「…………《ぽかーん……》」

 激しい衝撃はあった……んだろうが、内部までは届かない。
 うむ、やはりいじくれるものってのはいいもんです。
 抉れた大地は即座に修復、これ鉄則です。

才人 「提督ー! どうだったー!?」
中井出「うむ!《ギャカンッ》レアバードでは味わえん、
    戦闘機ならではの空気を味わったぜ!」

 風防を開け、外の空気を吸いながら高らかに宣言。
 シエスタを抱きかかえ、零戦の隣に走ってきた才人の傍に降りると、興奮の冷めないシエスタと才人の顔を交互に見てからニカリとスマイル。

才人 「お、おぉおおお……! ルイズ、ルイズ! 次俺達乗ろうぜ!」
ルイズ「い、いやよ! そんな、墜落しなきゃ降りれないような乗り物に、だだ誰がっ!」
才人 「今のはただの耐久実験だからっ! ……降りれるよな?」
中井出「おう全然平気さね。行ってきんさい?」
才人 「よっし! ルイズ、ほら早くっ! 乗らないなら俺だけで行っちまうぞー!?」
ルイズ「う…………まあ、どうしてもって言うなら……乗ってやらなくもないけど」
中井出「どうしてもとは言わないから才人だけで行ってきなさい」
才人 「解った」

 グッと親指を立ててみせると、トトンッと零戦に乗り込む才───

ルイズ「って待ちなさいよ! 解ったわよ乗るわよっ! 乗りたいわよっ!」

 ───人、と続くはずがカットが入りました。

中井出 「コココ……! 最初からそういやいいんだよぉおお〜〜〜っ!
     しょぉおおがねぇなぁあ〜〜〜っ!!
     まったくよぉお〜〜〜、しょおぉお〜〜〜がねぇなぁあ〜〜〜〜っ!!」
ルイズ 「……出でよ灯火、プチファイア」
中井出 「《ジュゴンッ!》おや? ……キャーーーッ!!?」
シエスタ「ヒヒヒヒヒロミツさん!? お顔が! お顔が燃えています!!」
中井出 「サクラ大戦3! 巴里は燃えているか!?《ゴォオメラメラメラ……!!》」
才人  「燃えてんのはあんたの顔だけだよ!!」
中井出 「ややっ!? これは博光うっかり!《メラメラメラ……!》」
才人  「うっかりとかそういうレベルじゃねーって!!」

 ツッコミをありがとう。
 そげなわけなので僕は顔面を燃やしたまま、シエスタをお姫様抱っこしてタルブ村へと歩いて行った。

村人A 「う、うわぁあーーーっ!! ばけもんだぁーーーーっ!!」
村人B 「モンスターよ! モンスターが出たわっ!!」
中井出 「ごらんシエスタ……!
     村のみんなが黄色い悲鳴で僕らを迎えてくれてる……!《メララララ……!》」
シエスタ「心の底から悲鳴あげられてますけど!?」

 はっはっは、何をおっしゃるやら。
 きっとみんなシャイなのよ。ほら、好きな有名人を前に硬くなっちゃう人みたいに。
 顔面が燃えることで僕の内側に閉じ込められていたカリスマ性が今解き放たれた……きっとそれだけのことなのさ。


───……。


 才人たちが空の旅から無事に戻ってきて……やがて訪れた夜。
 俺達はシエスタのパパりんに迎えられ、ヨシェナヴェを食らっていた。
 村はすっかりお祭りムードですじゃ。

中井出「ひいじいさんに───かんぱぁーーーいっ!!《ゴォオメラメラ……!!》」
才人 「いい加減火ぃ消そう!?」
中井出「《ベパァンパァンパァンパ!!》パッピプッペポォ!!?」

 そして顔面ファイヤー男だった僕は、才人に往復ビンタをくらって復活。
 ちょっぴり焦げて今が食べごろ……こんばんは、中井出博光です。

中井出「《マキィーン♪》ご婦人方にまたモテそうだ」
才人 「髪の毛が燃え尽きてハゲになってるけどな」
中井出「こんなものはホレ、月然力で〜〜……ほいっ《モサッ》」
才人 「うぉわあっ!? かみっ……髪の毛が生えたぁっ!?」
中井出「コココ……! この博光の武具に不可能はあんまりない……!」
才人 「……イマイチ格好つかねーよな、その文句」
中井出「それがいいんじゃない」

 ヨシェナヴェという名の寄せ鍋を皆様でモグモグ。
 せっかくだからデッケェエ鍋を創造、みんなでつつけるくらいの食材を用意し、シエスタが指示する味付けで作ってみせた。
 や、これがまたウメーのよ。これだけでもここに来て良かったって思えるくらいさ。

中井出「ほんとにもうしょうがない子なんだから……
    ご飯はどうするの? 大盛り? 中盛り?」
ルイズ「少しでいい───ってなんであんたが配膳してるのよっ」
中井出「なァアに言ってんのそんな痩せた体でェエ!!
    女の子はねぇ! ちょっと太ってるくらいが丁度いいの!」
ルイズ「や、ややや痩せっ……!?
    あんた……あんた人の何処見てそんなこと……!
    ていうか量を訊いてきたのはあんたでしょ!?
    なんでわたしが怒られてるのよ!」
中井出「口答えするんじゃないのォオ!
    アンタはもうホンット人の揚げ足ばっかり取ってェエ!!
    いいから食べなさい! お肉ばっか食ってんじゃないのォオ! もうっ!」
ルイズ「いらないわよそんなに!
    少しでいいって言ったじゃない! 何聞いてるのよあんた!」
中井出「実はこの野菜には胸を大きくする作用が」
ルイズ「さっさとよこしなさいっ!!」
中井出(チョロイ……)

 積極的に祭りに参加せん者にはきっかけを与えればよろしいでしょう。
 そげなわけで村人やらとともに、僕らは騒いで騒いで騒ぎまくった。
 ……僕らが歴史に介入することで、少しずつこの世界が曲がっているとも知らずに。
 まあ、こげなこと思ってる時点で、予想はついとんのだけどね。

中井出「さて……《バサリ》……どう思う?」

 黒衣を召喚、かずピーの頭だけを出して、訊ねてみる。

一刀 「半端な出し方しないでくれ……よっ、とっ、はっ……! くはっ!
    で、出れないぞこれっ……!」
中井出「僕か彰利の許可がないと無理ですじゃ。で、どう思うよ」
一刀 「はぁ……えっと、そうだな……。
    事の運びの速さから言って、アルビオンはこのまま突っ込んできそうだ。
    相手はあのワルドだろ?
    小説では随分のんびりしたもんだったが、あの別れ方はちとまずい。
    プライドの高いヤツほど、屈辱に歯噛みしたあとが怖いもんだよ」
中井出「あー……っと、不可侵条約っての結ばれてなかったっけ?
    アータの国には侵入しませんぜーって」
一刀 「今さら不可侵条約がどうとか言っても意味がない。
    条約がある限りトリステインには攻め入らないなんてのは、紙切れ一枚の約束だ。
    大体、そんなものを守る理由が何処にある?
    アルビオンは大国であり、兵器の開発にも長けている。
    ゲルマニアと同盟を結ばなきゃ対処出来ないって憂いまであったくらいの相手に、
    わざわざ条約がどうのと持ちかける理由なんてな、
    あいつらにはもう残されちゃいないんだ」
中井出「───ホホウ。で、あいつらのそもそもの狙いってなんだったっけ」
一刀 「聖地って呼ばれる場所を手中に治めるため、
    各国にある遺産を手に入れようとしている……だったかな?
    即ち“始祖の祈祷書”と“水のルビー”。
    ウェールズを襲った理由は……傀儡が欲しかったからだったかな。
    彼を操って、アンリエッタと通じ、トリステインを手に入れようとした。
    敵さんが持ってる死者を操る能力がある指輪、アンドバリの指輪を使って、
    殺してから傀儡にしようとしたんだ。
    つまり魔法が使えない存在がアンドバリの指輪を利用して、
    虚無の系統を騙ってたってことになるわけだよな。
    こっちも読んで久しいからはっきりとは覚えてないけどさ」

 ならば……来るな。
 条約がどーとかを無視するなら、恐らく最速で。
 否、むしろもう───

シエスタ「───……え?」

 ……遠くの空が、パッと光った。
 直後、高鳴る轟音。
 しばらくののちに、突風が俺達を襲い……遠くの空に、巨大な船を見た。

中井出「……なるほど、こりゃあ敵さんは相当のプライドの塊らしい」
一刀 「……みたいだな。どうするんだ?」
中井出「もちろん───ブッ潰す」

 立ち上がり、才人にも合図を送る。
 突風の正体に気づいていない彼は、数瞬戸惑いを見せるが……他の人の目にも戦艦が見える位置まで来ると、大きく頷いてみせた。
 即座に草原に置きっぱなしの零戦へ向けて走り、ルイズもそれを追う。
 俺はシャルとギーシュとアンリエッタ、そしてウェールズと王党派の兵士を引きずり出し、次に浮遊要塞エーテルアロワノンを召喚。

ギーシュ  「うわっととっ!? な、なんなんだいいきなりっ、
       せっかく新しいワルキューレを作っていたところに!」
中井出   「すまんね、ちょっとお願いごと。
       姫ちゃん、ウェールズ、アルビオンどもが攻めてきた。
       トリステイン王族として、どう出る?」
アンリエッタ「───……条約は、紙より容易く破られたようですわね。
       いいえ、元より守る気などなかったのでしょう」
ウェールズ 「元皇太子として情けなく思うよ。……アン、キミの覚悟を聞かせてほしい」
アンリエッタ「もう、覚悟は出来ていますわ、ウェールズ。
       ───アルビオンを迎え撃ちます!! 村人は避難を!
       博光さん、力を貸していただきます!」
中井出   「OK! 巻き込む気満々で大いに結構!!
       ギーシュ! シャル! 要塞に乗り込め!
       姫ちゃんもウェールズも、そこでぽかんとしてる王党派どもも!
       これより! 戦を始める!!」

 売られた喧嘩は裏ルートで買い取って高値で売る!!
 誰が相手だろうが元値の価値もないほどに叩きのめすのみ!!
 でも暗い中で戦うのは危険だね。

中井出「デスティニーブレイカー! 今が夜である事実を破壊しろ!!
    朝の眩しさよ! カァアアモォーーーーーーン!!!」

 叫び、漆黒鎌を振り上げる!
 すると、夜の景色が一瞬にして弾け、この場に青空の眩しさが舞い降りる!!
 準備万端! さあ……戦を興じよう、ぞ!!


───……。


 地上より離れた上空を飛ぶ要塞。
 名を、エーテルアロワノン。
 かつて花舞う都と呼ばれたそれを、様々な力を用いて浮遊させた。
 それは現在ユグドラシルを支柱とし、普段であれば猫の里に安置されているもの。
 だがただの住処ではないそれには砲台もバリスタも、魔導砲までもが備わっている。
 弾は無限。魔法や砲撃程度では砕けることのない大樹ユグドラシルにて構築されたこの要塞……砕けるものならば砕いてみよ!!

中井出「姫ちゃん! ウェールズ! 王党派の連中への指示は任せた!
    砲弾もバリスタも撃ち放題だ!
    魔導砲は魔力を込めないと出せないから、
    撃つなら十人がかりくらいで魔力を集束させろ!
    砲身が青から赤に変わったら、そこの出っ張りを思いっきり殴るだけでいい!」

 アルビオンどもの戦艦、名前は確かレキシントン号へ向け、空をゆく。
 相手方もこちらに気づいたのか、バカデケェ甲板から呆れる数の竜騎士を放ってくる。

中井出「わざわざ引きつけるこたぁねぇぞ! 撃ちたい時に撃っちま《くいくい》ホイ?」

 叫んでいると、服を引っ張られる感触。
 タレ? と振り向いて見れば、眠たげな目が僕を見上げていた。

タバサ「……なにをすればいい?」
中井出「おやシャル。……そうさのぅ、ヒロラインでの魔法は覚えた?」
タバサ「……まだ、下級」
中井出「ぬう、それでは竜族相手は無茶か。んじゃあこれ使って」

 手に持っていたジークフリードから翔風斬魔刀(はばのかざまのかたな)をエジェクト。
 それにさらに黒死霧葬剣(こくしむそうけん)をエジェクト&合成。
 黒と風の属性を合わせた大剣、ダークマターとし、ホイと渡す。

タバサ「……? 大きい……」
中井出「大丈夫大丈夫、軽いもんだから。それ持って下の先端広場へGOだ。
    黒の風を溜めて剣閃として放てるけど、溜めるのに5秒かかる。
    反動強いから気をつけて使いなさい?」
タバサ「……《コクリ》解った」

 言うや、右手にダークマター、左手に杖を持ち、砲台広場からトンと飛び降り、レビテーションで先端広場へと降りた。
 大きく尖ったその広場の足下は密集したユグドラシルの根であり、魔法だろうと衝撃だろうと壊れやせぬ。
 ただし広場っていうだけあって、周りから発見されやすい。
 ……狙われやすいかもしれんが、そこは僕らのマッスルボディの出番さ!

中井出 「ギーシュ! 僕の友達ギーシュ!」
ギーシュ「なななんだい!? ぼぼっ、僕になにか用かい!?」
中井出 「貴様にはこの鏡面盾(イージス)を!
     あらゆる攻撃を跳ね返すっつーバケモンみたいな盾だけど、
     当たり前と言えば当たり前で、衝撃だけは殺しきれん!
     これでタバサを守ってくれ! マッスルボディのキミにこそ頼む!」
ギーシュ「ふっ……任せてくれたまえよ! 僕にかかれば敵の魔法など……!」

 言いながら盾を受け取り、先端広場へ駆けてゆく。
 先端広場の名の通り、先っちょが尖がっている広場だ。
 その先端が示す先には、レキシントン号と竜騎士。
 さらにその後ろからは呆れるくらいの浮遊戦艦が……!

中井出「ぬおお!? こ、こんなに居たっけ!?」
一刀 「はぁ……このままトリステインって国を掌握するつもりなんだろうさ」
中井出「うーお、まさに国力ってわけか! うっしゃーいっ!
    どーせゲルマニアに助太刀を要請したところで、
    “た、助けに入るには一週間はかかるぜ〜!”とか言うに違いない!
    よーするに見捨てるってことですね! ならば当初の予定通り……姫ちゃん!
    この小人数だけで敵を撃退! 我らの力をゲルマニアに示し、
    政略結婚なんて必要ねぇってことを教えてやるんだ!」

 ウェールズとともに指示を出している姫ちゃんに声をかければ、ウェールズとともに振り向き、同時に頷き互いに手を繋ぐ。
 おぉーーっほほ、お熱いのぅ!

中井出「さて……こうなるといろいろと面倒だな。
    あのデカさだ、メイジもたっぷり乗り込んでるんだろうし、
    竜騎士もメイジだろうし───……」
一刀 「あんたは?」
中井出「僕? 僕はねー……まあ、
    どんな泥だろうと被る覚悟はとっくに出来とるんだけどね。
    出しゃばって才人たちの経験を潰すようなこと、出来ればしたくないのよね」
一刀 「なるほど……」

 とはいうものの、気になりはする。
 つーか特攻とか勘弁してくださらない? これでまだ余力を残してるとかいったら、国力ってのを完全にナメてますよ俺。

中井出「かずピー行く? 今なら凪をつけるよ?」
一刀 「おまけみたいに言うな。……あと、やめとく。
    いきなり戦場に投げ出されたならまだしも、俺にはあいつらと戦う理由がないよ」
中井出「結構。振り回すだけが力じゃあねぇもんね。
    ただまあ……俺が貴様を無理矢理ここに召喚して、
    敵に攻撃されりゃあ理由にはなるぜよ?」
一刀 「やめんかっ! これでも無理して自重してんだからっ!」
中井出「おーけおーけ、解っとるよ。御遣い様、貴様は少々民ってものと触れ合いすぎた。
    戦場で死神になる役は俺が引き受けるさね。
    だから下を頼む。タルブ村に護衛なんておらんだろうしね」
一刀 「───はぁああ……! 結局あんたも守るんじゃないか」
中井出「何を申すか。俺は俺のやりたいように動くだけよ。誰の指図も無視である。
    傷ついてほしくないって思ったら、行動に出るのは当然でがしょ?
    力があるから助けるんじゃあねぇ……助けてぇから助けるのよ。
    そこにある力の差とかをいちいち気にしてたら、剣なんぞ握ってられませんて」

 そんなわけでかずピーと恋姫連中を召喚。
 風で包んで一気にタルブ村まで飛ばし、そこで好き勝手してくださいと頼んだ。

中井出「さぁて……参ろうか!」

 既に戦いは始まっている。
 大砲とバリスタ、魔法とブレスが飛び交い、双方にダメージを与える。
 そんな中で俺は回復に専念し、炎に焼かれた王党派を回復させたり、飛び乗ってきた竜騎士を蹴落としたり。
 え? 残酷? ホッホホ、戦場に立ち、対峙した時点で生死の覚悟も出来ぬヤツなどの死など知ったことではないわ!




Next
top
Back