09/タルブの村での戦い

【シャルロット=エレーヌ=オルレアン(タバサ)/我らの盾】

 ヴ───……ン……ピキィンッ!!

シャルロット「ッ───……」

 キュバァアッフィィンッ!!!

 ───……振るうだけで、強力な剣閃が出る巨大な剣を、片手で振るう。
 言われた通りに、驚くべき軽さ。
 振るうことに難儀もせず、放たれる黒の剣閃は魔法がどうとか唱えるのが馬鹿らしくなる威力。
 一度放てば5の時を待ち、溜まれば放ち、空を飛ぶ騎士を落としてゆく。

ギーシュ「あっはっはっは! これは新しい感覚だね!
     まさかこの僕が、体を張って人を守るなんて!」

 ……。金髪がさっきからうるさい。
 黙って魔法を跳ね返してくれればいいのに。

ギーシュ「このイージスの盾でキミたちの攻撃は防ぐぞ!」

 言いながら、あっちへわたわたこっちへわたわた。
 動きが機敏ではない分、視界にちらついて……うっとうしい。

ギーシュ「マッスルボディシールド! マッスルボディガード!
     フフフ美しい……! 今の僕はなんて美しいんだ……!
     ああモンモランシー……! キミがここに居ないことがこんなにも寂しい!」

 後ろから切り刻んでいいだろうか。
 大丈夫、出力は抑えるから。

シャルロット「!」

 竜騎士が来る。
 蓄積……解放、殲滅。

ギーシュ「驚くべき威力だね……しかし僕の援護も素晴らしいと思わないかい!?
     見たまえよこの華麗なステップ!《ドタタッ、ドタタッ》」

 ……蟹が歩くほうが、まだ華麗だと言える。

シャルロット「………」

 言を紡ぐ。
 どうせこの大剣の力は黙ってても蓄積される。
 ならば、下級だろうと魔法を撃って隙を無くそう。
 彼の世界の魔法は、TPというものさえあればいくらでも撃てるものだ。
 それも、杖を触媒としなくても放てるというスグレモノ。
 なので杖をバックパックに仕舞い、左手にグミを、右手に大剣を構え、魔法と剣閃とで敵を撃ち落とし続けた。

ギーシュ「むっ……ならば僕も本気を出さなければなるまいね!」

 何と張り合っているのだろう。
 ……どうでもいいこと。気にしない。

ギーシュ「僕はギーシュ!
     “青銅”を操るが故に青銅のギーシュだったが、この二つ名は返上しよう!
     今の僕はマッスルボディ!
     名に縛られぬ自由な錬金を可能とした一人のメイジさ!
     さあ行くよ───青銅に鋼を合成させた僕の新たなワルキューレ!」

 金髪が薔薇の杖を振るう。
 そこから花弁が一枚、“樹木の足場”に落ちた。

ギーシュ  「………」
シャルロット「………ばか」
ギーシュ  「しまったぁああーーーーーーーっ!!!」

 土から錬金しなければ結局は何も出来ない役立たずがいた。
 どうでもいい。盾になればそれで。

ギーシュ「つまり常に土を持ち歩く必要があると僕は学んだ!
     いや、この場合は“召喚”出来るようになるべきだね!
     ……そういえば“刃金”のワルキューレはヒロラインに置きっぱなしだったよ。
     武器として登録してあるんだから、装備していなきゃ意味がなかった」

 ……そもそも敵が上空に居るということを覚えているのだろうか。
 どうやって攻撃するつもりなのか。

シャルロット「いいから、盾」
ギーシュ  「任せたまえ!」

 轟音を立てて剣閃が飛ぶ。
 即座に蓄積される黒の風が、剣の周囲を歪ませる。
 どういった原理なのかは解らない……けど、これは恐ろしいモノ。

シャルロット「……アイシクル」

 竜騎士を補足、目で見たソレの頭部に氷魔法を放ち、怯んだ瞬間に黒風剣閃を放つ。
 TPはまだまだ充実している。
 下級魔法程度なら、あと50は放てる。

シャルロット「5秒は少し長い」

 それでも竜騎士のほうが速い。
 5を数える間にどれだけ距離を詰めるのか、遙か遠くに居たと思っていた敵が、すぐ傍まで来ている。

ギーシュ「イージス!《ゴファァッキィンッ!!》」

 盾が居なかったら危険だった。
 あの盾もまた、異常だ。
 炎のブレスだろうと反射して、竜を燃やしている。
 もちろん竜鱗が燃えることなどなく、ただ驚いて逃げるだけ。
 それでも5を数えるだけの時間は稼げた。

シャルロット「……ふっ」

 そして剣閃が飛ぶ。
 竜と人を両断し、大地へと落とす。
 人は私を人殺しと罵るだろうか。
 ……それでもいい。私には果たさなければならないことがある。
 それを果たすまでは死ねないし……そう。
 戦場に立ったならば、相手が誰であれ戦わなければウソになる。

シャルロット「プチファイア……アイシクル、ウィンドカッター、ストーンバレット」

 下級魔法を連続で放つ。
 が、埒が空かぬと突撃して来た竜騎士はそのまま突撃し、この場へと───!

ギーシュ「む、無茶苦茶だ! だが僕のイージスで───はっ!?」

 相手も馬鹿じゃない。
 正面から突撃する竜騎士と、右方から突撃する竜騎士を見た。
 正面の竜騎士は私を、右方の竜騎士は金髪を狙っている。
 金髪が自分を守ろうとするのは当然。そう判断して、長すぎる5秒に息を飲む。

シャルロット「っ……」

 バックパック内の杖に手を伸ばそうとするが、間に合うわけがない。
 竜騎士はそのまま突撃し───

ギーシュ「見るものを喜ばせぬ薔薇に、僕はなる!!」

 ───真正面から来たそれは、鏡面の盾にて弾き返された。
 瞬間的に状況を悟った私は杖を取り、ルーンを唱え───右方から迫る竜騎士へと……だめ、間に合わない……!

ギーシュ「タバサ! 使いたまえ!」

 その時だ。
 衝撃で怯んでいた体勢から無理矢理盾を投げた金髪が居た。
 私は迷わずそれを受け取る……と同時に、身を潰すんじゃないかというほどの衝撃。
 竜騎士は盾によって弾かれ、けれど私も先端の広場を吹き飛び、倒れることになる。

シャルロット「……、う……!」

 痛い。
 盾を離してしまった。
 盾を構えた腕が、痺れていて言うことを聞いてくれない。
 起き上がろうにも頭を打ったのか、立ち上がるだけの力が沸いてくれない。

ギーシュ「君達……女性はもっと丁寧に扱いたまえ!
     戦場だろうと、最低限の礼儀は守るべきだとは思わないのかね!?」

 視界の横で起き上がり、盾を拾う金髪を見た。
 けれど再度の突撃で今度こそ吹き飛び、要塞の樹の壁に激突してしまう。

ギーシュ「か、ふ……! ふ、ふふふ……! 嘗めてもらっては困るね……!
     盾と、そしてVITに集中したこの僕の防御力……!
     今、確かに竜騎士の突撃攻撃を上回っ───…………《ぼてっ》」

 ……気絶した。
 その途端、先端広場には次々と竜騎士が降り、内部への侵入を……

シャルロット「……、だめ……」

 止めないといけない。
 いけないのに、体が動いてくれない。
 焦れば焦るほど、震える体は動かないのに、それでも無理矢理立とうとする……私に、影が差す。
 それは人だ。
 杖を振り上げ、ニタリといやらしい顔で笑む、メイジが……!

シャルロット(母さま───!)

 終わってしまう。
 何も果たせないまま。
 そんなのは嫌だ。
 夢中で杖を突き出し、魔法を放とうとしたが、この手は杖すらも手放してしまっていた。
 剣も無い。
 それどころかその剣が、一人のメイジに拾われてしまって───

  ドバァッファォオンッ!!!

メイジ『ぎゃああああああっ!!?』

 ……突風が吹いた。
 メイジたちが悲鳴をあげて吹き飛び、先端広場から落ちそうになる自分を、無様でもバタバタと繋ぎ止め、一生を得る姿を眺めた。
 ただ呆然と、けれどどこか安堵しながら。

中井出「うぬら……宅のシャルちゃんに何しくさってんじゃいオラァーーーーッ!!」

 怒りに顔を歪ませた彼が居た。
 左手一本で私を抱き起こして、右手では奪われた剣を引き寄せ、取り戻して。

中井出「戦場である! いかなる方法での勝利も認めよう!
    だがそれをカットするも個人の自由!
    そして俺はまったくの個人的な理由で貴様らを許さん!!
    “楽しい”を忘れてしまった者を救うため、今日も天下に俺推参!!」

 ぎうっ、と……少し強いと思うくらいに抱き寄せられる。
 彼にしては珍しいと思った。
 誰かのためなんて、絶対にしないと思っていたから。
 ましてや“救うため”なんて……

中井出   「シャル……この博光、
       キミが笑顔を取り戻す前に死ぬことを絶対に許しませんよ。
       この数を相手に無事でいろってのは無茶だったかもしれんが、
       それでもキミには生きてほしい。
       故に……経験潰してもいーや! 前言撤回だ!
       思いっきり戦え! だが絶対に死なさん!」
シャルロット「……勝手」
中井出   「それが人間本来の生き方じゃないのかねぇ!
       責任だとか使命だとか夢だとか、
       そんな荷物を背負い込み過ぎて生きていくのは億劫すぎる!
       と、クラース=F=レスターが言っていた! まったくその通りだ!」

 彼が私に大剣を渡す。
 次いで取り出した杖で私の頭をポクリと小突くと、痺れていた体がうそのように回復。
 倒れていた金髪にも同じことをして、

中井出「ギーシュ! ギーシュ!? いい加減目覚めなさい! 寝るにはまだ早くてよ!」

 彼が金髪を起こす中でも、私は剣を振るう。
 絶対に死なさん……その言葉が勇気をくれた。
 彼がそう言ったのなら、絶対に自分は死なないのだと……妙な確信が持てたのだ。
 きっと、あの映像を見なかったのなら、こんなことは思わなかった。

中井出 「キミにはこのトルネードバスを授けよう!
     こう構えてこうやってトリガーを引けば、ツイスターキャノン撃ち放題!
     ただし反動が強いので、壁に背を当てて撃つことをオススメする」
ギーシュ「キ、キミはっ……衝撃が強いものばかりを持たせていないかい!?」
中井出 「ペナルティ無しの強い武器なんてそうそうあるもんですか!」

 金髪に両手持ちの筒のようなものを持たせ、彼と金髪は立ち上がる。
 そうしてから私の隣に立ち、

中井出「さあ……この場に降りたことではなく、
    シャルに手を出したことを存分に後悔させてあげますよ……ほっほっほ」

 背から黒を召喚、圧縮させると、それが竜の腕となる。

中井出「皇竜爪(アンギア)解放! ジャブジャブストレート!! ワンツーワンツー!!」

 その、巨大な竜の腕を以って、ジリジリと距離を詰めてきていたメイジたちをボコボコにし、先端広場から吹き飛ばした。
 ……滅茶苦茶だ。
 映像の中でも滅茶苦茶だったけれど、今のはもっと滅茶苦茶だ。

中井出 「さあ皆さんいきますよ! やつらに我らの喧嘩意地(ゴロメンツ)を見せてやるのです!」
ギーシュ「任せてくれたまえよ……はぁっ!《カチッ》」

 ギガァアチュゥウウンッ!!!

ギーシュ「ギャアアアアア!!!メキメキメキ……Y》」

 トリガーを引いた途端、壁に減り込む金髪が居た。
 放たれたツイスターキャノンとやらは遠くの竜騎士たちを殲滅し、代わりに金髪は気絶。

中井出「ややっ!? これっ! 一発で気絶するとは情けない!」

 ……いくらなんでもそれは無茶だと私でも解る。
 渡されたのがこの剣でよかった……そう、しみじみ思った瞬間だった。





【平賀才人/VS閃光のワルド】

 竜騎士が落ちていく。
 剣閃を食らったり拳をくらったり、大砲を受けたりバリスタで撃ち落とされたり。
 俺とルイズは零戦で空を駆けながら、その光景を眺めていた。

才人 「うぅうわっ……みんな頑張ってんなぁ……!」
ルイズ「ねぇ! ちょっと! こんなので本当になんとかなるの!?
    相手はあんな巨大な戦艦なのに……!」
才人 「なんとかなるっ! 兵器だけは充実してるから!
    ───ルイズ、後ろにロックオンシステムが詰まれてるから、
    上手くそれを使って竜騎士を捉えてくれ!」
ルイズ「え? え? ろ、ろっく……!?」
才人 「操縦桿、あるだろ!? 景色が映ってるものの横にある二つの突起物!
    それを掴んで映像を動かして、竜騎士を映してくれ!
    画面に竜騎士が映って赤いマークが出たら、次の竜騎士を映す!
    何体ずつでもいいからマークして、
    し終わったら突起物の先端のスイッチを押す!」
ルイズ「え? こ、こう……?《カチッ》」

 後ろの席から聞こえた音。
 その直後、零戦の後部から放たれるマーキングミサイル。
 ロックオンされたらしい哀れな竜騎士は、突然の飛来物に驚いて避けようとするが───逃げた先でドカーンと爆発。

ルイズ「………………うわ……」

 次いで、後ろからは何処か上気した声。
 それからはもう機械を操りロックオンしまくり、ミサイルを放つ音ばかりが続いた。

ルイズ「あはっ、あははっ、あはははははっ!!
    トリステインを狙う害虫めぇええええええええっ!!!」

 後ろから、興奮に満ちた声が聞こえた。
 少し、早まったかなぁ……とか思っても後の祭りだろう。

才人 「それよりもっ……!」

 向かってくる竜騎士の全てを機関砲で撃ち落とす。
 上手く避けられて魔法を撃たれたところで、こちらの装甲はビクともしない。
 いろいろと提案しておいてなんだけど、とんでもない改造が為されたもんだ。

才人 「えーと確かこれがマイクロミサイルポッドで、これが波動砲……
    これがヲゥガリランチャーバーストで……」
デルフ『相棒! 前! 前見ろ前!』
才人 「ああ大丈夫、解ってるから」

 スッと前を見れば、突撃してきている竜騎士がゾグシャア!!
 ……スパイクシールドで絶命した。

才人 「うぇええ……! グロい……!」
デルフ『……相棒よぉ、よくこんなもん付ける気になったなぁ……』
才人 「悪い……激しく後悔してる……」

 一定の時間が過ぎるとスパイクシールドは引っ込み、長い棘に貫かれたメイジと竜は落下してゆく。
 上手い具合にプロペラを避けてきたのに、これじゃあなぁ……って!

才人 「───! 来やがった!」
デルフ『来たってなにが───おぉっ!?』
ルイズ「才人! 後ろから何か来る! あれは───……ワルド!?」

 火竜ではなく、風竜なのだろう……今までの竜騎士とは色の違う竜に跨り、呆れる速度で後ろから迫るメイジを発見した。
 後方カメラ付けてもらっててよかった……付けてもらってなかったら、気づけなかった。

ルイズ「どうするのよ! これ、後方までは動かせないわよ!?」
才人 「ルイズ! 風防を開け! そこにガトリングがある!」
ルイズ「ガトッ……って、解るように説明しなさいよっ! もうっ!」
才人 「ああもうっ! デルフ!」
デルフ『あいよっ! 嬢ちゃん、天井の窓を押し開きな! それが風防だ!
    それからすぐ傍にある操縦桿を強く握って後ろへ引っ張れ!』
ルイズ「これを開けて……《ブワッ!!》きゃああああああああっ!!?
    はっ……ぐっ……! す、ごい……風っ……!!」
デルフ『落ちんなよ! 落ちたら確実に死ぬぞ!』
ルイズ「解ってる、わよ……! 〜〜……操縦桿……これ、ね……!?《グッ……》
    くっ、うっ……く……! うぅううあぁあああああああっ!!!!」

 後方から力の篭った声。
 同時に、ガゴォオンとギミックが動く音がして、恐らくはガトリングが姿を現した。

ルイズ「これ!? を、どうするの!?」
デルフ『その蜘蛛の巣みてぇな網目から敵を覗いて、中心を捉えてトリガーを引きな!
    トリガーってのがなんなのかはもう解ってるな!?』
ルイズ「これを……───やってみるわ!」
デルフ『ああそうそう、トリガーは一度引いたら引きっぱなしでいいからな!』
ルイズ「っ───」

 空を舞う。
 恐らくワルドの狙いは“ここ”だ。
 他のメイジたちがどれほど魔法を撃っても体当たりしても、こちらが怯まなかったのを見ていたはずだ。
 だからこそ後ろにつき、風防が開かれるのを……いや。俺達を守る盾が無くなるのを待っていた。もし今、振り向くこと出来るのなら……後方には、狂気にニヤケた隻腕の男が見えることだろう。

ルイズ「───たぁあああああああっ!!!!」

  ババババババババババッ!!!

 ガトリングが火を噴く。
 音と震動が零戦自体に響き渡り、後ろを振り向くまでもなくソレが放たれていることがよく解った。

ルイズ「うそっ!? 避けた!?」
デルフ『へっ、銃身が向いている方向で予測されたかいっ!
    なかなかやるじゃねぇの敵さんもよぉ! なぁ相棒!』
才人 「感心してないで手伝えよっ!」
デルフ『だったら忠告だ! ───くるぜ! ライトニング・クラウドだ!』
才人 「───! ばかっ! 先に言えっ!」

 一度ガトリングを引き起こしたら、ガトリングを仕舞わない限り風防は閉ざせない。
 そうなれば敵からの攻撃は全て避ける必要がある……!

才人 「ルイズ! 操縦桿握っててくれ!!」
ルイズ「えぇっ!? どどどどうしろってのよ!」
才人 「いいから! ───デルフ!」
デルフ『あれだけ強ぇのは吸収出来る自信がねぇぜ!?』
才人 「そんなのはノリと根性でなんとかしろっ!」
デルフ『無茶言うね相棒!!』

 操縦桿を離してルイズを座席に引っ張り込むと、今度は俺がガトリングを前に立つ。
 即座に剣閃を放ち、魔法の威力を弱めてからデルフで吸収、事無きを得る。

デルフ『なるほど! 考えるねぇ相棒!』
才人 「……つっても、剣閃はTP半分減るから、あと一回しか使えねぇ」
デルフ『ダメダメだね相棒!』
才人 「うるせぇ! グミあるからまだしばらくは大丈夫だ!
    それに、どうこうされる前にガトリングで撃ち落とせばいいんだ!」
デルフ『……その前にこの羽衣が落ちないかが心配だよ、俺ゃ』
才人 「へ?《がくんっ!》 おっ……おぉおおおおおおおおおっ!!?」

 急降下! まっさかさまァにィイイ! 落ちてデザイアァアアーーーーーーーッ!!?

才人 「ルイッ……ルイズゥウウ!! 操縦桿! 操縦桿引っ張れぇえええっ!!」
ルイズ「えぇえっ!? 握っててくれって言っただけじゃないのよぉおおおっ!!」

 落ちる! ルイズが操縦桿を引っ張るけど、機体が落下の軌道に乗っちまった!
 これじゃあもし機体が向きを変えてくれたとしても、その頃には地面に激突する!
 機体は壊れないだろうけど、下は村だ! 落ちるわけにはいかねぇ!
 どうする!? どうするどうするどう───そうだ、tell!!

才人 「tell:中井出博光……!《ジッ》───提督! 機体が落下する!
    下が丁度村なんだよ! なんとか出来ないか!?」
声  『ぬおっ!? キ、キミねぇ! それだけの装備つけておいて負けたん!?
    ええい問答はどうでもヨロシ! 村に向けてミサイルポッド撃て!
    時間ねぇからさっさと撃て!』
才人 「───! ルイズ! 操縦桿の脇の赤いボタン! 思いっきり押せ!」
ルイズ「これっ!?《カチッ》」

 ボボッ───
 ドパタタタタタキュゥウウーーーーーン!!!

ルイズ「あ、あれ? ふえぇえっ!!? ちょっ……なんか村に向けて飛んでったわよ!?
    これっ……竜騎士を落としたあれじゃない!」
才人 「……!!」

 緊張が走る。
 あれをどうすれば村も俺達も助かるっていうのか───

声  『今だ!思いっきり操縦桿を引け!!』
才人 「! ルイッ───ズゥウウウウッ!!!」
ルイズ「へっ!? あ、きゃあっ!?」

 落下する機体から振り落とされぬよう、力を込めて機材を掴み、無理矢理操縦席へと体を連れてゆく。
 手を伸ばし、なんとか操縦桿を握ると───ステータスをSTRマックスに振り分け、全力で引っ張───った直後、放ったミサイルの全てが村に落ちるより早く爆発。
 その反動が少しだけ傾いた機体を押し上げ、一気に向きを大地と平行に直してくれる。

才人 「な、なんだ!? いったいなにがどうなって───……げ」

 見下ろしたみた。
 すると、米粒みたいに小さいけど、確かに見える白銀の男。
 ……助かったけど、あれだけのミサイルをいったい何で破壊したんだ?

声  『ほいほいボーっとしない! 相変わらず後ろにいらっしゃるぜ!』
才人 「っとと! サンキュ、提督!」

 旋回する───が、相変わらず後方にびったりとくっついてやがる。
 ガトリングを撃っても、多分さっきみたいに上手い具合に避けられて……あ。

才人 「危ないけど、やってみるか」

 再びルイズに操縦を任せ、後部座席(あくまでシエスタを乗せるために提督がつけたもの)へと移り、ガトリングをがっしと掴む。
 それからは乱射。
 ただし出来るだけ後方から離れるように誘導してやって───旋回して後方に回り込み直そうとしたところへ剣閃ファイアァーーーッ!!

ワルド「くっ!? 小細工を……!」

 ワルドはそれを魔法で容易く撃ち落とし───けど。

才人 「っへへぇ〜っ! 捉えたぜ、ワルドさま〜んY」

 意識が剣閃に向いた瞬間、ルイズに操縦桿を倒してもらい、無理矢理に機体を寝かせる。すると機体は急速旋回を始め、即座に後部座席へ座った俺は……“映像にワルドの姿を映し”……!

才人 「はいぽちっと」

  ボボッ───パキュキュキュキュキュキュキュゥウウン!!!

 スイッチを押せばマーキングミサイルの嵐!!
 ワルドは破壊した剣閃の爆煙から出た途端にミサイルを見ることになって、しかし───

ワルド「ちぃっ! ───おぉおおおおおおっ!!!」

 雄叫びとともに魔法を放ち、一つのミサイルを爆発させることで他のミサイルを誘爆させた。そのショックで風竜は目を回したのか落下していくが……

  ドンッ!

 爆発で敵を見失った。
 そう思った瞬間、ワルドは旋回したこの機体までレヴィテーションを使い、着地してきたのだ───!

ワルド「会えて嬉しいぞガンダールヴ……! さあ、今こそ───」
才人 「………」

 そうは言ってもこの速度。
 風にババババババと打ち付けられながら立っているワルドは、ガトリングの銃身に掴まりながらじゃないとここには居られないような雰囲気を醸し出していた。

才人 「うりゃ」

 故に、ガトリングの脇のレバーをグギギッと強く引き、銃身を押し込むことでソレを機体に収納。
 そうなると自然と彼の体は風に誘われ───

ワルド「オォオオオオオオオオオオオオオッ!!!?
    ガッ……ガガガガンダールヴ! ガァアアンダァアアア───アーーーーッ!!」

 機体が裂いた気流に飲まれ、遙かなる空へと吹き飛んで行った。

才人 「……お前は強かったよ。でも間違った強さだった」

 いつかまた、復讐に来るかもなーとか思いながら、今度こそ風防を閉めて操縦席へ。

才人 「サンキュウルイズ! じゃあまた後ろに───」
ルイズ「いや」
才人 「へ? や、ここ二人も座れないだろ? だから───」
ルイズ「いやよ! だったらあんたがわわわわ私の椅子になりなさいっ!
    急にヘンなことさせて……! 怖かったんだから……!」
才人 「………」

 あ……なんか今、妙な保護欲のようなものが。
 いや、ようなもの、じゃないよな。保護じゃあ意味合いとしては違うだろうけど、守りたいって思う気持ちはウソじゃない。
 守らなきゃ……俺が。ニセモノの貴公子様は……もうこいつの傍には居ないんだから。

才人 「よしっ! いくぞルイズ!」
ルイズ「うんっ! ───あれ? な、ななななんであんたが命令してんのよ!
    それは私の役目でしょ!? この駄犬っ!」
才人 「だけっ……!? そりゃないだろ!?」

 喧嘩をしながら、けれどしっかりとルイズを足の間に座らせ、操縦桿を強く強く握った。
 戦艦の一つくらい、潰してやらないと……!





【北郷一刀/VS土くれのフーケ】

 上空は綺麗な花火で急がしいらしい。
 そんな景色を眺めてから、視線を下ろせば……

フーケ「悪いけどあんたたちには人質になってもらうよ。
    こっちとしてもあんなモノを出されるなんて予想外だったんだ。
    このあとにトリステイン王宮を制圧するって仕事も残ってるんでねぇ、
    出来るだけ負傷は少ないほうがいいだろう?」

 巨大なゴーレムの手の上で、ケタケタと笑う土くれ。
 俺達は村の前でそんな声を耳にして、

華琳 「愚かね……そういう言葉は人質を手中に治めてから言うものよ」
フーケ「おろっ……!? ふ、ふんっ、あんたらに何が出来るってんだい。
    人数がどれだけ居ようが、このゴーレム一体で十分さね!」
雪蓮 「そ? 高みの見物は結構だけど、足下もちゃんと見ないと掬われるわよ」
フーケ「へ?」

 見下ろした時にはもう遅い。
 斗詩と焔耶と季衣がハンマーと金棒とモーニングスター(剣玉)で右足を、凪と桔梗と流琉が、氣弾と豪天砲とヨーヨーで左足を攻撃。
 想定外の衝撃にバランスを崩したゴーレムは倒れかけるが、すぐに再構成、立った状態でゴーレムを錬成し直すと、彼女は笑った。

フーケ「あっはははははは! 不意打ちとはやってくれるじゃないか!
    だがねぇ! どれだけ喚こうとあんたらじゃあ私に触れることさえ───」
于吉 「おやおや、高いところで吼えるだけなら、誰にでも出来ますが……」
フーケ「うぃいっ!?」

 ……それが終わった頃には、彼女の後ろには于吉が立っていた。

フーケ「あ、あんた……いつの間に……!?」
于吉 「マジックショーをご存知ですか?
    人の目が第一弾の手品に目を奪われている隙に、
    片方の手は次なる手品を用意する。
    見下ろす側の者とは、どうしても気分ばかりが大きくなるものです。
    だから大切なものを見落としてしまう。───貴女はその典型ですね」
フーケ「〜〜? 質問に答えな!」

 叫ぶや、ゴーレムの左手が動き、右手に乗っているフーケと于吉……いや、于吉目掛けて振り下ろされる。

于吉 「答えるのは構いませんが、詰まれた貴女にそれを話す意味がありませんね」

  ガドォンッ!!

 振り下ろされた手刀が于吉を潰す。……かに見えただけだな、あれは。
 見れば、振り下ろされた手の上に立ち、口元を長い袖で隠してクスクス笑う彼が居た。

フーケ「なっ……!?」
于吉 「選択をさせてあげましょう。
    一、このまま黙って逃げ出す。
    ニ、我々に拘束され、あそこの御遣い様に愛される。
    そして三、最後は───」
左慈 「……俺達に殺されるか、だ」
フーケ「!?」

 再び驚愕。
 またも背後から聞こえた声に振り向けば、そこに立っている左慈。 
 悪趣味だなぁ……正面から話し合ってやればいいのに。

左慈   「黙れ北郷一刀。俺達には俺達のやり方がある」
一刀   「俺何も言ってないよね!? 心まで読んで反発するなよ地獄耳!!」
左慈   「黙れと言っているっ! 勘違いするなよ北郷一刀……!
      俺はただ状況が利用しやすかったからこうしているだけだ!
      俺は今でも貴様を殺したくてうずうずしているんだからな!」
一刀   「どこのピッコロさんだお前はっ!!
      そういうのはやめにしようって話し合っただろ!?」
左慈   「そんなものは知らん。俺達は“否定”を糧に産まれた。
      その過程がある以上、俺は貴様を───!」
于吉   「あー、こほん。愛しい思い人と愛を語らうのは勝手ですが……
      いい加減に話を進めるべきでは? 左慈」
一刀&左慈『誰が愛しい思い人だっ!!』

 同時に叫ぶが、そこを桃香にまあまあと宥められた。
 ……反省、落ち着こう。

于吉 「さて。名のある者なら自分が置かれた状況というものを正確に判断できるはず。
    一を奨めたいところですが、ニもそう捨てたものではありませんよ?
    なにせ嫉妬の業火が御遣いを襲いますからねぇ」
一刀 「お前ぇええっ!! それが狙いかぁああっ!!」
于吉 「ふふふ、なんのことやら聞こえませんねぇ」
愛紗 「ご主人様……まさか、出会ったばかりの女性にまで手をだしたりなど……」
桃香 「しないよねぇ……?《ニコリ》」
一刀 「ヒィッ!? ち、ちがっ……あれは于吉が勝手に……!」

 怖っ! いつの間にかみんなに囲まれて、しかも睨まれてる!
 し、ししっししシマセンヨ!? そんなこと恐ろしくてとてもとても!!

鈴々 「だいじょーぶなのだ。あんなおばさんなんてきっと相手にしないのだ」
フーケ「おばっ……!? 馬鹿をお言いでないよこんガキャアアーーーッ!!
    あたしゃまだおばさんなんて呼ばれる歳じゃないさねっ!!」
翠  「や、けど喋り方がいちいちおばさんくさいのは確かだよな」
フーケ「───《ゴリッ……》」

 あ、あぁあ……! せっかく交渉でなんとかなりそうだったのに、大暴れの予感が……!

フーケ「ゴーレム! 振り落としな! こいつら全員踏み潰してやるんだ!」

 ……はい予想通り。
 乱暴に手を振るうゴーレムから左慈と于吉が振り落とされ、しかしフーケはゴーレムの肩へと着地。
 それから大暴れを始めるゴーレムを前に、俺と華琳は頭を痛めていた。

華琳 「せっかく時間稼ぎをしてあげたのに、自ら被害を増やしてどうするのよ……。
    于吉の口車にまんまと乗せられただけじゃないの……」
一刀 「らしいといえばらしいんだけどな……はぁ」
華琳 「……で? どうなのよ。下したらあの女も召し上がる気?」
一刀 「華琳さん!? まんまと乗せられてますよ!?」
華琳 「うるさいわねっ! いいから白状しなさい!」
一刀 「言ってる場合かぁあーーーーーって来た来た来たぁああーーーっ!!」

 暴れるゴーレム!
 振り回される拳や足が地面を砕き木々を倒し、もういっそドラゴンボールの大猿として通用するってくらいの暴れっぷりを、俺達に見せつける!

華琳 「破壊できそう?」
一刀 「アノ。物凄イ無茶言ッテマセン?
    ……とはいえ、土台を崩し続ければ達磨落としの要領で届くだろうけど……
    問題は再構築の速さだな……」

 華琳とともに、走りながら思考。
 魔法なら左手で吸収することも出来るだろうけど、さすがにあそこまでデカいのはどうだろう。
 武器は木刀だし、相手の力を木刀に装填したところで、あの巨体を一撃で破壊出来るかと問われれば無理だと答える。
 しまったなぁ。
 あの男……中井出博光に、ロケットランチャーでも貰っておくんだった。

一刀 「華琳たちはどうだ? 俺より早くヒロラインで旅をしてたんだろ?」
華琳 「言語勉学が優先されたのよ。大したことは出来ていないわ。
    魏呉蜀の国の構築も完璧ではないし、
    そんな状態で私達だけ旅をするなんて出来ると思う?」
一刀 「そっちはそっちでいろいろ大変なわけか……」

 どうしたものか。
 剣閃を放ったところで、ミサイルを起爆させることは出来ても、ゴーレム相手じゃあガードされるのがオチだ。

華琳 「けどまあ、大丈夫でしょう?
    相手が博光ならまだしも、こんな土の集合体なんかに私達が負けるわけがないわ」
一刀 「その自信はどっから……いや、俺も同じ気持ちだけどさ」
華雄 「ふっ……ならば任せておくがいい。巨大であろうと土は土! 恐るるに足らん!
    来るがいいでくのぼう! 我が金剛爆斧で貴様の五体をばらばらに───」
霞  「……ちぃっとこっち来ような〜華雄」
華雄 「《ガッ!》うわぁっ!? し、霞っ!? 離せ!
    私は武人として、誰が相手だろうと退くわけにはぁっ!」
霞  「あほぉっ! 武人武人って、馬鹿みたいに突っ込む癖直せゆーとるやろぉっ!?」

 華雄、退場。
 そんな様を、上手く立ち回りながら眺めていたんだが……《ジジッ》

一刀 「ン───こちら北郷───って、あんたか。どうした?」
声  『や、下から奇怪な音が鳴ってるから見下ろしてみたら、ゴーレムを発見したから。
    大丈夫? 必要ならなんぞ武器でも寄越すけど』
一刀 「───……ロケットランチャー、あるか?」
声  『ひょ? …………OKOK、ちぃと待ってなさい。
    確か桔梗の武器ってガンランスみたいなのだったよね?
    ペリカンとロケットランチャー飛ばすから、上手く合成させてくれ』
一刀 「ペリカン!? ……あ、ああ、合成用の怪盗ペリカンか。
    ───解った、出来るだけ急いでくれ」
声  『フフ……北郷くん』

 キュイどぉっがぁあああんっ!!!

一刀 「うわぁっ!!?」
声  『───もう、送っとる』

 空から何かが落ちてきた! それこそメテオが如く!
 ……って、これ大丈夫なのか!? 生き物だったら粉砕してるんじゃ……って、生きてる!? ビクンビクンって痙攣してるけど、生きてる!!

一刀 「桔梗! 桔梗ーーーっ!」
桔梗 「む───っ……どうされた! お館様!」

 叫ぶや、足早にこちらへ駆けつける桔梗。
 そんな彼女に軽い説明をして、いざ合成を……って段階になったんだが。

一刀 「…………入るのか? これ」

 豪天砲の大きさと、ペリカンの口の小ささにゴクリと喉を鳴らした。

桔梗 「何を仰るか。小さき穴に太きを通すことなど手馴れたものでしょうに」
一刀 「そういうこと言ってるんじゃなくてね!?」

 いやでも、一応ゲーム世界の生き物だし……なんとかなるのかも。
 と、桔梗に広げてもらっていたペリカンの口に、巨大な銃剣を入れた。
 すると、メキメキと嫌な音が鳴って顎がゴキャアと外れ、悲痛なる叫びが───!!

一刀 「おぉおおおおい!!? 大丈夫なのか!? これ本当に大丈夫なのかぁっ!?」
声  『大丈夫! キミなら出来る! 頑張れ!』
一刀 「この場合どう見ても頑張るのはペリカンですよね!?」

 ……だが、驚いたことに豪天砲はペリカンの中に納まった。
 次いでロケットランチャーを突っ込むと、ペリカンの口の中が輝いて───色を変えた豪天砲が弾き出されるじゃないか。

桔梗 「おぉっと!?《ガシャンッ!》」
一刀 「弾きだされた───これってもう合成されてるのか!?」
声  『うむ! ゴーレム目掛けて撃ってみなされ!
    一応無限ロケットランチャーだから、何発でも撃てるようになってるはず!』
一刀 「無茶苦茶だなあんたほんとに!」
声  『博光ですもの!』

 理由になってなかった。
 そんな答えに苦笑をもらしながら桔梗にこくりと頷いてみせ、それを受けた桔梗は豪天砲を構え───

桔梗 「受けてみよ! 我が豪天砲の一撃ッ!!」

 巨大なゴーレムの足目掛け、一発を放ってみせドンガォン!!

桔梗 「くおっ!?《ビリィッ……!!》」
一刀 「っ!?」

 ───た途端、空気を震わせる轟音。
 同時に弾が放たれ、ソレはゴーレムの右足を破壊。それでは止まらず、その先の左足までもを一気に破壊してみせた───!

桔梗 「お───おぉおっ!?」
一刀 「う、あ……つ、強くなりすぎだろオイィイイーーーーーッ!!!」

 なんてもの渡すんだあいつ!
 そりゃあこれがあればもう勝ったも同然だけど……!

フーケ「足がっ!? 〜〜〜っ……見事だけど忘れたかい!
    再構築なんざいくらでも《ヒタリ》ヒィッ!?」
思春 「───させると、思うか?」
フーケ「あ、あわ……い、いつの、間に……!」

 ……終わった。
 ゴーレムの足が崩れ、倒れた瞬間には───瓦礫の山を駆け上った思春が、フーケの喉に鈴音を当てていた。

于吉 「これは呆気ない。
    悪役ならばもう少し粘ってもらわなければ、盛り上がりというものが……」
一刀 「すぐ終わるならそれに越したことはないだろ……」
于吉 「いえいえ、我々もこれで案外退屈でしてね。
    外史が統一され、我々も正史の傀儡という概念から外れた今、
    貴方を狙う理由も無くなりましたし。
    やることといえば左慈をたきつけることなのですが」
一刀 「やめましょう!? そういうこと!」

 いつの間にか隣でくすくすと笑っていた于吉に、思い切りツッコんだ。
 そんなことをしていると、左慈までもがどっかから近寄ってきて───

左慈 「さあ勝負だ北郷……! 邪魔者は消した、世界という堺もない……!
    貴様を下し、俺が貴様なんぞに劣っていないことを証明する!」
一刀 「華琳……このベジータさんなんとかして……」
華琳 「叩きのめせばいいじゃない。兵を増やす道術はもう使えないのでしょう?」
于吉 「おやおや、これは手厳しい。
    お疑いでしたら、今一度洗脳でもしてみせましょうか?」
華琳 「……次やったら切り落とすわよ」
于吉 「…………ど、何処を、と……この場合は訊くべきでしょうかね」
一刀 「やめとけ于吉……華琳はやるって言ったら本気でやるぞ」
于吉 「…………傀儡ではなく人として生き始めたというのに、
    男を捨てることはありませんね。し、失礼、言葉を慎みましょう」
華琳 「ええ結構よ」

 小さな覇王に頭が上がらない僕らが居た。
 左慈はそんなことは気にせず、「おいこら! 俺を無視するな!」って緑川さんボイスで喋っているが。

桔梗 「さて。ではこの女はお館様に任せるとして───」
華琳 「───《ギラリ!》」
一刀 「なにもしませんよ!?」

 ともあれ、フーケを捕らえた。
 少しだけ目を逸らしていた間に、何故か亀甲縛りで縛られ、滝の涙を流す彼女。
 その傍らでは蒲公英が元気に笑っていた。
 あー……ごめん、あとでちゃんとほどくから。
 そんなことを思いながら、空を仰いだ。
 今だ戦いが続く、その空を。






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